(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-531308(P2017-531308A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】ベンゾシクロブテン置換カルバゾールを含有する組成物、及びそれを含む電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 51/50 20060101AFI20170922BHJP
C07D 209/86 20060101ALN20170922BHJP
【FI】
H05B33/22 D
H05B33/14 A
C07D209/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2017-507416(P2017-507416)
(86)(22)【出願日】2015年8月19日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】US2015045915
(87)【国際公開番号】WO2016028902
(87)【国際公開日】20160225
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/084915
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ミンロン・チュ
(72)【発明者】
【氏名】ジチャン・フェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオガン・フェン
(72)【発明者】
【氏名】チュン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン・ティー・マクドゥーガル
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・ディー・ドボア
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・トレフォナス・サード
(72)【発明者】
【氏名】リアム・ピー・スペンサー
【テーマコード(参考)】
3K107
4C204
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC42
3K107CC45
3K107DD71
3K107DD78
3K107FF18
3K107FF20
3K107GG06
4C204BB05
4C204BB09
4C204CB25
4C204EB01
4C204FB17
4C204GB14
(57)【要約】
本発明は、OLED用途に使用される架橋性BCB官能性材料を含む組成物を提供する。本発明の組成物を使用して、エレクトロルミネセント装置で使用するための正孔輸送材料を形成することができる。具体的には、本発明は、本明細書に記載されるような構造Aから選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物を提供する。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造Aから選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物であって、
【化1】
式中、R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、Ar
1が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
1)aが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
2が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
2)bが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
3が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
3)cが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、以下の構造B、構造C、構造D、または構造Eのベンゾシクロブテン構造から選択されることを条件とし、
B)
【化2】
式中、構造Bが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Bに関して、
1b)R
a1、R
a2、R
a3、またはR
a4のうちの1つが−L−であり、−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、
−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、
−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造B」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
2b)残りのR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
3b)R
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択される、
C)
【化3】
式中、構造Cが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Cに関して、
1c)R
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8のうちの1つが−L−であり、−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、
−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、
−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造C」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
2c)残りのR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
3c)R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択される、
D)
【化4】
式中、構造Dが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Dに関して、
1di)一方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合するベンゾシクロブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、またはR
a4のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、
−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、
−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、
−O−アリーレン−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、または4炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
1dii)他方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合する他方のベンゾシクロ−ブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、またはR
a4のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、
−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、または4炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
2d)Arが、置換または非置換C5−C60アリール基であり、
3d)−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、
−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、
−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、
−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造D」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
4di)一方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
4dii)他方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
5di)一方のベンゾシクロブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
5dii)他方のベンゾシクロブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択される、
E)
【化5】
式中、
構造Eが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Eに関して、
1ei)一方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合するベンゾシクロブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、
−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、
−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または6炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
1eii)他方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合する他方のベンゾシクロ−ブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、
−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または6炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
2e)Arが、置換または非置換C5−C60アリール基であり、
3e)−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、
−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、
−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、
−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造E」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
4ei)一方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
4eii)他方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
5ei)一方のベンゾシクロブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
5eii)他方のベンゾシクロブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択される、また
構造Aに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造Aに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい、前記組成物。
【請求項2】
構造Aが、以下の構造A−Iから選択され、
【化6】
式中、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
2−1、R
2−2、R
2−3、またはR
2−4のうちの1つが、(R
2)bであり、
R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、及びR
1−9が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、またはR
1−9のうちの1つが、(R
1)aであり、
R
1−2及びR
1−3が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、またはハロゲンから選択され、
R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
3が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
3)cが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、構造B、構造C、若しくは構造D、または構造Eから選択されることを条件とし、
構造A−Iに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造A−Iに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
構造Aが、以下の構造A−IIから選択され、
【化7】
式中、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4のうちの1つが、(R
2)bであり、
式中、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、及びR
3−5が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、またはR
3−5のうちの1つが、(R
3)cであり、
R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
1が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
1)aが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、構造B、構造C、若しくは構造D、または構造Eから選択されることを条件とし、
構造A−IIに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造A−IIに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
構造Aが、以下の構造A−IIIから選択され、
【化8】
式中、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4のうちの1つが、(R
2)bであり、
R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、及びR
1−9が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、またはR
1−9のうちの1つが、(R
1)aであり、
R
1−2及びR
1−3が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、またはハロゲンから選択され、
式中、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、及びR
3−5が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、またはR
3−5のうちの1つが、(R
3)cであり、
R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、構造B、構造C、若しくは構造D、または構造Eから選択されることを条件とし、
構造A−IIIに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造A−IIIに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
構造Bに関して、−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−フェニレン−、
−O−アルキレン−フェニレン−、または「構造B」を「構造A」に結合する共有結合から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
構造Cに関して、−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−フェニレン−、
−O−アルキレン−フェニレン−、または「構造C」を「構造A」に結合する共有結合から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
構造Bが、以下の構造(i)または(ii)から選択され、
【化9】
式中、Rが、水素、炭化水素、または置換炭化水素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
構造Cが、以下の構造(iii)または(iv)から選択され、
【化10】
式中、Rが、水素、炭化水素、または置換炭化水素であり、
【化11】
式中、R
1が、水素、炭化水素、または置換炭化水素であり、R
2が、水素、炭化水素、または置換炭化水素である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
構造Dが、以下の構造(v)から選択され、
【化12】
式中、各Rが独立して、水素、炭化水素、または置換炭化水素である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
構造Aに関して、R9−R12及びR14−R17が各々、水素である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
構造Aが、以下の構造(a)〜(r)から選択される、
【化13-1】
【化13-2】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記構造Aが、500g/モル〜5000g/モルの分子量を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
構造Aが、2.30eV〜3.20eVの三重項エネルギーを有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの層Aを含む、フィルム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を備える、エレクトロルミネセント装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年8月21日に出願の国際出願第PCT/CN14/084915号に対する優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)の次世代の平面パネルディスプレイ及び固体光源としての潜在的用途は、かなりの注目を集めている。OLEDは、放出層への正孔及び電子の両方の同時供給を必要とする二重電荷注入装置である。簡易で均衡のとれた電荷輸送を実現するために、ほとんどの高効率OLEDは、多層装置構成、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、及び放出層(EML)を有する傾向があり、いくつかは正孔−注入及び電子注入層も有する。正孔及び電子をEMLに注入及び輸送するために電荷注入/輸送層が使用され、ここで電荷は再結合し、励起子を形成する。装置性能及び寿命を改善するための新たな電荷輸送材料の開発が、継続的に必要とされている。
【0003】
HTL層の場合、層を堆積させるプロセスは、その最終用途に対して極めて重要である。小型ディスプレイ用途において、HTL層を堆積するための方法は、その堆積を導くための微細な金属マスクを用いる小さい有機化合物の蒸発を含む。スピンコーティング、インクジェット印刷、及びロール・ツー・ロール製造等の溶液プロセスは、商業的利益により適したそれらの低価格及び大面積の製造可能性の観点において、魅力的な代替的手法を提示する。これらの発見を考慮して、これらの課題を克服し、大型ディスプレイ用途に直接適用することができる、HTLを堆積する新たな組成物及びプロセスが依然として必要とされている。
【0004】
いくつかのポリマー材料は溶液プロセスによって製造することができるが、可溶性、分子量、及び純度のそれらのバッチ間のばらつきは、異なる処理特性及び装置性能をもたらし得る。小分子材料のより高い分子精度によって前述の不一致を克服することができるため、この目的を実現するために、OLEDに適した溶液処理可能な小分子材料の開発が非常に望ましい。有望と思われる1つの手法は、小分子の堆積、及びその後の架橋または重合化学を含む、溶液プロセスである。この線に沿って、この領域で広範囲に及ぶ取り組みが行われているが、しかしながら、これらの化学物質は、それら独自の欠点を有する。具体的には、現在の技術では、望ましいプロセス条件で反応性末端基をほとんどまたは全く含まず、不溶性HTLフィルムを生成することはほぼ不可能である。
【0005】
ベンゾシクロブテン(BCB)基は、典型的には、200℃以上で熱活性化二量化を経る部分の一例であり、この場合、シクロブテンC−C結合のうちの1つの開裂、及びその後の不可逆的付加環化によって形成されるジベンゾシクロオクタジエン環を形成する。上述のシクロブテン環での酸素系ドナーの置換が、BCBの開環温度への劇的な効果を有することが、公開文献において文書化されており(Dobish,J.N.;Hamilton,S.K.;Harth,E.Polymer Chemistry 2012,3,857−860)、この現象はOLED用途にはまだ利用されていない。
【0006】
ベンゾシクロブテン(BCB)化学物質及びOLEDにおけるそれらの使用は、次の米国第2004/0004433号、米国第2008/0315757号、米国第2008/0309229号、米国第2010/0133566号、米国第2011/0095278号、米国第2011/0065222号、米国第2011/0198573号、米国第2011/0042661号、日本第2010/062120号、米国第7,893,160号、米国第2011/0089411号、米国第2007/0181874号、米国第2007/0096082号、中国第102329411号、米国第2012/0003790号、WO第2012/052704号、WO第2012/175975号、WO第2013/007966号、国際出願第PCT/CN14/084918号(8/21/14に出願)、米国仮第62/039,935号(8/21/14に出願)に記載されている。
【0007】
しかしながら、改善された正孔輸送材料のための新たな組成物、及びその改善された処理が依然として必要とされている。これらの必要性は、以下の発明によって満たされる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、構造Aから選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物を提供し、
【0010】
式中、R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
1が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
1)aが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
2が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
2)bが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
3が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
3)cが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、以下の構造B、構造C、構造D、または構造Eのベンゾシクロブテン構造から選択されることを条件とし、
B)
【0012】
式中、構造Bが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Bに関して、
1b)R
a1、R
a2、R
a3、またはR
a4のうちの1つが−L−であり、−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、
−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造B」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
2b)残りのR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
3b)R
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択される、
C)
【0014】
式中、構造Cが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Cに関して、
1c)R
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8のうちの1つが−L−であり、−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、
−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、
−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造C」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
2c)残りのR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
3c)R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択される、
D)
【0016】
式中、構造Dが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Dに関して、
1di)一方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合するベンゾシクロブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、またはR
a4のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、
−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、
−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、または4炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
1dii)他方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合する他方のベンゾシクロ−ブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、またはR
a4のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、
−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、
−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、または4炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
2d)Arが、置換または非置換C5−C60アリール基であり、
3d)−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、
−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、
−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、
−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造D」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
4di)一方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
4dii)他方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
5di)一方のベンゾシクロブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
5dii)他方のベンゾシクロブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択される、
E)
【0018】
式中、
構造Eが、−L−ではあるが構造Aに接続され、
構造Eに関して、
1ei)一方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合するベンゾシクロブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、
−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、
−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、
−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または6炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
1eii)他方の−L
1−に関して、この−L
1−に直接結合する他方のベンゾシクロ−ブテン部分のR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8のうちの1つが独立して、−L
1−であり、−L
1−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、−O−アルキレン−、
−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、
−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、−O−アリーレン−O−、
−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または6炭素環をArに結合する共有結合から選択され、
2e)Arが、置換または非置換C5−C60アリール基であり、
3e)−L−が、以下の−O−、−アルキレン−、−アリーレン−、
−O−アルキレン−、−O−アリーレン−、−O−アルキレン−アリーレン−、−O−アルキレン−O−、
−O−アルキレン−O−アルキレン−O−、−O−アリーレン−O−、−O−アルキレン−アリーレン−O−、−O−(CH
2CH
2−O)n−(式中、nは2〜20である)、−O−アルキレン−O−アルキレン−、−O−アルキレン−O−アリーレン−、
−O−アリーレン−O−、−O−アリーレン−O−アルキエン−、−O−アリーレン−O−アリーレン−、または「構造E」を「構造A」に結合する共有結合から選択され、
4ei)一方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
4eii)他方のベンゾシクロブテン部分の残りのR
a5、R
a6、R
a7、またはR
a8が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
5ei)一方のベンゾシクロブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択され、
5eii)他方のベンゾシクロブテン部分のR
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルから選択される、ならびに
構造Aに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造Aに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
従来のOLED用途において上で考察される欠点を軽減する架橋性BCB官能性材料が発見されている。正孔移動度の点に関して、BCB化学物質を導入するHTLコアにおける異なる付着点の使用が、架橋後の高分子構造を調整し、それにより、そのHTLコアの可撓性に影響を与えるために利用され得ることが発見されている。この手法は、互いに対する分子心のより効果的な積み重なりも可能にするはずであり、これはHTLフィルムにおける正孔の移動度を上昇させ、装置寿命及び効率を改善する。BCB化合物の4員環におけるアルキル、アルコキシ、フェノキシ等の異なる置換によって、本明細書に記載される本発明の組成物は、望ましい硬化温度及び硬化時間を伴う溶液処理条件も満たすことができる。
【0020】
本明細書に記載されるようなBCB誘導体を含有する組成物を使用して、ポリマーを形成することができることも発見されている。また、重合化学現象は、当該技術分野の他の化学反応と比較して実質的に低い温度で生じ得る。非置換BCB誘導体では、開環温度は、〜250℃の温度で生じることが知られている(Kirchhoff,R.A.;Bruza,K.J.Progress in Polymer Science 1993,18,85−185)。本発明において、酸素ドナーの置換は、100〜120℃の値までの開環温度の著しい減少をもたらし、これは、先行技術に勝る著しいプロセス利点を有する。
【0021】
1または2成分手法のいずれかで、いったん反応性o−キノジメタン部分が形成されると、ディールスアルダー反応が生じ、新たなC−C結合を生成することができることも発見されている。2成分手法の場合、外部のポリジエノフィルの追加は、反応性o−キノジメタン部分の完全な消費を可能にすることができ、より少ない反応性末端基を可能にする。反応性末端基は、HTLフィルム内に不純物を導入することがあり、これは装置寿命及び効率に悪影響を与えることがある。また、Frechet等は、ビス−(ジアリールアミノ)ビフェニル及び架橋性ベンゾシクロブテン側基を有するポリスチレンの溶液処理されたOLEDにおいて正孔輸送材料としての用途を開示する(Chem.Mater.2007,19,4827.)。対照的に、本発明の組成物は、装置性能に著しい利益を与える高い分子精度及び高純度を有する架橋性材料であることが発見されている。
【0022】
上で考察されるように、本発明は、上述のような構造Aから選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物を提供する:
【0024】
本発明の組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0025】
構造Aは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0026】
本明細書で用いる場合、R
1=R1、R
2=R2、R
3=R3などである。
【0027】
一実施形態では、構造Aは、以下の構造A−Iから選択され、
【0029】
式中、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
2−1、R
2−2、R
2−3、またはR
2−4のうちの1つが、(R
2)bであり、
式中、R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、及びR
1−9が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、またはR
1−9のうちの1つが、(R
1)aであり、
R
1−2及びR
1−3が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、またはハロゲンから選択され、
R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
3が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
3)cが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、構造B、構造C、若しくは構造D、または構造Eから選択されることを条件とし、
構造A−Iに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造A−Iに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい。さらなる実施形態では、架橋ポリマーは、構造A−Iを含む組成物から形成され、ポリマーは、次のS1:
S1)
【0031】
から選択される構造単位を含み、式中、n>1である。さらなる実施形態では、構造S1)に関して、R
2−1〜R
2−4は各々、水素である。さらなる実施形態では、構造S1)に関して、R
9〜R
12及びR
14〜R
17は各々、水素である。本発明は、構造単位S1)を含むポリマーから形成される少なくとも1つのフィルム層を備える装置も提供する。
【0032】
一実施形態では、構造Aは、以下の構造A−IIから選択され、
【0034】
式中、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4のうちの1つが、(R
2)bであり、
式中、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、及びR
3−5が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、またはR
3−5のうちの1つが、(R
3)cであり、
R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
Ar
1が、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、または非置換ヘテロアリールから選択され、
(R
1)aが、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、構造B、構造C、若しくは構造D、または構造Eから選択されることを条件とし、
構造A−IIに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造A−IIに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい。さらなる実施形態では、架橋ポリマーは、構造A−IIを含む組成物から形成され、ポリマーは、次のS2:
S2)
【0036】
から選択される構造単位を含み、式中、n>1である。さらなる実施形態では、構造S2)に関して、R
2−1〜R
2−4は各々、水素である。さらなる実施形態では、構造S2)に関して、R
9〜R
12及びR
14〜R
17は各々、水素である。本発明は、構造単位S2)を含むポリマーから形成される少なくとも1つのフィルム層を備える装置を提供する。
【0037】
一実施形態では、構造Aは、以下の構造A−IIIから選択され、
【0039】
式中、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
2−1、R
2−2、R
2−3、及びR
2−4のうちの1つが、(R
2)bであり、
式中、R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、及びR
1−9が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
1−1、R
1−4、R
1−5、R
1−6、R
1−7、R
1−8、またはR
1−9のうちの1つが、(R
1)aであり、
R
1−2及びR
1−3が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、またはハロゲンから選択され、
式中、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、及びR
3−5が各々独立して、以下の水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、R
3−1、R
3−2、R
3−3、R
3−4、またはR
3−5のうちの1つが、(R
3)cであり、
R
4〜R
19基が各々独立して、水素、炭化水素、置換炭化水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、またはヒドロキシルから選択され、
但し、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つが独立して、構造B、構造C、若しくは構造D、または構造Eから選択されることを条件とし、
構造A−IIIに関して、2つ以上のR基が、任意に1つ以上の環構造を形成してもよく、
構造A−IIIに関して、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよい。さらなる実施形態では、架橋ポリマーは、構造A−IIIを含む組成物から形成され、ポリマーは、次のS3:
S3)
【0041】
から選択される構造単位を含み、式中n>1である。さらなる実施形態では、構造S3)に関して、R
2−1〜R
2−4は各々、水素である。さらなる実施形態では、構造S3)に関して、R
9〜R
12及びR
14〜R
17は各々、水素である。本発明は、構造単位S3)を含むポリマーから形成される少なくとも1つのフィルム層を備える装置を提供する。
【0042】
一実施形態では、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つは独立して、構造Bから選択される。
【0043】
一実施形態では、構造Bに関して、−L−は、以下の−O−、−アルキレン、−O−アルキレン−、−O−フェニレン−、−O−アルキレン−フェニレン−、または「構造B」を「構造A」に結合する共有結合から選択される。
【0044】
一実施形態では、構造Bは、以下の構造(i)または(ii)から選択され、
【0046】
式中、Rは、水素、炭化水素、または置換炭化水素である。
【0047】
一実施形態では、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つは独立して、構造Cから選択される。
【0048】
一実施形態では、構造Cに関して、−L−は、以下の−O−、−アルキレン、−O−アルキレン−、−O−フェニレン−、−O−アルキレン−フェニレン、または「構造C」を「構造A」に結合する共有結合から選択される。
【0049】
一実施形態では、構造Cは、以下の構造(iii)または(iv)から選択され、
【0051】
式中、Rが、水素、炭化水素、または置換炭化水素であり、
【0053】
式中、R
1が、水素、炭化水素、または置換炭化水素であり、R
2が、水素、炭化水素、または置換炭化水素である。
【0054】
一実施形態では、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも1つは独立して、構造Dから選択される。
【0055】
一実施形態では、構造Dは、以下の構造(v)から選択され、
【0057】
式中、各Rは独立して、水素、炭化水素、または置換炭化水素である。
【0058】
一実施形態では、構造Aに関して、R
6〜R
11、R
13〜R
17、及びR
18〜R
19は各々、水素である。
【0059】
一実施形態では、構造Aに関して、R
9〜R
12及びR
14〜R
17は各々、水素である。
【0060】
一実施形態では、構造Aに関して、R
4、R
5、及びR
13は各々、水素である。
【0061】
一実施形態では、構造Aは、以下の構造(a)〜(r)から選択される:
【0064】
一実施形態では、構造Aは、500g/モル〜5000g/モル、または500g/モル〜2000g/モル、または500g/モル〜1000g/モルの分子量を有する。
【0065】
一実施形態では、構造Aは、2.30eV〜3.20eVの三重項エネルギーを有する。
【0066】
一実施形態では、構造Aに関して、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも2つ、及びさらに(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c基のうちの少なくとも2つは各々独立して、構造B、構造C、構造D、または構造Eのベンゾシクロブテン構造から選択される。
【0067】
一実施形態では、構造Aに関して、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの少なくとも3つ、及びさらに(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c基のうちの少なくとも3つは各々独立して、構造B、構造C、構造D、または構造Eのベンゾシクロブテン構造から選択される。
【0068】
一実施形態では、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの2つ、及びさらに(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c基のうちの2つは各々独立して、構造B、構造C、構造D、または構造Eのベンゾシクロブテン構造から選択される。
【0069】
一実施形態では、(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c、またはR
4〜R
19基のうちの3つ、及びさらに(R
1)a、(R
2)b、(R
3)c基のうちの3つは各々独立して、構造B、構造C、構造D、または構造Eのベンゾシクロブテン構造から選択される。
【0070】
一実施形態では、構造Aに関して、2つ以上のR基は、1つ以上の環構造を形成しない。
【0071】
一実施形態では、構造Aに関して、1つ以上の水素原子は、重水素で任意に置換されていない。
【0072】
本発明は、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの層Aを含むフィルムも提供する。
【0073】
本発明のフィルムは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0074】
本発明は、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。
【0075】
一実施形態では、物品は、エレクトロルミネセント装置である。
【0076】
本発明は、本発明のフィルムから形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。
【0077】
一実施形態では、物品は、エレクトロルミネセント装置である。
【0078】
本発明は、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を備えるエレクトロルミネセント装置も提供する。
【0079】
本発明の物品は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0080】
本発明の装置は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0081】
一実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つの重水素原子を含む。
【0082】
一実施形態では、構造Aの化合物は、99パーセントを超える純度を有する。
【0083】
一実施形態では、組成物は、構造Aから選択される少なくとも2つの化合物を含む。
【0084】
構造Aは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0085】
一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、50〜90重量パーセントの、構造Aから選択される少なくとも1つの化合物を含む。さらなる実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、70〜90重量パーセント、さらに90〜99重量パーセントの、構造Aから選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0086】
一実施形態では、組成物は、有機金属化合物、及びさらに金属キノレートをさらに含む。さらなる実施形態では、金属キノレートは、置換基を有するまたは有しないリチウムキノレートである。
【0087】
一実施形態では、有機金属化合物は、リチウムを含む。さらなる実施形態では、有機金属は、置換基を有するまたは有しないリチウムキノレートである。
【0088】
一実施形態では、構造Aの少なくとも1つの化合物対有機金属化合物の重量比は、9/1〜1/1、さらに4/1〜1/1、さらに3/2〜1/1である。さらなる実施形態では、有機金属化合物は、金属キノレートである。さらなる実施形態では、金属キノレートは、置換基を有するまたは有しないリチウムキノレートである。
【0089】
本発明の組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0090】
定義
「炭化水素」という用語は、本明細書で用いる場合、水素及び炭素原子のみを含有する化学基を指す。
【0091】
「置換炭化水素」という用語は、本明細書で用いる場合、少なくとも1つの水素原子がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換された炭化水素を指す。ヘテロ原子としては、O、N、P、及びSが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、OR’、NR’
2、PR’
2、P(=O)R’
2、SiR’
3が挙げられるが、これらに限定されず、各R’は、C
1−C
20ヒドロカルビル基である。ヒドロカルビル基の価数(モノ、ジ等)は、ヒドロカルビル基を含む分子の化学構造によって決定することができる。
【0092】
「アリール」という用語は、本明細書に記載されるように、そこから1つの水素原子を取り除くことによって芳香族炭化水素から生じる有機ラジカルを指す。アリール基は、単環式及び/または縮合環系であってもよく、その各環は、好適に4〜7個、好ましくは5〜6個の原子を含有する。2つ以上のアリール基が単結合(複数可)を介して組み合わせられた構造も含まれる。具体的な例としては、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル等が挙げられるが、これらに制限されない。ナフチルは、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり得、アントリルは、1−アントリル、2−アントリル、または9−アントリルであり得、フルオレニルは、1−フルオレニル、2−フルオレニル、3−フルオレニル、4−フルオレニル、及び9−フルオレニルのうちのいずれか1つであり得る。本明細書で用いる場合、アリールは、一価、二価、またはより高い価数の基を含む。アリールの価数は、アリールを含む分子の化学構造によって決定することができる。
【0093】
「置換アリール」という用語は、本明細書で用いる場合、少なくとも1つの水素原子がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたアリールを指す。ヘテロ原子としては、O、N、P、及びSが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、OR’、NR’
2、PR’
2、P(=O)R’
2、SiR’
3が挙げられるが、これらに限定されず、各R’は、C
30−C
100ヒドロカルビル基である。
【0094】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書に記載されるように、少なくとも1つの炭素原子またはCH基またはCH
2がヘテロ原子(例えば、B、N、O、S、P(=O)、Si、及びP)または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたアリール基を指す。ヘテロアリールは、1つ以上のベンゼン環(複数可)で縮合される5若しくは6員単環式ヘテロアリールまたは多環式ヘテロアリールであってもよく、部分的に飽和されてもよい。単結合を介して結合される1つ以上のヘテロアリール基(複数可)を有する構造も含まれる。ヘテロアリール基は、そのヘテロ原子が酸化または四級化され、N−オキシド、四級塩等を形成する二価アリール基を含み得る。具体的な例としては、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式ヘテロアリール基、ベンゾフラニル、フルオレノ[4、3−b]ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フルオレノ[4、3−b]ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチア−ジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、及びベンゾジオキソリル等の多環式ヘテロアリール基、ならびに対応するN−オキシド(例えば、ピリジルN−オキシド、キノリルN−オキシド)、及びそれらの四級塩が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いる場合、ヘテロアリールは、一価、二価、またはより高い価数の基を含む。ヘテロアリールの価数は、ヘテロアリールを含む分子の化学構造によって決定することができる。
【0095】
「置換ヘテロアリール」という用語は、本明細書で用いる場合、少なくとも1つの水素原子がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたヘテロアリールを指す。ヘテロ原子としては、O、N、P、及びSが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、OR’、NR’
2、PR’
2、P(=O)R’
2、SiR’
3が挙げられるが、これらに限定されず、各R’は、C
1−C
20ヒドロカルビル基である。
【0096】
「ポリマー」という用語は、本明細書で用いる場合、同じまたは異なる種類であるかを問わず、モノマーを重合することによって調製される高分子化合物を指す。このため、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がそのポリマー構造中及び/または構造内に組み込まれ得るということを理解して、一種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び以下で定義されるようなインターポリマーという用語を含む。
【0097】
「インターポリマー」という用語は、本明細書で用いる場合、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。このため、インターポリマーという総称は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0098】
実験
試薬及び試験方法
全ての溶媒及び試薬を商業用供給元から得て、可能な限りの最高純度で使用した、及び/または必要に応じて使用前に再結晶化させた。室内精製/分配システムから乾燥溶媒を得た(ヘキサン、トルエン、及びテトラヒドロフラン)、またはSigma−Aldrichから購入した。「水感受性化合物」に関わる全ての実験は、「炉乾燥」ガラス器内で、窒素雰囲気下で、またはグローブボックス内で行われた。反応をプレコートされたアルミニウム板(VWR 60 F254)上での分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)によって監視し、UV光及び/または過マンガン酸カリウム染色によって可視化した。GRACERESOLVカートリッジを用いるISCO COMBIFLASHシステム上でフラッシュクロマトグラフィーを実施した。
【0099】
モデリング
全ての算定は、Gaussian09プログラム
1を利用した。密度汎関数理論(DFT)法、B3LYP
2、及び6−31G*(5d)基底系
3を混成して用いて計算を実施した。一重項状態計算は閉殻近似を使用し、三重項状態計算は開殻近似を使用した。全ての値は、電子ボルト(eV)で見積もられる。基底一重項状態の最適化された幾何学の軌道エネルギーから、HOMO及びLUMO値を決定した。三重項エネルギーを、最適化された三重項状態及び最適化された一重項状態の総エネルギー間の差として決定した。
【0100】
1.Gaussian 09,Revision A.02,Frisch,M.J.、Trucks,G.W.、Schlegel,H.B.、Scuseria,G.E.、Robb,M.A.、Cheeseman,J.R.、Scalmani,G.、Barone,V.、Mennucci,B.、Petersson,G.A.、Nakatsuji,H.、Caricato,M.、Li,X.、Hratchian,H.P.、Izmaylov,A.F.、Bloino,J.、Zheng,G.、Sonnenberg,J.L.、Hada,M.、Ehara,M.、Toyota,K.、Fukuda,R.、Hasegawa,J.、Ishida,M.、Nakajima,T.、Honda,Y.、Kitao,O.、Nakai,N.、Vreven,T.、Montgomery,Jr.,J.A.、Peralta,J.E.、Ogliaro,F.、Bearpark,M.、Heyd,J.J.、Brothers,E.、Kudin,K.N.、Staroverov,V.N.、Kobayashi,R.、Normand,J.、Raghavachari,K.、Rendell,A.、Burant,J.C.、Iyengar,S.S.、Tomasi,J.、Cossi,M.、Rega,N.、Millam,J.M.、Klene,M.、Knox,J.E.、Cross,J.B.、Bakken,V.、Adamo,C.、Jaramillo,J.、Gomperts,R.、Stratmann,R.E.、Yazyev,O.、Austin,A.J.、Cammi,R.、Pomelli,C.、Ochterski,J.W.、Martin,R.L.、Morokuma,K.、Zakrzewski,V.G.、Voth,G.A.、Salvador,P.、Dannenberg,J.J.、Dapprich,S.、Daniels,A.D.、Farkas,O.、Foresman,J.B.、Ortiz,J.V.、Cioslowski,J.、Fox,D.J.,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2009。
【0101】
2.(a)Becke,A.D.J.Chem.Phys.1993,98,5648。(b)Lee,C.;Yang,W.;Parr,R.G.Phys.Rev B 1988,37,785。(c)Miehlich,B.;Savin,A.;Stoll,H.;Preuss,H.Chem.Phys.Lett.1989,157,200。
【0102】
3.(a)Ditchfield,R.;Hehre,W.J.;Pople,J.A.J.Chem.Phys.1971,54,724。(b)Hehre,W.J.;Ditchfield,R.;Pople,J.A.J.Chem.Phys.1972,56,2257。(c)Gordon,M.S.Chem.Phys.Lett.1980,76,163。
【0103】
NMR:
1H NMRスペクトルをVarian Mercury Plus 400MHzスペクトロメータ上に記録した。化学シフトをCDCl
3中のテトラメチルシラン(TMS)に対して報告した。
【0104】
LC/MS:
試料を約1mg/mLで、THF中で溶解した。1uLの溶液をLC/MS分析のために注入した。
器具:Agilent 1220HPLC/G6224A TOF質量分析計
カラム:Agilent eclipse−C18 4.6*50mm、1.7um
カラムオーブン温度:摂氏30度
溶媒:A:THF、B:水/ACN95/5中0.1%FA
勾配:0〜6分、40−80%A、9分間保持
流速:0.3mL/分
UV検出器:ダイオードアレイ254nm
MS条件:
キャピラリー電圧:3900kV(負)、3500kV(正)
モード:負及び正
スキャン:100〜2000amu
速度:1秒/スキャン
脱溶媒和温度:摂氏300度
【0105】
HPLC:
試料を約1mg検量し、次いで、1mLのテトラヒドロ−フランで希釈した。最後に0.45μmシリンジフィルタを通して試料溶液を濾過し、5μlの濾液をHPLCシステムに注入した。
【0107】
I)材料及び合成
本研究で使用された材料を、表1A及び1Bに示す。
【0110】
合成
N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−フェニル−9H−フルオレン−2−アミン(1)の合成
【0112】
スキーム1
N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(40.0g、110mmol)、ブロモベンゼン(23.4g、150mmol)、Pd(OAc)
2(616mg、2.75mmol)、X−Phos(1.57g、3.3mmol)、tBuOK(24.6g、220mmol)を、還流冷却器を具備する250mLの三つ口丸底フラスコに添加した。N
2雰囲気下での250mLの乾燥トルエンの添加後、懸濁液を90℃に加熱し、N
2の流動下で一晩撹拌した。室温への冷却後、水を添加し、有機層を分離した。溶媒を真空下で蒸発させ、さらに精製することなく残留物を次のステップに使用した(収率:95%)。MS(ESI):437.02[M+H]
+。
【0113】
N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−(4−ブロモフェニル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(2)の合成
【0115】
スキーム2
150mLのDMF中N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−フェニル−9H−フルオレン−2−アミン(1)(35.0g、80mmol)の溶液に、100mLのDMF中N−ブロモサクシニミド(NBS)(16.02g、90mmol)を30分にわたって滴加した。添加後、混合物を室温で12時間撹拌し、次いで水に注いで沈殿させた。固体を濾過し、ジクロロメタン及びエタノールから再結晶化させて、白色固体を得た(収率:92%)。MS(ESI):516.12[M+H]
+。
【0116】
7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル(4−ブロモフェニル)アミノ)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−カルバルデヒド(3)の合成
【0118】
スキーム3
0℃で、100mLのCH
2Cl
2中トリアリールアミン(25.8g、50mmol)の溶液に、100mLのCH
2Cl
2で希釈されたTiCl
4(54.6mL、500mmol)を30分にわたって添加した。混合物を、0℃でさらに30分間撹拌した。次いで、200mLのCH
2Cl
2中CH
3OCHCl
2(27.0mL、300mmol)を、30分にわたって滴加した。暗緑色の溶液を、0℃でさらに1時間撹拌した。完了後、水を砕氷とともにゆっくりと添加し、反応を停止させた。有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、塩水で連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を真空下で除去し、カラムクロマトグラフィーを通して残留物を精製し、粗生成物を得た(収率:55%)。MS(ESI):544.12[M+H]
+。
【0119】
4−(9H−カルバゾール−9−イル)ベンズアルデヒド(4)の合成
【0121】
スキーム4
60mLの乾燥DMF中9H−カルバゾール(9.53g、57mmol)、4−ブロモベンズアルデヒド(21.1g、114mmol)、ヨウ化銅(I)(1.80g、9.4mmol)、K
2CO
3(11.8g、86mmol)の混合物を、窒素雰囲気下で12時間、140℃に加熱した。室温への冷却後、無機固体を濾過し、残留物を氷水に注いで生成物を沈殿させた。そのように形成される固体を収集し、水、エタノールで数回洗浄し、次いで、CH
2Cl
2及びエタノールから結晶化させて、薄黄色の固体を得た(収率:95%)。MS(ESI):272.10[M+H]
+。
【0122】
4−(3−ブロモ−9H−カルバゾール−9−イル)ベンズアルデヒド(5)の合成
【0124】
スキーム5
100mLのDMF中4−(9H−カルバゾール−9−イル)ベンズアルデヒド(26.6g、98mmol)の溶液に、100mLのDMF中NBS(17.4g、98mmol)を30分にわたって滴加した。添加後、混合物を室温で12時間にわたって撹拌した。溶液を氷水に注いで生成物を沈殿させた。濾過後、固体を収集し、水、エタノールで数回洗浄し、次いで真空下で乾燥させ、さらに精製することなく次のステップに使用した(収率:96%)。MS(ESI):350.01[M+H]
+。
【0125】
4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−9−イル)ベンズアルデヒド(6)の合成
【0127】
スキーム6
3−ブロモ−9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール(10.51g、30mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(9.14g、36mmol、253)、Pd(dppf)
2Cl
2(571mg、0.75mmol)、CH
3COOK(4.41g、45mmol)、及び60mLの乾燥ジオキサンの混合物を、窒素雰囲気下で12時間にわたって85℃で加熱した。室温への冷却後、溶媒を真空下で除去し、次いで水を添加した。混合物をCH
2Cl
2で抽出した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を蒸発させて溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーを通して精製し、白色固体を得た(収率:84%)。MS(ESI):398.16[M+H]
+。
【0128】
7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル(4−(9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)アミノ)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−カルバルデヒド(7)の合成
【0130】
スキーム7
6(0.7g、1.76mmol)、3(0.8g、1.47mmol)、Pd(PPh
3)
4(76mg、0.064mmol)、2M K
2CO
3(0.8g、6mmol、3mLのH
2O)、3mLのエタノール、及び3mLのトルエンの混合物を、窒素雰囲気下で12時間、90℃で加熱した。室温への冷却後、溶媒を真空下で除去し、残留物をCH
2Cl
2で溶解した。有機層を水で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を蒸発させて溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーを通して精製し、白色固体を得た(収率:85%)。MS(ESI):735.29[M+H]
+。
【0131】
(7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル(4−(9−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)アミノ)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−3−イル)メタノール(8)の合成
【0133】
スキーム8
40℃の10mLのTHF及び10mLのエタノール中7(734mg、1mmol)の溶液に、NaBH
4(302mg、8mmol)を窒素雰囲気下で添加した。溶液を室温で2時間にわたって撹拌させた。次いで、塩酸水溶液をpH5まで添加し、混合物を30分間撹拌し続けた。溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した。次いで生成物を真空下で乾燥させ、さらに精製することなく次のステップに使用した。MS(ESI):739.32[M+H]
+。
【0134】
N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イルオキシ)メチル)−N−(4−(9−(4−(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イルオキシ)メチル)フェニル)−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(9)の合成
【0136】
スキーム9
50mLの乾燥DMF中8(3.69g、5mmol、738)の溶液に、NaH(432mg、18mmol、24)を添加し、次いで混合物を室温で1時間撹拌した。次いでBCB−Br(2.75g、15mmol、183)を、注射器を介して上述の溶液に添加した。混合物を24時間にわたって60℃に加熱した。水で反応停止させた後、混合物を水に注いでDMFを除去した。残留物を濾過し、結果として生じる固体をジクロロメタンで溶解し、次いで、それを水で洗浄した。溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した。次いで、溶離液としてPE:EA(5:1)のシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって、生成物を得た。MS(ESI):943.42[M+H]
+。
【0137】
3−ブロモ−9−(4−ブロモフェニル)−9H−カルバゾール(10)の合成
【0139】
スキーム10
150mLのDMF中9(4−ブロモフェニル)−9H−カルバゾール(32.2g、100mmol)の溶液に、100mLのDMF中N−ブロモサクシニミド(NBS)(17.8g、100mmol)を30分にわたって滴加した。添加後、混合物を室温で12時間撹拌し、次いで水に注いで生成物を沈殿させた。固体を濾過し、ジクロロメタン及びエタノールから再結晶化させて、白色固体を得た(収率:92%)。MS(ESI):402.09[M+H]
+。
【0140】
9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール−3−カルバルデヒド(11)の合成
【0142】
スキーム11
THF(500mL)中10(8.02g、20mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中24mLの2.5M溶液、60mmol)を、−78℃の内部温度を維持する速度で添加した。混合物を−78℃で1時間にわたって撹拌し、10mLのDMFに10mLのTHFを滴加した。添加後、反応混合物を−45℃で30分間、0℃でさらに30分間撹拌した。NH
4Cl飽和水溶液(400mL)を添加した。層を分離し、水層をエーテル:CH
2Cl
2(2×100mL、9:1)の溶液で洗浄した。組み合わせた有機層をH
2O、NaCl飽和水溶液で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残余物を、カラムクロマトグラフィーを通してさらに精製して、粗生成物を得た(収率:65%)。MS(ESI):300.09[M+H]
+。
【0143】
6−ブロモ−9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール−3−カルバルデヒド(12)の合成
【0145】
スキーム12
DCM(20mL)中11(0.898g、3mmol、1.00当量)の溶液に、NBS(0.587mg、3.3mmol)を添加した。4時間の撹拌後、形成された沈殿物を濾過し、エタノールで洗浄して生成物を得た(収率:84%)。MS(ESI):378.01[M+H]
+。
【0146】
N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン(13)の合成
【0148】
スキーム13
2(15.48g、30mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(9.14g、36mmol)、Pd(dppf)
2Cl
2(571mg、0.75mmol)、CH
3COOK(4.41g、45mmol)、及び60mLの乾燥ジオキサンの混合物を、窒素雰囲気下で12時間、85℃で加熱した。室温への冷却後、溶媒を真空下で除去し、次いで水を添加した。混合物をCH
2Cl
2で抽出した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を蒸発させて溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーを通して精製し、白色固体を得た(収率:84%)。MS(ESI):564.30[M+H]
+。
【0149】
6−(4−([1,1’−ビフェニル]−4−イル(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミノ)フェニル)−9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール−3−カルバルデヒド(14)の合成
【0151】
スキーム14
12(0.756g、2mmol)、13(1.24g、2.2mmol)、Pd(OAc)
2(12.8mg、0.06mmol)、及びX−Phos(28.6mg、0.06mmol)の混合物を、20mLの「2.0MのNa
2CO
3水溶液:エタノール:トルエンの1:1:2混合物」に添加した。反応混合物を90℃の窒素雰囲気下で一晩撹拌し、次いでEtOAcに注いだ。有機物を水及び塩水で洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーを通して精製し、黄色固体を得た(収率:64%)。MS(ESI):735.29[M+H]
+。
【0152】
(4−(3−(4−([1,1’−ビフェニル]−4−イル(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミノ)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)メタノール(15)の合成
【化32】
【0153】
スキーム15
40℃の10mLのTHF及び10mLのエタノール中14(734mg、1mmol)の溶液に、NaBH
4(302mg、8mmol)を窒素雰囲気下で添加した。溶液を室温で2時間にわたって撹拌させた。次いで、塩酸水溶液をpH5まで添加し、混合物を30分間撹拌し続けた。溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した。次いで生成物を真空下で乾燥させ、さらに精製することなく次のステップに使用した。MS(ESI):739.32[M+H]
+。
【0154】
N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−(4−(6−(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2,4−トリエン−7−イルオキシ)メチル)−9−(4−(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2,4−トリエン−7−イルオキシ)メチル)フェニル)−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(16)の合成
【0156】
スキーム16
50mLの乾燥DMF中15(3.69g、5mmol、738)の溶液に、NaH(432mg、18mmol)を添加し、次いで混合物を室温で1時間撹拌した。次に、BCB−Br(2.75g、15mmol)を、注射器を介して上述の溶液に添加した。混合物を24時間にわたって60℃に加熱した。水で反応停止させた後、混合物を水に注いでDMFを除去した。残留物を濾過し、結果として生じる固体をジクロロメタンで溶解し、次いで、それを水で洗浄した。溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した。次いで、溶離液としてPE:EA(5:1)のシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって、生成物を得た。MS(ESI):943.42[M+H]
+。
【0157】
本発明の組成物を使用して、エレクトロルミネセント装置で使用するための正孔輸送材料を形成することができる。例えば、本発明の組成物を使用して、以下のような「発光装置」を形成することができる。酸化インジウムスズ(ITO)ガラス基板(2*2cm)が清潔にされ、次いで、UVオゾン洗浄剤で15分間処理され得る。正孔注入層(HIL)材料は、グローブボックス(例えば、アルゴン雰囲気)内で水溶液からITO基板にスピンコーティングされ、150℃で20分間焼鈍され得る。基板は、HTL層の堆積のために熱蒸発器に移され得る。本発明の組成物(HTL)に関して、組成物は、アニソール溶液から堆積され、有機溶媒を除去するために150℃で10分間焼鈍され得る。その後、高分子HTLの架橋は、205℃で10分間、グローブボックス内のホットプレート上で行われ得る。次いで、放出層(EML)、電子移送層(ETL)、及びカソードが、連続して堆積され得る。最後に、装置は試験前に密封され得る。
【国際調査報告】