(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-530060(P2017-530060A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】振動運動を受ける構造体のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B63B 39/03 20060101AFI20170919BHJP
B63B 35/00 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
B63B39/03 Z
B63B35/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-535145(P2017-535145)
(86)(22)【出願日】2015年9月4日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月15日
(86)【国際出願番号】FR2015052356
(87)【国際公開番号】WO2016042235
(87)【国際公開日】20160324
(31)【優先権主張番号】1458824
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1458825
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517095489
【氏名又は名称】ジェウペエス・テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−リュック・ロンジュロッシュ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・マガルディ
(57)【要約】
片側から反対側まで傾斜するように設計された構造体のための装置であって、この装置は、
− 第1の縁部と第2の縁部の間にある少なくとも1つの中間チャンバ(17)と、
− 中間チャンバと連通し、液体の投入および排出を管理し、各々が、それらを外部から区切り、中間チャンバの2つの末端に向かって配置された壁(19)を含む第1および第2の側部タンク(15a、15b)とを備え、
各々の側部タンクが、
− 液体を供給する中間チャンバの伸長方向(17a)に沿って液体を受け取るように配置された上部セクションと、
− この上部セクションに接続される下部セクションとを備え、上部および下部セクションの各々が、液体の入口および出口に向けて中間チャンバに接続されることを特徴とする装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の縁部から反対側の第2の縁部まで傾斜するように設計された構造体に対して作用する装置であって、
− 前記第1の縁部と前記第2の縁部の間の少なくとも1つの中間チャンバ(17、170a、170b)と、
− 液体(18)の出入りを管理するために共に前記中間チャンバと連通している第1の側部タンクおよび第2の側部タンク(15a、15b)であって、前記側部タンクはそれぞれ、前記側部タンクを外部から区切る壁(19)を含み、前記中間チャンバの2つの末端に向かって配置される第1の側部タンクおよび第2の側部タンク(15a、15b)とを備える、装置において、
− 各々の側部タンクが、
− 前記液体を供給する前記中間チャンバの伸長方向(17a、17a1、17b1)に沿って前記液体を受け取るように配置された上部セクション(150a、150b)と、
− (21a、21bにおいて)前記上部セクションと連通する下部セクション(152a、152b)とを備え、前記上部および下部セクションの各々が、前記液体の入口および出口のために前記中間チャンバと連通しており、
− 対応する前記側部タンク(15a、15b)の前記上部セクションと前記中間チャンバとの間の各々の連通部分が、前記中間チャンバ(17、170a、170b)によって運ばれる前記液体が接線方向に前記側部タンクに流れ込むように配置されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記側部タンクの前記下部セクション(152a、152b)と前記中間チャンバとの間の連通部分に逆止弁(31a、31b)が備わっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中間チャンバ(17、170a、170b)が側壁(177)を含み、前記側壁が、前記液体と接触するように前記側壁の内側面に位置する突出する付属物(175)を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記中間チャンバ(17、170a、170b)および前記側部タンクが、前記装置が水平である場合に、同じ高さに位置する底面(171)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が水平である場合に、
− 前記中間チャンバ(17、170a、170b)が、第1の高さに配置された底面(171a)を含み、
− 前記側部タンクの各々が、第2の高さに配置された底面(171b)を有し、
− 前記第1の高さが、前記第2の高さより高いところに位置することで、前記液体が上昇して前記側部タンクの前記下部セクション(152a、152b)から前記中間チャンバへと移動する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
− 各々の側部タンクの前記上部および下部セクション(150a、150b、152a、152b)が、好ましくは変形可能な隔壁を含む流れ口(21a、21b)を利用して互いに連通し、および/または
− 各々の側部タンクの前記上部および下部セクション(150a、150b、152a、152b)が、下にディフューザ(33、33b)が配置された流れ口(21a、21b)を利用して互いに連通しており、前記ディフューザは、前記下部セクションにおいて、前記下部セクションから前記中間チャンバへの対応する液体出口連通に向けられた開口を有する流れ制御側壁を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記対応する側部タンクを外部から区切る各々の壁(19)が、前記装置が水平である場合の垂直軸(110a、110b)の周りに少なくとも入口に向かってコイル状に巻き付けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記構造体上でのエネルギー生成のために、共に前記第1および第2の側部タンク(15a、15b)のそれぞれの前記上部セクション(150a、150b)に配置された少なくとも1つの第1のタービン(11a)と少なくとも1つの第2のタービン(11b)とを含み、各々のタービン(11a、11b)が好ましくは、前記構造体が静止している場合の垂直軸を有するタービンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
− 前記液体が、船上において、経路をたどって前記船の中を循環し、前記船に対する波およびうねりの影響を相殺するための回復トルクを生成する作動液であり、かつ
− 前記タービンに対して機能するように接続された少なくとも1つの交流発電機(13a、13b)と、
− 前記交流発電機の電気的な生成または前記タービンの機械的な生成に関して、少なくとも前記傾斜に対して前記船の安定化を与えることを可能にするために、前記タービンによって生成された機械的エネルギーまたは前記交流発電機によって生成された電気的エネルギーを制御するための電気工学的制御手段(41)とを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
− 前記中間チャンバが自由面を有する液体(18)によって部分的に満たされ、
− 付加的なガス状流体回路(40)が、前記中間チャンバの前記自由面より上に位置するガス状流体と連通せずに、前記第1および第2の側部タンク(15a、15b)を接続する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
一方の縁部から他方の縁部までの少なくとも1つの傾斜運動を受ける構造体に対して作用する方法であって、前記構造体上で、伸長方向に中心が位置する少なくとも1つの細長い中間チャンバ(17、170a、170b)において、液体が前記縁部(7a、7b)のいずれかに対して循環され、前記中間チャンバの前記伸長方向(17a、17a1、17b1)に沿うようにそれぞれ配置された入口チャネル(23a、23b)によって供給される第1および第2の側部タンクにおいて、前記液体が各々の側部タンクに接線方向に流れ込むことを特徴とする方法。
【請求項12】
− 前記伸長方向における前記中間チャンバの末端の各々に向かって、前記中間チャンバが前記液体を供給するために連通する前記側部タンク(15a、15b)の上部セクションが存在し、
− 次いで前記液体が、液体が供給された前記上部セクションを前記側部タンクの下部セクション(152a、152b)から隔てる流れ口(21a、21b)を介して前記中間チャンバに向けて再度排出される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記タンクの前記上部セクションと下部セクションとの間を前記液体が通過する際、対応する前記側部タンク(15a、15b)内で渦巻きが形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体を前記縁部(7a、7b)の一方に対して循環させることによって、前記構造体上でのエネルギー生成のために、前記液体が、共にそこに配置された第1および第2のタービン(11a、11b)に取り込まれる、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(3)を備える、または請求項11から14のいずれか一項に記載の方法が適用される浮動構造体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の縁部から第2の縁部まで少なくとも1つの傾斜運動を受けるように設計された構造体に対して作用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この分野では、船の表面などの浮遊構造体に対して、タービンが存在する場合、運動および/またはエネルギー生成に関連して減衰の問題が生じる。実際には、うねりに対抗するように、またはうねりに対して異なる時間で作用することによってこのような構造体の運動に対して効果を有することが意図された液体の循環は不適当な場合が多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下の手法は、
− 全体の容積をより小さい容積に分割すること、
− これらの小さい容積を互いに対して適切に配置すること、および
− 一方の縁部から他方の縁部への各々の運動の時点で、利用可能な液体のほとんど全てをその最も下の縁部に配置することを可能にすること、
を特徴とする。
【0004】
より具体的には、装置が
− 第1の縁部と第2の縁部の間に位置する少なくとも1つの中間チャンバと、
− 液体の出入りを管理するために共に中間チャンバと連通しており、各々が(側部タンクを外部から区切り、第1および第2の縁部それぞれに向かって中間チャンバの2つの末端に向かって配置されている)壁を含む第1の側部タンクおよび第2の側部タンクとを備え、各々の側部タンクが、
− 液体を供給する中間チャンバの伸長方向に沿って液体を受け取るように配置された上部セクションと、
− これより下方に配置され、上部セクションと連通する下部セクションとを備え、上部および下部セクションの各々が、液体の入口および出口に向けて中間チャンバと連通することが提案されている。
【0005】
したがって以下の、
− 側部タンク内での頂部から底部まで液体の循環と、
− 中間チャンバの伸長方向の延長部において液体を受け取る容積が側面に存在することにより、考慮される側部タンクからの供給流体の方向において湾曲または有意な変化を回避することが適用される。
【0006】
以下で述べられるように、自由面が液体によって(部分的に)満たされた中間チャンバを使用することによって、そのG−SIREまたはI−SIRE要素を介して「FLUME」横揺れ減衰技術を利用することが可能になる。
【0007】
側部タンクにはタービンが備わっている場合がある。
【0008】
液体の循環の観点から、上部セクションと下部セクションとの間を液体が通過する際、側部タンク内に渦巻きまたは垂直方向の渦が形成されることも推奨される。この目的のために、
− 対応する側部タンクの上部セクションと中間チャンバとの間の各々の連通部分が、中間チャンバによって運ばれる液体が接線方向に前記側部タンクに流れ込むように配置され、
− および/または対応する側部タンクを外部から区切る各々の壁が、装置が水平な状態における垂直軸の周りに少なくとも入口に向かってコイル状に巻き付けられることが推奨される。また側部タンクの下部セクションと中間チャンバとの間の連通部分には逆止弁が備わっていることが好ましい。
【0009】
このような連通部分がこういった弁を装備することは、中間部分が別個の仕切りを持たず、側部タンクの上部セクションおよび下部セクションと前記チャンバとの間の全ての連通部分がこのチャンバにおいて開通されるとすぐに、両方向に移動中の大量の液体の間で起こり得る流れの妨害がより重大なものになるため、理に適う場合がある。
【0010】
しかしながら風またはうねりによって妨害される振動運動によってほとんど影響を受けない効率的な液体の供給を促進することを目指して、(少なくとも)1つの中間の仕切りが中間チャンバ内に使用されることが提案されており、これは側部タンクの間でこの液体のための第1の循環管と第2の循環管に分割し、各々の側部タンクは2つの管、すなわち
− 前記液体のタンク内への入口として、その上部セクションにおいてタンクの壁を通る第1の通路を有する管と、
− 前記液体のタンクからの出口として、その下部セクションにおいてタンクの壁を通る第2の通路を有する管と連通する。
【0011】
一方向における傾斜(例えば第1の縁部から第2の縁部への横揺れ)から液体の流れを受け取る(各々の)タービンへの液体供給作業を最適化することも重要であり得る点であり、これはまた、側部タンクがエネルギー生成タービンを含む場合にも重要である。
【0012】
この目的のために、各々の側部タンクの上部および下部セクションが流れ口を介して互いと連通していることが推奨される。
【0013】
関連する側部タンクの容積、循環する水の体積、往復する傾斜運動の推測される平均的な条件に基づいた、この流れ口に向かう通路セクションの事前形成が適用されるはずであり、最良の性能を達成することを可能にする。
【0014】
しかしながら各々の側部タンクの上部セクションからの液体の流れを正確に調整するために、好ましくは設置の実施に基づいて流れ口の通路セクションを変えることが推奨される。
【0015】
この目的は、変形可能または調節可能な隔壁を利用する(例えば調節可能な開閉機構を介して可変の部分を管理することによって)ことによって容易にかつ確実に達成することができる。
【0016】
圧力損失を抑え、かつ液体の循環/迅速な排出に影響を及ぼす事柄を減少させる目的で、第1の側部タンクと第2の側部タンクを接続し、中間チャンバの自由面より上に在るガス状流体とは連通しない付加的なガス状流体回路を加えることが推奨される。
【0017】
傾斜しているとき、気体の移動は、液体の過圧を生じさせ、上昇している縁部の側では空にするような働きをし、これには弁がある場合とない場合とがある。
【0018】
上記に加えて、構造体への装置の設置もまた問題である。そのサイズが問題であるのと同様に、機能的な構造体(商業用の船、トロール船、うねりを受けるデッキなど)にある船橋に対するその配置も問題であり得る。
【0019】
結果として、装置が水平であるとみなすならば、
− 中間チャンバおよび側部タンクが、装置が水平である場合に、同じ高さに位置する底面を備えること、あるいは
− 空間が許すならば、
− 中間チャンバが、第1の高さに配置された底面を含むこと、
− 側部タンクの各々が第2の高さに配置された底面を有すること、および
− 第1の高さが第2の高さより高いところに位置することにより、傾斜する際、液体が上昇して前記側部タンクの下部セクションから中間チャンバへと移動することのいずれかが提案される。
【0020】
さらなる位相のずれを生み出すことなく、自由面上の共振波長の人工的な増大を可能にすることによってタンクの周期の調節を可能にするために、中間チャンバは側壁を含んでもよく、側壁は、液体と接触した状態で前記側壁の内側面上に突出する付属物を備える。
【0021】
既に先に述べたように、装置が少なくとも第1のタービンおよび第2のタービンを装備することに注目が集まる可能性があり、これらのタービンは共に、構造体が静止しているとき、各々のタービンが好ましくは垂直方向になるようにして第1および第2の側部タンクの上部セクションにそれぞれ配置されることに留意されたい。電気エネルギー生成と同様に、圧力損失(性能の問題を誘発する)および組立問題(とりわけ小型であること)に対する解決法を提供する。
【0022】
提示される装置に加えて、
一方の縁部から他方の縁部までの少なくとも1つの傾斜運動を受ける構造体に対する方法にも関係しており、これは構造体上で、伸長方向に中心が位置する少なくとも1つの細長い中間チャンバにおいて、液体がいずれかの縁部へと循環され、中間チャンバの伸長方向に沿うようにそれぞれ配置された入口チャネルによって供給される第1および第2の側部タンクにおいて、液体が各々の側部タンクに接線方向に流れ込むことによって特徴付けられる。
【0023】
加えて好ましくは、
− 中間チャンバの末端の各々に向かってその伸長方向において、中間チャンバが液体を供給するために連通する側部タンクの上部セクションがあり、
− 次いでこの液体は、液体が供給された前記上部セクションを前記側部タンクの下部セクションから隔てる流れ口を介して前記中間チャンバに向かって排出される。
【0024】
加えて、船の傾斜を制限し、電気エネルギーを生成することを厳密に組み合わせることも可能であるが、これはそうするにはかなり複雑である。
【0025】
上記の他に、先の目的のために、本発明は、
− 安定化を必要とする船上において、経路をたどって循環し、前記船に対する波およびうねりの影響を相殺するトルクを生成する作動液が存在すること、
− 上記に挙げた装置は、続いて
− タービンに対して機能するように連結された少なくとも1つの交流発電機と、
− 少なくとも交流発電機の生成またはタービンの生成に関連して前記傾斜に対して船を安定させることを可能にするためにタービンまたは交流発電機によって生成されたエネルギーのための電気工学的制御手段とを備えることを提案する。
【0026】
換言すると、
− 波またはうねりの作用の下に船が傾斜する際、相殺するトルクを生成する液体を前記船の中で循環させることにより波またはうねりの影響を減衰し、
− 電気の生成のために、船上に液体の循環経路に沿って配置され、少なくとも1つの交流発電機に接続された少なくとも1つのタービンを有し、
− 特には、所与の時点で利用可能な潜在的なエネルギーに対して、タービンによって生成される機械エネルギーまたは交流発電機によって引き出される電気エネルギーを電気工学的に制御または管理することが推奨される。
【0027】
したがって利用可能な作動液の流れまたは量を制限せずに、利用可能な液体の流れまたは量を一定に保ちながら、期待通りに船を安定させる、または反対に、例えば消費可能な液体のタンクから経時的に水の量を変えることによって好適な傾斜防止反応を促進させる。
【0028】
本発明はさらに、
− 水平軸を中心とした振動または傾斜運動が減衰される場合、この構造体には減衰装置、さらにはエネルギー生成装置が備わっており、これらはその特徴の全てまたは一部において上述したことを呈する、あるいは
− 上記方法が実施される構造体に関連する。
【0029】
本発明の他の利点および特徴は、添付の図面に関連して、厳密な非制限的な例として作成された記載を読むことから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】エネルギー減衰装置、さらにはエネルギー生成装置を備えた船の船尾の一部から取り出した部分斜視図である。
【
図2】ここではタービンを備えた、
図1からの側部タンクの一方の下からの、傾けられた図である。
【
図4】側面からの付加的なガス状流体回路を備えた解決法を示す図である。
【
図5】ある角度で傾けられた壁(
図9)を備えた別のオプションを示す側面図である。
【
図6】軸方向の中間の壁(
図8)を備えた別のオプションを示す上からの図である。
【
図7】ある角度で傾けられた壁(
図9)を備えた別のオプションを示す上面図である。
【
図8】オフセットされた底面と1つのタンク(
図8)を有する提案の側面図である。
【
図9】オフセットされた底面と複数のタンク(
図9)を有する提案の側面図である。
【
図10】中間チャンバの側壁の内側面上に突出する付属物の存在を上面図である。
【
図11】中間チャンバの側壁の内側面上に突出する付属物の存在を上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、水平軸を中心としたこの船の減衰運動の目的で装置3を装備した水上船1の後部部分からの領域を示す。
【0032】
図1から
図7に示される例では、装置3はまた、第1および第2の縁部7a、7bそれぞれに向けて配置された第1および第2のタービン11a、11bが存在することにより、電気エネルギー生成装置としても機能する。各々のタービンは、発電機として作動する交流発電機13a、13bに接続される。好ましくはタービンは、それらが常に同一方向に回転するように設置される。
【0033】
しかしながらこれらのタービン(およびこれにより交流発電機)は省かれる場合もある。
【0034】
この船1は、ここでは方向5である前方に移動するように適合されており、典型的には波および/またはうねりの影響の下で、対向する縁部7a、7bの間で少なくとも1つの振動運動を受けるように設計された構造体の一例である。船1は、船体9と、船橋11とを備える。デッキ、ブイなど別の構造体が認められる場合もある。
【0035】
装置3は、中間チャンバ17と連通する第1および第2の側部タンク15a、15bを備える。これらの側部タンクは、第1および第2の縁部7a、7bそれぞれに向かって、チャンバの2つの末端に向けて据えられる。それらは各々、外部からそれらを区切る周辺壁19を備える。
【0036】
チャンバ17は、自由面を有する液体18によって一部が満たされ、この液体は、慣性効果より恩恵を受ける水、ガソリンまたはディーゼルなどの燃料、あるいはより高濃度の液体であってよい。中間チャンバ17は、第1のタービンと第2のタービンの間で、構造体が静止しているとき説明図において水平の方向17aにおいて細長くなっている。この場合、側部タンクもまた好ましくは自由面を有する。
【0037】
図1の例では、方向17aは、ここでは構造体または船の方向5とみなされる長手方向の進行軸に対して横向きである。
【0038】
性能、構造および小型化を改善するために、各々の側部タンクは(
図1〜
図5を具体的に参照されたい)、
− 入口23aまたは23bを介してチャンバ17から届く液体を受けるための上部セクション150a、150bと、
− 液体それぞれの出口25a、25bに向けて、通路21a、21bを介して上部セクションおよびチャンバ17と連通する下部セクション152a、152bとを備える。
【0039】
タービン11a、11bが存在する場合、それらは、側部タンク15a、15bそれぞれの対応する上部セクションの中に配置されるべきである。
【0040】
上部セクション150a、150b(必要に応じて)におけるそれぞれの液体入口23a、23bは、上部セクション150a、150bが中間チャンバの伸長方向17aに沿って、すなわち矢印20で液体18(とりわけ混合ラインに関しては
図5に指摘されるレベルを参照)を受け取るように配置される。よって液体の流れに対する方向の湾曲およびその他の変化が回避され、圧力損失を制限し、急な揺さぶりすらも制限する。実際には、
図1でのように、入口チャネル23a、23bは、伸長方向(軸)17aに沿って、またはそれに対して軸方向に延長させてそれぞれ配置されることが推奨される。
【0041】
よって示されるようにおよび圧力損失をさらに制限するために、対応する側部タンクの上部セクション150aまたは150bとチャンバ17間の各々の連通部分は、チャンバからの液体が、接線方向に、およびこの例では周辺部からその下の側部水溜めに侵入するように配置される(
図3、
図6の矢印27)ことを特定することができる。
【0042】
このように関連するタンクの下部セクションから通路21aまたは21bを通り、その後チャンバへと排出させることによって、流れは、垂直の渦巻き110aまたは110bで渦を巻き、その回転方向において接線方向にタービン(もし存在するならば)に流れ込むことになる。
【0043】
種々の図面(具体的には1、2、3)において、側部タンク15a、15bを外部から区切る各々の壁19は好ましくは、とりわけタンクの入口に向かって、対応する通路21a、21bを囲むように、故に関連する垂直軸110a、110bを囲むようにコイル状に巻き付けるべきであることがはっきりと見ることができる。水平方向において、上部セクション150a、150bに入る接線方向の入口23a、23bは故に、少なくとも壁19の一部が円形断面の円柱部分に到達するまで狭くなっている。
【0044】
示されるように、頂部の連通部分23a、23bは外側に向かって横方向にずらされており、これにより
図6において頂部開口または連通部分23aのほぼ境界を成す191aなどの中間チャンバ17の側壁により近づけて配置されるのに対して、底部連通部分25a、25bは、内側に向かって横方向にずらされ、これにより軸17aにより近づけて配置されており、上部セクション150bと下部セクション152bの間の連通部分の軸方向/中心位置に向かって横方向に接近するようになることが容易に理解される。
【0045】
したがって側部タンクは、通行チャンバ17への戻りが行われる底部からの排出と併せて、頂部から、好ましくは接線方向から供給される。2つのコイル、すなわち
図3に示されるように軸17aの片側より向かい合わせの2つの接線方向の入口23a、23bを有することで、構造体の水平方向の振動軸を中心とした傾斜の向きに影響を及ぼすのを回避する。
【0046】
この点において、第1および第2のタービン11a、11bは、それらが存在するならば、110aまたは110bで記述されたものと組み合わせた垂直軸(構造体1が静止している場合)を有する点に利点がある。
【0047】
実際には、連通部分21a、21bは各々、各々の側部タンクの上部セクションと下部セクションとの間に流れ口を画定することも推奨される。
【0048】
当然のことながら、各々の流れ口21a、21bは、平均的な作動条件に適合した所定の部分を呈してよい。しかしながら
図5の流れ口21aに関する210aなど変形可能な隔壁を使用すべきである。したがって各々の流れ口は、弾性式の変形を利用する膜またはプレートによって画定されてよい、あるいはこの場所に関連するタービンを出て行く流体の移動を監視するまたはそれに適合する機構によって制御される場合もある。よって関連する流れ口の通路部分を変更することによって、これは、各々の側部タンク15a、15bの上部セクションからの液体の供給の調整を促進する。ガス状流体を利用して膨張可能で収縮可能な環状ポケットを使用すること、または流体の圧力下である程度満たすことが可能な環状ポケットを使用することが望ましい。
【0049】
側部タンクの上部セクションと中間チャンバ17の間の連通のために逆止弁29a、29bを利用することは任意選択であるが、側部タンクの下部セクションと中間チャンバとの間の下部の連通部分25a、25bのためにそれら(31a、31bを参照)を有することは有益であると思われる。全ての逆止弁が主要な液体の流れの方向において開放し(構造体が一方向に傾斜する際)、全ての液体が、そうしている間にこの領域から流れ出て行かなければ、反対方向では閉鎖することで逆流を回避する、または制限することを理解されたい。実際には、自由に傾斜するシャッターが好ましい。
【0050】
上記において、チャンバ17は、内部がさらに分割されていない箱である。しかしながら液体の流れを運ぶために、チャンバ17内で長手方向の仕切り35を利用することは有益であり得る。仕切り35はこのとき、
図6および
図7に示されるように、側部タンクの間で液体を循環させるためにチャンバを第1の管および第2の管37a、37bに分割する。
【0051】
好ましくは各々の流れ口21、21bの下に、ここでは湾曲部33bであるディフューザが配置される。各々のディフューザは、前記下部セクション152aまたは152bにおいて、流れ誘導側壁330を備え、
図2においてその開口部は、液体を排出するための
図2の対応する連通部分25bに対応する。
【0052】
図4に示されるように、付加的なガス状流体回路が以下のように設けられ機能する。これらのタンクにおける作動液の高さ42より上の側部タンクの上部セクション150a、150b内のガス状流体(例えば空気など)の体積が、仕切り44によってそこから隔てられたチャンバ17に沿って上部セクションの間の管43を介して連通する。傾斜するとき、側部タンクの一方が下降し、作動液で満たされる際、上部セクション150aにおいて液体高さが上昇することで、ガス状流体を圧縮し、この流体が上昇し管を通って流出する(矢印40)。次いでこの流体は、他方の上部セクション150bに到達し、そこでこの流体はこのセクションにおいて高さ42を下げる働きをする。これは、自由面を有する先のオプションの全てと共に機能すべきである。
【0053】
タービン11a、11bが存在する場合、構造体1の振動に対してそれぞれの作用が有する効果は好ましくは、交流発電機13a、13bおよび関連する調整システムを介して、これらのタービンからある程度多くのエネルギーを回収することによって管理されてよく、中間チャンバにおける流体の高さには関係がない。このとき、負荷の大きさは、例えば交流発電機から引き出される電力および/またはタービンの回転速度に左右される。
【0054】
船の振動を制御するのを助けるために、さらにはその減衰を助けるために、タービンおよび/または交流発電機によるエネルギーの生成は、これらのタービンおよび/または交流発電機の制御を介して制限される。よって、例えば波が、船の右舷側においてその最大振幅に達したとき、船が平らになり(ゼロ振幅)、流体18は右舷側に全てある(最大の負の振幅)ような状況を選ぶことができる。
【0055】
コイルの入口において、
図1において、上部セクション150a、150bに液体を取り込むスロープ状の傾斜路39a、39bを確認することができる。
【0056】
逆止弁31a、31bはここではその高さにある。
【0057】
図1、
図4、
図5に示されるように、チャンバ17および側部タンクは、装置が水平の場合に、同じ高さに位置する底面171を備える。空間はほとんどない。
【0058】
図8の代替は、装置が水平である場合に、チャンバ17の底面171aが位置する第1の高さが、側部タンクの底面171bが位置する第2の高さより高くなることで、液体が上昇して前記側部タンクの下部セクションからチャンバ17へと進む解決法を示す。側部タンクの下部セクション152a、152bはこのとき、チャンバ17とタンクの上部セクション150a、150bで形成される安定化させるための箱に加えられる別個の要素であってよい。具体的にはそれは、下流弁に向かって末広がりの形態で圧力損失を制限するように計算された形状を有することができる。このオプションは、構造を簡素化し、必要に応じて水の体積の効率を高め、安定化およびエネルギー性能を実現する。
【0059】
図9は、各々がチャンバ17と、2つの関連する側部タンク15a、15bとを備える複数の積み重なるタンク173を備えることができる装置を示している。
【0060】
図10および
図11は、チャンバ17内の側壁177の内側面上に突出する付属物175の存在を示している。これらの付属物は、前記壁の高さであり得る。
【0061】
それらは、外形が形成されてよく、対称的な断面の付属物またはT字型、L字型または平らな補強材であってよい。
【0062】
圧力損失の緩和に伴う液体の加速作用を予測することができる。これは、さらなる位相のずれを生み出すことなく、自由面の共振波長を人工的に増大させることによってタンクの周期を調節するように機能する必要がある。その結果は、より少ない水が側部タンク内を循環することから、減衰モーメントを低下させるべきである。
【0063】
タービン11a、11bが存在するケースでは、好ましくは位相のずれがある状態で、
図1に示される交流発電機13a、13bおよびその調整システムを介してタービン11a、11bからある程度のエネルギーを取り出すことによって、船の回転行動(
図1での軸17aに平行であり、およびこれにより長手方向軸5に直交する)に対する装置1の影響が制御されることを特定することができ、これは中間チャンバ内の流体の高さに関係がない。
【0064】
船の振動に対する影響は、負荷の大きさに応じて変化する。
【0065】
船の振動、さらにはその減衰も制御するように機能するために、タービンおよび/または交流発電機によるエネルギー生成は、これらのタービンおよび/または交流発電機の制御を介して制限される。よって例えば波が船の右舷側でその最大振幅に到達したき、船が平らになり(ゼロ振幅)、流体18は右舷側、すなわち図面上の側部7aに全てある(最大の負の振幅)ような状況を選ぶことができる。
【0066】
示されるようにタービンによって生成される機械エネルギーまたは交流発電機によって生成される電気エネルギーはその後、作動液の流れを調整すること、および/または弁29b、31bを制御することによってではなく、交流発電機の電気的な生成または関連するタービンの機械的な生成に対するその傾斜の観点において船の安定に好都合な電気工学的制御手段41によって制御される(少なくとも原則としては)。
【0067】
性能および効率を念頭において、タービンによって生成される機械エネルギーに対するこれらの電気工学的制御手段は少なくとも以下の
− タービンの回転速度を変えるための手段45と、
− 交流発電機によって生成される電力またはこれを決定する電気パラメータ(例えば電圧など)の1つを変えるための手段47とを備えることが推奨される。
【0068】
図2に示されるように手段45は好ましくは、
図2のタービンと交流発電機の間の接続用シャフト111に連結される。
【0069】
これらの制御手段45、47は、船のバランスの調整が必要とされる場合(典型的にはうねりによって船に課される回転周期に対する装置1における位相のオフセット)、例えば船の電気ネットワーク上の交流発電機用の電池および/または自動切り替え法を含むことで、需要がある場合に急な増加を生み出すことができる。このようにして回転する積荷の中に蓄積された運動エネルギーから、相当するエネルギーが極めて迅速に取り出される。これはこのようなユニットの回転速度の減速につながり、よって作業流体の流速に対する予測される変動にも好都合である。シャフト111からある程度自由な回転もまた、ある程度効果的な減衰に関して実現可能である。
【0070】
「負荷」または発電機(タービン)から取り出す電力の管理または制御は、高周波数において電気回路の開閉を管理するPLCによって行われる場合もある。閉鎖時間/経過時間の比は、周期的な比であり、電力管理設計者によって極めて広く利用されている。この比は、0から1の間である。それが1に近い場合、多くの電流が流れ、故に多くの電力が生じ、結果としてタービンを停止させることになる。電子的な0から1への移動は、スイッチを利用して起こすことができ、その作用はタービンの回転速度に対してほとんど即座である。
【0071】
電子ギアボックスまたは承諾された手段45の一部を形成する任意の他の電気機械方法を介してタービンのシャフト111に直接作用することが可能であるが、この最後の解決法は、先行技術のものよりも複雑でなく、より大きな信頼性を与える。
【0072】
タービンがギアボックスを介して発電機に接続される場合、それは典型的には電子回路を介して上記のものから作用することもできる。
【0073】
発電機13a、13bに関して、これらは同期機械であるため、そこにある制御手段47の作用を通してそのロータの回転速度は可変であってよい。
【0074】
具体的には、この回転速度は、モータスリップに対する(スリップリングモータ)および/または発電機が接続された船の全体の電気ネットワークの周波数に対していくつかの極の対が作用することによって制御することができる。
図2の接続線49を参照されたい
【符号の説明】
【0075】
1 船
3 装置
7a 第1の縁部
7b 第2の縁部
9 船体
11 船橋
11a 第1のタービン
11b 第2のタービン
13a、13b 交流発電機
15a 第1の側部タンク
15b 第2の側部タンク
17 中間チャンバ
17a 伸長方向
18 液体
19 周辺壁
21a、21b 流れ口
23a、23b 入口
25a、25b 連通部分
29a、29b 逆止弁
31a、31b 逆止弁
33b 湾曲部、ディフューザ
35 仕切り
37a、37b 管
39a、39b 傾斜路
41 電気工学的制御手段
42 流体の高さ
43 管
44 仕切り
45、47 制御手段
49 接続線
111 シャフト
110a、110b 渦巻き、垂直軸
150a、150b 上部セクション
152a、152b 下部セクション
171、171a、171b 底面
173 複数のタンク
175 付属物
177 側壁
210a 隔壁
330 流れ誘導側壁
【国際調査報告】