【実施例】
【0090】
以下の実施例は本発明の実施を更に説明するが、本発明の限定とすることは意図しない。
【0091】
実施例1:特定の代表的な化合物の調製のための実験手順
全てのHPLCクロマトグラム及び質量スペクトルは、溶離液として0.01%のTFAを含む、5分間にわたる15〜99%のCH
3CN−H
2Oの勾配及び2mL/分の流速を用いた、分析用C18カラム(250×4.6mm、5ミクロン)を使用したHP 1100 LC−MS アジレント(商標)装置上で記録した。
【0092】
化合物I:改変薗頭法を用いた(3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩の合成
【化2】
ステップ1
室温の3−ブロモフェニル酢酸(5.02g、23.33mmol)のエタノール(100mL)溶液/懸濁液に濃硫酸(1mL)を添加した。次いでこの無色の固体を80℃で終夜撹拌した。この溶液を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(25mL)、水(25mL)で希釈し、2層を分離した。水層を酢酸エチル(2×25mL)、飽和食塩水(20mL)で抽出した。一つにまとめた有機層をNaHCO
3の飽和水溶液(2×25mL)、飽和食塩水(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水した。この溶液のろ過後に、これを留去、乾固させた。これにより明黄色の油状物を得た(5.4g、95%)。
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 1.26 (t, J = 4.7 Hz, 3H), 3.57 (s, 2H), 4.15 (Q, J = 7.0 及び 14.3 Hz, 2H), 7.17−7.26 (m, 2H), 7.38−7.44 (m, 1H), 7.44 (d, J= 1.56 Hz, 1H)。
【0093】
ステップ2
封管中で、(3−ブロモフェニル)酢酸エチル(0.3g、1.24mmol)とフッ化テトラブチルアンモニウム水和物(0.97g、3.72mmol)との混合物をPdCl
2(PPh
3)
2(26mg、0.037mmol、3モル%)及び1−ペンチン(367μL、3.72mmol)で処理した。この封管を80℃で2時間加熱した。この混合物を水で処理し、ジエチルエーテルで抽出した。有機抽出液を硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)25Mカラム(シリカ)上、酢酸エチル/ヘキサン 0:1〜2:98で溶離させて精製し、(3−(ペンチン−1−イル)フェニル)酢酸エチルを淡黄色の油状物として得た(0.23g、79%)。
【0094】
ステップ3
窒素雰囲気下の[3−[ペンチン−1−イル]フェニル]−酢酸エチル(0.23g、0.98mmol)のエタノール(5mL)溶液に、炭素担持Pd(10%、25mg、10%w/w)を添加した。この混合物を水素雰囲気下、室温で終夜激しく撹拌した。この溶液をろ過し、パラジウム/炭素をエタノール(20mL)で洗浄した。ろ液をシリカゲルによって濃縮した。この粗生成物を10%のヘキサン/酢酸エチルの混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。透明な油状物が得られた(0.21g、90%)。
【0095】
ステップ4
上記エステル(0.2g、0.9mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)、メタノール(1.5mL)及び水(1.5mL)の溶液に、0℃で水酸化リチウム(0.09g、3.6mmolを添加した。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。不溶分をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。次いで残渣を2MのHClで処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で脱水し、減圧下で留去した。この粗製物質を40Lバイオタージカラム(シリカ)上で、酢酸エチル/ヘキサン(0:10〜4:6)を溶離液として用いて精製した。これにより純粋な(3−ペンチルフェニル)酢酸(0.19g、99%)を白色のガム状固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.28−1.38 (m, 4H), 1.61 (qt, J = 7.6 Hz, 15.0 Hz, 2H), 2.58 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 3.56 (s, 2H), 7.07 (m, 3H), 7.20 (m, 1H); LRMS (ESI): m/z 207 (MH
+); HPLC: 4分。
【0096】
ステップ5
撹拌下の上記酸(0.19g、0.82mmol)のエタノール(4mL)及び水(1mL)の溶液に、炭酸水素ナトリウム(0.07g、0.82mmol)を添加した。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を留去し、白色のガム状固体を水に溶解させ、この溶液を凍結乾燥した。これによって純粋な(3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩(0.17g、92%)を白色固体として得た。融点 110−112℃;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.28−1.37 (m, 4H), 1.60 (qt, J = 7.4 Hz, 15.0 Hz, 2H), 2.56 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 3.43 (s, 2H), 6.96 (m, 1H), 7.12 (m, 3H); LRMS (ESI): m/z 207 ((MH
+); HPLC: 4分。
【0097】
化合物II:3−(3−ペンチルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩
上記化合物を、3−オキソ−3−ブロモフェニルプロピオン酸エチルエステルから出発して、化合物Iの場合と同様に調製した。水素化圧下、エタノール中でパラジウム/炭素を用いて、ケトン基及び二重結合を同時に還元した。白色固体;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.14−7.10 (m, 1H), 7.04−7.00 (m, 2H), 6.95−6.93 (m, 1H), 2.88−2.84 (m, 2H), 2.55 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.44−2.40 (m, 2H), 1.63−1.55 (m, 2H), 1.35−1.28 (m, 4H), 0.90 (m, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 179.3, 141.2, 140.8, 126.7, 126.4, 124.0, 123.8, 38.6, 34.2, 31.2, 29.9, 29.8, 20.9, 11.7; LRMS (ESI): m/z 203 (MH
+−CO−NaOH); HPLC: 4.5分。
【0098】
化合物III:3−(3−ブチルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩
【化3】
ステップ1
丸底フラスコ(250mL)中でイソフタルアルデヒド(1.0g、7.5mmol)、続いてジクロロメタン(100mL)を秤量した。室温において、圧力平衡の分液ロートによって、上記(トリフェニル−ホスホラニリデン)酢酸メチル(2.7g、8.2mmol)のジクロロメタン(25mL)溶液を添加した。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物をシリカゲルの小さいパッド上でろ過し、ジクロロメタン(150mL)で洗浄した。次いで減圧下で溶媒を留去し、この粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
【0099】
ステップ2
上記プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド(3.2g、8.2mmol)を窒素下で丸底フラスコ中に仕込み、無水THF(5mL)を加えた。このフラスコを氷/アセトン(−10℃)浴中で冷却し、nブチルリチウム(2.5Mのヘキサン溶液、3.28mL、8.2mmol)をゆっくりと添加した。この混合物を30分間撹拌すると暗色に変化した。氷/アセトン(−10℃)浴中窒素下で、前のステップの粗反応混合物を無水THF(5mL)中に仕込んだ。−10℃で、上記ホスホニウム溶液を上記アルデヒド溶液にゆっくりと添加し、この反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、4時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を添加し、有機層を酢酸エチルで抽出した(3×)。有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、シリカゲルを加えてドライパック(drypack)を得た。化合物をSP1(酢酸エチル/ヘキサン)によって精製した。これにより予期した生成物を得た(8.8g、54%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.70−7.65 (m, 1H), 7.45−7.24 (m, 4.5H), 6.45−6.28 (m, 2.5H), 5.70−5.67 (m, 0.5H), 3.78 (m, 3H), 2.34−2.20 (m, 2H), 1.10−1.03 (m, 3H)。
【0100】
ステップ3
丸底フラスコ(25mL)中に上記不飽和エステル(140mg、0.65mmol)を仕込み、酢酸エチル(10mL)に溶解させた。この溶液に活性炭担持10%パラジウム Pd/C(10mg)を添加した。このフラスコにセプタムで栓をし、上部に水素入り風船を取り付けた。このフラスコを水素で3回パージし、上記反応混合物を室温で終夜撹拌した。次いで固体をセライト(商標)上でろ過した。シリカゲルを加えてドライパックを調製した。0〜20%の酢酸エチル/ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得た(124mg、87%)。LRMS (ESI): m/z 221 (MH
+); HPLC: 5.0分。
【0101】
ステップ4
丸底フラスコ中に上記エステル(124mg、0.56mmol)、続いてメタノール(4mL)及び水酸化リチウム(118mg、2.8mmol)を仕込んだ。水(1mL)を加え、この反応混合物を撹拌下、50℃で17時間加熱した。この反応混合物を分液ロートに移し、HCl(1M)でpH4未満に酸性化し、酢酸エチルで抽出した(3×)。有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、留去した。この粗製物質をHPLC/ウォーターズ社によって精製した。これにより白色固体が得られた(80mg、70%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.16−7.12 (m, 1H), 7.01−6.96 (m, 3H), 2.88−2.84 (m, 2H), 2.57−2.53 (m, 4H), 1.60−1.52 (m, 2H), 1.37−1.28 (m, 2H), 0.91(t, 3H, J = 7.3Hz); LRMS (ESI): m/z 205 (M−H); HPLC: 4.2分。
【0102】
ステップ5
フラスコ(20mL)中に上記酸(80mg、0.39mmol)、続いてNaHCO
3(33mg、0.39mmol)及び水(8mL)を仕込んだ。この混合物にアセトニトリル(3mL)を加え、この反応混合物に超音波照射し、これを、殆ど全ての固体が溶解するまで加熱撹拌した。この溶液をナイロンフィルタ上でろ過した。バイアルをドライアイス/アセトン浴中に入れることによって水を固化させ、終夜凍結乾燥する。これによって所望の生成物を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.14−7.10 (m, 1H), 7.04−6.93 (m, 3H), 2.88−2.84 (m, 2H), 2.57−2.54 (m, 2H), 2.44−2.40 (m, 4H), 1.61−1.53 (m, 2H), 1.39−1.30 (m, 2H), 0.93(t, 3H, J = 7.3Hz);
13C NMR (101 MHZ, CD
3OD): δ 142.7, 142.4, 128.2, 128.0, 125.6, 125.4, 125.3, 40.1, 35.5, 33.9, 32.7, 22.2, 13.1; LRMS (ESI): m/z 251.0 (m, MNa
+), 229.0 (w, MH
+), 189.2 (100%,アシリウムイオン[M − Na
+ + 2H
+ −H2O]); HPLC: 4.1分。
【0103】
化合物IV:E−(3−ペンタ−1−エニル−フェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、E−(3−ペンタ−1−エニル−フェニル)酢酸メチルエステルから出発して、化合物Iの場合と同様に調製した。後者は3−ブロモフェニル酢酸メチルエステルを鈴木の条件下でトランス−1−ペンテニルボロン酸ピナコールエステルと反応させることによって調製した。白色固体;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ = 7.32 (s, 1H), 7.11−7.18 (m, 3H), 6.35 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 6.20−6.27 (m, 1H), 3.44 (s, 2H), 2.19 (m, 2H), 1.45−1.54 (m, 2H), 0.96 (t, J = 7.4, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ = 179.26, 138.25, 137.92, 130.32, 130.04, 128.06, 127.59, 126.60, 123.52, 45.21, 35.06, 22.52, 12.89; LRMS (ESI): m/z 205 (MH
+); HPLC: 4.1分。
【0104】
化合物V:2−(3−(ヘキサ−1−エニル)フェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、化合物VIIの場合と同様の2−(3−ブロモフェニル)酢酸メチルと(E)−ヘキサ−1−エニルボロン酸ピナコールエステルとの鈴木カップリング、ならびにそれに続く、化合物Iの場合と同様のエステルの加水分解及びナトリウム塩の生成によって調製した。白色固体:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.33 (s, 1H), 7.12−7.19 (m, 3H), 6.35 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.20 (dt, J = 15.8, 6.8 Hz, 1H), 3.46 (s, 2H), 2.17−2.22 (m, 2H), 1.33−1.49 (m, 4H), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 179.35, 138.27, 137.95, 130.27, 130.16, 128.10, 127.61, 126.64, 123.56, 45.24, 32.66, 31.67, 22.16, 13.22; LRMS (ESI): m/z 263.1 (100%, M + Na
+); HPLC : 4.4分。
【0105】
化合物VI:2−(3−ヘキシルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、化合物VIIの場合と同様の2−(3−ブロモフェニル)酢酸メチルと(E)−ヘキサ−1−エニルボロン酸ピナコールエステルとの鈴木カップリング、ならびにそれに続く、化合物Iの場合と同様の水素化、エステルの加水分解及びナトリウム塩の生成によって調製した。白色固体;
1H NMR (400 MHz, D
2O): δ7.14 (dd, J = 7.8, 7.6 Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.34 (s, 2H), 2.46 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 1.41−1.48 (m, 2H), 1.10−1.18 (m, 6H), 0.70 (t, J = 6.8 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, D
2O): δ 181.23, 143.98, 137.46, 129.47, 128.73, 126.63, 126.48, 44.58, 35.14, 31.12, 30.94, 28.23, 22.13, 13.53; LRMS (ESI): m/z 265 (100%, M + Na
+); HPLC: 4.6分。
【0106】
化合物VII:3−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル酢酸のナトリウム塩
【化4】
ステップ1
[3,5−ジヒドロキシフェニル]酢酸メチル(2.1g、11.5mmol)のアセントン(100mL)溶液を炭酸カリウム(2.4g、17.4mmol)、ヨウ化カリウム(383mg、2.31mmol)及びベンジルブロミド(1.5mL、12.7mmol)で処理し、この混合物を室温で終夜撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した(×3)。一つにまとめた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で脱水し、減圧下で留去した。この粗製物質をバイオタージ(商標)40Mカラム(シリカ)上、40%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、[3−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシフェニル]酢酸メチルを得た(1.0g、33%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.32−7.42 (m, 5H), 6.48 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 6.38−6.39 (m, 2H), 4.99 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.53 (s, 2H)。
【0107】
ステップ2
0℃の上記ベンジルエステル(1.04g、3.8mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液をN−フェニル−ビス(トリフルオロスルホニル)イミド(1.40g、3.9mmol)で処理し、次いでトリエチルアミン(0.6mL、4.1mmol)をゆっくりと添加した。この反応混合物を0℃で1時間、次いで室温で1時間撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、次いでジエチルエーテルで抽出した(×2)。一つにまとめた有機抽出液を1Mの水酸化ナトリウム水溶液、水(×2)及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)40Mカラム(シリカ)上、25%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、[3−ベンジルオキシ−5−トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル]酢酸メチルを得た(1.2g、79%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.36−7.46 (m, 5H), 6.98 (s, 1H), 6.97 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 5.06 (s, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.63 (s, 2H)。
【0108】
ステップ3
E−1−ペンテン−1−イルボロン酸ピナコールエステル(0.8g、3.9mmol)のジメトキシエタン(5mL)溶液を上記トリフレート(1.2g、3.0mmol)のジメトキシエタン(5mL)溶液で処理した。この溶液をパラジウム(0)(0.7g、0.6mmol)及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液(1.3mL、2.6mmol)で処理した。次いでこの混合物を90℃で3日間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、セライト(商標)を通してろ過した。ろ液を減圧下で留去し、この粗製物質をバイオタージ(商標)25Mカラム(シリカ)上、5%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、[3−ベンジルオキシ−5−[ペンタ−1−エニル]フェニル]酢酸メチルを得た(0.4g、40%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.36−7.47 (m, 5H), 6.90−6.92 (m, 2H), 6.79 (dd, J = 2.0, 2.0 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 6.24 (dt, J = 15.9, 6.8 Hz, 1H), 5.07 (s, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.59 (s, 2H), 2.20 (td, J = 7.4, 6.8 Hz, 2H), 1.51 (dt, J = 7.4 Hz, 2H), 0.98 (t, J = 7.4 Hz, 3H)。
【0109】
ステップ4
上記アルケン(0.4g、1.2mmol)のエタノール(13mL)溶液を炭素担持1%パラジウム(40mg)で処理した。この混合物を、1気圧の水素下、室温で終夜撹拌した。この反応混合物をろ過し、減圧下で留去し、バイオタージ(商標)25Sカラム(シリカ)上、15%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、[3−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル]酢酸メチルを得た(0.3g、93%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.64 (s, 1H), 6.58−6.60 (m, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.55 (s, 2H), 2.51 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.55−1.59 (m, 2H), 1.28−1.34 (m, 4H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0110】
ステップ5
上記エステル(0.3g、1.3mmol)のエタノール(12mL)溶液を水(3mL)及び水酸化リチウム(155mg、6.4mmol)で処理し、この混合物を室温で終夜激しく撹拌した。この反応混合物を水(100mL)で希釈し、ジクロロメタンで洗浄し、次いで1Mの塩酸水溶液でpH1に酸性化し、ジクロロメタンで抽出した(×3)。一つにまとめた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で脱水した(0.3g、95%)。この物質を更に精製することなく用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.66 (s, 1H), 6.58−6.59 (m, 2H), 3.55 (s, 2H), 2.52 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.55−1.59 (m, 2H)。
【0111】
ステップ6
上記酸(0.27g、1.23mmol)のエタノール(6mL)及び水(6mL)の溶液を炭酸水素ナトリウム(0.1g、1.2mmol)で処理し、この反応混合物を室温で数時間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、この溶液を水で希釈し、ろ過し(0.2μm)、凍結乾燥して、[3−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル]酢酸ナトリウムを白色固体として得た(0.3g、95%)。融点 63−66℃;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.63 (s, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.42 (s, 1H), 3.36 (s, 2H), 2.48 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.55−1.62 (m, 2H), 1.26−1.38 (m, 4H), 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 177.79, 155.31, 142.36, 137.62, 119.08, 111.66, 111.18, 43.70, 34.17, 29.95, 29.56, 20.87, 11.64; LRMS (ESI): m/z 445.2 (2M − 2Na
+ + 3H
+), m/z 223 (M − Na
+ + 2H
+); HPLC: 3.5分。
【0112】
化合物VIII:2−(4−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、実施例VIIの場合と同様の2−(4−(ベンジルオキシ)−3−ブロモフェニル)酢酸ベンジルと(E)−ペンタ−1−エニルボロン酸ピナコールエステルとの鈴木カップリング、及びそれに続く水素化によって調製した。白色固体;融点 192−195℃;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.01 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.93 (dd, J = 8.2, 2.3 Hz, 1H), 6.64 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.35 (s, 2H), 2.53 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.54−1.61 (m, 2H), 1.30−1.37 (m, 4H), 0.90 (t, J = 7.2 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 180.25, 153.20, 130.54, 128.80, 128.76, 127.10, 114.49, 44.45, 31.84, 30.10, 29.73, 22.52, 13.31; LRMS (ESI): m/z 245.2 (55%, MH
+), 177.4 (100%, M − CO
2Na); HPLC: 1.9分。
【0113】
化合物IX:2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
【化5】
ステップ1
2−(2−ヒドロキシフェニル)酢酸(3.00g、19.7mmol)のメタノール(40mL)溶液を硫酸(0.95mL、17.8mmol)で処理し、この反応混合物を室温で18時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(250mL)で希釈し、この溶液を水(2×150mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。熱ヘキサンから再結晶して2−(2−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルを得た(2.83g、87%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.20 (ddd, J = 7.7, 7.4, 1.8 Hz, 1H), 7.09−7.11 (m, 1H), 6.94 (dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1H), 6.88 (ddd, J = 7.4, 7.4, 1.2 Hz, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.69 (s, 2H)。
【0114】
ステップ2
2−(2−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル(1.00g、6.0mmol)、トリフェニルホスフィン(2.37g、9.0mmol)及びペンタ−1−エン−3−オール(0.78g、9.0mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を窒素下で0℃に冷却し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.86mL;9.0mL)を10分間かけて滴下により添加した。次いでこの反応混合物を60℃で21.5時間加熱した。減圧下で溶媒を留去し、残渣をヘキサン中5%の酢酸エチルで抽出した。抽出液をろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)SP1システム(120gのシリカ・カートリッジ)上、ヘキサン中0〜3%の酢酸エチルで溶離させて精製し、2−(2−(ペンタ−1−エン−3−イルオキシ)フェニル)酢酸メチルを得た(0.39g、28%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.21−7.26 (m, 1H), 7.20 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.91 (ddd, J = 7.4, 7.4, 1.0 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.84 (ddd, J = 17.4, 10.7, 6.0 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 4.63 (dt, J = 6.0, 6.0 Hz, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.68 (s, 2H), 1.71−1.87 (m, 2H), 1.02 (t, J = 7.5 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 172.58,. 156.28, 137.75, 131.19, 128.50, 123.87, 120.52, 116.66, 113.18, 79.76, 52.00, 36.61, 28.71, 9.62。
【0115】
ステップ3
2−(2−(ペンタ−1−エン−3−イルオキシ)フェニル)酢酸メチル(0.24g、1.0mmol)のN−メチル−2−ピロリドン(1.0mL)溶液を、バイオタージ イニシエータ中、180℃で30分間、次いで15分間、マイクロ波照射を照射した。この溶液を酢酸エチル(25mL)で抽出し、次いで水(4×25mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)SP1システム(40gのシリカ・カートリッジ)上、ヘキサン中0〜7%の酢酸エチルで溶離させて精製し、(E)−2−(2−ヒドロキシ−3−(ペンタ−2−エニル)フェニル)酢酸メチルを得た(0.89g、37%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.09 (s, 1H), 7.08 (dd, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H), 6.85 (dd, J = 7.6, 7.4 Hz, 1H), 5.59−5.70 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.69 (s, 2H), 3.41 (d, J = 4.7 Hz, 2H), 2.04−2.11 (m, 2H), 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 174.31, 153.53, 134.44, 129.86, 129.32, 128.62, 127.13, 121.08, 120.82, 52.79, 37.59, 34.17, 25.77, 13.97。
【0116】
ステップ4
(E)−2−(2−ヒドロキシ−3−(ペンタ−2−エニル)フェニル)酢酸メチル(0.14g、0.6mmol)を、化合物Iの場合のステップ3と同様に、但し溶媒としてメタノールを用いて水素化して、2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸メチルを得た(0.11g,76%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ 7.57 (s, 1H), 7.11 (dd, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 7.4, 7.4 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.70 (s, 2H), 2.68 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.61−1.67 (m, 2H), 1.36−1.43 (m, 4H), 0.93 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 175.01, 153.48, 131.75, 129.98, 128.75, 120.74, 120.60, 53.01, 38.30, 32.10, 30.50, 29.91, 22.87, 14.34。
【0117】
2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸メチル(0.11g、0.5mmol)を、化合物Iの場合のステップ4と同様に、アセトニトリル/水(4:1)を溶媒として用いて加水分解して、2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸を得た(0.57g、57%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 8.70 (br s, 1H), 7.09 (dd, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H), 6.98 (dd, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 7.6, 7.4 Hz, 1H), 3.68 (s, 2H), 2.62 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.57−1.65 (m, 2H), 1.31−1.40 (m, 4H), 0.91 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 179.89, 152.79, 130.92, 130.04, 128.98, 121.08, 120.24, 37.74, 32.02, 30.34, 29.78, 22.80, 14.30。
【0118】
ステップ6
2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸(22mg、0.098mmol)を、化合物Iの場合のステップ5と同様にナトリウム塩に転化させて、2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸ナトリウムを得た(24mg、98%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.91 (dd, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 6.66 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 3.49 (s, 2H), 2.59 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.55−1.62 (m, 2H), 1.28−1.38 (m, 4H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 180.26, 154.27, 130.75, 128.21, 127.90, 124.24, 119.23, 42.91, 31.83, 30.21, 29.82, 22.51, 13.29; LRMS (ESIネガティブ): m/z 220.8 (100%, M −Na
+);UPLC(システムA):5.0分 UPLC システムA:移動相A=10mMのギ酸アンモニウム水溶液;移動相B=アセトニトリル;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0119】
化合物X:2−(3−フルオロ−5−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
【化6】
ステップ1
窒素下、0℃の3−ブロモ−5−フルオロ安息香酸(2.74g、12.5mmol)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液を、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(1M、15mL、15mmol)で12分間にわたって少しずつ処理し、次いでこの反応混合物を0℃で70分間、及び室温で22時間撹拌した。反応をメタノール(10mL)の添加によってクエンチし、このメタノール性混合物を室温で3時間撹拌し、次いで減圧下でメタノールから、次いで酢酸エチルからの同時留去によって留去して粗生成物を得た。この物質を酢酸エチル(200mL)に溶解させ、この溶液を0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液(200mL)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して3−ブロモ−5−フルオロベンジルアルコールを得た(1.79g、67%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.29 (s, 1H), 7.15 (ddd, J
HF = 8.2 Hz, J
HH = 2.2, 1.8 Hz, 1H), 7.00−7.02及び7.02−7.04 (dm, J
HF = 9.2 Hz, J
HH =未分裂, 1H), 4.66 (s, 2H), 2.04 (br s, 1H);
19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −111.05 (dd, J
HF = 9.3, 8.0 Hz, 1F);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 162.87 (d, J
CF = 250.6 Hz), 145.42 (d, J
CF = 6.9 Hz), 125.45 (d, J
CF = 3.1 Hz), 122.69 (d, J
CF = 9.2 Hz), 118.01 (d, J
CF = 24.6 Hz), 112.51 (d, J
CF = 21.5 Hz), 63.60 (d, J
CF = 2.3 Hz)。
【0120】
ステップ2
3−ブロモ−5−フルオロベンジルアルコール(1.79g、8.39mmol)及びトリフェニルホスフィン(3.65g、10.10mmol)のジクロロメタン(45mL)溶液を、四臭化炭素(3.34g、10.10mmol)で10分間にわたって少しずつ処理し、次いでこの反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をジエチルエーテル(50mL)で処理した。得られた白色のスラリーを室温で撹拌し、次いでセライト(商標)を通してろ過した。残渣をジエチルエーテル(2×50mL)で洗浄し、一つにまとめたろ液と洗浄液を減圧下で留去して粗生成物を得た。シリカパッド上、2%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、3−ブロモ−5−フロオロベンジルブロミドを得た(2.21g、98%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.33 (s, 1H), 7.18 (ddd, J
HF = 8.2 Hz, J
HH = 2.0, 2.0 Hz, 1H), 7.05 (ddd, J
HF = 9.0 Hz, J
HH = 1.8, 1.6 Hz, 1H), 4.38 (s, 2H);
19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −110.19 to −110.14 (m, 1F);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 162.67 (d, J
CF = 252.1 Hz), 141.61(d, J
CF = 8.5 Hz), 128.17 (d, J
CF = 3.1 Hz), 122.94 (d, J
CF = 10.0 Hz), 119.39 (d, J
CF = 24.6 Hz), 115.34 (d, J
CF = 22.3 Hz), 31.31 (d, J
CF = 2.3 Hz)。
【0121】
ステップ3
シアン化ナトリウム(0.38g、7.73mmol)の水(0.35mL)懸濁液を3−ブロモ−5−フルオロベンジルブロミド(1.38g、5.15mmol)のジメチルホルムアミド(2.6mL)溶液で処理し、この反応混合物を封管中、75℃で3時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)と2.5%w/vの炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)との間で分配させた。水層を別の酢酸エチル(50mL)で抽出し、一つにまとめた抽出液を水(2×50mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)40iMカラム(シリカ)上において、10%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、2−[3−ブロモ−5−フルオロフェニル]アセトニトリルを得た(0.64g、58%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.26−7.28 (m, 1H), 7.17−7.19及び7.19−7.21 (dm, J
HF = 8.0 Hz, J
HH =未分裂, 1H), 6.98−7.00及び7.00−7.02 (dm, J
HF = 8.8 Hz, J
HH =未分裂, 1H), 3.73 (s, 2H);
19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −109.46 (dd, J
HF = 8.0, 8.0 Hz, 1F);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 162.90 (d, J
CF = 252.1 Hz), 133.95 (d, J
CF = 8.5 Hz), 127.24 (d, J
CF = 3.8 Hz), 123.53 (d, J
CF = 10.0 Hz), 119.22 (d, J
CF = 23.8 Hz), 117.00, 114.50 (d, J
CF = 23.1 Hz), 23.30 (d, J
CF = 1.5 Hz)。
【0122】
ステップ4
上記アリールブロミド(0.55g、2.58mmol)及び(E)−1−ペンテン−1−イルボロン酸ピナコールエステル(0.61g、3.13mmol)のジメトキシエタン(13mL)溶液を炭酸ナトリウム(0.55g、5.17mmol)の水(3mL)溶液で処理した。この溶液を窒素によって脱酸素し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.15g、0.13mmol;5モル%)で処理した。次いでこの混合物を封管中、90℃で17時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)と1Mの塩酸(50mL)との間で分配させた。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)40iMカラム(シリカ)上、(3%の)酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、(E)−2−[3−フルオロ−5−[ペンタ−1−エニル]フェニル]アセトニトリルを得た(0.43g、82%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.04 (s, 1H), 6.97 (ddd, J
HF = 9.8 Hz, J
HH = 2.0, 1.5 Hz, 1H), 6.82−6.85 (m, 1H), 6.31 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.25 (ddd, J = 15.8, 5.9, 0 Hz, 1H), 3.68 (s, 2H), 2.18 (td, J = 7.2, 5.4 Hz, 2H), 1.49 (qt, J = 7.4, 7.4 Hz, 2H), 0.95 (t, J = 7.4 Hz, 3H);
19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −112.93 (dd, J
HF = 10.6, 9.3 Hz, 1F);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 163.43 (d, J
CF = 246.0 Hz), 141.44 (d, J
CF = 8.5 Hz), 133.99, 132.37 (d, J
CF = 8.5 Hz), 128.42 (d, J
CF = 2.3 Hz), 121.60 (d, J
CF = 3.1 Hz), 117.66, 113.40 (d, J
CF = 23.1 Hz), 112.21 (d, J
CF = 22.3 Hz), 35.22, 23.49 (d, J
CF = 2.3 Hz), 22.51, 13.94。
【0123】
ステップ5
上記フェニルアセトニトリル誘導体(0.43g、2.10mmol)のメタノール(42mL)溶液を水酸化ナトリウム水溶液(5M;21mL、105mmol)で処理し、この混合物を封管中、75℃で4.5時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、6Mの塩酸水溶液(21mL)でクエンチし、室温で10分間撹拌し、次いで酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。この有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(75mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)40iMカラム(シリカ)上、70%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、所望の生成物のメチルエステル(0.09g、18%)、及び純度約95%の(E)−2−[3−フルオロ−5−[ペンタ−1−エニル]フェニル]酢酸(0.22g、48%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 11.17 (br s, 1H), 7.02 (s, 1H), 6.98 (ddd, J
HF = 9.8 Hz, J
HH = 2.0, 1.8 Hz, 1H), 6.85 (ddd, J
HF = 9.0 Hz, J
HH = 1.8, 1.6 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.25 (dt, J = 15.8, 6.4 Hz, 1H), 3.62 (s, 2H), 2.17−2.22 (m, 2H), 1.51 (qt, J = 7.4, 7.4 Hz, 2H), 0.96 (t, J = 7.4 Hz, 3H);
19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −114.10 (dd, J
HF = 9.3, 9.3 Hz, 1F)。
【0124】
ステップ6
上記不完全に精製された酸(0.28g、1.26mmol)のアセトン(5mL)溶液を、炭酸カリウム(0.26g、1.90mmol)、ヨウ化カリウム(0.04g、0.25mmol)及びベンジルブロミド(0.18mL、1.5mmol)で処理し、この反応混合物を室温で18時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(25mL)と1Mの塩酸水溶液(25mL)との間で分配させた。次いで有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)40iMカラム(シリカ)上、5%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離させて精製し、(E)−2−[3−フルオロ−5−[ペンタ−1−エニル]フェニル]酢酸ベンジル(0.3g、75%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.32−7.40 (m, 5H), 7.03 (s, 1H), 6.97 (ddd, J
HF = 10.0 Hz, J
HH = 2.3, 1.5 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J
HF = 9.0 Hz, J
HH = 2.0, 1.7 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.23 (dt, J = 15.8, 6.5 Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 3.64 (s, 2H), 2.17−2.23 (m, 2H), 1.52 (qt, J = 7.4, 7.4 Hz, 2H), 0.97 (t, J = 7.4 Hz, 3H);
19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −114.34 (dd, J
HF = 9.3, 9.3 Hz, 1F);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 171.08, 163.32 (d, J
CF = 244.4 Hz), 140.65 (d, J
CF = 7.7 Hz), 136.17 (d, J
CF = 8.5 Hz), 135.93, 133.05, 128.95 (d, J
CF = 3.1 Hz), 128.84, 128.52 (d, J
CF = 9.2 Hz), 128.48, 123.09 (d, J
CF = 2.3 Hz), 114.78 (d, J
CF = 22.3 Hz), 111.46 (d, J
CF = 22.3 Hz), 67.04, 41.26 (d, J
CF = 1.5 Hz), 35.27, 22.63, 14.00。
【0125】
ステップ7
上記ベンジルエステル(0.16g、0.50mmol)の酢酸エチル(2mL)溶液を炭素担持パラジウム(1%w/wのPd;15mg)で処理した。この混合物を水素で脱気し、1気圧の水素下、室温で終夜撹拌した。この反応混合物をろ過し、減圧下で留去して2−[3−フルオロ−5−ペンチルフェニル]−酢酸を得た(0.11g、97%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 11.47 (br s, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.81−6.86 (m, 2H), 3.62 (s, 2H), 2.60 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.58−1.66 (m, 2H), 1.28−1.41 (m, 4H), 0.92 (t, J = 6.8 Hz, 3H);
19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −114.34 (dd, J
HF = 9.3, 9.3 Hz, 1F);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 178.15, 163.08 (d, J
CF = 246.0 Hz), 145.02 (d, J
CF = 7.7 Hz), 135.04 (d, J
CF = 8.5 Hz), 125.49 (d, J
CF = 2.3 Hz), 114.49 (d, J
CF = 20.8 Hz), 113.83 (d, J
CF = 22.3 Hz), 41.01 (d, J
CF = 1.5 Hz), 35.87 (d, J
CF = 1.5 Hz), 31.67, 31.03, 22.74, 14.24。
【0126】
ステップ8
上記酸(0.11g、0.49mmol)のエタノール(3mL)溶液を炭酸水素ナトリウム(0.041g、0.49mmol)の水(0.75mL)溶液で処理し、この反応混合物を室温で17時間撹拌した。エタノールを減圧下で留去し、残留した水性シロップ状液を水(10mL)で希釈し、ろ過し(0.2μm)、凍結乾燥して2−[3−フルオロ−5−ペンチルフェニル]酢酸ナトリウムを白色固体として得た(0.12g、99%)。融点 120−123℃;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.94 (s, 1H), 6.87 (ddd, J
HF = 9.8 Hz, J
HH = 2.0, 2.0 Hz, 1H), 6.70 (ddd, J
HF = 10.0 Hz, J
HH = 2.0, 2.0 Hz, 1H), 3.45 (s, 2H), 2.56 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.58−1.63 (m, 2H), 1.26−1.39 (m, 4H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
19F NMR (377 MHz, CD
3OD): δ −117.54 (dd, J
HF = 10.0, 10.0 Hz, 1F);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 178.66, 163.04 (d, J
CF = 242.9 Hz), 145.07 (d, J
CF = 7.7 Hz), 140.42 (d, J
CF = 8.5 Hz), 125.03 (d, J
CF = 2.3 Hz), 112.99 (d, J
CF = 22.3 Hz), 112.30 (d, J
CF = 20.8 Hz), 44.96, 35.53 (d, J
CF = 1.5 Hz), 31.46, 31.00, 22.45, 13.30; HPLC: 1.2分。
【0127】
化合物XI:2−(2−フルオロ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、3−ブロモ−2−フルオロ安息香酸から出発して、化合物Xの場合と同様に調製した。白色固体;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.13 (ddd, J
HF = 7.0 Hz, J
HH = 7.4, 1.9 Hz, 2H), 7.03 (ddd, J
HF = 7.0 Hz, J
HH = 7.4, 1.9 Hz, 1H), 6.97 (dd, J
HH = 7.4, 7.4 Hz, 1H), 3.51 (d, J
HF = 1.4 Hz, 2H), 2.61 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.56−1.63 (m, 2H), 1.28−1.40 (m, 4H), 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 178.21, 159.70 (d, J
CF = 242.9 Hz), 129.07 (d, J
CF = 4.6 Hz), 128.88, 128.43 (d, J
CF = 5.4 Hz), 125.02 (d, J
CF = 17.7 Hz), 123.31 (d, J
CF = 4.6 Hz), 37.89 (d, J
CF = 3.8 Hz), 31.55, 29.98, 28.91 (d, J
CF = 3.1 Hz), 22.41, 13.26;
19F NMR (377 MHz, CD
3OD): δ −126.09 to −126.05 (m, 1F); LRMS (ESI): m/z 220.0 (M − CO
2Na + アセトニトリル), 179.4 (M − CO
2Na); HPLC: 1.2分。
【0128】
化合物XII:2−(4−フルオロ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)酢酸メチルから、化合物VIIの場合と同様の鈴木カップリング、ならびにそれに続く、化合物Iの場合と同様の水素化、エステルの加水分解及び塩の生成によって調製した。上記出発物質であるエステルは、硫酸存在下での2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)酢酸のメタノールとの反応によって調製した。白色固体;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.16 (dd, J
HF = 7.4 Hz, J
HH = 2.3 Hz, 2H), 7.08 (ddd, J
HF = 5.0 Hz, J
HH = 8.3, 2.3 Hz, 1H), 6.88 (dd, J
HF = 10.1 Hz, J
HH = 8.3 Hz, 1H), 3.40 (s, 2H), 2.59 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.55−1.63 (m, 2H), 1.28−1.40 (m, 4H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 179.12, 159.88 (d, J
CF = 240.6 Hz), 133.88 (d, J
CF = 3.8 Hz), 131.26 (d, J
CF = 4.6 Hz), 128.78 (d, J
CF = 16.1 Hz), 127.96 (d, J
CF = 8.5 Hz), 114.26 (d, J
CF = 23.1 Hz), 44.38, 31.51, 30.00, 28.76 (d, J
CF = 1.5 Hz), 22.36, 13.18;
19F NMR (377 MHz, CD
3OD): δ −126.45〜−126.40 (m, 1F); LRMS (ESI): m/z 225.2 (M − Na
+ + 2H
+); HPLC: 1.9分。
【0129】
化合物XIII:(RS)−2−フルオロ−2−(3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、2−フルオロ−2−(3−ペンチルフェニル)酢酸エチルから、化合物Iの場合と同様に調製した。該エステルは、テトラヒドロフラン中、−78℃での2−(3−ペンチルフェニル)酢酸エチルのリチウムジイソプロピルアミド及びN−フルオロベンゼンスルホンイミドとの反応によって調製した。白色固体;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.34 (s, 1H), 7.30 (dd, J = 7.6, 1.4 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 7.6, 7.6 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 7.4, 1.0 Hz, 1H), 5.53 (d, J
HF = 51.3 Hz, 1H), 2.60 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.59−1.65 (m, 2H), 1.27−1.39 (m, 4H), 0.76 (t, J = 6.9 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 173.73 (d, J
CF = 23.9 Hz), 141.34, 136.37 (d, J
CF = 20.0 Hz), 126.79 (d, J
CF = 2.3 Hz), 126.40, 125.41 (d, J
CF = 5.4 Hz), 122.84 (d, J
CF = 5.4 Hz), 90.34 (d, J
CF = 183.4 Hz), 34.13, 29.91, 29.65, 20.85, 11.64;
19F NMR (377 MHz, CD
3OD): δ −168.83 (d, J
HF = 51.7 Hz, 1F); LRMS (ESIネガティブ): m/z 223.0 (100%, M − Na
+); HPLC: 4.1分。
【0130】
化合物XIV:2−[3,5−ジペンチルフェニル]酢酸ナトリウム
【化7】
ステップ1
窒素下、0℃の2−[3,5−ジヒドロキシフェニル]酢酸メチル(1.00g、5.49mmol)及びN−フェニル−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(4.31g、12.1mmol)のジクロロメタン(20mL)懸濁液をトリエチルアミン(1.68mL、12.1mmol)で処理した。透明な溶液が生成した。次いでこの反応混合物を窒素下、0℃で2時間、及び室温で21時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、この溶液を0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液(2×100mL)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(75mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)40iMカラム(シリカ)上、酢酸エチル/ヘキサン 0:1〜1:9で溶離させて精製し、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル]酢酸メチルを淡色の油状物として得た(2.23g、91%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.32 (d, J = 2.2 Hz, 2H), 7.18 (dd, J = 2.2, 2.2 Hz, 1H), 3.72 (s, 5H); 19F NMR (377 MHz, CDCl
3): δ −73.20 (s, 3F);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 170.05, 149.48, 139.01, 122.95, 118.87 (q, JCF = 320.5 Hz), 114.42, 52.62, 40.29。
【0131】
ステップ2
上記アリールビス(トリフレート)(2.23g、4.99mmol)及び(E)−1−ペンテン−1−イルボロン酸ピナコールエステル(2.45g、12.5mmol)の1,2−ジメトキシエタン(25mL)溶液を、炭酸ナトリウム(1.59g、15.0mmol)の水(8mL)溶液で処理した。この溶液を窒素で脱酸素し、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.58g、0.50mmol)で処理した。この混合物を封管中、90℃で17時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(200mL)と1Mの塩酸水溶液(150mL)との間で分配させた。有機相を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)40iLカラム(シリカ)上、酢酸エチル/ヘキサン 0:1〜3:97で溶離させて精製し、2−[3,5−ジ[(E)−1−ペンタ−1−エニル]フェニル]酢酸メチルを、分離不能な過剰の(E)−1−ペンテン−1−イルボロン酸ピナコールエステルとの10:4の混合物として得た(1.12g、61%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.21 (s, 1H), 7.10 (d, J = 1.3 Hz, 2H), 6.34 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.22 (dd, J = 15.8, 6.7 Hz, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.55 (s, 2H), 2.18 (tdd, J= 6.8, 6.8, 1.0 Hz, 2H), 1.49 (qt, J = 7.4, 7.2 Hz, 2H), 0.96 (t, J = 7.4 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 172.04, 138.59, 134.47, 131.34, 129.97, 125.57, 122.75, 52.07, 41.32, 35.39, 22.77, 13.97。
【0132】
ステップ3
上記不飽和化合物(1.12g、78.5%w/w、3.07mmol)の酢酸エチル(1mL)及びメタノール(1mL)の溶液を、炭素担持パラジウム(10%w/wのPd;0.12g)で処理した。この混合物を水素で脱気し、1気圧の水素下、室温で22時間撹拌した。この反応混合物をろ過し、減圧下で留去して2−[3,5−ジペンチルフェニル]酢酸メチルを、分離不能なペンチルボロン酸ピナコールエステルとの10:4の混合物として得た(0.86g、76%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.93 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 3.59 (s, 2H), 2.58 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 1.58−1.66 (m, 2H), 1.32−1.38 (m, 4H), 0.91 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0133】
ステップ4
上記メチルエステル(0.86g、79%w/w、2.34mmol)のアセトニトリル(24mL)溶液を水酸化リチウム(0.28g、11.7mmol)の水(6mL)溶液で処理し、この反応混合物を室温で22時間撹拌した。この反応混合物を1Mの塩酸水溶液(55mL)でクエンチし、次いで酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。SiliaSep酸化ケイ素カラム上、酢酸エチル/ヘキサン 0:1〜1:4で溶離させて精製し、2−[3,5−ジペンチル]フェニル]酢酸を無色の油状物として得た(0.55g、84%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.99 (s, 3H), 3.65 (s, 2H), 2.63 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.64−71 (m, 2H), 1.36−1.44 (m, 4H), 0.97 (t, J = 6.9 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 178.96, 143.55, 133.21, 127.93, 127.06, 41.47, 36.13, 31.94, 31.47, 22.86, 14.34。
【0134】
ステップ5
上記の酸(0.48g、1.75mmol)のエタノール(12mL)溶液を炭酸水素ナトリウム(0.15g、1.75mmol)の水(3mL)溶液で処理し、この反応混合物を室温で3日間撹拌した。エタノールを減圧下で留去し、残留した水性シロップ状液を水(50mL)で希釈し、ろ過し(PES、0.2μm)、凍結乾燥して、2−[3,5−ジペンチルフェニル]酢酸ナトリウムを白色固体として得た(0.52g、定量的)。融点 225−230℃;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD + D
2O): δ 6.92 (s, 2H), 6.76 (s, 1H), 3.41 (s, 2H), 2.50 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.52−1.59 (m, 2H), 1.23−1.33 (m, 4H), 0.85 (t, J = 6.9 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD + D
2O): δ 179.99, 142.66, 137.63, 126.66, 126.16, 45.11, 35.61, 31.36, 31.19, 22.41, 13.47; LRMS (ESI): m/z 277.5 (w, [M − Na+ + 2H+]), 231.1 (100%,カルボキシ基の脱離に由来するトロピリウムイオン); HPLC: 3.0分。
【0135】
化合物XV:2−[3,5−ジヘキシルフェニル]酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、(E)−ヘキサ−1−エニルボロン酸ピナコールエステルから、化合物XIVの場合と同様に調製した。白色固体;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.96 (s, 2H), 6.79 (s, 1H), 3.43 (s, 2H), 2.54 (d, J = 7.7 Hz, 4H), 1.55−1.63 (m, 4H), 1.28−1.36 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 6H); 13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 179.68, 142.38, 137.82, 126.55, 126.07, 45.30, 35.87, 31.83, 31.67, 29.02, 22.61, 13.42; LRMS (ESI): m/z 322.0 (100%, M − Na+ + H+ + NH
4+)及び259.0 (35%, M − CO
2Na);UPLC(システムA):8.9分 UPLC システムA:移動相A=10mMの炭酸水素アンモニウム水溶液;移動相B=アセトニトリル;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0136】
化合物XVI:2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
【化8】
ステップ1
2,4−ジブロモ−6−(ブロモメチル)フェノール(3.5g、10.0mmol)のアセトニトリル(17mL)溶液をシアン化ナトリウム(2.5g、50.0mmol)の溶液で処理し、この反応混合物を還流下、100℃で1時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(100mL)に注ぎ込んだ。1Mの塩酸水溶液でpHを10〜8に調節し、この混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。一つにまとめた抽出液を1Mの塩酸水溶液(250mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。アセトンで抽出し、ろ過し、減圧下で留去して2−(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシフェニル)アセトニトリルを得た(2.6g、90%)。
1H NMR (400 MHz, d6−アセトン): δ 8.75 (br s, 1H), 7.69 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 3.92 (s, 2H);
13C NMR (101MHz, d6−アセトン): δ 151.31, 134.51, 131.92, 122.80, 117.43, 111.89, 111.53, 18.70。
【0137】
ステップ2
2−(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル(2.6g、9.0mmol)を、硫酸(2.5mL)、酢酸(2.5mL)及び水(2.5mL)の混合物で処理し、この反応混合物を還流下、125℃で2時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、氷(50mL)と水(50mL)の混合物中に注ぎ込み、次いで氷が融解するまで撹拌した。この混合物を酢酸エチル(250mL)で抽出し、次いで抽出液を水(100mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗製の2−(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシフェニル)酢酸を得た(3.1g)。この物質を更に精製またはキャラクタライズすることなく、次のステップに直接用いた。
【0138】
ステップ3
粗製の2−(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシフェニル)酢酸(3.1g、9.0mmol)のメタノール(17mL)溶液を硫酸(0.43mL、8.1mmol)で処理し、この反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。減圧下でメタノールを留去し、残渣を酢酸エチル(270mL)に溶解させた。この溶液を水(2×200mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(130mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)SP1システム(120gのシリカ・カートリッジ)上、ヘキサン中0〜20%の酢酸エチルで溶離させて精製し、2−(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルを得た(1.4g、49%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.52 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.42 (br s, 1H), 3.72 (s, 3H), 3.65 (s, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 172.06, 150.60, 133.74, 133.50, 123.94, 112.62, 111.77, 52.78, 36.61。
【0139】
ステップ4
2−(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル(0.5g、1.54mmol)のアセトン(5mL)溶液を、炭酸カリウム(0.26g、1.86mmol)、ヨウ化カリウム(0.05g、0.32mmol)及びベンジルブロミド(0.20mL、1.7mmol)で処理し、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。減圧下でアセトンを留去し、残渣を酢酸エチル(50mL)と1Mの塩酸水溶液(50mL)との間で分配させた。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、減圧下で留去して粗生成物を得た。バイオタージ(商標)SP1システム(40gのシリカ・カートリッジ)上、ヘキサン中0〜10%の酢酸エチルで溶離させて精製し、2−(2−(ベンジルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル)酢酸メチルを得た(0.6g、95%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.67 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.48−7.51 (m, 2H), 7.37 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.34−7.43 (m, 3H), 4.99 (s, 2H), 3.66 (s, 3H), 3.60 (s, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 171.26, 153.79, 136.56, 135.38, 133.57, 132.04, 128.82, 128.64, 128.52, 118.69, 117.56, 75.53, 52.50, 35.86。
【0140】
ステップ5
2−(2−(ベンジルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル)酢酸メチル(0.3g、0.73mmol)及び(E)−ペンタ−1−エニルボロン酸ピナコールエステル(0.4g、1.79mmol)を、化合物Iの場合のステップ2と同様にカップリングして、2−(2−(ベンジルオキシ)−3,5−ジ((E)−ペンタ−1−エニル)フェニル)酢酸メチルを得た(0.21mg、72%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.50 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.44 (dd, J = 7.2, 7.2 Hz, 2H), 7.43 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 7.2, 7.2 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.39 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.32 (dt, J = 15.8, 7.0 Hz, 1H), 6.22 (dt, J = 15.8, 6.8 Hz, 1H), 4.87 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.67 (s, 2H), 2.20−2.29 (m, 4H), 1.50−1.60 (m, 4H), 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.00 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 172.49, 153.59, 137.58, 134.35, 132.91, 131.91, 130.84, 129.53, 128.78, 128.32, 128.30, 128.24, 127.26, 125.21, 123.89, 75.89, 52.21, 35.94, 35.74, 35.42, 22.87, 22.77, 14.07, 14.06。
【0141】
ステップ6
2−(2−(ベンジルオキシ)−3,5−ジ((E)−ペンタ−1−エニル)フェニル)酢酸メチル(0.2g、0.53mmol)を、化合物Iの場合のステップ3と同様に水素化して、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸メチルを得た(0.12g、73%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.37 (s, 1H), 6.92 (d, J = 2.1 Hz, 2H), 6.77 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.67 (s, 2H), 2.65 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.51 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.58−1. 66 (m, 4H), 1.31−1.41 (m, 8H), 0.93 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 175.01, 151.27, 135.14, 131.48, 129.92, 128.52, 120.30, 52.95, 38.35, 35.34, 32.15, 31.86, 31.74, 30.61, 30.03, 22.87, 22.83, 14.34, 14.31。
【0142】
ステップ7
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルペンチル)酢酸メチル(0.2g、0.53mmol)を、化合物Iの場合のステップ4と同様に加水分解して、ラクトン化した物質が混入した粗生成物を得た。少量を、バイオタージ(商標)SP1システム(120gのシリカ・カートリッジ)上、ヘキサン中0〜100%の酢酸エチルで溶離させて精製し、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸を得た(13.5mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 10.5 (br s, 1H), 6.89 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.32 (br s, 1H), 3.66 (s, 2H), 2.58 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 2.48 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.52−1. 63 (m, 4H), 1.26−1.37 (m, 8H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0143】
ステップ8
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸(13.5mg、0.046mmol)を、化合物Iの場合のステップ5と同様にナトリウム塩へと転化させて、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸ナトリウムを得た(11mg、77%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.72 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.46 (s, 2H), 2.56 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.44 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.50−1. 61 (m, 4H), 1.25−1.37 (m, 8H), 0.90 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 180.33, 151.94, 133.47, 130.37, 128.21, 127.81, 123.99, 42.90, 34.97, 31.81, 31.60, 31.40, 30.25, 29.88, 22.51, 22.45, 13.29, 13.24; LRMS (ESIネガティブ): m/z 291.2 (100%, M −Na+);UPLC (システムB):7.7分 UPLC システムB:移動相A=0.1%のギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0144】
化合物XVII:2−(3,5−ジヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、(E)−ヘキサ−1−エニルボロン酸ピナコールエステルを用いて、化合物XVIの場合と同様に調製した。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.72 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.46 (s, 2H), 2.56 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.44 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.50−1. 60 (m, 4H), 1.27−1.37 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.6 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 6.80 Hz, 3H); LRMS (ESIネガティブ): m/z 319 (100%, M − Na+);UPLC(システムB):8.7分 UPLC システムB:移動相A=0.1%のギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0145】
化合物XVIII:2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、2−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)酢酸から、化合物XVIの場合と同様に調製した。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.87 (s, 2H), 3.33 (s, 2H), 2.55 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 1.53−1. 61 (m, 4H), 1.31−1.37 (m, 8H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 6H); LRMS (ESIネガティブ): m/z 291.1 (100%, M − Na+);UPLC(システムB):6.8分 UPLC システムB:移動相A=0.1%のギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0146】
化合物XIX:2−(3,5−ジヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、2−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、及び(E)−ヘキサ−1−エニルボロン酸ピナコールエステルから、化合物XVIの場合と同様に調製した。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.72 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.46 (s, 2H), 2.56 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.44 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.50−1.60 (m, 4H), 1.27−1.37 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.6 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3H); LRMS (ESIネガティブ): m/z 319.1 (100%, M − Na+);UPLC(システムB):7.6分 UPLC システムB:移動相A=0.1%のギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0147】
化合物XX:2−(4−フルオロ−3,5−ジヘキシルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、3,5−ジブロモ−4−フルオロベンジルブロミド及び(E)−ヘキサ−1−エニルボロン酸ピナコールエステルから出発して、化合物XVIの場合と同様に調製した。3,5−ジブロモ−4−フルオロベンジルブロミドは、アセトニトリル中80℃での、N−ブロモスクシンイミド及びアゾビスイソブチルニトリルを用いた3,5−ジブロモ−4−フルオロトルエンの臭素化によって調製した。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.98 (d, JHF = 7.0 Hz, 2H), 3.38 (s, 2H), 2.57 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 1.54−1.61 (m, 4H), 1.28−1.37 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.7 Hz, 6H); 19F NMR (377 MHz, CD
3OD): δ −132.17 (d, JHF = 6.6 Hz, 1F); 13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 179.44, 158.11 (d, JCF = 239.8 Hz), 133.26 (d, JCF = 3.8 Hz), 128.73 (d, JCF = 5.4 Hz), 128.56 (d, JCF = 16.9 Hz), 44.52, 31.69, 30.35 (d, JCF = 1.5 Hz), 28.98, 28.97 (d, JCF = 3.1 Hz), 22.51, 13.29; LRMS (ESIネガティブ): m/z 321.0 (100%, M − Na+);UPLC(システムB):9.2分 UPLC システムB:移動相A=0.1%のギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0148】
化合物XXI:2−(4−フルオロ−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上記化合物を、3,5−ジブロモ−4−フルオロベンジルブロミドから出発して、化合物XVIの場合と同様に調製した。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 6.98 (d, JHF = 6.8 Hz, 2H), 3.37 (s, 2H), 2.57 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.54−1.62 (m, 4H), 1.28−1.37 (m, 8H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 6H); 19F NMR (377 MHz, CD
3OD): δ −132.34 (d, JHF = 6.6 Hz, 1F); 13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 179.41, 158.10 (d, JCF = 239.8 Hz), 133.26 (d, JCF = 3.8 Hz), 128.72 (d, JCF = 4.6 Hz), 128.56 (d, JCF = 16.9 Hz), 44.51, 31.54, 30.07, 28.92 (d, JCF = 3.1 Hz), 22.38, 13.22; LRMS (ESIネガティブ): m/z 293.0 (100%, M − Na+);UPLC(システムB):8.4分 UPLC システムB:移動相A=0.1%のギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;固相=HSS T3カラム;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。
【0149】
化合物XXII:2−(2−ベンジル−3,5−ジペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
標記化合物を、2−(2−ベンジル−3,5−ジ((E)−ペンタ−1−エニル)フェニル)酢酸メチルから、化合物XIVの場合と同様に調製した。後者は、化合物XIVの規模拡大実験由来の副生成物(収率1.1%)として単離した。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.17 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 7.09 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 1H), 6.97−6.99 (m, 3H), 6.86 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 4.13 (s, 2H), 3.40 (s, 2H), 2.55 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.49 (t, J = 7.8Hz, 2H), 1.59−1.67 (m, 2H), 1.31−1.45 (m, 6H), 1.21−1.26 (m, 4H), 0.91 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.82 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD): δ 179.48, 141.46, 141.24, 140.47, 137.46, 133.70, 128.36, 128.05, 127.86, 127.75, 125.42, 43.25, 35.54, 33.90, 33.61, 31.86, 31.65, 31.25, 30.96, 22.49, 22.40, 13.31, 13.23; LRMS (ESIネガティブ): m/z 365.0 (20%, M − Na
+), 321.1 (100%, M − CO
2Na);UPLC(システムB):9分 (UPLC システムB:移動相A=0.1%のギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;固相=HSS T3;勾配=10分間にわたるA中5〜100%のB。)
【0150】
化合物XXIII:2−[3,5−ジ[(E)−ペンタ−1−エニル]フェニル]酢酸ナトリウム
標記化合物を、化合物XIVの場合と同様の手順を用い、但し水素化のステップを割愛して調製した。融点 226−30℃;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 7.18 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 7.11 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.34 (d, J = 15.9 Hz, 2H), 2.23 (dt, J = 15.9, 6.7 Hz, 2H), 3.44 (s, 2H), 2.14−2.19 (m, 4H), 1.49 (tq, J = 7.4, 7.4 Hz, 4H), 0.95 (t, J = 7.3 Hz, 6H);
13C NMR (101MHz, CD
3OD): δ 179.41, 138.34, 138.06, 130.30, 130.16, 125.26, 121.60, 45.24, 35.10, 22.55及び12.98; LRMS (ネガティブモード): m/z 271 (w, [M − Na
+]), 227.2 (100%, [M − Na
+− CO
2]);UPLC:8分 (UPLC;条件 溶媒A=0.1%のギ酸水溶液;溶媒B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;勾配:0.7mL/分における10分間にわたるA中5〜100%のB)。
【0151】
化合物XXIV:3−[3,5−ジペンチルフェニル]プロピオン酸ナトリウム
標記化合物を、3−[3,5−ジブロモフェニル]プロピオン酸から出発して、化合物XIVの場合と同様の手順を用いて調製した。融点 211−217℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.73 (s, 1H), 6.68 (s, 2H), 2.73−2.77 (m, 2H), 2.42−2.46 (m, 2H), 2.38 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 1.43−1.51 (m, 4H), 1.19−1.28 (m, 8H), 0.83 (t, J = 6.9 Hz, 6H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ 182.55, 142.93, 141.85, 125.96, 125.77, 39.80, 36.13, 32.77, 31.99, 31.47, 22.79及び14.27; LRMS (ネガティブモード): m/z 289.4 (100%, [M − Na
+]);UPLC:9分 (UPLC:条件 溶媒A=0.1%のギ酸水溶液,溶媒B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;勾配:0.7mL/分における10分間にわたるA中5〜100%のB。)
【0152】
実施例2:LPSに刺激されたRAW264.7細胞に対する化合物の効果;破骨細胞前駆細胞
細菌由来の細胞壁産物であるLPSは、長い間、骨減少の発症における主要因として認知されている。LPSは骨吸収において重要な役割を果たし、骨吸収は炎症細胞のリクルート、サイトカイン(インターロイキン6(IL−6)、IL−12及び腫瘍壊死因子a(TNF−a)など)の合成、及び破骨細胞形成及び分化の活性化を伴う。
【0153】
RAW264.7細胞は破骨細胞の前駆細胞であり、NF−κB活性化受容体リガンド(RANKL)またはリポ多糖(LPS)を含むいくつかの因子によって分化し得る。破骨細胞は、高発現または、破骨細胞のマーカーとして用いることができる酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRACP)及びマトリクスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)を特徴とする。カプリン酸の存在でRAW264.7細胞をインキュベートしたところ、IL−12産生が増加し、ホスファターゼ(TRAP)陽性の細胞(TRAP発現、破骨細胞分化マーカー)が減少したことが明らかになっている(Wang et al., J. Biol. Chem. (2006), Vol. 281, No. 45, pp.34457−64)。更に、LPSは誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)のmRNAレベル及び一酸化窒素(NO)産生を強力に上方制御した一方で、カプリン酸はこれらを阻害した。また、カプリン酸は単球走化性タンパク質1(MCP−1)のmRNA発現も阻害した。
【0154】
マウスの破骨細胞前駆細胞株であるRAW264.7細胞において、選択された化合物のTRAP(破骨細胞マーカー)及びIL−12に対する効果を、破骨細胞形成の低下に関する陽性対照としてのカプリン酸と比較して行った(Park et al. (2011) PLOS One Volume 6, Issue 11, 8 pages)。カプリン酸もしくは化合物Iの存在下または非存在下で、LPS(1ug/ml)と共にインキュベートすることによってRAW264.7細胞を分化させた。第3〜5日に、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)の染色を用いて破骨細胞形成を評価した。
【0155】
図1は、TRAPの高発現(濃色の染色)によって示される、RAW264.7細胞におけるLPSの破骨細胞形成効果を表わす。カプリン酸及び化合物Iと共に行ったインキュベーションは、対照及びLPS誘導性の細胞及びTRAPを産生しない細胞を観察することができるという異なる表現型を示し、このことはこれらの細胞が破骨細胞に分化していないことを示す。
【0156】
LPSに刺激されたRAW264.7において、カプリン酸がIL−12の産生を増加させることも報告されている(Wang et al., J. Biol. Chem. (2006), Vol. 281, No. 45, pp.34457−64)。カプリン酸は既知の破骨細胞形成阻害剤でもあることから、化合物IがIL−12産生の増加を促進することができるかを判定するために実験を行った。95%の空気−5%の二酸化炭素の加湿した雰囲気中、37℃で21時間、化合物の存在または非存在で、RAW264.7細胞を100ng/mLのLPSと共に培養した。IL−12 ELISAを用い、製造者(BD Biosciences社)の推奨に従って、培養培地中のIL−12濃度を測定した。
図2は、種々の濃度の化合物Iの存在での、LPSに刺激されたRAW264.7細胞におけるIL−12産生の強力な誘導を示している。
【0157】
実施例3:LPSに刺激されたRAW264.7細胞におけるIL−12産生に対する式Iの化合物の効果;破骨細胞前駆細胞
IL−12はまた、破骨細胞形成を阻害することも報告されている(Horwood and al. (2001) J. of Immunology, Volume 166, No. 8, pp. 4915−4921)。化合物1の存在でインキュベートしたLPSに刺激されたRAW264.7細胞が、IL−2を増加させ、破骨細胞形成(TRAP)を低減することが実施例1において実証されるように。可能性のある破骨細胞形成の阻害剤をスクリーニングするために、イン・ビトロでのIL−12産生アッセイを使用した。表2は、代表的な式Iの化合物のIL−12産生に対する効果を表わす。全てのこれらの化合物はIL−12産生の有意な増加を誘導した。
【0158】
【表3】
【表4】
【0159】
これらの結果は、LPSの存在下で、被験化合物がIL−12の産生を誘導することを実証している。IL−12の産生をシミュレートできるということは、式Iの化合物が、IL−12の誘導の結果として骨粗しょう症を予防及び/または治療するために有用であり得ることを意味する。このことは実施例1及び2に上記した引用文献によって支持され、これらの文献は、IL−12が破骨細胞形成に対する直接的な阻害効果を有することを教示する。
【0160】
実施例4 卵巣切除ラットモデルにおける骨粗しょう症の低減に対する化合物Iの効果
ラットの骨格量はヒトと比較して、その寿命の間に長期間安定ではあるが、ラットを卵巣切除して、性ホルモン欠失にすること及び女性において閉経後に起こる骨の減少の加速を刺激することができる。卵巣切除はラットにおいて骨減少を誘導し、閉経後の骨減少はこれと多くの類似の特徴を共有する。これらの特徴としては、骨の形成を上回る吸収を伴う骨の代謝回転速度の増加、初期の急速な骨減少の段階とその後の大幅に緩やかな段階、皮質骨よりも大きな海綿質の減少、カルシウムの腸内吸収の低下、肥満による骨減少に対する多少の防御、ならびにエストロゲン、タモキシフェン、ビスホスホネート、副甲状腺ホルモン、カルシトニン及び運動による療法と類似する骨格への奏功が挙げられる。これらの広範な類似性は、卵巣切除ラット骨減少モデルが閉経後の骨減少に関連する問題の研究に好適であることの強力な証左である。
【0161】
スプラーグ・ドーリーラット(250g)を第0日に卵巣切除(OVX)した。第14日から第68日まで、強制経口摂取によりラットを化合物I(200mg/kg)によって治療した。種々のパラメータ(体重、カルシウム減少、破骨細胞マーカー(RANKL及びTRAP mRNAの発現)、コラーゲン含有量及び組織学)の評価を第68日に行った。
【0162】
図3は卵巣切除ラットの体重増加を示す(「閉経後の肥満」と類似)。化合物Iは卵巣切除誘導性肥満を低減した。
【0163】
図4は卵巣切除ラットにおけるカルシウム減少に対する化合物Iの効果を表す。カルシウム減少は、第28日から第56日まで、卵巣切除ラットの尿において検知される。化合物Iは卵巣切除ラットにおけるカルシウム減少を有意に低減した。
【0164】
更に、血清中の酸性ホスファターゼ活性が破骨細胞形成の指標であることが知られている(Park et al. (2011) PLOS One Volume 6, Issue 11, pp. 1−8)。血清酸性ホスファターゼ活性を測定したところ、この活性は卵巣切除ラットにおいて、第28日目から第56日目まで有意に増加する(
図5)。但し、化合物Iは、卵巣切除ラットの血清中の酸性ホスファターゼ活性を低下させ(
図5)、減少は破骨細胞形成の低下の成功を示す。
【0165】
図6は、第68日のラットの脛骨におけるRANKL/OPGのmRNA発現の比に対する化合物Iの効果を表す。該図に示すように、RANKL/OPGのmRNA発現は、骨粗しょう症を発症するラットにおいて増加した一方、化合物Iによる治療に伴って減少し、減少は破骨細胞形成の低減に成功したことを示す。
【0166】
骨減少の結果としてコラーゲン含有量が減少する。これは卵巣切除ラットで観測された。化合物Iは卵巣切除ラットの大腿骨の骨幹端におけるコラーゲン含有量を増加させ、このことは骨減少の低減を示唆する(
図7)。
【0167】
図8は、大腿骨の骨幹端の組織学的骨切片の代表的な写真を示す。化合物Iは当該大腿骨の骨幹端部における骨減少を低減した。
【0168】
実施例5 糖尿病性肥満(db/db)のマウスのモデルにおける血清アディポネクチンレベルに対する式Iの化合物の効果
アディポネクチンが骨形成及び再形成を刺激し、ならびに骨吸収を阻害することが報告されており、このことはアディポネクチンが骨量の負の調節因子であり得ることを示唆している(Lubkowska et al. (2014) Disease Markers, Volume 2014, Article ID975178, 14 pages)。また、殆どのイン・ビトロでの研究は、アディポネクチンが骨芽細胞の分化及び石灰化ならびにオステオカルシンの発現を刺激することを実証しており、オステオカルシンはグルコース代謝及び脂肪量を調節するホルモンとして作用する(Lubkowska et al. (2014))。アディポネクチンの骨芽細胞及び破骨細胞に対する、延いては骨再形成に対する影響の可能性は、おそらくは内分泌系と脂肪代謝の間の相互関係と関係している(Lubkowska et al. (2014))。
【0169】
本発明の選択された化合物が血清アディポネクチンレベルに影響を及ぼすことができるかを判定するために、II型糖尿病/肥満のモデルを用いた。簡単に説明すると、db/dbマウス(6週齢を一側性腎摘出し、化合物XIVによって113日間治療した(構造は上記表1に示す)。マウスアディポネクチン酵素が結合した免疫吸着剤アッセイキット(R&D Systems社)を用いて血清アディポネクチンレベルを測定した。
【0170】
図9は肥満db/db糖尿病マウスにおいて測定した血清アディポネクチンレベルを示す。非治療db/dbマウスでは血清アディポネクチンレベルが低下した一方、化合物XIVで治療するとアディポネクチンのレベルが偽マウスのレベルまで上昇し、この化合物が骨粗しょう症を予防または低減する可能性を示唆する。化合物XIVの変化形、特に類似の化学構造を有する化合物もまたアディポネクチンのレベルを上昇させ、骨粗しょう症を予防及び/または低減する可能性がある。化合物XIVの化学的変化形の非網羅的な一覧には上記の表1に示される化合物XV〜XXIV(及びその薬学的に許容される塩)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0171】
見出しは、参照として及び特定の節の位置を示すために本明細書に加えてある。これらの見出しはそこに記載される概念の範囲を限定することを意図するものではなく、これらの概念は、明細書全体を通じて他の節にも適用可能である。したがって、本発明は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が付与されることを意図する。
【0172】
単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上別段の明確な指示がない限り、相当する複数形での言及を包含する。
【0173】
別段の表示がない限り、明細書及び特許請求の範囲において用いられる、成分、反応条件、濃度、特性等の量を表わす数値は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されると解釈されるべきである。少なくとも、各数値パラメータは少なくとも記載された有効桁の数に照らして、且つ通常の端数処理技法を適用することによって解釈する必要がある。したがって、それに反する表示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、得ようとする特性に応じて変化し得る近似値である。実施形態の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例で示される数値は可能な限り正確に記載される。但し、いずれの数値も、実験における変動、試験測定、統計的解析等に由来する特定の誤差を本質的に含む。
【0174】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は説明することのみを目的とし、それらに照らした多様な改変または変更が当業者に示唆されることとなり、これらは本発明及び添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されるべきものである。