特表2017-530904(P2017-530904A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-530904(P2017-530904A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】ディスプレイスクリーンマウント
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20170922BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   B60N3/00 Z
   A47C7/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-520333(P2017-520333)
(86)(22)【出願日】2015年10月12日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月2日
(86)【国際出願番号】GB2015052987
(87)【国際公開番号】WO2016059386
(87)【国際公開日】20160421
(31)【優先権主張番号】1418364.4
(32)【優先日】2014年10月16日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】502407266
【氏名又は名称】ベントレー モーターズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デビッド アラン ルーク
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ウィルソン
【テーマコード(参考)】
3B084
3B088
【Fターム(参考)】
3B084JA04
3B084JD04
3B088CA15
(57)【要約】
ディスプレイスクリーン(6)をシート(1)の後部に取り付けるディスプレイスクリーンマウント。このマウントは、ディスプレイスクリーン支持体(7)を収納位置から展開位置にガイドするためのガイド軌道を規定するガイドを含む。このガイド軌道はまた、展開位置における視野角の調整を可能にする。このガイド軌道は、スクリーンがユーザーに見える展開位置に、ディスプレイスクリーン支持体7がそれに沿ってガイドされる線状部分105、及び展開位置で採用されるディスプレイスクリーン(6)の異なる視野角を可能にする非線状部分106を有する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガイドに操作可能に接続されたディスプレイスクリーン支持体を含むディスプレイスクリーンマウントであって、該ガイドは、ディスプレイスクリーン支持体を収納位置から展開位置に案内し、かつ該展開位置において視野角の調整を可能にするためのガイド軌道を規定するものであり、該ガイド軌道は、第1の実質的線状部分を有し、該ディスプレイスクリーン支持体が、スクリーンがユーザーに見える展開位置に該第1の実質的線状軌道に沿って導かれるようにし、かつ、該ガイド軌道は、第2の非線状部分を有し、該展開位置において該ディスプレイスクリーンが異なる視野角になることを可能にする、ディスプレイスクリーンマウント。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガイドが、第1のスライドがそれに沿ってスライドする少なくとも1つのトラックを含む、請求項1に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガイドが、更に、第2のスライドがそれに沿ってスライドする第2のトラックを含む、請求項2に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項4】
前記スライドがそれに沿って駆動される、前記複数のトラックがそれぞれ異なる軌道を規定する、請求項3に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項5】
第1のトラックが実質的線状軌道を規定し、第2のトラックが少なくとも部分的に非線状な軌道を規定する、請求項4に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項6】
前記第1のスライドが、線状駆動によって駆動され、かつ前記第2のスライドは駆動されない、請求項3〜5のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項7】
前記ディスプレイスクリーン支持体が、前記ガイドに旋回可能に取り付けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項8】
前記ディスプレイスクリーン支持体が、前記第1のスライドに枢動可能に取り付けられている、請求項2〜6のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項9】
前記ディスプレイスクリーンが、フリクションヒンジによって旋回可能に取り付けられている、請求項7又は8に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項10】
前記ディスプレイスクリーン支持体が、前記第2のスライドに固定して取り付けられている、請求項5〜9のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項11】
展開位置における視野角が手動で調整されてもよい、請求項1〜10のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項12】
前記ガイド軌道の第2の非線状部分が、前記ディスプレイスクリーン支持体の角度の変化が制限されないように外側に開口する部分を含む、請求項11に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項13】
前記ガイド軌道の第2の非線状部分が、請求項5〜10に記載の第2の少なくとも部分的に非線状の軌道によって規定される、請求項12に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項14】
前記第2トラックが第1の線状部分及び第2の非線状の開放部分を有し、該第1の線状部分において、初期展開中にスクリーンの角度が実質的に固定されるように、スライドの縦方向の移動が制限され、該第2の非線状の開放部分において、スライドの縦方向の動きは制限されず、展開位置においてスクリーン支持体を手動で縦方向に動かすことにより視野角が調節され得る、請求項12に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項15】
前記第2トラックの少なくとも部分的に非線状な軌道によって規定される、前記ガイド軌道の外側に開口する部分が実質的に三角形である、請求項12〜14のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項16】
前記ガイド軌道の第2の非線状部分の外側に開口する部分が、前記ディスプレイスクリーンの展開位置を超える軸方向の動きを制限するように構成された凹部を有する、請求項12〜15のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項17】
前記ガイド軌道の第2の非線状部分の凹部が、前記第2のトラックの開口部分の凹部によって規定される、請求項16に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項18】
前記第2のトラックが前記第2の非線状開放部分の前に第3の非線状部分を有し、前記第1の実質的に線状の軌道に沿った前記第1のスライドの動きが、該第3の非線状部分に沿った第2のスライドの縦方向の動きをもたらし、スクリーンの角度を変化させる、請求項14〜17のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項19】
前記展開位置におけるスクリーンの視野角に関係なく、収納の際、前記ガイドが、ユーザーによる角度の事前調整なしに、前記ディスプレイスクリーンを収納させる、請求項1〜18のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項20】
展開位置における視野角が電気的に調整されてもよい、請求項1〜10のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項21】
前記ガイド軌道の第2の非線状部分が、請求項5〜10のいずれか一項に記載の第2の少なくとも部分的に非線状な軌道によって規定される、請求項20に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項22】
前記第2トラックが第1の線状部分及び第2の非線状の開放部分を有し、該第1の線状部分において、前記スライドの縦方向の移動が制限され、前記第1の実質的に線状の軌道に沿った前記第1のスライドの動きが、該第2の非線状部分に沿った第2のスライドの縦方向の動きをもたらし、スクリーンの角度を変化させる、請求項21に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項23】
前記ディスプレイスクリーンマウントがシートバックに取り付けられ、第1の実質的線状軌道と第2の部分的非線状部分の線状部分とが該シートバックに実質的に平行で、該線状軌道に沿った動きが、スクリーンを展開位置にもたらし、ガイド経路の非線状部分に沿った動きが、スクリーンの視野角を変化させる、請求項21又は22に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項24】
前記ディスプレイスクリーンの収納と展開のための第1の自動操作と、前記ディスプレイスクリーンの展開位置をユーザーが調整するための第2のユーザー調整可能操作とを選択するためにユーザーによって操作可能なスイッチ機構を有する、請求項20〜23のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項25】
前記スイッチが展開メモリ位置を有し、該展開メモリ位置において、前記スイッチの作動が、収納位置と最後に使用された展開位置との間での移動を行う第1の自動動作を作動させる、請求項24に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項26】
前記スイッチが、調整モード位置を有し、そこで、ユーザーがディスプレイスクリーンの展開位置を調整できるように、前記第2のユーザー調整可能操作を作動させる、請求項25に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項27】
前記調節モード位置が、2つの別個の機能を有し、一つは、ユーザーが前記スクリーンの展開位置を一方向に調整することを可能にし、もう一つは、ユーザーが前記スクリーンの展開位置をその反対方向に調整することを可能にする、請求項26に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項28】
前記展開メモリ位置が、2つの機能を有し、一つは、ディスプレイスクリーンを最後に使用された展開位置に展開させ、もう一つは、ディスプレイスクリーンを収納位置に移動させる、請求項25〜27のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項29】
前記スイッチが、収納位置、前記調整モード位置に対応する戻り止め位置、及び展開メモリ位置を有する、請求項26〜28のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項30】
前記スイッチが、前記ディスプレイスクリーンを展開するために、前記戻り止め位置を通って展開メモリ位置に移動する、請求項29に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項31】
ユーザーが、第2のユーザー調節可能な操作により、所望のディスプレイスクリーンの展開位置を調整するために、前記スイッチを戻り止め位置に移動させる、請求項29又は30に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項32】
前記戻り止めが2つの機能を有し、第一の機能は、戻り止め位置が、ディスプレイスクリーンを収納位置方向に移動させることを有効にし、第二の機能は、ディスプレイスクリーンを展開メモリ位置に移動させることを有効にする、請求項29〜31のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項33】
前記スイッチが、少なくとも2つの方向に移動可能であり、このスイッチの収納位置及び展開メモリ位置が、このスイッチの反対方向の移動によってもたらされる、請求項29〜32のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項34】
前記ユーザーによる調整可能な操作によって、前記ディスプレイスクリーンが15°まで回転可能である、請求項24〜33のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項35】
前記スイッチが、更に、ユーザーの入力がないときに前記スイッチが移動する中立位置を備える、請求項25〜34のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項36】
前記第1の自動操作が、前記ユーザーによる調整可能な第2の操作よりも速く前記ディスプレイスクリーンを移動させる、請求項25〜35のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウント。
【請求項37】
請求項23〜36のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウントを有するシートであって、前記ガイド軌道の非線状部分に沿った展開方向への動きが、ディスプレイスクリーン支持体を傾斜させ、前記ディスプレイスクリーンマウントに取り付けられたディスプレイスクリーンの基部が、シートの後部から縦方向に離れるように移動し、及び/又はディスプレイスクリーンの支持部に取り付けられたディスプレイスクリーンの上部が、ヘッドレストに向かって縦方向に移動して、視野角を変化させる、シート。
【請求項38】
シートの裏側から縦方向に離れるような前記基部の移動、及び/又はヘッドレストに向かう縦方向の前記上部の移動が、展開方向の軸方向への移動と同時に起こる請求項37に記載のシート。
【請求項39】
前記調節可能なディスプレイスクリーンマウントの後退方向への移動が、前記スクリーンの前記基部の前記シートの後部への対応する移動と連携し、及び/又は前記スクリーンの上部がヘッドレストから離れるような対応する移動と連携する、請求項37又は38に記載のシート。
【請求項40】
シートの後ろの乗客が見るために、請求項1〜36のいずれか一項に記載のディスプレイスクリーンマウントがシートの後部に設けられたシート。
【請求項41】
請求項40に記載のシートを備える車両。
【請求項42】
自動車である請求項41に記載の車両。
【請求項43】
添付図面を参照して本明細書に実質的に記載された、ディスプレイスクリーンマウント、シート又は車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイスクリーン用のマウントに関し、特に、シートバック、特に自動車のシートバックに使用するためのディスプレイスクリーンマウントに関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオビジュアルディスプレイスクリーンやタッチスクリーンディスプレイのようなディスプレイスクリーンを車両シートの後部に取り付けることが知られている。これらのディスプレイスクリーンは、車両シートの背もたれ又はヘッドレストに直接取り付けることができ、これらは、固定的様式、又はユーザー(見る人)が、ディスプレイスクリーンを回転軸の周りに押すか又は引っ張ることによって、このディスプレイの見る角度を調整することができるような様式で、取り付けられることができる。航空機その他の旅客運搬車両のような一部の車両では、車内の天井面などの車両の内側表面にディスプレイスクリーンを取り付けることが知られており、ディスプレイスクリーンは固定位置にあってもよいが、必要に応じて、電気的に格納し、また収納位置から視認可能な位置に回転させてもよい。
【0003】
自動車のような特定の車両では、スクリーンが視野の外でハウジングにより保護されるように、スクリーンをシートの後部のハウジングに取り付けることが好ましい。特に有利な構成では、スクリーンがシートの後部に対して平らにハウジングの中に収納され、スクリーンがハウジングから見える位置に軸方向(上方向)に展開する。特に、これに限定されるわけではないが、スクリーンが表示されるシートの位置と向きが調整可能である自動車においては、スクリーンの見る角度を調整できると便利である。米国公開公報(US2009/0085383)は、このようなマウントの例を開示している。この公報では、ディスプレイはマウントから展開位置に軸上で展開し、ディスプレイはディスプレイの頂部から支持体の頂部へ旋回可能に取り付けられ、それによりディスプレイ面がディスプレイの支持体の面に対して移動可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この例は、効果的ではあるが、いくつかの欠点を有している。特に、付加するピボット構造が大きくて複雑であること;ディスプレイスクリーンを後退させる前に支持体と同一平面にディスプレイスクリーンを押し戻すことが必要であること;及びディスプレイスクリーンがピボットに対してその位置を変えたり、揺れたり、ガタガタ音がしたりする可能性があること、等の欠点がある。
本発明の実施態様は、これらの問題を解消することを考慮して、作成されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つのガイドに操作可能に接続されたディスプレイスクリーン支持体を含むディスプレイスクリーンマウントであって、該ガイドは、ディスプレイスクリーン支持体を収納位置から展開位置に案内し、かつ該展開位置において視野角の調整を可能にするためのガイド軌道を規定するものであり、該ガイド軌道は、第1の実質的線状部分を有し、該ディスプレイスクリーン支持体が、スクリーンがユーザーに見える展開位置に該第1の実質的線状軌道に沿って導かれるようにし、かつ、該ガイド軌道は、第2の非線状部分を有し、該展開位置において該ディスプレイスクリーンが異なる視野角になることを可能にする、ディスプレイスクリーンマウントが提供される。
【0006】
別個のピボットではなくガイド軌道自体が、視野角を調整するためにスクリーンを傾斜させることをできるようにするこのような構成は、いくつかの利点を有する。例えば、嵩張らず、別個のピボットよりも少ない追加の構成要素しか必要としない、追加の手動/電動傾斜操作を必要とせずにディスプレイを収納位置に戻すことができ、揺れたり、ガタガタ音がしたり、定位置から外れたりしない。
【0007】
この少なくとも1つのガイドは、第1のスライドがそれに沿ってスライドする少なくとも1つのトラックを含んでもよい。スライドがそれに沿ってスライドして案内されるレールのようなトラックは、便利なガイドを提供する。
この少なくとも1つのガイドは、更に、第2のスライドがそれに沿ってスライドする第2のトラックを含んでもよい。複数のトラックを提供することで、より大きなレベルの調整が可能になる。
【0008】
このスライドがそれに沿って駆動される複数のトラックは、それぞれ異なる軌道を規定してもよい。異なる軌道を規定する2つのトラック、及びこの2つの異なる軌道に沿って移動するディスプレイスクリーンに取り付けられたスライドにより、比較的単純なスライド軌道から複雑なガイド軌道を得ることができる。
【0009】
第1のトラックが実質的線状軌道を規定し、第2のトラックが少なくとも部分的に非線状な軌道を規定してもよい。これにより、複数のスライド軌道のうちの1つが非常に単純なまま、つまり実質的に直線的である一方で、複雑なガイド軌道が得られる。
【0010】
第1のスライドが、線状駆動によって駆動され、かつ第2のスライドは駆動されない、ようであってもよい。この場合、単純な直線軌道に従うために、スピンドル駆動やラックアンドピニオンのようなかなり単純な駆動機構を使用することができ、支持体がガイドされるより複雑な非線状軌道は、非駆動スライドが従う軌道によって規定される。
【0011】
ディスプレイスクリーン支持体は、第1のスライドに旋回可能に取り付けられてもよい。これにより、第1のトラック及びスライドに対してディスプレイスクリーンの角度を調整する単純な機構が可能になる。
ディスプレイスクリーン支持体は、第2のスライドに固定的に取り付けられていてもよい。ガイド軌道を規定し、したがってディスプレイの角度を設定する第2のスライドを固定的に取り付けることは、ガタガタ音を引き起こす可能性が低く、定位置に留まる可能性がより高い。
【0012】
展開位置における視野角は手動で調整されてもよい。視野角を手動で調整することで、電気的調整よりも簡単で正確な位置決めが可能になる。
【0013】
ガイド軌道の第2の非線状部分は、ディスプレイスクリーン支持体の角度の変化が制限されないように外側に開口する部分を含んでもよい。この外側に開口する部分は、スライドがその移動を拘束するトラック内を動き回ることを可能にし、それによって簡単な手動調節が可能になる。
【0014】
ガイド軌道の第2の非線状部分は、上記の少なくとも部分的に非線状の軌道によって規定されてもよい。
【0015】
第2トラックは、第1の線状部分及び第2の非線状の開放部分を有し、この第1の線状部分において、初期展開中にスクリーンの角度が実質的に固定されるように、スライドの縦方向の移動が制限され、この第2の非線状の開放部分において、スライドの縦方向の動きは制限されず、展開位置においてスクリーン支持体を手動で縦方向に動かすことにより視野角が調節されてもよい。
【0016】
第2トラックの少なくとも部分的に非線状な軌道によって規定される、ガイド軌道の外側に開口する部分は、収納位置への後退により第2のスライドが第2のトラックの線状部分にガイドされるように、一般的に三角形であってもよい。
ガイド軌道の第2の非線状部分の外側に開口する部分は、ディスプレイスクリーンの展開位置を超える軸方向の動きを制限するように構成された凹部を有してもよい。凹状部分によって展開方向に連続的に軸方向に移動するのを防止することにより、傾斜の程度を調整するために、それに沿ってスライドが移動することができるガイド領域が提供される。
ガイド軌道の第2の非線状部分の凹部は、第2のトラックの開口部分の凹部によって規定されてもよい。
【0017】
第2のトラックは、第2の非線状開放部分の前に第3の非線状部分を有し、第1の実質的に線状の軌道に沿った第1のスライドの動きが、この第3の非線状部分に沿った第2のスライドの縦方向の動きをもたらし、スクリーンの角度を変化させてもよい。これは、スクリーンが最初のトラックの線状軌道にのみに従うならば、通常の角度とは異なる角度でのスクリーンのデフォルト位置の定義を提供する。したがって、スクリーンは、最も典型的な視野角に展開され、最初のデフォルト位置から後方又は前方に傾斜することができる。
【0018】
展開位置におけるスクリーンの視野角に関係なく、収納の際、ガイドが、ユーザーによる角度の事前調整なしに、ディスプレイスクリーンを収納させてもよい。
展開位置における視野角は、手動調整ではなく、電気的に調整されてもよい。電気的調整は、十分にうまく設計されていれば、非常な微調整が可能であり、手が届かないスクリーンの調整ができる、記憶位置が使用できる、などの追加的な利点が得られる。
ガイド軌道の第2の非線状部分は、上記の第2の少なくとも部分的に非線状な軌道によって規定されてもよい。
【0019】
第2トラックは、第1の線状部分及び第2の非線状の開放部分を有してもよく、第1の線状部分において、スライドの縦方向の移動が制限され(最初の展開中にスクリーンの角度が固定される)、第1の実質的に線状の軌道に沿った前記第1のスライドの動きが、第2の非線状部分に沿った第2のスライドの縦方向の動きをもたらし、スクリーンの角度を変化させてもよい。
【0020】
この電気的に調整可能なディスプレイスクリーンマウントは、シートバックに取り付けられてもよく、第1の実質的線状軌道と第2の部分的非線状部分の線状部分とがシートバックに実質的に平行で、線状軌道に沿った動きが、スクリーンを展開位置にもたらし、ガイド経路の非線状部分に沿った動きが、スクリーンの視野角を変化させてもよい。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、ディスプレイスクリーンの収納と展開のための第1の自動操作と、ディスプレイスクリーンの展開位置をユーザーが調整するための第2のユーザー調整可能操作とを選択するためにユーザーによって操作可能なスイッチ機構を有する、電気的に調整可能なディスプレイスクリーンマウントが提供される。
これにより、ボタンを押すと、そのまま維持しなくとも、最初の展開を実行することができ、一方、角度の微調整を別に行うことができる。
電気的に調整可能なディスプレイスクリーンマウントは、好ましくは、上記のタイプである。
【0022】
スイッチは展開メモリ位置及び調整モード位置を有してもよく、展開メモリ位置において、スイッチの作動が、収納位置と最後に使用された展開位置との間での移動を行う第1の自動動作を作動させてもよく、調整モード位置において、ユーザーがディスプレイスクリーンの展開位置を調整できるように、第2のユーザー調整可能操作を作動させてもよい。
調節モード位置は、2つの別個の機能を有してもよく、一つは、ユーザーがスクリーンの展開位置を一方向に調整することを可能にし、もう一つは、ユーザーが前記スクリーンの展開位置をその反対方向に調整することを可能にしてもよい。
展開メモリ位置は、2つの機能を有してもよく、一つは、ディスプレイスクリーンを最後に使用された展開位置に展開させ、もう一つは、ディスプレイスクリーンを収納位置に移動させてもよい。
【0023】
スイッチは、収納位置、調整モード位置に対応する戻り止め位置、及び展開メモリ位置を有してもよい。
このスイッチは、ディスプレイスクリーンを展開するために、戻り止め位置を通って展開メモリ位置に移動してもよい。
ユーザーが、第2のユーザー調節可能な操作により、所望のディスプレイスクリーンの展開位置を調整するために、スイッチを戻り止め位置に移動させてもよい。
この戻り止めは2つの機能を有してもよく、第一の機能は、戻り止め位置が、ディスプレイスクリーンを収納位置方向に移動させることを有効にし、第二の機能は、ディスプレイスクリーンを展開メモリ位置に移動させることを有効にしてもよい。
スイッチは、少なくとも2つの方向に移動可能であってもよく、このスイッチの収納位置及び展開メモリ位置が、このスイッチの反対方向の移動によってもたらされてもよい。
【0024】
ユーザーによる調整可能な操作によって、ディスプレイスクリーンが15°まで回転可能であってもよい。
スイッチは、更に、ユーザーの入力がないときに前記スイッチが移動する中立位置を備えてもよい。
第1の自動操作は、ユーザーによる調整可能な第2の操作よりも速くディスプレイスクリーンを移動させてもよい。
【0025】
上記のディスプレイスクリーンマウントを有するシートにおいて、ガイド軌道の非線状部分に沿った展開方向への動きが、ディスプレイスクリーン支持体を傾斜させ、ディスプレイスクリーンマウントに取り付けられたディスプレイスクリーンの基部が、シートの後部から縦方向に離れるように移動し、及び/又はディスプレイスクリーンの支持部に取り付けられたディスプレイスクリーンの上部が、ヘッドレストに向かって縦方向に移動して、視野角を変化させてもよい。
【0026】
シートの裏側から縦方向に離れるような基部の移動、及び/又はヘッドレストに向かう縦方向の上部の移動が、展開方向の軸方向への移動と同時に起こってもよい。これは、角度を調整する際に、スクリーンの上向きの動きが、基部がユーザー方向へ移動し及び/又は上部がユーザーから離れるように、スクリーンが傾くことを伴うことを意味する。これは、座席が後方に傾けられたときに、座席の上部が低くなり、その角度が画面のユーザーに向かうため、特に有用である。従って、このディスプレイスクリーンマウントの展開は、スクリーンをユーザーから遠ざかるように傾け、それを高く持ち上げることをもたらし、それによりスクリーンの角度と高さの両方を補償する。
調節可能なディスプレイスクリーンマウントの後退方向への移動が、スクリーンの基部のシート後部への対応する移動と連携し、及び/又はスクリーンの上部がヘッドレストから離れるような対応する移動と連携してもよい。
【0027】
また、本発明は、シートの後ろの乗客が見るために、上記のディスプレイスクリーンマウントがシートの後部に設けられたシートを提供する。また、このようなシートを備える車両が提供される。この車両は、自動車であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明をより明確に理解できるようにするために、添付の図面を参照して、以下、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
図1】本発明の第1の実施形態による、ディスプレイスクリーンマウント上に収納された、収納位置にあるディスプレイスクリーンを含む座席の断面図である。
図2】中立傾斜位置にセットされた展開位置にあるディスプレイスクリーンマウントを備えた図1のシートの断面図である。
図3】後方傾斜位置にセットされた展開位置にあるスクリーンマウントを備えた図1及び図2のシートの断面図である。
図4】前方傾斜位置にセットされた展開位置にあるスクリーンマウントを備えた図1〜3のシートの断面図である。
図5】後方傾斜位置、前方傾斜位置及び中立傾斜位置を示す展開位置にある図1〜4のシートの断面図である。
図6】スクリーン支持体に取り付けられたディスプレイスクリーンの背面図を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態による、ディスプレイスクリーンマウント上に収納された、収納位置にあるディスプレイスクリーンを含む座席の断面図である。
図8】中立傾斜位置にセットされた展開位置にあるディスプレイスクリーンマウントを備えた図7のシートの断面図である。
図9】後方傾斜位置にセットされた展開位置にあるスクリーンマウントを備えた図7及び図8のシートの断面図である。
図10】前方傾斜位置にセットされた展開位置にあるスクリーンマウントを備えた図7〜9のシートの断面図である。
図11】後方傾斜位置、前方傾斜位置及び中立傾斜位置を示す展開位置にある図7〜10のシートの断面図である。
図12図7〜11のスクリーンマウントに取り付けられたディスプレイスクリーンの背面図を示す図である。
図13A】中立位置にある、図7図12のディスプレイスクリーンマウントのスイッチ機構の側面図である。
図13B】展開メモリ位置におけるスイッチ機構を示す図である。
図13C】後傾調整位置にあるスイッチ機構を示す図である。
図13D】調整位置にあるスイッチ機構を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、ディスプレイスクリーン6を、車両に、特にシート1の後部(特に自動車のシートバック)のハウジング4に取り付けるためのディスプレイスクリーンマウントに関する。このディスプレイマウントは、シート1の本体2の軸に平行な、シート1のハウジング4内の収納位置から、ハウジング4から軸方向に展開する展開位置まで移動するように動作可能である。このディスプレイマウントは、ディスプレイスクリーン6の角度を異ならせることができるガイド軌道を含む。
【0030】
図1図5を参照して説明する。自動車(図示しない)のシート1は、本体部分2、ヘッドレスト3、及び後部にハウジング4を有する。このハウジング4は、その上面にスロット(小穴)5を有しており、ディスプレイスクリーン6は、このスロット5を通して、ハウジング4の内側の収納位置(図1に示す)とハウジング4の外側の展開位置(図2〜5に示す。)との間を移動する。
図6に示すように、ディスプレイスクリーン6は、ディスプレイスクリーン支持体7に取り付けられている。例えば、ナット/ボルトのような締結具8によって締結される。ディスプレイスクリーン支持体7は、ヒンジ9を介して第1のスライド101に旋回可能に取り付けられ、第2のスライド102に固定して取り付けられている。
【0031】
再び図1図5を参照する。第1のスライド101は、その下端で第1のトラック103に(例えば、車輪によって、)スライド可能に取り付けられている。トラック103は、スライド101が取り付けられているレールであってよい。そのために、適切な材料/潤滑ホイールを用いる必要はなくてもよい。トラック103は、その中でスライド102がスライドするチャネル(溝)を規定してもよく、この実施形態では、このトラックは、一組の平行するレールであって、その間にスライド101が保持される。第1のトラック103は直線状であり、シート背部で規定されるハウジング4の主平面に平行に、概ねシート1の本体の軸に沿って展開する。
第1のスライド101は、例えば、ラックアンドピニオン機構、又はスピンドル駆動によって、駆動可能に取り付けられている。実際、代替の実施態様においては、第1のスライド101は、ラック機構又はスピンドルを含んでもよいし、別個のトラック103を省略してもよい。従って、第1のスライド101を駆動する場合、第1のスライド101は、トラック103で規定される線状の軌道に従って動く。第1のスライド101は、例えば(例えば、油圧式の)アクチュエータ(ラムなど)のロッドであってもよく、第1のトラック103を規定するシリンダを備えてもよい。
【0032】
また、第2のスライド102は、その下端が、この場合は第2のトラック104に取り付けられている。この第2のトラック104は、一組の平行するレールであって、その間にスライドが保持される。第2のトラック102は、非線状であり、ディスプレイスクリーン支持体7が展開された位置と収納された位置との間を移動する際に、ディスプレイスクリーン支持体7をガイドするような形状をしている。非線状の第2のトラック104は、その下側部分に、直線部分105を有する。この直線部分105は、第1のトラック103によって規定される線状の軌道に平行に移動する。
【0033】
第2のトラック104は、その上側部分に、その下側部分の直線部分105によって規定された線状の軌道から外れた非直線部分106を有する。この非直線部分106は、この線状の軌道の軸線からハウジング4に向かって縦方向に離れ、シート1の本体2の軸から離れるように湾曲する。そして、この非直線部分106は、スライド102が沿う軌道を規定するように伸びて、シート1の本体2から上方に離れている。
【0034】
次に、上部領域の上端では、一対のレールは離れて、第2のトラック104によって規定される軌道は三角形状に開口する。したがって、トラック104の中の第2のスライド102の動きは、三角形部分107の中で前後方向に制限されなくなる。
第2の軌道104の三角形部分107は、その底部に角を有し、そこでその角は非線状部分106の線状部分に合致し、他の2つの角がより高くなるように上方に展開する。三角形部分107の上辺108は、第2の軌道104の三角形部分107内で第2のスライド102が前後に移動できるように、縦方向に展開する凹部の中へ湾曲する。
【0035】
使用時には、ディスプレイスクリーン6を図1に示す収納位置から展開するために、電気的遠隔操作を作動させる。これは、第1のスライド101を、第1のトラック103によって規定された線状の軌道に沿うように、駆動する。これに従い、駆動されていない第2のスライド102は、非線状の第2のトラック104の直線部分105に沿った線状の軌道を動く。第2のスライド102がこの線状の軌道を動くに従って、ディスプレイスクリーン6はハウジング4内のスロット5から外に現れる。
【0036】
そして、第2のトラック104にスライド可能に接続されている、第2のスライド104の下端が非直線部分106に到達する。第1のスライド101は、線状の動きを続け、ディスプレイ6を上方に押し上げる。しかし、第2のスライド102の下端は、シート1の本体2の軸から離れるように湾曲する非線状の軌道に従って動く。ディスプレイ支持体7は、第1のスライド101に旋回可能に取り付けられ、第2のスライド102に固定的に取り付けられているので、この移動により、支持体7がヒンジ9を中心に旋回し、その結果、ディスプレイ支持体7(及びディスプレイ6)の基部は、シート1の本体2の軸から縦方向に離れるように移動する。これに対応して、ディスプレイの上部は、本体2の軸及びヘッドレストに向かって傾斜する。
【0037】
第2のスライド102の下端が第2のトラックの三角形部分107に到達すると、それは線状スライド101と線状トラック103によって規定される軌道を単純にたどる。
従って、それは、図2に示す中立位置に達し、第2のスライド102の下端は、三角形部分107の凹状の上辺108と接し、スライド可能に結合する。
【0038】
そして、スライド可能に連結された第2のスライド102の下端部は、ディスプレイスクリーン106が前後に手動で傾斜することに応じて、三角形部分107の凹状の上辺108に沿って縦方向に前後に移動することができる。ディスプレイ支持体7を第1のスライド101に繋ぐフリクションヒンジ9は、傾斜の動きの振動を止め、スライド可能に連結された第2のスライド102の下端部が、三角形部分107内でぐらぐらすることを防止する。
【0039】
図3は、ディスプレイスクリーン6が後方に(ユーザーから離れるように)傾斜した様子を示し、その上端部はヘッドレスト3に近接し、その基部はユーザーに近接する。この構成では、第2のトラック104にスライド可能に接続する第2のスライド102の下端は、第2のトラック104の非線状部分106の三角形部分107の最も奥の角の位置にあり、最もユーザーに近い(図示せず)。
一方、図4は、ディスプレイスクリーン6が前方に傾斜した様子を示し、その上端部はユーザーに近接し、その基部はヘッドレスト3に近接する。この構成では、その下端部が、第2のトラック104の三角形部分107の凹状上辺108の底部に沿って、ユーザーの縦方向にスライドして、その下端部が、ユーザーから最も遠い三角形部分107の最前の角にある。
当然のことながら、最後端、最前端及び中立の位置の間で、多数の位置を取り上げることが可能で、これらの位置はすべて図5に重複して示されている。
【0040】
ここで本発明の第2の実施形態が示されている図7〜11を参照する。この第2の発明の記載において、両方の実施形態に共通の特徴には同じ参照番号が付されている。
【0041】
図7〜11を参照して説明する。自動車(図示しない)のシート1は、本体部分2、ヘッドレスト3、及び後部にハウジング4を有する。このハウジング4は、その上面にスロット(小穴)5を有しており、ディスプレイスクリーン6は、このスロット5を通して、ハウジング4の内側の収納位置(図7に示す)とハウジング4の外側の展開位置(図8〜11に示す。)との間を移動する。
再度記載するが、図12に示すように、ディスプレイスクリーン6は、ディスプレイスクリーン支持体7に取り付けられている。例えば、ナット/ボルトのような締結具8によって締結される。ディスプレイスクリーン支持体7は、ヒンジ9を介して第1のスライド201に旋回可能に取り付けられ、第2のスライド202に固定して取り付けられている。
【0042】
再び図7〜11を参照する。第1のスライド201は、その下端で第1のトラック203に(例えば、車輪(図示しない)によって、)スライド可能に取り付けられている。そのために、適切な材料/潤滑ホイールを用いる必要はなくてもよい。第1のトラック203は直線状であり、シート背部で規定されるハウジング4の主平面に平行に、概ねシート1の本体の軸に沿って延びている。
第1のスライド201は、例えば、ラックアンドピニオン機構、又はスピンドル駆動によって、駆動可能に取り付けられている。実際、代替の実施態様においては、第1のスライド201は、ラック機構又はスピンドルを含んでもよいし、別個のトラック203を省略してもよい。従って、第1のスライド201を駆動する場合、第1のスライド201は、トラック203で規定される線状の軌道に従って動く。第1のスライド201は、例えば(例えば、油圧式の)アクチュエータ(ラムなど)のロッドであってもよく、第1のトラック203を規定するシリンダを備えてもよい。
【0043】
また、第2のスライド202は、その下端が、この場合は第2のトラック204に、スライド可能に(例えば、車輪によって)取り付けられている。第2のトラック204は、非線状であり、ディスプレイスクリーン支持体7が展開された位置と格納された位置との間を移動する際に、ディスプレイスクリーン支持体7をガイドするような形状をしている。非線状の第2のトラック204は、その下側部分に、直線部分205を有する。この直線部分205は、第1のトラック203によって規定される線状の軌道に平行に移動する。
【0044】
第2のトラック204は、図8〜10に最もよく示されているように、その上側部分に、その下側部分の直線部分205によって規定された線状の軌道から外れた非直線部分206を有する。この非直線部分206は、この線状の軌道の軸線からハウジング4に向かって縦方向に離れ、シート1の本体2の軸から離れるように湾曲する。そして、この非直線部分206は、軌道207を規定するように伸びて、シート1の本体2から上方に離れている。スライド202はこの軌道207に沿う。この軌道207は、まっすぐではあるが、第2のトラック204の直線部分205の下側部分で規定される線状の軌道の延長ではないので、非線状であると考えられる。
【0045】
使用時には、ディスプレイスクリーン6を図7に示す収納位置から展開するために、電気スイッチ60(図13A〜13Dに示す)を作動する。これにより、第1のスライド201は、第1のトラック203によって規定された線状の軌道に沿って駆動される。これに従い、駆動されていない第2のスライド202は、非線状の第2のトラック204の直線部分205に沿った線状の軌道を動く。第2のスライド202がこの線状の軌道を動くに従って、ディスプレイスクリーン6はハウジング4内のスロット5から外に現れる。
【0046】
そして、ディスプレイスクリーン6がスロット5からほぼ全部出現すると、第2のトラック204にスライド可能に接続されている、第2のスライド204の下端が非直線部分206に到達する。第1のスライド201は、線状の動きを続け、ディスプレイ6を上方に押し上げる。しかし、第2のスライド202の下端は、シート1の本体2の軸から離れるように湾曲する非線状の軌道に従って動く。ディスプレイ支持体7は、第1のスライド201に旋回可能に取り付けられ、第2のスライド202に固定的に取り付けられているので、この移動により、支持体7がヒンジ9を中心に旋回し、その結果、ディスプレイ支持体7(及びディスプレイ6)の基部は、シート1の本体2の軸から縦方向に離れるように移動する。これに対応して、ディスプレイの上部は、本体2の軸及びヘッドレストに向かって傾斜する。
【0047】
図8は、この傾斜操作がちょうど始まる時の、ディスプレイスクリーン6とそのマウントの下端が、直線軌道207の始点上の、非直線部分206の湾曲部分の周りを移動する構成を示す。この位置において、第2のスライド202は、非直線部分206の一部を構成する線状の軌道207に沿って未だあまり移動しておらず、ディスプレイスクリーン6は線状の第1のトラック203の軸とほぼ平行である。シート1の本体2の軸は後方に傾いているので、スクリーンの頂部は、シート1に対して後方に傾斜しているか、又はユーザーの前方に傾斜している。
【0048】
第1のスライド201が第1のトラック203によって規定された線状の軌道に沿って駆動されると、第2のスライド202の下端は第2のトラック204の非直線部分206の線状の軌道207を登り続け、この下端は、最終的には、図10に示すように、シート1の本体2から最上部で縦方向に最も遠い軌道207の端部(ハウジング4に最も近い)に到達する。この位置で、第2のスライド202は、第1のスライド201に対して最大の角度をなし、ディスプレイ6は、その頂部がヘッドレストに最も近く、かつその基部がシート1の本体2の軸からユーザーの方向に遠ざかるように、後方に傾斜する。
【0049】
図8に示す前傾と図10に示す後傾との間で、第1のスライド201が完全に伸びていない場合、第2のスライド202は、非直線部分206の湾曲部分と、直線部分207の末端との間に位置する。そのため、たとえば、ディスプレイの角度がヘッドレストの軸にほぼ一致して、平均サイズの乗客が通常の位置(例えば、シート本体の高さ及び向きで)でシート1に座っている場合に、ディスプレイの角度が、この平均サイズの後部座席の乗客にとって適切な視角になる可能性が最も高い角度であるような、この直線部分207の中間地点を、中立位置を定義することができる。
【0050】
シートの背もたれは、通常、その基部に回転可能に取り付けられている。従って、シート本体2を後傾させると、ディスプレイスクリーン6がハウジング4を出るスロット5の高さは低くなる。反対に、シートをまっすぐな直立位置に向かって前傾させると、スロット5の高さは上昇する。
【0051】
ディスプレイスクリーン6は、シート本体2の軸に平行な平面内で、スロット5から出る。したがって、ディスプレイスクリーン6も、シートに対して後方に傾いている、すなわち見る人の方に前方に傾いている。したがって、シート1が後ろに傾いているとき、ユーザー(見る人)は、ディスプレイスクリーン6を後方に(すなわち、スクリーンの上部をスクリーンの後方に、見る人から離れるように)傾けたいと願うだろう。これは、第1のスライド201を可能な限り伸長させることによって達成され、それによって高さも上昇し、したがって正しい角度をもたらし、より良い高さに調整する。
【0052】
使用時には、スクリーン6を図7に示す収納位置から図8図11に示す展開位置に展開したいユーザーは、図13A〜13Dに示すようにスイッチ60を操作して、電気駆動装置を駆動する。そうすると、第1のスライド201は、第1のトラック203によって規定される線状の軌道に沿って上方に駆動され、これにより、第2のスライド202は第2のトラック204に沿って駆動する。スライド201及び202がトラック203及び205に沿って移動すると、ディスプレイスクリーン6は上方に移動し、第2のスライド202が第2のトラック204の非直線部分に到達するように、上記の軌道を動く。
【0053】
車両にシート1及びディスプレイスクリーン6を新たに設置する場合、例えば、支持体7とディスプレイスクリーン6はデフォルトの展開メモリ位置で提供されてもよく、これは図9に示す中立位置であってもよい。この位置では、シート1が直立し、シートの後ろの乗客の高さは、スクリーンが目の高さになるようになっていることが予想される。ディスプレイスクリーン6の位置は最適ではない場合があり、特にシート1の本体2が、例えば、特に直立した位置や異常に後傾した位置のような、異なる位置に移動されている場合には、図8図10にそれぞれ示されるように、平均高さの見る人にとって、ディスプレイスクリーン6の向きを、「前方傾斜」の方向に前傾又は「後方傾斜」の方向に後傾する必要があるだろう。
【0054】
図13A〜13Dに示すように、シート1又は、例えば、アームレスト(図示せず)などの車両の他の部分(図示しない)に、ユーザーによるディスプレイ6の展開位置の調整を可能にするスイッチ60が設けられている。このスイッチ60は、収納位置66a、前傾戻り止め位置66b、中立位置66c、後傾戻り止め位置66d及び展開メモリ位置66eに対応する、5つの位置66a、66b、66c、66d及び66eを有するロッカースイッチである。このスイッチ60は、ユーザーによって操作され、ユーザーはスイッチをすべての位置間で移動させることができる。使用時には、ユーザーがスイッチ60を操作しない限り、スイッチ60は、図13Aに示す中立位置66cに押しやられている。ユーザーは、スイッチ60を、一方向に、後傾戻り止め位置66dを通って、図13Bに示す展開メモリ位置66eに移動させてもよい。また、ユーザーは、スイッチ60を、反対方向に、前傾戻り止め位置66bを通って収納位置66aに移動させてもよい。また、ユーザーは、ディスプレイ6の展開位置を一方向に調整するために、図13Cに示すように、スイッチ60を後傾戻り止め位置66dに移動させてもよいし、ディスプレイ位置を反対側に移動させるために、図13Dに示すように、スイッチを前傾戻り止め位置66bに移動させてもよい。展開メモリ位置66eを作動させると、図9に示すようにディスプレイ6の展開のデフォルト位置をもたらし、収納位置66aを作動させると、図7に示すようにディスプレイ6の収納位置をもたらし、ディスプレイはシート1のハウジング4内のスロット5の下に収まる。
【0055】
収納位置と展開メモリ位置との間の前傾及び後傾戻り止め位置66b及び66dは、それぞれの機能を有し、後傾戻り止め位置66dは、ユーザーが、ディスプレイ6の位置を、図8に示すように、ユーザーに向かって前方に(及び下方に)調整することを可能にし、前傾戻り止め位置66bは、ユーザーが、ディスプレイの位置を、図10に示すように、ユーザーに向かって後方(及び上方)方向に調整することを可能にする。使用時、ユーザーは、スイッチ60の戻り止め位置66b及び66dのいずれをも作動させることができ、これにより、シート9とユーザーに対するディスプレイ9の位置を調整するために、電気駆動装置を作動させて第1のスライド201を所望の方向に駆動する。ディスプレイを所望の位置に到達させたとき、ユーザーは、スイッチ60を解放し、それによりスイッチ60は中立位置66cに戻り、ディスプレイスクリーン6は所望の位置に留まる。この位置で、適切な電子手段に、新しいディスプレイスクリーン配備位置のデータと、このシート位置を新しいデフォルト配備メモリ位置として格納することができる。次いで、ユーザーは、スイッチ60を収納位置66aに移動させることによって、必要に応じてディスプレイスクリーン6を格納することができる。次にユーザーがディスプレイスクリーン6を利用するとき、スイッチ60を展開メモリ位置66eに移動すると、ディスプレイスクリーン6は最後の既知の展開メモリ位置に自動的に移動し、ユーザーは必要に応じてディスプレイスクリーン6を再度調整することができる。
【0056】
スイッチを展開メモリ位置66e又は収納位置66aに移動すると、ディスプレイスクリーン6は第1の比較的速い速度で移動し、その反対に、スイッチを前傾戻り止め位置66b又は後傾戻り止め位置66d移動すると、微調整を可能にするため、ディスプレイスクリーン6は第2の比較的遅い速度で移動する。
上記の実施態様は、単なる例示として記載されている。添付のクレームに規定される本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 シート
2 (シートの)本体部分
3 ヘッドレスト
4 ハウジング
5 スロット(小穴)
6 ディスプレイスクリーン
7 ディスプレイスクリーン支持体
60 スイッチ
101、201 第1のスライド
102、202 第2のスライド
103、203 第1のトラック
104、204 第2のトラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
【国際調査報告】