(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-531540(P2017-531540A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】リードレス心臓装置のための送達装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/375 20060101AFI20170929BHJP
【FI】
A61N1/375
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-539535(P2017-539535)
(86)(22)【出願日】2015年10月21日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月19日
(86)【国際出願番号】US2015056745
(87)【国際公開番号】WO2016065058
(87)【国際公開日】20160428
(31)【優先権主張番号】62/067,140
(32)【優先日】2014年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハースル、ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ブライアン エル.
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK10
(57)【要約】
植込み型リードレスペーシング装置を送達するための送達装置、システム、およびその方法が開示されている。例示的な送達装置は、外側管状部材と、外側管状部材の管腔内に摺動可能に配置された内側管状部材とであってもよい。遠位保持部は、内側管状部材の遠位端の遠位に延びるとともに、植込み型リードレスペーシング装置をその中に受容するためのキャビティを画定していてもよい。装置はさらに、外側管状部材の近位端に隣接して付着された第一ハブ部と、内側管状部材の近位端に隣接して付着された第二ハブ部とを少なくとも含むハブ部を含んでいてもよい。外側管状部材および内側管状部材を着脱可能に結合するように構成された第一ロック機構が、ハブ部内に配置されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型リードレスペーシング装置を送達するための送達装置において、
その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む外側管状部材と、
その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む内側管状部材であって、前記外側管状部材の管腔内に摺動可能に配置された内側管状部材と、
前記内側管状部材の遠位端の遠位に延びる遠位保持部であって、植込み型リードレスペーシング装置をその中に受容するためのキャビティを画定する遠位保持部と、
前記外側管状部材の近位端に隣接して付着された第一ハブ部と、前記内側管状部材の近位端に隣接して付着された中間の第二ハブ部とを少なくとも含むハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリ内に配置された第一ロック機構とを含み、
前記第一ロック機構は、前記第一ハブ部および前記第二ハブ部を着脱可能に結合するように構成される送達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送達装置において、前記第一ロック機構はロック位置およびアンロック位置を有しており、前記内側管状部材は前記ロック位置において張力をかけて保持される送達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送達装置において、前記外側管状部材は前記ロック位置において圧縮されて保持される送達装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の送達装置において、前記第一ロック機構がアンロック構成にある時に、前記第一ハブ部および前記第二ハブ部は別個に摺動可能かつ回転可能である送達装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の送達装置において、前記第一ロック機構はスナップロック、ねじ係合、またはクイックコネクトロック機構のグループから選択される送達装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の送達装置において、前記第一ロック機構はバヨネット式ロック機構を含む送達装置。
【請求項7】
請求項6に記載の送達装置において、前記第二ハブ部は前記第二ハブ部の遠位端に隣接して配置された溝を含み、前記溝は前記第一ハブ部の内側に延びる突起を受容するように構成される送達装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送達装置において、前記溝は第一部分と、前記第一部分にほぼ垂直に延びる第二部分と、前記第二部分の端に位置するセリフとを含む送達装置。
【請求項9】
請求項8に記載の送達装置において、前記突起を前記セリフ内に配置することにより、前記外側管状部材または前記内側管状部材のいずれかの長手方向または回転方向の動作が、前記外側管状部材および前記内側管状部材の両方の対応する動作をもたらすように、前記外側管状部材および前記内側管状部材が着脱可能に結合される送達装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の送達装置において、前記突起を前記セリフ内に配置することにより、前記内側管状部材が張力下に置かれるとともに、前記外側管状部材が圧縮下に置かれる送達装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の送達装置において、前記内側管状部材の管腔内に摺動可能に配置されたプッシュ部材をさらに含む送達装置。
【請求項12】
請求項11に記載の送達装置において、前記プッシュ部材の近位端に隣接して付着された第三ハブ部をさらに含む送達装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の送達装置において、前記ハンドルアセンブリ内に配置された第二ロック機構をさらに含む送達装置。
【請求項14】
請求項13に記載の送達装置において、前記第二ロック機構がアンロック構成にある時に、第三ハブ部は前記第一ハブ部または前記第二ハブ部のいずれかとは別個に摺動可能かつ回転可能である送達装置。
【請求項15】
第一ハブ部に付着された外側管状部材を、送達装置の第二ハブ部に付着された内側管状部材に着脱可能に結合する方法において、
前記第二ハブ部を前記第一ハブ部に対して回転させる工程であって、前記第一ハブ部は内側に延びる突起を有しており、前記突起を前記第二ハブ部の遠位部上の溝の第一部分に整列させる工程と、
前記第二ハブ部を近位に引き込むことにより、前記突起を前記溝の前記第一部分内に前進させる工程と、
前記第二ハブ部を前記第一ハブ部に対して、前記第一ハブ部の長手方向軸線の周りに回転させることにより、前記突起を前記溝の第二部分に沿って前進させる工程であって、前記溝の前記第二部分は前記溝の前記第一部分にほぼ垂直に延びる工程と、
前記突起を前記溝の前記第二部分の端に配置されたセリフ内に配置する工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は医療装置と、医療装置の製造方法および使用方法の少なくとも一方とに関する。より具体的には、本願はリードレス心臓装置およびその方法、例えばリードレスペーシング装置およびその方法と、そのようなリードレス装置のための送達装置およびその方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用途、例えば心臓での使用のために、様々な医療装置が開発されている。これらの装置のいくつかにはカテーテル、リード、ペースメーカー等が含まれ、このような装置を送達するために送達装置や送達システムが使用される。これらの装置は、異なる様々な製造方法のうちの任意の一つによって製造し、様々な方法のうちの任意の一つに従って使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の医療装置、送達システム、およびその方法はそれぞれ、特定の利点および欠点がある。従って、代替の医療装置および送達装置、ならびに医療装置および送達装置の代替の製造方法および使用方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、送達装置を含む医療装置についての設計、材料、製造方法、および使用の選択肢を提供するものである。
第一の実施形態において、植込み型リードレスペーシング装置を送達するための送達装置は、その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む外側管状部材と、その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む内側管状部材であって、外側管状部材の管腔内に摺動可能に配置された内側管状部材と、内側管状部材の遠位端の遠位に延びる遠位保持部であって、植込み型リードレスペーシング装置をその中に受容するためのキャビティを画定する遠位保持部と、外側管状部材の近位端に隣接して付着された第一ハブ部と、内側管状部材の近位端に隣接して付着された中間の第二ハブ部とを少なくとも含むハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリ内に配置された第一ロック機構とを含んでいてもよく、第一ロック機構は、第一ハブ部および第二ハブ部を着脱可能に結合するように構成される。
【0005】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構はロック位置およびアンロック位置を有しており、内側管状部材はロック位置において張力をかけて保持されてもよい。
【0006】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、外側管状部材はロック位置において圧縮されて保持されてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構がアンロック構成にある時に、第一ハブ部および第二ハブ部は別個に摺動可能かつ回転可能であってもよい。
【0007】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構はスナップロック、ねじ係合、またはクイックコネクトロック機構のグループから選択されてもよい。
【0008】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構はバヨネット式ロック機構を含んでいてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第二ハブ部は第二ハブ部の遠位端に隣接して配置された溝を含んでいてもよく、溝は第一ハブ部の内側に延びる突起を受容するように構成されていてもよい。
【0009】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、溝は第一部分と、第一部分にほぼ垂直に延びる第二部分と、第二部分の端に位置するセリフとを含んでいてもよい。
【0010】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、突起をセリフ内に配置することにより、外側管状部材または内側管状部材のいずれかの長手方向または回転方向の動作が、外側管状部材および内側管状部材の両方の対応する動作をもたらすように、外側管状部材および内側管状部材が着脱可能に結合されてもよい。
【0011】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、突起をセリフ内に配置することにより、内側管状部材が張力下に置かれるとともに、外側管状部材が圧縮下に置かれてもよい。
【0012】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、装置はさらに、内側管状部材の管腔内に摺動可能に配置されたプッシュ部材を含んでいてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、装置はさらに、プッシュ部材の近位端に隣接して付着された第三ハブ部を含んでいてもよい。
【0013】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、装置はさらに、ハンドルアセンブリ内に配置された第二ロック機構を含んでいてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第二ロック機構がアンロック構成にある時に、第三ハブ部は第一ハブ部または第二ハブ部のいずれかとは別個に摺動可能かつ回転可能であってもよい。
【0014】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第二ロック機構がロック構成にある時に、内側管状部材またはプッシュ部材のいずれかの長手方向または回転方向の動作が、内側管状部材およびプッシュ部材の両方の対応する動作をもたらしてもよい。
【0015】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ハブ部に付着された外側管状部材を、送達装置の第二ハブ部に付着された内側管状部材に着脱可能に結合する方法は、第二ハブ部を第一ハブ部に対して回転させる工程であって、第一ハブ部は内側に延びる突起を有しており、突起を第二ハブ部の遠位部上の溝の第一部分に整列させる工程と、第二ハブ部を近位に引き込むことにより、突起を溝の第一部分内に前進させる工程と、第二ハブ部を第一ハブ部に対して、第一ハブ部の長手方向軸線の周りに回転させることにより、突起を溝の第二部分に沿って前進させる工程であって、溝の第二部分は溝の第一部分にほぼ垂直に延びる工程と、突起を溝の第二部分の端に配置されたセリフ内に配置する工程とを含んでいてもよい。
【0016】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、植込み型リードレスペーシング装置を送達するための送達装置は、その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む外側管状部材と、その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む内側管状部材であって、外側管状部材の管腔内に摺動可能に配置された内側管状部材と、内側管状部材の遠位端の遠位に延びる遠位保持部であって、植込み型リードレスペーシング装置をその中に受容するためのキャビティを画定する遠位保持部と、外側管状部材の近位端に隣接して付着された第一ハブ部と、内側管状部材の近位端に隣接して付着された第二ハブ部とを少なくとも含むハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリ内に配置された第一ロック機構とを含んでいてもよく、第一ロック機構は、第一ハブ部および第二ハブ部を着脱可能に結合するように構成される。
【0017】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構はロック位置およびアンロック位置を有していてもよく、内側管状部材はロック位置において張力をかけて保持される。
【0018】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、外側管状部材はロック位置において圧縮されて保持されてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構がアンロック構成にある時に、第一ハブ部および第二ハブ部は別個に摺動可能かつ回転可能であってもよい。
【0019】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構はバヨネット式ロック機構を含んでいてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第二ハブ部は第二ハブ部の遠位端に隣接して配置された溝を含んでいてもよく、溝は第一ハブ部の内側に延びる突起を受容するように構成される。
【0020】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、溝は第一部分と、第一部分にほぼ垂直に延びる第二部分と、第二部分の端に位置するセリフとを含んでいてもよい。
【0021】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、突起をセリフ内に配置することにより、外側管状部材または内側管状部材のいずれかの長手方向または回転方向の動作が、外側管状部材および内側管状部材の両方の対応する動作をもたらすように、外側管状部材および内側管状部材が着脱可能に結合されてもよい。
【0022】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、突起をセリフ内に配置することにより、内側管状部材が張力下に置かれるとともに、外側管状部材が圧縮下に置かれてもよい。
【0023】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、装置はさらに、内側管状部材の管腔内に摺動可能に配置されたプッシュ部材を含んでいてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、装置はさらに、プッシュ部材の近位端に隣接して付着された第三ハブ部を含んでいてもよい。
【0024】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、装置はさらに、ハンドルアセンブリ内に配置された第二ロック機構を含んでいてもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第二ロック機構がアンロック構成にある時に、第三ハブ部は第一ハブ部または第二ハブ部のいずれかとは別個に摺動可能かつ回転可能であってもよい。
【0025】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構はスナップロック、ねじ係合、またはクイックコネクトロック機構のグループから選択されてもよい。
【0026】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第二ロック機構がロック構成にある時に、内側管状部材またはプッシュ部材のいずれかの長手方向または回転方向の動作が、内側管状部材およびプッシュ部材の両方の対応する動作をもたらしてもよい。
【0027】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、植込み型リードレスペーシング装置を送達するための送達装置は、その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む外側管状部材と、その近位端から遠位端まで延在する管腔を含む内側管状部材であって、外側管状部材の管腔内に摺動可能に配置された内側管状部材と、近位端および遠位端を有するプッシュ部材であって、内側管状部材の管腔内に摺動可能に配置されたプッシュ部材と、内側管状部材の遠位端の遠位に延びる遠位保持部であって、植込み型リードレスペーシング装置をその中に受容するためのキャビティを画定する遠位保持部と、外側管状部材の近位端に隣接して付着された遠位ハブ部と、内側管状部材の近位端に隣接して付着された中間ハブ部と、プッシュ部材の近位端に隣接して付着された近位ハブ部とを含むハンドルアセンブリであって、遠位ハブ部、中間ハブ部、および近位ハブ部の各々が別個に長手方向および回転方向に動作可能であるように、遠位ハブ部、中間ハブ部、および近位ハブ部が入れ子式に配置されるハンドルアセンブリと、遠位ハブ部および中間ハブ部の間に配置された第一ロック機構とを含んでいてもよく、第一ロック機構は、遠位ハブ部および中間ハブ部を着脱可能に結合するように構成される。
【0028】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ロック機構は、アンロック構成およびロック構成の間でユーザによる作動が可能であってもよい。
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態では、ロック構成において、中間ハブ部を近位に引き込むことにより、内側管状部材が張力下に置かれるとともに、外側管状部材が圧縮下に置かれてもよい。
【0029】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、第一ハブ部に付着された外側管状部材を、送達装置の第二ハブ部に付着された内側管状部材に着脱可能に結合する方法は、第一ハブ部を第二ハブ部に対して第一方向に回転させる工程であって、第一ハブ部は内側に延びる突起を有しており、突起を第二ハブ部の遠位部上の溝の第一部分に整列させる工程と、突起を溝の第一部分内に前進させる工程と、第二ハブ部を第一ハブ部に対して、第一ハブ部の長手方向軸線の周りに第一方向に回転させることにより、突起を溝の第二部分に沿って前進させる工程であって、溝の第二部分は溝の第一部分にほぼ垂直に延びる工程と、突起を溝の第二部分の端に配置されたセリフ内に配置する工程とを含んでいてもよい。
【0030】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、突起をセリフ内に配置することにより、外側管状部材または内側管状部材のいずれかの長手方向または回転方向の動作が、外側管状部材および内側管状部材の両方の対応する動作をもたらすように、内側管状部材および外側管状部材が着脱可能に結合されてもよい。
【0031】
上述の実施形態に加えて、またはこの代わりに、別の実施形態において、方法はさらに、セリフから突起の係合を外す工程と、第二ハブ部を第一ハブ部に対して第二方向に回転させる工程であって、第二方向は第一方向とほぼ反対の方向であり、突起を溝の第一部分に向かって溝の第二部分に沿って前進させる工程と、第二ハブ部を遠位に前進させることにより、溝の第一部分から突起の係合を外す工程とを含んでいてもよく、溝の第一部分から突起の係合を外すことにより、内側管状部材および外側管状部材の連結を外す方法。
【0032】
いくつかの実施形態についての上記概要は、開示された各実施形態や本願のすべての実施形態を説明することは意図していない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態のいくつかをより具体的に例示する。
【0033】
本願は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明を考慮することによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】心臓内に移植された例示的なリードレスペーシング装置の平面図である。
【
図2】植込み型リードレス心臓ペーシング装置のための例示的な送達装置の斜視図である。
【
図3】
図2の送達装置の遠位部分の部分側断面図である。
【
図3A】別の例示的な送達装置の遠位部分の一部の部分側断面図である。
【
図3B】別の例示的な送達装置の遠位部分の一部の部分側断面図である。
【
図3C】別の例示的な送達装置の遠位部分の一部の部分斜視図である。
【
図4】
図2の送達装置の近位部分の側断面図である。
【
図5】一部が除去された
図2の送達装置の近位部分の斜視図である。
【
図6A】
図2の送達装置の近位部分のロック機構の概略図である。
【
図6B】
図2の送達装置の近位部分のロック機構の概略図である。
【
図6C】
図2の送達装置の近位部分のロック機構の概略図である。
【
図6D】
図2の送達装置の近位部分のロック機構の概略図である。
【
図6E】
図2の送達装置の近位部分のロック機構の概略図である。
【
図7】一部が除去された
図2の送達装置の近位部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本願は様々な修正形態および代替形態に従うものであるが、その特定の実施形態が例として図面に示され、詳細に説明されている。しかしながら、本発明を記載された特定の実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。むしろ、本願の意図および範囲に含まれるすべての修正形態、均等形態、および代替形態を包含することを意図している。
【0036】
以下に定義された用語について、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所で異なった定義がされない限り、これらの定義が適用されるものとする。
明示されているか否かにかかわらず、すべての数値は本明細書において、「約」という用語で修飾されているものとみなす。「約」という用語は一般に、当業者が記載値と同等である(すなわち、同じ機能または結果が得られる)と考える数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数を含み得る。
【0037】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1〜5という数値範囲は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるように、別段の明確な指示がない限り、単数形は複数の対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるように、別段の明確な指示がない限り、「または(or)」という用語は一般に、「AおよびBの少なくとも一方(and/or)」を含む意味で用いられる。
【0038】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「別の実施形態」等への言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、特性の一つ以上を含み得るということを示しているということに留意されたい。しかしながら、このような言及は、必ずしもすべての実施形態がその特定の特徴、構造、特性を含むということを意味するものではない。また、特定の特徴、構造、特性が一実施形態に関連して記載されている場合、別段の明確な指示がない限り、明示されているか否かにかかわらず、その特徴、構造、特性は他の実施形態と関連して用いられてもよいと理解されるべきである。
【0039】
以下の詳細な説明は、異なる図中において同様の構造には同様の参照符号が付されている図面を参照して読まれるべきである。図面は必ずしも縮尺通りとはなっていないが、例示的な実施形態を示しており、本願の範囲を限定することは意図していない。
【0040】
心臓ペースメーカーは、心臓組織に電気刺激を提供して心臓を収縮させることにより、脈管系を通って血液を送り出すものである。従来のペースメーカーは一般に、皮下または筋肉下に移植されたパルス発生器から、心臓のチャンバの内壁または外壁に隣接して配置された電極まで延在する電気リードを含む。従来のペースメーカーの代替物として、自己内蔵型またはリードレスの心臓ペースメーカーが提案されている。リードレス心臓ペースメーカーは一般に、心臓のチャンバにおける心室の移植部位に固定される小型カプセルである。小型カプセルは一般に、バイポーラのペーシング/センシング電極、電源(例えばバッテリ)、およびペーシング/センシング電極を制御するための関連する電気回路を含むことにより、心臓組織への電気刺激の提供および生理学的状態の検出の少なくとも一方を行う。カプセルは、大腿静脈、下大静脈、右心房、三尖弁、および右心室に前進させることが可能な送達装置を用いて心臓に送達することができる。従って、脈管構造を通って前進させることが容易な送達装置の提供が望まれる場合がある。
【0041】
図1は、右心室RVのような心臓Hのチャンバ内に移植された、例示的な植込み型リードレス心臓ペーシング装置10(例えばリードレスペースメーカー)を示している。植込み型装置10は、近位端14および遠位端16を有するシェルまたはハウジング12を含んでいてもよい。植込み型装置10は、ハウジング12の遠位端16に隣接して配置された第一電極20と、ハウジング12の近位端14に隣接して配置された第二電極22とを含んでいてもよい。例えば、ハウジング12は導電性材料を含むとともに、その長さの一部に沿って絶縁されていてもよい。近位端14に沿った部分は、第二電極22を定義するように絶縁がされていなくてもよい。電極20、22は、電気治療および検出機能の少なくとも一方を実現するセンシング電極およびペーシング電極の少なくとも一方とすることができる。第一電極20は心臓Hの心臓組織に対して配置されるか、あるいはこれに接触させることができる一方で、第二電極22は第一電極20から離間させることにより、心臓組織から離間されていてもよい。
【0042】
植込み型装置10は、パルス発生器(例えば電気回路)および電源(例えばバッテリ)をハウジング12内に含むことにより、電極20、22に電気信号を提供してペーシング/センシング電極20、22を制御することができる。パルス発生器および電極20、22の間の電気通信は、心臓組織への電気刺激の提供および生理学的状態の検出の少なくとも一方を実現することができる。
【0043】
植込み型装置10は、植込み型装置10を心臓Hの組織壁に取り付けるか、あるいは植込み型装置10を患者の解剖学的構造に固定するように構成された、ハウジング12の遠位端16に近接した固定機構24を含んでいてもよい。
図1に示すように、いくつかの場合において、固定機構24は、心臓Hの心臓組織に固定されて植込み型装置10を組織壁に取り付ける、一つ以上の、または複数のフック26を含んでいてもよい。別の場合において、固定機構24は、心臓Hのチャンバ内の肉柱に噛み合うように構成された、一つ以上の、または複数の受動歯、および植込み型装置10を心臓Hに固定するために組織壁にねじ込まれるように構成された、らせん状の固定アンカーの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0044】
植込み型装置10は、植込み型装置10の送達および回収の少なくとも一方を容易にするように構成された、ハウジング12の近位端14に近接したドッキング部材30を含んでいてもよい。例えば、ドッキング部材30は、ハウジング12の長手方向軸線に沿ってハウジング12の近位端14から延びていてもよい。ドッキング部材30はヘッド部32と、ハウジング12およびヘッド部32の間に延在するネック部34とを含んでいてもよい。ヘッド部32は、ネック部34に対して拡大された部分であってもよい。例えば、ヘッド部32は、植込み型装置10の長手方向軸線からの半径方向の寸法がネック部の植込み型装置10の長手方向軸線からの半径方向の寸法よりも大きくてもよい。ドッキング部材30は、植込み型装置10の心臓内部位への送達および植込み型装置10の心臓内部位からの回収の少なくとも一方を容易にするように構成されていてもよい。他のドッキング部材30も考えられる。
【0045】
本願の一態様は、例えば装置10を解剖学的構造(例えば心臓)内の適切な部位に送達するために使用される送達装置およびシステムの少なくとも一方に関する。理解されるように、送達装置は、比較的曲がりくねった解剖学的構造を介して装置10を適切な部位に送達するように誘導される必要がある場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、送達装置は脈管構造を介して対象領域に前進されてもよい。いくつかの例示的な場合において、装置は大腿静脈、下大静脈、右心房、三尖弁、および右心室に前進されてもよい。装置10の送達の対象領域は、右心室の一部、例えば心臓の頂部に近い右心室の一部であってもよい。対象領域にはまた、心臓の他の領域(例えば右心房、左心房、または左心室)、血管、または他の適切な対象も含まれ得る。誘導または送達を目的とした、より容易またはより良好な制御を可能とする特定の特徴を有する送達システムの提供が望ましい場合がある。
【0046】
図2は、装置10の送達に使用可能な、カテーテル等の例示的な送達装置100の斜視図である。送達装置100は、近位部104および遠位部106を有する外側管状部材102を含んでいてもよい。内側管状部材110は、外側管状部材102の管腔150内に摺動可能に配置されてもよい(例えば、
図3および
図4参照)。遠位保持部108を、内側管状部材110の遠位端部114に取り付けることができる。送達装置100はまた、外側管状部材102の近位部に隣接して配置されたハンドルアセンブリ120を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、外側管状部材102は、その少なくとも一部において、保持部108の少なくとも一部の外径D1よりも小さい外径D2を有していてもよい(例えば、
図3参照)。
【0047】
ハンドルアセンブリ120は、外側管状部材102の近位端部104に取り付けられた第一または遠位ハブ部126と、内側管状部材110の近位端部に取り付けられた第二または中間ハブ部128と、プッシュ部材116の近位端部に取り付けられた第三または近位ハブ部130とを含んでいてもよい(例えば、
図3参照)。第一ハブ部126、第二ハブ部128、および第三ハブ部130は、全体として入れ子式に、互いに対して摺動可能に配置することができる。以下でより詳細に説明するように、第一ハブ部126、第二ハブ部128、および第三ハブ部130はそれぞれ、外側管状部材102、内側管状部材110、およびプッシュ部材116が別個に動作可能であるように、互いに対して摺動可能かつ回転可能とすることができる。いくつかの場合において、外側管状部材102、内側管状部材110、およびプッシュ部材116を同時に動作させることが望ましい場合がある。ハンドルアセンブリ120は、以下でより詳細に説明するように、外側管状部材102を内側管状部材110に着脱可能に結合するための第一ロック機構132を含んでいてもよい。ハンドルアセンブリ120はまた、以下でより詳細に説明するように、内側管状部材110をプッシュ部材116に着脱可能に結合するための第二ロック機構134を含んでいてもよい。
【0048】
遠位保持部108は、植込み型装置10をその中に受容するように構成されていてもよい。例えば、送達装置100の遠位部分の断面図を示す
図3を参照すると、保持部108は、植込み型装置10を摺動可能に受容するためのキャビティ142を画定していてもよく、キャビティ142への植込み型装置10の摺動可能な挿入およびキャビティ142からの植込み型装置10の摺動可能な除去の少なくとも一方のための遠位開口144を含んでいてもよい。
【0049】
遠位保持部108は、本体部138と、例えばバンパーチップのような、解剖学的構造に対して非外傷性となるように構成可能な遠位先端部140とを含んでいてもよい。例えば、カテーテルが解剖学的構造を介して誘導されるにつれて、遠位先端部は解剖学的構造に接触し得る。また、カテーテルが装置を送達するために使用される場合、送達装置100の先端部140は対象部位に隣接した組織(例えば心臓組織)に接触する可能性が高い。外側管状部材102および内側管状部材110の少なくとも一方の材料で形成された硬い遠位先端部は、血管壁または心臓組織を傷付ける可能性がある。従って、解剖学的構造内に導入するとともに、不要な外傷を生じさせることなく対象部位に隣接した解剖学的構造に接触することが可能な、柔軟な遠位先端部140を有する送達装置100が提供されることが望ましい場合がある。
【0050】
例えば、遠位先端部140は、遠位保持部の本体部138よりも柔軟な材料で形成することができる。いくつかの場合において、遠位先端部140は、本体部138の材料のデュロメータよりも低いデュロメータを有する材料を含んでいてもよい。いくつかの特定の実施形態において、遠位先端部140に使用される材料のデュロメータは、約5D〜約70D、または例えば約25D〜約65Dの範囲内とすることができる。また、遠位先端部140は、組織に対する外傷を低減可能な形状または構造を含んでいてもよい。例えば、遠位先端部140は、丸みを帯びているか、または組織に対してより外傷性が低くなるように構成された曲率を有している組織接触面等の遠位面を有していてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、遠位保持部108の全体または一部は、装置10上の一つ以上、または複数のフック26のような固定機構24に引っかかることを防止するように構成可能な内面を有していてもよい。例えば、遠位保持部108は、固定機構24によって遠位保持部108の内面上に加えられる力に抵抗する、より硬質またはより滑らかな材料の内層またはコーティングを含んでいてもよい。例えば、遠位保持部108は多層構造を含んでいてもよく、内層は外層よりも硬い材料で形成されていてもよい。
【0052】
プッシュ部材116は、内側管状部材110の管腔152内に配置(例えば、摺動可能に配置)されていてもよい。プッシュ部材116は、ユーザによって第三ハブ部130またはその近くで係合され、内側管状部材110の管腔152を通って遠位保持部108内に延びていてもよい。プッシュ部材116の遠位部118は装置10に係合可能であってもよく、プッシュ部材116は装置10を遠位保持部108から外に「プッシュ」することにより、装置10を対象領域(例えば、右心室等の心臓の領域)内に配置して固定するために使用することができる。
【0053】
送達装置100の意図した対象に隣接した位置に対する配置または操縦のため、送達装置100は偏向可能、関節運動可能、または操縦可能に構成することができる。
図2を参照すると、例えば外側管状部材102および内側管状部材110の少なくとも一方は、カテーテル100またはその一部の所望の態様での偏向、関節運動、操縦、および制御の少なくとも一つを可能にする、一つ以上の関節運動機構または偏向機構を含むことができる。例えば、外側管状部材102はその少なくとも一部において、所望の、または所定の方向に選択的に曲げおよび偏向の少なくとも一方が行われてもよい。これにより、例えば保持部108が対象部位に対する装置10の誘導または送達において所望の位置または方向となるように、ユーザが送達装置100を配向することが可能となる。外側管状部材102は、例えば偏向領域に沿って偏向されてもよい。
【0054】
多種多様な偏向機構を採用することができる。いくつかの例示的な実施形態において、外側管状部材102の遠位部と外側管状部材102の近位部の近くの作動機構122との間に延在する、プルワイヤ等の一つ以上の作動部材によって偏向が行われてもよい。このように、一つ以上のプルワイヤは所望の偏向または曲げのための領域または点に対して、近位および遠位の両方に延在していてもよい。これによって、外側管状部材102の少なくとも一部に圧縮および偏向力の少なくとも一方を加えることにより、所望の態様で外側管状部材102の偏向または曲げを行うように、ユーザがプルワイヤの一つ以上を作動させる(例えば、引っ張る)ことが可能となる。また、いくつかの場合において、一つ以上のワイヤは、例えばシャフトを所望の位置または方向に押し込み、または真っ直ぐにするように、外側管状部材102上に押し込み力および引っ張り力の少なくとも一方を加えるためにも使用することができるほど十分硬くすることができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、作動部材は、一対のワイヤ部を画定するように外側管状部材102の遠位端領域を通してループを形成するか、あるいはこれに結合される、連続したワイヤの形態をとる。しかしながら、作動部材が、例えば外側管状部材102の遠位端領域に隣接した金属または金属合金リングに取り付けられた一つ以上の別個のワイヤを含む実施形態のような、他の実施形態も考えられる。
【0056】
作動機構122は、張力(すなわち引っ張り力)、圧縮(すなわち押し込み力)、またはその両方を作動部材上に加えることを可能にする、所望の機構を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、作動機構122は、ハンドルアセンブリ120の長手方向軸線に対して結合されて、これの周りに回転可能な外部回転可能部材124を含んでいてもよい。回転可能部材124は、作動部材またはプルワイヤの近位端に取り付けられた内部部材に螺合して係合してもよい。外部回転可能部材124が第一回転方向に回転されると、内部部材が第一長手方向に移動されてプルワイヤに張力が加えられ、シャフトに圧縮力が加えられて、外側管状部材102が初期位置から偏向位置に偏向される。外部回転可能部材124が第二回転方向に回転されると、内部部材が第二長手方向に移動されてプルワイヤが張力から解放され、外側管状部材102を初期位置に向かって弛緩させることができる。また、いくつかの場合において、上述のように、一つ以上のワイヤを十分硬くすることができ、内部部材を第二長手方向に移動させるような回転可能部材124の第二回転方向への回転がワイヤに圧縮を加えて、ワイヤは外側管状部材102に張力を加えるとともに、外側管状部材102を初期位置に向かって、場合によっては初期位置を越えて押し戻すことができる。
【0057】
一つ以上の作動/偏向機構はまた、圧縮または引っ張り力が加えられた時に、偏向についての所望の程度および位置の少なくとも一方を提供することができる構造および材料の少なくとも一方を含む外側管状部材102を伴っていてもよい。例えば、外側管状部材102は、特定の所定の圧縮および引っ張り力の少なくとも一方が加えられた時に、特定の方法でシャフトの曲げおよび偏向の少なくとも一方を可能とするように構成された構造および材料の少なくとも一方を含む、一つ以上の部分を含んでいてもよい。例えば、シャフトは他の部分よりも柔軟性のある一つ以上の部分を含んでいてもよく、これにより、曲げまたは関節運動のための領域または位置を画定することができる。いくつかのこのような領域は、所定の力が加えられた時に、特定の曲げ形状を画定可能な様々な可変の柔軟性に関する特性を含んでいてもよい。このような特性は、外側管状部材102の異なる部分についての材料または構造の選択によって実現することができる。
【0058】
別の実施形態では、他の作動/偏向機構が考えられる。例えば、送達装置100の全体または一部、例えば外側管状部材102は、形状記憶ポリマーおよび形状記憶金属の少なくとも一方のような形状記憶材料で形成されていてもよい。このような材料は、温度変化や電流の印加等の作動機構による刺激が加わると、第一形状から第二形状に変化または変位し得る。このように、これらの材料および機構は、外側管状部材102の所望の態様での偏向または曲げのために使用することができる。送達装置100を偏向可能な別の適切な偏向機構を使用することもできる。このような代替の機構は、本明細書において図示および記載の少なくとも一方がされた他のすべての実施形態等に、適宜適用することができる。
【0059】
また、外側管状部材102はその長さに沿って、一つ以上の所定の、または固定の湾曲部を含んでいてもよい。いくつかの場合において、このような湾曲部は、特定の解剖学的構造に適合するように構成されていても、装置10のより良好な誘導または送達のために構成されていてもよい。追加的または代替的に、このような湾曲部のいくつかは、圧縮および引っ張り力の少なくとも一方が加えられた時に、外側管状部材102が特定の方向または構成に曲がるか、偏向されるか、またはその両方となる傾向を有することを許容するように構成することができる。
【0060】
図3に戻ると、遠位保持部108は、内側管状部材110の遠位端部114に付着されていてもよい。遠位保持部108はハブ部136と、管状の本体部138とを含んでいてもよい。いくつかの場合において、ハブ部136は金属または金属合金から形成可能である一方で、本体部138はポリマー材料から形成可能であるが、これは必須ではない。いくつかの場合において、本体部138の近位領域143はハブ部136の遠位端部137に熱接着されるか、あるいは付着されてもよい。本体部138が加熱されると、本体部138は遠位端部137において溝141内に再導入され得る。ハブ部136は、近位端部139と遠位端部137との間に配置されたテーパ状の中間領域145を含んでいてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、外側管状部材102は一つ以上のプルワイヤを取り付けるため、その遠位端103に隣接して金属リングまたはチップを含んでいてもよい。外側管状部材102はさらに、これに限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ライナーのような潤滑性ライナーを含んでいてもよいことが企図される。ハブ部136の近位端部139は、外側管状部材102の管腔150内に近位に延びていてもよい。いくつかの場合において、近位端部139の外面は、外側管状部材102の内面との締り嵌めを形成していてもよい。近位端部139の外面および外側管状部材102の内面は、テーパ係合で結合されてもよいことが企図される。例えば、外側管状部材102の遠位端103は遠位方向に半径方向外向きに広がっていてもよく、近位端部139は近位方向に半径方向内向きにテーパを形成していてもよく、またはその両方であってもよい。近位端部139が外側管状部材102内に近位に引き込まれるにつれて、二つの傾斜面が係合してもよい。必要に応じて、他の結合構成を採用することができる。
【0062】
図3Aは、外側管状部材102aをハブ部136aの近位端139aに結合するための代替機構の部分断面図を示している。明確性のため、構成要素の一部が除去されている。外側管状部材102aおよびハブ部136aは、上述した外側管状部材102およびハブ部136と同様の形状および機能を有していてもよい。いくつかの場合において、外側管状部材102aおよび近位端部139aは、ねじ係合によって結合されてもよい。例えば、外側管状部材102aは第一のらせん状のフランジまたはねじ部125aを含んでいてもよく、近位端部139aは、外側管状部材102a上のらせん状のフランジまたはねじ部125aと係合および螺合の少なくとも一方が行われるように構成された、第二のらせん状のフランジまたはねじ部127aを含んでいてもよい。外側管状部材102aおよびハブ部136aの少なくとも一方は、らせん状のフランジまたはねじ部125aおよび127aを係合させるように、第一方向に回転してもよいことが企図される。外側管状部材102aおよびハブ部136aの少なくとも一方の、第一方向とは反対の第二方向への回転は、らせん状のフランジまたはねじ部125aおよび127aを係合から外すことができる。
【0063】
図3Bは、外側管状部材102bをハブ部136bの近位端139bに結合するための代替機構の部分断面図を示している。外側管状部材102bおよびハブ部136bは、上述した外側管状部材102およびハブ部136と同様の形状および機能を有していてもよい。結合構成は、スナップロック、さねはぎ式ロック、嵌合止めおよび溝、または外側管状部材102bおよび近位端部139bの少なくとも一方の上の対応する特徴に係合するように構成された他の特徴を含み得る。例えば、外側管状部材102bは、その内壁に配置された溝または凹部121bを含んでいてもよい。近位端139bは、外側管状部材102bの凹部121bと嵌合または係合するように構成された突起、バンプ、または他の延在する特徴123bを含んでいてもよい。突起123bおよび溝121bは、外側管状部材102bの近位方向への引っ込み、およびハブ部136bの遠位方向への作動の少なくとも一方のような外力(例えば軸線方向力)の適用によって係合から外されてもよいことが企図される。
【0064】
図3Cは、外側管状部材102cをハブ部136cの近位端139cに結合するための別の代替機構の斜視図を示している。外側管状部材102cおよびハブ部136cは、上述した外側管状部材102およびハブ部136と同様の形状および機能を有していてもよい。いくつかの実施形態において、外側管状部材102cおよび近位端部139cは、バヨネット式ロック機構によって結合されてもよい。ハブ部136cの近位端139cには、概して「L」字形を構成する溝190cが形成されてもよいことが企図される。いくつかの場合において、外側管状部材102cは、外側管状部材102cの内面から径方向内向きに延びる突起188cを含んでいてもよい。「L」字形の溝190cおよび突起188cは、外側管状部材102cとハブ部136cの近位端139cとが着脱可能に結合可能であるように、
図6A〜
図6Eに関連して説明されるロック機構132と同様の方法で互いに着脱可能に係合するように構成されていてもよい。あるいは、概して「L」字形を構成する溝は、外側管状部材102cの遠位端に形成されていてもよく、この溝と嵌合するように、ハブ部136cの近位端139cは半径方向外向きに延びる突起を含んでいてもよい。
【0065】
外側管状部材102cが曲げられて植込み型装置10を所望の位置に誘導する時、近位端部139は遠位に前進され、外側管状部材102の内面から解放されて、接合領域146に隣接した位置にキンク点または弱化領域を生じさせ得ることが企図される。内側管状部材110を近位に引き込んで、中間領域145を接触点148で外側管状部材102に接触させること、および近位端部139を外側管状部材102内に移動させるとともに、その構成で内側管状部材110を固定することの少なくとも一方によって、遠位保持部108が装置100の誘導中に所望の位置から移動することを防止することができる。このような構成はまた、内側管状部材110を張力下に置くことができる一方、以下でより詳細に説明するように、遠位保持部108は外側管状部材102上に圧縮力を加える。上述のように、ハンドルアセンブリ120のロック機構132を利用して、外側管状部材102および内側管状部材110を所望の向きに着脱可能に維持することができる。
【0066】
図4は、送達装置のハンドルアセンブリ120の断面図を示している。上述のように、ハンドルアセンブリ120は、外側管状部材102の近位端部104に取り付けられた第一ハブ部126と、内側管状部材110の近位端部に取り付けられた第二ハブ部128と、プッシュ部材116の近位端部に取り付けられた第三ハブ部130とを含んでいてもよい。第一ハブ部126、第二ハブ部128、および第三ハブ部130はそれぞれ、外側管状部材102、内側管状部材110、およびプッシュ部材116が別個に動作可能であるように、互いに対して摺動可能かつ回転可能であってもよい。
【0067】
プッシュ部材116は、近位端117から遠位に延びていてもよい。プッシュ部材116の近位端117は、弁部材113内に、またはこれに隣接して配置されてもよい。弁部材113は、プッシュ部材116の管腔154と流体連通していてもよい。管腔154は、これに限定されないが、例えば造影剤や洗浄液等の流体を遠位保持部108のキャビティ142に送達するため、近位端117から遠位部118まで延在していてもよい。いくつかの場合において、プッシュ部材116は、プッシュ部材116の近位端117に隣接する位置において第三ハブ部130に結合または付着されていてもよいが、これは必須ではない。プッシュ部材116が、任意の所望の長手方向位置において第三ハブ部130に付着されていてもよいことが企図される。いくつかの場合において、植込み型装置10をプッシュ部材116の遠位部118に固定するためのテザー(明示的には図示されていない)が管腔154内に配置され、弁部材113を介して装置100から排出されていてもよいが、これは必須ではない。
【0068】
内側管状部材110は、近位端112から遠位に延びていてもよい。内側管状部材110の近位端112は、第二ハブ部128内に配置されてもよい。内側管状部材110は、近位端112から内側管状部材110の遠位端まで延在する管腔152を含んでいてもよい。プッシュ部材116は、内側管状部材110の管腔152内に摺動可能に配置されてもよい。いくつかの場合において、内側管状部材110は、内側管状部材110の近位端112に隣接する位置において第二ハブ部128に結合または付着されていてもよいが、これは必須ではない。内側管状部材110が、任意の所望の長手方向位置において第二ハブ部128に付着されていてもよいことが企図される。
【0069】
外側管状部材102は、近位端105から遠位に延びていてもよい。外側管状部材102の近位端105は、第一ハブ部126内に配置されてもよい。外側管状部材102は、近位端105から外側管状部材102の遠位端103まで延在する管腔150を含んでいてもよい。内側管状部材110は、外側管状部材102の管腔150内に摺動可能に配置されてもよい。いくつかの場合において、外側管状部材102は、外側管状部材102の近位端105に隣接する位置において第一ハブ部126に結合または付着されていてもよいが、これは必須ではない。外側管状部材102が、任意の所望の長手方向位置において第一ハブ部126に付着されていてもよいことが企図される。
【0070】
いくつかの場合において、第一ハブ部126は、第一ハブ部126の近位端に隣接して配置された保持リング158を含んでいてもよい。いくつかの場合において、保持リング158は、ハンドルアセンブリ120の長手方向軸線の周りに回転可能であってもよい。保持リング158は、ロック機構132の他のロック特徴と係合するように構成されたロック特徴を含んでいてもよいことがさらに企図される。いくつかの場合において、第二ハブ部128は、第二ハブ部128の近位端に隣接して配置された保持リング164を含んでいてもよい。いくつかの場合において、保持リング164は、ハンドルアセンブリ120の長手方向軸線の周りに回転可能であってもよい。保持リング164は、ロック機構134の他のロック特徴と係合するように構成されたロック特徴を含んでいてもよいことがさらに企図される。
【0071】
図5は、第一ハブ部と第二ハブ部、および外側管状部材102と内側管状部材110の少なくとも一方の組み合わせを着脱可能に結合可能な、第一ロック機構132の特徴をより明確に示すため、第一ハブ部126の一部を除去したハンドルアセンブリ120の部分斜視図を示している。いくつかの場合において、ロック機構132は、バヨネット式ロック機構であってもよい。概して「L」字形を構成する溝156が第二ハブ部128において、第二ハブ部128の遠位端129に隣接して形成されてもよいことが企図される。いくつかの場合において、保持リング158は、保持リング158の内面から径方向内向きに延びる(
図6A〜
図6Eに概略的に示される)突起162を含んでいてもよい。保持リング158および第一ハブ部126は、第一ハブ部126の管腔内において第二ハブ部128を近位に引き込んだり(168)、遠位に前進させたり(170)することができるように、第二ハブ部128の外径よりも一般に大きい内径を有していてもよい。
【0072】
図6A〜
図6Eをさらに参照すると、ユーザが外側管状部材102および内側管状部材110を結合することを望む場合、第二ハブ部128が第一ハブ部126に対して、ハンドルアセンブリ120の長手方向軸線の周りに回転されることにより(172)、
図6Aに示すように、突起162を溝156の第一または垂直部157に対して整列させることができる。「垂直」および「水平」という用語は限定を意図するものではなく、相互作用する構成要素の相対的な動きを表現するために使用される。代替実施形態において、第一ハブ部126、またはその構成要素が、第二ハブ部128に対して回転されてもよい。第二ハブ部128が近位に引き込まれることにより(168)、矢印174で示すように、突起162を溝156内にさらに前進させることができる。突起162が突出領域176の遠位に配置されると、第二ハブ部128が第一方向に回転されることにより、垂直部157にほぼ垂直に溝156の第二または水平部159に沿って、
図6Bの矢印178で示すように、水平部159の端部に配置された窪み、凹部、またはセリフ160に向かって突起162を前進させることができる。壁180は、セリフ160に隣接して停止機構を提供することができる。突起162が停止機構180に係合すると、
図6Cに示すように、第二ハブ部128が遠位に前進されて(170)、セリフ160内に突起162を固定することができる。セリフ160は保持リング158の偶発的な回転を防止し、これによって、外側管状部材102および内側管状部材110の偶発的な係合の解除を防止することを支援することができる。
【0073】
非バイアス状態またはアンロック構成において、(例えば、外側管状部材102および内側管状部材110がロック機構132を介して結合されていない時)第二ハブ部128の遠位端129は、突起162および保持リング158を越えて遠位に延びていてもよい。(内側管状部材110に固定された)第二ハブ部128を(外側管状部材102に固定された)第一ハブ部126に対して近位に引き込み、突起162およびセリフ160を係合させることによって、内側管状部材110を張力下に置くことができる。いくつかの場合において、約1〜3ポンドの力(約4.4〜13.3ニュートン)、または約2ポンドの力未満(約8.9ニュートン未満)の範囲の引っ張り力を、内側管状部材110に加えることができる。内側管状部材110(例えば、内側管状部材110の近位端)が第二ハブ部128とともに近位に引き込まれるにつれて、遠位保持部108のハブ部136は、外側管状部材102の遠位端上に近位の力を加えることにより、外側管状部材102を圧縮下に置くことができる。この構成により、多軸送達装置100を単軸送達装置のように動作させることができる。内側管状部材110を張力下に置くことにより、送達装置100の湾曲部において、外側管状部材102の経路長がより短くなり得ることが企図される。例えば、外側管状部材102が湾曲する場合、管壁の第一の側は第一の円弧半径を有しており、管壁の第一の側とは反対の管壁の第二の側は、第一の円弧半径よりも小さい第二の円弧半径を有していてもよい。結合がされていない構成において、内側管状部材110は、外側管状部材102の管壁の第一の側に接触していてもよい。これにより、外側管状部材102に対して、所望の湾曲以外の方向に付勢力を加えることができる。内側管状部材110と張力下で結合されている構成において、外側管状部材102の管腔150内における内側管状部材110の位置は、管壁の第二の側により近いものとなり得る。これにより、外側管状部材102上に加えられる力を低減することによる、装置100の所望の位置への操縦を容易にすることができる。また、外側管状部材102または内側管状部材110のいずれかの動作によって、外側管状部材102および内側管状部材110の両方の動作がもたらされ得る。内側管状部材110および外側管状部材102が結合構成にある時に、遠位保持部108は外側管状部材102との係合から解放されて遠位に移動しなくてもよいことがさらに企図される。
【0074】
ユーザが外側管状部材102および内側管状部材110を結合から外すことを望む場合、第二ハブ部128を遠位に前進させることにより(170)、突起162をセリフ160から外すことができる。第二ハブ部128はその後、
図6Dの矢印182に示すように、外側管状部材102および内側管状部材110を結合する際の方向とは反対方向に、第一ハブ部126に対して、ハンドルアセンブリ120の長手方向軸線の周りに回転されてもよい(172)。第二ハブ部128は第一方向とはほぼ反対の第二方向に回転されることにより、
図6Dの矢印182に示すように、溝156の水平部159に沿って、垂直部157に向かって突起162を前進させることができる。壁184は、垂直部157に隣接して停止機構を提供することができる。突起162が停止機構184に係合すると、
図6Eの矢印186に示すように、第二ハブ部128が遠位に前進されて(170)、嵌合溝156から突起162を外すことができる。保持リング158、第一ハブ部126、および第二ハブ部128の少なくとも一つの外面には、ユーザによるロック機構132のロックおよびアンロックの少なくとも一方を支援するための視覚的なマーキングが設けられていてもよいことがさらに企図される。いくつかの場合において、「L」字形の溝が保持リング158または第一ハブ部126上に配置され、突起162が第二ハブ部128上に配置されてもよいことがさらに企図される。また、第一ロック機構132はバヨネット式ロック機構であるとして説明されているが、外側管状部材102および内側管状部材110を着脱可能に固定可能な他のロック機構も考えられる。
【0075】
例えば、ロック機構132は、配管用途において一般に使用されるクイックコネクトロック機構と同様の方法で形成することができる。クイックコネクトロック機構はOリングおよび圧縮嵌合を用いることにより、液密封止を維持することができる。回転するロックリングは、ロック構成においてクイックコネクトロック機構を保持することができる。別の実施形態において、ロック機構132は、
図3Aに関連して上述したねじ係合と同様のねじ係合を含んでいてもよい。例えば、保持リング158または第一ハブ部126の他の部分は、第一ねじ領域を含んでいてもよく、第二ハブ部128は、保持リング158または第一ハブ部126の他の部分上のねじ領域と係合および螺合の少なくとも一方が行われるように構成された、第二ねじ領域を含んでいてもよい。保持リング158および第一ハブ部126の他の部分の少なくとも一つの第二ハブ部128に対する回転によって、内側管状部材110を張力下に置く一方で、外側管状部材102を圧縮下に置くことができる。さらに別の実施形態において、ロック機構132は、スナップロック、さねはぎ式ロック、嵌合止めおよび溝、または
図3Bに関連して上述した結合構成と同様の、保持リング158および第二ハブ部128の少なくとも一方の上の対応する特徴に係合するように構成された他の特徴を含むことができる。
【0076】
図7は、内側管状部材110およびプッシュ部材116を着脱可能に結合するために使用可能な、第二ロック機構134の特徴をより明確に示すため、第二ハブ部128の一部を除去したハンドルアセンブリ120の別の部分斜視図を示している。いくつかの場合において、ロック機構134は、バヨネット式ロック機構であってもよい。概して「L」字形を構成する溝166が第三ハブ部130において、第三ハブ部130の遠位端131に隣接して形成されていてもよいことが企図される。いくつかの場合において、保持リング164(
図7には明示的には図示されていない)は、保持リング164の内面から径方向内向きに延びる、
図5および
図6A〜
図6Eに関連して上述した突起162と同様の形状および機能を有する突起を含んでいてもよい。保持リング164および第二ハブ部128は、第二ハブ部128の管腔内において第三ハブ部を130を近位に引き込んだり(168)、遠位に前進させたり(170)することができるように、第三ハブ部130の外径よりも一般に大きい内径を有していてもよい。第二ロック機構134は、上述した第一ロック機構132と同様に機能してもよいことが企図される。
【0077】
ユーザが内側管状部材110およびプッシュ部材116を結合することを望む場合、第三ハブ部130が第二ハブ部128に対して、ハンドルアセンブリ120の長手方向軸線の周りに第一方向に回転されることにより(172)、突起を溝166の第一または垂直部165に対して整列させることができる。「垂直」および「水平」という用語は限定を意図するものではなく、相互作用する構成要素の相対的な動きを表現するために使用される。代替実施形態において、第二ハブ部128、またはその構成要素が、第三ハブ部130に対して回転されてもよい。第三ハブ部130が近位に引き込まれることにより(168)、突起を溝166内にさらに前進させることができる。突起が突出領域171の遠位に配置されると、第三ハブ部130が回転されることにより、垂直部165にほぼ垂直な溝166の第二または水平部167に沿って、水平部167の端部に配置された窪みまたはセリフ169に向かって突起を前進させることができる。壁173は、セリフ169に隣接して停止機構を提供することができる。突起が停止機構173に係合すると、第三ハブ部130が遠位に前進されて(170)、セリフ169内に突起を固定することができる。セリフ169は保持リング164の偶発的な回転を防止し、これによって、内側管状部材110およびプッシュ部材116の偶発的な係合の解除を防止することを支援することができる。
【0078】
非バイアス状態またはアンロック構成において、(例えば、内側管状部材110およびプッシュ部材116がロック機構134を介して結合されていない時)第三ハブ部130の遠位端131は、突起および保持リング164を越えて遠位に延びていてもよい。(プッシュ部材116に固定された)第三ハブ部130を(内側管状部材110に固定された)第二ハブ部128に対して近位に引き込み、突起およびセリフ169を係合させることによって、プッシュ部材116を張力下に置くことができる。プッシュ部材116を張力下に置くことにより、送達装置100の湾曲部における経路長がより短くなり得ることが企図される。
【0079】
ユーザが内側管状部材110およびプッシュ部材116を結合から外すことを望む場合、第三ハブ部130を遠位に前進させることにより(170)、突起をセリフ169から外すことができる。第三ハブ部130はその後、第一方向とはほぼ反対の第二方向に、第二ハブ部128に対して、ハンドルアセンブリ120の長手方向軸線の周りに回転されてもよい(172)。第三ハブ部130が回転されることにより、溝166の水平部167に沿って、垂直部165に向かって突起を前進させることができる。壁175は、垂直部165に隣接して停止機構を提供することができる。突起が停止機構175に係合すると、第三ハブ部130が遠位に前進されて(170)、嵌合溝166から突起を外すことができる。保持リング164、第二ハブ部128、および第三ハブ部130の少なくとも一つの外面には、ユーザによるロック機構134のロックおよびアンロックの少なくとも一方を支援するための視覚的なマーキングが設けられていてもよいことがさらに企図される。いくつかの場合において、「L」字形の溝が保持リング164または第二ハブ部128上に配置され、突起が第三ハブ部130上に配置されてもよいことがさらに企図される。また、第二ロック機構134はバヨネット式ロック機構であるとして説明されているが、内側管状部材110およびプッシュ部材116を着脱可能に固定可能な他のロック機構も考えられる。
【0080】
例えば、ロック機構134は、配管用途において一般に使用されるクイックコネクトロック機構と同様の方法で形成することができる。クイックコネクトロック機構はOリングおよび圧縮嵌合を用いることにより、液密封止を維持することができる。回転するロックリングは、ロック構成においてクイックコネクトロック機構を保持することができる。別の実施形態において、ロック機構134は、
図3Aに関連して上述したねじ係合と同様のねじ係合を含んでいてもよい。例えば、保持リング164または第二ハブ部128の他の部分は、第一ねじ領域を含んでいてもよく、第三ハブ部130は、保持リング164または第二ハブ部128の他の部分上のねじ領域と係合および螺合の少なくとも一方が行われるように構成された、第二ねじ領域を含んでいてもよい。保持リング164および第二ハブ部128の他の部分の少なくとも一つの第三ハブ部130に対する回転によって、プッシュ部材116を張力下に置くことができる。さらに別の実施形態において、ロック機構134は、スナップロック、さねはぎ式ロック、嵌合止めおよび溝、または
図3Bに関連して上述した結合構成と同様の、保持リング164および第三ハブ部130の少なくとも一方の上の対応する特徴に係合するように構成された他の特徴を含み得る。
【0081】
送達装置100(および、本明細書に開示された他の送達構造の少なくとも一つ)のような送達装置の様々な構成要素、並びに本明細書に開示された様々な部材に使用可能な材料は、医療装置に一般に関連する材料を含むことができる。簡略化のため、以下の説明においては送達装置100およびその構成要素を参照する。しかしながら、この説明は他の同様の送達システム、および本明細書に開示された送達システムまたは装置の構成要素の少なくとも一つにも適用することができ、本明細書に開示された装置および方法を限定する意図はない。
【0082】
送達装置100および送達システムの他の構成要素の少なくとも一つは、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属−ポリマー複合材料、セラミック、およびこれらの組み合わせ等や、他の適切な材料から形成することができる。適切なポリマーについてのいくつかの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート、デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、エルフアトケム社から入手可能なCRISTAMID(商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えばPEBAX(登録商標)の商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン−12(EMSアメリカングリロン社から入手可能なGrilamid(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えば、SIBS、SIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはこれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、およびポリマー/金属複合物等が含まれ得る。いくつかの実施形態において、ポリマーを液晶ポリマー(LCP)と混合してもよく、例えばその混合物は、最大約6%のLCPを含有していてもよい。
【0083】
適切な金属および金属合金についてのいくつかの例には、304V、304L、および316Lステンレス鋼等のステンレス鋼、軟鋼、線形弾性ニチノール、超弾性ニチノール等のニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム−モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625等のUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C−22(商標)等のUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(商標)等のUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金等)、ニッケル−銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400等のUNS:N04400等)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(商標)等のUNS:R30035等)、ニッケル−モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル−クロム合金、他のニッケル−モリブデン合金、他のニッケル−コバルト合金、他のニッケル−鉄合金、他のニッケル−銅合金、他のニッケル−タングステンまたはタングステン合金等の他のニッケル合金、コバルト−クロム合金、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003等)、白金富化ステンレス鋼、チタン、およびこれらの組み合わせ等や、他の任意の適切な材料が含まれる。
【0084】
本明細書で言及されるように、市販のニッケル−チタンまたはニチノール合金のファミリーには、「線形弾性」または「非超弾性」と呼ばれる部類の、従来の形状記憶および超弾性の種類に化学的に類似するが、異なる有用な機械的特性を示すものがある。線形弾性ニチノールや非超弾性ニチノールは、その応力/歪み曲線において超弾性ニチノールが示すような実質的な「超弾性プラトー」または「フラグ領域」を示さないという点において、超弾性ニチノールから区別され得る。その代わりに、線形弾性ニチノールや非超弾性ニチノールにおいて、復元可能な歪みが増大するにつれて実質的に線形に、または幾分か線形であるが必ずしも完全な線形ではない関係で塑性変形が開始するまで、あるいは少なくとも超弾性ニチノールに見られる超弾性プラトーおよびフラグ領域の少なくとも一方より線形である関係で、応力が増加し続ける。従って、本願の目的のため、線形弾性ニチノールおよび非超弾性ニチノールは、「実質的」線形弾性ニチノールおよび非超弾性ニチノールと呼ぶこともできる。
【0085】
いくつかの場合において、超弾性ニチノールが塑性変形前に最大約8%の歪みを許容することができるのに対して、線形弾性ニチノールや非超弾性ニチノールは(例えば、塑性変形前に)最大約2〜5%の歪みを許容しつつ実質的な弾性を維持するという点において、超弾性ニチノールから区別され得る。これらの材料は両方とも、塑性変化前にわずか約0.2〜0.44%の歪みしか許容しないステンレス鋼等の他の線形弾性材料から区別され得る(これらは、その組成に基づいても区別され得る)。
【0086】
いくつかの実施形態において、線形弾性ニッケル−チタン合金や非超弾性ニッケル−チタン合金は、広い温度範囲にわたって示差走査熱量測定(DSC)および動金属的熱分析(DMTA)を行うことによって検出可能な、いかなるマルテンサイト/オーステナイト相変態をも示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態において、線形弾性ニッケル−チタン合金や非超弾性ニッケル−チタン合金において、約−60℃〜約120℃の範囲でDSCおよびDMTA分析により検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変態は存在しない。従って、このような材料の機械的曲げ特性は一般に、この非常に広い温度範囲にわたって温度の影響をほとんど受けない場合がある。いくつかの実施形態において、線形弾性ニッケル−チタン合金や非超弾性ニッケル−チタン合金の周囲温度または室温における機械的曲げ特性は、例えばそれらが超弾性プラトーおよびフラグ領域の少なくとも一方を示さないという点において、体温における機械的特性と実質的に同一である。言い換えると、広い温度範囲にわたって、線形弾性ニッケル−チタン合金および非超弾性ニッケル−チタン合金は、その線形弾性特性および非超弾性特性を維持する。
【0087】
いくつかの実施形態において、線形弾性ニッケル−チタン合金や非超弾性ニッケル−チタン合金は約50〜約60質量パーセントのニッケルを含み、実質上残りはチタンとすることができる。いくつかの実施形態において、その組成はニッケルが約54〜約57質量パーセントである。適切なニッケル−チタン合金の一例として、日本の神奈川県に所在する古河テクノマテリアル社から市販されているFHP−NT合金がある。ニッケル−チタン合金のいくつかの例は、参考として本明細書に取り入れられた米国特許第5,238,004号および同第6,508,803号に開示されている。他の適切な材料には、(ネオメトリクス社から入手可能な)ULTANIUM(商標)、および(トヨタ社から入手可能な)GUM METAL(商標)が含まれる。いくつかの別の実施形態においては、所望の特性を実現するため、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用してもよい。
【0088】
少なくともいくつかの実施形態において、送達装置100の一部または全体、および送達システムの他の構成要素の少なくとも一つは、放射線不透過性材料を添加し、これから生成し、あるいはこれを含むことができる。放射線不透過性材料は医療処置の際、X線透視スクリーンまたは他の撮像技術において比較的明るい画像を生成することができる材料であるとして知られている。この比較的明るい画像は、送達装置100のユーザがその位置を決定する際の助けとなる。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が添加されたポリマー材料等を含み得るが、これらに限定されない。また、同様の結果を達成するため、他の放射線不透過性マーカバンドおよびコイルの少なくとも一方を、送達装置100の設計に組み込むこともできる。
【0089】
いくつかの実施形態において、送達装置100にはある程度の磁気共鳴画像法(MRI)への適合性がある。例えば送達装置100の全体または一部、またはその構成要素は、実質的に画像を歪ませず、実質的なアーティファクト(すなわち、画像におけるギャップ)を生じさせない材料から生成することができる。例えば、特定の強磁性材料はMRI画像にアーティファクトを生じさせ得るため、適切でない場合がある。送達装置100の全体または一部はまた、MRI装置によって撮像可能な材料を含むか、これから生成することもできる。これらの特性を示すいくつかの材料には、例えばタングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(商標)等のUNS:R30035)、ニチノール等が含まれる。
【0090】
本願は多くの点で単なる例示であると理解されるべきである。細部において、特に形状、サイズ、およびステップの配置という点において、本願の範囲を超えることなく変更を行うことができる。これは適切な程度において、ある例示的な実施形態の任意の特徴を他の実施形態に使用することを含み得る。本発明の範囲は当然ながら、添付の特許請求の範囲の文言により定義される。
【国際調査報告】