特表2017-529851(P2017-529851A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-529851養子免疫療法のためのグリピカン−3特異的キメラ抗原レセプター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-529851(P2017-529851A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】養子免疫療法のためのグリピカン−3特異的キメラ抗原レセプター
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/09 20100101AFI20170919BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20170919BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20170919BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20170919BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170919BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20170919BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20170919BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20170919BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20170919BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20170919BHJP
【FI】
   C12N5/09ZNA
   C07K14/725
   C07K16/00
   C07K19/00
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   A61K39/395 N
   A61K39/395 T
   A61K35/17 Z
   A61K35/15 Z
   A61K48/00
   A61K31/7088
   C12N15/00 A
   C12P21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2017-516350(P2017-516350)
(86)(22)【出願日】2015年9月25日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月23日
(86)【国際出願番号】US2015052227
(87)【国際公開番号】WO2016049459
(87)【国際公開日】20160331
(31)【優先権主張番号】62/055,979
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘクジー、アンドラス
(72)【発明者】
【氏名】ゴットシャルク、ステファン、エム.ジー.
(72)【発明者】
【氏名】メテリツァ、レオニド、エス.
(72)【発明者】
【氏名】ドッティ、ジャンピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンポン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084AA19
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4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB01
4C085CC03
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4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB63
4C087CA05
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の実施形態は、グリピカン−3を標的化する免疫療法に関する方法および組成物を含む。特定の実施形態において、グリピカン−3を標的化するキメラ抗原レセプターを含むように操作された免疫細胞およびその使用が企図される。特定の実施形態において、グリピカン−3の発現またはグリピカン−3の過剰発現に関連する病状が、GPC3 CARで処置される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体内のグリピカン−3(GPC3)陽性細胞の増殖および/または活性を阻害する方法であって、該方法は、該細胞を治療有効量の、グリピカン−3(GPC3)を標的化するキメラ抗原レセプター(CAR)を発現する免疫細胞と接触させる工程を含み、該CARは、3E11、2G9、4G5、3D8または2E10以外のscFv抗体を含む、方法。
【請求項2】
前記細胞が、癌細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記癌が、肝臓癌、胎児性肉腫、ラブドイド腫瘍、ウィルムス腫瘍、絨毛癌または卵黄嚢腫瘍である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記癌細胞が、肝細胞癌細胞ではない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記個体が、Simpson−Golabi−Behmel症候群を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接触が、インビトロにおいて行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記接触が、細胞培養において行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記接触が、インビボにおいて行われ、前記免疫細胞が、個体内の細胞である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記接触が、インビボにおいて行われ、前記免疫細胞が、個体内の免疫細胞である、請求項1〜5および8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記免疫細胞が、前記個体にとって自家である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫細胞が、前記個体にとって同種異系である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアント細胞(MAIT細胞)、γδT細胞、自然リンパ系細胞、樹状細胞またはそれらの混合物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫細胞が、T細胞である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記T細胞が、CD4+T細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記T細胞が、CD8+T細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記T細胞が、Treg細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記CARが、CD3−ゼータ、CD28、CD8α、CD4またはそれらの組み合わせからなる群より選択される膜貫通ドメインを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記CARが、CD28、CD27、4−1BB、OX40 ICOSおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の内部領域を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記個体が、さらなる癌処置を受けたことがあるか、受けているか、または受けることになっている、請求項2および7〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記さらなる癌処置が、化学療法、免疫療法、放射線照射、手術、ホルモン療法またはそれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記免疫細胞が、前記CARをコードするポリヌクレオチドを有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号2、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号12、配列番号13、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33またはそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリヌクレオチドが、自殺遺伝子をさらに含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記CARが、GC33抗体を含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記CARに対する膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記CARが、配列番号1、配列番号3、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32またはそれらの組み合わせのアミノ酸配列を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記CARが、GC33 scFv、リンカーアミノ酸、短いヒンジ、CD28膜貫通ドメインおよびゼータシグナル伝達ドメインを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記CARが、GC33 scFv、リンカーアミノ酸、短いヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、CD28シグナル伝達ドメインおよびゼータシグナル伝達ドメインを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記CARが、GC33 scFv、リンカーアミノ酸、短いヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、4−1BB内部領域およびゼータシグナル伝達ドメインを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記CARが、GC33 scFv、リンカーアミノ酸、短いヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、CD28内部領域、4−1BB内部領域およびゼータシグナル伝達ドメインを含む請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年9月26日出願の米国仮特許出願第62/055979号の優先権を主張するものであり、この仮特許出願は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
連邦支援の研究または開発に関する記載
【0002】
本発明は、K12CA090433、R01CA173750、R01CA116548およびR01CA142636(すべて米国国立衛生研究所に授与された)の下に政府支援を受けて達成された。米国連邦政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、少なくとも免疫学、細胞生物学、分子生物学および医学の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
抗原特異的T細胞による免疫療法は、前臨床モデルならびに第I/II相臨床試験での悪性病変の処置において将来性を示した。腫瘍特異的T細胞を作製する魅力的なストラテジーの1つは、共刺激分子の内部領域に連結されることが多い、T細胞レセプターCD3−ζ鎖に由来する、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原レセプター(CAR)を用いた遺伝的改変によるストラテジーである。
【0005】
正常な成熟組織上には見られず癌細胞上に発現される抗原の探索が続けられている。グリピカン−3(GPC3)は、グリコシル−ホスファチジルイノシトールアンカーを介して細胞表面に連結されるヘパラン硫酸プロテオグリカンの一群であるグリピカンファミリーのメンバーである。GPC3は、Xp26上にコードされており、GPC3の異常は、Simson−Golabi−Behmel症候群1型の原因となる。GPC3は、発達中の多種多様の組織において発現されるが、プロモーター領域内のDNAメチル化による抑制のために、成熟した組織では発現されない。GPC3は、100%の上皮系肝芽腫(HB)、最大100%の肝細胞癌(HCC)、58%の胎児性肉腫(ES)、100%の非定型奇形ラブドイド腫瘍(ATRT)、38〜75%のウィルムス腫瘍(WT)、67%の悪性ラブドイド腫瘍(RT)、最大100%の絨毛癌(CC)および最大100%の卵黄嚢腫瘍(YST)において検出される。したがって、GPC3は、理想的な免疫療法の標的である。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
本実施形態は、癌を処置するための方法および/または組成物に関する。特定の場合において、本開示は、癌細胞が、例えばGPC3を腫瘍抗原として含む癌を処置するための方法および/または組成物に関する。ある特定の態様において、癌は、任意の種類であり得るが、特定の場合において、癌は、肝芽腫、肝細胞癌、悪性ラブドイド腫瘍、卵黄嚢腫瘍(yok sac tumors)、肝臓の未分化肉腫、脂肪肉腫、ウィルムス腫瘍または絨毛癌である。特定の実施形態において、癌は、固形腫瘍を含む。少なくともいくつかの場合において、癌は、肝細胞癌ではない。
【0007】
1つの態様において、GPC3を標的化するキメラ抗原レセプター(CAR)を発現する免疫細胞が本明細書中に提供され、少なくとも特定の実施形態において、そのCARは、抗体3E11、2G9、4G5、3D8または2E10であるかまたはそれらに由来する抗原標的化ドメインを含まない。ある特定の実施形態において、そのCARは、GPC3に特異的な一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む。より具体的な実施形態において、そのGPC3 CARは、抗体GC33に由来するscFvを含む。別の具体的な実施形態において、そのGPC3 CARは、配列番号1の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むscFvを含む。そのGPC3 CARは、配列番号2によってコードされるポリヌクレオチド配列によってコードされ得る。
【0008】
本明細書中に記載されるGPC3特異的CAR(GPC3 CARと呼ばれることもある)は、1つ以上の共刺激の内部領域、例えば、CD28、CD27、4−1BB、OX40、ICOSまたはそれらの組み合わせを含み得る。そのCARは、1つ以上膜貫通ドメイン、例えば、CD3−ゼータ、CD28、CD8α、CD4およびそれらの組み合わせからなる群より選択される膜貫通ドメインを含み得る。具体的な実施形態において、そのCARは、CD28に由来してCD8に由来しない膜貫通ドメインを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されるGPC3特異的CARは、CD3−ゼータ、CD28、CD8α、CD4またはそれらの組み合わせからなる群より選択される膜貫通ドメインを含む。具体的な実施形態において、そのCARは、CD28に由来してCD8に由来しない膜貫通ドメインを含む。特定の実施形態において、そのCARは、CD28、CD27、4−1BB、OX40 ICOSおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の内部領域を含む。別の具体的な実施形態において、本明細書中に提供されるGPC3特異的CARの共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメインを含む。別の具体的な実施形態において、その共刺激ドメインは、4−1BB(CD137)共刺激ドメインを含む。別の具体的な実施形態において、その共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメインおよび4−1BB共刺激ドメインを含む。
【0010】
別の態様において、本明細書中に記載されるGPC3特異的CARを発現する免疫細胞が本明細書中に提供される。ある特定の実施形態において、その免疫細胞は、T細胞、NK細胞、樹状細胞、NKT細胞またはそれらの混合物である。免疫細胞がT細胞である具体的な実施形態において、そのT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、Treg細胞、Th1 T細胞、Th2 T細胞、Th17 T細胞、非特異的T細胞、または前述のもののいずれかの組み合わせを含むT細胞の集団であり得る。ある特定の他の実施形態において、本明細書中に記載されるGPC3特異的CARは、他の免疫細胞において発現され、その免疫細胞としては、NK細胞、NKT細胞、γδT細胞、または天然のT細胞レセプターを介して特異的な抗原(例えば、ウイルス抗原または他の腫瘍関連抗原)を認識するT細胞が挙げられるがこれらに限定されない。それらの免疫細胞は、CARをコードするポリヌクレオチドを有し得、そのポリヌクレオチドは、自殺遺伝子をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、それらの免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、γδ−T細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT細胞)、自然リンパ系細胞、樹状細胞またはそれらの混合物のうちの1つである。さらに、GPC3−CARは、後に上述の免疫細胞に分化する幹細胞および/または前駆細胞において発現され得る。ある特定の態様において、GPC3に再指向された(redirected)T細胞は、癌細胞をはじめとしたGPC3を発現している細胞の成長を、インビトロまたはインビボにおいて、例えば、GPC3を発現している腫瘍細胞を含む癌を有する個体において、調節する。それらの細胞は、特定の実施形態において、複数の固形腫瘍に対して有効である。
【0011】
本明細書中に詳細に記載されるように、広範な腫瘍アレイのパネルにおける様々なタイプの癌および正常な組織ならびに遺伝子発現プロファイリングデータセットにおけるGPC3の発現は、科学文献に十分に記載されている。本明細書中では、GPC3の発現は、試験された例示的な腫瘍細胞株において検証された。GPC3特異的CARを作製したところ、それが、T細胞によって発現されたとき、インビトロでは、肝芽腫、肝細胞癌および悪性ラブドイド腫瘍(一例として)が効果的に標的化され、例えば肝細胞癌および悪性ラブドイド腫瘍に対する抗腫瘍活性がインビトロおよびインビボにおいて認められることが示された。したがって、CARを用いてエフェクター細胞をGPC3に再指向することは、複数のタイプの固形腫瘍を標的化するためのロバストなプラットフォームである。
【0012】
GPC3タンパク質は、いくつかのタイプの腫瘍によって発現されるので、この抗原は、GPC3−CARに再指向されたT細胞に基づくT細胞養子免疫療法にとって最適な標的である。さらに、正常な組織ではGPC3が著しく発現されないことは、免疫療法に対するその妥当性をさらに強調する。
【0013】
ゆえに、別の態様では、癌細胞などのGPC3陽性細胞の増殖および/または活性を阻害する方法が本明細書中に提供され、その方法は、その細胞を治療有効量の、GPC3を標的化するCAR、例えば、本明細書中に提供されるようなGPC3特異的CARを発現する免疫細胞と接触させる工程を含み、ここで、そのCARは、抗体3E11、2G9、4G5、3D8または2E10であるかまたはそれらに由来する抗原標的化ドメインを含まない。ある特定の実施形態において、癌は、肝細胞癌、肝芽腫、胎児性肉腫、ラブドイド腫瘍、ウィルムス腫瘍、肺の扁平上皮癌、脂肪肉腫、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、乳癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)または中皮腫である。ある特定の実施形態において、癌は、メラノーマではない、GPC3を発現している癌である。ある特定の実施形態において、癌は、肝細胞癌ではない、GPC3を発現している癌である。いくつかの実施形態において、接触は、インビトロ、細胞培養またはインビボにおいて行われる。特定の場合において、接触は、インビボにおいて行われ、免疫細胞は、個体内の細胞、例えば、T細胞である。特定の場合において、免疫細胞は、個体にとって自家または同種異系である。関連する態様において、GPC3を発現している癌を有する個体を処置する方法が本明細書中に提供され、その方法は、治療有効量の、GPC3特異的CAR、例えば、本明細書中に記載されるようなGPC3特異的CARを発現している免疫細胞をその個体に投与する工程を含む。
【0014】
上記方法の特定の実施形態において、免疫細胞は、T細胞、NK細胞、樹状細胞、NKT細胞、MAIT細胞、γδ−T細胞またはそれらの混合物である。それらのT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞またはTreg細胞、Th1 T細胞、Th2 T細胞、Th17 T細胞、非特異的T細胞、または前述のもののいずれかの組み合わせを含むT細胞の集団であり得る。ある特定の他の実施形態において、本明細書中に提供されるGLC3特異的CARは、他の免疫細胞において発現され、その免疫細胞としては、NK細胞、NKT細胞、γδT細胞、または天然のT細胞レセプターを介して特異的な抗原(例えば、ウイルス抗原または他の腫瘍関連抗原)を認識するT細胞が挙げられるがこれらに限定されない。それらの免疫細胞は、そのCARをコードするポリヌクレオチドを有し得、そのポリヌクレオチドは、自殺遺伝子をさらに含み得る。
【0015】
ある特定の実施形態において、GPC3特異的CARは、CD3ゼータ、CD28および/または4−1BB経路を介して、免疫細胞を活性化するシグナルを伝達するが、細胞内CARドメインは、他のシグナル伝達部分を含むように容易に改変され得る。
【0016】
本開示の具体的な方法において、GPC3−CARを発現している免疫細胞を投与された個体は、さらなる癌処置、例えば、化学療法、免疫療法、放射線照射、手術、ホルモン療法またはそれらの組み合わせを受けているか、または受けることになっている。
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点が、本明細書中の以後に記載され、それらは、本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。開示される概念および具体的な実施形態が、本発明の同じ目的を果たすために他の構造を改変またはデザインする基礎として容易に利用され得ることを当業者は認識するはずである。そのような等価な構成が、添付の特許請求の範囲に示されているような本発明の精神および範囲から逸脱しないことも当業者は理解するはずである。さらなる目的および利点とともに、構成と実施方法の両方に関して本発明に特有であると考えられている新規の特徴は、添付の図面と関連させて考えると、以下の説明からより良く理解されるだろう。しかしながら、各図面は、単に例示目的および説明目的で提供されていること、本発明の範囲の定義として意図されていないことが、明確に理解されるべきである。
【0018】
本発明をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、GPC3の構造を示している;
【0020】
図2図2は、ある特定のGPC3特異的CARのデザインを図示している:GPC3特異的scFvを、示されているように、ヒンジおよびCD28膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達内部領域との組み合わせに連結した;
【0021】
図3図3は、T細胞のGPC3−CAR発現を示している:FACS解析によって検出したとき、すべてのGPC3−CAR(図2に示されているようなGz、G28z、GBBzおよびG28BBz)がT細胞上で高発現された。NT:形質導入されていないT細胞;
【0022】
図4図4は、GPC3−CAR T細胞の細胞傷害性を示している:GPC3−CAR T細胞および形質導入されていないT細胞に対する、記載のエフェクター対標的比における、Cr51放出に基づいた殺滅%が示されている。NT:形質導入されていないT細胞。GPC3pos標的:HepG2、HUH7およびHep3B。GPC3neg標的A549;
【0023】
図5図5は、GPC3−CAR T細胞のIFNγの放出を示している:GPC3posおよびGPC3neg標的ととともに24時間共培養した後のGPC3−CAR T細胞のIFNγのレベルが、pg/mlを単位として示されている。NT:形質導入されていないT細胞。GPC3pos標的:HepG2、HUH7およびHep3B。GPC3neg標的A549;
【0024】
図6図6は、GPC3−CARを発現している細胞株パネルを用いたFACS解析を示している;
【0025】
図7図7A〜7C。図7Aは、GPC3−CAR用の種々の代表的な発現カセットを図示している。GPC3特異的scFvを、示されているように、ヒンジおよびCD28膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達内部領域との組み合わせに連結した。図7Bは、それぞれ異なる発現カセットを発現しているT細胞の代表的なFACSプロットを示している。図7Cは、複数のドナー由来の細胞のCARの発現を示している;
【0026】
図8図8A〜8Eは、GPC3を発現している種々の細胞(図8AにおけるHepG2;図8BにおけるHUH7;図8CにおけるHep3B;図8DにおけるG401;および図8DにおけるG401)を殺滅したが、GPC3の発現を欠くコントロール細胞(8E;A549)を殺滅しなかった、種々のGPC3−CAR T細胞の細胞傷害性を示している;
【0027】
図9図9A〜9Cは、GPC3−CAR T細胞がGPC3pos細胞に曝露されると増殖することを示している。図9Aは、GPC3−CAR T細胞の絶対数を示している。図9Bは、シミュレーションの3日後のGPC3−CAR T細胞のCFSE希釈を示している。図9Cは、刺激後4日目の7−AAD染色を示している;
【0028】
図10図10A〜10Oは、GPC3pos細胞の存在下におけるGPC3−CAR T細胞によるサイトカインの分泌を示している。図10A、10B、10C、10Dおよび10Eは、それらのT細胞をHepG2細胞(10A);HUH7細胞(10B);Hep3B細胞(10C);G401細胞(10D);およびおよびコントロールA549細胞(10E)とともに共培養したときのIL−2の分泌の結果を示している。図10F、10G、10H、10Iおよび10Jは、HepG2細胞(10F);HUH7細胞(10G);Hep3B細胞(10H);G401(10I)およびコントロールA549細胞(10J)の存在下におけるIL10の分泌の結果を示している。図10K、10L、10M、10Nおよび10Oは、HepG2細胞(10K);HUH7細胞(10L);Hep3B細胞(10M);G401(10N)およびコントロールA549細胞(10O)の存在下におけるIFNγの分泌の結果を示している。
【0029】
図11図11Aおよび11Bは、生物発光イメージング(図11A)およびその定量化(図11B)によって示されるとき、GPC3−CAR T細胞が、インビボにおける養子移入後に増殖することを示している。
【0030】
図12図12A〜12Cは、GPC3−CAR T細胞が、インビボの例示的な異種移植において抗腫瘍活性を有することを示している。図12Aは、生物発光を経時的に示しており、その定量化が図12Bに示されている;図12Cは、生存率を示している。
【0031】
図13図13A〜13Cも、GPC3−CAR T細胞が、インビボの例示的な異種移植において抗腫瘍活性を有することを示している。図13Aは、図12A〜12Cと比べてより少ない用量のGPC3−CAR T細胞を用いたときの、経時的な生物発光を示しており、その定量化が図13Bに示されている;図13Cは、生存率を示している。
【0032】
図14図14A〜14Cは、GPC3−CAR T細胞が、インビボの第2の例示的な異種移植モデルにおいて抗腫瘍活性を有することを示している。14Aは、投与スケジュールを示しており、経時的な生物発光およびその定量結果が、図14Bに示されている;図14Cは、生存率を示している。
【0033】
図15図15。GPC3 CAR NKT細胞の作製。NKTを、3人の健康ドナーのPBMCから単離し、aGalCerで刺激し、それにGC33.CD28.4−1BB.Z CARレトロウイルスベクターを形質導入し、IL−2を含む培養液中で7日間にわたって増殖させた。得られた細胞を、6B11(iNKT TCR)、抗CD3および抗CAR mAbを用いるFACSによって解析した。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用されるとき、「a」または「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書の特許請求の範囲で使用されるとき、単語「a」または「an」は、単語「含む」とともに使用される場合、1つまたは1つより多いことを意味し得る。本明細書中で使用されるとき、「別の」は、少なくとも第2のものまたはそれ以上のものを意味し得る。具体的な実施形態において、主題の態様は、例えば、主題の1つ以上のエレメントまたは工程から「本質的になり得る」かまたは「なり得る」。主題のいくつかの実施形態は、主題の1つ以上のエレメント、方法工程および/または方法からなり得るか、または本質的になり得る。本明細書中に記載される任意の方法または組成物は、本明細書中に記載される他の任意の方法または組成物に関して実行され得ることが企図される。
【0035】
CARに再指向されたTリンパ球の養子移入は、悪性病変を有する患者にとって有用な治療法である。ここで、このストラテジーの適用範囲は、GPC3抗原を標的化することによって広範囲の固形腫瘍に広がる。本開示の特定の態様は、GPC3を発現している癌を処置する方法を含む。その癌は、任意の種類であり得、それらとしては、例えば、肝臓、精巣、肺、卵巣、頭頸部癌、中皮腫、乳房、神経膠芽腫、腎臓、脳、皮膚、結腸、前立腺、膵臓、子宮頸部、甲状腺、脾臓または骨の癌が挙げられる。特定の場合において、癌は、肝芽腫、肝細胞癌、悪性ラブドイド腫瘍、卵黄嚢腫瘍、肝臓の未分化肉腫、脂肪肉腫、ウィルムス腫瘍または絨毛癌であるが、具体的な場合において、癌は、肝細胞癌ではない。本開示の具体的な実施形態において、GPC3に対する特定のscFvが使用される。
【0036】
処置成功の徴候は、例えば、腫瘍の成長の検出可能な減少(例えば、MRIなどによって判断されるとき)またはGPC3を発現している癌もしくは他の病状(GPC3を異常に発現しているものを含む)の1つ以上の症状の減少であり得る。
【0037】
GPC3は、例えば、OCI−5、SDYS、GTR2−2、SGB、SGBS、SGBS1、MXR7またはDGSXと呼ばれることもある。GPC3ヒトヌクレオチド配列の例は、GenBank(登録商標)におけるL47125(GenBank(登録商標)のAAA98132における対応するタンパク質配列を含む)である。
I.キメラ抗原レセプター
【0038】
腫瘍を標的としたキメラ抗原レセプター(CAR)を発現するようにヒトリンパ球または他の免疫細胞を遺伝子操作することによって、タンパク質−抗原のプロセシングおよび提示の異常に起因する腫瘍の免疫回避機構を迂回する抗腫瘍エフェクター細胞を作製することができる。さらに、これらのトランスジェニックレセプターは、タンパク質由来ではない腫瘍関連抗原を標的とすることができる。本開示のある特定の実施形態において、GPC3を標的化するCARを含むように改変された細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が存在する。具体的な実施形態において、そのGPC3 CARは、3E11、2G9、4G5、3D8または2E10に由来するscFvを含まない。特定の実施形態において、そのscFVは、GC33であり、ある特定の実施形態において、そのscFvは、配列番号1を含む。
【0039】
特定の場合において、免疫細胞は、人間の手によって少なくとも部分的に操作されたキメラで非天然のCARレセプターを含む。特定の場合において、その操作されたキメラ抗原レセプター(CAR)は、1、2、3、4つまたはそれ以上の構成要素を有し、いくつかの実施形態では、1つ以上の構成要素が、GPC3を含む癌細胞をTリンパ球が標的化することまたはその癌細胞にTリンパ球が結合することを容易にする。具体的な実施形態において、CARは、GPC3に対する抗体、細胞質シグナル伝達ドメインの一部もしくは全部、および/または1つ以上の共刺激分子の一部もしくは全部、例えば、共刺激分子の内部領域を含む。具体的な実施形態において、その抗体は、scFvである。
【0040】
ある特定の実施形態において、細胞質シグナル伝達ドメイン、例えば、T細胞レセプターのゼータ鎖に由来するものが、キメラレセプターと標的抗原との会合の後にTリンパ球の増殖およびエフェクター機能のための刺激性シグナルを生成するために、キメラレセプターの少なくとも一部として使用される。例としては、共刺激分子(例えば、CD28、CD27、4−1BB、ICOS、OX40、それらの組み合わせ)の内部領域、またはサイトカインレセプター(例えば、IL7およびIL15)のシグナル伝達の構成要素が挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態において、抗原の会合の後にGPC3 CARによってもたらされるT細胞の活性化、増殖および細胞傷害性を高めるために共刺激分子が使用される。具体的な実施形態において、共刺激分子は、例えば、CD28、OX40および4−1BBである。
【0041】
上記CARは、例えば、第一世代、第二世代または第三世代のもの(CD28および腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)(例えば、4−1BBまたはOX40)によって提供される共刺激とともにCD3ζによってシグナル伝達が提供されるCAR)であり得る。そのCARは、GPC3に特異的であり得、いくつかの実施形態では、GPC3特異的CARを発現する細胞は、別の抗原を標的化する第2のCARも発現することもあり、その第2のCARとしては、CD19、CD20、CD22、カッパー鎖または軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、ROR1、ErbB2、ErbB3/4、EGFR vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7−H6、IL−13レセプターα2、IL−11レセプターRα、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW−MAA、CD171、Lewis Y、G250/CAIX、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2 NY−ESO−1、PSC1、葉酸レセプター−α、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGFレセプター、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、HER2、BCMAもしくはCD44v6、または例えば、腫瘍のゲノム解析およびもしくは差次的発現研究によって同定された他の腫瘍関連抗原もしくは使用可能な変異に特異的な1つ以上のCARが挙げられる。
【0042】
特定の場合において、上記CARは、GPC3に特異的であり、ある特定の実施形態において、本開示は、GPC3特異的抗体に由来する細胞外抗原結合ドメインを、必要に応じて例示的な共刺激分子、例えばCD28およびOX40の内部領域とともに、T細胞レセプターζ鎖に由来する細胞質シグナル伝達ドメインにつなぐことによって、GPC3に特異的なキメラT細胞を提供する。このCARは、ヒトT細胞を含むヒト細胞において発現され、GPC3陽性癌の標的化が、本明細書中で包含される。
【0043】
GC33抗体を含むscFvに対する配列の例は、以下のとおりである(下線の領域はリーダー配列であり、残りの配列はscFvである):
MDWIWRILFLVGAATGAHSQVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIK (配列番号1)
【0044】
リーダー配列を含まないscFv配列は、以下のとおりである:
QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIK(配列番号24)
【0045】
リーダーを含むscFvに対するヌクレオチド配列は、以下のとおりである(下線の領域はリーダー配列をコードし、残りの配列はscFvをコードする):
ATGGATTGGATTTGGCGCATTCTGTTTCTGGTGGGAGCCGCAACCGGAGCACATAGTCAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAG(配列番号2)
【0046】
リーダー配列を含まない、scFvをコードするヌクレオチド配列は、以下のとおりである:
CAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAG(配列番号25)
【0047】
CD28膜貫通ドメインを有するGPC3 CARの例(scFvGC33.SH.CD28TM.ゼータCAR)は、以下のとおりである(一重下線の領域はリーダーであり、SHは短いヒンジを指し、TMは膜貫通を指す):
MDWIWRILFLVGAATGAHSQVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号3)
【0048】
配列番号3において、二重下線の領域は、ゼータシグナル伝達ドメインであり;EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号4)は、短いヒンジであり;リンカーアミノ酸は、DPKであり;CD28膜貫通ドメインは、FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFII(配列番号5)である。
【0049】
リーダーを除いたscFvGC33.SH.CD28TM.ゼータCAR配列は、以下のとおりである:
QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号26)
【0050】
scFvGC33.SH.CD28TM.ゼータCARの対応するヌクレオチド配列は、以下のとおりである(一重下線の領域はリーダーである):
ATGGATTGGATTTGGCGCATTCTGTTTCTGGTGGGAGCCGCAACCGGAGCACATAGTCAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号6)
【0051】
配列番号6において、二重下線の領域は、ゼータシグナル伝達ドメインであり;短いヒンジ領域は、GAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAA(配列番号7)であり;リンカー領域は、GATCCCAAA(配列番号8)であり;CD28膜貫通ドメインは、
TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATT(配列番号9)である。
【0052】
リーダーを含まないscFvGC33.SH.CD28TM.ゼータCARポリヌクレオチド配列は、以下のとおりである:
CAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号27)
【0053】
CD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを有するGPC3 CARの例(scFvGC33.SH.CD28.ゼータCAR)は、以下のとおりである(一重下線の領域はリーダーである):
MDWIWRILFLVGAATGAHSQVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号10)
【0054】
配列番号10において、二重下線の領域は、ゼータシグナル伝達ドメインであり;配列番号4は短いヒンジであり;リンカーアミノ酸は、DPKであり;CD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインは、
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号11)である。
【0055】
リーダーを含まないscFvGC33.SH.CD28.ゼータCARポリペプチド配列は、以下のとおりである:
QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号28)
【0056】
scFvGC33.SH.CD28.ゼータCARの対応するヌクレオチド配列は、以下のとおりである(一重下線の領域はリーダーである):
ATGGATTGGATTTGGCGCATTCTGTTTCTGGTGGGAGCCGCAACCGGAGCACATAGTCAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号12)
【0057】
配列番号12において、二重下線の領域は、ゼータシグナル伝達ドメインであり;配列番号7は短いヒンジ領域であり;リンカー領域は、配列番号8であり;CD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインは、
TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC(配列番号13)である。
【0058】
リーダー配列を含まないscFvGC33.SH.CD28.ゼータCARポリヌクレオチド配列は、以下のとおりである:
CAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号29)
【0059】
CD28膜貫通ドメインおよび41BB内部領域を有するGPC3 CARの例(scFvGC33.SH.CD28TM.41BB.ゼータCAR)は、以下のとおりである(一重下線の領域はリーダー配列である):
MDWIWRILFLVGAATGAHSQVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号14)
【0060】
配列番号14において、二重下線の領域は、ゼータシグナル伝達ドメインであり;配列番号4は短いヒンジであり;DPKは、リンカーアミノ酸であり;CD28膜貫通ドメインは、配列番号5であり;41BB内部領域は、
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL (配列番号15)である。
【0061】
リーダーを含まないscFvGC33.SH.CD28TM.41BB.ゼータCARポリペプチド配列は、以下のとおりである:
QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (配列番号30)
【0062】
scFvGC33.SH.CD28TM.41BB.ゼータCARの対応するヌクレオチド配列は、以下のとおりである(一重下線はリーダー配列である):
ATGGATTGGATTTGGCGCATTCTGTTTCTGGTGGGAGCCGCAACCGGAGCACATAGTCAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC (配列番号16)
【0063】
配列番号16において、二重下線の部分は、ゼータシグナル伝達ドメインであり;短いヒンジ領域は、配列番号7であり;リンカーアミノ酸は、配列番号8であり;CD28膜貫通ドメインは、配列番号9であり;41BB内部領域は、
AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG(配列番号17)である。
【0064】
リーダー配列を除くscFvGC33.SH.CD28TM.41BB.ゼータCARポリヌクレオチド配列は、以下のとおりである:
CAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号31)
【0065】
CD28膜貫通および内部領域ならびに41BB内部領域を有するGPC3 CARの例(scFvGC33.SH.CD28.41BB.ゼータCAR)は、以下のとおりである(一重下線の領域はリーダー配列である):
MDWIWRILFLVGAATGAHSQVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (配列番号18)
【0066】
配列番号18において、ゼータシグナル伝達ドメインには、二重下線が引かれており、短いヒンジ領域は、配列番号4であり;CD28膜貫通および内部領域は、配列番号11であり;リンカーアミノ酸は、DPKであり;41BB内部領域は、配列番号15である。
【0067】
scFvGC33.SH.CD28.41BB.ゼータCARポリペプチド配列は、以下のとおりである:
QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIKEPKSCDKTHTCPPCPDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (配列番号32)
【0068】
scFvGC33.SH.CD28.41BB.ゼータCARの対応するヌクレオチド配列は、以下のとおりであり、一重下線の領域はリーダー配列である:
ATGGATTGGATTTGGCGCATTCTGTTTCTGGTGGGAGCCGCAACCGGAGCACATAGTCAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC (配列番号19)
【0069】
配列番号19において、二重下線の部分は、ゼータシグナル伝達ドメインであり;短いヒンジ領域は、配列番号7であり;リンカー領域は、配列番号8であり;CD28膜貫通ドメインおよび内部領域は、配列番号13であり;41BB内部領域は、配列番号17である。
【0070】
リーダーを除くscFvGC33.SH.CD28.41BB.ゼータCARポリヌクレオチド配列は、以下のとおりである:
CAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGCAGGAGGAGGAGGCTCTGGAGGAGGAGGGAGTGGAGGCGGGGGAAGCGACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAAGGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCGAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号33)
【0071】
特定の実施形態において、以下のようなある特定のVおよびV配列が、本開示のGC33組成物において使用される:
ヌクレオチド配列:
【0072】

CAGGTCCAGCTGCAGCAGTCAGGAGCCGAACTGGTGCGGCCCGGCGCAAGTGTCAAACTGTCATGCAAGGCCAGCGGGTATACCTTCACAGACTACGAGATGCACTGGGTGAAACAGACCCCTGTGCACGGCCTGAAGTGGATCGGCGCTCTGGACCCAAAAACCGGGGATACAGCATATTCCCAGAAGTTTAAAGGAAAGGCCACTCTGACCGCTGACAAGAGCTCCTCTACTGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGACATCCGAAGATAGCGCCGTGTACTATTGCACCCGCTTCTACTCCTATACATACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTGACCGTCTCTGC(配列番号20)
【0073】

GACGTGGTCATGACACAGACTCCACTGTCCCTGCCCGTGAGCCTGGGCGATCAGGCTAGCATTTCCTGTCGAAGTTCACAGAGTCTGGTGCACTCAAACGGAAATACCTATCTGCATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCCAAACTGCTGATCTATAAGGTGAGCAACCGGTTCTCCGGGGTCCCTGACAGATTTTCTGGAAGTGGCTCAGGGACAGATTTCACTCTGAAAATTAGCAGAGTGGAGGCCGAAGATCTGGGCGTCTACTTTTGTAGCCAGAATACCCACGTCCCACCAACATTCGGAAGCGGCACTAAACTGGAAATCAA(配列番号21)
アミノ酸配列
【0074】

QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPVHGLKWIGALDPKTGDTAYSQKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCTRFYSYTYWGQGTLVTVSA(配列番号22)
【0075】

DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQNTHVPPTFGSGTKLEIK(配列番号23)
【0076】
具体的な実施形態において、GPC3特異的CARは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32または33のうちの少なくとも1つと70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%同一である配列を含む。
II.細胞
【0077】
本開示の細胞には、GPC3 CARを発現する免疫細胞が含まれる。別の態様において、本明細書中に記載されるGPC3特異的CARを発現する免疫細胞が本明細書中に提供される。ある特定の実施形態において、それらの免疫細胞は、T細胞、NK細胞、樹状細胞、NKT細胞またはそれらの混合物である。免疫細胞がT細胞である具体的な実施形態において、そのT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、Treg細胞、Th1 T細胞、Th2 T細胞、Th17 T細胞、非特異的T細胞、または前述のもののいずれかの組み合わせを含むT細胞の集団であり得る。ある特定の他の実施形態において、本明細書中に記載されるGLC3特異的CARは、他の免疫細胞において発現され、その免疫細胞としては、NK細胞、NKT細胞、γδT細胞、または天然のT細胞レセプターを介して特異的な抗原(例えば、ウイルス抗原または他の腫瘍関連抗原)を認識するT細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
【0078】
本明細書中で使用されるとき、用語「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、交換可能に使用してよい。これらの用語のすべてが、その後の任意のおよびすべての世代である子孫も含む。すべての子孫は、意図的なまたは意図的でない変異に起因して同一ではないことがあることが理解される。異種核酸配列の発現の文脈において、「宿主細胞」とは、ベクターを複製することおよび/またはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現することができる真核細胞のことを指す。宿主細胞は、ベクターに対するレシピエントとして使用され得、使用されてきたものである。宿主細胞は、「トランスフェクトされる」かまたは「形質転換される」ことがあり、これらは、外来性の核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスのことを指す。形質転換される細胞には、被験体の初代細胞およびその子孫が含まれる。本明細書中で使用されるとき、用語「操作された」細胞または宿主細胞および「組換え」細胞または宿主細胞は、外来性の核酸配列、例えば、ベクターが導入された細胞のことを指すと意図されている。ゆえに、組換え細胞は、組換え的に導入された核酸を含まない天然に存在する細胞と識別可能である。本開示の実施形態において、宿主細胞は、細胞傷害性T細胞(TC、細胞傷害性Tリンパ球、CTL、Tキラー細胞、細胞溶解性T細胞、CD8+T細胞またはキラーT細胞としても知られる)を含むT細胞であり;NK細胞およびNKT細胞もまた、本開示において包含される。
【0079】
ある特定の実施形態において、RNAまたはタンパク質性配列が、同じ細胞、例えば、同じCTLにおいて、他の選択されたRNAまたはタンパク質性配列と同時発現され得ることが企図される。同時発現は、CTLを2つ以上の異なる組換えベクターで同時にトランスフェクトすることによって達成され得る。あるいは、RNAを得るための複数の異なるコード領域を含む単一の組換えベクターを構築し、次いでそれを、その単一のベクターでトランスフェクトされたCTLにおいて発現してもよい。
【0080】
いくつかのベクターは、原核細胞と真核細胞の両方においてそのベクターが複製および/または発現されることを可能にする調節配列を使用し得る。当業者は、上記の宿主細胞のすべてを維持するためにインキュベートする条件およびベクターの複製を可能にする条件をさらに理解するだろう。ベクターの大規模生成、ならびにベクターによってコードされる核酸およびそれらの同族のポリペプチド、タンパク質またはペプチドの作製を可能にし得る手法および条件も理解されており、知られている。
【0081】
上記細胞は、自家の細胞、同系の細胞、同種異系の細胞であり得、場合によっては異種の細胞であってもよい。
【0082】
多くの場合、例えば、処置を終了したい場合、細胞が腫瘍性になった場合、存在していた細胞が無くなることに興味がある研究の場合、または他の事象において、改変されたCTLを殺滅できることが望まれることがある。この目的で、改変された細胞を制御された条件下において殺滅することができるある特定の遺伝子産物(例えば、誘導性の自殺遺伝子)の発現が提供され得る。ある特定の実施形態において、自殺遺伝子は、例えば、カスパーゼ−9またはHSVチミジンキナーゼである。誘導性の自殺遺伝子は、例えば、直接的な毒性および/または制御されない増殖のリスクを低減するために使用され得る。特定の態様において、自殺遺伝子は、上記ポリヌクレオチドまたは細胞を有する宿主にとって免疫原性でない。使用され得る自殺遺伝子のある特定の例は、カスパーゼ−9またはカスパーゼ−8またはシトシンデアミナーゼである。カスパーゼ−9は、例えば、特定の二量体化化学誘導物質(chemical inducer of dimerization)(CID)を用いて活性化され得る。チミジンキナーゼに基づく自殺システムを用いてもよい。
III.例証的な例示
【0083】
例証として、癌を有するかまたは癌のリスクがある(例えば、1つ以上の危険因子を有する)かまたは癌を有すると疑われる個体が、以下のとおり処置され得る。本明細書中に記載されるように改変されたCTLなどのエフェクターリンパ球が、その個体に投与され、長期間にわたって保持され得る。その個体には、それらの細胞が1回以上投与され得、それらの投与は、1つ以上の他の癌治療とともに行われてもよいし、行われなくてもよい。いくつかの実施形態において、遺伝的に改変された細胞は、免疫認識を阻害するために被包され、腫瘍部位に配置される。
【0084】
特定の場合において、他のタイプの治療的細胞に加えて、GPC3に特異的なCARを含むように改変された治療的CTLが、個体に提供される。それらの細胞は、同時にまたは異なる時点において送達され得る。それらの細胞は、同じ製剤または別個の製剤として送達され得る。それらの細胞は、別個の送達経路で個体に提供され得る。それらの細胞は、例えば、腫瘍部位への注射によってまたは静脈内にまたは経口的に送達され得る。それらの細胞は、全身的にまたは局所的に送達され得る。そのような組成物の通常の送達経路は、当該分野で公知である。
IV.免疫細胞への構築物の導入
【0085】
GPC3 CARをコードする発現ベクターは、CTLなどのエフェクター免疫細胞を含む免疫細胞などの細胞にDNA分子またはDNA構築物として導入され得、ここで、そのベクターには、そ(れら)の構築物を含む宿主細胞の選択を可能にする少なくとも1つのマーカーが存在し得る。それらの構築物は、通常の方法で調製することができ、その方法では、遺伝子および制御領域を単離し、必要に応じてライゲートし、適切なクローニング宿主においてクローニングし、制限酵素処理(restriction)もしくは配列決定または他の好都合な手段によって解析し得る。特に、PCRを用いる場合、機能単位の全部または一部を含む個別のフラグメントが、単離され得、必要に応じて、1つ以上の変異が、「プライマー修復」、ライゲーション、インビトロ突然変異誘発などを用いて導入され得る。次いで、いったん完成し、適切な配列を有すると実証された構築物は、任意の好都合な手段によってCTLに導入され得る。それらの構築物は、感染または細胞への形質導入のために、レトロウイルスベクターを含む、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)または単純ヘルペスウイルス(HSV)などのような複製しない欠陥ウイルスゲノムに組み込まれ、パッケージングされ得る。それらの構築物は、所望であれば、トランスフェクション用のウイルス配列を含んでもよい。あるいは、その構築物は、融合、エレクトロポレーション、微粒子銃、トランスフェクション、リポフェクションなどによって導入され得る。宿主細胞を、構築物の導入の前に、培養液中で生育し、増殖させた後、構築物を導入するためおよび構築物を組み込むための適切な処置が行われ得る。次いで、それらの細胞を増殖させ、構築物の中に存在するマーカーによってスクリーニングする。首尾よく使用され得る様々なマーカーとしては、hprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシン耐性などが挙げられる。
【0086】
いくつかの場合において、構築物を特定の遺伝子座に組み込むことが望ましい場合、相同組換えのための標的部位を含めてもよい。例えば、内在性遺伝子をノックアウトして、当該分野で公知のような相同組換え用の材料および方法を用いて、その内在性遺伝子をその構築物がコードする遺伝子で(同じ遺伝子座または別の場所において)置き換えることができる。相同組換えの場合、OMEGAまたはO−ベクターが使用され得る。例えば、Thomas and Capecchi,Cell(1987)51,503−512;Mansour,et al.,Nature(1988)336,348−352;およびJoyner,et al.,Nature(1989)338,153−156を参照のこと。
【0087】
構築物DNAのストックを調製するためおよびトランスフェクションを行うために使用され得る、細菌または酵母の複製開始点、選択可能および/または増幅可能なマーカー、原核生物もしくは真核生物における発現のためのプロモーター/エンハンサーエレメントなどの有用なエレメントを含むベクターが、当該分野で周知であり、その多くが、市販されている。
V.細胞の投与
【0088】
次いで、上記構築物で改変された例示的なT細胞を、選択的条件下の培養液中で生育し、次いで、その構築物を有すると選択された細胞を増殖させ、宿主細胞に構築物が存在するかを判定するために、例えばポリメラーゼ連鎖反応を用いてさらに解析することができる。改変された宿主細胞が特定されたら、それらは計画どおりに使用され得、例えば、培養液中で増殖され得るか、または宿主生物に導入され得る。
【0089】
細胞の性質に応じて、それらの細胞は、多種多様の方法で、宿主生物、例えば、哺乳動物に導入され得る。具体的な実施形態において、それらの細胞は、腫瘍部位に導入され得るが、代替の実施形態では、それらの細胞は、癌にホーミングする(hone)か、または癌にホーミングするように改変される。使用される細胞の数は、いくつかの状況、導入の目的、細胞の寿命、使用されるプロトコル、例えば、投与回数、細胞が増加する能力、組換え構築物の安定性などに依存し得る。細胞は、分散液として適用され得、通常、目的の部位または目的の部位付近に注射され得る。細胞は、生理的に許容され得る媒質中に存在し得る。
【0090】
DNAの導入は、すべての場合において組み込みをもたらすわけではない。場合によっては、導入されたDNAの一過性の維持で十分であり得る。このように、細胞が、宿主に導入され、次いで、所定の時間が経過した後、例えば、その細胞が特定の部位にホーミングできた後に、活性化され得る場合、短期間の効果がもたらされ得る。
【0091】
上記細胞は、所望のとおりに投与され得る。所望の応答、投与様式、細胞の生存、存在する細胞の数に応じて、様々なプロトコルが使用され得る。投与の回数は、上に記載された因子に少なくとも部分的に依存し得る。
【0092】
上記の系は、多くの可変事項(例えば、リガンドに対する細胞の応答、発現の効率、および必要に応じて、分泌のレベル、発現産物の活性、時間および状況によって変化し得る患者からの特別な要求、細胞が失われた結果または個別の細胞の発現活性が失われた結果として細胞活性が失われる割合など)にさらされることが認識されるべきである。ゆえに、各個別の患者については、集団全体に投与できる普遍的な細胞が存在したとしても、その個体にとって適切な投薬を行うために各患者はモニターされ得、そのような患者のモニタリングの実施は当該分野で通常のものであることが予想される。
VI.核酸に基づく発現系
【0093】
GPC3 CARおよび必要に応じて自殺遺伝子をコードするポリヌクレオチドが、発現ベクターを構成し得る。
A.ベクター
【0094】
用語「ベクター」は、そのベクターが複製され得る細胞に導入するための核酸配列が挿入され得る担体核酸分子のことを指すために使用される。核酸配列は、「外来性」であり得、これは、その核酸配列が、ベクターが導入される細胞にとって外来のものであることを意味するか、またはその配列が、その細胞における配列に相同であるが、その配列が通常見られない宿主細胞核酸内の位置に存在することを意味する。ベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルスおよび植物ウイルス)および人工染色体(例えば、YAC)が含まれる。当業者には、標準的な組換えの手法によってベクターを構築する能力が十分に備わっているだろう(例えば、Maniatis et al.,1988およびAusubel et al.,1994(両方が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。
【0095】
用語「発現ベクター」とは、転写されることが可能なRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝的構築物のことを指す。いくつかの場合において、RNA分子は、その後、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに翻訳される。他の場合、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの産生においては、これらの配列は、翻訳されない。発現ベクターは、種々の「調節配列」を含むことができ、調節配列とは、特定の宿主細胞において作動可能に連結されたコード配列の転写およびおそらく翻訳に必要な核酸配列のことを指す。ベクターおよび発現ベクターは、転写および翻訳を支配する調節配列に加えて、他の機能も果たす下記に記載される核酸配列も含むことがある。
B.プロモーターおよびエンハンサー
【0096】
「プロモーター」は、転写の開始および割合を調節する核酸配列の領域である調節配列である。プロモーターは、制御タンパク質および制御分子(例えば、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子)が結合することにより、核酸配列の特定の転写を開始し得る遺伝的エレメントを含み得る。句「作動可能に位置づけられた」、「作動可能に連結された」、「支配下の」および「転写調節下の」は、プロモーターが、核酸配列の転写の開始および/または発現を調節するために、その配列に対して正しい機能的な配置および/または向きで存在することを意味する。
【0097】
プロモーターは、通常、RNA合成のための開始部位の位置を定めるように機能する配列を含む。この最もよく知られた例は、TATAボックスであるが、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーター(例えば、哺乳動物のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターおよびSV40後期遺伝子のプロモーター)では、開始部位自体と重なる別個のエレメントが、開始位置を決定するように助ける。さらなるプロモーターエレメントが、転写開始の頻度を制御する。典型的には、これらは、開始部位の30 110bp上流の領域に位置するが、いくつかのプロモーターは、開始部位の下流にも機能的エレメントを含むと示されている。コード配列をプロモーター「の支配下に」置くために、転写読み枠の転写開始部位の5’末端は、選択されたプロモーターの「下流」(すなわち、3’)に配置される。「上流」のプロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされているRNAの発現を促進する。
【0098】
プロモーターエレメント間の間隔は、融通が利くことが多く、エレメントが反転しているかまたは互いに対して移動している場合でも、プロモーターの機能は保存される。tkプロモーターでは、プロモーターエレメント間の間隔は、50bp離れるまで伸ばすことができ、その後、活性が低下し始める。プロモーターに応じて、個別のエレメントは、転写を活性化させるように協同的にまたは独立して機能できるとみられる。プロモーターは、「エンハンサー」とともに使用されることもあるし、使用されないこともあり、エンハンサーとは、核酸配列の転写の活性化に関与するシス作用性の制御配列のことを指す。
【0099】
プロモーターは、コーディングセグメントおよび/またはエキソンの上流に配置された5’非コード配列を単離することによって得られることがあるように、天然には核酸配列と会合しているものであり得る。そのようなプロモーターは、「内在性」と呼ぶことができる。同様に、エンハンサーも、天然には核酸配列と会合しているものであり得、その配列の下流または上流に配置されている。あるいは、コーディング核酸セグメントを組換えプロモーターまたは異種プロモーター(これらは、その天然の環境において天然には核酸配列と会合していないプロモーターのことを指す)の支配下に置くことによって、ある特定の利点が得られる。また、組換えエンハンサーまたは異種エンハンサーは、その天然の環境において天然には核酸配列と会合していないエンハンサーのことを指す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーは、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、および他の任意のウイルスまたは原核細胞もしくは真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、および「天然に存在」しない、すなわち、異なる転写制御領域の異なるエレメントおよび/または発現を変化させる変異を含むプロモーターまたはエンハンサーを含み得る。例えば、組換えDNAの構築において最もよく使用されるプロモーターとしては、ベータ−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースおよびトリプトファン(trp)プロモーター系が挙げられる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に作製することに加えて、組換えクローニングおよび/またはPCR(商標)を含む核酸増幅技術を本明細書中に開示される組成物に関連して用いて、配列を作製してもよい(米国特許第4,683,202号および同第5,928,906号(各々が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。さらに、核以外の細胞小器官(例えば、ミトコンドリア、葉緑体など)の中での配列の転写および/または発現を指示する調節配列も同様に使用することができることが企図される。
【0100】
当然、発現のために選択された細胞小器官、細胞型、組織、器官または生物においてDNAセグメントの発現を効果的に指示するプロモーターおよび/またはエンハンサーを用いることが重要である。分子生物学の当業者は、通常、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサーおよび細胞型の組み合わせの使用を承知している(例えば、参照により本明細書中に援用されるSambrook et al.1989を参照のこと)。使用されるプロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、誘導性プロモーター、ならびに/または組換えタンパク質および/もしくはペプチドの大量生産において有益であるような、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するのに適切な条件下において有用なプロモーターであり得る。プロモーターは、異種のものであってもよいし、内在性のものであってもよい。
【0101】
さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせを用いることによっても、発現を駆動させることができるだろう。T3、T7またはSP6細胞質発現系の使用が、別の考えられる実施形態である。真核細胞は、適切な細菌ポリメラーゼが送達複合体の一部としてまたはさらなる遺伝的発現構築物として提供される場合、ある特定の細菌プロモーターからの細胞質での転写を支持し得る。
【0102】
組織特異的プロモーターまたはエレメントの独自性ならびにそれらの活性を特徴づけるアッセイは、当業者に周知である。
【0103】
また、特定の開始シグナルがコード配列の効率的な翻訳に必要である場合がある。これらのシグナルには、ATG開始コドンまたは隣接配列が含まれる。ATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが提供される必要がある場合がある。当業者は、このことを容易に判断できるだろうし、必要なシグナルを容易に提供できるだろう。
【0104】
ある特定の実施形態において、GPC3−CARの発現は、対応する制御配列が1つ以上の因子に曝露されると調節される。具体的な実施形態において、その発現は、腫瘍関連因子に曝露されると調節される。腫瘍関連因子の例証的な例としては、低酸素組織に存在する因子が挙げられる。いくつかの実施形態において、それらの因子は、サイトカインおよび/またはケモカインである。例えば、低酸素は、低酸素応答エレメント(HRE)の支配下にあるエンゲイジャー(engager)の発現を誘導し得る転写因子であるHIF−1αの発現を誘導する。低酸素はまた、酸素依存的分解ドメイン(ODDD)を含むエンゲイジャー分子を安定化し得る。腫瘍細胞によって産生され、エンゲイジャー遺伝子の発現を制御し得る物質の別の例は、乳酸である。また、特定の開始シグナルは、コード配列の効率的な翻訳にも必要とされる場合がある。これらのシグナルには、ATG開始コドンまたは隣接配列が含まれる。ATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが提供される必要がある場合がある。当業者は、このことを容易に判断できるだろうし、必要なシグナルを容易に提供できるだろう。
【0105】
ある特定の実施形態において、GPC3−CARは、外来性物質の添加がなければ不活性である2つのフラグメントとして発現され得る。例えば、以下に限定されないが、GPC3特異的外部ドメイン、ならびにCARの膜貫通ドメインおよびCARの細胞質ドメインは、各々、ヘテロ二量体化(heterodimerizer)ドメイン(Exto−TM−HD;Cyto−HD)に連結され得る。Exto−TM−HDとCyto−HDとを連結してGPC3−CAR活性の薬理学的調節を可能にする小分子が添加されない限り、細胞内でExto−TM−HDおよびCyto−HDが発現されても、不活性なGPC3−CARしかもたらされないだろう。
【0106】
本開示のある特定の実施形態において、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントの使用は、多重遺伝子のメッセージ、すなわちポリシストロニックなメッセージを生成するために使用され、これらは、本開示において使用され得る。
【0107】
ある特定の実施形態において、2A配列が、多重遺伝子のメッセージを生成するために使用され、これらは、実施形態において使用され得る。
【0108】
ベクターは、複数の制限酵素部位を含む核酸領域であるマルチクローニングサイト(MCS)を含むことができ、それらの制限酵素部位のうちのいずれかを、そのベクターを消化するために標準的な組換え法とともに使用することができる。「制限酵素消化」とは、核酸分子内の特定の位置でのみ機能する酵素による核酸分子の触媒的切断のことを指す。これらの制限酵素の多くは、市販されている。そのような酵素の使用は、当業者に広く理解されている。しばしば、ベクターは、外来性配列がそのベクターにライゲートされるのを可能にするために、MCS内で切断する制限酵素を用いて線状化または断片化される。「ライゲーション」とは、2つの核酸フラグメント間にホスホジエステル結合を形成するプロセスのことを指し、その2つの核酸フラグメントは、互いに連続してもよいし、連続しなくてもよい。制限酵素およびライゲーション反応に関わる手法は、組換え技術の分野の当業者に周知である。
【0109】
スプライシング部位、終結シグナル、複製開始点および選択マーカーもまた使用され得る。
C.プラスミドベクター
【0110】
ある特定の実施形態において、宿主細胞を形質転換するために使用するためのプラスミドベクターが企図される。一般に、レプリコンおよび宿主細胞に適合する種に由来する調節配列を含むプラスミドベクターが、これらの宿主に関して使用される。そのベクターは、通常、複製部位、ならびに形質転換された細胞において表現型選択を提供できるマーキング配列を有する。非限定的な例において、E.coliは、E.coli種に由来するプラスミドであるpBR322の誘導体を用いて形質転換されることが多い。pBR322は、アンピシリン抵抗性およびテトラサイクリン抵抗性の遺伝子を含むので、形質転換された細胞を識別する容易な手段を提供する。pBRプラスミド、または他の微生物プラスミドもしくはファージは、例えば、微生物がそれ自体のタンパク質の発現のために使用できるプロモーターも含まなければならないか、または含むように改変されなければならない。
【0111】
さらに、レプリコンおよび宿主微生物と適合する調節配列を含むファージベクターが、これらの宿主に関する形質転換ベクターとして使用され得る。例えば、ファージラムダGEMTM11が、宿主細胞、例えば、E.coli LE392を形質転換するために使用され得る組換えファージベクターを作製する際に使用され得る。
【0112】
さらなる有用なプラスミドベクターとしては、pINベクター(Inouye et al.,1985);ならびに後の精製および分離または切断のためのグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)可溶性融合タンパク質の生成において使用するためのpGEXベクターが挙げられる。他の好適な融合タンパク質は、ベータ−ガラクトシダーゼ、ユビキチンなどを含む融合タンパク質である。
【0113】
発現ベクターを含む細菌宿主細胞、例えば、E.coliは、いくつかの好適な培地のいずれか、例えば、LBにおいて生育される。ある特定のベクターにおける組換えタンパク質の発現は、当業者が理解するように、ある特定のプロモーターに特異的な作用物質と宿主細胞を接触させることによって、例えば、IPTGを培地に加えるかまたはインキュベーションをより高温に切り換えることによって、誘導され得る。さらなる時間、通常、2〜24時間にわたって細菌を培養した後、それらの細胞は、遠心分離によって回収され、残留培地を除去するために洗浄される。
D.ウイルスベクター
【0114】
ある特定のウイルスが細胞に感染するかまたはレセプター媒介性のエンドサイトーシスを通じて細胞に進入する能力、および宿主細胞ゲノムに組み込んでウイルス遺伝子を安定的かつ効率的に発現する能力は、それらのウイルスを、外来核酸を細胞(例えば、哺乳動物細胞)に導入するための魅力的な候補としてきた。本開示の構成要素は、本開示の1つ以上のCARをコードするウイルスベクターであり得る。本開示の核酸を送達するために使用され得るウイルスベクターの非限定的な例を下記に記載する。
E.アデノウイルスベクター
【0115】
核酸を送達するための特定の方法は、アデノウイルス発現ベクターの使用を含む。アデノウイルスベクターは、ゲノムDNAへの組み込みの能力は低いと知られているが、この特徴は、これらのベクターによってもたらされる高効率の遺伝子導入で相殺される。「アデノウイルス発現ベクター」は、(a)構築物のパッケージングを支持するのに十分な、および(b)そのベクター内にクローニングされた組織特異的または細胞特異的な構築物を最終的に発現するのに十分な、アデノウイルス配列を含む構築物を含むと意味される。遺伝子構成またはアデノウイルス、すなわち36kb、線形二本鎖DNAウイルスであるという知見から、アデノウイルスDNAの大きな断片を最大7kbの外来配列で置換することが可能である(Grunhaus and Horwitz,1992)。
F.AAVベクター
【0116】
核酸は、アデノウイルスによって支援されるトランスフェクションを用いて細胞に導入され得る。アデノウイルスと組み合わせた系を用いた細胞系において、トランスフェクション効率の上昇が報告された(Kelleher and Vos,1994;Cotten et al.,1992;Curiel,1994)。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、高頻度の組み込みを有し、非分裂細胞に感染できることから、例えば、組織培養(Muzyczka,1992)またはインビボにおいて、哺乳動物細胞に遺伝子を送達するために有用であるので、本開示の細胞において使用するための魅力的なベクター系である。AAVは、感染性について幅広い宿主範囲を有する(Tratschin et al.,1984;Laughlin et al.,1986;Lebkowski et al.,1988;McLaughlin et al.,1988)。rAAVベクターの作製および使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号および同第4,797,368号(各々が参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
G.レトロウイルスベクター
【0117】
レトロウイルスは、それらの遺伝子を宿主ゲノムに組み込むことができ、大量の外来の遺伝物質を運搬し、広範囲の種および細胞型に感染し、特別な細胞株においてパッケージングされるので、送達ベクターとして有用である(Miller,1992)。
【0118】
レトロウイルスベクターを構築するために、核酸(例えば、所望の配列をコードする核酸)をある特定のウイルス配列の場所のウイルスゲノムに挿入して、複製欠損であるウイルスを作製する。ビリオンを生成するために、gag、polおよびenv遺伝子を含むがLTRおよびパッケージング構成要素を含まないパッケージング細胞株を構築する(Mann et al.,1983)。レトロウイルスのLTRおよびパッケージング配列とともにcDNAを含む組換えプラスミドが、特別な細胞株に(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)導入されると、そのパッケージング配列によって、その組換えプラスミドのRNA転写物はウイルス粒子にパッケージングされ、次いで、そのウイルス粒子は、培養液中に分泌される(Nicolas and Rubenstein,1988;Temin,1986;Mann et al.,1983)。次いで、組換えレトロウイルスを含む培地を回収し、必要に応じて濃縮し、遺伝子導入に使用する。レトロウイルスベクターは、幅広い種類の細胞型に感染することができる。しかしながら、組み込みおよび安定発現には、宿主細胞の分裂が必要である(Paskind et al.,1975)。
【0119】
レンチウイルスは、通常のレトロウイルスの遺伝子であるgag、polおよびenvに加えて、制御機能または構造機能を有する他の遺伝子も含む、複雑なレトロウイルスである。レンチウイルスベクターは、当該分野で周知である(例えば、Naldini et al.,1996;Zufferey et al,1997;Blomer et al,1997;米国特許第6,013,516号および同第5,994,136号を参照のこと)。レンチウイルスのいくつかの例としては、ヒト免疫不全ウイルス:HIV−1、HIV−2およびサル免疫不全ウイルス:SIVが挙げられる。レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を複数回弱毒化することによって作製されており、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させて、そのベクターは生物学的に安全にされている。
【0120】
組換えレンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染することができ、インビボとエキソビボの両方における遺伝子導入および核酸配列の発現のために使用することができる。例えば、非分裂細胞に感染することができる組換えレンチウイルスであって、ここで、好適な宿主細胞が、パッケージング機能、すなわち、gag、polおよびenvならびにrevおよびtatを有する2つ以上のベクターでトランスフェクトされる、組換えレンチウイルスが、参照により本明細書中に援用される米国特許第5,994,136号に記載されている。組換えウイルスは、エンベロープタンパク質を、特定の細胞型のレセプターを標的化するための抗体または特定のリガンドと連結することによって、標的化され得る。例えば、目的の配列(制御領域を含む)を、特定の標的細胞上のレセプターに対するリガンドをコードする別の遺伝子とともにウイルスベクターに挿入することによって、そのベクターは、標的特異的になる。
H.他のウイルスベクター
【0121】
他のウイルスベクターも、本開示におけるワクチン構築物として使用することができる。ワクシニアウイルス(Ridgeway,1988;Baichwal and Sugden,1986;Coupar et al.,1988)、シンドビスウイルス、サイトメガロウイルスおよび単純ヘルペスウイルスなどのウイルスに由来するベクターを使用することができる。それらは、様々な哺乳動物細胞に対していくつかの魅力的な特徴を提供する(Friedmann,1989;Ridgeway,1988;Baichwal and Sugden,1986;Coupar et al,1988;Horwich et al,1990)。
I.改変されたウイルスを用いた送達
【0122】
送達されるべき核酸は、特定の結合リガンドを発現するように操作された感染性ウイルスの中に収容され得る。したがって、そのウイルス粒子は、標的細胞の同族のレセプターに特異的に結合し、その細胞に内容物を送達する。ウイルスエンベロープへのラクトース残基の化学的付加によるレトロウイルスの化学修飾に基づいて、レトロウイルスベクターの特異的標的化を可能にするようにデザインされた新規アプローチが開発された。この修飾は、シアロ糖タンパク質レセプターを介した肝細胞の特異的な感染を可能にし得る。
【0123】
レトロウイルスのエンベロープタンパク質および特定の細胞レセプターに対するビオチン化抗体を使用する、組換えレトロウイルスの標的化に対する別のアプローチがデザインされた。それらの抗体は、ストレプトアビジンを用いることによってビオチン構成要素を介して結合された(Roux et al.,1989)。主要組織適合遺伝子複合体クラスIおよびクラスII抗原に対する抗体を用いて、インビトロにおいて、それらの表面抗原を有する種々のヒト細胞のエコトロピックウイルスへの感染が示された(Roux et al.,1989)。
J.ベクターの送達および細胞の形質転換
【0124】
細胞のトランスフェクションまたは形質転換のための核酸送達に適した方法は、当業者に公知である。そのような方法としては、エキソビボでのトランスフェクション、注射などによる直接的なDNAの送達が挙げられるが、これらに限定されない。当該分野で公知の手法を適用することによって、細胞は、安定にまたは一過性に形質転換され得る。
K.エキソビボでの形質転換
【0125】
生物から取り出された真核細胞および組織をエキソビボの状況においてトランスフェクトするための方法は、当業者に公知である。したがって、細胞または組織が、取り出され、本開示の核酸を用いてエキソビボにおいてトランスフェクトされ得ることが企図される。特定の態様において、移植された細胞または組織が、生物に戻され得る。ある特定の面において、核酸は、移植された細胞において発現される。
VII.本開示のキット
【0126】
本明細書中に記載される任意のGPC3−CAR組成物は、キットに含められ得る。非限定的な例において、細胞療法において使用するための1つ以上の細胞、および/または細胞療法において使用するための、組換え発現ベクターを有する1つ以上の細胞を作製するための試薬が、キットに含められ得る。GPC3−CARまたはその一部をコードするポリヌクレオチドが、キットに含められ得る。そのキットの構成要素は、好適な容器手段の中に提供される。
【0127】
キットのいくつかの構成要素は、水性媒質中にまたは凍結乾燥された形態で包装され得る。キットの容器手段には、通常、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器、または構成要素を入れることができる他の容器手段、好ましくは、構成要素が適切に等分された他の容器手段が含まれ得る。キットの中に2つ以上の構成要素が存在する場合、そのキットは、通常、さらなる構成要素が別々に入れられ得る、第2、第3の、または他のさらなる容器も含み得る。しかしながら、構成要素の様々な組み合わせが、1つのバイアルの中に含められてもよい。本開示のキットは、典型的には、商業的販売のために、構成要素を厳重に閉じ込めた状態で含める手段も含み得る。そのような容器としては、所望のバイアルを保持する、インジェクション成形またはブロー成形されたプラスチック容器が挙げられ得る。
【0128】
キットの構成要素が、1つおよび/またはそれ以上の液体溶液として提供されるとき、その液体溶液は、水溶液であり、滅菌された水溶液が特に有用(ueful)である。場合によっては、容器手段は、それ自体が、注射器、ピペット、ならびに/あるいは製剤を身体の感染領域に提供し得る、動物に注射し得る、ならびに/またはキットの他の構成要素に適用され得る、および/もしくはキットの他の構成要素と混合され得る他のそのような同様の器具であり得る。
【0129】
しかしながら、キットの構成要素は、乾燥された粉末として提供されてもよい。試薬および/または構成要素が、乾燥粉末として提供されるとき、その粉末は、好適な溶媒を加えることによって再構成することができる。その溶媒が別の容器手段の中に提供され得ることも考えられる。キットは、滅菌された薬学的に許容され得る緩衝剤および/または他の希釈剤を含めるための第2の容器手段も含み得る。
【0130】
本開示の特定の実施形態において、細胞療法に使用される予定の細胞が、キットの中に提供され、場合によっては、それらの細胞は、本質的にそのキットの唯一の構成要素である。そのキットは、所望の細胞を作製するための試薬および材料を含み得る。具体的な実施形態において、それらの試薬および材料としては、所望の配列を増幅するためのプライマー、ヌクレオチド、好適な緩衝液または緩衝試薬、塩などが挙げられ、場合によっては、それらの試薬としては、ベクターならびに/または本明細書中に記載されるようなCARをコードするDNAおよび/もしくはそのDNA用の調節エレメントが挙げられる。
【0131】
特定の実施形態において、キットの中には、個体から1つ以上のサンプルを抽出するのに適した1つ以上の器具が存在する。その器具は、注射器、メスなどであり得る。
【0132】
本開示のいくつかの場合において、キットは、細胞療法の実施形態に加えて、第2の癌治療、例えば、化学療法、ホルモン療法および/または免疫療法も含む。そ(れら)のキットは、ある個体の特定の癌に合わせることができ、その個体に対するそれぞれの第2の癌治療を含み得る。
VIII.処置方法の例
【0133】
様々な実施形態において、本明細書中に企図されるような、GPC3標的化CAR構築物、核酸配列、ベクター、宿主細胞、および/またはそれらを含む薬学的組成物は、腫瘍性疾患などの癌性疾患の予防、処置または回復のために使用される。特定の実施形態において、本開示の薬学的組成物は、癌(例えば、GPC3を発現していて、固形腫瘍であってもよいし、固形腫瘍でなくてもよい癌を含む)の予防、回復および/または処置において特に有用であり得る。具体的な実施形態において、個体は、Simpson−Golabi−Behmel症候群を有する。
【0134】
本明細書中で使用されるとき、「処置」または「処置する」は、ある疾患または病理学的状態の症状または病態に対する任意の有益なまたは望ましい効果を含み、処置される疾患または状態、例えば、癌の1つ以上の計測可能なマーカーの最小の減少さえも含み得る。処置は、必要に応じて、その疾患もしくは状態の症状の減少もしくは回復、またはその疾患もしくは状態の進行の遅延を含み得る。「処置」は、必ずしも、その疾患もしくは状態またはその関連する症状の完全な根絶または治癒を指さない。
【0135】
本明細書中で使用されるとき、「予防する(prevent)」および「予防された」、「予防する(preventing)」などの類似の単語は、ある疾患または状態、例えば、癌の発生または再発を予防するため、阻害するため、またはそれらの可能性を減少させるためのアプローチのことを指す。予防するという語は、ある疾患もしくは状態の発生もしくは再発を遅延させること、またはある疾患もしくは状態の症状の発生もしくは再発を遅延させることも指す。本明細書中で使用されるとき、「予防」および類似の単語は、ある疾患または状態が発生または再発する前に、その疾患または状態の強度、影響、症状および/または負荷を減少させることも含む。
【0136】
特定の実施形態において、本発明は、標準的なベクターおよび/または遺伝子送達系を使用し、少なくともいくつかの態様では薬学的に許容され得る担体または賦形剤とともに使用して、単独または任意の組み合わせで投与され得る、GPC3 CARを発現している細胞、GPC3 CAR構築物、GPC3 CAR核酸分子およびGPC3 CARベクターを部分的に企図する。ある特定の実施形態において、それらの核酸分子またはベクターは、投与後、被験体のゲノムに安定に組み込まれ得る。
【0137】
具体的な実施形態において、ある特定の細胞または組織に特異的であって前記細胞内に残るウイルスベクターが使用され得る。好適な薬学的担体および賦形剤は、当該分野で周知である。本開示に従って調製される組成物は、上記で特定された疾患の予防または処置または遅延のために使用することができる。
【0138】
さらに、本開示は、腫瘍性疾患の予防、処置または回復のための方法に関し、その方法は、それを必要とする被験体に、有効量の、本明細書中で企図されるようなおよび/または本明細書中で企図されるプロセスによって作製されるような、GPC3標的化CAR、核酸配列、ベクターを発現する細胞を投与する工程を含む。
【0139】
例示的なGPC3 CAR細胞の組成物の投与の適応症になり得るものは、例えば、肝細胞癌、肝芽腫、胎児性肉腫、ラブドイド腫瘍、ウィルムス腫瘍、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、肺の扁平上皮癌、脂肪肉腫、乳癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)または中皮腫を含む腫瘍性疾患を含む癌性疾患である。GPC3 CAR細胞の組成物の投与の例示的な適応症は、GPC3を発現している任意の悪性病変を含む癌性疾患である。本開示の組成物の投与は、例えば、微小残存病変、初期癌、進行癌および/または転移性癌および/または難治性癌を含む、すべてのステージおよびタイプの癌に対して有用である。
【0140】
本開示はさらに、他の化合物、例えば、二重特異性抗体構築物によって標的化されるトキシンまたは他の化合物(これらのトキシンまたは他の化合物は免疫細胞を介して作用する)との同時投与プロトコルを包含する。本発明の化合物の同時投与のための臨床レジメンは、他の構成要素の投与と同時、その投与の前または後における同時投与を包含し得る。特定の併用療法としては、化学療法、放射線照射、手術、ホルモン療法または他のタイプの免疫療法が挙げられる。
【0141】
実施形態は、本明細書中で定義されるようなGPC3 CAR構築物、本明細書中で定義されるような核酸配列、本明細書中で定義されるようなベクターおよび/または本明細書中で定義されるような宿主を含むキットに関する。本開示のキットは、本明細書中の上記に記載されたような薬学的組成物を、単独で、または医学的処置もしくは介入を必要とする個体に投与されるべきさらなる医薬と組み合わせて含むことも企図される。
IX.併用療法
【0142】
本開示のある特定の実施形態において、臨床の態様のための本開示の方法は、過剰増殖性疾患の処置において有効な他の作用物質(例えば、抗癌剤)と併用される。「抗癌」剤は、例えば、癌細胞を殺滅すること、癌細胞においてアポトーシスを誘導すること、癌細胞の成長速度を低下させること、転移の発生率もしくは数を減少させること、腫瘍サイズを減少させること、腫瘍の成長を阻害すること、腫瘍もしくは癌細胞への血液の供給を減少させること、癌細胞もしくは腫瘍に対する免疫応答を促進すること、癌の進行を予防するかもしくは阻害すること、または癌を有する被験体の寿命を延長することによって、被験体における癌に対してネガティブに作用することができる。より一般的には、これらの他の組成物は、細胞を殺滅するかまたは細胞の増殖を阻害するのに有効な合計量で提供され得る。このプロセスは、癌細胞を上記の発現構築物および作用物質または複数の因子と同時に接触させることを含み得る。これは、両方の作用物質を含む単一の組成物もしくは薬理学的製剤と細胞を接触させること、または2つの異なる組成物もしくは製剤と同時に細胞を接触させることによって達成され得、ここで、一方の組成物は、発現構築物を含み、他方は、第2の作用物質を含む。
【0143】
化学療法剤および放射線療法剤に対する腫瘍細胞の抵抗性は、臨床腫瘍学における大きな問題である。現行の癌研究の目標の1つは、化学療法および放射線療法を遺伝子療法と組み合わせることによって、化学療法および放射線療法の有効性を改善する方法を見出すことである。例えば、単純ヘルペスウイルス−チミジンキナーゼ(HSV−tK)遺伝子は、レトロウイルスベクター系によって脳腫瘍に送達されると、抗ウイルス剤であるガンシクロビルに対する感受性を首尾よく誘導した(Culver,et al.,1992)。本開示の文脈において、他のアポトーシス促進剤または細胞周期制御剤に加えて、細胞療法も同様に、化学療法、放射線療法または免疫療法の介入とともに使用することができるであろうことが企図される。
【0144】
あるいは、本発明の治療は、数分から数週間の範囲の間隔で、他の作用物質による処置の前に行われてもよいし、後に行われてもよい。他の作用物質と本開示とが別々に個体に適用される実施形態では、一般に、その作用物質および本発明の治療がなおも、その細胞に対して有益な複合効果を発揮することができるように、各送達の時間の間にかなりの長さの時間が経過しないことが保証されるだろう。そのような場合には、その細胞を、互いの約12〜24時間以内、より好ましくは、互いの約6〜12時間以内に両方の様式と接触させてもよいことが企図される。いくつかの場合では、処置のための時間をかなり延長することが望ましいかもしれないが、しかしながら、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8週間)が経過する。
【0145】
本開示が「A」であり、放射線療法または化学療法などの第2の作用物質が「B」である、様々な組み合わせを用いることができる:
【0146】
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
【0147】
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
【0148】
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0149】
処置サイクルは、必要に応じて反復され得ることが予想される。様々な標準的治療ならびに外科的介入が、本発明の細胞療法と併用して適用され得ることも企図される。
A.化学療法
【0150】
癌治療には、化学的処置と放射線照射に基づく処置の両方との種々の併用療法も含まれる。併用化学療法としては、例えば、アブラキサン、アルトレタミン、ドセタキセル、ハーセプチン、メトトレキサート、ノバントロン(novantrone)、ゾラデックス、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソ尿素(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲンレセプター結合剤、タキソール、ゲムシタビン(gemcitabien)、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(tansferase)阻害剤、トランスプラチン(transplatinum)、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)およびメトトレキサート、または前述のものの任意のアナログもしくは誘導体バリアント、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0151】
具体的な実施形態において、上記個体のための化学療法が、本開示とともに、例えば、本開示の投与の前、投与中および/または投与の後に用いられる。
B.放射線療法
【0152】
広く使用されている、DNA損傷を引き起こす他の因子としては、γ線、X線として通常知られているもの、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の特異的な(directed)送達が挙げられる。他の形態のDNA損傷因子(例えば、マイクロ波およびUV照射)もまた企図される。これらの因子のすべてが、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の構築および維持に対して広範囲の損傷を与える可能性が高い。X線に対する線量範囲は、長期間(3〜4週間)の場合の50〜200レントゲンという1日線量から、2000〜6000レントゲンという1回線量までの範囲である。放射性同位体に対する線量範囲は、大きく異なり、同位体の半減期、放出される放射線の強度およびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
【0153】
用語「接触される」および「曝露される」は、細胞に対して適用されるとき、治療的な構築物および化学療法薬または放射線療法薬が、標的細胞に送達されるかまたは標的細胞のすぐ近位の位置に配置されるプロセスのことを記載するために本明細書中で使用される。細胞の殺滅または静止を達成するために、両方の薬剤が、その細胞を殺滅するのに有効またはその細胞の分裂を防ぐのに有効な合計量で細胞に送達される。
C.免疫療法
【0154】
免疫療法は、一般に、免疫エフェクター細胞、および癌細胞を標的化して破壊する分子の使用に依存する。その免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上の何らかのマーカーに特異的な抗体であり得る。その抗体は、単独で、治療のエフェクターとして機能することもあるし、実際に細胞殺滅をもたらす他の細胞をリクルートすることもある。その抗体は、薬物またはトキシン(化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)にコンジュゲートされていてもよく、標的化剤としてのみ機能してもよい。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接または間接的に相互作用する表面分子を有するリンパ球であり得る。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
【0155】
したがって、本明細書中に記載される本発明の治療以外の免疫療法が、本細胞療法と併用される併用療法の一部として用いることができるだろう。併用療法に対する一般的なアプローチは、下記で論じられる。一般に、腫瘍細胞は、標的化の対象となる、すなわち、他の細胞の大部分には存在しない、何らかのマーカーを有しているはずである。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれもが、本開示の文脈において標的化に適している可能性がある。一般的な腫瘍マーカーとしては、癌胎児抗原、前立腺特異的抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲンレセプター、ラミニンレセプター、erbBおよびp155が挙げられる。
D.遺伝子
【0156】
なおも別の実施形態において、第2の処置は、治療的なポリヌクレオチドを本開示の臨床的実施形態の前、後またはそれと同時に投与する遺伝子療法である。種々の発現産物が本開示に包含され、それらとしては、細胞増殖の誘導物質、細胞増殖の阻害剤またはプログラム細胞死の制御物質が挙げられる。
E.手術
【0157】
癌を有する人のおよそ60%が、何らかのタイプの手術を受け、その手術には、予防的な、診断的な、または病期分類のための(staging)、治癒的および姑息的な手術が含まれる。治癒的手術は、他の治療(例えば、本開示の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法および/または代替療法)とともに使用され得る癌の処置である。
【0158】
治癒的手術には、癌性組織の全部または一部を物理的に除去、切除および/または破壊する摘出が含まれる。腫瘍摘出とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的な除去のことを指す。腫瘍摘出に加えて、手術による処置には、レーザー手術、冷凍手術、電気外科手術および顕微鏡下で(miscopically)制御される手術(モース手術)が含まれる。本開示が、表在癌、前癌、または偶発的な量の正常組織の除去を伴って使用され得ることもさらに企図される。
【0159】
癌性細胞、組織または腫瘍の全部の一部が切除されると、体内に空洞が形成されることがある。処置は、さらなる抗癌治療とともに、灌流、該当領域への直接注射または局所適用によって達成され得る。そのような処置は、例えば、1、2、3、4、5、6もしくは7日ごと、または1、2、3、4および5週間ごと、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12ヶ月ごとに繰り返され得る。これらの処置も同様に、様々な投与量であり得る。
F.他の作用物質
【0160】
処置の治療効果を改善するために、他の作用物質が本開示と組み合わせて使用され得ることが企図される。これらのさらなる作用物質としては、免疫調節剤、細胞表面レセプターのアップレギュレーションおよびGAP結合に影響する作用物質、細胞分裂抑制剤および分化剤、細胞接着の阻害剤、またはアポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感度を高める作用物質が挙げられる。免疫調節剤としては、腫瘍壊死因子;インターフェロンアルファ、ベータおよびガンマ;IL−2および他のサイトカイン;F42Kおよび他のサイトカインアナログ;またはMIP−1、MIP−1ベータ、MCP−1、RANTESおよび他のケモカインが挙げられる。細胞表面レセプターまたはそれらのリガンド(例えば、Fas/Fasリガンド、DR4またはDR5/TRAIL)のアップレギュレーションは、過剰増殖性細胞に対するオートクリン作用またはパラクリン作用の確立によって本開示のアポトーシス誘導能を増強し得ることがさらに企図される。GAP結合の数を増加させることによる細胞間のシグナル伝達の増加は、周囲の過剰増殖性細胞集団に対する抗過剰増殖作用を高め得る。他の実施形態において、処置の抗過剰増殖性の有効性を改善するために、細胞分裂抑制剤または分化剤が、本開示と組み合わせて使用され得る。本開示の有効性を改善するための細胞接着の阻害剤が企図される。細胞接着阻害剤の例は、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。処置の有効性を改善するために、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感度を高める他の作用物質(例えば、抗体c225)が、本開示と組み合わせて使用され得ることがさらに企図される。
【実施例】
【0161】
実施例1
GPC3特異的CAR
本明細書中に記載されるように、モノクローナル抗体の公開されている配列に基づく、共刺激内部領域の異なる組み合わせを有するグリピカン−3特異的CAR(GPC3−CAR)が存在する。T細胞上のすべてのCARが細胞表面で高発現であることが検出された。グリピカン−3特異的T細胞を、レトロウイルスによる形質導入によって作製し、それらは、グリピカン−3を発現している腫瘍細胞を認識する。
【0162】
グリピカン−3特異的CARのデザイン:GPC3特異的scFvがCAR骨格に融合したCARを作製した(図2)。
【0163】
GPC3−CARの細胞表面発現:T細胞をOKT3および抗CD28で刺激した後、レトロウイルスによる形質導入を行った。CARの発現を、抗Fab mab−AF647を用いてFACSで測定した。GPC3−CARの発現は、80%以上の細胞で検出された。
【0164】
GPC3−CAR T細胞は、GPC3pos標的を認識して殺滅する:GPC3pos(HepG2、HUH7およびHep3B)ならびにGPC3neg(A549)細胞株にCr51を負荷し、それらの細胞株を、標準的な4時間のCr51放出アッセイにおいてGPC3−CAR T細胞とともにインキュベートした。3つすべてのGPC3pos標的において、有効な殺滅がエフェクター対標的比(ration)に応じて検出されたのに対して、GPC3neg標的は、殺滅されなかった。
【0165】
GPC3−CAR T細胞は、GPC3pos標的で刺激されるとIFN−γを放出する:GPC3−CAR T細胞を、GPC3pos(HepG2、HUH7およびHep3B)ならびにGPC3neg(A549)細胞株とともに1:1の比で24時間にわたって共培養した。組織培養上清のIFN−γレベルを、製造者のマニュアルに従ってLuminex(Millipore)によって測定した。GPC3pos標的で刺激したとき、すべてのGPC3−CAR構築物に対して高レベルのIFN−γ産生が検出されたのに対して、形質導入されていないT細胞は、IFN−γを産生しなかった。GPCneg標的で刺激されたとき、低レベルの自発的なIFN−γ放出を誘導したGBBzを除いては、GPC3−CAR T細胞ではIFN−γの産生は検出されなかった。
【0166】
したがって、新規のGPC3特異的CARが本明細書中に提供され、GPC3陽性腫瘍細胞を抗原特異的様式で認識して殺滅する、このCARで遺伝的に改変されたT細胞が、本明細書中で実証される。この技術は、単独療法としてまたは他の処置様式との併用で、GPC3陽性疾患の免疫療法の広範な用途を有する。
実施例2
グリピカン−3CAR
【0167】
グリピカン−3(GPC3)は、プロテオグリカンのグリピカンファミリーの6つの哺乳動物メンバーのうちの1つである。グリピカン−3は、ヘパラン硫酸側鎖を含み、グリコシル−ホスファチジル−イノシトールによって細胞表面に繋ぎ留められている(Filmus and Selleck,2001)。GPC3は、細胞膜を介して直接シグナル伝達せず、GPC3の主な機能は、wntを安定化することであり、それによって、細胞増殖に対する影響が大きくなる(Capurro et al.,2014)。GPC3は、肝細胞癌(胎児発生後の正常な肝細胞上または硬変した肝臓上には発現されない)、肝芽腫、胎児性肉腫、ラブドイド腫瘍、卵黄嚢腫瘍、ウィルムス腫瘍、肺の扁平上皮癌および脂肪肉腫の大部分をはじめとしたいくつかの固形腫瘍上に発現されるので、免疫療法のユニークな標的である(Wang et al.,2006;Yamauchi et al.,2005;Enan et al.,2013;Coston et al.,2008;Baumhoer et al.,2008;Chan et al.,2013;Levy et al.,2012;Tretiakova et al,2015;Zynger et al,2008;Zynger et al,2006;Zynger et al,2008))。癌細胞上での特異的発現および癌進行における役割を考えれば、GPC3は、初期の臨床試験において最近実証された魅力的な免疫療法の標的であり、GPC3標的化モノクローナル抗体(MAb)GC33は、耐容性がよく、進行したHCCを有する患者において抗腫瘍反応を誘導した(Zhu et al.,2013;Ikeda et al.,2014)。
【0168】
腫瘍細胞株上でのグリピカン−3の発現。HepG2(HB)、HUH7(HCC)およびHep3B(B型肝炎ウイルス陽性HCC)、G401(悪性ラブドイド腫瘍)およびA549(肺癌)を、グリピカン−3特異的YP7抗体を用いるFACS解析によってGPC3の発現について評価した。HepG2(HB)、HUH7(HCC)およびHep3B(B型肝炎ウイルス陽性HCC)、G401(悪性ラブドイド腫瘍)は、GPC3陽性であったのに対して、A549(肺癌)は、陰性であった(図6)。この細胞株パネルを用いて、新規GPC3特異的キメラ抗原レセプター(GPC3−CAR)を発現しているT細胞の機能を特徴づけた。
【0169】
GPC3−CARの構造および細胞表面発現。抗グリピカン−3特異的MabであるGC33の一本鎖可変フラグメントを、CAR発現カセットを含むSFGレトロウイルスベクターにインフレームでクローニングした。以下の4つのGPC3−CARを作製した:GC33.ζ(Gz)、GC33.CD28.ζ(G28z)、GC33.4−1BB.ζ(GBBz)およびGC33.CD28.4−1BB.ζ(G28BBz)(図7A)。記載の構築物をコードするレトロウイルスベクターをT細胞に形質導入した。CARの細胞表面発現を、AF647にコンジュゲートされたヤギ抗マウスF(ab)2フラグメントIgGを用いるフローサイトメトリーによって測定した。4つすべての構築物が、形質導入されたT細胞の細胞表面上に安定に発現された(図7Bは、1つの代表的なFACSプロットを示しており、図7Cは、10人の無関係なドナー由来の細胞のCARの発現を示しており、エラーバーは、標準偏差を表している)。
【0170】
GPC3−CAR T細胞は、GPC3pos細胞株を殺滅する。GPC3−CARのトランスジェニック発現がT細胞をGPC3pos標的に対して細胞傷害性にするのかを試験するために、標準的な4時間の51Crアッセイを行った。手短に言えば、標的細胞に51Crを負荷し、その細胞を洗浄し、記載のGPC3 CARを発現している細胞とともに37℃の標準的な細胞培養恒温器内で共培養した。4時間後に上清を回収し、パーセント細胞溶解を測定した。GPC3−CAR T細胞は、試験されたすべてのエフェクター対標的比において、GPC3posHepG2、HUH7、Hep3BおよびG401細胞を殺滅した。GPC3negA549細胞株は、いずれのGPC3−CAR T細胞によっても殺滅されなかったことから、特異性が確かめられた(図8)。
【0171】
GPC3−CAR T細胞は、GPC3pos細胞の存在下においてサイトカインを分泌する。GPC3−CAR T細胞がGPC3陽性腫瘍細胞を殺滅することが示されたので、次に、GPC3−CAR T細胞がサイトカインを産生するかを調べた。GPC3−CAR T細胞を、記載の細胞株とともに共培養し、共培養の24時間後に、サイトカインレベルをLuminex解析によって測定した。GPC3−CARを発現している4つすべてのT細胞は、GPC3pos細胞株と関わったとき、高レベルのサイトカインを産生した(図10)。GBBzは、より少ないIL−2(図10A〜10E)およびIL−10(図10F〜10J)しか産生しなかった。Gz、G28zまたはG28BBzを発現しているT細胞をGPC3negA549細胞株とともに共培養したとき、IFNγは検出されなかったのに対して、GBBz CARを発現しているT細胞による自発的なサイトカイン産生が検出された(図10K〜10O)。
【0172】
GPC3−CAR T細胞は、GPC3pos細胞に遭遇すると増殖する。GPC3−CAR T細胞が、GPC3陽性腫瘍細胞を認識し(サイトカイン産生によって判断したとき)、殺滅することが示されたので、次に、GPC3−CAR T細胞が、GPC3陽性腫瘍細胞に遭遇した後に増殖する能力を有するかを評価した。GPC3−CAR T細胞をHUH7細胞とともに共培養し、サイトカインなしで増殖させた。GPC3−CAR T細胞は、GPC3依存的様式で増殖し、G28z、GBBzおよびG28BBz CAR T細胞は、Gz CAR T細胞を上回った。記載の時点におけるGPC3−CAR T細胞の絶対数が示されている(図9A)。刺激の3日後のGPC3−CAR T細胞のCFSE希釈(細胞分裂の尺度として)が示されている(図9B)。刺激後5日目の7−AAD染色(細胞死の尺度として)が示されている(図9C)。
【0173】
GPC3−CAR T細胞は、インビボにおける養子移入の後、増殖する。インビボにおけるGPC3−CAR T細胞の増殖能を試験するために、NOD/SCID/IL2γnullマウスの腹腔内にGPC3posHUH7 HCC細胞株を注射した後、14日後に、連続的な生物発光イメージングを可能にするためのGFPホタルルシフェラーゼ融合遺伝子(GFP.ffLuc)をコードするレトロウイルスベクターも形質導入された1×10個のGPC3−CAR T細胞の静脈内(iv)注射を行った。GFP.ffLucだけが形質導入されたGD2−CAR T細胞およびT細胞をコントロールとして用いた。GPC3−CAR T細胞は、注射後最大6日間にわたって増殖した。41BBを含む共刺激内部領域を有するGPC3−CARを発現しているT細胞は、GzまたはG28z CAR T細胞よりも優れた増殖を示した(図11A,B)。
【0174】
GPC3−CAR T細胞は、インビボのHUH−7 HCC異種移植モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を有する。インビボにおけるGPC3−CAR T細胞の抗腫瘍活性を試験するため、および最も高い抗腫瘍能を有する構築物を見つけるために、NOD/SCID/IL2γnullマウスの腹腔内に、連続的な生物発光イメージングを可能にするためのGFP.ffLucで遺伝的に改変されたGPC3posHUH7 HCC細胞株を注射した後、14日後に、1×10個のGPC3−CAR T細胞のiv注入を行った(図12)。内部領域に関係なく、GPC3 CAR T細胞は、ロバストな抗腫瘍作用をもたらし、腫瘍量の多かったマウスを完治させた。マウスの生存および腫瘍の生物発光が、それぞれ図12A〜Cに示されている。対照的に、形質導入されていないT細胞(NT T細胞)またはGD2−CAR T細胞であるプラセボを注射されたマウスは、腫瘍細胞注射後45日目に腫瘍進行で死亡した。異なるGPC3−CARの間で有意差が認められなかったので、1/10の細胞用量(1×10個のCAR T細胞)だけを追跡研究において注射した。共刺激ドメインを含むGPC3−CARを発現しているT細胞は、ゼータ内部領域だけを含むGPC3−CARよりも高い抗腫瘍活性を有した(図13A〜13C)。
【0175】
GPC3−CAR T細胞は、インビボのG401悪性ラブドイド腫瘍異種移植モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を有する。インビボの第2の例示的な動物モデルにおけるGPC3−CAR T細胞の抗腫瘍活性を試験するため、および最も高い抗腫瘍能を有する構築物を見つけるために、NOD/SCID/IL2γnullマウスの腹腔内に、連続的な生物発光イメージングを可能にするためのGFP.ffLucで遺伝的に改変されたGPC3posG401悪性ラブドイド腫瘍細胞株を注射した後、21日後に2×10個のGPC3−CAR T細胞のiv注入を行った(図12)。GPC3 CAR T細胞は、ロバストな抗腫瘍作用をもたらし、腫瘍量の多かったマウスを完治させた。マウスの生存および腫瘍の生物発光が、それぞれ図14A〜Cに示されている。対照的に、形質導入されていないT細胞(NT T細胞)またはGD2−CAR T細胞であるプラセボを注射されたマウスは、腫瘍細胞注射後46日目に腫瘍進行で死亡した。共刺激ドメインを含むGPC3−CARを発現しているT細胞は、ゼータ内部領域だけを含むGPC3−CARよりも高い抗腫瘍活性を有した(図14A,14B)。
【0176】
結果の要約:4つの新規GPC3−CAR(Gz、G28z、GBBzおよびG28BBz)を作製し、レトロウイルスによる形質導入によって、T細胞の細胞表面上に安定に発現させた(図7)。細胞培養実験において、GPC3−CAR T細胞は、それらのi)細胞溶解活性(図8)ならびにii)GPC3陽性癌細胞の存在下においてサイトカインを産生する能力(図9)および増殖する能力(図10)によって判断したとき、GPC3陽性癌細胞を抗原依存的様式で認識することが実証された。さらに、共刺激内部領域(G28z、GBBz、G28BBz)を含むGPC3−CAR T細胞は、異種移植モデルにおいて増殖し(図11)、ロバストな抗腫瘍活性を有した(図12、13、14)。したがって、HCC、肝芽腫、胎児性肉腫、ラブドイド腫瘍、卵黄嚢腫瘍、ウィルムス腫瘍、肺の扁平上皮癌および脂肪肉腫を含むがこれらに限定されない、GPC3を発現している悪性病変に対して広範な用途を有する、GPC3によって標的化される細胞療法が存在する。これらのCARは、ここでは一例としてT細胞において発現されたが、新規GPC3−CARは、例えば、幅広い範囲のi)免疫細胞(NK細胞、NKT細胞、サイトカイン誘導性キラー細胞(CIK)またはγδT細胞を含むがこれらに限定されない)またはii)免疫細胞に分化し得る幹細胞において発現され得る。
実施例3
GPC3特異的CAR用の担体としてのVα24インバリアントナチュラルキラーT細胞(NKT)の使用
【0177】
NKTは、インバリアントTCRα鎖Vα24−Jα18の発現ならびに単一型のHLAクラスI様分子CD1dが提示する自己由来および微生物由来の糖脂質に対する反応性を特徴とする自然リンパ球の進化的に保存されたサブセットである(Porcelli et al.,1993;Lantz et al.,1994;Bendelac et al.,1995)。NKTは、腫瘍支持性マクロファージを直接標的化することができ、CD1d陰性悪性病変においても間接的な抗腫瘍活性を有する(Song et al,.2009;Liu et al.,2012)。さらに、NKTは、NK細胞の細胞傷害性を活性化することができ、このことは、全体的なNKT細胞の抗腫瘍活性に関してよく研究された重要な点である(Metelitsa et al.,2001;Smyth et al,2002)。
【0178】
NKTは、活性化された肝星細胞(aHSC)を支持するHCCを排除でき(Anson et al.,2012)、HCCにNKTが存在することは、生存の改善と関連する(Guo et al.,2012)ので、NKTは、肝細胞癌(HCC)の免疫療法に対して特に期待できる。ゆえに、NKTにおけるGPC3 CARのトランスジェニック発現は、HCC腫瘍細胞および腫瘍支持性aHSCに対する二重反応性を有するNKTをもたらし得る。
【0179】
GPC3 CARの担体としてNKTを用いる実行可能性を実証するために、初代NKTを、Vα24−Jα18特異的Milteneyiマイクロビーズを用いて3人の健康ドナーのPBMCからポジティブ選別し、照射された自家PBMCの、アルファ−ガラクトシルセラミド(aGalCer)をパルスされたネガティブ画分を用いて活性化し、3日目にGPC3 CAR(GC33.CD28.4−1BB.Z)レトロウイルスベクターを形質導入し、IL−2を含む培養液中で増殖させた。形質導入後7日目に、CD3とインバリアントTCRα鎖(Vα24Jα18)との同時発現によって測定したとき、培養物中の少なくとも98%の細胞がNKTであった。重要なことには、60%〜93%のNKTが、GPC3 CARを発現していた(図15)。ゆえに、初代ヒトNKTにGPC3 CARを安定に形質導入することができ、それをGPC3陽性悪性病変の免疫療法に使用することができる。
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【配列表】
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【国際調査報告】