(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-529867(P2017-529867A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
A23L2/38 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-518789(P2017-518789)
(86)(22)【出願日】2015年10月9日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月4日
(86)【国際出願番号】GB2015052955
(87)【国際公開番号】WO2016055799
(87)【国際公開日】20160414
(31)【優先権主張番号】1417947.7
(32)【優先日】2014年10月10日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517119279
【氏名又は名称】ウッドール,ガイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウッドール,ガイ
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC02
4B117LG17
4B117LG18
4B117LK01
4B117LK08
4B117LK12
4B117LP01
4B117LP20
(57)【要約】
茶シロップを生成する方法は、植物材料及び/または植物抽出物を熱水と接触させて、茶を生成することを含む。本方法は、茶を濾過して、茶濾液を生成することと、茶濾液に砂糖を添加することと、その後茶または茶濾液のいずれかのpHを低下させることによって、茶シロップを生成することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶シロップを生成する方法であって、
−植物材料及び/または植物抽出物を熱水と接触させて、茶を生成することであって、前記熱水中の前記植物材料及び/または植物抽出物の濃度が、1リットル当たり少なくとも50グラムである、生成することと、
−前記茶を濾過して、茶濾液を生成することと、
−前記茶濾液に砂糖を添加することと、
−前記茶または前記茶濾液のいずれかのpHを低下させることによって、茶シロップを生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記熱水中の植物材料及び/または植物抽出物の濃度が、1リットル当たり約200〜250グラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記茶がまだ熱い間に、前記茶が濾過される、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
砂糖が、砂糖対茶濾液の重量によって、少なくとも1:1の割合で前記茶濾液に添加される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
砂糖が、砂糖対茶濾液の重量によって、約2:1の割合で前記茶濾液に添加される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記茶濾液のpHが、酸、好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、またはリン酸と前記濾液を接触させることよって低下される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記茶シロップのpHが、4.5未満のpHまで低下される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記茶シロップのpHが、4.2未満のpHまで低下される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記茶シロップのpHが、2.8超である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記茶シロップのpHが、3.0超である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記方法によって生成される前記茶シロップが、少なくとも50°Bxのブリックス値を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記方法によって生成される前記茶シロップの水分活性が、0.90未満である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記方法によって生成される前記茶シロップの水分活性が、0.85未満である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、貯蔵のために容器に前記茶シロップを充填することを含み、前記茶シロップが、充填前に少なくとも100℃まで加熱される、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、消費前に前記茶シロップを水で希釈して、冷茶を生成することを含み、前記冷茶中の水対茶シロップの比率が、少なくとも12:1である、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記冷茶中の水対茶シロップの比率が、20:1〜25:1の間である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記希釈された冷茶のpHが、4.2〜6.5の範囲内である、請求項15または16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記希釈された冷茶の砂糖濃度が、6%(w/w)未満である、請求項15または17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料に関する。より具体的には、本発明は、冷たい飲料などの飲料を生成するための方法に関する。本発明は、特に、冷茶などのシロップまたは濃縮物を生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のそのまま飲める(RTD)冷茶は、天然で不安定であり、異風味またはボトルの破裂を引き起こし得る微生物活性、ならびに凝結及び沈殿をもたらし得る生理的変化の両方から保護されなくてはならない。微生物の問題に対する当該産業の反応は、低温殺菌または保存剤の使用であるが、いずれのプロセスも、食品科学者が一般にpH4.2超として定義する低酸環境中においては効果的ではなく、市販のRTDの冷茶は、それらが微生物学的に安定し得るように、通常約3.5のpHまでクエン酸を添加することによって酸性化される。
【0003】
茶中に発生し得る多くの物理的変化が存在し、最も一般的な2つが、茶中の構成成分と水中のカルシウムとの間の反応によって引き起こされる凝結、及び冷却する茶(特に濃い茶)が乳濁を生じ、その後経時的に2つの画分(そのうちの1つが沈殿物として脱落する)に分離する「茶クリーム」である。カルシウムが問題となる場合、脱イオン水が使用されてもよく、茶クリームは、粉末状インスタント茶などの茶調製物、または原因画分を低下させるように加工されている濃縮された茶抽出物の使用によって、及びこれらの比較的少量の使用によって、回避される。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、問題は、上記の全てが茶の味にとって有害であることである。酸性度は、茶の渋味及びその色の明化を相殺する傾向にあり、茶クリームを相殺する全てのプロセスはまた、除去される沈殿物中に存在する重要な風味化合物も除去する。結果として、そのまま飲める形式で市販調製される冷茶は、存在する場合でも茶の風味をほとんど有さず、したがって、販売が不可能である。当該産業によって採用される解決策は、モモ、マンゴー、及びレモンなどの茶とは通常関連付けられない他の風味を添加することであった。風味が添加されないRTDの冷茶は、これらの技術的理由から、商業的に非常に希となっている。
【0005】
したがって、より美味なそのまま飲める冷茶を生成するための改善された方法を提供する必要性が存在する。
【0006】
本発明の第1の態様に従うと、茶シロップを生成する方法であって、
− 植物材料及び/または植物抽出物を熱水と接触させて、茶を生成することであって、熱水中の植物材料及び/または植物抽出物の濃度が、1リットル当たり少なくとも50グラムである、生成することと、
− 茶を濾過して、茶濾液を生成することと、
− 茶濾液に砂糖を添加することと、
− 茶または茶濾液のいずれかのpHを低下させることによって、茶シロップを生成することと、を含む、方法が提供される。
【0007】
好ましくは、本茶シロップは冷茶シロップである。
【0008】
有利に、本発明の方法は、冷茶の保存に関連する困難に対する新規かつ洗練された解決策を提供し、消費者に特定の利益をもたらす方法でそれを提供する。これらは、大いに改善された味(すなわち、低酸)を含むため、この茶に追加の風味を補う必要はない。この茶は、ずっと砂糖濃度が低く、水分補給に良好で、かつ保存剤の必要性がない。
【0009】
好ましくは、熱水中の植物材料及び/または植物抽出物の濃度は、1リットル当たり少なくとも100グラム、より好ましくは1リットル当たり少なくとも150グラム、更により好ましくは1リットル当たり200グラム、及び最も好ましくは1リットル当たり少なくとも250グラムである。好ましい一実施形態において、熱水中の植物材料及び/または植物抽出物の濃度は、1リットル当たり少なくとも約200〜250グラムである。
【0010】
植物材料及び/または植物抽出物は、1つ以上の植物種から採取され得ることが理解されるであろう。
【0011】
植物材料は、葉、茎、果実、根、及び/または花を含み得る。好適な植物材料の例としては、エルダーフラワーの花弁、ジャスミンの花、新鮮なイラクサ、ローズヒップ、カモミールの花、ミントの葉、ショウガ、及び/または茶葉、及び/または茶芽(玉芽茶葉、緑茶葉、紅茶葉、スリランカ茶葉を含み得る)を挙げることができる。
【0012】
植物抽出物は、植物から得られる精油を含み得る。精油は、植物の花、果実、根、葉、及び/または茎から得ることができる。精油は、圧出、吸収、解離、及び/または蒸留によって得ることができる。好適な植物抽出物の例としては、花、香辛料、ナッツ、ハーブ、及び/または果実からの抽出物を挙げることができる。好適な植物抽出物は、ミント抽出物、ペパーミント抽出物、アーモンド抽出物、ベルガモット抽出物、シナモン抽出物、クローブ抽出物、ショウガ抽出物、レモン抽出物、ピスタチオ抽出物、バラ抽出物、スペアミント抽出物、バニラ抽出物、スミレ抽出物、及び/またはウインターグリーン抽出物を含み得る。
【0013】
好ましくは、植物材料及び/または植物抽出物と接触される熱水は、少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃、及び最も好ましくは少なくとも70℃または80℃である。
【0014】
好ましくは、茶がまだ温かい間に、茶は濾過される。茶は、それが少なくとも30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、または90℃であるときに温かいと見なされることが理解されたい。
【0015】
茶を濾過するステップは、茶を濾すこと、及び/または茶を粗濾過することを含み得る。好ましくは、茶を濾過するステップは、茶を濾すこと、及び茶を粗濾過することを含む。
【0016】
好ましくは、砂糖は、少なくとも1:1の砂糖対茶濾液の割合で茶濾液に添加される。より好ましくは、砂糖は、少なくとも1.5:1または2:1の砂糖対茶濾液の割合で茶濾液に添加される。好ましい一実施形態において、砂糖は、約2:1の砂糖対茶濾液の割合で茶濾液に添加される。これらの比率は、砂糖及び茶濾液の相対重量を使用して計算されることが理解されるであろう。
【0017】
好ましくは、pHを低下させるステップは、濾過ステップの後に実行される。好ましくは、茶濾液のpHは、濾液を酸と接触させることによって低下される。クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、またはリン酸などの、任意の好適な食品等級の酸が使用され得ることが理解されたい。しかしながら、クエン酸が好ましい。
【0018】
好ましくは、本茶シロップのpHは、4.5未満、より好ましくは4.2未満、及び最も好ましくは4.0未満のpHまで低下される。好ましくは、本茶シロップのpHは、2.8超またはそれ以上、より好ましくは3.0超またはそれ以上、及び更により好ましくは3.5以上のpHまで低下される。好ましくは、本茶シロップのpHは、2.8〜4.5の間、より好ましくは3.0〜4.2の間のpHまで低下される。
【0019】
好ましい一実施形態において、本茶シロップのpHは、3.5〜4.0の間のpHまで低下される。好ましくは、本茶シロップのpHは、約3.6まで低下される。
【0020】
好ましい代替的な一実施形態において、本茶シロップのpHは、2.8〜4.0の間のpHまで低下される。好ましくは、本茶シロップのpHは、約3.0まで低下される。
【0021】
ブリックス度(°Bx)は、水溶液の砂糖含有量であることが理解されるであろう。1ブリックス度は、100gの溶液中1gのスクロースに等しく、溶液の濃さを質量のパーセンテージとして表す。溶液が純粋なスクロース以外の任意の溶解した固体を含有する場合、°Bxは溶解した固体含有量を近似するにすぎない。したがって、好ましくは、本発明の方法によって生成される茶シロップは、少なくとも50°Bx、及びより好ましくは少なくとも60°Bxまたは70°Bxのブリックス値を有する。好ましい一実施形態において、本茶シロップは、約67°Bxのブリックス値を有する。
【0022】
当業者は、水分活性または「a
w」が、物質中の水の水蒸気分圧を標準状態の水の水蒸気分圧で割ったものであることを理解するであろう。標準状態は通常、同一の温度での純水の水蒸気分圧として定義される。好ましくは、本発明の方法によって生成される茶シロップの水分活性は、0.90未満、及びより好ましくは0.85未満である。
【0023】
好ましくは、本方法は、貯蔵のために容器に本茶シロップを充填することを含む。好ましくは、容器はボトルである。好ましくは、本茶シロップは、充填前に少なくとも100℃まで加熱される。好ましくは、本茶シロップが少なくとも100℃まで加熱されてから、それは、シロップの温度が70℃未満に低下する前に、より好ましくは温度が75℃、80℃、または85℃未満に低下する前に、容器内に挿入される。
【0024】
上記に説明するように、本茶シロップは、充填前に熱処理を受ける。この理由は、茶シロップ中に存在するあらゆるカビ胞子を死滅させるためである。しかしながら、熱処理の代わりに、またはそれとの組み合わせで、保存剤が低下されてもよいことが理解されたい。保存剤もまた、茶シロップ中に存在するあらゆるカビ胞子を死滅させる。
【0025】
好ましくは、本方法は、消費前に本茶シロップを水で希釈して、冷茶を生成することを含む。有利に、この冷茶は茶の味がし、追加の風味を補う必要がない。ユーザは、熱い茶(その後消費前に冷却される必要がある)を淹れるのではなく、単に本茶シロップを水で希釈し、その後得られる希釈された茶混合物を飲むため、本発明の方法は簡便である。
【0026】
好ましくは、冷茶中の水対茶シロップの比率は、少なくとも12:1、及びより好ましくは少なくとも15:1である。より好ましくは、冷茶中の水対茶シロップの比率は、少なくとも17:1、更により好ましくは少なくとも20:1、及び更により好ましくは少なくとも22:1、及び最も好ましくは少なくとも25:1である。好ましくは、水対茶シロップの比率は、20:1〜25:1の間である。
【0027】
水での希釈ステップのために、本茶シロップのpHは上昇することが理解されたい。好ましくは、希釈された冷茶のpHは、4.0超、より好ましくは5.0超である。好ましくは、希釈された冷茶のpHは、4〜7の範囲内、より好ましくは4.2〜6.5の範囲内である。
【0028】
好ましい一実施形態において、希釈された冷茶のpHは、4.0〜5.0、好ましくは4.1〜4.7、及びより好ましくは4.2〜4.5の範囲内である。
【0029】
好ましい代替的な一実施形態において、希釈された冷茶のpHは、4.5〜5.5、及び好ましくは4.7〜5.3の範囲内、ならびにより好ましくは約5.1である。
【0030】
更なる好ましい代替的な一実施形態において、希釈された冷茶のpHは、5.0〜7.0、及び好ましくは5.5〜6.5の範囲内、ならびにより好ましくは約6.0である。
【0031】
好ましくは、希釈された冷茶の砂糖濃度は、6%(w/w)未満、及びより好ましくは5%(w/w)未満である。好ましくは、希釈された冷茶の砂糖濃度は、約3%(w/w)または4%(w/w)である。
【0032】
本明細書に記載される全ての特徴(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)、ならびに/またはそのように開示されるあらゆる方法またはプロセスのステップの全ては、そのような特徴及び/またはステップの少なくともいくつかが相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで、上記の態様のいずれと組み合わせてもよい。
【0033】
本発明をより良く理解するために、かつその実施形態がいかに遂行され得るのかを示すために、例として、これより添付の図面への参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の方法の一実施形態を使用して作製した、冷茶の濃縮物のボトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明者は、冷茶を生成するための新規の方法を開発した。この茶は茶の味がし、追加の風味を補う必要がないため、それらは家庭で淹れ得る冷茶のような味がするが、熱く淹れ、その後消費前に冷却するのではなく、単に混合して飲むだけであるため、ずっと簡便なものである。本方法は単純なものであり、以下のような特定のプロセス及びパラメータに依存する。
【0036】
第1に、通常の方法で、しかし通常よりもずっと濃く茶を淹れる。典型的には、冷茶に典型的な5g/lではなく、1kgの茶に対して4リットルの熱水、つまり250g/lである(すなわち、50倍濃い)。茶を淹れる時間の長さは、熱水の温度に依存することが理解されるであろう。本発明者は、水の温度が約80℃である場合、茶は約5分間だけ淹れる必要があるが、逆に、水の温度が約60℃である場合、茶は約20分間淹れる必要があることを見出した。まだ熱い間かつ冷却時に茶クリームが形成する前に、この茶を濾し、粗濾過する。本発明者は、珪藻土濾過を使用して、茶から固体を除去する。
【0037】
その後、2:1の割合で砂糖を濾過された茶(クリーム化し、分離し始めている)に添加すると、驚くべきことに、これは茶クリームを元に戻し、沈殿を有しない、透明で明るく、かつ安定したシロップをもたらす。したがって、茶クリームの問題は、クリームが茶に再吸収されることによって解決される。茶に正確な量の砂糖が添加されるのを確実にするために、砂糖の添加時の茶シロップの屈折指数を測定することによって比率を計算する。屈折指数はブリックス(可溶性固体%)に等しく、この比率から、茶シロップ中の砂糖を計算することができる。
【0038】
その後、クエン酸を添加して、pHを3.0〜3.6の間まで低下させる。シロップのブリックス(可溶性固体%)は、67である。この組み合わせ(または計算され得るその様々な並べ替え)は、0.85未満の水分活性(a
w)を確実にし、これが転じて、少なくとも酵母菌及び細菌に対する微生物安定性を確実にする(酵母菌及び細菌は、そのような条件下で増殖するために必要である水を得ることができない)。しかしながら、カビ胞子は依然としてリスクであり、これらの破壊もまた確実にするために、まず最低摂氏100度までシロップを加熱(沸点は摂氏約105度である)してから、最低摂氏72度、典型的には摂氏86度で熱充填する。このプロセスが効果的であるためには、pHは約4.5未満であるべきである。
【0039】
その後、本茶シロップを、消費のために25:1、または場合によっては20:1に希釈する。結果として得られるのは、以下の特徴を有する冷茶である。
【0040】
第1に、飲料のpHを希釈によって上昇させる。この茶が、アールグレイまたはモロッカンミントなどの従来の茶である場合、本茶シロップは約3.6のpHを有し、これにより希釈された茶のpHが約6まで上昇し、これは、シロップの安定性を確実にするために添加されなくてはならない酸性度が味閾値未満に希釈されるため、この茶が家庭で淹れ立ての茶(これもまた中性のわずかに酸性側のpHを有する)のような味がすることを意味する。しかしながら、この茶が、レモンセイロンなどのより酸性の茶である場合、pHは約5.1まで上昇するであろう。これにより、この茶は、レモンのために低くはあるが検出可能な酸性度となる。最後に、この茶が、エルダーフラワー及びイラクサなどの更により酸性の茶である場合、本茶シロップは、約3.0のpHを有し、これにより希釈された茶のpHが約4.3〜4.4まで上昇するであろう。
【0041】
第2に、ジャスミン、ベルガモット(アールグレイ)、ミント、またはレモンなどの、茶中に通常見出されるか、または茶に振り出される風味が全て含まれてもよいものの、茶に通常見出されない追加の風味は必要とされないか、または使用されない。
【0042】
第3に、この茶は明るく、凝結または沈殿が存在しない。
【0043】
第4に、現在入手可能なRTDの冷茶の約8〜9%と比較して、この冷茶は砂糖が少なく、約3%またはいくつかの変種において4%である。Liptonの冷茶中の比較的高い砂糖レベルは、高い酸性度の働きであり、美味であるためには高い砂糖レベルによって平衡を保たれる必要があるが、本発明の方法によって生成される茶は、その酸性度が低く、ずっと少ない砂糖でも美味である。これは、良好な味に加えて、この茶が純粋に水分を補給し、喉の渇きを癒してくれることを意味し、これは、6%超が砂糖であり、高張である(これは脱水する傾向にあることを意味する)いかなる飲料とも対照的である。スポーツドドリンクは通常、等張(すなわち、6%)であるが、本発明の茶は、有意に6%未満で、低張である(これは、喉の渇きを癒してくれることを意味する)という点で珍しい。この利益はまた、エルダーフラワーなどのハーブ茶の変種にも適用される。
【0044】
エルダーフラワーの冷茶の濃縮物は、典型的なエルダーフラワーコーディアルの2倍の濃さ(8〜10:1の希釈に対して、20:1の希釈)で、砂糖が半分であり、これは良好な価値、砂糖摂取量の低下、及び良好な水分補給の達成を望む消費者にとって大きな利益である。エルダーフラワーの冷茶の濃縮物からエルダーフラワーコーディアルを区別する彼ら重要な要因は、ずっと低い酸性度であり、これはより高い希釈率、しいては希釈率の増加を代償するためのエルダーフラワーの風味の増加の必要性を意味する。
【0045】
まとめ
本発明者は、いくつかの理由から本発明の方法が革新的であると考える。茶風味のシロップは、特定の市場においてLipton、及びMoninなどのシロップ生産者から入手可能であるため、新しいのは、単なる濃縮形態だけではない。しかしながら、これらはずっと薄く、典型的には6:1の希釈が意図され、通常ブリックスが低いため、保存剤を使用する必要があるが、それらは表示に公表されるほど有意なレベルであるとは限らない。Liptonの茶シロップは、そのまま飲める製品の濃縮形態であるため、最終飲料中でも同一の、したがって濃縮物中では割合的により高い酸性度をもたらすように配合され、低い酸性度の冷茶を製造する機会を利用していない。Moninのシロップ及び他の主にフランスの生産者もまた、既存の市販の冷茶の改善ではなく、それらの模造を目指しており、それらはこの形式の潜在的な利益を利用しておらず、実際のところ、これらの潜在的な利益に気がついていない(それらの基本的なプロセスは、市販調製された風味抽出物を標準的なベースシロップに添加することである)。それらは、(それらは消費のために有意ではないレベルまで希釈されているため、保存剤は表示に公表されていないものの)保存剤を使用しなくてはならず、低い水分活性(a
w)及び予防的熱処理のためにシロップを保存する潜在性を利用していない。まとめると、本発明のプロセスは、それが、冷茶の保存の困難に対して新規の解決策を提供し、大いに改善された味(すなわち、低酸)、ずっと低い砂糖濃度、良好な水分補給、金額に見合う良好な価値、保存剤または他の添加剤(風味を含む)の不要、ならびにRTDの冷茶によって生み出される輸送及び梱包廃棄物と比較しての環境的利益などの、特定の利益を消費者にもたらす方法でそれを提供するため、革新的である。
【国際調査報告】