特表2017-532280(P2017-532280A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-532280高温度での材料厚の測定システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532280(P2017-532280A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】高温度での材料厚の測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/22 20060101AFI20171006BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20171006BHJP
   G01B 17/02 20060101ALI20171006BHJP
   C30B 29/08 20060101ALN20171006BHJP
   C30B 29/38 20060101ALN20171006BHJP
   C30B 29/36 20060101ALN20171006BHJP
   C30B 29/20 20060101ALN20171006BHJP
   C30B 29/02 20060101ALN20171006BHJP
【FI】
   C30B15/22
   C30B29/06 503
   G01B17/02 Z
   C30B29/08
   C30B29/38 D
   C30B29/36 A
   C30B29/20
   C30B29/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-519535(P2017-519535)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月12日
(86)【国際出願番号】US2015055877
(87)【国際公開番号】WO2016061430
(87)【国際公開日】20160421
(31)【優先権主張番号】62/065,276
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】ピーター エル ケラーマン
(72)【発明者】
【氏名】アラ モラディアン
(72)【発明者】
【氏名】フランク シンクレア
【テーマコード(参考)】
2F068
4G077
【Fターム(参考)】
2F068AA02
2F068AA29
2F068CC05
2F068FF03
2F068FF12
2F068JJ17
2F068LL04
2F068QQ44
4G077AA03
4G077BA01
4G077BA04
4G077BA05
4G077BB01
4G077BE08
4G077BE15
4G077CF03
4G077CF10
4G077EG01
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4G077EG25
4G077EG26
4G077EG30
4G077EH01
4G077EH07
4G077FE18
4G077FK07
4G077HA02
4G077HA06
4G077HA12
4G077PE21
4G077PE27
4G077PF52
4G077PF55
(57)【要約】
シート形成装置であり、前記装置は、材料の融液及び前記融液内に位置する前記材料の固体シートを収容するるつぼと、前記るつぼの上方に配置された、前記融液からシートを形成するように構成された結晶化装置と、前記結晶化装置に隣接して配置された超音波測定システムとを備え、前記超音波測定システムは、超音波トランスデューサに結合され、超音波パルスを前記融液に向けて通す導波管を含む少なくとも一つの超音波測定装置を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の融液及び前記融液内に位置する前記材料の固体のシートを収容するるつぼと、
前記るつぼの上方に配置され且つ前記融液から前記シートを形成するように構成された結晶化装置と、
前記結晶化装置に隣接して配置された超音波測定システムと、を備え、前記超音波測定システムは、超音波トランスデューサに結合され、超音波パルスを前記融液に向けて通す導波管を含む少なくとも一つの超音波測定装置を備えている、
シート形成装置。
【請求項2】
前記導波管はさらに前記超音波パルスを前記シートに向けて通すように構成されている、請求項1記載のシート形成装置。
【請求項3】
前記超音波測定装置は、前記融液の幅に沿って横方向に間隔を置いて配置された複数の超音波測定装置を備えている、請求項1記載のシート形成装置。
【請求項4】
前記導波管の先端が前記融液内の保護囲いの中に配置されている、請求項1記載のシート形成装置。
【請求項5】
前記導波管の先端と前記保護囲いの中間に配置され、それらの間に低音響インピーダンス結合を与えるある量の溶融金属をさらに備える、請求項4記載のシート形成装置。
【請求項6】
前記超音波測定装置システムと通信し、前記超音波測定システムにより測定された前記シートの厚さに基づいて前記シートの部分をメルトバックするように構成されたセグメント化されたメルトバックヒータをさらに備える、請求項4記載のシート形成装置。
【請求項7】
材料の融液の表面上の前記材料のシートの厚さを測定するシステムであって、超音波トランスデューサに結合され、超音波パルスを前記融液及び前記シートに向けて通す導波管を含む少なくとも一つの超音波測定装置を備える、システム。
【請求項8】
前記少なくとも一つの超音波測定装置は、前記融液の幅に沿って横方向に間隔を置いて配置された複数の超音波測定装置を備えている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記導波管の先端が前記融液内の保護囲いの中で且つ前記シートの下方に配置されている、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記導波管の先端と前記保護囲いの中間に配置され、それらの間に低音響インピーダンス結合を与えるある量の溶融金属をさらに備える、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
シート形成装置において材料界面の位置を決定する方法であって、
超音波パルスを前記シート形成装置内の材料の融液に向けて通すステップと、
前記融液の境界での前記超音波パルスの反射波から前記材料界面の位置を導出するステップと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記超音波パルスを前記融液内に位置する前記材料のシートに向けて通すステップと、
前記シートの境界での前記超音波パルスの反射波から前記シートの厚さを導出するステップと、
を備える、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記シートの厚さを導出するために、前記シートの境界での反射波の各々について飛行時間を測定するステップをさらに備える、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記超音波パルスを前記材料のシートに向けて通すステップは、前記シートの幅に沿った前記シートの厚さプロファイルを確認するために、複数の超音波パルスを前記材料のシートに向けて通すステップを備える、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記シートの選択部分をメルトバックするために、前記シートの確認した厚さプロファイルを用いてセグメント化されたメルトバックヒータの熱プロファイルを調整するステップをさらに備える、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して異なる材料間の界面の位置を決定するシステムに関し、より詳しくは高温環境内での材料間の界面の位置を決定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
過酷な又は極端な環境内で様々な異種材料間の界面を位置決定するのが有益又は必要である多くの処理又は製造用途がある。例えば、半導体基板は、シリコン等の所定の材料の融液から単結晶シートを成長させる技術を用いて生成されることがある。これは、所定の材料から成る融液の表面上の所定の位置で所定の材料の薄い固体層を結晶化し、その薄い固体層を引張り方向に沿って引張ることによって達成される。単結晶材料は引張り方向に沿って引張られるにつれて、単結晶材料のリボンが生じ、リボンの一端は所定の位置又は結晶化が起こる結晶化領域に静止したままとなり得る。この結晶化は強い冷却装置又は「結晶化装置」を必要とし得る。この結晶化領域は単結晶シートと融液との間の結晶フロント(先端)を規定し、融液は先端に形成される結晶ファセットで規定される。
【0003】
このファセット化された先端の成長を単結晶シート又は「リボン」の引張り速度と一致する成長速度を有する定常状態に維持するために、結晶領域に強い冷却を結晶化装置によって与えることができる。これは単結晶シートの形成を生じ、その初期厚さは与えられた冷却の強さに相応し、シリコンリボン成長の場合にはその初期厚さは多くの場合1−2mm程度である。例えば、単結晶シート又はリボンから太陽電池を形成するような用途では、目標厚さは200μm以下であり得る。これは最初に形成されるリボンの厚さの低減を必要とする。これは、リボンが引張り方向に引張られるにつれてリボンを融液収容るつぼの領域で加熱することによって達成し得る。リボンが融液と接触したままその領域を通して引張られるにつれて、所与の厚さのリボンがメルトバックされ、よってリボンの厚さを目標の厚さに低減することができる。このメルトバック法は特に、所謂フローティングシリコン法(FSM)に適切であり、この方法ではシリコンシートが上で概説した手順に従ってシリコン融液の表面上に形成される。
【0004】
FSMのような方法を用いて単結晶シートを成長している間に、シートの厚さは引張り方向に直角の横断方向に沿った単結晶シートの幅に沿って変化し得る。これはランごとに変化する可能性があり、ラン内でも変化する可能性がある。ここで、ランとは単結晶材料の一つのリボンを生成するプロセスに相当する。さらに、リボンの最終目標厚さは初期厚さの10分の1の薄さにすることもあるため、厚さ均一性の精密制御が特に必要とされる。例えば、デバイス応用は200μm±20μmの基板厚さを指定し得る。単結晶シートが結晶化装置の近くで2mmの初期厚さ及び2%(又は40μm)の初期厚さ変化で結晶化される場合、この初期厚さ変化の補正なしで、このリボンがメルトバック領域中を引張ることによって200μmの厚さに薄くされた後での40μmの厚さの変化は20%の厚さの変化を構成する。これはリボンを意図した用途に使用できないものとし得る。さらに、リボンの厚さは横断方向に沿って、通常のヒータでリボンをメルトバックすることによって容易に補正することができないように変化し得る。
【0005】
以上を考慮すると、妨害も融液の汚染もなしに過酷な(即ち、高温で電気的にノイジーな)FSM動作環境内で動作し得る、単結晶シートの厚さを測定するシステムを提供するのが有利である。さらに、実際上任意のタイプの結晶凝固用途(例えばCz,DSS)及びガラス及び冶金用途において位置決定することが難しい異種材料間の界面(例えば、液体と固体間の界面、液体と気体間の界面、異なる固体間の界面、異なる液体間の界面等)の位置を決定する、このようなシステムを提供するのが有利である。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、詳細な説明において以下でさらに詳述される単純化した形態の概念の選択を紹介するためのものである。この概要は、請求の要旨の重要な特徴又は本質的な特徴を特定するものではなく、また請求の要旨の範囲を決定するためのものでもない。
【0007】
本発明に係わるシート形成装置の例示的な実施形態は、材料の融液及び前記融液内に位置する前記材料の固体シートを収容するるつぼと、前記るつぼの上方に配置され且つ前記融液からシートを形成するように構成された結晶化装置と、前記結晶化装置に隣接して配置された超音波測定システムとを備え、前記超音波測定システムは、超音波トランスデューサに結合され、超音波パルスを前記融液に向けて通す導波管を含む少なくとも一つの超音波測定装置を備えている。
【0008】
本発明に係わる、融液の表面上のシートの厚さを測定するシステムの例示的な実施形態は、超音波トランスデューサに結合され、超音波パルスを前記融液及び前記シートに向けて通す導波管を含む少なくとも一つの超音波測定装置を備える。
【0009】
本発明に係わる、シート形成装置において材料界面の位置を決定する例示的な方法は、超音波パルスを前記シート形成装置内の材料の融液に向けて通すステップと、前記融液の境界での前記超音波パルスの反射波から前記材料界面の位置を導出するステップとを含む。
【0010】
一例として、開示の装置の様々な実施形態を添付図面を参照して以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係わる、超音波測定システムを示す側断面図である。
図2】本発明に係わる、シートを融液から分離する装置を示す側断面図である。
図3図2に示す装置の超音波測定システムを示す図2のA−A面に沿った正断面図である。
図4a図3に示す超音波測定システムの一部分を示す正断面図である。
図4b図4aに示す超音波測定システムの導波管を示す詳細な正断面図である。
図5】本発明の超音波測定システムにより発生される反射超音波パルスの例示的な時間対振幅を示すグラフである。
図6】本発明の一実施形態に係わる例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係わる、融液の表面上のシートの厚さを測定するシステムを、本ステムのいくつかの実施形態を示す添付図面を参照して、以下にさらに詳しく説明する。本システムは、多くの異なる形態に具体化することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。これらの実施形態は、本明細書が完璧かつ完全であるように、また当業者に対して本装置及び方法の要旨範囲を十分に伝えるように提示したものである。図面において、同一参照符号は全体を通して同様の要素を示す。
【0013】
本明細書に開示するシステムの実施形態は、太陽電池の製造と関連して説明される。加えて又は代わりに、これらの実施形態は、例えば集積回路、フラットパネル、発光ダイオード(LED)、又は当業者に周知の他の基板を製造するためにも使用し得る。さらに、シリコン融液について記載するが、融液はゲルマニウム、シリコン及びガリウム、窒化ガリウム、炭化シリコン、サファイヤ、他の半導体又は絶縁体材料、又は当業者に周知の他の材料を含み得る。従って、本発明は以下に記載する特定の実施形態に限定されない。
【0014】
図1は、異種材料間の界面、例えば液体2と液体2内に部分的に没している固体4の間の界面を正確に位置決定するよう構成された超音波測定システム20(以後「システム20」と言う)の側断面図である。図1の例では、炉室1はるつぼ5及びその中の液体2を加熱するために使用されるヒータ3を囲む。特に、システム20は液体2と固体4の間に形成される界面7の位置を測定するために使用し得る。より一般的には、システム20は、実際上任意のタイプの結晶凝固用途(例えばチョクラルスキー(Cz),DSS,キロポーラス(Ky))及びガラス及び冶金用途における異種材料間の界面(例えば、液体と固体間の界面、液体と気体間の界面、異なる固体間の界面、異なる液体間の界面等)の位置を決定するために使用することができる。
【0015】
システム20を実装することができる用途の非限定例が図2に示され、この図は融液10から結晶シートを形成する装置15の一実施形態の側断面図を示す。シート形成装置15は融液10を収容するように構成された容器16、例えばるつぼを含み得る。容器16は、例えばタングステン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、モリブデン、黒鉛、炭化シリコン、又は石英で形成し得る。融液10は、例えばシリコンとし得る。シート13は融液10の上に形成され得る。シート13は図2では融液10内に全体的に浮いているが、シート13は代わりに融液10内に部分的に没していることも又は融液10の上に部分的に浮くこともある。ある場合には、シートの10%のみが融液10の上面から突出し得る。融液10はシート形成装置15内を循環し得る。
【0016】
一つの特定の実施形態では、容器16は1412℃より僅かに高い温度に維持し得る。シリコンに対して、1412℃は凝固温度又は「界面温度」を表す。容器16の温度を融液10の凝固温度より少し高い温度に維持することによって、融液10の上方に置かれた結晶化装置14は融液10が結晶化装置14の下を通過するとき融液10を急速に冷却して融液10の上又は内のシート13の所望の冷凍速度を得ることができる。
【0017】
シート13の厚さを測定することには多くの有利な点がある。このような測定は、シート13の生産のためのフィードバック機構又はプロセス制御システムを容易にするために使用し得る。これにより所望の厚さのシート13を得ることが可能になる。現地測定によってシート13が融液10上に形成される際のシート13の厚さのリアルタイムモニタリングを可能にし得る。これは融液の浪費を低減し、連続シート13の形成を可能にする。
【0018】
一つの非限定的実施形態では、装置15は図2及び図3に示すような、シート13の厚さを測定する超音波シート測定システム20を含み得る。システム20は、図3に示すシステム20の正面図に最も良く示されるように、融液10の表面の下方に横方向に間隔を置いて配置された超音波測定装置22(以後「測定装置22」という)のアレイを含み得る。測定装置22の各々はそれぞれの超音波トランスデューサ26に結合され、そこから上方に延びる細長い導波管24を含み得る。トランスデューサ26は、熱から保護するために、1以上の断熱材料の層28と水冷金属30(例えば、アルミニウム)の層によって容器16の底面から分離し得る。
【0019】
導波管24の上端部は容器16の床を貫通して(又は床から)上方へ延びる保護囲い32内に配置し得る。保護囲い32は、例えばタングステン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、モリブデン、黒鉛、炭化シリコン、又は石英で形成することができ、導波管24の最上端を導波管24と融液10との接触なしにシート13より僅かに低い(例えば、<5mm)位置まで延在させることができる。従って、保護囲い32は融液10を導波管24による汚染から保護し、さらに導波管測定の分解能を導波管24の直径(例えば、〜1cm)にほぼ等しくすることができる。
【0020】
図4a及び4bに示す測定装置22の詳細図を参照すると、導波管24の各々は、それぞれのトランスデューサ26(図2及び図3に示す)からの超音波パルスを融液10の高温環境へ、波形のひずみを軽減しながら且つ導波管24の壁間の反射により生じる「トレーリングパルス」を軽減しながら送信するように構成することができる。例えば、各導波管24は高温金属、例えば高炭素スチール又はタングステン、のコイルシートで形成し得る。このシートは、シート厚を超音波パルスの波長より薄く、コイル長を超音波のパルス波長より長く寸法決定することによって、「モノモード」状態を達成でき、この状態では超音波伝達が実際上自由分散になる。別の非限定的な実施形態では、各導波管24はテーパー壁を有する固体円筒、例えばセラミックなどの高温低熱伝導度材料からなるシリンダ、とし得る。このようなセラミック円筒の表面はトレーリングエコーを低減するためにテクスチャ加工してよい。
【0021】
図4bを参照すると、各導波管24はアルミナ−シリカ複合材(ZIRCARの商品名で市販されている)又は類似の材料からなる絶縁スリーブ34で囲み得る。絶縁スリーブ34の内径は導波管24の外形より大きくし得る。従って、絶縁スリーブ34は導波管24の周囲に環状の空気又はアルゴンガス入り空隙36を規定しうる。加えて、溶融金属(例えば、銀、銅、アルミニウム等)の「パック」38を各導波管24の先端40に、例えばカップ状のへこみ内に配置し、導波管24と保護囲い32の天上42の中間に垂直方向に介在させてもよい。
【0022】
システム20の動作中に、超音波パルスがトランスデューサ26により発生され、導波管24によって保護囲い32、融液10、シート13及び融液10の上のガス(例えばアルゴンガス)雰囲気40を通って上方へ導波される。超音波パルスは各材料界面で部分的に反射され、それらの反射波がトランスデューサ26により検出される。各反射波の相対強度Rは各材料界面を横切る材料の音響インピーダンスzの差により決まり、次式で与えられる。
【0023】
【数1】
【0024】
導波管24、保護囲い32、融液10、シート13及びガス雰囲気40の音響特性と、各材料層の音速及び厚さとに基づいて、「飛行時間」を図5に示すようにトランスデューサ26で検出される部分反射波の各々について計算することができる。各反射波のすべてについて、反射波のタイミング及び減衰等を考慮して、各反射波と各材料界面との対応を決定することができる。シート13の上面及び底面からの反射波は振幅で容易に識別可能であり、それらの間に約0.2μsの時間差を有する。20MHzで動作する従来の非集束圧電トランスデューサ(パルサ−レシーバ)は約0.05μsの周期を有する超音波パルスを発生し得る。これはシート13の厚さ測定を表す信号の間に0.2μsの間隔を検出する適度の分解能をもたらす。
【0025】
従って、超音波測定装置22の各々はシート13の横方向の各断面部の厚さを測定するために使用することができ、横方向の各断面部の幅は導波管24の直径にほぼ等しい。よって、システム20の超音波測定装置22の横方向アレイは全体でシート13の全幅に亘る「厚さプロファイル」を生じる。各導波管24の直径は約1cmであるため、導波管24が測定中のシート13の数ミリメートル以内に位置すれば、約1cmの厚さプロファイル分解能を得ることができる。
【0026】
上述のパルスエコー技術は(信号強度ベースとは異なり)時間ベースであり、よってトランスデューサ及び材料の特性の変化に依存しない。これにより、システム20は個々の超音波測定装置22のクロスキャリブレーションなしでシート13の厚さプロファイルを測定することができる。
【0027】
融液10及び/又はシート13への熱擾乱を回避するために、システム20には、図2及び図3に示すように、容器16の下方に導波管24に隣接して配置された一以上の補償ヒータ43を設けてもよい。補償ヒータ43は、融液10からの熱が導波管24内に流入して融液10に低温領域を生成し、場合によりシート13に欠陥が生じるのを十分に防止することができる。例えば、各導波管24が約200W/mK(コイルスチールの場合)の実行熱伝導率を有し、各導波管24が約1cmの直径及び約15cmの長さであるものとすると、導波管24を加熱するために補償ヒータ43を1412℃の溶融温度に維持するのに約15Wの電力を要する。このように導波管24を加熱すれば、融液10に隣接する導波管24に温度勾配は殆ど又は全く生じず、よって融液10から導波管24への熱の流れは殆ど又は全く生じない。
【0028】
本発明のシステム20によって生成されるシート13の厚さプロファイルも他の厚さ測定値も様々な目的に使用することができる。例えば、シート13が融液10に最初に生成されるとき、シート13はシート厚をもたらす先端ファセットが結晶化装置14(図に示す)の長さに比例する厚さで初期化されて形成され、シート厚は一般的に1mmを超え得る。太陽電池に対して、最適なシート厚は<200μmである(基板は多くの場合180μmである)。従って、初期化シート13の部分を所望の厚さにメルトバックする必要がある。最適な生産効率のために、このメルトバックは、シート13が結晶成長炉内でまだ融液10と接触している間に実行することができる。
【0029】
図2に示すように、セグメント化されたメルトバックヒータ(SMBH)44をメルト10の下方又は内に配置し、シート13の所望の部分の選択的メルトバック及び薄層化をすることができる。このようにシートの厚さプロファイルの均一化は「調整」可能とし得る。SMBH44は複数の横方向に間隔を置いて配置されたヒータを含んでよく、各ヒータの出力は全体で制御可能な横方向熱プロファイルを生成するために個別に制御可能としてよい。システム20により測定された初期シート厚さプロファイルはコントローラ(図示せず)に通知され、コントローラは所望の最終シート厚さ及び均一性を得るためにSMBH44の熱プロファイルを調整してシート13を選択的にメルトバックすることができる。一例では、最終シートプロファイルは約10μm以内(太陽電池に対して)に均一化することができ、初期厚さプロファイルは約10μmの精度で測定することができる。
【0030】
一例では、SMBH44の直ぐ上流でシートのシート厚さプロファイルを測定するのが有利であり、こうすると、シート厚さプロファイルの変動をSMBH44によって最小の遅れで又は遅れなしで補正することができる。よって、システム20は図2に示すようにSMBH44の直ぐ上流に位置させてよい。代わりに、システム20はSMBH44の下流に位置させてもよい。
【0031】
加えて又は代わりに、システム20は、装置15内のシート13以外の材料の厚さを測定するために使用してもよい。例えば、システム20は、融液10を補充すべきか、及びどのぐらい補充すべきか、を決定するために、融液13の厚さ(深さ)を測定するために使用してもよい。システム20は装置15内の材料間の界面の正確な位置を決定するために使用してもよい。例えば、システム20は、融液10とシート13の間の界面位置を、たとえその界面が融液10の表面より下に位置する(即ち、シート13が融液10内に没している)場合であっても、決定するために使用してもよい。より一般的には、システム20は、任意の結晶凝固用途(例えば、Cz,DSS)及びガラス及び冶金用途において、さもなければ位置決定することが難しいか不可能である凝固界面(例えば、液体と固体の間の界面)の位置を決定するために使用してもよい。
【0032】
図6を参照すると、本発明に係わる、高温環境内で材料層間の界面を位置決定する例示的な方法を示す流れ図が示されている。このような方法は図2及び図3に示す装置15及び装置20の概略図と関連して以下に説明される。
【0033】
例示的な方法のボックス100において、超音波パルスがトランスデューサ26により発生され、導波管24によって上方へ導波されて保護囲い32、融液10、シート13、及び融液10上のガス(例えばアルゴンガス)雰囲気40に通され、その後超音波パルスは各材料界面で部分的に反射され、それらの反射波はトランスデューサ26により検出される。
【0034】
例示的な方法のボックス110において、トランスデューサにより検出された部分反射波の各々について、導波管24、保護囲い32、融液10、シート13及びガス雰囲気40の音響特性、並びに各材料層の音速及び厚さに基づいて、「飛行時間」を計算することができる。
【0035】
この方法のボックス120において、トランスデューサ6により検出された部分反射波のすべてについて、反射波のタイミング及び減衰等を考慮して、各反射波と各材料界面との対応を決定することができる。この対応はシート13の横方向の各断面部の厚さを測定するために使用することができ、横方向の各断面部の幅は導波管24の直径にほぼ等しい。よって、システム20の超音波測定装置22の横方向アレイは全体でシート13の全幅に亘る「厚さプロファイル」を生じる。
【0036】
例示的な方法のボックス130において、所望の厚さを有するシートを達成するために、シート13の厚さプロファイルを用いてセグメント化されたメルトバックヒータ(SMBH)44の熱プロファイルを調整してシート13の選択部分をメルトバックする。
【0037】
従って、上述のシステム20は、シート形成装置で使用される従来の測定システムに比較して多くの利点をもたらす。例えば、システム20は、特に、過酷な(高温で電気的にノイジーな)FSM動作環境内で単結晶シートの厚さを妨害も融液の汚染もなしで測定するように構成される。さらに、システム20は、実際上任意のタイプの結晶凝固用途(例えばCz,DSS)及びガラス及び冶金用途において、さもなければ位置決定することが難しいか不可能である異種材料間の界面(例えば、液体と固体間の界面、液体と気体間の界面、異なる固体間の界面、異なる液体間の界面等)の位置を決定することができる。
【0038】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態の範囲に限定されない。実際には、本明細書に記載された実施形態に加えて、他の種々の実施形態及び変更例が、前述の記載及び添付の図面から当業者には明らかであろう。従って、このような他の実施形態及び変更例は、本発明の範囲に含まれるものと意図される。さらに、本明細書の開示は、特定の目的に対する、特定の環境における、特定の実施形態の文脈にて記載されているが、当業者は、その有用性はこれに限定されないこと及び、本発明があらゆる目的のために、あらゆる環境において有益に実行可能であることを認識されよう。従って、以下に記載する特許請求の範囲は、本明細書に記載された本発明の全範囲及び精神に鑑みて解釈されるべきものである。
図1
図2
図3
図4a-4b】
図5
図6
【国際調査報告】