(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-531413(P2017-531413A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】太陽電池パネル洗浄システムの予測保守および推測パターン
(51)【国際特許分類】
H02S 40/10 20140101AFI20170922BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20170922BHJP
A47L 11/38 20060101ALI20170922BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
H02S40/10
H04M11/00 301
A47L11/38
H04Q9/00 311J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-576031(P2016-576031)
(86)(22)【出願日】2015年6月28日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月18日
(86)【国際出願番号】IL2015050666
(87)【国際公開番号】WO2016001916
(87)【国際公開日】20160107
(31)【優先権主張番号】14/322,657
(32)【優先日】2014年7月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517031856
【氏名又は名称】エコッピア サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】メラー,エラン
(72)【発明者】
【氏名】メラー,モッシュ
【テーマコード(参考)】
5F151
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
5F151KA07
5K048AA14
5K048BA22
5K048DA02
5K048DB01
5K048DC01
5K048DC03
5K048EB02
5K048EB10
5K048FC03
5K048GC06
5K201BA01
5K201BA02
5K201CB16
5K201CC02
5K201CC08
5K201DC02
5K201EC06
5K201ED08
5K201ED09
5K201EE14
5K201EF09
(57)【要約】
保守時間枠を予測して、太陽電池パネルを洗浄するロボットシステムの洗浄サイクルを開始および回避するシステムおよび方法。学習アルゴリズムを使用し、本システムおよび方法は、洗浄サイクルに影響を及ぼす様々なロボットシステム、外部センサー、供給源およびフィードによって受信されたデータの収集、監視および傾向分析の実施に基づく。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを洗浄するロボットシステムの保守または洗浄サイクルを制御するための方法であって:
前記ロボットシステムに関する運用データを取得することと、
前記太陽電池パネルの区域に関連する環境データを取得することと、
プロセッサを使用して、前記取得した運用データおよび前記取得した環境データに基づき、前記ロボットシステムの制御または保守のための勧告を判断することと、
前記勧告を認定ユーザーに出力することと
を含み、
それにより、前記勧告が、前記太陽電池パネルの前記ロボットシステムによる保守または洗浄サイクルを開始することと、前記太陽電池パネルの前記ロボットシステムによる事前に予定された保守または洗浄サイクルを終了することと、前記太陽電池パネルの前記ロボットシステムによる事前に予定された保守または洗浄サイクルを調整することと、正常から逸脱した前記ロボットシステムの運用性能の説明を提供することと、前記ロボットシステムの構成要素の予定より早い交換を指示するか、または前記ロボットシステムの構成要素の、その次の定期保守中での交換を指示することとを含む、方法。
【請求項2】
前記勧告に応答して、前記ユーザーから前記プロセッサにおいて入力を受信することと、
前記プロセッサを使用して、前記認定ユーザーの入力の学習プロセスに基づき、後続の勧告を調整することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記太陽電池パネルの前記区域に関連する環境データを取得する前記ステップが、前記太陽電池パネルの前記区域に設置された風センサーを使用して、風速に関連するデータを取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記太陽電池パネルの前記区域に関連する環境データを取得する前記ステップが、前記太陽電池パネルの前記区域に設置された湿度センサーを使用して、湿度に関連するデータを取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記太陽電池パネルの前記区域に関連する環境データを取得する前記ステップが、前記太陽電池パネルの前記区域に設置された視界センサーを使用して、視界に関連するデータを取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記太陽電池パネルの区域に関連する環境データを取得する前記ステップが、前記プロセッサにおいて、気象情報の少なくとも1つの外部供給源から環境データを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ロボットシステムに関する運用データを取得する前記ステップが、前記ロボットシステムの電池を充電する時間、前記電池の最小充電レベル、および前記電池の最大充電レベルに関する情報を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセッサがアクセス可能なデータベース内に、前記ロボットシステムの運用に関する履歴データを格納することをさらに含み、前記運用データが、前記データベース内の前記履歴データから取得された正常な運用データから逸脱する場合に限り、勧告が前記プロセッサによって判断される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
一般的なソーラーパーク内で太陽電池パネルを洗浄する複数のロボットシステムの保守または洗浄サイクルを制御するための方法であって、
前記ロボットシステムの各々に関する運用データを前記ロボットシステムと関連付けられたセンサーを使用して取得することと、
前記ソーラーパークの区域に関連する環境データを、環境センサーを使用して取得することと、
前記運用データおよび環境データを定期的な間隔で収集することと、
運用データおよび環境データの定期的な間隔での各収集に対して、プロセッサを使用して、各ロボットシステムの構成要素が所定の期間、運用上の逸脱を経験しているかどうかを判断し、経験している場合に限り、プロセッサを使用して、他のロボットシステムの前記同じ構成要素が前記同じ運用上の逸脱を経験しているかどうかの判断し、そうでない場合、前記ロボットシステムの前記構成要素を交換すべきであるという勧告を認定ユーザーに出力し、そうである場合は、環境要因が前記運用上の逸脱を引き起こしているかどうかを判断し、そうである場合、前記ロボットシステムの前記運用の変更に着手すべきであるという勧告を前記認定ユーザーに出力し、そうでない場合には、前記ロボットシステムの前記構成要素の残りの耐用寿命が前記構成要素の格納された耐用寿命の閾値より少なければ、前記構成要素は、予定された交換よりも前に交換すべきであるという勧告を前記認定ユーザーに出力することと、
を含む、方法。
【請求項10】
太陽電池パネルを洗浄するロボットシステムの保守または洗浄サイクルを制御するためのシステムであって、
前記ロボットシステムに関する運用データを取得するマスター制御ユニットと、
前記マスター制御ユニットに結合されていて、前記太陽電池パネルの区域に関連する環境データを取得して、前記マスター制御ユニットによって取得された前記運用データおよび前記取得した環境データに基づき前記ロボットシステムの制御または保守に対する勧告を判断するサーバーであって、前記勧告を認定ユーザーに出力するように構成された前記サーバーと
を含み、
それにより、前記勧告が、前記太陽電池パネルの前記ロボットシステムによる保守または洗浄サイクルを開始することと、前記太陽電池パネルの前記ロボットシステムによる事前に予定された保守または洗浄サイクルを終了することと、前記太陽電池パネルの前記ロボットシステムによる事前に予定された保守または洗浄サイクルを調整することと、正常から逸脱した前記ロボットシステムの運用性能の説明を提供することと、前記ロボットシステムの構成要素の予定より早い交換を指示するか、または前記ロボットシステムの構成要素の、その次の定期保守中での交換を指示することとを含む、
システム。
【請求項11】
前記サーバーが、前記勧告に対する前記ユーザーによる応答を査定し、以前に提供された勧告に対する前記認定ユーザーの応答の学習プロセスに基づき、後続の勧告を調整するようにさらに構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記太陽電池パネルの前記区域に設置された風センサーをさらに含み、前記風センサーが風速に関連するデータを取得して、前記データを前記サーバーに前記マスター制御ユニットを経由して提供する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記太陽電池パネルの前記区域に設置された湿度センサーをさらに含み、前記湿度センサーが湿度に関連するデータを取得して、前記データを前記サーバーに前記マスター制御ユニットを経由して提供する、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記太陽電池パネルの前記区域に設置された視界センサーをさらに含み、前記視界センサーが視界に関連するデータを取得して、前記データを前記サーバーに前記マスター制御ユニットを経由して提供する、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記サーバーが、前記太陽電池パネルの区域に関連する環境データを、気象情報の少なくとも1つの供給源から直接、取得するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記マスター制御ユニットによって取得された前記運用データが、前記ロボットシステムの電池を充電する時間、前記電池の最小充電レベル、および前記電池の最大充電レベルを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記サーバーが、前記ロボットシステムの運用に関する履歴データがその中に格納されるデータベースを含み、前記運用データが、前記データベース内の前記履歴データから取得された正常な運用データから逸脱する場合に限り、前記サーバーが勧告を判断するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
太陽電池パネルを洗浄するロボットシステムの構成要素のリスクプロファイルを取得するための方法であって、
前記構成要素に関する運用データを取得することと、
プロセッサを使用して、前記取得した運用データに基づき、前記構成要素の各々の寿命の終わりのリスクプロファイルを判断することと、
傾向分析に基づき、前記リスクプロファイルを勧告と共に認定ユーザーに出力することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記リスクプロファイルを判断する前記ステップが、プロセッサを使用して、各構成要素の寿命の終わりの確率を時間の関数として推定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記勧告に応答した、前記ユーザーからの入力を前記プロセッサにおいて受信することと、
前記プロセッサを使用して、前記認定ユーザーの入力の学習プロセスに基づき、後続の勧告を調整することと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、太陽電池パネル洗浄システムの挙動の解析に関し、より詳細には、洗浄システムに影響を及ぼす環境要因を考慮して、保守時間枠ならびに最適な洗浄時間間隔および頻度の必要性を評価するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルの表面は、高品質ガラスで作られていて、それらが生成する再生可能エネルギーの効率は、とりわけ、ガラス表面の清浄度に依存する。太陽電池パネル上のダストに起因して、エネルギー損失は、40パーセント(40%)を上回り得る。太陽電池パネルは、多くの場合、日光が豊富な地域にまとめて集中しており、太陽電池パネルのかかる集中は、しばしば、ソーラーパークと呼ばれる。ほとんどのソーラーパークは、太陽放射が強くて、ダスト状態への曝露が高い砂漠地帯に設置されるので、太陽電池パネルの洗浄は絶対不可欠になる。
【0003】
保守費用を最小限にして信頼性を最大限にするために、ソーラーパーク会社が太陽電池パネルの洗浄を実施するためにロボットシステムを配備して、太陽電池パネル洗浄システムの様々な部品の保守だけでなく、太陽電池パネル洗浄のための最適時間を判断することは有益であろう。これらの部品には、自動化構成要素、ロボット、伝動ベルト、電池、および本発明が関連する分野の当業者に周知の他の構成要素を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従って、太陽電池パネルを洗浄するロボットシステムの洗浄サイクルを制御するための方法は、ロボットシステムに関する運用データを収集すること、太陽電池パネルの区域に関連する環境データを、例えば、太陽電池パネルの区域内の様々な環境センサーから、および/または自身で気象センサーを使用する定評のある気象情報提供チャンネルなどの気象情報源から直接、収集すること、ならびに収集した運用データおよび収集した環境データに基づき、プロセッサを使用して、ロボットシステムの制御に対する勧告を判断することを含む。勧告は、1人以上の認定ユーザーに、例えば、インターネットおよび1つ以上の通信ネットワークを経由して出力される。勧告は、太陽電池パネルのロボットシステムによる予定外の洗浄サイクルを開始すること、太陽電池パネルのロボットシステムによる事前に予定された洗浄サイクルを終了すること、太陽電池パネルのロボットシステムによる事前に予定された洗浄サイクルを調整すること、正常から逸脱したロボットシステムの運用性能の説明を提供すること、ロボットシステムの構成要素の予定より早い交換を指示すること、およびロボットシステムの構成要素のその次の定期保守中での交換を指示することを含み得る。
【0005】
一般的なソーラーパーク内で太陽電池パネルを洗浄する複数のロボットシステムの保守または洗浄サイクルを制御するための別の方法は、ロボットシステムの各々に関する運用データをロボットシステムと関連付けられたセンサーを使用して取得すること、ソーラーパークの区域に関連する環境データを(太陽電池パネルの全部に適用可能であり得る)環境センサーを使用して取得すること、運用データおよび環境データを定期的な間隔で収集すること、ならびに運用データおよび環境データの各集合について定期的な間隔で、各ロボットシステムの構成要素が所定の期間、運用上の逸脱を経験しているかどうかを、プロセッサを使用して判断することを含む。運用データおよび環境データは、異なる場所で収集されて、プロセッサを含むサーバーに転送され得る。
【0006】
1つのロボットシステムの構成要素が所定の期間、運用上の逸脱を経験している場合、他のロボットシステムの同じ構成要素が同じ運用上の逸脱を経験しているかどうかの判断(運用性能の比較分析)が行われる。そうでない場合、すなわち、そのロボットシステムの1つの構成要素だけが運用上の逸脱を経験している場合、そのロボットシステムのその構成要素を交換すべきであるという勧告が認定ユーザーに出力され得る。
【0007】
そうでなく、ソーラーパーク内のそのロボットシステムの同じ構成要素の複数または全部が同じ運用上の逸脱を経験している場合、環境要因がその運用上の逸脱を引き起こしているかどうかの判断が行われ、そうである場合、ロボットシステムの運用の変更に着手すべきであるという勧告が認定ユーザーに出力され得る。これは、例えば、全部のロボットシステムの同じ構成要素に影響を及ぼす砂塵嵐または曇り空がある、例えば、ロボットシステムによって洗浄されている太陽電池パネルで生成されている太陽エネルギーによって充電される電池の充電時間が通常の充電時間を超えて増加している場合に出力されるであろう。
【0008】
そうでなく、環境要因が運用上の逸脱の原因でない場合、ロボットシステムの構成要素の残りの耐用寿命がその構成要素の格納された耐用寿命の閾値より少なければ、その構成要素は、予定された交換よりも前に交換すべきであるという勧告が認定ユーザーに出力される。
【0009】
本発明に従って太陽電池パネルを洗浄するロボットシステムの洗浄サイクルを制御するためのシステムは、ロボットシステムに関する運用データを収集するマスター制御ユニット、ならびにマスター制御ユニットに結合されていて、太陽電池パネルの区域に関連する環境データを取得して、マスター制御ユニットによって収集された運用データおよび取得した環境データに基づきロボットシステムの制御に対する勧告を判断するサーバーを含む。サーバーは、次いで、1人以上の認定ユーザーに勧告を出力する。勧告は、上述の通りであり得る。
【0010】
本発明に従って太陽電池パネルを洗浄する少なくとも1つのロボットシステムの1つ以上の構成要素のリスクプロファイルを取得するための方法は、構成要素と関連付けられたセンサーまたは、その構成要素の運用効率に関するデータを供給するものを使用して、その構成要素に関する運用データを収集すること、プロセッサを使用して、収集した運用データに基づき構成要素の各々の寿命の終わりのリスクプロファイルを判断すること、および外部システムが、例えば、傾向分析に基づき、1人以上の認定ユーザーに勧告を提供できるようにするために、リスクプロファイルを外部システムに出力すること、を含む。
【0011】
本発明は、そのさらなる目的および利点と共に、以下の説明を添付の図面と併せて参照することにより最も良く理解され得、図面中、同様の参照番号は同様の要素を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に従った太陽電池パネル洗浄システムの保守時間枠ならびに最適な洗浄時間間隔および頻度の必要性を評価するためのシステムの主要な構成要素の概略図である。
【
図2】太陽電池パネル洗浄システムの制御のための勧告を生成するための例示的で限定されない方法の流れ図である。
【
図3】特定の電池の寿命の終わりを推測して、必要なら、電池の保守時間枠および/または電池の交換に対する勧告を提供するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照すると、
図1は、本発明の一実施形態に従って、収集、格納、分析、ならびに既存の定期的な保守時間枠および/または洗浄サイクルへの介入の必要性の評価を行うためのシステムの図的説明である。本システムは、1つのロボット太陽電池パネル洗浄システムまたは、クライアント1、クライアント2、...、クライアントNとして表現され、以下、クライアントと呼ぶ、かかるロボット太陽電池パネル洗浄システムの複数もしくはクラスタを含む。各ロボット太陽電池パネル洗浄システムは、耐用寿命があって、通常、不確定期間の後に使いきる構成要素を含む。
【0014】
本システムは、湿度センサー、風センサー、視界センサー、雨センサー、および環境状態に関する情報を提供する他のセンサーなどの、1つ以上の外部センサー3も含む。これらの外部センサー3は、リアルタイム情報を監視するように構成され得る。かかる外部センサー3は恐らく、クライアント2およびそれらが洗浄する太陽電池パネルに影響する外部状況に関する位置固有データを提供するために、クライアント2の近くに、すなわち、クライアント2によって洗浄されている太陽電池パネルの区域内に置かれるであろう。外部センサー3は、クライアント2にも接続され得る、例えば、クライアント2のフレーム上に取り付けられ得る。
【0015】
クライアント2および外部センサー3はマスター制御ユニット1と、通常は、RF通信ネットワークを経由して通信する。例えば、データの受信および送信を行うために、各クライアント2は、スター型トポロジーでRFを経由してマスター制御ユニット1と通信し得る。外部センサー3も、RFを経由して取得または収集した情報をマスター制御ユニット1に伝送する。従って、外部センサーおよびクライアント2とマスター制御ユニット1との間の通信、または外部センサーおよびクライアント2からマスター制御ユニット1への伝送は、好ましくは無線であるが、有線接続も使用され得る。
【0016】
クライアント2および外部センサー3と、マスター制御ユニット1との間の通信リンクは、マスター制御ユニット1が特定のデータをクライアント2および外部センサー3から受信するのを可能にして、クライアント2を、個別に、もしくはまとめて、起動するか、もしくは動作停止させるか、または他の方法でクライアント2の各々を制御できるようにする。クライアント2からのデータは、例えば、クライアント2および/またはその構成要素の動作を監視する1つ以上のセンサーから取得した、構成要素に関連する運用データであり、どのセンサーおよびそれらが情報を取得する方法は、本発明が関連する分野の当業者には容易に確認できるであろう。
【0017】
対象の、運用データには、クライアント2に電力を供給する充電式電池の状態、この電池の充電時間、および電池の充電のための洗浄期間を含み得る。運用データは、洗浄システムの各伝動ベルトの状態を近似できるようにする洗浄サイクルの数も含み得る。
【0018】
マスター制御ユニット1は生の、および/または処理された情報を、少なくとも1つのアンテナ4および、インターネットなどの、少なくとも1つのデータネットワーク5を経由して、サーバー8に送信する。マスター制御ユニット1からサーバー8に情報を伝達する他の技術も、本発明の範囲内である。マスター制御ユニット1から受信した情報を使用すると、サーバー8は、個々のクライアント2のパターンを追跡し、こられのパターンからクライアント固有のリスクプロファイルを、例えば、傾向分析を使用して、推測することが可能である。
【0019】
クライアント2の構成要素の寿命の終わりのリスクプロファイルは、例えば、構成要素が故障しそうで、近いうちに交換する必要がある場合に、推測され得る。リスクプロファイルは、勧告のように、または勧告の一部として、エンドユーザー10に提供される、データファイル、メッセージなどの形式であり得る。この目的のために、サーバー8は、本発明が関連する分野の当業者には容易に明らかであるように、適切な処理ハードウェアおよびソフトウェアを含む。この処理ハードウェアは、例えば、データベース6およびプロセッサ7を含む。
【0020】
プロセッサ7は、当技術分野で周知の任意の適切な種類の計算ハードウェアを含み得、任意選択で、本明細書で説明する機能の少なくとも一部を実行するための、周辺構成要素だけでなく、専用またはプログラム可能ハードウェアによって補足され得る。
【0021】
クライアント2の構成要素の寿命の終わりのリスクプロファイルを査定する目的で検討される運用データに加えて、サーバー8は、クライアント2の洗浄操作も、分析し、査定して、潜在的に調整を勧告する。この目的のため、サーバー8は、好ましくは、外部センサー3によって取得されるものに加えて、風の状態、視界、雨、および湿度などの、様々な情報を考慮する。この情報は、通常、Accuweatherまたは他の商用の気象情報供給源(
図1に外部供給源およびフィード9として一般に示す)などの、他のサーバーからの適切な情報フィードから取得される。
【0022】
運用中、サーバー8は、各クライアント2およびその構成要素に関する運用上の入力(例えば、電池状態、充電時間、洗浄期間、洗浄サイクルの数など)と共に外部センサー3によって取得された情報を受信して、かかる情報をデータベース6に格納する。サーバー8は、位置ベースの情報を、現在および予報の気象状態に関する他のサーバーからの適切なフィード9からも受信する。
【0023】
受信した内部および外部情報に基づき、サーバー8は、データを処理および分析し、必要であるか、または求められた場合は、サーバー8は、認定エンドユーザーまたはエンドユーザー10に、インターネットなどのデータネットワーク5およびアンテナ4を経由して、勧告を提供する。勧告は、効果的な保守および最適な洗浄時間に関する。勧告はエンドユーザー10にリアルタイムで向けることができる。
【0024】
勧告は、サーバー8によって生成されて、エンドユーザー10に、例えば、エンドユーザー10の携帯情報端末(PDA)に、データネットワーク5およびアンテナ4を経由して、向けられたデータファイル、メッセージ、および同様のものの形式であり得る。データファイルは、例えば、勧告をPDAのディスプレイ上に表示するために、エンドユーザー10のPDAによって処理できる。データファイルは、エンドユーザー10による応答入力も可能にし得る。
【0025】
認定エンドユーザー10は、次いで、勧告を受け入れたいか、または拒否したいかを判断でき、必要であれば、エンドユーザー10は、クライアント2の1つ以上またはその構成要素に対する制御に影響を及ぼすために、PDAを介して、マスター制御ユニット1に向けられるコマンドを入力できる。エンドユーザー10は、PDAのユーザーインタフェースを使用し、入力されたコマンドはアンテナ4(
図1に示すように)を経由してマスター制御ユニット1に提供され得る。このように、エンドユーザー10は、制御コマンドを、マスター制御ユニット1に発行することによりクライアント2に対する制御を実行することができ、マスター制御ユニット1は、その入力されたコマンドをクライアント2による動作に変換してそれらの動作を変更する。
【0026】
サーバー8によって生成された勧告は、保守または洗浄サイクルのいずれかに関連し得、どちらの場合も、それは、保守もしくは洗浄サイクルの開始のトリガー、定期保守もしくは洗浄サイクルの回避、定期保守もしくは洗浄サイクルの変更、構成要素の交換の指示、構成要素の検査の指示または構成要素の交換の期間短縮の提案を行い得る。勧告は、特定のクライアント2もしくは複数のクライアント2、1つ以上のクライアント2が設置されている特定のソーラーパーク、または各々に1つ以上のクライアント2が設置されている複数のサイト、のいずれかに対するものであり得る。
【0027】
サーバー8が開始する勧告の一部は、好ましくは、複数の供給源、例えば、クライアント2またはマスター制御ユニット1によって提供されたクライアント2およびそれらの定期保守と洗浄サイクルの現在の状態、外部センサー3によって提供された環境情報、ならびに外部供給源およびフィード9から取得した追加の環境情報、から導出されたパターンに基づく。
【0028】
例えば、サーバー8は、特定のソーラーパーク内での風速に起因するリスクプロファイルを推測できる。19:00に40km/時の最大風速制限で、クライアント2の事前にプログラムされた毎日の洗浄サイクルがある状況で、サーバー8が、18:05〜18:45の間に、15〜35km/時の風速が、10分間隔で約5km/時の正の傾向で存在するという情報を受信した場合、サーバー8は、洗浄中に所定の閾値を上回り得る風速の正の傾向のために、クライアント2の次回の洗浄を回避する(延期する)勧告を認定ユーザー10に提供し得る。
【0029】
他の例では、サーバー8によるシステム分析により、突然の砂塵嵐の結果として1つ以上のクライアント2の洗浄サイクルの開始となり得る。サーバー8が、視界センサー(外部センサー3の1つ)およびAccuweatherなどの外部供給源9からのデータを収集し、ある時点において、かかるデータから限られた視界しかないと査定すると仮定すると、適切な勧告は、激しい砂塵嵐に起因して、全てのクライアント2を開始することであろう。エンドユーザー10が勧告を受信した後にかかる洗浄を認可すれば、クライアント2は、従って、突然の砂塵嵐の結果として汚れている太陽電池パネルを洗浄するであろう。
【0030】
各クライアント2の様々な構成要素の耐用寿命の予測に関して、サーバー8は、様々なクライアント2の日常業務、パターン、好み、および履歴に関する情報を引き出して、データベース6内に格納し、クライアント2の状態が変わると、この情報をリアルタイムで更新し得る。サーバー8は、勧告に対するエンドユーザーの応答も受信する。サーバー8は、例えば、時間毎に、不可欠なシステム構成要素の状態を受信し、前もって耐用寿命をうまく査定できる。例えば、クライアント2の電池が、月1には1時間のうちに、月2には2時間で、月nにはn時間で充電したと仮定する。充電に必要な時間の増加によって証明されるようにその有効性が衰えているので、過去の性能および所定のリスクプロファイルならびに入力に基づき、サーバー8は、特定の電池を交換するように勧告できる。その上、全ての電池が毎朝ほぼ同じ期間で迅速に充電できる場合には、定期的な保守時間枠の前に、サーバー8は、電池を交換しないように勧告できる。かかる実行は、クライアント2のエンジン、ベルト、および他の多くの構成要素について行うことができる。
【0031】
勧告だけでなく、各構成要素の評価されたリスクプロファイルも、認定エンドユーザーの好みによっても影響を及ぼされ得る。例えば、認定エンドユーザー10がリスク回避的であって、強風の確率が1%を超えるときには洗浄サイクルを回避したい場合、そのユーザーは、より耐リスク的(risk−tolerant)な認定ユーザーに比べて、洗浄サイクルを回避する勧告を多く受信し得る。かかるプロファイリングは、事前に決定され得る(すなわち、認定ユーザーが、自分のリスク許容度(risk comfort level)を予め提供する)か、またはサーバー8が、保守を認定するユーザーのパターンを時間の関数として学習し、それに応じてその勧告を調整できる。サーバー8は、このように、エンドユーザー10によって提供された、好み、応答または無応答を吸収するようにプログラムできる。
【0032】
ここで
図2を参照すると、本発明の一実施形態に従った、様々な構成要素の挙動および保守時間枠の必要性を評価するためのシステムの機能が、流れ図形式で示されている。より詳細には、
図2は、本発明の一実施形態に従って、それらの事前に決定された洗浄スケジュールからクライアント2を起動するか、または動作停止させる必要性を推測するための方法を示す。
【0033】
ステップ100で、サーバー8は、風速、湿度、および視界などの気象情報を、外部センサー3を介して収集し、この入力から、ステップ101で、様々なクライアント2の気象パターンおよびロボット性能パターン101を分析する。性能パターンには、例えば、最小限の電池レベル、最大限の電池レベル、電池を充電するために必要な時間数、およびクライアント2の構成要素の他の動作パラメータを含む。ステップ102で、サーバー8は、構成要素性能および外部状態を更新し、それらを(データベース6に格納された)履歴データまたはパターンと比較する。
【0034】
正常からの逸脱がない場合、データベース6は、ステップ103で更新され得、次いで、プロセスは、さらなる気象情報収集のためにステップ100に戻る。
【0035】
他方、正常からの逸脱がある場合、プロセスは、ステップ104で、標準からの逸脱を推測し、次いで、ステップ105で、エンドユーザー10に向けられる1つ以上の勧告を決定する。
【0036】
図3は、特定の電池の寿命の終わりを推測して、必要であれば、保守時間枠および/または電池の交換を勧告するための方法の例示的で限定されない流れ図である。本方法は、
図1に示すプロセッサ7を含む、サーバー8によって実行され得る。本方法、および
図1に示すシステムなどの、本方法を利用するシステムは、履歴パターンに主に基づく保守技法で、最適な次のステップを予測するように設計される。
【0037】
一般に、一旦、方法およびシステムが正常からの逸脱を検出すると、その逸脱が特定のロボット太陽電池パネル洗浄システムに固有であるかどうか、および/またはそれは、同じソーラーパーク内の全てのロボット太陽電池パネル洗浄システムに共通な逸脱であるかどうかを分析する試みが行われる。ソーラーパーク内のすべてのロボットシステムが標準から逸脱している場合、問題は、十中八九、そのソーラーパークの区域における環境要因に起因する。
【0038】
パターン認識は、高品質システムの非常に重要な特徴である。プロセッサ7は、それ故、ロボット洗浄システムおよびその構成要素の絶対的な性能、ならびに同じソーラーパーク内の他のロボットシステムに対するロボットシステムの性能を査定するために、例えば、データベース6内に格納されたパターン認識アルゴリズムを実行する。
【0039】
図3に示す方法のステージは、流れ図で説明した電池に加えて、または電池の代わりに、ロボット太陽電池パネル洗浄システムのモーターまたは任意の他のシステムもしくは構成要素に関しても容易に実装される。
【0040】
より詳細には、本方法の第1のステージ110は、ロボット太陽電池パネル洗浄システムの電池の耐用寿命を収集することである(この場合もやはり、電池は、本方法を実装する方法およびシステムを説明する目的で識別される、太陽電池パネル洗浄システムの構成要素の一例に過ぎず、本発明は、保守時間枠または電池の交換の勧告に決して限定されない)。この情報は、プロセッサ7とやりとりするためのユーザーインタフェースを使用して、認定ユーザーによって格納され得る。
【0041】
次いで、ステージ112で使用中に、電池情報が定期的に、例えば、毎時、収集される。この情報は、上述のように、最小充電時間、最大充電時間、平均充電時間、および電池充電レベルを含み得る。情報は、クライアント2またはそれに関連したセンサーによって収集され、マスター制御ユニット1を経由してサーバー8に転送される。収集した情報の1つ以上の項目から、電池の残りの耐用寿命が計算される。
【0042】
気象情報もステージ114で、例えば、時間毎に、収集される。この気象情報は、外部センサー3または外部気象フィード9(
図1を参照)からであり得る。外部センサー3から収集された情報は、マスター制御ユニット1を経由してサーバー8に転送される。前述のように、センサーには、例えば、空に雲があるか、または空が晴れているかに関する情報を提供できる視界センサーを含み得る。気象情報は、電池情報がステージ112で収集される時と同時に、その前および/または後に、ステージ114で収集され得る。
【0043】
ステージ116で、電池充電時間(x)ならびに同じ電池の履歴挙動に対する、および同じソーラーパーク内の他の同様の太陽電池パネル洗浄システムの電池に対するレベル(y)が、例えば、サーバー8のプロセッサ7(
図1を参照)によって計算される。履歴情報は、プロセッサ7に結合されたデータベース6からアクセスされ得る。
【0044】
次の判断は、保守または電池の交換を勧告するためのパラメータを定義する条件の例として提供される。本発明では、他の条件も使用され得る。
【0045】
ステージ118で、各電池に対する充電時間が、3日間連続で4時間を超えるかどうかの判断が行われる。そうでない場合、いずれの電池もそれぞれの太陽電池パネル(複数可)による正常で標準的な充電時間からの逸脱がないと見なされて、本方法はステージ112に戻る。逸脱がある場合、すなわち、電池の1つ以上に対する太陽エネルギーからの充電時間が、3日間連続で4時間を超える場合には、ステージ120で、任意のかかる電池に対する充電時間が、同じソーラーパークまたは設備内の他の太陽電池パネル洗浄システムの電池の充電時間から逸脱しているかどうかの判断が行われる。そうである場合、これは、おそらく、その単一の電池がその有効な耐用期間の終わりに近づいている、すなわち、その電池充電が正常から逸脱していることを示しており、ステージ122で、エンドユーザー10にその特定の電池を交換する勧告が送信される。この勧告は、プロセッサ7によって生成され、上述した方法(
図1を参照)で、インターネット5およびアンテナ4を経由してエンドユーザー10に送信され得る。プロセスは、さらに電池情報の定期的な収集のために、ステージ112に戻る。
【0046】
全ての電池の充電時間が正常から逸脱する場合、これは、太陽電池パネルの問題、すなわち、環境要因を示している確率が高い。ステージ124で、視界が100メートル未満であるかどうかの判断が(ステージ114で収集された気象情報から)プロセッサ7によって行われる。そうである場合、これは恐らく、例えば、太陽電池パネルの全部およびそれぞれの電池を充電するそれらの能力に影響を及ぼしている砂塵嵐を示す。この場合、ステージ126で、エンドユーザー10に、太陽電池パネル洗浄システムによる太陽電池パネルの洗浄を予定に入れる勧告が送信される。この勧告は、プロセッサ7によって生成されて、インターネット5およびアンテナ4を経由して上述した方法で(
図1を参照)エンドユーザー10に送信され得る。プロセスは次いで、さらに電池情報の定期的な収集のために、ステージ112に戻る。
【0047】
ステージ124で、視界が100メートル未満であると判断されない場合には、ステージ128で、同様に太陽電池パネルによる電池の充電時間に影響を及ぼし得る、空が曇っているかどうかの判断が行われ得る。そうである場合、ステージ130で、エンドユーザー10に、電池に関連した技術上の問題の結果ではなく、雲の結果、充電時間が通常より遅くなっているという勧告または通知が送信される。エンドユーザー10には、一時的に充電時間を増やす勧告も送信され得る。プロセスは次いで、さらに電池情報の定期的な収集のために、ステージ112に戻る。
【0048】
ステージ128で、空が曇っていないと判断される場合には、ステージ132で、電池の残りの耐用寿命が格納された耐用寿命の50%未満(50%はステージ110でユーザーによって設定されたパラメータである)であるかどうかの判断が行われる。そうである場合、プロセッサ7は、ステージ134で、電池がそのライフサイクルの50%以上を終えており、次の定期的な保守時間枠中に交換すべきであるという勧告を生成してユーザー10に送信する。プロセスは次いで、さらに電池情報の定期的な収集のために、ステージ112に戻る。
【0049】
そうでなく、否定の判断の場合は、電池の加速劣化および/または電池の潜在的な障害を示しており、ステージ136で、予定より早く電池を交換する勧告がエンドユーザー10に送信される。勧告には、他のどの電池にも同じ障害がないことを確実にするために、他の太陽電池パネル洗浄システムの電池をチェックするためのプロンプトも含み得る。プロセスは次いで、ステージ110に戻る。
図1を参照して説明したシステムならびに
図2および
図3に関して説明した方法が使用され得る方法の別の例として、本発明は、太陽電池パネル洗浄システムの伝動ベルトの交換頻度を、機械学習を用いて最適化するために使用され得る。
【0050】
各ロボット太陽電池パネル洗浄システムは通常、複数の、例えば、5つの、伝動ベルト(以下、「ベルト」)を含む。この例の目的で、ベルトの保守には、検査または交換のいずれかを含むと仮定する。ベルトが損傷した場合、ロボット洗浄システムは、そのインシデントをマスター制御ユニット1に報告し、マスター制御ユニット1はその情報をサーバー8に転送して、そのインシデントをデータベース6に格納する。
【0051】
本発明は、保守費用、ベルトの検査および交換費用に相当するもの、を最小限にするように設計されており、保守費用は、労力、ソーラーパークへの運送料(多くの場合、ソーラーパークは遠隔地にある)および構成要素費用の関数である。
【0052】
ベルトの耐用寿命は、洗浄サイクル数、運用時間、ならびに最高、最低、および平均気温、サイトの地形などの多数の環境変数の関数として変わる。サーバー6は、収集したデータの全てを格納するデータベース6、およびベルトごとの耐用寿命に対する温度変動性(temperature volatility)などの、環境変数間の相関の検出を可能にするプロセッサ7を有する。
【0053】
フェイルセーフシステムを維持するために、保守費用最小化の目的は、1年当たりのベルト損傷がx%以下という制約に基づいており、それは、毎日の洗浄作業の信頼性に悪影響を及ぼし得、かなりの間接費につながり得る(xはユーザーによって設定されるパラメータである)。その上、保守費用最小化に対処するためにペナルティ関数が生成できる。一般的な非線形計画問題は、目的関数を解くために定式化できる。
【0054】
使用のため、ロボット洗浄システムの設置後の最初の1年間は、サーバー8の焦点は、学習曲線を定式化すること、すなわち、後に取得したデータに対して比較するための基本データを取得することである。1年当たり最大でx%のベルト損傷の制約を超えない、フェイルセーフシステムを確実にするために、サーバー学習プロセスは、ベルトの耐用寿命中に、ベルトの検査および交換をそれぞれ、10回および5回勧告する命令で開始されるであろう。すなわち、30か月の耐用寿命をもつベルトを仮定すると、サーバー8は当初、検査および交換を、それぞれ3か月および6か月毎に勧告するであろう。
【0055】
時間の関数として、統計的に有意な相互関係を備えたデータベースの構築後、プロセッサ7は、損傷したベルト制約のペナルティを引き下げ得、損傷したベルト制約は、その結果として、システムが最適位置に達するまで、ベルト検査および交換の間の期間を長くする。最適頻度は気象に応じて毎年変わり、地形および太陽電池パネル列の長さに応じてソーラーパーク毎に変わり、またクライアント間で変わる(システムは、長い間満足している顧客よりも新しい顧客に対してずっとリスク回避的であり得、従って、既存の顧客に比べて、新しい顧客の損傷したベルト制約により高いペナルティを課すであろう)。
【0056】
図3の説明で前述したように、目標は、タイムリーな勧告をエンドユーザー10に提供して、サーバー8で実行されているアルゴリズムによって行われた勧告でエンドユーザー10が着手するように指示された保守プロセスの管理、最適化、および単純化を行うことである。以下の例は、サーバー8内のプロセッサ7および勧告による、いくつかの可能なパターン検出を示す:
【0057】
1.プロセッサ7は、過去6か月間、伝動ベルトを交換するために、エンドユーザー10に対する勧告を2度行い、どのベルトも故障しなかったと判断する。データベース6内の履歴パターンによれば、過去6か月に対する温度レベルおよび変動性は、30年間の最高値に達し、来る冬を考慮すると、温度は温暖であると予測される。例えば、現在のパターンおよび気象状況に従い、予期される平均故障間隔(MTBF)が3年に達していて、次の6か月にわたって1つ以上のベルトが損傷する確率が0.01%であると、プロセッサ7が推定する場合、プロセッサ7は、次の交換日を伸ばすように勧告し得、そうすることにより、信頼性を危うくすることなく交換費用を節約する。
【0058】
2.プロセッサ7は、類似のバッチから5%のベルト損傷レートを検出する。そのため、システムは、損傷の起こり得るベルトのバッチに関して認定ユーザー10に警告する。5%の閾値は、サーバー8とやりとりするユーザーによって調整または設定され得る。
【0059】
3.プロセッサ7は、エンドユーザー10による実際の動作に変換されない勧告を行う。これは、洗浄システムの構成要素を監視し、その変更、およびその保守問題に関連した判断およびその変更の検出を行うための条件を検出する、プロセッサ7によって判断され得る。かかる場合、プロセッサ7は、その過去の誤り(例えば、勧告したベルトの交換に効果がなかった)から学習し、それに応じて、調整する。例えば、プロセッサ7は、過去3年間、冬季にベルトをチェックする勧告を生成したことに気付き得る。
【0060】
これに関して、プロセッサ7によって行われた勧告は、各勧告の基礎となる条件およびその勧告が効果をもたらしたか否かの状況と共にデータベース6内に格納され得る。これは、プロセッサ7が、洗浄システムの現在の状態に基づき、勧告の生成を検討する際に、利用可能なデータベース6内の履歴レコードの一部である。
【0061】
ユーザーが勧告を複数回断ると、プロセッサ7は、かかる勧告を将来、行わないことを学習する。結果的に、プロセッサ7は、ユーザーがかかる勧告を特定の状況下(例えば、ベルト損傷の複数回のインシデントの後)で受け入れていることを認識して、プロセッサ7は、それに応じてその勧告アルゴリズムを調整し、勧告の将来の受け入れ確率を高める状況的条件で傾向分析を強化する。
【0062】
前述のシステムおよび方法は、本発明が、日々、最適な洗浄時間を判断するだけでなく、保守時間枠を正確に予測するのを可能にする。かかるシステムおよび方法の利点は、それらが、費用効率が高く、太陽電池パネルロボット洗浄システムの、信頼性、効率性を向上させて、ダウン時間および繰り返し発生する保守費用を大幅に減少させることである。
【0063】
上述したソフトウェアおよび通信構成要素の構成は、本明細書で説明する機能の実装において有用で効果的であることが分かっているが、他の構成(例えば、RFの代わりにGPSを使用、スター型トポロジーの代わりにメッシュトポロジーを使用、など)も当業者には明らかであり、本発明の範囲に含まれると見なされる。
【0064】
前述の開示した構成は、複数の供給源、フィードおよびセンサーを利用するソーラーパークの予測保守および効率最適化のための自動機械学習を提供する。機械学習を適用することにより、プロセッサ7、またはより一般的に、サーバー8は、ソーラーパーク内のロボット洗浄システムに関する知識の1つ以上の供給源、例えば、ソーラーパークの運用履歴、洗浄システムの保守およびサービスまたはその構成要素に関する勧告に対するエンドユーザー10による応答、から学習可能であることを意図する。この知識は、次いで、プロセッサ7が保守またはサービスに対する現在の勧告を定式化する際に、適用および検討される。
【0065】
その上、本発明は前述の実施形態に制限されるのではなく、以下の特許請求の範囲に含まれるありとあらゆる実施形態を含むことを理解されたい。本発明は上で、特定の装置および特定の実施態様に関して説明してきたが、様々な修正および変更が行われ得、ある実施形態の様々な特徴が、本発明の範囲内の、他の実施形態に含まれ得ることが明らかなはずである。本発明はそれらの実施形態に制限されないことを理解されたい。
【国際調査報告】