(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本発明は、新規な細胞結合剤−細胞毒性剤複合体であって、細胞結合剤(CBA)が細胞毒性剤に対して、CBA上の2−ヒドロキシエチルアミン部分の酸化から得られるアルデヒド基によって共有結合する、複合体に関する。本発明はまた、本発明の複合体の調製方法も提供する。本発明は更に、本発明の複合体を用いる、哺乳動物における、異常な細胞増殖の抑制または増殖的障害の治療に有用な組成物及び方法も提供する。
前記細胞結合剤が、抗体もしくはその抗原結合部分、またはDARPin、Centyrin、アフィボディ、アフィリン、アフィチン、アンチカリン、アビマー、Fynomer、クーニッツドメインペプチド、モノボディ(もしくはアドネクチン)、トリボディ、またはナノフィチンなどの抗体模倣体である、請求項1に記載の複合体。
前記抗体またはその抗原結合部分が、配列番号3の軽鎖配列を含むマウス抗体またはもしくはその抗原結合部分の、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体その抗原結合部分である、請求項3に記載の複合体。
前記N末端アルデヒド基が、前記抗体もしくはその抗原結合部分の一方もしくは両方の重鎖上に、または前記抗体もしくはその抗原結合部分の一方もしくは両方の軽鎖上に位置するか、あるいはそれらの組み合わせである、請求項4〜11のいずれか1項に記載の複合体。
各XXが、天然起源のアミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸類似体、または前記天然起源のアミノ酸に類似する形態で機能するアミノ酸模倣体から選択される、独立に選択されるアミノ酸の前記残基である、請求項26及び29〜35に記載の複合体。
各XXが、それぞれ独立してLまたはD異性体としての、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、N−メチル−ヒスチジン、N−メチル−アラニン、N−メチル−イソロイシン、N−メチル−アルギニン、N−メチル−ロイシン、N−メチル−アスパラギン、N−メチル−リシン、N−メチル−アスパラギン酸、N−メチル−メチオニン、N−メチル−システイン、N−メチル−フェニルアラニン、N−メチル−グルタミン酸、N−メチル−スレオニン、N−メチル−グルタミン、N−メチル−トリプトファン、N−メチル−グリシン、N−メチル−バリン、N−メチル−プロリン、N−メチル−セリン、N−メチル−チロシン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、selinocysteine、O−ホスホセリン、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム、シトルリン、オルニチン、システインスルホン酸、システインスルフィン酸、3−アミノアラニン、3−
ジメチルアミノアラニン、2−アミノ−4−(ジメチルアミノ)ブタン酸、2,4−ジアミノブタン酸、2−アミノ−6−(ジメチルアミノ)ヘキサン酸、2−アミノ−5−(ジメチルアミノ)ペンタン酸、及びβ−アラニンからなる群より選択される、独立に選択されるアミノ酸の前記残基である、請求項36に記載の複合体。
Pが、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N9−トシル−Arg、Phe−N9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)、Gly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、及びD−Ala−D−Ala。、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、d−Ala−Ala−Ala、Ala−d−Ala−Ala、Ala−Ala−d−Ala、Ala−Val−Cit、ならびにAla−Val−Alaからなる群より選択される、請求項26、29〜34ならびに36〜41に記載の複合体。
Pが、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、d−Ala−Ala−Ala、Ala−d−Ala−Ala、Ala−Val−Ala、Gly−GlyまたはAla−Alaである、請求項26及び28〜41に記載の複合体。
各XXが、天然起源のアミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸類似体、または前記天然起源のアミノ酸に類似する形態で機能するアミノ酸模倣体から選択される、独立に選択される
アミノ酸の前記残基である、請求項45〜48に記載の複合体。
各XXが、それぞれ独立してLまたはD異性体としての、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、N−メチル−ヒスチジン、N−メチル−アラニン、N−メチル−イソロイシン、N−メチル−アルギニン、N−メチル−ロイシン、N−メチル−アスパラギン、N−メチル−リシン、N−メチル−アスパラギン酸、N−メチル−メチオニン、N−メチル−システイン、N−メチル−フェニルアラニン、N−メチル−グルタミン酸、N−メチル−スレオニン、N−メチル−グルタミン、N−メチル−トリプトファン、N−メチル−グリシン、N−メチル−バリン、N−メチル−プロリン、N−メチル−セリン、N−メチル−チロシン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、selinocysteine、O−ホスホセリン、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム、シトルリン、オルニチン、システインスルホン酸、システインスルフィン酸、3−アミノアラニン、3−ジメチルアミノアラニン、2−アミノ−4−(ジメチルアミノ)ブタン酸、2,4−ジアミノブタン酸、2−アミノ−6−(ジメチルアミノ)ヘキサン酸、2−アミノ−5−(ジメチルアミノ)ペンタン酸、及びβ−アラニンからなる群より選択される、独立に選択されるアミノ酸の前記残基である、請求項49に記載の複合体。
P及びP’がそれぞれ、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N9−トシル−Arg、Phe−N9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)、Gly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、及びD−Ala−D−Ala。、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、D−Ala−Ala−Ala、Ala−D−Ala−Ala、Ala−Ala−D−Ala、Ala−Val−Cit、Ala−Val−Ala、ならびにβ−Ala−Gly−Gly−Glyからなる群より選択される、請求項45〜54のいずれか1項に記載の複合体。
P及びP’がそれぞれ、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、D−Ala−Ala−Ala、Ala−D−Ala−Ala、Ala−Val−Ala、またはβ
−Ala−Gly−Gly−Glyである、請求項45〜54のいずれか1項に記載の複合体。
Pが、Gly−Gly−Gly、Ala−Val、Val−Ala、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N9−トシル−Arg、Phe−N9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)及びGly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、ならびにD−Ala−D−Alaから選択される、請求項75に記載の複合体。
Pが、Gly−Gly−Gly、Ala−Val、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、及びD−Ala−D−Alaである、請求項76に記載の複合体。
請求項1〜79のいずれか1項に記載の抗体−細胞毒性剤複合体を含む組成物であって、前記複合体の少なくとも約70%、80%、90%、95%、またはそれ以上において、wが2または4である、前記組成物。
前記異種シグナルペプチドが、前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列のN末端に融合した、請求項83に記載の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分。
前記異種シグナルペプチドが、前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列のN末端の2番目のアミノ酸残基に融合した、請求項83に記載の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分。
組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分であって、前記重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分のシグナルペプチドの最後の残基に隣接するC末端であるSerまたはThr残基を含む、前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分。
前記SerまたはThr残基が、前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の最初の残基に隣接するN末端である、請求項86に記載の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分。
前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の1または複数のN末端アミノ酸残基(複数可)が前記SerまたはThr残基によって置き換えられている、請求項86に記載の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分。
請求項86〜89のいずれか1項に記載の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分に由来する、重鎖、軽鎖、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列を含む組換え抗体。
それぞれが請求項86〜89のいずれか1項に記載の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分に由来する、重鎖、軽鎖、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の1、2、3または4つを含む、請求項90に記載の組換え抗体。
前記重鎖、軽鎖、もしくはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列上のN末端SerまたはThrを有する抗体から酸化された修飾抗体であって、前記修飾抗体中において、前記N末端SerまたはThrがアルデヒド基へと酸化されている、前記修飾抗体。
前記抗体が、配列番号3の軽鎖配列を含むマウス抗体またはその抗原結合部分の、キメラ、ヒト化、もしくはヒト抗体またはその抗原結合部分である、請求項94に記載の修飾抗体。
前記細胞結合剤が、抗体もしくはその抗原結合部分、または、DARpin、Centyrin、アフィボディ、アフィリン、アフィチン、アンチカリン、アビマー、Fynomer、クーニッツドメインペプチド、モノボディ(またはアドネクチン)、トリボディもしくはナノフィチンなどの抗体模倣体である、請求項103に記載の方法。
前記抗体またはその抗原結合部分が、組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって得られ、前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分が、
(1)配列番号1のアミノ酸配列を有する異種シグナルペプチド、
(2)前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の最初の残基に隣接するN末端であるSerもしくはThr残基、または
(3)前記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分の
成熟処理された配列の1もしくは複数のN末端アミノ酸残基(複数可)を置き換えているSerもしくはThr残基
を含む、請求項103〜108のいずれか1項に記載の方法。
前記抗体またはその抗原結合部分が、配列番号3の軽鎖配列を含むマウス抗体もしくはその抗原結合部分の、キメラ、ヒト化、もしくはヒト抗体またはその抗原結合部分である、請求項103〜108のいずれか1項に記載の方法。
哺乳動物における、異常な細胞増殖の抑制方法、または増殖的障害、自己免疫障害、破壊的骨障害、感染症、ウイルス性疾患、線維症、神経変性障害、膵炎もしくは腎臓疾患の治療方法であって、前記哺乳動物に対して、治療上有効な量の請求項1〜80のいずれか1項に記載の複合体、及び任意選択で化学療法剤を投与することを含む、前記方法。
癌、関節リウマチ、多発性硬化症、移植片対宿主病(GVHD)、移植拒絶反応、狼瘡、筋炎、感染症、及び免疫不全からなる群より選択される疾病の治療方法である、請求項124に記載の方法。
前記癌が、白血病、リンパ腫、黒色腫、肺癌(例えばNSCLC)、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵臓癌、乳癌、腹膜癌、頭頚部の扁平上皮癌、脊髄異形成症候群(MDS)、及び子宮頸癌である、請求項126に記載の方法。
X’が、−H、−OH、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、及びフェニルからなる群より選択される、請求項130〜139のいずれか1項に記載の化合物。
Y’が、−H、オキソ基、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルからなる群より選択される、請求項130〜143のいずれか1項に記載の化合物。
Pが、Gly−Gly−Gly、Ala−Val、Val−Ala、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N9−トシル−Arg、Phe−N9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)及びGly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D
−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、ならびにD−Ala−D−Alaから選択される、請求項160に記載の化合物。
Pが、Gly−Gly−Gly、Ala−Val、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、及びD−Ala−D−Alaである、請求項160に記載の化合物。
前記細胞結合剤(CBA)が、FOLR1、CD37、EGFR、CD19、CD33、CD123またはMuc1抗原に対して特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分であり、前記抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の1または複数のN末端アミノ酸残基が、SerまたはThrによって置き換えられている、請求項1〜6及び13〜80のいずれか1項に記載の複合体。
前記抗体が、huMOV19、huCD37−3、huCD37−50、huEGFR−7R、huML66、huB4、huMy9−6、及びhuDS6からなる群より選択される抗体の、6のCDRまたは重鎖可変領域(HCVR)もしくは軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む、請求項1〜6及び13〜80のいずれか1項に記載の複合体。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、本発明の特定の実施形態について詳細に言及することとし、その例を付随する構造及び式中で説明する。本発明は、列挙する実施形態に関連して説明がなされることとなるが、これらの実施形態は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されよう。それとは逆に、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に包含され得る全ての代替物、改変、及び等価物を網羅することを意図する。当業者は、本明細書に記載される方法及び物質に類似するまたは等価である多くの方法及び物質を認識することとなろうが、これらは本発明の実施において用いることができる。
【0028】
本発明の種々の態様(例えば、化合物、複合体、組成物、製造及び使用方法)及び本明細書の異なる部分(実施例においてのみ記載される実施形態を含む)の下で記載される実施形態を含む、本明細書に記載の実施形態のいずれも、明確に放棄されないまたは不適切ではない限り、1または複数の本発明の他の実施形態と組み合わせることができることが理解される必要がある。実施形態の組み合わせは、多重従属の請求項によって権利請求される特定の組み合わせに限定されるものではない。
定義
本明細書では、「直鎖または分岐のアルキル」とは、1〜20の炭素原子の、飽和の直鎖または分岐鎖の1価の炭化水素ラジカルを指し。アルキルの例としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−メチル−1−プロピル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル、2−メチル−2−プロピル、1−ペンチル、2−ペンチ
ル3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ブチル、1−ヘキシル)、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、及び1−オクチル等が挙げられるが、これらに限定はされない。上記アルキルは1〜10の炭素原子を有することが好ましい。上記アルキルは1〜4の炭素原子を有することがより好ましい。
【0029】
「直鎖または分岐のアルケニル」とは、2〜20の炭素原子の、直鎖または分岐鎖の1価の、少なくとも1の不飽和の部位、すなわち炭素−炭素二重結合を有する炭化水素ラジカルを指し、該アルケニルラジカルは、「シス」及び「トランス」の幾何学的配置、または代替として「E」もしくは「Z」の幾何学的配置を有するラジカルを包含する。例としては、エチレニルすなわちビニル(−CH=CH
2)、及びアリル(−CH
2CH=CH
2)等が挙げられるが、これらに限定はされない。上記アルケニルは2〜10の炭素原子を有することが好ましい。上記アルケニルは2〜4の炭素原子を有することがより好ましい。
【0030】
「直鎖または分岐のアルキニル」とは、2〜20の炭素原子の、直鎖または分岐鎖の1価の、少なくとも1の不飽和の部位、すなわち炭素−炭素三重結合を有する炭化水素ラジカルを指す。例としては、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、及びヘキシニル等が挙げられるが、これらに限定はされない。上記アルキニルは2〜10の炭素原子を有することが好ましい。上記アルケニルは2〜4の炭素原子を有することがより好ましい。
【0031】
用語「carbocycle(炭素環)」、「carbocyclyl(カルボシクリル)」及び「carbocyclic ring(炭素環)」とは、単環として3〜12の炭素原子、または二環として7〜12の炭素原子を有する、1価の非芳香族の、飽和または部分的に不飽和の環を指す。7〜12の原子を有する二環炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]系として配置することができ、9または10の環原子を有する二環炭素環は、ビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として、またはビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンなどの架橋系として配置することができる。単環炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、及びシクロドデシル等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0032】
用語「環状アルキル」及び「シクロアルキル」は同義で用いることができる。これらの用語は1価の飽和炭素環ラジカルを指す。上記環状アルキルは3〜7員単環ラジカルであることが好ましい。上記環状アルキルはシクロヘキシルであることがより好ましい。
【0033】
用語「シクロアルケニル」とは、環構造中に少なくとも1の二重結合を有する炭素環ラジカルを指す。
用語「シクロアルキニル」とは、環構造中に少なくとも1の三重結合を有する炭素環ラジカルを指す。
【0034】
「アリール」とは、基となる芳香環系の単一の炭素原子から1の水素原子を除去するこ
とによって誘導される、6〜18の炭素原子の1価の芳香族炭化水素ラジカルを意味する。代表する形での構造中で、いくつかのアリール基が「Ar」として表される。アリールは、飽和環、部分的に不飽和の環、または芳香族炭素環もしくはヘテロ環と縮合した芳香環を含む二環ラジカルを包含する。一般的なアリール基としては、ベンゼン(フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデニル、インダニル、1,2−ジヒドロナフタレン、及び1,2,3,4−テトラヒドロナフチル等から誘導されるラジカルが挙げられるが、これらに限定はされない。アリールはフェニル基であることが好ましい。
【0035】
本明細書では、用語「heterocycle(ヘテロ環)」、「heterocyclyl(ヘテロシクリル)」、及び「heterocyclic ring(ヘテロ環)」は同義で用いられ、飽和または部分的に不飽和(すなわち、環中に1または複数の二重及び/または三重結合を有する)の、少なくとも1の環原子が、窒素、酸素、リン、及びイオウから選択されるヘテロ原子であり、残余の環原子がCであり、1または複数の環原子が任意選択で、独立に後述する1または複数の置換基で置換された、3〜18の環原子の炭素環ラジカルを指す。ヘテロ環は、3〜7の環員(2〜6の炭素原子及びN、O、P、及びSから選択される1〜4のヘテロ原子)を有する単環、または7〜10の環員(4〜9の炭素原子及びN、O、P、及びSから選択される1〜6のヘテロ原子)を有する二環、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、もしくは[6,6]系であってよい。ヘテロ環については、Paquette,Leo A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,ニューヨーク,1968),特に1,3,4,6,7,及び9、“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950〜現在),特に13,14,16,19,及び28巻、ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載される。「ヘテロシクリル」はまた、ヘテロ環ラジカルが、飽和環、部分的に不飽和の環、または芳香族炭素環もしくはヘテロ環と縮合したラジカルも包含する。ヘテロ環の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニルが挙げられるが、これらに限定はされない。スピロ部分もまたこの定義の範囲内に包含される。環原子がオキソ(=O)部分で置換されたヘテロ環基の例には、ピリミジノニル及び1,1−ジオキソ−チオモルホリニルがある。
【0036】
用語「ヘテロアリール」とは、5または6員環の1価の芳香族ラジカルを指し、窒素、酸素及びイオウから独立に選択される1または複数のヘテロ原子を含有する、5〜18の原子の縮合環系(少なくともその一方が芳香族である)を包含する。ヘテロアリール基の例には、(例えば、2−ヒドロキシピリジニルを含む)ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、(例えば、4−ヒドロキシピリミジニルを含む)ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベン
ゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルがある。
【0037】
上記ヘテロ環またはヘテロアリール基は、可能である場合には、炭素で接続(炭素で結合)されても、または窒素で接続(窒素で結合)されてもよい。限定ではなく例として、炭素で結合したヘテロ環またはヘテロアリールは、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位で結合される。
【0038】
限定ではなく例として、窒素で結合したヘテロ環またはヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾールまたはO−カルボリンの9位で結合される。
【0039】
ヘテロアリールまたはヘテロシクルシル(heterocyclcyl)中に存在するヘテロ原子は、NO、SO、及びSO
2などの酸化された形態を包含する。
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0040】
上述のアルキル、アルケニル、アルキニル、環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールは、任意選択で1または複数(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)の置換基で置換されていてもよい。
【0041】
置換基が「置換された」と記載される場合には、当該置換基の炭素、酸素、イオウまたは窒素上の水素置換基が非水素置換基に置き換わっている。したがって、例えば、置換されたアルキル置換基は、当該アルキル置換基上の水素置換基が、少なくとも1の非水素置換基に置き換わっているアルキル置換基である。例を挙げて説明すると、モノフロオロアルキルは、1のフルオロ置換基によって置換されたアルキルであり、ジフロオロアルキルは、2のフルオロ置換基によって置換されたアルキルである。置換基に2以上の置換がある場合には、(別段の記載がない限りにおいて)各非水素置換基は同一であってもまたは異なっていてもよいことが認識される必要がある。
【0042】
置換基が「任意選択で置換された」と記載される場合には、当該置換基は、(1)無置換であっても、または(2)置換されていてもよい。置換基の炭素が任意選択で列挙される置換基の1または複数によって置換されたと記載される場合には、当該炭素上の1または複数の水素が(任意の水素が存在する範囲で)、個別にかつ/または一緒に、独立に選択される任意選択の置換基で置換されていてもよい。置換基の窒素が任意選択で列挙される置換基の1または複数で置換されていると記載される場合には、当該窒素上の1または複数の水素が(任意の水素が存在する範囲で)、それぞれ、独立に選択される任意選択の置換基で置換されていてもよい。1つの代表的な置換基はNR’R’’と表記され、但し、R’及びR’’は、これらが結合する窒素原子と共にヘテロ環を形成してもよい。R’及びR’’が結合する窒素原子と共にR’及びR’’から形成される上記ヘテロ環は、部
分的にまたは完全に飽和であってもよい。一実施形態において、上記ヘテロ環は3〜7の原子から構成される。別の実施形態において、上記ヘテロ環は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル及びチアゾリルからなる群より選択される。
【0043】
本明細書は、用語「置換基」、「ラジカル」、及び「基」を同義で用いる。
一群の置換基がまとめて、列挙される置換基の1または複数によって任意選択で置換されていると記載される場合には、当該の群は、(1)置換することができない置換基、(2)任意選択の置換基によって置換されていない置換可能な置換基、及び/または(3)1または複数の任意選択の置換基によって置換された置換可能な置換基を包含し得る。
【0044】
置換基が任意選択で、特定の数までの数の非水素置換基によって置換されていると記載される場合には、当該の置換基は、(1)置換されていないか、または(2)当該の特定の数まで数の非水素置換基、もしくは当該置換基上の最大数までの数の置換可能な位置のどちらか小さい方によって置換されるかのいずれであってよい。したがって、例えば、置換基が、最大3までの数の非水素置換基によって任意選択で置換されたヘテロアリールとして記載される場合に、3未満の置換可能な位置を有する任意のヘテロアリールは、任意選択で、最大でも当該ヘテロアリールが有する置換可能な位置の数と同じ数の非水素置換基でしか置換されないこととなる。非限定的な例において、かかる置換基は、1〜10の炭素原子を有する、直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシシクリル(heterocycyclyl)、ハロゲン、グアニジニウム[−NH(C=NH)NH
2]、−OR
100、−NR
101R
102、−NO
2、−NR
101COR
102、−SR
100、−SOR
101によって表されるスルホキシド、−SO
2R
101によって表されるスルホン、スルホン酸塩−SO
3M、硫酸塩−OSO
3M、−SO
2NR
101R
102によって表されるスルホンアミド、シアノ、アジド、−COR
101、−OCOR
101、−OCONR
101R
102及びポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
101から選択することができ、但し、MはHまたはカチオン(Na
+もしくはK
+など)であり、R
101、R
102及びR
103はそれぞれ独立に、H、1〜10の炭素原子を有する、直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
104(但し、nは1〜24の整数である)、6〜10の炭素原子を有するアリール、3〜10の炭素原子を有するヘテロ環及び5〜10の炭素原子を有するヘテロアリールから選択され、R
104はHまたは1〜4の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキルであり、R
100、R
101、R
102、R
103及びR
104によって表される基中の上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクルシル(heterocyclcyl)は、任意選択で、ハロゲン、−OH、−CN、−NO
2及び1〜4の炭素原子を有する無置換の直鎖または分岐のアルキルから独立に選択される1または複数(例えば、2、3、4、5、6もしくはそれ以上)の置換基で置換される。好ましくは、上述の任意選択で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールの置換基としては、ハロゲン、−CN、−NR
102R
103、−CF
3、−OR
101、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシシクル(heterocycycl)、−SR
101、−SOR
101、−SO
2R
101及び−SO
3Mが挙げられる。
【0045】
用語「化合物」または「細胞毒性化合物」、「細胞毒性二量体」及び「細胞毒性二量体化合物」は同義で用いられる。これらの用語は、化合物であって、それらに関する構造もしくは式またはそれらの任意の誘導体が本発明に開示される上記化合物、あるいは参照により援用されるそれらの構造もしくは式または任意の誘導体を包含することを意図する。
上記用語はまた、本発明に開示される全ての式の化合物の、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、塩(例えば、薬学的に許容される塩)ならびにプロドラッグ、及びプロドラッグの塩も包含する。上記用語はまた、前述のもののいずれかの任意の溶媒和物、水和物、及び多形体も包含する。本出願に記載の発明の特定の態様において、「立体異性体」、「幾何異性体」、「互変異性体」、「溶媒和物」、「代謝産物」、「塩」「プロドラッグ」、「プロドラッグの塩」、「複合体」、「複合体の塩」、「溶媒和物」、「水和物」、または「多形体」を具体的に記述することは、用語「化合物」が、これらの他の形態を記述することなく用いられている本発明の他の態様において、これらの形態を意図的に除外することと解釈されるべきではない。
【0046】
本明細書では、用語「免疫複合体」または「複合体」とは、細胞結合剤(すなわち、抗CD123/IL−3Rα抗体もしくは抗FRα抗体、またはそれらのフラグメント)に結合し、かつ一般式:A−L−C(式中、C=細胞毒、L=リンカー、A=抗CD123/IL−3Rα抗体もしくは抗FRα抗体またはそれらのフラグメントなどの細胞結合剤(CBA)である)によって定義される化合物またはその誘導体を指す。免疫複合体はまた、逆の順序C−L−Aの一般式によって定義することもできる。
【0047】
本明細書では、用語「細胞結合剤に結合可能な」とは、本明細書に記載の化合物またはそれらの誘導体が、これらの化合物またはそれらの誘導体を細胞結合剤に結合させるために好適な、少なくとも1の連結基またはその前駆体を含むことを指す。
【0048】
所与の基の「前駆体」という用語は、任意の脱保護、化学修飾、またはカップリング反応によって、結果として当該の基になり得る任意の基を指す。
用語「細胞結合剤に結合した」とは、複合体分子が、好適な連結基またはその前駆体を介して細胞結合剤に結合した、本明細書に記載の細胞毒性剤化合物または細胞毒性剤−リンカー化合物(例えば、式(D1’)〜(D29’)の化合物及び式(II)の細胞毒性剤−リンカー化合物)、またはそれらの誘導体の少なくとも1種を含むことを指す。
【0049】
用語「キラル」とは、鏡像のパートナー側と重ね合わせることができない特性を有する分子を指し、一方、用語「アキラル」とは、それらの鏡像のパートナー側に重ね合わせることができる分子を指す。
【0050】
用語「立体異性体」とは、同一の化学的構成及び結合性を有する、単結合の周りを回転することによって相互変換することができない、空間におけるそれらの原子の異なる幾何学的配置を有する化合物を指す。
【0051】
「ジアステレオマー」とは、2以上のキラリティーの中心を有する立体異性体であって、それらの分子が互いの鏡像ではない上記立体異性体を指す。ジアステレオマーは異なる物性、例えば、融点、沸点、分光特性、及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、結晶化、電気泳動及びクロマトグラフィーなどの高分割能の分析操作下で分離し得る。
【0052】
「鏡像異性体」とは、互いの重ね合わせることができない鏡像である化合物の2の立体異性体を指す。
本明細書において用いる立体化学の定義及び慣習は、概括的にはS.P.Parker
Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984) McGraw−Hill Book Company,New
York、及びEliel,E.and Wilen,S.,“Stereochem
istry of Organic Compounds,” John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994に従う。本発明の化合物は、不斉すなわちキラル中心を含んでもよく、したがって異なる立体異性体の形態で存在してもよい。ジアステレオマー、鏡像異性体及びアトロプ異性体、ならびにラセミ混合物などのそれらの混合物を含むがこれらに限定されない、本発明の化合物の全ての立体異性体の形態は、本発明の一部を形成する。多くの有機化合物は光学活性の形態で存在する、すなわち、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性な化合物の記載において、接頭辞D及びL、またはR及びSを用いて、当該分子のそのキラル中心(複数可)の周りの絶対配置を表す。接頭辞d及びIまたは(+)及び(−)を用いて、当該化合物による平面偏光の回転の符号を指定するが、(−)または1は、当該化合物が左旋性であることを意味する。接頭辞(+)またはdを付した化合物は右旋性である。所与の化学構造では、これらの立体異性体は、互いの鏡像であること以外は同一である。特定の立体異性体は鏡像異性体と呼ばれる場合もあり、かかる異性体の混合物は多くの場合鏡像異性体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物はラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、化学反応または化学的処理において立体選択または立体特異性がない場合に生じ得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」とは、光学活性がない、2種の鏡像異性種の等モル量混合物を指す。
【0053】
用語「互変異性体」または「互変異性形態」とは、低いエネルギー障壁を介して相互転換可能な、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異生体としても知られる)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化などのプロトンの転位を介した相互転換を含む。原子価互変異生体は、結合電子の一部の再構成による相互転換を含む。
【0054】
本出願では、用語「プロドラッグ」とは、酵素的にもしくは加水分解的に活性化するまたはより活性な基となる形態へと転化することが可能である、本発明の化合物の前駆体または誘導体の形態を指す。例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy,”Biochemical Society Transactions,14:375−382,615th Meeting Belfast(1986)、及びStella et al.,“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(eds),pp.247−267,Humana Press(1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグとしては、より活性な細胞毒性の遊離の薬物へと転化することができる、エステル含有プロドラッグ、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、任意選択で置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、任意選択で置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるが、これらに限定はされない。本発明における使用のためのプロドラッグ形態へと誘導体化することができる細胞毒性薬物の例としては、本発明の化合物及び上記のような化学療法剤が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0055】
用語「プロドラッグ」はまた、生物学的条件下(イン・ビトロまたはイン・ビボ)で加水分解するか、酸化するか、または他の形態で反応して、本発明の化合物を与えることができる化合物の誘導体を包含することも意味する。プロドラッグは生物学的条件下でのかかる反応に際してのみ活性になることができる、かまたはそれらの未反応の形態において活性を有することができる。本発明において企図されるプロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバミン酸エステル、生加水分
解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、及び生加水分解性リン酸エステル類似体などの生加水分解性部分を含む、本明細書に開示される式のいずれかの1の化合物の類似体または誘導体が挙げられるが、これらに限定はされない。プロドラッグの他の例としては、−NO、−NO
2、−ONO、または−ONO
2部分を含む、本明細書に開示される式のいずれか1の化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、一般的に、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery(1995)172−178,949−982(Manfred E.Wolff ed.,5th ed.)によって記載されたものなどの周知の方法を用いて調製することができる。Goodman and Gilman’s,The Pharmacological basis of Therapeutics,8th ed.,McGraw−Hill,Int.Ed.1992,“Biotransformation of
Drugs”も参照されたい。
【0056】
本発明のプロドラッグの1つの好ましい形態としては、化合物(任意のリンカー基を有するまたは有さない)及び本発明の複合体であって、上記化合物/複合体のイミン結合とイミンと反応性の反応剤との間に形成される付加物を含む、上記複合体が挙げられる。本発明のプロドラッグの別の好ましい形態としては、式(I)〜(IV)の化合物などの化合物であって、式中、NとCとの間の二重線
【0057】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0058】
が単結合を表す場合に、XはHまたはアミン保護基である、上記化合物が挙げられ、該化合物はプロドラッグになる。本発明のプロドラッグは、本明細書に記載のプロドラッグ(例えば、上記化合物/複合体のイミン結合とイミンと反応性の反応剤との間に形成される付加物を含む、かつ/またはXが−Hの場合にY脱離基を含む)の一方または両方の形態を含んでいてもよい。
【0059】
用語「イミンと反応性の反応剤」とは、イミン基と反応することができる反応剤を指す。イミンと反応性の反応剤の例としては、サルファイト(H
2SO
3、H
2SO
2またはカチオンと共に形成されたHSO
3−、SO
32−もしくはHSO
2−の塩)、メタ重亜硫酸(H
2S
2O
5またはカチオンと共に形成されたS
2O
52−の塩)、モノ、ジ、トリ及びテトラチオホスフェート(PO
3SH
3、PO
2S
2H
3、POS
3H
3、PS
4H
3またはカチオンと共に形成されたPO
3S
3−、PO
2S
23−、POS
33−もしくはPS
43−の塩)、チオホスフェートエステル((R
iO)
2PS(OR
i)、R
iSH、R
iSOH、R
iSO
2H、R
iSO
3H)、種々のアミン(ヒドロキシルアミン(例えば、NH
2OH)、ヒドラジン(例えば、NH
2NH
2)、NH
2O−R
i、R
i’NH−R
i、NH
2−R
i)、NH
2−CO−NH
2、NH
2−C(=S)−NH
2,チオサルフェート(H
2S
2O
3またはカチオンと共に形成されたS
2O
32−の塩)、ジチオナイト(H
2S
2O
4またはカチオンと共に形成されたS
2O
42−の塩)、ホスホロジチオエート(P(=S)(OR
k)(SH)(OH)またはカチオンと共に形成されたその塩)、ヒドロキサム酸(R
kC(=O)NOHまたはカチオンと共に形成されたその塩)、ヒドラジド(R
kCONHNH
2)、ホルムアルデヒドスルホキシレート(HOCH
2SO
2H、またはHOCH
2SO
2−Na
+などのカチオンと共に形成されたHOCH
2SO
2−の塩)、糖化ヌクレオチド(GDP−マンノースなど)、フルダラビンまたはその混合物(但し、R
i及びR
i’はそれぞれ独立に、1〜10の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルであり、かつ−N(R
j)
2、−CO
2H、−SO
3H、及び−PO
3Hから選択される少なくとも1の置換基によって置換され、R
i及びR
i’は、任意選択で本明細書において記載されるアルキルに対する置換基で更に置換されてもよく、R
jは1〜6の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルであり、R
kは、1〜1
0の炭素原子を有する直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール(R
kは1〜4の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルであることが好ましく、R
kはメチル、エチルまたはプロピルであることがより好ましい)が挙げられるが、これらに限定はされない。上記カチオンは、Na
+またはK
+などの1価のカチオンであることが好ましい。上記イミン反応剤は、サルファイト、ヒドロキシルアミン、尿素及びヒドラジンから選択されることが好ましい。上記イミン反応剤はNaHSO
3またはKHSO
3であることがより好ましい。
【0060】
本明細書で別段示されない限り、用語「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバミン酸エステル」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」及び「生加水分解性リン酸エステル類似体」とは、1)当該化合物の生物学的活性を破壊せず、かつ当該化合物に、取り込み、作用の継続時間、もしくは作用の発現などの、イン・ビボで有利な特性を与えるか、または2)それ自体は生物学的に不活性であるが、イン・ビボで生物学的に活性な化合物へと転化されるアミド、エステル、カルバミン酸エステル、カーボネート、ウレイドまたはリン酸エステル類似体を意味する。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられるがこれらに限定はされない。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、及びコリンエステルが挙げられるがこれらに限定はされない。生加水分解性カルバミン酸エステルの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、ヘテロ環状及びヘテロ芳香族アミンならびにポリエーテルアミンが挙げられるが、これらに限定はされない。特に好ましいプロドラッグ及びプロドラッグの塩は、本発明の化合物が哺乳動物に対して投与されたときに、かかる化合物の生物学的利用能を増加させるものである。
【0061】
本明細書では、語句「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の薬学的に許容される有機または無機の塩を指す。代表的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、gentisinate、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸)塩)、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定はされない。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなどの別の分子の包含を伴ってもよい。上記対イオンは、基となる化合物上の電荷を安定化する任意の有機または無機部分であってよい。更に、薬学的に許容される塩は、その構造中に複数の荷電した原子を有していてもよい。複数の荷電した原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1もしくは複数の荷電した原子及び/または1もしくは複数の対イオンを有することができる。
【0062】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容される塩は、本技術分野において利用可能かつ好適な任意の方法、例えば、当該の遊離塩基の、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、及びリン酸などの無機酸による、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのピラノシディル酸(pyranosidyl acid)、クエン酸もしくは酒石酸などのアルファヒドロキシ酸、アスパ
ラギン酸もしくはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸もしくは桂皮酸などの芳香族酸、p−トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などのスルホン酸などの有機酸による処理によって調製することができる。
【0063】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容される塩は、好適な任意の方法、例えば、当該の遊離酸の、アミン(第一級、第二級もしくは第三級)、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物などの無機または有機の塩基による処理によって調製することができる。好適な塩の説明のための例としては、グリシン及びアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級及び第三級アミン、及びピペリジン、モルホリン及びピペラジンなどの環状アミンから誘導される有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0064】
本明細書では、用語「溶媒和物」とは、非共有結合の分子間力によって結合した、化学量論的もしくは非化学量論的な量の溶媒、例えば、水、イソプロパノール、アセトン、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンジクロロメタン、2−プロパノールなどを更に含む化合物を意味する。上記化合物の溶媒和物または水和物は、上記イミン部分の溶媒和または水和を生じさせるための、少なくとも1モル当量のヒドロキシル溶媒、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールまたは水などを該化合物に添加することによって容易に調製される。
【0065】
本出願において、用語「異常な細胞増殖」及び「増殖性障害」は同義で用いられる。本明細書では、「異常な細胞増殖」とは、別段示されない限り、正常な調節機構と無関係な細胞増殖(例えば、接触阻害の喪失)を指す。異常な細胞増殖としては、例えば、(1)変異したチロシンキナーゼの発現または受容体チロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍)、(2)異常なチロシンキナーゼの活性化が生じる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞、(3)受容体チロシンキナーゼによって増殖する任意の腫瘍、(4)異常なセリン/スレオニンキナーゼの活性化によって増殖する任意の腫瘍、ならびに(5)異常なセリン/スレオニンキナーゼの活性化が生じる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞の異常な増殖が挙げられる。
【0066】
用語「癌」及び「癌性の」とは、一般的には無調節の細胞増殖を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すかまたは説明する。「腫瘍」は、1種もしくは複数種の癌性細胞、及び/または良性もしくは前癌性細胞を含む。
【0067】
「治療薬」は、抗体、ペプチド、タンパク質、酵素などの生物学的薬剤または化学療法剤の両方を包含する。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。
【0068】
「代謝産物」は、特定の化合物、その誘導体、もしくはその複合体、またはそれらの塩の、体内の代謝を経て産生される産生物である。化合物、その誘導体、またはその複合体の代謝産物は、本技術分野において公知の慣用の技法を用いて同定することができ、それらの活性は、本明細書に記載のものなどの試験を用いて測定することができる。かかる産生物は、投与された化合物の、例えば、酸化、ヒドロキシル化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、及び酵素的開裂などに由来し得る。したがって、本発明は、本発明の化合物、その誘導体、もしくはその複合体を、それらの代謝産生物を生じさせるのに十分な期間にわたって哺乳動物と接触させることを含む過程によって産生される化合物、その誘導体、またはその複合体を含む、本発明の化合物、その誘導体、またはその複合体の代謝産物を包含する。
【0069】
語句「薬学的に許容される」とは、当該の物質または組成物が、製剤に含まれる他の成分に対して、かつ/またはそれを用いた治療を受ける哺乳動物に対して、化学的にかつ/または毒物学的に適合しなければならないことを示す。
【0070】
用語「保護基」または「保護部分」とは、当該化合物、その誘導体、またはその複合体上の他の官能基を反応させている間、特定の官能基をブロックまたは保護するために一般的に用いられる置換基を指す。例えば、「アミン保護基」または「アミノ保護部分」は、アミノ基に結合して、当該化合物における当該アミノ官能基をブロックまたは保護する置換基である。かかる基は本技術分野で周知であり(例えば、P.Wuts and T.Greene,2007,Protective Groups in Organic
Synthesis,Chapter 7,J.Wiley & Sons,NJを参照のこと)、カルバミン酸メチル及びエチル、FMOC、置換カルバミン酸エチル、1,6−β脱離によって開裂する(「自壊性」とも呼ばれる)カルバミン酸エステルなどのカルバミン酸エステル、尿素、アミド、ペプチド、アルキル及びアリール誘導体によって例示される。好適なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。保護基及びそれらの使用の概括的な説明に関しては、P.G.M.Wuts & T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley
& Sons,New York,2007を参照されたい。
【0071】
用語「脱離基」とは、置換反応(substitution)すなわち置換反応(displacement)の間に離脱する荷電したまたは荷電していない部分の基を指す。かかる脱離基は本技術分野で周知であり、該基としては、ハロゲン、エステル、アルコキシ、ヒドロキシル、トシレート、トリフレート、メシレート、ニトリル、アジド、カルバミン酸エステル、ジスルフィド、チオエステル、チオエーテル及びジアゾニウム化合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0072】
用語「二官能性架橋剤」、「二官能性リンカー」「架橋剤」または「リンカー化合物」とは2の反応性基を有する修飾剤を指し、該2の反応性基の一方が細胞結合剤と反応することができ、もう一方が上記細胞毒性剤と反応して、これら2の部分を結合する。かかる二官能性架橋剤は本技術分野において周知である(例えば、Isalm and Dent in Bioconjugation,chapter 5,p218−363,Groves Dictionaries Inc.New York,1999を参照のこと)。例えば、チオエーテル結合を介した結合を可能にする二官能性架橋剤としては、マレイミド基を導入するためのN−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、またはヨードアセチル基を導入するためのN−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)が挙げられる。細胞結合剤にマレイミド基またはハロアセチル基を導入する他の二官能性架橋剤は本技術分野において周知であり(米国特許出願2008/0050310、20050169933を参照のこと、Pierce Biotechnology Inc.P.O.Box117,Rockland,IL 61105,USAより入手可能)、該架橋剤としては、ビス−マレイミドポリエチレングリコール(BMPEO)、BM(PEO)
2、BM(PEO)
3、N−(β−マレイミドプロピルオキシ)スクシンイミドエステル(BMPS)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、5−マレイミド吉草酸NHS、HBVS、SMCCの「長鎖」類似体(LC−SMCC)であるN−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシス
クシンイミドエステル(MBS)、4−(4−N−マレイミドフェニル)−酪酸ヒドラジドまたはHCl塩(MPBH)、3−(ブロモアセトアミド)プロピオン酸N−スクシンイミジル(SBAP)、ヨード酢酸N−スクシンイミジル(SIA)、κ−マレイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、4−(p−マレイミドフェニル)−酪酸N−スクシンイミジル(SMPB)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、スクシンイミジル−(4−ビニルスルホニル)ベンゾエート(SVSB)、ジチオビス−マレイミドエタン(DTME)、1,4−ビス−マレイミドブタン(BMB)、1,4ビスマレイミジル−2,3−ジヒドロキシブタン(BMDB)、ビス−マレイミドヘキサン(BMH)、ビス−マレイミドエタン(BMOE)、4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸スルホスクシンイミジル(スルホ−SMCC)、(4−ヨードアセチル)アミノ安息香酸スルホスクシンイミジル(スルホ−SIAB)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ−MBS)、N−(γ−マレイミドブチルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ−GMBS)、Ν−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ−EMCS)、Ν−(κ−マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ−KMUS)、及び4−(p−マレイミドフェニル)酪酸スルホスクシンイミジル(スルホ−SMPB)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0073】
ヘテロ二官能性架橋剤は、2の異なる反応性基を有する二官能性架橋剤である。アミンと反応性のN−ヒドロキシスクシンイミド基(NHS基)とカルボニルと反応性のヒドラジン基とを両方含有するヘテロ二官能性架橋剤を用いて、本明細書に記載の細胞毒性化合物を細胞結合剤(例えば抗体)と結合することもできる。かかる市販のヘテロ二官能性架橋剤の例としては、スクシンイミジル6−ヒドラジノニコチンアミドアセトンヒドラゾン(SANH)、4−ヒドラジドテレフタル酸スクシンイミジル塩酸塩(SHTH)及びヒドラジニウムニコチン酸スクシンイミジル塩酸塩(SHNH)が挙げられる。酸に不安定な結合を有する複合体もまた、本発明のヒドラジン有するベンゾジアゼピン誘導体を用いて調製することができる。用いることができる二官能性架橋剤の例としては、スクシンイミジル−p−ホルミルベンゾエート(SFB)及びスクシンイミジル−p−ホルミルフェノキシアセテート(SFPA)が挙げられる。
【0074】
ジスルフィド結合を介した細胞結合剤の細胞毒性化合物との結合を可能にする二官能性架橋剤は本技術分野で公知であり、該架橋剤としては、ジチオピリジル基を導入するためのN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)2−スルホブタノエート(スルホ−SPDB)が挙げられる。ジスルフィド基を導入するために用いることができる他の二官能性架橋剤は本技術分野において公知であり、米国特許6,913,748、6,716,821、ならびに米国特許公開20090274713及び20100129314に開示され、これらの文献の全てが参照により本明細書に援用される。代替として、チオール基を導入する2−イミノチオラン、ホモシステインチオラクトンまたはS−アセチルコハク酸無水物などの架橋剤を用いることもできる。
【0075】
本明細書で定義される「リンカー」、「リンカー部分」または「連結基」とは、細胞結合剤及び細胞毒性化合物などの2の基を1つに結合する部分を指す。一般的に、上記リンカーは、該リンカーが繋いでいる2の基を結合させる条件下では実質的に不活性である。二官能性架橋剤は、一方の反応性基を最初に上記細胞毒性化合物と反応させて、リンカー部分及び第2の反応性基を有する化合物を得ることができ、次いでこれを細胞結合剤と反応させることができるように、2の反応性基をリンカー部分のそれぞれの端部に1ずつ含
ませてもよい。代替として、二官能性架橋剤の一方の端部を最初に上記細胞結合剤と反応させて、リンカー部分及び第2の反応性基を有する細胞結合剤を得ることができ、次いでこれを細胞毒性化合物と反応させることができる。上記連結部分は、特定の部位における細胞毒性部分の放出を可能にする化学結合を含有していてもよい。好適な化学結合は当技術分野で周知であり、該化学結合としては、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、酸に不安定な結合、光に不安定な結合、ペプチダーゼに不安定な結合及びエステラーゼに不安定な結合が挙げられる(例えば、米国特許5,208,020、5,475,092、6,441,163、6,716,821、6,913,748、7,276,497、7,276,499、7,368,565、7,388,026及び7,414,073を参照のこと)。ジスルフィド結合、チオエーテル結合及びペプチダーゼに不安定な結合が好ましい。本発明において用いることができる他のリンカーとしては、米国公開第20050169933号に詳細に記載されるものなどの非開裂性のリンカー、またはUS2009/0274713、US2010/01293140、及びWO2009/134976に記載される荷電したリンカーまたは親水性のリンカーが挙げられ、これらの文献のそれぞれは、明示的に参照により本明細書に援用される。
【0076】
用語「アミノ酸」とは、天然起源のアミノ酸または非天然起源のアミノ酸を指す。これらはNH
2−C(R
aa’R
aa)−C(=O)OHによって表され、但し、R
aa及びR
aa’はそれぞれ独立に、H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであるか、あるいはR
aa及びN末端窒素原子が共にヘテロ環を形成することができる(例えばプロリンにおいて)。用語「アミノ酸残基」とは、−NH−C(R
aa’R
aa)−C(=O)O−などの、当該アミノ酸のアミン及び/またはカルボキシ末端から1の水素原子が除去された場合の相当する残基を指す。
【0077】
用語「カチオン」とは、陽電荷を有するイオンを指す。上記カチオンは1価(例えばNa
+、K
+等)、2価(例えばCa
2+、Mg
2+等)または多価(例えばAl
3+等)であってよい。上記カチオンは1価であることが好ましい。
【0078】
用語「治療上有効な量」とは、対象において所望の生物学的応答を誘発する活性な化合物または複合体の量を意味する。かかる応答としては、治療される疾患もしくは障害の症状の緩和、上記疾患の症状もしくは上記疾患それ自体の再発の予防、抑制、もしくは遅延、当該治療を行わない場合と比較した対象の生存期間の増加、または上記疾患の症状もしくは上記疾患それ自体の増悪の予防、抑制、もしくは遅延が挙げられる。上記有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の技量の範囲内で行われる。化合物Iの毒性及び治療上の有効性は、細胞培養物及び実験動物における標準的な薬学的手法によって判定することができる。対象に投与される本発明の化合物もしくは複合体または他の治療薬の有効量は、多発性骨髄腫のステージ、分類及び状況ならびに、一般的な健康状態、年齢、性別、体重及び薬物耐性などの、当該対象の特徴に依存することとなる。投与される本発明の化合物もしくは複合体または他の治療薬の有効量はまた、投与経路及び剤形にも依存することとなる。投薬量及び間隔は、所望の治療効果を維持するために十分な当該活性化合物の血漿レベルを与えるために、個々に調節することができる。
【0079】
用語「ヒト化抗体」とは、最小限の非ヒト(例えば、マウスの)配列を含有する特定の免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらのフラグメントである非ヒト(例えば、マウスの)抗体の形態を指す。一般的にヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する、非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDR由来の残基によって置換されているヒト免疫グロブリンである(Jones et al,Nature 321:522−525,1
986;Riechmann et al,Nature 332:323−327,1988;Verhoeyen et al,Science 239:1534−1536,1988)。
【0080】
いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種由来の抗体中の相当する残基に置換される。上記ヒト化抗体は、Fvフレームワーク領域中及び/または置換された非ヒト残基内のいずれかの更なる残基の置換によって更に修飾して、抗体の特異性、親和性、及び/または能力を精緻化かつ最適化することができる。一般的に、上記ヒト化抗体は、上記非ヒト免疫グロブリンに相当するCDR領域の全てまたは実質的に全てを含有する実質的に少なくとも1、一般的には2もしくは3全ての可変領域を含むこととなる一方、全てのまたは実質的に全ての上記FR領域は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。上記ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(F
c)、一般的にはヒト免疫グロブリンの定常領域またはドメインの少なくとも一部も含むことができる。ヒト化抗体を生成させるために用いられる方法の例が、米国特許5,225,539及び5,639,641、Roguska et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(3):969−973,1994、ならびにRoguska et al,Protein Eng.9(10):895−904,1996に記載される(全て参照により本明細書に援用される)。いくつかの実施形態において、「ヒト化抗体」は表面再構成された(resurfaced)抗体である。いくつかの実施形態において、「ヒト化抗体」はCDRグラフト化抗体である。
細胞結合剤−細胞毒性剤複合体
本発明は、ジスルフィドリンカー、チオエーテルリンカー、アミド結合したリンカー、酸に不安定なリンカー、及びエステラーゼに不安定なリンカーを含むがこれらに限定されない種々のリンカーを介して、1または複数種の本発明の細胞毒性剤に共有結合した本明細書に記載の細胞結合剤を含む、細胞結合剤−細胞毒性剤複合体を提供する。
【0081】
第1の実施形態において、本発明は、構造式(I)
【0082】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【0083】
(式中、
CBAはJ
CB’基に共有結合した細胞結合剤であり、
J
CB’は、CBA上のアルデヒド基と、基Lに結合したアルデヒドと反応性の基とを反応させることによって形成される部分であり、但し、上記アルデヒド基は、以下の構造式
【0084】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
【0085】
によって表される2−ヒドロキシエチルアミン部分の酸化に由来し、
上記2−ヒドロキシエチルアミン部分は、セリン、スレオニン、ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシオルニチンまたは2,4−ジアミノ−5−ヒドロキシ吉草酸残基の一部であり、
Lはスペーサーまたは結合であり、
J
D’は細胞毒性剤Dを基Lと結合させる連結部分であり、
Dは、連結部分J
D’を介してLに、またはLが結合の場合には、J
CB’を介してCBAに共有結合する細胞毒性剤であり、
wは1、2、3または4である)の細胞結合剤−細胞毒性剤複合体またはその薬学的に
許容される塩を提供する。
【0086】
本発明においては、任意のアルデヒドと反応性の基を用いることができる。代表的なアルデヒドと反応性の基としては、R.C.Larock,1999,Comprehensive Organic Transformations,2
nd Ed.Wiley−VCHに記載されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0087】
一実施形態において、上記アルデヒドと反応性の基は、ヒドラジン、ヒドラジドまたはヒドロキシルアミンである。
別の実施形態において、上記アルデヒドと反応性の基は、
【0088】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0089】
(式中、X
aはCH
2、OまたはNCH
3であり、U’はNH、O、SまたはCH
2であり、UはHまたは電子供与性基であり、X
b及びX
b’はそれぞれ独立に、−OH、−SHまたは−NH
2であり、R
Z及びR
Z’はそれぞれ独立にHまたはアルキル(好ましくは−Me)であり、R
Z”はHまたはアルキルであり、X
cはNまたはCHである)から選択される。より詳細には、上記アルデヒドと反応性の基は、
【0090】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0091】
である。
第1の詳細な実施形態において、構造式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、J
CB’は以下の構造式
【0092】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0093】
(式中、X
aはCH
2、OまたはNCH
3であり、U’はNH、O、SまたはCH
2であり、UはHまたは電子供与性基であり、X
b1及びX
b1’はそれぞれ独立に−O−、−S−または−NH−であり、R
Z及びR
Z’はそれぞれ独立にHまたはアルキル(好ましくは−Me)であり、R
Z”はHまたはアルキルであり、s1は上記細胞結合剤に共有結合した部位であり、s2は基Lに共有結合した部位である)
の1によって表される。より詳細には、J
CB’は、
【0094】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0095】
である。
第2の詳細な実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式
【0096】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0097】
(式中、
s3は基J
CB’に共有結合した部位であり、
s4は基Dに共有結合した部位であり、
Z
a1は存在しない、−SO
2NR
9−、−NR
9SO
2−、−C(=O)−NR
9−、−NR
9−C(=O)−、−(CH
2CH
2)
p’NR
9−C(=O)−、−C(=O)−NR
9(CH
2CH
2)
p’、−(CH
2CH
2)
p’−C(=O)NR
9−、−NR
9C(=O)(CH
2CH
2)
p’−、−C(=O)−O−、または−O−C(=O)−であり、
Z
a2は存在しない、−SO
2NR
9−、−NR
9SO
2−、−C(=O)−NR
9−、−NR
9−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NR
9−(CH
2CH
2O)
p−、−NR
9−C(=O)−(CH
2CH
2O)
p−、−(OCH
2CH
2)
p−C(=O)NR
9−、または−(OCH
2CH
2)
p−NR
9−C(=O)−であり、
R
9はHまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
p及びp’はそれぞれ独立に1〜10の整数であり、
QはH、荷電した置換基またはイオン化可能な基であり、
それぞれのR
a1、R
a2、R
a3、R
a4は独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
q1及びr1はそれぞれ独立に0〜10の整数であるが、但しq1及びr1が共に0であることはないことを条件とし、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。
【0098】
一実施形態において、Qは、i)H、ii)−SO
3H、−Z’−SO
3H、−OPO
3H
2、−Z’−OPO
3H
2、−PO
3H
2、−Z’−PO
3H
2、−CO
2H、−Z’−CO
2H、−NR
11R
12、もしくは−Z’−NR
11R
12、またはそれらの薬学的に許容される塩、あるいはiii)−N
+R
14R
15R
16X
−または−Z’−N
+R
14R
15R
16X
−であり、Z’は任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたシクロアルキレン、または任意選択で置換されたフェニレンであり、R
14〜R
16はそれぞれ独立に任意選択で置換されたアルキルであり、X
−は薬学的に許容されるアニオンであり、残余の変数は、上記第2の詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、Qは−SO
3Hもしくは−CO
2Hまたはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0099】
別の実施形態において、Z
a1は存在せず、Z
a2は−C(=O)−NR
9−または−NR
9−C(=O)−であり、残余の変数は、上記第2の詳細な実施形態のいずれかの実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、R
9はHである。
【0100】
更に別の実施形態において、Z
a1及びZ
a2は共に存在せず、残余の変数は、上記第2の詳細な実施形態のいずれかの実施形態で説明されるとおりのものである。
別の実施形態において、R
a1、R
a2、R
a3及びR
a4は全て−Hであり、q及びrはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、残余の変数は、上記第2の詳細な実施形態のいずれかの実施形態で説明されるとおりのものである。
【0101】
更に別の実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式
【0102】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。
【0104】
第3の詳細な実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式
【0105】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0106】
(式中、
s3はJ
CB’基に共有結合した部位であり、
s4は基Dに共有結合した部位であり、
Z
b1及びZ
b2はそれぞれ独立に、存在しない、−SO
2NR
9−、−NR
9SO
2−、−C(=O)−NR
9−、−NR
9−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH
2−O−、−O−CH
2−、−(CH
2CH
2O)
p−もしくは−(OCH
2CH
2)
p’−、−NR
9−C(=O)−CH
2−、または−CH
2−C(=O)−NR
9−(但し、p及びp’は独立に1〜1000の整数である)であり、
E
1及びE
2の一方は−C(=O)−であり、かつ他方は−NR
9−であるか、またはE
1及びE
2の一方は−C(=O)−もしくは−NR
9−であり、かつ他方は存在せず、
R
9はHまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
Pは[XX]
1〜10(但し、XXは独立に選択されるアミノ酸の残基である)であるか、またはPは−(NR
m−CH
2CH
2)
s−であり、
sは1〜5の整数であり、
R
mはH、または荷電した置換基もしくはイオン化可能な基で任意選択により置換されたアルキルであり、
それぞれのR
b1、R
b2、R
b3、R
b4、R
b5及びR
b6はそれぞれ独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
それぞれのm1及びn1は独立に、0〜10の整数であり、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。
【0107】
一実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式
【0108】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0109】
(式中、
Z
b1及びZ
b2は共に存在しないか、またはZ
b1及びZ
b2の一方は存在せず他方は−CH
2−O−もしくは−O−CH
2−であり、
n1は1〜6の整数であり、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。より詳細には、R
b1及びR
b2は共にHである。
【0110】
別の実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式
【0111】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0112】
(式中、
Z
b1及びZ
b2はそれぞれ独立に、存在しない、−CH
2−O−、−O−CH
2−、−NR
9−C(=O)−CH
2−、または−CH
2−C(=O)−NR
9−であり、
n1及びm1はそれぞれ独立に1〜6の整数であり、
残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。
【0113】
より詳細な実施形態において、上記のいずれかの実施形態に記載される式(L2)に関して、Z
b1及びZ
b2は共に存在しない。更に別のより詳細な実施形態において、上記の式(L2)に関して、Z
b1は−CH
2−O−であり、Z
b2は存在しない。代替として、上記の式(L2)に関して、Z
b1は−CH
2−C(=O)−NR
9−であり、Z
b2は−O−CH
2−であるかまたは存在しない。更により詳細には、R
9は−Hである。
【0114】
一実施形態において、上記のいずれかの実施形態に記載される式(L2)に関して、Pは[XX]
2〜4である。更に別の詳細な実施形態において、上記のいずれかの実施形態に記載される式(L2)に関して、Pは[XX]
2または[XX]
3である。本明細書では、各XXは独立に選択されるアミノ酸の残基である。
【0115】
別の実施形態において、上記のいずれかの実施形態に記載される式(L2)に関して、Pはプロテアーゼによって開裂可能なペプチドである。より詳細には、Pは腫瘍組織において発現されるプロテアーゼによって開裂可能なペプチドである。更に別のより詳細な実施形態において、Pはリソソームプロテアーゼによって開裂可能なペプチドである。
【0116】
更に別の実施形態において、上記のいずれかの実施形態に記載される式(L2)に関して、Pは、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala
−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N
9−トシル−Arg、Phe−N
9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)、Gly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、及びD−Ala−D−Ala。、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、d−Ala−Ala−Ala、Ala−d−Ala−Ala、Ala−Ala−d−Ala、Ala−Val−Cit、ならびにAla−Val−Alaからなる群より選択される。より詳細には、Pは、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、d−Ala−Ala−Ala、Ala−d−Ala−Ala、Ala−Val−Ala、Gly−GlyまたはAla−Alaである。
【0117】
別の実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式
【0118】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0119】
によって表され、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。
第4の詳細な実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式、
【0120】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0121】
(式中、
s3は基J
CB’に共有結合した部位であり、
s4は基Dに共有結合した部位であり、
Z
c1は、存在しない、−SO
2NR
9−、−NR
9SO
2−、−C(=O)−NR
9−、−NR
9−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH
2−O−、−O−CH
2−、−(CH
2CH
2O)
p−もしくは−(OCH
2CH
2)
p’−であり、但し、p及びp’は独立に1〜1000の整数であり、
J
D’は、
【0122】
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0123】
であり、但し、s1’は細胞毒性剤Dに共有結合した部位であり、s2’は基A’に共有結合した部位であり、
A及びA’はそれぞれ独立に、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたシクロアルキレン、任意選択で置換されたシクロアルケニレンまたは任意選択で置換されたシクロアルキニレンであり、
Qは−Z
1−P−Z
2−であり、
Q’は−Z
1’−P’−Z
2’−であり、
Z
1及びZ
2の一方は−C(=O)−であり、他方は−NR
h−であり、
Z
1’及びZ
2’の一方は−C(=O)−であり、他方は−NR
h’−であり、
P及びP’はそれぞれ独立に、存在しない、任意選択で置換されたアルキレン、−(CH
2−CH
2−O)
j−、−(O−CH
2−CH
2)
j−、または[XX]
1〜10であり、但し、各XXは独立に選択されるアミノ酸の残基であり、
Jは1〜500の整数であり、
kは0または1であり、
Lは、−(CR
5R
6)
v−、−(CR
7R
8)
q−N(R
g)−(CR
9R
10)
r
−、−(CR
7R
8)
q−C(R
a)(R
g)−(CR
9R
10)
rまたは−(CR
11R
12)
s−N(R
g)−(CR
13R
14)
t−N(R
g’)−(CR
15R
16)
u−であり、
R
g及びR
g’それぞれ独立に−(CR
17R
18)
p−Z−Vであり、
pは1〜5の整数であり、
VはH、荷電した置換基またはイオン化可能な基であり、
Zは存在しない、−C(=O)NR
h−アルキレン−または−NR
h−C(=O)−アルキレン−であり、
それぞれのR
h及びR
h’は独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
それぞれのR
5〜R
18は独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
q、r、s、t、u及びvはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。
【0124】
一実施形態において、式(I)の複合体またはその薬学的に許容される塩に関して、−L−J
D’−は、以下の構造式
【0125】
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0126】
(式中、
それぞれのR
19〜R
22は独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
m及びnはそれぞれ独立に0〜10であり、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1の詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。より詳細には、R
19〜R
22はそれぞれHであり、R
5及びR
6はそれぞれHであり、R
7〜R
10はそれぞれHであり、R
11〜R
16はそれぞれHである。
【0127】
一実施形態において、式(L4)〜(L11)に関して、それぞれのP及びP’は独立に[XX]
1〜10である。より詳細には、それぞれのP及びP’は独立に[XX]
2〜5であり、残余の変数は上述のとおりである。
【0128】
別の実施形態において、式(L4)〜(L11)に関して、P及びP’はそれぞれ、プロテアーゼによって開裂可能なペプチドである。更に別の実施形態において、P及びP’はそれぞれ、腫瘍組織において発現されるプロテアーゼによって開裂可能なペプチドである。代替として、P及びP’はそれぞれ、リソソームプロテアーゼによって開裂可能なペプチドである。
【0129】
更に別の実施形態において、式(L4)〜(L11)に関して、P及びP’はそれぞれ、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N
9−トシル−Arg、Phe−N
9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)、Gly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、及びD−Ala−D−Ala。、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、D−Ala−Ala−Ala、Ala−D−Ala−Ala、Ala−Ala−D−Ala、Ala−Val−Cit、Ala−Val−Ala、ならびにβ−Ala−Gly−Gly−Glyからなる群より選択される。より詳細には、P及びP’はそれぞれ、Gly−Gly−Gly、Ala−Ala−Ala、
D−Ala−Ala−Ala、Ala−D−Ala−Ala、Ala−Val−Ala、またはβ−Ala−Gly−Gly−Glyである。
【0130】
特定の実施形態において、上記のいずれかの実施形態におけるそれぞれの[XX]は、天然起源のアミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸類似体、または上記天然起源のアミノ酸に類似する形態で機能するアミノ酸模倣体から選択される、独立に選択されるアミノ酸の残基である。
【0131】
特定の実施形態において、上記のいずれかの実施形態におけるそれぞれの[XX]は、それぞれ独立してLまたはD異性体としての、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、N−メチル−ヒスチジン、N−メチル−アラニン、N−メチル−イソロイシン、N−メチル−アルギニン、N−メチル−ロイシン、N−メチル−アスパラギン、N−メチル−リシン、N−メチル−アスパラギン酸、N−メチル−メチオニン、N−メチル−システイン、N−メチル−フェニルアラニン、N−メチル−グルタミン酸、N−メチル−スレオニン、N−メチル−グルタミン、N−メチル−トリプトファン、N−メチル−グリシン、N−メチル−バリン、N−メチル−プロリン、N−メチル−セリン、N−メチル−チロシン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、セリノシステイン(selinocysteine)、O−ホスホセリン、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム、シトルリン、オルニチン、システインスルホン酸、システインスルフィン酸、3−アミノアラニン、3−ジメチルアミノアラニン、2−アミノ−4−(ジメチルアミノ)ブタン酸、2,4−ジアミノブタン酸、2−アミノ−6−(ジメチルアミノ)ヘキサン酸、2−アミノ−5−(ジメチルアミノ)ペンタン酸、及びβ−アラニンからなる群より選択される、独立に選択されるアミノ酸の残基である。より詳細には、各XXは独立にグリシンまたはアラニンの残基である。
【0132】
第5の詳細な実施形態において、式(I)の複合体に関して、Dはメイタンシノイドであり、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1、第2、第3もしくは第4の実施形態あるいはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。
【0133】
より詳細な実施形態において、Dは以下の構造式
【0134】
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0135】
(式中、
それぞれのR
M、R
M’、及びR
M”は独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
それぞれのR
1’、R
2’、R
3’及びR
4’は独立に、H、任意選択で置換された任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、
iは0〜15の整数であり、
s5は基J
D’に共有結合した部位であり、
−L−J
D’−は、上記第1の実施形態、または第2もしくは第4の詳細な実施形態、あるいはそれらに記載されるより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表されるメイタンシノイドである。
【0137】
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0138】
によって表される。
更に別の詳細な実施形態において、Dは以下の構造式
【0139】
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
【0140】
(式中、それぞれのR
M、R
M’、及びR
M”は独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、s5は基J
D’に共有結合した部位であり、−L−J
D’−は、上記第1の実施形態または第3の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。
によって表されるメイタンシノイドである。
【0142】
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
によって表される。
第6の詳細な実施形態において、Dはベンゾジアゼピン化合物であり、残余の変数は、上記第1の実施形態または第1、第2、第3もしくは第4の実施形態あるいはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。代表的なベンゾジアゼピン化合物としては、米国特許第8,765,740号、同第8,426,402号、US2014/0088089、WO2011/130613、WO2011/130616、WO2010/091150、及びWO2009/016516に記載されるのもが挙げられるが、これらに限定はされない。これらの参照文献の全体の教示が参照により本明細書に援用される。
【0144】
より詳細な実施形態において、Dは以下の構造式
【0145】
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【0148】
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【0149】
は単結合または二重結合を表し、但し、それが二重結合である場合は、Xは存在せずYは−Hであり、それが単結合である場合は、Xは、−H、それに結合した反応性基を有する連結基、またはアミン保護基であり(好ましくは、Xは−Hである)、
Yは、−H、−OR、−OCOR’、−SR、−NR’R、”−SO
3M、−SO
2Mまたは−OSO
3M(但し、Mは−HまたはNa
+もしくはK
+などのカチオンである)から選択され、
Rは、−H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、またはPEG基−(CH
2CH
2O)
n−R
c(但し、nは1〜24の整数、R
cは1〜4の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルである)であり、
R’及びR’’は同一であるかまたは異なり、−H、−OH、−OR、−NRR
g’、−COR、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、6〜18の炭素原子を有する、任意選択で置換されたアリール、O、S、N及びPから選択される1〜6のヘテロ原子を有する、任意選択で置換された3〜18員ヘテロ環、PEG基−(CH
2CH
2O)
n−R
c(但し、nは1〜24の整数、好ましくは、nは2、4もしくは8であり、R
g’は−H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、またはPEG基−(CH
2CH
2O)
n−R
cである)から選択され、
X’は、−H、−OH、1〜10の炭素原子を有する、置換されたまたは無置換の直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、フェニル、及びアミン保護
基からなる群より選択され、
Y’は、−H、オキソ基、1〜10の炭素原子を有する、置換されたまたは無置換の直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルからなる群より選択され、
A及びA’は−O−及び−S−から選択され、
W’は、存在しないか、または−O−、−N(R
e)−、−N(R
e)−C(=O)−、−N(C(=O)R
e)−、−S−もしくは−CH
2−S−、−CH
2NR
e−から選択され、
R
xは、存在しないか、または1〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐もしくは環状のアルキルから選択され、
R
eは、−H、1〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、または−(CH
2CH
2O)
n−R
k(但し、R
kは、−H、任意選択で第二級アミノ(例えば、−NHR
101)もしくは第三級アミノ(例えば、−NR
101R
102)基を有する、1〜6の炭素原子を有する直鎖、分岐、環状アルキル、またはピペリジンもしくはモルホリンなどの5または6員の窒素含有ヘテロ環であり、但し、R
101及びR
102はそれぞれ独立に1〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルである)であり、
Gは−CH−または−N−であり、
X’’及びX’’’は同一であるかまたは異なり、−(CH
2)
n’−、−NR’−、−CO−、−BH−、−SO−または−SO
2−から独立に選択され、
Y’’及びY’’’は同一であるかまたは異なり、−O、−(CH
2)
n’−、−NR’−または−S−から独立に選択され、
Z’’及びZ’’’は同一であるかまたは異なり、−(CH
2)
n’−、−CR
7’R
8’−、−NR
9’−、−O−、及び−S−から独立に選択され、
nは0、1、2及び3から選択され、
R
7’及びR
8’は同一であるかまたは異なり、それぞれ−H、−OH、−SH、−COOH、−NHR’、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−、アミノ酸、2〜6のアミノ酸を有するペプチド単位、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキルから独立に選択され、
R
9’は、−H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐または環状のアルキル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−から独立に選択され、
R
A、R
A’、R
B及びR
B’は同一であるかまたは異なり、−H、ハライド、または1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された分岐、直鎖もしくは環状のアルキルからなる群から独立に選択されるか、あるいは、R
A及びR
A’ならびに/またはR
B及びR
B’は、共にそれぞれ基=B及び=B’を含有する二重結合を形成し、
=B及び=B’は同一であるかまたは異なり、任意選択で置換された分岐もしくは直鎖のアルケニルまたはカルボニル基から独立に選択され、
Q
AはQ
A1−Ar−Q
A2であり、
Q
A’はQ
A1’−Ar’−Q
A2’であり、
Q
A1及びQ
A1’はそれぞれ独立に、存在しない、1〜6の炭素原子の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、または−CH=CH単位であり、
Ar及びAr’はそれぞれ独立に、存在しないか、またはアリール基を表し、
Q
A2及びQ
A2’はそれぞれ独立に、−H、それに結合した反応性基を有する連結基、1〜10の炭素原子を有する、置換されたもしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−R
c’−(OCH
2CH
2)
n−R
c、またはハロゲン、グアニジニウム[−NH(C=NH)NH
2]、−OR、−NR’R’’、−NO
2、−NCO、−NR’COR’’、−SR、−SOR’によって表されるスルホキシド、−SO
2R’によって表されるスルホン、スルホネート−SO
3M、硫酸塩−OSO
3M、SO
2NR’R’’によって表されるスルホンアミド、シアノ、アジド、−COR’、−OCOR’もしくは−OCONR’R’’から
選択される置換基から選択され、
R
c’は、存在しないか、または1〜5の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルから選択される)によって表されるベンゾジアゼピン化合物である。
【0150】
更に別のより詳細な実施形態において、Dは以下の構造式
【0151】
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【0152】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、R
A’’及びR
B’’は同一であるかまたは異なり、−H及び−Meから選択される。残余の変数は上述のとおりである。
【0153】
特定の実施形態において、式(D6)〜(D17)に関して、NとCとの間の二重線
【0154】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0155】
は単結合または二重結合を表し、但し、それが二重結合である場合は、Xは存在せずYは−Hであり、それが単結合である場合は、Xは−Hであり、Yは−OHまたは−OSO
3Mであり、
Mは−Hまたは薬学的に許容されるカチオン(例えば、Na
+)であり、
X’及びY’は共に−Hであり、
A及びA’は共に−O−であり、
R
6は−OMeであり、
R
xは1〜6の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルである。
【0156】
より詳細な実施形態において、Dは以下の構造式
【0157】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0158】
【化33】
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【0159】
【化34】
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【0160】
【化35】
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【0161】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、Yは−Hまたは−OSO
3Mであり、MはH
+またはカチオンである。更により詳細には、Yはが−OSO
3Mであり、MはH
+、Na
+またはK
+である。
【0162】
第7の詳細な実施形態において、式(I)の複合体に関して、−L−J
D’−は結合であり、Dは以下の構造式
【0163】
【化36】
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【0164】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、
式中、
L’、L’’、及びL’’’の1つは以下の式
【0165】
【化37】
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【0166】
によって表され、
他の2つは同一であるかまたは異なり、−H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
c、ハロゲン、グアニジニウム[−NH(C=NH)NH
2]、−OR、−NR’R’’、−NO
2、−NR’COR’’、−SR、−SOR’、−SO
2R’、−SO
3H、−OSO
3H、−SO
2NR’R’’、シアノ、アジド、−COR’、−OCOR’、及び−OCONR’R’’から独立に選択され、
Z
d1は、存在しない、−C(=O)−NR
9−または−NR
9−C(=O)−であり、
Pはアミノ酸残基または2〜20のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
それぞれのR
a及びR
bは独立に、−H、(C
1〜C
3)アルキルまたは荷電した置換基もしくはイオン化可能な基Qであり、
r及びr’は独立に1〜6の整数であり、
NとCとの間の二重線
【0167】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0168】
は単結合または二重結合を表し、但し、それが二重結合である場合は、Xは存在せず、Yは−H、または1〜4の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキルであり、それが単結合である場合は、Xは−Hまたはアミン保護部分であり、
Yは、−OR、−OCOR’、−OCOOR’、−OCONR’R’’、−NR’R’’、−NR’COR’’、−NR’NR’R’’、任意選択で置換された5もしくは6員の窒素含有ヘテロ環(例えば、窒素原子によって結合した、ピペリジン、テトラヒドロピロール、ピラゾール、モルホリンなど)、−NR’(C=NH)NR’R’’によって表されるグアニジナム(guanidinum)、アミノ酸、もしくは−NRCOP’によって表されるペプチド、−SR、−SOR’、ハロゲン、シアノ、アジド、−OSO
3H、サルファイト(−SO
3Hもしくは−SO
2H)、メタ重亜硫酸(H
2S
2O
5)、モノ、ジ、トリ及びテトラチオホスフェート(PO
3SH
3、PO
2S
2H
2、POS
3H
2、PS
4H
2)、チオホスフェートエステル(R
iO)
2PS(OR
i)、R
iS−、R
iSO、R
iSO
2、R
iSO
3、チオホスフェート(HS
2O
3)、ジチオナイト(HS
2O
4)、ホスホロジチオエート(P(=S)(OR
k’)(S)(OH))、ヒド
ロキサム酸(R
k’C(=O)NOH)、及びホルミアルデヒドスルホキシレート(HOCH
2SO
2−)またはそれらの混合物から選択される脱離基であり、但し、R
iは1〜10の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルであり、かつ−N(R
j)
2、−CO
2H、−SO
3H、及び−PO
3Hから選択される少なくとも1の置換基で置換され、R
iは、任意選択で本明細書において記載されるアルキルに対する置換基で更に置換されてもよく、R
jは1〜6の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキルであり、R
k’は1〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、
P’はアミノ酸残基または2〜20のアミノ酸残基を含有するポリペプチドであり、
それぞれのRは、−H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
c、6〜18の炭素原子を有する任意選択で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立に選択される1もしくは複数のヘテロ原子を含有する、任意選択で置換された5〜18員ヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立に選択される1〜6のヘテロ原子を含有する、任意選択で置換された3〜18員ヘテロ環からなる群から独立に選択され、
R’及びR’’はそれぞれ独立に、−H、−OH、−OR、−NHR、−NR
2、−COR、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
c、ならびにO、S、N及びPから独立に選択される1〜6のヘテロ原子を有する、任意選択で置換された3〜18員ヘテロ環から選択され、
R
cは、−Hまたは1〜4の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖もしくは分岐のアルキルであり、
nは1〜24の整数であり、
X’は、−H、アミン保護基、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
c、6〜18の炭素原子を有する、任意選択で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立に選択される1または複数のヘテロ原子を含有する、任意選択で置換された5〜18員ヘテロアリール環、ならびにO、S、N及びPから独立に選択される1〜6のヘテロ原子を含有する、任意選択で置換された3〜18員ヘテロ環から選択され、
Y’は、−H、オキソ基、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、任意選択で置換された6〜18員アリール、窒素、酸素、及びイオウから独立に選択される1または複数のヘテロ原子を含有する、任意選択で置換された5〜18員ヘテロアリール環、1〜6のヘテロ原子を有する、任意選択で置換された3〜18員ヘテロ環から選択され、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
1’、R
2’、R
3’及びR
4’はそれぞれ独立に、−H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
c、ハロゲン、グアニジニウム[−NH(C=NH)NH
2]、−OR、−NR’R’’、−NO
2、−NCO、−NR’COR’’、−SR、−SOR’、−SO
2R’、−SO
3−H、−OSO
3H、−SO
2NR’R’’、シアノ、アジド、−COR’、−OCOR’、及び−OCONR’R’’からなる群から選択され、
R
6は、−H、−R、−OR、−SR、−NR’R’’、−NO
2、またはハロゲンであり、
A及びA’は同一であるかまたは異なり、−O−、オキソ(−C(=O)−)、−CRR’O−、−CRR’−、−S−、−CRR’S−、−NR
5及び−CRR’N(R
5)−から独立に選択され、
R
5及びR
9はそれぞれ独立に、−Hまたは1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖もしくは分岐のアルキルであり、残余の変数は、上記第1の実施形態また
は第1の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。
【0169】
より詳細な実施形態において、式(D18)〜(D23)に関して、L’は式(A)によって表され、L’’及びL’’’は共に−Hである。
別のより詳細な実施形態において、式(D18)〜(D23)に関して、
NとCとの間の二重線
【0170】
【化39】
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【0171】
は単結合または二重結合を表し、但し、それが二重結合である場合は、Xは存在せずYは−Hであり、それが単結合である場合は、Xは−H、Yは−OHまたは−SO
3Mであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
1’、R
2’、R
3’及びR
4’は全て−Hであり、
R
6は−OMeであり、
X’及びY’は共に−Hであり、
A及びA’は−O−であり、
Mは、H
+、Na
+またはK
+であり、残余の変数は、上記第7の詳細な実施形態または上記の任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。
【0172】
更に別のより詳細な実施形態において、式(D18)〜(D23)に関して、R
a及びR
bは共にHであり、残余の変数は、第7の詳細な実施形態または上記の任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。
【0173】
別のより詳細な実施形態において、式(D18)〜(D23)に関して、R
5及びR
9はそれぞれ独立にHまたはMeであり、残余の変数は、第7の詳細な実施形態または上記の任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、R
5及びR
9は共にHである。
【0174】
別のより詳細な実施形態において、式(D18)〜(D23)に関して、Pは2〜10のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、残余の変数は、第7の詳細な実施形態または上記の任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、Pは2〜5のアミノ酸単位を含有するペプチドである。更により詳細には、Pは、Gly−Gly−Gly、Ala−Val、Val−Ala、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N
9−トシル−Arg、Phe−N
9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)及びGly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、ならびにD−Ala−D−Alaから選択される。
【0175】
別の実施形態において、式(I)の複合体に関して、−L−J
D’−Dは以下の構造式
【0176】
【化40】
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【0177】
【化41】
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【0178】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0180】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0181】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、YはHまたは−SO
3Mであり、Mは、H
+、Na
+またはK
+である。
【0182】
第8の詳細な実施形態において、式(I)の複合体は以下の構造式
【0183】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0184】
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0185】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0186】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0187】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0188】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0189】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0190】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0191】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0192】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0193】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0194】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0195】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0196】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0197】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0198】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0199】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0201】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0202】
によって表される。
第1の実施形態または第1〜第8の詳細な実施形態またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態などの、上述の実施形態のいずれか1の複合体におけるCBAは、後述の第2の実施形態中に記載されるものなどの、本明細書に記載の任意の細胞結合剤であってよい。
【0203】
特定の実施形態において、第1の実施形態または第1〜第8の詳細な実施形態またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態などの、上述の実施形態のいずれか1の複合体は、細胞結合剤(例えば抗体)分子当たり1〜4の結合した細胞毒性剤分子を含んでいてもよい。特定の実施形態において、上記複合体は、細胞結合剤分子当たり2または4の細胞毒性剤分子を含んでいてもよい。上記細胞結合剤(例えば抗体)分子当たりの結合した細胞毒性剤分子の数は、メイタンシノイド化合物については280nmと252nmとの吸光度の比を、ベンゾジアゼピン化合物については280nmと330nmとの吸光度の比を測定することによって、分光学的に求めることができる。代替として、上記細胞結合剤(例えば抗体)分子当たりの結合した細胞毒性剤分子の数は、質量分析法によって求めることができる。
【0204】
本発明は、第1の実施形態または第1〜第8の詳細な実施形態またはそれらに記載される任意ののより詳細な実施形態などの、上述の実施形態のいずれか1の複合体を含む組成物を更に提供する。特定の実施形態において、上記組成物中の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、99.9%またはそれ以上の上記複合体が、それぞれのCBAに共有結合した2または4の細胞毒性剤を有する。特定の実施形態において、上述の組成物中では、約20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.1%以下の上記複合体が、それぞれのCBAに共有結合した1のみの細胞毒性剤を有する。
細胞結合剤
第2の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の細胞結合剤−細胞毒性剤複合体を調製するための細胞結合剤(CBA)を提供する。かかるCBAは、抗体、その抗原結合部分(抗体誘導体を包含し得る)、または抗体模倣体タンパク質などのタンパク質(例えば、天然に存在するタンパク質、または操作されたもしくは組換えタンパク質)であってもよい。かかるタンパク質性CBAのN末端は、セリン、スレオニン、ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシオルニチンまたは2,4−ジアミノ−5−ヒドロキシ吉草酸残基の一部であってもよい2−ヒドロキシエチルアミン部分を含んでいてもよい。上記2−ヒドロキシエチルアミン部分は、本発明の方法を用いて酸化されてアルデヒド基になることができ、該アルデヒド基はその後、アルデヒドと反応性の基と反応して、本主題の複合体を形成することができる。
【0205】
関連する態様において、本発明はまた、操作された抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質であって、かかる抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質の非Ser、非Thrの天然配列と対照をなす、N末端残基としてのSerまたはThrを有していてもよい、上記抗体、その抗原結合部分、または抗体模倣体タンパク質などの、特定の操作されたタンパク質性CBAも提供する。
【0206】
上記N末端Ser/Thrは、Ser/Thrコドンをシグナルペプチド配列の直後に挿入することによって付加することができる。かかるシグナルペプチド配列は、上記の抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質のための天然のシグナルペプチドであってもよく、あるいは、上記の抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質の成熟処理された配列のN末端に融合した異種シグナルペプチドであってもよい。
【0207】
ここで、「(例えば、組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の)成熟処理された配列」とは、当該組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分のなどの特定の分泌タンパク質の処理された配列を指し、該分泌タンパク質はN−末端シグナルペプチド(天然起源のN−末端シグナルペプチド、または組換え技術を用いてN末端に融合させた異種N−末端シグナルペプチドのいずれか)を用いて合成される。当該シグナルペプチドの開裂を含む通常の成熟過程後には、生成する成熟処理された配列では、概して全てのシグナルペプチド配列が欠失する。
【0208】
配列番号1及び6は、天然のまたは異種のシグナルペプチドそれ自体として用いることができる。シグナルペプチドの開裂後の上記N末端残基がセリン/スレオニンである限りにおいて、上記抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質の、上記成熟処理された配列における上記N末端残基に対する更なる配列の変化が存在してもよい。
【0209】
詳細には、マウス抗FOLRl抗体FR1−2.1の軽鎖シグナルペプチド(2013年4月16日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−120197を有するハイブリドーマによって産生)から得られる特定のシグナルペプチド配列を用いることによって、上記N末端Ser/Thrを付加することができ、上記シグナルペプチドは配列番号1によって表される。驚くべきことに、このシグナルペプチド配列は、独自の処理を行うと、当該タンパク質の成熟処理された配列のN末端残基としてその最後のSerを残すことが見出された。
【0210】
上記N末端Ser/Thrが上記CBA中に天然に存在するか、または本明細書に記載のいずれかの組換え技術を用いて操作されているかにかかわらず、本発明の別の態様は、そのN末端Ser/Thrがアルデヒド基へと酸化された修飾CBA(例えば、修飾抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質)を更に提供する。特定の実施形態において、上記アルデヒドは、抗体またはその抗原結合部分の重鎖のN末端Ser/Thrの酸化に由来する。該酸化は、本明細書に記載の本発明の方法のいずれかを用いて行うことができる。かかる修飾CBAは、アルデヒドと反応性の基(本明細書に記載のものなど)を有するリンカーと反応して、本発明の複合体を形成することができる。
【0211】
したがって、本発明はまた、本発明の修飾CBA(例えば、抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質)を用いる、本明細書に記載の本発明の複合体の製造方法も提供する。本発明は更に、N末端Ser/Thrを有する上記C
BAの成熟処理された配列を生成させる、いずれかの操作されたCBA(例えば、抗体、その抗原結合部分(もしくは抗体誘導体)、または抗体模倣体タンパク質)をコードするポリヌクレオチドも提供する。
【0212】
特定の実施形態において、上記アルデヒド基は上記タンパク質性CBA(例えば、抗体またはその抗原結合部分)の上記N末端に位置する。例えば、上記N末端アルデヒド基はN末端セリンまたはスレオニンの酸化に由来してもよい。
【0213】
一実施形態において、上記N末端セリンまたはスレオニンは、当該タンパク質性CBA(例えば、抗体またはその抗原結合部分)中に天然に存在していてもよい。例えば、上記抗体またはその抗原結合部分は、配列番号3の軽鎖配列、または配列番号1のシグナルペプチドをコードする同様のマウス生殖系列配列に由来する軽鎖配列を含んでいてもよい。関連する実施形態において、上記抗体またはその抗原結合部分は、配列番号3の軽鎖配列、または配列番号1のシグナルペプチドをコードする同様のマウス生殖系列配列に由来する軽鎖配列を含む、マウス抗体またはその抗原結合部分のキメラ、ヒト化、もしくはヒト抗体、またはそれらの抗原結合部分である。
【0214】
同様に、上記抗体またはその抗原結合部分は、マウスIGKV6−32
*01配列(すなわち、SIVMTQTPKFLLVS
AGDRVTITCKASQSVSNDVAWYQQKPGQSPKLLIYYASNRYTGVPDRFTGSGYGTDFTFTISTVQAEDLAVYFCQQDYSSP、配列番号20)に由来する軽鎖配列を含んでいてもよい。関連する実施形態において、上記抗体またはその抗原結合部分は、配列番号20のマウスIGKV6−32
*01配列に由来する軽鎖配列を含む、マウス抗体またはその抗原結合部分のキメラ、ヒト化、もしくはヒト抗体、またはその抗原結合部分である。
【0215】
また、上記抗体またはその抗原結合部分は、後に掲載するヒトラムダV3ファミリーのV遺伝子配列(すなわち、配列番号21〜24)のいずれか1種に由来する軽鎖配列を含んでもよい。関連する実施形態において、上記抗体またはその抗原結合部分は、以下に列挙するヒトラムダV3ファミリーのV遺伝子配列のいずれか1種に由来する軽鎖配列を含む、マウス抗体またはその抗原結合部分のキメラ、ヒト化、もしくはヒト抗体またはその抗原結合部分である。
【0216】
ヒトラムダV3ファミリーのV遺伝子配列
IGLV3−1
*01
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYACWYQQKPGQSPVLVIYQDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDSSTA(配列番号21)
IGLV3−10
*01
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDSKRPSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSTDSSGNHX(配列番号22)
IGLV3−10
*02
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYKDSKRPSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEDDYYCYSADYSGN(配列番号23)
IGLV3−12
*01
SYELTQPHSVSVATAQMARITCGGNNIGSKAVHWYQQKPGQDPVLVIYSDSNRPSGIPERFSGSNPGNTTTLTISRIEAGDEADYYCQVWDSSSDHP(配列番号24)
IGLV3−12
*02
SYELTQPHSVSVATAQMARITCGGNNIGSKAVHWYQQKPGQDPVLVIYSDSNRPSGIPERFSGSNPGNTATLTISRIEAGDEADYYCQVWDSSSDHP(配列番号25)
IGLV3−13
*01
SYELTQPPAVSVSPGQTARISCSGDVLRDNYADWYPQKPGQAPVLVIYKDGERPSGIPERFSGSTSGNTTALTISRVLTKGGADYYCFSGD*NNL(配列番号26)
IGLV3−16
*01
SYELTQPPSVSVSLGQMARITCSGEALPKKYAYWYQQKPGQFPVLVIYKDSERPSGIPERFSGSSSGTIVTLTISGVQAEDEADYYCLSADSSGTYP(配列番号27)
IGLV3−19
*01
SSELTQDPAVSVALGQTVRITCQGDSLRSYYASWYQQKPGQAPVLVIYGKNNRPSGIPDRFSGSSSGNTASLTITGAQAEDEADYYCNSRDSSGNHL(配列番号28)
IGLV3−21
*01
SYVLTQPPSVSVAPGKTARITCGGNNIGSKSVHWYQQKPGQAPVLVIYYDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSSDHP(配列番号29)
IGLV3−21
*02
SYVLTQPPSVSVAPGQTARITCGGNNIGSKSVHWYQQKPGQAPVLVVYDDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSSDHP(配列番号30)
IGLV3−21
*03
SYVLTQPPSVSVAPGKTARITCGGNNIGSKSVHWYQQKPGQAPVLVVYDDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSSDHP(配列番号31)
IGLV3−22
*01
SYELTQLPSVSVSPGQTARITCSGDVLGENYADWYQQKPGQAPELVIYEDSERYPGIPERFSGSTSGNTTTLTISRVLTEDEADYYCLSGDEDNP(配列番号32)
IGLV3−25
*01
SYELMQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKQYAYWYQQKPGQAPVLVIYKDSERPSGIPERFSGSSSGTTVTLTISGVQAEDEADYYCQSADSSGTYP(配列番号33)
IGLV3−25
*02
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKQYAYWYQQKPGQAPVLVIYKDSERPSGIPERFSGSSSGTTVTLTISGVQAEDEADYYCQSADSSGTYP(配列番号34)
IGLV3−25
*03
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKQYAYWYQQKPGQAPVLVIYKDSERPSGIPERFSGSSSGTTVTLTISGVQAEDEADYYCQSADSSG(配列番号35)
IGLV3−27
*01
SYELTQPSSVSVSPGQTARITCSGDVLAKKYARWFQQKPGQAPVLVIYKDSERPSGIPERFSGSSSGTTVTLTISGAQVEDEADYYCYSAADNNL(配列番号36)
IGLV3−31
*01
SSELSQEPAVSVALG*TARITCQGDSIEDSVVNWYKQKPS
QAPGLVI*LNSVQSSGIPKKFSGSSSGNMATLTITGIQVEDKADYYCQSWDSSRTHS(配列番号37)
IGLV3−31
*02
SSELSQEPAVSVSLG*TARITCQGDSIEDSVVNWYKQKPSQAPGLVI*LNSVQSSGIPKKFSGSSSGNMATLTITGIQVEDKADYYCQSWDSSRTHS(配列番号38)
IGLV3−32
*01
SSGPTQVPAVSVALGQMARITCQGDSMEGSYEHWYQQKPGQAPVLVIYDSSDRPSRIPERFSGSKSGNTTTLTITGAQAEDEADYYYQLIDNHAT(配列番号39)
IGLV3−9
*01
SYELTQPLSVSVALGQTARITCGGNNIGSKNVHWYQQKPGQAPVLVIYRDSNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRAQAGDEADYYCQVWDSSTA(配列番号40)
IGLV3−9
*02
SYELTQPLSVSVALGQAARITCGGNNLGYKSVHWYQQKPGQAPVLVIYRDNNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRAQAGDEADYYCQVWDSSTAHP(配列番号41)
上記ヒト化抗体またはその抗原結合部分は、表面再構成された抗体もしくはCDRグラフト化抗体またはそれらの抗原結合部分であってもよい。
【0217】
別の実施形態において、上記N末端セリンまたはスレオニンは、上記タンパク質性CBA(例えば、抗体またはその抗原結合部分)中に操作によって導入されてもよい。例えば、上記抗体またはその抗原結合部分は、本明細書に記載の本発明の組換え抗体のいずれか1種であってよい(以下を参照のこと)。
【0218】
特定の実施形態において、上記N末端アルデヒド基は、上記抗体もしくはその抗原結合部分の一方もしくは両方の重鎖上に、または上記抗体もしくはその抗原結合部分の一方もしくは両方の軽鎖上に位置するか、あるいはそれらの組み合わせである。
【0219】
特定の実施形態において、上記CBAは抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態において、上記抗原結合部分は、Fab、F(ab)
2、F(ab’)、F(ab’)
2、F(ab’)
3、Fd、Fv、ジスルフィド結合Fv、dAbもしくはsdAb(またはナノボディ)、CDR、scFv、(scFv)
2、di−scFv、bi−scFv、tascFv(タンデムscFv)、AVIBODY(例えば、ダイアボディ、トライアボディ、テトラボディ)、T細胞結合因子(BiTE)、scFv−Fc、Fcab、mAb2、小モジュラー免疫薬(SMIP)、Genmab/unibodyもしくはduobody、V−NARドメイン、IgNAR、ミニボディ、IgGΔCH2、DVD−Ig、probody、細胞内発現抗体、または多重特異性抗体であってよい。特定の実施形態において、上記抗原結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)またはナノボディであってよい。
【0220】
特定の実施形態において、上記CBAは、DARPin、Centyrin、アフィボディ、アフィリン、アフィチン、アンチカリン、アビマー、Fynomer、クーニッツドメインペプチド、モノボディ(またはアドネクチン)、トリボディ(tribody)、またはナノフィチンなどの抗体模倣体である。特定の詳細な実施形態において、上記CBAはDARPinである。他の詳細な実施形態において、上記CBAはCentyrinである。更に別の詳細な実施形態において、上記CBAはモノボディまたはアドネクチンである。特定の実施形態において、上記CBAは、デュアル受容体リターゲティング(
dual receptor retargeting)(DART)分子(P.A.Moore et al,Blood,2011;117(17):4542−4551;Veri MC et al.,Arthritis Rheum.,2010 Mar
30;62(7):1933−43;Johnson,S et al.,J.Mol.Biol.,2010 Apr 9;399(3):436−49)または細胞浸透性スーパーチャージドタンパク質(cell penetrating supercharged proteins)(Methods in Enzymol.502,293−319(2012)である。
【0221】
別の態様において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を有する異種シグナルペプチドを含む、組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分を提供する。
【0222】
本発明のこの態様は、抗体FR1−2.1の軽鎖シグナルペプチドである配列番号1が、配列番号1における最後のSerの直前で自然に開裂することができ、したがって得られる処理されたポリペプチド(例えば、シグナルペプチドとして配列番号1で表される組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分)中にN末端セリンが残るとの驚くべき知見に一部基づく。したがって、配列番号1のシグナルペプチドは、組換えによって異種ポリペプチド(例えば、組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分)に融合することができ、N末端Serを有するポリペプチドを生成させるための一般的な手法に用いることができる。
【0223】
特定の実施形態において、上記異種シグナルペプチドは、上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列のN末端に融合される。
【0224】
特定の実施形態において、上記異種シグナルペプチドは、上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列のN末端の2番目のアミノ酸残基に融合される。したがって、この実施形態においては、上記処理されたポリペプチドは、配列番号1由来のN末端Serに起因する1の追加のアミノ酸残基を有してはいない。他の関連する実施形態において、当該抗体またはその抗原結合部分の結合能が実質的に影響を受けない限りにおいて、上記異種シグナルペプチドは、上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列のN末端部分の任意の残基(例えば、3番目、4番目、5番目等)に融合され、結果として1または複数のN末端残基が「欠失」する。代替的にまたは追加的に、当該N末端残基が配列番号1の最後の残基由来のSerなどのSerである限りにおいて、1または複数の更なる残基をN末端Serの後に付加することができる。
【0225】
関連する実施形態において、本発明は、組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分であって、上記重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分の(天然の)シグナルペプチドの最後の残基に隣接するC末端のSerまたはThr残基を含む、上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分を提供する。これは、SerまたはThrのためのコドンを、天然のシグナルペプチドのためのコード配列の直後に挿入することによって得ることができる。例えば、Ser残基を、モノクローナル抗体huMov19軽鎖または重鎖の天然のシグナルペプチド配列の直後に挿入して、配列
【0226】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
を創出することができる。上記天然のシグナルペプチド配列の天然の処理(開裂)の後に、得られるN末端残基がSerであることが期待される。
例えば、特定の実施形態において、上記SerまたはThr残基は、上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の最初の残基に隣接するN末端であってよい。
【0228】
別の実施形態において、上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の1または複数のN末端アミノ酸残基(複数可)は、上記SerまたはThr残基によって置き換えられている。代替的にまたは追加的に、シグナルペプチドの処理後に得られるポリペプチドの最初の残基がSer/Serである限りにおいて、更なるアミノ酸残基を付加、除去、または置換することができる。
【0229】
代表的な組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分は、配列番号10または14を有していてもよい。他のものとしては配列番号42を含むものが挙げられる。
【0230】
本発明の更に別の態様は、本明細書に記載されるいずれか1の本主題の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分に由来する、重鎖、軽鎖、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列を含む組換え抗体を提供する。
【0231】
例えば、上記組換え抗体は、Fab、F(ab)
2、F(ab’)、F(ab’)
2、F(ab’)
3、Fd、Fv、ジスルフィド結合Fv、dAbもしくはsdAb(またはナノボディ)、CDR、scFv、(scFv)
2、di−scFv、bi−scFv、tascFv(タンデムscFv)、AVIBODY(例えば、ダイアボディ、トライアボディ、テトラボディ)、T細胞結合因子(BiTE)、scFv−Fc、Fcab、mAb2、小モジュラー免疫薬(SMIP)、Genmab/unibodyもしくはduobody、V−NARドメイン、IgNAR、ミニボディ、IgGΔCH2、DVD−Ig、probody、細胞内発現抗体、または多重特異性抗体であってもよいか、あるいはこれらを含んでもよい。特定の詳細な実施形態において、上記抗原結合部分は単一ドメイン抗体(sdAb)またはナノボディである。
【0232】
特定の実施形態において、上記組換え抗体は、それぞれが本明細書に記載される本主題の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分のいずれか1に由来する、重鎖、軽鎖、またはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の1、2、3あるいは4を含んでいてもよい。
【0233】
特定の実施形態において、上記組換え抗体は、第1の重鎖ポリペプチド及び第2の重鎖ポリペプチドを含むヘテロ二量体抗体であって、第1の重鎖ポリペプチドのFc領域と第2の重鎖ポリペプチドのFc領域とが界面で接触し、第2の重鎖ポリペプチドのFc領域の界面が、第1の重鎖ポリペプチドのFc領域の界面のキャビティ中に位置することができる突起を含む、上記ヘテロ二量体抗体であってもよい。特定の実施形態において、二重特異性抗体における重鎖の特異的対合を促進するためのノブ・イントゥ・ホール(knob−into−hole)技術が、例えば、Genentech/RocheのCrossMab技術に基づいて、例えば、CH1定常領域とカッパ定常領域との交換によって、更に改善されて、軽鎖の誤対合を更に低減または排除することができる。
【0234】
代替として、完全に二重特異性の抗体の開発において、共通の軽鎖、ドメイン抗体、及び単鎖形式を含む多様な他の生物製剤手法を完全に補完する、Zymeworks AZYMETRIC(商標)ヘテロ二量体IgG
1軽鎖プラットフォーム技術などのLCヘテ
ロ二量体を用いても、同様の結果を得ることができる。
【0235】
特定の実施形態において、第2の重鎖ポリペプチドのFc領域がテンプレート/元のポリペプチドから上記突起をコードするように変更されるか、または第1の重鎖ポリペプチドのFc領域がテンプレート/元のポリペプチドから上記キャビティをコードするように変更されるか、またはその両方が行われる。
【0236】
特定の実施形態において、上記突起及びキャビティはそれぞれ天然起源のアミノ酸残基を含む。
特定の実施形態において、上記突起を含む第2の重鎖ポリペプチドの上記Fc領域は、テンプレート/元のポリペプチドの界面由来の元の残基を、元の残基よりも大きな側鎖容積を有する移入残基で置き換えることによって生成する。
【0237】
特定の実施形態において、上記突起を含む第2の重鎖ポリペプチドの上記Fc領域は、当該ポリペプチドの界面由来の元の残基をコードする核酸が、元の残基よりも大きな側鎖容積を有する移入残基をコードする核酸で置き換えられるステップを含む方法によって生成する。
【0238】
本発明の更に別の態様は、上記重鎖、軽鎖、もしくはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列上のN末端SerまたはThrを有する抗体から酸化された修飾抗体であって、該修飾抗体中において、上記N末端SerまたはThrがアルデヒド基へと酸化されている、上記修飾抗体を提供する。
【0239】
特定の実施形態において、上記抗体は、(1)配列番号1のアミノ酸配列を有する異種シグナルペプチド、(2)組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の最初の残基に隣接するN末端であるSerもしくはThr残基、または(3)上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の1もしくは複数のN末端アミノ酸残基(複数可)を置き換えているSerもしくはThr残基を含む上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分に由来する。
【0240】
特定の実施形態において、上記抗体は、配列番号3の軽鎖配列を含むマウス抗体またはその抗原結合部分である。
特定の実施形態において、上記抗体は、配列番号3の軽鎖配列を含むマウス抗体またはその抗原結合部分の、キメラ、ヒト化、もしくはヒト抗体またはその抗原結合部分である。上記ヒト化抗体またはその抗原結合部分は、表面再構成された抗体もしくはCDRグラフト化抗体またはそれらの抗原結合部分である。
【0241】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される主題の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを提供する。
特定の実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、哺乳動物の発現系における発現に関してコドン最適化されている。
【0242】
本発明の別の態様は、哺乳動物の発現系などの発現系において、本明細書に記載される本主題のポリヌクレオチドを発現させることを含む、主題の組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分の産生方法を提供する。
【0243】
本明細書では、用語「細胞結合剤」または「CBA」とは、好ましくは特異的な形態で、細胞(細胞表面リガンド上)に結合することができるか、または当該細胞に関連するもしくは近接するリガンドに結合することができる化合物を指す。特定の実施形態において、上記細胞または細胞上もしくはその近傍のリガンドへの結合は特異的である。上記CBAとしてはペプチド及び非ペプチドが挙げられる。タンパク質性の性質のCBAに関して、天然のN末端残基がSerまたはThrではない場合には、本明細書に記載の任意の組換え方法を用いて、例えば、配列番号1の異種シグナルペプチドを用いることによって、または上記N末端残基に対してコードするためのSer/Thrコドンを挿入することによって、該N末端残基を操作することができる。
【0244】
細胞結合剤の選択は、自由選択によるものであり、標的とする特定の細胞集団によって部分的に決定されるものであるが、多くの場合(但し全てではない)、適切なものが利用可能である場合には、ヒト化モノクローナル抗体が好適に選択される。例えば、モノクローナル抗体MY9はCD33抗原に特異的に結合するマウスIgG
1抗体であり(J.D.Griffin et al.,Leukemia Res.,8:521(1984))、急性骨髄性白血病(AML)の疾患におけるように、標的細胞がCD33を発現する場合には用いることができる。
【0245】
特定の実施形態において、上記細胞結合剤はタンパク質ではない。例えば、特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、細胞表面受容体などのビタミン受容体に結合するビタミンであってよい。この点に関して、ビタミンAはレチノール結合タンパク質(RBP)に結合して複合体を形成し、次に該複合体はSTRA6受容体に高い親和性で結合し、ビタミンAの取り込みを増加させる。別の例において、葉酸/葉酸塩/ビタミンB
9は細胞表面葉酸受容体(FR)、例えばFRαに高い親和性で結合する。葉酸またはFRαに結合する抗体を用いて、卵巣腫瘍及び、非小細胞肺癌(NSCLC)を始めとするFRαを過剰発現する固形腫瘍を含む他の腫瘍上で発現される葉酸受容体を標的とすることができる。また、ビタミンDは及びその類似体はビタミンD受容体に結合する。
【0246】
他の実施形態において、上記細胞結合剤は、タンパク質もしくはポリペプチド、または、抗体、非抗体タンパク質、もしくはポリペプチドを包含するタンパク質もしくはポリペプチドを含む化合物である。
【0247】
例えば、骨髄細胞に結合するGM−CSF、リガンド/成長因子を、急性骨髄性白血病由来の異常細胞に対する細胞結合剤として用いることができる。活性化されたT細胞に結合するIL−2を、移植片拒絶の予防、移植片対宿主病の治療及び予防、ならびに急性T細胞白血病の治療に用いることができる。メラニン形成細胞に結合するMSHを、黒色腫を対象とする抗体と同様に、黒色腫の治療に用いることができる。上皮成長因子を、肺癌及び頭頚部癌などの扁平上皮癌を標的とするために用いることができる。ソマトスタチンを神経芽細胞腫及び他の腫瘍型を標的とするために用いることができる。エストロゲン(またはエストロゲン類似体)を、乳癌を標的とするために用いることができる。アンドロゲン(またはアンドロゲン類似体)を、精巣を標的とするために用いることができる。
【0248】
したがって、特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、リンホカイン、ホルモン、成長因子、コロニー刺激因子、または栄養輸送分子であってよい。
特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、アンキリンリピートタンパク質、Centyrin、またはアドネクチン/モノボディなどの抗体模倣体である。
【0249】
他の実施形態において、上記細胞結合剤は、抗体、単鎖抗体、標的細胞に特異的に結合する抗体フラグメント、モノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、標的細胞に特異
的に結合するモノクローナル抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)、キメラ抗体、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)、ドメイン抗体(例えばsdAb)、または標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体フラグメントである。特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、ヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)である。
【0250】
別の実施形態において、上記細胞結合剤は、参照により本明細書に援用される米国特許第7,557,189号、同第7,342,110号、同第8,119,787号、及び同第8,337,855号、ならびにWO2004/043344に記載される抗体またはそれらのフラグメントなどの、抗CD33抗体またはそのフラグメントである。詳細な実施形態において、上記ヒト化抗体は、huMy9−6または米国特許第7,342,110号及び同第7,557,189号に記載される別の関連する抗体である。別の実施形態において、上記抗CD33抗体はhuMy9−6抗体である。
【0251】
本明細書では、二重線の下線の配列は、当該重鎖または軽鎖配列の可変領域(すなわち、重鎖可変領域すなわちHCVR、及び軽鎖可変領域すなわちLCVR)を表し、一方太字の配列は、CDR領域(すなわち、当該重鎖または軽鎖配列の、N末端からC末端に向けて、それぞれCDR1、CDR2、及びCDR3)を表す。
【0252】
一実施形態において、上記抗CD33抗体は、
【0253】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0254】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域、及び
【0255】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
【0256】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域を含む。
更に別の実施形態において、上記抗CD33抗体は、配列番号43の重鎖CDR1〜CDR3、及び/または配列番号44の軽鎖CDR1〜CDR3を含み、該抗CD33抗体は、好ましくは特異的にCD33に結合する。
【0257】
更に別の実施形態において、上記抗CD33抗体は、配列番号43に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の重鎖可変領域(HCVR)配列、及び/または配列番号44に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含み、該抗CD33抗体は、好ましくは特異的にCD33に結合する。
【0258】
別の実施形態において、上記ヒト化抗体は、本明細書に記載の抗葉酸受容体抗体である。別の詳細な実施形態において、上記抗体は、米国特許第8,577,966号に記載さ
れる抗葉酸受容体抗体である)。より詳細には、上記抗葉酸受容体抗体は、ヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。本明細書では、用語「ヒト葉酸受容体1」、「FOLR1」、または「葉酸受容体アルファ(FR−α)」とは、別段示されない限り、任意の天然のヒトFOLR1を指す。したがって、これらの用語の全ては、本明細書に示されるタンパク質または核酸配列のいずれかを指すことができる。用語「FOLR1」は「全長の」、処理されていないFOLR1及び当該細胞内での処理に由来する任意の形態のFOLR1を包含する。上記FOLR1抗体は、(a)GYFMN(配列番号45)を含む重鎖CDR1、RIHPYDGDTFYNQXaa
1FXaa
2Xaa
3(配列番号46)を含む重鎖CDR2、及びYDGSRAMDY(配列番号47)を含む重鎖CDR3、ならびに(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号48)を含む軽鎖CDR1、RASNLEA(配列番号49)を含む軽鎖CDR2、及びQQSREYPYT(配列番号50)を含む軽鎖CDR3を含み、但し、Xaa
1はK、Q、H、及びRから選択され、Xaa
2はQ、H、N、及びRから選択され、Xaa
3はG、E、T、S、A、及びVから選択される。上記重鎖CDR2配列はRIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号51)を含むことが好ましい。
【0259】
別の実施形態において、上記抗葉酸受容体抗体は、
【0260】
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
【0261】
のアミノ酸配列を有する重鎖を含むヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
別の実施形態において、上記抗葉酸受容体抗体は、2010年4月7日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−10772及びPTA−10773またはPTA−10774を有するプラスミドDNAによってコードされる、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0262】
別の実施形態において、上記抗葉酸受容体抗体は、
【0263】
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0265】
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
【0266】
のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
別の実施形態において、上記抗葉酸受容体抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号53または配列番号54のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。上記抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号54のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むことが好ましい(huFOLR1)。
【0267】
別の実施形態において、上記抗葉酸受容体抗体は、2010年4月7日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−10772及びPTA−10773または10774を有するプラスミドDNAによってコードされる、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0268】
別の実施形態において、上記抗葉酸受容体抗体は、上記ヒト葉酸受容体1に特異的に結合し、かつ
QVQLVQSGAEVVKPGASVKISCKASGYTFTGYFMNWVKQSPGQSLEWIGRIHPYDGDTFYNQKFQGKATLTVDKSSNTAHMELLSLTSEDFAVYYCTRYDGSRAMDYWGQGTTVTVSS(配列番号55)に少なくとも約90%、95%、99%、または100%同一の重鎖可変領域、及び
DIVLTQSPLSLAVSLGQPAIISCKASQSVSFAGTSLMHWYHQKPGQQPRLLIYRASNLEAGVPDRFSGSGSKTDFTLNISPVEAEDAATYYCQQSREYPYTFGGGTKLEIKR(配列番号56)、もしくは
DIVLTQSPLSLAVSLGQPAIISCKASQSVSFAGTSLMHWYHQKPGQQPRLLIYRASNLEAGVPDRFSGSGSKTDFTLTISPVEAEDAATYYCQQSREYPYTFGGGTKLEIKR(配列番号57)に少なくとも約90%、95%、99%、または100%同一の軽鎖可変領域を含む、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0269】
別の実施形態において、上記抗葉酸受容体抗体はhuMov19またはM9346Aである(例えば、米国特許第8,709,432号、米国特許第8,557,966号、及びWO2011106528を参照されたい。これらの全てが参照により本明細書に援用される)。
【0270】
特定の実施形態において、上記ヒト化抗体は、米国特許第8,765,917号に記載される抗CD37抗体(例えば、抗CD37−3)である。別の実施形態において、上記細胞結合剤は、米国特許第8,765,917号及びWO2011/112978に記載されるものなどの、抗CD37抗体またはその抗原結合フラグメントであり、上記文献は参照により本明細書に援用される。一実施形態において、上記抗CD37抗体はhuCD37−3抗体である。
【0271】
一実施形態において、上記CD37抗体は、
【0272】
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0273】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域及び
【0274】
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
【0275】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域、または
【0276】
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0277】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域を含む。
別の実施形態において、上記CD37抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域及び配列番号59に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域を含む。
【0278】
更に別の実施形態において、上記CD37抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域及び配列番号60に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域を含む。
【0279】
更に別の実施形態において、上記抗CD37抗体は、配列番号59もしくは60の重鎖CDR1〜CDR3、及び/または配列番号58の軽鎖CDR1〜CDR3を含み、該抗CD37抗体は、好ましくは特異的にCD37に結合する。
【0280】
更に別の実施形態において、上記抗CD37抗体は、配列番号59もしくは60に少なくとも約90%、95%、97%、99%、または100%同一の重鎖可変領域(HCVR)配列、及び/または配列番号58に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含み、該抗CD37抗体は、好ましくは特異的にCD37に結合する。
【0281】
更に別の実施形態において、上記抗CD37抗体は、
【0282】
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0283】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域及び
【0284】
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0285】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域を含む。
更に別の実施形態において、上記抗CD37抗体は、配列番号62の重鎖CDR1〜CDR3、及び/または配列番号61の軽鎖CDR1〜CDR3を含み、該抗CD37抗体は、好ましくは特異的にCD37に結合する。
【0286】
更に別の実施形態において、上記抗CD37抗体は、配列番号62に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の重鎖可変領域(HCVR)配列、及び/または配列番号61に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含み、該抗CD37抗体は、好ましくは特異的にCD37に結合する。
【0287】
更に別の実施形態において、上記抗CD37抗体はhuCD37−50抗体である。
特定の実施形態において、上記ヒト化抗体は、米国特許第8,790,649号に記載される抗EGFR抗体である。別の実施形態において、上記抗体は抗EGFR抗体である。一実施形態において、上記抗EGFR抗体は、例えば、WO2012058592に記載される抗体を始めとする、非アンタゴニスト抗体であり、上記文献は参照により本明細書に援用される。別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、非機能性抗体、例えば、ML66またはEGFR−8である。より詳細には、上記抗EGFR抗体はhuML66である。全てのこれらの出願の教示は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0288】
更に別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、配列番号63のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号64のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0289】
【表1-1】
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【0290】
更に別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、配列番号63の重鎖CDR1〜CDR3、及び/または配列番号64の軽鎖CDR1〜CDR3を含み、該抗EGFR抗体は、好ましくは特異的にEGFRに結合する。
【0291】
更に別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、配列番号63に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の重鎖可変領域(HCVR)配列、及び/または配列番号64に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含み、該抗EGFR抗体は、好ましくは特異的にEGFRに結合する。
【0292】
別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、8,790,649及びWO2012/058588に記載される抗体であり、該文献は参照により本明細書に援用される。一実施形態において、上記抗EGFR抗体はhuEGFR−7R抗体である。
【0293】
一実施形態において、上記抗EGFR抗体は、
【0294】
【化73】
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【0295】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域及び
【0296】
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
【0297】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域、または
【0298】
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
【0299】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域を含む。
別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、配列番号65に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域及び配列番号66に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域を含む。
【0300】
別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、配列番号65に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域及び配列番号67に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域を含む。
【0301】
更に別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、配列番号65の重鎖CDR1〜CDR3、及び/または配列番号66もしくは67の軽鎖CDR1〜CDR3を含み、該抗EGFR抗体は、好ましくは特異的にEGFRに結合する。
【0302】
更に別の実施形態において、上記抗EGFR抗体は、配列番号65に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の重鎖可変領域(HCVR)配列、及び/または配列番号66もしくは67に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含み、該抗EGFR抗体は、好ましくは特異的にEGFRに結合する。
【0303】
別の実施形態において、上記細胞結合剤は、米国特許第8,435,528号及びWO2004/103272に記載されるものなどの抗CD19抗体であり、該文献は参照により本明細書に援用される。一実施形態において、上記CD19抗体は、
【0304】
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
【0305】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域及び
【0306】
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0307】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域を含む。
別の実施形態において、上記抗CD19抗体はhuB4抗体である。
更に別の実施形態において、上記抗CD19抗体は、配列番号68の重鎖CDR1〜CDR3、及び/または配列番号69の軽鎖CDR1〜CDR3を含み、該抗CD19抗体は、好ましくは特異的にCD19に結合する。
【0308】
更に別の実施形態において、上記抗CD19抗体は、配列番号68に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の重鎖可変領域(HCVR)配列、及び/または配列番号69に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含み、該抗CD19抗体は、好ましくは特異的にCD19に結合する。
【0309】
別の実施形態において、上記細胞結合剤は、米国特許第7,834,155号、WO2005/009369及びWO2007/024222に記載されるものなどの抗Muc1抗体であり、該文献は参照により本明細書に援用される。一実施形態において、上記Muc1抗体は、
【0310】
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0311】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域、及び
【0312】
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0313】
のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域を含む。
別の実施形態において、上記抗Muc1抗体はhuDS6抗体である。
更に別の実施形態において、上記抗Muc1抗体は、配列番号70の重鎖CDR1〜CDR3、及び/または配列番号71の軽鎖CDR1〜CDR3を含み、該抗Muc1抗体は、好ましくは特異的にMuc1に結合する。
【0314】
更に別の実施形態において、上記抗Muc1抗体は、配列番号70に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の重鎖可変領域(HCVR)配列、及び/または配列番号71に少なくとも約90%、95%、97%、99%、もしくは100%同一の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含み、該抗Muc1抗体は、好ましくは特異的にMuc1に結合する。
【0315】
特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、表面再構成された抗体、表面再構成された単鎖抗体、表面再構成された抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)、または二重特異性抗体である。
【0316】
特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、ミニボディ、avibody、ダイアボ
ディ、トリボディ、テトラボディ、ナノボディ、probody、ドメイン抗体、またはunibodyである。
【0317】
換言すると、代表的な細胞結合剤としては、抗体、単鎖抗体、標的細胞に特異的に結合する抗体フラグメント、モノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体フラグメント、キメラ抗体、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体フラグメント、二重特異性抗体、ドメイン抗体、標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体フラグメント、インターフェロン、リンホカイン(例えば、IL−2、IL−3、IL−4、及びIL−6)、ホルモン(例えば、インスリン、チロトロピン放出ホルモン、メラニン形成細胞刺激ホルモン、及びステロイドホルモン(例えば、アンドロゲン及びエストロゲン))、ビタミン(例えば、葉酸塩)、成長因子(例えば、EGF、TGF−アルファ、FGF、VEGF)、コロニー刺激因子、栄養輸送分子(例えば、トランスフェリン。O’Keefe et al.(1985)J.Biol.Chem.260:932−937を参照されたい。該文献は参照により本明細書に援用される)、Centyrin(フィブロネクチンIII型(FN3)リピートのコンセンサス配列に基づくタンパク質スキャフォールド。参照により本明細書に援用される米国特許公開2010/0255056、2010/0216708及び2011/0274623を参照のこと)、アンキリンリピートタンパク質(例えば、DARPinとして知られる、設計されたアンキリンリピートタンパク質。参照により本明細書に援用される米国特許公開第2004/0132028号、第2009/0082274号、第2011/0118146号、及び第2011/0224100号、また参照により本明細書に援用されるC.Zahnd et al.,Cancer Res.(2010)70:1595−1605、Zahnd et al.,J.Biol.Chem.(2006)281(46):35167−35175、及びBinz,H.K.,Amstutz,P. & Pluckthun,A.,Nature Biotechnology(2005)23:1257−1268も参照のこと)、アンキリン様リピートタンパク質または合成ペプチド(例えば、参照により本明細書に援用される米国特許公開第2007/0238667号、米国特許公開第7,101,675号、WO2007/147213、及びWO2007/062466を参照のこと)、アドネクチン(フィブロネクチンドメインスキャフォールドタンパク質。参照により本明細書に援用される米国特許公開第2007/0082365号、第2008/0139791号を参照のこと)、Avibody(ダイアボディ、トライアボディ、及びテトラボディを含む。米国公開第2008/0152586号及び第2012/0171115号を参照のこと)、ならびに他の細胞結合分子または物質を挙げることができる。
【0318】
特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、細胞表面受容体などの、標的細胞上の部分に結合するリガンドであってもよい。例えば、上記リガンドは、成長因子受容体に結合する成長因子もしくはそのフラグメントであってもよく、またはサイトカイン受容体に結合するサイトカインもしくはそのフラグメントであってもよい。特定の実施形態において、上記成長因子受容体またはサイトカイン受容体は細胞表面受容体である。
【0319】
上記細胞結合剤が抗体もしくはその抗原結合部分(抗体誘導体を含む)、または特定の抗体模倣体である特定の実施形態において、上記CBAは、細胞表面受容体を始めとする細胞表面リガンドなどの、標的細胞上のリガンドに結合してもよい。
【0320】
具体的な代表的な抗原またはリガンドとしては、レニン、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモン)、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、アルファ−1−アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、凝固因子(例えば、因子vmc、因子IX、組織因子、及びフォン・ウィ
ルブランズ因子)、反凝固因子(例えば、タンパク質C)、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性剤、プラスミノゲン活性剤(例えば、ウロキナーゼ、ヒトの尿または組織型プラスミノゲン活性化因子)、ボンベシン、トロンビン、造血成長因子、腫瘍壊死因子アルファ及びベータ、エンケファリナーゼ、ランテス(RANTES)(すなわち、regulated on activation normally T−cell expressed and secreted)、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質−1−アルファ、血清アルブミン(ヒト血清アルブミン)、ミュラー管抑制因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド、微生物タンパク質(ベータラクタマーゼ)、DNアーゼ、IgE、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(例えば、CTLA−4)、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン類または成長因子に対する受容体、タンパク質AまたはD、リウマチ因子、神経組織栄養因子(例えば、骨由来神経組織栄養因子、ニューロトロフィン−3、−4、−5または−6)、神経成長因子(例えば、NGF−β)、血小板由来成長因子、線維芽細胞成長因子(例えば、aFGF及びbFGF)、線維芽細胞成長因子受容体2、上皮細胞成長因子、トランスフォーミング成長因子(例えば、TGF−アルファ、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4、及びTGF−β5)、インスリン様成長因子−I及び−II、des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インスリン様成長因子結合タンパク質、メラノトランスフェリン、EpCAM、GD3、FLT3、PSMA、PSCA、MUC1、MUC16、STEAP、CEA、TENB2、EphA受容体、EphB受容体;葉酸受容体、FOLR1、メソセリン、cripto、α
vβ
6、インテグリン、VEGF、VEGFR、EGFR、トランスフェリン受容体、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、IRTA5、CDタンパク質(例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD8、CD11、CD14、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD26、CD28、CD30、CD33、CD36、CD37、CD38、CD40、CD44、CD52、CD55、CD56、CD59、CD70、CD79、CD80.CD81、CD103、CD105、CD123、CD134、CD137、CD138、及びCD152)、1種または複数種の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体(米国公開第20080171040号または米国公開第20080305044号を参照されたい。これらの特許文献はそれらの全体が参照により本明細書に援用される)、エリスロポエチン、骨誘導因子、免疫毒素、骨形成タンパク質、インターフェロン(例えば、インターフェロン−α、β、及びγ)、コロニー刺激因子(例えば、M−CSF、GM−CSF、及びG−CSF)、インターロイキン(例えば、IL−1〜IL−10)、スーパーオキシドジスムターゼ、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原s(例えば、HIVエンベロープのタンパク質)、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、調節タンパク質、インテグリン(例えば、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA−4、及びVCAM)、腫瘍関連抗原(例えば、HER2、HER3及びHER4受容体)、エンドグリン、c−Met、c−kit、1GF1R、PSGR、NGEP、PSMA、PSCA、TMEFF2、LGR5、B7H4、ならびに上記ポリペプチドのいずれかのフラグメントを挙げることができる。
【0321】
本明細書では、用語「抗体」は免疫グロブリン(Ig)分子を包含する。特定の実施形態において、上記抗体は、4のポリペプチド、すなわち、ジスルフィド結合によって相互に結合した2の重鎖(HC)及び2の軽鎖(LC)を含む全長の抗体である。各重鎖は重鎖可変領域(HCVRまたはVH)及び重鎖定常領域(CH)から構成される。上記重鎖定常領域は3のドメイン、CH1、CH2、及びCH3から構成される。各軽鎖は軽鎖可変領域(LCVRまたはVL)及び軽鎖定常領域から構成され、該軽鎖定常領域は1のドメイン、CLから構成される。上記VH及びVL領域は更に、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域へと細分化することができる。より保存されたフレームワーク領域(FR)にかかる領域が散在する。各VH及びVLは3のCDR及び4のFRから構
成され、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて以下の順、すなわち、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4に配置される。
【0322】
特定の実施形態において、上記抗体はIgG、IgA、IgE、IgD、またはIgMである。特定の実施形態において、上記抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4、またはIgA1もしくはIgA2である。
【0323】
特定の実施形態において、上記細胞結合剤は、抗原結合に対して重要な配列を、(参照により本明細書に援用される米国特許第7,342,110号及び第7,557,189号に記載されるhuMy9−6またはその関連する抗体など)抗体と共有するモノクローナル抗体の「抗原結合部分」である。
【0324】
本明細書では、抗体の「抗原結合部分」(または場合により同義で「抗体フラグメント」と呼ばれる)とう用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1種または複数種のフラグメントを包含する。抗体の抗原結合機能は、全長の抗体の特定のフラグメントによって実現されることが明らかになっている。抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含される結合フラグメントの例としては、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる1価のフラグメントであるFabフラグメント(例えば、パパインによって消化された抗体は、3のフラグメント、すなわち、2の抗原結合Fabフラグメント、及び1の抗原に結合しないFcフラグメントを生じる)、(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって結合された2のFabフラグメントを含む2価のフラグメントであるF(ab’)
2フラグメント(例えば、ペプシンによって消化された抗体は、2のフラグメント、すなわち、2価の抗原結合F(ab’)
2フラグメント、及び抗原に結合しないpFc’フラグメントを生じる)及びその関連するF(ab’)の1価のユニット、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント(すなわち、Fab中に含まれる重鎖の部分)、(iv)抗体の単一のアームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント、及び関連するジスルフィドで結合されたFv、(v)VHドメインからなる、dAb(ドメイン抗体)またはsdAb(単一ドメイン抗体)フラグメント(Ward et al.,Nature 341:544−546,1989)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる((これらに限定されない)。特定の実施形態において、上記抗原結合部分はsdAb(単一ドメイン抗体)である。
【0325】
特定の実施形態において、抗原結合部分はまた、天然に存在する抗体には存在し得ない要素もしくは配列に加えて、抗原に特異的に結合する能力を保持した抗体の、1または複数のフラグメントを含む特定の操作されたまたは組換え誘導体(すなわち「派生的抗体」)も包含する。
【0326】
例えば、上記Fvフラグメント、VL及びVHの上記2のドメインは別個の遺伝子によってコードされるが、標準的な組換え方法を用いて、該ドメインを、当該のVL領域とVH領域とが対をなして1価の分子(単鎖Fv(scFv)として知られる。例えば、Bird et al.Science 242:423−426,1988、及びHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883,1988を参照のこと)を形成している単一のタンパク質鎖とすることを可能にする合成リンカーによって、これらのドメインを連結することができる。
【0327】
本明細書に記載の全ての実施形態において、scFvの上記N末端は、VHドメイン(すなわち、N−VH−VL−C)、またはVLドメイン(すなわち、N−VL−VH−C)であってよい。
【0328】
2価の(divalent)(または二価の(bivalent))単鎖可変フラグメ
ント(di−scFv、bi−scFv)を、2のscFvを結合することによって操作することができる。これによって2のVH領域及び2のVL領域を有する単一のペプチド鎖が生成され、タンデムscFv(tascFv)が得られる。3以上のscFvを頭−尾様式で結合することによって、tri−scFvなどのより多くのタンデムリピートを同様に生成させることができる。
【0329】
特定の実施形態において、scFvを、当該2の可変領域が共に折り畳まれるには短過ぎる(約5のアミノ酸)リンカーペプチドによって結合させて、scFvを二量化させ、ダイアボディを形成させることができる(例えば、Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448,1993、Poljak et al.,Structure 2:1121−1123,1994を参照のこと)。ダイアボディは二重特異性であってもまたは単一特異性であってもよい。ダイアボディの解離定数は、相当するscFvよりも最大で40分の1にもなること、すなわち、標的に対する親和性が更によりことが明らかになっている。
【0330】
更に短いリンカー(1または2のアミノ酸)を用いると、三量体、すなわちいわゆるトライアボディまたはトリボディが生成される。テトラボディも同様にして生成している。これらは、その標的に対してダイアボディよりも一層高い親和性を示す。ダイアボディ、トライアボディ、及びテトラボディは、場合によりまとめて「AVIBODY(商標)」細胞結合剤(または短縮して「AVIBODY」)と呼ばれる。すなわち、2、3、または4の標的結合領域(TBR)を有するAVIBODYは、一般的に、ダイアボディ、トライアボディ、及びテトラボディとして知られる。詳細については、例えば、米国公開第2008/0152586号及び同第2012/0171115号を参照されたい。これらの全体の教示は参照により本明細書に援用される。
【0331】
これらの形式の全てを、2以上の異なる抗体に対する特異性を有する可変フラグメントから構成することができ、その場合には、これらは二重または多重特異性抗体型である。例えば、特定の二重特異性タンデムdi−scFvは、二重特異性T細胞エンゲイジャー(bi−specific T−cell engager)(BiTE)として知られる。
【0332】
特定の実施形態において、上記タンデムscFvまたはダイアボディ/トライアボディ/テトラボディ中のそれぞれのscFvは、同一または異なる結合特異性を有していてもよく、かつそれぞれが独立にN末端VHまたはN末端VLを有していてもよい。
【0333】
単鎖Fv(scFv)はまた、ヒトIgG Fc部分などのFc部分と融合して、IgG様の特性を得ることができるが、それにもかかわらず、これらは依然として単一の遺伝子によってコードされる。哺乳動物における、かかるscFv−Fcタンパク質の一過性の産生はミリグラム量を容易に達成できることから、この派生的抗体形式は多くの研究用途に特に好適である。
【0334】
Fcabは、抗体のFc定常領域から操作された抗体フラグメントである。Fcabは可溶なタンパク質として発現されることができ、またはIgGなどの全長の抗体へと操作によって戻し、mAb2を創出することができる。mAb2は、通常のFc領域の代わりにFcabを有する全長の抗体である。mAb2二重特異性モノクローナル抗体は、これらの付加された結合部位によって、2の異なる標的に同時に結合することができる。
【0335】
特定の実施形態において、上記操作された抗体誘導体では、機能に対して必須ではないと見なされたドメインを除去することによって生成した抗原結合Ig由来の組換えタンパク質の大きさが縮小している(フルサイズmAbの「小型化」)。最良の例の1つはSM
IPである。
【0336】
小モジュラー免疫薬、すなわちSMIPは、大部分が抗体(免疫グロブリン)の一部から構築された人工タンパク質であり、医薬としての使用が意図される。SMIPは抗体と同様の生物学的半減期を有するが、抗体よりも小さく、それ故により良好な組織浸透性を有することができる。SMIPは、1の結合領域、連結子としての1のヒンジ領域、及び1のエフェクタドメインを含む単鎖タンパク質である。上記結合領域は修飾単鎖可変フラグメント(scFv)を含み、当該タンパク質の残余は、Fc(エフェクタドメインとしてのCH2、及びCH3など)及びIgG1などの抗体のヒンジ領域から構築することができる。遺伝子的に修飾された細胞が、実際の抗体よりも約30%小さい抗体様二量体としてのSMIPを産生する。
【0337】
かかる操作された小型化抗体の別の例は、「unibody」であり、このunibodyにおいては、ヒンジ領域がIgG4分子から除去されている。IgG4分子は不安定であり、軽鎖−重鎖ヘテロ二量体を相互に交換することができる。ヒンジ領域を除去することによって、重鎖−重鎖の対合が完全に防止され、高度に特異的な1価の軽鎖/重鎖ヘテロ二量体が残る一方で、イン・ビボでの安定性及び半減期を確保するFc領域が保持される。
【0338】
単一ドメイン抗体(sdAb、Ablynxによるナノボディと呼ばれるものが含まれるが、これらに限定されない)は、単一の単量体の可変抗体ドメインからなる抗体フラグメントである。この単一ドメイン抗体は、全抗体と同様に、特定の抗原に選択的に結合することができるが、その分子量が12〜15kDaにすぎないため、大幅に小さい。特定の実施形態において、上記単一ドメイン抗体は重鎖抗体(hcIgG)から操作される。最初のかかるsdAbは、V
HHフラグメントと呼ばれる、ラクダ科の動物に存在するhcIgGに基づいて操作された。特定の実施形態において、上記記単一ドメイン抗体は、V
NARフラグメントを用いて、IgNAR(「免疫グロブリン新抗原受容体」、後述を参照のこと)から操作される。軟骨魚類(サメなど)がかかる重鎖IgNAR抗体を有する。特定の実施形態において、上記sdAbは、ヒトまたはマウス由来のものなどの、一般的な免疫グロブリンG(IgG)由来の二量体の可変ドメインを単量体へと分割することによって操作される。特定の実施形態において、ナノボディは重鎖可変ドメインに由来する。特定の実施形態において、ナノボディは軽鎖可変ドメインに由来する。特定の実施形態において、上記sdAbは、単一ドメイン重鎖配列(例えば、ヒト単一ドメインHC)のライブラリを標的抗原に対する結合剤に関してスクリーニングすることによって得られる。
【0339】
上記単一可変新抗原受容体ドメイン抗体フラグメント(V
NAR、またはV
NARドメイン)は、軟骨魚類(例えばサメ)の免疫グロブリン新抗原受容体抗体(IgNAR)に由来する。かかる単一ドメインタンパク質は、公知の最小の免疫グロブリンに基づくタンパク質スキャフォールドの1つであり、有利な大きさ及び潜在的なエピトープ認識特性を示す。成熟したIgNAR抗体は、1の可変新抗原受容体(V
NAR)ドメイン及び5の定常新抗原受容体(C
NAR)ドメインのホモ二量体からなる。この分子は非常に安定であり、効率的な結合特性を有する。その固有の安定性は、(i)マウス抗体中に存在する従来の抗体VH及びVLと比較して相当数の荷電したかつ親水性の、表面に露出した残基を示す、基礎をなすIgスキャフォールド、ならびに(ii)ループ間ジスルフィド架橋、及び複数のパターンのループ内水素結合を含む、相補性決定領域(CDR)ループにおける安定化する構造上の特徴の両方に起因し得ると考えられる。
【0340】
ミニボディは、CH3γ1(IgG1のCH3ドメイン)またはCH4ε(IgG1のCH4ドメイン)などのCHドメインに結合したscFvを含む操作された抗体フラグメ
ントである。例えば、癌胎児抗原(CEA)に対して特異的なscFvをCH3γ1に結合させてミニボディを創出するが、このミニボディは、イン・ビボでの迅速な排出と相まって、優れた腫瘍指向性を有することが以前から実証されている(Hu et al.,Cancer Res.56:3055−3061,1996)。上記scFvはN末端VHまたはVLを有していてもよい。上記結合は、非共有結合性の、ヒンジなしのミニボディをもたらす短いペプチド(例えば、ValGluなどの2のアミノ酸のリンカー)であってよい。代替として、上記結合は、共有結合性のヒンジ−ミニボディを生成する、IgG1ヒンジ及びGlySerリンカーペプチドであってもよい。
【0341】
天然の抗体は単一特異性であるが、2の同一の抗原結合ドメインを発現するという点では2価である。対照的に、特定の実施形態において、特定の操作された抗体誘導体は、それぞれが異なる標的特異性を有する、2以上の異なる抗原結合ドメインを有する二重または多重特異性分子である。二重特異性抗体は、それぞれが異なる特異性を有する、抗体を産生する2種の細胞を融合することによって生成させることができる。これらの「クアドローマ」は、当該クアドローマ中で、上記2種の異なる軽鎖及び2種の異なる重鎖が多様な配置で自由に組換えられたことから、多様な分子種を産生した。それ以来、二重特異性のFab、scFv及びフルサイズのmAbが、種々の技術を用いて生成されている(上記を参照のこと)。
【0342】
二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD−Ig)タンパク質は、同時に2の抗原/エピトープを標的とする二重特異性IgGの一種である(DiGiammarino et
al.,Methods Mol Biol.899:145−56,2012)。当該分子は従来のIgGと同様の配置でFc領域及び定常領域を含有する。しかし、このDVD−Igタンパク質は、当該分子のそれぞれのアームが2の可変ドメイン(VD)を含有するという点で独特である。アーム内の上記VDはタンデムで結合し、異なる結合特異性を有することができる。
【0343】
DuoBody(登録商標)は、二重特異性の修飾IgG1抗体ヘテロ二量体である。IgG1ヒンジ領域は一般的に、(i)CPPC配列を含有し、イン・ビボでFabアームを交換させる安定なヒンジ領域、及び(ii)F405L及びK409R残基を含有するように修飾され、当該ヒンジ領域に、Fabアームを交換させるIgG4様CH3ドメインを含む(例えば、WO2008119353及びWO2011131746を参照のこと)。
【0344】
三重特異性抗体誘導体分子もまた、例えば、2の異なるFab及び1のFcを有する二重特異性抗体を発現させることによって生成させることができる。1つの例は、BiUIIと呼ばれるマウスIgG2抗Ep−CAM、ラットIgG2b抗CD3クアドローマであり、これは、Ep−CAMを発現する腫瘍細胞、CD3を発現するT細胞、及びFCγRIを発現するマクロファージが共局在することを可能にし、したがって上記免疫細胞の同時刺激機能及び抗腫瘍機能を増強すると考えられる。
【0345】
Probodyは、健全な組織においては不活性のままであるが、疾患の微小環境においては特異的に活性化される(例えば、疾患の微小環境中で富化されまたは特異的なプロテアーゼによるプロテアーゼ開裂によって)、完全に組換えの、マスクされたモノクローナル抗体である。Desnoyers et al,Sci.Transl.Med.,5:207ra144,2013を参照されたい。同様のマスキング技法を、本明細書に記載の抗体またはそれらの抗原結合部分のいずれかに対して用いることができる。
【0346】
細胞内発現抗体は、細胞内で作用して細胞内抗原に結合するように、細胞内の局在化に向けて修飾された抗体である。上記細胞内発現抗体は細胞質中にとどまってもよく、また
は核局在化シグナルを有していてもよく、またはER指向性のためのKDEL配列を有していてもよい。上記細胞内発現抗体は、単鎖抗体(scFv)、超安定性を有する修飾免疫グロブリンVLドメイン、より還元性の細胞内環境に抵抗性であるか、またはマルトース結合タンパク質もしくは他の安定な細胞内タンパク質との融合タンパク質として発現される選択された抗体であってもよい。かかる最適化は、細胞内発現抗体の安定性及び構造を向上させており、また本明細書に記載のいずれかの抗体またはそれらの抗原結合部分に対する一般的な適応性を有する。
【0347】
本発明の抗原結合部分または派生的抗体は、それらが誘導される/操作される基となる抗体と比較して実質的に同様のまたは同一の、(1)軽鎖及び/もしくは重鎖CDR3領域、(2)軽鎖及び/もしくは重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3領域、または(3)軽鎖及び/もしくは重鎖領域を有していてもよい。これらの領域内の配列は、CDR領域内の置換を始めとする保存的なアミノ酸の置換を含んでいてもよい。特定の実施形態において、1、2、3、4、または5以下の保存的な置換が存在する。代替として、上記抗原結合部分または派生的抗体は、軽鎖領域及び/または重鎖領域であって、それらが誘導される/操作される基となる抗体に少なくとも約90%、95%、99%または100%同一の上記領域を有する。これらの抗原結合部分または派生的抗体は、当該抗体と比較して、実質的に同様の標的抗原に対する結合特異性及び/または親和性を有していてもよい。特定の実施形態において、上記抗原結合部分または派生的抗体のK
d及び/またはK
off値は、本明細書に記載の抗体の、10倍以内もしくは10分の1以内、5倍以内もしくは5分の1以内、3倍以内もしくは3分の1以内、または2倍以内もしくは2分の1以内である。
【0348】
特定の実施形態において、上記抗原結合部分または派生的抗体は、完全にヒトの抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体から誘導/操作されてもよく、本技術分野で認知された任意の方法に従って製造されてもよい。
【0349】
モノクローナル抗体技法は、特定のモノクローナル抗体の形態の極めて特異的な細胞結合剤の製造を可能にする。そのままの(intact)標的細胞、標的細胞から単離された抗原、全ウイルス(whole virus)、弱毒化した全ウイルス、及びウイルスコートタンパク質などのウイルスタンパク質などの対象とする抗原を用いて、マウス、ラット、ハムスターまたは任意の他の動物を免疫化することによって産生されるモノクローナル抗体の創生技法が本技術分野において特に周知である。増感させたヒト細胞もまた用いることができる。別のモノクローナル抗体の創生方法は、scFv(単鎖可変領域)、特にはヒトscFvのファージライブラリの使用である(例えば、Griffiths et al.,米国特許第5,885,793号及び同第5,969,108号、McCafferty et al.,WO92/01047、Liming et al.,WO99/06587を参照のこと)。また、米国特許第5,639,641号に開示される表面再構成された抗体もまた、キメラ抗体及びヒト化抗体として用いられてもよい。
【0350】
細胞結合剤はまた、ファージディスプレイ法(例えば、Wang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2011)108(17),6909−6914を参照のこと)またはペプチドライブラリ技法(例えば、Dane et al.,Mol.Cancer.Ther.(2009)8(5):1312−1318を参照のこと)に由来するペプチドであってもよい。
【0351】
特定の実施形態において、本発明のCBAとしてはまた、DARPin、アフィボディ、アフィリン、アフィチン、アンチカリン、アビマー、Fynomer、クーニッツドメインペプチド、モノボディ、またはナノフィチンなどの抗体模倣体が挙げられる。
【0352】
本明細書では、用語「DARPin」及び「(設計された)アンキリンリピートタンパク質」は同義で用いられ、一般的には優先的な(場合により特異的な)標的結合を示す、特定の遺伝子操作された抗体模倣体タンパク質を指す。上記標的は、タンパク質、炭水化物、または他の化学成分であってよく、その結合親和性は非常に高くなり得る。上記DARPinは、天然のアンキリンリピートを含有するタンパク質に由来してもよく、好ましくは少なくとも3の、通常は4または5の、これらのタンパク質のアンキリンリピートモチーフ(一般的には、各アンキリンリピートモチーフ中に約33残基)からなる。特定の実施形態において、DARPinは約4または5のリピートを含有し、それぞれ約14または18kDaの分子量を有してもよい。リボソームディスプレイまたはシグナル識別粒子(SRP)ファージディスプレイなどの種々の技術を用いて、ピコモル量の親和性及び特異性で、(例えば、受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト、インバースアゴニスト、酵素阻害因子、または単なる標的タンパク質結合剤として作用する)所望の標的に結合するDARPinの選択に用いるために、10
12を超える変異体の多様性を有する無作為化された潜在的な標的相互作用残基を伴うDARPinのライブラリを、DNAレベルで作成することができる。DARPinの調製に関しては、例えば、米国特許公開第2004/0132028号、同第2009/0082274号、同第2011/0118146号、及び同第2011/0224100号、WO02/20565及びWO06/083275(これらの全体の教示が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。またC.Zahnd et al.、(2010)Cancer Res.,70:1595−1605、Zahnd et al.,(2006)J.Biol.Chem.,281(46):35167−35175、及びBinz,H.K.,Amstutz,P.&Pluckthun,A.(2005)Nature Biotechnology,23:1257−1268(全て参照により本明細書に援用される)も参照されたい。また、関連するアンキリン様リピートタンパク質または合成ペプチドに関しては、米国特許公開第2007/0238667号、米国特許第7,101,675号、WO2007/147213、及びWO2007/062466(これらの全体の教示が参照により本明細書に援用される)も参照されたい。
【0353】
アフィボディ分子は、高い親和性で多数の標的タンパク質またはペプチドに結合するように操作された小タンパク質であり、したがって、モノクローナル抗体に類似する。アフィボディは58のアミノ酸を有する3のアルファヘリックスからなり、約6kDaのモル質量を有する。これらは高温(90℃)または酸性もしくはアルカリ性条件(pH2.5またはpH11)に耐え、ナノモル量以下の範囲まで低下した親和性を有する結合剤が、ナイーブライブラリの選択から得られており、ピコモル量の親和性を有する結合剤が、親和性成熟の結果として得られている。特定の実施形態において、アフィボディは、標的と共有結合するために、弱い求電子剤と複合体化される。
【0354】
モノボディ(アドネクチンとしても知られる)は、抗原に結合することができる、遺伝子操作された抗体模倣体タンパク質である。特定の実施形態において、モノボディは94のアミノ酸からなり、約10kDaの分子量を有する。これらはヒトフィブロネクチン、より詳細にはその10番目の細胞外III型ドメインの構造に基づいており、該ドメインは、抗体可変ドメインに類似する構造を有し、バレルを形成する7のベータシート及び3の相補性決定領域に相当する各側上の露出した3のループを有する。ループBC(第2のベータシートと第3のベータシートとの間)及びFG(第6のシートと第7のシートとの間)を修飾することによって、異なるタンパク質に対する特異性を有するモノボディを調整することができる。
【0355】
トリボディは、マウス及びヒトの軟骨基質タンパク質(CMP)のC末端コイルドコイル領域に基づいて設計された自己組織化抗体模倣体であり、パラレル三量体複合体へと自己組織化する。トリボディは、特異的な標的結合部分をCMPに由来する三量化ドメイン
と融合させることによって創生される非常に安定な三量体ターゲティングリガンドである。得られる融合タンパク質は、明確に定義された高い安定性を有するパラレルホモ三量体へと効率的に自己組織化することができる。該三量体ターゲティングリガンドの表面プラズモン共鳴(SPR)分析によって、相当する単量体と比較して、標的結合強度が有意に向上することが実証された。細胞の結合に関する試験により、かかるトリボディは、それらのそれぞれの受容体に対する優れた結合強度を有することが確認された。
【0356】
Centyrinは、コンセンサスFN3ドメイン配列のフレームワーク上に構築されたライブラリを用いて得ることができる別の抗体模倣体である(Diem et al.,Protein Eng.Des.Sel.,2014)。このライブラリは、FN3ドメインのC鎖、CDループ、F鎖、及びFGループ内の多様な位置を用いており、特定の標的に対して高親和性Centyrin変異体を選択することができる。
【0357】
N末端Ser/Thrの導入及びそれに続くアルデヒドと反応する基との反応のためのアルデヒド基への酸化のための全ての方法を、例えば、centyrin、Darpin、Avibody、アドネクチン、抗体フラグメント、ミニボディ、ダイアボディ、トリボディ、テトラボディ、ナノボディ、probody、duobody、domain bodyまたはunibody等を含む、抗体である細胞結合剤及び抗体ではない細胞結合剤に適用することができる。
【0358】
後述の特定の例は種々のヒト化抗CD123抗体に言及しているが、ここでかかる抗体の命名法を簡単に説明する。1つの類別のhuCD123−6抗体は、マウス抗CD123抗体であるmuCD123−6の重鎖及び軽鎖由来の6CDRをグラフト化することによってヒト化される。これらの抗体においては、文字「G」がクローンの表示(例えば、huCD123−6)の直後に続き、次いでその後にヒト軽鎖及び重鎖可変領域配列の起源を指定するバージョン番号が続く。したがって、huCD123−6Gv4.6は、ヒト軽鎖可変領域Gv4及び重鎖可変領域Gv6上への、相当するmuCDR123−6抗体由来の6CDR領域のグラフト化(「G」)に基づくヒト化CD123抗体を指す。同様に、−Gv4.7はヒト軽鎖可変領域Gv4及び重鎖可変領域Gv7を含む。
【0359】
別の類別のhuCD123−6抗体が表面再構成(resurfacing)の方法によってヒト化される。表面再構成された重鎖配列huCD123−6rhv1.1及び表面再構成された軽鎖配列huCD123−6rlv1.0を有する表面再構成された抗体は、huCD123−6Rv1.1である。
【0360】
本明細書では、NTS#2または略した「S2」とは、重鎖のN末端に操作されたSerを有する抗体を指す。したがって、huCD123−6Gv4.7抗体の上記S2変異体は、huCD123−6Gv4.7S2と表示される。同様に、NTS#3または略した「S3」とは、軽鎖のN末端に操作されたSerを有する抗体を指す。huCD123−6Gv4.7抗体の上記S3変異体は、huCD123−6Gv4.7S3と表示される。
【0361】
操作されたN末端Ser(S2またはS3のいずれか)を含む抗体が、酸化されたN末端Serを介して細胞毒性薬物/細胞毒性剤と複合体化される場合には、当該の複合体の名称は「SeriMab」という表示を含む。例えば、huCD123−6Gv4.7S3−SeriMab−D8とは、軽鎖上の酸化されたN末端Serを介した、D8(D8またはsD8の構造については
図17を参照のこと)とヒト化CD123抗体huCD123−6Gv4.7S3との間の複合体を指す。
【0362】
「D8」及びそのスルホン化バージョン「sD8」ならびに関連する「D2」、「D1
」及びそのスルホン化バージョン「sD1」などの、実施例23〜30、ならびに
図17、18、22A〜24、26A〜26C、及び29で用いられる細胞毒性剤は、本主題の複合体における薬物分子「D」の一般式に従わない場合があるが、これらの細胞毒性剤の構造は関連する図及び本文に示される。
【0363】
特定のヒト化抗CD123抗体は、2015年6月29日出願の、「ANTI−CD123 ANTIBODIES AND CONJUGATES AND DERIVATIVES THEREOF」と題した発明の名称の米国仮出願第62/186,161号で説明され、該出願の全教示には、全てのタンパク質(例えば、抗体及びCDR、HCVR、LCVR、それらの全長のHC及びLC配列)ならびに核酸配列及び関連する配列番号、特に1または複数の操作されたN末端Ser/Thr残基を有するCD123−SerMabのものが含まれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
細胞毒性剤
第3の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の細胞結合剤に共有結合して、本発明の複合体を形成することができる細胞毒性剤(D’によって表される)を提供する。
【0364】
一実施形態において、上記細胞毒性剤はメイタンシノイドである。より詳細には、細胞毒性剤D’は以下の構造式
【0365】
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
【0366】
(式中、上記変数は上記第1の実施形態の第5の詳細な実施形態中の式(D1)に対して説明されるとおりのものである)によって表される。より詳細には、細胞毒性剤D’はDM1(D2’)またはDM4(D3’)
【0367】
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0368】
である。
別のより詳細な実施形態において、細胞毒性剤D’は以下の構造式
【0369】
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0370】
(式中、上記変数は上記第1の実施形態の第5の詳細な実施形態中の式(D4)に対して説明されるとおりのものである)によって表される。
更に別の詳細な実施形態において、細胞毒性剤D’は以下の構造式
【0371】
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0372】
によって表される。
別の詳細な実施形態において、細胞毒性剤D’は、アルデヒドと反応性の基を含むメイタンシノイド化合物であり、該化合物は上記細胞結合剤と直接結合することができる。より詳細には、上記メイタンシノイド化合物は以下の構造式
【0373】
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0374】
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【0375】
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
【0376】
によって表される。
別の実施形態において、上記細胞毒性剤はベンゾジアゼピン化合物である。代表的なベンゾジアゼピン化合物としては、米国特許第8,765,740号、同第8,426,402号、US2014/0088089、WO2011/130613、WO2011/130616、WO2010/091150、及びWO2009/016516に記載されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0377】
より詳細な実施形態において、細胞毒性剤D’は、以下の構造式
【0378】
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0379】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【0380】
によって表されるベンゾジアゼピン化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、上記変数は、上記第1の実施形態の第6の詳細な実施形態中の式(D6)〜(D17)に対して説明されるとおりのものである。
【0381】
より詳細な実施形態において、細胞毒性剤D’は、以下の構造式
【0382】
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0383】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、Yは−Hまたは−SO
3Mであり、MはH
+またはカチオンである。更により詳細には、Yは−SO
3Mであり、Mは、H
+、Na
+またはK
+である。
【0384】
別のより詳細な実施形態において、細胞毒性剤D’はアルデヒドと反応性の基を含むベンゾジアゼピン化合物であり、該化合物は上記細胞結合剤に直接結合することができる。より詳細には、上記ベンゾジアゼピン化合物は、以下の構造式
【0385】
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
【0386】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、
L
D’、L
D’’、及びL
D’’’の1つは以下の式
【0387】
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0388】
によって表され、
他の2つは同一であるかまたは異なり、−H、1〜10の炭素原子を有する、任意選択で置換された直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位−(OCH
2CH
2)
n−R
c、ハロゲン、グアニジニウム[−
NH(C=NH)NH
2]、−OR、−NR’R’’、−NO
2、−NR’COR’’、−SR、−SOR’、−SO
2R’、−SO
3H、−OSO
3H、−SO
2NR’R’’、シアノ、アジド、−COR’、−OCOR’、及び−OCONR’R’’から独立に選択され、
J
CBは、上記第1の実施形態で説明されるとおりのアルデヒドと反応性の基であり、残余の変数は、上記第1の実施形態の第7の詳細な実施形態及びそこに記載される任意のより詳細な実施形態中の構造式(D18)〜(D23)に対して説明されるとおりのものである。
【0389】
より詳細には、式(D18’)〜(D23’)に対して、J
CBは、
【0390】
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
【0391】
である。
別のより詳細な実施形態において、式(D18’)〜(D23’)に対して、L’は式(A)によって表され、L’’及びL’’’は共に−Hであり、残余の変数は上記任意の実施形態で説明されるとおりのものである。
【0392】
別のより詳細な実施形態において、式(D18’)〜(D23’)に対して、
NとCとの間の二重線
【0393】
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【0394】
は単結合または二重結合を表し、但し、それが二重結合である場合は、Xは存在せずYは−Hであり、それが単結合である場合は、Xは−Hであり、Yは−OHまたは−SO
3Mであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
1’、R
2’、R
3’及びR
4’は全て−Hであり、
R
6は−Meであり、
X’及びY’ は共に−Hであり、
A及びA’が−O−であり、
Mは、H
+、Na
+またはK
+であり、残余の変数は上記任意の実施形態で説明されるとおりのものである。
【0395】
更に別のより詳細な実施形態において、式(D18’)〜(D23’)に対して、R
a及びR
bは共にHであり、残余の変数は上記任意の実施形態で説明されるとおりのものである。
【0396】
別のより詳細な実施形態において、式(D18’)〜(D23’)に対して、R
5及びR
9はそれぞれ独立にHまたはMeであり、残余の変数は上記任意の実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、R
5及びR
9は共にHである。
【0397】
別のより詳細な実施形態において、式(D18’)〜(D23’)に対して、Pは2〜10のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、残余の変数は上記任意の実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、Pは2〜5のアミノ酸残基を含有するペプチドである。更により詳細には、Pは、Gly−Gly−Gly、Ala−Val、Val−Ala、Val−Cit、Val−Lys、Phe−Lys、Lys−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Lle−Cit、Trp、Cit、Phe−Ala、Phe−N
9−トシル−Arg、Phe−N
9−ニトロ−Arg、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Leu−Ala−Leu、Ile−Ala−Leu、Val−Ala−Val、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号17)、β−Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号18)及びGly−Phe−Leu−Gly(配列番号19)、Val−Arg、Arg−Val、Arg−Arg、Val−D−Cit、Val−D−Lys、Val−D−Arg、D−
Val−Cit、D−Val−Lys、D−Val−Arg、D−Val−D−Cit、D−Val−D−Lys、D−Val−D−Arg、D−Arg−D−Arg、Ala−Ala、Ala−D−Ala、D−Ala−Ala、ならびにD−Ala−D−Alaから選択される。
【0398】
別のより詳細な実施形態において、細胞毒性剤D’は、以下の構造式
【0399】
【化94】
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【0400】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【0401】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、YはHまたは−SO
3Mであり、Mは、H
+、Na
+またはK
+である。
細胞毒性剤−リンカー化合物
第4の実施形態において、本発明は、アルデヒドと反応性の基を有する細胞毒性剤−リンカー化合物を提供し、該化合物は本明細書に記載の細胞結合剤に共有結合することができる。
【0402】
特定の実施形態において、上記細胞毒性剤−リンカー化合物は以下の式
J
CB−L−J
D’−D (II)、
(式中、J
CBは、第1の実施形態で説明されるアルデヒドと反応性の基であり、残余の変数は、第1の実施形態もしくは第1の実施形態の第2〜第6の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。
【0403】
より詳細には、J
CBは、ヒドラジン、ヒドラジドまたはヒドロキシルアミンである。
別の実施形態において、J
CBは、
【0404】
【化96】
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【0405】
(式中、X
aはCH
2、OまたはNCH
3であり、U’はNH、O、SまたはCH
2であり、UはHまたは電子供与性基であり、X
b及びX
b’はそれぞれ独立に、−OH、−SHまたは−NH
2であり、R
Z及びR
Z’はそれぞれ独立にHまたはアルキル(好ましくは−Me)であり、R
Z”はHまたはアルキルであり、X
cはNまたはCHである)から選択される。より詳細には、上記アルデヒドと反応性の基は、
【0406】
【化97】
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【0407】
である。
一実施形態において、上記細胞毒性剤−リンカー化合物は、以下の構造式
【0408】
【化98】
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【0409】
【化99】
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【0410】
【化100】
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【0411】
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
【0412】
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
【0413】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、YはHまたは−OSO
3Mであり、Mは、H
+、Na
+またはK
+である。
修飾細胞結合剤
第5の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の細胞結合剤をアルデヒドと反応性の基を有するリンカー化合物と反応させることによって形成される修飾細胞結合剤を提供する。
【0414】
特定の実施形態において、上記修飾細胞結合剤は以下の式
【0415】
【化103】
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【0416】
(式中、J
Dは、細胞毒性剤D’と共有結合を形成することができる反応性基であり、残余の変数は、第1の実施形態またはそこに記載される任意の詳細な実施形態で説明されるとおりのものである)によって表される。
【0417】
第1のの詳細な実施形態において、構造式(III)の修飾細胞結合剤またはその薬学的に許容される塩に対して、J
CB’は、以下の構造式
【0418】
【化104】
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【0419】
(式中、X
aはCH
2、OまたはNCH
3であり、U’はNH、O、SまたはCH
2であり、UはHまたは電子供与性基であり、X
b1及びX
b1’はそれぞれ独立に−O−、−S−または−NH−であり、R
Z及びR
Z’はそれぞれ独立にHまたはアルキル(好ましくは−Me)であり、R
Z”はHまたはアルキルであり、s1は上記細胞結合剤に共有結合した部位であり、s2は基Lに共有結合した部位である)の1によって表される。より詳細には、J
CB’は、
【0420】
【化105】
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【0421】
である。
第2の詳細な実施形態において、式(III)に対して、−L−J
Dは、以下の式
【0422】
【化106】
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【0423】
(式中、J
Dは−SH、−SSR
dまたは−SC(=O)R
gであり、但し、R
dは、フェニル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、カルボキシニトロフェニル、ピリジルまたはニトロピリジルであり、R
gはアルキルであり、J
CB’は上記第1の詳細な実施形態で説明されるとおりのものであり、残余の変数は、上記第1の実施形態の第2の詳細な実施形態、及びまたはそこに記載される任意のより詳細な実施形態中の式(L1)対して説明されるとおりのものである)によって表される。より詳細には、J
Dは−SHまたは−SSR
dである。
【0424】
より詳細な実施形態において、−L−J
Dは、以下の構造式
【0425】
【化107】
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【0426】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、J
CB’及びJ
Dは、第2の詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、J
Dは−SHまたは−SSR
dである。
【0427】
第3の詳細な実施形態において、式(III)に対して、−L−J
Dは、以下の式
【0428】
【化108】
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【0429】
(式中、J
Dは−OHもしくはハロゲンであるか、または−C(=O)−J
Dが反応性のエステルであり、J
CB’は上記第1の(1
st)詳細な実施形態で説明されるとおりのものであり、残余の変数は、第1の実施形態の第3の詳細な実施形態またはそこに記載される任意のより詳細な実施形態中の式(L2)及び(L3)に対して説明されるとおりのものである)によって表される。より詳細には、−C(=O)−J
DはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0430】
より詳細な実施形態において、−L−J
Dは、以下の構造式
【0431】
【化109】
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【0432】
(式中、J
CB’及びJ
Dは第3の詳細な実施形態で説明されるとおりのものである。より詳細には、−C(=O)−J
DはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである)によって表される。
【0433】
第4の詳細な実施形態において、式(III)に対して、−L−J
Dは、以下の式
【0434】
【化110】
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【0435】
(式中、J
Dは、マレイミド、X’−CR
bR
c−C(=O)−、X’−CR
bR
c−C(=O)−NR
e−、
【0436】
【化111】
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【0437】
であり、X’はハロゲンであり、J
CB’は第1の詳細な実施形態に説明のとおりのものであり、残余の変数は、第1の実施形態の第4の詳細な実施形態及びそこに記載される任意のより詳細な実施形態中の式(L4)に対して説明されるとおりである)によって表される。
【0438】
特定の実施形態において、第5の実施形態もしくは第5の実施形態の第1〜第4の詳細な実施形態、またはそれらに記載される任意のより詳細な実施形態などの、上記の実施形態のいずれか1に記載の式(III)では、CBAは、第2の実施形態に記載される任意の細胞結合剤であってよい。
二官能性架橋剤(すなわちリンカー化合物)
第6の実施形態において、本発明は、アルデヒド基及び本明細書に記載の細胞毒性剤と共有結合を形成し得る反応性基を有する二官能性架橋剤(すなわち、リンカー化合物)を提供する。
【0439】
一実施形態において、上記リンカー化合物は、以下の式
J
CB−L−J
D (IV)、
(式中、上記変数は上記式(I)、(II)及び(III)に対して説明されるとおりのものである)によって表される。
【0440】
一実施形態において、上記リンカー化合物は、以下の式
【0441】
【化112】
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【0442】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中、J
CBは、第1の実施形態に記載されるアルデヒドと反応性の基であり、残余の変数は、構造式(L1’)に対して説明されるとおりのものである。より詳細には、J
Dは−SHまたは−SSR
dである。更により詳細には、J
CBは、
【0443】
【化113】
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【0444】
である。
より詳細な実施形態において、上記二官能性架橋剤は、以下の構造式
【0445】
【化114】
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【0446】
またはそれらの薬学的に許容される塩によって表され、式中、J
CB及びJ
Dは上述のとおりである。より詳細には、J
Dは−SHまたは−SSR
dである。更により詳細には、J
CBは、
【0447】
【化115】
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【0448】
である。
別の実施形態において、上記リンカー化合物は、以下の構造式
【0449】
【化116】
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【0450】
(式中、J
CBは、第1の実施形態に記載されるアルデヒドと反応性の基であり、残余の変数は、上記構造式(L2’)及び(L3’)に対して説明されるとおりのものである)によって表される。より詳細には、−C(=O)−J
DはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。更により詳細には、J
CBは、
【0451】
【化117】
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【0452】
である。
より詳細な実施形態において、上記二官能性架橋剤は、以下の構造式
【0453】
【化118】
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【0454】
(式中、J
CB及びJ
Dは上述のとおりのものである)によって表される。より詳細には、−C(=O)−J
DはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。更により詳細には、J
CBは、
【0455】
【化119】
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【0456】
である。
別の実施形態において、上記二官能性架橋剤は、以下の構造式、
【0457】
【化120】
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【0458】
(式中、J
Dは、マレイミド、X’−CR
bR
c−C(=O)−、X’−CR
bR
c−C(=O)−NR
e−、
【0459】
【化121】
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【0460】
であり、X’はハロゲンであり、残余の変数は、構造式(L4’)に対して説明されるとおりのものである)によって表される。より詳細には、J
Dはマレイミドである。更により詳細には、J
CBは、
【0461】
【化122】
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【0462】
である。
細胞結合剤−薬物複合体の製造
第7の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の細胞結合剤−細胞毒性剤複合体の調製方法を提供する。
【0463】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載の細胞結合剤−細胞毒性剤複合体の調製方法であって、
(a)細胞結合剤の2−ヒドロキシエチルアミン部分を酸化剤によって酸化させて、アルデヒド基を有する酸化細胞結合剤を形成するステップであり、上記2−ヒドロキシエチルアミン部分が、セリン、スレオニン、ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシオルニチンまたは2,4−ジアミノ−5−ヒドロキシ吉草酸残基の一部であり、以下の構造式
【0464】
【化123】
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【0465】
によって表される、上記ステップと、
(b)上記酸化細胞結合剤を、
(i)アルデヒドと反応性の基を有する細胞毒性剤−リンカー化合物もしくはアルデヒドと反応性の基を有する細胞毒性剤と接触させて、上記細胞結合剤−細胞毒性剤複合体を形成する、または
(ii)アルデヒドと反応性の基を有するリンカー化合物と接触させて、結合したリンカーを有する修飾抗体もしくはその修飾抗原結合部分を形成し、続いて上記修飾抗体もしくはその修飾抗原結合部分を細胞毒性剤と反応させて、上記細胞結合剤−細胞毒性剤複合体を形成する、または
(iii)細胞毒性剤と接触させ、続いてアルデヒドと反応性の基及び上記細胞毒性剤と共有結合を形成することができる反応性基を有するリンカー化合物を添加して、上記細胞結合剤−細胞毒性剤複合体を形成する、
ステップと、を含む、上記細胞結合剤−細胞毒性剤複合体の調製方法を提供する。
【0466】
第1の詳細な実施形態において、上記細胞結合剤は抗体またはその抗原結合部分であり、上記方法は、
(a)抗体またはその抗原結合部分の2−ヒドロキシエチルアミン部分を酸化剤によって酸化させて、アルデヒド基を有する酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を形成するステップであって、
【0467】
【化124】
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【0468】
上記2−ヒドロキシエチルアミン部分が、N末端セリン、スレオニン、ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシオルニチンまたは2,4−ジアミノ−5−ヒドロキシ吉草酸残基の一部である、上記ステップと、
(b)上記酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を、アルデヒドと反応性の基を有する細胞毒性剤−リンカー化合物またはアルデヒドと反応性の基を有する細胞毒性剤と反応させて、上記抗体−細胞毒性剤複合体を形成するステップであって、
【0469】
【化125】
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【0470】
但し、
Abは本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分であり、
J
CBは上記のアルデヒドと反応性の基であり、
Lは上記のスペーサーまたは結合であり、
J
D’は、細胞毒性剤Dを基Lと結合させる連結部分であるか、またはLが結合の場合は存在せず、
Dは連結部分J
D’を介してLに共有結合する細胞毒性剤であり、
wは1、2、3または4である、
上記ステップと、を含む。
【0471】
特定の実施形態において、上記第1の詳細な実施形態に記載される方法では、上記第4の実施形態に記載される任意の細胞毒性剤−リンカー化合物、または第3の実施形態に記載される任意の細胞毒性剤を用いることができる。
【0472】
特定の実施形態において、上記第1の詳細な実施形態に記載される方法では、ステップ(b)において上記酸化抗体またはその酸化抗原結合部分と反応させる前に、イミン官能基(−C=N−)を有する上記細胞毒性剤−リンカー化合物または上記細胞毒性剤をイミンと反応性の反応剤と反応させて、修飾細胞毒性剤−リンカー化合物または修飾細胞毒性剤を形成する。一実施形態において、上記修飾細胞毒性剤−リンカー化合物または修飾細胞毒性剤をイン・シチュで生成して、精製することなく上記酸化抗体またはその酸化抗原結合部分と反応させる。
【0473】
第2の詳細な実施形態において、上記細胞結合剤は抗体またはその抗原結合部分であり、上記方法は、
(a)抗体またはその抗原結合部分のN末端2−ヒドロキシエチルアミン部分を酸化剤によって酸化させて、N末端アルデヒド基を有する酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を形成するステップであって、
【0474】
【化126】
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【0475】
上記2−ヒドロキシエチルアミン部分が、N末端セリン、スレオニン、ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシオルニチンまたは2,4−ジアミノ−5−ヒドロキシ吉草酸残基の一部である、上記ステップと、
(b)上記酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を、アルデヒドと反応性の基を有するリンカー化合物と反応させて、それに結合したリンカーを有する修飾抗体またはその修飾抗原結合部分を形成し、続いて上記修飾抗体またはその修飾抗原結合部分を細胞毒性剤と反応させて上記抗体−細胞毒性剤複合体を形成するステップであって、
【0476】
【化127】
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【0477】
但し、D’は細胞毒性剤であり、J
Dは細胞毒性剤D’と共有結合を形成することができる反応性基であり、残余の変数は、上記第1の詳細な実施形態で説明されるとおりのものである、上記ステップと、を含む。
【0478】
特定の実施形態において、上記第2の詳細な実施形態に記載される方法では、上記第6の実施形態に記載される任意のリンカー化合物を用いることができる。
特定の実施形態において、第2の詳細な実施形態に記載される方法では、ステップ(b)において、イミン官能性イミン官能基(−C=N−)を有する細胞毒性剤を、結合したリンカーを有する上記修飾抗体またはその修飾抗原結合部分と反応させる前に、イミンと反応性の反応剤と反応させて修飾細胞毒性剤を形成する。一実施形態において、上記修飾細胞毒性剤をイン・シチュで生成させ、精製せずに、その後結合したリンカーを有する上記修飾抗体またはその修飾抗原結合部分と反応させる。
【0479】
第3の詳細な実施形態において、上記細胞結合剤は抗体またはその抗原結合部分であり、上記方法は、
(a)抗体またはその抗原結合部分のN末端2−ヒドロキシエチルアミン部分を酸化剤によって酸化させて、N末端アルデヒド基を有する酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を形成するステップであって、
【0480】
【化128】
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【0481】
上記2−ヒドロキシエチルアミン部分が、N末端セリン、スレオニン、ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシオルニチンまたは2,4−ジアミノ−5−ヒドロキシ吉草酸残基の一部である、上記ステップと、
(b)上記酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を細胞毒性剤と接触させ、続いてアルデヒドと反応性の基を有するリンカー化合物を添加して、上記抗体−細胞毒性剤複合体を形成するステップであって、
【0482】
【化129】
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【0483】
但し、上記変数は上記第1及び第2の詳細な実施形態で説明されるとおりのものである、上記ステップと、を含む。
特定の実施形態において、上記第3の詳細な実施形態に記載される方法では、第6の実施形態に記載される任意のリンカー化合物及び第3の実施形態に記載される任意の細胞毒性剤を用いることができる。
【0484】
上記の方法のステップ(a)においては、任意の好適な酸化剤を用いることができる。
特定の実施形態において、上記酸化剤は過ヨウ素酸塩である。より詳細には、上記酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムである。
【0485】
上記細胞結合剤(例えば、抗体)に対して過剰のモル当量の上記酸化剤を用いてもよい。特定の実施形態において、約2〜100、5〜80、10〜50、1〜10または5〜10モル当量の上記酸化剤を用いてもよい。特定の実施形態において、約10または約50当量の上記酸化剤を用いてもよい。多量の上記酸化剤を用いる場合、過剰な酸化を回避するために短い反応時間が用いられる。例えば、50当量の上記酸化剤を用いる場合、酸化反応は約5〜約60分間実施される。代替として、10当量の上記酸化剤を用いる場合、反応は約30分間〜約24時間実施される。一実施形態において、5〜10モル当量の上記酸化剤が用いられ、酸化反応は約5〜約60分間(例えば、約10〜約30分間、約20〜30分間)実施される。
【0486】
特定の実施形態において、上記酸化反応は、顕著な目的としない酸化を起こさない。例えば、N末端アルデヒド基を有する酸化されたCD123/IL−3Rα結合剤を生成させるためのN末端セリンの酸化過程の間に、僅かな量(例えば、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満または1%未満)のメチオニン及び/またはグリカンしか酸化されない。
【0487】
特定の実施形態において、上述の方法におけるステップ(b)の反応では触媒が存在する。本技術分野における任意の好適な触媒を用いることができる。一実施形態において、上記触媒はアニリンまたは置換アニリンである。代表的なアニリン触媒としては、アニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、p−フェニレンジアミン、2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−メチル−p−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−メトキシアニリン、5−メトキシ−アントラニル酸、o−アミノ安息香酸、及び4−アミノフェネチルアルコールが挙げられるが、これらに限定はされない。一実施形態において、上記触媒は4−アミノフェネチルアルコールである。特定の実施形態において、ステップ(b)の反応はpH約5.0〜約6.5で行われる。特定の実施形態において、ステップ(b)の反応はpH約5.0で行われる。
【0488】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法のステップ(b)では、上記アルデヒドと反応性の基を有する化合物(例えば、本明細書に記載の細胞毒性剤−リンカー化合物、細胞毒性剤、またはリンカー化合物)は、上記酸化細胞結合剤(例えば、酸化抗体または酸化抗原結合部分)に対して過剰なモル量で用いられる。特定の実施形態において、酸化細胞結合剤に対する上記アルデヒドと反応性の基を有する化合物の比は、約10:1〜約1.1:1、約5:1〜約2:1である。一実施形態において、上記比は約4:1である。
【0489】
特定の実施形態において、第3の実施形態または第1〜第3の詳細な実施形態における方法などの上記の方法では、上記抗体またはその抗原結合部分などの上記細胞結合剤は、本明細書に記載の任意の方法によって得ることができる。
【0490】
第4の詳細な実施形態において、本発明は、抗体−細胞毒性剤複合体の調製方法であって、
(a)抗体またはその抗原結合部分のN末端セリンまたはスレオニン残基の2−ヒドロキシエチルアミン部分を酸化剤によって酸化させて、N末端アルデヒド基を有する酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を形成するステップであって、上記2−ヒドロキシエチルアミン部分が以下の構造式
【0491】
【化130】
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【0492】
によって表される上記ステップと、
(b)上記酸化抗体またはその酸化抗原結合部分を、(i)アルデヒドと反応性の基を有する細胞毒性剤−リンカー化合物と接触させて、上記抗体−細胞毒性剤複合体を形成するか、または(ii)アルデヒドと反応性の基を有するリンカー化合物と接触させて、結合したリンカーを有する修飾抗体もしくはその修飾抗原結合部分を形成し、続いて上記修飾抗体もしくはその修飾抗原結合部分を細胞毒性剤と反応させて、上記抗体−細胞毒性剤複合体を形成する、または(iii)細胞毒性剤と接触させ、続いてアルデヒドと反応性の基及び上記細胞毒性剤と共有結合を形成することができる反応性基を有するリンカー化合物を添加して、上記抗体−細胞毒性剤複合体を形成するステップと、を含む、上記抗体−細胞毒性剤複合体の調製方法を提供する。
【0493】
特定の実施形態において、第7の実施形態もしくは第1〜第4の詳細な実施形態または任意のより詳細な実施形態における方法などの、上述の任意の方法では、上記抗体またはその抗原結合部分は、組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって得られ、該組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分は、(1)配列番号1のアミノ酸配列を有する異種シグナルペプチド、(2)上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の最初の残基に隣接するN末端であるSerまたはThr残基、あるいは(3)上記組換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、もしくはそれらの抗原結合部分の成熟処理された配列の1または複数のN末端アミノ酸残基(複数可)を置き換えているSerまたはThr残基を含む。
【0494】
特定の実施形態において、第7の実施形態もしくは第1〜第4の詳細な実施形態または任意のより詳細な実施形態における方法などの、上述の任意の方法では、上記抗体またはその抗原結合部分は配列番号3の軽鎖配列を含む。
【0495】
特定の実施形態において、第7の実施形態もしくは第1〜第4の詳細な実施形態または任意のより詳細な実施形態における方法などの、上述の任意の方法では、上記抗体またはその抗原結合部分は、配列番号3の軽鎖配列を含むマウス抗体もしくはその抗原結合部分の、キメラ、ヒト化、もしくはヒト抗体またはその抗原結合部分である。上記ヒト化抗体またはその抗原結合部分は、表面再構成された抗体もしくはCDRグラフト化抗体またはそれらの抗原結合部分であってよい。
【0496】
特定の実施形態において、上述の任意の方法に従って調製された複合体は、次いで精製されてもよい。本技術分野で公知の任意の精製方法を用いて、本発明の複合体を精製することができる(例えば、2008年にAcademic Press,Inc.により出版されたBioconjugate Techniques,Greg第2版(T.Hermanson著)を参照のこと)。一実施形態において、本発明の複合体は、タンジェント流ろ過(TFF)、非吸着クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、吸着ろ過、選択的沈殿、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、透析または任意のその他の好適な精製過程、及びそれらの組み合わせを用いて精製することができる。
【0497】
Pellicon型システム(Millipore,Billerica,MA)、Sartocon Cassetteシステム(Sartorius AG,Edgewo
od,NY)、及びCentrasette型システム(Pall Corp.,East Hills,NY)を含む、任意の好適なTFFシステムを精製に利用してもよい。
【0498】
任意の好適な吸着クロマトグラフィー樹脂を精製に用いてもよい。好ましい吸着クロマトグラフィー樹脂としては、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、イオン交換クロマトグラフィー、混合モードイオン交換クロマトグラフィー、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)、色素リガンドクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なヒドロキシアパタイト樹脂の例としては、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT I型及びII型、Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)、HA Ultrogelヒドロキシアパタイト(Pall Corp.,East Hills,NY)、及びセラミックフルオロアパタイト(CFT I型及びII型、Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)が挙げられる。好適なHCIC樹脂の例としては、MEPハイパーセル樹脂(Pall Corp.,East Hills,NY)が挙げられる。好適なHIC樹脂の例としては、ブチルセファロース、ヘキシルセファロース、フェニルセファロース、及びオクチルセファロース樹脂(全てGE Healthcare,Piscataway,NJ)、ならびにMacro−prep Methyl及びMacro−Prep t−Butyl樹脂(Biorad Laboratories,Hercules,CA)が挙げられる。好適なイオン交換樹脂の例としては、SP−セファロース、CM−セファロース、及びQ−セファロース樹脂(全てGE Healthcare,Piscataway,NJ)、ならびにUnosphere S樹脂(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)が挙げられる。好適な混合モードイオン交換剤の例としてはBakerbond ABx樹脂(JT Baker,Phillipsburg NJ)が挙げられる。好適なIMAC樹脂の例としては、キレート化セファロース樹脂(GE Healthcare,Piscataway,NJ)及びProfinity IMAC樹脂(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)が挙げられる。好適な色素リガンド樹脂の例としては、ブルーセファロース樹脂(GE Healthcare,Piscataway,NJ)及びAffi−gel Blue樹脂(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)が挙げられる。好適なアフィニティ樹脂の例としては、タンパク質Aセファロース樹脂(例えば、MabSelect、GE Healthcare,Piscataway,NJ)、Hisタグ金属アフィニティ樹脂、抗FLAGアフィニティ樹脂、及びレクチンアフィニティ樹脂、例えば、レンチルレクチンセファロース樹脂(GE Healthcare,Piscataway,NJ))が挙げられ、ここで上記抗体は適当なレクチン結合部位を有する。好適な逆相樹脂の例としては、C4、C8、及びC18樹脂(Grace Vydac,Hesperia,CA)が挙げられる。
【0499】
任意の好適な非吸着クロマトグラフィー樹脂を精製に用いてもよい。例えば、本発明の複合体を精製するためにサイズ排除クロマトグラフィーを用いることができる。好適な非吸着クロマトグラフィー樹脂の例としては、SEPHADEX(商標)G−10、G−25、G−50、G−100、SEPHACRYL(商標)樹脂(例えば、S−200及びS−300)、SUPERDEX(商標)樹脂(例えば、SUPERDEX(商標)75及びSUPERDEX(商標)200)、BIO−GEL(登録商標)樹脂(例えば、P−6、P−10、P−30、P−60、及びP−100)、ならびに当業者に公知の他のものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0500】
一実施形態において、上記細胞結合剤がエピトープタグ付Avibodyである場合、上記複合体は、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィ
ー、タンジェント流ろ過、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティクロマトグラフィー、好ましくはアフィニティクロマトグラフィー、より好ましくはHisタグ金属アフィニティクロマトグラフィー及び抗FLAG M2アフィニティクロマトグラフィーを用いて精製することができる(例えば、US2008/0152586及びUS2012/0171115を参照のこと)。
【0501】
別の実施形態において、上記細胞結合剤がcentyrinである場合、上記複合体は、タンパク質A精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、タンジェント流ろ過、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを用いて精製することができる。代替として、上記複合体は、HPLCを用いて精製することができる。上記複合体は、好ましくはアフィニティクロマトグラフィー、より好ましくはHisタグ金属アフィニティクロマトグラフィーを用いて精製することができる。例えば、米国特許公開第US2010/0255056号、同第US2010/0216708号及び同第US2011/0274623号を参照されたい。
【0502】
別の実施形態において、上記細胞結合剤がDARPinである場合、上記複合体は、アフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、タンジェント流ろ過、好ましくはアフィニティクロマトグラフィー、より好ましくはHisタグアフィニティクロマトグラフィーによって精製することができる。例えば、米国特許公開第20040132028号、同第2009/0082274号、同第2011/0118146号、及び同第2011/0224100号、WO02/20565及びWO06/083275を参照されたい。
細胞毒性のイン・ビトロ評価
本発明の細胞毒性化合物及び細胞結合剤−薬物複合体を、イン・ビトロで、種々の癌細胞株の増殖を抑制するそれらの能力について評価することができる。評価される細胞を上記化合物または複合体に1〜5日間暴露し、細胞の生存率を公知の方法による直接的なアッセイにおいて測定することができる。次いで、このアッセイの結果からIC
50値を算出することができる。代替としてまたは追加として、米国国立癌研究所によって報告されたもの(Voskoglou−Nomikos et al.,2003,Clinical Cancer Res.9:42227−4239を参照されたい。該文献は参照により本明細書に援用される)などのイン・ビトロでの細胞株の感受性スクリーニングを、本発明の化合物または複合体による治療に対して感受性であり得る癌の種類を判定するための1つの指針として用いることができる。
組成物及び使用方法
本発明は、本明細書に記載の新規なベンゾジアゼピン化合物(例えば、インドリノベンゾジアゼピンもしくはオキサゾリジノベンゾジアゼピン)、それらの誘導体、またはそれらの複合体、(ならびに/またはそれらの溶媒和物、水和物、及び/もしくは塩)及び担体(薬学的に許容される担体)を含む組成物(例えば、医薬組成物)を包含する。本発明はまた、本明細書に記載の新規なベンゾジアゼピン化合物、それらの誘導体、またはそれらの複合体、(ならびに/またはそれらの溶媒和物、水和物及び/もしくは塩)及び担体(薬学的に許容される担体)を含み、第2の治療薬を更に含む組成物(例えば、医薬組成物)も包含する。本組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト)における異常な細胞増殖の抑制または増殖性障害の治療に有用である。本組成物はまた、哺乳動物(例えば、ヒト)における憂うつ、不安、ストレス、恐怖、パニック、不快、精神障害、疼痛、及び炎症性疾患の治療にも有用である。
本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)における異常な細胞増殖の抑制方法または増殖性障
害の治療方法であって、上記哺乳動物に対して、治療上有効な量の本明細書に記載の新規なベンゾジアゼピン化合物(例えば、インドリノベンゾジアゼピンもしくはオキサゾリジノベンゾジアゼピン)、それらの誘導体、またはそれらの複合体(ならびに/またはそれらの溶媒和物及び塩)、またはそれらの組成物を、単独でまたは第2の治療薬との併用で投与することを含む、上記方法を包含する。
【0503】
一実施形態において、上記増殖性障害は癌である。癌としては血液癌または固形腫瘍が挙げられる。より詳細には、上記癌は、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性単球性白血病、前骨髄球性白血病、好酸球性白血病、急性Bリンパ芽球性白血病(B−ALL)などの急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL))またはリンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)、骨髄異形成症候群(MDS)、黒色腫、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、卵巣癌、子宮内膜癌、腹膜癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、頭頚部の扁平上皮細胞癌、及び子宮頸癌である。
【0504】
本発明はまた、治療を必要とする対象に対して、有効量の上述のいずれかの複合体を投与することを含む治療方法も提供する。同様に、本発明は、標的細胞または標的細胞を含む組織を、本発明の細胞毒性化合物−細胞結合剤(例えば、細胞結合剤に結合したインドリノベンゾジアゼピンもしくはオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体)、それらの塩または溶媒和物のいずれかを含む、有効量の細胞毒性剤に接触させることを含む、選択された細胞集団における細胞死の誘導方法を提供する。上記標的細胞は、上記細胞結合剤が結合することができる細胞である。
【0505】
所望であれば、他の抗癌剤などの他の活性薬剤を上記複合体と共に投与してもよい。
好適な薬学的に許容される担体、希釈剤、及び賦形剤は周知であり、臨床的状況が許容する場合、当業者がこれらを決定することができる。好適な担体、希釈剤、及び/または賦形剤の例としては、(1)ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH約7.4、約1mg/mL〜25mg/mLのヒト血清アルブミンを含有するものまたはしないもの)、(2)0.9%の生理食塩水(0.9%w/vのNaCl)、及び(3)5%(w/v)のデキストロースが挙げられ、これらはまたトリプタミンなどの抗酸化剤及びTween 20などの安定剤も含んでいてよい。
【0506】
上記選択された細胞集団における細胞死の誘導方法は、イン・ビトロ、イン・ビボ、またはエクス・ビボで実施することができる。
イン・ビトロでの使用の例としては、病的なもしくは悪性の細胞を殺傷するために同一の患者へ移植する前に自家骨髄を治療することと、コンピテントなT細胞を殺傷するかつ移植片対宿主病(GVHD)を予防するために骨髄を移植する前に骨髄を治療することと、標的抗原を発現しない、所望の変異体以外の全ての細胞を殺傷するため、または望ましくない抗原を発現する変異体を殺傷するために細胞培養物を処理することと、が挙げられる。非臨床のイン・ビボでの使用の条件は、当業者によって容易に決定される。
【0507】
エクス・ビボでの使用の例は、癌の治療においてもしくは自己免疫疾患の治療において、自家移植の前に、骨髄から腫瘍細胞もしくはリンパ球細胞を除去すること、またはGVHDを予防するために、移植の前に、自家もしくは同種異系の骨髄または組織からT細胞及び他のリンパ球細胞を除去することである。治療は以下のようにして行うことができる。当該の患者または他の個体から骨髄を採取し、次いで、本発明の細胞毒性剤を約10μM〜1pMの範囲の濃度で添加した血清を含有する培地中で、約37℃で約30分間〜約48時間インキュベートする。インキュベーションの濃度及び時間の厳密な条件、すなわ
ち用量は当業者が容易に決定することができる。インキュベーション後に、当該骨髄細胞を、血清を含有する培地で洗浄し、公知の方法に従って静脈内投与により当該患者に戻す。上記患者が、骨髄採取してから治療した細胞を再注入するまでの間に、破壊的化学療法または全身照射の治療などの他の治療を受ける状況にあっては、上記治療した骨髄細胞を、標準的な医療機器を用いて液体窒素中で凍結保存する。
【0508】
イン・ビボでの臨床使用では、本発明の細胞毒性剤は、溶液または凍結乾燥した粉末として供給されることとなり、これらでは無菌性内毒素レベルに関する試験が行われる。複合体の投与の好適なプロトコルの例は以下のとおりである。すなわち、複合体が毎週1回4週間にわたって、静脈内に大量投与される。大量投与は、5〜10mLのヒト血清アルブミンが添加されていてもよい50〜1000mLの通常の生理食塩水中にて行われる。投与量は、静脈内投与による投与当たり10μg〜2000mg(1日当たり100ng〜20mg/kgの範囲)である。4週間の治療後、患者は週1回治療を継続して受けてもよい。投与経路、賦形剤、希釈剤、投与量、投与時間等に関する詳細な臨床プロトコルは、臨床的状況が許容する場合、当業者がこれらを決定することができる。
上記イン・ビボまたはエクス・ビボでの選択された細胞集団における細胞死の誘導方法に従って治療することができる疾病の例としては、例えば癌を始めとする任意の型の悪性病変、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、及び多発性硬化症などの自己免疫疾患、角膜移植拒絶、肝臓移植拒絶、肺移植拒絶、心臓移植拒絶、及び骨髄試食拒絶などの移植片拒絶、移植片対宿主病、CMV感染症、HIV感染症、AIDS等のウイルス性感染症、ならびにジアルジア鞭毛虫症、アメーバ症、住血吸虫症、及び当業者によって判定されるその他のものなどの寄生虫性感染症が挙げられる。
【0509】
癌治療薬及びそれらの投薬量、投与経路、及び推奨される使用は本技術分野で公知であり、医師用卓上参考書(PDR)などの文献で説明されている。上記PDRは、種々の癌の治療に用いられている薬剤の投薬量を開示する。治療上有効な、これら上記化学療法剤の投与計画及び投薬量は、治療する特定の癌、当該疾患の程度、及び本分野において熟達した医師によく知られている他の因子に依存することとなり、当該医師が決定することができる。上記PDRの内容は、その全体が参照により明示的に本明細書に援用される。当業者は、1または複数の以下のパラメータを用いて上記PDRを検討し、本発明の教示に従って用いることができる化学療法剤及び複合体の投与計画及び投薬量を決定することができる。これらのパラメータとしては以下が挙げられる。すなわち、
・総合索引
・製造者によるもの
・製品(会社名または商標登録された薬物名によるもの)
・分類索引
・一般名/化学的索引(商標ではない一般名である薬物名)
・投薬治療のカラー画像
・FDAの表示と整合する製品情報
・化学的情報
・機能/作用
・適応症及び禁忌
・治験、副作用、警告
である。
類似体及び誘導体
細胞毒性剤の分野における当業者は、本明細書に記載の各細胞毒性剤を、結果として得られる化合物がなおも出発化合物の特異性及び/または活性を保持するような形態で修飾することができることを、容易に理解するであろう。当業者はまた、これらの化合物の多くが、本明細書に記載の細胞毒性剤に代えて用いることができることも理解しよう。した
がって、本発明の細胞毒性剤は、本明細書に記載の化合物の類似体及び誘導体を包含する。
【0510】
本明細書及び以下の実施例に引用される全ての参照文献は、それらの全体が参照により明示的に援用される。
【実施例】
【0511】
実施例1 N末端Ser/Thrを有する組換え抗体の構築
N末端セリンを有するマウス抗葉酸受容体アルファ抗体FR1−2.1軽鎖(LC)の配列は以前に説明されている(全てが参照により援用される、2013年8月30日出願の米国特許出願第61/872,407号、2013年9月9日出願の第61/875,475号、及び2014年2月14日出願の第61/940,184号、ならびにそれらの優先権を主張するWO2015/031815)。このN末端Serは、上記FR1−2.1軽鎖が由来するIGKV1−99
*01マウス生殖系列配列(寄託番号CAB46122、配列番号2)のシグナルペプチド中の通常の開裂部位を利用するシグナルペプチダーゼによって生じる。抗体の発現の間の開裂に際して完全に除去される一般的な抗体シグナルペプチドとは異なって、IGKV1−99
*シグナルペプチドの最後のセリン(カバット位−1)は、上記FR1−2.1軽鎖のN末端に残存する。上記FR1−2.1抗体は、本明細書に記載のセリン酸化修飾法を評価するための有用なツールであることが判明し、また、上記FR1−2.1シグナルペプチド(表1、配列番号1)は、それらの軽鎖または重鎖のN末端にセリンを有する組換え抗体を生成させる想定される機構を提供する。上記N末端セリンを組み込むために天然の抗体シグナルペプチドを用いると、抗体工学の負の結果(非天然の構築物に由来するおそれのある発現の問題及び開裂部位の不均一性を含むがこれらに限定されない)がもたらされる可能性を回避することができる。
【0512】
上記FR1−2.1シグナルペプチドが、遺伝子導入された哺乳動物の細胞株において発現された組換え抗体のN末端のセリン残基を残存させることを実証するために、上記FR1−2.1軽鎖シグナルペプチドを利用して、新たな抗体発現構築物を合成した。標準的な抗体シグナルペプチド(配列番号6)に代えて、米国特許第8,557,966号で以前に説明されたヒト化Mov19軽鎖(LC)に対する可変領域アミノ酸配列(表1、配列番号3)を上記FR1−2.1シグナルペプチドと結合させて、huNov19 LC NTS1配列(配列番号10)を生成した。次いでこの軽鎖配列をBlue Heron Biotechnologyに提供し、同社においてこれをコドン最適化し、合成し、ヒトカッパ定常領域配列を含有するpAbKZeo哺乳動物発現プラスミドのEcoRI及びBsiWI部位中にクローン化した。
【0513】
N末端にセリン/スレオニンを有する組換え抗体を生成させる代替の手法は、上記N末端残基(カボット位+1)をセリンまたはスレオニンで置換することである。この方法論を実証するために、上記ヒト化Mov重鎖(HC)(配列番号8)のN末端残基(グルタミン)をセリンで置換し、huMov19 HC NTS2配列(配列番号11)を生成した。次いで、Blue Heron Biotechnologyによってこの重鎖配列をコドン最適化し、合成し、pAbKZeoプラスミドのHindIII及びApal部位の、ヒトIgG1定常領域を有するフレーム中にクローン化した。
【0514】
最大4のN末端セリン(例えば、重鎖上に2及び軽鎖上に2)を有する更なる組換え抗体を生成させるために、上述のN末端セリンの付加及びN末端セリンによる置換のスキームの種々の組み合わせを用いる。上記ヒト化Mov19軽鎖(LC)のN末端アスパラギン酸がセリンで置換されるように、上述の構築物の逆を合成する(huMov19LC NTS3、配列番号12)か、またはその反対に、上記ヒト化Mov19重鎖を、N末端セリンを付加するようにFR1−2.1シグナルペプチドを用いて合成する(huMov
19HC NTS4、配列番号14)。また、これらの軽鎖及び重鎖構築物を共に混合して、両方のN末端にセリンを有し、抗体当たり合計で4のN末端セリンを有する組換え抗体(例えば、huMov19LC NTS3及びhuMov19HC NTS4)を生成させることができる。これらの構築物は2(単鎖のN末端セリン)または4(両鎖がN末端セリンを有する)の組み込み部位に限定されるが、「Knob in the Hole」変異(参照により援用されるWO2005/063816A2)などのヘテロ二量体抗体技術を用いる。1または3のN末端セリンを有する抗体の構築もまた想定される。
【0515】
最後に、複数のアミノ酸のN末端付加物またはN末端のトランケーションなどの、N末端セリンを有する組換え抗体を生成させるための別の手法に従うこともできるが、上述の方法には更に、結合特異性または構造の保全性などの重要な抗体の特性に対して影響を与える可能性が少ないという利点がある。
【0516】
セリンに加えて、本明細書に記載の方法によってこれらの抗体を複合化するために、単純にN末端残基(カバット位+1)をスレオニンで置換することによって、N末端にスレオニン残基を有する組換え抗体を生成させることができる。例えば、上記ヒト化Mov19軽鎖(LC)のN末端アスパラギン酸をスレオニンで置換する(huMov19 LC
NTT1、配列番号15)か、または上記ヒト化Mov19重鎖(HC)のN末端グルタミンをスレオニンによって置換する(huMov19 HC NTT2、配列番号16)。次いでこれらの構築物を、上述のそれぞれの哺乳動物の発現プラスミド中にクローン化する。
【0517】
【表1-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0518】
【表1-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0519】
【表1-4】
[この文献は図面を表示できません]
【0520】
実施例1A N末端Ser/Thrを有する組換え抗体の構築
上記実施例1に記載の方法と実質的に同一の方法を使用して、配列番号6を、その天然のhuMov19 LC及びHCのためのシグナルペプチドとして、または異種LCもしくはHCのためのシグナルペプチドとして、当該シグナルペプチドの開裂を処理した後に、成熟処理された上記LCまたはHCの配列中で、挿入されたSer/Thrが最初の(N末端)残基となるように、SerまたはTHrを配列番号6の直後に挿入する修飾を行って用いる。
実施例2 組換え抗体の発現
上記キメラ及びヒト化抗体構築物を、振とうしたフラスコ中で、改変したPEI操作(Durocher Y,Perret S,& Kamen A High−level
and high−throughput recombinant protein
production by transient transfection of
suspension−growing human 293−EBNA1 cells.Nucleic Acids Res.2002 Jan 15;30(2):E9)を用いて、懸濁培養に適合するHEK−293T細胞中で一過性に産生させた。上記PEI一過性遺伝子導入は、上記HEK−293T細胞をFreestyle 293(Invitrogen)中で増殖させた以外は説明したとおりに実施し(上記Durocher)、培養物の容量は、PEI−DNA複合体の添加後は希釈しないままであった。付着したもの及び懸濁したものの両方の上記一過性遺伝子移入物を1週間インキュベートし、次いで濁りのない上清を、タンパク質Aカラム、続いてCMカラムイオン交換クロマトグラフィーによって、以下に記載するようにして精製した。
実施例3 組換え抗体の精製
抗体を、例えば、タンパク質AまたはGクロマトグラフィー(HiTrapタンパク質
AまたはG HP、1mL、Amersham Biosciences)などの標準的な方法を用いて、濁りのない細胞培養物上清から精製した。簡単に説明すると、1/10容量の1MのTris/HClバッファ、pH8.0の添加によってクロマトグラフィー用に上清を調製した。このpHを調節した上清を0.22μmのフィルタ膜に通してろ過し、結合バッファ(PBS、pH7.3)で平衡化したカラム上にロードした。このカラムを、280nmにおける吸光がない安定したベースラインが得られるまで結合バッファで洗浄した。0.15MのNaClを含有する、pH2.8の0.1M酢酸バッファにて、0.5mL/分の流速を用いて抗体を溶離させた。約0.25mLの画分を採取し,1/10容量の1MのTris/HCl、pH8.0の添加によって中和した。ピーク画分(複数可)を1×PBSに対して2回、終夜にわたって透析を行い、0.2μmのフィルタ膜に通してろ過することによって無菌化した。精製した抗体をA280における吸光度によって定量した。
【0521】
タンパク質A精製した画分を、カルボキシメチル(CM)クロマトグラフィーによるイオン交換クロマトグラフィー(IEX)を用いて更に精製した。簡単に説明すると、タンパク質A精製から得た試料を開始バッファ(10mMのリン酸カリウム、10mMの塩化ナトリウム、pH7.5)へとバッファ交換し、0.22μmのフィルタに通してろ過した。次いでこの調製した試料を、120cm/hrの流速の開始バッファで平衡化したCM fast flow樹脂(GE Lifesciences)上にロードした。カラムの大きさは、当該試料中の全ての抗体を結合するのに十分な容量を有するように選択した。次いでこのカラムを、280nmにおける吸光がない安定したベースラインが得られるまで結合バッファで洗浄した。20カラム容量(CV)での10mM〜500mMの塩化ナトリウムの勾配を開始することによって抗体を溶離させた。UVの読みが50mAuを超える主要ピークの画分を採取した。純度(単量体及び可溶な高分子量凝集体のパーセンテージ)を、Agilent HPLC 1100システム(Agilent,Santa Clara,CA)を用いた、SWXLガードカラム、6.0×40mmを設けたTSKゲルG3000SWXL、7.8×300mm(Tosoh Bioscience,Montgomeryville,PA)上でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した。所望の純度(>95%)を有する画分をプールし、TFFシステムを用いてPBS(pH7.4)へとバッファ交換を行い、0.2μmのフィルタ膜に通してろ過することによって無菌化した。精製した抗体をその純度についてSECによって試験し、280nmにおける吸光度の測定により、1.47の消衰係数を用いてIgG濃度を求めた。必要に応じて希釈を行った。代替として、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)を用いて、選択性が向上したマウス及びヒト化抗体の両方に仕上げの精製を行ってもよい。40μmの粒径を有するII型CHT樹脂(Bio−Rad Laboratories)を、IEXクロマトグラフィーと同様のプロトコルで、抗体の仕上げの精製に利用した。CHT用の開始バッファは20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0であり、20CVでの20〜160mMのリン酸ナトリウムの勾配によって抗体を溶離させた。
実施例4 N−末端における抗体の複合体化−2ステップ法
重鎖上のN末端セリンを操作したhuMOV19−NTS#2抗体(
図1に示すスキーム1中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液で処理した(50当量、25℃、30分間)。次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNA Grade,GE Healthcare)に通して酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0522】
得られた溶液を、10%v/vのDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒を含有する反応槽中で、4−アミノフェネチルアルコール(DMA[N,N−ジメチルアセト
アミド]中100mM)で処理して10mMの濃度とした。続いてリンカー1(スキーム1中の[3]、4または5当量)を導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0523】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、pH8.5のバッファへとバッファ交換した。次にこの溶液をDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒(10%v/v)で調節し、化合物A(すなわちスルホン化DGN462(sDGN462)またはスルホン化D1(すなわちsD1))(スキーム1、[5]、遊離チオール、5当量)によって25℃で6時間処理した。
【0524】
得られた複合体を、NAPろ過カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)を用いて、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロース、0.01%のTween−20、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、pH6.2の処方バッファへとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット(ThermoScientific、10,000MWCO)を利用して、同一のバッファ中、25℃で4時間透析を実施した。
【0525】
精製した複合体(スキーム1、[6])は、抗体当たり2の結合した化合物A分子の均一な平均値(Q−ToF質量分析による、
図2)、>98%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<2%の遊離の薬物(アセトン沈殿させた逆相HPLC分析による)、及び0.14mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huMOV19−NTS#2抗体に関するモル消衰係数ε
280=201400M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
実施例5 N−末端における抗体の複合体化−DMx直接結合
操作されたN末端Serを含有するhuMOV19−NTS#2抗体(
図3、スキーム2中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(50モル当量)によって、25℃で30分間処理した。次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0526】
得られた溶液を、10%v/vのDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒を含有する反応槽中で、4−アミノフェネチルアルコール(DMA[N,N−ジメチルアセトアミド]中100mM)で処理して10mMの濃度とした。続いてアミノオキシ−アセチル−MayMNA(スキーム2、[3]、4または5モル当量)を導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0527】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロースバッファ、pH6.2へとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット((ThermoScientific、10,000MWCO)を利用して、同一のバッファ中、25℃で4時間透析を実施した。
【0528】
精製した複合体(スキーム2、[4])は、抗体当たり2の結合したMayNMA分子の均一な平均値(Q−ToF質量分析による、
図4)、>98%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<2%の遊離の薬物(HISEP逆相HPLC分析による)、及び0.31mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huMOV19−NTS#2抗体
に関するモル消衰係数ε
280=201400M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
実施例6 N末端における抗体の複合化−MOV19−NTS#1に対する2ステッププロトコル
リーダーペプチド配列を介して軽鎖上のN末端セリンを操作したhuMOV19−NTS#1抗体(
図5、スキーム3中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(50モル当量)によって、25℃で30分間処理した。次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0529】
得られた溶液を、10%v/vのDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒を含有する反応槽中で、4−アミノフェネチルアルコール(DMA[N,N−ジメチルアセトアミド]中100mM)で処理して10mMの濃度とした。続いてリンカー1(スキーム3、[3]、4または5モル当量)を導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0530】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、pH8.5のバッファへとバッファ交換した。次にこの溶液をDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒(10%v/v)で調節し、化合物A(スキーム3、[5]、遊離チオール、5モル当量)によって、25℃で6時間処理した。
【0531】
得られた複合体を、NAPろ過カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)を用いて、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロース、0.01%のTween−20、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、pH6.2の処方バッファへとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット(ThermoScientific、10,000MWCO)を利用して、同一のバッファ中、25℃で4時間透析を実施した。
【0532】
精製した複合体(スキーム3、[6])は、抗体当たり1.4分子の結合した化合物Aの平均値(Q−ToF質量分析による、
図6)、>98%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<2%の遊離の薬物(アセトン沈殿させた逆相HPLC分析による)、及び0.14mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huMOV19−NTS#1抗体に関するモル消衰係数ε
280=201400M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
実施例7 N末端Ser複合体のT47D細胞上への結合は対照と同等
N末端Ser−薬物複合体(SERIMab ADC)の結合親和性を、T47D細胞を用いて分析した。このT47D細胞は、細胞当たり約1×10
5の結合した葉酸受容体アルファ(FR-α)抗原を有することが以前に明らかになっている。上記ヒト化モノクローナル抗体huMOV19は特異的にFRαに結合する。
【0533】
上記結合親和性を評価するために、96穴プレート(Falcon、丸底)中で、約100μl/ウェルのADCまたは対照抗体(例えば、未複合体化天然huMOV19、またはM9346A)を、FACSバッファ(1%のBSA、1×PBS)で約3×10
−8Mの開始濃度に希釈して、これを2通り行い、続いて4℃にて、FACSで逐次3倍希釈を行った。ヒト乳癌細胞株T47D細胞を、加熱不活性化した10%のFBS(Lif
e Technologies)、0.1mg/mLのゲンタマイシン(Life Technologies)及び0.2IUのウシインスリン/mL(Sigma)を補充したRPMI−1640(Life Technologies)中で培養し、PBS中で1回洗浄した後、バーゼン液(Life Technologies)を用いて取り出した。次いでT47D細胞を培養培地(上記を参照のこと)中に再懸濁させてトリプシンを中和し、コールタールカウンター上で計数した。次に、細胞を冷FACSバッファ中で2回洗浄し、洗浄の間に1200rpmで5分間遠心分離した。
【0534】
ADC、抗体またはFACSバッファのみを含有するウェルに、約100μL/mLの2×10
4細胞/ウェルを添加し、4℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後に細胞を上記と同様に遠心分離し、200μL/ウェルの冷FACSバッファ中で1回洗浄した。次いで細胞を、200μL/ウェルのFITCで複合体化したヤギ抗ヒトIgG−Fcγ二次抗体(含まれる対照は未染色細胞及び二次抗体のみで染色した細胞)によって4℃で40分間染色し、遠心分離し、200μL/ウェルの冷PBS−D中で1回洗浄した。細胞を200μL/ウェルの1%ホルムアルデヒド/PBS−Dで固定化し、4℃で保存した。
【0535】
保存後に、FACS Calibur(BD Biosciences)上でのフローサイトメトリーを用いて、複合体または抗体の細胞表面染色を検出した。GraphPad Prismを用いて、ADCまたは抗体の対数濃度に対して幾何平均値をプロットし、非線形4パラメータロジスティック回帰分析によってEC
50を算出した。
図8を参照されたい。
【0536】
(1)抗体当たり平均して2分子の化合物Aを有するhuMOV19−NTS#2−リンカー1−化合物A(「SeriMab−sDGN462」としても知られる)、(2)huMOV19当たり平均して2.4分子の化合物Aを有する、スルホ−SPDBリンカーを介してhuMOV−19上のリシン残基のε−アミノ基と結合したhuMOV19−sSPDB−化合物A、(3)未複合体化天然huMOV19抗体(M9346A)、及び(4)操作されたN末端Serを有する、未複合体化の操作されたhuMOV19−NTS#2抗体を用いた同様の実験も実施した。
図7Aを参照されたい。
【0537】
図7A及び7Bに示すように、上記SERIMAb ADC(複数可)は、未複合体化抗体(M9346A)対照と同様に、標的抗原を発現するT47D細胞の表面に結合した。例えば、
図7BのEC
50値を参照されたい。
図8A及び8Bに示す同様の実験においても実質的に同一の結果が得られた。これらの実験は、抗原への結合が、上記N末端Ser残基での複合体化過程による影響を受けないことを実証している。
【0538】
huMOV19−NTS#2−D8複合体についても同様の結果が観測された。この複合体は、未複合体化対照(M9346A抗体)及び未複合体化の操作されたhuMOV19−NTS#2抗体(すなわちSeriMab)と同様に、標的抗原を発現するT47D細胞の表面に結合した。
図23を参照されたい。
実施例8 KB子宮頸癌細胞株のhuMOV19NTS#2−リンカー1−化合物Aの細胞毒性評価
この実験は、上記操作されたN末端Serへの部位特異的な抗体の複合体化は、抗体当たりの予見可能なかつ信頼性のある薬物の充填を与えるだけでなく、驚くべきことに、得られるADC複合体に、Lys側鎖への抗体の結合を有する複合体と比較して、より高い効能を与えることを実証している。
【0539】
96穴プレート(Corning、平底)中で、100μl/ウェルの各ADCを、加
熱不活性した10%のFBS(Life Technologies)及び0.1mg/mlのゲンタマイシン(Life Technologies)を補充したRPMI−1640(Life Technologies)で3.5×10
−9M〜3.5×10
−8Mの開始濃度に希釈し、これを3通り行い、大気温度にて、上記培地で逐次3倍希釈を行った。加熱不活性化した10%のFBS(Life Technologies)及び0.1mg/mLのゲンタマイシン(Life Technologies)を補充したEMEM(ATCC)中で培養したKB細胞(頬の上皮性腫瘍)を、PBS中で1回洗浄し、0.05%のトリプシン−EDTA(Life Technologies)を用いて取り出した。試験した他の細胞は、加熱不活性化した10%のFBS(Life Technologies)及び0.1mg/mlのゲンタマイシン(Life Technologies)を補充したPRMI−1640(Life Technologies)中で培養した、NCI−H2119(NSCLC)及びT47D(上皮性乳癌)であった。T47Dの培地にも0.2IU/mlのウシインスリンを補充した。全ての細胞を培養培地(上記を参照のこと)中に再懸濁させてトリプシンを中和し、コールタールカウンター上で計数した。ADCまたは培地のみを含有するウェルに100μl/mlの1000〜2000細胞/ウェルを添加し、1μMのブロッキングhuMOV19抗体の存在下または非存在下で、5%のCO
2、37℃のインキュベータ中で5日間インキュベートした。全容量は200μl/ウェルである。インキュベーション後に、20μl/ウェルのWST−8(Dojindo)の添加によって細胞生存率を分析し、2時間現像した。プレートリーダー上で450nm及び620nmでの吸光度を読み取った。450nmでの吸光度から620nmでの吸光度を減じた。培地のみを含有するウェルにおけるバックグラウンドを補正した吸光度から更に減じ、エクセルにおいて未処理の細胞の生存率(SF)を算出した。Graph Pad Prismを用いて、ADC濃度(M)対SFのXYグラフを作成した。
【0540】
図9Aのデータは、化合物Aが操作されたN末端Serに結合することができ、抗体分子当たり正確に化合物Aの2の分子を有するADCを与えることができることを示す。対照的に、同じhuMOV19抗体にLys側鎖を介して結合した化合物Aは、抗体当たり2.4分子の化合物Aの平均値を有するADCを与え、このことは、異なる数の結合した化合物Aを有するADCの集団が相対的に不均一であることを示唆している。
【0541】
図7A及び7Bは上記にて、用いる結合にかかわらず(操作されたN末端Serを介して、または天然のLys側鎖を介してのいずれであっても)、得られるADCは未複合体化の抗体と比較して、抗原に対する本質的に同様の結合親和性を有することを示していた。
【0542】
しかしながら、上記Lysにおいて複合体化されたADCにおけるより高い薬物充填量(すなわち、2.4対2.0)にもかかわらず、N末端Ser結合を有するADCはリシンにおいて複合体化されたADCよりも、抗体濃度基準で約3倍効能が高く、かつ化合物A濃度基準で約5倍効能が高い。
図9A中のIC
50の測定値を参照されたい。
【0543】
更に、過剰な(1μM)未複合体化huMOV19の添加が観測される殺傷作用を阻害する場合があり、このことは、観測される細胞毒性が特異的であり、かつhuMOV19の、標的細胞上のその抗原に対する結合に依存するだけでなく、両方のADCが同一の、抗原に依存しない標的細胞に対する活性を有することも示唆している。
【0544】
huMOV19に複合体化された異なる細胞毒及びN末端Serでの複合体化を伴うその操作されたバージョンに関しても同様の結果が得られた。
図9Bのメイタンシノイド複合体を参照されたい。N末端Ser結合を有する上記ADCは、Lysにおいて複合体化されたADCがより高い薬物充填量(3.5 v.2)を有するにもかかわらず、当該の
Lysにおいて複合体化されたADCと同様の効能を有する。
【0545】
huMOV19に関して上述したものと同様の結果が、関連のない抗体に関しても観測された。
実施例9
【0546】
【化131】
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【0547】
DM4−SPDB−ヒドラジド及びDM4−スルホ−SPDB−ヒドラジドは、上記のように、DM4−SPDBまたはDM4−スルホ−SPDBをヒドラジンと反応させることによって調製されることとなる。
実施例10
【0548】
【化132】
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【0549】
以前に説明されたスルホ−SPDB(米国特許第8,236,319号)をヒドラジンと反応させて、スルホ−SPDB−ヒドラジドリンカーを与えることができる。
0.24MのヒドラジンのDMA溶液(0.015ml、0.242mmol)に、0.06Mの1−((2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ)−1−オキソ−4−(ピリジン−2−イルジスルファニル)ブタン−2−スルホン酸(25.9mg、0.
0635mmol)のDMA溶液を、室温において高速で撹拌しながら滴下によって添加した。アルゴン下、50℃で40分間撹拌した後、30分にわたる5〜25%のアセトニトリル勾配を用いた、0.1%のギ酸を含有する脱イオン水で溶離させる逆相HPLC(C18、21.2×250mm)によって、粗反応混合物を精製した。所望の生成物を含有する画分を1つのまとめ、冷凍し、凍結乾燥して、3.1mg(収率15%)の所望の生成物を白色固体として得た。MS(M+1)
+ 実測値:324.05,計算値:324.01。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ 2.13−2.26(m,2H),2.82−2.91(m,2H),3.52(t,J=7.8,6.1Hz,1H),7.24(t,J=7.3,4.7Hz,1H),7.76(d,J=8.0Hz,1H),7.83(t,1H),8.45(d,J=3.5,2.0Hz,1H)。
【0550】
得られた化合物は、アルデヒドまたはケトンを有する細胞結合剤と反応させることができ、次いで当該ヒドラジド結合を任意選択で還元することができる。得られるリンカーは、アルデヒドまたはケトンを有する細胞結合剤と反応させることができ、次いでDM1またはDM4などのチオールを有するメイタンシノイドと反応させて、複合体を与えることができる。
【0551】
代替として、上記リンカーが細胞結合剤と反応すると、得られる分子の反応性ジスルフィドを、ジチオスレイトールまたはTCEPなどの反応剤を用いて還元してチオールを得、これをPyS−DM1またはPyS−DM4などの反応性ジスルフィドを有するメイタンシノイドと反応させてもよい。
実施例11
【0552】
【化133】
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【0553】
Boc−ヒドロキシルアミンを1,3−ジブロモプロパンと、次いでチオ酢酸と反応させることとなる。当該チオール及びアミンを、NaOH続いてHClで処理することによって脱保護し、次いで該チオール部分を2,2’−ジピリジルジスルフィドと反応させて、W1を得ることとなる。DM4をW1と反応させて、W2を得ることとなる。1,3−ジブロモプロパンを他の対称なジブロミドにより置き換えて、DM部分とジスルフィド部分との間の異なる長さのスペーサーを与えることができる。
【0554】
リンカーW1はまた、ケトンまたはアルデヒドを有する細胞結合剤を誘導体化して、反応性ジスルフィドを導入するために用いることもできる。上記オキシムはまた、任意選択で還元してもよい。いずれの方法もDM1またはDM4などのチオールを有するメイタン
シノイドの付加を可能にし、上記複合体化を完了する。
実施例12
【0555】
【化134】
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【0556】
アルコキサミノアセチル−Cys(S−2−NO2−フェニル)−−OH(1mg、2.88μmol、Org.Biomol.Biochem.2006,4:1313−1419で以前に説明されたとおりにして調製)及びDM4(6mg、7.7μmol)を、DMF(250μL)及び脱イオン水(25μL)に溶解し、1時間磁気撹拌した。この反応混合物を、0.1%のギ酸を含有する95%の脱イオン水及び30分にわたる5%〜95%のアセトニトリル勾配によって20mL/分で溶離させる、21×150mmのC18カラムを用いてHPLCで精製した。所望の生成物を採取し、冷凍し、凍結乾燥して、約0.25mg(収率9%)の所望の生成物を白色固体として得た。MS(M+H)
+ 実測値972.5;計算値972.3;MS(M−1) 実測値970.4;計算値970.3。
実施例13
【0557】
【化135】
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【0558】
スルホ−SPDB−ヒドラジン(1mg、3.1μmol)及びDM4(4mg、5.1μmol)を、DMF(300μL)及び1/4に希釈した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100μL)に溶解し、1時間磁気撹拌した。この反応混合物を、0.1%のギ酸を含有する95%の脱イオン水及び30分にわたる5%〜95%のアセトニトリル勾配によって20mL/分で溶離させる、21×150mmのC18カラムを用いてHPLCで精製した。所望の生成物を採取し、冷凍し、凍結乾燥して、約1mg(収率19%)の所望の生成物を白色固体として得た。MS(M+H)
+ 実測値992.6;計算値992.3;MS(M−1) 実測値990.5;計算値990.3。
実施例14
【0559】
【化136】
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【0560】
Boc保護Ala−Ala−Ala−OH(化合物25)を、N−ヒドロキシスクシンイミド及びEDCカップリング剤との反応、及びそれに続くヒドラジンとの反応によって活性化することができる。得られるヒドラジド(化合物26)をFMoc−Clとの反応によってFMocで保護することができ、上記Boc保護基は希HClとの反応によって除去することができる。得られる化合物27は、DIPEAの存在下で1,4−ジオキサン−2,6−ジオンと反応して、化合物28を与えることができる。EDCを用いてDM’を化合物28とカップリングさせることができ、上記FMoc保護基をモルホリンとの反応によって除去して所望の化合物29を与えることができる。
【0561】
Boc−Ala−Ala−Ala−OH(化合物25)をBoc保護アミノ酸またはペプチドで置き換えることによって上記スキームを一般化することができ、かつ上記無水グルタル酸も異なる環状無水物によりまたは一方を保護した二酸で置き換えて、DM’部分とペプチド部分との間に他のスペーサーを与えることもできる。
実施例15
【0562】
【化137】
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【0563】
Boc保護H−Gly−Gly−Gly−OH(化合物8)を、9−フルオレンメタノールDICカップリング剤及びジメチルアミノピリジン(DMAP)との反応によって保護することができる。得られる化合物30をトリフルオロ酢酸によってBoc脱保護して化合物31を与えることができ、化合物31は1,4−ジオキサン−2,6−ジオンと反応し、続いてDIC及びDMAPの存在下でトリメチルシリルエタノールと保護反応して化合物32を与えることができる。次いで化合物32をモルホリンと反応させて、9−フルオレンメタンエステルを脱保護して化合物33を与えることができる。次いで、EDCカップリング剤及びHOBTを用い、DM’を化合物33とカップリングして、化合物34を与えることができる。テトラブチルアンモニウムフロリドによる処理ならびにそれに続くカルボン酸基を活性化するためのN−ヒドロキシスクシンイミドとの反応、及びその後の、所望の化合物35を与えるためのヒドラジンとの反応によって、化合物34のトリメチルシリルエステルを除去することができる。
【0564】
Boc−Gly−Gly−Gly−OHを好ましいBoc保護アミノ酸またはペプチドで置き換えることによって、上記方法を一般化することができる。上記1,4−ジオキサン−2,6−ジオンも、異なる環状無水物によりまたは一方をトリメチルシリルエタン保護した二酸に置き換えて、DM’部分とペプチド部分との間に他のスペーサーを有する本発明の他の化合物を与えることもできる。
実施例16
【0565】
【化138】
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【0566】
N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びEDCとの反応及びそれに続く1,2−ジアミノエタンとの反応によって、Boc保護Ala−Ala−Ala−OH(化合物25)を活性化して、化合物36を得ることができる。化合物36を、EDCカップリング剤の存在下でFMoc−アミノオキシ酢酸で処理し、それに続いて希HClによってBoc脱保護することができる。得られる化合物37は1,4−ジオキサン−2,6−ジオンと反応して、化合物38を与えることができる。EDCの存在下でのDM’の化合物38とのカップリング及びそれに続くモルホリンを用いたヒドロキシルアミンの脱保護によって、最終生成物である化合物39が与えられることとなる。
【0567】
Boc保護アミノ酸またはBoc保護ペプチドを用いて同様の方法を使用し、異なるペプチド側鎖を有する本発明の化合物を生成させることができる。上記1,4−ジオキサン−2,6−ジオンを異なる環状無水物によってまたは一方が保護された二酸で置き換えて、DM’部分とペプチドとの間に他のスペーサーを与えることもできる。
実施例17
【0568】
【化139】
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【0569】
化合物36bの合成
【0570】
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
【0571】
磁気撹拌子が入ったフラスコ中で、Boc−Cly
3−OH(25b、6g、20.7mmol)をDMF(40mL)に溶解し、ここにN−ヒドロキシスクシンイミド(2.4g、20.7mmol)及びEDC(4g、20.7mmol)を添加した。この反応物を1時間磁気撹拌し、次いで、磁気撹拌したエチレンジアミン(8g、133mmol)のDMF(20mL)溶液中に、激しく磁気撹拌しながら室温でゆっくりと注ぎ込んだ。ジエチルエーテル(200mL)を添加して固体を沈殿させた。次いでこのフラスコをボルテックスし、15分間超音波照射浴中に載置した。この物質を減圧ろ過し、次いで室温で減圧乾燥し、その後DMF(20mL)に溶解し、220nmでの検出を備え、100mL/分の、0.2%のギ酸を含有する脱イオン水及び、最初の5分間は5%のアセトニトリル、次いで5〜32分の間は5%〜95%のアセトニトリルの直線的な勾配のアセトニトリル勾配で溶離させる、50mm×220mmの準備が整ったC18カラム上で、略等量の注入容量を用いて3回の運転で精製した。純粋な所望の生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、凍結乾燥して4.5g(収率65%)の所望の生成物36bを得た。
化合物36cの合成
【0572】
【化141】
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【0573】
Fmocアミノオキシ酢酸(187mg、0.60mmol)を無水DMF(1mL)に溶解し、ここにTBTU(243mg、0.76mmol)及びDIPEA(95μL、0.54mmol)を添加し、3分間磁気撹拌した。次いで、磁気撹拌しながら、Boc−Gly
3NH−(CH
2)
2−NH
2(200mg、0.54mmol)の無水DMF(1mL)溶液を添加した。1時間後に、この反応物を、254nmでの検出を備え、40mL/分の、0.2%のギ酸を含有する脱イオン水及び、最初の5分間は10%のア
セトニトリル、次いで5〜32分の間は10%〜95%のアセトニトリルの直線的な勾配のアセトニトリル勾配で溶離させる、27mm×220mmの準備が整ったC18カラム上で直接精製した。純粋な所望の生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、凍結乾燥して60mg(収率17%)の所望の生成物36cを得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ 1.37(s,9H),3.15(dt,J=10.0,5.6Hz,4H),3.58(d,J=6.0Hz,2H),3.67(d,J=5.8Hz,2H),3.74(d,J=5.6Hz,2H),4.16(s,2H),4.26(t,J=6.7Hz,1H),4.43(d,J=6.7Hz,2H),7.01(t,J=6.0Hz,1H),7.33(td,J=7.4,1.2Hz,2H),7.42(t,J=7.4Hz,2H),7.68(d,J=7.4Hz,2H),7.85(d,J=6.0Hz,1H),7.89(d,J=7.5Hz,2H),7.97(d,J=5.7Hz,1H),8.05(t,J=5.6Hz,1H),8.10(t,J=6.0Hz,1H)。HRMS 計算値649.2592,実測値649.2588。
化合物37bの合成
【0574】
【化142】
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【0575】
25mLの丸底フラスコにBoc−Gly
3−NH(CH
2)
2NHCOCH
2−O−NH−FMoc(76mg、0.122mmol)を装入し、95/5のトリフルオロ酢酸の水溶液(10mL)に溶解した。この反応混合物を室温で1時間磁気撹拌した。減圧下で反応混合物の容量を減少させ、粗製残渣を塩化メチレンとトルエンの1:1混合物(10mL)に再溶解し、減圧下で濃縮した。同時留去を3回繰り返し、得られた生成物(37b)を更に精製することなく用いた。MS(m+H
+) 実測値:527.4,計算値527.2;(m−1)。
化合物38bの合成
【0576】
【化143】
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【0577】
10mLの丸底フラスコにt−ブチル脱保護したH−Gly
3−NH(CH
2)
2NHCOCH
2ONH−FMoc(64mg、0.122mmol)及びDMF(3mL)を装入した。この溶液を撹拌しながら、無水ジグリコール酸(15.52mg、0.134mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.042mL、0.243mmol)を逐次的に添加した。フラスコにはセプタムが取り付けてあり、室温で1時間磁気撹拌した。所望の生成物を、0.1%のギ酸を含有する脱イオン水及び25分間にわたるアセトニトリルの5〜95%の直線的な勾配で溶離させる、半分取C18 HPLCによって単離した。生成物を含有する画分を1つにまとめ、減圧下で濃縮して、40mg(0.062mmol、収率51.2%)の所望の生成物(38b)を白色の残渣として得た。MS(m+H+) 実測値:643.4,計算値643.2;(m−1) 実測値:641.2,計算値:641.2。
化合物38cの合成
【0578】
【化144】
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【0579】
10mLの丸底フラスコに、May−NMA(5.06mg、7.78μmol)の酢酸エチル(1.500mL)溶液を装入した。次いで、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジミド塩酸塩(EDC、3.73mg、0.019mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.39μl、0.019mmol)を添加し、その後HOCOCH
2OCH
2CO−Gly
3NH(CH
2)
2NHCOCH
2ONH−FMoc(10mg、0.016mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)溶液を加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。減圧下でこの反応混合物の容量を半分に減らし、生成物を、0.1%のギ酸を含有する脱イオン水及び25分間にわたるアセトニトリルの5〜95%の直線的な勾配で溶離させる、半分取C18 HPLCによって単離した。生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、凍結乾燥して、所望の生成物(38c)1.4mg(収率13%)を白色固体として得た。MS(m+Na+) 実測値:1296.7,計算値:1296.5。
化合物39bの合成
【0580】
【化145】
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【0581】
May−NMA−COCH
2OCH
2CO−Gly
3NH(CH
2)
2NHCH
2ONH−Fmoc(1.4mg、1.098μmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、撹拌子を備えた3mLのガラス製バイアルに移した。この溶液を撹拌しながら、20%v/vのモルホリン(300μL、3.44mmol)を添加した。反応を室温、撹拌下で、完結したと判定されるまで進行させた。この粗製の反応混合物を、半分取C18 HPLCによって、3回の注入で精製した。生成物を含有する画分を1つにまとめ、シンチレーション用バイアルに移し、ドライアイス/アセトン浴中で冷凍し、凍結乾燥して、1.1mg(収率95%)の所望の生成物(39b)を得た。MS(m+Na+) 実測値:1074.7,計算値:1074.4;高分解能MS(m+H)
+
実測値:1052.4331,計算値:1052.4338;(m+Cl−) 実測値:1086.5,計算値:1086.4。
実施例18
【0582】
【化146】
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【0583】
【化147】
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【0584】
Fmoc−Gly
3−MayNMA
100mLのフラスコに、May−NMA(200mg、0.308mmol)の酢酸エチル(19mL)溶液を装入した。この反応フラスコを減圧下で濃縮してEtOACを除去した。この物質をDMSO(10mL)に再溶解し、FMoc−Gly
3−OH(165mg、0.400mmol)、HOBT(12.25mg、0.080mmol)、EDC(77mg、0.400mmol)及びDIPEA(53.7μL、0.308mmol)で処理した。反応を、アルゴン下、室温で進行させた。1時間後に、この反応混合物を、35mL/分でのC18高性能gold 30gカラムを使用したCombiflash Rf 200iを用いて精製した。0.1%のギ酸を含有する脱イオン水及び20分間にわたる5〜95%のアセトニトリル勾配で溶離。所望の生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、凍結乾燥して、所望の生成物296mg(収率93%)を得た。MS(M)
+ 実測値:1043.4,計算値:1043.4。
【0585】
【化148】
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【0586】
H−Gly
3−MayNMA
FMoc−Gly
3−MayNMA(37.7mg、0.036mmol)を20%のモルホリンのDMSO溶液(5mL)に溶解し、1時間磁気撹拌した。この反応混合物を、35mL/分でのC18高性能gold 30gカラムを使用したCombiflash Rf 200iを用いて精製した。25分間にわたる2〜95%のアセトニトリル勾配を伴う0.1%のギ酸を含有する脱イオン水で溶離。所望の生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、所望の生成物20mg(収率75%)へと凍結乾燥した。LRMS(M)
+ 実測値821.40,計算値:821.34。
【0587】
【化149】
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【0588】
Fmoc−アミノオキシ−Gly
3−MayNMA
H−Gly
3−MayNMA(15mg、0.018mmol)をDMSO(2mL)に溶解し、ここにFMoc−アミノオキシ酢酸(11.44mg、0.037mmol)、DIPEA(3.19μL、0.018mmol)及びEDC(7.0mg、0.037mmol)を添加した。1時間後に、粗物質を、21.2mL/分の流速での、XB−C18 21.2×150mm、5μmカラムを使用した半分取C18 HPLCによって精製した。0.1%のギ酸を含有する脱イオン水及び、3分間は5%のアセトニトリル、次いで5〜25分の間は5%〜95%のアセトニトリルの直線的な勾配で溶離。所望の生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、凍結乾燥して、2mg(収率8%)の所望の生成物を得た。MS(M+Na)
+ 実測値1138.6,計算値:1138.4。
【0589】
【化150】
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【0590】
アミノオキシ−Gly
3−MayNMA
Fmoc−アミノオキシ−Gly
3−MayNMA(2mg、18μmol)を、室温で2時間磁気撹拌して、20%のモルホリンのDMSO溶液(1mL)で処理した。この反応混合物を、21.2mL/分の流速での、XB−C18 21.2×150mm、5μmカラムを使用した半分取C18 HPLCによって精製した。0.1%のギ酸を含有する脱イオン水及び、5分間は5%のアセトニトリル、次いで5〜25分の間は5%〜95%のアセトニトリルの直線的な勾配で溶離。所望の生成物を含有する画分を直接採取し、冷凍し、凍結乾燥して、アミノオキシ−Gly
3−MayNMA(0.2mg、0.224μmol)を得た。LRMS(M+Na)
+ 実測値916.60,計算値:916.36。HRMS(M+Na)
+ 実測値916.3466,計算値:916.3466。
実施例19
【0591】
【化151】
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【0592】
FMoc保護アミノオキシMayNMA
100mLのフラスコに、MayNMA(150mg、0.231mmol)を含む酢酸エチル(35mL)を装入した。この反応フラスコを減圧下で濃縮してEtOACを除去した。この物質をDMF(5mL)に再溶解し、磁気撹拌しながら、FMoc−アミノオキシ酢酸(72.3mg、0.231mmol)、続いてEDC(44.2mg、0.231mmol)で処理した。反応を、アルゴン下、室温で4時間進行させ、次いで21.2mL/分の流速での、XB−C18 21.2×150mm、5μmカラムを使用した半分取C18 HPLCによって精製した。0.1%のギ酸を含有する脱イオン水及び、最初の5分間は5%、次いで5〜25分の間は5%〜95%のアセトニトリル勾配で溶離。所望の生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、凍結乾燥して、24.2mg(収率11%)の所望の生成物を得た。LRMS(M)
+ 実測値945.35,計算値:945.36。
【0593】
【化152】
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【0594】
アミノオキシ−MayNMA
FMoc保護アミノオキシMayNMA(24.2mg、0.026mmol)を20%のモルホリンのDMF溶液(2mL)で処理した。1時間磁気撹拌した後に、この反応混合物を、21.2mL/分の流速での、XB−C18 21.2×150mm、5μmカラムを使用した半分取C18 HPLCによって精製した。0.1%のギ酸を含有する脱イオン水及び、5分間は5%、次いで25分間にわたって5%〜95%の直線的な勾配のアセトニトリル勾配で溶離。所望の生成物を含有する画分を1つにまとめ、冷凍し、凍結乾燥して、10mg(収率54.0%)の所望の生成物を得た。MS(M)
+ 実測値:723.3,計算値:723.3;高分解能MS 実測値:723.2995,計算値:723.3003。
実施例20 雌のSCIDマウスにおけるNCI−H2110 NSCLC異種移植片に対する単回投与SeriMab部位特異的huMOV19NTS#2−リンカー1−化合物Aの抗腫瘍活性
6週齢の雌のCB.17 SCIDマウスをCharles River Laboratoriesより入手した。マウスに、0.1mlの50%マトリゲル/血清を含まない培地中に懸濁させた1×10
7のNCI−H2110腫瘍細胞を、右脇腹への皮下注射によって接種した。腫瘍容積が約100mm
3に達したとき(接種後第7日)に、マウスを、腫瘍容積に基づいて無作為に、各群6匹の4群に振り分けた。1日目(接種後8日目)に、マウスに対して、ビヒクル対照(0.2ml/マウス)またはhuMOV19NTS#2−リンカー1−化合物A(スキーム1、[6])複合体の単回IV投与を、化合物
Aの濃度に基づいて10、25または50μg/kgで行った。
【0595】
腫瘍の大きさを週2〜3回、ノギスを用いて三次元で測定した。腫瘍容積を、式V=長さ×幅×高さ×1/2を用いてmm
3で表した。腫瘍容積が50%以上減少した場合、マウスは部分退縮(PR)があったと見なし、触知可能な腫瘍を検知することができない場合、完全な腫瘍の退縮(CR)があったと見なした。腫瘍容積はStudyLogソフトウェアによって判定した。
【0596】
次の式:T/C(%)=治療群のメジアン腫瘍容積/対照群のメジアン腫瘍容積×100を用いて、腫瘍の増殖阻害(T/C値)を判定した。
ビヒクル対照の腫瘍容積が所定の大きさ1000mm
3に達したところで、治療(T)群及びビヒクル対照(C)群で同時に腫瘍容積を測定した。腫瘍のないマウス(0mm
3)を含む各治療群のメジアン腫瘍容積を毎日測定した。NCI標準に従えば、T/C≦42%が抗腫瘍活性の最低レベルである。T/C<10%が高抗腫瘍活性レベルと見なされる。
【0597】
図13に示すように、上記複合体は25μg/kg及び50μg/kg用量において高活性である。
実施例21 タンパク質A樹脂を用いた親和性捕捉による異化産物富化
葉酸受容体α(FRα)を発現するKB細胞を5×T150組織培養プレート中で培養した。飽和量の、FRαを標的とするhuMOV19NTS#2−リンカー1−化合物A(すなわちSeriMab−sDGN462)複合体をKB細胞と共に、5%のCO
2で緩衝し加湿したインキュベータ中、37℃で24時間インキュベートした。24時間後に、細胞から排出された異化産物を含有する培地を採取し、プールして次のアッセイを行った。
【0598】
4℃での終夜のインキュベーションによって、飽和量の抗インドリノベンゾジアゼピン化合物抗体をタンパク質A樹脂のスラリーに結合させた。1mlの予め結合させたタンパク質A/抗ベンゾジアゼピン化合物抗体複合体を25mlの培地と共に、エンドツーエンド回転器で数時間インキュベートした。上記樹脂を1000rpmで緩徐に遠心分離し、上清をデカントした。上記IGNの異化産物に結合したタンパク質A/抗IGN抗体樹脂をPBS(5×)で洗浄して培地成分を除去した。アセトン抽出によって上記異化産物を有機相中に放出させた。有機溶液が完全に留去されるまで、上記異化産物を終夜減圧乾燥した。上記異化産物を20%のアセトニトリル水溶液で再構成し、LC−MSによって分析した。
【0599】
葉酸受容体α(FRα)を発現するKB細胞を5×T150組織培養プレート中で培養した。飽和量の、FRαを標的とするhuMOV19NTS#2−アミノオキシ−アセチル−MayNMA(「SeriMab−May」としても知られる)複合体をKB細胞と共に、5%のCO
2で緩衝し加湿したインキュベータ中、37℃で24時間インキュベートした。24時間後に、細胞から排出された異化産物を含有する培地を採取し、プールして次のアッセイを行った。
【0600】
4℃での終夜のインキュベーションによって、飽和量の抗メイタンシン抗体をタンパク質A樹脂のスラリーに結合させた。1mlの予め結合させたタンパク質A/抗メイタンシン抗体複合体を20mlの培地と共に、エンドツーエンド回転器で数時間インキュベートした。上記樹脂を1000rpmで緩徐に遠心分離し、上清をデカントした。上記メイタンシノイドの異化産物に結合したタンパク質A/抗メイタンシン抗体樹脂をPBS(5×
)で洗浄して培地成分を除去した。アセトン抽出によって上記異化産物を有機相中に放出させた。有機溶液が完全に留去されるまで、上記異化産物を終夜減圧乾燥した。上記異化産物を20%のアセトニトリル水溶液で再構成し、LC−MSによって分析した。
MS分析
Waters LCT ESI−TOFを用いたインタクト質量分析によって、huMOV19−NTS#2複合体の薬物分布プロファイルを特徴付けた。Waters QTOFを用いたLC/MS/MSによって、上記複合体のトリプシンによるペプチドマッピングを実施した(試料を、還元、アルキル化し、続いてトリプシン消化した)。Q−Exactive高分解能質量分析計(Thermo)を用いたUHPLC/MS/MSによって細胞の異化産物を同定した。抽出イオンクロマトグラム(XIC)を用いて、標的細胞の異化産物を同定しかつ特徴付けた。特徴的なメイシン(547m/z)及びDGN(286m/z)の質量シグネチャーを含む全ての異化産物種を同定した。
【0601】
SeriMab−sDGN462複合体及びSeriMab−May複合体の両方が、24時間の処理の後に当該標的細胞から排出される異化産物を生成した。末端カルボン酸を含有するDGN及びメイタンシノイド代謝物は、抗体重鎖上のN末端セリン残基または隣接するバリン残基のタンパク質分解と整合する。これらの異化産物はSeriMab複合体化プラットフォームに特有のものであるが、これは、システインまたはリシンにおける複合体化に由来する代謝物は本質的に双生イオン性であることが予期されるためである。sDGN462複合体は、ジスルフィドの開裂(sDGN462)及びチオール基の自己犠牲(self−immolation)(DGN−アニリン)と整合する更なる異化産物を生成した。これらの代謝物はまた、リシンで結合したDGN462複合体からも生成される。
実施例22 バイスタンダー活性
96穴プレート(Falcon、丸底)中で、50μl/ウェルの複合体をそれぞれ、加熱不活性化した10%のFBS(Life Technologies)、0.1mg/mlのゲンタマイシン(Life Technologies)及びβME(Life
Technologies)を補充したRPMI−1640(Life Technologies)で、1e〜10M及び4e〜10Mの濃度に希釈して、これを6通り行った。組換えFOLR1(FR1#14)を発現するまたは発現ベクターを発現しない(親)300.19細胞(マウス)を血球計数器上で計数した。ADCまたは培地のみを含有するウェルに50μl/mlの1000のFR1#14細胞/ウェルを添加し、ADCまたは培地のみを含有するウェルに50μl/mの2000の親細胞/ウェルを添加し、ADCまたは培地のみを含有するウェルにFR1#14細胞及び親細胞の両方を一緒に添加した。全てのプレートを5%のCO
2、37℃のインキュベータ中で4日間インキュベートした。全容量は150μl/ウェルであった。インキュベーション後に、75μl/ウェルのCell Titer Glo(Promega)の添加によって細胞生存率を分析し、30分間現像した。発光計上で発光を読み取り、培地のみを含有するウェルにおけるバックグラウンドを全ての値から減じた。各細胞の処理の平均値の棒グラフをGraph Pad Prismを用いてグラフ化した。
【0602】
図16に示すように、リシンまたはN末端セリンのいずれかを介して複合体化されたジスルフィドで結合したsDGN462 ADCは、近位の抗原陰性細胞の強力なバイスタンダー殺傷を示す。
【0603】
セリンで結合したD8複合体についても同様の結果が観測される。
図27を参照されたい。
実施例23 化合物D8の合成
【0604】
【化153】
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【0605】
ステップ1:ヒドロキシカルバミン酸tert−ブチル(1.490g、11.19mmol)をDMF(22.38mL)に溶解した。2−(3−ブロオプロピル)イソインドリン−1,3−ジオン(3g、11.19mmol)及び炭酸カリウム(3.09g、22.38mmol)を添加し、この反応物を室温で終夜撹拌した。これを冷水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機分を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、粗製残渣をシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、勾配、0%〜45%)によって精製して、化合物8aを粘着性固体として得た(2.41g、収率67%)。LCMS=4.99分(8分法)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3): δ 7.86−7.83(m,2H),7.73−7.77(m,2H),7.28(bs,1H),3.92(t,2H,J=6.0Hz),3.82(t,2H,6.9Hz),2.05−1.98(m,2H),1.47(s,9H)。
【0606】
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
【0607】
ステップ2:化合物8a(2.41g、7.52mmol)を無水DCM(18.81mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。新たに混合したDCM(9.40ml)及びTFA(9.40ml)の溶液を添加し、氷浴を取り外した。この反応物を室温で1時間撹拌し、DCMで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、脱水し、ろ過し、濃縮して化合物8bを得た(1.32g、収率80%)。この粗製物質を更に精製することなく用いた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3): δ 7.85−7.82(m,2H),7.72−7.69(m,2H),3.78(t,2H,J=7.0Hz),3.72(t,2H,6.0Hz),1.99−1.93(m,2H)。
【0608】
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
【0609】
ステップ3:化合物8b(100mg、0.454mmol)を無水DCM(4.5mL)に溶解し、TEA(127μl、0.908mmol)及び2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(2−(トリメチルシリル)エチル)カーボネート(177mg、0.681mmol)を添加し、この反応物を室温で終夜撹拌した。この反応物をDCMで希釈し、飽和食塩水で洗浄し、脱水し、ろ過し、留去した。粗製残渣をシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、勾配、0%〜40%)によって精製して、化合物8cを得た(148mg、収率89%)。LCMS=5.91分(8分法)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3): δ 7.86−7.83(m,2H),7.73−7.69(m,2H),7.39(bs,1H),4.26−4.20(m,2H),3.94(t,2H,J=6.0Hz),3.83(t,2H,6.9Hz),2
.06−1.98(m,2H),1.05−0.98(m,2H),0.04(s,9H)。
【0610】
【化156】
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【0611】
ステップ4:化合物8c(148mg、0.406mmol)をエタノール(2.7mL)に溶解し、完全に可溶となるまで撹拌した。ヒドラジン(63.7μl、2.030mmol)を添加し、この反応物を、1時間で白色沈殿が急激に生成されるまで室温で撹拌した。この反応物をセライトに通してろ過し、追加のエタノールで濯いだ。ろ液を留去し、シリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(A=MeOH、B=EtOAc勾配、100%〜10%)によって精製した。生成物画分を質量分析によって検知し、留去して化合物8dを粘着性固体として得た(67.5mg、収率71%)。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3): δ 4.27−4.21(m,2H),3.98(t,2H,J=5.9Hz),2.92−2.87(m,2H),1.85−1.77(m,2H),1.06−0.99(m,2H),0.04(s,9H)。
【0612】
【化157】
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【0613】
ステップ5:(S)−2−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(5g、22.40mmol)及び(S)−2−アミノプロパン酸tert−ブチル塩酸塩(4.48g、24.64mmol)を無水DMF(44.8mL)に溶解させた。EDC・HCl(4.72g、24.64mmol)、HOBt(3.43g、22.40mmol)、及びDIPEA(9.75mL、56.0mmol)を添加した。この反応物をアルゴン下、室温で終夜撹拌した。この反応物をジクロロメタンで希釈し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で脱水し、濃縮した。この粗製油状物をシリカゲル・クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、化合物2aを得た(6.7g、収率85%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3): δ 7.38−7.31(m,5H),6.53−6.42(m,1H),5.42−5.33(m,1H),5.14(s,2H),4.48−4.41(m,1H),4.32−4.20(m,1H),1.49(s,9H),1.42(d,3H,J=6.8Hz),1.38(d,3H,J=7.2Hz)。
【0614】
【化158】
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【0615】
ステップ6:化合物2a(6.7g、19.12mmol)をメタノール(60.7mL)及び水(3.03mL)に溶解した。この溶液をアルゴンで5分間パージした。パラジウム炭素(湿潤、10%)(1.017g、0.956mmol)をゆっくりと添加した。この反応物を水素雰囲気下で終夜撹拌した。この溶液をセライトに通してろ過し、メタノールで濯ぎ、濃縮した。これをメタノール及びアセトニトリルで共沸化し、得られた油状物を直接高真空に載置し、化合物2b(4.02g、収率97%)を得、これを次のステップで直接用いた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3): δ 7.78−7.63(m,1H),4.49−4.42(m,1H),3.55−3.50(m,1
H),1.73(s,2H),1.48(s,9H),1.39(d,3H,J=7.2Hz),1.36(d,3H,J=6.8Hz)。
【0616】
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
【0617】
ステップ7:化合物2b(4.02g、18.59mmol)及びアジピン酸モノメチル(3.03mL、20.45mmol)を無水DMF(62.0mL)に溶解した。EDC・HCl(3.92g、20.45mmol)、HOBt(2.85g、18.59mmol)及びDIPEA(6.49mL、37.2mmol)を添加した。この混合物を室温で終夜撹拌した。この反応物をジクロロメタン/メタノール(150mL、5:1)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄した。これを硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、ストリッピングした。この化合物をアセトニトリル(5×)で共沸化し、次いで高真空で35℃にてポンプで吸引し、化合物2cを得た(6.66g、収率100%)。この粗製の物質を精製することなく、次のステップで用いた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3): δ 6.75(d,1H,J=6.8Hz),6.44(d,1H,J=6.8Hz),4.52−4.44(m,1H),4.43−4.36(m,1H),3.65(s,3H),2.35−2.29(m,2H),2.25−2.18(m,2H),1.71−1.60(m,4H),1.45(s,9H),1.36(t,6H,J=6.0Hz)。
【0618】
【化160】
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【0619】
ステップ8:化合物2c(5.91g、16.5mmol)を、TFA(28.6mL、372mmol)及び脱イオン水(1.5mL)中、室温で3時間撹拌した。この反応混合物をアセトニトリルと共に濃縮し、高真空上に載置して粗製の化合物2dを粘着性固体として得た(5.88g、収率100%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3): δ 7.21(d,1H,J=6.8Hz),6.81(d,1H,J=7.6Hz),4.69−4.60(m,1H),4.59−4.51(m,1H),3.69(s,3H),2.40−2.33(m,2H),2.31−2.24(m,2H),1.72−1.63(m,4H),1.51−1.45(m,3H),1.42−1.37(m,3H)。
【0620】
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
【0621】
ステップ9:化合物2d(5.6g、18.52mmol)を無水ジクロロメタン(118mL)及び無水メタノール(58.8mL)に溶解した。(5−アミノ−1,3−フェニレン)ジメタノール(2.70g、17.64mmol)及びEEDQ(8.72g、35.3mmol)を添加し、この反応物を室温で終夜撹拌した。溶媒をストリッピングし、酢酸エチルを添加した。得られたスラリーをろ過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧/N
2下で乾燥して、化合物2eを得た(2.79g、収率36%)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6): δ 9.82(s,1H),8.05,(d,1H,J
=9.2Hz),8.01(d,1H,J=7.2Hz),7.46(s,2H),6.95(3,1H),5.21−5.12(m,2H),4.47−4.42(m,4H),4.40−4.33(m,1H),4.33−4.24(m,1H),3.58(s,3H),2.33−2.26(m,2H),2.16−2.09(m,2H),1.54−1.46(m,4H),1.30(d,3H,J=7.2Hz),1.22(d,3H,J=4.4Hz)。
【0622】
【化162】
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【0623】
ステップ10:化合物2e(0.52g、1.189mmol)及び四臭化炭素(1.183g、3.57mmol)を無水DMF(11.89mL)に溶解した。トリフェニルホスフィン(0.935g、3.57mmol)を添加し、この反応物をアルゴン下で4時間撹拌した。この反応混合物をDCM/MeOH(10:1)で希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、濃縮した。この粗製の物質をシリカゲル・クロマトグラフィー(DCM/MeOH)によって精製して、化合物2f(262mg、収率39%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6): δ 10.01(s,1H),8.11(d,1H,J=6.8Hz),8.03(d,1H,J=6.8Hz),7.67(s,2H),7.21(s,1H),4.70−4.64(m,4H),4.40−4.32(m,1H),4.31−4.23(m,1H),3.58(s,3H),2.34−2.26(m,2H),2.18−2.10(m,2H),1.55−1.45(m,4H),1.31(d,3H,J=7.2Hz),1.21(d,3H,J=7.2Hz)。
【0624】
【化163】
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【0625】
ステップ11:ジブロミド化合物2f及びIGN単量体化合物I−1をDMFに溶解した。炭酸カリウムを添加し、室温で終夜撹拌した。この反応混合物に水を添加して生成物を沈殿させた。このスラリーを室温で5分間撹拌し、次いでろ過し、減圧/N
2下で1時間乾燥した。この粗製の物質をシリカゲル・クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)によって精製して、化合物2gを得た(336mg、収率74%)。LCMS=5.91分(15分法)。MS(m/z):990.6(M+1)
+。
【0626】
【化164】
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【0627】
ステップ12:ジイミン化合物2gを1,2−ジクロロエタンに溶解した。この反応混合物にNaBH(Ac)
3を添加し、室温で1時間撹拌した。この反応物をCH
2Cl
2で希釈し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチした。層を分離し、飽和食塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水し、濃縮した。この粗製の物質をRPHPLC(C18カラム、アセトニトリル/水)によって精製して、化合物2h(85.5mg、収率25%)を得た。LCMS=6.64分(15分法)。MS(m/z):992.6(M+1)
+。
【0628】
【化165】
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【0629】
ステップ13:メチルエステル化合物2hを1,2−ジクロロエタンに溶解した。この反応混合物にトリメチルスタンナノール(trimethylstannanol)を添加し、80℃で終夜加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈した。水層を1MのHClでpH約4に酸性化した。この混合物をCH
2Cl
2/MeOH(10:1、3×20mL)で抽出した。1つにまとめた有機層を飽和食塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水し、濃縮した。この粗製の物質をシリカ充填物に通して化合物2iを得た(48.8mg、収率80%)。LCMS=5.89分(15分法)。MS(m/z):978.6(M+1)
+。
【0630】
【化166】
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【0631】
ステップ14:化合物2i(30mg、0.031mmol)を無水DCM(613μl)中に懸濁させた。この溶液が透明になるまで無水DMFを滴下によって添加した。化合物8d(21.57mg、0.092mmol)、EDC・HCl(29.4mg、0.153mmol)、及びDMAP(0.749mg、6.13μmol)を添加し、この反応物を室温で1時間撹拌した。これをDCM/MeOH 10:1で希釈し、次いで水洗した。水層をDCM/MeOH 10:1で抽出し、1つにまとめた有機分を脱水し、濃縮して化合物8e(49mg)を得、これを更に精製することなく用いた。LCMS=5.94分(8分法)。MS(m/z):1194.4(M+1)
+。
【0632】
【化167】
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【0633】
ステップ15:化合物8e(49mg、0.041mmol)をTHF(820μl)に溶解し、この反応物を氷浴中で0℃に冷却した。TBAF(205μl、0.205mmol)を添加し、この反応物を15分間撹拌し、その後氷浴を取り外した。これを室温で反応が完結するまで撹拌した。この反応物を0℃まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、DCM/MeOH 10:1で抽出した。有機分を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、留去した。この粗製の物質をRPHPLC(C18カラム、アセトニトリル/水)によって精製して、化合物D8を得た(17.6mg、2ステップで収率54%)。LCMS=5.1分(8分法)。MS(m/z):1050.4(M+1)
+。
実施例24 化合物D9の合成
【0634】
【化168】
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【0635】
ステップ1:化合物9a(17mg、0.016mmol)をDCM(328μl)に溶解した。化合物8d(5.76mg、0.025mmol)及びDIPEA(5.71μl、0.033mmol)を室温で添加し、この反応物を反応が完結するまで撹拌した。これを10:1 DCM:MeOHで希釈し、飽和食塩水で洗浄した。有機分を脱水し、濃縮して化合物9bを得、これを直接用いた。
【0636】
ステップ2:実施例23における化合物D8と同様にして、化合物D9を調製した。この粗製の物質をRPHPLC(C18カラム、アセトニトリル/水)によって精製して化合物D9を得た(5mg、2ステップで収率31%)。LCMS=5.68分(8分法)。MS(m/z):1012.5(M+1)
+。
実施例25 huCD123−6抗体のSeriMab複合体の調製
a)N末端での抗体複合体化−2ステップ法
huCD123−6Gv4.6/7S3抗体(
図5に示すスキーム3中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液で処理した(50当量、25℃、30分)。次いでこの混合物をNAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0637】
得られた溶液を4−アミノフェネチルアルコール(DMA[N,N−ジメチルアセトアミド]中100mM)で処理し、10%v/vの共溶媒とした。続いてヘテロ二官能性リンカー1(スキーム3中の[3]、5当量)を導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0638】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンエタンスルホン酸)、pH8.5バッファへとバッファ交換した。次にこの溶液をDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒(10%v/v)で調節し、25℃で6時間、スルホン化DGN462(sDGN462)(スキーム3、[5]、遊離チオール、5当量)で処理した。
【0639】
得られた複合体を、NAPろ過カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)を用いて、pH6.2の、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロース、0.01%のTween−20、50μMの亜硫酸水素ナトリウムの処方バッファへとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット(ThermoScientific 10,000 MWCO)を利用して、25℃で4時間、同一のバッファ中で透析を実施した。
精製した複合体(スキーム3、[6])は、抗体当たり2の結合したDGN462分子の均一な平均値(Q−ToF質量分析による)、>98%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<2%の遊離の薬物(アセトン沈殿させた逆相HPLC分析による)、及び0.18mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huCD123−6Gv4.6/7S3抗体に関するモル消衰係数ε
280=213320M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
b)N末端での抗体複合体化−IGNの直接の結合
重鎖上のN末端セリンについて操作した、操作されたN末端Serを含有するhuCD
123−6Gv4.7S2抗体(
図17、スキーム4中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を、25℃で30分間、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(50モル当量)で処理した。次いでこの混合物をNAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0640】
得られた溶液をp−フェニレンジアミン(DMA[N,N−ジメチルアセトアミド]中100mM)で処理し、10%v/vの共溶媒とした。続いてイン・シチュでスルホン化したD8(すなわちs−D8)(スキーム4、[3]、5モル当量)を導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0641】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、pH6.2の、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロースのバッファへとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット(ThermoScientific 10,000 MWCO)を利用して、25℃で4時間、同一のバッファ中で透析を実施した。
【0642】
精製した複合体(スキーム4、[4])は、抗体当たり2の結合したD8分子の均一な平均値(Q−ToF質量分析による)、>96%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<3%の遊離の薬物(HISEP逆相HPLC分析による)、及び1.4mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huCD123−6Gv4.7S2抗体に関するモル消衰係数ε
280=213320M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
【0643】
上述のイン・シチュでスルホン化したD8(すなわちsD8)は以下の手順に従って調製した。凍結乾燥した白色固体のD8の試薬を、DMA(N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解して、10〜20mMの原液濃度の溶液とした。新たに調製した亜硫酸水素ナトリウム溶液(500mMの水溶液、5モル当量)を添加し、得られた溶液を25℃で4〜6時間反応させて、その後4℃で15時間の保持工程を行った。新たに調製した亜硫酸水素ナトリウム溶液のアリコート(500mMの水溶液、2モル当量)を導入し、25℃で4時間反応させて、その後更に使用するまでの間−80℃で保存した。
c)N末端での抗体複合体化−CD123−6Gv4.7S3またはS2に関する2ステッププロトコル
軽鎖上のN末端セリンについて操作したhuCD123−6Gv4.7S3(またはS2 − 抗体(Ab)の略図はS3に関するものであるが、スキームはS2にも適用される)抗体(
図18、スキーム5中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を、25℃で30分間、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(50モル当量)で処理した。次いでこの混合物をNAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0644】
得られた溶液を4−アミノフェネチルアルコール(DMA[N,N−ジメチルアセトアミド]中100mM)で処理し、10%v/vの共溶媒とした。続いてヘテロ二官能性リンカー1(スキーム5、[3]、5モル当量)を導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0645】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、HEPES(4−(2
−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンエタンスルホン酸)、pH8.5バッファへとバッファ交換した。次にこの溶液をDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒(10%v/v)で調節し、25℃で6時間、スルホン化D1(すなわちsD1)(スキーム5、[5]、遊離チオール、5モル当量)で処理した。
【0646】
得られた複合体を、NAPろ過カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)を用いて、pH6.2の、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロース、0.01%のTween−20、50μMの亜硫酸水素ナトリウムの処方バッファへとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット(ThermoScientific 10,000 MWCO)を利用して、25℃で4時間、同一のバッファ中で透析を実施した。
【0647】
精製した複合体(スキーム5、[6])は、抗体当たり2.0の結合したsD1の分子の均一な平均値(Q−ToF質量分析による)、>96%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<3%の遊離の薬物(アセトン沈殿させた逆相HPLC分析による)、及び0.4mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huCD123−6Gv4.7S3抗体に関するモル消衰係数ε
280=213320M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
実施例26 4のDARを有する複合体を調製するためのN末端での抗体複合体化
(a)2ステップ法
重鎖及び軽鎖上のN末端セリンについて操作したhuMOV19−NTS2S3抗体(
図19に示すスキーム6中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液で処理した(50当量、25℃、30分)。次いでこの混合物をNAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0648】
得られた溶液を、10%v/vのDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒を含有する反応槽中で、4−アミノフェネチルアルコールで処理して10mMの濃度とした。続いてリンカー1(スキーム6中の[3]、10当量)を導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0649】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンエタンスルホン酸)、pH8.5バッファへとバッファ交換した。次にこの溶液をDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒(10%v/v)で調節し、25℃で6時間、化合物A(すなわちスルホン化DGN462(sDGN462))(スキーム6、[5]、遊離チオール、10当量)で処理した。
【0650】
得られた複合体を、NAPろ過カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)を用いて、pH6.2の、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロース、0.01%のTween−20、50μMの亜硫酸水素ナトリウムの処方バッファへとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット(ThermoScientific 10,000 MWCO)を利用して、25℃で4時間、同一のバッファ中で透析を実施した。
【0651】
精製した複合体(スキーム6、[6])は、抗体当たり4の結合した化合物A分子の均一な平均値(Q−ToF質量分析による、
図20)、>93%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<2%の遊離の薬物(アセトン沈殿させた逆相HPLC分析に
よる)、及び0.1mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huMOV19−NTS2S3抗体に関するモル消衰係数ε
280=201400M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
(b)DMxの直接結合
操作されたN末端Serを含有するhuMOV19−NTS2S3抗体(
図21A、スキーム7中の[1]、PBS中3mg/mL、pH7.4)を、25℃で30分間、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(50モル当量)で処理した。次いでこの混合物をNAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE
Healthcare)に通して、酢酸ナトリウムバッファ、pH5.0へとバッファ交換した。
【0652】
得られた溶液を、該反応槽には10%v/vのDMA(N,N−ジメチルアセトアミド)共溶媒を含有する反応槽中で、4−アミノフェネチルアルコールで処理して10mMの濃度とした。次いで、アミノオキシ−アセチル−MayNMA(スキーム7、[3]、10モル当量)を続いて導入し、反応槽を密封して37℃で24時間インキュベートした。
【0653】
次いでこの混合物を、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G−25 DNAグレード、GE Healthcare)に通して、pH6.2の、250mMのグリシン、10mMのヒスチジン、1%のスクロースのバッファへとバッファ交換した。Slide−a−Lyzer透析カセット(ThermoScientific 10,000 MWCO)を利用して、25℃で4時間、同一のバッファ中で透析を実施した。
【0654】
精製した複合体(スキーム7、[4])は、抗体当たり4の結合したMayNMA分子の均一な平均値(Q−ToF質量分析による、
図21B)、>95%の単量体(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<2%の遊離の薬物(HISEP逆相HPLC分析による)、及び0.2mg/mLの最終的なタンパク質濃度(huMov19−NTS2S3抗体に関するモル消衰係数ε
280=201400M
−1cm
−1を用いたUV−可視光による)を有することが判明した。
実施例27 huCD123−6抗体の部位特異的複合体のイン・ビトロでの細胞毒性
種々のIGN化合物を有するhuCD123−6の部位特異的複合体(huCD123−6Rv1.1S2−SeriMab−D8)の、CD123をその細胞表面上に発現する細胞を殺傷する能力を、イン・ビトロ細胞毒性アッセイを用いて、一致する抗体及びペイロード(huCD123−6Rv1.1−D2)を含むリシンで結合した複合体の上記能力と比較した。細胞毒性アッセイは以下のとおりに実行して分析した。
【0655】
上記細胞株を、細胞の供給元(ATCCまたはDSMZ)によって推奨された培地中で培養した。100μLの上記培地中の2,000〜10,000の上記細胞を、平底の96穴プレートの各ウェルに添加した。細胞表面上のFc受容体をブロックするために、上記培地に100nMのchKTI抗体(同一のイソ型の抗体)を補充した。3倍での段階希釈を用いて複合体を培養培地へと希釈し、ウェル当たり100μLを添加した。CD123に依存しない細胞毒性の寄与を測定するために、いくつかのウェルには、上記被験複合体の前にCD123をブロックする抗体(100nMのchCD123−6抗体)を添加した。各アッセイプレートには、細胞及び上記培地を含有するが複合体を含有しない対照ウェル、ならびに培地のみを含有するウェルが含まれていた。アッセイは、各データポイントに対して3通り実施した。上記プレートを、加湿した6%CO
2のインキュベータ中、37℃で4〜7日間インキュベートした。次いで、WST−8に基づくCell Counting Kit−8(Dojindo Molecular Technolo
gies、Rockville,MD)を用いて、各ウェル中の生存する細胞の相対的な数を測定した。初めに培地のバックグラウンド吸収について補正を行い、次いで対照ウェル(未処理の細胞)における値の平均値で各値を除算することによって、各ウェルにおける見掛けの細胞の生存率を算出した。細胞の生存率を複合体濃度に対して片対数プロットでプロットした。
【0656】
huCD123−6Rv1.1S2−SeriMab−D8複合体は標的(CD123)結合を維持し、多数の細胞株に対して、少なくともリシンで結合したhuCD123−6Rv1.1−D2複合体と同程度に活性であった。AML細胞株SHI−1及びHNT−34、ならびにCML細胞株MOLM−1を用いた細胞毒性アッセイのいくつかの例を、それぞれ
図22A〜22Cに示す。両方の複合体が、SHI−1細胞、HNT−34細胞、及びMOLM−1細胞に対してそれぞれ、約0.01nM、0.002nM、及び0.03nMのIC
50値を有して、用量依存的な形態で上記細胞を殺傷した。上記CD123抗原が未複合体化huCD123−6抗体によってブロックされた場合には、上記複合体は上記細胞に対して多くても100分の1の低い毒性であったことから、上記の殺傷はCD123依存性であった。
【0657】
別の実験において、EOL−1細胞において、リンカー1残基を有するhuCD123−6−Gv4.7S3−SeriMab−sD1複合体(
図18を参照のこと)は、huCD123−6Gv4.7S2(またはS3)−SeriMab−D8複合体と同様の効能を示す(
図24)。
【0658】
別の実験において、huCD123抗体とSerで結合したDGN462化合物は、EOL−1細胞に対して、より高いDARを有するリシンで結合したバージョンよりも3倍高い抗原特異的な効能を有することが見出された(
図25を参照のこと)。上記リシンで結合した複合体は2.9のDARを有し、一方Serで結合した複合体は2.0のDARを有する。対照的に、抗原陰性のナマルバ細胞を用いた場合には、リシンで結合した複合体及びセリンで結合した複合体の両方が有意により低い活性を示し、このことはEOL−1細胞における抗原特異的な活性を示している。
実施例28 SeriMab−D8複合体のイン・ビトロでの効能
SeriMab−D8複合体(huMOV19−NTS#2−SeriMab−D8)のイン・ビトロでの効能を、実施例8に記載のものと同様のアッセイプロトコルを用いて、KB細胞(
図26A)、石川細胞(ヒト子宮内膜腺癌細胞)(
図26B)、及びHEC−1B細胞(ヒト子宮内膜腺癌細胞)(
図26C)に対して試験した。
【0659】
図26A〜26Cに示すように、SeriMab−D8複合体は、リシン複合体(huMOV19−D2)と同等の抗原特異的な効能及び標的結合を有する。
【0660】
【化169】
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【0661】
実施例29 オキシム結合を有するSeriMab複合体のイン・ビトロ安定性
親和性捕捉LC−MS
市販のxマグ−ストレプトアビジン・マイクロパーティクル(Biochain、CA)を洗浄バッファ(50mMのTris・HCl、0.15MのNaCl、pH8.0)で2回洗浄し、元の容量となるように同一のバッファに再懸濁させた。次いで、上記ストレプトアビジン微粒子(200μL)にビオチン標識したFc−FRα(2.6のビオチン/FRα、約114μg)を添加し、室温で2時間回転振とうした。上記ビーズを洗浄バッファで3回洗浄し、元の容量になるように、0.4%のTween 20を含む洗浄バッファに再懸濁させた。
【0662】
10mg/kgのhuMOV19−NTS#2−アミノオキシ−アセチル−MayNMA複合体を投与したCD−1マウスから、2分後、1日後、及び3日後に血清を採取し、これらを、最終濃度20%の洗浄バッファ及び0.2%のTween−20と共にストレプトアビジン−ビオチン−FRα−Fc粒子(試料当たり200μL)に添加した。室温で2時間緩徐に振とうした後、上記樹脂を1mLの洗浄バッファで3回洗浄し、50μLの0.1Mのクエン酸/クエン酸ナトリウム、pH3.0、50%エチレングリコールを用いて溶離させた。精製されたhuMOV19が複合体化された種を含有する溶離液を直ちに9μLの1MのTris・HCl、pH8.5で中和し、次いで以前に説明されたとおりに(Lazar,Wang et al.2005)のとおりにSECまたはSEC−LC/MSによって分析した。
【0663】
図28に示すように、上記オキシム結合はマウスの循環において3日にわたって安定である。D2と表示されたピークは未変化の複合体に相当する。A及びBと表示されたピークはオキシムの加水分解及びメイシンの脱離由来の開裂生成物である。少量のメイタンシン脱離もまた約17日の半減期で観測され、これはリシンで結合したAb−SMCC−DM1複合体で観測されている。
実施例30 イン・ビボでの忍容性試験
雌のCD−1マウス(7週齢)をCharles River Laboratoriesより入手した。入手後、該動物を、試験を開始する前に8日間観察した。動物では、到着後または処置の前に、疾患または病気の徴候が確認されなかった。
【0664】
マウスを体重別に無作為に3群に振り分けた。体重は25.6〜24.1グラムの範囲であり、平均値は25グラムであった。個々の体重に基づいて、8匹のマウスにhuMOV19−D2を100及び150μg/kg(D2薬剤の用量)投与し、2匹のマウスにhuMOV19−SeriMab−D8を200μg/kg(D8薬剤の用量)投与した。全ての複合体の投与は、27ゲージ、1/2インチ針を装着した1.0mlのシリンジを用いて静脈内投与で実施した。
図29に示す時点で個々の体重を測定し、その%表記の変化を時間(日)に対してグラフ化する。各線は1匹のマウスの体重変化を表す。瀕死であるかまたは体重減少が>20%となった動物は、その用量に対して忍容性がないと定義されることから、屠殺した。
【0665】
図29に示すように、上記リシンで結合したhuMOV19−D2は約100μg/kgの最大耐用量(MTD)を有する一方、上記セリンで結合した複合体huMOV19−SeriMab−D8は、200μg/kgで十分な忍容性があり、2週間にわたって体重減少の徴候がほとんど確認されなかった。
実施例31 化合物D11の合成
【0666】
【化170】
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【0667】
NHSエステル11a(10.5mg、9.47μmol)をDMF(0.316mL)に溶解した。この溶液に室温でヒドラジン(1.2μL、38μmol)を添加し、2時間撹拌した。この粗製の反応混合物を直接RPHPLC(C18カラム、CH
3CN/H
2O、勾配、40%〜55%)によって精製して、ヒドラジドD11を白色固体として得た(6.5mg、収率68%)。LCMS=4.923分(8分法)。質量分析 実測値(ESI
+):992.70(M+H)。
実施例32
huMOV19NTS2抗体のsD11またはsD1との複合体は、実施例25に記載の類似の手順を用いて調製することができる(
図30、31A及び31Bを参照のこと)。
【0668】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及び寄託番号/データベース配列(ポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の両方を含む)は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、または寄託番号/データベース配列が、具体的かつ個々に示されて、参照によりそのように援用されるのと同じ程度で、全ての目的に対してそれらの全体が参照により本明細書中に援用される。