(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本開示は、Globo H−KLH糖コンジュゲート(OBI−822)および/または治療用アジュバント(OBI−821/OBI−834)を含む免疫原性/治療用組成物、ならびにがんなどの増殖性疾患を処置するためにそれらを作出し使用する方法を包含する。治療用コンジュゲートは、担体と連結した抗原を含む。詳細には、治療用コンジュゲートは、任意選択でリンカーを介して連結した、Globo H部分ならびにKLH部分および/または誘導体化KLH部分サブユニットを含む。治療用組成物は、一部において、体の、がん細胞などの損傷を受けたまたは異常な細胞によって生じる危険から免疫系を通じて自身を保護する天然の能力を高めるためのがんワクチンとして作用することが予想される。
1〜20個(n=1〜20)のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分と共有結合により連結した複数のGlobo H部分を含む組成物であって、前記Globo H部分が、前記KLH部分と1個または複数のアミノ酸残基において共有結合により結合している、組成物。
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結したGlobo H部分が、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)連結によって連結している、請求項1に記載の組成物。
前記がんが、乳がん、肺がん、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、膵がん、前立腺がん、卵巣がん、上皮がんまたは子宮体がんである、請求項46に記載の方法。
治療または診断に使用するためのモノクローナル抗体を創出するために対象において抗体を誘導する方法であって、前記対象に有効量の請求項1に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
前記KLH部分が、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、十一量体、十二量体、十三量体、十四量体、十五量体、十六量体、十七量体、十八量体、十九量体または二十量体を形成し得る、請求項51に記載の組成物。
治療または診断に使用するためのモノクローナル抗体を創出するために、対象において抗体を誘導する方法であって、前記対象に有効量の請求項51に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Globo Hに対する抗体応答を引き出すためのワクチンが開発されてきたが、Globo Hの抗原性が低いことに起因して、それらのワクチンの抗がん有効性は不十分なものである。Globo Hを標的とする高レベルの免疫応答を引き出すことができる新しいワクチンが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
KLHは、集合して十量体(10−mer)粒子、二十量体(didecameric)(20−mer)粒子、およびより大きな粒子を形成することができるグリコシル化ポリペプチドサブユニットを含有する。これらの多量体構造は超遠心技法によって特徴付けられており、解離したサブユニットについては11〜19S、二十量体多量体については92〜107Sの沈降係数が得られた。KLHを含めた軟体動物ヘモシアニンのサイズ分布には種々の因子が影響を及ぼす可能性がある。これらの因子としては、イオン強度、pH、温度、pO2、ならびに、ある特定の二価カチオン、特にカルシウムおよびマグネシウムの利用可能性が挙げられる。
本発明者らは、複数のGlobo H部分と連結したKLHの二量体、三量体ならびに他の多量体で主に構成される、有効性が驚くほど増大した組成物を開発した。
【0006】
したがって、本開示は、一般に、Globo Hを含む治療用かつ/または予防用組成物、ならびに、免疫療法薬、ワクチン、剤形、キット、および製造の方法、およびその取扱いを包含する。
【0007】
一実施形態では、本発明は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと連結したGlobo H部分を含む単離された治療用コンジュゲートを包含する。ある特定の実施形態では、連結は、共有結合的結合である。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結したGlobo H部分を含む単離された治療用コンジュゲートであって、KLHが誘導体化KLHである、単離された治療用コンジュゲートを包含する。本明細書で使用される「共有結合により連結した」という用語は、Globo−HおよびKLHについて言及する場合、Globo−HとKLHが直接共有結合により連結しているか、Globo−Hと誘導体化KLH(本明細書に記載の)が共有結合により連結しているか、Globo−HとKLHがリンカー基(本明細書に記載の)を通じて共有結合により連結しているか、または、Globo−HとKLHがリンカー基および誘導体化KLHの両方を通じて共有結合により連結していることを意味する。
【0009】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明の誘導体化KLHは、以下の構造:
【化1】
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を有する。
【0010】
一実施形態では、本発明は、リンカー分子を通じてキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結したGlobo H部分を含む単離された治療用コンジュゲートを包含する。
【0011】
一実施形態では、Globo H部分は、KLH部分サブユニットのリシン残基に結合している。
【0012】
一実施形態では、Globo H部分に対して利用可能であるまたはそれと実際に直接もしくは間接的に結合する総リシン残基は、KLH部分サブユニット当たり、合計で、正確にまたは約145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160個存在する。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)リンカー基を介してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結したGlobo H部分を含む単離された治療用コンジュゲートを包含する。本発明のMMCCHリンカーは、以下の構造:
【化2】
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を有する。
【0014】
別の例示的な実施形態では、本発明は、以下の一般構造:
【化3】
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(式中、nは、約1〜約160の整数である)
を有する単離された治療用コンジュゲートを包含する。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分は、約1〜約160個のGlobo H部分を含み得る。構造はイミニウム塩酸塩として例示されているが、イミン形態としても存在または共存し得ることが当業者には理解されよう。したがって、本発明は、イミンならびに例えばイミニウム塩酸塩を含めたその塩の両方を包含する。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分は、約個〜約125個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分は、約1〜約100個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分は、1〜約75個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分は、約1〜約50個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分は、約1〜約25個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分は、約1〜約10個のGlobo H部分を含み得る。
【0015】
ある特定の実施形態では、Globo H部分をKLH部分に、ある特定のアミノ酸残基への共有結合によりコンジュゲートする。ある特定の実施形態では、アミノ酸残基は、アルギニン、リシン、ヒスチジン、アスパラギン、プロリン、グルタミンまたはそれらの組合せを含んでも、これらが排除されてもよい。
【0016】
別の実施形態では、Globo H部分を単量体KLH部分サブユニット上のリシンコンジュゲーション部位に結合させる。
【0017】
別の実施形態では、Globo H部分との結合に利用可能であるまたは実際に結合する、各単量体KLH部分サブユニット上のリシンコンジュゲーション部位は、正確にまたは約60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109または110カ所存在する。別の実施形態では、各KLH部分サブユニット上のそのようなリシンコンジュゲーション部位は、62、66、67、68、70、72、76、86、87、88、90、92、93、100カ所存在する。
【0018】
部分サブユニット(例えば、KLH1およびKLH2またはそれらのバリアント)の混合物を含有するある特定の治療用組成物の実施形態では、利用可能なリシンの総数(両方のサブユニットについて)は、異なるサブユニット型にわたって合わせて計数され、その数は、正確に約290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309または310個であり得るかまたはそれである。そのような実施形態では、リシンコンジュゲーション部位は、異なるサブユニット(例えば、KLH1およびKLH2またはそれらのバリアント)にわたって合わせて、正確にまたは約130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159または160カ所存在する。他のそのような実施形態では、リシンコンジュゲーション部位は、136、137、141、140、143、147または155カ所存在する。
【0019】
別の例示的な実施形態では、本発明は、以下の一般構造:
【化4】
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(式中、nは、独立に、約1〜約3000の整数であり、mは、独立に、約1〜約20の整数である)を有する単離された免疫原性/治療用コンジュゲートを包含する。ある特定の実施形態では、mが1を超える場合、KLH部分は凝集して多量体構造を形成し得る。ある特定の実施形態では、凝集は共有結合的結合である。ある特定の他の実施形態では、凝集は共有結合的結合ではない(例えば、凝集はH−結合または疎水性相互作用によって形成される)。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分(すなわち、m=1の場合)は、約1〜約160個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二量体KLH部分(すなわち、m=2の場合)は、約1〜約300個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、三量体KLH部分(すなわち、m=3の場合)は、約1〜約450個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、四量体KLH部分(すなわち、m=4の場合)は、約1〜約600個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、五量体KLH部分(すなわち、m=5の場合)は、約1〜約750個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、六量体KLH部分(すなわち、m=6の場合)は、約1〜約900個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二十量体KLH部分(すなわち、m=20の場合)は、約1〜約3000個のGlobo H部分を含み得る。
【0020】
別の例示的な実施形態では、本発明は、以下の一般構造:
【化5】
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(式中、nは、独立に、約1〜約150の整数であり、mは、独立に、約1〜約20の整数である)を有する単離された免疫原性/治療用コンジュゲートを包含する。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、以下の一般構造:
【化6】
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(nは、独立に、約1〜約160の整数であり、mは、独立に、約1〜約20の整数である)を有する単離された治療用コンジュゲートを包含する。ある特定の実施形態では、mは、約1〜約5の整数である。ある特定の実施形態では、mは、約1〜約3の整数である。ある特定の実施形態では、mは1である。ある特定の実施形態では、mは2である。ある特定の実施形態では、mは3である。ある特定の実施形態では、mは4である。ある特定の実施形態では、mは5である。ある特定の実施形態では、mは6である。ある特定の実施形態では、mは7である。ある特定の実施形態では、mは8である。ある特定の実施形態では、mは9である。ある特定の実施形態では、mは10である。ある特定の実施形態では、mは11である。ある特定の実施形態では、mは12である。ある特定の実施形態では、mは13である。ある特定の実施形態では、mは14である。ある特定の実施形態では、mは15である。ある特定の実施形態では、mは16である。ある特定の実施形態では、mは17である。ある特定の実施形態では、mは18である。ある特定の実施形態では、mは19である。ある特定の実施形態では、mは20である。上記の実施形態のいずれかに関するある特定の実施形態では、mが1〜20である場合、各nは、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、または160である。
【0022】
ある特定の実施形態では、各単量体KLH部分に1個超のGlobo H部分が付着している。ある特定の例示的な実施形態では、各KLH部分に付着した1個超のGlobo H部分は、リンカーを介して付着している。他の例示的な実施形態では、各KLH部分に付着した1個超のGlobo H部分は、リンカーを介して付着しており、かつ、誘導体化KLH部分に付着している。
【0023】
別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも1である。別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも10である。別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分との比は少なくとも25である。別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも50である。さらなる実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも100である。さらなる実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも150である。さらに別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも500である。さらに別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも750である。さらに別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも1000である。さらに別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも1500である。さらに別の実施形態では、Globo H部分とKLH部分サブユニットとの比は少なくとも2000である。
【0024】
種々の実施形態では、本発明は、それぞれ多数のGlobo H部分が付着した、KLHの単一の単量体から多数のKLHサブユニット(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個)を包含する。ある特定の実施形態では、Globo H部分とKLH部分との比は同じである。他の実施形態では、Globo H部分とKLH部分との比は異なる。
【0025】
本発明の別の実施形態は、少なくとも2個のKLH部分を含む組成物を包含する。例えば、二量体の形態の誘導体化KLH部分。別の実施形態では、少なくとも2個のKLH部分は同じである。別の実施形態では、少なくとも2個のKLH部分は異なる。さらなる実施形態では、少なくとも2個のKLH部分は、同じGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。さらに別の実施形態では、少なくとも2個のKLH部分は、異なるGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。
【0026】
本発明の別の実施形態は、少なくとも3個のKLH部分、例えば、三量体の形態の誘導体化KLH部分を含む治療用組成物を包含する。ある特定の実施形態では、少なくとも3個のKLH部分は同じである。別の実施形態では、少なくとも3個のKLH部分は同じではない。さらなる実施形態では、少なくとも3個のKLH部分は、同じGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。さらに別の実施形態では、少なくとも3個のKLH部分は、異なるGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、少なくとも4個のKLH部分、例えば、四量体の形態の誘導体化KLH部分を含む治療用組成物を包含する。ある特定の実施形態では、少なくとも4個のKLH部分は同じである。別の実施形態では、少なくとも4個のKLH部分は同じではない。さらなる実施形態では、少なくとも4個のKLH部分は、同じGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。さらに別の実施形態では、少なくとも4個のKLH部分は、異なるGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。
【0028】
本発明の別の実施形態は、少なくとも5個のKLH部分、例えば、五量体の形態の誘導体化KLH部分を含む治療用組成物を包含する。ある特定の実施形態では、少なくとも5個のKLH部分は同じである。別の実施形態では、少なくとも5個のKLH部分は同じではない。さらなる実施形態では、少なくとも5個のKLH部分は、同じGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。さらに別の実施形態では、少なくとも5個のKLH部分は、異なるGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。
【0029】
本発明の別の実施形態は、少なくとも6個のKLH部分、例えば、六量体の形態の誘導体化KLH部分を含む治療用組成物を包含する。ある特定の実施形態では、少なくとも6個のKLH部分は同じである。別の実施形態では、少なくとも6個のKLH部分は同じではない。さらなる実施形態では、少なくとも6個のKLH部分は、同じGlobo H部分とのKLH部分サブユニットとの比を有する。さらに別の実施形態では、少なくとも6個のKLH部分は、異なるGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。
【0030】
本発明の別の実施形態は、少なくとも20個のKLH部分、例えば、二十量体(didecamer)の形態の誘導体化KLH部分を含む治療用組成物を包含する。ある特定の実施形態では、少なくとも20個のKLH部分は同じである。別の実施形態では、少なくとも20個のKLH部分は同じではない。さらなる実施形態では、少なくとも20個のKLH部分は、同じGlobo H部分とKLH部分サブユニットとの比を有する。さらに別の実施形態では、少なくとも20個のKLH部分は、異なるGlobo H部分とKLH部分サブユニットとのを有する。
【0031】
一実施形態では、Globo H部分は、(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)を含む。さらなる実施形態では、KLH部分サブユニットは、KLH−1部分またはKLH−2部分またはそれらの組合せである。本明細書で使用される場合、「KLH」という用語は、KLH−1、KLH−2、および/またはそれらの組合せを指す。
【0032】
別の実施形態では、KLH部分サブユニットは、対応する天然に存在するKLH部分サブユニットと少なくとも99%同一である。
【0033】
別の実施形態では、KLH部分サブユニットは、対応する天然に存在するKLH部分サブユニットと少なくとも95%同一である。
【0034】
別の実施形態では、KLH部分サブユニットは、対応する天然に存在するKLH部分サブユニットと少なくとも90%同一である。
【0035】
別の実施形態では、KLH部分サブユニットは、対応する天然に存在するKLH部分サブユニットと少なくとも80%同一である。
【0036】
別の実施形態では、KLH部分サブユニットは、対応する天然に存在するKLH部分サブユニットと少なくとも70%同一である。
【0037】
別の実施形態では、KLH部分サブユニットは、対応する天然に存在するKLH部分サブユニットと少なくとも60%同一である。
【0038】
別の実施形態では、Globo H部分は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと、リンカーを介して共有結合により連結している。さらに別の実施形態では、Globo H部分は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)連結によって共有結合により連結している。別のさらなる実施形態では、Globo H部分は、誘導体化キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結しており、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)連結によって連結している。
【0039】
別の実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、約350KDa〜約400KDaの分子量を有するKLH単量体に基づいて、少なくともまたは約150であるエピトープ比を有する。別の実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、少なくともまたは約100のエピトープ比を有する。さらなる実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、少なくともまたは約75のエピトープ比を有する。さらに別の実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、少なくともまたは約50のエピトープ比を有する。さらに別の実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、少なくともまたは約25のエピトープ比を有する。さらに別の実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、少なくともまたは約15のエピトープ比を有する。さらに別の実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、少なくともまたは約5のエピトープ比を有する。さらに別の実施形態では、単離された治療用コンジュゲートは、少なくともまたは約1のエピトープ比を有する。
【0040】
本発明の別の実施形態は、KLH部分サブユニットを含む医薬組成物であって、各KLH部分サブユニットが、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGlobo H部分を含む医薬組成物を包含する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも2個のKLH部分サブユニットの二量体を含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGlobo H部分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも3個のKLH部分サブユニットの三量体を含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGlobo H部分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4個のKLH部分サブユニットを含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGlobo H部分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、KLH部分サブユニット(例えば、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体など)の混合物を含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した多数のGlobo H部分を含む。
【0041】
本発明の別の態様は、KLH部分の単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体またはそれらの組合せを含む医薬組成物であって、各KLHが、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGlobo H部分を含む医薬組成物に関する。
【0042】
本発明の一実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートのエピトープ比は、約1〜3000の範囲である。さらなる実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートのエピトープ比は、約75〜2000の範囲である。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートのエピトープ比は、約100〜1000の範囲である。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの平均エピトープ比は、約150〜500の範囲である。
【0043】
別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約1%〜99%はKLH単量体である。さらなる実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%はKLH二量体である。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%はKLH三量体である。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%はKLH四量体である。さらなる実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約1%〜99%はKLH五量体である。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は6個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は7個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は8個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は9個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は10個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は11個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は12個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は13個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は14個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は15個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は16個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は17個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は18個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は19個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約0%〜99%は20個のKLHサブユニットを含む。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約1%〜99%は単量体、二量体、三量体、四量体またはそれらの組合せである。さらに別の実施形態では、組成物中の治療用コンジュゲートの約99%は単量体、二量体、三量体、四量体またはそれらの組合せである。
【0044】
ある特定の実施形態では、ある特定の例示的な組成物の実施形態およびその使用方法は、本明細書に記載されている他の代表的な化合物および/または組成物の実施形態の任意の1つまたは複数を含んでもよく、これらが排除されてもよい(例えば条件付きで除く)。
【0045】
別の実施形態では、医薬組成物は、アジュバントを含む。本明細書で使用される場合、「免疫学的アジュバント(immunologic adjuvant)」という用語は、免疫原と併せて使用される、免疫原に対する免疫応答を増強または改変する物質を指す。具体的には、「アジュバント」および「免疫アジュバント(immunoadjuvant)」という用語は、本発明では互換的に使用され、宿主に単独で投与された場合には非免疫原性であり得るが、別の抗原と共同で投与されるとその抗原に対する宿主の免疫応答を強化する化合物または混合物を指す。アジュバントにより媒介される免疫応答の増強および/または持続時間の延長は、これだけに限定することなく、以下のうちの1つまたは複数を含めた当技術分野で公知の任意の方法によって評価することができる:(i)アジュバント/抗原組合せを用いた免疫に応答して産生される抗体の数が、抗原を単独で用いた免疫に応答して産生される抗体の数よりも増加すること;(ii)抗原またはアジュバントを認識するT細胞の数が増加すること;および(iii)1つまたは複数のI型サイトカインのレベルが上昇すること。
【0046】
アジュバントは、抗原を含む医薬組成物もしくはワクチン組成物の一部として、または抗原を含有する第2の組成物と共同で投与される別の製剤として投与することができる。これらの組成物のいずれにおいても、スフィンゴ糖脂質(GSL)を他のアジュバントおよび/または賦形剤/担体と組み合わせることができる。これらの他のアジュバントとしては、これだけに限定されないが、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、MF59、またはSAFなどの、油乳剤および乳化剤(emulsifier)に基づくアジュバント;水酸化アルミニウム(ミョウバン)、リン酸アルミニウムまたはリン酸カルシウムなどの無機ゲル;コレラ毒素(CT)、百日咳毒素、Escherichia coli易熱性毒素(LT)、突然変異毒素(例えば、LTK63またはLTR72)、Bacille Calmette−Guerin(BCG)、Corynebacterium parvum、DNA CpGモチーフ、ムラミルジペプチド、またはモノホスホリルリピドAなどの、微生物由来のアジュバント;免疫刺激複合体(ISCOM)、リポソーム、生分解性マイクロスフェア、またはサポニン(例えば、QS−21)などの粒子アジュバント;IFN−γ、IL−2、IL−12またはGM−CSFなどのサイトカイン;非イオン性ブロック共重合体、ムラミルペプチド類似体(例えば、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン[thr−MDP]、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−[1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ]−エチルアミン)、ポリホスファゼン、または合成ポリヌクレオチドなどの合成アジュバント、ならびに、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、炭化水素乳剤、またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの表面活性物質、Toll様受容体分子、LPS、リポタンパク質、リポペプチド、フラジェリン、二本鎖RNA、ウイルスDNA、非メチル化CpGアイランド、レバミソール、カルメット−ゲラン桿菌、イソプリノシン、Zadaxin、PD−1アンタゴニスト、PD−1抗体、CTLAアンタゴニスト、CTLA抗体、インターロイキン、サイトカイン、GM−CSF、糖脂質、アルミニウム塩に基づくもの、リン酸アルミニウム、ミョウバン、水酸化アルミニウム、リポソーム、TLR2アゴニスト、リポペプチド、ナノ粒子、モノホスホリルリピドA、OBI−821サポニン、サポニン、OBI−834アジュバント、C34アジュバント、水中油型ナノ乳剤、ならびに細菌様粒子が挙げられる。これらの追加的なアジュバントは、ヒトにおける使用に関して薬学的に許容されるものでもあることが好ましい。
【0047】
別の実施形態では、医薬組成物は、IL−2、IL−12、IL−18、IL−2、IFN−γ、TNF、IL−4、IL−10、IL−13、IL−21、GM−CSFおよびTGF−βからなる群から選択されるサイトカインを含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、ケモカインを含む。
【0048】
さらなる実施形態では、免疫原性/治療剤は、医薬組成物として投与される。
【0049】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、モノクローナル抗体、化学療法薬、ホルモン治療剤、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害性/細胞増殖抑制剤、抗新生物剤、抗増殖剤、抗mTOR剤、抗Her2剤、抗EGFR剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、血管新生阻害剤、ベバシズマブ、細胞増殖および生存シグナル伝達経路の阻害剤、アポトーシス誘導剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤、インテグリン遮断薬、NSAID、PPARアゴニスト、固有の多剤耐性(MDR)の阻害剤、制吐剤、貧血の処置に有用な薬剤、好中球減少の処置に有用な薬剤、免疫増強性薬、ビスホスホネート(biphosphonate)、アロマターゼ阻害剤、新生細胞の最終分化を誘導する薬剤、γ−セレクターゼ阻害剤、がんワクチン(例えば、能動免疫療法)、モノクローナル抗体治療薬(例えば、受動免疫療法)、およびそれらの任意の組合せを含む。
【0050】
別の実施形態では、本発明の治療用組成物は、PD−1/PD−L1阻害剤(細胞傷害性T細胞リンパ球(CTL)免疫療法)、CTLA−4免疫療法、CDK4/6阻害剤(標的療法)、PI3K阻害剤(標的療法)、mTOR阻害剤(標的療法)、AKT阻害剤(標的療法)、Pan−Her阻害剤(標的療法)をさらに含んでよい。これらの阻害剤は、それぞれのモノクローナル抗体も生成されるように改変することができる。そのような抗体は、本発明の治療用組成物に含めることができる。
【0051】
別の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、がんワクチンである。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、皮下投与用に製剤化さる。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、動脈内投与用に製剤化される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
【0052】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする患者を処置する方法であって、患者に、治療有効量のGlobo HおよびKLHを含む治療用組成物を投与するステップを含む方法を包含する。一実施形態では、患者は、がんの診断を受けている、またはがんを有する疑いがある。別の実施形態では、がんは、上皮がんである。さらなる実施形態では、がんは、乳がんである。さらに別の実施形態では、医薬/治療用組成物中のGlobo−H部分の治療有効量は、約0.001μg/kg〜約250mg/kgの範囲であり得る。さらに別の実施形態では、医薬/治療用組成物中のGlobo−H部分の治療有効量は、用量当たり、1つの治療用コンジュゲートを約10μg/kg〜約50μg/kg含む。さらに別の実施形態では、医薬/治療用組成物中のGlobo−H部分の治療有効量は、用量当たり、1つの治療用コンジュゲートを約0.10μg/kg〜約0.75μg/kg含む。
【0053】
さらに別の実施形態では、治療用組成物中のGlobo−H−KLH複合体の治療有効量は、約0.001μg/kg〜約250mg/kgの範囲であり得る。さらに別の実施形態では、治療用組成物中のGlobo−H−KLH複合体の治療有効量は、用量当たり、1つの治療用コンジュゲートを約10μg/kg〜約50μg/kg含む。さらに別の実施形態では、治療用組成物中のGlobo−H−KLH複合体の治療有効量は、用量当たり、1つの治療用コンジュゲートを約0.60μg/kg〜約4.50μg/kg含む。
【0054】
さらに別の実施形態では、本方法により、無増悪生存を対照プラセボと比較して約または少なくとも1週間延長させることができる。さらに別の実施形態では、本方法により、無増悪生存を対照プラセボと比較して約または少なくとも2週間延長させることができる。さらに別の実施形態では、本方法により、無増悪生存を対照プラセボと比較して約または少なくとも1カ月延長させることができる。さらに別の実施形態では、本方法により、無増悪生存を対照プラセボと比較して約または少なくとも3カ月延長させることができる。さらに別の実施形態では、本方法により、無増悪生存を対照プラセボと比較して約または少なくとも6カ月延長させることができる。さらに別の実施形態では、本方法により、全生存を対照プラセボと比較して約または少なくとも12カ月延長させることができる。
【0055】
付属の図面をその後の詳細な説明と併せて考慮して、参照することにより、本発明のより完全な理解を得ることができる。図面に例示されている実施形態は、単に本発明を例証することを意図するものであり、例示されている実施形態に本発明を限定するものとは解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1Aは、Globo Hならびにいくつかの例示的なGlobo H類似体の化学構造を示す図である。Glcはグルコースを表し、Galはガラクトースを表し、GalNAcはN−アセチルガラクトサミンを表し、Fucはフコースを表す。
図1Bは、MMCCHリンカーを経由してコンジュゲートした例示的なGlobo H−KLHサブユニットを示す図である。
【0057】
【
図2】
図2Aは、例示的なGlobo H−KLHサブユニットコンジュゲーション合成経路を示す図である。
図2Bは、本発明のGlobo H−KLH二量体およびGlobo H−KLH三量体を、Slovinら(1999年)、Proc Natl Acad Sci USA 96巻:5710〜5頁およびGilewskiら(2001年)、Proc Natl Acad Sci USA 98巻:3270〜5頁に開示されているGlobo Hコンジュゲートと比較して示す図である。
【0058】
【
図3】
図3は、ネイティブなKLH(8.3MDa)に関する多角レーザー散乱分光法(multi−angle laser scattering spectrometry)(MALS)の結果を示す図である。
【0059】
【
図4-1】
図4Aは、多角レーザー散乱分光法(MALS)を検出器として使用した、KLHに関するサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。
図4Bは、KLHの質量分布分析を示すグラフである。
【
図4-2】
図4Cは、多角レーザー散乱分光法(MALS)を検出器として使用した、Globo H−KLH糖コンジュゲート(OBI−822ロット番号14001)に関するサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。
図4Dは、Globo H−KLH糖コンジュゲートの質量分布分析を示すグラフである。
【0060】
【
図5A】
図5Aは、例示的なGlobo H−KLH糖コンジュゲート(7.5μgおよび25μg)を用いて免疫したLewisラットにおけるB細胞集団の経時的な増大を示すグラフである。
【
図5B】
図5Bは、例示的なGlobo H−KLH糖コンジュゲート(7.5μgおよび25μg)を用いて免疫したLewisラットにおけるCD3 T細胞集団の経時的な増大を示すグラフである。
【
図5C】
図5Cは、例示的なGlobo H−KLH糖コンジュゲート(7.5μgおよび25μg)を用いて免疫したLewisラットにおけるCD4 T細胞集団の経時的な増大を示すグラフである。
【
図5D】
図5Dは、例示的なGlobo H−KLH糖コンジュゲート(7.5μgおよび25μg)を用いて免疫したLewisラットにおけるCD8 T細胞集団の経時的な増大を示すグラフである。データは、PBS群の細胞数の百分率に対して正規化した、示されている群における細胞数の百分率として示されている。二元配置ANOVAを使用して多重比較分析を行い、その後、ボンフェローニの事後検定を行った。PBSと比較して、*、p<0.05、**、p<0.01、および***、p<0.001。
【0061】
【
図6】
図6Aは、例示的なGlobo H−KLH糖コンジュゲート(7.5μgおよび25μg)を用いて免疫したLewisラット由来の血液中のIgM抗体の相互力価の経時的な変化を示すグラフである。
図6Bは、例示的なGlobo H−KLH糖コンジュゲート(7.5μgおよび25μg)を用いて免疫したLewisラット由来の血液中のIgG抗体の相互力価の経時的な変化を示すグラフである。
【0062】
【
図7】
図7は、Globo HとKLHの間のコンジュゲーション比(0.17:1および0.07:1)に応答したマウスにおけるIgM抗体価を示すグラフである。
【0063】
【
図8】
図8は、PBS、Globo H−KLH糖コンジュゲート+サポニンアジュバント(OBI−822+OBI−821)、およびGlobo H−KLH糖コンジュゲート+C34アジュバント(OBI−822+OBI−834)を用いて免疫したC57BL/6マウスに関する免疫原性を例示するグラフである。抗Globo H IgM抗体産生および抗Globo H IgG抗体産生を決定するためのELISA分析用に血清を42日目に採取した。
図8Aは、IgM産生を示す。
図8Bは、IgG産生を示す。Globo H−KLH糖コンジュゲートを2μg、およびアジュバントを20μg皮下(SC)投与した。
【0064】
【
図9A】
図9は、C57BL/6マウスと同系の、0.1mL中5.0×10
6個のルイス肺癌(LL/2、ATCC CRL−1642)細胞を注射した免疫適格性(6〜8週齢)病原体除去(SPF)雌C57BL/6マウスの6つの群について、16日目に実験マウスの外側の腹部領域に皮下注射したことを例示する写真である。0、5、11、19、29、34および39日目に、3つの試験条件(PBSのみ、OBI−822+OBI−821アジュバントおよびOBI−822+OBI−834アジュバント)を0.2mL/マウス(腹部の左側と右側の両方に、0.1mL/部位)で皮下投与したか、または10mL/kgの投薬体積で腹腔内投与した。42日目に屠殺した後、腫瘍を含めた全身の写真を撮った。
【
図9B】
図9は、C57BL/6マウスと同系の、0.1mL中5.0×10
6個のルイス肺癌(LL/2、ATCC CRL−1642)細胞を注射した免疫適格性(6〜8週齢)病原体除去(SPF)雌C57BL/6マウスの6つの群について、16日目に実験マウスの外側の腹部領域に皮下注射したことを例示する写真である。0、5、11、19、29、34および39日目に、3つの試験条件(PBSのみ、OBI−822+OBI−821アジュバントおよびOBI−822+OBI−834アジュバント)を0.2mL/マウス(腹部の左側と右側の両方に、0.1mL/部位)で皮下投与したか、または10mL/kgの投薬体積で腹腔内投与した。42日目に屠殺した後、腫瘍を含めた全身の写真を撮った。
【0065】
【
図10】
図10は、0、5、11、19、29、34および39日目にPBS、OBI−822+OBI−821アジュバントおよびOBI−822+OBI−834アジュバントを用いて皮下にワクチン接種した、Globo H−KLH糖コンジュゲートを用いて免疫したC57BL/6マウスにおけるLL/2(ルイス肺癌細胞株)腫瘍の成長を例示するグラフである。16日目にLL/2細胞(0.1mL中5.0×10
6個)を各マウスに皮下注射した。16、19、23、26、30、34、37、40および42日目に腫瘍サイズをモニターした。
【0066】
【
図11】
図11は、Globo H誘導体の化学構造を例示する図である。
図11Aは、Globo H誘導体[化学式:C(56)H(91)N(5)O(33)S(1)、モノアイソトピックMW付加:1393.5317Da]を例示する。
図11Bは、Globo H誘導体の中性損失形態を例示する。化学式1:C(18)H(28)N(4)O(4)S(1)、モノアイソトピックMW付加:396.1831Da;化学式2:C(24)H(38)N(4)O(9)S(1)、モノアイソトピックMW付加:558.2360Da;化学式3:C(30)H(48)N(4)O(14)S(1)、モノアイソトピックMW付加:720.2888Da;化学式4:C(36)H(58)N(4)O(19)S(1)、モノアイソトピックMW付加:882.3416Da;化学式5:C(44)H(71)N(5)O(24)S(1)、モノアイソトピックMW付加:1085.4210Da。
【0067】
【
図12】
図12は、MMCCH誘導体の化学構造を例示する図である。
図12Aは、MMCCH誘導体の化学構造を例示する[化学式:C(16)H(24)N(4)O(3)S(1)、モノアイソトピックMW付加:352.1569Da]。
図12Bは、脱アミドMMCCH誘導体を例示する[化学式:C(16)H(22)N(2)O(4)S(1)、モノアイソトピックMW付加:338.1300Da]。
【0068】
【
図13】
図13は、リシン残基におけるGlobo HおよびMMCCH誘導体ペプチド同定の要約を示す表である。
【0069】
【
図14A】
図14は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図14B】
図14は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0070】
【
図15A】
図15は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図15B】
図15は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0071】
【
図16A】
図16は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図16B】
図16は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0072】
【
図17A】
図17は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図17B】
図17は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0073】
【
図18A】
図18は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図18B】
図18は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0074】
【
図19A】
図19は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図19B】
図19は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0075】
【
図20A】
図20は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図20B】
図20は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0076】
【
図21A】
図21は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図21B】
図21は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるGlobo−Hとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0077】
【
図22A-1】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22A-2】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22A-3】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22A-4】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22A-5】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22B-1】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22B-2】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22B-3】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図22B-4】
図22は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0078】
【
図23A-1】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23A-2】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23A-3】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23A-4】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23A-5】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23B-1】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23B-2】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23B-3】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図23B-4】
図23は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0079】
【
図24A-1】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24A-2】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24A-3】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24A-4】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24A-5】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24B-1】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24B-2】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24B-3】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図24B-4】
図24は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0080】
【
図25A-1】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25A-2】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25A-3】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25A-4】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25A-5】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25B-1】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25B-2】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25B-3】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図25B-4】
図25は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(1回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0081】
【
図26A-1】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26A-2】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26A-3】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26A-4】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26A-5】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26B-1】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26B-2】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26B-3】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図26B-4】
図26は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0082】
【
図27A-1】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27A-2】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27A-3】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27A-4】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27A-5】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27B-1】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27B-2】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27B-3】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図27B-4】
図27は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0083】
【
図28A-1】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28A-2】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28A-3】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28A-4】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28A-5】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28B-1】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28B-2】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28B-3】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図28B-4】
図28は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0084】
【
図29A-1】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図29A-2】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図29A-3】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図29A-4】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図29B-1】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図29B-2】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図29B-3】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図29B-4】
図29は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(2回目のLC−MS/MS)についてのリシン残基におけるMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【
図30A】
図30は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS);KLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についての、Globo−Hとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【
図30B】
図30は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS);KLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についての、Globo−Hとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【
図30C】
図30は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS);KLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についての、Globo−Hとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【
図30D】
図30は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS);KLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についての、Globo−Hとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【0085】
【
図31A】
図31は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS)、ならびにKLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についてのMMCCHとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【
図31B】
図31は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS)、ならびにKLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についてのMMCCHとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【
図31C】
図31は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS)、ならびにKLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についてのMMCCHとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【
図31D】
図31は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての(1回目のLC−MS/MS)、ならびにKLH1(C)およびKLH2(D)についての(2回目のLC−MS/MS)についてのMMCCHとコンジュゲートしたリシン部位の同定の要約を例示する表である。
【0086】
【
図32】
図32は、1回目のLC−MS/MSの実行(A)および2回目のLC−MS/MSの実行(B)におけるGlobo−Hコンジュゲーション分析の要約を例示する表である。
【0087】
【
図33】
図33は、ヒスチジン(H)残基、アスパラギン(N)残基、プロリン(P)残基、グルタミン(Q)残基およびアルギニン(R)残基における例示的なGlobo HおよびMMCCH誘導体ペプチド同定の要約を示す表である。
【0088】
【
図34】
図34は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料1(LC−MS/MS)についてのHNPQR残基におけるGlobo HおよびMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0089】
【
図35】
図35は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料2(LC−MS/MS)についてのHNPQR残基におけるGlobo HおよびMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0090】
【
図36】
図36は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料3(LC−MS/MS)についてのHNPQR残基におけるGlobo HおよびMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0091】
【
図37】
図37は、KLH1(A)およびKLH2(B)についての、試料4(LC−MS/MS)についてのHNPQR残基におけるGlobo HおよびMMCCHとコンジュゲートしたペプチドの同定の詳細を例示する表である。
【0092】
【
図38】
図38は、ヒスチジン(H)残基、アスパラギン(N)残基、プロリン(P)残基、グルタミン(Q)残基およびアルギニン(R)残基における例示的なGlobo HおよびMMCCH誘導体分析の要約を例示する表である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
本発明の実施には、別段の指定のない限り、当技術分野の技術の範囲内に入る分子生物学、微生物学、および免疫学の従来の技法を用いる。そのような技法は、文献において十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年);DNA Cloning、I巻およびII巻(D. N. Glover編、1985年);Culture Of Animal Cells(R. I. Freshney、Alan R. Liss, Inc.、1987年);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press、1986年);B. Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984年);Methods In Enzymology全巻(Academic Press, Inc.、N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J. H. MillerおよびM. P. Calos編、1987年、Cold Spring Harbor Laboratory);Methods In Enzymology、154巻および155巻(Wuら編)、Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(MayerおよびWalker編、Academic Press、London、1987年);Antibodies: A Laboratory Manual、HarlowおよびLanes(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988年);ならびにHandbook Of Experimental Immunology、I〜IV巻(D. M. WeirおよびC. C. Blackwell編、1986年)を参照されたい。
【0094】
抗体を引き出すための、合成炭水化物コンジュゲートの使用は、1929年にGoebelおよびAveryによって最初に実証された(Goebel, W. F.、およびAvery, O. T.、J. Exp. Med.、1929年、50巻、521頁;Avery, O. T.、およびGoebel, W. F.、J. Exp. Med.、1929年、50巻、533頁)。炭水化物がベンゼンジアゾニウム配糖体を介して担体タンパク質に連結された。合成抗原を用いたウサギの免疫により、ポリクローナル抗体が生成された。他の研究者ら(Allen, P. Z.、およびGoldstein, I. J.、Biochemistry、1967年、6巻、3029頁;Rude, E.、およびDelius, M. M.、Carbohydr. Res.、1968年、8巻、219頁;Himmelspach, K.ら、Eur. J. Immunol.、1971年、1巻、106頁;Fielder, R. J.ら、J. Immunol.、1970年、105巻、265頁)により、炭水化物とタンパク質担体をコンジュゲーションするための同様の技法が開発された。
【0095】
腫瘍細胞の公知の標的作用物質を特異的に標的とするために、ワクチン接種から生じる能動免疫療法において糖コンジュゲートを使用することができる。炭水化物抗原に対する応答には、通常、腫瘍に対する体の拒絶反応を補助するT細胞の使用が関与しない。コンジュゲートを用いたワクチン接種の結果としての完全な腫瘍拒絶反応の確率は可能性が低いと考えられるが、そのような処置により、免疫サーベイランスが高められ、新しい腫瘍コロニーの再発が低下し得る。(Dennis, J.、Oxford Glycosystems Glyconews Second、1992年;Lloyd, K. O.、Specific Immunotherapy of Cancer with Vaccines、1993年、New York Academy of Sciences、50〜58頁)。ToyokuniおよびSinghalは、測定可能なIgG力価を刺激する合成糖コンジュゲートについて記載しており、(Toyokuni, T.ら、J. Am. Chem. Soc.、1994年、116巻、395頁)、IgG応答は一般にヘルパーT細胞の関与を伴うので、これは有意な結果である。
【0096】
合成Globo Hワクチンと免疫学的アジュバントの組合せにより、前立腺がん患者と転移性乳がん患者のどちらにおいても、主にIgM抗体、およびより少ない程度にIgG抗体が誘導されることが示された。第I相臨床試験において、ワクチンはまた、ワクチン接種部位における一過性の局部的な皮膚反応の最小の毒性を示した。(Gilewski Tら(2001年)Proc Natl Acad Sci USA 98巻:3270〜3275頁;Ragupathi Gら(1997年)Angew Chem Int Ed 36巻:125〜128頁;Slovin S Fら(1997年)Proc Natl Acad Sci USA 96巻:5710〜5715頁)。患者の一部において観察された軽度のインフルエンザ様症状は、おそらく、QS−21の副作用に関連付けられる。マレイミド修飾担体タンパク質KLHとコンジュゲートした5種の前立腺および乳がん関連炭水化物抗原であるGlobo−H、GM2、STn、TFおよびTnを含有する五価ワクチンにより、抗Globo H血清が産生され、ELISAアッセイにおいてIgGの力価がIgMよりも高いことが報告されている。(Zhu J.ら(2009年)J. Am. Chem. Soc. 131巻(26号):9298〜9303頁)。
【0097】
したがって、本開示は、Globo Hの標的となる/それによって媒介される免疫原性/治療用化合物、組成物、および/または医薬製剤組成物、ならびに、免疫療法薬、ワクチン、剤形、キット、および製造の方法、およびその取扱いを対象とする。
【0098】
「a(1つの)」または「an(1つの)」という単語の使用は、特許請求の範囲および/または本明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「one(1つの)」を意味し得るが、「1つまたは複数の(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」、および「1つまたは1つ超の(one or more than one)」という意味とも一致する。
【0099】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、例えば、測定デバイス、値を決定するために用いられる方法に固有の誤差の変動、または試験対象の中に存在する変動を含むことを示すために使用される。一般には、用語は、状況に応じておよそまたは1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%未満の変動性を包含することを意味する。
【0100】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、別段の指定のない限り、置換されていても置換されていなくてもよい1〜20個の炭素原子を含有する、例えば、C1〜C8またはC1〜C4の直鎖状または分枝の一価炭化水素を指す。アルキルの例としては、これだけに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0101】
特許請求の範囲における「または(or)」という用語の使用は、択一選択のみを指すまたは択一選択が相互排他的であることが明示されていなければ、「および/または」を意味するために使用されるが、択一選択と「および/または」とを指すに過ぎないとする定義を本開示は支持する。
【0102】
本明細書および請求項(複数可)で使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの、含む(including)の任意の形態)または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、包括的またはオープンエンドであり、追加的な必要でない要素または方法のステップを排除するものではない。本明細書において考察されている任意の実施形態は本発明の任意の方法または組成物に関して実行することができ、逆もまた同じであることが企図されている。さらに、本発明の組成物を使用して本発明の方法を実現することができる。
【0103】
「処置すること(Treating)」または「処置すること(treating)」とは、本明細書では、障害、障害の症状、障害に続発する病態、または障害に対する素因を治癒する、緩和する、軽減する、矯正する、防止する、または好転させる目的で、対象に治療用組成物を投与することとみなされる。
【0104】
「有効量」とは、処置される対象において、本明細書に詳述されている医学的に望ましい結果を生じさせることができる、治療用組成物の量である。医学的に望ましい結果は、客観的(すなわち、いくつかの検査またはマーカーによって測定可能である)、または主観的(すなわち、対象が効果の兆候を示すまたは効果を感じる)であってもよい。
【0105】
「治療用組成物を用いた処置に適している疾患」とは、本明細書で言及される場合、本明細書に開示されている治療用組成物を投与することによって処置することができる任意の手技、状態、障害、不快および/または疾病を意味する。
【0106】
「増殖性障害」とは、一部の細胞型が過剰に産生され、その結果、健康悪化が生じる障害である。増殖性障害は、良性または悪性であり得る。増殖性障害としては、例えば、がんを挙げることができる。
【0107】
本明細書で使用される場合、本明細書に開示されている治療用組成物によって処置することができる「がん」とは、成長の状態が異常な細胞を含む。がん細胞は、正常な制御機構の喪失により特徴付けられ得、したがって、継続的に拡大し、隣接する組織に浸潤し、体の遠位パートに移動し、細胞が栄養分を得るための新しい血管の成長を促進することができる。本明細書で使用される場合、がんは、悪性または良性であり得る。がんは、体内の任意の組織から発生し得る。細胞が成長し増大するにしたがい、細胞は腫瘍と称される組織の塊を形成する。腫瘍という用語は、異常な成長または塊を含み得る。腫瘍は、がん性(悪性)または非がん性(良性)であり得る。がん性腫瘍は、近接する組織に浸潤し、体中に拡散(転移)し得る。しかし、良性腫瘍は、一般に、近接する組織に浸潤せず、体中に拡散しない。がんは、血液および血液形成組織のがん(白血病およびリンパ腫)と「固形」腫瘍とに分けることができる。「固形」腫瘍は、癌腫または肉腫を含み得る。
【0108】
本発明の治療用組成物によって処置することができるがんとしては、口腔および咽頭(唇、舌、唾液腺、口腔底、歯肉および他の口、上咽頭、扁桃、中咽頭、下咽頭、他の口腔/咽頭)のがん;消化器系(食道;胃;小腸;結腸および直腸;肛門、肛門管、および肛門直腸;肝臓;肝内胆管;胆嚢;他の胆管;膵臓;後腹膜;腹膜、網、および腸間膜;他の消化器)のがん;呼吸器系(鼻腔、中耳、および洞;喉頭;肺および気管支;胸膜;気管、縦隔、および他の呼吸器)のがん;中皮腫のがん;骨および関節;ならびに心臓を含めた軟部組織;黒色腫および他の非上皮性皮膚がん(skin cancer)を含めた皮膚がん(skin cancer);カポジ肉腫および乳がん;女性生殖器系(子宮頸部;子宮体;子宮、卵巣;膣;外陰部;および他の女性生殖器)のがん;男性生殖器系(前立腺;精巣;陰茎;および他の男性生殖器)のがん;泌尿器系(膀胱;腎臓および腎盤;尿管;および他の泌尿器)のがん;眼および眼窩のがん;脳および神経系(脳;および他の神経系)のがん;内分泌系(甲状腺および胸腺を含めた他の内分泌)のがん;リンパ腫(ホジキン病および非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、および白血病(リンパ球性白血病;骨髄性白血病;単球性白血病;および他の白血病)を含めた、部位によって分類されるものが挙げられる。
【0109】
本発明による治療用組成物に適した標的であり得る、組織型によって分類される他のがんとしては、これだけに限定されないが、新生物、悪性;癌腫、NOS;癌腫、未分化型、NOS;巨細胞および紡錘細胞癌;小細胞癌、NOS;乳頭癌、NOS;扁平上皮細胞癌、NOS;リンパ上皮癌;基底細胞癌、NOS;石灰化上皮腫;移行上皮癌、NOS;乳頭状移行上皮癌;腺癌、NOS;ガストリノーマ、悪性;胆管細胞癌;肝細胞癌、NOS;混合型肝癌;柱状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープ内腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌、NOS;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞腺癌;乳頭状腺癌、NOS;嫌色素性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌、NOS;顆粒細胞癌;濾胞腺癌、NOS;乳頭状濾胞状腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘膜表皮癌;嚢胞腺癌、NOS;乳頭状嚢胞腺癌、NOS;乳頭漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌、NOS;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌、NOS;小葉癌;炎症性癌;パジェット病、乳房の;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫、悪性;莢膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;男性ホルモン産生細胞腫、悪性;セルトリ細胞腫;ライディッヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫、悪性;傍神経節腫、悪性;乳房外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;グロームス血管肉腫;悪性黒色腫、NOS;無色素性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑の悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫、NOS;線維肉腫、NOS;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫、NOS;平滑筋肉腫、NOS;横紋筋肉腫、NOS;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫、NOS;混合腫瘍、悪性、NOS;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫、NOS;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫、NOS;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胎児性癌、NOS;奇形腫、悪性、NOS;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管外皮腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫、NOS;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫、NOS;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル芽細胞歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル芽細胞線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫、NOS;星状細胞腫、NOS;原形質性星状細胞腫;線維性星細胞腫;星状芽細胞腫;神経膠芽腫、NOS;乏突起膠腫、NOS;乏突起膠芽腫;原始神経外胚葉性;小脳肉腫、NOS;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫、NOS;網膜芽細胞腫、NOS;嗅神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫、悪性;悪性リンパ腫、NOS;ホジキン病、NOS;ホジキン;側肉芽腫、NOS;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性、NOS;菌状息肉腫;他の指定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病、NOS;リンパ性白血病、NOS;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病、NOS;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病、NOS;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;およびヘアリー細胞白血病が挙げられる。
【0110】
本明細書で定義される「上皮がん」とは、上皮または関連する皮膚の組織、管腔臓器、および他の器官から発生するがん(複数可)を指す。上皮がんとしては、これだけに限定されないが、乳がん、肺がん、肝がん、頬側がん、胃がん(stomach cancer)、結腸がん、鼻咽頭がん、皮膚がん(dermal cancer)、腎がん、脳腫瘍、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、腸がん、膵がん、および膀胱がんが挙げられる。
【0111】
「患者」または「対象」とは、本明細書で使用される場合、がんなどの増殖性疾患と診断されたまたはそれを有する疑いがあるまたはそれが発生している哺乳動物の対象を指す。例示的な患者は、がんなどの増殖性疾患が発生する可能性があるヒト、類人猿、イヌ、ブタ、ウシ、ネコ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類および他の哺乳動物であり得る。
【0112】
本明細書で使用される場合、「実質的に精製された」または「実質的に単離された」とは、そのネイティブな状態では通常付随する実質的に全ての他の分子から分離された状態にある分子(例えば、化合物)を指す。実質的に精製された分子は、調製物中に存在する優勢な種であることが好ましい。特に、実質的に精製された分子は、天然の混合物中に存在する他の分子(溶媒を除く)から60%超遊離、好ましくは75%遊離、より好ましくは90%遊離、最も好ましくは95%遊離している。「実質的に精製された」または「実質的に単離された」という用語は、それらの天然の状態において存在する分子または物質を含むものではない。ある特定の実施形態では、「実質的に精製された」または「実質的に単離された」という用語は、1個のKLH部分を別のKLH部分から精製する(例えば、KLH二量体部分をKLH三量体部分から実質的に精製するまたは実質的に単離する)ことを含む。別の実施形態では、「実質的に精製された」または「実質的に単離された」という用語は、1個のKLH部分を別のKLH部分から精製することは含まない(例えば、実質的に精製されたまたは実質的に単離された組成物中にKLH二量体およびKLH三量体が含まれる)が、不純物は実質的に除去される。
【0113】
「投与すること(administering)」とは、本明細書では、本発明の治療用組成物を患者に提供することとみなされる。例として、限定するものではなく、組成物の投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって実施することができる。そのような経路を1つまたは複数用いることができる。非経口投与は、例えば、ボーラス注射による、またはある期間にわたった段階的な灌流によるものであってもよい。あるいは、または同時に、投与は、経口経路によるものであってもよい。さらに、投与はまた、ボーラスの外科的沈着または医療機器の設置によるものであってもよい。
【0114】
「それを必要とする患者」とは、本明細書では、増殖性障害と診断されたまたはそれを有する疑いがある患者とみなされる。一実施形態では、患者は、がんを有する、またはそれが発生する可能性がある。
【0115】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、タンパク質担体および/またはアジュバントの補助を伴ってまたは伴わずに免疫応答を引き出すことができる任意の物質と定義される。本発明の組成物の抗原は、炭水化物、より好ましくはグリカン−抗原、最も好ましくはGlobo H部分を含むことが好ましい。
【0116】
本明細書で使用される場合、「免疫原性」という用語は、免疫原、抗原、またはワクチンの、免疫応答を刺激する能力を指す。
【0117】
本明細書で使用される場合、「免疫療法」という用語は、予防上および/または治療上の目標を実現するための免疫系の調節の概念に基づく処置戦略のアレイを指す。
【0118】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体の抗原結合性部位と接触する抗原分子のパートと定義される。
【0119】
本発明の「治療用組成物」は、「免疫原性コンジュゲート」および/または「治療用コンジュゲート」および/または「治療用抗体」を含む。治療用コンジュゲートは、少なくとも1つの担体と連結した抗原を含む。治療用コンジュゲートの連結は共有結合であることが好ましい。治療用コンジュゲートの一実施形態では、抗原はGlobo H部分などのグリカンであり、担体はKLH部分および/またはKLH部分サブユニットである。そのように、治療用コンジュゲートという用語は、1個または複数のGlobo H部分と連結した1個または複数のKLH部分サブユニットを包含する。一実施形態では、治療用コンジュゲートという用語は、約または少なくとも1、10、10
2または10
3個のGlobo H部分と連結した1個または複数のKLH部分を包含する。別の実施形態では、治療用コンジュゲートという用語は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160個、またはそれ超のGlobo H部分と連結した1個または複数のKLH部分を包含する。別の実施形態は、KLH部分サブユニットと連結したそのようなGlobo Hの単離された二量体、三量体、四量体、五量体または六量体、またはそれらの組合せを包含する。
【0120】
一実施形態では、治療用コンジュゲートは、Fucα(1→2)Galβ(1→3)GalNAcβ(1→3)Galα(1→4)Galβ(1→4)Gluβ(1−O−エチルヒドラジル−1−カルボニル−シクロヘキシル−4−(メチル−N−マレイミド)−3−(チオブチル−イミジル)−キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)であり、OBI−822とも称される。
【0121】
「治療用抗体」は、本発明の治療用コンジュゲートおよび好ましくは治療用コンジュゲートのGlobo H部分ポーションに特異的に結合する抗体(下でさらに定義される)と定義される。
【0122】
本明細書で使用される場合、「ワクチン」という用語は、抗原に関連する疾患に対する免疫を付与するために使用される治療用コンジュゲートを含有する治療用組成物を指す。がんワクチンは、体の、がん細胞などの損傷を受けたまたは異常な細胞によって生じる危険から免疫系を通じて自身を保護する天然の能力が高まるように設計される。防御免疫応答は、これだけに限定されないが、疾患の防止、疾患の発症の遅延、症状の重症度の低下、罹患率の低下、および死亡の遅延を含めた、疾患の重症度を低下させるものである。ワクチンは、体液性免疫応答(例えば、Bリンパ球による抗体の産生の刺激)と細胞性免疫応答(例えば、T−リンパ球ならびに/またはNK細胞およびマクロファージなどの他の細胞によって媒介される免疫応答)の両方を活性化することができるものであることが好ましい。酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、フローサイトメトリー、細胞増殖アッセイ、CTLアッセイ、およびADCC/CDCアッセイなどの、免疫応答を決定するための標準のアッセイが開発されてきた。
【0123】
本明細書で使用される場合、「グリカン」という用語は、多糖、またはオリゴ糖を指す。グリカンはまた、本明細書では、糖タンパク質、糖脂質、糖ペプチド、グリコプロテオーム、ペプチドグリカン、リポ多糖またはプロテオグリカンなどの糖コンジュゲートの炭水化物ポーションを指すためにも使用される。グリカンは、通常、単糖間のO−グリコシド連結のみからなる。例えば、セルロースは、β−1,4連結したD−グルコースで構成されるグリカン(またはより具体的にはグルカン)であり、キチンは、β−1,4連結したN−アセチル−D−グルコサミンで構成されるグリカンである。グリカンは、単糖残基のホモポリマーまたはヘテロポリマーであり得、また、直鎖または分枝であり得る。グリカンは、糖タンパク質およびプロテオグリカンでのように、タンパク質に付着して見いだされ得る。グリカンは、一般に、細胞の外面上に見いだされる。O連結グリカンおよびN連結グリカンは、真核生物において非常に一般的であるが、原核生物においても、あまり一般的ではないが見いだされる場合がある。N連結グリカンは、シークオン内のアスパラギンのR基窒素(N)に付着して見いだされる。シークオンは、Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr配列であり、Xはプロリン(praline)以外の任意のアミノ酸である。好ましいグリカンは、Globo H部分である。
【0124】
Globo Hは、六糖であり、種々の型のがん、特に、乳房、前立腺、膵臓、胃、卵巣、結腸、および肺のがんにおいて高度に発現する抗原性炭水化物のファミリーのメンバーである。例示的な実施形態では、ある特定の患者ではゼロ時間において抗Globo H抗体レベルは示されず、本発明の治療用組成物を用いた免疫後に、高い力価が検出された。他の例示的な実施形態では、ある特定の患者ではゼロ時間において抗Globo H抗体レベルが示され、本発明の治療用組成物を用いた免疫後に、高い力価が検出された。ある特定の実施形態では、抗Globo H抗体は、がん細胞表面上に糖脂質として、および場合によって糖タンパク質として発現する。他の実施形態では、乳がん患者の血清には、Globo Hエピトープに対する抗体が高レベルで含有されていた。ある特定の実施形態では、このエピトープはまた、免疫組織化学的試験において、モノクローナル抗体Mbr1、VK9および抗SSEA−3によっても標的とされる。正常な乳房組織、膵臓組織、小腸組織、および前立腺組織を含めたある特定の正常組織もMbr1と反応するが、これらの組織中の抗原は、主に、免疫系の利用が制限される分泌縁に局在する。
【0125】
「Globo H部分」とは、本明細書では、Globo Hまたはその断片もしくは類似体であるグリカン(すなわち、糖部分を含有する分子)であると定義される。Globo Hは、六糖エピトープ(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)、および任意選択で非糖部分を含有するグリカンである。その断片は、六糖エピトープの断片、および、該当する場合には非糖部分を含有するグリカンである。これらのオリゴ糖は、常套的な方法によって調製することができる(Huangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103巻:15〜20頁(2006年)参照)。所望であれば、これらを非糖部分に連結することができる。米国特許出願第12/485,546号は、Globo Hまたはその断片に特異的な抗体を、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、またはウマ)に上記の免疫組成物を投与し、哺乳動物からGlobo Hまたはその断片に結合する抗体を単離することによって作製する方法に関する。
【0126】
Globo Hの類似体はグリカンマイクロアレイを使用して生成することができ、それらとして、Wangら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2008年8月19日;105巻(33号):11661〜11666頁に開示されているもの、また、
図1に示されているものが挙げられる。
【0127】
Globo H類似体は、抗体VK−9、Mbr1、および抗SSEA−3に結合することが好ましい。Globo H類似体は、特定の解離定数(KD,surf)で結合することが好ましい。結合曲線を分析して表面上での解離定数(KD,surf)を生成するために、ラングミュア等温式を使用することができる。インキュベーション中の平衡条件において、反復スポットの平均蛍光(Fobs)は、以下によって説明することができる:
F
obs=F
max[P]/(K
D,surf+[P])
(式中、Fmaxは、表面上の活性な炭水化物の量の尺度である最大蛍光強度であり、[P]は、総抗体濃度であり、KD,surfは、表面炭水化物および抗体についての平衡解離定数である)。Wangらに記載の通り。一部の実施形態では、Globo H類似体の好ましい(KD,surf)は、Wangらに記載の通り、VK−9、Mbr1、および抗SSEA−3抗体に関して、少なくとも、約、または正確に0.4、0.5.、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6nMである。
【0128】
「キーホールリンペットヘモシアニン」(KLH)は、巨大なキーホールリンペットであるMegathura crenulataの血リンパ中に見いだされる、大きな、多サブユニットの、酸素を運搬する金属タンパク質である。KLHは、サブユニットからなる異種性グリコシル化タンパク質であり、凝集体での分子量が約350,000〜約390,000であり、分子量が約400kDa(例えば、KLH単量体)〜約8000kDa(例えば、KLH二十量体)である。KLHサブユニットの各ドメインは、単一の酸素分子に一緒に結合する2個の銅原子を含有する。酸素がヘモシアニンに結合すると、分子は示差的な、透明な乳白青色を呈する。ある特定の実施形態では、KLHタンパク質は、強力に免疫原性であるが、それでもヒトにおいて安全である。ある特定の実施形態では、KLHは、Megathura crenulataの血リンパから、一般には硫酸アンモニウム沈殿および透析を含み、最高純度を得るためにクロマトグラフィーによる精製を伴い得る一連のステップによって精製することができる。ある特定の実施形態では、KLH精製は、内毒素除去も含んでよいが、内毒素は抗体産生のために注射されるとアジュバントとしての機能を果たす可能性があるので、このステップは不必要であり得る。澄んだ乳白青色の高品質のKLH調製物がKLH溶解性の最良の指標であることが好ましい。ある特定の実施形態では、KLH単量体単位が集合して、総分子量が約4,000kDa〜8,000kDaの大きな多量体(十量体または二十量体)になる。「キーホールリンペットヘモシアニン部分」または「KLH部分」とは、本明細書では、KLH1(配列番号1)またはKLH2(配列番号2)タンパク質またはそれと実質的に同一のタンパク質またはそれらの混合物と定義される。実質的に同一とは、この文脈では、各KLH部分が、ネイティブな野生型KLHのものと、少なくとも、約、または正確に:100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76または75パーセント同一であるアミノ配列を有することを意味する。ある特定の実施形態では、本発明のKLHは、増強された免疫原性活性、特に増強された抗腫瘍活性を有する。ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のKLHは、分子量がおよそ400,000のインタクトな分解されていないサブユニットを含む。他の実施形態では、本発明のKLHは、高次のKLH多量体を含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、高次のKLH多量体は、およそ800万〜1000万の分子量を有し、沈降係数が約92〜107Sである。存在する高次のKLH多量体の量は、沈降−平衡および/または沈降−速度超遠心分析に基づく。他の実施形態では、本発明のKLHにより、増強された免疫原性活性、特に増強された抗腫瘍活性が実証される。増強された免疫原性活性は、これだけに限定されないが、例えば、(a)KLHを注射(アジュバントを用いない)することで、(b)KLHをアジュバントとして使用することで、(c)KLHをハプテンまたは免疫原性の弱い抗原に対する担体免疫原として使用することで、および(d)KLHを抗腫瘍剤として使用することで、見られる。本発明のKLH組成物は、これだけに限定されないが、膀胱、乳房、卵巣腫瘍などを含めた多くの腫瘍に対して増強された抗腫瘍活性を示す。ある特定の実施形態では、2個のKLH部分がKLH単量体間の共有結合性の連結によって二量体を形成し得る。理論により限定されることなく、KLH部分間の共有結合性の連結はジスルフィド結合によるものであると考えられる。ある特定の実施形態では、2個またはそれ超のKLH部分は、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体などをKLH単量体、二量体、三量体などの間の共有結合性の連結によって形成し得る。理論により限定されることなく、KLH部分間の共有結合性の連結はジスルフィド結合によるものであると考えられる。
【0130】
直接コンジュゲーションおよび4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)などの二官能性リンカー基を用いたコンジュゲーションを含めた、KLH部分と抗原を連結するための種々の方法が存在する。そのような連結技法は、米国特許第6,544,952号に開示されている。一部の実施形態では、本発明の治療用コンジュゲートを調製するために、例えば、Globo Hアリル配糖体をオゾン分解によってアルデヒドに変換し、アルデヒド基を架橋剤MMCCH上のNH基に付着させ、Globo H−MMCCHをもたらす;担体タンパク質であるKLHをチオール化に供してKLH−SHを作製する;次いで、チオール化したKLH上のスルフヒドリル基をMMCCH上のマレイミド基に付着させ、Globo H−KLHコンジュゲートを作製する。
【0131】
一実施形態では、Globo Hアリル配糖体を化学合成によって調製する。チオール化試薬である2−イミノチオランおよびcGMPグレードのKLHおよび4−(4−N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)リンカーも使用する。一部の実施形態では、以下のステップを行う:(1)Globo Hアリル配糖体をGlobo H−アルデヒドに変換するステップ;(2)Globo H−アルデヒドを個々にMMCCHとカップリングしてGlobo H−MMCCHにするステップ;(3)KLHを化学的チオール化するステップ;(4)Globo H−MMCCHとチオール化したKLHをコンジュゲーションするステップ;および(5)Globo H−KLH糖コンジュゲート(OBI−822)を精製するステップ。Globo H−KLHサブユニットコンジュゲーション経路を
図2Aに示す。
【0132】
ある特定の実施形態では、Globo H部分タンパク質とKLH部分のコンジュゲーションの間に、ある特定の実施形態におけるKLH部分タンパク質は、インタクトな分子と比較して、好ましくはGlobo H部分サブユニットの解離に起因して分子量の減少を示す。他の実施形態では、本明細書に開示されているコンジュゲーション方法により、以前には報告されていないKLHサブユニットの解離がもたらされる。いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、本発明のGlobo H部分−KLH部分サブユニットコンジュゲートのグリコシル化レベルが高いことにより、Globo H部分間に水素結合が形成されることが予想される。そのように、ある特定の実施形態では、KLH部分サブユニット間のファンデルワールス力および疎水性相互作用はGlobo H水素結合に置き換えられ、これにより、KLH部分サブユニットの分離がもたらされる。コンジュゲーション後、Globo H部分−KLH部分コンジュゲートのKLH部分サブユニットが凝集して新規の単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体またはそれらの任意の組合せが形成されることが好ましい。得られる例示的な治療用Globo H部分−KLH部分コンジュゲートは、予想外に大きなエピトープ比を有し、驚くほど、かつ予想外に優れた免疫原性の属性を有する。ある特定の実施形態では、Globo H部分とKLH1およびKLH2上のリシンをコンジュゲートする。他の実施形態では、Globo H部分とKLH1およびKLH2上のリシンをコンジュゲートしない。ある特定の実施形態では、ペプチドマッピング分析において、Globo Hとコンジュゲートしたリシン部位は変化しないことが見いだされ、これにより、Globo H−KLH糖コンジュゲート組成物の構造が独特であることが示唆される。
【0133】
一実施形態では、本発明の治療用組成物は、1個または複数のKLH部分サブユニットを含み、そのようなサブユニットの少なくとも1個が、少なくとも、約、または正確に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108,109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126,127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144,145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159または160またはそれ超のGlobo H部分と1、10、100または1000倍コンジュゲートしている。
【0134】
本発明者らは、質量分析を使用して、Globo H部分とKLHのリシン残基がコンジュゲートすることを見いだした。したがって、ある特定の実施形態では、Globo H部分をリシン残基とコンジュゲートすることが好ましい。
【0135】
一実施形態では、KLH部分サブユニット当たり、合計で、正確にまたは約145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160個の総リシン残基が存在する。別の実施形態では、KLH部分サブユニット当たり、正確にまたは約150個または156個のリシン残基が存在する。別の実施形態では、正確にまたは約60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109または110個のGlobo H部分との結合に利用可能であるまたは実際に結合する各KLH部分サブユニット上のリシンコンジュゲーション部位が存在する。別の実施形態では、そのような各KLH部分サブユニット上のリシンコンジュゲーション部位が62、66、67、68、70、72、76、86、87、88、90、92、93、100個存在する。リシンコンジュゲーション部位は、Globo H部分および/または例えばMMCCHリンカーなどのGlobo H部分へのリンカーとの結合に利用可能であるまたは実際に結合するKLH部分内のリシン残基である。
【0136】
部分サブユニット(例えば、KLH1およびKLH2またはそれらのバリアント)の混合物を含有するある特定の治療用実施形態では、利用可能なリシンの総数(両方のサブユニットについて)は、異なるサブユニット型にわたって合わせて計数され、その数は、正確に約290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309または310個であり得るかまたはそれである。そのような実施形態では、異なるサブユニット(例えば、KLH1およびKLH2またはそれらのバリアント)にわたって合わせて、正確にまたは約130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159または160カ所のリシンコンジュゲーション部位が存在するまたは存在し得る。他のそのような実施形態では、136、137、141、140、143、147または155カ所のリシンコンジュゲーション部位が存在する。
【0137】
最も好ましい実施形態では、KLH1/KLH2内の合計306個のリシン残基のうち、リシンコンジュゲーション部位が136、137、140、141、143、147または155カ所存在する。
【0138】
ある特定の実施形態では、本発明の治療用組成物は、KLH部分サブユニット−Globo H部分コンジュゲートの混合物を含有し、そのようなコンジュゲートは、単量体のままであるか、または二量体、三量体、四量体、五量体、六量体もしくはそれらの任意の組合せを形成する。別の実施形態では、本発明の治療用組成物は、単離されたKLH部分サブユニット−Globo H部分コンジュゲートの単量体、二量体、三量体または四量体またはそれらの組合せを含む。さらなる実施形態では、本発明の治療用組成物は、KLH部分サブユニット−Globo H部分コンジュゲートの二量体および三量体のみを含む。
【0139】
別の実施形態では、治療用組成物は、少なくとも2個のKLH部分サブユニットを含有し、2個のKLH部分サブユニットのそれぞれが異なるグリカンに連結している。KLH部分サブユニットと連結可能な他の腫瘍関連グリカン抗原としては、これだけに限定されないが、GM2、GD2、GD3、フコシル、GM1、sTn、シアリル−Lewis
x、Lewis
x、シアリルLewis
a、Lewis
a、sTn、TF、ポリシアル酸、Lewis
y、ムチン、T抗原などが挙げられ得る。一部の実施形態では、治療用組成物中のKLH部分サブユニットは、たった、少なくともまたは約10、20、30、40、50、60、70、80、90または100パーセントがGlobo H部分と連結し、残りの治療用組成物中のKLH部分サブユニットは他の腫瘍関連グリカン抗原と連結する。
【0140】
本明細書で使用される場合、本明細書に開示されている治療用コンジュゲートに関する「エピトープ比」とは、例えば、治療用コンジュゲート中の抗原エピトープと担体分子の関係を指す。エピトープ比は、Globo H部分とKLH部分の関係を指すことが好ましい。治療用コンジュゲートのエピトープ比は、次式=(実際のGlobo H部分の重量/Globo H部分の分子量)/(実際のKLH部分の重量/KLH部分の分子量)組合せを使用して計算されることが最も好ましい。エピトープ比は、当業者が容易に決定できる。Globo Hの重量は、例えば、パルスアンペロメトリック検出を伴う高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC−PAD)によって決定されることが好ましい。
【0141】
本発明の治療用コンジュゲートのエピトープ比は、約、少なくとも、または正確に:1、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1500、1525、1550、1575、1600、1625、1650、1675、1700、1725、1750、1775、1800、1825、1850、1875、1900、1925、1950、1975、2000、2025、2050、2075、2100、2125、2150、2175、2200、2225、2250、2275、2300、2325、2350、2375、2400、2425、2450、2475、2500、2525、2550、2575、2600、2625、2650、2675、2700、2725、2750、2775、2800、2825、2850、2875、2900、2925、2950、2975または3000であることが好ましい。
【0142】
一実施形態では、本発明の治療用組成物は、様々なエピトープ比を有する治療用コンジュゲートの混合物を含む。一実施形態では、治療用組成物中の治療用コンジュゲートのエピトープ比の範囲、平均または中央値は、約10〜約3200、約800〜約2500、約1000〜約2000、約1250〜約1750または約1400〜約1600である。別の実施形態では、治療用組成物中の治療用コンジュゲートのエピトープ比の範囲、平均または中央値は、約10〜約150、約40〜約125、約50〜約100、約62〜約87または約70〜約80である。別の実施形態では、治療用組成物中の治療用コンジュゲートのエピトープ比の範囲、平均または中央値は、約20〜約300、約80〜約250、約100〜約200、約125〜約175または約140〜約160である。別の実施形態では、治療用組成物中の治療用コンジュゲートのエピトープ比の範囲、平均または中央値は、約30〜約450、約120〜約375、約150〜約300、約185〜約260または約210〜約240である。一部の医薬組成物では、治療用コンジュゲートの少なくともまたは約30、40、50、60、70、80、90、95、98、99、または100%が単量体として、または二量体、三量体、四量体、五量体、六量体もしくはそれらの組合せとして存在する。
治療用コンジュゲートに対する抗体
【0143】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、本明細書に開示されている治療用コンジュゲートに親和性を伴って特異的に結合する単離された治療用抗体、ならびに、増殖性疾患の処置および/または診断におけるそれらの使用も包含する。
【0144】
本明細書で使用される場合、「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」(免疫グロブリン)という用語は、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体(camelised antibody)、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、所望の生物学的活性を示す抗体断片、ジスルフィド連結したFv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、細胞内抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合性断片を包含する。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち、抗原結合性部位を含有する分子を含む。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってよい。
【0145】
エピトープ、例えば、本明細書に記載の処置(複数可)において使用される治療用コンジュゲートのGlobo H部分に対する抗体の「親和性」とは、当技術分野においてよく理解されている用語であり、抗体のエピトープへの結合の程度、または強度を意味する。親和性は、これだけに限定されないが、平衡解離定数(KDまたはKd)、見かけの平衡解離定数(KD’またはKd’)、およびIC50(競合アッセイにおいて50%阻害をもたらすために必要な量)を含めた、当技術分野で公知のいくつもの様式で測定し、かつ/または表すことができる。本発明の目的に関して、親和性は、エピトープに結合する抗体の所与の集団についての平均親和性であることが理解される。本明細書において1mL当たりのIgGのmg数またはmg/mLの単位で報告されているKD’の値は、血清1mL当たりのIgのmg数を示すが、血漿を使用することもできる。抗体親和性を本明細書に記載の処置方法の投与の基礎として使用するまたは本明細書に記載の処置方法に選択する場合、抗体親和性は、処置前および/または処置中に測定することができ、得られた値は、臨床医が、ヒト患者がその処置に適する候補であるかどうかの評価に使用することができる。
【0146】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する(specifically binding)」という用語は、結合対間(例えば、抗体と抗原)の相互作用を指す。種々の例では、特異的に結合するとは、親和定数が少なくともまたは約10−6モル/リットル、約10−7モル/リットル、または約10−8モル/リットル、またはそれ未満であることによって具体化することができる。
【0147】
Globo Hに対する例示的な抗体は、血清などの所望の抗体の増加について検査を受けた免疫された対象から体液を採取することによって、および任意の従来の方法によって血液から血清を分離することによって調製することができる。
【0148】
抗体は、一般に、関連する抗原およびアジュバントを多数回注射することによって上昇する。関連する抗原を、免疫される種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニンとコンジュゲートすることが有用であり得る。
【0149】
抗原を用いて動物を免疫する方法は、当技術分野で公知である。抗原の腹腔内注射または皮下注射が、哺乳動物を免疫するための標準方法である。より詳細には、抗原を希釈し、適量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、生理的食塩水などに懸濁させることができる。所望であれば、抗原懸濁液を適量のアジュバントと混合し、次いで、対象に投与することができる。
【0150】
ある特定の実施形態では、対象を、適切な量のアジュバントと混合した抗原を数回投与することによって力価プラトーまで高めることができる。免疫のために適切な担体も使用することができる。上記の通り免疫した後、血清を所望の抗体の量の増加について方法によって検査する。
生物学的アッセイ
【0151】
一実施形態では、本発明の治療用コンジュゲートを含有する治療用組成物は、患者に投与されると、同じ実験において、投与前の同じ抗Globo H抗体価(すなわち、処置前ベースライン力価)の少なくともまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、50、100、250、500、1000、1500、2000、2500、3000、4000、または5000倍の抗Globo H抗体価を誘導することができる。ある特定の実施形態では、抗Globo H抗体はIgM抗体である。別の実施形態では、抗Globo H抗体はIgG抗体である。
【0152】
本発明の治療用組成物により、対象において体液性応答および細胞性応答の両方を誘導することができる。ある特定の実施形態では、本発明のワクチン組成物により、Globo H部分に特異的なIgG抗体およびIgM抗体の産生、ならびにB細胞およびT細胞(例えば、CD3
+T細胞、CD4
+T細胞および/またはCD8
+T細胞)の増大が誘導される。一般には、これらの免疫応答は、投与後に経時的に起こる。特定の例では、投与後に、B細胞産生が約3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、または60日目に、その後、IgG抗体およびIgM抗体の産生が約10、20、30、60、または90日目に、その後、T細胞産生が約24、30、40、50、60、90、120、150、または180日目に生じる。本発明のワクチン組成物は、少数のがん細胞の成長を防止することができる長期の免疫学的保護効果を潜在的にもたらすものであり、それにより、疾患の安定化および生存の改善を実現するために、微小残存病変に対して理想的なものである。
【0153】
「抗体依存性細胞傷害」および「ADCC」とは、非特異的な細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)によって標的細胞に結合した抗体が認識され、その後、標的細胞の溶解が引き起こされる、細胞媒介性反応を指す。一実施形態では、そのような細胞はヒト細胞である。いかなる特定の作用機構にも限定されることを望むものではないが、ADCCを媒介するこれらの細胞傷害性細胞は、一般に、Fc受容体(FcR)を発現する。ADCCを媒介する主な細胞、NK細胞は、FcγRIIIを発現し、一方、単球は、FcγRI、FcγRII、FcγRIIIおよび/またはFcγRIVを発現する。造血細胞上のFcR発現は、RavetchおよびKinet、Annu. Rev. Immunol.、9巻:457〜92頁(1991年)に要約されている。分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されているものなどのin vitro ADCCアッセイを実施することができる。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。その代わりにまたはそれに加えて、本発明の治療用コンジュゲートのADCC活性は、in vivoにおいて、例えば、Clynesら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)、95巻:652〜656頁(1998年)に開示されているものなどの動物モデルにおいて評価することができる。
【0154】
ある特定の実施形態では、医薬組成物の投与により、Globo Hに特異的に結合する抗体の生成を含めた免疫応答を生じさせることができる。ある特定の実施形態では、がん細胞の表面上に発現するGlobo Hのうちの1個または複数を標的とし、CDCおよび/またはADCCを誘発してこれらの細胞を死滅させる抗体を発生させる。ある特定の実施形態では、抗体は、主にIgG抗体を含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される免疫原性組成物は、主にIgG1、IgG2b、IgG2cおよびIgG3を誘導する。
【0155】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」とは、補体の存在下で補体活性化を開始させ、標的を溶解する治療用コンジュゲートの能力を指す。補体活性化経路は、補体系の第1の構成成分(C1q)が同族抗原と複合体を形成した分子(例えば、抗体)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santaroら、J. Immunol. Methods、202巻:163頁(1996年)に記載されているCDCアッセイを実施することができる。
【0156】
別の実施形態では、本発明の治療用コンジュゲートを含有する治療用組成物は、患者に投与されると、患者/対象において、Globo H陽性がん細胞株、例えばMCF−7細胞に特異的に結合する抗Globo H免疫血清の産生を誘導することができる。
組合せ
【0157】
治療用組成物は、他の抗がん/抗増殖性薬ならびにアジュバントおよびサイトカインまたはケモカインなどの他の免疫調節分子を含んでよい。ある特定の実施形態では、組合せは、別々の薬剤/組成物または共製剤(co−formulation)の同時投与であってよい。これらの薬剤は、別々の容器または単一の容器に一緒に入ったキットとして送達することができる。薬剤は、投与時、または、投与の、少なくとも、もしくは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24分、時間もしくは日前に組み合わせることができる。
【0158】
アジュバントは、他の薬剤の効果を改変する薬理学的または免疫学的薬剤である。アジュバントは、所与の抗原に対する免疫応答を増強する無機または有機化学物質、巨大分子またはがん細胞全体もしくはその一部であってよい。アジュバントとしては、完全フロイントアジュバントおよび不完全フロイントアジュバント、Toll様受容体分子およびその模倣物、LPS、リポタンパク質、リポペプチド、フラジェリン、二本鎖RNA、非メチル化CpGアイランド、レバミソール、カルメット−ゲラン桿菌、オクトレオチド、イソプリノシンおよびZadaxin、細菌およびウイルスによって古典的に放出される様々な形態のDNAおよびRNA、PD−1アンタゴニストならびにCTLAアンタゴニストが挙げられる。一実施形態では、アジュバントは、サポニンアジュバントである。
【0159】
ある特定の実施形態では、サポニンアジュバントは、実質的に純粋なOBI−821サポニンである。他の実施形態では、OBI−821サポニンは、その生物学的に活性な断片である。アジュバントは、OBI−821サポニンの不純な形態も包含し得る。精製OBI−821サポニンは、本明細書に記載のワクチンと共に投与した、または他の実質的に純粋なサポニンもしくは非サポニンアジュバントと混和した場合にアジュバント効果の増強を示す。
【0160】
OBI−821サポニンは、天然に存在する配糖体であり、例えば、その内容全体が参照により組み込まれる米国特許第5,057,540号および米国特許第6,524,584号に記載の通り、Quillaja saponaria Molinaの木から高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、低圧液体シリカクロマトグラフィー、および親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)によって高純度で抽出される。高圧液体クロマトグラフィー分析により、OBI−821が構造的に関連する異性体化合物の混合物であることが示される。OBI−821サポニンの種々の精製異性体化合物が同定されており、本明細書に開示されている。
【0161】
ある特定の実施形態では、OBI−821サポニンは、少なくとも1つの、以下の式Iの単離された化合物:
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R1はβ−D−アピオースまたはβ−D−キシロースであり、
R2およびR3は、独立に、H、アルキル、
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
(化合物1989の脂肪アシル部分)、または
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
(化合物1857の脂肪アシル部分)
である)
を含む。
【0162】
OBI−821サポニンはまた、式Iの単離された化合物であって、
式中、
(i)R
1がβ−D−アピオースであり、R
2が上記の1989化合物の脂肪アシル部分であり、R
3がHである(1989化合物V1A);
(ii)R
1がβ−D−アピオースであり、R
2がHであり、R
3が上記の1989化合物の脂肪アシル部分である(1989化合物V1B);
(iii)R
1がβ−D−キシロースであり、R
2が上記の1989化合物の脂肪アシル部分であり、R
3がHである(1989化合物V2A);または
(iv)R
1がβ−D−キシロースであり、R
2がHであり、R
3が上記の1989化合物の脂肪アシル部分である(1989化合物V2B)
化合物を含んでもよい。集合的に、1989化合物V1A、1989化合物V1B、1989化合物V2Aおよび1989化合物V2Bは「1989化合物混合物」と称する。
【0163】
表1は、1989化合物の官能基および1857化合物混合物中の各1857化合物のモル%の要約である。
【表1-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0164】
OBI−821サポニンは、式Iの単離された化合物であって、
式中、
(i)R
1がβ−D−アピオースであり、R
2が上記の1857化合物の脂肪アシル部分であり、R
3がHである(1857化合物V1A);
(ii)R
1がβ−D−アピオースであり、R
2がHであり、R
3が上記の1857化合物の脂肪アシル部分である(1857化合物V1B);
(iii)R
1がβ−D−キシロースであり、R
2が上記の1857化合物の脂肪アシル部分であり、R
3がHである(1857化合物V2A);または
(iv)R
1がβ−D−キシロースであり、R
2がHであり、R
3が上記の1857化合物の脂肪アシル部分である(1857化合物V2B)
化合物を含んでよい。集合的に、1857化合物V1A、1857化合物V1B、1857化合物V2Aおよび1857化合物V2Bを「1857化合物混合物」と称する。
【0165】
表2は、1857化合物の官能基および1857化合物混合物中の各1857化合物のモル%の要約である。HPLC。
【表2-1】
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【表2-2】
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【0166】
OBI−821サポニンは、以下の化合物:
(i)1857化合物V1A;
(ii)1857化合物V1B;
(iii)1857化合物V2A;
(iv)1857化合物V2B;
(v)1989化合物V1A;
(vi)1989化合物V1B;
(vii)1989化合物V2A;または
(viii)1989化合物V2B
のうちの1つまたは複数を含む。
【0167】
OBI−821サポニン中の1857化合物混合物および1989化合物混合物の百分率は、以下の範囲であってよい:
(i)OBI−821の約1モル%〜約15モル%が1857化合物混合物で構成され;
(ii)OBI−821の約85モル%〜約99モル%が1989化合物混合物で構成される。
【0168】
モル%は全て、0.1%きざみで変動し得る(例えば、約87%〜約90%、約90.5%〜約97%、約3.5%〜約11%、約10%〜約14%)。
【0169】
1989化合物混合物は、約60〜70モル%の1989化合物V1A;約1〜5モル%の1989化合物V1B;約30〜40モル%の1989化合物V2A;および約0.1〜3モル%の1989化合物V2Bを含み得る。モル%は全て、0.1きざみで変動し得る(例えば、65%、2.5%、35.6%)。
【0170】
1857化合物混合物は、約60〜70モル%の1857化合物V1A;約1〜5モル%の1857化合物V1B;約30〜40モル%の1857化合物V2A;および約0.1〜3モル%の1857化合物V2Bを含み得る。モル%は全て、0.1きざみで変動し得る(例えば、65%、2.5%、35.6%)。
【0171】
別の実施形態では、実質的に純粋なOBI−821は粗製Quillaja saponaria抽出物から精製され、前記OBI−821は、粒子サイズ5um、ポア100Å、ID 4.6mm×L 25cmの対称C18カラムで、移動相Aが0.1%トリフルオロ酢酸を伴う蒸留水であり、移動相Bが0.1%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリルである移動相、A:Bが95%:5%〜75%:25%で、11分、1ml/分の流速で含む溶出プログラムを用いた逆相HPLCで分析した場合に、溶媒ピークを除いて、クロマトグラムの全ピークの総面積の90%またはそれ超を構成する単一の優勢なピークによって特徴付けられる。
【0172】
一実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
1はβ−D−アピオースまたはβ−D−キシロースであり、
R
2およびR
3は、独立に、H、アルキル、または
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
(1857化合物の脂肪アシル部分)である)
および、薬学的に許容される担体を含む。
【0173】
ワクチンは、炭水化物抗原またはその免疫原性断片およびOBI−821サポニンを含んでよい。さらに別の実施形態では、ワクチンは、炭水化物抗原またはその免疫原性断片;担体タンパク質およびOBI−821サポニンを含む。別の実施形態では、ワクチンは、Globo H、KLH、およびOBI−821サポニンから選択される炭水化物抗原を含む。担体タンパク質の非限定的な例としては、KLHが挙げられる。
【0174】
「a−ガラクトシル−セラミド」および「a−GalCer」という用語は、その内容全体が参照により組み込まれる米国特許第8,268,969に号記載の通り、ナチュラルキラーT細胞を刺激してTヘルパー1(TH1)サイトカインとTH2サイトカインの両方を産生させる糖脂質を指す。ある特定の実施形態では、OBI−834(C34として公知)アジュバントは、以下の例示的な構造によって特徴付けられる:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0175】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、前駆細胞が別個の特殊化した細胞型になる遺伝子発現の変化に通常関与する免疫細胞分化プロセスに影響を及ぼすことによって免疫応答の強度および持続時間を調節する多数の小さな分泌タンパク質のいずれかを指す。サイトカインは、それらの推定される機能、分泌細胞、または作用の標的に基づいて、リンフォカイン、インターロイキン、およびケモカインとして多様に名付けられている。例えば、一部の一般的なインターロイキンとして、これだけに限定されないが、IL−2、IL−12、IL−18、IL−2、IFN−γ、TNF、IL−4、IL−10、IL−13、IL−21、GM−CSF、およびTGF−βが挙げられる。
【0176】
本明細書で使用される場合、「ケモカイン」という用語は、リンパ球の動員および活性化をもたらす、感染の部位で放出される種々の小さな走化性サイトカインのいずれかを指す。ケモカインは白血球を感染部位に誘引する。ケモカインは、保存されたシステイン残基を有し、それにより、ケモカインを4つの群に割り当てることが可能である。群は、代表的なケモカインと共に、C−Cケモカイン(RANTES、MCP−1、MIP−1α、およびMIP−1β)、C−X−Cケモカイン(IL−8)、Cケモカイン(リンホタクチン)、およびCXXXCケモカイン(フラクタルカイン)である。
【0177】
本発明の治療用組成物は、PD−1/PD−L1阻害剤(細胞傷害性T細胞リンパ球(CTL)免疫療法)、CTLA−4免疫療法、CDK4/6阻害剤(標的療法)、PI3K阻害剤(標的療法)、mTOR阻害剤(標的療法)、AKT阻害剤(標的療法)、Pan−Her阻害剤(標的療法)をさらに含んでよい。これらの阻害剤は、それぞれのモノクローナル抗体も生成されるように改変することができる。そのような抗体は、本発明の治療用組成物に含めることができる。
【0178】
治療用組成物は、他の抗がん/抗増殖剤または化学療法剤を含んでよい。一部の実施形態では、そのような薬剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology、V.T. DevitaおよびS. Hellman(編者)、第6版(2001年2月15日)、Lippincott Williams & Wilkins Publishersにおいて見いだされる。そのような抗がん剤としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:ホルモン治療剤(例えば、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター)、モノクローナル抗体療法、化学療法、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害性/細胞増殖抑制剤、抗新生物剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ)、細胞増殖および生存シグナル伝達経路の阻害剤、アポトーシス誘導剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤、ラパマイシン(mTOR)阻害剤の哺乳動物標的、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、インテグリン遮断薬、NSAID、PPARアゴニスト、固有の多剤耐性(MDR)の阻害剤、制吐剤、貧血の処置に有用な薬剤、好中球減少の処置に有用な薬剤、免疫増強性薬、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、新生細胞の最終分化を誘導する薬剤、γ−セレクターゼ阻害剤、がんワクチン、およびそれらの任意の組合せ。
本発明の製剤
【0179】
治療用組成物(本明細書では、医薬組成物とも称される)は、一般に、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という語は、医薬投与に適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含む。補足的な活性化合物も組成物に組み入れることができる。医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化する。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、動脈内、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜、および直腸内投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用に使用する溶液または懸濁液は、以下の構成成分を含んでよい:注射用水、生理食塩水溶液、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸、クエン酸、またはリン酸などの緩衝液、および、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの、張度を調整するための薬剤。pH値は、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調整することができる。非経口用調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回用量バイアルに封入することができる。
【0180】
注射による使用に適した医薬組成物は、滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌粉末を含む。静脈内投与に関しては、適切な担体として、生理的食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF、Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は滅菌されているべきであり、また、容易な注射可能性(syringability)が存在する限りでは流体であるべきである。組成物は、製造および保管の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の混入作用から保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および適切なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であってよい。妥当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合では必要な粒子サイズを維持することによっておよび界面活性物質を使用することによって維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって実現することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、または塩化ナトリウムが組成物に含まれることが好ましい。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0181】
滅菌注射用溶液は、必要量の活性化合物を、上に列挙されている成分の1つ、または成分の組合せを伴う適切な溶媒中に組み入れ、必要に応じて、その後、濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を塩基性分散媒および上に列挙されているものからの他の必要な成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合では、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥を含み、それにより、活性成分と、予め滅菌濾過したその溶液由来の任意の追加的な所望の成分との散剤を得る。
【0182】
一般に、経口用組成物は、不活性な希釈剤または食用担体を含む。経口治療的投与のために、活性化合物を賦形剤と組み合わせ、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物は、洗口剤として使用するために、流体担体を使用して調製することもできる。薬学的に適合する結合剤またはアジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分のいずれか、または性質が同様である化合物を含有してよい:結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどのバインダー;デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogel、もしくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香味剤などの香味剤。
【0183】
さらに、経口投与に関しては、本発明の製剤は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊促進剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤と共に従来の手段によって調製された錠剤またはカプセル剤の形態をとってよい。錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングすることができる。本発明の組成物は、例えば、ポリ−グリコール酸/乳酸(PGLA)製のマイクロスフェアまたはマイクロカプセルに導入することもできる(米国特許第5,814,344号;同第5,100,669号および同第4,849,222号;PCT公開第WO95/11010号および同第WO93/07861号参照)。経口投与用の液体調製物は、例えば、溶剤、シロップ剤、乳剤または懸濁剤の形態をとってもよく、使用する前に水または他の適切なビヒクルを用いて復元するための乾燥生成物として提供してもよい。そのような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ剤、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(emulsifying agent)(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加剤を用いて、従来の手段によって調製することができる。調製物は、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤も含有してよい。経口投与用の調製物は、活性化合物の徐放がもたらされるように適切に製剤化することができる。
【0184】
吸入による投与に関しては、化合物は、適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などのガスを含有する加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾル噴霧剤の形態で送達される。
【0185】
全身投与は、経粘膜または経皮であってもよい。経粘膜または経皮投与に関しては、関門を透過させるのに適した浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、一般に、当技術分野で公知であり、それらとしては、例えば、経粘膜投与に関しては、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、経鼻噴霧剤または坐剤を使用することによって実現することができる。経皮投与に関しては、当技術分野で一般に公知の通り、活性化合物を軟膏剤、膏薬、ゲル剤、またはクリーム剤に製剤化する。化合物は、坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を用いて)または直腸送達用の停留浣腸の形態に調製することもできる。
【0186】
実行に応じて、埋め込み物およびマイクロカプセル封入送達系を含めた徐放製剤などの、化合物を体から迅速に排除されることから保護する担体を用いて活性化合物を調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤を調製するための方法は、当業者には明らかになるであろう。材料は、商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁剤(細胞に特異的な抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されるリポソームを含む)を薬学的に許容される担体として使用することもできる。これらは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,522,811号に記載の通り、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0187】
経口用組成物または非経口用組成物は、投与しやすくし、かつ投与量を均一にするために単位投与形態に製剤化することが有利である。単位投与形態とは、本明細書で使用される場合、処置される対象に対する単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と関連して所望の治療効果がもたらされるように計算された所定の数量の活性化合物を含有する。
【0188】
本発明の免疫原性製剤は、非経口的に、すなわち、例えば、ボーラス注射、持続注入、または遺伝子銃(例えば、裸のDNAまたはRNAなどのベクターワクチンを対象に投与するため)を介した直接注射による静脈内(i.v.)、皮下(subcutaneous)(s.c.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、皮下(subdermal)(s.d.)、または皮内(i.d.)投与によって送達することができる。注射用の製剤は、防腐剤を添加した単位剤形として、例えば、アンプルまたは複数回用量容器中に入れて提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の賦形剤、懸濁剤、溶剤または乳剤などの形態をとってよく、また、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化用薬剤(formulatory agent)を含有してよい。あるいは、活性成分は、使用する前に適切なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水を用いて復元するための散剤の形態であってよい。
【0189】
本発明では、種々の粘膜のワクチン接種戦略も企図されている。
剤形
【0190】
そのような治療用組成物の毒性および治療有効性は、例えば、LD
50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED
50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準の薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD
50/ED
50比として表すことができる。高い治療指数を示す治療用組成物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を使用することもできるが、感染していない細胞に対する潜在的な損傷を最小限にし、それにより、副作用を低下させるために、そのような化合物を罹患場所部位に標的化する送達系の設計に対して注意を払うべきである。
【0191】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトにおける使用のための投与量の範囲の策定に使用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性はほとんどまたは全く伴わずに、ED
50を含む循環濃度の範囲内に入ることが好ましい。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。本開示の方法において使用される化合物のいずれに関しても、最初に細胞培養アッセイから治療有効用量を推定することができる。用量は、動物モデルにおいて、細胞培養において決定されたIC
50を含む循環血漿中濃度範囲(すなわち、症状の最大半量の阻害が実現される試験化合物の濃度)が実現されるように策定することができる。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0192】
開示された組成物では、抗原およびアジュバントの両方が免疫原性的に有効な量で存在する。特異的な抗原のそれぞれについて、免疫原性的に有効な最適量を実験により決定するべきである(所与の患者の具体的な特徴および/または処置の型を考慮する)。一般に、この量は、体重1kg当たり抗原0.01μg〜250mgの範囲にある。本発明のある特定の例示的なアジュバントに関しては、免疫原性的に有効な量は、体重1kg当たりアジュバント10〜250μgの範囲にあり得る。
【0193】
一部の実施形態では、治療有効量の治療用組成物(すなわち、有効な投与量)は、約0.001μg/kg〜約250g/kg、0.01μg/kg〜10g/kg、もしくは0.1μg/kg〜1g/kgの範囲、または、患者の体重1キログラム当たり約もしくは少なくとも0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009;0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09;0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、もしくは250グラムもしくはマイクログラム、または、本明細書において列挙されている数のいずれかの間の任意の範囲、または当業者には過度な実験を伴わずに明らかであるか理解される他の範囲であり得る。これだけに限定されないが、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の全体的な健康または年齢、および存在する他の疾患を含めたある特定の因子が、対象を有効に処置するために必要な投与量およびタイミングに影響を及ぼし得ることが当業者には理解されよう。
【0194】
他の実施形態では、治療用組成物中のGlobo−H部分の治療有効量(すなわち、有効な投与量)は、約0.001μg/kg〜約250g/kg、0.01μg/kg〜10g/kg、もしくは0.1μg/kg〜1g/kgの範囲、または、患者の体重1キログラム当たり約もしくは少なくとも0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009;0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09;0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、もしくは250グラムもしくはマイクログラム、または本明細書において列挙されている数のいずれかの間の任意の範囲、または当業者には過度な実験を伴わずに明らかであるか理解される他の範囲であり得る。これだけに限定されないが、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の全体的な健康または年齢、および存在する他の疾患を含めたある特定の因子が、対象を有効に処置するために必要な投与量およびタイミングに影響を及ぼし得ることが当業者には理解されよう。
【0195】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている治療用組成物は、少なくとも1つの治療用コンジュゲートまたは治療用抗体を含有するまたはそれを伴い、それによって、少なくとも1つの治療用コンジュゲートまたは治療用抗体のそれぞれが、用量当たり、約または少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99(それぞれ×10
−9、10
−8、10
−7、10
−7、10
−6、10
−5、10
−4、10
−3、10
−2、10
−1)モル濃度、またはそれ超の濃度の単回用量で存在する。治療用コンジュゲートは、約1〜100、2〜60、3〜50、4〜40、5〜30、6〜20、7〜15、8〜10、2〜18、3〜16、4〜14、5〜12、6〜10または7〜8μMの間、または本明細書において列挙されている数のいずれかの間の任意の範囲の濃度の単回用量で存在することが好ましい。
【0196】
一部の実施形態では、本明細書に開示されている治療用組成物は、少なくとも1つの治療用コンジュゲートまたは治療用抗体を含有するまたはそれを伴い、それによって、少なくとも1つの治療用コンジュゲートまたは治療用抗体のそれぞれが、約または少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99(それぞれ×10
−3、10
−2、10
−1、または10)マイクログラム、またはそれ超の濃度の単回用量で存在する。ある特定の実施形態では、1つの治療用コンジュゲートまたは治療用抗体が用量当たり約または少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、250マイクログラムまたはそれ超で含まれる。
【0197】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている治療用組成物を、1日、1週間、または1カ月当たり、約または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24回、またはそれ超の用量で、約または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24日、数週間、数カ月、数年、またはそれ超にわたって投与する。
【0199】
本発明の方法に従って、本明細書に記載の医薬組成物およびワクチン組成物を患者に免疫原性的に有効な用量で、好ましくは最小の毒性で投与する。「定義」という表題のセクションにおいて記載されている通り、開示されている製剤の「免疫原性的に有効な用量」または「治療有効用量」とは、処置される対象における有効な免疫応答を生じさせるために十分であり、したがって、前記対象に健康的利益をもたらすために十分である、抗原および/またはアジュバントの量を指す。
キット
【0200】
別の態様によると、当業者は1つまたは複数のキットオブパーツを構想することができ、キットオブパーツは本明細書において開示されている方法の少なくとも1つを実施するためのものであり、キットオブパーツは、1つまたは複数の治療用コンジュゲート、抗がん/抗増殖剤、アジュバント、サイトカインおよび/またはケモカインを含む。治療用組成物は、上記の方法の少なくとも1つに従って本明細書に開示されている治療用組成物を単独でまたは組み合わせて有効量で含む。上述の薬剤は、キット内で単一の容器中に入っていてもよく異なる容器中に入っていてもよい。
【0201】
所望であれば、組成物は、活性成分(すなわち、抗原および/またはスフィンゴ糖脂質(GSL)を含有するアジュバント)を含有する単位剤形を1つまたは複数含有してよいパックまたはディスペンサーデバイス中に存在してよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックホイルを含んでよい。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与の説明書が付随してよい。適合する医薬担体中に製剤化された本発明の組成物はまた、調製し、適切な容器中に入れ、示された状態の処置に関して標識することもできる。
【0202】
キットは、場合によって、生物学的事象の識別子または本開示を読めば当業者が同定可能な他の化合物も含む。キットはまた、本明細書に開示されている治療用組成物を有効量で含む少なくとも1つの組成物も含んでよい。本明細書において開示されている少なくとも1つの方法を当業者が同定可能な手順に従って実施するためのキットの治療用組成物。
【0203】
本開示は、本明細書に開示されている治療用組成物を利用して増殖性疾患を処置する方法も含む。一実施形態では、本方法は、がん、例えば乳がんの処置を含む。方法は、一般に、本明細書に開示されている治療用組成物を、それを必要とする患者に、増殖性障害を処置するために有効な量で提供することを含む。
【0204】
一部の実施形態では、本発明の治療用組成物を、それを必要とする対象(例えば、乳がんなどのがんを有する対象)に、無増悪生存または全生存を、対照プラセボ、例えば、リン酸緩衝生理食塩水プラセボと比較して、平均で約または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40日、週間、カ月、または年延長させる方法において投与する。
【0205】
一部の実施形態では、治療用組成物を、許容されない毒性または疾患の進行の非存在下で、第0〜2週、第6週、第14週、および第26週に、皮下に投与する。
【0206】
一部の実施形態では、本発明の治療用組成物を、それを必要とする対象(例えば、乳がんなどのがんを有する対象)に、対照プラセボ、例えば、リン酸緩衝生理食塩水プラセボと比較して、患者における腫瘍の体積を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40日、週間、カ月、または年の経過にわたって、平均で約または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、74、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセントまたはそれ超縮小させる方法において投与する。
【0207】
一部の実施形態では、腫瘍体積は、CTスキャン(推奨されるCTスキャンスライス厚は2.5mm〜5mmの間である)により、10mmの最小サイズで、少なくとも1つの寸法で正確に測定することができる(測定値の平面での最長の直径を記録する)。
本発明の組成物の合成方法
【0208】
本発明の治療用組成物のGlobo H六糖ポーションをアリル配糖体として化学的に合成し、次いで、KLHとのコンジュゲーションのために調製した。
【0209】
例示的な一実施形態では、Globo Hの化学合成は、以下の一般的なステップを伴う:
【化13-1】
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【化13-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0210】
KLHを、水性緩衝液中2−イミノチオランを用いて処理した。次いで、Sephadex G−15カラムのサイズ排除カラムによってチオール化したKLHを未反応の2−イミノチオランから単離した。チオール化したKLHを不活性ガス(窒素またはアルゴン)雰囲気下で保管し、すぐにGlobo H−MMCCHとのコンジュゲーションのために使用した。
【実施例】
【0211】
(実施例1)
本発明の糖コンジュゲート(Globo H−KLH)の調製
【0212】
Globo Hアリル配糖体(市販)をオゾン分解によってアルデヒドに変換した。Globo HアルデヒドをMMCCHリンカーおよびNaCNBH
3と反応させてGlobo H−MMCCHを得た。カラムを用いて混合物を精製してGlobo H−MMCCHを入手した。Globo H−MMCCH陽性の画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって確認し、次いで、まとめてプールした。KLHをチオール化緩衝液中に溶解させ、2−イミノチオランを反応物に少しずつ添加した。反応を、完了までインキュベートし、次いで、KLH−SHをカラムによって精製した。Globo H−MMCCHおよびKLH−SHを合わせた。反応を、完了まで撹拌した。次いで、Globo H−KLH糖コンジュゲートを精製して最終産物を得た。
【0213】
(実施例2)
糖コンジュゲート中のGlobo HとKLHとの重量比の分析
【0214】
調製された糖コンジュゲート中のGlobo HとKLHとの重量比を、パルスアンペロメトリック検出を伴う高性能陰イオン交換クロマトグラフィーによって確認した(HPAEC−PAD)。結果を表3に示した。
【0215】
【表3】
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【0216】
(実施例3)
糖コンジュゲート中のGlobo HとKLHとのエピトープ比の分析
【0217】
KLH二十量体(自然に凝集した形態)の分子量は、Micron 30巻(1999年)597〜623頁などの文献に記載の通り、およそ7.5MDa〜8.6MDaである。ネイティブなKLHをサイズ排除クロマトグラフィーおよび多角レーザー散乱分光法(MALS)によって確認し、分子量はおよそ8.6MDaであった(
図3参照)。
【0218】
KLHおよびGlobo H−KLH糖コンジュゲート(OBI−822、ロット番号14001)の質量分布を、多角レーザー散乱分光計(SEC−MALS)を使用してサイズ排除クロマトグラフィーによって推定し、引き出した。タンパク質含有量に基づいて分子量を計算した(ε=1.39)(
図4参照)。
図4Aでは、KLHの二十量体(n=20)および多十量体(multi−decamer)(n>20)が観察された。
図4Bには、二十量体のピーク面積が74.3%であり、多十量体が25.7%であったことが示されている。
図4Cでは、Globo H−KLH糖コンジュゲート(OBI−822)単量体〜六量体(n=1〜6)および多量体(n>7〜20)が観察された。
図4Dには、単量体〜六量体(n=1〜6)のピーク面積が主要な構成成分(>97%)であり、多量体(n>7〜20)は少量のみであった(2.2%)ことが示されている。KLHおよびOBI−822オリゴマーの質量分布分析の要約を表4に示した。
【0219】
【表4】
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【0220】
結果から、本発明の糖コンジュゲートではネイティブな凝集KLH二十量体と比較して分子量単位の質量の減少が示されることが示された。分子比は表5の通り計算した。
【0221】
【表5】
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【0222】
上記を考慮すると、本発明のある特定の糖コンジュゲート実施形態では、KLH単量体単位は、Globo Hとのコンジュゲーション後に単量体、二量体、三量体、四量体、五量体および/または六量体を形成する。
【0223】
(実施例4)
ワクチン組成物の調製およびラットにおける免疫
【0224】
実施例1において調製した糖コンジュゲート(Globo H−KLH)の種々の試料を4℃で保管し、層流フードの下でサポニンアジュバントと混合した。得られたワクチン組成物を氷上に置き、その後の免疫のために動物施設に移送した。
【0225】
表6に示されている通り、3群のLewisラットを種々のワクチン組成物を用いて免疫した。
【0226】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
0、7、14、および21日目にラットを免疫した。0、3、10、17、24、および31日目に末梢血単核細胞(PBMC)および血漿を採取した。31日目に脾臓、リンパ節、および腹膜洗浄液を回収した。
【0228】
(実施例5)
ラットにおける体液性および細胞性免疫応答の誘導に関するアッセイ
【0229】
実施例5.1:フローサイトメトリーによる免疫エフェクター細胞亜集団の分析
【0230】
末梢血単核細胞(PBMC)を動物から単離し、次いで、PBMC中の種々の免疫エフェクター細胞亜集団を、種々の細胞マーカーに対する特異的な抗体を使用したフローサイトメトリーによって同定した。免疫したラットから0、3、10、17、24、および31日目に単離したPBMCを異なる蛍光(FITC)コンジュゲート抗体で染色し、30分間氷上に置いた。インキュベーション後、細胞を洗浄緩衝液(1%ウシ血清アルブミン(Sigma)およびリン酸緩衝生理食塩水(UniRegion Biotech)中0.1%NaN
3(Sigma)で洗浄し、350gで5分間遠心分離した。FACS Canto(BD Bioscience)による蛍光の決定のために、細胞を洗浄緩衝液に再懸濁させた。BD FACSDiva(BD Bioscience)ソフトウェアを用いてデータを分析した。結果から、本発明の糖コンジュゲートによって免疫したラットでは、PBS対照群と比較してB細胞およびT細胞が有意に増大したことが示される。具体的には、最初にB細胞集団が3日目に生じ、その後、CD3T、CD4TおよびCD8T細胞が24日目に生じた。
図5A〜
図5Dを参照されたい。
【0231】
実施例5.2:ELISAによるGlobo Hに特異的な抗体の試験
【0232】
免疫したラット由来の血漿におけるGlobo Hに特異的な抗体の産生をELISAアッセイによって決定した。結果から、Globo Hに特異的なIgGの力価が免疫後10日目に上昇し始め、17日目にピークに達したことが示された。Globo Hに特異的なIgM抗体の産生に関して同様のパターンが観察された。
図6A〜
図6Bを参照されたい。PBSのみで処置したラットでは、Globo Hに特異的なIgGおよびIgM抗体の応答はなかった。
【0233】
要約すると、免疫したラットでは、B細胞産生が3日目に生じ、その後、Globo Hに対するIgMおよびIgG抗体の産生が10日目に生じ、その後、CD3T、CD4T、およびCD8T細胞が24日目に生じた。本発明の糖コンジュゲート(Globo H−KLH)は体液性応答および細胞性応答の両方を誘導するのに有効であった。
【0234】
(実施例6)
マウスにおける免疫およびELISAによる抗体検査
【0235】
糖コンジュゲート(Globo H−KLH)の種々の試料を4℃で保管し、層流フードの下でサポニンアジュバントと混合した。得られたワクチン組成物を氷上に置き、その後の免疫のために動物施設に移送した。
【0236】
およそ8週齢のBalb/cマウスにGlobo H−KLH糖コンジュゲートを種々の炭水化物:タンパク質(Globo H:KLH)比で4週間、週に1回(0、7、14、および21日目)皮下注射によって与えた。免疫前または各ワクチン接種(10、17および24日目)後0日目および3日目に血液試料を後眼窩静脈または顔面静脈を通じて抗凝固薬を用いずに採取した。次いで、試料を遠心分離して血清と赤血球を分離した。血清を採取し、−20℃で保管し、それを後でELISAによって分析した。統計分析にはマン・ホイットニーt検定を使用した。
【0237】
図7に示されている通り、本発明による糖コンジュゲート(Globo H−KLH)とサポニンアジュバントの組合せにより、動物モデルにおいて、Globo Hに特異的なIgM抗体応答がPBS対照群と比較して有意に誘導されることが実証された。具体的には、重量比が0.17:1(Globo H:KLH)である糖コンジュゲートにより、重量比が0.07:1(Globo H:KLH)である糖コンジュゲートよりも良好な抗体価が誘導された。
【0238】
要約すると、本発明によるGlobo H−KLH糖コンジュゲート(OBI−822)と適切なアジュバントの組合せにより、動物モデルにおける予想外に優れた体液性および細胞性免疫応答、特に、がん免疫療法において重要である、CTLならびにIgMおよびIgG応答を含めたB細胞およびT細胞の増大が誘導されることが実証された。
【0239】
(実施例7)
マウスにおける、異なるアジュバントを伴うGlobo H−KLHの免疫原性試験
【0240】
異なるアジュバント(OBI−821/OBI−834)と対にした場合の、本発明のGlobo H組成物のマウスにおける免疫応答を引き出す能力を実施した。C57BL/6マウスと同系の、生存可能なルイス肺癌(LL/2、ATCC CRL−1642)細胞(Eurofins Panlabs Taiwan Ltd.からの提供、0.1mL中5.0×10
6個)を16日目に実験マウスの外側の腹部領域に皮下注射した。6〜8週齢の雌C57BL/6マウスの6つの群に、Globo H−KLH(OBI−822)および異なるアジュバントを用いて皮下に免疫した。OBI−822の用量レベルは各群で等価量であった。各注射は、0.2mL/マウス(腹部の左側と右側の両方に、0.1mL/部位)で皮下投与された2.0μgのワクチン(OBI−822)および20μgのアジュバント(OBI−821/OBI−834)と同等の用量を含有した。0、5、11、19、29、34および39日目に免疫が生じ、ELISAによる比較分析のために血清を0日目(注射前)および42日目に採取した。血清学的応答をELISAによって測定して、Globo Hに対するIgMおよびIgG抗体の力価を決定した。
【0241】
図8に示されている通り、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて処置したマウスでは応答はなかった。対照的に、OBI−822+OBI821およびOBI−822+OBI−834を用いて処置したマウスは、有意なIgM抗Globo H力価で応答した(
図8A)。しかし、平均IgG力価はIgGよりも低かった(
図8B)。これにより、OBI−821アジュバントおよびOBI−834アジュバントのどちらによってもGlobo H−KLH(OBI−822)の免疫原性を誘導できることが示された。Globo H−KLHおよびアジュバントを用いたワクチン接種により、雌C57BL/6マウスにおけるIgG抗Globo H応答とIgM抗Globo H応答の両方が引き出されること実証された。
【0242】
図9に示されている通り、C57BL/6マウスの6つの群を、16、19、23、26、30、34、37、40および42日目に体重および腫瘍サイズについてモニターした。42日目に屠殺した後、腫瘍を含めた全身の写真を撮った。
図10に示されている通り、腫瘍体積(mm
3)は、長軸楕円体についての式:長さ(mm)×[幅(mm)]
2×0.5に従って推定される。化合物を用いて処置した動物における腫瘍の成長は、T/C(治療/対照)×100%として計算される。一元配置ANOVA、その後のダネット検定または対応のないスチューデントのt検定を使用して、抗腫瘍活性が実証される腫瘍の成長の有意な阻害を決定した。42日目における腫瘍阻害率は、OBI−822+OBI−821では約35%であり、OBI−822+OBI−834では約22%であった。OBI−821アジュバントおよびOBI−834アジュバントはどちらも、Globo H−KLH(OBI−822)と共に腫瘍の成長を阻害できるようであった。
【0243】
(実施例8)
KLH上のGlobo−Hコンジュゲーション部位(リシン)のLC−MS/MS分析
【0244】
4つのKLH試料においてGlobo Hコンジュゲーション部位を多数の酵素消化およびLC−MS/MSを使用して同定した。Globo HとコンジュゲートしたKLHの試料4つを、まず、4つの異なる酵素を用いて消化し、次いで、LC−MS/MSおよびMascotデータベース検索によって分析した。2つの型の誘導体:Globo H誘導体(Globo H+MMCCH)およびMMCCH誘導体(MMCCH単独)を同定した。Globo Hコンジュゲーション部位の同定に関してはGlobo H誘導体およびその中性損失形態を考慮に入れた。MMCCHコンジュゲーション部位の同定に関してはMMCCH形態およびその脱アミド形態を考慮に入れた。高品質のMS/MSスペクトルおよびMascotスコアを有するペプチドのみを考慮に入れた。Globo Hコンジュゲーション分析については、OBI−822−13001−DP(試料1)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが31個および28個観察され、OBI−822−13002−DP(試料2)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが19個および21個観察され、OBI−822−13003−DP(試料3)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが10個および11個観察され、OBI−822−13004−DS(試料4)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが18個および19個観察された。MMCCHコンジュゲーション分析については、OBI−822−13001−DP(試料1)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが155個および141個見いだされ、OBI−822−13002−DP(試料2)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが143個および137個見いだされ、OBI−822−13003−DP(試料3)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが147個および143個見いだされ、OBI−822−13004−DS(試料4)に関する2回の反復LC−MS/MS分析からはコンジュゲートしたリシンが140個および136個見いだされた。
【0245】
実施例8の材料および方法:
【0246】
略語を以下の通り列挙する:
K=リシン;LC−MS/MS=液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析;DTT=ジチオトレイトール(Dithiolthreitol);IAM=ヨードアセトアミド;ACN=アセトニトリル;FA=ギ酸;Glu−C=エンドプロテイナーゼGlu−C;ABC=炭酸水素アンモニウム;RT=室温;MW=分子量。
【0247】
4つのKLH試料、試料1〜4に対して、まず、100kDaカットオフAmicon Ultra Centrifugal Filterによって緩衝液を50mMの炭酸水素アンモニウム緩衝溶液に交換し、6Mの尿素を用いて変性させる処理を行った。次いで、試料を、10mMのDTTを用いて37℃で1時間還元し、50mMのIAMを使用して暗闇中RTで30分間アルキル化し、50mMのDTTを用いて室温で5分間クエンチした。得られたタンパク質を尿素濃度が1Mになるまで希釈し、以下のセクションに記載の通り異なる酵素を用いた溶液中消化に供した。
【0248】
異なる酵素を用いた溶液中消化は以下の消化条件を用いて実施した:(1)37℃で24時間のトリプシン消化(タンパク質:酵素=40:1)(2)37℃で24時間のGlu−C消化(タンパク質:酵素=25:1);(3)室温で24時間のキモトリプシン消化(タンパク質:酵素=25:1);(4)37℃で24時間のサーモリシン消化(タンパク質:酵素=25:1)。
【0249】
ギ酸を添加することによって消化反応を終了させ、4つの消化処理した試料の全てをLC−MS/MS分析に供した。Q Exactive質量分析計(Thermo Scientific)とUltimate 3000 RSLCシステム(Dionex)と連結して用いて試料を分析した。C18カラム(Acclaim PepMap RSLC、75μm×150mm、2μm、100Å)を使用し、表7に示されている勾配を用いてLC分離を実施した。
【0250】
【表7-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表7-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
インソースCIDを45eVに設定した。m/z 350〜2000の範囲を用いて完全MSスキャンを実施し、MSスキャンからの最も強いイオン10種をMS/MSスペクトルのために断片化に供した。Mascotデータベース検索のためにProteome Discoverer 1.4によって生のデータを処理してピーク一覧を得た。
【0252】
KLH1配列(配列番号1)およびKLH2配列(配列番号2)に対してMascotバージョン2.4.1およびThermo Proteome Discovererバージョン1.4を用いてデータベース検索を実施した。使用したパラメーターは以下の通りであった:
酵素:消化方法に応じて、トリプシン、Glu−C、キモトリプシンおよびサーモリシン;固定修飾:カルバミドメチル(C);
MMCCH誘導体(MMCCH単独)に対する変動修飾:脱アミド(NQ)、酸化(M)、dK_MMCCH−1(K)、dK_MMCCH−2(K);
Globo H誘導体(Globo H+MMCCH)に対する変動修飾:脱アミド(NQ)、酸化(M)、Globo_H_MMCCH(K)、dK_MMCCH_NL997(K)、dK_MMCCH_NL835(K)、dK_MMCCH_NL673(K)、dK_MMCCH_NL511(K)、dK_MMCCH_NL308(K);
Peptide Mass Tolerance:±10ppm;Fragment Mass Tolerance:±0.05Da;Max Missed Cleavages:5;計器の型:ESI−TRAP;Ion cut−off score:13。
【0253】
検索パラメーター中の「dK_MMCCH−1」は、352.1569DaのMW付加を伴う、MMCCHとコンジュゲートしたリシンを示す。
【0254】
検索パラメーター中の「dK_MMCCH−2」は、338.1300DaのMW付加を伴う、MMCCHとコンジュゲートしたリシンの脱アミド形態を示す。
【0255】
検索パラメーター中の「Globo_H_MMCCH(K)」は、1393.5317DaのMW付加を伴う、Globo Hとコンジュゲートしたリシンを示す。
【0256】
検索パラメーター中の「dK_MMCCH_NL997」は、396.1831DaのMW付加を伴う、Globo Hとコンジュゲートしたリシンの中性損失形態を示す。
【0257】
検索パラメーター中の「dK_MMCCH_NL835」は、558.2360DaのMW付加を伴う、Globo Hとコンジュゲートしたリシンの中性損失形態を示す。
【0258】
検索パラメーター中の「dK_MMCCH_NL673」は、720.2888DaのMW付加を伴う、Globo Hとコンジュゲートしたリシンの中性損失形態を示す。
【0259】
検索パラメーター中の「dK_MMCCH_NL511」は、882.3416DaのMW付加を伴う、Globo Hとコンジュゲートしたリシンの中性損失形態を示す。
【0260】
検索パラメーター中の「dK_MMCCH_NL308」は、1085.4210DaのMW付加を伴う、Globo Hとコンジュゲートしたリシンの中性損失形態を示す。
【0261】
「MW付加」は、インタクトなリシン残基と比較した分子量付加を意味する。
【0262】
実施例8の結果:
【0263】
LC−MS/MSに基づく技法は、タンパク質を同定し、アミノ酸修飾を特徴付けるための重要なツールとして登場した。ペプチド配列および修飾部位に関する詳細な情報は、MS/MSスペクトルが与えたフラグメントイオンの帰属によって得ることができる。Mascotは、検索エンジンであり、その確率に基づくスコア化アルゴリズムは広く認められている。この試験では、タンパク質配列決定およびGlobo HまたはMMCCHコンジュゲーション部位の同定に関する信頼度の参照としてMascotスコアを採用した。試料1〜4におけるGlobo HまたはMMCCHコンジュゲーション部位の分布を広範囲にわたって分析するために、これらの試料を、多数の酵素を用いて消化し、その後、LC−MS/MS分析を行った。
【0264】
Globo H誘導体(Globo H+MMCCH)についての予測される化学構造が
図11Aに示されており、結果において、リシンを含有するペプチドに対する1393.53Daの対応するMW付加を観察することができる。加えて、不安定な多糖はLC−MS分析におけるエレクトロスプレーイオン化の間に中性損失によって減少する傾向がある。したがって、
図11Bに示されている通り、糖コンジュゲートを形成したペプチドについては中性損失の結果生じる396.18Da、558.24Da、720.29Da、882.34Daおよび1085.42Daの分子量付加も観察することができる。全ての誘導体化形態をGlobo Hコンジュゲーション部位の同定に関して考察した。
【0265】
さらに、これらのGlobo HとコンジュゲートしたKLH試料においてMMCCH誘導体も観察される(MMCCH単独)。MMCCH誘導体およびその脱アミド形態についての予測される化学構造が
図12Aおよび
図12Bに示されており、結果において、リシンを含有するペプチドに対するそれぞれ352.16Daおよび338.13Daの対応するMW付加を観察することができる。両方の誘導体化形態をMMCCHコンジュゲーション部位の同定に関して考察した。Globo H誘導体からMMCCHへの変換は明らかではないが、試料処理の間に起こると思われる。
【0266】
前駆イオンについて±10ppmおよびフラグメントイオンについて±0.05Daの質量精度をタンパク質同定およびスペクトル解釈のための基準として使用した。Globo Hコンジュゲーション部位の同定のための変動修飾としてGlobo H誘導体ならびにその中性損失形態を選択し、MMCCHコンジュゲーション部位の同定のための変動修飾としてMMCCH誘導体ならびにその脱アミド形態を選択した。KLH1(配列番号1)およびKLH2(配列番号2)の配列に対してデータベース検索を実施した。高品質のMS/MSスペクトル(イオンスコア≧13、p<0.05)を有するペプチドのみを報告に列挙した。
【0267】
結果が再現可能であることを実証するために、
図13Aおよび
図13Bに要約されている通り、LC−MS/MS分析を2回実施し、その後、Globo Hコンジュゲーション部位の同定およびMMCCH接合部位の同定の両方について個々のMascotデータベース検索を行った。
【0268】
Globo Hコンジュゲーション部位分析では、試料1については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ31個および28個見いだされ、試料2については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ19個および21個見いだされ、試料3については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ10個および11個見いだされ、試料4については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ18個および19個見いだされた。同定の詳細は
図14〜21に列挙した。MMCCHコンジュゲーション分析では、試料1については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ155個および141個見いだされ、試料2については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ143個および137個見いだされ、試料3については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ147個および143個見いだされ、試料4については、1回目のLC−MS/MSおよび2回目のLC−MS/MSにおいてリシンがそれぞれ140個および136個見いだされた。同定の詳細は
図22〜29に列挙した。
【0269】
多数の酵素を用いた実験からのGlobo Hコンジュゲーション部位を
図30に要約し、MMCCHコンジュゲーション部位を
図31に要約した。Globo Hとコンジュゲートした試料についての全体的なコンジュゲーション部位分析結果を
図32に要約した。
【0270】
実施例8の結論:
【0271】
Globo H誘導体とコンジュゲートしたペプチドの質量分析シグナルは、中性損失形態が多数あることおよび多糖のイオン化効率が低いことに起因して、MMCCHとコンジュゲートしたペプチドの質量分析シグナルよりも低く、それにより、Globo Hコンジュゲーションの直接同定がより難しいものになっている。これが、MMCCHコンジュゲーション分析で同定されるペプチドの数がより多いことの理由である。したがって、MMCCHの結果をGlobo Hコンジュゲーションに対応するものとして使用することができる。
【0272】
コンジュゲーション部位分析により、KLH1/KLH2内の合計306個のリシン残基のうち、試料1〜4についてそれぞれ同定された155、143、147および140カ所のリシンコンジュゲーション部位があることが示唆される。反復分析では、試料1〜4についてそれぞれ141、137、143および136カ所のコンジュゲーション部位が同定された。
【0273】
(実施例9)
KLH上のGlobo−Hコンジュゲーション部位(ヒスチジン、アスパラギン、プロリン、グルタミンおよびアルギニン)のLC−MS/MS分析
【0274】
5個の残基、H、N、P、Q、R上の2つの型の誘導体:GMd(Globo H+MMCCHリンカー+リシン誘導体)およびMd(MMCCHリンカー+リシン誘導体)を調査した。
【0275】
HNPQR(GMdおよびMd)に対する修飾分析により、OBI−822−13001−DP(試料1)については、KLH1およびKLH2においてコンジュゲートしたHNPQR部位がそれぞれ6カ所および13カ所、OBI−822−13002−DP(試料2)については、KLH1およびKLH2においてコンジュゲートしたHNPQR部位がそれぞれ11カ所および10カ所、OBI−822−13003−DP(試料3)については、KLH1およびKLH2においてコンジュゲートしたHNPQR部位がそれぞれ13カ所および9カ所、OBI−822−13004−DS(試料4)については、KLH1およびKLH2においてコンジュゲートしたHNPQR部位がそれぞれ8カ所および10カ所明らかになった。
【0276】
実施例9の材料および方法:
【0277】
略語を以下の通り列挙する:
K=リシン;H=ヒスチジン;N=アスパラギン;P=プロリン;Q=グルタミン;R=アルギニン;LC−MS/MS=液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析;MW=分子量。
【0278】
KLH1配列(配列番号1)およびKLH2配列(配列番号2)に対してMascotバージョン2.4.1を用いてデータベース検索を実施した。使用したパラメーターは以下の通りであった:
酵素:消化方法に応じてトリプシン、Glu−C、キモトリプシンおよびサーモリシン;
固定修飾:カルバミドメチル(C);
変動修飾:酸化(M)、脱アミド(NQ);
1.OBI822_GMd(HKNPQR)、GMd_NL997(HKNPQR);
2.OBI822_Md(HKNPQR)、Md_脱アミド(HKNPQR);
Peptide Mass Tolerance:±10ppm;Fragment Mass Tolerance:±0.05Da;Max Missed Cleavages:5;計器の型:ESI−TRAP;Ion cut−off score:13。
【0279】
検索パラメーター中の「OBI822_GMd」は、1393.5317DaのMW付加を伴う、GMdとコンジュゲートした残基(HKNPQR)を示す。
【0280】
検索パラメーター中の「GMd_NL997」は、396.1831DaのMW付加を伴う、GMdとコンジュゲートした残基(HKNPQR)の中性損失形態を示す。
【0281】
検索パラメーター中の「OBI822_Md」は、352.1569DaのMW付加を伴う、Mdとコンジュゲートした残基(HKNPQR)を示す。
【0282】
検索パラメーター中の「Md_脱アミド」は、338.1300DaのMW付加を伴う、Mdとコンジュゲートした残基(HKNPQR)の脱アミド形態を示す。
【0283】
実施例9の結果:
【0284】
LC−MS/MSに基づく技法は、タンパク質を同定し、アミノ酸修飾を特徴付けるための重要なツールとして登場した。ペプチド配列および修飾部位に関する詳細な情報は、MS/MSスペクトルが与えたフラグメントイオンの帰属によって得ることができる。Mascotは、現在最も一般的な検索エンジンであり、広く受け入れられている確率に基づくスコア化アルゴリズムである。試料1〜4におけるリシン(K)および他の特定の残基(HNPQR)上の異なる修飾を同定するために、検索結果の全てについて、その後の手動での確認を行って高品質のMS/MSスペクトルを有するペプチドのみをスクリーニングした。
【0285】
HNPQR残基におけるGMd(Globo H+MMCCHリンカー+リシン誘導体)およびMd(MMCCHリンカー+リシン誘導体)修飾についてのMASCOT検索の間に、誤ったペプチドが同定された。帰属された修飾部位がリシン残基の近くにある場合、そのリシンが実際の修飾部位である可能性があった。これらのペプチドは同定一覧から排除した。近くにリシン残基を観察することができない場合、HNPQR上の修飾を確認することができる。
図38に示されている通り、GMd修飾部位分析により、KLH1において、試料1〜4についてそれぞれ1、2、2および3カ所のコンジュゲートしたHNPQR部位が、KLH2において、試料1〜4についてそれぞれ4、4、2および3カ所のコンジュゲートしたHNPQR部位が明らかになった。Md修飾部位分析により、KLH1において、試料1〜4についてそれぞれ5、9、11および5カ所のコンジュゲートしたHNPQR部位が、KLH2において、試料1〜4についてそれぞれ9、6、7および7カ所のコンジュゲートしたHNPQR部位が明らかになった。
【0286】
実施例9の結論:
【0287】
これらの、4つの試料の中で、特定の残基(HNPQR)に対するGMdおよびMd修飾分析により、KLH1において、試料1〜4についてそれぞれ6、11、13および8カ所のコンジュゲートしたHNPQR部位が、KLH2において、試料1〜4についてそれぞれ13、10、9および10カ所のコンジュゲートしたHNPQR部位が存在したことが示唆される。
【0288】
別段の定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語ならびに任意の頭字語は、本発明の分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等である任意の組成物、方法、キット、および情報伝達手段を使用して本発明を実施することができるが、本明細書には好ましい組成物、方法、キット、および情報伝達手段が記載されている。
【0289】
本明細書において引用されている全ての参考文献は、法律により認められる最大限まで参照により本明細書に組み込まれる。これらの参考文献についての考察は、ただ単にそれらの著者らによりなされた主張を要約するものである。いずれの参考文献(またはいずれの参考文献の一部)も、関連する先行技術であると認めるものではない。出願人らは、引用された参考文献のいずれの正確度および妥当性についても異議を申し立てる権利を留保する。
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