特表2017-531115(P2017-531115A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-531115補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-531115(P2017-531115A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/18 20060101AFI20170922BHJP
   E02D 29/02 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   E02D17/18 A
   E02D29/02 302
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-538563(P2017-538563)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月11日
(86)【国際出願番号】KR2015002386
(87)【国際公開番号】WO2016093432
(87)【国際公開日】20160616
(31)【優先権主張番号】10-2014-0178293
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0003151
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0014728
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0021010
(32)【優先日】2015年2月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0031453
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0033894
(32)【優先日】2015年3月11日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】517127872
【氏名又は名称】ハンフォース カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANFORCE CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョンス
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
【Fターム(参考)】
2D044CA03
2D048AA12
(57)【要約】
【解決手段】本発明は帯形纎維補強材の連結を迅速で容易に遂行でき、その連結方式を多様にでき、補強土体の沈下時にフェーシング部材との連結部に応力が集中しないもので、補強材挿入具が埋設されたフェーシング部材と、前記フェーシング部材の補強材挿入具に挿入されて補強土体G上に敷設される帯形纎維補強材とを含んでなる補強土擁壁構造物であって;前記補強材挿入具は、それぞれフェーシング部材の後面で開放し、左右に離隔した二つの入口と、前記両側入口からフェーシング部材の後面の内側に形成される貫通路とを含んでなり、前記両側の入口の内側面はフェーシング部材の後面に対して直角で開放し、入口の外側面はフェーシング部材の後面に対して前広後狭の状態で開放し、フレキシブルな帯形纎維補強材を一側入口に挿入して他側入口から引き出して連結し、補強土体上に敷設して埋め込む構造でなる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強土擁壁の前面をなすフェーシング部材10であって、
前記フェーシング部材10は前記帯形纎維補強材30が挿合される補強材挿入具20を備え、前記補強材挿入具20は、フェーシング部材10の後面で開放し左右に離隔した二つの入口21、22と、前記左右に離隔した二つの入口の間にフェーシング部材の後面12の内側に形成される貫通路23とを含み;
前記左右に離隔した二つの入口21、22の外側はフェーシング部材10の後面の左側又は右側方向に拡張した状態で開放し、帯形纎維補強材30を一側入口21又は22に挿入して他側入口22又は21から引き出して連結するように構成されたことを特徴とする、補強土擁壁用フェーシング部材。
【請求項2】
前記左右に離隔した二つの入口21、22の周りには、補強材挿入具20をフェーシング部材成形用型に固定するとか帯形纎維補強材30の折り畳まれた状態を維持するとか帯形纎維補強材30の挿入のためのガイド部材を設置するための孔24が水平又は垂直方向に形成され、前記孔24が形成された内側面21a、22a又は上下面21c、21d、22c、22dはフェーシング部材10の後面12の外側に突出した状態を成すことを特徴とする、請求項1に記載の補強土擁壁用フェーシング部材。
【請求項3】
前記左右に離隔した二つの入口21、22の内側面21a、22aはフェーシング部材10の後面12に対して一定角度を成すように開放し、前記左右に離隔した入口21、22の外側面21b、22bはフェーシング部材10の後面12に前広後狭の形態で開放し、前記入口を通じて帯形纎維補強材30が挿入及び引出されることを特徴とする、請求項2に記載の補強土擁壁用フェーシング部材。
【請求項4】
前記ガイド部材は前記孔24に挿設されるガイドローラー40又は固定ピン42であることを特徴とする、請求項2に記載の補強土擁壁用フェーシング部材。
【請求項5】
補強土擁壁の前面をなすフェーシング部材10と、前記フェーシング部材10に結合され、補強土体Gに埋め込まれる帯形纎維補強材30とを含んでなる補強土擁壁構造物であって;
前記フェーシング部材10は前記帯形纎維補強材30が挿合される補強材挿入具20を備え、前記補強材挿入具20は、フェーシング部材10の後面で開放し、左右に離隔した二つの入口21、22と、前記左右に離隔した二つの入口の間にフェーシング部材の後面12の内側に形成される貫通路23とを含み;
前記左右に離隔した二つの入口21、22の外側はフェーシング部材10の後面の左側又は右側方向に拡張した状態で開放し、帯形纎維補強材30を一側入口21又は22に挿入して他側入口22又は21から引き出して連結するように構成されたことを特徴とする、補強土擁壁構造物。
【請求項6】
前記左右に離隔した二つの入口21、22周りには、補強材挿入具20をフェーシング部材成形用型に固定するとか帯形纎維補強材30の折り畳まれた状態を維持するとか帯形纎維補強材30の挿入のためのガイド部材を設置するための孔24が水平又は垂直方向に形成され、前記孔24が形成された内側面21a、22a又は上下面21c、21d、22c、22dはフェーシング部材10の後面12の外側に突出した状態を成すことを特徴とする、請求項5に記載の補強土擁壁構造物。
【請求項7】
前記左右に離隔した二つの入口21、22の内側面21a、22aはフェーシング部材10の後面12に対して一定角度を成すように開放し、前記左右に離隔した入口21、22の外側面21b、22bはフェーシング部材10の後面12に前広後狭の形態で開放し、前記入口を通じて帯形纎維補強材30が挿入及び引出されることを特徴とする、請求項6に記載の補強土擁壁構造物。
【請求項8】
前記ガイド部材は前記孔24に挿設されるガイドローラー40又は固定ピン42であることを特徴とする、請求項6に記載の補強土擁壁構造物。
【請求項9】
補強土体Gの前面にフェーシング部材10を左右に隣り合うように立て、前記フェーシング部材10の補強材挿入具20に帯形纎維補強材30を挿入する1段階;前記帯形纎維補強材30の上部に裏込材を敷設して打ち込む2段階;及び前記1段階及び2段階を所定の高さまで繰り返し施工する3段階;を含んでなる補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法であって、
前記補強材挿入具20は、フェーシング部材10の後面12で開放し、左右に離隔した二つの入口21、22と、前記左右に離隔した二つの入口21、22の間にフェーシング部材の後面12の内側に形成される貫通路23とを含み;
前記1段階で、帯形纎維補強材30を一側入口21又は22に挿入し、他側入口22又は21から引き出して連結するように構成されたことを特徴とする、補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項10】
前記1段階で、帯形纎維補強材30の先端を全幅で広げた状態又は長手方向に折り畳んだ状態でフェーシング部材10の補強材挿入具20に連続的に挿入し、帯形纎維補強材30を各補強材挿入具20の後方に引っぱって補強土体G上にジグザグ状に敷設し、前記帯形纎維補強材30の先端部32を長手方向に折り畳まれた状態で前記補強材挿入具20に密着させ、前記帯形纎維補強材30の中間部34は補強土体G上に全幅で広がった状態となるようにし、帯形纎維補強材30の後端部36はループ状態となるようにすることを特徴とする、請求項9に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項11】
前記帯形纎維補強材30を全幅で広げた状態で挿入する場合、補強材挿入具20の入口21又は22の外側に出ている帯形纎維補強材30の先端部を長手方向に折り畳み、長手方向に折り畳まれた先端部を補強材挿入具20の内側に挿入し、補強材挿入具20の内側で帯形纎維補強材30の先端が長手方向に折り畳まれた状態となるように前記帯形纎維補強材30の先端部32を長手方向に折り畳んで前記補強材挿入具20に密着させることを特徴とする、請求項10に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項12】
前記1段階で、帯形纎維補強材30をその敷設長を考慮して所定の長さに切断し、これをそれぞれの補強材挿入具に個別的に連結し、全幅で広げた状態又は長手方向に折り畳んだ状態でフェーシング部材10の補強材挿入具20に挿入して連結した後、補強材挿入具20に連結された帯形纎維補強材30の両端を補強土体上に後方に向けて広げて横たえることを特徴とする、請求項9に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項13】
前記帯形纎維補強材30を全幅で広げた状態で挿入する場合、前記補強材挿入具20の入口21又は22の外側に出ている帯形纎維補強材30の先端部を長手方向に折り畳み、長手方向に折り畳まれた先端部を補強材挿入具20の内側にさらに挿入して補強材挿入具20の内側面21a、22aに密着するようにすることを特徴とする、請求項12に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項14】
前記帯形纎維補強材30を補強材挿入具20に連続的に挿入する過程及び帯形纎維補強材30を引き出す過程で、前記補強材挿入具20にガイドローラー40を付着することで、帯形纎維補強材30の挿入及び引出が円滑になるようにしたことを特徴とする、請求項11に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項15】
前記補強材挿入具20に挿入された帯形纎維補強材30は、固定ピン42又は楔によって、折り畳まれた状態が解除されるか遊動することができないようにすることを特徴とする、請求項9に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項16】
前記帯形纎維補強材30を補強材挿入具20の後方に引っ張って補強土体Gの前後幅に合わせて敷設し、補強材挿入具20に挿入された帯形纎維補強材20の一部はフェーシング部材10の後面12に密着した状態となるように帯形纎維補強材30を裏込材上に間歇的に敷設して埋設することを特徴とする、請求項10又は11に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強土擁壁用フェーシング部材、このフェーシング部材を用いた補強土擁壁構造物及び補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法に関するもので、補強材挿入具が内在されるフェーシング部材に帯形纎維補強材を迅速で容易に連結することができて作業性及び施工性を向上させることができ、帯形纎維補強材の連結方式(連結形態)を施工現場の条件又は状況によって多様にすることができ、補強土体の沈下にも関わらず、フェーシング部材との連結部で帯形纎維補強材の先端部に剪断応力が集中することを防止することができるようにすることで、安全性に優れた補強土擁壁構造物を築造することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、補強土擁壁は、ストリップ状態の補強材が埋め込まれる補強土体と、前記補強土体の前面に立てられる擁壁、すなわちフェーシング部材とを含んでなり、前記補強土体(盛土体)内に埋め込まれる補強材の先端部はフェーシング部材にアンカーピンで連結されるかあるいはフェーシング部材の上面に形成された補強材挿入溝に挿入されて連結される構造になっている。
【0003】
また、補強土擁壁において、前記補強材は、メッシュ状のグリッド、帯形纎維補強材及び鋼板ストリップ補強材などを使うことになる。本発明に係わる補強材は帯形纎維補強材であり、以下では帯形纎維補強材を使う補強土擁壁の場合について説明する。
【0004】
本発明に関連した従来技術としては、特許文献1に擁壁築造用ブロックが開示されている。これは、露出型アンカー方式とは違い、補強材牽引作業の際、連結ピンの離脱現象がなく、迅速で簡便に補強材連結作業が行えるようにブロックの後面にピンホルダーを埋め込んで取り付けたものである。このピンホルダーは、帯形纎維補強材がブロックの内部に挿入できるように補強材挿入部が形成され、この補強材挿入部の上部左右側には連結ピンがブロックの内部に挿入できるように連結ピン挿入部が対称状に形成され、前記連結ピン挿入部は前記補強材挿入部の内側下端に円弧形を成すように連続的に形成され、前記連結ピン挿入部の下端にはブロックの内部に挿入された連結ピンの左右側がかかる係止部が形成され、補強材がブロックの内部に連結ピンによってアンカリングできるようになった構造となるが、これは依然として連結ピンという副資材を必要とする欠点がある。
【0005】
また、特許文献2には、別途の連結ピンを使わず、ストリップの先端が急激に折れるかねじれることがないながらも外装材要素(壁体)の内部に堅固に連結されるように打設材料でなった本体を含み、前記外装材要素の後面に位置する二つの突出地点の間に補強ストリップのための経路が本体の内部に形成されており、前記経路は、二つの突出地点にそれぞれ隣接し、それぞれが前記後面に直角方向の同じ突出平面にストリップを位置させるように配置された二つの直線部と、前記二つの直線部でそれぞれ連続し、ストリップが突出平面から外れるように配置された二つの曲線部と、前記二つの曲線部を互いに連結し、突出平面の外に位置する少なくとも一つのループ(loop)を有する一つの連結部とからなっている。
【0006】
上述した特許文献2は、補強ストリップが外装材要素にねじれ又は急激な折れなしに連結可能ではあるが、補強ストリップを外装材要素に連結するためにワイヤのような別途の補助部材を必要とし、補強ストリップをそれぞれの連結部に連結するのに相当な時間及び努力がかかるため、施工性が低下する欠点があり、補強ストリップの切断なしにジグザグ状に連続的に施工することが難しいため、各連結部品ごとに所定長さで切断した補強ストリップをそれぞれ連結する方法のみを使うしかない欠点もあり、作業性及び施工性が低下する問題点がある。
【0007】
また、特許文献2は、補強ストリップが単に摩擦抵抗にだけ依存することになるため、敷設長が長くなって非経済的となる問題点があり、補強ストリップの切断面が土壌の内部で水分、塩分又はその他の化学成分と接触して物性が変わるおそれがあり、土壌構造物の安全性にも影響を及ぼすことになる問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国実用新案登録第20−0453027号(2011.03.25.登録)考案の名称;帯形纎維補強材の連結が容易な擁壁築造用ブロック
【特許文献2】大韓民国特許登録第10−0722963号(2007.05.22.登録)発明の名称;安定化した土壌構造物及びその土壌構造物建設用外装材要素
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、本発明の目的は、パネル又はブロック形態を含む多様な種類のフェーシング部材に別途の連結部材を使わなくても帯形纎維補強材を迅速で容易に連結することができるとともに、別途の牽引作業を実施する必要がないようにし、フェーシング部材に先端が連結されて盛土体上に敷設される帯形纎維補強材の連結方式(連結形態)を多様に実施することができ、帯形纎維補強材の敷設長を縮めることができ、補強土擁壁構造物の施工後、補強土体の沈下にもかかわらず、フェーシング部材との連結部において帯形纎維補強材の先端に剪断応力が集中することを防止するようにし、フェーシング部材の膨出現象又はねじれ現象も発生しないようにすることにより、安全性に優れた補強土擁壁を築造することができる補強土擁壁用フェーシング部材、このフェーシング部材を用いた補強土擁壁構造物及び補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明は、補強土擁壁の前面をなすフェーシング部材であって、前記フェーシング部材は前記帯形纎維補強材が挿合される補強材挿入具を備え、前記補強材挿入具は、フェーシング部材の後面で開放し左右に離隔した二つの入口と、前記左右に離隔した二つの入口の間にフェーシング部材の後面の内側に形成される貫通路とを含み;前記左右に離隔した二つの入口の外側はフェーシング部材の後面の左側又は右側方向に拡張した状態で開放し、帯形纎維補強材を一側入口に挿入して他側入口又はから引き出して連結するように構成された補強土擁壁用フェーシング部材を提供する。
【0011】
また、本発明は、補強土擁壁の前面をなすフェーシング部材と、前記フェーシング部材に結合され、補強土体に埋め込まれる帯形纎維補強材とを含んでなる補強土擁壁構造物であって;前記フェーシング部材は前記帯形纎維補強材が挿合される補強材挿入具を備え、前記補強材挿入具は、フェーシング部材の後面で開放し、左右に離隔した二つの入口と、前記左右に離隔した二つの入口の間にフェーシング部材の後面の内側に形成される貫通路とを含み;
【0012】
前記左右に離隔した二つの入口の外側はフェーシング部材の後面の左側又は右側方向に拡張した状態で開放し、帯形纎維補強材を一側入口に挿入して他側入口から引き出して連結するように構成された補強土擁壁構造物を提供する。
【0013】
前記左右に離隔した二つの入口の周りには、フェーシング部材の成形時、補強材挿入具をフェーシング部材成形用型に固定するか、あるいは補強土擁壁の施工時、帯形纎維補強材が補強材挿入具の内側で折り畳まれた状態を維持するかあるいは補強材挿入具に帯形纎維補強材の挿入のためのガイド部材を取り付けるための孔が水平又は垂直方向に形成され、前記孔が形成された内側面又は上下面はフェーシング部材の後面の外側に突出した状態を成すようにする。
【0014】
好適な実施例において、前記左右に離隔した二つの入口内側面はフェーシング部材の後面に対して一定角度を成すように開放し、前記左右に離隔した二つの入口外側面はフェーシング部材の後面に前広後狭の形態に開放し、帯形纎維補強材が容易に挿入及び引出されるようにする。
【0015】
また、本発明は、補強土体の前面にフェーシング部材を左右に隣り合うように立て、前記フェーシング部材の補強材挿入具に帯形纎維補強材を挿入する1段階;前記帯形纎維補強材の上部に裏込材を敷設して打ち込む2段階;及び前記1段階及び2段階を所定の高さまで繰り返し施工する3段階;を含んでなる補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法であって、
【0016】
前記補強材挿入具は、フェーシング部材の後面で開放し、左右に離隔した二つの入口と、前記左右に離隔した二つの入口の間にフェーシング部材の後面の内側に形成される貫通路とを含み;前記1段階で、帯形纎維補強材を一側入口に挿入し、他側入口から引き出して連結するように構成される補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法を提供する。
【0017】
本発明の一実施例において、前記1段階で、帯形纎維補強材の先端をフェーシング部材の補強材挿入具に連続的に挿入し、帯形纎維補強材を各補強材挿入具の後方に引っぱって補強土体上にジグザグ状に敷設し、前記帯形纎維補強材の先端部を長手方向に折り畳んで前記補強材挿入具に密着させ、前記帯形纎維補強材の中間部は補強土体上に全幅で広がった状態となるようにし、帯形纎維補強材の後端部はループ状態となるようにする補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法を提供する。
【0018】
前記実施例において、帯形纎維補強材は全幅で広げて補強材挿入具に挿入するか前もって長手方向に折り畳んで挿入することもでき、好ましくは帯形纎維補強材を全幅で挿入した後、前記補強材挿入具の入口の外側に出ている帯形纎維補強材の先端部を長手方向に、例えば半幅に折り畳み、長手方向に折り畳まれた先端部を補強材挿入具の内側に挿入して、補強材挿入具の内側で帯形纎維補強材の先端が長手方向に折り畳まれた状態となるように前記帯形纎維補強材の先端部を長手方向に折り畳んで前記補強材挿入具に密着させる。
【0019】
本発明の他の実施例において、前記1段階で、帯形纎維補強材を全幅で広げた状態でフェーシング部材の補強材挿入具に挿入して連結した後、前記補強材挿入具の入口の外側に出ている帯形纎維補強材の先端部を長手方向に折り畳み、長手方向に折り畳まれた先端部を補強材挿入具の内側にさらに挿入して補強材挿入具の内側面に密着させ、前記帯形纎維補強材はその敷設長を考慮して所定の長さに切断した後、これをそれぞれの補強材挿入具に個別的に連結し、補強材挿入具に連結された帯形纎維補強材の両端を補強土体上に後方に向けて広げて横たえた後、裏込材で覆って打ち込む補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
上述した本発明の実施例による補強土擁壁用フェーシング部材、このフェーシング部材を用いた補強土擁壁構造物及び補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法によると、フェーシング部材に別途の副資材又は補助道具なしにも帯形纎維補強材を迅速で容易に連結することができるので、作業性の向上及び施工期間の短縮が可能であり、帯形纎維補強材はフェーシング部材の補強材挿入具に個別的に連結するかあるいは連続的に前もって挿入した状態で全区間にわたってジグザグ状に裏込材で埋設するかあるいは一定間隔ごとに帯形纎維補強材を後方に引き出して埋設することができるので、現場の条件や状況によって帯形纎維補強材の敷設形態を多様化することができ、フェーシング部材に埋め込まれた補強材挿入具に挿入された帯形纎維補強材の先端は長手方向に沿って折り畳まれた状態で補強材挿入具の内面に密着した状態を維持するので、別途の牽引作業を実施する必要もないだけでなく、施工後に補強土体の沈下が発生すれば、先端部が損傷なしに垂直に滑ることにより、フェーシング部材との連結部に剪断応力が集中することを防止することができ、フェーシング部材の膨出現象又はねじれ現象も発生しないので、安全性に優れた補強土擁壁を築造することができるなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施例による帯形纎維補強材の施工方法を示す擁壁の背面部斜視図及び要部拡大図である。
図2図1の状態を示す平面図である。
図3図2のA部の拡大図である。
図4】帯形纎維補強材の先端を半幅に折り畳んで補強材挿入具に密着させる過程を示す斜視図である。
図5】擁壁施工後の補強土体の沈下時に半幅に折り畳まれた帯形纎維補強材のスライド状態を示す側断面図である。
図6】本発明の第2実施例による帯形纎維補強材の施工方法を示す斜視図である。
図7図6のB部の拡大図である。
図8図6の状態を示す平面図である。
図9】帯形纎維補強材を裏込材で埋め込むために先端を半幅に折り畳み、中間部はジグザグ状に盛土体上に平たく広げ、後端部はループ状に立てた状態を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施例による補強材挿入具の斜視図である。
図11】本発明の一実施例による補強材挿入具の平断面図である。
図12】補強材挿入具にガイドローラーを取り付け、帯形纎維補強材を挿入する状態を示す図である。
図13】本発明の第3実施例による帯形纎維補強材の施工方法を示す斜視図である。
図14図13の状態を示す平面図である。
図15】本発明の他の実施例による補強材挿入具の斜視図である。
図16】本発明の第4実施例による帯形纎維補強材の施工方法を示す斜視図である。
図17】本発明の第5実施例による帯形纎維補強材の施工方法を示す斜視図である。
図18】本発明の第6実施例による帯形纎維補強材の施工方法を示す斜視図である。
図19図16図18の施工方法を組み合わせて築造した擁壁構造物の断面図である。
図20図19に対応する擁壁構造物を示すもので、相対的に低い擁壁の築造状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を限定しない好適な実施例を添付図面について詳細に説明する。
【0023】
以下の説明で使われる用語のうち、“補強土体”は補強土擁壁施工過程の適正な説明のために“盛土体”及び“裏込材”と混用し、本発明の説明に使われる用語は具体的な表現のために使用したものに過ぎなく、権利範囲の解釈時に用語自体の意味のみに限定して解釈されてはいけない。
【0024】
まず、帯形纎維補強材の施工方法について説明する。
【0025】
図1図5には本発明の第1実施例による帯形纎維補強材の施工方法が示されている。本実施例による施工方法は、補強土体Gの前面にフェーシング部材10を左右に隣り合うように立て、前記フェーシング部材10の補強材挿入具20に帯形纎維補強材30を挿入する1段階;前記帯形纎維補強材30の上部に裏込材を敷設して打ち込む2段階;及び前記1段階及び2段階を所定の高さまで繰り返し施工する3段階;を含んでなる帯形纎維補強材の施工方法であって、
【0026】
前記補強材挿入具20は、フェーシング部材10の後面12で開放し、左右に離隔した二つの入口21、22と、前記左右に離隔した二つの入口21、22の間にフェーシング部材の後面12の内側に形成される貫通路23とを含んでなり;前記1段階は、帯形纎維補強材30をフェーシング部材10の補強材挿入具20に挿入して連結した後、前記補強材挿入具20の入口21又は22の外側に出ている帯形纎維補強材30の先端部を長手方向に折り畳み、長手方向に折り畳まれた先端部を補強材挿入具20の内側に再び挿入して補強材挿入具20の内側面21a、22aに密着させ、前記帯形纎維補強材30をその敷設長を考慮して所定長さに切断した後、これをそれぞれの補強材挿入具に個別的に連結し、補強材挿入具20に連結された帯形纎維補強材30の両端を補強土体上に後方に向けて広げて横たえる。
【0027】
本実施例で、前記帯形纎維補強材30は全幅で広がった状態で補強材挿入具に連結されるものとして説明して図示したが、本発明はこれに限定されず、帯形纎維補強材30を前もって長手方向に折り畳んだ状態で挿入することもできるのは言うまでもなく、フェーシング部材10に連結した後、補強土体上に広げて横たえる作業を実施すれば良い。
【0028】
本実施例の図面で、前記フェーシング部材10はパネル(Panel)形態になったものとして示されているが、本発明による帯形纎維補強材の施工方法は図面に示したパネル形態の外にもブロック形態になったフェーシング部材の場合にも適用可能であるので、フェーシング部材はパネル形はもちろんのこと、ブロック形の部材も含む意味として解釈されなければならない。
【0029】
また、前記パネル形態のフェーシング部材10は、図面に示したような単純な長方形はもちろんのこと、十字形又はT字形又は六角形などの多様な形態を含む。
【0030】
また、前記フェーシング部材10はコンクリートで成形される部材にだけ限定されるものではなく、全部又は一部が合成樹脂又は金属材でなったフェーシング部材にも適用することができるのは言うまでもない。
【0031】
ただ、本実施例で、前記フェーシング部材10はコンクリート素材で成形されるものなので、合成樹脂材又はその他の非コンクリート素材で製作された補強材挿入具20をフェーシング部材10の成形時に成形型の内部に埋め込んだ状態でコンクリートを注入して成形したものとして説明しているが、全部又は一部が合成樹脂などで成形されるフェーシング部材の場合又はコンクリートで成形される場合にも、適切な成形型を用いることにより、フェーシング部材そのものに前記補強材挿入具3を一体に形成することもできる。
【0032】
図面で、符号42は補強材挿入具20に挿入された帯形纎維補強材30が長手方向に沿って折り畳まれた状態(図面では半幅に折り畳まれる)を維持するようにするための固定ピン(固定釘)である。
【0033】
また、本実施例で、前記補強材挿入具20は略C字形になっている。これは帯形纎維補強材30の規格(幅又は厚さ)によって多様な規格で製作することができ、両側の入口21、22と内側貫通路23の基本的な形態の外に付随的な部分が多様な形態に製作可能である。
【0034】
本実施例で、前記左右に離隔した二つの入口21、22の外側はフェーシング部材10の後面12の左側又は右側方向に拡張した状態に開放することにより、帯形纎維補強材30を一側の入口21又は22に挿入して他側の入口22又は21から易しく引き出して連結することができるようになっている。
【0035】
また、本実施例で、前記補強材挿入具20の入口21、22と貫通路23の上下幅は対応する帯形纎維補強材30の幅より大きく形成されている。図5に示した側断面図のように補強材挿入具20に挿入された帯形纎維補強材30を長手方向に沿って半幅になるように折り畳んで連結した状態で、補強土体Gの沈下(矢印‘a1’参照)が発生する場合、半幅に折り畳まれた補強材30の先端が補強材挿入具20内で下方に同時にスライド(矢印‘a2’参照)し、補強土体Gの沈下によって帯形纎維補強材30の先端に剪断応力が集中する現象を解消することにより、安全性に優れた擁壁を提供することができる。
【0036】
図1図3に示した施工状態から分かるように、本実施例では、左右に隣り合うフェーシング部材10が段差をなすように配置されるので、フェーシング部材10の後面12の上下側に補強材挿入具20が2列に配置されており、隣り合うフェーシング部材10に同じ高さで裏込材を満たしながら帯形纎維補強材30をフェーシング部材10に連結し、補強土体G上に埋設する作業を実施すれば良い。すなわち、裏込材の前後込み幅、つまり帯形纎維補強材の敷設長を考慮して帯形纎維補強材30を所定長さで切断した後、これをそれぞれの補強材挿入具20に個別的に連結し、補強材挿入具20に連結された帯形纎維補強材の両端を補強土体G上に後方に向けて広げる作業を順次実施し、帯形纎維補強材30上にさらに裏込材を提供し、打ち込んで埋設することによってフェーシング部材10を支持するようにすれば良い。このような過程を順次繰り返すことによって設計高の補強土擁壁構造物を築造することができる。
【0037】
本実施例で、前記帯形纎維補強材30の先端部を長手方向(図面で半幅)に折り畳んで補強材挿入具20に密着させる好適な方法が図4に示されている。これを説明すれば次のようである。
【0038】
第一、図4の(a)に示したように、帯形纎維補強材30を補強材挿入具20の一側入口21又は22に挿入してから他側入口22又は21から引き出す。
【0039】
第二、図4の(b)に示したように、補強材挿入具20の入口21又は22の外側に引き出された帯形纎維補強材30の先端部を半幅に折り畳む。
【0040】
第三、図4の(c)に示したように半幅に折り畳まれた帯形纎維補強材30の先端部を再び補強材挿入具20の内側に挿入する。
【0041】
第四、図4の(d)のような状態になるように、両側補強材挿入具20の入口21、22の外側に半幅に折り畳まれた部分が左右対称状に露出されるようにして、補強材挿入具20の内側で帯形纎維補強材30の先端が半幅に折り畳まれた状態となるようにすれば作業が完了する。
【0042】
上述した実施例では帯形纎維補強材30の先端を半幅に折り畳んだ例に対して示して説明したが、本発明はこれに限定されず、帯形纎維補強材30の先端を半幅の外にも1/3〜1/4の幅又はそれ以上に長手方向に沿って多重で折り畳むことも可能であるのは言うまでもなく、帯形纎維補強材30を折り畳む位置は補強材挿入具20の両側入口21又は22のいずれか一方又は両方で同時に実施することができる。
【0043】
また、本実施例ではフェーシング部材10に埋設された合成樹脂材補強材挿入具20に帯形纎維補強材30を連結する方法について説明しているが、本発明の施工方法はこれに限定されるものではなく、帯形纎維補強材30をフェーシング部材10自体に形成されたC字形孔形態の補強材挿入具に連結する方法にもそのまま適用することができ、本発明の権利範囲はこのような方法を全て含む意味として解釈されなければならない。
【0044】
本発明の帯形纎維補強材の施工方法において、前記補強材挿入具20に長手方向に折り畳まれた状態で密着した帯形纎維補強材30は、図3の拡大図から分かるように、固定ピン42によって折り畳まれた部分が互いに分離しようとする力と全幅に広がろうとする部分の相互作用により、帯形纎維補強材30が補強材挿入具20の貫通路23の内面に密着した状態を維持することができ、これによって帯形纎維補強材30は貫通路23の前方に押されなくなる。
【0045】
本発明では、上述した固定ピン42の外にも補強材挿入具20の入口21、22側に楔などを差し込むことによって、折り畳まれた状態が広がるかその他の遊動が発生しないようにすることにより、補強土体G上に敷設した後に別途の牽引作業を実施しなくても良いようにすることが好ましい。
【0046】
また、本実施例で、前記補強土体G上に平たく広げて横たえた帯形纎維補強材30は図示しない一時固定釘などによって横たえられた状態を安定的に維持することによって、裏込材を提供して打ち込む作業を容易に遂行することができるようにすることが好ましい。
【0047】
また、本実施例で、前記補強土体G上に広がれる帯形纎維補強材30は、フェーシング部材10に対して、図面に示したように、斜線方向に敷設することに限定されず、フェーシング部材に直角になるように敷設するかあるいは隣り合う帯形纎維補強材が互いに交差するように敷設することもできるので、帯形纎維補強材の敷設形態は現場状況によって適切に多様に変形可能である。
【0048】
また、本実施例で、前記補強土体G上に広がった帯形纎維補強材30は、擁壁の裏込幅が小さい場合、つまり補強材の前後敷設長さが短い現場では裏込材との摩擦抵抗に加えて別途の手動抵抗力を発揮するように帯形纎維補強材30の中間部又は後端部に別途の手動低抗体を付着することもできる。このような手動抵抗体はコンクリート、合成樹脂又は金属材などの多様な素材から多様な形態に製作することができる。
【0049】
図6図9には本発明の第2実施例による補強土擁壁構造物と帯形纎維補強材の施工方法を説明するための図面が示されている。本実施例による補強土擁壁構造物は、補強材挿入具20が埋設されたフェーシング部材10と、前記フェーシング部材10の補強材挿入具20に挿入され、補強土体(盛土体)G上に敷設された状態で埋め込まれる帯形纎維補強材30とを含んでなる。
【0050】
本実施例の帯形纎維補強材の施工方法も、基本的には上述した第1実施例の施工方法と同様であるが、1段階で帯形纎維補強材30の先端をフェーシング部材10の補強材挿入具20に連続的に通過するように挿入し、帯形纎維補強材30を各補強材挿入具20の後方に引っぱって補強土体G上にジグザグ状に敷設し、前記帯形纎維補強材30の先端部32を長手方向に折り畳んで前記補強材挿入具20に密着させ、前記帯形纎維補強材30の中間部34は補強土体G上に全幅で広がった状態となるようにし、帯形纎維補強材30の後端部36はループ状態となるようにした点に違いがある。
【0051】
本実施例においても、上述した第1実施例の施工方法と同様に、帯形纎維補強材30の先端を長手方向に折り畳んで補強材挿入具20の内側面に密着させる方法は、補強材挿入具20の入口21又は22の外側に出ている帯形纎維補強材30の先端部を長手方向に折り畳み、長手方向に折り畳まれた先端部を補強材挿入具20の内側に挿入し、補強材挿入具20の内側で帯形纎維補強材30の先端が長手方向に折り畳まれた状態となるように前記帯形纎維補強材30の先端部32を長手方向に折り畳んで前記補強材挿入具20に密着させるように実施する。
【0052】
本実施例においても、前記帯形纎維補強材30は全幅で広がった状態で補強材挿入具に連結されるものとして説明して図示しているが、本発明はこれに限定されず、帯形纎維補強材30を前もって長手方向に折り畳んだ状態で挿入することもできるのは言うまでもなく、フェーシング部材10に連結してから補強土体上に広げて横たえる作業を実施すれば良い。
【0053】
図10及び図11には本発明の一実施例によるフェーシング部材に設けられる補強材挿入具20が示されている。この補強材挿入具20のそれぞれは、フェーシング部材10の後面に開放し、左右に離隔した二つの入口21、22と、前記両側入口21、22からフェーシング部材の後面の内側に形成される貫通路23とを含んでなり、前記両側の入口21、22の内側面21a、22aはフェーシング部材10の後面12に対して一定角度を成すように開放し、前記入口21、22の外側面21b、22bはフェーシング部材10の後面12に前広後狭の形態に開放することにより、柔軟な帯形纎維補強材30を一側入口21又は22に立てた状態で挿入して他側入口22又は21から引き出して連結することが容易に行えるようになっている。
【0054】
本実施例で、前記両側入口21、22の内側面21a、22aがフェーシング部材10の後面12に対して一定角度を成すように開放したというのは、帯形纎維補強材30を上述したように補強材挿入具20に挿入した状態で帯形纎維補強材30を補強土体G上に後方に敷設するとき、帯形纎維補強材30の敷設角度がフェーシング部材10の後面12に対して直角を成すように敷設するかあるいはこれよりちょっと大きい角度となるようにジグザグ状に敷設することができるようにするためのものであり、前記内側面21a、22aは帯形纎維補強材30を補強土体G上に敷設した状態で帯形纎維補強材30の先端部が接触する部分であるので、前記内側面21a、22aの間に形成される貫通路23の内面23aがなす曲率半径は、帯形纎維補強材30の急激な折れを防止するために、できるだけ大きく形成することが好ましい。
【0055】
図10及び図11に示した実施例の補強材挿入具20はポリエチレン、ポリプロピレン又はポリビニル系の合成樹脂素材などで安価で大量成形することができ、この補強材挿入具20をフェーシング部材の成形のための型に固定した状態でコンクリートモルタルを注入して成形することによってフェーシング部材10と一体を成すようになるのはもちろんのこと、合成樹脂で被覆された帯形纎維補強材がコンクリートに直接接触して化学反応によって物性が変わる現象も防止することができる。
【0056】
また、前記補強材挿入具20は、その外面、つまりフェーシング部材であるコンクリートに接する面はちょっと荒い面に形成し、内面、つまり帯形纎維補強材が挿入される面は滑らかな面に形成することにより、フェーシング部材との結合力の向上と帯形纎維補強材の円滑な挿入が可能であり、補強土体の沈下時に帯形纎維補強材の先端部表面が損傷されないながらも効果的にスライドすることが好ましい。
【0057】
また、本発明で、前記補強材挿入具20は帯形纎維補強材30の規格によって多様な規格で製作することができ、上述した入口21、22と貫通路23の基本的な形態の外に付随的な部分は多様な形態に製作することができるので、これについては後述する。
【0058】
また、本発明で、前記補強材挿入具20は、図面に示したように一体型チューブ(U字管)の形態に成形することもできるのはもちろんのこと、これを上下分割型又は前後分割型などのように多様な形態に成形して組立てることによって形態を完成することもできるのは言うまでもない。
【0059】
上述した補強材挿入具20の成形は、製造コストを考慮し、公知の射出成形又はブロー成形などの方法から選択して生産することが可能であろう。
【0060】
一方、本実施例で、前記補強材挿入具20の両側入口21、22の周りには補強材挿入具20をフェーシング部材成形用型に固定するための孔24が水平及び/又は垂直方向に形成されており、この孔24が形成された内側面21a、22aと上下面21c、21d、22c、22dはフェーシング部材10の後面12の外側に少し突出した状態を成していることが分かる。
【0061】
型の内部に補強材挿入具20を配置し、外側から補強材挿入具20を支持するための支持体(ブラケット又は形鋼など)から分離可能な固定ピンなどを前記孔24に挿入して前記補強材挿入具20を固定するようになる。
【0062】
また、前記孔24には、補強土擁壁の施工時、帯形纎維補強材の挿入及び引出し作業を補助するためのガイドローラー(図12参照)を挿設するかあるいは帯形纎維補強材を長手方向に沿って折り畳んだ状態を維持するための形態維持用固定ピン42(図9参照)などを挿設することもできるのは言うまでもない。
【0063】
また、前記両側入口21、22の外側面21b、22bはフェーシング部材10の後面12と同一平面を成すように伸び、前記外側面21b、22bはフェーシング部材10の成形時に補強材挿入具20がフェーシング部材10の後面12と同一平面を維持するようにするための支持面又は基準面として作用するようになる。
【0064】
また、本実施例では、前記補強材挿入具20の入口21、22と貫通路23の上下幅は対応する帯形纎維補強材30の幅より大きく形成され、図5に示した断面図のように補強材挿入具20に挿入された帯形纎維補強材30を幅方向に折り畳んで連結した状態で補強土体Gの沈下が発生する場合、補強土体Gに埋め込まれた帯形纎維補強材30が沈下するに伴って前記帯形纎維補強材30の先端部32も補強材挿入具20内で下方に同時にスライドすることにより、補強土体Gの沈下によって帯形纎維補強材30の先端に剪断応力が集中する現象も解消することができる。
【0065】
図6図9に示した実施例で、フェーシング部材10はパネルの形態に形成されており、前記パネル型フェーシング部材は、図6及び図8の初期施工状態から分かるように、左右に隣り合うフェーシング部材が段差をなすように配置されるので、フェーシング部材10の後面12の上下側に補強材挿入具20が2列に配置され、隣り合うフェーシング部材10に1列の帯形纎維補強材30を連続的に連結することができ、これにより、帯形纎維補強材30を一定長さで切断して各フェーシング部材10の補強材挿入具20ごとに独立的に連結する代わりに、ロール状態で供給された帯形纎維補強材を立てた状態でその先端を隣り合うフェーシング部材10の後面に位置する補強材挿入具20に連続的に通過するように挿入した後、図9に示したように、帯形纎維補強材30を各補強材挿入具20の後方に引っぱって補強土体Gの前後幅に合わせてジグザグ状に敷設しながら帯形纎維補強材30の先端部32を半幅に折り畳んで前記補強材挿入具20に密着させ、帯形纎維補強材30の中間部34、つまり補強土体G上では全幅に広がった状態を維持するようにし、帯形纎維補強材30の後端部36を立ててループ状態となるようにし、裏込材で覆って埋設することによってフェーシング部材10を支持することができるようにすれば良く、このような過程を順次繰り返すことによって設計高の補強土擁壁構造物を築造することができるようになるものである。
【0066】
本発明で、前記帯形纎維補強材30の先端部32を長手方向(図面半幅)に折り畳んで補強材挿入具20に密着させる方法は上述した第1実施例と同一であるのでその重複説明は省略する。
【0067】
本発明で、前記帯形纎維補強材30を補強材挿入具20に連続的に挿入するとは二つ以上の補強材挿入具20に1列の帯形纎維補強材30を挿入することを意味し、連続的に連結される補強材挿入具20の数又はフェーシング部材10の数は状況によって多様に変更することができるのは言うまでもない。
【0068】
また、本実施例ではフェーシング部材10に埋設された合成樹脂材補強材挿入具20に帯形纎維補強材30を連続的に連結する方法について説明しているが、本発明の施工方法はこれに限定されるものではなく、帯形纎維補強材30をフェーシング部材10そのものに形成されたU字形孔形態の補強材挿入具に連続的に連結する方法にもそのまま適用することができ、本発明の権利範囲はこのような方法のいずれも含むものとして解釈されなければならない。
【0069】
本実施例で、前記帯形纎維補強材30の後端部36は上述したように立ててループ状態となるようにすることができ、一般的な帯形纎維補強材の施工時に使用する方法のように、後端部36に鉄筋を挿入し、水平方向に平たいループ状態となるようにした後、裏込材で覆って埋設することもできるのは言うまでもない。
【0070】
本発明で、前記帯形纎維補強材30は、図6に示したように、先にフェーシング部材10の補強材挿入具20に連続的に通過するように挿入した後、補強土体の後方に引っぱる作業を次いで行うこともでき、一つの補強材挿入具に挿入してから補強土体の後方に引っぱって敷設した後、さらに隣り合う他の補強材挿入具に挿入する過程を繰り返す方法でも施工することができるのは言うまでもない。
【0071】
本実施例で、前記帯形纎維補強材30の先端部32、中間部34及び後端部36の形態は図面に図示しない別途の形態維持具(一時固定用ピン又は釘又は手動抵抗体など)で維持することが好ましく、このような形態維持具は補強土体Gの内部にそのまま埋め込まれることができる。
【0072】
図12には、本実施例による補強土擁壁構造物の築造時、帯形纎維補強材の連結作業をより容易に遂行するために、フェーシング部材(図示せず)に備えられた補強材挿入具20の入口21、22側にガイドローラー40を取り付けた状態が示されている。前記ガイドローラー40は、帯形纎維補強材30を左右にフェーシング部材10の補強材挿入具20に連続的に結束させる過程及び結束後に補強土体の後方に引き出す作業を遂行する過程で帯形纎維補強材30が補強材挿入具20と直接摩擦せずに円滑に引き出されるように作用し、上述したガイドローラー40は帯形纎維補強材30の設置の完了後には解体して後続の作業に繰り返し使えば良い。
【0073】
一方、本実施例ではパネル型フェーシング部材10の後面12の上下部に2列の補強材挿入具20が配置された場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、補強材挿入具20をフェーシング部材10の後面12に上下に2列以上に配置するかあるいは中間に1列のみを配置することもできるのは言うまでもなく、特に上下の幅が大きくないブロック型フェーシング部材の場合にはフェーシング部材の後面中間部に1列のみを配置することが好ましい。
【0074】
また、本実施例では前記フェーシング部材10の後面左右側にそれぞれ一対ずつの補強材挿入具が埋設されているが、本発明はこれに限定されず、中間部に一対の補強材挿入具のみを埋設するか、左右両側にそれぞれ1個のみの補強材挿入具を埋設するかあるいはフェーシング部材10の幅を広くし、このフェーシング部材10に複数の補強材挿入具を埋設することのように多様に配置することができるのは言うまでもない。
【0075】
図13及び図14は本発明の第3実施例による補強土擁壁構造物の施工方法、つまり上述した第2実施例とはちょっと違う形態の帯形纎維補強材連結方法を示す。本実施例においても、基本的に上述した第2実施例と同様に、左右に隣り合うフェーシング部材10が段差をなすように配置され、フェーシング部材10の後面12に備えられた補強材挿入具20に1列の帯形纎維補強材30を連続的に連結するようになっており、帯形纎維補強材30を補強材挿入具20の後方に引っぱって補強土体Gの前後幅に合わせて敷設するが、補強材挿入具20に挿入された帯形纎維補強材30の一部はフェーシング部材10の後面12に密着した状態となるように帯形纎維補強材を補強土体上に間欠的に敷設した点に違いがある。
【0076】
本実施例では、補強土体Gの方に伸びた帯形纎維補強材30の先端部32は半幅に折り畳んで前記補強材挿入具20に密着するようにし、補強土体の方に敷設されずにフェーシング部材10の後面12に密着した状態の場合には全幅で立てられた状態を維持するようになっており、帯形纎維補強材30の中間部34、つまり補強土体G上では全幅で広がった状態を維持するようにし、帯形纎維補強材30の後端部36は立ててループ状態となるようにし、裏込材で覆って埋設することによってフェーシング部材10を支持すれば良く、このような過程を順次繰り返すことによって設計高の補強土擁壁構造物を築造することができる。
【0077】
本実施例による施工方法は、補強土体内に各種構造物などを設置しようとするときに空間が必要な場合又は切土斜面の釘とロックボルトとを連結する場合又は上述した第1実施例の施工方法に比べて相対的に高さが低い補強土擁壁の築造に適するか補強土擁壁の上層部での施工に適し、帯形纎維補強材の敷設間隔を稠密にするか間歇的に敷設することは施工現場の状況又は経済性を考慮して適正に設計するか施工することができ、このような帯形纎維補強材の連続施工は既存の個別施工方法に比べて現場適用性及び作業性に優れ、施工速度も向上させることができるのはもちろんのこと、帯形纎維補強材そのものが左右に隣り合うフェーシング部材間のインターロッキングのための部材としても機能を兼ねるようになるので、作業性及び施工性の向上はもちろんのこと、施工後の補強土擁壁構造物の安全性向上にも役立つことができる。
【0078】
図15には本発明の他の実施例による補強材挿入具20が示されている。本実施例も基本的に両側の入口21、22と前記入口21、22の間を連結する貫通路23とを含んでなるが、第1実施例の補強材挿入具と違う点は、前記貫通路23の内側に半幅に折り畳まれた帯形纎維補強材が挿入されるようにするための挿入溝25が形成されたことと、前記入口21、22の外側に四方に支持リブ26が付け加えられたことにある。
【0079】
本実施例の補強材挿入具20も上述した第1実施例の補強材挿入具と同様な方式でフェーシング部材に埋設されて使われるので、これについての重複説明は省略し、本発明の補強材挿入具20の構造は前述した実施例に限られず、以下に記載する本発明の特許請求範囲に記載された概念を逸脱しない範疇内で当業者によって多様な変形が可能であり、このような変形は本発明の権利範囲に属するものであることは明らかである。
【0080】
図16は本発明の第4実施例による帯形纎維補強材の施工方法を示すもので、本実施例は、フェーシング部材10の後方に補強土体の裏込長さを充分に確保することができない状況、つまり岩盤又はコンクリート構造物などがフェーシング部材10の後方に隣接している場合、フェーシング部材10の後方に網袋50を設け、これに岩屑又はその他の骨材60を満たし、この網袋50の周りをフェーシング部材10に先端が連結された帯形纎維補強材30が取り囲むようにすることにより、フェーシング部材10と骨材60が満たされた網袋50が帯形纎維補強材30によって一体的に連結されて支持力(手動抵抗力)を発揮するようになっている。
【0081】
本実施例においても、帯形纎維補強材30をフェーシング部材10に連結する方法は上述した実施例と同様であるが、ただ帯形纎維補強材30をまるでズボンに腰ベルトをかけることのように立てて網袋50の外側を取り囲むことにより、岩屑などの骨材60を満たすときに網袋50が安定的な形態を維持するようにし、網袋50に骨材60が満たされた後には重力式で築造された骨材塊(rock fill)を取り囲むように配置された帯形纎維補強材30がフェーシング部材10を堅固に支持するようにする。
【0082】
本実施例では、補強土体裏込長さ(帯形纎維補強材の前後敷設幅)を充分に確保しにくい擁壁の下層部又は低い擁壁の築造の際、帯形纎維補強材を盛土体の内部に敷設して打ち込む方式の補強土築造方式と一種の重力築造方式(rock fill)を組み合わせることによって施工性の向上を図ることができ、補強土擁壁築造工法をそのまま適用することが困難な現場(岩盤又はコンクリート構造物があるとかして裏込空間の確保が不可能な状況)に部分的に適用するのに適した方法を示す。
【0083】
また、図16に示した実施例で、前記帯形纎維補強材30は隣り合うフェーシング部材10に連続的に通過するように連結され、フェーシング部材10の後面の内側に接するように網袋50が設置されているが、本発明はこれに限定されず、図15に示した第5実施例のように左右に隣り合うフェーシング部材10の間を連結する部位の後方に網袋50が取り付けられるようにすることもできる。このような場合には、補強土体(盛土体)側で発生した水が網袋50内の前記骨材60を通して隣り合うフェーシング部材10の隙間を通じてフェーシング部材10の前方に容易に排出されるようにすることができるものである。
【0084】
本発明で、前記帯形纎維補強材30によって支持される網袋50の配置位置と網袋50の大きさは図16及び図17に示した実施例に限定されず、施工現場の状況によって適切に変更することができ、前記網袋50はメッシュ型(mesh type)又はラス型(lath type)又はネット型(net type)鉄網あるいは合成樹脂グリッド(grid)などの骨材を満たすことができる多様な材料を使うことができる。
【0085】
また、本発明では、前記網袋50の設置高さ又は後方への突出長及び左右配置間隔などは現場の状況に合わせて設計することができ、フェーシング部材10の後方に多段で連結される帯形纎維補強材30によって多段で取り囲まれることにより、安定的な形態維持はもちろんのこと、上下及び左右に隣り合う複数のフェーシング部材10と骨材60が一体化した構造を形成することができる。
【0086】
図18には本発明の第6実施例による帯形纎維補強材の施工方法が示されている。本実施例では、帯形纎維補強材30が盛土体上に敷設されて埋め込まれることで盛土体の安定を図ること(補強土築造方式)と図16及び図17に示した実施例のように網袋50を提供し、網袋50に骨材60が満たされた後には重力式で築造された骨材を取り囲むように配置された帯形纎維補強材30がフェーシング部材10を支持するようにする方式が同一レベルで混在されている。
【0087】
図18に示した施工方法は、帯形纎維補強材30の敷設が可能であるが十分な長さが確保されない遷移区間(重層部)あるいは岩盤又はコンクリート構造物が局部的に存在する区域に適用することが好ましい。
【0088】
図19図16図18の施工方法を組み合わせて築造した擁壁構造物の断面図であり、擁壁の下層部は図16及び図17に示した施工方法(重力築造方式)が適用され、中間部は図18に示した施工方法(折衷式)が適用され、上層部は図6図9に示した施工方法(補強土築造方式)が適用されている。
【0089】
図面から把握できるように、本実施例では、擁壁施工現場に障害物、つまり岩盤又はコンクリート構造物が存在する場合、岩盤の破砕作業を行う必要がなく、岩盤にアンカー孔を穿孔してアンカリングする作業を必要としないので、施工性の向上はもちろんのこと、施工期間の短縮が可能であり、擁壁下層部は入手が容易で安価である網袋及び岩屑を帯形纎維補強材と組み合わせて使用することによって重力式で築造することができ、中間部は重力式と補強土擁壁築造方式を混合して築造することによって盛土体とフェーシング部材の安定的な築造が可能であり、裏込長さの十分な確保が可能な上層部は帯形纎維補強材の敷設及び埋込による補強土擁壁築造方式で築造する。
【0090】
図20図19に対応する擁壁構造物を示すもので、相対的に低い擁壁の築造状態が示されている。すなわち、帯形纎維補強材30が取り囲まれた網袋50の内部に岩屑などの骨材60を満たすことにより、フェーシング部材10、帯形纎維補強材30及び骨材が一体化した重力式構造物を形成して、後方の土砂層及び裏込材で作用する土圧に抵抗するようになり、既存の蛇籠(gabion)擁壁又は現場打設型扶壁式擁壁(counterforted wall)から壁体(フェーシング部材)が直接土圧に抵抗する方式に比べて擁壁構造物の安全性を向上させることができる利点がある。
【0091】
上述した実施例では帯形纎維補強材を全幅で広げた状態でフェーシング部材の後方の補強材挿入具に挿入するものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、帯形纎維補強材を前もって半幅に折り畳んだ状態で補強材挿入具に挿入することもできるのは言うまでもなく、このような補強材の挿入時に補強材を折り畳むとか広げるとかすることは補強材挿入具の大きさ又は形態によって適正な方法を選択することが可能であろう。
【符号の説明】
【0092】
10:フェーシング部材(パネル、ブロックなど)
12:後面
20:補強材挿入具
21、22:入口
23:貫通路
21a、22a:内側面
21b、22b:外側面
21c、22c:上面
21d、22d:下面
24:孔
25:挿入溝
26:支持リブ
30:帯形纎維補強材
32:先端部(半幅折畳部)
34:中間部(展開部)
36:後端部(ループ部)
40:ガイドローラー
42:固定ピン
50:網袋
60:骨材
G:補強土体(盛土体、裏込材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2017年4月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強土体Gの前面に左右に隣り合うように立てられるフェーシング部材の補強材挿入具に帯形纎維補強材を挿入する1段階と、前記帯形纎維補強材を補強土体上に広げ、その上部に裏込材を敷設して打ち込む2段階とを含み、前記1段階及び2段階を所定の高さまで繰り返す補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法であって、
前記補強材挿入具は、フェーシング部材の後面で開放し、左右に離隔した二つの入口と、前記左右に離隔した二つの入口の間にフェーシング部材の後面の内側に形成される貫通路とを含み、
前記1段階では、帯形纎維補強材を全幅に広げた状態で一側入口に挿入し、他側入口から引き出して連結し、補強材挿入具の入口の外側に出ている帯形纎維補強材の先端部を長手方向に折り畳み、長手方向に折り畳まれた先端部を補強材挿入具の内側に挿入して帯形纎維補強材の先端が折り畳まれた状態となるようにすることを特徴とする、補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項2】
前記1段階で、帯形纎維補強材を左右に隣り合う補強材挿入具に連続的に挿入し、
前記2段階で、帯形纎維補強材を各補強材挿入具の後方に引っぱって補強土体G上にジグザグ状に敷設し、前記補強土体G上に敷設された帯形纎維補強材の中間部は全幅に広がった状態となるようにし、帯形纎維補強材の後端部はループ状態となるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項3】
前記1段階で、帯形纎維補強材をその敷設長を考慮して所定の長さに切断し、これをそれぞれの補強材挿入具に個別的に連結し、
前記2段階で、補強材挿入具に連結された帯形纎維補強材の両端を補強土体上に後方に向けて広げて横たえることを特徴とする、請求項1に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項4】
前記帯形纎維補強材を補強材挿入具に連続的に挿入する過程及び帯形纎維補強材を引き出す過程で、前記補強材挿入具にガイドローラーを付着することで、帯形纎維補強材の挿入及び引出が円滑になるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項5】
前記補強材挿入具に挿入された帯形纎維補強材は、固定ピン又は楔によって、折り畳まれた状態が解除されるか遊動することができないようにすることを特徴とする、請求項1に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【請求項6】
前記帯形纎維補強材を補強材挿入具の後方に引っ張って補強土体Gの前後幅に合わせて敷設し、補強材挿入具に挿入された帯形纎維補強材の一部はフェーシング部材の後面に密着した状態となるように埋設することを特徴とする、請求項2に記載の補強土擁壁用帯形纎維補強材の施工方法。
【国際調査報告】