(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-531026(P2017-531026A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】徐放性乱用抑止性液体充填剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 9/52 20060101AFI20170922BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20170922BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20170922BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20170922BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20170922BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20170922BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20170922BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20170922BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20170922BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20170922BHJP
【FI】
A61K9/52
A61K47/14
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/10
A61K31/485
A61P25/04
A61K47/20
A61K45/00
A61K47/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-521106(P2017-521106)
(86)(22)【出願日】2015年10月20日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月7日
(86)【国際出願番号】US2015056458
(87)【国際公開番号】WO2016064873
(87)【国際公開日】20160428
(31)【優先権主張番号】62/066,298
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516043867
【氏名又は名称】ファーマシューティカル マニュファクチュアリング リサーチ サービシズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,エドウィン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,エリック,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ミスリンスキ,ニコラス,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ケメニー,スティーブン,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ハート,マシュー,エヌ.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA55
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC01
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4C086NA06
4C086NA10
4C086NA12
4C086NA20
4C086ZA08
(57)【要約】
本開示は、放出制御剤、第2の薬剤及び/又はポリエチレングリコール、並びに乱用されやすい少なくとも1種の医薬品有効成分を含有する、経口用徐放性乱用抑止性剤形に関する。剤形は、高温で安定であり、用量ダンピング、抽出及び精製による経口及び非経口投与に対して乱用抑止性がある。本開示は、剤形の調製方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)乱用されやすい活性物質、
(b)約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤、及び
(c)約100℃以上の融解温度を有する第2の薬剤、又は
(d)約3000ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコール
を含む、徐放性乱用抑止性カプセル。
【請求項2】
乱用されやすい活性物質、約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤、及び約100℃以上の融解温度を有する第2の薬剤を含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
乱用されやすい活性物質、約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤、及び約3000ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項4】
放出制御剤が、グリセリルベヘネート、ベヘノイルポリオキシルグリセリド、グリセロールモノステアレート、C8〜C18飽和脂肪酸のグリセロールエステル、C12〜C18飽和脂肪酸のグリセロールエステル、ラウロイルポリオキシルグリセリド/PEG−32グリセリルラウレート、ステアロイルポリオキシルグリセリド、PEG−32グリセリルステアレート、飽和ポリグリコール化グリセリド、グリセロールジステアレート/グリセリルパルミトステアレート及び硬化油脂からなる群から選択される、請求項1に記載のカプセル。
【請求項5】
第2の薬剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル、セルロースエステル及びアクリル樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載のカプセル。
【請求項6】
放出制御剤が、ステアロイルポリオキシルグリセリドである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項7】
第2の薬剤が、ポリビニルピロリドンである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項8】
放出制御剤が、カプセルの約15重量%〜約70重量%である、請求項1に記載のカプセル。
【請求項9】
第2の薬剤が、カプセルの約5重量%〜約20重量%である、請求項1に記載のカプセル。
【請求項10】
ポリエチレングリコールが、カプセルの約10重量%〜約40重量%である、請求項1に記載のカプセル。
【請求項11】
活性物質が、ヒドロコドンである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項12】
活性物質が、オキシコドンHClである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項13】
活性物質が、オキシモルホンHClである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項14】
活性物質が、ヒドロモルホンHClである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項15】
染料をさらに含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項16】
染料が、FD&C青色1号、FD&C黄色6号及びFD&C赤色40号を含む、請求項15に記載のカプセル。
【請求項17】
染料が、抽出及び注射による乱用を減少させる、請求項15に記載のカプセル。
【請求項18】
カプセルが、活性物質を少なくとも約2.5重量%含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項19】
カプセルが、活性物質、放出制御剤、第2の薬剤又はポリエチレングリコールを含む加熱均質化懸濁液をカプセル本体に充填することにより調製される、請求項1に記載のカプセル。
【請求項20】
カプセルが、活性物質を約10mg、約20mg、約40mg又は約80mg含み、活性物質の徐放性を示す、請求項1に記載のカプセル。
【請求項21】
カプセルの内容物が、40℃/相対湿度75%で固体である、請求項1に記載のカプセル。
【請求項22】
(a)
(i)乱用されやすい少なくとも1種の活性物質、
(ii)約100℃以下の融解温度を有する放出制御剤、及び
(iii)約100℃以上の融解温度を有する第2の薬剤、又は
(iv)約3000ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコール
を含む、均質化懸濁液を調製すること、
(b)前記均質化懸濁液をカプセル本体に分配して、カプセルを製造すること
を含む、乱用されやすい少なくとも1種の活性物質を含む徐放性乱用抑止性カプセルを製造する方法。
【請求項23】
放出制御剤が、ステアロイルポリオキシルグリセリドである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第2の薬剤が、ポリビニルピロリドンである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
活性物質が、ヒドロコドンである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
活性物質が、オキシコドンHClである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
活性物質が、オキシモルホンHClである、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
活性物質が、ヒドロモルホンHClである、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
カプセルが、カプセル本体とカプセルキャップとを結合することにより形成される、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
治療有効量の請求項1に記載のカプセルを、それを必要とする対象に投与することを含む、疼痛の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経口用徐放性乱用抑止性剤形に関する。剤形は、経鼻及び/又は静脈内等の非経口投与経路による乱用を減少させるために、抽出が困難であるワックスマトリックス中に懸濁させた医薬品有効成分(API)を含有する。剤形は、比較的低い融解温度を有する放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリド、及び第2の薬剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、又はポリエチレングリコール(PEG)も含有する。低い融解温度によって、放出制御剤が、APIを分解せずにワックス懸濁液中でAPI及び他の賦形剤を均質化することが可能になる。組成物は、活性成分の徐放を可能にして、乱用を抑止し、高温で剤形の安定性を維持するように設計されている。
【背景技術】
【0002】
FDA承認薬は、活性物質の種類、治療される症状及び好ましい投与経路に基づき、多くの異なる形態で提供される。これらの形態としては、経腸製剤(例えば、錠剤、カプセル又は丸剤)、非経口製剤(例えば、静脈内、皮下、筋肉内及び関節内等の注射用製剤)、液体製剤(例えば、エリキシル)、凍結乾燥製剤及び局所製剤が挙げられる。FDA承認薬の大部分は、錠剤又はカプセルのいずれかとして経腸形態で現在入手できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの製剤は、アルコールでの薬物の経口摂取、又は経鼻及び/もしくは静脈内投与等の非経口投与経路のいずれかによる乱用の抑止について調査されている。しかし、徐放性乱用抑止性剤形は依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、乱用されやすい活性物質、約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリド、並びに約3000ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有するPEG、又は高い融解温度及び可能性として高い分子量を有する第2の薬剤、例えば可溶性ポリビニルピロリドンを含む、徐放性乱用抑止性カプセルに関する。
【0005】
本開示は、乱用されやすい少なくとも1種の活性物質、約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリド、並びに約3000ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有するPEG、又は高い融解温度及び可能性として高い分子量を有する第2の薬剤、例えば可溶性ポリビニルピロリドンを含む、均質化懸濁液を調製することと、均質化懸濁液をカプセル本体に分配して、剤形を製造することとを含む、乱用されやすい少なくとも1種の活性物質を含む徐放性乱用抑止性カプセルを製造する方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本体セグメント、キャップディスク、ホッパー、ポンプボックス、サブステーションローラー及びカプセル本体を含む、カプセル充填機の断面図である。
【
図3】250rpmで3時間振とうした後の190プルーフエタノール中の剤形の未濾過液を示す図である。
【
図4】250rpmで3時間振とうした後の190プルーフエタノール中の剤形のシリンジ濾過液を示す図である。
【
図5】活性物質を80mg含有する、原型の徐放性乱用抑止性カプセルと粉砕された徐放性乱用抑止性カプセルとの間の溶出における差異を示す図である。
【
図6】活性物質を80mg含有する、原型の徐放性乱用抑止性カプセルと粉砕された徐放性乱用抑止性カプセルとの間の溶出における差異を示す図である。
【
図7】活性物質を10mg含有する、原型の徐放性乱用抑止性カプセルと粉砕された徐放性乱用抑止性カプセルとの間の溶出における差異を示す図である。
【
図8】活性物質を40mg含有する、原型の徐放性乱用抑止性カプセルと粉砕された徐放性乱用抑止性カプセルとの間の溶出における差異を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
処方薬、特にオピオイドの乱用は、深刻で高まりつつある公衆衛生上の問題である。この問題に取り組むために、乱用抑止特性を含有する新しい製剤が開発されている。乱用抑止特性は、製品の操作をより困難にするか、又は操作された製品を乱用する魅力もしくはその見返りを減じる特性を含む。
【0008】
最近、FDAは、乱用抑止特性を有する製剤に関する、産業向けガイダンスを発行した。Guidance for Industry: Abuse-Deterrent Opioids-Evaluation and Labeling, U.S. Department of Health and Human Services, FDA, CDER, April 2015(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)。これらのガイドラインは、乱用抑止性製剤を、物理的/化学的バリア、アゴニスト/アンタゴニストの組合せ、忌避、送達システム、プロドラッグ又は前記の組合せを含む6つのカテゴリーに分類している。FDAガイダンスに記載されているように、カテゴリーは以下の通りである:
【0009】
物理的/化学的バリア−物理的バリアは、咀嚼、粉末化、切断、すりつぶし又は粉砕を防止できる。化学的バリアは、水、アルコール又は他の有機溶媒等の一般的な溶媒を用いたオピオイドの抽出に抵抗できる。物理的及び化学的バリアは、経口薬の物理的形態を変化させることができ、それを乱用されにくいものにする。
【0010】
アゴニスト/アンタゴニストの組合せ−オピオイドアンタゴニストを添加して、乱用に伴う陶酔感を阻害、低減又は阻止することができる。アンタゴニストは、製品の操作時のみ隔離され、放出され得る。例えば、薬物製品は、アンタゴニストとして作用する物質が、製品を嚥下した場合は臨床的に活性でないが、製品を圧砕し、注射するか、又は鼻から吸引した場合は活性となるように製剤化され得る。
【0011】
忌避−剤形が摂取前に操作された場合、又は指示されたよりも高い用量が用いられた場合、不快な効果を与えるように物質を組み合わせることができる。
【0012】
送達システム(デポ注射用製剤及び埋込み錠を含む)−ある種の薬物放出設計又は薬物送達方法は、乱用に抵抗できる。例えば、筋肉内投与される徐放性デポ注射用製剤又は皮下埋込み錠は、操作がより困難であり得る。
【0013】
プロドラッグ−消化管で変換されるまでオピオイド活性を欠くプロドラッグは、静脈内注射又は経鼻経路で乱用する魅力に欠け得る。
【0014】
組合せ−乱用を抑止するために、上記の方法の2種以上を組み合わせることができる。
【0015】
乱用抑止性製剤(ADF)のラベリングに従ったオピオイド鎮痛剤は、これらのカテゴリーの1つ以上との適合を示さなければならない。本開示は、医薬活性物質の徐放をもたらし、これらのカテゴリーの1つ以上に適合する、経口投与用乱用抑止性剤形に関する。一実施形態において、本開示の乱用抑止性剤形は、6つのFDAカテゴリーの少なくとも1つに適合する。別の実施形態において、本開示の乱用抑止性剤形は、6つのFDAカテゴリーの少なくとも2つに適合する。別の実施形態において、本開示の乱用抑止性剤形は、6つのFDAカテゴリーの少なくとも3つに適合する。別の実施形態において、本開示の乱用抑止性剤形は、6つのFDAカテゴリーの少なくとも4つに適合する。別の実施形態において、本開示の乱用抑止性剤形は、6つのFDAカテゴリーの少なくとも5つに適合する。
【0016】
例えば、本開示の乱用抑止性剤形は、少なくとも1種のバリア、例えば、化学的及び/又は物理的バリアを組み込むことにより乱用を減少できる。バリアは、剤形からのAPIの抽出及び/又は精製に基づく乱用を防止するように設計できる。好ましくは、バリアは、これらの方法の有効性を妨げるか、又は減少させる。本明細書で使用する「乱用抑止性」という用語は、例えば、抽出等の手段による乱用に適した形態の製剤から、活性物質を容易に分離できないことを意味する。乱用抑止手段により、経鼻又は静脈内等の非経口投与用の精製された乱用可能な粉末又は抽出物に剤形を変換するのが困難となる。
【0017】
一実施形態において、本開示は、(a)乱用されやすい活性物質、(b)約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリド、及び(c)高い分子量を有する第2の薬剤、例えば公称のK値が約90である可溶性ポリビニルピロリドンを含む、経口用徐放性乱用抑止性剤形に関する。
【0018】
別の実施形態において、本開示は、(a)乱用されやすい活性物質、(b)約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリド、及び(c)約3000ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む、経口用徐放性乱用抑止性剤形に関する。
【0019】
乱用されやすい活性物質
本明細書で使用する「活性物質」又は「乱用されやすい活性物質」という用語は、潜在的に乱用されやすい任意のオピオイド又はオピオイド関連化合物を意味する。活性物質としては、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パプブレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノモルファン、フェノペリジン、ピミノジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、タペンタドール、並びにこれらの薬学的に許容される塩及び混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0020】
特定の実施形態において、活性物質は、ヒドロコドン又はオキシコドンであってよい。
【0021】
活性物質の重量%は、活性物質、安定性、放出プロファイル及びバイオアベイラビリティに応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、剤形は、活性物質を少なくとも約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、7.5重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、65重量%、69重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、88重量%、90重量%、又は95重量%含む。これらの値のいずれかを使用して、用途に応じて活性物質の重量%の範囲を規定できる。例えば、剤形中の活性物質の量は、約0.10重量%〜約60重量%の範囲であり得る。詳細には、剤形中の活性物質の量は、約0.1重量%〜約1.5重量%、約5重量%〜約30重量%、約15重量%〜約20重量%、約15重量%〜約30重量%、約40重量%〜約60重量%、約40重量%〜約50重量%又は約42重量%〜約46重量%の範囲であり得る。
【0022】
例えば、剤形は、活性物質(例えば、オキシコドンHCl)を約5mg、約10mg、約15mg、約20mg又は約30mg含む、100mgのカプセルであり得る。他の実施形態において、剤形は、活性物質(例えば、オキシコドンHCl)を約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg又は約45mg含む、150mgのカプセルであり得る。他の実施形態において、剤形は、活性物質(例えば、オキシコドンHCl)を約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg又は約80mg含む、200mgのカプセルであり得る。他の実施形態において、剤形は、活性物質(例えば、オキシコドンHCl)約2.5mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg又は約100mgを含む、250mgのカプセルであり得る。他の実施形態において、剤形は、活性物質(例えば、オキシコドンHCl)を約2.5mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg又は約100mg含む、275mgのカプセルであり得る。他の実施形態において、剤形は、活性物質(例えば、オキシコドンHCl)を約2.5mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg又は約100mg含む、500mgのカプセルであり得る。他の実施形態において、剤形は、活性物質(例えば、ヒドロコドン)を約2.5mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg又は約100mg含む、700mgのカプセルであり得る。
【0023】
放出制御剤
放出制御剤は、Compritol(登録商標)ATO888(グリセリルベヘネート)、Compritol(登録商標)HD5 ATO(ベヘノイルポリオキシルグリセリド)、Geleol(商標)モノ及びジグリセリド(グリセロールモノステアレート)、Gelucire(登録商標)33/01(C8〜C18飽和脂肪酸のグリセロールエステル)、Gelucire(登録商標)39/01及び43/01(C12〜C18飽和脂肪酸のグリセロールエステル)、Gelucire(登録商標)44/14(ラウロイルポリオキシルグリセリド/PEG−32グリセリルラウレート)、Gelucire(登録商標)50/13(ステアロイルポリオキシルグリセリド)、Gelucire(登録商標)53/10(PEG−32グリセリルステアレート)、Gelucire(登録商標)62/02(飽和ポリグリコール化グリセリド)、Precirol(登録商標)ATO5(グリセロールジステアレート/グリセリルパルミトステアレート)又はSuppocire(登録商標)ペレット(硬化油脂)からなる群から選択される化合物を含み得る。
【0024】
Gelucire(登録商標)分子は、2部分の数を利用して示される。最初の数は、分子の融解温度を示す。2番目の数は、分子が疎水性又は親水性であるか否かを示す、HLB数又は親水性親油性バランス数を示す。このHLB数は0〜14に及び、<10は疎水性であり、>10は親水性である。親水性分子は、放出の増加及び崩壊機構により機能し、そこで親水性分子は侵食/拡散により機能する。ある種の実施形態において、本開示で使用するGelucire(登録商標)分子は、親水性である。他の実施形態において、本開示で使用するGelucire(登録商標)分子は、疎水性である。ある種の実施形態において、疎水性分子と親水性分子との組合せが用いられる。
【0025】
剤形中の放出制御剤の全重量%は、活性物質、安定性及び放出プロファイルに応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、放出制御剤は、剤形の少なくとも約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、85重量%、88重量%、90重量%、又は95重量%である。これらの値のいずれかを使用して、剤形中の放出制御剤の重量%の範囲を規定できる。例えば、いくつかの実施形態において、剤形中の放出制御剤の重量%は、約15重量%〜約60重量%又は約30重量%〜約40重量%の範囲である。
【0026】
ある種の実施形態において、放出制御剤は、約100℃、99℃、98℃、97℃、96℃、95℃、94℃、93℃、92℃、91℃、90℃、89℃、88℃、87℃、86℃、85℃、84℃、83℃、82℃、81℃、80℃、79℃、78℃、77℃、76℃、75℃、74℃、73℃、72℃、71℃、70℃、69℃、68℃、67℃、66℃、65℃、64℃、63℃、62℃、61℃、60℃、59℃、58℃、57℃、56℃、55℃、54℃、53℃、52℃、51℃、50℃、49℃、48℃、47℃、46℃、45℃、44℃、43℃、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃又は30℃の融解温度を有する。ある種の実施形態において、放出制御剤は、約100℃、99℃、98℃、97℃、96℃、95℃、94℃、93℃、92℃、91℃、90℃、89℃、88℃、87℃、86℃、85℃、84℃、83℃、82℃、81℃、80℃、79℃、78℃、77℃、76℃、75℃、74℃、73℃、72℃、71℃、70℃、69℃、68℃、67℃、66℃、65℃、64℃、63℃、62℃、61℃、60℃、59℃、58℃、57℃、56℃、55℃、54℃、53℃、52℃、51℃、50℃、49℃、48℃、47℃、46℃、45℃、44℃、43℃、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃又は30℃以下の融解温度を有する。これらの値のいずれかを使用して、放出制御剤の融解温度の範囲を規定できる。例えば、放出制御剤は、約90℃〜約50℃又は約60℃〜約40℃の融解温度を有し得る。
【0027】
一実施形態において、放出制御剤は、融解及び均質化中にできるだけ少ない酸素を取り込む方法下で比較的低い温度で融解する。例えば、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、融解及び均質化中にできるだけ少ない酸素を取り込むことで、少なくとも70℃の融解温度を必要とする。融解した放出制御剤、及び場合によりPEGは、より高い温度で融解する、剤形の他の成分、例えば、第2の薬剤を組み込む懸濁液を形成できる。
【0028】
第2の薬剤
第2の薬剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル、セルロースエステル、アクリル樹脂及びこれらの誘導体、並びにこれらの組合せからなる群から選択され得る。特に、第2の薬剤は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルピロリドン及びこれらの誘導体、例えば、これらの塩、アミド又はエステル、並びにこれらの組合せから選択され得る。
【0029】
剤形中の第2の薬剤の全重量%は、活性物質、安定性及び放出プロファイルに応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、剤形の少なくとも約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、85重量%、88重量%、90重量%、又は95重量%である。これらの値のいずれかを使用して、剤形中の第2の薬剤の重量%の範囲を規定できる。例えば、いくつかの実施形態において、剤形中の第2の薬剤の重量%は、約5重量%〜約60重量%又は約10重量%〜約35重量%の範囲である。
【0030】
ある種の実施形態において、第2の薬剤は、約100℃、110℃、120℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃、360℃、370℃、380℃、390℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、460℃、470℃、480℃、490℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃又は1000℃の融解温度を有する。ある種の実施形態において、第2の薬剤は、約100℃、110℃、120℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃、360℃、370℃、380℃、390℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、460℃、470℃、480℃、490℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃又は1000℃以上の融解温度を有する。これらの値のいずれかを使用して、第2の薬剤の融解温度の範囲を規定できる。例えば、第2の薬剤は、約100℃〜約200℃又は約135℃〜約165℃の融解温度を有し得る。
【0031】
ある種の実施形態において、本開示の剤形は第2の薬剤を含まない。
【0032】
ポリエチレングリコール
本開示の組成物は、1種以上のポリエチレングリコールも含有し得る。いくつかの実施形態において、PEGは、3000、3050、3100、3150、3200、3250、3300、3350、3400、3450、3500、3550、3600、3650、3700、3750、3800、3850、3900、3950又は4000ダルトンの平均分子量を有する。これらの値のいずれかを使用して、第2のPEGの平均分子量の範囲を規定できる。例えば、PEGは、約3100ダルトン〜約3900ダルトン、約3200ダルトン〜約3800ダルトン、約3300ダルトン〜約3700ダルトン、約3400ダルトン〜約3600ダルトン、約3000ダルトン〜約3200ダルトン、約3200ダルトン〜約3400ダルトン、約3600ダルトン〜約3800ダルトン又は約3800ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0033】
剤形中のPEGの全重量%は、活性物質、安定性及び放出プロファイルに応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、PEGは、剤形の少なくとも約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、85重量%、88重量%、90重量%、又は95重量%である。これらの値のいずれかを使用して、剤形中のPEGの重量%の範囲を規定できる。例えば、いくつかの実施形態において、剤形中のPEGの重量%は、約30重量%〜約50重量%又は約20重量%〜約60重量%の範囲である。
【0034】
染料
組成物は1種以上の染料も含み得る。染料は、乱用者に静脈内注射を思いとどまらせることにより、乱用を抑止するのに有用である。例えば、活性成分と共に染料が抽出されると、乱用者に静脈内注射を思いとどまらせる着色溶液になる。したがって、ある種の実施形態において、染料は抽出及び注射による乱用を減少させる。染料は、医薬製剤での使用に適しているか、又はこのような使用についてFDAに承認された公知の染料から選択され得る。例えば、染料はFD&C青色2号又はPEG中のFD&C青色2号の50/50重量%溶液であり得る。別の実施形態において、染料は、FD&C青色1号、FD&C黄色6号及びFD&C赤色40号を含む灰色染料であり得る。染料は、90%PEG3350ブレンドであってもよい。ある種の実施形態において、染料ブレンド14mg又は濃縮染料約1.4mgを、各カプセルに使用する。ある種の実施形態において、灰色染料は、視覚的抑止性があり、不透明であるため用いられる。剤形は、染料を約0.10重量%、0.20重量%、0.30重量%、0.40重量%、0.50重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、又は20重量%含み得る。これらの値のいずれかを使用して、染料の重量%の範囲を規定できる。例えば、剤形は、染料を約0.10重量%〜約15重量%含有し得る。特に、剤形は、染料を約0.20重量%〜約1.5重量%、約0.50重量%〜約1.0重量%、又は約7重量%〜約14重量%含有し得る。ある種の実施形態において、剤形は、染料を約1mg、1.4mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg又は30mg含み得る。別の実施形態において、本開示の剤形は、染料を除外する。
【0035】
他の賦形剤
組成物は保存料又は抗酸化剤も含み得る。保存料又は抗酸化剤は、乱用抑止性剤形の分解又は劣化を減少又は制限する。剤形への保存料又は抗酸化剤の添加は、剤形の保存寿命にわたって活性物質の早期分解を防止するために必要であり得る。
【0036】
保存料又は抗酸化剤は、医薬製剤での使用のための、当業者に公知の保存料又は抗酸化剤、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、エリソルビン酸、次亜リン酸、ラクトビオン酸、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、ラセメチオニン、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化第一スズ、二酸化硫黄及びトコフェロールから選択され得る。製剤又は剤形は、保存料又は抗酸化剤を約0.1重量%〜約2.0重量%又は約0.25重量%〜約0.75重量%含有し得る。別の実施形態において、本開示の剤形は、保存料又は抗酸化剤を除外する。
【0037】
いくつかの実施形態において、剤形は、アルコールの存在下でゲルを形成する1種以上の賦形剤を含む。アルコールゲル化/増粘剤は、剤形からの活性物質の抽出を防止することにより、乱用の可能性を低減又は制限する。例えば、剤形の成分(例えば、活性物質、ステアロイルポリオキシルグリセリド、PEG、PVP)は、アルコール溶液に導入したとき、ゲル状/粘性の液体に捕捉されてもよく、それにより純粋な活性物質を製造するための抽出及びその後のアルコールの蒸発が防止される。一実施形態において、アルコールゲル化/増粘剤は、水の存在下ではゲルを形成しない。剤形は、アルコールゲル化/増粘剤を約0.1重量%〜40重量%含有し得る。別の実施形態において、本開示の剤形は、アルコールゲル化/増粘剤を含有しない。
【0038】
アルコールゲル化/増粘剤は、医薬製剤での使用のための、当業者に公知のゲル化/増粘剤、例えば、アカシア、アルギン酸、ベントナイト、酢酸カルシウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アルギン酸ナトリウム、ソルビトール誘導体、トラガカント又はキサンタンガムであってよい。
【0039】
剤形は、界面活性剤、可溶化剤、乳化剤、増量剤、ポロキサマー、滑沢剤、香料又はこれらの組合せから独立に選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含み得る。
【0040】
乱用抑止性
経口投与されるオピオイド鎮痛剤の乱用の最も一般的な手段の一つは、剤形からの活性物質の迅速な送達を実現するために、経口剤形を操作することを含む。徐放性製剤に関しては、乱用者は、6〜12時間かけて送達されることが元々意図された活性物質を即時放出させるために剤形を操作しようとする。これは、粒径の減少又は溶媒の使用により利用され得る「用量ダンピング」と称される、乱用者がとる一般的な方法である。用量ダンピングにより、意図されたレベルよりも高いレベルの活性物質が体内に即時放出され、その結果、陶酔感が高まる。乱用に有効な手段として用いられる物理的操作、例えば、咀嚼、粉砕又は粉末化のためには、元の剤形を操作して、薬物の粒径を減少させ、それを効果的に吹送及び/又は嚥下できるようにする必要がある。伝統的に、剤形の粒径を減少させることにより、溶液又は溶媒が作用し得る表面積が増加するので、溶出速度が上昇する。物理的操作による乱用を防止する一つの方法は、粒径に関わらず同様の速度で溶解するマトリックス中に、乱用されやすい活性物質を捕える方法である。これは、一度に得られる活性物質の量を制限することで、乱用者が高い陶酔感を得るのを阻止する。いくつかの実施形態において、本開示の製剤は、粒径に関わらず徐放性プロファイルを維持する。得られる活性物質の迅速な発現におけるこの遅延は、経口、経鼻及び静脈内経路による乱用を減少させると考えられる。
【0041】
本開示の剤形は、コーヒーグラインダー等の一般的な装置を使用して咀嚼、粉砕又は粉末化により操作できる。例えば、本開示の製剤は、長鎖ポリマーを含有せず、結果的に、粉末形態に簡単に粉砕できる。しかし、本開示の製剤は、粒径に関わらず、一度に得られる活性物質の量を制限することで、乱用を抑止する。製剤は、水性環境に導入されたとき、活性物質、又は活性物質の少なくともかなりの部分が即時放出されるのを防止する。結果的に、剤形は、嚥下又は吹送による乱用のために調製することができないといわれている。
【0042】
本開示の剤形は、一般的な溶媒(例えば、冷水又は蒸留した水性エタノール)による製剤からの活性物質の抽出も顕著に制限できる。例えば、製剤は、活性物質を非経口用投与用に簡単に濃縮できないように、剤形から活性物質を(意図的又は非意図的に)抽出する人の能力を制限することにより乱用を抑止する。例えば、剤形をアルコール又は水溶液で抽出しようとする場合、ステアロイルポリオキシルグリセリド、PVP、PEG及び/もしくは染料、又はこれらの組合せも抽出され、活性物質から分離できず、静脈内投与用の純粋な薬物の調製が防止される。溶液で抽出すると、ステアロイルポリオキシルグリセリド、PVP、PEG、染料又はこれらの組合せ、及び活性物質を含有する灰色/黒/茶色の液体になる。乱用者が液体を蒸発又は燃焼させて粉末を形成しようとする場合、アルコール及び/又は水が蒸発する前に、ステアロイルポリオキシルグリセリド及びPEGが融解し、したがって抽出により、いったん室温に戻ったら固体を形成する、懸濁APIを有する融解ワックスに本質的になる。これは、乱用者が、徐放性賦形剤を分離することを防ぎ、それにより剤形は徐放性プロファイルを維持できる。これらの特性は、FDAガイダンス(例えば、「経口薬の物理的形態を変化させることができ、それを乱用されにくいものにする。」)中のカテゴリーの少なくとも1つを満たす経口薬物送達システムを可能にする。乱用抑止性剤形は、他の抑止剤、例えば、アンタゴニスト又は刺激物を組み込むことも含み得るが、必要ではない。
【0043】
一実施形態において、放出制御剤は、ステアロイルポリオキシルグリセリドを含む。本開示の剤形は、ステアロイルポリオキシルグリセリドを剤形に組み込むことにより乱用を抑止できる。ステアロイルポリオキシルグリセリドは、活性物質を含有する精製された粉末を形成するためのアルコールによる活性物質の抽出を抑止できる。例えば、アルコールが燃焼する前に、ステアロイルポリオキシルグリセリドは融解し、ワックスを形成するので、乱用者は、活性物質を含有する粉末を得ることができないであろう。PEGの剤形への添加も、それが水及びアルコールに可溶性であり、いずれかが引火し得る前に融解するので、乱用を抑止できる。染料を剤形に添加すると、活性物質の抽出後、着色溶液になり得、静脈内注射が抑止される。剤形中に存在するステアロイルポリオキシルグリセリド及び/又はPVPもしくはPEGの量を変えることで、剤形の特性を操作し、徐放性プロファイルを有する多様な乱用抑止性カプセルを形成することができる。
【0044】
放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリドは、活性物質の徐放を可能にすること、乱用を抑止すること、及び/又は高温、例えば、40℃で安定な固体剤形を確実に形成することも可能であり得る。本開示の剤形は、比較的低い融解温度を有する放出制御剤及び比較的高い融解温度を有する第2の薬剤、又は比較的低い融解温度を有する放出制御剤及び/もしくはPEGの混合物を使用することにより、上記の能力の1つ以上を実現できる。例えば、剤形は、約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤及び高分子量のPVP、又は約70℃以下の融解温度を有する放出制御剤及び約3000ダルトン〜4000ダルトンの平均分子量を有するPEGを含んでいてもよい。
【0045】
徐放性
本開示の乱用抑止性組成物は、活性物質の徐放を可能にする。剤形は、少なくとも1種の活性物質の徐放性プロファイルを示す組成物になるように製造され得る。本明細書で使用する「徐放性」とは、活性物質又はその薬学的に許容される塩を、使用者の消化管内に6〜12時間かけて放出する剤形を示す。特に、活性物質は、6〜12時間連続して放出される。一実施形態において、模擬胃液への曝露により剤形から6〜12時間以内に放出される活性物質、例えば、オキシコドンHClの量は、約85%である。本開示の製剤は、徐放性活性物質について参考文献に列挙された薬物と一致する徐放性プロファイルを示す。
【0046】
様々な実施形態において、模擬胃液、又は当業者に公知の他の溶出媒体への曝露により、剤形から放出される活性物質の量を、表1及び2に示す。表1及び2の値は、許容されるUSP基準を示し、RLD規格に関連する値と異なる場合がある。表1及び2の各欄(例えば、1、2、3、4、5、6及び7)の各個々の量(おおよその範囲)の値を任意の他の個々の量と共に他の時点で使用して、放出プロファイルを規定できる。
【0049】
方法
別の実施形態において、本開示は、乱用されやすい少なくとも1種の活性物質、放出制御剤、並びに第2の薬剤及び/又はPEGを含む均質化懸濁液を調製することを含む、経口用徐放性乱用抑止性剤形を製造する方法に関する。PEGは、約3000ダルトン〜約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。放出制御剤は、70℃以下の融解温度を有し得る。第2の薬剤は100℃以上の融解温度を有し得る。方法は、均質化懸濁液をカプセルに分配して、剤形を製造することをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、カプセルは、カプセル本体とカプセルキャップとを結合することにより形成される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、活性物質はヒドロコドンである。他の実施形態において、活性物質はオキシコドンHClである。ある種の実施形態において、本開示の乱用抑止性剤形はカプセルである。本開示の乱用抑止性剤形は、液体充填カプセル化により製造され得る。液体充填カプセル化は、医薬品有効成分を、担体マトリックス中に懸濁又は乳化して、カプセルに充填する方法である。カプセルは、硬ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースで通常作られる。この剤形の利点の一つは、他の従来の圧縮固体剤形よりも必要とされる賦形剤及び処理工程が少ないことである。内側の固相の医薬品有効成分(例えば、オキシコドン又はヒドロコドン)を、外側の流体相(例えば、ステアロイルポリオキシルグリセリド及び/又はPEG)中に懸濁してもよい。一実施形態において、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、硬ゼラチンカプセルの融点未満(<70℃)の温度で融解し、室温で固体である熱可塑性プラスチックであるため、液体充填カプセルに用いられる。充填材料が室温で液体である場合、バンド法を行う必要がある。この方法では、漏出を防ぐために、2つのカプセルの先端が結合し、統合されたカプセル体を形成する場所にゼラチンバンドが添加される。いくつかの実施形態において、本開示の製剤はバンドを含み得る。
【0050】
例示的な液体充填方法を説明する。液体充填方法は、最終的なカプセル充填重量の理論的重量パーセントに従って、賦形剤(例えば、ステアロイルポリオキシルグリセリド、PVP、PEG及び安定剤/保存料)及びAPIを分配することから開始し得る。このステップの後に、放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリドペレットを、ケトルにジャケットを被覆することにより、これらを融点超に加熱する均質混合ケトルに添加できる。放出制御剤、例えばステアロイルポリオキシルグリセリドが、完全流体であるとき、API及び他の賦形剤を混合して、均質化懸濁液を形成できる。これは、ケトルに内蔵されたいくつかの内部撹拌棒及びホモジナイザーによる機械的撹拌によって行われる。均質化懸濁液が得られたら(新しいケトルには、これが行われたことを示すためのNIRプローブが装備され得る)、ジャケット被覆ホース(ケトル内部温度を維持して、ホース内の凝固を防止するため)を通ってカプセル充填機のホッパーに懸濁液を押し出すことができる。カプセル充填機の実例を
図1に示す。カプセル充填ホッパーもジャケットで被覆して、懸濁液を加熱し、凝固を防止することができる。カプセル充填機は、作業員が硬ゼラチンカプセルを充填し得る、別個のホッパーを含有し得る。ホッパーは、全てのカプセルを同じ方向に整列させる調整ドラムへの供給を行うことができる。整列したら、カプセルは、真空により本体とキャップとを分離させる、キャップディスクに垂直に置かれる。カプセルに充填するために、容積型ピストンポンプを使用して、ジャケット被覆ホッパーから生成物を引き出し、一連の可変ノズルから懸濁液をカプセルに分配できる。充填重量は、ポンプのピストンストロークを変えることにより調整できる。処理中カプセルの重量測定に頻繁に対応することにより、処理の間は終始変更できる。
【0051】
カプセル本体に充填したら、結合ブロックによりカプセル本体よりも上に保持されている、カプセル本体を上に持ち上げてカプセルキャップに入れるプッシャーピンで、カプセル本体とキャップとを結合することができる。次いで、プッシャーピンは、統合されたカプセルをキャップディスクから押し出し、機械から排出される。カプセルは、トレー上で室温にて冷却させ、カプセル重量測定機により各重量を測定する。この後、次いでカプセルを最終出力ドラムに入れる。自動カプセル充填機は、非常に高い精度で1時間に500〜150000カプセルを製造する能力を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、本開示は、活性物質、放出制御剤、第2の薬剤及び/又はPEGを含む加熱均質化懸濁液を、カプセル本体に充填することにより調製される、本明細書に記載の剤形に関する。いくつかの実施形態において、活性物質、放出制御剤、並びに第2の薬剤及び/又はPEGを含む、均質化懸濁液であって、該懸濁液は、約42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、又は90℃の温度で融解する。これらの値のいずれかを使用して、均質化懸濁液の融解温度の範囲を規定できる。例えば、ある種の実施形態において、均質化懸濁液は、約47℃〜約52℃の融解温度を有する。特定の実施形態において、活性物質、放出制御剤、第2の薬剤及び/又はPEGを含む均質化懸濁液は、77℃、すなわち、硬ゼラチンカプセルの融点未満の温度で融解する。別の実施形態において、本開示は、治療有効量の本明細書に記載の剤形を、それを必要とする個体に投与することを含む、疼痛の治療方法に関する。剤形は、中程度から重度の疼痛の治療のための鎮痛作用の迅速な発現をもたらす。
【0053】
刊行物、特許及び特許出願を含む、引用した参考文献全ての開示は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。さらに、量、濃度又は他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲又は好ましい上限値及び好ましい下限値のリストのいずれかとして提供されているとき、これは、範囲が別個に開示されているか否かに関わらず、任意の上限範囲又は好ましい値、及び任意の下限範囲又は好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。数値範囲が本明細書に列挙されているとき、別段の記述がない限り、範囲は、その終点、及び範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。範囲が規定されるとき、本発明の範囲が、列挙される特定の値に限定されることは意図されない。
【0054】
本発明を以下の実施例でさらに定義する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示目的でのみ提供されていることを理解されたい。
【実施例】
【0055】
[実施例1]
PEGを含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
ステアロイルポリオキシルグリセリド又はC12〜18飽和脂肪酸のグリセロールエステル、及びPEG3350を含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセルを調製し、オキシコドンの放出プロファイルを決定した。カプセルを以下の例示的手順を用いて調製した。ステアロイルポリオキシルグリセリド又はC12〜18飽和脂肪酸のグリセロールエステル、PEG3350及び灰色染料を熱板上の150mLのステンレス製カップに入れ、撹拌せずに窒素ブランケット下で完全に融解させた。融解したら、クエン酸及びオキシコドンHCl(及び、存在する場合、他の成分)を徐々に添加し、混合した。70℃の必要最低融解温度に達したら、融解物を、Silversonホモジナイザーを用いて、設定5で、窒素ブランケット下で最低10分間均質化した。均質化後、融解物を<75℃まで冷却させた。金属スパチュラを用いて、カプセルに重量まで手で充填した。融解物を熱板に残し、液体状態を維持した。充填したカプセル及び残りの融解物を冷却させ、良好なカプセル及び廃棄物の重量を記録した。表3に、調製した製剤を列挙する。
【0056】
【表3】
【0057】
溶出試験
表3のオキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセルを溶出について試験した。オキシコドン塩酸塩徐放錠についてUSPモノグラフを参照して溶出試験を行った。媒体として模擬胃液(酵素なし)900mL及びバスケット速度100rpmで、USP<711>装置I(バスケット)を利用する溶出装置で、これらの試験を行った。各評価時点で試料1.5mLを採取し、HPLC分析にかけた。HPLC条件をUSPモノグラフから修正し、オキシコドンHClの放出を観察した。HPLC条件は以下の通りであった:注入体積30μL(オキシコドン)、流速1.7mL/分(オキシコドン)、検出:225nmUV(オキシコドン)、カラム温度25℃、オートサンプラー温度:常温、勾配:アイソクラティック及びランタイム:5分。溶出試験の規格を表1及び2に示す。放出プロファイルを表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
[実施例2]
HPMCを含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
PEGの代わりにHPMCを含有する追加の製剤を評価して、活性放出プロファイルに対するHPMCの効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表5に示す。放出プロファイルを表6に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
[実施例3]
HPMC及びPEG35000を含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
HPMC及びPEG35000を含有する追加の製剤を評価して、放出プロファイルに対するHPMC及びPEG35000の効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表7に示す。放出プロファイルを表8に示す。
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
[実施例4]
HPMC及びPEG3350を含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
HPMC及びPEG3350を含有する追加の製剤を評価して、放出プロファイルに対するHPMC及びPEG3350の効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表9に示す。放出プロファイルを表10に示す。
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】
[実施例5]
HPMC及びPEG3350を含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
増加量のHPMCを含有する追加の製剤を評価して、放出プロファイルに対する増加量のHPMCの効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表11に示す。放出プロファイルを表12に示す。
【0069】
【表11】
【0070】
【表12】
【0071】
製剤29を、実施例1に記載の製造方法を用いてさらに試験した。カプセルを溶出について評価して、オキシコドンの放出プロファイルに対する製剤の効果を決定した。放出プロファイルを表13に示す。
【0072】
【表13】
【0073】
表14は、オキシコドンの用量が20mg、40mg及び80mgの例示的製剤を示す。
【0074】
【表14】
【0075】
[実施例6]
PVP又はPEG3350を含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
PVP又はPEG3350を含有する追加の製剤を評価して、放出プロファイルに対する効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表15に示す。放出プロファイルを表16に示す。
【0076】
【表15】
【0077】
【表16】
【0078】
31〜33の10、20及び40mgの製剤は類似であり、放出制御剤(例えば、ステアロイルポリオキシルグリセリド)及び第2の薬剤(PVP)を含有する。第2の薬剤は、放出制御剤の存在下で溶出を減速させるだけでなく、水とエタノールの両方で可溶性であり得るため純度を低下させるようにも作用し得る。Kollidon 90Fは、高分子量のポリビニルピロリドンである。90は、粘度及び分子量に基づき製造業者により計算される公称値である。
【0079】
80mgの製剤は、放出制御剤及びPEG3350のみを含有する。第2の薬剤は、処理可能な粘度に達するために、充填重量を500mgまで増加させなければならないので除外された。いくつかの実施形態において、RV3スピンドルを備えたブルックフィールドRVDV−II+Proデジタル粘度計を用いて50RPMで測定したとき、処理可能な粘度は、75℃で約2500cP未満である。これにより、得られたカプセルスラグが大きくなり、放出制御剤だけで放出が劇的に遅延された。必要な終点を得るために、PEGを添加して、溶出を促進した。PEGも、純度を低下させた。
【0080】
他の実施形態において、例えば、RV3スピンドルを備えたブルックフィールドRVDV−II+Proデジタル粘度計を用いて50RPMで測定したとき、処理可能な粘度は、75℃で約2500、2400、2300、2200、2100、2000、1900、1800、1700、1600、1500、1400、1300、1200、1100、1000、900、800、700、600又は約500cP未満である。これらの値を使用して、75℃で約1500〜約2000cP等、範囲を規定できる。
【0081】
[実施例7]
染料の評価
様々な染料を、静脈内乱用を抑止するその可能性について評価した。様々な濃度のFD&C青色2号、緑色(FD&C青色2号及びFD&C黄色5号)、FD&C黄色5号、FD&C赤色40号及び灰色染料(FD&C青色1号、FD&C黄色6号、FD&C赤色40号)を、95%エタノール5%精製水(190プルーフ)の溶液に溶解し、溶液をシリンジフィルターに通すことにより評価した。シリンジ濾過後、染料溶液を色強度について目視評価し、0は無色を示し、5は暗く際立った色を示す、0〜5のスケールで採点した。以下の表15に示すように、青色及び緑色染料は、低い濃度、例えば、0.25重量/重量%で最も高い色強度を示した。濾過前後の灰色染料溶液を
図2A及び2Bに各々示す。灰色染料は特に目立ち、魅力に欠ける。染料の抽出後の許容される色スケールは、5が色の最高レベルである1〜5のスケールで≧4で指定される。
【0082】
【表17】
【0083】
[実施例8]
オキシコドン徐放性液体充填カプセル製剤の乱用抑止特性
粉砕−徐放性剤形の粉砕又は咀嚼の目的は、剤形の徐放特性を破壊し、活性物質の「ダンピング」又は比較的短時間での放出を引き起こすことである。これは、乱用者により操作される装置がほとんど又は全く不要であるため、乱用の一般的方法である。咀嚼又は粉砕したら、薬物を、嚥下又は吹送して、活性物質を即時放出することができる。
【0084】
本試験の目的は、カプセルの内容物が、徐放特性を維持し、粒径に関わらず用量ダンピングを防止し、剤形の乱用又は誤用を防止することができることを示すことであった。RetschナイフミルGRINDOMIX GM200(TE96)を利用して、市販のコーヒーグラインダー(Mr.Coffee)を模倣し、薬物製品をカプセルスラグから粉末に粉砕した。次いで、粉末に、原型のカプセルと同様の溶出試験を行った。本試験のために、1〜2時間台で、原型のカプセルに対して、溶出において大幅な上昇がみられた(すなわち、元の原型の製剤の2倍)任意の得られた粉末が、経鼻又は経口乱用に適していると考えられる。
【0085】
RetschナイフミルGRINDOMIX GM200は、円形のブレードアタッチメントを利用して、市販のコーヒーグラインダーを模倣する。GM200は、最高速度10000回転/分(rpm)を有するが、市販のコーヒーグラインダーは、最高速度約20000rpmを有する(GM200とMr.Coffeeグラインダーとを比較すると、速度において約2倍の上昇)。しかし、ブレード直径の約2倍の増加(GM200とMr.Coffeeグラインダーとを比較すると、各々118mm対60mm)により、2つの変数の反比例関係から最高速度における約2倍の低下が補われる。さらに、GM200により生じるトルクは、Mr.Coffeeグラインダーにより生じるトルクよりも顕著に高く[各々、GM200の0.860Nm(ニュートンメートル)対Mr.Coffeeグラインダーの0.062Nm]、これは、薬物製品を経鼻又は経口乱用に適した粒径に変更するMr.Coffeeグラインダーの能力(又はその欠如)をさらに示している。本試験では、GM200による変更(粉砕)後の、粉砕された形態のいくつかの異なるオキシコドン製剤の溶出における差異を評価した。
【0086】
実験:以下の試験装置を使用した:RetschナイフミルGRINDOMIX GM200(TE96)。以下の試験条件を使用した:分析速度:10000rpm、分析時間:30秒、その製剤が表18に列挙されているカプセルを、粉砕前に空にする(充填物に加えてカプセルを粉砕する必要はなく、乱用者により利用される経路につながらない)。空のカプセル約5.0gを使用して、粉末を形成した。次いで、風袋を計量した空のカプセルに、元の原型のカプセルの充填重量の+/−5mgまで粉末を充填した。各試料を3重(N=3)に調製し、平均化して、所与の時点で溶解した薬物のパーセントを得た。結果を表19及び
図5〜8に示す。
【0087】
【表18】
【0088】
【表19】
【0089】
表19及び
図5〜8に示すように、粉砕したカプセルは、溶出率がやや上昇する。しかし、上昇が、早い時点(例えば、1時間及び2時間)では2倍の上昇に満たないため、活性物質は「ダンピング」しない。粉砕された製剤は、徐放性プロファイルを依然として維持している。剤形は、少なくとも物理的操作、例えば、咀嚼、粉砕又は粉末化による乱用に対する抑止性を有する。
【0090】
抽出−色は、市販の薬物製品の1つの識別できる特性である。色は、染料又はコーティングの2つの方法で剤形に適用できる。高い力価のアルコール[すなわち、≧190プルーフ(95%)]は、乱用者が水に不溶性であるAPIに、又はAPIを他の水溶性賦形剤から分離するために使用できる一つの抽出溶媒である。染料又はコーティングは、薬物製品の抽出溶液の物理的な外見を変化させる(すなわち、得られた溶液を目立つ色に変える)ために可能性として用いられ得る。
【0091】
したがって、薬物製剤に1種以上の染料を含ませるのは、製剤を乱用抑止性にする一つの方法である。乱用されやすい製剤からの抽出生成物の顕著な変色は、潜在的乱用者に抽出生成物の使用(例えば、注射又は摂取)を思いとどまらせることができる。
【0092】
本開示の製剤における染料の効果を調査するために、試験を行う。製剤全体からの抽出生成物を目視検査し、アルコール抽出後の乱用抑止性を決定する。190プルーフエタノールを含有するフラスコにカプセルを添加し、250rpmで3時間振とうする。3時間後、カプセルの内容物全てを完全に溶解する。溶液をシリンジフィルターで濾過し、次いで、色強度について目視分析する。
図3及び4は、試験の例示的結果を示す。
【0093】
製剤中に存在する染料の量は、水、アルコール又は両方の組合せを使用して、開示された目視スケール又は同様のスケールで0超、1超、2超、3超又は4超の色を有する抽出物又は濾過された抽出物が製造される量であってよい。染料の量は、製剤及び存在する成分に応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、製剤は、染料を少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも1.5%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%、少なくとも10.0%、少なくとも11.0%、少なくとも12.0%、少なくとも13.0%、少なくとも14.0%又はこれらの値の任意の範囲で(例えば、染料を約0.1%〜約1.0%)含有し得る。
【0094】
190プルーフエタノール及び水中で得ることができる剤形の純度も試験した。Gelucire(登録商標)50/13(ステアロイルポリオキシルグリセリド)を含有する追加の製剤を評価して、抽出可能なAPIの純度に対する成分の効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表19及び22に示す。純度データを表20及び21に示す。本開示の組成物は、アルコール、水又はこれらの組合せを使用して組成物から抽出された得られたAPIの純度を、約75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%又は約10%未満の純度まで低下させるか、又は最小化することができる。これらの値も、約20%〜約50%等、範囲を規定できる。
【0095】
【表20】
【0096】
【表21】
【0097】
いくつかの実施形態において、製剤は均質であり、製剤成分全てを合わせた後に、任意の目視できる相分離を経ない。例えば、劇的に異なるHLB数を有する2つの成分を含有する製剤では、製剤の2つの部分間で目視できる相分離が起こり得る。目視できる相分離が起こると、製剤はもはや均質でない。不均質製剤は、不均質剤形となり得る。同様に、目視できる相分離は、製剤において非融解成分の含有量が高いときも起こり得る。単一相を形成できない製剤、例えば、融解物が粘性のペーストになるほどに飽和状態になる製剤では、製剤はもはや均質でない。例えば、PEG35Kを10%超含有する製剤は、不均質となり得る。
【0098】
[実施例9]
ステアロイルポリオキシルグリセリドを含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
ステアロイルポリオキシルグリセリドを含有する追加の製剤を評価して、放出プロファイルに対する効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表22に示す。放出プロファイルを表23に示す。
【0099】
【表22】
【0100】
【表23】
【0101】
[実施例10]
HPMC及びPEG3350を含む、オキシコドン塩酸塩徐放性ADF液体充填カプセル
ステアロイルポリオキシルグリセリド、HPMC及びPEG3350を含有する追加の製剤を評価して、放出プロファイルに対する効果を決定した。製剤を実施例1と同じ手順を用いて調製した。製剤を表24に示す。放出プロファイル及び粘度を表25及び26に示す。
【0102】
【表24】
【0103】
【表25】
【0104】
【表26】
【0105】
融解成分%は、比較的低い温度、例えば、約70℃未満で(又は、本明細書に別に記載されているように)融解し、放出制御剤、PEG及び染料ブレンドを含み得る成分を示す。非融解成分%は、比較的高い温度、例えば、約70℃超で(又は、本明細書に別に記載されているように)融解し、API、HPMC及びPVPを含み得る成分を示す。
【国際調査報告】