特表2017-531910(P2017-531910A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-531910高圧直流大電流又は高圧交流大電流用の切離スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-531910(P2017-531910A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(54)【発明の名称】高圧直流大電流又は高圧交流大電流用の切離スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 39/00 20060101AFI20170929BHJP
【FI】
   H01H39/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-522184(P2017-522184)
(86)(22)【出願日】2015年10月21日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月8日
(86)【国際出願番号】DE2015100439
(87)【国際公開番号】WO2016062305
(87)【国際公開日】20160428
(31)【優先権主張番号】102014115396.0
(32)【優先日】2014年10月22日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516363949
【氏名又は名称】ピーター レル
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】ピーター レル
(57)【要約】
本発明はスイッチ(10)に関し、特にハウジング(12)と、第1接点(28)と、第2接点(30)と、スイッチ(10)の接続位置で第1接点(28)と第2接点(30)の間の電気的接続を確立する接続要素(22)を有するハウジング(12)によってガイドされるスイッチングピストン(24)とが配設され、ハウジング(12)は接続要素(22)を囲む内部空間が配設され、導電位置から切離位置に移動することができる、高圧直流大流及び高圧交流大電流用の切離スイッチ(10)に関する。本発明の特徴は、結合要素(22)が絶縁媒体(20)で満たされた内部空間(18)内に少なくとも部分的に延び、スイッチングピストン(24)の機械的動きでスイッチ(100)が接続位置から切離位置に移動するように当該スイッチが設計され、スイッチングピストン(24)は、第1接点(28)と第2接点(30)との間の電気的接続が少なくとも1つの切離位置において遮断されるように結合要素(22)に機械的に影響を与えることである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ、特に高電圧の直流大電流及び交流大電流のための切離スイッチ(10)であって、
(a)当該スイッチは導電位置から切離位置に移行可能であり、
(b)ハウジング(12)、第1接点(28)、第2接点(30)、前記ハウジング(12)で案内されるピストン(24)、及び前記第1接点(28)と前記第2接点(30)との間の電気的結合を生成する結合要素(22)を有し、
(c)前記ハウジング(12)には前記結合要素(22)を囲む内部空間が配設され、
(d)前記結合要素は前記内部空間(18)内で少なくとも断面内に延在し、
(e)前記内部空間(18)が絶縁媒体(20)で満たされ、及び
(f)前記スイッチは、前記スイッチングピストン(24)の機械的動きが前記スイッチ(10)を前記導電位置から前記切離位置に移動させることができるように設計され、前記スイッチングピストン(24)が、前記第1接点(28)と前記第2接点(30)との間の電気的接続が少なくとも1つの前記切離位置で妨害されるように、前記結合要素(22)に対して機械的に作用するようにしたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記スイッチングピストン(24)を移動するために前記ハウジング(12)の前記内部空間(18)の外側に駆動部が配設され、当該駆動部は前記スイッチングピストンの動きを生じさせる移動力で活性化された後に前記スイッチングピストン(24)に影響を及ぼし、前記駆動部は、特に誘導的駆動として、渦電流駆動として、又はガス発生剤を用いて、特に液体及び/又は固体ガス発生剤、特に活性化が可能な炸薬的ガス発生剤の燃焼又は酸化ガス圧を発生するガス圧駆動として設計されていることを特徴とする請求項1のスイッチ。
【請求項3】
前記ガス圧駆動部に燃焼室(68)が配設され、当該燃焼室は前記ハウジング(12)の前記内部空間(18)から分離されて内部に前記ガス発生剤が配設され、前記スイッチングピストンが、前記スイッチングピストンの移動を生じさせるためにガス圧で直接的に作用されるように設計されるか、又は前記スイッチングピストンが、ガス圧によって移動される要素が前記スイッチングピストンに作用するように、ガス圧によって間接的に作用されることを特徴とする請求項2のスイッチ。
【請求項4】
前記ガス発生剤によって使用されていない前記燃焼室(68)内の利用可能な容積が、少なくとも部分的に、望ましくは実質的に完全に、液体、固体又はゲル状物質によって満たされている請求項2又は3のスイッチ。
【請求項5】
前記絶縁媒体(20)が、ケイ酸塩又は鉱物砂又はケイ砂である請求項1から4のいずれか1項のスイッチ。
【請求項6】
前記結合要素(22)が、小さなチューブ、ワイヤ又はフラット要素、特にベルトの形態のフラット要素である請求項1から5のいずれか1項のスイッチ。
【請求項7】
前記スイッチ(10)を前記導電位置から前記切離位置に移動するための前記スイッチングピストン(24)の機械的動きが、前記結合要素(22)の主たる伸長に沿った方向の直進動作であるか、又は前記結合要素(22)の主たる伸長の方向に対して5°から90°の範囲内の角度が付いた動作である請求項1から6のいずれか1項のスイッチ。
【請求項8】
前記結合要素(22)の前記直進動作で前記結合要素(22)が前記第1接点(28)及び/又は前記第2接点(30)から裂けるか又は切離し、前記スイッチングピストン(24)の前記直進動作が当該裂けた状態又は当該切離した電気的接続状態の間中継続する請求項7のスイッチ。
【請求項9】
前記スイッチングピストン(24)が前記切離位置に動くことなく前記スイッチ(10)が所定の電気負荷で前記切離位置に移動するように前記結合要素が溶融可能な要素、例えば溶融可能なワイヤとして設計され、前記スイッチングピストン(24)の同時又はそれに続く動きで前記切離距離(t)が増大する請求項1から8のいずれか1項のスイッチ。
【請求項10】
前記結合要素(22)は、少なくとも1つの前記切離位置を幾何学的に規定するために少なくとも1つの機械的に脆弱化した断面が配設されている請求項1から9のいずれか1項のスイッチ。
【請求項11】
前記ガス圧駆動部に、当該ガス圧駆動部の活性化の間に変形する薄膜(76)が配設され、当該薄膜の動きが前記スイッチングピストン(24)に伝達されるように前記スイッチングピストン(24)が前記薄膜(76)に機械的に結合されている請求項2から10のいずれか1項のスイッチ。
【請求項12】
ガス圧の結果としての前記薄膜(78)の動きを少なくとも1つ又は複数の部分領域において制限する薄膜支持要素、例えば薄膜支持リング(78)が、さらに配設されている請求項11のスイッチ。
【請求項13】
前記薄膜が互いに重なった複数の材料層(複層薄膜)から成る請求項11又は12のスイッチ。
【請求項14】
所定の過負荷量で過負荷電流による前記結合要素の切離に至るように前記結合要素(22)に1つ又は複数の電気的に弱められた断面領域が配設され、1つ又は複数の前記切離位置に影響する望ましい過負荷で、スイッチ(10)に付与される外部電源電圧に対して相応に低減されたスイッチング電圧を達成するために、空間的に互いに分離された2つ又はそれ以上の電気的に効果的に弱められた断面領域を、結合要素(22)の長手方向に次々と配置することが可能な請求項1から13のいずれか1項のスイッチ。
【請求項15】
前記切離位置の形成を誘発又は支持するために前記結合要素(22)上に炸薬剤(6)が載置され、又は前記燃焼室(58)としての役目を果たす空隙(52)が前記結合要素に配設され、当該燃焼室内に前記炸薬剤が導入され、前記ガス発生剤によって使用されていない前記燃焼室の容積が、望ましくは、少なくとも部分的に、望ましくは実質的に完全に、オイル状、ゲル状、グリース状、又は固体の充填材によって、前記燃焼室内の空の容積を低減すると同時に、点火要素(80)によって発生された圧力波を前記薄膜(76)上に改善された小さな減衰で結合するために満たされている請求項1から14のいずれか1項のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ、特に切離スイッチに関する。このスイッチは、高圧直流大電流又は高圧交流大電流を切離することができ、例えば100Vと5,000Vの間の電圧範囲で使用可能である。このように10,000Aの電流が切離可能である。
【背景技術】
【0002】
電流用回路のスイッチングを、より高い出力つまり高電圧及び/又は大電流で行うことが、電気工学の全分野において課題である。当該課題は、特に交流電流と比べるとゼロ交差がない高圧直流電流をスイッチで切離する時に突き当たるのであり、当該切離では、電源電圧の約100Vで形成されて安定した状態を保ち、そしてすべての材料をそれらの環境中で消耗する光アークが十分に高い電圧で形成されることがある。電流回路がスイッチによって既に機械的に切離されていても、或いは切離されるはずであっても、伝導接点又は電極の酸化及びイオン化で、電流はこの際光アークの中で続けて流れ得る。これら課題を回避するために利用可能な色々な取り組みが知られている。これら取り組みのいくつかは、切離工程の速度に関するものである。
【0003】
スイス特許CH 24 06 70は、高電位が発生する電流回路を接続し及び切離するための装置を開示する。この特許は、高圧を伝導する接点要素を金属保護カバーで覆うことができることを開示している。接点導体要素には複数の個々の接点導体を配設することができ、したがって金属保護カバーには当該多数の接点導体に対応した多数の開口が配設されている。保護カバーは接点導体と機械的に結合されているので、第2接点の接近において、対向する接点導体が後方に移動され、その時点までシールドされていた接点導体がその後でのみ開口を通して解放される。このスイッチング装置は、特に長波長送信機の電力増幅器で使用される。
【0004】
光アークの形成は保護カバーによって複雑化されているのが分かるが、光アークの形成は十分に高い電圧ではどんな場合でも完全には抑制することができないということも分かる。機械的設計は、電気回路の非常に速い接続又は切離に対して非常に適切であるとはいえない。さらに、それは比較的高周波の電流でのみ効率的である。
【0005】
ドイツ特許の書類DE 19 28 922 C3は、電気回路の機械的切離にも重点を置いた高電圧テクノロジーに対する取り組みを開示している。電流は、連れ合いのスイッチに向けて機械的に安全に移動可能な1つ又は幾つかの切離ナイフを介して導かれる。連れ合いのスイッチとのより良い及びより信頼性のある電気接続を得るために、切離ナイフを追加的に回転することも可能である。この取り組みは、10kV超や100kV超の範囲の非常に高い電圧を使用することを可能にする。しかし、機械的切離はやはりきわめて遅く、加えて機械的に複雑化した構成部品を配設しないといけないので設計においてスペースも要する。
【0006】
審査された特許出願1 050 858のドイツ公報は、爆発絶縁体の形式の電気回路遮断器を開示する。爆発絶縁体はその内部に中空伝導部分が位置するチャンバを装備し、当該チャンバ内に炸薬が導入される。伝導部分は接点を介して電気系統に接続することができる。炸薬は、任意の点火装置、例えばフィラメントで点火することができる。このようにして絶縁間隔が生成されるように、中空伝導部分を爆破することができる。光アークは、水で満たされたバッグ又はコンテナーによってその形成を抑制できる。水は爆発の熱によって部分的に蒸発するので、光アークの除去を後押しするはずである。爆発絶縁体の重要な利点は、回路の非常に速い遮断が達成されることである。しかし、水による光アークの除去は十分とは思われないし、水によって周囲の構成部品が濡れるかも知れない。さらに、スイッチング回路の遮断を炸薬によって引き起こすことができることにも注意する必要がある。手動操作は不可能であって、これは言葉の古典的意味においてスイッチではない。装置のカプセル化で外部に関して影響を可能にしようとしても不可能である。なぜなら、爆風ガス、爆発からの破片及び特に蒸発水が過度の圧力を生成し、これらは強固な金属製の壁厚でのみ制御可能であるが、通常の手段では最早制御することができないからである。
【0007】
ドイツ実用新案公報DE 20 2007 013 841 U1は、クランクケースを装備した電気スイッチング装置を開示する。.このスイッチング装置の操作は、例えば1つの開成位置から閉成位置にそれが切り換えられるように、このクランクケースを介して機械的に行われる。起こり得る光アークの発生を抑制するために絶縁ガスが使用される。この絶縁ガスは、光アークを確実に抑制するために所定の最低圧力を有していなければならない。最低圧力が維持されるのを確実にするために圧力センサが配設されている。絶縁ガスが確実に光アークの発生を抑制すると思われる場合に、例えばウォーターバッグのようなものでは、圧力センサを配設するのが非常に複雑になる。この点に関してより簡単な解決策が望まれる。
【0008】
ドイツ未審査特許出願DE 198 19 662 A1は、電気自動車の電力供給を遮断するための電気スイッチを開示する。電気回路は、実質的に切離スイッチの概念に対応している。
【0009】
当該電気回路は、特に突発的な事態に備えて自動車の電気系統の短絡を回避する役目を果たす。類似の短絡は、燃料漏れがあると火災を引き起こす。これが、電気スイッチが蓄電池端子の後に挿入されている理由である。電気スイッチは例えば導火爆管で始動され、当該導火爆管は衝突又は激突センサによって始動される。スイッチが切離される時に火花が発生する可能性がある。当該火花は環境に対してハウジングにより遮蔽される。
【0010】
この電気スイッチは、蓄電池内の短絡又は電気自動車内の類似の短絡回路で発生することがある大電流・高電圧用に設計されている。しかし、火花の発生は完全には避けることができないので、これが火花をハウジングで確実に防護しなければならない理由である。
【0011】
ドイツ特許出願公報DE 102 05 369 B4は、電気的ヒューズの形、特に電気回路内の大電流を遮断するための炸薬ヒューズの形の類似のスイッチを開示する。このヒューズは、特に、事故直後に自動車バッテリのオンボード配線を切離するのに使用されるようにも設計されている。しかしこの改善された取り組みでは、いかなる種類の手動スイッチングもできない。
【0012】
最後に名前を上げた両方のスイッチは、整流電圧の100V未満の電源電圧と良好な互換性があるが、大電流を切離する瞬間に光アークが依然として安定した状態を保って必ず発生し、そのためスイッチが破壊されるけれども回路は最終的には切離されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特に切離スイッチを配設することにより従来技術を改善することにあり、当該切離スイッチは高圧電源電圧において高圧DC及びAC電流に適合し、何年もの間メンテナンス無しで容易に使用でき、とりわけその作動が始動された時に外部に対して影響がない、つまり周囲部品に影響しないようにすることである。このスイッチは安全かつ製造するのに安価でなければならない。このスイッチは、他の安全システムと容易に組み合わせることが可能でなければならない。
【0014】
これらの利点は、請求項1に対応したスイッチによって達成される。
【0015】
スイッチは伝導位置から切離位置に転換される。結合位置は、スイッチON位置としても説明することができる。この位置では、第1接点と第2接点の間を電流が流れる。
【0016】
切離位置では、少なくとも第1接点と第2接点の間を電流が流れない。この切離位置で2つの他の接点の間、例えば第1接点と第3接点の間を電流が流れることは優に可能である。その場合、スイッチは切離スイッチだけではない。
【0017】
スイッチは、高い電源電圧の大電流用の切離スイッチとして適切である。いずれにせよ、スイッチは100V超の電圧用及び直流電流の切離用に適切である。スイッチはその構成においてすべての規則に適合し、中間及び高電圧についても同様にVDE規則に適合し、特に1kV超の高電圧についても適合している。
【0018】
スイッチに第1接点と第2接点が配設されている。既述のように、スイッチに他の接点を装備してもよい。スイッチは、少なくとも第1接点及び第2接点によって切替可能な電気回路、つまり切離される可能性のある電気回路に接続される。スイッチの伝導位置において、第1接点と第2接点の間の電気的接続が結合要素で確立される。一般に、結合要素は第1接点と第2接点を機械的にも結合する。
【0019】
結合要素は適宜の方法で実質的に軸線に沿って延びる。適切な結合要素は、それ故結合ワイヤである。当該ワイヤはこの場合均一な構造を有する必要がなく、機械的脆弱部と補強部を有していてもよい。多かれ少なかれ、構造化又は穿孔された結合プレートも、この目的のために適切である。一方において、結合要素は、電気的要件に従ってその形状と材料に関して必要な形状、つまり伝導位置において電流を導くための必要な形状にしないといけない。結合要素は、例えば銅又はその合金、又はタングステン又はその合金、特に、高い電気的伝導性があるが、同時に、例えばタングステンとその合金の場合のように蒸発及びイオン化のために最大限のエネルギを必要とする材料で構成することができる。そのような金属又は合金で出来た結合要素を、コーティングする可能性もある。
【0020】
他方において、結合要素は、スイッチングのために望まれるその機能についても選択される。特に、本発明に従って、結合要素を、第1接点が第2接点から電気的に切離される位置、つまりスイッチがその切離位置にある位置にシフトすることが可能である。この目的のために、第1と第2接点の間の電気的接続が遮断されるように、結合要素上に機械的に作用するスイッチングピストンが配設される。
【0021】
そのような遮断で、少なくとも1つの切離位置が一般的に形成される。当該切離位置は、この場合、結合ワイヤの元の経路の所定距離を越えて延びる。これは切離距離ということもできる。当該切離距離は、元の結合ワイヤの1%超の長さ又は5%超の長さを有するのが望ましく、5%と20%の間の数値も一般に有用であるのが望ましい。結合ワイヤの中に複数の切離位置を生成することも可能である。これは、スイッチングが要求される瞬間に発生可能である。代替的又は追加的に、後に詳述するように、過負荷による切離位置の形成も可能である。
【0022】
それ故、過負荷による切離位置の形成は、スイッチングピストンが結合要素に機械的に結合されているときが都合が良い。例えば、はんだ継手をこの目的のために使用することができる一方、変位結合又はマルチ結合の使用のように圧接も同様に適している。スイッチングピストン及び結合要素は、安全でない結合を回避するため、一体形設計によって理想的に生成することができる。
【0023】
色々な機械的な動きで、切離位置へのスイッチの移行を生じさせることができる。例えば、スイッチングピストンは、結合要素の対称軸回りのねじりの動きを生じさせることができ、それに続いて捻りによる結合要素の裂けを生じさせることができる。代替的又は追加的に、スイッチングピストンは引き抜き作動によって、結合要素の伸長の主軸に沿って破壊することができる。当該引き抜き作動の後で、第1結合要素部分、切離距離及び第2結合要素部分が、生成される。そのような引き抜き作動は、特別に利点があることが既に証明されている。すなわち、特に、捻り作動によるよりも引き抜き作動による方が、選択可能な切離距離が異なって生成されるという事実に起因する。
【0024】
直進動作で結合要素自体を切離することができるが、当該直進動作は、(単独に又は追加的に)結合要素と第1又は第2結合要素との間の結合を解除するために使用することも可能である。この場合も絶縁距離が生成される。それ故、結合要素の裂け点を通してこの動きを継続することが有利であり、それにより最初に絶縁距離が生成し、この動きが続くと当該絶縁距離が延長する。1つの動きにおいて、例えば第1接点又は第2接点の切離によって第1切離距離を生成することができ、その後に例えば結合要素の切離によって第2切離距離を生成することができる。
【0025】
スイッチにはハウジングを配設するとよい。このハウジングでスイッチングピストンを案内することができる。当該ハウジングの案内作用で、ハウジングに対するスイッチングピストンの動き、例えば前述した引き抜き作動も可能になる。この動きの間に、ハウジングはピストンを少なくとも部分的に案内することになる。ハウジングの例えばカバーの領域に穴が配設されていると有利である。スイッチングピストンは丸い円筒体として一般に設計され、そのような穴を通して容易に案内される。代替的又は追加的に、ピストンは折畳みベローズを介してハウジングと連結することができる。穴は省略することができ、そして、よりよい、かつ、外部に対するさらに密封的で効果的なハウジングのシーリングが達成される。
【0026】
ハウジングに内部空間を配設することができる。ハウジングに対して、この内部空間は空洞である。当該内部空間は、結合要素を少なくとも部分的に取り囲むことができる。結合要素が切離位置に機械的に移送される時と、結合要素のこの切離によって光アークの形成が生じるおそれがある時、ハウジングが単独で配設されている事実により飛火に対する防護がもたらされる。
【0027】
しかし本発明の脈絡の中で、ハウジングの内部空間は追加的に絶縁媒体で満たすことができる。この絶縁媒体は、光アークの形成を完全に抑制したり、その強度、経路及び持続時間に関して光アークの形成を少なくとも制限したりすることができる。絶縁媒体は、切離位置での電流流れの結果として、切離により最終的に発生する可能性がある結合部の破片を捕捉し、最も重要なことは、再流(reflows)及び冷却でこのように生成された光アークのエネルギを吸収し、そして光アークを消火することである。
【0028】
絶縁媒体は、ケイ酸塩、鉱物又は特殊金属であることができ、特に、低い導電率で高い熱伝導性を有する物質であって、かつ、最低限の溶融温度で高い溶融エネルギを有する物質であることができる。ケイ砂はウジングの寸法に関して特に適切である。他の砂の使用も考えられる。鉱物由来の砂と代替的に金属砂も可能性がある。そのような絶縁媒体を混合してもよい。他の可能性のある絶縁媒体は、例えばオイル、例としてシリコンオイル、変圧器油、菜種油を含み、またひまわり油やその油脂やジェルのようなものも含む。蒸留水も選択肢の1つである。さらに保護ガスを導入することも可能である。この発明の文脈の中で、高真空も絶縁媒体と考えることができる。
【0029】
スイッチングピストンに関して色々な種類が適合する。円筒形がしばしば選択され、当該設計はとりわけ費用効率的に製造することができる。非円形断面の形も選択可能であり、例えば楕円又は矩形断面も選択可能である。結合要素から離間する側でスイッチングピストンに環状突起が配設されていると役に立つ。この発明の文脈の中で、スイッチングピストンが(少なくとも部分的に)手動で動かすことができると都合が良い。当該動きは、把持領域又は把持リングが配設されていると、とりわけうまくいく。当該動きは一般にこの場合引き抜き作動であり、したがってスイッチングピストンがハウジングから引き出される。ピン引き抜き駆動としても知られている駆動は、スイッチングピストンをこのように移動することができる手段である。スイッチングピストンは、この場合駆動部の構成要素であることができる、又は駆動部の移動可能なピストンによって影響される(引かれる)ことができる。スイッチングピストンに、代替的又は追加的に、把持リング又はリング等に加えて小穴を配設することもできる。
【0030】
スイッチングピストンは、一般に電気的伝導性があるものにすることができる。この目的のために、スイッチングピストンを金属、例えば銅又はその合金、又はタングステン及びその合金から作るのが有利である。スイッチングピストンを結合要素と同じ金属で構成することも可能であり、当該スイッチングピストンをこれら物質で被覆するだけにすることも可能である。
【0031】
動くピストンの手動による動きに対して代替的又は追加的に、他の種類の移動も可能である。特に、スイッチングピストンは制御可能な駆動部を用いて動かすことができる。当該駆動部は、例えば誘導式駆動部として設計することができる。誘導コイルを当該目的のために適切な距離で配置することができる。スイッチングピストンは、適切な方法で磁気的に設計することができる。しかし、スイッチングピストンそれ自体に誘導コイルを配設することも可能である。スイッチングピストンに誘導コイルを装備し、当該誘導コイルに対し、基準点に対する適切な距離で例えば永久磁石を配設することも考えられる。このようにして、スイッチングピストンを追加的又は代替的に移動することができる。
【0032】
渦電流を使用する駆動部も考えられる。この場合、結合要素を有するハウジングと、スイッチングピストンの端部プレートとの間に力コイルが配置され、望ましいスイッチング状態を誘発するために当該力コイルを通してサージ電流が流れる。力コイルの前側に配置され、良好な電気的伝導性を有する材料で出来た端部プレート内にこのようにして電流が誘発され、当該端部プレートはレンツの法則に従って励磁電流とは反対側の力コイル内に配置され、スイッチングピストンの端部プレートが力コイルから離間する方向に極めて速く押されることで、ハウジング内で結合されていた結合要素が強い力で引き裂かれる。
【0033】
スイッチングピストンの移動のためにガス圧を供給することも適切かも知れない。この場合、スイッチングピストンに弾底板を装備すると有利である。当該弾底板にガス圧を作用させることができ、このようにしてスイッチングピストンが一般にハウジング外を指す望ましい方向に移動する。そのようなガス圧は、適切なガス管線で高めることができる。素早い切離を達成するために、関連するガス圧を炸薬爆発的に高めるのが特に有利である。この目的のため、燃焼室の適切な位置に、点火装置又は点火器を用いて活性化される発射薬が配設されていると有利である。
【0034】
ガス圧は適切なガス管線で高めることも可能である。この目的のため、スイッチングピストンの端部プレートの直径は、ピストンハウジングの内壁に接するように増大されている。さらに端部プレートは、一般に気密にシールすることができる。このようにして、ガス管線を介してガス状媒体又は推進ガスが充填される閉じた空間が生成される。この目的のために多くの工業ガス、例えば空気、窒素及び二酸化炭素が適する。二酸化炭素は、特にドライアイスの形で貯蔵可能である点で有利である。二酸化炭素は、スイッチを誘発するため、所定の時点で時間内に使用することができる。したがって、自立したエネルギスイッチをこのようにして配設することができる。加えて、ガスがさらに急速に発生できるように、貯蔵された二酸化炭素に熱を加えることも考えられる。ガス圧は液体又は固体物質の分解、例えばドライアイスの分解で発生することができる。
【0035】
スイッチが燃焼室と統合又は結合される場合は、液体及びガス燃料と酸化剤も燃焼室内に注入することができる。そのような燃料と酸化剤は、以下、ガス発生剤と呼称する。炸薬的なガス発生剤も、爆燃的変化又は爆発的変化を有するか否かに関わらずガス発生剤に含まれる。燃焼又は酸化工程の活性化の後、これらガス発生剤は圧力(すなわちガス発生燃料及び/又は酸化剤の初期状態に比べて著しく高いガス圧)を生み出し、当該圧力がスイッチングピストンに作用し、当該スイッチングピストンを結合位置から切離位置に移動させる。点火プラグ、フィラメント又は点火器を点火のために使用することができる。代替的又は追加的に、燃焼室に予め燃料又は酸化剤を(液体、固体又はガス形態で)収容しておくことが可能である。その後、点火及び/又はガスを発生するのに必要な材料の活性化のために選択された他の物質を、時間内のある時点で追加することが可能である。
【0036】
そのようなシステムは、完全な炸薬的システムと同様に、システムがメンテナンスを殆ど必要とせず、場合によっては何年にもわたって完全にメンテナンスフリーであり、長い年月を経た後でも急速かつ確実な回路の切離を達成することを可能にする。
【0037】
ガス圧の炸薬的発生を確実にするために、したがってスイッチの炸薬的誘発、炸薬的混合を燃焼室内に導入しないといけない。望ましい時点で、この混合は火花又は点火手段で点火することができる。
【0038】
代替的に又は追加的に、燃焼室は点火装置又は点火要素を装備することができる。適切に選択された点火装置又は点火要素で、燃焼室内で十分な圧力を増大させるように、十分なガス及び/又は排気生成物を発生することができる。これは、切離距離を発生するための十分な量でスイッチングピストンを移動する弾底板として作用する端部プレートを介してなされる。燃焼室を介したスイッチの炸薬的誘発が配設されている場合、燃焼室が充填体で満たされていると燃焼室の効果を増大することができる。そのような充填体は燃焼室内の無駄な空隙容積を低減することができるので、弾底板としたがってスイッチングピストンも移動するのに必要な圧力を生じるために必要なガス量が非常に少なくて済む。圧力は、結合要素の裂け(又は代替的実施形態においてはソケットからの結合要素の外方への動き)がその後に導入されるので、燃焼工程の最初において最大でなければならないということを認識することも必要である。
【0039】
代替的に又は追加的に、燃焼室を水、鉱物又は天然油で充填することができるが、シリコンオイルで充填することも(それぞれの場合で膨張剤なしで)考慮に入れることも可能である。水を充填した場合は充填体として役に立つだけでなく、発生した蒸気によって生成された高圧で当該水が推進手段の効果をも有するのを可能にする。沸騰工程の巧みな使用で、例えば点火装置又は点火要素による非常に小さな高温ガス効果で、端部プレート上の非常に大きい及び急速に増大する圧力効果をこのように生成することができる。
【0040】
特にそのような液体充填体、特に水又はオイルの充填体と点火要素との組み合わせは非常に効率的であり、良好な技術的結合すなわち衝撃波と端部プレートとの結合が達成される。
【0041】
スイッチの他の実施形態において、スイッチングピストンは、端部プレートを代替する薄膜とも結合することができる。当該薄膜は、スイッチングピストンの切離の間の動きの方向において変形することができる。薄膜は一般に端部プレートよりも小さな質量を有し、それによりより速い動きを促進する。薄膜の破裂は適切な手段、例えば保護ディスク(ここでは薄膜保護リングと呼称する)を使用することで阻止することができる。薄膜は外部から良好にシールされるという利点を特に有し、これが長い期間シーリング問題が起こらない理由である。そのような薄膜はベローズと組み合わせて使用することもできる。
【0042】
薄膜上の高い機械的応力の条件のもと、及び安全性考察のため、いくつかの個々の薄膜をそれらが互いに重なり合うようにして使用又は挿入することができる。例えば互いに重ね合わされた2枚の薄膜は同じ厚さの薄膜の半分の強さを有し、当該2枚の薄膜は同じ合計質量の厚い薄膜よりも容易に変形することができ、さらに2枚の薄膜の1つに現れた、結果として生じた裂けが有害ではないことを確認するのに役立ち、また推進ガスが燃焼室内に確実に封入されていることを確認するのに役立つ。
【0043】
しかし説明を簡単にするために、ここでは殆どたった1枚の薄膜に言及する。
【0044】
結合要素は異なる形を有することができる。結合要素は細い管であると都合が良い。代替的に結合要素はワイヤであることができる。
【0045】
ベルト又はバンド形状も適合し、この形状はその中に穴を生成し及び所定の切離位置のためにそれをエンボス加工するのにとりわけ適している。結合要素は、金属から、銅から、真ちゅうから、砲金から、鋼鉄又はステンレススチールから、適切な方法で作り出すことができる。これら材料の合金も使用のために考慮することができ。同様に電気的伝導性のコーティングされた炭素繊維及びガラス繊維も考慮することができる。
【0046】
結合要素からの軽快な所定の機械的切離を達成するために、結合要素は1つの又は幾つかの位置で脆弱化することができる。この目的のために微細な穴又は掻き傷線を配設することができる。
【0047】
結合要素は、機械的影響だけでなく電気負荷でも切離されるように設計することができる。換言すると、結合要素は本質的に安全ヒューズとして作用するようにヒューズとしても機能する。これは本発明の特に顕著な特徴である。本発明は、高圧大電流を切離するための機械的に切離可能な切離器としてだけでなく、同時に、過負荷からの保護のためのヒューズとしても配設される。本発明の概念に従って、これら2つの切離機能はそれら自体矛盾することがない。例えば、結合要素の前記機械的に脆弱化された箇所は、一般に、電流密度が断面的に狭い箇所で増大される断面的に狭い部分であることができる。それ故、結合要素はこの部分で特に強く加熱され、そして材料の溶融点がこの位置で最初に到達する。
【0048】
幾つかの電気的に効率的に弱められた箇所を結合要素の中に次々と配設すると、過負荷の場合又は所望の故障の場合に、結合要素の材料が幾つかの箇所で切離されることも可能になる。それ故、これにより全体のスイッチング電圧が最早各切離位置に確実に付加されないのを可能にし、それにより導体片の材料のイオン化が劇的に低減され、したがって光アークの消火も簡単になる。
【0049】
他の望ましい実施形態において、結合要素はそれ自体が炸薬要素であり、例えばパイロシーレ(Pyroseele)要素である。そのようなパイロシーレは、大きな電流密度のため所望箇所で強く加熱される。絶縁媒体は、この種の切離でも電気的過負荷に起因する光アークの発生可能性を抑制する。
【0050】
チューブ状の結合要素が、結合要素の切離の間に発生する可能性がある光アークを追加的に除去するように、その内側をパイロシーレ(Pyroseele)の代わりにここでも絶縁媒体で満たされる。
【0051】
本発明に対応したスイッチの文脈の範囲内で大きな利益をもたらす結合要素の実施形態の他の機能も勿論可能である。例えば、過負荷電流の結果としての結合要素の切離を確実にするために、結合要素に少なくとも1つの電気的に弱められた断面を配設することができる。当該切離位置を幾何学的に決定する少なくとも1つの機械的に脆弱化された箇所を結合要素に配設することも可能である。両方の場合において、そのように脆弱化された断面部分を順々に複数形成してもよい。これら脆弱化断面部分は、幾つかの所定の短い切離位置又は切離経路が生成されるように間隔を空けることもできる。適切な機械的脆弱化箇所は、例えば穴、凹所、切欠き、括れ等である。結合要素の製造の間又はその後に、そのような要素を結合要素に装備することができる。
【0052】
そのような脆弱化断面部分が、結合要素の長手方向において一定間隔又は可変間隔で生成されると、しばしば有利である。これが、スイッチに付加される電源電圧の接点間に付与される外部電圧に比べて、より低いスイッチング電圧をもたらすための所望の過負荷を有する複数の切離距離を形成する理由である。抵抗が配設された一連のスイッチで、付与された外部電圧の一部分のみが切離間隔ごとに低減される。
【0053】
伝導切離が行われるのをより正確に予め決定するために、はんだ付け、刻印、又は溶接を考慮することもできる。この方法で、切離挙動にも(特にそのような位置での切離を抑制することにより)影響する放熱板を製造することができる。
【0054】
結合要素の有効性の他の顕著な改善は、既に述べた解決策に対して追加的又は代替的に、結合要素上に1つの又は幾つかの箇所で炸薬剤を配設することに基づいている。切離は、選択された炸薬剤の点火温度に既に到達し、切離距離が点火で生成されるため、比較的小さな過負荷でもこのようにして達成される。代替的又は追加的に、切離距離が急速に生成又は増大され、或いは逆行すなわち減少が阻止される。
【0055】
この場合、熱に対して敏感であるだけでなく摩擦に対しても敏感な炸薬剤を使用することができる。点火はピストンの機械的動き、又は外部のピン引き抜き駆動部で開始することができる。既に述べたように、スイッチングピストンをピン引き抜き駆動部の構成部品とすることができ、或いはピン引き抜き駆動部の可動ピストンをスイッチングピストンに結合することができる。
【0056】
これら装置に対して代替的に又は追加的に、大部分がスイッチの実際のハウジングの外側にある多くの改善点を配設可能である。スイッチングピストンは、例えばハウジングの外側に配置された炸薬剤によっても移動することができ、特に炸薬的ピン引き抜き駆動部によって、或いは炸薬技術的に発生されるのではないガス圧に基づいて作動されるピン引き抜き駆動部によっても、移動することができる。ガス又は炸薬的駆動のための装置は、この場合、スイッチのハウジングの内部空間(つまり、スイッチハウジングと一体化されるように、又は駆動部ハウジングがスイッチハウジングの内側に配置されるように、駆動部が設計されている)又は外部に配置することができる。後者の場合、駆動部ハウジングはスイッチハウジングに隣接するようにしてスイッチハウジングに直接結合されるか、或いは駆動部ハウジングがスイッチハウジングの外側に所定の距離で位置するように配置され、その場合駆動要素の動きは機械的に(例えば追加的な結合ピストンによって、又は所定の対応する長さで設計されたスイッチングピストンによって、又はピストンのピン引き抜き駆動部によって)スイッチングピストンに伝達される。
【0057】
原理上、1つのスイッチに2つのスイッチングピストン又は対応する2つのピン引き抜き駆動部を配設することも有利である。これにより、スイッチを2つの位置、例えば両側で始動することが可能になる。この場合、選択的始動又はダブル始動(同時始動)を行うことができる。いずれの場合も、回路のさらに確実な切離をもたらす冗長さで構造が設計される。
【0058】
特にスイッチは、その電磁環境適合性(EMC)及び/又は静電放電に対する脆弱性(ESD)を改善する構成部品を装備することができる。フェライト環、ツェナーダイオード、抑制ダイオード、コイル又はバリスタ、特にSIOVバリスタのような対応する防護構成部品を、スイッチ上及び/又は駆動部上に配設することが可能である。これら防護構成部品に、スイッチの他の電気部品への結合を、配設したり配設しなかったりすることができる。
【0059】
本発明のさらなる特徴と利点は、以下の図面と付随する説明から明らかとなる。図面中及び当該図面に付随する説明において、本発明の特徴の組み合わせが説明されている。しかしこれら特徴を、本発明の目的に従った他の特徴の組み合わせにも含めることができる。それ故、開示された各特徴は他の特徴との組み合わせにおいて、技術的に有利な組み合わせであると考えることができる。図面は、部分的に僅かに簡略化された概略図である。以下の図面はいずれの場合もスイッチをその伝導位置(それぞれ図aで)と切離位置(それぞれ図bで)で同じように示している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、接続要素に割れ目又は切離箇所tが生成されている本発明の第1実施形態を断面図で示す。
図2図2は、第1接点から接続要素が引き抜かれ、それ故第1接点から切離されている他の実施形態の対応する図を示す。
図3図3図1に対応した図であるが、他のハウジングと他の接点が配設されている図を示す。
図4図4は、ハウジングにひだ状のベローズが配設されている本発明の他の実施形態を示す。
図5図5は、追加のピストンハウジングが配設された本発明の他の実施形態であって、スイッチングピストン自体が当該追加のピストンハウジング内に配置された実施形態を示す。
図6図6は、パイロシーレ(Pyroseele)と、穴で追加的に弱められると共に熱要素が配設された複数の切離箇所が配設された接続要素が使用された、本発明の他の実施形態を示す。
図7図7は、燃焼室内の点火要素の始動で押圧されて変形される薄膜の移動を通じて接続要素を裂くための駆動が発生する本発明の他の実施形態を示す。
図8図8は、望ましい接続要素の拡大図を示す(接続位置のみ)。
図9図9は、スイッチングピストンが接続要素に対して垂直に移動される本発明の他の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1aと図1bは、本発明に従ったスイッチ10の第1実施形態を示す。このスイッチ10には、本質的に円筒形のハウジング12が配設されている。当該ハウジング12には、ハウジングベース14と、ハウジングカバー16が配設されている。これら構成部品は内部空間18を仕切る。ハウジング内部空間18は絶縁媒体20で満たされている。図示するように、この場合、当該絶縁媒体20は例えば珪砂などの粒状絶縁材20とすることができる。接続要素22は内部空間18内に延在している。接続要素22は、スイッチングピストン24と機械的に結合されている。このスイッチングピストン24は、ハウジングカバー16内の穴の形態で配設されたスイッチングピストンガイドによってガイドされる。
【0062】
接点28は、ハウジングカバー16の近傍でハウジング12の外側に配設されている。この接点はカバー16と一体形に、かつどんな場合もハウジングカバー16と電気的伝導性があるように結合して製造することが可能である。ハウジングカバー16は、次にスイッチングピストン24の辺りで電気的伝導性があるように結合され、当該スイッチングピストン24は次に電気的伝導性の方法で結合要素22と結合される。結合要素22はハウジングベース14と機械的に結合され、かつ、電気的伝導性の方法でも結合されている。ハウジングベース14は、次に第2接点30と一体的に設計されている。したがって、ハウジングベース14は、ハウジング12周りで環状設計で形成され、スイッチ10に電気的に接触可能である第2接点30とも電気的に伝導性の方法で結合されている。
【0063】
図1bは切離位置にあるスイッチ10を示す。結合要素22は、図1aで矢印で示す方向においてピストン24上で引かれることで切離されている。したがって、結合要素22に第1断面と第2断面が配設されている。第1断面と第2断面の間に切離距離があるので電流が流れることができない。光アークの形成は、切離距離tの辺りにも浸入している絶縁媒体20によって抑制される。
【0064】
図2aと図2bは、本発明に対応したスイッチ10の他の実施形態を、ここでも伝導位置(図1a)と切離位置(図2b)の両方で示す。スイッチ10の基本的構成は、図1bに示された構成に一致している。それ故、スイッチ10のいくつかの要素のみ、ここでも参照符合により示されて図示されている。スイッチ10はここでもハウジング12内に配設され、ハウジングベース14とハウジングカバー16の間に延びている。結合要素22は、ここでもスイッチングピストン24と機械的に結合されて配設されている。しかし、図1の実施形態の形とは異なり、ハウジングベース14上にアンカーポイント32が配設されておらず、その代わりにレセプタクル34が配設されている。ソケット形状のレセプタクル34は、結合要素22の対面する端部を導電位置で受け入れる複数接点ソケットとして設計されている。
【0065】
図2aのスイッチングピストン24において矢印はここでも引き抜き方向を示し、スイッチングピストンは、スイッチングピストン24が切離位置に移行するように、スイッチ10から引き抜き可能とされている。この場合、結合要素22は破裂しない代わりに、第1レセプタクル34から引き抜かれる。したがって、切離距離tが結合要素の右端とレセプタクル34との間に生成される。
【0066】
しかし、本発明の文脈の範囲内で、2つ又はそれ以上の切離距離が生成される他の実施形態の形もまた考えられる。例えば、レセプタクル24からの結合要素の切離に加えて、結合要素内で他の1つ又は複数の割れ目を生成することも可能である。この目的のために、当該結合要素に脆弱化された領域を配設することができる。
【0067】
図3aと3bは図1の実施形態に類似したスイッチ10の他の実施形態を示すが、第1接点が他の形態で配設されている。ここでも、スイッチ10のハウジング12の下側にハウジングベース14が配設され、ハウジング12の上側にハウジングカバー16が配設されている。しかし、この実施形態ではカバー16がハウジング12内に完全に取り囲まれた形で壁の前側をカバーし、円筒形とみなせる部分の側部をカバーしていない。他の接触形式はこの機械的解決策により生成される。ここでは第1接点に、ハウジング12上でハウジングカバー16のわずかに下方に位置する接点36が配設されている。接点36はここでも円周リングと考えられる。接点36は結合ワイヤ38を介して結合要素22と結合されている。結合ワイヤ38と結合要素22の間の結合は、例えばはんだ接合により生成することができる。接点36と結合ワイヤ38の結合は、一体形設計又は例えばはんだ接合のような結合処理により生成することができる。図3bに示されるように、結合要素はスイッチングピストン24が図1の実施形態と同様の方法で引き抜かれた時に破裂する。
【0068】
言うまでもなく、第2接点もまた半径外側接点により代替することができ、前側が全表面上で最早完全に電気的導電性ではなく、及び、ハウジングベース14において内側で絶縁された結合要素の場合、当該結合要素22は最早完全には絶縁されない(ここでは図示されない)。
【0069】
図4aと図4bは、スイッチ10の他の実施形態を示す。スイッチ10のこの実施形態で円筒状ハウジング12は、ハウジングベース14を有する円筒状ハウジング12で配設されている。結合要素22はここでもハウジング12を通過する。しかしこの実施形態では、ハウジングカバー16に折畳みベローズが配設されている。折畳みベローズ40は、ハウジング12の内部空間からスイッチングピストン24を分離する。スイッチングピストン24の電気的結合のためだけに、結合要素22に電気的貫通供給が配設されている。
【0070】
図4aの矢印で示された方向における作動ピストン24の動きで、スイッチ10が図4bに示されるように切離位置に移動される。割れ目又は切離位置tが、結合要素22内の動きでここでも生成される。折畳みローズ40がこの場合は左方に押されることでその後緩んだ姿勢になる。それ故、この実施形態ではハウジングカバー16に対するスイッチングピストンの実装は省略することができる。ハウジング12の内部空間は対外的に良好にシールされ、スイッチング部材は絶縁材で作ることができ、トリガー部品との安全部品/ハウジングの電気的切離がそのようにより安全でよりきれいな態様で実現される。このハウジングの変形も、液体又はガスの絶縁媒体20のために特に適切である。ハウジング12の内部空間における電気的絶縁のために真空又は高真空を生成する場合、ハウジングの変形は適切である。この実施形態の例の図示において、スイッチングピストン24は、ハウジング12から遠ざかる方に面した辺りで、ハンドル部44が配設されている状態が示されている。ハンドル部44に把持リング46を配設することができ、これはスイッチングピストン24の手動操作のために特に有益である。
【0071】
図5aと図5bは、主としてスイッチングピストン24の手動操作のために最適化された実施形態を示す。この実施形態において、スイッチ10のハウジング12に加えて同様に配設されているのは、追加のハウジング50である。当該ハウジング50は、ハウジング12と一体形に設計することも可能である。図示の実施形態においてピストンハウジング50は、ハウジング12のシリンダと同じ直径で配設された本質的に円筒形部分の別部品で形成されている。図示されるように、ピストンハウジング50のシリンダはプラグ結合によってハウジング12と結合されている。したがって、ハウジングカバー16は両方のシリンダを収容するように設計されている。
【0072】
スイッチ10は、ここでも結合要素22に結合されているハウジングベース14を公知の方法で装備している。結合要素22は、他の側でスイッチングピストン24に結合されている。スイッチングピストン24に端部プレート48が配設されている。
【0073】
この端部プレート48は、把持リング46と同一又は類似して設計することが可能であるが、その機能は以下に説明するように把持リング46と異なる。
【0074】
ピストンハウジング50に空洞52が配設されている。この空洞は左側が前表面54によって区切られている。前表面54は(スイッチングピストン54の手動操作も可能な)開放状態にしておくことができ、或いは前表面54自体のカバー16を配設することができる。誘導コイル56が、スイッチングピストン24の少なくとも端部プレート48に影響を与えることができる。この目的のため、端部プレート48は適切な材料によって作られ、例えば強磁性体、軟鉄又は鋼鉄がこの目的のために適切である。スイッチングピストン24に作用する誘導コイル56の誘導作用で、端部プレート48を通して有利的に移送されるスイッチングピストン24を、スイッチ10のハウジング12から引き出すことができる。
【0075】
この方法で、スイッチ10は図5bで見ることができる切離位置に移送される。結合要素22が、ここでも切離距離tが間に位置するようにして第1部分と第2部分に切離される。スイッチングピストン24は、この場合ピストンハウジング50の空隙52内にさらに深く突出する。空隙52が配設されているという事実が、例えば他の構成部品がスイッチングピストン24の動きを阻害しないことを保証する。
【0076】
スイッチングピストン24の誘導機構が配設されずに、その代わりにスイッチングピストン24がガス圧で移動されるピストンハウジング50の構成を創造することは容易である。この場合、スイッチングピストン24の端部プレート48の直径はハウジング壁まで増大されてハウジング内にシール嵌合され、それにより端部プレート48とハウジングカバー16との間に既にシールされガス状媒体で圧縮できるシール空間が生成される。ガス圧がここで発生すると、スイッチングピストン24がスイッチ10のハウジング12から外方に駆動される。対応するガス圧はこの場合炸薬手段で容易に高めることができ、当該炸薬手段は前述したシール空間を燃焼室に転換する。
【0077】
シール空間に収容された炸薬剤の点火又は始動は、熱線、爆発線、爆発ホイル、又は、火花又は点火装置による標準的な方法によって行われる。本発明の文脈の範囲内でいくつかの変形例が使用可能である。
【0078】
図6はスイッチ10の他の実施形態を既知の見方で示す。この実施形態でもハウジングベース14とハウジングカバー16を有するハウジング12が配設されている。ハウジング12の内部スペース18は、ここでも絶縁媒体20で満たされている。絶縁媒体20は、スイッチングピストン24に結合された結合要素22内に配設されている。しかし、結合要素22の設計は前の実施形態の設計とは異なる。結合要素22はここでは溶融チューブとして設計されている。しかし、その形状は円形である必要はなく、他の実施形態においては溶融テープの指定も適合する。結合要素22の2つの領域において、多数の穴58が配設されている。これら穴58は、接点28と30の間の電流ラインの断面を狭める。この断面が狭まることで、特にこれら領域で電流密度が大幅に増加する。結合要素22は、したがって特にこれらの位置で強く加熱され、特にこれらの位置で材料の溶融点に急速に到達する。代替的又は追加的に、溶融点に到達するためだけでなく、炸薬要素の点火温度に到達するために加熱を採用することができる。炸薬要素60は、それ故穴58の領域内に装填される。爆発はこのようにして加熱で誘発され、これは切離距離のために特に有利である。
【0079】
穴58によってそのように脆弱化され、選択的追加の炸薬要素60が配設された当該領域は、センサワイヤ62で状態表示器64に結合されている。図6aに示された導電位置において、センサワイヤ62に電圧が掛かっている。この電圧は、ワイヤによって単純な板バネの形態で設計された状態表示器64に伝達される。図6bに示された切離位置において、センサワイヤ62は結合要素22から切離される。したがって、センサワイヤ62によって最早電圧は伝達されず、板バネはハウジング12の外側から明確に視認できる。当該板バネは状態表示器としての役目も果たす。この状態表示器はスイッチ10の機能性を変化させるためにも使用可能である。センサワイヤ62による状態表示器の概念は、本発明の他の実施形態においても使用可能であることは当然である。
【0080】
この実施形態は、スイッチ10の有効性の他の改善も提供するが、他の実施形態に対応したスイッチや、特に他の結合要素にも適用可能である。実質的に溶融チューブの形を有する結合要素22は、パイロシーレ(Pyroseele)を内部に装備した空隙内、すなわち爆発物で満たされている空隙内にある。この爆発物は、穴58の領域を加熱することによる爆発に供することができる。炸薬要素60は、同時に、必要ではないが支持の役目を有する。パイロシーレ(Pyroseele)が配設されている事実は、絶縁距離の構成を強化する。
【0081】
さらに急速な切離距離の形成のため、したがってさらに速い接点切離のため、図示された実施形態に示されたパイロシーレ(Pyroseele)が他の目的のためにも追加的に採用されると有利である。パイロシーレ(Pyroseele)60はピストン24内で途切れずに続き、点火伝達ラインの一種として機能する。この目的のために、溝状の点火結合がピストン24内にまで配設されている。炸薬充填物60は、この点火結合で点火することができる。この炸薬充填物は燃焼室68内の空隙の一部内に配置され、またピストンハウジング50内に配設される。
【0082】
この実施形態において、スイッチ10に、このようにして他のスイッチとも組み合わせることができる追加の特徴が配設されている。スイッチ10は、ここでもピストンハウジング50が配設されている。このハウジングは空隙52を取り囲む。ピストン54の前表面が、この場合、前壁として設計される。端部プレート48は、(スイッチングピストン24が結合要素22に固定されていない限り)ピストンハウジング50内で機械的に移動可能である。
【0083】
スイッチ10のこの構成は、電気的切離の加速と切離距離の形成のため、依然として追加的手段を使用することを可能にする。この追加的手段は、他の実施形態においてスイッチと組み合わせることもできる。空隙52内において、端部プレート48と、燃焼室68内に挿入されたハウジングカバー16との間にあるのが炸薬充填物である。爆発の間に、この炸薬充填物が端部プレート48を左に移動させ、ピストンハウジングの前表面54に当接させる。
【0084】
炸薬充填物60の爆発は、この場合次のように誘発される:パイロシーレ(Pyroseele)66の爆発物が、点火結合70として機能する溝を通して炸薬充填物60に結合されている。説明した方法で爆発がパイロシーレ(Pyroseele)66を誘発するとすぐに、パイロシーレ(Pyroseele)66が、炸薬充填物60の点火を引き起こす炸薬点火伝達ラインとして機能する。この点火で、前表面54に向けて前表面54に当接するまでの端部プレート48の移動が明らかに生じる。対応するガス補償を可能にするために、壁開口72が前表面54に配設されている。この開口は端部プレート48のピン74を受け入れることができ、スイッチの始動がこうして可能にされ、これでスイッチの切離がもたらされ、当該切離は純粋に光学的に対外的に表示される。
【0085】
図6は、スイッチの始動後に次から次へと生成される結合要素のいくつかの脆弱位置で、いくつかの電気的な切離位置が連続して形成されることも示している。この方法で、スイッチの始動の瞬間に接点又はハウジングベースに付加された高電圧が、各切離位置において、当初のスイッチング電圧の相応にほんの小さな部分又は源電圧が減少されるように、適宜に分配される。したがって、光アークを生成する可能性は非常に低減され、このようにして生成された個々の光アークは絶縁媒体によって実質的により速くかつ効果的に冷却され又は消火される。
【0086】
したがって、図6に示されるスイッチ10の実施形態は、3つの炸薬効果と1つの電気的効果で、非常に速く切離距離tを形成する。説明した当該4つの効果は互いに独立して個々に使用することができる。
【0087】
図7は、本発明に対応した他のスイッチの実施形態を示す。図7Aが導電位置のスイッチを示し、図7Bが切離位置のスイッチを示すように、既知の図がここでも選択される。基本的構成部品は図6の構成部品と完全に一致する。結合要素22は、ここでもハウジング12内に収容される。結合要素22は、ここでも穴58及び穴58の近くの炸薬要素60と共に配設される。しかし、例えば図6の実施形態とは異なり、スイッチングピストン24は配設されておらず、したがって端部プレート48もない。その代わりに、結合要素22が開口を通してハウジングカバー16内に導入されている。結合要素22は、二重薄膜又は複合層薄膜として構成された薄膜76と結合されている。この薄膜76はハウジング50内に固定されている。ハウジング50は、ここでも空隙52及び前壁54が配設されている。
【0088】
例えば、炸薬要素60のような適切な炸薬手段と協力して、及び、ここでも配設されたパイロシーレ(Pyroseele)66と協力して、結合要素22の切離をもたらす点火をここでも始めることができる。これは図7bに示されている。対応する炸薬要素の位置及び大きさで、結合要素22の部品の左側への動き、つまりハウジング50への動きが、この場合引き起こされる。これにより薄膜76の膨らみが生じる。薄膜の実重量が非常に小さいことは有利であり、したがって結合要素の部品のハウジング内への動きが慣性質量によって妨害されてもごくわずかで済む。
【0089】
したがって、前壁54への薄膜76の非常に速い動きがこのようにして引き起こされる。薄膜76自体の損傷を回避するために、薄膜支持リング78を配設することは実際的である。
【0090】
薄膜76の速い動きを可能にするため、空隙52内に前もって存在していたガス(空気)の圧縮で反対圧力が生成されないように、他の壁穴72を図示するようにここでも配設することができる。
【0091】
この動きは代替的に又は追加的に、一般には追加的であるが、点火要素80によって始動され又は強化される。点火要素は、例えば点火ユニット又は点火装置とすることができる。点火要素80は、この場合ハウジング50の燃焼室68内に配置される。燃焼室58は、薄膜76上の効果を増進するために発射薬で満たされている。代替的又は追加的に、固体、液体又はゲル状物質から成る充填材を使用することも可能である。そのような充填材は燃焼室内の自由容積を低減し、少ない量の炸薬剤でより高い圧力に到達するのを可能にし、他方、燃焼の間又は炸薬剤の転換の間に発生した圧力波をできるだけ少ない減衰で薄膜材上に最適態様で結合する。
【0092】
代替的又は追加的に、燃焼室68内に液体又は固体物質を配設することができる。ここで適切な物質は、急速に気相に移行する物質である。例えばドライアイスを選択することができるが、テトラゼンや、蒸発すると非常に良好に作用する蒸気を発生する利点がある水でさえも選択することができる。炸薬剤の燃焼の間に沸騰遅延が生じるように燃焼室内の水の量が調節された場合、その作用はさらに増大される。
【0093】
これら実施形態は、少数の個別部品を使用して良好な外部シールが生成されるのを殆ど努力しないで確実にし、そしてさらにスイッチがコスト効率の良い方法で製造されるのを確実にしながら、とりわけ急速なスイッチ10の切離と信頼できる装置の提供を可能にする。
【0094】
図8は実用的な結合要素22を示す。この結合要素22は、本質的に溶融ベルトとして設計されている。そのような溶融ベルトは、1つ又は幾つかの領域内で1つ又は複数の穴58と共に配設することができる。しかし、穴に代えて他の機械的に脆弱化された箇所、例えば任意の種類及び形状の、凹部又は切欠き、括れを使用することも可能である。そのような要素は、対応する領域内で増大された電流密度をもたらす。増大された電流密度は、今度は結合要素22の加熱をもたらし、そして結合要素22の溶融をもたらすことができる。当該溶融処理に対して代替的又は追加的に、加熱により爆発処理を誘発することができる。さらに、構造脆弱化要素に近接して、つまり特に穴58に近接して炸薬要素60を配設することも可能である。そのような結合要素22は、高圧直流電圧及び高圧交流電圧の範囲で従来のヒューズ線よりも効果的である。さらに、複数の穴58が配設される場合又は穴58を有する幾つかの領域が配設される場合も、これを幾つかの切離距離の形成と組み合わせることも可能である。既に述べたように、直列接続の抵抗器と同様に、切離距離当たり電圧のほんの少しが接点28と30に付加されると、この態様で発生した対応するより弱い光アークは冷却又は消火するのがさらに容易であるから、複数のより短い切離距離は長い切離距離に比べた場合に有利である。
【0095】
図9は、既知の図に対応したスイッチ10の他の実施形態を示す。この実施形態は、ここでもハウジングベース14とハウジングカバー16を備えた円筒状ハウジング12を装備する。ハウジング12の内部空間は絶縁媒体20で満たされている。絶縁媒体20の中に配設されているのが、スイッチングピストン24に結合された結合要素22である。しかしスイッチングピストン24は、ここでは結合要素22に対して垂直に配設されている。それ故、結合要素22の断面が、結合要素の主な伸び方向(それは通常急速に裂ける)に対してある角度で変化するようにして切離距離が生成される。実用的な角度は、この場合ここでは90°の角度のみ示すが、5°と90°の間の範囲である。
【0096】
この場合、スイッチングピストン24のために配設されているのがピストンハウジング50であり、これはハウジング12の円筒状壁に直角で配置されている。
【0097】
スイッチングピストン24は複数の切離箇所を結合要素22内に発生する。この目的のために、スイッチングピストンはコレクター82に接続され、当該コレクターは、今度は結合要素に接して作用するコネクター84(結合フックとして設計されている)によって結合要素22に結合されている。複数の切離を有する区域はこのように生成することができ、多くの小さな切離距離は所定の方法で形成可能である。
【0098】
頑丈な切離スイッチが前述した方法でこのようにして廉価に製造され、当該切離スイッチはほんの軽微な変形で手動で始動することができる一方、遠隔で制御つまりこの方法で誘発することも可能である。
【符号の説明】
【0099】
10 スイッチ
12 ハウジング
14 ハウジングベース
16 ハウジングカバー
18 内部空間
20 絶縁媒体
22 結合要素
24 スイッチングピストン
26 スイッチングピストンガイド
28 第1接点
30 第2接点
32 アンカーポイント
34 レセプタクル
36 接点
38 接点ワイヤ
40 折畳みベローズ
42 電気的貫通接続
44 把持領域
46 把持リング
48 端部プレート
50 ピストンハウジング
52 空隙
54 前壁/前表面
56 誘導コイル
58 穴
60 炸薬要素
62 センサワイヤ
64 リーフスプリング
66 パイロシーレ(Pyroseele)
68 燃焼室
70 点火接続
72 壁開口
74 ピン、視覚要素
78 薄膜支持
80 点火要素
82 コレクター
84 コネクター
t 切離距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】