特表2017-530920(P2017-530920A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2017530920-ガス発生火工一体化ブロック 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-530920(P2017-530920A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】ガス発生火工一体化ブロック
(51)【国際特許分類】
   C06B 23/00 20060101AFI20170922BHJP
   C06D 5/00 20060101ALI20170922BHJP
   C06D 5/06 20060101ALI20170922BHJP
   C06B 31/00 20060101ALI20170922BHJP
   F42B 3/04 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   C06B23/00
   C06D5/00 Z
   C06D5/06
   C06B31/00
   F42B3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-576065(P2016-576065)
(86)(22)【出願日】2015年6月29日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月27日
(86)【国際出願番号】FR2015051753
(87)【国際公開番号】WO2016001549
(87)【国際公開日】20160107
(31)【優先権主張番号】1456162
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517002546
【氏名又は名称】エアバス・サフラン・ローンチャーズ・エス・ア・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベソンベ,ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】マルラン・フレデリック
(57)【要約】
本発明は、主として、実質的に円筒形状のガス発生火工一体化ブロックに関し、10mm以上の厚さ、10mm以上の相当直径、および5%未満の気孔率を有し、組成は重量%で付与され、その重量の少なくとも94%について、硝酸グアニジン77.5〜92.5%、塩基性硝酸銅5〜10%、および融点が2100Kを超える少なくとも1つの無機チタン酸塩2.5〜12.5%を含む。前記ブロックは、特に、それらの燃焼温度、速度(低)、それらが得られることができる容易さ、およびそれらのガス収率に関して、特に効率的である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に円筒形状のガス発生火工一体化ブロックであって、
−10mm以上の厚さ、10mm以上の相当直径、および5%未満の気孔率を有し、
−組成は重量%で表され、その重量の少なくとも94%について、
硝酸グアニジン77.5〜92.5%、
塩基性硝酸銅5〜10%、および
融点が2100Kを超える少なくとも1つの無機チタン酸塩2.5〜12.5%、
を含むことを特徴とするガス発生火工一体化ブロック。
【請求項2】
厚さが10〜100mmであり、および/または相当直径が10〜100mmである、請求項1に記載のブロック。
【請求項3】
気孔率が2%以下である、請求項1または2に記載のブロック。
【請求項4】
組成が、前記硝酸グアニジンおよび前記塩基性硝酸銅を8.5〜15(8.5≦R≦15)、有利には8.5〜12(8.5≦R≦12)の比率Rで含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項5】
前記少なくとも1つの無機チタン酸塩が、金属チタン酸塩およびアルカリ土類チタン酸塩から選択された少なくとも1つの無機チタン酸塩からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項6】
前記少なくとも1つの無機チタン酸塩が、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)および/またはチタン酸カルシウム(CaTiO)および/またはチタン酸アルミニウム(AlTiO)からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項7】
前記硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、および少なくとも1つの無機チタン酸塩が、その重量の少なくとも97重量%、有利には少なくとも99重量%に相当することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項8】
組成が、前記硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、および少なくとも1つの無機チタン酸塩に加えて、少なくとも1つの処理添加剤を1%以下の重量割合で含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項9】
組成が、前記硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、および少なくとも1つの無機チタン酸塩に加えて、少なくとも1つのバインダーまたは少なくとも1つのフラックスを5%以下の重量割合で含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項10】
組成が、その重量の100%に対して、
−前記硝酸グアニジン、
−前記塩基性硝酸銅、
−前記少なくとも1つの無機チタン酸塩、および
−少なくとも1つの処理添加剤、
を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項11】
組成が、その重量の100%に対して、
−前記硝酸グアニジン、
−前記塩基性硝酸銅、
−前記少なくとも1つの無機チタン酸塩、
−少なくとも1つの処理添加剤、および
−少なくとも1つのバインダーまたは少なくとも1つのフラックスを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のブロック。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の実質的に円筒形状のガス発生火工一体化ブロックを得る方法であって、
乾式プロセスまたは湿式プロセスからなり、有利には乾式プロセスからなることを特徴とする方法。
【請求項13】
乾式プロセスからなり、有利には、前記硝酸グアニジン、前記塩基性硝酸銅、前記少なくとも1つの無機チタン酸塩、少なくとも1つの処理添加剤、および任意に少なくとも1つのフラックスを含む粉末混合物を圧縮すること、または圧縮成型された材料を得るために、前記硝酸グアニジン、前記塩基性硝酸銅、少なくとも1つの処理添加剤、および任意に少なくとも1つのフラックスを含む粉末混合物を圧縮成型し、その後前記圧縮成型された材料を粒状にして顆粒を得、その後前記顆粒を圧縮することを含み、前記少なくとも1つの無機チタン酸塩が、圧縮成型される粉末混合物および/または圧縮される顆粒に添加されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
湿式プロセスからなり、有利には、前記硝酸グアニジン、前記塩基性硝酸銅、前記少なくとも1つの無機チタン酸塩、少なくとも1つの処理添加剤、少なくとも1つのバインダー、および溶媒を含むペーストを押し出すこと、または少なくとも前記硝酸グアニジンを含む水溶液を調製し、前記水溶液中で少なくとも塩基性硝酸銅を任意に懸濁し、前記溶液または懸濁液を噴霧乾燥することによって粉末を得、必要ならば、前記粉末に前記ブロックの補足的成分を添加し、前記ブロックの成分をすべて含む前記補足的成分が任意に添加された粉末を成形することを含み、前記少なくとも1つの無機チタン酸塩が、噴霧乾燥される溶液または懸濁液および/または噴霧乾燥された粉末に添加されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ガス発生固体火工装薬を含むガス発生器であって、前記装薬が、請求項1から11のいずれか一項に記載の、および/または請求項12から14のいずれか一項に記載の方法によって得られた少なくとも1つのブロックを含むことを特徴とするガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生火工一体化ブロック(「大きな」火工物)に関し、前記ブロックは、目的の用途により、程度の差はあるが大容積の構造の加圧専用の装置に一体化されるのに適切である。前記ブロックは、より詳しくは、作動は、加圧が、エアバッグ用ガス発生器の作動に要求される期間(最大で数msの時間)、およびさらにフード持ち上げジャッキ用ガス発生器の作動に要求される期間(約100msの時間)より非常に長い比較的長い期間もたらされることを必要とする装置に一体化するのに適している。
【0002】
それらの固有サイズ、気孔率、および組成特性のおかげで、本発明の火工一体化ブロックは、特に良好な性能(多くの厳格な必要条件を備えた仕様に関して)を付与する。それらは、特に、それらの(低)燃焼速度および(低)温度、それらの製造の容易さ、ならびにそれらのガス収率に対して特に良好な性能を付与する(以下参照)。
【0003】
問題の装置は、例えば、消火器(それらの作動に必要なガスは、推進剤ガスとして使用され、ノズルを介して消火液を放出することに役立つ)、緊急にドアを開けるためのジャッキのアクチュエーター(それらの作動に必要なガスは、ジャッキを機械的に作動するために使用される)、柔軟性構造体を膨張させるための装置(それらの作動に必要なガスは、柔軟性で不浸透性エンベロープの展開および加圧をもたらす)である。これらの柔軟性構造体の膨張は様々なニーズを満たし得る:例えば、パイプライン(例えば、工場災害の場合に汚染の危険を制限する目的での非放出システム用)の閉塞の必要性、浮き袋(例えば、特にヘリコプターの緊急投げ込み用)を生成する必要性、柔軟性スライド(例えば、航空機からの乗客の緊急避難用)を展開させる必要性。
【0004】
したがって、今まで、そのような装置の働きは、一般的に安全または非常装置であり、装置の作動はほとんどの場合、タンク内で高圧(200〜400bar)で貯蔵された中性ガス(窒素、ヘリウムなど)を使用することによって行われる。この技術は、本質的に無毒で、さらに冷たい中性ガス(不活性)の使用などの長所を有する。しかし、それは高圧で事前に圧縮されたガスを使用するので、顕著な不都合を有する:
a)ガス貯蔵タンクはいまだに(たとえガスが高圧縮されても)寸法が大きい;
b)タンク(ボトルなど)内に高圧で貯蔵されたガスの存在は、明らかな安全上の理由で、前記タンクは長い期間、高い内部圧力に耐えるように技術基準および圧力下でのエンベロープに関する指令を守ることによって寸法が決定され、それは、大きな厚さ(したがって、相当な重量)の、または高い製造コストの軽量材料(複合材料)を使用する構造となる;最後に、
c)メンテナンスの周期的な実施は装置の耐用年数の全体にわたって安全で最適な作動を保証することが要求される。これらの実施は明らかに運転コストに影響する。
【0005】
上述の不都合aおよびbは、搭載装置(重量および/または寸法の点から、そこに課された制約を考慮して、特には航空部門において)にとって特に重要であると分かる。定期的なメンテナンス実施(上述の不都合c)がなくなると、もちろん運転コストが非常に有利に削減される。
【0006】
上述のタイプの装置の作動のために固体火工物を使用することも記載されている。
【0007】
そのような装置の作動用の仕様は、程度の差はあるが大容積の構造を加圧するために、比較的長い指定された継続時間、問題の火工物から比較的ゆっくり絶えずスタートして、適度な温度の多量のガスが生成されることを必要とする(決して限定されるものではないが、約1L(例えば、ドアを開けるためのジャッキ)、約3000L(例えば、ヘリコプター浮き袋)、またはさらに約20000L(例えば、脱出スライド)が挙げられる)。
【0008】
国際公開第2007/113299号パンフレットは、比較的長い期間(50ms〜1minの時間が挙げられる)にわたってガスを発生するための火工物についてこのように記載し、その組成はバインダーがなく、化学量論平衡に近いGN/BCN比率で、硝酸グアニジン(GN:還元装薬として)および塩基性硝酸銅(BCN:酸化装薬として)を含む。したがって、前記組成は、ほとんど平衡に保たれた酸素平衡(0に近い)を有する。これは、現在の問題の仕様に関連して、高すぎる燃焼温度および燃焼速度を前記火工物に与える(以下参照)。
【0009】
前記国際公開第2007/113299号パンフレットに記載された火工物は、乾燥圧縮成型方法によって有利に得られ、実質的に円筒形状であり、5mmを超える厚さ、10mm以上の直径(一般的に10〜60mmの厚さおよび/または直径)および1〜8%の気孔率を有する。実際、低い気孔率(<5%、より有利には<3%)は、制限のあるサイズの火工物を除いて、記載された組成(およびそれらの高密度特性)で容易に得ることができない。現在、当業者は、このパラメーター気孔率の重大な特質を認識している。「高」気孔率値(この場合、4〜5%を超える)は、一般的に火工物の衝動作動の分散を増加させることなどの性質であり、長期間過酷な振動を備えた環境で前記火工物に不十分な耐久性を与え、この火工複合材料(つまり、GN+BCN混合物系)のクラスに関して、燃焼速度の値を増加させる。
【0010】
長期的なガス発生に関してそれらの特に有利な特性を考えれば、発明の火工一体化ブロック(以下に記載)は、国際公開第2007/113299号パンフレットの教示による火工物の改良と見なされ得る。
【0011】
発明者らは、安全または非常装置(より一般的に、構造の加圧をもたらすため)の作動をもたらすために、燃焼ガスが先行技術の加圧されたガスに取って替わるガス発生火工一体化ブロックを提案する。この取替えは、それ自体有利であり(圧力下でガスを使用するという不都合に関して以上参照)、本発明の前記ブロックが厳格な仕様に関して特に高い性能を与えるので、なおさらそうである。どんな場合も、それらは、国際公開第2007/113299号パンフレットに記載された火工物よりも良好な性能を与える。
【0012】
前記仕様の主な必要条件は下に示される。
【0013】
特に有利に、比較的長い時間(一般的に少なくとも500msで2min以内)、適切な流量の燃焼ガス(流量=燃焼速度×燃焼中の表面積)を伝えるために、発明者らは次のように調査した:
−燃焼の表面積が低減されるような(それらが燃焼される大きな厚さを有するような)大きなブロック(典型的には、厚さ≧10mmおよび相当直径≧10mmを備えた);前記ブロックは、制限のある圧縮成型力で、密度が高められて(つまり、低い気孔率有する:<5%、有利には≦3%、非常に有利には≦2%)製造(形成)されることができ、実際の利点を与える。そのようなブロックにより、できるだけ高い密度(占有された装薬体積に対する火工製品の重量に対応する装薬の密度)を有する装薬が得られる(航空部門を特に対象とする内蔵システムにおいて特に有益なガス発生器の全体寸法の低減を可能にする。典型的には、この要求は、エアバッグ用ガス発生器で従来使用されたものなど、大量のペレットの形態での装薬の使用を効果的に禁止する)。ブロックの外側面の抑制(例えば、熱硬化性ワニスの堆積による)がさらにもたらされて、非常に長い加圧時間が要求される状況でブロックの燃焼時間を増加し得る;
−低い燃焼温度を有するブロック:1415K以下。そのような低い燃焼温度は、生成されたガスの冷却により圧力の不可避の損失を制限する。この低い燃焼温度は、さらに、ガス発生器および加圧される構造に課された熱応力に関して特に有益である;
−低い燃焼速度を有するブロック。より正確に、下記が必要である:1)低圧(燃焼は、低圧(これは、ガス発生器(したがって、ガス発生器の重量に関して)、および加圧される構造の圧力抵抗の制約に関して特に有益である)で起こるに違いない)での適度な燃焼速度、そしてその割合は、典型的には、1〜10MPaで6mm/s未満(高圧(20MPa)での燃焼速度が潜在的に6mm/sを超えるが、前記高圧での燃焼速度は所望の用途(長い期間にわたる大容積構造の加圧)を考慮して、ここで全く関連がないことが理解される));2)大気圧でのゼロでない割合(ブロックが完全に燃焼することが望ましい);
−引火性および燃焼ウォームアップの良好な特性を有するブロック;
−凝集形態で燃焼残渣を生成するブロック(このように、容易に濾過可能であり、装置に組み入れられなければならないガスろ過システムの寸法を低減することを有利に可能にする残渣);
−また良好なガス収率を有するブロック(一般的に、38mol/kgを超え、好ましい変形例では42mol/kgを超える)、組み入れられる火工装薬の重量、したがって、システムの重量(これは、航空市場を対象とする装置に特に有利である)を制限することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2007/113299号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、そのような仕様に関して、発明者らは、オリジナルであり、特に良好な性能を備え、それらのサイズ、気孔率、および組成を特徴とするガス発生火工一体化ブロックを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実質的に円筒形状(一般的であるが排他的でなく、回転シリンダまたは回転類似シリンダ)の発明の前記ガス発生火工一体化ブロックは、以下の特性を組み合わせる:
a)サイズ:10mm以上の厚さ、10mm以上の相当直径、
b)気孔率:5%未満の気孔率(このパラメーターは、百分率で表され、理論密度と実際の密度との差の理論密度に対する比率に相当する)、および
c)組成:それらの組成は重量%で表され、それらの重量の少なくとも94%について、
硝酸グアニジン(GN)77.5〜92.5%、
塩基性硝酸銅(BCN)5〜10%、および
融点が2100Kを超える少なくとも1つの無機チタン酸塩2.5〜12.5%
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】高密度カーブ(つまり、圧縮ステップの間に材料にかけられた圧力の関数としての気孔率値の変化)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上に述べたサイズ特性に関して、問題のブロックが大きな火工物からなることが理解されるであろう。決して限定されるものではないが、それらが10〜100mm(10mm≦e≦100mm)の厚さを一般的に有する、および/または非常に一般的には、10〜100mm(10mm≦φ≦100mm)の相当直径を有することがここで述べられ得る。有利な実施形態によれば、それらは、20〜80mm(20mm≦e≦80mm)の厚さを有し、および/または好ましくは、20〜80mm(20mm≦φ≦80mm)の相当直径を有する。
【0019】
上に述べた気孔率特性に関して、問題のブロックが高密度ブロックであることが理解されるであろう。有利な実施形態によれば、前記ブロックの気孔率は3%以下である。非常に有利な実施形態によれば、前記ブロックの気孔率は、2%以下、またはさらに1%(低(≦2%)であり、またはさらに気孔率の非常に低い(≦1%)値は、名目上高い圧縮力の適用によって(発明のブロックの組成で)得られ、低くないが、すでに低い(>2%および<5%)気孔率値が国際公開第2007/113299号パンフレット(添付図面参照)の教示によって組成を備えた等価気孔率を得るために必要なものに関連して低減される圧縮力の適用によって得られる。
【0020】
当業者は、発明のブロックの大きな利益を既に理解しており、それは大きなサイズおよび低い気孔率を組み合わせる。ブロックの特定の組成は、そのような組み合わせを可能にし、前記ブロックの燃焼パラメーターに関して特に有益である(上述の明細書で述べられた燃焼温度(≦1415K)および燃焼速度(大気圧で1〜10MPaでゼロ以外の<6mm/s)参照)。
【0021】
発明のブロックの組成は、その重量の少なくとも94%について以下を含む組成物である:
−上述の同定された3つの成分:酸化装薬としての硝酸グアニジン(GN)、還元装薬としての塩基性硝酸銅(BCN)、および耐熱性装薬としての無機チタン酸塩(この装薬の融点(>2100K)は、それが存在する塩基GN+BCNの燃焼温度よりさらに高い(そのような塩基は非平衡であり(以下参照)、約1500Kよりさらに低い燃焼温度を有する)固体燃焼残渣の凝集剤と燃焼調整剤との二重の機能をもたらす(意外に、必要な燃焼の厳しい特性(温度および燃焼速度)に達することを可能にする);
−以下に記載の割合で:酸素平衡に関して高い非平衡なGN+BCN主成分で(その重量割合GN/BCN≧7.75、有利には≧8.5に起因して)、この非平衡は、要求される燃焼特性に関して適切であり、少なくとも1つのチタン酸塩は、かなりの量(1つの実施形態によれば、≧2.5重量%、≧5重量%、その結果、それが(意外に)進展する燃焼特性に対する最適化の技術的効果は重要である)ではあるが過剰でない量(≦12.5重量%、とりわけガス収率および引火性に関して)で存在する。
【0022】
発明のブロックの組成、より詳しくは前記組成のGN+BCN主成分に関して、下記が加えられ得る。
1)発明のブロックの組成中の硝酸グアニジンの高い含有量(77.5〜92.5重量%)は、前記硝酸グアニジンのレオプラスチック挙動に起因して、前記ブロックの密度(低気孔率)に関して特に有利である。それは、特に乾式プロセスによって、前記ブロックの準備の間に圧縮成型および/または圧縮のステップを実行するために特に有利である(以下参照)。
2)したがって、硝酸グアニジンおよび塩基性硝酸銅は、7.75〜18.5の重量割合R=GN/BCN(非平衡)で存在する(GNおよびBCNについて述べられた重量割合を参照)。前記重量割合は、有利には8.5〜15、非常に有利には8.5〜12、特に好ましくは8.5〜10である。有利で、非常に有利で、特に好ましいこれらの実施形態は、要求された燃焼特性に関してそうであるが問題のブロックの引火性およびガス収率に関してもそうである。
【0023】
発明のブロックの組成中に存在する少なくとも1つの無機チタン酸塩に関して、下記が加えられ得る。
【0024】
前記少なくとも1つの無機チタン酸塩は、金属チタン酸塩およびアルカリ土類チタン酸塩(=金属チタン酸塩、アルカリ土類チタン酸塩、およびそれらの混合物)から選択されることが好ましい。発明のブロックの組成は、このように、非常に有利には金属チタン酸塩またはアルカリ土類チタン酸塩を含む。好ましくは、発明のブロックの組成は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO(融点は2353Kである))および/またはチタン酸カルシウム(CaTiO(融点は2248Kである))および/またはチタン酸アルミニウム(AlTiO(融点は2133Kである))を含む。特に好ましくは、それは、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、またはチタン酸アルミニウム(AlTiO)を含む。
【0025】
本発明のブロックの組成中の前記チタン酸塩の二重の機能が重視されるべきである。前記チタン酸塩は、燃焼残渣(それらの耐熱性の性質(融点>2100K)のために)の凝集剤の役割を行い、それらは、ブロックの燃焼温度で粉状固体のそれらの物理的状態を保存し(それらは、この形態で明らかに使用される)、従って、銅残渣(液体中の残渣は(全体的または部分的に)組成の燃焼温度で形成する)がBCNの燃焼中に生成され、酸素平衡において高く非平衡なGN+BCN主成分内に存在し、それらは、驚くべきことに、程度の差はあるが大容積(1L〜20000Lの体積が以上で言及された)の長い時間(500ms〜2minの時間が以上で述べられた)にわたって、必要な特定の燃焼特性(1415K以下の燃焼温度、6mm/s以下の適度な燃焼速度、低圧(1〜10MPa)で、大気圧で非ゼロの燃焼速度)、加圧の目的の機能上のニーズに必要な燃焼特性を得ることを可能にする。それらの使用は、大気圧で非ゼロの燃焼速度に関して特に適切に見える。
【0026】
したがって、上述で同定された発明のブロックの3つの本質的な成分、GN+BCN+融点が2100Kより高い少なくとも1つの無機チタン酸塩は、前記ブロックの全重量の少なくとも94重量%に相当する。それらは、完全に十分に後者の少なくとも97%、後者の少なくとも99%、またはさらに後者の100%に相当し得る。
【0027】
発明のブロックの前記3つの本質的な成分に加えて、前記ブロックの組成は他の成分を含んでいてもよい。明らかに、それらの存在が、とりわけ燃焼の必要な特性に著しく影響しない場合に限り、前記他の成分が最大でも6重量%の割合でのみ存在すべきであることが理解される。前記他の成分は、排他的ではなく一般的に、加工添加剤(製造助剤)、バインダー、およびフラックスから選択される(以下参照)。
【0028】
第1の変形例によれば、発明のブロックの組成は、前記3つの本質的な成分に加えて、少なくとも1つの処理添加剤(例えば、ステアリン酸カルシウムまたは黒鉛からなる製造助剤)を含む。前記処理添加剤は、1重量%以下の含有量で一般的に存在する。従来、それは0.5重量%以下の含有量で存在する。その存在は、乾式処理によって発明のブロックを得るのに特に適切である(以下参照)。
【0029】
この第1の変形例の状況では、発明のブロックの組成は、有利には、前記硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、少なくとも1つの無機チタン酸塩、および少なくとも1つの処理添加剤の100重量%を含む。この有利な組成を有する発明のブロックは、乾式処理によって一般的に得られる。しかし、それらは、また、湿式処理によって、とりわけ噴霧ステップを含む湿式処理によって得られてもよい(以下参照)。
【0030】
第2の変形例によれば、発明のブロックの組成は、前記3つの本質的な成分(および、任意に、加えて、前記少なくとも1つの処理添加剤)に加えて、少なくとも1つのバインダー(例えば、セルロースまたはアクリルタイプの)または少なくとも1つのフラックス(例えば、NaClまたはKClなどのアルカリ金属塩化物塩タイプ)を含む。少なくとも1つのそのようなバインダーの存在は、押し出し、任意に湿式法(バインダーは、そのとき、使用される溶媒(水が好ましい「溶媒」である)と接触してゲルの形成に寄与する)によって発明のブロックを得るのに特に適切であり得(以下参照);少なくとも1つのそのようなフラックスの存在は、乾式処理によって発明のブロックを得るために、とりわけ、非常に低い燃焼温度を特徴とする組成から配合されたブロックを得るために、特に適切であり得る(以下参照)。少なくとも1つのそのようなバインダーまたは少なくとも1つのそのようなフラックスは、5重量%以下の含有量で一般的に存在し、3重量%以下の含有量で非常に一般的に存在する。
【0031】
この第2の変形例の状況では(および上述の第1の変形例のものにおいても)、発明のブロックの組成は、有利には、前記硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、少なくとも1つの無機チタン酸塩、少なくとも1つの処理添加剤、および少なくとも1つのバインダーまたは少なくとも1つのフラックスの100重量%を含む。それは、非常に有利には、前記硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、少なくとも1つの無機チタン酸塩、少なくとも1つの処理添加剤、および少なくとも1つのフラックスの100重量%を含む。この非常に有利な組成を有する発明のブロックは、乾式処理によって一般的に得られる。
【0032】
それらの正確な特性、10mmを超える厚さおよび直径、5%未満の気孔率、および述べた割合で存在する硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、および少なくとも1つの無機(耐火性)チタン酸塩の少なくとも94重量%に構成された組成が何でも、発明のブロックは、それらの表面の少なくとも一部上で、燃焼に対して抑制される(適切な材料(燃焼抑制材料)の層で被覆され、それは、一般的に(不燃性)ワニスの形態である)。そのような抑制は、それらの燃焼(既に、「実質的に」遅い)を遅らせることを可能にし、したがって、非常に長い燃焼時間(上で述べた2min参照)を得ることを可能にする従来の手段(仏国特許出願公開第2275425号明細書および米国特許第5682013号明細書に顕著に記載された)である。
【0033】
当業者は、前述のものを読むとすぐに、発明のブロックの利点を評価し、サイズ、気孔率、および組成の特性によって、ブロックが以上で示された仕様の厳格な必要条件を満たすことを可能にする。この断定を裏付けるにあたり、我々は、以下の例で述べる結果を考え得る。
【0034】
発明のブロックは、従来の方法によって、湿式プロセスまたは乾式プロセスによって得られてもよい。前記ブロックのオリジナルの組成がそれらの有利な特性の主要因であり、それらが有利な状態で得られることも可能にすることが理解される。
【0035】
発明のブロックは、乾式プロセスによって有利に得られる。それらの組成中の硝酸グアニジンの高い含有量が以上で重視された。
【0036】
そのような乾式プロセスは、ブロックの成分を混合することによって得られた粉末混合物の圧縮として概略でまとめられ得(3つの本質的な成分、そして任意に、さらに、少なくとも1つの他の成分;有利には、3つの本質的な成分+少なくとも1つの処理添加剤および任意に少なくとも1つのフラックス)、前記成分は、粉の状態で従来使用される。適切な型内に配置された粉末混合物にかけられた圧力は、一般的に10〜6.5×10Paである。
【0037】
そのような乾式プロセスは、数ステップを含んでいてもよく、国際公開第2006/134311号パンフレットに顕著に記載されていた。第1のステップは、ブロックの一部の粉末成分または粉末成分の混合物を(乾燥)圧縮成型するステップである(成分すべて(有利には、3つの本質的な成分+少なくとも1つの処理添加剤および任意に少なくとも1つのフラックス)が混合されてもよい、または少なくとも1つのチタン酸塩(したがって、有利には、GN+BCN+少なくとも1つの処理添加剤および任意に少なくとも1つのフラックス)以外のすべてが混合されてもよい(以下参照))。乾燥圧縮成型は、10〜6.10Paの圧縮成型圧力でロールコンパクタでそれ自体公知の方法で一般的に行われる。前記圧縮成型ステップの終わりに、平面プレート(平面を備えた2つのロールが使用される)または突起を備えたプレート(使用される前記ロールのうちの1つは凹部を備えた表面を有する場合)が一般的に得られる。第2のステップは、得られた圧縮成型された材料の造粒のステップである(したがって、一般的に平面プレートまたは凹部を備えたプレート)。得られた顆粒は、200〜1000μm(0.7〜1.2g/cmの見掛け密度と同様に)の粒度(メジアン直径)を一般的に有する。第3のステップは、得られた顆粒の(乾燥)圧縮ステップ(=成形ステップ)である。適用された圧力は、一般的に10〜6.5×10Paである。少なくとも1つのチタン酸塩は、発明のブロックの他の成分、主に、または専らGN+BCNとともに、つまり、発明のブロックを製造する方法の最初に存在し、または圧縮を実行する前に、製造方法におけるさらなる下流で顆粒に添加される。それは、数回、最初に(粉末の混合物に)、およびさらに下流で(顆粒に)添加されることは完全には除外されない。
【0038】
以上で説明された(従来の)乾式プロセスは、以上で説明した組成の特性、サイズ、および気孔率を有するブロックを得るために、本発明に関連して使用される(つまり、特に10mm以上、一般的に10〜100mm、有利には20〜80mmの厚さ)。
【0039】
乾式プロセスによる発明のブロックを得るこの状況では、(粉末の形態で)使用される硝酸グアニジン(GN)および塩基性硝酸銅(BCN)は、有利には、20μm以下の微細な粒度(メジアン直径の値)を有する。前記粒度は、一般的に1〜20μmである。これらは、実際には、従来の粒度である。
【0040】
発明のブロックも湿式プロセスによって得られてもよい。
【0041】
1つの変形例によれば、前記湿式プロセスは、ブロックの成分をすべて(有利には、硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅、少なくとも1つのチタン酸塩、少なくとも1つの処理添加剤、および少なくとも1つのバインダー)、および溶媒(水が好ましい「溶媒」である)含むペーストを押し出すことを含む。
【0042】
別の変形例によれば、前記湿式プロセスは次を含む:
a)本質的な成分(一般的に少なくとも還元装薬:GN)の少なくとも1つの水溶液を調製し、前記溶液に可溶でない前記本質的な成分の他の少なくとも1つ(一般的に少なくとも酸化装薬:BCN)の懸濁液を任意に調製すること、次いで、
b)前記溶液または懸濁液から噴霧乾燥によって粉末を得ること、
任意に、c)前記粉末に、溶液または懸濁液に予め入れられてない成分または複数の成分を添加すること(すべての成分がなかったと仮定して)、
最後にd)ブロックを生成するための、このように得られた粉末混合物を成形すること(=噴霧乾燥の終わりに得られた粉末または噴霧乾燥の終わりに前記補足的成分または複数の成分を加えて得られた粉末=必要とされるブロックの成分をすべて含む粉末);
前記少なくとも1つの無機チタン酸塩は、噴霧乾燥される(霧化される)溶液または懸濁液および/または噴霧乾燥された(霧化された)粉末に(それが成形される前に)添加される。
【0043】
粉末混合物の成形は、一般的に従来の圧縮である(公知の乾燥圧縮方法によって)。10〜6.5×10Paの圧縮圧力が以上で述べられたが、決して限定されるものではない。
【0044】
以上で述べた(従来の)湿式プロセスは、以上で説明された組成の特性、サイズ、および気孔率(つまり、特に、10mm以上、一般的に10〜100mm、有利には20〜80mmの燃焼厚さ)を有するブロックを得るために本発明の中で使用される。
【0045】
その目的の他のものによれば、本発明は、ガス発生固体火工装薬を含むガス発生器に関する。特徴的には、発明のガス発生器は、発明の少なくとも1つのブロック(実質的に円筒形状のガス発生火工一体化ブロック)を含む装薬を含み、および/または以上で再検討された方法によって得られる。そのような発生器は、大容積装薬とは対照的に、順序のある配置で発明のいくつかのブロックを含む火工装薬を一体化し(例えば、いくつかのブロックのスタックの形態で)、前記ブロック(のスタック)は、更に、それらの外側面上で抑制されることが可能であり、長い間、または非常に長い期間(以上で述べた500ms〜2minに留意する)構造の加圧にとりわけ適している。
【0046】
以下、本発明を説明することが提案されるが、決して限定されるものではない。
【0047】
I.以下の表1は、計算、特には熱力学によって評価される前記組成の特性と同様に、本発明のブロックの組成の8つの例(例1〜例8)を示す。
【0048】
これらの組成およびそれらの特性が、比較のために与えられて、例A、BおよびCのものと比較される:
−例Aにおける組成は、国際公開第2007/113299号パンフレットの教示による組成である。それは、GN52.44重量%およびBCN44.87重量%を含む(比率R=GN/BCN(=1.2)は化学量論平衡に近い)。それは、またアルミナ2.69重量%を含む(スラグ剤(国際公開第2007/113299号パンフレットによる));
−例Bにおける組成は、さらにチタン酸ストロンチウム4重量%を含む「国際公開第2007/113299号パンフレットの教示による」組成である(化学量論平衡(R=1.2)に近いGNおよびBCNの含有量を参照);
−例Cにおける組成は、非平衡GN+BCN主成分組成(R=GN/BCN=8.7)である。GNおよびBCNに加えて、前記組成は、例Aの組成と同一レベルでアルミナ(スラグ剤)を含む。
【0049】
前記例A、B、およびCの組成は、1415Kを超える燃焼温度を有する。
【0050】
ほとんど平衡に保たれた酸素平衡(0に近い)を有する組成中のチタン酸ストロンチウムの存在が、燃焼温度にほとんど効果がないことが留意される(例A(1905K)およびB(1889K)における組成についての前記燃焼温度の値参照)。
【0051】
例C(1438K)における組成の燃焼温度は、さらに1415Kを超える。
【0052】
発明の例1〜8における組成は、特徴的に、硝酸グアニジン(GN)および塩基性硝酸銅(BCN)を非平衡重量比率(8.5以上)で、および無機チタン酸塩を3%以上12.5%以下の重量割合で含む。
【0053】
表1中の例1〜8の組成の特性は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)またはチタン酸カルシウム(CaTiO)を酸素平衡で高い非平衡であるGN+BCN系組成(例Cでのタイプの)に添加することが、高いガス収率(39.5mol/kg以上)を維持しながら、燃焼温度の低い値(仕様に規定された1415Kのしきい値の下(以上参照))を得ることを可能にすることを示す。
【0054】
燃焼速度に関して、以下の段落IIに言及され得る。
【0055】
【表1】
【0056】
II.発明のブロックの燃焼速度は、国際公開第2007/113299号パンフレットの教示によるブロックのものと比較された。
【0057】
実際:
−2MPaおよび0.1MPaで測定された燃焼速度が、それぞれ、上記表1における発明による例8の組成および例Aの組成(国際公開第2007/113299号パンフレットによる)を有するブロック(直径:24.6mmおよび厚さ:10mm)で測定され、
−20MPa(高圧)での燃焼速度が、それぞれ、上記表1における発明による例8の組成および例Aの組成(国際公開第2007/113299号パンフレットによる)を有するペレット(直径:6.35mmおよび厚さ:2mm)で測定された。これは、純粋に、高圧で燃焼速度を測定することに適切な形状である。
【0058】
ブロックおよびペレットは、同じ乾式プロセス(圧縮成型+造粒+圧縮)によって得られ、同じ状態(特に、同じ圧縮成型および圧縮圧力)で実行され、その結果、測定された燃焼速度は比較可能である。
【0059】
これらの測定された燃焼速度は、以下の表2に示される。
【0060】
前記同じ状態で得られた前記ブロックおよびペレットの気孔率は、下のように述べられる:
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
上の結果は、発明による火工ブロックが、先行技術のブロックのものより非常に著しく低い燃焼速度(2MPaおよび0.1MPaで)を有することを示す。同じことが、10MPaでペレット上で測定された燃焼速度に当てはまる。
【0064】
さらに、発明によるブロックは、その組成におけるGN/BCN比率の相当な非平衡にもかかわらず、所望の最小値まで(つまり、大気圧まで)自燃を有利に示すことが分かった。
【0065】
III.下記では、発明のブロックの組成の高密度特性が以下に検討される。これらの高密度特性は、国際公開第2007/113299号パンフレットの教示による組成のものに比べて著しく改善される。これらの高密度特性は、非常に低い気孔率(<5%、有利には≦3%、非常に有利には≦2%、さらに≦1%)を備えたブロックを得ることを顕著に可能にする。
【0066】
添付の図1は、高密度カーブ(つまり、圧縮ステップの間に材料にかけられた圧力の関数としての気孔率値の変化)を示し、発明による例1(Ex.1)における組成および比較例A(例えば、Ex.A)の組成(国際公開第2007/113299号パンフレットの教示による)と比較して測定される。これらの高密度カーブは、圧縮力の異なる値で、ペレットの製造の中(乾式プロセス:圧縮成型+造粒+圧縮)で確立された。適用された圧縮力の値は、次いで、次の方程式による材料圧力の同等値に変換される:材料圧力(bar;横座標)=10で割られた圧縮パンチ(m)の印の表面積で割られた圧縮力(N)。気孔率値(縦座標)は、得られたペレット(タブレット)の寸法(厚さ、直径)および重量の測定から計算される(それは、百分率で表現され;それは、理論密度値に対して理論密度値と測定された密度値との差に相当する(以上参照))。
【0067】
3000barより高い圧力の値について、発明の例1による組成は、1%以下、つまり、最大密度に非常に近い気孔率値を特徴とするペレットが得られることを可能にする。適用された圧力(3000bar)の全く同一の値について、先行技術によるペレットについて測定された気孔率値は、著しくより高い(約5%)。
【0068】
当業者は、圧縮力を限定することができることが有利なことを知っており、これは工具上に適用された機械的応力(疲労、摩耗)を低減することに好都合に寄与するからである。この圧縮力は、圧縮される火工物の寸法がより大きいためより大きい。本発明に関連して、大きな直径(例えば、38mm)および20mm(ある目的の用途で要求されるように)の厚さを備えた一体化ブロックの製造は、次いで、最大の理論密度値にできるだけ近い密度の値を得ることを保証するために、高い圧縮力の適用を必要とする。
【0069】
図1の曲線によれば、比較例Aによる組成について4%以下の気孔率値を得ることは、4000bar程度、すなわち、45メートルトン程度の等価圧縮力の材料圧力の高い値を要求する。それに比べて、発明による組成(例1)についての4%(または好ましくは3%以下)の気孔率値は、1000bar(1500bar)程度、すなわち、11メートルトン(17メートルトン)程度の等価圧縮力の材料圧力の著しくより低い値について得られる。このように、本発明の例1による組成は、圧縮力を著しく(全く同一の目的レベルの気孔率について)低減する、または気孔率(適用された全く同一レベルの圧縮力について)のより低い値を得ることを有利に可能にする。
【0070】
ペレットに示された密度のこれらの有利な特性は、(発明の)ブロックにもちろん置換え可能である。
図1
【国際調査報告】