(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-530048(P2017-530048A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】ホイールアセンブリのためのアダプタ、及び該アダプタを備えたホイールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60B 21/12 20060101AFI20170919BHJP
B60C 15/02 20060101ALI20170919BHJP
B60B 21/00 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
B60B21/12 C
B60C15/02 M
B60B21/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-516087(P2017-516087)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2015071711
(87)【国際公開番号】WO2016046197
(87)【国際公開日】20160331
(31)【優先権主張番号】1458987
(32)【優先日】2014年9月24日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(71)【出願人】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】トピン アーサー
(72)【発明者】
【氏名】アウアント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ピノー ジャッキー
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC25
3D131HA51
3D131LA40
(57)【要約】
本発明は、ホイールアセンブリのためのアダプタであって、ホイールアセンブリは、回転軸を有するとともに、2つのビード部(B)を有するタイヤ(P)と、2つのホイールリムシート(20)と2つのホイールリムフック(12)とを有するホイールリム(J)とを含み、前記アダプタは、ビード部の一方とホイールリムとの間の接合部を形成するとともに、ホイールリムシート上に取り付けられるように意図された、内側補強要素(5)を含む軸方向内端部(2)と、ホイールリムシート上に取り付けられるように意図された、外側補強要素(4)を含む軸方向外端部(1)と、前記外側補強体要素(4)と前記内側補強体要素(5)との間の接続を確実にする少なくとも1つの主補強体を含む、前記外端部(1)を前記内端部(2)に接続して単一部分を形成する本体(3)と、前記ビード部の一方を受け取るように意図された実質的に円筒形のアダプタシート(7)と、軸に垂直な平面内に実質的に含まれるアダプタ支持面(8)とを有するアダプタに関する。このアダプタは、軸方向外端部の補強体要素(4)が完全に支持面(8)の軸方向外側に位置し、本体が、アダプタシートの反対側に環状シート突出部(9)を含み、この突出部(9)が、少なくとも1種類のゴム組成物を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転アセンブリのためのアダプタであって、前記回転アセンブリは、回転軸を有するとともに、
2つのビード部(B)を有するタイヤ(P)と、
リム(J)と、を含み、
前記アダプタは、前記ビード部(B)の一方と前記リム(J)との間の接続を行い、
前記リム(J)は、2つのリムシート(20)及び2つのリムフランジ(12)を有し、
前記アダプタは、
前記リムシート(20)上に取り付けられるようになっており、内側補強体要素(5)を含む軸方向内端部(2)と、
外側補強体要素(4)を含む軸方向外端部(1)と、
前記外端部(1)を前記内端部(2)に接続して単一要素を形成し、かつ、少なくとも1つの主補強体を含む本体(3)であって、前記少なくとも1つの主補強体は前記外側補強体(4)と前記内側補強体(5)との間の接続を行う少なくとも1つの主補強体を含む、本体(3)と、
前記ビード部(B)の一方を受け取るようになっており、前記本体(3)の前記軸方向外端部に位置する実質的に円筒形のアダプタシート(7)と、
前記回転軸に垂直な平面内に実質的に含まれ、前記軸方向外端部(1)の前記軸方向内面上に位置するアダプタ支持面(8)と、を備え、
前記軸方向外端部(1)の前記補強体要素(4)は、完全に前記支持面(8)の軸方向外側に位置し、前記本体(3)は、前記アダプタシート(7)の反対側に環状シート突出部(9)を含み、該突出部(9)は、少なくとも1種類のゴム組成物を含む、
ことを特徴とするアダプタ。
【請求項2】
前記突出部(9)は、少なくとも一方の軸方向に延びる実質的に細長い形状を有する、
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記本体(3)は、前記主補強体内、かつ、前記アダプタシート(7)の反対側に環状シート補強体(10)を含む、
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記本体(3)は、前記主補強体の前記半径方向外面、かつ、前記アダプタシート(7)の反対側に環状シート補強体(10)を含む、
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記環状シート突出部(9)は、1MPa以上であって50MPa以下の、好ましくは20MPa以上であって50MPa以下の圧縮係数を有する、
請求項1、2及び4のうちの1項に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記環状シート突出部(9)は、異なる又は同一の少なくとも2層のゴム組成物で構成され、前記少なくとも2層のゴム組成物が異なる時には前記少なくとも2層のゴム組成物は交互に配置される、
請求項1、2及び4のうちの1項に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記環状シート突出部(9)は、5mm以上であって40mm以下の、好ましくは5mm以上であって20mm以下の軸方向全長を有する、
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記環状シート突出部(9)は、0.5mm以上であって3mm以下の、好ましくは1mm以上であって1.5mm以下の半径方向厚さを有する、
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項9】
前記環状シート突出部(9)は、前記支持面から5mm以上であって20mm以下の長さmだけ離間する、
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項10】
前記環状シート補強体(10)は、1GPa以上の、好ましくは4MPaを超える、さらに好ましくは10GPaを超える圧縮係数を有する、
請求項3又は4に記載のアダプタ。
【請求項11】
前記環状シート補強体(10)は、ゴム組成物によって取り囲まれたコアで構成される、
請求項3又は4に記載のアダプタ。
【請求項12】
前記コアは、金属、複合材料、熱可塑性材料、及びこれらの混合物から選択された少なくとも1つの要素を含む、
請求項11に記載のアダプタ。
【請求項13】
前記複合材料は、樹脂材料に埋め込まれたガラス繊維で構成される、
請求項12に記載のアダプタ。
【請求項14】
前記環状シート補強体(10)は、前記タイヤの前記ビード部の幅の30%以上であって前記タイヤの前記ビード部150%未満の軸方向全長を有する、
請求項3又は4に記載のアダプタ。
【請求項15】
前記環状シート補強体(10)は、前記タイヤの前記ビード部の前記幅の40〜110%の軸方向長さを有する、
請求項14に記載のアダプタ。
【請求項16】
前記環状シート補強体(10)は、0.3mm以上であって20mm以下の平均半径方向厚さを有する、
請求項3又は4に記載のアダプタ。
【請求項17】
2つのビード部を含むタイヤとリムとで構成された回転アセンブリであって、前記タイヤのビード部(B)と前記リム(J)との間の接続を行う請求項1から16のうちの1項に記載の少なくとも1つのアダプタを備える、
ことを特徴とする回転アセンブリ。
【請求項18】
前記回転アセンブリは、異なる又は同じ長さの本体をそれぞれ有する第1及び第2のアダプタを備える、
請求項17に記載の回転アセンブリ。
【請求項19】
前記リムは、鋼、アルミニウム合金及び/又はマグネシウム合金、熱硬化性化合物又は熱可塑性化合物に基づく基材に含まれる炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、植物繊維に基づく複合材料、又は樹脂、及び炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、植物繊維に基づくエラストマ及び複合体を含む複合複合物、或いはこれらの材料のいずれかの組み合わせから選択された材料で構成される、
請求項17及び請求項18のどちらかに記載の回転アセンブリ。
【請求項20】
前記繊維に基づく複合材料は、5mm以上の長さを有する繊維を含む、
請求項19に記載の回転アセンブリ。
【請求項21】
前記熱硬化性化合に基づく基材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、シアン酸エステル、ビスマレイミド、アクリル酸樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせから選択される、
請求項19に記載の回転アセンブリ。
【請求項22】
前記熱可塑性化合物に基づく基材は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、半芳香族ポリアミド、ポリエステル(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)から選択される、
請求項19に記載の回転アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にタイヤとリムとで形成された回転アセンブリのためのアダプタ、及びこのアダプタを備えた回転アセンブリに関する。具体的には、本発明は、乗用車及び大型車両のためのタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
なお、本発明では以下の定義を用いる。
− 「軸方向」:タイヤの回転軸と平行な方向、
− 「半径方向」:タイヤの回転軸と交わる、タイヤの回転軸と垂直な方向、
− 「円周方向」:タイヤの回転軸と垂直な平面に含まれる、半径と垂直な方向、
− 「半径方向断面」:タイヤの回転軸を含む平面における断面、
− 「赤道面」:回転軸に垂直な、トレッド部の中央を通る平面、
− 「ゴム組成物」:少なくとも1種類のエラストマ及び充填剤を含むゴムの組成物。
【0003】
タイヤの空気圧が減少した時、及びタイヤに横荷重が加わった時にタイヤが離座し(すなわち、タイヤのビード部がそのシートから離れ)てリムから外れる(リムから係脱する)容易さは、タイヤを備えた車両の搭乗者の安全性にとって重要なタイヤの特徴の1つである。従って、標準化機関は、(例えば、中国規格GB/T 2978−2008に見られるような)達成すべき目標値、並びに対応する試験方法(例えば、中国規格GB/T4502−2009において推奨される方法)を設定している。試験方法の例は、米国特許第3,662,597号にも記載されており、これによれば、タイヤのサイドウォール部に対して円錐形状を適用した後に、サイドウォール部に作用する圧力を高めてサイドウォール部の動きを記録する。米国の連邦道路安全組織であるNHTSA(国家道路交通安全)は、「連邦自動車安全基準第109号」において同様の試験方法を採用している。
【0004】
想定される解決策の中でも特に、取り付けリムにタイヤを固着することによって離座に対する抵抗力を高めることができるが、この解決策には、タイヤを取り外すのが非常に困難になるという欠点がある。また、離座を困難にするためにリムの形状を修正することもできるが、この方法には脱標準化が必要になる。
【0005】
英国特許出願公開第2,085,375号には、各タイヤビード部と各リムフランジとの間に配置できるアダプタが開示されている。各アダプタは、軸方向外端部及び軸方向内端部を含み、それぞれに補強体を有する。各補強体は、単一のプライ(エラストマ材料/繊維補強体)によって取り囲まれる。このプライは、各端部を互いに接続する。
【0006】
独国特許出願公開第2514883号には、タイヤと、リムと、少なくとも1つのアダプタとを含む取り付けアセンブリが記載されている。このアダプタも、軸方向外端部及び軸方向内端部を含み、それぞれに補強体を有する。各端部は、繊維スレッド又は金属スレッドで構成された補強挿入体を有するストップリングを含む。さらに、この文献のアダプタは完全にリムに載る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許米国特許第3,662,597号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2,085,375号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2,514,883号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,このようなアダプタは、エラストマ組成物及び繊維補強体を接続要素として含む複雑な構成の補強プライタイプを含み、取り付けアセンブリが正しく半径方向に変形することができない。
【0009】
従って、既知のものよりも単純で複雑性が低く、低圧時及び高横荷重下においてタイヤのビード部がシートから離れるのを防ぐとともに取り付けの容易さを維持した新規の装置に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の主題は、回転アセンブリのためのアダプタであって、回転アセンブリは、回転軸を有するとともに、
2つのビード部を有するタイヤと、
リムと、を含み、
アダプタは、ビード部の一方とリムとの間の接続を行い、
リムは、2つのリムシート及び2つのリムフランジを有し、
アダプタは、
リムシート上に取り付けられるようになっており、内側補強体要素を含む軸方向内端部と、
外側補強体要素を含む軸方向外端部と、
外端部を内端部に接続して単一要素を形成し、かつ、少なくとも1つの主補強体を含む本体であって、少なくとも1つの主補強体は外側補強体と内側補強体との間の接続を行う少なくとも1つの主補強体を含む、本体と、
ビード部の一方を受け取るようになっており、本体の軸方向外端部に位置する実質的に円筒形のアダプタシートと、
回転軸に垂直な平面内に実質的に含まれ、軸方向外端部の軸方向内面上に位置するアダプタ支持面と、を備える。
【0011】
このアダプタは、軸方向外端部の補強体要素が、完全に支持面の軸方向外側に位置し、本体が、アダプタシートの反対側に環状シート突出部を含み、この突出部が、少なくとも1種類のゴム組成物を含むことを特徴とする。突出部は、アダプタの前記本体の半径方向外側に配置されることが好ましい。
【0012】
アダプタの軸方向外端部は、「タイヤのビード部を受け取るように意図されたハウジング」の軸方向範囲を定める。軸方向外端部の支持面は、リムフランジと同様に、タイヤのビード部を軸方向に支持する役割を果たす。
【0013】
このようにして、ハウジングは、リムのシートが従来行っていたようにタイヤのビード部を受け取る。この時、タイヤは、タイヤのビード部がリムのリムフランジに対して従来行われていたように、タイヤの空気圧によって軸方向に固定され、この軸方向外端部の支持面に対して押し付けられる。
【0014】
アダプタの軸方向内端部は、タイヤのビード部によって従来行われていたようにアダプタをリムのリムフランジに結合させるように意図されるので、「アダプタビード部」と呼ぶことができる。
【0015】
従って、本発明による回転アセンブリが動作中であって設計通りの動作負荷を受けている場合、タイヤはリムに対して軸方向に固定され、具体的には、タイヤのビード部は、タイヤのビード部がリムシート上に直接取り付けられる従来の回転アセンブリと同様にリムに対して軸方向に固定される一方で、タイヤのビード部は、リムに対して半径方向には固定されず、具体的には、タイヤのビード部は、リムに対してある程度半径方向に動くことができる。標準的な回転条件下では、アダプタの軸方向変形は実質的に存在せず、又は半径方向の変形に対して無視できるほどであると言うことができる。
【0016】
一方で、衝撃中にはアダプタの軸方向変形が大きくなることにより、取り付けアセンブリに加わる応力の低減に貢献することができる。
【0017】
本発明によるアダプタは、単純な設計を有し、取り付けが容易であるという利点を有する。本発明によるアダプタは、剛性が大幅に劣る標準的なリムを使用する場合よりも緩い締め付けを実現することができる。この理由は、タイヤをリム上に取り付けた時に加わる締め付け圧を環状突出部が低減できるからである。
【0018】
さらに、本発明によるアダプタは、衝撃中に取り付けアセンブリを半径方向の軸に沿って変形させることができる。
【0019】
発明の別の主題は、2つのビード部を含むタイヤとリムとで構成された回転アセンブリである。このアセンブリは、タイヤのビード部とリムとの間の接続を行う上述したような少なくとも1つのアダプタを有することを特徴とする。
【0020】
突出部は、少なくとも一方の軸方向に延びる実質的に細長い形状を有することが好ましい。
【0021】
本体は、前記主補強体内であってアダプタシートの反対側に、又は前記主補強体の半径方向外面であってアダプタシートの反対側に、或いは前記主補強体内であってアダプタシートの反対側と、主補強体の半径方向外面であってアダプタシートの反対側とに同時に環状シート補強体を含むことが好ましい。
【0022】
環状シート補強体は、少なくとも1種類のゴム組成物と、金属補強体及び/又は繊維補強体とで構成される。
【0023】
環状シート突出部は、1MPa以上であって50MPa以下の、好ましくは20MPa以上であって50MPa以下の圧縮係数を有することが好ましい。突出部は、異なる又は同一の、異なる時には交互に配置された少なくとも2層のゴム組成物で構成することができる。
【0024】
環状シート突出部は、5mm以上であって40mm以下の、好ましくは5mm以上であって20mm以下の軸方向全長を有することが好ましい。この突出部は、0.5mm以上であって3mm以下の、好ましくは1mm以上であって1.5mm以下の半径方向厚さを有することができる。
【0025】
本発明による環状シート突出部は、支持面のすぐ隣りに存在することも、又は支持面から5mm以上であって20mm以下の長さ「m」だけ離間することもできる。突出部は、本体の半径方向外面において軸方向内向きに延びることもできる。突出部は、この方向に延びる場合、アダプタシートと半径方向に一致する最大厚のみを有するように前記方向に減少する半径方向厚さを有する。
【0026】
前記突出部は、アダプタの支持面に当接して位置するまで軸方向外向きに延びることができる。この場合、突出部の半径方向厚さは、次第に減少することも、或いは減少しないこともできる。
【0027】
環状シート補強体は、1GPa以上の、好ましくは4GPaを超える、さらに好ましくは10GPaを超える圧縮係数を有することができる。環状シート補強体は、コアをゴム組成物によって取り囲んだもので構成することができる。コアは、金属、複合材料、熱可塑性材料、及びこれらの混合物から選択された少なくとも1つの要素を含むことが好ましい。複合材料は、樹脂材料にガラス繊維を埋め込んだもので構成することができる。
【0028】
環状シート補強体は、タイヤのビード部の幅の30%以上であってタイヤのビード部の150%未満の軸方向全長を有することが好ましく、タイヤのビード部の幅の40〜110%の軸方向長さを有することがさらに好ましい。
【0029】
環状シート補強体は、0.3mm以上であって20mm以下の平均半径方向厚さを有することが好ましい。
【0030】
本発明による回転アセンブリが、本発明によるアダプタを2つ含む場合、これらのアダプタは、異なる又は同じ長さの本体をそれぞれ有することができる。本体の長さは、65mm〜135mmであることが好ましい。
【0031】
本発明による回転アセンブリは、アルミニウム合金及び/又はマグネシウム合金、熱硬化性化合物又は熱可塑性化合物に基づく基材に含まれる炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、植物繊維に基づく複合材料、又は樹脂、及び炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、植物繊維に基づくエラストマ及び複合体を含む複合複合物、或いはこれらの材料のいずれかの組み合わせから選択された材料で構成されたリムを含むことができる。
【0032】
繊維に基づく複合材料は、5mm以上の長さを有する繊維を含むことができる。
【0033】
熱硬化性化合に基づく基材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、シアン酸エステル、ビスマレイミド、アクリル酸樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせから選択されることが好ましい。
【0034】
熱可塑性化合物に基づく基材は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、半芳香族ポリアミド、ポリエステル(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)から選択されることが好ましい。
【0035】
アダプタは、アダプタシートからリムJに延びる完全な経路に沿って、アダプタの周辺部の全部又は一部にわたって位置する少なくとも1つの取り外し可能な、又は導電性のストリップを含むことができる。
【0036】
導電性ストリップは、完全に本体の半径方向外面に位置し、又は本体の半径方向外面の下方に埋もれることが好ましい。
【0037】
導電性ストリップは、10
8Ohm.cm以下の、好ましくは10
7Ohm.cm以下の電気抵抗率を有することが好ましい。
【0038】
導電性ストリップは、金属箔、又は15%以上の、好ましくは20%以上の量のカーボンブラックを含むエラストマ組成物で望む通りに構成され、エラストマ組成物内のカーボンブラックは、500m
2/g以上の比表面積を有することが好ましい。
【0039】
導電性ストリップは、本体のエラストマ組成物に接合又は架橋されることが好ましい。
【0040】
以下、ほんの例示として示す実施例と以下の図とを用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】第1の実施形態による、リムとタイヤとの間に取り付けられていない本発明によるアダプタの概略的半径方向断面図である。
【
図2】第2の実施形態による、リムとタイヤとの間に取り付けられていない本発明によるアダプタの概略的半径方向断面図である。
【
図3】第3の実施形態による、リムとタイヤとの間に取り付けられていない本発明によるアダプタの概略的半径方向断面図である。
【
図4】第4の実施形態による、リムとタイヤとの間に取り付けられていない本発明によるアダプタの概略的半径方向断面図である。
【
図5】第1の実施形態による、リムとタイヤとの間に取り付けられた本発明による2つのアダプタの概略的半径方向断面図である。
【
図6】第2の実施形態による、リムとタイヤとの間に取り付けられた本発明によるアダプタを部分的に示す概略的拡大半径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1に示すように、全体的にAで参照するアダプタは、主に軸方向外端部1と、軸方向内端部2と、端部1を端部2に接続する本体3とを含む。
【0043】
図1に示すように、全体的にAで参照する本発明によるアダプタは、リム上に取り付けられていない。このアダプタは、一方の側にガラス繊維強化プラスチックなどの複合材料で構成された実質的に球形の幾何学的断面形状を有する外側補強体4を有する軸方向外端部1を含み、他方の側に金属補強体5を有する軸方向内端部2を含み、最後に繊維コードを含む2つのプライ6で構成された本体3を含む。各プライ6のコードは、互いに平行である。これらのプライ6は、一方の側では、補強体4の壁部の軸方向内側及び半径方向外側に接合され、他方の側の端部2では、各端部においてターンアップ部を形成するビードワイヤなどの金属補強体5に係止される。
【0044】
本体3は、本体3の軸方向外端部に位置するタイヤのビード部(
図5を参照)を受け取るように意図された実質的に円筒形のアダプタシート7を含む。
【0045】
本体3は、アダプタ支持面8も含み、この支持面8は、実質的に回転軸に垂直な平面に含まれ、軸方向外端部の軸方向内面上に位置し、ビード部をそのハウジング内の適所に保つように意図される。このアダプタシート7は、ゴム組成を含む環状シート突出部9を含む。この突出部9は、2〜50MPaの圧縮係数を有する。突出部9は、20mmに等しい軸方向長さ「l」と、2mmに等しい半径方向厚さ「e」とを有し、前記支持面8から6mmに等しい長さ「m」だけ離間する。
【0046】
図2の変形例では、本発明によるアダプタ上の突出部9が、厚さ「e」を減少させながら(矢印22によって示す)軸方向内向きに延びることが分かる。
【0047】
図3の変形例では、突出部9が、厚さ「e」を(矢印22によって示す)軸方向内向き及び(矢印23によって示す)軸方向外向きに減少させながら両方向22、23に延びることが分かる。
【0048】
図4に示すように、本体3の前記主補強体6内には、100GPaに等しい圧縮係数を有する環状シート補強体10が配置される。
【0049】
環状シート補強体10は、外側補強体4には固定されない。これらの2つの補強体10及び4は、互いに完全に独立する。
【0050】
補強体10は、ゴム−樹脂タイプのエラストマと交互になったワイヤの形の金属補強体を含む3層で構成される。補強体10は、約1.5mmの半径方向全厚と、約15mmの軸方向全長とを有する。
【0051】
補強体10のエラストマ層は、約0.3mmの半径方向厚さと、約15mmの軸方向長さとを有する。
【0052】
ゴム組成物11の層は、アダプタを構成する、すなわち補強体6と、補強体5と、本体3と、補強体10の半径方向外面とを構成する全ての要素を覆う。
【0053】
図5には、2つのアダプタA及びA’のアダプタシート7上に各ビード部Bが位置するタイヤPの半径方向断面を示す。これらのアダプタA及びA’は、それぞれリムJのリムフランジ12に接続される。
【0054】
このタイヤは、本発明ではそれ自体の設計に変更はなく、クラウン補強体14によって補強されたトレッド部13が、赤道面XX’の両側において2つのサイドウォール部15によって2つのビード部Bに接合されて成る。各ビード部Bでは、主にサイドウォール部15を補強するカーカス補強体16が、この例では「編み上げ」タイプ17の少なくとも1つのビードワイヤに係止されてターンアップ部18を形成する。
【0055】
なお、本発明は、ラジアルタイヤであろうと、又はクロスプライタイヤであろうと、非常に多くのタイプのタイヤと共に実装することができ、或いは自立型サイドウォール部を有するタイプのタイヤと共に実装することもできる。
【0056】
リムJは、半径方向外縁部が湾曲したリムフランジ12によって軸方向に延びる2つのリムシート20を接続する、取り付け溝として知られている溝19を赤道面の両側に含む。
【0057】
このタイヤは、従来の方法で取り付けられる。タイヤを取り付けると、タイヤPのビード部Bとアダプタ本体3との間で環状シート突出部9が押し潰される。この突出部の厚さは、タイヤ及び/又は関連するリムのサイズに応じて可変である。
【0058】
図6に示すように、本発明によるタイヤ、アダプタ及びリムを含むアセンブリの取り付け中には、アダプタ上に全体的に21で参照する変形部が生じることができる。この変形部21は、アダプタの本体3の軸方向内側部分に位置する。環状シート突出部9は、タイヤのビード部Bとアダプタ本体3との間に押し潰されて位置する。この突出部9の存在をこの変形部21と組み合わせると、従来のリムの締め付け圧と同じ締め付け圧を付与しながらタイヤの離座防止を改善できるようになる。
【0059】
以下の表Iに、標準的なリム(対照)を含む取り付けアセンブリ、標準的なアダプタ及びリム(既知のアダプタ)を含む取り付けアセンブリ、並びに環状シート突出部と標準的なリムとを含むアダプタ(本発明のアダプタ)を含む取り付けアセンブリに付与した締め付け圧の値をまとめる。
【表1】
【0060】
この表Iにおける結果から、既知のアダプタは、対照の締め付け圧と同等の締め付け圧を示す一方で、本発明によるアダプタは、対照の締め付け圧よりもはるかに低い締め付け圧を示すことが分かる。これにより、離座試験において観察される差異を説明することができる。以下の実施例は、本発明によるアダプタを用いて取得された結果を示すものである。
【0061】
実施例:離座試験
この試験は、半径30mの円上を60km/hで走行する、基準7.5 J17のリムに取り付けたサイズ225/45 R17のタイヤの離座性能を求めるものである。複数回の走行を行い、タイヤ離座圧が得られるまで走行毎に0.1bar単位で規則的に圧力を減少させる。この離座圧により、取り付けアセンブリの離座性能を定量化することができる。
【0062】
以下の表IIに、取得された結果をまとめる。
【表2】
【0063】
上記の表IIにおける結果から、本発明によるアダプタを用いた場合、タイヤは、対照の圧力に比べて実質的に倍の圧力において離座することが分かる。
【符号の説明】
【0064】
A アダプタ
1 軸方向外端部
2 軸方向内端部
3 本体
4 外側補強体
5 金属補強体
6 プライ
7 アダプタシート
8 アダプタ支持面
9 環状シート突出部
10 環状シート補強体
【国際調査報告】