(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-530005(P2017-530005A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】圧縮による材料ベッドを粉砕するためのミル
(51)【国際特許分類】
B02C 15/06 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
B02C15/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-518917(P2017-518917)
(86)(22)【出願日】2015年10月7日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月22日
(86)【国際出願番号】FR2015052691
(87)【国際公開番号】WO2016055734
(87)【国際公開日】20160414
(31)【優先権主張番号】1459719
(32)【優先日】2014年10月10日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509140467
【氏名又は名称】フィーヴ エフセーベー
【氏名又は名称原語表記】FIVES FCB
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エデ
(72)【発明者】
【氏名】アラン・コルドニエ
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE06
4D063EE12
4D063EE15
4D063GA07
4D063GC05
4D063GC14
(57)【要約】
圧縮によって材料ベッドを粉砕するためのミル(1)は、シリンダー内部に配置された粉砕ローラー(3)のための走路トラックが内壁に設けられた水平軸シリンダー(2)、材料を外向きに回転させる速度でシリンダーを軸回りに回転駆動する手段、粉砕ローラー(3)、シリンダーの走路トラックに対して粉砕ローラー(3)を押し付ける手段、シリンダーの一端部に位置する、粉砕する材料を供給するための入口7、およびシリンダーの他端部における粉砕された材料のための出口8、1回転でシリンダーの長さのほんの一部だけ移動し、出口に到達する前に何回かシリンダーおよびローラー間を通過するように材料の動きを制御するための手段を備える。本発明によると、走路トラックには、材料の流れに対向することを意図され、材料の移動方向において粉砕ローラーの下流に配置された下流リップが続き、下流リップは、シリンダー(2)の内周に沿って配置された複数の要素(4)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮によって材料ベッドを粉砕するためのミル(1)であって、
− シリンダー内部に配置された粉砕ローラー(3)のための走路トラックが内壁に設けられた水平軸(A)シリンダー(2)と、
− 材料を外側に回転させる速度で前記シリンダーを軸回りに回転駆動する手段と、
− 前記粉砕ローラー(3)と、
− 前記シリンダーの走路トラックに対して前記粉砕ローラーを押し付ける手段と、
− 前記シリンダーの一端部に位置する、粉砕する材料を供給するための入口(7)、および前記シリンダーの他端部における粉砕された材料のための出口(8)と、
− 1回転で前記シリンダーの長さの一部だけ移動し、出口に到達する前に何回か前記シリンダーおよび前記ローラー間を通過するように材料の動きを制御するための手段と、
を備え、
前記走路トラックには、材料の流れに対向することを意図され、材料の移動方向において前記粉砕ローラーの下流に配置された下流リップが続き、前記下流リップは、前記シリンダー(2)の内周に沿って配置された複数の要素(4)を備えることを特徴とするミル。
【請求項2】
前記下流リップを形成するすべての要素が前記シリンダーの内周の少なくとも75%を占める、請求項1に記載のミル。
【請求項3】
前記下流リップを形成し、かつ前記走路トラックを越える前記要素の高さ(h)は、前記粉砕ローラーの直径(D)の1%〜5%の間である、請求項1または2に記載のミル。
【請求項4】
前記粉砕ローラー(3)の下流端部および前記下流リップの間の距離(d)は、前記粉砕ローラー(3)の直径(D)の1.5%〜7.5%の間である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のミル。
【請求項5】
前記走路トラックの前に、逆流方向の材料の流れに対向するリップがあり、前記リップは、材料の移動方向において前記粉砕ローラーの上流に位置し、前記リップは、前記シリンダー(2)の内周に沿って配置された複数の要素(41)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のミル。
【請求項6】
前記上流リップを形成する全ての要素(41)は、前記シリンダーの内周の少なくとも75%を占める、請求項5に記載のミル。
【請求項7】
前記上流リップを形成し、かつ前記走路トラックを越える前記要素(41)の高さ(h’)は、前記走路トラックを越えて前記下流リップを形成する前記要素(4)の高さ(h)の100%〜150%の間である、請求項5または6に記載のミル。
【請求項8】
前記粉砕ローラー(3)の前記上流端部および前記上流リップの間の距離は、前記粉砕ローラーの直径(D)の1.5%〜7.5%の間である、請求項5〜7のいずれか一項に記載のミル。
【請求項9】
前記走路トラックには、材料の流れに対向する上流リップが設けられていない、請求項1〜4のいずれか一項に記載のミル。
【請求項10】
前記走路トラックは、複数のウェアプレート(61)によって形成された、前記シリンダー(2)の内壁に追加された磨耗の硬質材料の層(6)を備え、前記下流リップを形成する前記要素(4)は、前記ウェアプレート(61)に追加された要素であり、それぞれ前記ウェアプレート(61)に一体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のミル。
【請求項11】
前記走路トラックは、複数のウェアプレート(61)によって形成された、前記シリンダー(2)の内壁に追加された磨耗の硬質材料の層(6)を備え、前記下流リップを形成する前記要素(4)は、前記ウェアプレート(61)の硬質材料によって構成され、前記要素(4)は、それぞれ前記ウェアプレート(61)を有する単一部品である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のミル。
【請求項12】
前記走路トラックは、複数のウェアプレート(61)によって形成された、前記シリンダー(2)の内壁に追加された磨耗の硬質材料の層(6)によって形成され、前記上流リップを形成する前記要素(41)は、前記ウェアプレート(61)に追加された要素であり、それぞれ前記ウェアプレート(61)に一体である、請求項5〜8のいずれか一項に記載のミル。
【請求項13】
前記走路トラックは、複数のウェアプレート(61)によって形成された、前記シリンダーの内壁に追加された磨耗の硬質材料の層によって形成され、前記上流リップを形成する前記要素(41)は、前記ウェアプレートの硬質材料によって構成され、前記要素(41)は、それぞれ前記ウェアプレート(61)を有する単一部品である、請求項5〜8のいずれか一項に記載のミル。
【請求項14】
前記シリンダーの内周の前記下流リップは、不連続リップであり、前記要素(4)は、前記内周にわたって互いに離間して分布し、前記内周に複数の通路を形成する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のミル。
【請求項15】
前記シリンダーの内周の前記上流リップは、不連続リップであり、前記要素(41)は、前記内周にわたって互いに離間して分布し、前記内周に複数の通路を形成する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のミル。
【請求項16】
1回転で前記シリンダーの長さの一部だけ進み、前記出口に到達する前に前記シリンダーおよび前記ローラーの間を何回か通過するように材料の動きを制御する前記手段が、前記シリンダーの内部に配置された少なくとも1つのスクレーパーであって、下降する上部において、前記走路トラックから材料を切り離すことができるスクレーパーと、前記スクレーパーによって分離された材料を遮り、前記スクレーパーの出口に向かってそらすために、前記スクレーパーの下に配置された偏向板とを備える、請求項1〜15のいずれか一項に記載のミル。
【請求項17】
特にセメント製造のフレームワークにおける鉱物材料の粉砕のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の粉砕用ミルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮による材料ベッドを粉砕するためのミルに関し、通常は水平ローラーミルと呼ばれ、非限定的にはセメントクリンカーの製造のための鉱物材料の粉砕に特に利用される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2は、水平軸回りに回転するシリンダーを備え、通常磨耗材料の層で覆われる内壁が粉砕ローラーのための走路トラックを形成し、回転軸がシリンダーの軸に実質的に平行であり、および走路トラックに高圧力が適用されるようなタイプのミルを記載している。粉砕する材料は、一端部においてシリンダー内に供給され、他端部から排出される。このようなミルにおいて、シリンダーの駆動速度は、材料が走路トラックに対して外側に回転し、シリンダーの回転中にトラックに維持され、走路トラックおよび粉砕ローラーの間を何回か材料が通過するような速度である。通過の回数は機械的なデバイスを用いて制御することが知られている。このようなデバイスは、特許文献2に記載されており、1組の偏向スクレーパー/板を備えることができる。スクレーパーは、シリンダー内の下降する上部に配置され、走路トラックから材料を分離するよう構成されている。スクレーパーによって分離された材料を遮るように、かつミルの出口方向にそらすように1つまたは複数の偏向板が配置される。
【0003】
ミルに供給される粉砕される材料は、典型的には100mmに達し得る粒の最大サイズを有する粗粒度を有する。取り扱いシステムの作用効果により、材料の流速は、変動を受け、粒度分布もまた変動する。これが、材料ベッドの構成および厚さに変化を引き起こし、粉砕ローラーによって加えられる力の変化を誘発し、その結果、機械の振動を生じる。これらの振動は、機械の構成要素のみならず、粉砕作業場の近くの部材の耐用寿命の短縮に関与する機械的な応力を生じさせる。
【0004】
このようなタイプのミルにおいて、材料が機械の一端部から他端部に進むと同時に、連続的な粉砕動作にさらされる。このような材料の粒度は、出口端部近くに位置するミルの部分よりも入口端部近くに位置するミルの部分の方がより粗い。したがって材料のベッドは、ミルに沿って変化する挙動を有し、粉砕ローラーは、その長さの様々な点で異なる応力を受ける。特に、出口端部近くに位置する細かい材料は、粉砕ローラーの前に流れて、粉砕ローラーの保持力から逃げる傾向がある。この現象は、材料の薄いベッドを生成し、材料の外側への適切な回転を妨げる。これは機械をアンバランスにし、その有効性を低下させ、振動に対する感度を高め、非対称な磨耗を招く。
【0005】
ミル内に供給される生材料がかなりの割合の微細粒子を含む場合、ローラー上流端部の近くにおいても逃がれる現象が存在し、材料の逆流を引き起こし、他の不安定性の問題の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0486371号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0934120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、材料が最も薄い場所の側の材料ベッドの十分な厚さを保証することが可能なミルを提案することによって、前述の欠点を克服することである。
【0008】
少なくとも一実施形態による本発明の別の目的は、従来技術と比べて製造が複雑ではないこのようなミルを提案することである。
【0009】
本発明の他の目的および利点は、以下の記述にあらわされており、これは情報のために提供されているだけであり、その目的を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
また本発明は、圧縮によって材料ベッドを粉砕するためのミルに関し、ミルは、
− シリンダー内部に配置された粉砕ローラーのための走路トラックが内壁に設けられた水平軸シリンダー
− 材料を外側に回転させる速度でシリンダーを軸回りに回転駆動する手段
− 前記粉砕ローラー
− 前記シリンダーの走路トラックに対して前記粉砕ローラーを押し付ける手段
− シリンダーの一端部に位置する、粉砕する材料を供給するための入口、および前記シリンダーの他端部における粉砕された材料のための出口
− 1回転でシリンダーの長さの一部だけ移動し、出口に到達する前に何回かシリンダーおよびローラー間を通過するように材料の動きを制御するための手段
を備える。
【0011】
本発明によると、走路トラックには、材料の流れに対向することを意図され、材料の移動方向において前記粉砕ローラーの下流に配置された下流リップが続き、前記下流リップは、前記シリンダーの内周に沿って配置された複数の要素を備える。
【0012】
個別にまたは組み合わせて用いられる本発明の選択的な特徴によると、
− 下流リップを形成する全ての要素は、シリンダーの内周の少なくとも75%を占める。
− 下流リップを形成し、走路トラックを越える要素の高さは、粉砕ローラーの直径の1%〜5%の間である。
− 粉砕ローラーの下流端部および下流リップの距離は、粉砕ローラーの直径の1.5%〜7.5%の間である。
− 走路トラックの前に材料の流れに対向するリップがあり、リップは、材料の移動方向において前記粉砕ローラーの上流に位置し、前記リップは、前記シリンダーの内周に沿って配置された複数の要素を備える。
− 上流リップを形成するすべての要素は、シリンダーの内周の少なくとも75%を占める。
− 上流リップを形成し、走路トラックを越える要素の高さは、前記走路トラックを越えて下流リップを形成する要素の高さの100%〜150%の間である。
− 粉砕ローラーの上流端部および上流リップの間の距離は、粉砕ローラーの直径の1.5%〜7.5%の間である。
− 走路トラックには、材料の流れに対向する上流リップがない。
− シリンダー内周の下流リップは、不連続リップであり、前記要素は、内周にわたって互いに離間して分布し、内周に複数の通路を形成する。
− シリンダー内周の上流リップは、不連続リップであり、前記要素は、内周にわたって互いに離間して分布し、内周に複数の通路を形成する。
− 1回転でシリンダーの長さの一部だけ進み、出口に到達する前にシリンダーおよびローラーの間を何回か通過するように材料の動きを制御する前記手段が、シリンダーの内部に配置された少なくとも1つのスクレーパーを含み、下降する上部において走路トラックから材料を切り離すことができ、かつスクレーパーによって分離された材料を遮り、ミルの出口方向にそらすために、スクレーパーの下に配置された1つの、または好ましくは複数の偏向板を含む。
実施形態によると、走路トラックは、複数のウェアプレートによって形成された、前記シリンダーの内壁に追加された磨耗の硬質材料の層を備え、下流リップを形成する要素は、ウェアプレートに追加された要素であり、ウェアプレートとそれぞれ一体である。他の代替形によると、下流リップを形成する要素は、ウェアプレートの硬質材料によって構成され、前記要素は、それぞれ前記ウェアプレートを有する単一部品である。
【0013】
実施形態によると、走路トラックは、複数のウェアプレートによって形成された、前記シリンダーの内壁に追加された磨耗の硬質材料の層によって形成され、上流リップを形成する要素は、ウェアプレートに追加された要素であり、それぞれウェアプレートと一体である。他の代替形によると、上流リップを形成する要素は、それぞれウェアプレートの硬質材料によって構成され、前記要素は、それぞれ前記ウェアプレートを有する単一部品である。
【0014】
添付図面とともに以下の説明を読むことにより本発明をより理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】圧縮によって材料ベッドを粉砕するための水平ミルの動作原理を示す(下流リップは不図示)。
【
図2】材料の出口側にシリンダー内周に沿って、材料の除去を減速する障害を形成する要素を有する、本発明における実施形態によるシリンダー軸に沿った垂直断面図である。
【
図3】シリンダーの軸に垂直の平面で切った
図2の装置の図である。
【
図4】走路トラックに対して、および粉砕ローラーの下流端部に対して位置決めされた下流リップ要素の詳細図である。
【
図5】粉砕ローラーの下流端部における材料の逃げを減速させることを意図した下流リップに加えて粉砕ローラーの上流端部における材料の逃げを減速させることを意図した上流リップが存在する本発明の特定の実施形態を示す。
【
図6】シリンダーの保護層の一部を形成するウェアプレートを示し、走路トラックの下流でシリンダーに設けられることを意図され、前記プレートの下流端部で取り付けられる下流リップ要素を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、圧縮によって材料ベッドを粉砕するためのミル1に関し、
− シリンダー内部に配置された粉砕ローラー3のための走路トラックが内壁に設けられた水平軸Aシリンダー2
− 材料を外向きに回転させる速度でシリンダーを軸回りに回転駆動する手段
− 前記粉砕ローラー3
− 前記シリンダーの走路トラックに対して前記粉砕ローラー3を押し付ける手段
− シリンダーの一端部に位置する、粉砕する材料を供給するための入口7、および前記シリンダーの他端部における粉砕された材料のための出口8
− 1回転でシリンダーの長さの一部だけ移動し、出口に到達する前に何回かシリンダーおよびローラー間を通過するように材料の動きを制御するための手段
を備える。
【0017】
水平軸Aシリンダー2は、特に金属で作られているフェルールとすることができ、水平軸A回りにシリンダーを回転させる案内を提供する特に流体静力学的な軸受(図示せず)を支持する。走路トラックが、前記シリンダーの内壁に追加された、複数のウェアプレート61によって形成された、摩耗の硬質材料の層6によって形成される。軸A回りにシリンダーを回転駆動するための前記手段は、ギヤードモーターを含むことができ、その出力軸は、シリンダー2の外壁と一体のリングギアに結合されるピニオンを有する。本発明によると、これらの手段は、材料を外側に回転させる速度でシリンダー2を駆動する。言い換えると、シリンダー2の速度は、シリンダーの回転中に、材料が遠心力の効果により走路トラックに対して維持されるようなものである。
【0018】
走路トラックに対して粉砕ローラーを当てる前記手段は、軸受の中間部によって粉砕ローラー3の端部をガイドするアーム、および粉砕ローラー3の端部に力を加えるのに適した、前記アームに接続されたシリンダーまたはバネを含むことができる。実施形態によると、走路トラックに対して粉砕ローラー3を当てる前記手段は、粉砕ローラーが材料ベッドに10MPa〜40MPaの間の平均圧力Pを加えるようなものである。粉砕ローラーは、シリンダーの軸に実質的に平行な軸である。
【0019】
ミル1の供給は、シリンダー2の一端部の入口7において実行され、粉砕された材料の出口8は、シリンダーの他端部に位置する。入口7および出口8の間で、材料は1回転でシリンダーの長さの一部を進みながら走路トラックおよび粉砕ローラー3の間を何回か通過する。シリンダー内の材料の前進は、シリンダー2の一端部から他端部へ材料を確実に進めることを意図したデバイスを備えることができる手段によって調整され、特に特許文献1および2に記載されるようなものである。
【0020】
このようなデバイスは、シリンダー内部に配置された少なくとも1つのスクレーパー(またはナイフ)、および下降する上部においてスクレーパーの下に配置された1つまたは複数の偏向板を備える。スクレーパーは、材料を走路トラックから離すことが可能であり、そうでなければ遠心力の効果によりトラックに対して保持される。スクレーパーの下に配置された1または複数のデフレクターは、スクレーパーによって分離された材料を遮り、ミルの出口方向へそらすものである。
【0021】
本発明によると、走路トラックには、材料の流れに対向することを意図され、材料の移動方向において前記粉砕ローラーの下流に配置された下流リップが続く。このような下流リップが設けられたミルの実施形態は、非限定的な例として、添付図面
図2、
図3および
図4に示されている。この下流リップの機能は、粉砕ローラー3の下流端部における材料の逃げを減速することであり、
図4に詳細に示すようにこの端部における材料ベッドが薄くなりすぎることを防ぐ。
【0022】
本発明によると、この下流リップは、前記シリンダー2の内周に沿って配置された複数の要素4を備える。実施形態によると、下流リップを形成するすべての要素は、シリンダー2の内周の少なくとも75%を占める。これらの要素4は、特に長さにわたって一定断面を有し、特にシリンダー(または走路トラック)に実質的に対応する曲率半径を有する円弧状の要素とすることができる。
【0023】
特に
図3および
図4に示す代替形によると、シリンダー内周の下流リップは、不連続リップである。前記要素4は、互いに離間して内周にわたって分布し、内周において複数の通路を形成する。要素4間の空間によって構成されたこれらの様々な通路は、シリンダー2の周囲にわたって、好ましくは規則的に分布している。
一般的に、材料の除去は、下流リップの要素4の上の材料のオーバーフローによって、または(不連続のリップの場合)要素4間の通路を通ることによって、または2つの効果の組み合わせによって得られる。
【0024】
実施形態によると、下流リップを形成し、走路トラックを越える要素4の高さhは、粉砕ローラー3の直径Dの1%〜5%である。高さhは、
図4に示され、これは、走路トラックの表面から始まり、シリンダーの半径方向に沿った要素4の寸法である。
【0025】
実施形態によると、粉砕ローラー3の下流端部および下流リップの間の距離dは、粉砕ローラー3の直径Dの1.5%〜7.5%である。距離dは、
図4に示され、これは、シリンダー2の軸方向に沿った粉砕ローラー3の下流端部および下流リップの間の寸法である。粉砕ローラー3の長さLは、走路トラックの長さより短くすることができる。
【0026】
本発明によるミルには、ローラー3の下流端部、特にミルの出口8において、材料が最も細かくなるミルのゾーンにおける材料の流れを減速させることを意図した下流リップが好都合に設けられる。しかし、走路トラックの他端部、すなわち粉砕ローラーの上流におけるこのようなリップは選択的である。
図2における非限定的な方法を示す実施形態によると、ミルには粉砕ローラー3の上流におけるこのようなリップはない。
【0027】
しかし、特にミルの入口における材料が、かなりの割合の微細粒子を有する場合には、粉砕ローラー3の上流端部における逃げおよび逆流現象を制限するようなこのような上流リップは必要となり得る。
【0028】
実施形態によると、逆流方向の材料の流れに対向する上流リップが走路トラックの前にある。この上流リップの機能は、
図5に詳細に示されるようにこの端部において材料ベッドが薄くなりすぎるのを防ぐために、粉砕ローラー3の上流端部における材料の逃げを減速させることである。このリップは、前記シリンダー2の内周に沿って配置された複数の要素41を含むことができる。
【0029】
実施形態によると、上流リップを形成する全ての要素は、シリンダー2の内周の少なくとも75%を占める。これらの要素4は、円弧状の要素の形、および特にシリンダーまたは走路トラック実質的に対応する曲率半径を有することができる。
【0030】
代替形によると、シリンダー内周の上流リップは、不連続リップである。前記要素41は、互いに離間して内周にわたって分布し、内周において複数の通路を形成する。要素4間の空間によって形成されたこれらの様々な通路は、シリンダー2の周囲にわたって好ましくはシリンダーの周囲にわたって規則的に分布している。
【0031】
好都合な実施形態によると、上流リップを形成し、走路トラックを越える要素41の高さh’は、下流リップを形成し、前記走路トラックを越える要素4の高さhより大きい。例えば、要素41の高さh’は、下流リップを形成する要素4の高さhの100%〜150%の間とすることができる。粉砕ローラー3の上流端部および上流リップの間の距離は、粉砕ローラーの直径Dの1.5%〜7.5%の間とすることができる。
【0032】
走路トラックが複数のウェアプレート61によって形成された磨耗の硬質材料の層6を備える場合、下流リップを形成する要素4は、それぞれウェアプレート61に追加され、かつウェアプレートと一体の要素とすることができる。このようなウェアプレートは、非限定的な例として
図6に示される。各プレートは、走路トラックの一部を形成する内側凹状面、シリンダーの内壁に固定され適用されるよう意図された外側凸状面、および特に組み立てるための、特に4つの縁部を備える。
【0033】
特に円弧形の各要素4は、前記プレートより小さい寸法であり、接着、溶接、機械的な締め付けなどの任意の適切な手段によって前記プレートに連結される。要素4は、前記ウェアプレートの下流端部においてプレートの内側凹状面に連結されることができる。代替形によると、下流リップを形成する要素4は、それぞれウェアプレート61の硬質材料によって構成され、前記要素4は、それぞれ前記ウェアプレート61を有する単一部品である。
【0034】
両方の場合、要素4および対応するウェアプレート61は、プレート61の組み立て中に磨耗層6および下流リップを同時に実行することが可能である機械的なアセンブリを2つ1組でそれぞれ形成する。
【0035】
同様に、上流リップを形成する要素41は、ウェアプレート61に追加されかつそれぞれ一体の要素とすることができる。特に円弧形の各要素41は、前記プレートより小さい寸法であり、接着、溶接、機械的な締め付けなどの任意の適切な手段によって前記プレートと一体化される。要素41は、前記ウェアプレート41の上流端部においてプレート61の内側凹状面に連結され得る。代替形によると、上流リップを形成する要素41は、それぞれウェアプレート61の硬質材料によって構成され、前記要素41は、それぞれ前記ウェアプレート61を有する単一部品である。両方の場合、要素41および対応するウェアプレート61は、プレート61の組み立て中に磨耗層6および下流リップを同時に実行することが可能である機械的なアセンブリを2つ1組でそれぞれ形成する。
【0036】
もちろん、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、当業者は他の実施形態を考慮することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ミル
2 シリンダー
3 粉砕ローラー
4 要素(下流リップ)
41 要素(上流リップ)
61 ウェアプレート
6 硬質材料の層
7 入口(ミル)
8 出口(ミル)
d 下流リップから粉砕ローラーを分離する距離
d’ 上流リップから粉砕ローラーを分離する距離
D 粉砕ローラーの直径
h 下流リップの要素4の高さ(走路トラックの表面を基準に)
h’ 上流リップの要素41の高さ(走路トラックの表面を基準に)
A 水平軸
L 粉砕ローラーの長さ
P 圧力
【国際調査報告】