(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本技術は、一般的に、卵白タンパク質を含む製剤、タマゴのタンパク質製剤を製造する方法、およびタマゴのタンパク質製剤の使用に関する。特に、いくつかの実施形態は、タマゴアレルギーに罹患した対象の免疫療法における経口投与用のタマゴのタンパク質製剤を目的とする。本明細書中、卵アレルギーの治療に使用するタマゴのタンパク質製剤を提供する。同様に、本明細書中、タマゴのタンパク質製剤を同定し、製造する方法を提供する。
a)約0.1%〜90%(w/w)の卵白タンパク質と、b)約40〜90%の希釈剤と、c)約1〜30%の充填剤と、d)約0.01%〜10%の潤滑剤または滑剤と、e)カプセルのシェルまたはポーチとを含む、請求項1に記載の安定した医薬製剤。
前記卵白タンパク質の粉末中の卵白タンパク質のレベルが、約3、6、9、11、または36カ月間、前記医薬製剤中で安定である、請求項1に記載の安定した医薬製剤。
オボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質のうちの1つまたは複数の濃度が、前記医薬製剤中で、約3、6、9、または11、または36カ月間安定である、請求項1に記載の安定した医薬製剤。
前記製剤が、アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体;結晶デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸(polysaccharide acid);ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/ビニルアセタートコポリマー;クロスポビドン(crosspovidone);ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガント;デキストリン、糖;リン酸二カルシウム;天然ゴムまたは合成ゴム、ポリビニルピロリドン、カラマツのアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム、デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、架橋デンプン;架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸塩;粘土;グリコール酸デンプンナトリウム;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;樹脂;柑橘類の果実;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと併用したラウリル硫酸ナトリウム(sodium laurel sulfate);ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数の希釈剤を含む、請求項1に記載の安定した医薬製剤。
前記製剤が、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、ワックス、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘナート、グリセリルパルミトステアラート、グリセリルベンゾアート、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の潤滑剤を含む、請求項1に記載の安定した医薬製剤。
前記製剤が、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート(Dextrates)、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の充填剤を含む、請求項1に記載の安定した医薬製剤。
a)約0.1%〜50%(w/w)の卵白タンパク質と、b)約40〜90%のProsolv SMCC 50および/またはProsolv HD90と、c)約1〜30%のマンニトールと、d)約0.01%〜10%のステアリン酸マグネシウムおよび/またはタルクと、e)カプセルシェルまたはポーチとを含む、安定した医薬製剤。
対象の卵アレルギーの治療のための医薬製剤を同定する方法であって、a)1つまたは複数の解析方法により卵白タンパク質の組成物中のオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質の濃度を決定することと、b)前記タンパク質の濃度を、参照標準物質の濃度と比較することと、c)対象の卵アレルギーの治療のための組成物を同定することであって、前記組成物が、少なくとも、前記参照標準物質と同一の濃度のオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質の濃度を含む、こととを含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.概要
食物アレルギーは、大部分の場合、食物中のタンパク質に対する反応により引き起こされる。人生の初期で、免疫系がさらに発達し、食事性抗原に対する耐性を発達させない場合もある(またこれは、経口耐性の不十分な誘導としても説明され得る)。この結果は、乳児、小児、または若年の動物が食事性タンパク質に対する免疫応答が悪化しており、これに対するアレルギー応答を発達させることである。小児の最も一般的な食物アレルギーは、牛乳、タマゴ、ピーナッツ、およびナッツ類である。現在、食物アレルギーに利用できる有効な治療は存在しない。有害なアレルゲンを回避することは、食物アレルギーを管理するための唯一の許容された選択であった。しかしながら、厳密な食事の回避は、ラベルの解釈が困難であること、および市販の加工食品の申告されていないまたは隠されたアレルゲンの存在により、困難である場合がある。
【0022】
タマゴのタンパク質に対するアレルギーを有する対象が経験した症状は、生理的に多様であり、かつ様々な重症度を有する場合がある。たとえば、症状は、皮膚(アトピー性皮膚炎、蕁麻疹/血管浮腫、発疹)、消化管(成長不全、重篤な胃食道逆流、慢性下痢、持続性便秘、吸収不良症候群、反復性嘔吐、腸炎、炎症(anoproctite))、または命の危険の可能性のあるアナフィラキシー反応(声門浮腫、ショックに応じた低血圧、明瞭な喘息、急性的な皮膚および胃腸管の症状)を含み得る。多くの場合、腸管粘膜の病理組織学的な病変は、セリアック病(様々な度合いの腸管の絨毛の萎縮症)、吸収不全病態の解剖学的病理学的な指標のうちの典型的な1つに非常に類似していることが見出されている。症状の強度および数は、対象間だけでなく、個々の患者においても、経時的に可変である。
【0023】
タマゴに対して重篤なアレルギーを有する個体は、少量のタマゴのタンパク質を消費した後に命に関わる反応を有する可能性があるため、この個体のクオリティ・オブ・ライフは、アレルギーにより非常に影響を受け得る。治療の必要があるにも関わらず、食物アレルギーの経口免疫療法の臨床開発はゆっくりと進んでおり、FDAに認可された経口免疫療法の治療は現存していない。免疫療法における食品/加工食品の使用は、食品に存在するアレルゲンレベルが不定である場合であり;経時的かつ特定の条件下で分解し得;かつ粉末状の食品の場合では、カプセルまたは他のパッケージングに凝集または接着し得るため、理想的ではない。少量の食物アレルゲンは重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、これらの理由のいずれかに関する活性成分の増減は、経口免疫療法を予測できないものにする場合がある。
【0024】
化学的な安定性は、医薬組成物の設計および製造、ならびに規制の検査および承認において重要な態様である。これら組成物の分解の速度は、温度、光、放射線、酵素、または他の触媒、溶液のpHおよびイオン強度、溶媒の種類、ならびに緩衝液の種類を含む多くの環境上の要因により、影響され得る。このような分解は、有効性を低下させ、有効な保存可能期間を短くし得る。
【0025】
本明細書中に提供されるタマゴのタンパク質製剤は、増大した保存可能期間および安定性を提供することができ、かつタマゴのアレルゲンの一定した投与を提供することにより、タマゴアレルギーの経口免疫療法治療に関連したリスクを低下させることができる。一定した投与は、タマゴのタンパク質製剤に存在するタンパク質レベルの詳細な特徴付け(および定義された基準と一致するロットの選択)、ならびにこのような組成物に存在するタマゴのアレルゲンの安定性の改善を介して、達成される。
【0026】
経口免疫療法(OIT)および舌下免疫療法(SLIT)の形態における、タマゴアレルギーを含む食物アレルギーに特有の免疫療法は、近年研究されており、有益な免疫性の変化を含む、初期の臨床試験における有望な安全性および有効性の結果を示した。OITは、経時的な免疫性の変化を有する対象の大部分で脱感作を誘導するエビデンスを示し、これは臨床耐性に向かう進行を示す(Skripak et. al., J. Allergy Clin Immunol. 122(6): 1154−1160, 2008; Keet et. al., J. Allergy Clin Immunol. 129(2): 448−455, 2012)。
【0027】
本技術の様々な態様は、医薬組成物に製剤化することができる卵白タンパク質を含む製剤を提供する。これらの本開示の製剤は、治療レジメンにしたがい患者に投与する場合、タマゴおよびタマゴ製品に対してアレルギーのある対象のための経口免疫療法(OIT)を提供することができる。治療の後、経口負荷試験(OFC)で投与された対象を、本技術の態様に係るタマゴタンパク質に部分的または完全に脱感作することができる。
【0028】
本明細書中、本技術の態様に係るタマゴおよびタマゴタンパク質製品の経口免疫療法のための組成物(すなわち製剤)および方法を提供する。
【0029】
本技術の様々な態様は、タマゴのタンパク質製剤、タマゴのタンパク質製剤を製造する方法、およびそれらの使用を提供する。一部の実施形態では、タマゴタンパク質組成物は、1つまたは複数の滑剤、1つまたは複数の潤滑剤、および1つまたは複数の希釈剤および/もしくは充填剤を含むことができる。たとえば、他の実施形態では、タマゴタンパク質組成物は、1つまたは複数の滑剤、1つまたは複数の潤滑剤、および1つまたは複数の希釈剤、および1つまたは複数の充填剤を含むことができる。
【0030】
本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細は、以下の詳細な説明および実施例に記載されている。多くの実施形態が、タマゴタンパク質の経口免疫療法および/または経口免疫療法の臨床試験の使用のための組成物(すなわち製剤)に関して、以下に記載されているが、本明細書中に記載されるものに加えて、他の用途および他の実施形態は、本技術の範囲内にある。さらに、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書中に記載されるものと異なる成分または手法を有することができる。よって当業者は、本技術が追加的な成分を含む他の実施形態を有することができる、または本技術が以下に示され記載されているいくつかの態様を用いることなく他の実施形態を有することができることを、認識するものである。
【0031】
本明細書中に引用されている公報、特許、特許出願、および特許を含むすべての参照文献は、各文献が参照により援用されているように個々かつ具体的に記載されている場合、および本明細書中に全体が記載されている場合と同一の程度で、参照により本明細書中に援用されている。
【0032】
II.定義
特段定義されない限り、本明細書中に使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書中に記載される本技術が属する当業者により一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書中で参照されているすべての特許および公報は、参照として援用されている。
【0033】
個々の数値の使用は、用語「約(aboutまたはapproximately)」が上記数値に先立つような近似値として表されている。また、本願で明示された様々な範囲の数値は、特段他の記載が明示的に示されない限り、提示された範囲内の最小値および最大値に用語「約」が先立つような近似値として表されている。この方法では、提示された範囲超および未満の変分を使用して、この範囲内の値と同一の結果を実質的に得ることができる。本明細書中で使用されるように、数値を指す場合の用語「約」は、特定の主題が、問題となる範囲または要素と最も密接に関連する分野、または問題となる範囲もしくは要素に関連する分野の当業者にとって明白かつ通常の意味を有するべきである。厳密な数値の境界から拡大した量は、多くの要因に依存する。たとえば、考慮され得る一部の要因として、要素の臨界が挙げられ、かつ/または所定の量の変動の効果は、請求される主題の特性、ならびに当業者に知られている他の考慮に関して有するものである。本明細書中で使用されるように、異なる数値に関して有意な桁の異なる量の使用は、どのように、用語「約」の使用が、特定の数値を拡大するように作用するかを限定することを意味するものではない。よって、一般的な方法として、「約」は数値を拡大する。また範囲の開示は、最小値および最大値の間の各範囲+用語「約」の使用により与えられる拡大範囲を含む連続した範囲として意図されている。よって、本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書中特段記載がない限り、単に、上記範囲内の各個別の値を個々に指す短絡的な方法として作用するように意図されており、各個別の値は、本明細書中個々に記載されているように明細書に組み込まれている。
【0034】
用語「約(about)」は、用語「約(approximately)」の同意語として使用されている。当業者は、「約」の正確な境界が、組成物の成分に依存することを理解するものである。例示的に、用語「約」の使用は、記載される値のわずかに外側の値、すなわち、有効かつ安全である+または−0.1%〜10%を指す。他の実施形態では、用語「約」の使用は、記載される値のわずかに外側の値、すなわち、同様に有効かつ安全である+または−0.1%〜5%を指す。他の実施形態では、用語「約」の使用は、記載される値のわずかに外側の値、すなわち、同様に有効かつ安全である+または−0.1%〜2%を指す。
【0035】
本開示の文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)での用語「a」、「an」、および「the」、ならびに類似の指示対象による、またはこれらの使用により形成できるいずれかの範囲、比率、および比率の範囲は、本得明細書中他の記載がない限り、または文脈と明確に相反しない限り、単数形および複数形の両方を含むように構築されている。本明細書中に記載されるすべての方法は、本明細書中特段他の記載がない限り、または文脈と明確に相反しない限り、いずれかの適切な順序で行うことができる。本明細書中に提供されるいずれかおよび他の例、または例示的な言語(たとえば好ましい、好ましくはなど)の使用は、単に本開示の内容をさらに例示するよう意図されており、本技術または特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。明細書中の言語は、本技術にとって重要ないずれかの請求されていない要素として構築されているべきである。
【0036】
用語「吸収」は、概して、消化管から血管内へのアレルゲンの移動のプロセスを表す。
【0037】
本明細書中で使用される用語「動物」は、ヒト、ならびに、たとえば哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、および魚類を含む非ヒトの動物を表す。一部の実施形態では、非ヒトの動物は哺乳類である(たとえばげっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、霊長類、またはブタ)。いずれかの動物はトランスジェニック動物であってもよい。
【0038】
本明細書中で使用される用語「抗原」は、動物において抗体応答(すなわちホルモン応答)および/またはT細胞との抗原特異的な反応(すなわち細胞性応答)の産生を誘発する分子を表す。
【0039】
本明細書中で使用される用語「アレルゲン」は、他のアイソタイプの抗体に加えてIgEの産生を誘発する抗原のサブセットを表す。用語「アレルゲン」、「天然のアレルゲン」、および「野生型のアレルゲン」は、互換可能に使用してもよい。本技術の目的のためのアレルゲンの一部の例は、タンパク質のアレルゲンである。
【0040】
本明細書中で使用される文言「アレルギー反応」は、主に、皮膚系(たとえば、蕁麻疹(uticana)、血管性浮腫(angiodema)、そう痒)、呼吸系(たとえば、喘鳴、咳嗽、喉頭浮腫、鼻漏、流涙/眼のかゆみ)、消化管系(たとえば、嘔吐、腹痛、下痢)、および心血管系(すなわち全身反応が生じる場合)を含む臨床症状と共にIgEに媒介される免疫応答に関する。本技術の目的では、喘息反応はアレルギー反応を形成すると考えられる。
【0041】
本明細書中で使用される文言「アナフィラキシー性アレルゲン」は、天然の条件下で天然の状態に遭遇する場合に、アレルギー性の個体におけるアナフィラキシー反応のリスクを表すように理解されているアレルゲンのサブセットを表す。たとえば、本明細書中に記載されるように、花粉アレルゲン、ダニアレルゲン、動物のふけまたは排泄物(たとえば唾液、尿)のアレルゲン、および菌類のアレルゲンは、アナフィラキシー性のアレルゲンとされるものではない。他方で、食物アレルゲン、昆虫アレルゲン、およびゴムのアレルゲン(たとえばラテックス由来)は、一般的にアナフィラキシー性アレルゲンとされている。特に、食物アレルギーは、本技術の実務の使用に関するアナフィラキシー性アレルゲンである。特に、ナッツのアレルゲン(たとえばタマゴ、ウォールナッツ、アーモンド、ピーカン、カシュー、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、松の実、ブラジルナッツ由来)、食事性アレルゲン(たとえばタマゴ、牛乳由来)、種のアレルゲン(たとえばゴマ、ポピー、マスタード)、ダイズ、小麦、および魚のアレルゲン(たとえばエビ、カニ、ロブスター、ハマグリ、ムール貝、カキ、ホタテ貝、ザリガニ由来)は、本技術に係るアナフィラキシー性食物アレルゲンである。特に、対象となるアナフィラキシーアレルゲンは、反応が、一般的に死亡するリスクを生じさせるように作用するアレルゲンである。
【0042】
本明細書中に使用される文言「アナフィラキシー」または「アナフィラキシー反応」は、標的臓器、たとえば気道、皮膚、消化管、および心血管系におけるその後の介在物質の放出および重篤な全身性の病態応答の産生を伴うアナフィラキシーアレルゲンにより誘導されるマスト細胞および好塩基球における高親和性IgE受容体の架橋に続発するマスト細胞の脱顆粒を特徴とするアレルギー反応のサブセットを表す。当該分野で知られているように、アナフィラキシー反応の重症度は、たとえば、皮膚反応、眼および口の周囲の腫脹、嘔吐、ならびに/または下痢、次いで、喘鳴および努力性呼吸などの呼吸性反応をアッセイすることにより、モニタリングしてもよい。最も重篤なアナフィラキシー反応は、意識の喪失および/または死亡をもたらし得る。
【0043】
本明細書中で使用される文言「抗原提示細胞」または「APC」は、抗原に特異的な応答を誘発するためにT細胞に対する抗原を処理または提示する細胞、たとえばマクロファージおよび樹状細胞を表す。
【0044】
2つの実体が、本明細書中に記載されるように互いに「結合する」場合、これらは、直接または間接的な共有結合性または非共有結合性の相互作用により結合されている。好ましくは、これらの結合は共有結合である。望ましい非共有結合性相互作用として、たとえば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気相互作用などが挙げられる。
【0045】
「生物学的利用率」は、試験した動物またはヒトの体循環に送達される、投与されたタマゴのアレルゲンの重量のパーセンテージを表す。静脈内に投与する場合、薬剤の総曝露(AUC(0−∞))は、通常、100%生物利用可能(F%)として定義されている。「経口性生物学的利用率」は、静脈内注射と比較して医薬組成物を経口投与する場合にタマゴのアレルゲンが体循環に吸収される度合いを表す。
【0046】
「血液血漿中濃度」は、対象の血液の血漿成分中のタマゴのアレルゲンの濃度を表す。タマゴアレルゲンの血漿中濃度は、代謝および/または他の治療剤との潜在的な相互作用に関するばらつきにより、対象間で有意に異なる場合があることが理解されている。本技術の一態様によると、タマゴアレルゲンの血液血漿中濃度は、対象ごとに異なり得る。同様に、最大血漿中濃度(Cmax)または最大血漿中濃度に達するまでの時間(Tmax)、または血漿中濃度時間曲線下の総面積(AUC(0−∞))などの値は、対象ごとに異なり得る。このばらつきにより、タマゴアレルゲンの「治療上有効量」を構成するために必要な量は、対象ごとに変動し得る。
【0047】
「キャリアー物質」は、薬剤学において一般的に使用される賦形剤を含み、タマゴアレルゲンとの適合性および所望の剤形の放出プロファイルの特性に基づき選択されるべきである。キャリアー物質の特定の例として、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などを挙げることができる。
【0048】
本明細書中で使用される「賦形剤」は、薬剤の送達、吸収、溶解性を促進できる物質である。賦形剤として、希釈剤、充填剤、潤滑剤、および滑剤を挙げることができる。
【0049】
「薬学的に適合可能なキャリアー物質」は、限定するものではないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrollidone)(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼインナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスホジルコリン(phosphotidylcholine)、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロースおよびセルロース接合体、糖ステアロイルラクチル酸ナトリウム、カラジーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンなどを含んでもよい。たとえばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980; and Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 1999)を参照されたい。
【0050】
本明細書中で使用される用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「など」は、オープンで非限定的な意味で使用されている。
【0051】
本明細書中で使用される文言「アナフィラキシー反応の減少」は、アナフィラキシーアレルゲンへの曝露に関連した症状の治療の後の臨床症状の減少に関連し、これは、皮膚性、呼吸性、消化管、および粘膜(たとえば眼、鼻、および耳)の表面を介した曝露、または皮下注射(たとえばハチ刺傷を介する)を含むことができる。
【0052】
「脱感作」または「脱感作する」は、アレルギー反応を示すことなく少量から大量のアレルギー性食品供給源を消費する患者の特性を表す。脱感作は、「アレルギーフリー」状態を維持するための食品供給源での慢性的な治療を必要とする点で「耐性」と異なる。対して、「耐性」状態では、治療はもはや必要とされていない。
【0053】
「希釈剤」は、薬理学的な活性を有していない、概してバルクまたは希釈に使用されている不活性の薬剤である。希釈剤は少ない質量に添加することができる。本明細書中で提供される製剤に使用するための希釈剤として、限定するものではないが、アルギン酸およびその塩;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(たとえば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(たとえば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(たとえば、Ethocel(登録商標))、結晶セルロース(たとえば、Avicel(登録商標))などのセルロース誘導体;ケイ酸化結晶セルロース(たとえば、Prosolv SMCC 50(登録商標)、Prosolv HD 90(登録商標));結晶デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸(polysaccharide acid);ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/ビニルアセタートコポリマー;クロスポビドン(crosspovidone);ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガント、デキストリン、糖、たとえばスクロース(たとえばDipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、ソルビトール、キシリトール(たとえば、Xylitab(登録商標))、ラクトース(たとえば、ラクトース一水和物、ラクトース無水物など);リン酸二カルシウム;天然ゴムまたは合成ゴム、たとえばアカシア、トラガント、ガッチ(ghatti)ガム、イサポール皮(isapol husk)の粘液、ポリビニルピロリドン(たとえば、Polyvidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL−10)、カラマツのアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム、デンプン、たとえば、トウモロコシデンプンまたはポテトスターチなどの天然のデンプン、Colorcon(スターチ1500)、National 1551またはAmijel(登録商標)などのアルファ化デンプン、またはグリコール酸デンプンナトリウム、たとえばPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標);架橋デンプン、たとえばグリコール酸デンプンナトリウム;架橋ポリマー、たとえばクロスポビドン(crospovidone);架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸塩、たとえばアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩;粘土、たとえばVeegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム);ゴム、たとえば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、またはトラガント;グリコール酸デンプンナトリウム;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;樹脂、たとえば陽イオン交換樹脂;柑橘類の果実;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウム;ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、製剤は、結晶セルロースまたはスターチ1500を含む。他の実施形態では、製剤は、結晶セルロースおよびスターチ1500を含む。
【0054】
本明細書中で用語「エピトープ」は、主な組織適合性複合体(MHC)と結合してAPCにより提示される場合、イムノグロブリン(たとえばIgE、IgGなど)により結合できる、またはT細胞受容体により認識することができる約6〜15個のアミノ酸のアミノ酸モチーフを含む結合部位を表す。線形エピトープは、アミノ酸が単純な線形配列の観点で認識されるエピトープの1つである。立体構造エピトープは、アミノ酸が、特定の3次元構造の観点で認識されるエピトープの1つである。
【0055】
本明細書中で使用される「充填剤」は、増量剤(bulking agent)を表す。たとえば、カプセルに入れることのできる不活性な物質がある。本明細書中に提供される製剤に使用するための充填剤として、限定するものではないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート(Dextrates)、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびそれらの組み合わせなどの化合物が挙げられる。
【0056】
本技術に係るアレルゲン「フラグメント」は、無処置の天然のアレルゲンよりも小さいアレルゲンのいずれかの一部または一部分である。本技術の特定の実施形態では、アレルゲンはタンパク質であり、フラグメントはペプチドである。
【0057】
「滑剤」は、固化防止剤であり、医薬品、たとえばカプセルの医薬品に使用される粒子間の摩擦を低下させることにより、顆粒混合物の流動を高めるように作用する。本明細書中に提供される製剤に使用するための滑剤として、限定するものではないが、コロイド状二酸化ケイ素(Cab−O−Sil)およびタルク(たとえば、Ultra Talc 4000)が挙げられる。一部の実施形態では、組成物はタルクを含む。
【0058】
本明細書中で使用される文言「免疫優性エピトープ」は、感作した集合のうち大きなパーセンテージで抗体により結合しているエピトープ、または抗体の力価が、同一の抗原に存在する他のエピトープの抗体反応のパーセンテージもしくは力価と比較して高いエピトープを表す。一部の実施形態では、免疫優性エピトープは、感作した集合のうち50%超、さらなる例では、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、または99%超で抗体により結合されている。
【0059】
本明細書中で使用される文言「免疫賦活性配列」または「ISS」は、APCにより取り込まれ、かつ特定の膜受容体(たとえばB7−1およびB7−2)を発現し、様々なサイトカイン(たとえば、IL−1、IL−6、IL−12、TNF)を分泌するように活性化する、細菌、ウイルス、または無脊椎動物由来のオリゴデオキシヌクレオチドに関する。これらのオリゴデオキシヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含み、抗原と結合して動物に注射される場合、Th1型応答に向けて免疫応答をゆがめるように思われる。たとえばMicrobiol. Immunol. 36:983, 1992; Krieg et al., Nature 374:546, 1995; Pisetsky, Immunity 5:303, 1996; 及びZimmerman et al., J. Immunol. 160:3627, 1998を参照されたい。
【0060】
ポリペプチドに使用する場合の「単離した」(「実質的に純粋」と互換可能に使用される)は、天然に存在する他のタンパク質から分離されたポリペプチドまたはその一部を意味する。概して、ポリペプチドは、ポリペプチドを精製するために使用されている抗体またはゲルマトリクス(ポリアクリルアミド)などの物質から実質的に(すなわち少なくとも70%〜99%)分離されてもいる。
【0061】
本明細書中で使用される「潤滑剤」は、成分がともに凝集せず、薬学的なカプセルまたは他の容器の壁に固着することのないようにする物質である。潤滑剤は、カプセルを、活性成分を過度に喪失させることなく空にすることができる。本明細書中に提供される製剤に使用するための潤滑剤として、限定するものではないが、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール、たとえばCarbowax(商標)、PEG 4000、 PEG 5000、PEG 6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘナート、グリセリルパルミトステアラート、グリセリルベンゾアート、ラウリル硫酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
「測定可能な血清中濃度」または「測定可能な血漿中濃度」は、血清中濃度または血漿中濃度を示し、概して投与後に血流に吸収された、血清1mg、1dl、または1lあたりのmg、μg、またはngの治療剤で測定されている。本明細書中に使用されるように、測定可能な血漿中濃度は、ng/mlまたはμg/mlで測定されている。
【0063】
「経口負荷試験」は、食物アレルギーに関する非常に正確な診断試験を表す。食物試験の間、アレルギー専門医は、症状の引き金とはなりにくい非常に少量で開始して、測定した用量で疑いのある食品を患者に与える。各投与の後、何等かの兆候または反応に関して患者を一定期間観察する。症状がない場合、徐々に用量を大きくして患者に投与する。何等かの反応の兆候が明らかである場合、食品試験を停止し、患者を、食物試験に不合格と特徴付け、この患者は、アレルギー応答の引き金となる食品量により決定された感受性レベルで食品に対してアレルギー性である。
【0064】
「経口免疫療法」は、アレルゲンに関して患者に対して脱感作するまたは耐性を提供するために、患者にアレルゲンを増加していく用量で投与することを含む、アレルギーに罹患している患者の経口投与式の医療を表す。
【0065】
「薬力学」は、作用部位での薬剤の濃度と比較して観察される生物学的な応答を決定する因子を表す。
【0066】
「薬物動態」は、作用部位での薬剤の適切な濃度の達成および維持を決定する因子を表す。
【0067】
「可塑剤」は、不安定にならないようにマイクロカプセル化物質またはフィルムコーティングを軟化して使用し得る化合物である。適切な可塑剤として、たとえば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、およびPEG 800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロース、およびトリアセチンが挙げられる。一部の実施形態では、可塑剤は、分散剤または湿潤剤として機能することもできる。
【0068】
「可溶化剤」として、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁酸塩、ポリエチレングリコール 200−600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、およびそれらの組み合わせなどの化合物が挙げられる。
【0069】
本明細書中に提供される総タマゴタンパク質、オボムコイドタンパク質、オボアルブミンタンパク質、および/またはリゾチームタンパク質は、製造の直後に、その濃度が、タマゴのタンパク質製剤中に当該タンパク質の±10%元の濃度である場合、「安定である」と考えてもよい。
【0070】
本明細書中に記載の組成物は、限定するものではないが、経口投与経路を含む従来のいずれかの手段を介して対象に投与するために製剤化することができる。本明細書中で使用されるように、用語「対象」は、ヒトまたは非ヒトを含む哺乳類などの動物を意味するように使用されている。製剤は、小児および成人の限定した量のタマゴのアレルゲンへの曝露に関連した症状の予防および治療のためにある。一部の実施形態では、対象は、4〜約26歳を含む、約1〜約35歳である。
【0071】
「治療上有効量」または「有効量」は、薬理学的な効果を達成するために必要とされるタマゴのアレルゲンの量である。用語「治療上有効量」は、たとえば予防上有効量を含む。タマゴアレルゲンの「有効量」は、過度の有害な副作用を伴うことなく所望の薬理作用または治療の改善を達成するために有効な量である。タマゴのアレルゲンの有効量は、特定の対象および疾患レベルに応じて当業者により選択される。「有効量」または「治療上有効量」は、対象の代謝、年齢、体重、健康状態、治療する病態、治療する病態の重症度、および処方医師の判断の変化により、対象間で変動する場合がある。
【0072】
アレルゲンに対する「耐性」は、治療を中断した後であっても持続する(耐性が常に永続的ではないが)、おそらくはT細胞の応答性への作用による、相対的に長期間の免疫療法の作用を意味する。
【0073】
アレルギー関連障害の文脈で使用される「治療する」または「治療」は、障害もしくは疾患に感染しやすい可能性があるが、障害もしくは疾患を有するとすでに診断されてはいない対象において、障害もしくは疾患を発症しないようにする;疾患もしくは障害を阻害する、たとえば疾患もしくは障害の発症を停止する、疾患もしくは障害を軽減する、障害もしくは疾患の退縮を引き起こす、疾患もしくは障害により引き起こされる病態を軽減する、または疾患もしくは障害の症状を停止させるなどの、アレルギーに関連した障害もしくは疾患のいずれかの治療を表す。
【0074】
III.組成物/製剤
本明細書中、経口免疫療法に使用するためのタマゴの製剤および/またはタマゴのタンパク質製剤を提供する。一部の実施形態では、製剤は、1つまたは複数の賦形剤と混合した、タマゴのタンパク質の粉末またはあるいはタマゴの粉末から単離した1つもしくは複数のタンパク質を含む。たとえば、タマゴの粉末から単離したタマゴのタンパク質に加えて、製剤は、希釈剤、充填剤、滑剤、潤滑剤、着色剤、およびカプセルシェルの成分のうちのそれぞれの1つまたは複数を含むことができる。
【0075】
一部の実施形態では、卵白タンパク質は、オボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質を含む。他の実施形態では、卵白タンパク質は、活性成分として、オボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質を含む。
【0076】
一部の実施形態では、タマゴのタンパク質製剤は、1つまたは複数の希釈剤を含む。一部の実施形態では、タマゴのタンパク質製剤は、1つまたは複数の滑剤を含む。一部の実施形態では、タマゴのタンパク質製剤は、1つまたは複数の潤滑剤を含む。一部の実施形態では、タマゴのタンパク質製剤は、1つまたは複数の充填剤を含む。
【0077】
一部の実施形態では、最終的なタマゴのタンパク質製剤は、漸加的な用量の希釈剤、充填剤、および潤滑剤で製剤化された卵白タンパク質(特徴づけられたタマゴのアレルゲンタンパク質であるオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームを含む)を含み、各タンパク質0.2mg、1mg、10mg、20mg、100mg、200mgおよび1000mgの総卵白タンパク質用量を有する。各カプセルまたは容器の製剤(たとえば小袋)は、投与の直前に開封し、矯味食品に中身を混合してもよい。
【0078】
他の実施形態では、最終的な製剤は、漸加的な用量の希釈剤および充填剤で製剤化された卵白タンパク質(特徴づけられたタマゴのアレルゲンタンパク質であるオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームを含む)を含み、卵白タンパク質0.2mg、1.0mg、10mg、20mg、100mg、200mg、300mg、500mg、または1000mgの総タンパク質用量を有する。各カプセルまたは容器(たとえばポーチ)は、投与の直前に開封し、中身を矯味食品に混合してもよい。
【0079】
一部の実施形態では、タマゴタンパク質を含む製剤はカプセル化されている(たとえば0.2mg、1.0mg、10mg、20mg、および100mg/用量)。他の実施形態では、タマゴタンパク質を含む製剤は小袋にパックされている(たとえば100mg、200mg、300mg、500mg、および1000mg用量)。
【0080】
製品は、増加する濃度の乾燥タマゴタンパク質の粉末を送達するように意図されており、0.2mg、1.0mg、10.0mg、20mg、100.0mg、200.0mg、500.0mg、および1000.0mgの用量でタマゴタンパク質を得る。100.0mgの用量を介して0.2mgがカプセル化されてもよい。300mg、500.0mgおよび1000mgの用量は、小袋(ポーチ)にパックされてもよい。一部の実施形態では、小袋は、多層化された裏打ちのポーチ、たとえば、薬学的に許容可能かつ/または適合可能な裏地(たとえばホイル)を含むポーチとすることができる。従来の実務および一部の実施形態では、小袋は、所望量の医薬組成物を含む物質の充填の後に機械形成されている。各用量強度でカプセルおよび小袋パックの中身が、意図されるカプセルシェルまたは小袋パックフィルムから可能な限り手際よく完全に空になることが望ましく、一部の実施形態では、患者が消費する食品に、粉末としてカプセルまたは小袋パックの中身を添加することが望ましい。プラセボは、各用量強度に対して開発されるものである。各プラセボは、対応する活性用量と一致するようにカプセル化または小袋にパックされる。
【0081】
さらなる他の実施形態では、分子ふるいクロマトグラフィーにより測定されたタマゴタンパク質の分解を使用して安定性を決定してもよい。さらなる実施形態では、3カ月の保存にわたる(5℃/60%の相対湿度で保存、25℃/60%の相対湿度で保存、40℃/75%の相対湿度で保存)水分含有量、外観、および匂いの有意な変化を有さないタンパク質製剤を、安定と決定することができる。一部の実施形態では、タマゴタンパク質のレベルは、3、6、9、11、12、18、24、または36か月、またはそれ以上の間安定である。さらなる実施形態では、オボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質のレベルは、3、6、9、11、12、18、24、または36か月、またはそれ以上の間安定である。
【0082】
卵白タンパク質の様々な供給源は市販されている。たとえば、卵白タンパク質は、Deb El Food Product、Elizabeth New Jersey製のDeb El卵白タンパク質、またはMichael Foods、Minnetonka、MN製のEWPとすることができる。卵白タンパク質は、cGMP条件下でさらに処理してもよい。他の実施形態では、卵白タンパク質(約85%w/wのタマゴタンパク質)は、75μmおよび150μmを含む約10μm〜約250μmの範囲の直径を有し得る粒子を含む。
【0083】
cGMPの製造条件下で、卵白タンパク質は、希釈剤、充填剤、滑剤、および/または潤滑剤と共に製剤化されたおり、その後、サイズ3または00のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルまたはパックされた小袋(より高い用量)に、0.2、1、10、20、100、200、300、500、または1000mgのタマゴタンパク質としてカプセル化される。特定の実施形態では、タマゴタンパク質の濃度は、約0.05%〜約50%w/wまたはその中のいずれかの整数とすることができる。他の実施形態では、本明細書中に記載される組成物は、約0.1%〜約25%w/wの濃度で1つまたは複数のタマゴタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、約0.2%、約1%、約2%、約4%、または約50%w/wの濃度で1つまたは複数のタンパク質を含む。他の実施形態では、小袋が、より高用量で、限定するものではないが、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%を含む約40%〜約100%の濃度で1つまたは複数の卵白タンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書中に記載される組成物は、製剤中約0.1%、約0.67%、約2.1%、約4%、または約21%w/wの濃度で1つまたは複数のタマゴタンパク質を含む。
【0084】
一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、約0.2mg/カプセル〜約1000mg/小袋、またはその中のいずれかの整数の標的単位重量で1つまたは複数のタマゴタンパク質を含む。さらなる他の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、約0.2mg/カプセル〜約1mg/カプセル、約10mg/カプセル、約100mg/カプセルもしくはポーチ、約300mg/カプセルもしくはポーチ、または約1000mg/小袋もしくはポーチの標的単位重量で1つまたは複数のタマゴタンパク質を含む。
【0085】
本明細書中に記載の方法で使用するための組成物は、限定するものではないが、約0.2mg、約1.0mg、約10mg、約20mg、約100mg、約200mg、約300mg、約500mg、および/または約1000mg/用量の総タマゴタンパク質を含む。
【0086】
一部の実施形態では、卵白タンパク質を含む最終的な製剤は、0.2mgの用量であり、オボムコイドの濃度は、約0.032〜約0.048mgを含む。他の実施形態では、組成物の用量は、1.0mgであり、オボムコイドの濃度は、約0.16〜約0.24mgを含む。他の実施形態では、組成物の用量は10.0mgであり、オボムコイドの濃度は、約1.6〜約2.4mgを含み、または他の実施形態では、組成物の用量は100.0mgであり、オボムコイドの濃度は、約16〜約24mgを含む。一部の実施形態では、組成物の用量は0.2mgであり、オボアルブミンの濃度は、約0.092〜約0.108mgを含む。他の実施形態では、組成物の用量は1.0mgであり、オボアルブミンの濃度は、約0.46〜約0.54mgを含む。他の実施形態では、組成物の用量は10.0mgであり、オボアルブミンの濃度は、約4.6〜5.4mgを含み、または他の実施形態では、組成物の用量は100.0mgであり、オボアルブミンの濃度は、約46〜約54mgを含む。一部の実施形態では、組成物の用量は0.2mgであり、リゾチームの濃度は約0.002〜約0.018mgを含み、他の実施形態では、組成物の用量は1.0mgであり、リゾチームの濃度は約0.01〜約0.09mgを含み、他の実施形態では、組成物の用量は10.0mgであり、リゾチームの濃度は約0.1〜約0.9mgを含み、または他の実施形態では、組成物の用量は100.0mgであり、リゾチームの濃度は約1.0〜約9.0mgを含む。
【0087】
一部の実施形態では、本明細書中に提供される組成物は、限定するものではないが、白色の不透明なHPMCカプセルシェル(たとえばCapsugel)を含むカプセルの中に含まれており、さらに、一部の実施形態では、着色剤(たとえば色素混合物、および/または発色剤)を含んでもよい。他の実施形態では、カプセルは、透明もしくは不透明なHPMCカプセルシェルまたは青色の不透明なカプセルシェルとすることができる。
【0088】
一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、約0.2mg/カプセル〜約1000mg/小袋、またはその中のいずれかの整数の標的単位重量のタマゴタンパク質を含む。さらなる他の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、約0.2mg/カプセル〜約1mg/カプセル、約10mg/カプセル、約20mg/カプセル、約100mg/カプセルもしくは小袋、約200mg/小袋、約300mg/小袋、約500mg/小袋、または約1000mg/小袋の標的単位重量でタマゴタンパク質を含む。
【0089】
希釈剤および/または充填剤は、開封したカプセルからの分散に適切な容量を含む低用量および高用量を製剤化する機会を提供する。滑剤および潤滑剤は、カプセルが、自動化したカプセル化機械により再現可能に充填し、カプセルが対象によりタンパク質を容易に空となる有効性を最適化するように、卵白タンパク質に流動性を追加する。臨床試験では、カプセルは、高密度のポリエチレン(HDPE)のビンに大量にパックすることができる。使用の時点で、タマゴタンパク質を含むカプセルを開封し、投与の直前に矯味食品に中身を混合することができる。
【0090】
本明細書中に記載のタマゴのタンパク質製剤中の希釈剤の濃度は、約30%〜約99%w/wであってもよい。一部の実施形態では、希釈剤の濃度は、組成物の約40%〜約90%w/wであってもよい。一部の実施形態では、希釈剤はケイ酸化結晶セルロースであってもよく、濃度は、組成物の約50%〜約90%w/wであってもよい。他の実施形態では、希釈剤はケイ酸化結晶セルロースであってもよく、濃度は、組成物の約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、87、約88%、約89%、または約90%w/wであってもよい。一部の実施形態では、1超の種類のケイ酸化結晶セルロースを、組成物の所望のw/wを得るために使用する。
【0091】
本明細書中に記載の組成物中の滑剤の濃度は、組成物の約0.01%〜約10%w/wであってもよい。一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物中の滑剤は、約0.01%〜約3.0%であってもよい。一部の実施形態では、滑剤はタルクであり、本明細書中に記載の組成物中の滑剤の濃度は、組成物の約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.25%、約0.2%、約0.75%、約1.0%、約1.25%、1.5%または約2.5%w/wであってもよい。
【0092】
滑剤の標的単位重量は、約.05〜約5mg/カプセルであってもよい。一部の実施形態では、滑剤はタルクであり、標的単位重量は約0.725、約2.625、または約3.0mg/カプセルである。他の実施形態では、滑剤はコロイド状二酸化ケイ素(たとえばCab−O−Sil)であり、標的単位重量は、約0.5mg、約1.0mg、約2mg、約3.0mg、または約5mg/カプセルである。
【0093】
本明細書中に記載の組成物中の潤滑剤の濃度は、組成物の約0.01%〜約10%w/wであってもよい。一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物中の潤滑剤は、約0.1%〜約1.0%であってもよい。一部の実施形態では、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムであり、本明細書中に記載の組成物中の潤滑剤の濃度は、組成物の約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.25%、約0.4%、約0.5%、約0.75%、約1.0%、約1.25%、または約1.5%w/wであってもよい。
【0094】
潤滑剤の標的単位重量は、約.05〜約5mg/カプセルであってもよい。一部の実施形態では、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムであり、標的単位重量は、約0.75、約0.79、または約2.4mg/カプセルである。
【0095】
本明細書中に記載の組成物中の充填剤の濃度は、組成物の約1%〜約30%w/wであってもよい。一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物中の充填剤は、約10%〜約15%であってもよい。一部の実施形態では、充填剤はマンニトールであり、本明細書中に記載の組成物中の充填剤の濃度は、組成物の約5%、約10%、約15%、または約20%w/wであってもよい。
【0096】
充填剤の標的単位重量は、約15.0〜約47.5mg/カプセルであってもよい。一部の実施形態では、充填剤はマンニトールであり、標的単位重量は、約7.5、約15、約15.8、または約47.5mg/カプセルである。
【0097】
定量的な式が、製造する最終的な充填重量に応じて調節されるものであることが理解されている。最終的な充填重量は、約150mg〜約450mg〜約1000mgで変動してもよい。一部の実施形態では、約0.2mgのタマゴタンパク質を含むタマゴのタンパク質製剤は、約158mgの最終的な充填重量で製造されている。他の実施形態では、約1.0mgのタマゴタンパク質を含むタマゴのタンパク質製剤は、約150mgの最終的な充填重量で製造されている。他の実施形態では、約10.0mgのタマゴタンパク質を含むタマゴのタンパク質製剤は、約450mgの最終的な充填重量で製造されている。他の実施形態では、約100mgのタマゴタンパク質を含むタマゴのタンパク質製剤は、約450mgの最終的な充填重量で製造されている。
【0098】
一部の実施形態では、固形剤形は、錠剤(懸濁錠剤、迅速に溶解する錠剤、噛むことで分解する錠剤、迅速に分解する錠剤、発泡性の錠剤、またはカプレット)、丸剤、粉剤(無菌パックされた粉剤(「スティック状のパック」またはホイルポーチなど)、不要な粉剤、または発泡性粉剤を含む)、カプセル(軟カプセルまたは硬カプセルを含む。たとえば、動物由来のゼラチンまたは植物由来のHPMCから作製したカプセル、または「ふりかけ型カプセル(sprinkle capsules)」)、固体の分散剤、固形の溶剤、ペレット、または顆粒の形態であってもよい。他の実施形態では、製剤は粉剤の形態である。さらに、製剤は、単一のカプセルとして、または複数のカプセル剤形において投与してもよい。一部の実施形態では、製剤は、2または3、または4つのカプセルまたは錠剤または粉剤のパッケージに投与されてもよい。
【0099】
一部の実施形態では、固形剤形、たとえば錠剤、発泡性錠剤、およびカプセルは、バルク混合組成物を形成するために、1つまたは複数の薬学的な賦形剤と、特徴づけたタマゴのアレルゲンを含む卵白タンパク質を混合することにより、調製されている。バルク混合組成物を均質とする場合、組成物が、錠剤、丸剤、およびカプセルなどの等しく有効な単位剤形に容易に細分し得るように、組成物全体で等しく粒子が分散されていることを意味する。また、個々の単位剤形は、経口摂取または希釈剤との接触時に分解するフィルムコーティングをも含んでよい。これらの製剤は、従来の薬理学的な技術により製造することができる。
【0100】
従来の薬理学的な技術として、たとえば、以下の1つまたは複数を組み合わせた方法:(1)乾燥混合、(2)直接的な押圧、(3)細粉、(4)乾燥または非水性の顆粒化、(5)湿潤性の顆粒化、または(6)融合が挙げられる。たとえばLachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照されたい。他の方法として、たとえば、スプレー乾燥、パンコーティング、溶融造粒、顆粒化、流動床スプレー乾燥またはコーティング(たとえばワースターコーティング)、接線コーティング(tangential coating)、トップスプレー(top spraying)、打錠、押出加工などが挙げられる。
【0101】
本明細書中に記載の薬学的な固形剤形は、本明細書中に記載の組成物と、適合可能な担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、香料、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤(moistening agent)、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤(wetting agent)、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、または1つもしくは複数のそれらの組み合わせなどの1つまたは複数の薬学的に許容可能な添加剤とを含むことができる。さらなる他の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されるものなどの標準的なコーティング手法を使用して、フィルムコーティングを製剤の周りに提供する。一部の実施形態では、粒子の一部またはすべてがコーティングされている。他の実施形態では、粒子の一部またはすべてがマイクロカプセル化されている。さらなる他の実施形態では、タマゴアレルゲンの一部またはすべてが非晶質の物質でコーティングされており、かつ/または不活性の賦形剤でマイクロカプセル化されている。さらなる他の実施形態では、粒子はマイクロカプセル化されておらず、コーティングされていない。
【0102】
押圧した錠剤は、上述のバルク混合製剤を圧縮することにより調製された固形剤形である。様々な実施形態では、口で溶解するように設計された押圧錠剤は、1つまたは複数の香料を含む。他の実施形態では、押圧した錠剤は、最終的に押圧した錠剤の周りにフィルムを含む。一部の実施形態では、フィルムコーティングは、製剤の遅延性の放出を提供することができる。一部の実施形態では、フィルムコーティングは、対象のコンプライアンスを支援する(たとえばOpadry(登録商標)コーティングまたは糖のコーティング)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、概して、錠剤重量の約1%〜約3%の範囲にある。他の実施形態では、押圧した錠剤は1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0103】
カプセルは、たとえばカプセルの中に上述のバルク混合製剤を入れることにより調製されてもよい。一部の実施形態では、製剤(非水性懸濁剤および溶剤)は、軟ゼラチンカプセルの中に入れられている。他の実施形態では、製剤は、HPMCを含むカプセルなどの標準的なゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに入れられている。他の実施形態では、製剤は、ふりかけ型カプセルに入れられており、ここでは、このカプセル全体を飲み込んでもよく、またはカプセルプセルを開封してもよく、中身を食する前の食事にふりかけてもよい。一部の実施形態では、治療用量は複数(たとえば2つ、3つ、または4つ)のカプセルに分割されている。一部の実施形態では、製剤の全用量は、1つのカプセル形態に送達される。
【0104】
様々な実施形態では、粒子および1つまたは複数の賦形剤は、乾燥混合されており、経口投与から約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、または約60分未満以内に実質的に分散することにより、胃腸液に製剤を放出する医薬組成物を提供するために十分な硬さを有する錠剤などの質量に押圧されている。
【0105】
一部の態様では、剤形は、マイクロカプセル化製剤を含んでもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の他の適合可能な物質が、マイクロカプセル化物質に存在する。例示的な物質として、限定するものではないが、pH調節剤、浸食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香料、ならびに結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤などの担体物質が挙げられる。
【0106】
本明細書中に記載のマイクロカプセル化に有益な物質は、他の非適合性の賦形剤からタマゴアレルゲンを十分に単離する、タマゴアレルゲンと適合性のある物質を含む。タマゴアレルゲンと適合性のある物質は、in vivoでのタマゴアレルゲンの放出を遅らせる物質である。
【0107】
本製剤の放出の遅延に有益なマイクロカプセル化物質の例として、限定するものではないが、Klucel(登録商標)またはNisso HPCなどのヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換型のヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、Seppifilm−LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)−E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843などのヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)−Aなどのメチルセルロースポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートステアリン酸塩のAqoat(HF−LS、HF−LG、HF−MS)およびMetolose(登録商標)、E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surelease(登録商標)などのエチルセルロース(EC)およびその混合物、オパドライAMBなどのポリビニルアルコール(PVA)、Natrosol(登録商標)などのヒドロキシエチルセルロース、Aqualon(登録商標)−CMCなどのカルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、Kollicoat IR(登録商標)などのポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールのコポリマー、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングルコール、改変した食品のデンプン、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40Dなどのアクリル性ポリマーおよびセルロースエーテルとアクリル性ポリマーの混合物、酢酸フタル酸セルロース、HPMCおよびステアリン酸の混合物などのセプラフィルム、シクロデキストリン、ならびにこれら物質の混合物が挙げられる。
【0108】
マイクロ化カプセル化したタマゴのアレルゲンは、当業者により知られている方法により製剤化してもよい、このような既知の方法として、たとえばスプレー乾燥処理、回転盤溶媒処理、ホットメルト処理、スプレー冷却方法、流動床、静電沈着、遠心押し出し、回転懸濁分離、液体―気体または固体―気体界面での重合化、圧力押し出し、またはスプレー溶媒抽出床が挙げられる。これらに加えて、いくつかの化学的な技術、たとえば複合コアセルベーション、溶媒の蒸発、ポリマー―ポリマーの不適合性、液体培地での界面での重合化、in situでの重合化、液体での乾燥、および液体培地での脱溶媒和もまた使用することができる。さらに、ローラー圧縮、押し出し/または球形化、コアセルベーション、またはナノ粒子のコーティングなどの他の方法も使用してもよい。
【0109】
本明細書中に記載の製剤は、個々の対象の臨床状態、投与部位および方法、投与スケジュール、ならびに医療実務者に知られている他の要因を考慮して、良好な医療実務に従い、投与される。
【0110】
IV.使用方法
本明細書中に記載の製剤は、タマゴアレルギーを罹患している対象を治療するための経口免疫療法(OIT)に使用してもよい。
【0111】
タマゴおよび卵白タンパク質の粉末は、一般的な食品および多くの食品で見出される添加剤である。本発明のタマゴのタンパク質製剤は、多くの食品に含まれている量と比較して、比較的少量(0.2〜100mg/カプセル)のタマゴタンパク質を含んでもよく、経口摂取したタマゴ含有製品と同一の経路を介して送達されてもよい。
【0112】
本明細書中に記載の製剤で治療した対象は、治療後に皮膚性、呼吸性、胃腸性、および粘膜性(たとえば眼、鼻、および耳)の表面を介した曝露、または皮下注射(たとえばハチ刺傷を介する)を含むことができる、アナフィラキシーアレルゲンへの曝露に関連した症状の治療後の臨床症状の減少に関連したアナフィラキシー反応の減少を呈してもよい。一部の実施形態では、対象は、プラセボを投与した対象または治療を受けていない対象と比較して、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、またはそれ以上のアナフィラキシー反応の減少を呈してもよい。
【0113】
本明細書中に記載の組成物で治療した対象は、治療の後にホルモン応答および/またはT細胞応答の減少を呈してもよい。一部の実施形態では、対象は、プラセボを投与した対象または治療を受けていない対象と比較して、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、またはそれ以上のホルモン応答および/またはT細胞の減少を呈してもよい。
【0114】
本明細書中に記載の組成物で治療した対象は、治療の後にIgE応答の減少および/またはマスト細胞応答の減少を呈してもよい。一部の実施形態では、対象は、プラセボを投与した対象または治療を受けていない対象と比較して、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、またはそれ以上のIgE応答の減少および/またはマスト細胞応答の減少を呈してもよい。
【0115】
また本製剤で治療した対象は、IgE抗体を置き換え、アレルゲンに対する免疫応答を調節するIgG4応答の増加を呈することによりアレルギー反応の可能性を弱めてもよい。
【0116】
本明細書中に記載の製剤で治療した対象は、治療の後の経口負荷試験(OFC)に良好に耐えることができてもよい。
【0117】
本明細書中に記載の組成物で治療した対象は、治療の後にタマゴアレルギーに対して脱感作されていてもよい。一部の実施形態では、対象は、プラセボを投与した対象または治療を受けていない対象と比較して、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、またはそれ以上脱感作されていてもよい。
【0118】
本明細書中に記載の組成物は、漸増スケジュールで投与してもよい。一部の実施形態では、漸増用量を、治療の1日目に対象に投与する。たとえば、1日目に本明細書中に記載の組成物を1回、2回、3回、4回、または5回の用量で対象に投与してもよい。別の例では対象は、1日目に30分単位で、5回の用量の本明細書中に記載の組成物を投与してもよい。対象は、2日目に戻り、最大耐用量を投与する。2日目に中度の症状が観察される対象は、モニタリングされる臨床状況での観察下で、次に低い用量で3日目に戻ってもよい。治療の初日の治療に耐えることができる対象に、本明細書中に記載の組成物の1つまたは複数のさらなる用量を投与してもよい。
【0119】
一部の実施形態では、対象に、本明細書中に記載の組成物の1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、または9回の追加的な漸増用量をさらに投与する。追加的な漸増用量を、2週間間隔で対象に投与してもよい。
【0120】
最終的な投与の後、一部の例では、対象がタマゴアレルギーに対して脱感作されているかどうかを決定する経口負荷試験を対象に行ってもよい。
【0121】
一部の実施形態では、初日の漸増スケジュールを、表1に示す。
【表1】
【0122】
30分ごとの頻度基準で用量を投与する。初日の終わりに1.6mg未満の単回用量に耐える対象は、一部の場合、初日の漸増脱感作不全と考えられる。
【0123】
1.6または3mgの単回用量に耐える対象は、毎日投与する最大耐用量で処理してもよい(観察下の臨床状況で投与した第1の用量)。すべての漸増は、少なくとも2週間後に起こり、1.6〜3mgの臨床での単回用量の増加を試みてもよい。
【0124】
すべての対象は2日目に戻り、直接的な観察下で最大耐用量が投与される。2日目に中度の症状が観察される対象は、モニタリングした臨床状況での観察下で次に低い用量で3日目に戻る。2、3、および4日目の用量は、少なくとも1.6mgであってもよく、または対象は、一部の例では、漸増不全と考えてもよい。
【0125】
最初の漸増の後、対象が逆作用を有していない場合、一部の実施形態では、表2に示される漸増投与スケジュールに従ってもよい。
【表2】
【0126】
他の実施形態では、漸増投与スケジュールは、表3に示されるように、1日用量での、50mgまでの1日目の漸増、および32週の用量の漸増を含むことができる。
【表3】
【0127】
このような方法の一部の実施形態では、投与の直前のカプセル化したカプセル製剤を分解してもよく、この成分を矯味食品に混合してもよい。
【0128】
他の実施形態では、対象は、3カ月、6カ月、12カ月、24カ月、またはそれ以上の維持期間の活性治療を受け続ける。他の実施形態では、対象は、最大300mgで(17用量あたり)で投与されており、対象は、長期間(最小3〜6カ月)300mgで維持されている。他の実施形態では、対象は、最大1000mgで投与され、次に、長期間(最小3〜6カ月)、最大数年から生きている間まで1000mgで維持されている。これらは、対象が最大特定の用量で投与されており、長期間維持されている点で、継続的な最大用量と異なる。
【0129】
対象は、たとえば、潮紅、皮膚の強い掻痒、ならびにくしゃみおよび鼻水を含む全身性の症状の発症に関してモニタリングされてもよい。発熱の感覚、全身の不快感、および激越/不安もまた発症し得る。
【0130】
一部の実施形態では、本明細書中に提供される製剤は、タマゴアレルギーを罹患している対象に1または複数の日数投与されている。
【0131】
一部の実施形態では、対象は、プラセボを投与した対象または治療を受けていない対象と比較して、アレルギー反応を伴うことなく消費できるタンパク質の量を少なくとも約100%増加することができる。
【0132】
他の実施形態では、対象は、ホルモン応答の減少および/またはT細胞応答の低減を呈する。他の実施形態では、対象は、アナフィラキシーの低減、マスト細胞の応答の低減、IgE応答の低減、蕁麻疹の減少、またはそれらの組み合わせを呈する。
【0133】
一部の実施形態では、本明細書中に提供される製剤は、食品と併用して投与されてもよい。
【0134】
対象は、治療の初日に本明細書中に提供される製剤の1、2、3、4、または5回の用量を投与してもよい。一部の実施形態では、対象は、治療の初日に10回の用量で投与されている。他の実施形態では、対象は、30分の間隔で、上記用量で投与されている。本方法は、一部の例では、1つまたは複数の追加的な治療をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加的な治療は、2週間間隔での組成物の投与を含む。他の実施形態では、1つまたは複数の追加的な治療は、組成物の1、2、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上の用量を含む。
【0135】
本明細書中、本技術の態様に係る組成物の1つまたは複数の用量を投与することを含む、タマゴアレルギーを罹患している対象を脱感作する方法であって、以下のステップ:(a)治療レジメンの1日目に30分の間隔で、0.2mg、1.0mg、1.5mg、3.0mg、および6.0mgの漸増用量を対象に投与するステップと、(b)任意に、治療レジメンの2日目に最大耐用量を患者に投与するステップと、(c)2週間間隔で、12mg、20mg、40mg、80mg、120mg、160mg、200mg、240mg、300mg、360mg、440mg、500mg、700mg、1000mg、1200mg、1500mg、1800mg、および2000mgの単回用量で対象に投与するステップとを含む、方法を提供する。
【0136】
一部の実施形態では、本方法は、治療レジメンの完了後に経口負荷試験(OFC)を投与することをさらに含むことができる。
【0137】
V.併用療法
本明細書中に記載の製剤および方法は、治療される病態に対する特定の有用性に関して選択されている他のよく知られた治療化合物と併用してもよい。一般的に、本明細書中に記載の製剤、および併用療法を使用する実施形態での他の化合物は、同一の製剤で投与される必要はなく、かつ、異なる物理的および化学的特徴のため、異なる経路で投与される必要があってもよく、または単一の製剤に組み合わせてもよい。可能な場合、同一の製剤での投与形式および投与の適否の決定は、当業者に知識の範囲内にある。初期の投与は、当該分野で知られている確立したプロトコルにより作製することができ、観察する効果に基づき、用量、投与形式、および投与時間を当業者により改変することができる。
【0138】
使用される化合物の特定の選択は、担当医の診断、および対象の病態の担当医の判断、および適切な治療プロトコルに依存する。化合物は、対象の病態、使用される化合物の実際の選択に基づき、連続して(たとえば同時、本質的に同時、または同一の治療プロトコルの範囲内)、または経時的に投与してもよい。治療プロトコルの間の投与の順序、および各治療剤の投与の反復数の決定は、治療されるタマゴアレルギーおよび対象の病態の重症度の評価の後において、十分当業者の知識の範囲内にある。
【0139】
タマゴアレルギーを治療、予防、または緩和する用量が、様々な要因に従い修正できることが理解されている。これらの要因として、対象の年齢、体重、性別、食事、および/または医療状態が挙げられる。よって、実際に使用される用量レジメンは、非常に広範囲とすることができ、よって、本明細書中に記載される用量レジメンから逸脱する場合がある。
【0140】
複数の投与ステップ間の期間は、治療剤の効力、溶解度、生物学的利用率、血漿半減期、および動態プロファイルなどの各治療剤の特性に応じて、数分から数時間の範囲であってもよい。標的分子濃度の24時間周期の変動はまた、最適な用量間隔を決定してもよい。
【0141】
一部の実施形態では、製剤は、少なくとも1つの他の抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、βアゴニスト、抗炎症剤、抗IgE抗体(たとえばオマリズマブ)、および/またはエピネフリンと共に投与されている。一部の実施形態では、本製剤は、少なくとも1つの膜安定化剤(たとえばクロモリン)と共に投与されている。膜安定化剤は、アナフィラキシーを誘導する分子を放出できないようにマスト細胞の膜を安定化するように作用する。
【0142】
VI.実施例
本技術は、以下の非限定的な実施例を参照することにより、より良好に理解することができる。以下の実施例は、特定の実施例をより完全に例証するために提示されているが、本技術の広い範囲を限定するようには、全く構築されているものではない。本技術の特定の実施形態が、本明細書中に示され、記載されているが、このような実施形態は、単なる例のために提供されていることが明らかである。数字の変動、変化、および置換は、実施形態を逸脱することなく当業者にとって気づき得るものであり、本明細書中に記載の実施形態に対する様々な代替物が、本明細書中に記載の方法を行う際に使用できることが理解されている。
【0143】
実施例では、卵白タンパク質および卵白タンパク質を含む製剤を、様々な条件下で安定性に関して試験する。本明細書中に提供されるタマゴのタンパク質製剤中の、総タマゴタンパク質、オボムコイドタンパク質、オボアルブミンタンパク質、および/またはリゾチームタンパク質は製造直後のタマゴのタンパク質中の当該タンパク質の元の濃度の±10%である場合「安定」と考えてもよい。
【0144】
実施例1:卵白粉末の評価
この実施例は、卵白タンパク質の物理学的な特徴を記載する。卵白タンパク質(Deb El卵白粉、ロット番号PK049/2013)を、タマゴタンパク質の供給源として使用し、外観および流動に関する視覚的な検査により、物理的に特徴づけた。粒径の試験も同様に、メッシュフィルターを使用して行った。卵白タンパク質を、以下の特性を有すると見出した(表4参照)。
【表4】
【0145】
動的水蒸気吸収解析(DVA)を、卵白タンパク質の水分含有量が有意に増加(潜在的に流動およびタンパク質の安定性が減少)する条件を決定し、本明細書中に提供されるタマゴのタンパク質製剤と比較するためのベースラインとして作用させるために行った。Deb El Egg White Powder Lot #PK049/2013を使用し、以下の表5に列挙する特性を有することが見出された。さらに
図1〜3に示されるように、試料の質量の変化の比率(水分取り込みの比率)が、50%の相対湿度を超える値で有意に増加した。表12に示されるように、75%の相対湿度で、本明細書中提供されるのタマゴのタンパク質製剤は、卵白タンパク質単独よりも少ない水分を吸収する。
【表5】
【0146】
実施例2:卵白粉末の強制的な分解
この実施例は、酸、塩基、過酸化物、光、および熱の存在下での卵白タンパク質の安定性を決定する試験を説明する。酸、塩基、過酸化物、および熱を使用して、卵白タンパク質の溶液にストレスを与え、安定性を評価した。試料の分解の評価は、ストレスを与えていない試料と比較した、ストレスを与えた試料中の卵白タンパク質のクロマトグラフィーアッセイに基づくものであった。
【0147】
酸のストレスを与えた試料を、以下のように評価した。卵白タンパク質を、H
2Oに溶解し、1.0mg/mlの溶液を形成し、1.0NのHClに曝露し、酸のストレスを与えた試料を作製した。酸のストレスを与えた試料、1mg/mlのみの未処置の卵白タンパク質溶液を含む未処置の試料、および1NのHClを含む酸の対照を、4℃で一晩静置させた。この期間の終了時に、試験溶液を、0.1NのNaOH1.0mlで中和し、クロマトグラフィーの調製のため抽出した。
【0148】
塩基のストレスを与えた試料を以下のように調製した。卵白タンパク質をH
2Oに溶解し、1.0mg/mlの溶液を形成し、1.0NのNaOHに曝露して、塩基のストレスを与えた試料を作製した。塩基のストレスを与えた試料、1mg/mlのみの未処置の卵白タンパク質溶液を含む未処置の試料、および1NのNaOHを含む塩基の対照を、4℃で一晩静置させた。この期間の終了時に、試験溶液を0.1NのHCl1.0mlで中和し、抽出した。
【0149】
過酸化物のストレスを与えた試料を以下のように調製した。卵白タンパク質をH
2Oに溶解し、1.0mg/mlの溶液を形成し、3%の過酸化水素に曝露して、過酸化物のストレスを与えた試料を作製した。過酸化物のストレスを与えた試料、1mg/mlのみの未処置の卵白タンパク質溶液を含む未処置の試料、および〔3%の過酸化水素〕を含む過酸化物の対照を、4℃で一晩静置させた。
【0150】
熱のストレスを与えた試料を以下のように調製した。卵白タンパク質をH
2Oに溶解し、1.0mg/mlの溶液を形成して、70℃に一晩曝露して、熱のストレスを与えた試料を作製した。1mg/mlの未処置の卵白タンパク質溶液を含む未処置の試料、および対照を、4℃で一晩静置させた。
【0151】
光に曝露した試料を以下のように調製した。卵白タンパク質をH
2Oに溶解し、1.0mg/mlの溶液を形成し、光に一晩曝露して、光に曝露した試料を作製した。1mg/mlの卵白タンパク質溶液を含む試料を暗室に保存し、対照を4℃で一晩静置させた。
【0152】
分解試験由来の試料を、以下の試薬および条件:移動相:0.05MのNa2HPO4、0.05MのNaH2PO4、0.15MのNaCl、pH6.8;流速:0.5mL/分;注射容量:20μL;作動時間:約60分;検出器:UV 220nm;ポンプモード:均一濃度;カラムの温度:大気温度;および針の洗浄(Needle wash):水を伴う以下の条件下:カラム(連続して2つ):Phenomenex Yarra SEC 2000、3μm、300×7.8mmで、HPLC系(分子ふるいクロマトグラフィー―SEC)を使用して解析した。
【0153】
図4〜8の結果は、対照の調製物に干渉するピークを示さなかった。ピークを定性的に評価し、
図4〜8に示されるように、卵白タンパク質溶液は、酸、塩基、および熱に曝露したことにより顕著な分解が起こり、対して過酸化物および光に対する感受性が少ないことが例証された。
【0154】
実施例3:卵白タンパク質の同定および定量化
この実施例では、3つの主要なタマゴタンパク質のアレルゲン、オボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームの定量化を容易にするために、いくつかのアッセイを行った。試験したアッセイは、ELISAアッセイ、分子ふるいクロマトグラフィー法、およびイムノブロット技術であった。
【0155】
ELISAアッセイを以下のように行った。コーティング抗原を、4℃で一晩インキュベートし、次に、0.05%のTween20を含むPBSで3回洗浄した。次にこの抗原を、PBS中1%のBSAで、40℃で1時間ブロッキングし、0.05%のTween20を含むPBSで3回洗浄した。一次抗体を添加し、40℃で1.5時間インキュベートし、0.05%のTween20を含むPBSで3回洗浄した。2次抗体(オボムコイドおよびオボアルブミンでは1:10000、リゾチームでは1:5000、希釈なし)を添加し、40℃で1.5時間インキュベートした。検出基質を添加し、室温で色が変化するまでインキュベートし、この時点で停止液を添加した。吸光度を、自動化マイクロタイタープレートELISAリーダーを使用して450nmで読み取った。マイクロタイタープレートの例を、以下の表6に示す。
【表6】
【0156】
各タマゴタンパク質の量を滴定曲線の最も感受性のある部分(最も急な勾配)から決定することができるように、ELISAアッセイを、変動する一次抗体の希釈度での各タンパク質(表9〜15で異なる系で提示)に関する様々な希釈物を使用して行い、各試薬の最適な条件を決定するために使用した。吸光度に対する一次抗体の濃度は、各タンパク質の各希釈に関して、
図9〜15に示されている。二次抗体の濃度は、特段他の記載がない限り、すべてのリゾチーム試料では1:5000であり、オボムコイドおよびオボアルブミンの試料では、1;10000であった。
【0157】
個々のタマゴタンパク質および混合した粉末を使用した分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)アッセイを、実施例2の強制的な分解解析で使用したSEC条件下で行った。
図16は、連続した2つのPhenomenex Yarra 2000 SECカラムを使用したニワトリのタマゴのアルブミン(〜0.4mg/ml)、トリプシン阻害剤(〜0.4mg/ml)、リゾチーム(〜0.4mg/ml)、および卵白タンパク質(〜1.0mg/ml)のクロマトグラムオーバーレイを示す。
図17は、卵白タンパク質のプラセボ(スターチ1500)、卵白タンパク質の標準物質(〜0.02mg/mlタンパク質)、卵白タンパク質を添加したプラセボ(〜0.02mg/mlタンパク質)、およびプラセボの上清で調製した卵白タンパク質の標準物質のクロマトグラムオーバーレイを示す。
【0158】
表7に示す異なる溶媒中のタマゴタンパク質を使用した分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)アッセイを、実施例2で使用したSEC条件下で行った。
【表7】
【0159】
図18は、分子ふるいクロマトグラフィーを使用した、PBS溶液で希釈した1mg/mlの卵白タンパク質のクロマトグラムオーバーレイを示す。
図19は、分子ふるいクロマトグラフィーを使用した、50mMのリン酸緩衝液で希釈した1mg/mlの卵白タンパク質のクロマトグラムオーバーレイを示す。
図20は、分子ふるいクロマトグラフィーを使用した、200mMのリン酸緩衝液で希釈した1mg/mlの卵白タンパク質のクロマトグラムオーバーレイを示す。窒素燃焼タンパク質の定量化(デュマ法の燃焼)を以下のように行った。Dumatherm(登録商標)燃焼アッセイは、試料中の相対的に少量のタンパク質の定量化を可能にする。このようなアッセイは、試料中のN
2量を決定するために卵白タンパク質の試料を燃焼した。試料1mgおよび約140mgのEDTA標準物質の量あたり1.4mlのO
2の流速を使用して、試料を燃焼した。N
2の量を使用して、以下の計算:
アッセイ(%LC)=(%窒素−CF)×TCFW/LC×5.46/100×100%
(式中、%窒素=%試料で得た窒素、CF=プラセボで見出された窒素含有量、TCFW=標的カプセルの充填重量、LC=薬品のラベル表示値、5.46=窒素からタンパク質含有量への変換係数)を使用して、試料中の総タンパク質を決定した(表8のデータ)。混合したタンパク質の直線性を、Dumatherm法により決定される試料の重量(x軸)と窒素のピーク領域(y軸)との間で
図21に示した。分子量(後者の溶出時間)の各ピーク(タンパク質)の重量が増加すると、プロットした各ピークの総窒素%領域は、比例的に線形的に増加した(R
2=0.97)。この結果は、Dumatherm法により確認されるようにカラム方法を使用して、卵白タンパク質を分離し、かつ試料中の総タンパク質を決定できることを示す。
【表8】
【0160】
この結果は、アッセイのいずれかが、タマゴタンパク質のオボアルブミン、オボムコイド、およびリゾチームの一定したレベルを有する製剤を提供するために、卵白中のタンパク質を同定かつ定量化するために使用できることを示す。
【0161】
実施例4:卵白タンパク質との賦形剤の適合性
この適合性試験の目的は、カプセル化および小袋またはポーチの封入設備に関する処理性、カプセルシェルまたは小袋パッケージからの中身の完全に空にすること、および投与されるタマゴタンパク質との化学的な適合性の目的を容易にする乾燥混合工程のために、賦形剤を同定することであった。表9に示されるように、この試験で評価した賦形剤は、充填剤、希釈剤、滑剤、着色剤、カプセルシェルの成分、および潤滑剤としての機能性によりグループ分けされた。希釈剤および充填剤を、タマゴタンパク質(卵白タンパク質の91重量%を構成)に対して1:1の比率で評価した。潤滑剤、滑剤、着色剤、およびカプセルシェルの材料を、10:1の比率で評価した(タマゴタンパク質対賦形剤または成分)。一部の賦形剤は、初期の製剤の開発で卵白タンパク質に不適合であることがわかり、排除した。これらは、賦形剤および/または試験物質の各分類の機能性に基づき正常な許容された範囲/比率である。
【0162】
1つの充填剤、3つの希釈剤、2つの滑剤/固化防止剤、2つの潤滑剤、4色のカプセルシェルの材料を含む12の賦形剤を評価した。
【表9】
【0163】
A.賦形剤
1.充填剤
充填剤を評価した。低い吸湿性を有するため単一有機充填剤として、マンニトールを評価した。
【0164】
2.希釈剤
3つの化学的なカテゴリー:複合的な有機性、無機性、および共処理した複合的な無機/有機の組み合わせ(たとえば超賦形剤)を提示する希釈剤を評価した。共処理したProsolvとしてのPROSOLV HD90が、製剤中低いレベルであっても好ましい処理可能性を有することができるため、結晶セルロースを評価した。良好な流動および潤滑性、ならびに水分に感受性のある活動および低い用量の幾何学的な応用を有する特定の有効性を提供する複数の機能を行うため、スターチ1500を評価した。A−Tabといった、無水性の無機性の賦形剤を、水分の吸収に対する保護を提供する可能性に関して評価した。
【0165】
3.滑剤
Cab−O−Sil(コロイド状二酸化ケイ素)は、有望な滑剤/固化防止剤として製剤の評価に含まれていた。その小さな粒径および大きな表面面積のため、コロイド状二酸化ケイ素は、流動を高める能力および水分を捕捉する能力で知られている。タルク(USP)は、コロイド状二酸化ケイ素と類似の滑剤/固化防止剤の特性を有するため、Cab−O−Silの代替物として製剤の評価に含まれていた。
【0166】
4.潤滑剤
ステアリン酸マグネシウムおよびフマル酸ステアリルナトリウム(たとえばPRUV)を、製剤評価で潤滑剤として評価した。ステアリン酸マグネシウムは、製薬業界で最も一般的に使用されている潤滑剤であるが、一部の例では、様々な薬剤分子との非適合性に影響を受けやすい場合があり、一部の例では、放出速度に影響し得る「オーバーブレンディング」に影響を受けやすい場合がある。PRUVはまた、この試験で評価した。PRUVは、非適合性および混合した材料の疎水性を増大する可能性のある過剰な潤滑などの問題を回避することができる。よって、特定の活動の生物学的利用率は、潤滑剤としてPRUVを使用することにより、改善し得る。
【0167】
5.カプセルシェル
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のカプセルシェルを、この製剤化の試験の評価のために選択した。HPMCカプセルシェルは、ゼラチンのカプセルシェルと「活性」タマゴタンパク質との間のタンパク質/タンパク質相互作用のリスクを低下させることが知られている。適合性試験を、最終製品の天然の白色および青色のシェルを使用して、細粉したHPMCの色付けしたカプセルシェルで行った。10:1(卵白粉末:細粉したカプセルシェル)の比率で、3つのカプセルシェルの色を提示する試料のマトリクスを調製した。
【0168】
B.製剤
16の製剤マトリクス(卵白タンパク質のみを含む対照を含む)を評価し、表10に示す。一定した均一性を、非常に低レベルの1つまたは複数の成分を含む製剤で試験し、幾何学的な混合技術を使用して、低レベルの成分が混合物全体に均一に分布したことを確実にすることができる。
【表10】
【0169】
C.処理/製造
評価される卵白粉末/賦形剤の比率に関して、約6グラムのマイクロ混合物を、制御した保存条件での評価のために調製した。試料マトリックスを使用して、許容可能な製剤の賦形剤を決定し、次にこれを、一般的な設置製造工程で利用することができる。
【0170】
1.手順:試料の調製および解析
1.表10の各製剤のプロトタイプを、約10分間、バイアル、または乳鉢および乳棒で混合した。
【0171】
2.次に、各マイクロ混合物を、「パッケージング」試料調製のためのテフロン系のネジ口を備える清潔なホウケイ酸ガラスのバイアルに入れた。
【0172】
3.試料を、40℃/75%の相対湿度保存条件で保存した。
【0173】
4.試料の安定性を化学的に試験し、0時間、2週間、1カ月、2カ月、および3カ月で外観に関して試験した。外観の評価は、粉末の色、テクスチャ、および材料が接着性かまたは自由に流動するかの決定を含むものであった。
【0174】
5.試料の安定性の生化学的な解析を、HPLC解析を介して行った。クロマトグラフィーの有意な変化が乾燥タマゴタンパク質/賦形剤混合物と、賦形剤に曝露しない乾燥タマゴタンパク質との間で見られなかった場合に、個々の賦形剤との活性材料の適合性を確立した。約1.0gの試料を、化学解析に使用した。
【0175】
6.乾燥に関する喪失を、初期(T=O)の試料と、2カ月で評価した。約2gの試料を、LOD試験に使用した。試料を融点未満に加熱し、水分含有量(水の喪失)を測定した。
【0176】
D.3カ月後の賦形剤の適合性の試験の結果
3カ月の賦形剤の適合性の試験を本明細書中に提示する。この試験は、上述のパラメータにつらなるものであり、製剤の試料は、40℃/75%の相対湿度で保存された。
【0177】
上記の表10に表されるように、混合製剤を、多くの安定性の特徴に関して、3カ月にわたり評価した。分子ふるいクロマトグラフィーにより評価した経時的なタンパク質の完全性を、5つの時点で表11に示す(%各タンパク質のピークの面積)
【表11】
【0178】
T=0、Σ4〜6=98.07。許容性の範囲は、初期96.11〜100.03の所定の範囲の±2%。すべての試料のΣ4〜6は、この範囲内にある。
【0179】
外観の観察は、色、テクスチャ、および流動性を含む。乾燥における喪失を、T=0および2カ月の時点で試験した。外観および乾燥における喪失のデータを表12に提示する。
【表12】
【0180】
表12に示されるように、3つの混合物(12〜14)は、3カ月後も自由に流動している。この結果は、75%の相対湿度で、タマゴのタンパク質製剤(混合物12〜14)が、卵白タンパク質単独よりも少ない水分を取り込むことを示す。
【0181】
実施例5:タマゴのタンパク質製剤
実施例4の適合性試験の結果に基づき、表13〜16に示される製剤を作製し、例示的な製剤として試験した。ProSolv SMCC 50およびProSolv HD90は、希釈剤として含め、マンニトールは充填剤として含め、ステアリン酸マグネシウムは潤滑剤として含めた。しかしながら、他の希釈剤、充填剤、および潤滑剤を、適合性のある結果に伴い使用することができる。実施例6は、例示的な製剤の充填および回収試験の結果を提供する。
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0182】
実施例6:充填および回収の解析
表13〜16の製剤を、カプセルに製剤化する際の充填および回収に関して試験した。カプセルの充填および回収を、4つの用量強度の卵白タンパク質:0.2mg、1.0mg、10.0mgおよび100.0mgで評価した。各用量強度で、100のカプセルを、Pro−Fill(登録商標)の手動カプセル化ユニットを使用して作製した。各セットのカプセルの許容範囲は、製剤から標的充填重量の±3%であった。使用したすべてのカプセルが許容範囲内であるかを確認するために、重量を確認した。0.2、1.0、10.0、および100.0mgのカプセルの回収データを、それぞれ表17〜20に提示する。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【0183】
0.2mg、1.0mg、10.0mg、および100.0mgのカプセルの製剤のカプセルからの材料の回収率は、試験したすべてのカプセルに対して98〜100%であった。これは、表13〜16に提供される製剤が、卵白タンパク質を含むカプセル化薬品を製造するために効果的に使用することができることを示す。
【0184】
実施例7:混合および含有量の均一性の解析
混合および含有量の均一性の解析を、以下のように表13〜16の製剤に基づく製剤に関して行った。表21に示されるあらかじめ混合した一般的な卵白タンパク質の粉末(EWP)を、Michael Foods EWP、 lot 1248944を使用して作製した。次に、一般的な混合物を、3つの用量強度(0.2mg、1.0mg、および10.0mg)を得るように希釈した。幾何学的な希釈を、一般的な混合物および0.2mg、および1.0mgの用量強度の希釈物に使用した。幾何学的な希釈または幾何学的な混合は、2つの成分の固有の量を混合する際に使用する技術である:1つを最小量で開始し、より大きな量を有する等量の成分を追加する。次に、この処理を、すべての成分を使用するまで継続する。
【表21】
【0185】
Michael Foods EWPのタンパク質含有量「としての使用」は、81.85%とわかった。この情報は、混合時間で利用できないため、もともとの製剤は、わずかにより高いDeb El材料のタンパク質含有量、85.71%に基づくものであった。すべての製剤は、Michael Foodの値を反映するように調節した。すべてのバッチに関して調節した製剤を表22〜24に示す。
【表22】
【表23】
【表24】
【0186】
すべての混合物を、混合均一性の試験に使用した(thieve)。混合均一性は、混合法の均一性を測定した。活性成分が製剤中で均一に混合されていることが重要である。1.0ccの試料のシーフを使用して、10の固有のブレンダーの領域から試料を押圧した。使用した試料を、直接タールを含むラベル付けした検量カップに送達した。試料の重量を、空のカップと充填したカップとの間の差異として決定した。解析した試験は、使用した材料の一部よりも試料全体を利用した。カプセルシェルを、適切にサイズ決めしたProFillシステムを使用して手動で充填した。
【0187】
各タマゴタンパク質の含有量および混合均一性の解析を、実施例2に提供される分子ふるいクロマトグラフィーを使用して行った。クロマトグラムオーバーレイからの、含有量の均一性、混合物の均一性、および総タンパク質(卵白タンパク質のアッセイ)を定量化するために使用した計算は、以下の通りである。
【表25】
【0188】
図22は、卵白タンパク質の標準物質(下部)および0.2mgのカプセル含有量の均一性の試料(上部)のクロマトグラムオーバーレイを示す。
図23は、卵白タンパク質の標準物質(下部)および1.0mgのカプセルの含有量の均一性の試料(上部)のクロマトグラムオーバーレイを示す。
図24は、卵白タンパク質の標準物質(下部)および10.0mgのカプセル含有量の均一性の試料(上部)のクロマトグラムオーバーレイを示す。すべてのバッチの混合解析を表25〜28に提示する。含有量の均一性は、カプセルまたは錠剤のクオリティーコントロールのための薬学的な解析技術である。複数のカプセルまたは錠剤をランダムに選択し、適切な解析方法を使用して、各カプセルまたは錠剤の活性成分の個々の含有量をアッセイする。この調製物は、1以下(すべてが限定値内)の個々の含有量が、平均含有量の85〜115%の限界値の外になく、平均含有量の75〜125%の限界値の外には全くない場合に適合する。この結果は、均一性の観点から、混合物のすべてが、<〜5%の相対標準偏差にあてはまるものであったことを示す。
【0189】
充填したカプセルの含有量の均一性およびアッセイの結果を表29〜31に提示する。含有量の均一性は、相対標準偏差<〜4%で、0.2mgおよび1.0mgのカプセルに関して許容可能である。しかしながら、10.0mgのカプセルの含有量の均一性は、8%の相対標準偏差を有した。これは、混合物単独よりもわずかにばらつきがある。
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【0190】
含有量の均一性の試験を、バッチ 054−002−14009Aで作製した混合物の新規に充填したカプセルで行った。新規のカプセルは、バッチ L0136−42と同定されている。
【0191】
バッチ 054−002−14009Aでの元々の混合物は、Deb Elの卵白粉末中のタンパク質含有量に基づき製剤化した。Michael Foods卵白タンパク質のタンパク質含有量の結果は、このバッチに関して0.19mgに減少するよう調節されるようなラベルクレームを必要とした。元々のバッチ 054−002−14009 Aの製剤を表32に示す。
【表33】
【0192】
元々のバッチ由来の混合物を、真に0.2mgの剤形を得るようにより高い充填重量でカプセル化した。このカプセルは、バッチ L0136−42と同定されている。調節した製剤を表33に示す。含有量均一性の結果を表34〜37に示す。
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【0193】
混合および含有量の均一性の試験を、ブレンダーで10〜30分間製剤を混合し、各時点で試料を採取することにより、バッチ 054− 002−14012Cおよび054−002−14013Dで行った。この試験を、10mgおよび100mgの用量強度を有するバッチでそれぞれ行った。両方のバッチは、lot 4043W−3由来のMichael Foodsの卵白タンパク質の粉末を含んだ。10mgのバッチを、幾何学的な希釈として処理し、100mgのバッチを、直接的な混合物として処理した。バッチの製剤は、表38および39で得られる。10mgの混合および含有量の均一性のデータを、表40および41に示す。100mgのバッチの混合および含有量の均一性のデータを、表42および43に提示する。
【表39】
【表40】
【表41】
【表42】
【表43】
【表44】
【0194】
処理試験を、製剤が異なる混合時間でどのように混合するかを同定するために行った、この試験は、以下のように1.0mgの用量強度を使用した。5つのセットの混合試料を採取した:1.SMCC50での卵白粉末の幾何学的な希釈の後;2.すべての希釈剤での混合時間の10分目;3.すべての希釈剤との混合時間の20分目;4.1〜3X単位用量の採取した試料を伴う、すべての希釈剤および潤滑剤との混合時間の30分目;5〜10X単位用量の採取した試料を伴う、すべての希釈剤および潤滑剤との混合時間の30分目。この試験結果は、製剤が、10分の時間までに混合したことを示した。
【0195】
同様に、スワブの回収試験を、ブレンダーからの除去の効率を見るために行った。2つの試料を回収し、このうちの1つは、v−シェルブレンダーの各脚から回収した。バッチ 054−d02 14014Bの製剤を表44に示す。混合試料の回収結果を表45〜49に提示する。スワブの回収結果を表50に提示し、これは、この製剤の回収が良好であったことを示す。回収したタンパク質の測定値は総卵白タンパク質の測定値であった。この結果は、混合した製剤が、ブレンダーから非常に効率よく回収されたことを示す。
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【表50】
【表51】
【0196】
実施例8:高用量の流動回収解析
高用量のポーチ(小袋)の混合物は、カプセル内に適合しないため、概して100mg超の用量で使用されている(たとえば100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mgおよび1000mg)。高用量のポーチの混合物は、たいていの場合、ポーチまたは糖の小包に入れられている。高用量のポーチ混合物を、流動性および充填回収に関して解析した。カプセルが自動化したカプセル化機械により再現可能に充填できることを確認し、対象がカプセルから粉末を容易に取り出す効率を最適化するために、流動性および回収を試験する。最初の製剤は、卵白粉末およびタルクのみを含んだ。これら混合物の流動性は非常に不十分であった。次のセットのプロトタイプは、卵白粉末、PROSOLV(登録商標)HD90、マンニトールおよびステアリン酸マグネシウムを含むものであった。また、これら混合物の流動性も非常に不十分であった。マンニトールを、第3のセットのプロトタイプの製剤から除去した。第3のセットでは、2つの濃度のタルクを、流動の改善を、食感に関するネガティブな影響を回避するために十分低いレベルで得ることができるかどうかを決定するために試験した。これら混合物の流動性は、「一定の基準を満たす」流動の特徴を有する初期のプロトタイプよりも著しく良好であった。
【0197】
すべてのプロトタイプの製剤を、表51〜53に提示する。プロトタイプの流動のデータを、表54に提示する。比較のため、表55は、流動性の尺度を示す。回収データを表56に提示する。
【表52】
【表53】
【表54】
【表55】
【表56】
【表57】
【0198】
試験の結果として、タルク製剤を、高用量混合物の流動性に関してより有益であると決定した。一実施形態では、1%のタルク製剤を、高用量のポーチに使用する。約1.2gの充填重量を、500mgの用量強度で使用し、1000mgでは2.4gで使用した。正確な重量を、各バッチで使用した卵白粉末のタンパク質含有量に基づき決定する。
【0199】
実施例9:6カ月の安定性試験
卵白タンパク質のカプセルの安定性を、0.2mg、1.0mg、10mg、および100mgのカプセルで6カ月間解析した。表57〜60の例示的な製剤を、本明細書中に記載の卵白タンパク質製剤の一般的な安定性を同定するために使用した。この試験のすべての混合物を、Michael Foods卵白粉末(lot 4043W−3)を使用して、GMPデモンストレーションバッチとして処理した。この試験で使用したカプセルを、以下のバッチ:D14089、0.2mgの卵白タンパク質カプセル;D14084、1.0mgの卵白タンパク質カプセル;D14072、10.0mgの卵白タンパク質カプセル;およびD14070、100.0mgの卵白タンパク質カプセルで生成した。
【0200】
安定性プロトコルは、以下の通りであった。試料を、25°C/相対湿度60%および30°C/相対湿度65%で保存した。カプセルを封入し、乾燥剤およびCRC熱封入した閉鎖を用いたHDPEビンに保存した。ビンあたりの計数は、30ccのビン中0.2mgでは10であり、150ccのビン中1.0mgでは200であり、500ccのビン中10.0mgでは200であり、500ccのビン中10mgで200であった。各試験で試験したカプセルの数は以下の通りであった:外観および嗅覚:n=10、LOD:2g(0.2では14個のカプセル、10では1.0mg/5つのカプセル、100mg);オポムコイド効力(ELISA):n=10;アッセイ(HPLCによるタンパク質含有量);n=10、送達可能な質量:n=10、含有量の均一性:n=20(T=0でのみ行う)、およびマイクロ:15g(0.2の100、および10.0および100.0の1.0/32)。バッチを生成する場合に、T=0で試料を試験した。試料を、1M、2M、3M、および6M(および実施例10では11M)で、チャンバーから採取した。各試料を、外観(シェルおよび含有量)、嗅覚、LOD、オポムコイドの効力、アッセイ、および送達可能な質量に関して試験した。含有量の均一性の試験を、T=0で行い、微生物の限界の試験を、T=0およびT=12で行った(各試験の実施例1〜8参照)。
【0201】
バッチの製剤を、表57〜60に示す。外観および匂いを、表61〜64にまとめられている。乾燥における喪失の結果を表65に提示する。オポムコイド(ELISA)の効力を表66に提示する。アッセイの結果を表67に提示する。含有量均一性の結果を表68に提示する。混合物の均一性の結果を表69に提示する。送達可能な質量のデータを表70に提示する。
【表58】
【表59】
【表60】
【表61】
【表62】
【表63】
【表64】
【表65】
【表66】
【表67】
【表68】
【表69】
【表70】
【表71】
【0202】
上記の試験を使用して、例示的な製剤の卵白粉末のカプセルの安定性を確立した。0.2、1、10、および100mgの表65の乾燥における喪失の結果は、製剤の乾燥に関する喪失が少量変動するが、1カ月、2カ月、3カ月、4.5カ月、および6カ月の間で有意な差異が存在しなかったことを示す。
【0203】
オボムコイドを、経時的にタンパク質の特定の効力を試験するために例示的なタマゴタンパク質として使用した。表66に提示したオボムコイドの効力(ELISA)は、再度、一部の変動を示すが、最大6カ月で一定した経時的な喪失を示さなかった。表67に提示したHPLCアッセイの結果は、6カ月にわたるタマゴタンパク質の有意な喪失を示さない。含有量の均一性(表68)、混合物の均一性(表69)、および送達可能な質量のデータ(表70)は、これらの結果を確認した。
【0204】
6カ月での結果は、どちらの温度でも、この製剤のタンパク質水分含有量および物理的な特徴は変化しないことを示す。よって、試験した混合物は6カ月間安定であり、よって、製剤の薬学的な調製物は、少なくとも6カ月間容易に使用することができる。
【0205】
実施例10:11カ月の安定性の試験
卵白タンパク質のカプセルの安定性を、0.2mg、1.0mg、10mg、および100mgのカプセルに関して、11カ月間解析した。実施例9の安定性のプロトコルを使用した。この試験のすべての混合物を、Michael Foods卵白タンパク質の粉末(lot 4043W−3)を使用してGMPデモンストレーションバッチとして処理した。この試験で使用したカプセルを、以下のバッチで生成した:D14089, 0.2mgの卵白タンパク質のカプセル、D14084, 1.0mgの卵白タンパク質のカプセル;D14072, 10.0mgの卵白タンパク質のカプセル;およびD14070, 100.0mgの卵白タンパク質のカプセル。
【表72】
【表73】
【表74】
【表75】
【表76】
【表77】
【0206】
バッチの製剤を、上記の表57〜60に示す。外観および匂いを、表71〜74にまとめる。乾燥における喪失の結果を表75に提示する。送達可能な質量の結果を表76に提示する。表77および78は、11カ月後のタマゴタンパク質についてのデータを提供し、11カ月でHPLCアッセイの結果(表77)が、1カ月、2カ月などでのデータと有意に異なるものではないことを示す。
【表78】
【表79】
【0207】
11カ月の安定性試験の結果は、用量、水分含有量、総タンパク質、およびオボムコイドの効力が許容可能な変動内で同一のままであることを示す。よって、製剤は、水分含有量を安定したままにする環境を提供する。しかしながら、表78は、高温度で効力にいくつか喪失が存在することを示し、製剤を最良の安定性で室温よりも高くない温度のままとすべきことを示唆するものである。
【0208】
実施例11:製造プロトコル
以下の物質を、20メッシュのスクリーンを介してスクリーニングし、16クォートのVブレンダーに添加した:乾燥卵白タンパク質およびProSolv(登録商標)SMCC50(ケイ酸化結晶セルロース,NF)。この物質を5分間混合した。16クォートVシェルの内容物を放出し、60‐メッシュのスクリーンを介してスクリーニングした。スクリーニングした物質を16クォートのVシェルに戻した。ProSolv(登録商標)SMCC50を含む空のバッグをすすぎ、60メッシュを介してすすいだ物質をスクリーニングし、16クォートVシェルにスクリーニングした物質を戻し、10分間混合し、反復する。
【0209】
20メッシュのスクリーンを介して順番に以下の物質をスクリーニングし、16クォートVブレンダーProSolv(登録商標)SMCC50に添加した。15分間混合する。20メッシュのスクリーンを介して以下の物質を順番にスクリーニングし、16クォートのブレンダーに添加する:ProSolv(登録商標)SMCC HD90およびマンニトール, NF (Pearlitol(登録商標) 200SD)。合わせた材料を15分間混合する。40メッシュスクリーンを介してステアリン酸マグネシウム,NF(Hyqual(登録商標)植物由来)を通過させ、混合物に添加する。10分間混合する。合わせた混合物を2つのポリエチレンバッグで裏打ちされた適切な大きさのコンテナに放出する。混合物のタンパク質含有量および均一性を解析し、カプセルまたはポーチに適宜封入する。
【0210】
VII.他の実施形態
以下の実施例は、本技術のいくつかの実施形態を例示する。
1.乾燥卵白タンパク質粉末、希釈剤、充填剤、および滑剤、ならびに/または潤滑剤を含む医薬製剤。
2.a)0.1%〜90%(w/w)の卵白タンパク質粉末、b)約40〜90%の希釈剤、c)約1〜30%の充填剤、d)約0.01%〜10%の潤滑剤または滑剤、e)カプセルシェルまたはポーチを含む、実施例1に記載の医薬製剤。
3.卵白タンパク質の粉末中の卵白タンパク質のレベルが、約3、6、9、11、または36カ月間、医薬製剤中で安定である、実施例1に記載の医薬製剤。
4.オボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質のうちの1つまたは複数の濃度が、医薬製剤中で約3、6、9、11、または36カ月間安定である、実施例1に記載の医薬製剤。
5.上記製剤が、アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体;結晶デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸(polysaccharide acid);ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/ビニルアセタートコポリマー;クロスポビドン(crosspovidone);ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガント;デキストリン、糖;リン酸二カルシウム;天然ゴムまたは合成ゴム、ポリビニルピロリドン、カラマツのアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム、デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、架橋デンプン;架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸塩;粘土;グリコール酸デンプンナトリウム;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;樹脂;柑橘類の果実;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと併用したラウリル硫酸ナトリウム;ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の希釈剤を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
6.上記製剤が、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、ワックス、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘナート、グリセリルパルミトステアラート、グリセリルベンゾアート、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の潤滑剤を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
7.上記製剤が、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート(Dextrates)、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の充填剤を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
8.上記卵白タンパク質が、約0.1%〜21%(w/w)の範囲にある、実施例1に記載の医薬製剤。
9.約0.1%の卵白タンパク質を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
10.上記卵白タンパク質が、カプセルまたは小袋あたり約0.2mg〜約1000mgの重量範囲にある、実施例1に記載の医薬製剤。
11.約0.2mgの卵白タンパク質を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
12.約1.0mgの卵白タンパク質を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
13.約10.0mgの卵白タンパク質を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
14.約100.0mgの卵白タンパク質を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
15.約200.0mgの卵白タンパク質を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
16.約1000.0mgの卵白タンパク質を含む、実施例1に記載の医薬製剤。
17.上記希釈剤がProsolvである、実施例1に記載の医薬製剤。
18.上記ProsolvがProsolv SMCC 50およびProsolv HD90の組み合わせである、実施例17に記載の医薬製剤。
19.上記充填剤がマンニトールである、実施例1に記載の医薬製剤。
20.上記潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、実施例1に記載の医薬製剤。
21.上記滑剤がタルクである、実施例1に記載の医薬製剤。
22.a)約0.1%〜50%(w/w)の卵白タンパク質、b)約40〜90%のProsolv SMCC 50および/またはProsolv HD90、c)約1〜30%のマンニトール、d)約0.01%〜10%のステアリン酸マグネシウムおよび/またはタルク、ならびにe)カプセルシェルまたはポーチを含む、医薬製剤。
23.対象のタマゴアレルギーの治療のための医薬製剤を同定する方法であって、a)1つまたは複数の解析方法により、卵白タンパク質の組成物において、オボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質の濃度を決定することと、b)参照物質の濃度と、上記タンパク質の濃度を比較することと、c)対象のタマゴアレルギーの治療のための組成物を同定することであって、上記組成物が、参照物質と少なくとも同一の濃度のオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質を含む、こととを含む、方法。
24.上記解析方法が分子ふるいクロマトグラフィーである、実施例23に記載の方法。
25.低用量のタマゴのタンパク質製剤を製造する方法であって、
a)第1の混合で、特徴づけたオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質を有するある量の卵白粉末と、希釈剤とを混合することと、
b)第2の混合で、50〜99%の希釈剤を添加することと、
c)最終的な混合で、希釈剤、充填剤、潤滑剤、または滑剤のうちの1つまたは複数を添加することと、
d)カプセルまたはポーチに上記混合した粉末を提供することと
を含む、方法。
26.上記カプセルあたりの卵白タンパク質の用量が約0.2mgの卵白タンパク質である、実施例25に記載の方法。
27.上記カプセルあたりの卵白タンパク質の用量が約1.0mgの卵白タンパク質である、実施例25に記載の方法。
28.上記カプセルあたりの卵白タンパク質の用量が約10.0mgの卵白タンパク質である、実施例25に記載の方法。
29.上記卵白タンパク質の用量が20mg以上であり、上記混合した粉末をカプセルに提供する、実施例25に記載の方法。
30.上記卵白タンパク質の用量が100mg以上であり、上記混合した粉末をポーチに提供する、実施例25に記載の方法。
31.上記卵白タンパク質の用量が300mg以上であり、上記混合した粉末をポーチに提供する、実施例25に記載の方法。
32.上記卵白タンパク質の用量が1000mg以上であり、上記混合した粉末をカポーチに提供する、実施例25に記載の方法。
33.卵白タンパク質の粉末中の卵白タンパク質のレベルが、約3、6、9、11カ月、またはそれ以上の間医薬製剤中で安定である、実施例25に記載の方法。
34.上記製剤中のオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質のうちの1つまたは複数の濃度が、約3、6、9、または11カ月間、またはそれ以上の間安定である、実施例25に記載の方法。
35.上記希釈剤が、アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体;ケイ酸化結晶セルロース;結晶デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸(polysaccharide acid);ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/ビニルアセタートコポリマー;クロスポビドン(crosspovidone);ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガント;デキストリン、糖;リン酸二カルシウム;天然ゴムまたは合成ゴム;ポリビニルピロリドン、カラマツのアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム、デンプン;架橋デンプン;架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸塩;粘土;ゴム;グリコール酸デンプンナトリウム;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;樹脂;柑橘類の果実;ラウリル硫酸ナトリウム;およびデンプンと併用したラウリル硫酸ナトリウムからなる群から選択される、実施例25に記載の方法。
36.上記充填剤が、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート(Dextrates)、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、およびポリエチレングリコールからなる群から選択される、実施例25に記載の方法。
37.上記潤滑剤が、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘナート、グリセリルパルミトステアラート、グリセリルベンゾアート、およびラウリル硫酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウムからなる群から選択される、実施例25に記載の方法。
38.上記特徴づけたオボムコイド、オボアルブミン、およびリゾチームタンパク質が、分子ふるいクロマトグラフィーにより特徴づけられている、実施例25に記載の方法。
39.上記希釈剤がProsolvである、実施例25に記載の方法。
40.上記希釈剤がProsolv SMCCおよびProsolv HD90の混合物である、実施例25に記載の方法。
41.上記充填剤がマンニトールである、実施例25に記載の方法。
42.上記潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、実施例25に記載の方法。
43.上記滑剤がタルクである、実施例25に記載の方法。
44.ステップ(d)が、メッシュスクリーンを介して上記混合した物質を通過させることをさらに含む、実施例25に記載の方法。
45.カプセル製剤を作製する方法であって、(a)第1の混合で、卵白タンパク質粉末および希釈剤を混合することと、(b)上記混合した物質を放出することと、(c)メッシュスクリーンを介して上記混合した物質を通過させ、第2の混合で上記スクリーニングした物質を混合することと、(d)第3の混合で、充填剤、滑剤、および/または希釈剤を添加することと、(e)上記混合した粉末をカプセル化することとを含む、方法。
46.カプセル化の前の1つまたは複数の時点で、ステップ(d)の混合した物質をサンプリングすることをさらに含む、実施例45に記載の方法。
47.上記用量が、約0.2〜約1000mgの卵白タンパク質を含む、実施例45に記載の方法。
48.上記ステップ(c)のメッシュスクリーンが、♯20メッシュスクリーンを含む、実施例45に記載の方法。
49.上記卵白タンパク質が、リゾチーム、オボムコイド、およびオボアルブミンを含む、実施例45に記載の方法。
50.リゾチーム、オボムコイド、およびオボアルブミンの濃度が、分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)−HPLCにより特徴づけられる、実施例45に記載の方法。
51.上記濃度が、少なくとも参照標準物質の量である、実施例45に記載の方法。
52.上記カプセル化した製剤が、少なくとも約3、6、9、12、24、または36カ月間安定である、実施例45に記載の方法。
53.上記カプセル化製剤が、約2℃〜約30℃の温度で安定である、実施例45に記載の方法。
54.上記カプセルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む、実施例45に記載の方法。
55.容器に上記製剤を保存することをさらに含む、実施例45に記載の方法。
56.上記容器がビンである、実施例55に記載の方法。
57.上記ビンが、高密度ポリエチレンのビンである、実施例56に記載の方法。
58.上記容器が、上記容器の水分含有量を制御するための乾燥剤パケットをさらに含む、実施例55に記載の方法。
【0211】
VIII.結論
文脈が特段他の記載を必要としていない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む(comprise、comprising)」などは、排他的または徹底的な意味とは反対の包有する意味で構築されている。すなわち、「限定するものではないが、〜を備える(including)」の意味である。単数または複数を使用する用語も、それぞれ複数または単数を含む、さらに、用語「本明細書中」、「上記」、および「以下」、および類似の意味の用語は、本願で使用する際は、全体として本願を指し、本願のいずれかの特定の部分を表すものではない。
【0212】
本明細書中に記載されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、特定して個々に参照として援用されると意図されていた場合と同一の程度で、本明細書中参照として援用される。
【0213】
本開示の実施形態の説明は、徹底的であると意図されておらず、開示される正確な形態に開示を限定するものではない。本開示の特定の実施形態および実施例は、例示のため本明細書中に記載されており、様々な均等な改変が、当業者が認識するように、本開示の範囲内で可能である。たとえば、処理のステップ、製剤の成分、または機能は、所定の順で提示されているが、代替的な実施形態は、異なる順、または実質的に同時の順でこれらを含んでもよい。本明細書中に提供される開示の技術を、本明細書中に記載の組成物だけでなく他の成分に対して使用することができる。本明細書中に記載の様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。
【0214】
前述の実施形態のいずれかの特定の要素は、他の実施形態の要素と組み合わせることができ、または置き換えることができる。さらに、本開示の特定の実施形態に関連した態様は、これらの実施形態の内容に記載されているが、同様に他の実施形態は、このような態様を呈してもよく、すべての実施形態が、本開示の範囲内にあるこのような態様を必ずしも呈するものではない。よって、本開示は、添付の特許請求の範囲による限定を除き、限定されるものではない。