(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本発明は、より高いローディング能、疎水性薬剤及び親水性薬剤の双方を高いレベルで同時に隔離する容量、及びより長い放出プロファイルを有する新規かつ画期的な薬剤送達システムを提供する。これらの送達システムの一部の態様として、薬剤(例えば抗原)に共有結合でコンジュゲートした架橋された脂質二重層を有する安定化されたマルチラメラ脂質ベシクル(本明細書において二重層間架橋されたマルチラメラベシクル又はICMVという)を含む組成物が挙げられる。
上記HPV-16ペプチドがHPV-16 E6又はHPV-16 E7ペプチドであり、上記HPV-18ペプチドがHPV-18 E6又はHPV-18 E7ペプチドである、請求項17記載の組成物。
上記HPV-16 E6ペプチドがHPV-16 E6タンパク質由来であり、上記HPV-18 E6ペプチドがHPV-18 E6タンパク質由来である、請求項10〜18のいずれか1項記載の組成物。
上記HPV-16 E7ペプチドがHPV-16 E7タンパク質由来であり、上記HPV-18 E7ペプチドがHPV-18 E7タンパク質由来である、請求項10〜18のいずれか1項記載の組成物。
1種以上の第1の変異型HPVペプチド、及び1種以上の第2の変異型HPVペプチドを含む脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルを含む組成物であって、上記第1の変異型HPVペプチドの少なくとも1種が上記マルチラメラ脂質ベシクルの第1の脂質にコンジュゲートし、上記第2の変異型HPVペプチドの少なくとも1種が上記マルチラメラ脂質ベシクルの第2の脂質にコンジュゲートし、上記第1及び第2の変異型HPVペプチドが異なる、上記組成物。
上記第1及び/又は第2の変異型HPVペプチドがHPV-16 E6タンパク質、HPV-16 E7タンパク質、HPV-18 E6タンパク質、又はHPV-18 E7タンパク質由来である、請求項21記載の組成物。
上記1種以上の官能化された変異型HPVペプチドが、チオール官能化、マレイミド官能化、ヒドラジン官能化、アジド官能化、アルキン官能化、アミン官能化、カルボン酸官能化、アルケン官能化、及び/又はテトラジン官能化された変異型HPVペプチドを含む、請求項27記載の組成物。
上記マルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしていない上記1種以上の変異型HPVペプチドの少なくとも1個の分子を含む、請求項1〜32のいずれか1項記載の組成物。
上記癌抗原が、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-Xp2 (MAGE-B2)、MAGE-Xp3 (MAGE-B3)、MAGE-Xp4 (MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、MAGE-05、WT1 (ウィルムス腫瘍抗原 1)、MUC1、LMP2 (エプスタイン・バーウイルス由来潜伏膜タンパク質 2)、EGFRvIII、Her2/neu、イディオタイプ抗原、非変異型p53、NY-ESO-1、PSMA (前立腺特異的膜抗原)、GD2、CEA (癌胎児性抗原)、MelanA/MART1、Ras 変異体、gp100、変異型p53、プロテイナーゼ3 (PR1)、BCR-Abl ブレイクポイント、チロシナーゼ、サバイビン、PSA (前立腺特異的抗原)、hTERT (ヒトテロメラーゼ)、肉腫転座ブレイクポイント(sarcoma translocation breakpoints)、EphA2、PAP (前立腺酸性ホスファターゼ)、ML-IAP (アポトーシスのML-阻害剤)、AFP (αフェトタンパク質)、EpCAM (上皮細胞接着分子)、ERG (TMPRSS2 ETS 融合遺伝子)、NA17、PAX3 (ペアードボックス 3)、アンドロゲン受容体、サイクリン B1、ポリシアル酸、MYCN (N-myc)、RhoC、TRP-2 (チロシナーゼ関連タンパク質 2)、GD3、フコシルGM1、メソテリン(Mesothelin)、PSCA (前立腺幹細胞抗原)、CYP1B1 (シトクロム P450 1B1)、PLAC1 (胎盤特異的 1)、GM3、BORIS(ブラザー・オブ・ザ・レギュレーター・オブ・インプリンティッド・サイト (brother of the regulator of imprinted sites))、Tn (グリコシド結合によってセリン又はスレオニンに連結したN-アセチルガラクトサミン)、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5 (Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター 5)、SART3 (T細胞によって認識される平滑細胞癌抗原 3)、STn (シアリルTn抗原) 、炭酸脱水酵素 IX、PAX5 (ペアードボックス 5)、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK (p56型)、HMWMAA (高分子量黒色腫関連抗原)、AKAP-4 (A-キナーゼアンカータンパク質 4)、SSX2 (滑膜肉腫ブレイクポイント 2)、XAGE1 (x 抗原 1)、B7H3、レグマイン(Legumain)、Tie 2、Page4、VEGFR2 (血管内皮増殖因子受容体 2)、MAD-CT-1 (黒色腫癌精巣抗原-1)、FAP (線維芽細胞活性化タンパク質)、PDGFR-b (血小板由来増殖因子受容体-b)、MAD-CT-2 (黒色腫癌精巣抗原-2)、及びFos-関連抗原 1からなる群より選択される、請求項48記載の組成物。
上記HPVペプチドがHPV-16 E6タンパク質、HPV-16 E7タンパク質、HPV-18 E6タンパク質、又はHPV-18 E7タンパク質由来である、請求項54記載の組成物。
上記HPV-16ペプチドがHPV-16 E6又はHPV-16 E7ペプチドであり、上記HPV-18ペプチドがHPV-18 E6又はHPV-18 E7ペプチドである、請求項63記載の組成物。
上記HPV-16 E6ペプチドがHPV-16 E6タンパク質に由来し、上記HPV-18 E6ペプチドがHPV-18 E6タンパク質に由来する、請求項56〜64のいずれか1項記載の組成物。
上記HPV-16 E7ペプチドがHPV-16 E7タンパク質に由来し、上記HPV-18 E7ペプチドがHPV-18 E7タンパク質に由来する、請求項56〜64のいずれか1項記載の組成物。
上記1種以上の官能化された薬剤が、チオール官能化、マレイミド官能化、ヒドラジン官能化、アジド官能化、アルキン官能化、アミン官能化、カルボン酸官能化、アルケン官能化、及び/又はテトラジン官能化された薬剤を含む、請求項67記載の組成物。
マルチラメラ脂質ベシクル中の少なくとも2つの脂質二重層が、共有的架橋剤と反応して脂質二重層間に共有的架橋を形成する頭部基を介して互いに共有結合で架橋されている、請求項1〜73のいずれか1項記載の組成物。
上記ベシクルがジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、及びマレイミド官能化された脂質を含む、請求項1〜81のいずれか1項記載の組成物。
1)治療的有効量の請求項1〜86のいずれか1項記載の組成物、及び2)1種以上の免疫調節剤、をそれを必要とする被験体に投与することを含む方法であって、上記免疫調節剤がCT-011抗体ではない、上記方法。
1)1種以上の変異型HPVペプチドを含む脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクル、及び2)1種以上の免疫調節剤、をそれを必要とする被験体に投与することを含む方法であって、上記免疫調節剤がCT-011抗体ではない、上記方法。
上記免疫調節剤が、PD-1阻害剤、抗-CTLA-4抗体、抗-CD40抗体、シクロホスファミド (CPM)、AMD3100、抗-LAG-3/CD223抗体、抗-B7-H5抗体、抗-OX40抗体、抗-CD28抗体、抗-GITR抗体、抗-4-1BB/CD137抗体、4-1BBリガンド、抗-BTLA抗体、抗-TIM-3/HAVCR2抗体、抗-KIR抗体、抗-Flt3/CD135抗体、抗-FasL抗体、抗-CD25抗体、GM-CSF、抗-GM-CSF-受容体 (R) 抗体、IL-2、抗-IL-2-R抗体、IL-7、抗-IL-7-R抗体、IL-21、抗-IL-21-R抗体、IL-12、抗-IL-12-R抗体、IL-15、抗-IL-15-R抗体、IL-18、抗-IL-18-R抗体、抗-IDO抗体、イピリムマブ、クリゾチニブ、セリチニブ、セレコキシブ、SOCS-1阻害剤、熱ショックタンパク質 (HSP)、HSP阻害剤、及び抗-ガレクチン-1抗体からなる群より選択される、請求項89又は90記載の方法。
上記免疫調節剤が、PD-1阻害剤、抗-GITR抗体、抗-CTLA-4抗体、抗-CD40抗体、シクロホスファミド (CPM)、及びAMD3100からなる群より選択される、請求項95記載の方法。
上記癌が、子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、頭頸部癌、口腔咽頭癌、陰茎癌、膣癌、ウイルス誘発癌、膀胱癌、膵癌、肺癌、肝臓癌、卵巣癌、結腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、乳癌、前立腺癌、腎臓癌、白血病、肉腫、癌腫、基底細胞癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、多発性骨髄腫(MM)、赤白血病、腎細胞癌、肉腫、黒色腫、星細胞腫、乏突起星細胞腫、胆道癌、絨毛癌、CNS癌、喉頭癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、腺癌、巨(又は燕麦)細胞癌、扁平上皮癌、口腔癌、皮膚癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、直腸癌、呼吸器系の癌、泌尿器系の癌、消化器系の癌、骨癌、脳腫瘍、大腸癌、結合組織癌、子宮内膜癌、眼癌、胃癌、上皮内新生物、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、及び横紋筋肉腫から選択される、請求項98又は99記載の方法。
上記変異型HPVペプチドがHPV-16 E6タンパク質、HPV-16 E7タンパク質、HPV-18 E6タンパク質、又はHPV-18 E7タンパク質に由来する、請求項117記載のキット。
上記HPV-16ペプチドがHPV-16 E6又はHPV-16 E7ペプチドであり、上記HPV-18ペプチドがHPV-18 E6又はHPV-18 E7ペプチドである、請求項126記載のキット。
上記HPV-16 E6ペプチドがHPV-16 E6タンパク質に由来し、上記HPV-18 E6ペプチドがHPV-18 E6タンパク質に由来する、請求項119〜127のいずれか1項記載のキット。
上記HPV-16 E7ペプチドがHPV-16 E7タンパク質に由来し、上記HPV-18 E7ペプチドがHPV-18 E7タンパク質に由来する、請求項119〜127のいずれか1項記載のキット。
上記癌が、子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、頭頸部癌、口腔咽頭癌、陰茎癌、膣癌、ウイルス誘発癌、膀胱癌、膵癌、肺癌、肝臓癌、卵巣癌、結腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、乳癌、前立腺癌、腎臓癌、白血病、肉腫、癌腫、基底細胞癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、多発性骨髄腫(MM)、赤白血病、腎細胞癌、肉腫、黒色腫、星細胞腫、乏突起星細胞腫、胆道癌、絨毛癌、CNS癌、喉頭癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、腺癌、巨(又は燕麦)細胞癌、扁平上皮癌、口腔癌、皮膚癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、直腸癌、呼吸器系の癌、及び泌尿器系の癌から選択される、請求項130又は131記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、特に薬剤の送達において使用するための、安定化されたマルチラメラ脂質ベシクルを提供する。組換えタンパク質に基づく従来のワクチンは、生ワクチン(例えばウイルス)ベクターと関連する毒性及び抗ベクター免疫を回避するものであったが、それらの免疫原性、特にCD8
+ T-細胞(CD8T)応答は低いものであった。抗原及びアジュバント分子を含む合成粒子が開発されてサブユニットワクチンが増大したが、一般的にこれらの物質は、前臨床動物モデルにおいて、生ベクターに匹敵するCD8T細胞応答を誘発できていない。これらの従来の組成物及び方法と対照的に、本発明は、安定化されたマルチラメラベシクル、例えば薬剤が共有結合でコンジュゲートしたマルチラメラベシクル内の隣接する脂質二重層の頭部基の架橋によって形成される二重層間架橋されたマルチラメラベシクル(ICMV)を提供する。これらのベシクルは、タンパク質抗原(例えばコンジュゲートしたタンパク質抗原)及び、場合によって免疫調節分子(例えば免疫刺激分子)を含むが、リソソーム内リパーゼの存在下で急速な放出を示す。タンパク質抗原及び任意の免疫調節分子(例えば免疫刺激分子)は、ベシクルのコア内、ベシクル壁内、又はベシクルの外表面上に存在し得る。抗原単独、又はアジュバントの存在下での送達のために使用する場合、本発明のベシクルは、非常に強力なワクチン(例えば全タンパク質ワクチン)を形成し、最も強力なワクチンベクターに匹敵する内在性T細胞を誘発する。一部の実施形態において、本発明のICMVに共有結合でコンジュゲートする薬剤は、米国特許出願公開第2012/0177724号の例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義される末端にシステインを有する抗原ではない。
【0052】
ベシクルは、その脂質二重層の内部連結(例えば架橋)によって安定化される。これらのベシクルの安定化された性質、及び薬剤の共有結合によるコンジュゲーションによって、単純なリポソーム又は脂質で被覆したナノ粒子若しくはマイクロ粒子と比較して、より多量の薬剤を組み込み、そのような薬剤をより長時間保持することを可能とする。特に血清の存在下におけるこれらの持続放出速度論によって、緩徐で安定した長期の放出が望ましい薬剤、又は細胞外環境では緩徐な放出、細胞内では急速な放出が望まれる薬剤のin vivoでの送達に有用なものとなり得る。本発明は、本明細書においてより詳細に記載するように、予防薬、治療薬、及び/又は診断薬を含む数多くの様々な薬剤を含むこのようなベシクルを使用することを想定する。従って、本発明は、上記のベシクルを含む組成物、その合成方法、及びその使用方法を提供する。
【0053】
安定化されたマルチラメラ脂質ベシクル(MLV)
本発明は、互いに隣接する(又は並置された(apposed))脂質二重層を連結することによて安定化され、ベシクルに共有結合によりコンジュゲートした薬剤を(例えばベシクルコア内、ベシクル壁内、又はベシクルの外表面上に)含むMLVを提供する。一部の実施形態において、本発明は、1つの二重層の2つの単層の連結を更に含むベシクルを提供する。本明細書において使用する場合、マルチラメラベシクルは、同心円状に配置された2つ以上の脂質二重層から構成されるシェルを有するナノ-又はマイクロスフェアである。本明細書において使用する場合、隣接する又は並置された脂質二重層(又は脂質二重層表面)とは、互いに近接しているが、その他の点では別個で典型的には物理的に分離している二重層又は表面をいう。この用語は、典型的には1つの二重層の2つの単層間の関係を意味しない。
【0054】
本明細書において使用する場合、「連結」は、2つの実体(entities)が任意の生理化学的手段によって互いに安定に結合していることを意味する。共有結合的連結又は非共有結合的連結を含む当業者に公知の任意の連結を使用することができるが、共有結合的連結が好ましい。本明細書に記載する一部の重要な実施形態において、MLV中の脂質二重層(例えば隣接する又は並置された脂質二重層)間の共有結合的連結は、架橋剤及び脂質二重層の官能化された成分の使用を通して達成される。しかしながら、本発明は、共有結合的連結を含む連結が他の方法で達成できることを想定する。一例として、本発明は、相補的反応性基が隣接する二重層表面の成分上に存在し、二重層表面間の連結が架橋剤の不在下においてもこれらの基を互いに反応させることによって達成される方法を想定する。好適な相補的反応性基は当分野において公知であり、また本明細書に記載されている。
【0055】
ベシクルの内部は、典型的には水性環境であり、限定するものではないが、予防剤、治療剤又は診断剤等の薬剤を含み得る。一部の例では、ベシクルは、固形ポリマーコア(例えば合成ポリマーコア)等の固形状コアを含まない。その代わりに、上記のように、ベシクルは目的の薬剤を含む液状コアを有し得る。コアは、一部の例では、ヒドロゲルコア中に重合のためのモノマーを含み得る。ベシクルはまた、本明細書においてナノ粒子又はマイクロ粒子等の粒子とも呼ばれ得るが、そうしたナノ粒子又はマイクロ粒子は安定化されたMLVの特性、及び本発明の二重層間架橋されたマルチラメラ脂質ベシクル(ICMV)を有することが理解されるべきである。
【0056】
ベシクルは、そのコアに空隙容量(void volume)を有していても良く、及び/又はそのコア及び/若しくは隣接(又は並置する)脂質二重層間に1種以上の薬剤を含み得る。コンジュゲートした薬剤は、反応性基(例えばチオール)を介して官能化された脂質(例えばマレイミド官能化された脂質)に共有結合し得る。コンジュゲートしていない薬剤は、合成プロセス中に脂質溶液中に含まれる場合があり、このようにして(例えばカプセル化によって) 合成中にベシクル中に組み込まれる。親油性分子はまた、ベシクルが形成する際に脂質二重層中に直接組み込まれることができ、あるいは親油性尾部を有する分子はベシクル形成中に脂質二重層に固定(anchored)され得る。ベシクルは、有害な溶媒、例えば有機溶媒の不存在下で製造することができ、その結果、ベシクルは有機溶媒に影響を受け得るものを含む広範囲の薬剤をカプセル化することができる。
【0057】
ベシクル中の薬剤量は変動し得るものであり、その薬剤の性質に依存し得る。実施例に記載するように、脂質1mgあたり10〜500μgのタンパク質薬剤を本発明のベシクル中に組み込むことができる。一部の実施形態において、ベシクルは、脂質1mgあたり約10μgの薬剤、約20μgの薬剤、約50μgの薬剤、又は約100μgの薬剤、又は約150μgの薬剤、又は約200μgの薬剤、又は約250μgの薬剤、又は約300μgの薬剤、又は約325μgの薬剤、又は約350μgの薬剤、又は約375μgの薬剤、又は約400μgの薬剤、又は約500μgの薬剤を含み得る。別の実施形態において、ベシクルは、脂質1mgあたり10〜20μgのタンパク質薬剤、又は脂質1mgあたり15〜60μgのタンパク質薬剤、又は脂質1mgあたり50〜200μgのタンパク質薬剤、又は脂質1mgあたり100〜300μgのタンパク質薬剤、又は脂質1mgあたり200〜400μgのタンパク質薬剤、又は脂質1mgあたり300〜500μgのタンパク質薬剤を含み得る。一部の実施形態において、薬剤は、タンパク質抗原等のタンパク質であり得る。
【0058】
本発明のベシクルは、その保持プロファイルによって特徴付けることもできる。一部の実施形態において、ベシクルは、血清含有培地(例えば10%血清)中に置かれ、37℃で維持した場合、1週間で約25%の割合で薬剤を放出する。一部の実施形態において、ベシクルはこれらの条件下で最初の週に薬剤の約25%、約30日後に約90%までを放出する。一部の実施形態において、ベシクルは、バッファー(例えばPBS+40%ソルビトール)中、4℃で少なくとも30日間(例えば少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも150日間、少なくとも180日間、少なくとも210日間)保存した場合、その少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の薬剤を維持する。
【0059】
各ベシクル中の脂質二重層の数は変動し得るものであり、典型的な範囲は少なくとも2〜約50、又は少なくとも2〜約25、又は少なくとも2〜約15、又は少なくとも2〜約10、又は少なくとも2〜約5である。
【0060】
ベシクルの直径は変動し得る。一部の例では、ベシクルは、約100〜約500nm、例えば約125〜約300nm、例えば約150〜約300nm、例えば約175〜約275nmの範囲の直径を有する。一部の例では、直径は約150〜約250nmの範囲である。ベシクルの調製において、ベシクル間に(例えばベシクルの直径、脂質二重層の数、ロードする薬剤の量に関して)不均一性が存在することは理解されるであろう。
【0061】
本明細書において使用する場合、本発明のベシクルはリポソーム(例えば安定化されたマルチラメラリポソーム、又は以下に議論するように二重層間架橋されたマルチラメラリポソーム)ということができる。従って、用語「ベシクル」の使用は、ベシクルの供給源又は起源を意味することを意図するものではない。本発明のベシクルは、以下により詳細に議論するように、合成ベシクル(すなわちin vitroで作製される)である。
【0062】
ベシクルは単離することができ、これはそれらが合成される環境から完全に又は部分的に物理的に分離されることを意図する。一例として、薬剤(すなわち積荷(carg)又は積載物(payload))を含むベシクルは、薬剤を含まないベシクル(すなわち空のベシクル)から完全に又は部分的に分離することができ、これを「単離されたベシクル」と呼ぶことができる。分離は、重量(又は質量)、密度(浮遊密度を含む)、サイズ、色、又は当分野で公知の他の方法(例えばベシクルの積荷がそのエネルギー放出によって検出可能な場合)に基づいて行い得る。本発明のベシクルを架橋された二重層を有さない単純なリポソーム又は同一の脂質組成のMLVから分離するために、遠心分離を使用することができる。例えば、約21,000 gで約5分間の遠心分離は、ペレットとなる本発明のベシクルをこれらの他の粒子タイプから分離するために十分である。
【0063】
二重層間架橋したマルチラメラ脂質ベシクル
本発明の安定化されたMLVの例は、二重層間架橋されたマルチラメラ(脂質)ベシクル(ICMV)である。上記の安定化されたMLVのように、ICMVは、本明細書中に記載するように互いにコンジュゲートした2以上の同心円状に配置した脂質二重層からなるシェルを有するナノ又はマイクロスフェアである。ICMVを含む安定化されたマルチラメラベシクル中の脂質二重層の数は、約2〜30(例えば2〜15、5〜20、10〜30)の間で変動し得る。従って、種々の実施形態において、層の数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上であり得る。二重層は、典型的には細胞膜と類似の方法で配置した(すなわち親水性頭部が典型的には水性環境に暴露され、疎水性尾部が二重層内に埋め込まれた)親水性頭部と疎水性尾部とを有する脂質から構成される。
【0064】
ICMVは、その脂質二重層間の架橋を介して安定化し、従って「二重層間架橋した」MLVと呼ばれる。本明細書中で使用する場合、これは、ベシクルのシェル中の少なくとも2つの脂質二重層が互いに架橋していることを意味する。架橋した二重層は、典型的には互いに並置される、又は隣接するものである。シェル中の脂質二重層のほとんど又は全てが、シェル中で並置される脂質二重層に架橋され得る。脂質二重層間には1以上の架橋が存在し得る。典型的には、脂質二重層間に多くの架橋が存在するであろう。そのような架橋の配置及び位置決めは、ランダムであってもなくても良い。架橋の程度(及び従って得られるベシクルの安定性)は、ベシクルを作製するために使用される官能化された脂質(又は他の脂質二重層成分)の比率及び架橋条件(例えばベシクルと架橋剤とのインキュベーション時間等)に依存するであろう。全ての他の要因及びパラメーターが同一であれば、ベシクル中の官能化された脂質(又は他の脂質二重層成分)の比率が高くなる程、より多くの架橋が形成するであろうということは理解されるであろう。同様に、条件が架橋により好ましいものである程、達成される架橋の程度はより高くなるであろう。
【0065】
本発明の一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ1種以上の薬剤を含むマルチラメラ脂質ベシクルを含み、この1種以上の薬剤が末端にシステインを有する抗原ではなく、この1種以上の薬剤の少なくとも1分子がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしている組成物を特徴とする。用語「末端にシステインを有する抗原」とは、米国特許出願公開第2012/0177724号の例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義される末端にシステインを有する抗原をいい、この公報では、例えば末端システイン抗原は、「アミノ末端の10アミノ酸残基以内(すなわちアミノ酸位置1〜10)及び/又はカルボキシ末端の10アミノ酸残基以内(すなわちアミノ酸(n-10)〜n、ここでnは抗原中のアミノ酸残基の数を示す)に1以上のシステイン残基を含む抗原である。従って、システインは、1がアミノ末端の残基を示し、nがカルボキシ末端の残基を示す場合に、位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、n-10、n-9、n-8、n-7、n-6、n-5、n-4、n-3、n-2、n-1、及び/又はnを占め得る」と記載されている。
【0066】
一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルを含み、1種以上の薬剤を含む組成物を特徴とし、ここで1種以上の薬剤の少なくとも1種の分子がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートし、コンジュゲーションはシステインを含まない。
【0067】
一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ1種以上の薬剤を含むマルチラメラ脂質ベシクルを含み、1種以上の薬剤の少なくとも1個の分子が親油性部分で官能化された組成物を特徴とする。親油性部分で官能化された薬剤は、本明細書において更に記載される。一部の実施形態において、親油性部分にはアシル基が含まれる。薬剤が親油性部分で官能化されると、薬剤は親油性部分を使用してICMVの脂質二重層中に自身を挿入することができる。親油性部分は疎水性アンカーとして機能する。一部の実施形態において、親油性部分で官能化された薬剤は、ICMVの脂質二重層中に挿入又は埋め込まれる。一部の実施形態において、親油性部分で官能化された薬剤は、ICMVの脂質二重層中に挿入又は埋め込まれ、ICMVの脂質二重層にコンジュゲートしていない。
【0068】
他の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルを含み、1種以上の薬剤を含む組成物を特徴とし、ここで1種以上の薬剤の少なくとも1種の分子がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートし、コンジュゲーションは薬剤(例えば抗原)から10アミノ酸残基以内(9、8、7、6、5、4、3、2残基以内等)又は薬剤のアミノ及び/又はカルボキシ末端にシステインを含まない。
【0069】
マルチラメラ脂質ベシクルにコンジュゲートさせることができる薬剤の例は、本明細書において更に詳細に記載されている。一部の実施形態において、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクル中のコンジュゲートした薬剤はアジュバントである。一部の実施形態において、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクル中のコンジュゲートした薬剤はHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド)である。
【0070】
一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ2種以上の抗原、例えば少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、又は13種の異なる抗原を含むマルチラメラ脂質ベシクルを含み、抗原は末端にシステインを有する抗原ではなく、抗原の少なくとも1個の分子がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしている組成物を特徴とする。用語「末端にシステインを有する抗原」とは、米国特許出願公開第2012/0177724号の例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義される末端にシステインを有する抗原をいう。好ましくは、マルチラメラ脂質ベシクルは13種以下の異なる抗原(例えば2種以下、3種以下、4種以下、5種以下、6種以下、7種以下、8種以下、9種以下、10種以下、11種以下、12種以下、又は13種以下の異なる抗原)を含む。
【0071】
一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ2種以上の抗原(例えば少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、又は13種の異なる抗原)を含むマルチラメラ脂質ベシクルを含み、抗原の少なくとも1個の分子はマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしており、コンジュゲーションがシステインを含まない組成物を特徴とする。好ましくは、マルチラメラ脂質ベシクルは13種以下の異なる抗原(例えば2種以下、3種以下、4種以下、5種以下、6種以下、7種以下、8種以下、9種以下、10種以下、11種以下、12種以下、又は13種以下の異なる抗原)を含む。
【0072】
他の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ2種以上の抗原(例えば少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、又は13種の異なる抗原)を含むマルチラメラ脂質ベシクルを含み、抗原の少なくとも1個の分子がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしており、コンジュゲーションが、薬剤のアミノ及び/若しくはカルボキシ末端又は末端から10アミノ酸残基以内(例えば9、8、7、6、5、4、3、又は2アミノ酸残基以内)であるシステインを含まない組成物を特徴とする。
マルチラメラ脂質ベシクルにコンジュゲートさせることができる種々の抗原の例は、本明細書において更に詳細に記載されている。
【0073】
一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルを含み、1種以上の変異型ヒトパピローマウイルス(HPV)ペプチドを含む組成物であって、1種以上の変異型HPVペプチドの少なくとも1種がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしている、上記組成物を特徴とする。
【0074】
一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルを含み、1種以上の第1の変異型HPVペプチド、及び1種以上の第2の変異型HPVペプチドを含み、第1の変異型HPVペプチドの少なくとも1種がマルチラメラ脂質ベシクルの第1の脂質にコンジュゲートし、第2の変異型HPVペプチドの少なくとも1種がマルチラメラ脂質ベシクルの第2の脂質にコンジュゲートし、第1及び第2の変異型HPVペプチドが異なる、上記組成物を特徴とする。
【0075】
一部の実施形態において、本発明は、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルを含み、2種以上のHPVペプチド、例えば少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種又は13種の異なるHPVペプチド(例えば野生型及び変異型HPVペプチド)を含む組成物を特徴とする。好ましくは、マルチラメラ脂質ベシクルは、13種以下の異なるHPVペプチド(例えば2種以下、3種以下、4種以下、5種以下、6種以下、7種以下、8種以下、9種以下、10種以下、11種以下、12種以下、又は13種以下の異なるHPVペプチド)を含む。
マルチラメラ脂質ベシクルにコンジュゲートさせることができるHPVペプチドの例は、本明細書において更に詳細に記載されている。
【0076】
一部の実施形態において、本明細書に記載する組成物は更に、1種以上の免疫調節剤及び/又は1種以上のアジュバントを含み、ここで免疫調節剤はCT-011抗体ではない。
【0077】
合成方法
例示的な合成方法は以下の通りである:脂質、及び任意に他の二重層構成成分を組み合わせて均一な混合物を形成させる。これは、脂質を乾燥して脂質膜を形成させる乾燥ステップを通して行い得る。次いで、脂質を水性溶媒と組み合わせる(例えば再水和させる)。水性溶媒は、約6〜約8の範囲のpH、例えば約7のpHを有し得る。ベシクル融合物と適合性を有する緩衝液、典型的には塩濃度の低いもの(例えば10mMのビス-トリスプロパン(BTP)pH7.0緩衝液)を使用する。緩衝液の性質はインキュベーションの長さに影響し得る。例えば、HEPES等の緩衝液は、BTP等の緩衝液と比較してより長いインキュベーション時間を必要とし得る。緩衝液がHEPESの場合、インキュベーション時間は約6〜24時間、又は8〜16時間、又は10〜12時間であり得る。緩衝液がBTPの場合、インキュベーション時間は1〜4時間、又は1〜2時間等、より短いものであり得る。従って、十分なインキュベーション時間を用いることを条件として、様々な水性緩衝液を使用し得る。このステップは、ベシクル中に組み込まれる薬剤の存在も含み得る。得られるリポソームを、10000〜40000psi(例えば25000〜35000)の間の圧力下、例えばMicrofluidics LV-1で1〜4回フルイダイザーを通過させて流動化し、フルイダイザーから1〜13mL(例えば3〜4mL)を回収することができる。流動化を使用する場合、官能化されていない薬剤は得られるベシクル中にカプセル化されない。あるいはまた、マルチラメラベシクル中に融合させるために、リポソームを1種以上の2価カチオンと共にインキュベートすることができる。好適な2価カチオンとしては、Mg
2+、Ca
2+、Ba
2+、又はSr
2+が挙げられる。多価又はポリマー性カチオンもベシクルの融合のために使用することができる。ベシクルの融合は、カチオン性ベシクルと2価又はより高い価数のアニオンとの混合を介して達成することもでき;その一例は、カチオン性リポソームとDNAオリゴヌクレオチド又はDNAプラスミドとの融合であろう。これは、ソニケーション又はボルテックス等の攪拌下で実施し得る。リポソームを薬剤(例えば官能化された薬剤)の存在下で作製した場合、MLVは、そのコア内に、同心円状に配列した脂質二重層間に、及び/又は外表面上に薬剤を含み得る。本発明は、異なる薬剤を保持するリポソームを融合してそのような薬剤を含むMLVを形成することを想定する。
【0078】
得られたMLVを、次いで、薬剤の脂質へのコンジュゲーションのために好適な条件下で薬剤(例えば並行して調製する官能化された薬剤)と共にインキュベートする。コンジュゲーションは、使用するコンジュゲーション方法に依存して、室温又は高温(例えば37℃)で0.5〜48時間インキュベートすることによって実施することができる。薬剤のコンジュゲーション後、MLVを架橋剤、例えば膜透過性架橋剤、及び場合によって塩化カルシウム(CaCl
2)等の2価カチオン源(例えば全体積1mLあたり約100〜1000mLのCaCl
2、好ましくは150〜300μL/mL)と共に(例えば0.5〜6時間、好ましくは1〜2時間)インキュベートする。架橋剤の量は共に連結される反応性基の性質に依存して変動するであろう。例えば、官能化された脂質がマレイミド官能化された脂質である場合、脂質1mLあたり約10〜100μLのジチオスレイトール(DTT)(例えば20〜30μL/mL)を使用し得る。本明細書中で記載するように、架橋剤の性質は、共に連結される反応性基の性質に依存して変動するであろう。例えば、DTT又は(1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド)ブタン]等のジチオール含有架橋剤を使用してマレイミド官能化された脂質(又は他の官能化された脂質二重層成分)を含むMLVを架橋することができ、またジアジド架橋剤を使用して「クリック」ケミストリーを介してアルキン頭部基の脂質を架橋することができる。これらの様々なインキュベーションは全て、約6〜約8の範囲、又は約6.5〜約7.5、又は約7のpHの水性条件下で実施される。架橋段階は、室温(例えば20〜25℃)、または高温、例えば37℃まで若しくはより高い温度で実施することができる。
【0079】
得られた架橋されたベシクルを、次いで(例えば遠心分離又は他のペレット化手段によって)回収し、洗浄し、次いで、任意にチオール-PEGとのインキュベーションによってその最外表面又は外表面上でPEG化することができる(例えば、本明細書で使用する場合、ベシクルは「表面PEG化した」又はPEGに「表面コンジュゲート化した」ということができる)。PEGは、任意のサイズのものであって良く、限定するものではないが例えば0.1〜10kDa、0.5〜5kDa、又は1〜3kDa、例えば2kDa PEG-SHを含む。インキュベーション時間は、約10分間〜6時間(例えば1〜3時間)の範囲であって良いが、温度及び濃度等の他の条件に依存してより短いか、より長いものであっても良い。PEG化段階は、室温(例えば20〜25℃)、又は高温、例えば37℃まで若しくはより高い温度で実施することができる。次いでベシクルを(例えば遠心分離又は他のペレット化手段によって)回収し、水又は他の水性緩衝液で洗浄することができる。遠心分離は、1000〜22000×g(例えば3000〜21000×g)で約1〜30分間(例えば5〜15分間)実施することができる。
ベシクルは、0.2μmの膜を通して1〜30回(例えば5〜15回、例えば9回)押し出すことができる。
【0080】
ベシクルは、限定するものではないが、スクロース、遊離のPEG、ポリソルベート20(PS-20)、又はソルビトール(例えば1〜80%w/vソルビトール、35〜45%w/vソルビトール、40%w/vソルビトール)を含有するPBS溶液等の緩衝溶液中で4℃で保存することができ、あるいは好適な凍結保存剤の存在下で凍結乾燥して-20℃で保存することができる。好適な凍結保存剤としては、スクロースを含むもの(例えば1〜5%スクロース、好ましくは約3%のスクロース溶液)が挙げられる。
【0081】
架橋は、一方の二重層中の反応性基を隣接する二重層中の相補的反応性基とカップリングすることによって達成することができる。例えば、スクシンイミジルエステル官能化された脂質(A)頭部基及び第1級アミン含有(B)頭部基を含む融合ベシクルでは、隣接する二重層のA及びBの脂質間のin situ反応による架橋を達成できる。当業者によく知られている様々な他の相補性官能化された脂質を同様の方法で使用することができる。
【0082】
架橋剤に対する官能化された脂質(又は脂質二重層の他の官能化された成分)のモル比は条件に依存して変動し得る。一部の例では、モル比は約1〜約5の範囲であり得る。一部の実施形態において、モル比2が十分である(すなわち官能化された脂質(又は成分)対架橋剤のモル比は2:1である)。例えば、DTTに対して2:1のモル比のマレイミド官能化された脂質を使用して、ベシクルの脂質二重層を架橋することができる。インキュベーション時間は1時間〜24時間、2〜18時間、2〜12時間、又は2〜6時間の範囲であり得る。一部の例では、インキュベーション時間は約2時間であり得る。別の例では、インキュベーション時間は一晩(例えば約12時間)であり得る。
【0083】
ベシクル中の官能化された脂質のモル%は、1%〜100%、一部の例では約10%〜約60%、一部の例では約25%〜約55%の範囲であり得る。一部の例では、ベシクル中の官能化された脂質のモル%は、典型的には少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%、及び更により好ましくは少なくとも25%である。
【0084】
逆に、官能化されていない脂質は、モル%として約0%〜99%で存在し得る。より典型的には、非官能化された脂質は、モル%として約40%から75%、又は40%〜60%で存在し得る。
【0085】
一実施形態において、ベシクルは、DOPC、DOPG、及びマレイミド官能化されたDSPEを用いて合成される。これらの脂質の互いの比率は変動し得る。DOPCのモル%は1〜50%の範囲であり、DOPGのモル%は1〜50%の範囲であり、そしてマレイミド官能化された脂質のモル%は1〜80%の範囲であり得る。別の実施形態において、DOPGを用いない。本発明の一部の実施形態は、40:10:50のDOPC:DOPG:マレイミド官能化された脂質比を有するベシクルを提供する。一部の実施形態は、60:15:25のDOPC:DOPG:マレイミド官能化された脂質比を有するベシクルを提供する。一部の実施形態は、DOPG及びマレイミド官能化された脂質から構成されるベシクルを提供する。
【0086】
脂質
ベシクルは1種以上の脂質から構成される。脂質の型、数及び比率は、これらが全体で球状の二重層(すなわちベシクル)を形成するという条件で変動し得る。脂質は天然源から単離されたものであっても良く、あるいはそれらは天然源とは別に合成されたものであっても良い。
【0087】
脂質の少なくとも一種(又は一部)は、親水性部分及び疎水性部分(典型的には親水性頭部及び疎水性尾部)を有するとして定義される両親媒性脂質である。疎水性部分は典型的には疎水相中に(例えば二重層内に)配向し、親水性部分は典型的には水相に向けて(例えば二重層の外側、また恐らくは隣接して並置される二重層表面間に)配向する。親水性部分は、炭水化物、リン酸、カルボン酸、硫酸、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、及びヒドロキシ基等の極性基又は荷電した基を含み得る。疎水性部分は、限定するものではないが、長鎖飽和及び不飽和脂肪族炭化水素基、及び1以上の芳香族、環状脂肪族若しくは複素環式基によって置換された基を含む非極性の基を含み得る。
【0088】
一部の実施形態において、脂質はリン脂質である。リン脂質としては、限定するものではないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、及びホスファチジルセリンが挙げられる。他の脂質膜成分、例えばコレステロール、スフィンゴミエリン、及びカルジオリピンを使用し得ることは理解されるべきである。
【0089】
脂質はカチオン性、アニオン性、及び/又は中性(両性イオン性及び極性を含む)脂質であり得る。一部の実施形態において、脂質はアニオン性及び/又は中性(例えばアニオン性又は中性リン脂質)である。中性脂質は選択されたpHにおいて荷電していないか、又は中性の両性イオン性形態で存在する。生理的pHにおいて、そのような脂質としては、例えばジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド及びジアシルグリセロールが挙げられる。両性イオン性脂質の例としては、限定するものではないが、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、及びジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)が挙げられる。アニオン性脂質は、生理的pHにおいて負に荷電している脂質である。これらの脂質としては、限定するものではないが、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リジルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、及び他のアニオン性修飾基が結合した中性脂質が挙げられる。
【0090】
集合的に、アニオン性及び中性脂質を本明細書においては非カチオン性脂質という。このような脂質はリンを含み得るが、そのように限定されるものではない。非カチオン性脂質の例としては、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、及びコレステロールが挙げられる。
【0091】
更なるリン非含有脂質としては、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、アセチルパルミテート、グリセロールリシノレエート、ヘキサデシルステアレート、イソプロピルミリステート、両性アクリルポリマー、トリエタノールアミン-ラウリルサルフェート、アルキル-アリールサルフェートポリエトキシル化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、及びセレブロシドが挙げられる。一部の例ではリゾホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルエタノールアミン等の脂質を使用しても良い。非カチオン性脂質はまた、リン脂質又はセラミドにコンジュゲートしたPEG 2000、PEG 5000及びポリエチレングリコール(PEG-Cerという)等のポリエチレングリコールベースのポリマーを含む。
【0092】
一部の例では、検出可能な標識、例えば蛍光色素分子で修飾された形態を含む、修飾された形態の脂質を使用することができる。一部の例では、脂質は、シグナル(例えば蛍光シグナル)を発する脂質類似体である。例としては、限定するものではないが、1,1'-ジオクタデシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドトリカルボキシアニンイオダイド(DiR)及び1,1'-ジオクタデシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドジカルボキシアニン(DiD)が挙げられる。
【0093】
好ましくは、脂質は、in vivo及び/又はin vitroでのカプセル化された薬剤の放出を可能とするために生分解性である。生分解性脂質としては、限定するものではないが、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(ジオレオイルホスホコリン、DOPC)、アニオン性1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1'-rac-グリセロール)(ジオレオイルホスホグリセロール、DOPG)、及び1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ジステアロイルホスホエタノールアミン、DSPE)が挙げられる。コレステロール等の非脂質膜成分も組み込むことができる。
【0094】
官能化された脂質又は二重層成分
脂質二重層の少なくとも1種の成分が官能化されていなければならない(又は反応性でなければならない)。本明細書において使用する場合、官能化された成分は、マルチラメラベシクルの隣接する二重層を架橋するために使用することができる反応性基を含む成分である。二重層の成分を反応性基を含むように修飾することができる。
【0095】
ベシクルの合成において使用する1種以上の脂質が官能化された脂質であり得る。本明細書において使用する場合、官能化された脂質は、マルチラメラベシクルの隣接する二重層を架橋するために使用することができる反応性基を有する脂質である。一部の実施形態において、反応性基は、架橋剤(又は他の部分)と反応してそのような官能化された脂質間(従ってベシクル中の脂質二重層)の架橋を形成するものである。反応性基は、架橋剤に接触することが可能な脂質上のいずれかに位置して、隣接して並置される二重層中の別の脂質と架橋され得る。一部の実施形態において、反応性基は、例えばリン脂質等の脂質の頭部基中にある。反応性基の例はマレイミド基である。マレイミド基は、限定するものではないが、ジチオスレイトール(DTT)等のジチオール架橋剤の存在下で互いに架橋され得る。官能化された脂質の例は、本明細書においてMPBと記載する1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドフェニル)ブチルアミドである。官能化された脂質の別の例は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)2000](マレイミド-PEG 2k-PEともいう)である。官能化された脂質の別の例は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン 4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)である。
【0096】
本発明が、他の官能化された脂質、他の官能化された脂質二重層成分、他の反応性基、及び他の架橋剤の使用を想定していることは理解されるべきである。マレイミド基に加えて、反応性基の他の例として、限定するものではないが、他のチオール反応性基、アミノ基、例えば第一級及び第二級アミン、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アルキン基、アジド基、カルボニル、ハロアセチル(例えばヨードアセチル)基、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルフヒドリル基、及びピリジルジスルフィド基が挙げられる。
【0097】
官能化された脂質及び官能化されていない脂質は、Avanti Polar Lipids(Alabaster, Ala)等の多くの商業的供給源から入手可能である。
【0098】
本発明が、マルチラメラベシクル中の隣接する二重層を互いに連結するための様々な方法を想定していることは理解されるべきである。一部の例では、隣接する二重層間の連結を行うために架橋剤を使用する。しかしながら、本発明はそのように制限されるものではない。
【0099】
一例として、ベシクルはクリックケミストリーを使用して形成することができる。例示的合成方法は、以下のようにアルキン修飾脂質及びアルキン-アジド化学を使用するものである。アルキン修飾脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)等の脂質をプロピオール酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル及びEt
3NとCDCl
3中で混合することによって製造することができる。反応はNMRでモニタリングした。反応完了後、有機溶液を5% Na
2CO
3、1% HCl及び食塩水で洗浄し、Na
2SO
4下で乾燥させ、蒸発させ、そしてアルキン修飾DOPEを秤量することができる。DOPC及びアルキン-DOPEを1:1のモル比で含む脂質膜を調製し、水和させ、流体化させ、そして以前に記載されているようにMg
2+を用いて融合を誘導することができる。アルキン-官能化された脂質を有するMLVをCuSO
4、銅線、及び1,14-ジアジド-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカンと共に、室温で24時間インキュベートすることができる。粒子は遠心分離によって単離することができる。
【0100】
架橋剤
架橋剤は、互いに連結される脂質二重層間の反応性基の性質に応じて、ホモ二官能性架橋剤又はヘテロ二官能性架橋剤であり得る。用語「架橋剤(crosslinker)」及び「架橋剤(crosslinking agent)」は本明細書において互換可能に使用される。ホモ二官能性架橋剤は、2つの同一の反応性基を有する。ヘテロ二官能性架橋剤は、2つの異なる反応性基を有する。
【0101】
一例では、二重層(例えば隣接する二重層)は、同じ官能化された脂質(又は他の二重層成分)及び架橋剤(例えばホモ二官能性架橋剤)を使用して互いに架橋される。別の例では、二重層(例えば隣接する二重層)は、異なる官能化された脂質(又は他の二重層成分)及び架橋剤(例えばヘテロ二官能性架橋剤)を使用して互いに架橋される。
【0102】
様々なタイプの市販の架橋剤が、以下の基の1種以上と反応性を有する:マレイミド、第1級アミン、第2級アミン、スルフヒドリル、カルボキシル、カルボニル及び炭水化物。アミン特異的架橋剤の例は、スベリン酸ビス(スルホスクシンイミジル)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、スベリン酸ジスクシンイミジル、酒石酸ジスクシンイミジル、アジプイミド酸ジメチル二塩酸塩、ピメルイミド酸ジメチル二塩酸塩、ジメチルスベルイミデート二塩酸塩、及びエチレングリコビス-[スクシンイミジル-[スクシネート]]である。スルフヒドリル基と反応性を有する架橋剤としては、ビスマレイミドヘキサン、1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド)]ブタン、1-[p-アジドサリシルアミド]-4-[ヨードアセトアミド]ブタン、及びN-[4-(p-アジドサリシルアミド)ブチル]-3'-[2'-ピリジルジチオ]プロピオンアミドが挙げられる。炭水化物と優先的に反応する架橋剤としては、アジドベンゾイルヒドラジンが挙げられる。カルボニル基と優先的に反応する架橋剤としては、4-[p-アジドサリシルアミド]ブチルアミンが挙げられる。ジチオール架橋剤、例えばジチオールスレイトール(DTT)、1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ブタン(DPDPB)、及び一部の例ではチオール含有ポリマー、例えば(PEG)-SH2を使用してマレイミド反応性基を架橋することができる。
【0103】
DTTの構造は以下のものである。
【化1】
【0104】
DPDPBの構造は以下のものである。
【化2】
【0105】
アルキン基と反応性を有する架橋剤としては、ジアジド、例えば1,14-ジアジド-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン、及び「クリック」ケミストリーと適合する他の基が挙げられる。
【0106】
アミン及びスルフヒドリルと反応するヘテロ二官能性架橋剤としては、N-スクシンイミジル-3-[2-ピリジルジチオ]プロピオネート、スクシンイミジル[4-ヨードアセチル]アミノベンゾエート、スクシンイミジル 4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホスクシンイミジル 6-[3-[2-ピリジルジチオ]プロピオンアミド]ヘキサノエート、及びスルホスクシンイミジル 4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレートが挙げられる。カルボキシル基及びアミン基と反応するヘテロ二官能性架橋剤としては、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]-カルボジイミド塩酸塩が挙げられる。炭水化物及びスルフヒドリルと反応するヘテロ二官能性架橋剤としては、4-[N-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カルボキシルヒドラジド.2HCl、4-(4-N-マレイミドフェニル)-酪酸ヒドラジド.2HCl、及び 3-[2-ピリジルジチオ]プロピオニルヒドラジドが挙げられる。他の架橋剤は、ビス-[β-4-アジドサリシルアミド)エチル]ジスルフィド及びグルタルアルデヒドである。
【0107】
架橋剤は、MLVの1以上の二重層を通して拡散して種々の層(例えば隣接する層)間の架橋が実行できるように膜透過性(又は脂溶性)であり得る。極性の弱い/非荷電の二官能性又はヘテロ二官能性の任意の小分子、特にそのような分子が限定するものではないがマレイミド、スクシンイミドエステル、アジド、及びチオールなどの反応性基を有する場合は、有効な膜透過性架橋剤であり得る。膜透過性架橋剤の例としては、限定するものではないが、DTT及び1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ブタン(DPDPB)が挙げられる。
【0108】
薬剤のコンジュゲーション
本発明のICMVは、ベシクルの脂質にコンジュゲートした薬剤を少なくとも1分子含む。本明細書において使用する「コンジュゲートした」は、ICMVの脂質への薬剤の共有結合をいう。薬剤は、各分子種(species)上の相補的な反応性基の反応によって脂質に共有結合し得る。薬剤及び/又は脂質は、相補的な反応性基を含むように官能化させても良く、又は反応性基は薬剤又は脂質中に既に存在する基であり得る。相補的反応性基の対の例としては、限定するものではないが、チオール及びマレイミド、アミン及びカルボン酸、アジド及びアルキン、及びアルケン及びテトラジンが挙げられる。ICMVの脂質に薬剤をコンジュゲートするために使用され得る相補的反応性基の他の対は当業者に周知であり、例えば参照によりその全体を本明細書に組み入れるHermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, 3
rded. 2013 及び Sletten et al., Angew Chem Int Ed Engl. 48:6974-98, 2009を参照されたい。例えば、薬剤がチオール官能化されている場合、脂質はマレイミド官能化されていて良い;薬剤がアジド官能化されている場合、脂質はアルキン官能化されていて良い;薬剤がアミン官能化されている場合、脂質はカルボン酸官能化されていて良い;あるいは薬剤がアルケン官能化されている場合、脂質はテトラジン官能化されていて良い。例えば、薬剤はチオール基を含んでいるか、又は含むように官能化され、マレイミド基を含むように官能化された脂質との反応によって共有結合を形成し得る。あるいはまた、薬剤上の反応性基はアミン又はカルボン酸であって良く、脂質への共有結合は、脂質のアミン又はカルボン酸との反応によって形成されるアミド結合であり得る。薬剤は、ICMVの合成前に脂質にコンジュゲートさせることができ、従ってベシクル内、ベシクルの脂質二重層間にカプセル化させることができ、又はベシクルの外表面上に存在していても良い。薬剤のコンジュゲーションは、薬剤(例えば抗原)のアミノ及び/若しくはカルボキシ末端又は末端から10 (例えば9、8、7、6、5、4、3、又は2)アミノ酸残基以内にあるシステインを含むコンジュゲーションを含まない。
【0109】
薬剤を脂質にコンジュゲートするために使用される反応性基は二重層を架橋するために使用するものと同じであって良く、この場合、さらなる官能化された脂質(又は他の官能化された成分)は必要ではない。例として、ICMVがマレイミド官能化された脂質を含む場合、官能化された薬剤はチオール官能化された薬剤であり得る。あるいはまた、ベシクルを安定化させるために使用される反応性基は、薬剤を脂質にコンジュゲートするために使用されるものと異なるものであり得る。当業者は、ベシクルの脂質二重層中の官能化された脂質(又は成分)中の反応性基の性質に依存して他の修飾型の薬剤を使用しうることを認識するであろう。好適な反応性基としては、限定するものではないが、1級及び2級アミン等のアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アジド基、カルボニル、マレイミド基、ハロアセチル(例えばヨードアセチル)基、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、及びピリジルジスルフィド基が挙げられる。
【0110】
官能化された薬剤
薬剤の少なくとも1つの成分は官能化されているか、又は反応性のものでなくてはならない。一部の実施形態において、官能化された薬剤は、薬剤を脂質(例えば官能化された脂質)にコンジュゲートするために使用することができる反応性基を含む薬剤である。薬剤は、反応性基を含むように修飾することができる。一部の実施形態において、薬剤は、反応性基を含むように修飾されない(例えば修飾されていない薬剤が反応性アミン及び/又はシステイン残基を含む)。一部の実施形態において、官能化された薬剤は、米国特許出願公開第2012/0177724号の、例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義されるような末端にシステインを有する抗原ではない。一部の実施形態において、官能化された薬剤(例えば抗原)は、官能化された薬剤(例えば抗原)の内部領域に位置するシステインである内部システインを含む。官能化された薬剤(例えば抗原)の内部領域は、アミノ末端の10アミノ酸(すなわちアミノ酸位置1〜10)及びカルボキシ末端の10アミノ酸(すなわちアミノ酸(n-10)〜n、ここでnは抗原内のアミノ酸残基の数を示す)を含まない。官能化された薬剤(例えば抗原)の内部領域は、アミノ酸11からアミノ酸n-11(ここでnは抗原中のアミノ酸残基の数を示す)を含む。一部の実施形態において、官能化された薬剤は、本明細書において更に記載されるHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド)である。一部の実施形態において、官能化された薬剤は、本明細書において更に記載されるアジュバントである。
【0111】
本発明の組成物の合成において使用される1種以上の薬剤は、官能化された薬剤であり得る。一部の実施形態において、反応性基は、脂質への共有結合を形成するように反応するものである。反応性基は、脂質へのコンジュゲートを可能とする薬剤上のいずれの位置にあっても良い。反応性基の一例はチオール基である。本発明が他の官能化された薬剤及び他の反応性基の使用を想定していることは理解されるべきである。チオール基に加えて、反応性基の他の例として、限定するものではないが、他のチオール反応性基、マレイミド基、ヒドラジン基、1級及び2級アミン等のアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルデヒド基、アルキン基、アジド基、アルケン基、テトラジン基、カルボニル、ハロアセチル(例えばヨードアセチル)基、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルフヒドリル基、及びピリジルジスルフィド基が挙げられる。
【0112】
薬剤の脂質への効率的なコンジュゲーションのためには、薬剤1分子あたり平均して1〜2分子の反応性基(例えばチオール)の添加が望ましい。しかしながら、一部の薬剤では、薬剤分子あたりより多くの反応性基(例えばチオール分子)の添加がコンジュゲーションの増大をもたらし得る。従って、薬剤分子あたり2、3、4、5、又はそれ以上の反応性基(例えばチオール)の添加が本発明に包含される。
【0113】
一例として、薬剤は、チオール官能化された薬剤をマレイミド官能化された脂質と反応させることによって脂質にコンジュゲートすることができる。一部の実施形態において、チオール官能化された薬剤は、米国特許出願公開第2012/0177724号の、例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義されるような末端にシステインを有する抗原ではない。チオール官能化された薬剤は、当分野において公知の方法を使用して調製することができる、例えば2-イミノチオラン-HCl (Traut試薬)、N-スクシンイミジル S-アセチルチオアセテート塩酸塩(SATA)、又はN-スクシンイミジルS-アセチル(チオテトラエチレングリコール)であり得る。例えば、1級アミンを含む薬剤を10、20、30、40、50、60、70、80、又はそれ以上のモル当量のTraut試薬で室温で(例えば1時間)処理することによって、チオール官能化された薬剤がもたらされる。薬剤分子あたり添加したチオールが平均して1〜2分子であるのが効率的なコンジュゲーションのために望ましい。しかしながら、一部の薬剤では、薬剤分子あたりより多くのチオール分子の添加がコンジュゲーションの増加をもたらし得る。従って、薬剤分子あたり 2、3、4、5、又はそれ以上のチオール分子の添加が本発明に包含される。
【0114】
別の実施形態において、官能化した薬剤は、薬剤を親油性部分(例えばアシル炭化水素、脂肪アルコール又はそのエステル、官能化された脂質)にコンジュゲートするために使用できる反応性基を含む薬剤である。 親油性部分は、実質的に直鎖又は分岐鎖の炭化水素(例えば約5〜約50個の炭素原子)を含む分子をいう。一部の実施形態において、親油性部分は、1個以上のヘテロ原子、例えばO、N、及び/又はSを含み得る。一部の実施形態において、親油性部分は、1個以上の酸素原子を含み得る。例えば、一部の実施形態において、親油性部分は、1個以上のアシル基を含み得る。一部の実施形態において、親油性部分は、1個以上のアルコール又はエステル基を含み得る。他の実施形態において、親油性部分は、炭化水素鎖中に散在する1以上のPEG単位を含み得る。親油性部分の機能は、薬剤が、例えば好ましい疎水性相互作用を通して脂質二重層中の脂質と相互作用することによってICMVの脂質二重層中にそれ自体を挿入又は埋め込むのを助けることである。薬剤が親油性部分で官能化されると、薬剤は、親油性部分を使用してICMVの脂質二重層中に自身を挿入することができる。親油性部分は、疎水性アンカーとして機能する。一部の実施形態において、親油性部分で官能化された薬剤は、ICMVの脂質二重層中に挿入又は埋め込まれる。一部の実施形態において、親油性部分で官能化された薬剤は、ICMVの脂質二重層中に挿入又は埋め込まれ、ICMVの脂質にはコンジュゲートされない。
【0115】
薬剤を親油性部分にコンジュゲートするために、薬剤及び/又は親油性部分は相補的反応性基を含むように官能化させることができ、あるいは反応性基は薬剤又は親油性部分に既に存在する基であり得る。相補的反応性基の対の例には、限定するものではないが、チオール及びマレイミド、アミン及びカルボン酸、アジド及びアルキン、及びアルケン及びテトラジンが挙げられる。薬剤を親油性部分にコンジュゲートするために使用しうる他の相補的反応性基の対は当業者に周知であり、例えばHermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, 3
rd ed. 2013 及び Sletten et al., Angew Chem Int Ed Engl. 48:6974-98, 2009(参照によりその全体を本明細書に組み入れる)を参照されたい。例えば、薬剤がチオール官能化されている場合には、親油性部分はマレイミド官能化されたものであり得る;薬剤がアジド官能化されている場合には、親油性部分はアルキン官能化されたものであり得る;薬剤がアミン官能化されている場合には、親油性部分はカルボン酸官能化されたものであり得る;又は薬剤がアルケン官能化されている場合には、親油性部分はテトラジン官能化されたものであり得る。他の実施形態において、親油性部分中に既に存在するヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基(例えばアシル基)を使用して、官能化された薬剤に親油性部分をコンジュゲートさせることができる。
【0116】
PEG化
ICMVは更に修飾されていても良い。ICMVは、その表面上でポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートしていても良い。PEG化は、STEALTHリポソーム等の様々な薬剤の半減期を延長するために臨床的に使用されている。PEG化は、安定化されたMLVの表面上の官能化された脂質を相補的な官能化されたPEGと反応させることによって達成することができる。脂質は、好ましくはICMV合成前にはPEGにコンジュゲートされず、むしろPEGはICMV外表面の合成後にコンジュゲートされるか、又は、PEG-脂質コンジュゲートが「挿入後」プロセスによって粒子の外膜層中に導入される。
【0117】
ICMVをPEG化するために使用される反応性基は、二重層を架橋するために使用されるものと同じであっても良く、この場合、さらなる官能化された脂質(又は他の官能化された成分)は必要ではない。一例として、ICMVがマレイミド官能化された脂質を含む場合、官能化されたPEGはチオール-PEGであり得る。あるいはまた、ベシクルを安定化させるために使用される反応性基は、 外表面にPEGをコンジュゲートするために使用されるものと異なるものであり得る。当業者は、ベシクルの脂質二重層中の官能化された脂質(又は成分)中の反応性基の性質に応じて、PEGの他の修飾型を使用しうることを認識するであろう。好適な反応性基としては、限定するものではないが、1級及び2級アミン等のアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アジド基、カルボニル、マレイミド基、ハロアセチル(例えばヨードアセチル)基、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、及びピリジルジスルフィド基が挙げられる。
【0118】
特にサイズ及び表面電荷(例えば動的光散乱によって)、その外表面上の脂質の比率(例えばラメラ性(lamellarity)アッセイによって)、その中に組み込まれた薬剤量(例えばHPLCによって)を決定するために、得られた安定化ベシクルに様々な試験を実施することができる。ベシクルに実施することができる他の試験としては、共焦点顕微鏡検査及びクライオ-トンネル電子顕微鏡(TEM)が挙げられる。
【0119】
薬剤
本発明は、ICMVを含む本発明の安定化された脂質ベシクルを使用した、in vivo又はin vitroにおける薬剤の領域、組織、又は細胞への送達、一部の例では持続送達を想定する。本明細書中で使用する場合、薬剤は、被験体に利益(限定するものではないが予防的又は治療的利益を含む)をもたらすために使用することができる、又はin vivoにおける診断及び/又は検出(例えば造影)のために使用できる、又はin vitroにおける応用において使用される、任意の原子又は分子又は化合物である。
【0120】
薬剤は、本明細書に提供されるICMV等の安定化されたMLV中にカプセル化あるいはMLV上に担持(例えばコンジュゲート)され得ることを条件として、本発明の組成物(例えばICMV等の安定化MLV、及びその医薬組成物を含むその組成物)及び方法を使用して送達することができる。例えば、薬剤は、これらのベシクルの合成、及び場合によって保存プロセスに耐えることができるものでなければならない。ベシクルは、合成して、例えば好ましくはスクロースベースの賦形剤と共に凍結乾燥形態で保存し得る。薬剤は、合成中にベシクル中に組み込まれる場合には、そのような保存方法及び時間の間安定なものでなければならない。
【0121】
薬剤は、限定するものではないが、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、小分子(例えば有機又は無機の化学物質)薬剤、ウイルス様粒子、ステロイド、プロテオグリカン、脂質、炭水化物、及びそれらの類似体、誘導体、混合物、融合物、組み合わせ又はコンジュゲートであり得る。薬剤は、代謝され、従ってin vivoでその活性型(及び/又は安定型)に変換されるプロドラッグであり得る。
【0122】
薬剤は、天然のものであっても、非天然のものであっても良い。天然の薬剤としては、ベシクルが投与される被験体によって合成できるものが挙げられる。非天然のものは、植物、動物、微生物、又は他の生物によって製造されるかによらず、通常は自然界に存在しないものである。
【0123】
一つのクラスの薬剤は、ペプチドベースの薬剤、例えば(一本鎖又は複数鎖の)タンパク質及びペプチドである。例としては、抗体、単鎖抗体、抗体断片、酵素、補因子、受容体、リガンド、転写因子及び他の調節因子、一部の抗原(以下に記載する)、サイトカイン、及びケモカインが挙げられる。これらのペプチドベースの薬剤は、天然のものであってもなくても良いが、例えば遺伝子操作された細胞の使用によって、被験体内で合成することができる。
【0124】
本発明のベシクルを使用して送達できる別のクラスの薬剤としては、ペプチドベースではない薬剤が挙げられる。例としては、天然にはない化学物質、又は哺乳動物(及び特にヒト)細胞では天然に合成されない化学物質が挙げられる。
【0125】
治療又は診断目的のために現在使用されている様々な薬剤が本発明によって送達可能であり、これらの薬剤には、限定するものではないが、造影剤、免疫刺激剤及び免疫阻害剤等の免疫調節剤、抗原、アジュバント、サイトカイン、ケモカイン、抗癌剤、抗感染剤、核酸、抗体若しくはその断片、サイトカイン-抗体融合タンパク質及びFc-融合タンパク質等の融合タンパク質が含まれる。
【0126】
本発明の一部の実施形態において、 薬剤は、米国特許出願公開第2012/0177724号の例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義するような、末端にシステインを有する抗原ではない。
【0127】
造影剤(Imaging Agents)
本明細書において使用する場合、造影剤は、直接的又は間接的にシグナルを発し、それによってin vivoにおけるその検出を可能とする薬剤である。造影剤(contrast agent)及び放射活性剤等の造影剤は、核医学検査(nuclear medicine scans)及び磁気共鳴映像法 (MRI)等の医学的造影技術を使用して検出することができる。磁気共鳴映像法(MRI)のための造影剤としてはGd(DOTA)、酸化鉄又は金ナノ粒子が挙げられ;核医学のための造影剤としては
201Tl、ガンマ線放射性核種
99mTcが挙げられ;ポジトロン放出断層撮影(PET)のための造影剤としてはポジトロン放射性同位体、(18)F-フルオロデオキシグルコース((18)FDG)、(18)F-フッ素、銅-64、ガドアミド(gadoamide)、及び203 Pb 等のPb(II)の放射性同位体、及び11Inが挙げられ;in vivo蛍光イメージングのための造影剤としては蛍光色素又は蛍光コンジュゲートナノ粒子が挙げられる。他の実施形態において、送達される薬剤は、造影剤とコンジュゲートされるか、融合されるか、混合されるか、又は組み合わされる。
【0128】
免疫調節剤
本明細書において使用する場合、免疫調節剤は、単独で、若しくは別の薬剤と組み合わせて、それが投与された被験体における免疫応答を刺激する(すなわち免疫刺激剤)又は阻害する(すなわち免疫阻害剤)薬剤である。一部の実施形態において、本明細書に記載する免疫調節剤は、具体的には米国特許第8686119号、WO 2013014668号、及びWO 2009101611号に記載されたCureTechの抗-PD-1抗体CT-011を除く。
【0129】
免疫調節剤の例としては、限定するものではないが、抗-CTLA-4抗体、抗-CD40抗体、シクロホスファミド(CPM)、AMD3100、抗-LAG-3/CD223抗体、抗-B7-H5抗体、抗-OX40抗体、抗-CD28抗体、抗-GITR抗体、抗-4-1BB/CD137抗体、4-1BBリガンド、抗-BTLA抗体、抗-TIM-3/HAVCR2抗体、抗-KIR抗体、抗-Flt3/CD135抗体、抗-FasL抗体、抗-CD25抗体、GM-CSF、抗-GM-CSF-受容体(R)抗体、IL-2、抗-IL-2-R抗体、IL-7、抗-IL-7-R抗体、IL-21、抗-IL-21-R抗体、IL-12、抗-IL-12-R抗体、IL-15、抗-IL-15-R抗体、IL-18、抗-IL-18-R抗体、抗-IDO抗体、イピリムマブ、クリゾチニブ、セリチニブ、セレコキシブ、SOCS-1阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP)、HSP阻害剤、及び抗-ガレクチン-1抗体が挙げられる。一部の実施形態において、1種以上の免疫調節剤は、抗-CTLA-4抗体、抗-CD40抗体、シクロホスファミド(CPM)、及びAMD3100からなる群より選択される。
【0130】
免疫刺激剤:本明細書において使用する場合、免疫刺激剤は、単独で、若しくは別の薬剤と組み合わせて、それが投与された被験体における免疫応答を刺激する(既存の免疫応答を促進することを含む)薬剤である。例としては、抗原、アジュバント(例えばイミキモド及びレシキモド等のTLRリガンド、イミダゾキノリン類、非メチル化CpGジヌクレオチドを含む核酸、モノホスホリルリピドA(MPLA)若しくは他のリポ多糖誘導体、一本鎖若しくは二本鎖RNA、フラジェリン、ムラミルジペプチド)、インターロイキン等のサイトカイン(例えばIL-2、IL-7、IL-15(若しくはこれらのサイトカインのスーパーアゴニスト/変異型形態)、IL-12、IFN-γ、IFN-α、GM-CSF、FLT3-リガンド等)、AMD3100、免疫刺激性抗体(例えば抗-CD40抗体、抗-CTLA-4抗体、抗-CD28抗体、抗-CD3抗体、若しくはこれらの分子の単鎖/抗体断片)、及びPD-1阻害剤が挙げられる。
【0131】
用語「PD-1阻害剤」は、PD-1の分子的経路を阻害する任意の薬剤をいう。例えば、PD-1阻害剤は、 PD-1に結合してPD-1へのリガンドの結合をブロックする抗体 (例えば抗-PD-1抗体、ニボルマブ、及びペンブロリズマブ)であり得る。 PD-1阻害剤はまた、いずれもPD-1のリガンドであるPD-L1又はPD-L2に結合してそのPD-1への結合を阻害する抗体 (例えば抗-PD-L1抗体(例えばBMS-936559 及び MPDL3280A) 及び抗-PD-L2抗体(例えば国際特許出願公開第WO 2010036959号参照 (例えば第79頁、段落番号[0253] 〜 第101頁、段落番号[0296]参照)))であり得る。
【0132】
抗-PD-1抗体の例としては、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、並びに以下の特許及び特許出願公開公報に記載された抗体が挙げられる:WO 2013173223号 (例えば第3頁、第19〜21行、第8頁、第25行〜第9頁、第30行、第40頁、第9行〜第50頁、第24行参照)、米国特許第8008449号 (例えば第69欄、表2、第63欄、第55行〜第86欄、第15行参照)、米国特許第8552154号 (例えば第67欄、表4、第57欄、第35行〜第74欄、第43行参照)、米国特許第8735553号 (例えば第35欄、表22、第31欄、表20、第13欄、第9行〜第36欄、第62行参照)、WO 2004056875号 (例えば第37頁、表6、第33頁、段落番号[0106]〜第43頁、段落番号[0137] 参照)、米国特許第7488802号 (例えば第22欄、表6及び7、第1欄、第62行〜第25欄、第4行参照)、米国特許出願公開第20140294852号 (例えば第37頁、表2、第34頁、段落番号[0525]〜第40頁、段落番号[0585] 参照)、米国特許第8779105号 (例えば第69欄、表2、第63欄、第55行〜第86欄、第11行参照)、米国特許第8741295号 (例えば第18欄、第1行〜第24欄、第60行参照)、EP 2535354号 (例えば第23頁、表IV、第23頁、第1行〜第28頁、第35行参照)、米国特許第8168757号 (例えば第34欄、第36行〜第48欄、第2行参照)、米国特許出願公開第20130095098号 (例えば第12頁、段落番号[0165]〜第14頁、[0188]参照)、WO 2010029435号 (例えば第14頁、実施例1、第17頁、実施例2、第26〜28頁参照)、WO 2014100079号 (例えば第39頁、段落番号[00155] 〜 第45頁、段落番号 [00174] 参照)、米国特許第7943743号(例えば第67欄、表2及び3、第61欄、第7行〜第74欄、第51行参照)、EP 2170959号 (例えば第26頁、表V、第16頁、第39行〜第28頁、第2行参照)、WO 2008156712号 (例えば第56頁、表V、第40-57頁参照)、及び米国特許第8217149号(例えば第99欄、第6行〜第118欄、第15行参照)(これらのそれぞれを全体として参照により本明細書中に組み入れる)。特定の実施形態において、抗-PD-1抗体は、ニボルマブ(例えば米国特許第8008449号の
図4a、4b及び9参照) 又はペンブロリズマブ (例えば米国特許出願公開第2011/0008369号参照) の配列を有する。本明細書に記載される抗-PD-1抗体は、具体的には米国特許第8686119号、WO 2013014668号、及びWO 2009101611号に記載されたCureTechの抗-PD-1抗体CT-011を除く。
【0133】
抗-PD-L1抗体の例としては、BMS-936559、MPDL3280A、並びに以下の特許及び特許出願公開公報に記載された抗体が挙げられる:米国特許第8552154号 (例えば 第57欄、第35行〜第69欄、第16行参照)、WO 2014055897号 (例えば第50頁、段落番号[00190]〜第58頁、段落番号[00219]参照)、WO 2013079174号 (例えば第48行、第15行〜第68頁、第31行参照)、米国特許第8217149号 (例えば第99欄、第5行〜第118欄、第15行参照)、米国特許第7943743号 (例えば第61欄、第9行〜第76欄、第45行参照)、WO 2014100079号 (例えば第39頁、段落番号 [00155]〜第45頁、段落番号[00175] 参照)、米国特許第8552154号 (例えば第57欄、第35行〜第75欄、第13行参照)、及び米国特許第8741295号 (例えば第18欄、第32行〜第24欄、第60用参照)、これらのそれぞれを参照により本明細書中にその全体を組み入れる。
【0134】
抗-CD40抗体の例としては、以下の特許及び特許出願公開公報に記載された抗体があげられる:米国特許出願公開第20030059427号(例えば第15頁、段落番号 [0157]〜第20頁、段落番号[0212]参照)、WO 2013034904号(例えば第58頁、第4行〜第102頁、第20行参照)、WO 2003029296号(例えば第30頁、第20行〜第34頁、第16行参照)、米国特許第8637032号 (例えば第252欄、第55行〜第254欄、第37行参照)、WO 2002028905号(例えば第20頁、第18行〜第32頁、第30行参照)、米国特許第8778345号 (例えば第48欄、第31行〜第54欄、第38行参照)、WO 1997031025号(例えば第14頁、第6行〜第31頁、第26行参照)、WO 2012125569号(例えば第25頁、第33行〜第27頁、第14行参照)、WO 2011123489号(例えば第93頁、段落番号[00339]〜第109頁、段落番号[00145]参照)、CA 2544949号(例えば第78頁、第26行〜第122頁、第21行参照)、WO 2014070934号(例えば第86頁、第4行〜第103頁、第4行参照)、米国特許出願公開第20140093497号(例えば第12頁、段落番号[0112]〜第13頁、段落番号[0118]参照)、WO 2010104761号(例えば第37頁、第3行〜第66頁、第29行参照)、米国特許第 8591900号(例えば第60欄、第14行〜第80欄、第29行参照)、WO 2007124299号(例えば第68頁、第29行〜第88頁、第17行参照)、米国特許第7445780号 (例えば第22欄、第29行〜第36欄、第39行参照)、WO 2006073443号(例えば第82頁、第6行〜第89頁、第12行参照)、WO 2005044294号(例えば第137頁、第19行〜第158頁、第15行参照)、米国特許第5677165号(例えば第11欄、第45行〜第18欄、第6行参照)、WO 2001083755号(例えば第39頁、第4行〜第47頁、第2行参照)、米国特許出願公開第20080057070号(例えば第26頁、段落番号[0176]〜第47頁、段落番号[0296]参照)、米国特許第7172759号(例えば第9欄、第5行〜第12欄、第58行参照)、WO 2006128103号(例えば第75頁、段落番号[00244]〜第84頁、段落番号[000255]参照)、WO 2001016180号(例えば第79頁、第21行〜第89頁、第14行参照)、WO 2003040170号(例えば第76頁、段落番号[0248]〜第141頁、段落番号[0239] 参照)、米国特許第6312693号 (例えば第8欄、第51行〜第34欄、第45行参照)、米国特許第8492531号(例えば第47欄、第46行〜第58欄、第31行参照)、米国特許第8551485号(例えば第78欄、第15 行〜第85欄、第7行参照)、米国特許第6838261号(例えば第26欄、第10行〜第34欄、第26行参照)、EP 2243492号(例えば第26頁、段落番号[0144]〜第37頁、段落番号[0219]参照)、及びEP 2011802号(例えば第12頁、段落番号 [0047]〜第40頁、段落番号[0127]参照)、これらのそれぞれを参照により本明細書中にその全体を組み入れる。
【0135】
抗-CD40抗体の例としては、以下の特許及び特許出願公開公報に記載された抗体があげられる:米国特許出願公開第20030059427号(例えば第15頁、段落番号 [0157]〜第20頁、段落番号[0212]参照)、WO 2013034904号(例えば第58頁、第4行〜第102頁、第20行参照)、WO 2003029296号(例えば第30頁、第20行〜第34頁、第16行参照)、米国特許第8637032号 (例えば第252欄、第55行〜第254欄、第37行参照)、WO 2002028905号(例えば第20頁、第18行〜第32頁、第30行参照)、米国特許第8778345号 (例えば第48欄、第31行〜第54欄、第38行参照)、WO 1997031025号(例えば第14頁、第6行〜第31頁、第26行参照)、WO 2012125569号(例えば第25頁、第33行〜第27頁、第14行参照)、WO 2011123489号(例えば第93頁、段落番号[00339]〜第109頁、段落番号[00145]参照)、CA 2544949号(例えば第78頁、第26行〜第122頁、第21行参照)、WO 2014070934号(例えば第86頁、第4行〜第103頁、第4行参照)、米国特許出願公開第20140093497号(例えば第12頁、段落番号[0112]〜第13頁、段落番号[0118]参照)、WO 2010104761号(例えば第37頁、第3行〜第66頁、第29行参照)、米国特許第 8591900号(例えば第60欄、第14行〜第80欄、第29行参照)、WO 2007124299号(例えば第68頁、第29行〜第88頁、第17行参照)、米国特許第7445780号 (例えば第22欄、第29行〜第36欄、第39行参照)、WO 2006073443号(例えば第82頁、第6行 〜第89頁、第12行参照)、WO 2005044294号(例えば第137頁、第19行〜第158頁、第15行参照)、米国特許第5677165号(例えば第11欄、第45行〜第18欄、第6行参照)、WO 2001083755号(例えば第39頁、第4行〜第47頁、第2行参照)、米国特許出願公開第20080057070号(例えば第26頁、段落番号[0176]〜第47頁、段落番号[0296]参照)、米国特許第7172759号(例えば第9欄、第5行〜第12欄、第58行参照)、WO 2006128103号(例えば第75頁、段落番号[00244]〜第84頁、段落番号[000255]参照)、WO 2001016180号(例えば第79頁、第21行〜第89頁、第14行参照)、WO 2003040170号(例えば第76頁、段落番号[0248]〜第141頁、段落番号[0239] 参照)、米国特許第6312693号 (例えば第8欄、第51行〜第34欄、第45行参照)、米国特許第8492531号(例えば第47欄、第46行〜第58欄、第31行参照)、米国特許第8551485号(例えば第78欄、第15 行〜第85欄、第7行参照)、米国特許第6838261号(例えば第26欄、第10行〜第34欄、第26行参照)、EP 2243492号(例えば第26頁、段落番号[0144]〜第37頁、段落番号[0219]参照)、及びEP 2011802号(例えば第12頁、段落番号 [0047]〜第40頁、段落番号[0127]参照)、これらのそれぞれを参照により本明細書中にその全体を組み入れる。
【0136】
抗-CTLA-4抗体の例としては、イピリムマブ(例えば米国特許第6682736号 (例えば第34欄、第40行〜第48欄、第6行)を参照されたい)及び以下の特許及び特許出願公開公報に記載された抗体が挙げられる:WO 2012120125号(例えば第13頁、第1行〜第27頁、第18行)、米国特許第8017114号(例えば第46欄、第40行〜第74欄、第12行)、WO 2001014424号(例えば第65頁、第21行〜第96頁、第15行)、及びWO 2000037504号(例えば第56頁、第25行〜第86頁、第31行)、これらのそれぞれを参照によりその全体を本明細書中に組み入れる。
【0137】
免疫阻害剤:本明細書において使用する場合、免疫阻害剤は、単独で、若しくは別の薬剤と組み合わせて、それが投与された被験体における免疫応答を阻害する薬剤である。例としては、ステロイド、レチノイン酸、デキサメタゾン、シクロホスファミド、抗-CD3抗体又は抗体断片、及び他の免疫抑制剤が挙げられる。例としては、免疫阻害性抗体(例えば抗-CD3抗体、若しくはこの分子の単鎖/抗体断片)、ステロイド、レチノイン酸、デキサメタゾン、シクロホスファミド(CPM)(例えば参照によりその全体を本明細書に組み入れる米国特許第4537883号(例えば第9欄、第62行〜第13欄、第6行参照)、米国特許第3808297号(例えば第7欄、第5行〜第9欄、第75行参照)、及び米国特許第5036060号(例えば第5欄、第60行〜第14欄、第19行参照)に記載されたもの)、及び他の免疫抑制剤が挙げられる。
【0138】
他の免疫調節剤としては、細胞表面マーカー、及び細胞表面マーカーを標的とする抗体が挙げられる。細胞表面マーカー及び細胞表面マーカーを標的とする抗体等の免疫調節剤の例としては、抗-LAG-3/CD223抗体 (例えばC9B7W (UniProt ID No. P18627) 及び以下の特許及び特許出願公開公報に記載された抗体が挙げられる:WO 2010019570号(例えば第73頁、第4行〜第97頁、第10行参照)、WO 2014008218号(例えば第57頁、第20行〜第65頁、第17参照)、及びWO 2008132601号(例えば第15頁、第13行〜第28頁、第17行参照))、抗-VISTA/PD-L3 抗体(例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:米国特許出願公開第20140105912号 (例えば第71頁、段落番号[0601] 〜 第87頁、段落番号[0755] 参照)、米国特許第8236304号 (例えば第17欄、第7行〜第18欄、第48行参照)、及び米国特許出願公開第20110027278号 (例えば第39頁、段落番号[0302]〜第43頁、段落番号[0333] 参照))、抗-B7-H5 抗体 (例えば以下の特許出願公開公報に記載されたもの:米国特許出願公開第20080248007号 (例えば第9頁、段落番号[0087]〜第10頁、段落番号[0094] 参照))、抗-OX40 抗体 (例えば以下の特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2013130102号(例えば第31頁、段落番号[0101]〜第41頁、段落番号[0124] 参照))、抗-CD28 抗体 (例えば以下の特許出願公開公報に記載されたもの:EP0440373号(例えば第4頁、第45行〜第8頁、第37行参照))、抗-GITR 抗体 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2007133822号(例えば第48頁、第16行〜第52頁、第18行参照)、WO 2009009116号(例えば第52頁、第30行〜第56頁、第6行参照)、WO 2004107618号(例えば第78頁、段落番号[0199]〜第105頁、段落番号[0261] 参照)、WO 2006105021号(例えば第70頁、第21行〜第80頁、第31行参照)、米国特許第7812135号 (例えば第55欄、第52行〜第66欄、第38行参照)、及び米国特許第8591886号 (例えば第41欄、第15行〜第44欄、第20行参照))、抗-4-1BB/CD137 抗体 (例えば以下の特許に記載されたもの:米国特許第8716452号 (例えば第13欄、第55行〜第20欄、第62行参照))、4-1BB リガンド (例えば以下の特許出願公開公報に記載されたもの:WO 1994026290号(例えば第21頁、第23行 〜 第32頁、第33行参照)、米国特許出願公開第20060110802号 (例えば第9頁、段落番号[0098]〜第16頁、段落番号[0167] 参照)、WO 1999036093号(例えば第18頁、第5行〜第56頁、第17行参照)、WO 2010132389号(例えば第30頁、段落番号[00134]〜第41頁、段落番号[00166] 参照)、WO 2012145183号(例えば第43頁、第26行〜第64頁、第12行参照)、米国特許出願公開第20080008716号 (例えば第3頁、段落番号[0042]〜第7頁、段落番号[0070] 参照)、WO 2004010947号(例えば第13頁、第12行 〜 第23頁、第19行参照)、及び米国特許出願公開第20070286860号 (例えば第27頁、段落番号[0172]〜第31頁、段落番号[200] 参照))、抗-BTLA抗体 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2010106051号(例えば第35頁、第 行〜第35頁、第8行参照)、WO 2008076560号(例えば第85頁、第2行〜第97頁、第11行参照)、米国特許第8349320号(例えば第47欄、第62行〜第72欄、第26行参照)、及び米国特許第8563694号 (例えば第56欄、第25行〜第65欄、第45行参照))、抗-TIM-3/HAVCR2 抗体 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:米国特許第8841418号 (例えば第36欄、第45行〜第46欄、第47行参照)、EP 2417984号(例えば第19頁、段落番号[0137]〜第28頁、段落番号[0206] 参照)、WO 2014022332号(例えば第51頁、段落番号[00191]〜第54頁、段落番号[00202] 参照)、及び米国特許第8697069号 (例えば第40頁、第26行〜第50頁、第37行参照))、抗-KIR 抗体(例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2014066532号(例えば第25頁、第30行〜第57頁、第17行参照)、EP 2446897号(例えば第45頁、段落番号[0294]〜第47頁、段落番号[0309] 参照)、WO 2014055648号(例えば第24〜49頁参照)、及び米国特許出願公開第20140302052号 (例えば第2頁、段落番号[0021]〜第4頁、段落番号[0044] 参照))、抗-Flt3/CD135 抗体 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:米国特許第6291661号 (例えば第23欄、第36行〜第38欄、第23行参照)、EP 0754230号(例えば第13頁、段落番号[0099]〜第20頁、段落番号[0138] 参照)、EP 0992584号(例えば第25頁、第28行〜第30頁、第45行参照)、及びWO 2011076922号(例えば第95頁、段落番号[000269]〜第82頁、段落番号[000233] 参照))、抗-FasL 抗体 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:米国特許出願公開第20100266577号 (例えば第7頁、段落番号[0089]〜第10頁、段落番号[0122] 参照)、米国特許出願公開第20070142456号 (例えば第6頁、段落番号[0054]〜第8頁、段落番号[0066] 参照)、WO 2011066211号(例えば第38〜97頁参照)、米国特許出願公開第20020187534号 (例えば第5頁、段落番号[0061]〜第10頁、段落番号[0112] 参照)、WO 1999036079号(例えば第53頁、第15行〜第60頁、第19行参照)、及び WO 1997033617号(例えば第18頁、第1行〜第25頁、第17行参照))、及び抗-CD25 抗体 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2006108670号(例えば第4〜8頁参照)、米国特許第8182812号 (例えば第43欄、第6行〜第54欄、第15行参照)、及びCA 2585776号(例えば第31頁、段落番号[00100]〜第52頁、段落番号[00163] 参照))が挙げられる。
【0139】
他の免疫調節剤としては、サイトカイン、又はサイトカイン受容体を標的とする抗体が挙げられる。サイトカイン及びサイトカイン受容体を標的とする抗体等の免疫調節剤の例としては、GM-CSF(例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2013074489号(例えば第52頁、第29行〜第61頁、第26行参照)、米国特許第5891429号 (例えば第12欄、第1行〜第28欄、第21行参照)、及び WO 1989010403号(例えば第5頁、第35行〜第13頁、第21行参照))、抗-GM-CSF-受容体(R)抗体(例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 1994011404号(例えば第9〜28頁参照)、米国特許第8263075号 (例えば第29欄、第25行〜第49欄、第26行参照)、及び米国特許第5932704号 (例えば第2欄、第55行〜第12欄、第67行参照))、IL-2 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2013130102号(例えば第31頁、段落番号[0101]〜第41頁、段落番号[0124] 参照)、米国特許第8349311号 (例えば第21欄、第31行〜第31欄、第9行参照)、WO 2005007121号(例えば第30頁、第29行〜第43頁、第31行参照)、及び WO 1991002000号(例えば第2〜7頁参照))、抗-IL-2-R 抗体 (例えば以下の特許出願公開公報に記載されたもの:WO 1989009622号(例えば第18頁、第4行〜第33頁、第12行参照)、IL-7 (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2012031115号(例えば第77頁、段落番号[00240]〜第102頁、段落番号[00347] 参照)、WO 2013074489号(例えば第52頁、第30行〜第61頁、第26行参照)、米国特許第7323549号 (例えば第12欄、第14行〜第24欄、第37行参照)、及び米国特許第8338575号 (例えば第11欄、第60行〜第24欄、第18行参照))、抗-IL-7-R 抗体、IL-21 (例えば以下の特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2013169693号(例えば第44頁、第3行〜第73頁、第15行参照))、抗-IL-21-R 抗体、IL-12 (例えば米国特許第8765462号 (例えば第27欄、第15行〜第50欄、第16行参照)に記載されたもの)、抗-IL-12-R 抗体、IL-15、抗-IL-15-R 抗体、IL-18、抗-IL-8-R 抗体、及び 抗-IDO 抗体が挙げられる。
【0140】
更に他の免疫調節剤としては、キナーゼ阻害剤、例えばクリゾチニブ(crizotinib)(例えば特許出願公開第WO 2013017989号(例えば第54-69頁参照)参照) 及びセリチニブ(ceritinib) (例えば特許出願公開: WO 2012082972号(例えば第11頁、第6行〜第14頁、第17行参照) 及び WO 2008073687号(例えば第34頁、段落番号[0089]〜第144頁、段落番号[0151] 参照)参照)、セレコキシブ(celecoxib)等のCOX-2阻害剤(例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2000032189号(例えば第38頁、第17行〜第61頁、第20行参照)、米国特許第6127545号 (例えば第7欄、第30行〜第17欄、第67行参照)、WO 2002028270号(例えば第37頁、第27行〜第45頁、第28行参照)、米国特許第6403630号 (例えば第16欄、第29行〜第17欄、第7行参照)、及び米国特許第5972986号 (例えば第5欄、第9行〜第16欄、第44行参照))、SOCS-1阻害剤(例えばPI3K又はJak阻害剤)、熱ショックタンパク質(HSP) (例えば以下の特許及び特許出願公開公報に記載されたもの:米国特許第7678803号 (例えば第79欄、第20行〜第158欄、第55行参照)、米国特許第7608635号 (例えば第93欄、第55行〜第108欄、第40行参照)、米国特許第8318790号 (例えば第158欄、第51行〜第196欄、第20行参照)、及び米国特許出願公開第20130184336号 (例えば第5頁、段落番号[0075]〜第6頁、段落番号[0093] 参照))、HSP阻害剤(例えば米国特許第7776849号 (例えば第32欄、第47行〜第50欄、第67行参照)に記載されたもの)、及び 抗-ガレクチン-1 抗体 (例えば以下の特許出願公開公報に記載されたもの:WO 2012131079号(例えば第24〜35頁参照)、WO 2014070214号(例えば第42頁、第15行〜第53頁、第13行参照)、及び WO 2014043708号(例えば第27頁、段落番号[00140]〜第36頁、段落番号[00199] 参照))が挙げられる。
上記の特許及び特許出願公開公報の開示は、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
【0141】
アジュバント
アジュバントは、免疫系の刺激を引き起こす1種以上の物質をいう。この文脈において、アジュバントは、1種上の抗原(例えばHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド))に対する免疫応答を増大させるために使用される。アジュバントは、抗原(例えばHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド))の投与前に、抗原の投与と組み合わせて、又は抗原の投与後に被験体に投与される。一部の実施形態において、アジュバントはICMV中の脂質とコンジュゲートさせることができる。
【0142】
アジュバントは、限定するものではないが、脂質(例えばモノホスホリルリピドA(MPLA));ミョウバン(例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム);Q. サポナリアの樹皮から精製されたサポニン、例えばQS21(HPLC分画で21番目のピーク中に溶出する糖脂質;Antigenics, Inc., Worcester, Mass.);ポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン(PCPPポリマー;Virus Research Institute, USA)、Flt3リガンド、リーシュマニア伸長因子(精製リーシュマニアタンパク質;Corexa Corporation, Seattle, Wash.)、ISCOMS(サポニン、脂質及び抗原を保持できる孔を有するフォーム(form)ウイルスサイズ粒子;CSL、Melbourne, Australia)、Pam3Cys、SB-AS4(ミョウバン及びMPLを含むSmithKline Beechamアジュバントシステム#4;SBB、ベルギー)、ミセルを形成する非イオン性ブロックコポリマー、例えばCRL 1005(これらはポリオキシエチレン鎖によって挟まれる疎水性ポリオキシプロピレンの直鎖を含む、Vaxcel, Inc., Norcross, Ga)、及びモンタニドIMS(例えばIMS1312、可溶性免疫刺激剤と組み合わせた水ベースのナノ粒子、Seppic)であり得る。
【0143】
アジュバントはtoll様受容体(TLR)リガンドであり得る。TLR3を介して作用するアジュバントとしては、限定するものではないが、二本鎖RNAが挙げられる。TLR4を介して作用するアジュバントとしては、限定するものではないが、リポ多糖の誘導体、例えばモノホスホリルリピドA(MPLA、Ribi ImmunoChem Research, Inc., Hamilton, Mont.)及びムラミルジプチド(MDP; Ribi)及びトレオニル-ムラミルジペプチド(t-MDP; Ribi);OM-174(リピドAに関連するグルコサミン二糖; OM Pharma SA, Meyrin, Switzerland)が挙げられる。TLR5を介して作用するアジュバントとしては、限定するものではないが、フラジェリンが挙げられる。TLR7及び/又はTLR8を介して作用するアジュバントとしては、一本鎖RNA、オリゴリボヌクレオチド(ORN)、合成低分子量化合物、例えばイミダゾキノリンアミド(例えばイミキモド(R-837)、レシキモド(R-848))が挙げられる。TLR9を介して作用するアジュバントとしては、ウイルス若しくはバクテリア起源のDNA、又は合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、例えばCpG ODNが挙げられる。別のアジュバントのクラスは、ホスホロチオエート含有分子、例えばホスホロチオエートヌクレオチド類似体及びホスホロチオエート骨格結合を含む核酸である。
【0144】
増強剤
増強剤は、疾患の治療における治療的化合物又は組成物の有効性を増大又は増強し得る分子(例えば小さな有機分子)、ペプチド、タンパク質(例えば抗体若しくは抗原)等の薬剤をいう。治療的化合物又は組成物と共に使用される増強剤のタイプは、治療される特定の疾患に依存する。増強剤としては、限定するものではないが、抗癌剤、免疫刺激剤、癌抗原、抗感染剤、抗ウイルス剤、及び抗菌剤が挙げられる。例えば、癌(例えば子宮頸癌又は固形腫瘍癌)の治療のためのHPVペプチド(例えばE6及び/又はE7)を含むベシクル(例えばICMV)を含む本明細書に記載される組成物を、抗癌剤と組み合わせて増強剤として使用し得る。PD-1阻害剤は、用語「増強剤」の定義から特に除外される。
【0145】
抗原
抗原は、限定するものではないが、癌抗原、自己抗原若しくは自己免疫抗原、微生物抗原、アレルゲン、又は環境抗原であり得る。抗原は、天然のペプチド、脂質、又は炭水化物であり得るが、そのように限定されるものではない。一部の実施形態において、抗原は、米国特許出願公開第2012/0177724号の、例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義されるような末端にシステインを有する抗原ではない。一部の実施形態において、抗原は、抗原の内部領域に位置するシステインである内部システインを含む。抗原の内部領域は、アミノ末端の10アミノ酸(すなわちアミノ酸位置1〜10)及びカルボキシ末端の10アミノ酸(すなわちアミノ酸(n-10)〜n、nは抗原のアミノ酸残基の数を示す)を含まない。抗原の内部領域は、nが抗原のアミノ酸残基の数を示す場合に、アミノ酸11からアミノ酸n-11を含む。一部の実施形態において、抗原は本明細書に記載するHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド)である。
【0146】
HPVペプチド:本明細書において使用する場合、HPVペプチドは、ヒトパピローマウイルス(HPV)構造内の任意のタンパク質(例えば全長タンパク質若しくはその断片)又はその変異型(例えば変異型HPVペプチド)をいう。変異型HPVペプチドは、野生型HPVペプチドと比較して少なくとも1個(例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個等、例えば2〜6個)のアミノ酸置換を有するHPVペプチドをいう(例えば配列番号1〜4のいずれかの配列)。HPVの構造を構成するタンパク質は、E1、E2、E4、E5、E6、E7、L1、及びL2である。それぞれの構造タンパク質の配列は、特定のHPVの遺伝子型によって異なり得る。150種を超えるHPVの遺伝子型が同定されている。12種のHPV遺伝子型(HPV-16、-18、-31、-33、-35、-39、-45、-51、-52、-56、-58、及び-59)が「ヒトに対して発癌性を有する」として分類されている。HPV-68は「おそらく発癌性を有する(probably carcinogenic)」と分類されている。他のHPV遺伝子型(例えばHPV-67、-73、-82、-66、-53、及び-70)は「発癌性の可能性を有する(possibly carcinogenic)」と分類されている。一部の実施形態において、HPVペプチドは、遺伝子型16(HPV-16)又は18(HPV-18)のHPVに由来する。一部の実施形態において、HPVペプチドは、HPV E6タンパク質又はHPV E7タンパク質に由来する。一部の実施形態において、HPVペプチドは、HPV-16 E6タンパク質に由来する(例えば、HPVペプチドは全長の野生型HPV-16 E6タンパク質又はその変異型及び/若しくは断片である)。一部の実施形態において、HPVペプチドは、HPV-16 E7タンパク質に由来する(例えば、HPVペプチドは全長の野生型HPV-16 E7タンパク質又はその変異型及び/若しくは断片である)。一部の実施形態において、HPVペプチドは、HPV-18 E6タンパク質に由来する(例えば、HPVペプチドは全長の野生型HPV-18 E6タンパク質又はその変異型及び/若しくは断片である)。一部の実施形態において、HPVペプチドは、HPV-18 E7タンパク質に由来する(例えば、HPVペプチドは全長の野生型HPV-18 E7タンパク質又はその変異型及び/若しくは断片である)。全長の野生型HPV-16 E6、HPV-16 E7、HPV-18 E6、及びHPV-18 E7ペプチド、及びこれらの変異型(例えば変異型HPVペプチド)の配列は、以下の配列番号1〜9に示す。
【0147】
HPVペプチドの断片は、HPVタンパク質(例えば配列番号1〜9のいずれかの配列を有する野性型又は変異型HPVペプチド) の約20アミノ酸から全長の長さを有するペプチドをいう。例えば、断片であるHPVペプチドは、20アミノ酸〜158アミノ酸 (例えば20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、又は158アミノ酸)を含み得る。一部の実施形態において、HPVペプチドは、HPV E6及びE7ペプチドの融合タンパク質の断片 (例えば配列番号10の配列を有する融合タンパク質の断片)であり得る。HPV E6及びE7ペプチドの融合タンパク質の断片であるHPVペプチド(例えば配列番号10の配列を有する融合タンパク質の断片)は、融合タンパク質の20アミノ酸から全長 (例えば配列番号10の256アミノ酸) (例えば20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、又は256アミノ酸) を含み得る。一部の実施形態において、HPVペプチドは、 野性型HPVタンパク質又は2種の異なるHPVタンパク質の融合タンパク質の配列の全長にわたって少なくとも80% (例えば80%、82%、85%、87%、90%、92%、95%、97%、99%、又は100%)のアミノ酸配列同一性を有し得る。一部の実施形態において、HPVペプチドは、配列番号1〜10のいずれかの配列の全長にわたって 少なくとも80% (例えば80%、82%、85%、87%、90%、92%、95%、97%、99%、又は100%)のアミノ酸配列同一性を有し得る。
【0148】
一部の実施形態において、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルは1種以上の変異型HPVペプチド(例えば配列番号5〜9の配列を有する変異型HPVペプチド)を含み、1種以上の変異型HPVペプチドの少なくとも1種はマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしている。
【0149】
一部の実施形態において、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルは1種以上の第1の変異型HPVペプチド及び1種以上の第2の変異型HPVペプチドを含み、少なくとも1種の第1の変異型HPVペプチドはマルチラメラ脂質ベシクルの第1の脂質にコンジュゲートし、少なくとも1種の第2の変異型HPVペプチドはマルチラメラ脂質ベシクルの第2の脂質にコンジュゲートし、かつ第1及び第2の変異型HPVペプチドは異なるものである。第1及び/又は第2の変異型HPVペプチドは、配列番号5〜9のいずれかの配列を有し得る。
【0150】
一部の実施形態において、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルは1種以上のHPVペプチド(例えば配列番号1〜9のいずれかの配列を有する野生型又は変異型HPVペプチド)を含み、1種以上のHPVペプチドの少なくとも1つの分子がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしており、このコンジュゲーションはシステインを含まない。
【0151】
一部の実施形態において、脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルは1種以上のHPVペプチド(例えば配列番号1〜9のいずれかの配列を有する野生型又は変異型HPVペプチド)を含み、1種以上のHPVペプチドの少なくとも1つの分子がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしており、このコンジュゲーションはHPVペプチドのアミノ及び/又はカルボキシ末端から10アミノ酸残基以内(例えば9、8、7、6、5、4、3、又は2アミノ酸残基以内)にシステインを含まない。
【0152】
一部の実施形態において、HPVペプチドはHPV E6ペプチド及びHPV E7ペプチドの融合タンパク質を含む。一部の実施形態において、融合タンパク質中のHPV E6タンパク質はHPV-16 E6タンパク質又はHPV-18 E6タンパク質(例えばHPV E6ペプチドは全長、野生型HPV-16 E6若しくはHPV-18 E6タンパク質、又はその変異型及び/若しくは断片である)。一部の実施形態において、融合タンパク質中のHPV E7タンパク質はHPV-16 E7タンパク質又はHPV-18 E7タンパク質(例えばHPV E7ペプチドは全長、野生型HPV-16 E7若しくはHPV-18 E7タンパク質、又はその変異型及び/若しくは断片である)。HPV-16 E6ペプチド及びHPV-16 E7ペプチドの融合タンパク質の配列の例は、下記の配列番号10に示す。
【0153】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ1種以上のHPVペプチド、及びPD-1阻害剤(例えば野生型若しくは変異型HPV E6及び/又はE7ペプチド(例えば配列番号1〜10のいずれか1つ)及び抗PD-1抗体)を含むマルチラメラ脂質ベシクルを含む。
【0154】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ1種以上のHPVペプチド(例えば配列番号1又は2の配列を有する野生型HPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクルを含む。
【0155】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、を含む。
【0156】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び抗-CTLA抗体を含む。
【0157】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び抗-PD-1抗体を含む。
【0158】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び抗-PD-L1抗体を含む。
【0159】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及びシクロホスファミドを含む。
【0160】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び抗-PD-1抗体、及びシクロホスファミドを含む。
【0161】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及びインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤1-メチルトリプトファンを含む。
【0162】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及びモノホスホリルリピドAを含む。
【0163】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び増強剤を含む。
【0164】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及びTLR-4アゴニストを含む。
【0165】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及びTLR-7アゴニストを含む。
【0166】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び抗-CD40抗体を含む。
【0167】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号1の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び脂質二重層間に架橋を有し、かつ配列番号2の配列を有する1種以上のHPVペプチドを含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び抗-PD-1抗体、及びAMD3100を含む。
【0168】
癌抗原:癌抗原は、癌細胞によって優先的に発現される抗原であり(すなわち非癌細胞よりも癌細胞においてより高いレベルで発現される)、一部の場合には癌細胞によってのみ発現される。癌抗原は、癌細胞内で、又は癌細胞の表面上で発現され得る。癌抗原は、MART-1/Melan-A、gp100、アデノシンデアミナーゼ-結合タンパク質(ADAbp)、FAP、シクロフィリン b、大腸癌関連抗原(CRC)-0017-1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)、CAP-1、CAP-2、etv6、AML1、前立腺特異的抗原(PSA) 、PSA-1、PSA-2、PSA-3、前立腺癌特異的膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3-ζ鎖、及びCD20であり得る。癌抗原は、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-Xp2 (MAGE-B2)、MAGE-Xp3 (MAGE-B3)、MAGE-Xp4 (MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、及び MAGE-05からなる群より選択され得る。癌抗原は、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、GAGE-8、及びGAGE-9からなる群より選択され得る。癌抗原は、BAGE、RAGE、LAGE-1、NAG、GnT-V、MUM-1、CDK4、チロシナーゼ、p53、ムチン(MUC)ファミリーのメンバー(例えば MUC1) 、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α-フェトタンパク質、E-カドヘリン、α-カテニン、β-カテニン、γ-カテニン、p120ctn、gp100.sup.Pmel117、PRAME、NY-ESO-1、cdc27、大腸腺腫症タンパク質(APC)、フォドリン、コネクシン37、Ig-イディオタイプ、p15、gp75、GM2ガングリオシド、GD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質若しくはペプチド(例えば上記のHPVペプチド)、腫瘍抗原のSmadファミリー、lmp-1、P1A、EBV-コード核抗原(EBNA)-1、脳型グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX-1、SSX-2 (HOM-MEL-40)、SSX-1、SSX-4、SSX-5、SCP-1 及び CT-7、CD20、及び c-erbB-2からなる群より選択され得る。一部の実施形態において、癌抗原は、癌性腫瘍と関連し得る(すなわち腫瘍関連抗原)。腫瘍関連抗原は、しばしば特定の型の腫瘍、例えばリンパ腫、癌腫、肉腫、又は黒色腫と関連する。腫瘍関連抗原は、腫瘍に対する細胞性及び/又は液性免疫応答を誘発し得る。腫瘍関連抗原の一例は、本明細書に記載するHPVペプチド、特にHPV-16 E6若しくはE7ペプチド、又はHPV-18 E6若しくはE7ペプチドである。一部の実施形態において、HPVペプチドは、HPV E6及びE7ペプチドの融合タンパク質であり得る。
【0169】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ1種以上の癌抗原を含むマルチラメラ脂質ベシクル(例えばICMV)を含む。一部の実施形態において、マルチラメラ脂質ベシクル中の癌抗原は、米国特許出願公開第2012/0177724号の、例えば第8頁、段落番号[0091]、第8〜30行に定義される末端にシステインを有する抗原ではない。特定の実施形態において、癌抗原は、gp100、NY-ESO-1、ムチン(MUC)ファミリーのメンバー(例えば MUC1)であって良く、あるいはMAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-Xp2 (MAGE-B2)、MAGE-Xp3 (MAGE-B3)、MAGE-Xp4 (MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、及びMAGE-05からなる群より選択され得る。
【0170】
特定の実施形態において、癌抗原は、以下のものであり得る:ウィルムス腫瘍抗原1 (WT1) 、MUC1、LMP2 (エプスタイン・バーウイルス由来潜在膜タンパク質2) 、EGFRvIII、Her2/neu、イディオタイプ抗原(例えばWeng et al., J. Clin Oncol. 22:4717-24, 2004) 、MAGE-A3、非変異型p53、NY-ESO-1、PSMA (前立腺特異的膜抗原) 、GD2、CEA (癌胎児性抗原)、MelanA/MART1、Ras変異体、gp100、変異型p53、プロテイナーゼ3 (PR1) 、BCR-Ablブレイクポイント(例えば., Maslak et al., Leukemia 22:1613-6, 2008) 、チロシナーゼ、サバイビン、PSA (前立腺特異的抗原)、hTERT (ヒトテロメラーゼ)、肉腫転座ブレイクポイント(sarcoma translocation breakpoints) (例えばMackall et al., Clin Cancer Res. 14:4850-8, 2008) 、EphA2、PAP (前立腺酸性ホスファターゼ)、ML-IAP (アポトーシスのML-阻害剤) 、AFP (αフェトタンパク質) 、EpCAM (上皮細胞接着分子) 、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子) 、NA17、PAX3 (ペアードボックス3) 、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN (N-myc)、RhoC、TRP-2 (チロシナーゼ関連タンパク質2) 、GD3、フコシルGM1、メソテリン(Mesothelin)、PSCA (前立腺幹細胞抗原)、MAGE-A1、CYP1B1 (シトクロムP450 1B1)、PLAC1 (胎盤特異的 1)、GM3、BORIS (ブラザー・オブ・ザ・レギュレーター・オブ・インプリンティッド・サイト(brother of the regulator of imprinted sites)) 、Tn (グリコシド結合によってセリン又はスレオニンに連結したN-アセチルガラクトサミン)、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5 (Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター5) 、SART3 (T細胞によって認識される扁平上皮細胞肉腫抗原3) 、STn (シアリルTn抗原) 、炭酸脱水酵素IX、PAX5 (ペアードボックス5) 、OY-TES1, 精子タンパク質17、LCK (p56型) 、HMWMAA (高分子量メラノーマ関連抗原) 、AKAP-4 (A-キナーゼアンカータンパク質4) 、SSX2 (滑膜肉腫ブレイクポイント2) 、XAGE1 (x抗原1) 、B7H3,レグマイン(Legumain)、Tie 2、Page4、VEGFR2 (血管上皮増殖因子受容体2) 、MAD-CT-1 (メラノーマ癌精巣抗原-1)、FAP (線維芽細胞活性化タンパク質)、PDGFR-b (血小板由来増殖因子受容体-b) 、MAD-CT-2 (メラノーマ精巣抗原-2)、又はFos-関連抗原1。
【0171】
微生物抗原:微生物抗原は、微生物種、例えば、限定するものではないが細菌、ウイルス、真菌、寄生虫及びマイコバクテリアの種由来の抗原である。従って、微生物抗原としては、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、及びマイコバクテリア抗原が挙げられる。細菌、ウイルス、真菌、寄生虫及びマイコバクテリアの種の例は、本明細書中に提供される。微生物抗原は、微生物種の一部であって良く、又は微生物全体であって良い。
【0172】
アレルゲン
アレルゲンは、被験体においてアレルギー性又は喘息性の応答を誘導し得る薬剤である。アレルゲンとしては、限定するものではないが、花粉、昆虫毒、動物の鱗屑粉(dander dust)、真菌胞子及び薬剤 (例えばペニシリン)が挙げられる。天然の動物性及び植物性アレルゲンの例としては、限定するものではないが、以下の属に特有のタンパク質が挙げられる:イヌ属(Canine)(イヌ(Canis familiaris)); ヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)(例えばコナチリダニ(Dermatophagoides farina)); ネコ属(Felis)(フェリス・ドメスチクス(Felis domesticus)); ブタクサ属(Ambrosia)(アンブローシア・アルテミイスフォリア(Ambrosia artemiisfolia)); ドクムギ属(Lolium)(例えばホソムギ(Lolium perenne)若しくはネズミムギ(Lolium multiflorum)); スギ属(Cryptomeria)(スギ(Cryptomeria japonica)); アルテルナリア属(Alternaria)(アルテナリア・アルテルナタ(Alternaria alternate)); ハンノキの類(Alder); ハンノキ属(Alnus)(アルヌス・グルチノアサ(Alnus gultinoasa)); カバノキ属(Betula) (ベツラ・ベルコサ(Betula verrucosa)); コナラ属(Quercus)(クエルクス・アルバ(Quercus alba)); オリーブ属(Olea)(オリーブノキ(Olea Europa)); ヨモギ属(Artemisia) (オウシュウヨモギ(Artemisia vulgaris)); オオバコ属(Plantago)(例えばヘラオオバコ(Plantago lanceolate)); パリエタリア属(Parietaria) (例えばパリエタリア・オフィシナリス(Parietaria officinalis)若しくはパリエタリア・ジュダイカ(Parietaria Judaica)); チャバネゴキブリ属(Blattella)(例えばチャバネゴキブリ(Blattella germanica)); ミツバチ属(Apis)(例えばアピス・ムルチフロルム(Apis multiflorum)); イトスギ属(Cupressus)(例えば イタリアイトスギ(Cupressus sempervirens)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)、及びモントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa)); ネズミサシ属(Juniperus)(例えばジュニペルス・サビノイデス(Juniperus sabinoides)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)、セイヨウネズ(Juniperus communis)、及びジュニペルス・アスヘイ(Juniperus ashei)); クロベ属(Thuya)(例えばコノテガシワ(Thuya orientalis)); ヒノキ属(Chamaecyparis)(例えばヒノキ(Chamaecyparis obtuse)); ワモンゴキブリ属(Periplaneta)(例えばアメリカゴキブリ(Periplaneta Americana)); カモジグサ属(Agropyron)(例えばシバムギ(Agropyron repens)); ライムギ属(Secale)(例えばライムギ(Secale cereal)); コムギ属(Triticum)(例えばパンコムギ(Triticum aestivum)); カモガヤ属(Dactylis)(例えばカモガヤ(Dactylis glomerata)); ウシノケグサ属(Festuca)(例えばヒロハノウシノケグサ(Festuca elatior)); イチゴツナギ属(Poa)(例えば ナガハグサ(Poa pratensis)若しくはポア・コンプレッサ(Poa compressa)); カラスムギ属(Avena)(例えばエンバク(Avena sativa)); シラゲガヤ属(Holcus)(例えばシラゲガヤ(Holcus lanatus)); ハルガヤ属(Anthoxanthum)(例えばハルガヤ(Anthoxanthum odoratum)); オオカニツリ属(Arrhenatherum)(例えばオオカニツリ(Arrhenatherum elatius)); ヌカボ属(Agrostis)(例えばコヌカグサAgrostis alba)); アワガエリ属(Phleum)(例えばオオアワガエリ(Phleum pretense)); クサヨシ属(Phalaris) (例えばクサヨシ(Phalaris arundinacea)); スズメノヒエ属(Paspalum)(例えばバヒアグラス(Paspalum notatum)); モロコシ属(Sorghum)(例えばセイバンモロコシ(Sorghum halepensis)); 及びスズメノチャヒキ属(Bromus)(例えば ブロムスイネルミス(Bromus inermis))。
【0173】
抗癌剤
本明細書において使用する場合、抗癌剤は、短期間のみであっても癌と関連する全て又は一部の症状を阻害することを含めて、癌の発症又は進行を少なくとも部分的に阻害する薬剤である。数種類の抗癌剤は、DNA損傷剤及びトポイソメラーゼ阻害剤を含むもの(例えばエトポシド、ラムトテシン(ramptothecin)、トポテカン、テニポシド、ミトキサントロン)、DNAアルキル化剤(例えばシスプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、チオテパ、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、カルボプラチン、ダカルバジン、プロカルバジン)、DNA鎖切断誘導剤(例えばブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン(idarubicin)、マイトマイシンC)、抗-微小管剤 (例えばビンクリスチン、ビンブラスチン)、抗-代謝薬(例えばシタラビン、メトトレキサート、ヒドロキシウレア、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン(floxuridine)、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン、フルダラビン、ペントスタチン(pentostatin)、クロロデオキシアデノシン)、アントラサイクリン類、ビンカアルカロイド類、又はエピポドフィロトキシン類として分類することができる。
【0174】
抗癌剤の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:アンボマイシン(Ambomycin); アメタントロンアセテート(Ametantrone Acetate); アミノグルテチミド(Aminoglutethimide); アムサクリン(Amsacrine); アナストロゾール(Anastrozole); アントラマイシン(Anthramycin); アスパラギナーゼ; アスペルリン(Asperlin); アザシチジン(Azacitidine); アゼテパ(Azetepa); アゾトマイシン(Azotomycin); バチマスタット(Batimastat); ベンゾデパ(Benzodepa); ビカルタミド(Bicalutamide); 塩酸ビスアントレン(Bisantrene Hydrochloride); ビスナフィドジメシレート(Bisnafide Dimesylate); ビゼレシン(Bizelesin); 硫酸ブレオマイシン; ボルテゾミブ(Bortezomib)(VELCADE); ブレキナルナトリウム(Brequinar Sodium); ブロピリミン(Bropirimine); ブスルファン; カクチノマイシン(Cactinomycin); カルステロン(Calusterone); カラセミド(Caracemide); カルベチマー(Carbetimer); カルボプラチン(プラチナ含有レジメン); カルムスチン; 塩酸カルビシン(Carubicin Hydrochloride); カルゼレシン(Carzelesin); セデフィンゴル(Cedefingol); クロラムブシル; シロレマイシン(Cirolemycin); シスプラチン(プラチナ含有レジメン); クラドリビン(Cladribine); クリスナトールメシレート(Crisnatol Mesylate); シクロホスファミド; シタラビン; ダカルバジン; ダクチノマイシン; ダウノルビシン; デシタビン(Decitabine); デキソルマプラチン(Dexormaplatin); デザグアニン(Dezaguanine); ジアジコン(Diaziquone); ドセタキセル(TAXOTERE); ドキソルビシン; ドロロキシフェン(Droloxifene); ドロモスタノロン(Dromostanolone); ズアゾマイシン(Duazomycin); エダトレキセート(Edatrexate); エフロルニチン(Eflornithine); エルサミトルシン(Elsamitrucin); エンロプラチン(Enloplatin); エンプロメート(Enpromate); エピプロピジン(Epipropidine); エピルビシン(Epirubicin); エルブロゾール(Erbulozole); エルロチニブ(TARCEVA); エソルビシン(Esorubicin); エストラムスチン(Estramustine); エタニダゾール(Etanidazole); エトポシド; エトプリン(Etoprine); ファドロゾール(Fadrozole); ファザラビン(Fazarabine); フェンレチニド(Fenretinide); フロクスウリジン(Floxuridine); フルダラビン; 5-フルオロウラシル; フルオロシタビン(Fluorocitabine); フォスキドン(Fosquidone); フォストリエシン(Fostriecin); ゲフィチニブ(IRESSA); ゲムシタビン; ヒドロキシウレア; イダルビシン(Idarubicin); イフォスファミド(Ifosfamide); イルモフォシン(Ilmofosine); イマチニブメシレート (GLEEVAC); インターフェロンα-2a; インターフェロンα-2b; インターフェロンα-n1; インターフェロンα-n3; インターフェロンβ-I a; インターフェロンγ-I b; イプロプラチン(Iproplatin); イリノテカン; ランレオチド(Lanreotide); レナリドミド(Lenalidomide)(REVLIMID, REVIMID); レトロゾール(Letrozole); ロイプロリド(Leuprolide); リアロゾール(Liarozole); ロメテロキソル(Lometerxol); ロムスチン(Lomustine); ロソキサントロン(Losoxantrone); マソプロコール(Masoprocol); メイタンシン(Maytansine); メクロレタミン(Mechlorethamine); メゲストロール(Megestrol); メレンゲストロール(Melengestrol); メルファラン; メノガリル(Menogaril); メルカプトプリン; メトトレキサート; メトプリン(Metoprine); メツレデパ(Meturedepa); ミチンドミド(Mitindomide); マイトカルシン(Mitocarcin); マイトクロミン(Mitocromin); マイトギリン(Mitogillin); マイトマルシン(Mitomalcin); マイトマイシン; マイトスパ(Mitosper); マイトタン(Mitotane); ミトキサントロン(Mitoxantrone); ミコフェノール酸; ノコダゾール(Nocodazole); ノガラマイシン(Nogalamycin); オルマプラチン(Ormaplatin); オキシスラン(Oxisuran); パクリタキセル; ペメテルキシド(Pemeterxed)(ALIMTA); ペガスパルガーゼ(Pegaspargase); ペリオマイシン(Peliomycin); ペンタムスチン(Pentamustine); ペントモン(Pentomone); ペプトマイシン(Peplomycin); ペルフォスファミド(Perfosfamide); ピポブロマン(Pipobroman); ピポスルファン(Piposulfan); ピリトレキシムイセチオネート(Piritrexim Isethionate); ピロキサントロン(Piroxantrone); プリカマイシン(Plicamycin); プロメスタン(Plomestane); ポルフィマー(Porfimer); ポルフィロマイシン(Porfiromycin); プレドニムスチン(Prednimustine); プロカルバジン(Procarbazine); ピューロマイシン; ピラゾフリン(Pyrazofurin); リボプリン(Riboprine); ログレチミド(Rogletimide); サフィンゴル(Safingol); セムスチン(Semustine); シムトラゼン(Simtrazene); シトグルシド(Sitogluside); スパルフォセート(Sparfosate); スパルソマイシン(Sparsomycin); スピロゲルマニウム(Spirogermanium); スピロムスチン(Spiromustine); スピロプラチン(Spiroplatin); ストレプトニグリン(Streptonigrin); ストレプトゾシン(Streptozocin); スロフェヌル(Sulofenur); タリソマイシン(Talisomycin); タムスロシン(Tamsulosin); タキソール; タキソテール(Taxotere); テコガラン(Tecogalan); テガフール(Tegafur); テロキサントロン(Teloxantrone); テモポルフィン(Temoporfin); テモゾロミド(TEMODAR); テニポシド(Teniposide); テロキシロン(Teroxirone); テストラクトン(Testolactone); サリドマイド(THALOMID)及びその誘導体; チアミプリン(Thiamiprine); チオグアニン(Thioguanine); チオテパ(Thiotepa); チアゾフリン(Tiazofurin); チラパザミン(Tirapazamine); トポテカン; トレミフェン(Toremifene); トレストロン(Trestolone); トリシリビン(Triciribine); トリメテルキセート(Trimeterxate); トリプトレリン(Triptorelin); ツブロゾール(Tubulozole); ウラシルマスタード(Uracil Mustard); ウレデパ(Uredepa); バプレオチド(Vapreotide); ベルテポルフィン(Verteporfin); ビンブラスチン; ビンクリスチン; ビンデシン(Vindesine); ビネピジン(Vinepidine); ビングリシネート(Vinglycinate); ビンレウロシン(Vinleurosine); ビノレルビン(Vinorelbine); ビンロシジン(Vinrosidine); ビンゾリジン(Vinzolidine); ボロゾール(Vorozole); ゼニプラチン(Zeniplatin); ジノスタチン(Zinostatin); ゾルビシン(Zorubicin)。
【0175】
抗癌剤は、酵素阻害剤、例えば限定するものではないが、チロシンキナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、分裂促進因子活性化タンパク質(MAP) キナーゼ阻害剤、又は上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤であり得る。チロシンキナーゼ阻害剤は、限定するものではないが、ゲニステイン (4',5,7-トリヒドロキシイソフラボン)、チルホスチン(Tyrphostin)25 (3,4,5-トリヒドロキシフェニル)、メチレン]-プロパンジニトリル、ハービマイシン(Herbimycin)A、ダイゼイン(Daidzein)(4',7-ジヒドロキシイソフラボン)、AG-126m、トランス-1-(3'-カルボキシ-4'-ヒドロキシフェニル)-2-(2'',5''-ジヒドロキシ-フェニル)エタン、又はHDBA (2-ヒドロキシ-5-(2,5-ジヒドロキシベンジルアミノ)-2-ヒドロキシ安息香酸であり得る。CDK阻害剤は、限定するものではないが、p21、p27、p57、p15、p16、p18、又はp19であり得る。MAPキナーゼ阻害剤は、限定するものではないが、KY12420 (C.sub.23H.sub.24O.sub.8)、CNI-1493、PD98059、又は4-(4-フルオロフェニル)-2-(4-メチルスルフィニルフェニル)-5-(4-ピリジル) 1H-イミダゾールであり得る。EGFR阻害剤は、限定するものではないが、エルロチニブ(TARCEVA)、ゲフィチニブ(IRESSA)、WH1-P97 (キナゾリン誘導体)、LFM-A12 (レフルノミド代謝物類似体)、ABX-EGF、ラパチニブ、カネルチニブ(canertinib)、ZD-6474 (ZACTIMA)、AEE788、及びAG1458であり得る。
【0176】
抗癌剤は、血管上皮増殖因子(VEGF)阻害剤、例えば限定するものではないが、ベバシズマブ(AVASTIN)、ラニビズマブ(ranibizumab (LUCENTIS)、ペガプタニブ(pegaptanib)(MACUGEN)、ソラフェニブ、スニチニブ(sunitinib)(SUTENT)、バタラニブ(vatalanib)、ZD-6474 (ZACTIMA)、アネコルタブ(RETAANE)、乳酸スクアラミン、及びセマフォリンであり得る。
【0177】
抗癌剤は、抗体又は抗体断片、例えば限定するものではないが、ベバシズマブ(AVASTIN)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、アレムツズマブ(alemtuzumab)(CAMPATH, B細胞慢性リンパ球性白血病に適応)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)(MYLOTARG, hP67.6, 抗-CD33, 急性骨髄性白血病等の白血病に適応)、リツキシマブ(RITUXAN)、トシツモマブ(tositumomab)(BEXXAR, 抗-CD20, B細胞悪性腫瘍に適応)、MDX-210 (HER-2/neu癌遺伝子タンパク質産物及び免疫グロブリンG (IgG)のI型Fc受容体 (FcγRI)に同時に結合する二重特異性抗体)、オレゴブマブ(oregovomab)(OVAREX, 卵巣癌に適応)、エドレコロマブ(edrecolomab)(PANOREX)、ダクリズマブ(daclizumab)(ZENAPAX)、パリビズマブ(SYNAGIS, RSV感染症等の呼吸器疾患に適応)、イブリツモマブ・チウキセタン(ibritumomab tiuxetan)(ZEVALIN, 非ホジキンリンパ腫に適応)、セツキシマブ(ERBITUX)、MDX-447、MDX-22、MDX-220 (抗-TAG-72)、IOR-05、IOR-T6 (抗-CD1)、IOR EGF/R3、セロゴバブ(celogovab)(ONCOSCINT OV103)、エプラツズマブ(epratuzumab)(LYMPHOCIDE)、ペンツモマブ(pemtumomab)(THERAGYN)、及びグリオマブ(Gliomab)-H (脳腫瘍、黒色腫に適応)を含む抗体又は抗体断片であり得る。
【0178】
造血性分化誘導剤
薬剤は、造血性前駆細胞の1以上の系統への分化を刺激するものであり得る。例としては、限定するものではないが、IL-3、G-CSF、GM-CSF、M-CSF、トロンボポエチン、エリスロポエチン、WntSA、及びWnt11Aが挙げられる。
【0179】
造血性自己再生剤(Self-Renewing Agent)
薬剤は、造血性前駆細胞の自己再生を刺激するものであり得る。例としては、限定するものではないが、kitリガンド、GSK3-β阻害剤、Wnt5A及びSLF、Notch1活性化剤、Lnk阻害剤、プロスタグランジンE2 (PGE2)及びPGE2経路を刺激する薬剤、例えばPGE2、PGI2、リノール酸、13(s)-HODE、LY171883、ミード酸、エイコサトリエン酸、エポキシエイコサトリエン酸、ONO-259、Cay1039、PGE2受容体アゴニスト、16,16-ジメチルPGE2、19(R)-ヒドロキシPGE2、16,16-ジメチル PGE2 p-(p-アセトアミドベンズアミド)フェニルエステル、11-デオキシ-16,16-ジメチル PGE2、9-デオキシ-9-メチレン-16,16-ジメチルPGE2、9-デオキシ-9-メチレン PGE2、ブタプロスト(Butaprost)、スルプロストン(Sulprostone)、PGE2セリノールアミド(serinol amide)、PGE2メチルエステル、16-フェニルテトラノル(tetranor)PGE2、15(S)-15-メチルPGE2、15(R)-15-メチル PGE2、BIO、8-ブロモ-cAMP、フォルスコリン(Forskolin)、Bapta-AM、フェンジリン(Fendiline)、ニカルジピン、ニフェジピン(Nifedipine)、ピモジド(Pimozide)、ストロファンチジン(Strophanthidin)、ラナトシド(Lanatoside)、L-Arg、ニトロプルシドナトリウム、バナジウム酸ナトリウム(Sodium Vanadate)、ブラジキニン、メベベリン(Mebeverine)、フルランドレノリド(Flurandrenolide)、アテノロール(Atenolol)、ピンドロール(Pindolol)、ガボキサドール(Gaboxadol)、キヌレン酸、ヒドララジン(Hydralazine)、チアベンダゾール(Thiabendazole)、ビククリン(Bicuclline)、ベサミコール(Vesamicol)、ペルボシド(Peruvoside)、イミプラミン(Imipramine)、クロルプロパミド(Chlorpropamide)、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、4-アミノピリジン、ジアゾキシド(Diazoxide)、ベンフォチアミン(Benfotiamine)、12-メトキシドデセン酸(Methoxydodecenoic acid)、N-ホルミル-Met-Leu-Phe、ガラミン(Gallamine)、IAA 94、クロロトリアニセン(Chlorotrianisene)、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0180】
抗感染剤
薬剤は、限定するものではないが、抗細菌剤(例えば抗マイコバクテリア剤)、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、及び抗真菌剤を含む抗感染剤であり得る。
【0181】
抗細菌剤は、限定するものではないが、β-ラクタム系抗生物質、ペニシリン類(例えば天然のペニシリン、アミノペニシリン、ペニシリナーゼ抵抗性ペニシリン、カルボキシペニシリン、ウレイドペニシリン)、セファロスポリン類(第一世代、第二世代、及び第三世代セファロスポリン類)、他のβ-ラクタム類(such as imipenem, monobactams)、β-ラクタマーゼ阻害剤、バンコマイシン、アミノグリコシド及びスペクチノマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、リファンピン、メトロニダゾール、ポリミキシン類、スルホンアミド類及びトリメトプリム、又はキノリン類であり得る。
【0182】
他の抗細菌剤は、限定するものではないが、以下のものであり得る:アセダプソン(Acedapsone); アセトスルフォンナトリウム(Acetosulfone Sodium); アラメシン(Alamecin); アレキシジン(Alexidine); アムジノシリン(Amdinocillin); アミドノシリン・ピボキシル(Amdinocillin Pivoxil); アミサイクリン(Amicycline); アミフロキサシン(Amifloxacin); アミフロキサシンメシレート(Amifloxacin Mesylate); アミカシン(Amikacin); 硫酸アミカシン(Amikacin Sulfate); アミノサリチル酸; アミノサリチル酸ナトリウム; アモキシシリン(Amoxicillin); アンホマイシン(Amphomycin); アンピリシン; アンピシリンナトリウム; アパルシリンナトリウム(Apalcillin Sodium); アプラマイシン(Apramycin); アスパルトシン(Aspartocin); 硫酸アストロマイシン(Astromicin Sulfate); アビラマイシン(Avilamycin); アボパルシン(Avoparcin); アジスロマイシン(Azithromycin); アズロシリン(Azlocillin); アズロシリンナトリウム(Azlocillin Sodium); 塩酸バカンピシリン(Bacampicillin Hydrochloride); バシトラシン(Bacitracin); バシトラシンメチレンジサリシレート(Bacitracin Methylene Disalicylate); バシトラシン亜鉛(Bacitracin Zinc); バンベルマイシン類(Bambermycins); ベンゾイルパスカルシウム(Benzoylpas Calcium); ベリスロマイシン(Berythromycin); 硫酸ベタマイシン(Betamicin Sulfate); ビアペネム(Biapenem); ビニラマイシン(Biniramycin); 塩酸ビフェナミン(Biphenamine Hydrochloride); ビスピリチオン・マグスルフェクス(Bispyrithione Magsulfex); ブチカシン(Butikacin); 硫酸ブチロシン(Butirosin Sulfate); 硫酸カプレオマイシン(Capreomycin Sulfate); カルバドクス(Carbadox); カルベニシリン二ナトリウム(Carbenicillin Disodium); カルベニシリンインダニルナトリウム(Carbenicillin Indanyl Sodium); カルベニシリンフェニルナトリウム(Carbenicillin Phenyl Sodium); カルベニシリンカリウム(Carbenicillin Potassium); カルモナムナトリウム(Carumonam Sodium); セファクロル(Cefaclor); セファドロキシル(Cefadroxil); セファマンドール(Cefamandole); セファマンドールナフェート(Cefamandole Nafate); セファマンドールナトリウム(Cefamandole Sodium); セファパロール(Cefaparole); セファトリジン(Cefatrizine); セファザフロルナトリウム(Cefazaflur Sodium); セファゾリン(Cefazolin); セファゾリンナトリウム(Cefazolin Sodium); セフブペラゾン(Cefbuperazone); セフジニル(Cefdinir); セフェピム; 塩酸セフェピム; セフェテコール(Cefetecol); セフィキシム(Cefixime); 塩酸セフメノキシム(Cefmenoxime Hydrochloride); セフメタゾール(Cefmetazole); セフメタゾールナトリウム(Cefmetazole Sodium); セフォニシド一ナトリウム(Cefonicid Monosodium); セフォニシドナトリウム(Cefonicid Sodium); セフォペラゾンナトリウム(Cefoperazone Sodium); セフォラニド(Ceforanide); セフォタキシムナトリウム(Cefotaxime Sodium); セフォテタン(Cefotetan); セフォテタン二ナトリウム(Cefotetan Disodium); 塩酸セフォチアム(Cefotiam Hydrochloride); セフォキシチン(Cefoxitin); セフォキシチンナトリウム(Cefoxitin Sodium); セフピミゾール(Cefpimizole); セフピミゾールナトリウム(Cefpimizole Sodium); セフピラミド(Cefpiramide); セフピラミドナトリウム(Cefpiramide Sodium); 硫酸セフピロム(Cefpirome Sulfate); セフポドキシム・プロキセチル(Cefpodoxime Proxetil); セフプロジル(Cefprozil); セフロキサジン(Cefroxadine); セフスロジンナトリウム(Cefsulodin Sodium); セフタジジム(Ceftazidime); セフチブテン(Ceftibuten); セフチゾキシムナトリウム(Ceftizoxime Sodium); セフトリアクソンナトリウム(Ceftriaxone Sodium); セフロキシム(Cefuroxime); セフロキシム・アキセチル(Cefuroxime Axetil); セフロキシム・ピボキセチル(Cefuroxime Pivoxetil); セフロキシムナトリウム(Cefuroxime Sodium); セファセトリルナトリウム(Cephacetrile Sodium); セファレキシン(Cephalexin); 塩酸セファレキシン(Cephalexin Hydrochloride); セファログリシン(Cephaloglycin); セファロリジン(Cephaloridine); セファロチンナトリウム(Cephalothin Sodium); セファピリンナトリウム(Cephapirin Sodium); セフラジン(Cephradine); 塩酸セトサイクリン(Cetocycline Hydrochloride); セトフェニコール(Cetophenicol); クロラムフェニコール; クロラムフェニコールパルミテート; クロラムフェニコール・パントテン酸複合体; クロラムフェニコールナトリウムスクシネート; クロルヘキシジンフォスファニレート(Chlorhexidine Phosphanilate); クロロキシレノール(Chloroxylenol); 硫酸水素クロルテトラサイクリン(Chlortetracycline Bisulfate); 塩酸クロルテトラサイクリン; シノキサシン(Cinoxacin); シプロフロキサシン(Ciprofloxacin); 塩酸シプロフロキサシン(Ciprofloxacin Hydrochloride); シロレマイシン(Cirolemycin); クラリスロマイシン(Clarithromycin); 塩酸クリナフロキサシン(Clinafloxacin Hydrochloride); クリンダマイシン; 塩酸クリンダマイシン; 塩酸パルミチン酸クリンダマイシン; リン酸クリンダマイシン; クロファジミン(Clofazimine); クロキサシリンベンザチン(Cloxacillin Benzathine); クロキサシリンナトリウム(Cloxacillin Sodium); クロキシキン(Cloxyquin); コリスチメタンナトリウム(Colistimethate Sodium); 硫酸コリスチン(Colistin Sulfate); クメルマイシン(Coumermycin); クメルマイシンナトリウム(Coumermycin Sodium); シクラシリン(Cyclacillin); シクロセリン(Cycloserine); ダルフォプリスチン(Dalfopristin); ダプゾン(Dapsone); ダプトマイシン(Daptomycin); デメクロサイクリン(Demeclocycline); 塩酸デメクロサイクリン(Demeclocycline Hydrochloride); デメサイクリン(Demecycline); デノフンジン(Denofungin); ジアベリジン(Diaveridine); ジクロキサシリン(Dicloxacillin); ジクロキサシリンナトリウム(Dicloxacillin Sodium); 硫酸ジヒドロストレプトマイシン(Dihydrostreptomycin Sulfate); ジピリチオン(Dipyrithione); ジリスロマイシン(Dirithromycin); ドキシサイクリン; ドキシサイクリンカルシウム; ドキシサイクリン・フォスファテックス(Doxycycline Fosfatex); ドキシサイクリンヒクレート(Doxycycline Hyclate); ドロキサシンナトリウム(Droxacin Sodium); エノキサシン(Enoxacin); エピシリン(Epicillin); 塩酸エピテトラサイクリン(Epitetracycline Hydrochloride); エリスロマイシン; エリスロマイシンアシストレート(Erythromycin Acistrate); エリスロマイシンエストレート(Erythromycin Estolate); エリスロマイシンエチルスクシネート(Erythromycin Ethylsuccinate); エリスロマイシングルセプテート(Erythromycin Gluceptate); エリスロマイシンラクトビオネート(Erythromycin Lactobionate); エリスロマイシンプロピオネート(Erythromycin Propionate); エリスロマイシンステアレート(Erythromycin Stearate); 塩酸エタンブトール(Ethambutol Hydrochloride); エチオナミド(Ethionamide); フレロキサシン(Fleroxacin); フロキサシリン(Floxacillin); フルダラニン(Fludalanine); フルメキン(Flumequine); フォスフォマイシン(Fosfomycin); ホスフォマイシン・トロメタミン(Fosfomycin Tromethamine); フモキシシリン(Fumoxicillin); 塩化フラゾリウム(Furazolium Chloride); 酒石酸フラゾリウム(Furazolium Tartrate); フシデートナトリウム(Fusidate Sodium); フシジン酸; 硫酸ゲンタマイシン; グロキシモナム(Gloximonam); グラミシジン; ハプロプロギン(Haloprogin); ヘタシリン(Hetacillin); ヘタシリンカリウム(Hetacillin Potassium); ヘキセジン(Hexedine); イバフロキサシン(Ibafloxacin); イミペネム(Imipenem); イソコナゾール; イセパマイシン(Isepamicin); イソニアジド; ジョサマイシン; 硫酸カナマイシン; キタサマイシン(Kitasamycin); レボフルラルタドン(Levofuraltadone); レボプロピルシリンカリウム(Levopropylcillin Potassium); レキシスロマイシン(Lexithromycin); リンコマイシン(Lincomycin); 塩酸リンコマイシン(Lincomycin Hydrochloride); ロメフロキサシン(Lomefloxacin); 塩酸ロメフロキサシン(Lomefloxacin Hydrochloride); ロメフロキサシンメシレート(Lomefloxacin Mesylate); ロラカルベフ(Loracarbef); メファニド(Mafenide); メクロサイクリン(Meclocycline); メクロサイクリンスルホサリシレート(Meclocycline Sulfosalicylate); リン酸メガロマイシンカリウム(Megalomicin Potassium Phosphate); メキドックス(Mequidox); メロペネム(Meropenem); メタサイクリン(Methacycline); 塩酸メタサイクリン(Methacycline Hydrochloride); メテナミン; 馬尿酸メテナミン; マンデル酸メテナミン; メチシリンナトリウム; メチオプリム(Metioprim); 塩酸メトロニダゾール(Metronidazole Hydrochloride); リン酸メトロニダゾール(Metronidazole Phosphate); メズロシリン(Mezlocillin); メズロシリンナトリウム(Mezlocillin Sodium); ミノサイクリン; 塩酸ミノサイクリン; 塩酸ミリンカマイシン(Mirincamycin Hydrochloride); モネンシン(Monensin); モネンシンナトリウム(Monensin Sodium); ナフシリンナトリウム(Nafcillin Sodium); ナリジキセートナトリウム(Nalidixate Sodium); ナリジクス酸; ナタマイシン; ネブラマイシン(Nebramycin); パルミチン酸ネオマイシン(Neomycin Palmitate); 硫酸ネオマイシン(Neomycin Sulfate); ウンデシレン酸ネオマイシン(Neomycin Undecylenate); 硫酸ネチマイシン(Netilmicin Sulfate); ニュートラマイシン(Neutramycin); ニフラデン(Nifuradene); ニフラルデゾン(Nifuraldezone); ニフラテル(Nifuratel); ニフラトロン(Nifuratrone); ニフルダジル(Nifurdazil); ニフリミド(Nifurimide); ニフルピリノール(Nifurpirinol); ニフルキナゾール(Nifurquinazol); ニフルチアゾール(Nifurthiazole); ニトロサイクリン(Nitrocycline); ニトロフラントイン(Nitrofurantoin); ニトロミド(Nitromide); ノルフロキサシン(Norfloxacin); ノボビオシンナトリウム(Novobiocin Sodium); オフロキサシン(Ofloxacin); オルメトプリム(Ormetoprim); オキサシリンナトリウム(Oxacillin Sodium); オキシモナム(Oximonam); オキシモナムナトリウム(Oximonam Sodium); オキソリン酸; オキシテトラサイクリン; オキシテトラサイクリンカルシウム; 塩酸オキシテトラサイクリン; パルジマイシン(Paldimycin); パラクロロフェノール(Parachlorophenol); パウロマイシン(Paulomycin); ペフロキサシン(Pefloxacin); ペフロキサシンメシレート(Pefloxacin Mesylate); ペナメシリン(Penamecillin); ペニシリンG ベンザチン(Benzathine); ペニシリン G カリウム; ペニシリン G プロカイン; ペニシリン G ナトリウム; ペニシリン V; ペニシリン V ベンザチン; ペニシリン V ヒドラバミン; ペニシリン V カリウム; ペンチジドンナトリウム(Pentizidone Sodium); フェニルアミノサリシレート(Phenyl Aminosalicylate); ピペラシリンナトリウム(Piperacillin Sodium); ピルベニシリンナトリウム(Pirbenicillin Sodium); ピリジシリンナトリウム(Piridicillin Sodium); 塩酸ピルリマイシン(Pirlimycin Hydrochloride); 塩酸ピバンピシリン(Pivampicillin Hydrochloride); ピバンピシリンパモエート(Pivampicillin Pamoate); ピバンピシリンプロベネート(Pivampicillin Probenate); 硫酸ポリミキシン B; ポルフィロマイシン(Porfiromycin); プロピカシン(Propikacin);
ピラジナミド(Pyrazinamide); ピリチオン亜鉛; 酢酸キンデカミン(Quindecamine Acetate); キヌプリスチン(Quinupristin); ラセファニコール(Racephenicol); ラモプラニン(Ramoplanin); ラニマイシン(Ranimycin); レロマイシン(Relomycin); レプロマイシン; リファブチン; リファメタン(Rifametane); リファメキシル(Rifamexil); リファミド(Rifamide); リファンピン; リファペンチン(Rifapentine); リファキシミン; ロリテトラサイクリン; 硝酸ロリテトラサイクリン; ロサラマイシン(Rosaramicin); ロサラマイシンブチレート(Rosaramicin Butyrate); ロサラマイシンプロピオネート(Rosaramicin Propionate); リン酸ロサラマイシンナトリウム(Rosaramicin Sodium Phosphate); ロサラマイシンステアレート(Rosaramicin Stearate); ロソキサシン(Rosoxacin); ロキサルソン(Roxarsone); ロキシスロマイシン(Roxithromycin); サンサイクリン(Sancycline); サンフェトリネムナトリウム(Sanfetrinem Sodium); サルモキシシリン(Sarmoxicillin); サルピシリン(Sarpicillin); スコパフンジン(Scopafungin); シソマイシン(Sisomicin); 硫酸シソマイシン(Sisomicin Sulfate); スパルフロキサシン(Sparfloxacin); 塩酸スペクチノマイシン(Spectinomycin Hydrochloride); スピラマイシン(Spiramycin); 塩酸スタリマイシン(Stallimycin Hydrochloride); ステフィマイシン(Steffimycin); 硫酸ストレプトマイシン; ストレプトニゴジド(Streptonicozid); スルファベンズ(Sulfabenz); スルファベンズアミド(Sulfabenzamide); スルフアセトアミド(Sulfacetamide); スルフアセトアミドナトリウム(Sulfacetamide Sodium); スルファシチン(Sulfacytine); スルファジアジン(Sulfadiazine); スルファジアジンナトリウム(Sulfadiazine Sodium); スルファドキシン(Sulfadoxine); スルファレン(Sulfalene); スルファメラジン(Sulfamerazine); スルファメテル(Sulfameter); スルファメタジン(Sulfamethazine); スルファメチゾール(Sulfamethizole); スルファメトキサゾール(Sulfamethoxazole); スルファモノメトキシン(Sulfamonomethoxine); スルファモクソール(Sulfamoxole); スルファニレート亜鉛(Sulfanilate Zinc); スルファニトラン(Sulfanitran); スルファス・アラジン(Sulfas alazine); スルファソミゾール(Sulfasomizole); スルファチアゾール(Sulfathiazole); スルファザメト(Sulfazamet); スルフイソキサゾール(Sulfisoxazole); スルフイソキサゾールアセチル(Sulfisoxazole Acetyl); スルフイソキサゾールジオラミン(Sulfisoxazole Diolamine); スルフォミキシン(Sulfomyxin); スロペネム(Sulopenem); スルタミシリン(Sultamicillin); スンシリンナトリウム(Suncillin Sodium); 塩酸タランピシリン(Talampicillin Hydrochloride); テイコプラニン(Teicoplanin); 塩酸テマフロキサシン(Temafloxacin Hydrochloride); テモシリン(Temocillin); テトラサイクリン; 塩酸テトラサイクリン; テトラサイクリン・リン酸複合体(Tetracycline Phosphate Complex); テトロクソプリム(Tetroxoprim); チアムフェニコール(Thiamphenicol); チフェニシリンカリウム(Thiphencillin Potassium); チカルシリンクレシルナトリウム(Ticarcillin Cresyl Sodium); チカルシリン二ナトリウム(Ticarcillin Disodium); チカルシリン一ナトリウム(Ticarcillin Monosodium); チクラトン(Ticlatone); 塩化チオドニウム(Tiodonium Chloride); トブラマイシン(Tobramycin); 硫酸トブラマイシン(Tobramycin Sulfate); トスフロキサシン(Tosufloxacin); トリメトプリム(Trimethoprim); 硫酸トリメトプリム(Trimethoprim Sulfate); トリスルファピリミジン類(Trisulfapyrimidines); トロレアンドマイシン(Troleandomycin); 硫酸トロスペクトマイシン(Trospectomycin Sulfate); チロスリシン(Tyrothricin); バンコマイシン; 塩酸バンコマイシン; バージニアマイシン(Virginiamycin); 又はゾルバマイシン(Zorbamycin)。抗マイコバクテリア剤は、限定するものではないが、以下のものであり得る:ミアブトール(Myambutol)(塩酸エタンブトール(Ethambutol Hydrochloride))、ダプソン(Dapsone)(4,4'-ジアミノジフェニルスルホン)、ペーサー顆粒(Paser Granules)(アミノサリチル酸顆粒)、プリフチン(Priftin)(リファペンチン(rifapentine))、ピラジナミド(Pyrazinamide)、イソニアジド、リファジン(Rifadin)(リファンピン(Rifampin))、リファジン(Rifadin) IV、リファメート(Rifamate)(リファンピン及びイソニアジド)、リファテール(Rifater)(リファンピン、イソニアジド、及びピラジナミド(Pyrazinamide))、硫酸ストレプトマイシン又はトレカトール(Trecator)-SC (エチオナミド(Ethionamide))。
【0183】
抗ウイルス剤は、限定するものではないが、以下のものであり得る:アマンチジン(amantidine)及びリマンタジン(rimantadine)、リビバリン(ribivarin)、アシクロビル、ビダラビン(vidarabine)、トリフルオロチミジン、ガンシクロビル、ジドブジン(zidovudine)、レチノビル(retinovir)、及びインターフェロン類。抗ウイルス剤は更に、限定するものではないが、以下のものを含み得る:アセマンナン(Acemannan); アシクロビル; アシクロビルナトリウム; アデフォビル(Adefovir); アロブジン(Alovudine); アルビルセプト・スドトクス(Alvircept Sudotox); 塩酸アマンタジン(Amantadine Hydrochloride); アラノチン(Aranotin); アリルドン(Arildone); アテビルジンメシレート(Atevirdine Mesylate); アブリジン(Avridine); シドフォビル(Cidofovir); シパムフィリン(Cipamfylline); 塩酸シタラビン; デラビルジンメシレート(Delavirdine Mesylate); デシクロビル(Desciclovir); ジダノシン(Didanosine); ジソキサリル(Disoxaril); エドクスジン(Edoxudine); エンビラデン(Enviradene); エンビロキシム(Enviroxime); ファムシクロビル(Famciclovir); 塩酸ファモチン(Famotine Hydrochloride); フィアシタビン(Fiacitabine); フィアルリジン(Fialuridine); フサリレート(Fosarilate); フォスカルネットナトリウム(Foscarnet Sodium); フォスフォネットナトリウム(Fosfonet Sodium); ガンシクロビル; ガンシクロビルナトリウム; イドクスリジン(Idoxuridine); ケトキサール(Kethoxal); ラミブジン(Lamivudine); ロブカビル(Lobucavir); 塩酸メモチン(Memotine Hydrochloride); メチサゾン(Methisazone); ネビラピン(Nevirapine); ペンシクロビル(Penciclovir); ピロダビル(Pirodavir); リバビリン(Ribavirin); 塩酸リマンタジン(Rimantadine Hydrochloride); サキナビルメシレート(Saquinavir Mesylate); 塩酸ソマンタジン(Somantadine Hydrochloride); ソリブジン(Sorivudine); スタトロン(Statolon); スタブジン(Stavudine); 塩酸チロロン(Tilorone Hydrochloride); トリフルリジン(Trifluridine); 塩酸バラシクロビル(Valacyclovir Hydrochloride); ビダラビン(Vidarabine); リン酸ビダラビン(Vidarabine Phosphate); リン酸ビダラビンナトリウム(Vidarabine Sodium Phosphate); ビロキシム(Viroxime); ザルシタビン(Zalcitabine); ジドブジン(Zidovudine); ジンビロキシム(Zinviroxime)又はインテグラーゼ阻害剤。
【0184】
抗真菌剤は、限定するものではないが、イミダゾール及びトリアゾール、ポリエンマクロライド抗生物質、グリセオフルビン、アンホテリシンB、及びフルシトシンであり得る。抗寄生虫剤は、重金属、抗マラリアキノリン類、葉酸アンタゴニスト、ニトロイミダゾール類、ベンズイミダゾール類、アベルメクチン類、プラジカンテル(praxiquantel)、オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤、フェノール類(例えばビチオノール(bithionol)、ニクロサミド(niclosamide)); 合成アルカロイド(例えばデヒドロエメチン(dehydroemetine)); ピペラジン類 (例えばジエチルカルバマジン); アセトアニリド(例えばジオキサニドフロネート(diloxanide furonate)); ハロゲン化キノリン類 (例えばヨードキノール(iodoquinol)(ジヨードヒドロキシキン(diiodohydroxyquin))); ニトロフラン類(nitrofurans)(例えばニフルチモックス(nifurtimox)); ジアミジン類(diamidines) (例えばペンタミジン(pentamidine)); テトラヒドロピリミジン(例えばピランテルパモエート(pyrantel pamoate)); 又は硫酸化ナフチルアミン (例えばスラミン(suramin))であり得る。他の抗感染剤は、限定するものではないが、以下のものであり得る:塩酸ジフロキサシン(Difloxacin Hydrochloride); ラウリルイソキノリニウムブロミド(Lauryl Isoquinolinium Bromide); モクサラクタム二ナトリウム(Moxalactam Disodium); オルニダゾール(Ornidazole); ペンチソマイシン(Pentisomicin); 塩酸サラフロキサシン(Sarafloxacin Hydrochloride); HIV及び他のレトロウイルスのプロテアーゼ阻害剤; HIV及び他のレトロウイルスのインテグラーゼ阻害剤; セファクロル(Cefaclor)(CECLOR); アシクロビル (ZOVIRAX); ノルフロキサシン(Norfloxacin)(NOROXIN); セフォキシチン(Cefoxitin)(MEFOXIN); セフロキシム・アキセチル(Cefuroxime axetil)(CEFTIN); シプロフロキサシン(Ciprofloxacin) (Cipro); 塩酸アミナクリン(Aminacrine Hydrochloride); 塩化ベンゼトニウム: ビチオノレートナトリウム(Bithionolate Sodium); ブロムクロレノン(Bromchlorenone); 過酸化カルバミド; 塩化セタルコニウム(Cetalkonium Chloride); 塩化セチルピリジニウム; 塩酸クロルヘキシジン; クリオキノール(Clioquinol); ドミフェンブロミド(Domiphen Bromide); フェンチクロル(Fenticlor); 塩化フルダゾニウム(Fludazonium Chloride); フクシン(塩基性)(Fuchsin, Basic); フラゾリドン(Furazolidone); ゲンチアナ・バイオレット; ハルキノール類(Halquinols); ヘキサクロロフェン: 過酸化水素; イチタモール(Ichthammol); ヨウ化イミデシル(Imidecyl Iodine); ヨウ素; イソプロピルアルコール; 酢酸マフェニド(Mafenide Acetate); メラレインナトリウム(Meralein Sodium); 塩化メルクフェノール(Mercufenol Chloride); 水銀、アンモニア処理(Mercury, Ammoniated); 塩化メチルベンゼトニウム; ニトロフラゾン(Nitrofurazone); ニトロメルゾール(Nitromersol); 塩酸オクテニジン(Octenidine Hydrochloride); オキシクロロセン(Oxychlorosene); オキシクロロセンナトリウム(Oxychlorosene Sodium); パラクロロフェノール、カンフル化(Parachlorophenol, Camphorated); 過マンガン酸カリウム; ポビドン-ヨウ素(Povidone-Iodine); 塩化セパゾニウム(Sepazonium Chloride); 硝酸銀; スルファジアジン、銀(Sulfadiazine, Silver); シムクロセン(Symclosene); チメルホネートナトリウム(Thimerfonate Sodium); チメロサール; 又はトロクロセンカリウム(Troclosene Potassium)。
【0185】
核酸剤
本発明に従って被験体に送達することが出来る核酸としては、天然若しくは非天然のDNA(cDNA、ゲノムDNA、核DNA、ミトコンドリアDNAを含む)、RNA(mRNA、rRNA、tRNAを含む)、オリゴヌクレオチド、三重へリックス形成分子、免疫刺激性核酸、例えば米国特許第6,194,388号に記載されているもの(免疫刺激性CpG核酸に関するその教示を参照により本明細書中に組み入れる)、遺伝子発現を調節するために使用される小分子干渉RNA(siRNA)若しくはマイクロRNA(miRNA)、遺伝子発現を調節するために使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、遺伝子若しくは遺伝子断片、調節配列、これらの類似体、誘導体、及び組合せが挙げられる。これらの核酸は、例えば標的組織及び/又は細胞への結合及び/又はこれらによる取り込みを容易にするために、そのまま(neat)又は別の分子(entity)と複合体化して投与することができる。
【0186】
抗炎症剤
抗炎症剤は、炎症を低減又は排除する薬剤である。抗炎症剤としては、以下のものが挙げられる:アルクロフェナク(Alclofenac); アルクロメタゾンジプロピオネート(Alclometasone Dipropionate); アルゲステロンアセトニド(Algestone Acetonide); αアミラーゼ; アムシナファル(Amcinafal); アムシナフィド(Amcinafide); アムフェナクナトリウム(Amfenac Sodium); 塩酸アミプリローズ(Amiprilose Hydrochloride); アナキンラ(Anakinra); アニロラク(Anirolac); アニトラザフェン(Anitrazafen); アパゾン(Apazone); バルサラジド二ナトリウム(Balsalazide Disodium); ベンダザック(Bendazac); ベノキサプロフェン(Benoxaprofen); 塩酸ベンジダミン(Benzydamine Hydrochloride); ブロメライン(Bromelains); ブロペラモール(Broperamole); ブデソニド(Budesonide); カルプロフェン(Carprofen); シクロプロフェン(Cicloprofen); シンタゾン(Cintazone); クリプロフェン(Cliprofen); クロベタゾールプロピオネート(Clobetasol Propionate); クロベタゾンブチレート(Clobetasone Butyrate); クロピラック(Clopirac); クロチカゾンプロピオネート(Cloticasone Propionate); コルメタゾンアセテート(Cormethasone Acetate); コルトドキソン(Cortodoxone); デフラザコルト(Deflazacort); デソニド(Desonide); デソキシメタゾン(Desoximetasone); デキサメタゾンジプロピオネート; ジクロフェナクカリウム(Diclofenac Potassium); ジクロフェナクナトリウム(Diclofenac Sodium); ジフロラゾンジアセテート(Diflorasone Diacetate); ジフルミドンナトリウム(Diflumidone Sodium); ジフルニサル(Diflunisal); ジフルプレドネート(Difluprednate); ジフタロン(Diftalone); ジメチルスルホキシド; ドロシノニド(Drocinonide); エンドリゾン(Endrysone); エンリモマブ(Enlimomab); エノリカムナトリウム(Enolicam Sodium); エピリゾール(Epirizole); エトドラク(Etodolac); エトフェナメート(Etofenamate); フェルビナク(Felbinac); フェナモル(Fenamole); フェンブフェン(Fenbufen); フェンクロフェナク(Fenclofenac); フェンクロラク(Fenclorac); フェンドサール(Fendosal); フェンピパロン(Fenpipalone); フェンチアザク(Fentiazac); フラザロン(Flazalone); フルアザコルト(Fluazacort); フルフェナム酸; フルミゾール(Flumizole); フルニソリドアセテート(Flunisolide Acetate); フルニキシン(Flunixin); フルニキシンメグルミン(Flunixin Meglumine); フルオコルチンブチル(Fluocortin Butyl); フルオロメトロンアセテート(Fluorometholone Acetate); フルクアゾン(Fluquazone); フルルビプロフェン(Flurbiprofen); フルレトフェン(Fluretofen); フルチカゾンプロピオネート(Fluticasone Propionate); フラプロフェン(Furaprofen); フロブフェン(Furobufen); ハルシノニド(Halcinonide); ハロベタゾールプロピオネート(Halobetasol Propionate); ハロプレドンアセテート(Halopredone Acetate); イブフェナク(Ibufenac); イブプロフェン; イブプロフェンアルミナム(Ibuprofen Aluminum); イブプロフェンピコノール(Ibuprofen Piconol); イロニダップ(Ilonidap); インドメタシン; インドメタシンナトリウム; インドプロフェン(Indoprofen); インドキソール(Indoxole); イントラゾール(Intrazole); イソフルプレドンアセテート(Isoflupredone Acetate); イソキセパク(Isoxepac); イソキシカム(Isoxicam); ケトプロフェン(Ketoprofen); 塩酸ロフェミゾール(Lofemizole Hydrochloride); ロルノキシカム(Lornoxicam); ロテプレドノールエタボネート(Loteprednol Etabonate); メクロフェナメートナトリウム(Meclofenamate Sodium); メクロフェナム酸; メクロリゾンジブチレート(Meclorisone Dibutyrate); メフェナム酸; メサラミン(Mesalamine); メセクラゾン(Meseclazone); メチルプレドニゾロンスレプタネート(Methylprednisolone Suleptanate); モルニフルメート(Morniflumate); ナブメトン(Nabumetone); ナプロキセン; ナプロキセンナトリウム; ナプロキソル(Naproxol); ニマゾン(Nimazone); オルサラジンナトリウム(Olsalazine Sodium); オルゴテイン(Orgotein); オルパノキシン(Orpanoxin); オキサプロジン(Oxaprozin); オキシフェンブタゾン(Oxyphenbutazone); 塩酸パラニリン(Paranyline Hydrochloride); ペントサンポリスルフェートナトリウム(Pentosan Polysulfate Sodium); フェンブタゾンナトリウムグリセレート(Phenbutazone Sodium Glycerate); ピルフェニドン(Pirfenidone); ピロキシカム(Piroxicam); ピロキシカムシンナメート(Piroxicam Cinnamate); ピロキシカムオラミン(Piroxicam Olamine); ピルプロフェン(Pirprofen); プレドナゼート(Prednazate); プリフェロン(Prifelone); プロドール酸(Prodolic Acid); プロクアゾン(Proquazone); プロキサゾール(Proxazole); プロキサゾールシトレート(Proxazole Citrate); リメキソロン(Rimexolone); ロマザリット(Romazarit); サルコレックス(Salcolex); サルナセジン(Salnacedin); サルサレート(Salsalate); サリシレート類(Salycilates); 塩化サンギナリウム(Sanguinarium Chloride); セクラゾン(Seclazone); セルメタシン(Sermetacin); スドキシカム(Sudoxicam); スリンダク(Sulindac); スプロフェン(Suprofen); タルメタシン(Talmetacin); タルニフルメート(Talniflumate); タロサレート(Talosalate); テブフェロン(Tebufelone); テニダップ(Tenidap); テニダップナトリウム(Tenidap Sodium); テノキシカム(Tenoxicam); テシカム(Tesicam); テシミド(Tesimide); テトリダミン(Tetrydamine); チオピナク(Tiopinac); チクソコルトールピバレート(Tixocortol Pivalate); トルメチン(Tolmetin); トルメチンナトリウム(Tolmetin Sodium); トリクロニド(Triclonide); トリフルミデート(Triflumidate); ジドメタシン(Zidometacin); グルココルチコイド; ゾメピラクナトリウム(Zomepirac Sodium)。
【0187】
他の薬剤
薬剤は、限定するものではないが、以下のものであり得る:アドレナリン作動薬; 副腎皮質ステロイド; 副腎皮質抑制剤(adrenocortical suppressant); 嫌酒薬; アルドステロンアンタゴニスト; アンモニア解毒剤; アミノ酸; 筋萎縮性側索硬化症薬; 同化剤; 中枢神経興奮剤; 鎮痛剤; アンドロゲン; 麻酔剤; 食欲減退薬(anorectic); 食欲抑制薬(anorexic); 下垂体前葉活性化剤; 下垂体前葉抑制剤; 駆虫薬; 抗アクネ薬; 抗アドレナリン作用薬; 抗アレルギー剤; 抗アメーバ薬; 抗アンドロゲン薬; 抗貧血薬; 抗狭心症薬; 抗不安薬; 抗関節炎薬; β-アドレナリン作動薬等の抗ぜんそく薬、メチルキサンチン類(methylxanthines)、肥満細胞安定化薬、抗コリン作用薬、グルココルチコイド等の副腎皮質ステロイド; 抗アテローム性動脈硬化薬; 抗胆石薬(anticholelithic); 抗胆石形成物薬(anticholelithogenic); 抗コリン作用薬; 抗凝固剤; 抗コクシジウム薬; 抗けいれん剤; 抗うつ薬; 抗糖尿病薬; 下痢止め薬; 抗利尿薬; 解毒薬; 抗運動障害薬(antidyskinetic); 制吐薬; 抗てんかん薬; 抗エストロゲン; 抗線維素溶解薬; 抗緑内障薬; 抗出血薬(antihemorrhagic); 抗ヘモレオロジー薬(antihemorrheologic); 抗ヒスタミン剤; 抗脂質異常症薬; 抗高リポタンパク血症薬; 抗高血圧薬; 抗低血圧薬; 抗感染剤; 抗炎症剤; 抗角化剤(antikeratinizing agent); 抗片頭痛薬; 抗有糸分裂薬; 抗真菌薬; 制吐薬; 抗好中球減少薬(antineutropenic); 抗強迫症薬(antiobsessional agent); 抗酸化剤; 抗パーキンソン病薬; 逆蠕動薬; 抗ニューモシスチス薬(antipneumocystic); 抗前立腺肥大薬(antiprostatic hypertrophy agent); 抗原虫薬; 痒み止め薬; 乾癬治療薬; 抗精神病薬; 抗リウマチ薬; 抗住血吸虫薬; 抗脂漏薬; 抗分泌薬; 抗けいれん剤(antispasmodic); 抗血栓剤; 鎮咳薬; 抗潰瘍薬; 抗尿路結石薬; 食欲抑制剤(appetite suppressant); 血中グルコース調節剤; 骨吸収阻害剤; 気管支拡張剤; 炭酸脱水酵素阻害剤; 心抑制薬; 心保護薬(cardioprotectant); 強心剤; 心・血管作動薬; 脳虚血治療薬; 胆汁分泌促進薬; コリン作動薬(cholinergic); コリン作動薬(cholinergic agonist); コリンエステラーゼ不活性化剤; 抗コクシジウム剤; 認知機能補助剤(cognition adjuvant); 認知機能促進剤(cognition enhancer); 結膜炎治療剤; 造影剤(contrast agent); 抑制薬; 診断助剤; 利尿薬; ドーパミン作動薬; 外部寄生虫撲滅薬; 吐剤; 酵素阻害剤; エストロゲン; エストロゲン受容体アゴニスト; 線維素溶解薬; 蛍光剤; 遊離酸素ラジカルスカベンジャー; 胃酸抑制剤; 胃腸運動促進剤(gastrointestinal motility effector); 老人病治療薬(geriatric agent); グルココルチコイド; 生殖腺刺激剤(gonad-stimulating principle); 毛髪成長刺激薬; 止血薬; 植物性活性剤; ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト; ホルモン; コレステロール低下剤; 血糖降下薬; 脂質低下薬; 降圧薬; HMGCoAレダクターゼ阻害剤; インポテンス治療補助薬; 炎症性腸疾患薬; 角質溶解薬; LHRH アゴニスト; 肝臓疾患治療薬; ルテオリジン(luteolysin); 記憶補助薬(memory adjuvant); 知的能力向上剤; ミネラル; 気分安定薬; 粘液溶解薬; 粘膜保護薬; 多発性硬化症薬; 散瞳薬; 鼻充血除去薬; 神経弛緩薬; 神経筋遮断薬; 神経保護薬; NMDA アンタゴニスト; 非ホルモン性ステロール誘導剤; 栄養素; 子宮収縮剤; パジェット病薬; プラスミノーゲンアクチベーター; 血小板活性化因子アンタゴニスト; 血小板凝集阻害剤; 脳卒中後及び頭部外傷後の薬剤(post-stroke and post-head trauma agents); プロゲスチン; プロスタグランジン; 前立腺増殖阻害剤(prostate growth inhibitor); プロチロトロピン(prothyrotropin); 向精神薬; 放射活性剤; 弛緩薬; 鼻炎治療薬; 疥癬虫殺虫剤; 硬化剤; 鎮静剤; 催眠鎮静薬; 選択的アデノシンA1アンタゴニスト; 金属イオン封鎖剤; セロトニンアンタゴニスト; セロトニン阻害剤; セロトニン受容体アンタゴニスト; ステロイド; 興奮剤; 抑制剤; 甲状腺ホルモン; 抗甲状腺薬; 甲状腺ホルモン様剤; 精神安定剤; 不安定狭心症薬; 尿酸排泄剤; 血管収縮剤; 血管拡張剤; 傷薬; 創傷治療薬; 又はキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
【0188】
被験体
本発明は、本明細書中で想定される薬剤の送達による利益を受け得る事実上任意のタイプの被験体で実施することができる。一部の実施形態において、被験体はヒトである。被験体にはまた、動物、例えばペット(例えばイヌ、ネコ、ウサギ、フェレット等)、家畜(例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ及び他の家禽類)、サラブレッド等のウマ、及び実験動物(例えばマウス、ラット、ウサギ)が含まれる。被験体はまた、魚類及び他の水生動物種を含む。
【0189】
薬剤が送達される被験体は、正常の被験体であり得る。あるいはまた、被験体は、診断され得る症状を有するか若しくは発症するリスクを有する、又は1種以上の特定の薬剤の送達による利益を受け得るものであっても良い。一部の実施形態において、本明細書に記載される脂質二重層間に架橋を有し、1種以上の薬剤を含むマルチラメラ脂質ベシクルを投与される被験体に、免疫調節剤は投与されない。一部の実施形態において、本明細書に記載される脂質二重層間に架橋を有し、1種以上の薬剤(例えば1種以上のHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド))を含むマルチラメラ脂質ベシクルを投与される被験体に、1種以上の免疫調節剤も投与され、ここで免疫調節剤はCT-011抗体ではない。一部の実施形態において、一部の被験体は、除去されていない(un-cleared)HPV感染について陽性反応を示す。
【0190】
そのような症状としては、癌(例えば固形腫瘍癌又は非固形癌、例えば白血病)、感染症(身体の特定の領域又は組織に局在する感染症を含む)、自己免疫疾患、アレルギー又はアレルギー状態、喘息、及び移植拒絶が挙げられる。
【0191】
本発明に包含される状態を診断するための試験は当分野において公知であり、通常の医師にはよく知られているであろう。これらの実験室での試験としては、限定するものではないが、内視鏡検査、直接可視化、顕微鏡解析、培養に依存する試験(培養等)、及び拡散検出試験が挙げられる。これらには、湿式マウント、染色増幅顕微鏡検査(stain-enhanced microscopy)、免疫顕微鏡検査 (例えばFISH)、ハイブリダイゼーション顕微鏡検査、粒子凝集、酵素結合イムノソルベントアッセイ、尿スクリーニング検査、DNAプローブハイブリダイゼーション、及び血清学的検査が含まれる。医師であれば、一般的に、上記の実験室での試験の実施に加え、病歴(history)を十分考慮し、完全な身体検査を実施するであろう。
【0192】
癌を有する被験体は、検出可能な癌細胞を有する被験体である。癌を発症するリスクを有する被験体は、癌を発症する通常よりも高い確率を有する被験体、例えばその組織がHPVについて陽性反応を示す被験体である。HPVについての試験は、例えばPap塗抹試験又はHPV DNA試験を使用して実施することができる。これらの被験体には、例えば癌を発症する高い可能性と関連することが実証されている遺伝的異常を有する被験体、癌に対して家族性の素因を有する被験体、癌を引き起こす薬剤(すなわち発癌性物質)、例えばタバコ、アスベスト、又は他の化学的毒素に暴露した被験体、及び以前に癌の治療を受けて見かけ上寛解状態にある被験体が含まれる。
【0193】
感染症を有する被験体は、限定するものではないが、発熱、悪寒、筋肉痛、光恐怖症、咽頭炎、急性リンパ節症、脾腫、胃腸障害、白血球増加症若しくは白血球減少症を含むこれらの症状を示す被験体、及び/又は感染性病原体若しくはその副生物が検出できる被験体である。
【0194】
感染症を発症するリスクを有する被験体は、感染性病原体に暴露するリスクを有する被験体である。そのような被験体としては、そのような病原体が存在することが知られており、そのような感染症が一般的である地域に居住している被験体が挙げられる。これらの被験体にはまた、針の共有、避妊なしの性的行為、感染被験体サンプルへの日常的な接触(例えば医師)等のリスクの高い行為を行っている被験体、限定するものではないが開腹手術を含む手術を行った人々が含まれる。
【0195】
被験体は、細菌感染(例えばマイコバクテリア感染)、ウイルス感染、真菌感染、又は寄生虫感染等の感染症を有するか、又は感染症を発症するリスクを有し得る。これらの実施形態において、ベシクルは、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤等の抗微生物薬を含むことができ、細胞担体(例えばT細胞)は、感染症に対する免疫応答を刺激し、又は感染症を潜在的に治療する上で有用な他の薬剤を産生するように遺伝子操作することができる。
【0196】
癌
本発明は、例えば固形腫瘍癌を含む癌を有するか、又は癌を発症するリスクを有する被験体に、本発明のベシクルを使用して薬剤を投与することを想定する。薬剤は、抗癌剤、例えば化学療法剤、抗体ベースの治療剤、ホルモンベースの治療剤、及び酵素阻害剤であって良く、及び/又は薬剤は免疫刺激剤、例えば抗原(例えば癌抗原)及び/若しくはアジュバントであって良く、及び/又は薬剤は診断薬(例えば造影剤)若しくは本明細書中に記載される他の薬剤のいずれかであっても良い。本発明は、本発明のベシクルが、単独又は組み合わせにおいて、より多量のこれらの薬剤をこれらの被験体に送達すること、及び/又はゆっくりした安定な放出プロファイルを介して被験体のこれらの薬剤への長期間の暴露を可能とすることができことを想定する。
【0197】
癌は、癌腫、肉腫又は黒色腫であり得る。肉腫は、骨(骨肉腫)及び軟組織(線維肉腫)で生じるまれな間葉系新生物である。肉腫としては、限定するものではないが、脂肪肉腫(粘液型脂肪肉腫及び多形型脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫、神経線維肉腫、又は神経肉腫とも呼ばれる)、ユーイング腫瘍(骨のユーイング肉腫、骨外性(すなわち骨ではない) ユーイング肉腫、及び未分化神経外胚葉性腫瘍を含む)、滑膜肉腫、血管肉腫(angiosarcomas)、血管肉腫(hemangiosarcomas)、リンパ管肉腫、カポジ肉腫、血管内皮腫、類腱腫 (侵襲性線維腫症とも呼ばれる)、隆起性皮膚線維肉腫 (DFSP)、悪性線維性組織球腫 (MFH)、血管周囲細胞腫、悪性間葉腫、胞巣状軟部肉腫、類上皮肉腫、明細胞肉腫、線維形成性小細胞腫瘍(desmoplastic small cell tumor)、消化管間質腫瘍(GIST) (GI間質肉腫としても知られる)、及び軟骨肉腫が挙げられる。黒色腫は皮膚及び他の器官のメラノサイトシステムから生じる腫瘍である。黒色腫の例としては、限定するものではないが、悪性黒子型黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、及び末端性黒子性黒色腫が挙げられる。癌は固形腫瘍リンパ腫であり得る。例としては、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、及びB細胞リンパ腫が挙げられる。
【0198】
癌は、限定するものではないが、子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、頭頸部癌、口腔咽頭癌、陰茎癌、膣癌、ウイルス誘発癌、膀胱癌、膵癌、肺癌、肝臓癌、卵巣癌、結腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、乳癌、前立腺癌、腎臓癌、白血病、肉腫、癌腫、基底細胞癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、多発性骨髄腫(MM)、赤白血病、腎細胞癌、肉腫、黒色腫、星細胞腫、乏突起星細胞腫、胆道癌、絨毛癌、CNS癌、喉頭癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、腺癌、巨(又は燕麦)細胞癌、扁平上皮癌、口腔癌、皮膚癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、直腸癌、呼吸器系の癌、泌尿器系の癌、消化器系の癌、骨癌、脳腫瘍、大腸癌、結合組織癌、子宮内膜癌、眼癌、胃癌、上皮内新生物、黒色腫神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、及び横紋筋肉腫から選択される。
【0199】
これらの癌の1種以上を治療するために、本発明の組成物は、それを必要とする患者に投与される薬剤を含む治療的有効量のベシクル(例えばICMV)を含み得る。本明細書において使用する場合、用語「治療的有効量」は、所望の治療効果を達成するのに有効な量をいう。特に、治療的有効量は、有害な副作用を回避する。本明細書に記載する実施例及び図面は、固形腫瘍のためのマウスモデルの治療におけるE6又はE7ペプチドを含むICMV(E6-ICMV及びE7-ICMV)の有効性を更に実証する。
【0200】
感染症
本発明は、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、寄生虫感染若しくはマイコバクテリア感染等の感染症を有するか、又は感染症を発症するリスクを有する被験体に、本発明のベシクルを使用して薬剤を投与することを想定する。薬剤は、抗感染剤、例えば抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、及び抗マイコバクテリア剤、免疫刺激剤、例えば抗原(例えば細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、及びマイコバクテリア抗原等の微生物抗原)、及び/又はアジュバント、診断薬(例えば造影剤)、又は本明細書に記載される任意の他の薬剤であり得る。本発明は、本発明のベシクルが、単独又は組み合わせにおいて、より多量のこれらの薬剤をこれらの被験体に送達すること、及び/又はゆっくりした安定な放出プロファイルを介して被験体のこれらの薬剤への長期間の暴露を可能とすることができることを想定する。
【0201】
細菌感染は、限定するものではないが、大腸菌感染、ブドウ球菌感染、連鎖球菌感染、シュードモナス菌感染、クロストリジウム・ディフィシル感染、レジオネラ菌感染、肺炎球菌感染、ヘモフィルス感染、クレブシエラ菌感染、エンテロバクター属菌感染、シトロバクター属菌感染、ナイセリア感染、シゲラ菌感染、サルモネラ菌感染、リステリア菌感染、パスツレラ菌感染、連鎖桿菌感染、らせん菌感染、トレポネーマ属菌感染、アクチノミセス属菌感染、ボレリア属菌感染、コリネバクテリア菌感染、ノカルジア菌感染、ガルドネレラ属菌感染、カンピロバクター菌感染、スピロヘータ属菌感染、プロテウス属菌感染、バクテロイデス属菌(Bacteriodes)感染、ピロリ菌感染、又は炭疽菌感染であり得る。
【0202】
マイコバクテリア感染は、限定するものではないが、結核菌(M. tuberculosis)及びらい菌(M. leprae)の種によってそれぞれ引き起こされる結核又はハンセン病であり得る。
【0203】
ウイルス感染は、限定するものではないが、単純ヘルペスウイルス1感染、単純ヘルペスウイルス2感染、サイトメガロウイルス感染、A型肝炎ウイルス感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、ヒトパピローマウイルス感染、エプスタイン・バーウイルス感染、ロタウイルス感染、アデノウイルス感染、インフルエンザウイルス感染、A型インフルエンザウイルス感染、H1N1(ブタインフルエンザ)感染、呼吸器合胞体ウイルス感染、水痘帯状疱疹ウイルス感染、天然痘感染、サル痘感染、SARS感染又は鳥インフルエンザ感染であり得る。
【0204】
真菌感染は、限定するものではないが、カンジダ症、白癬、ヒストプラスマ症、ブラストミセス症、パラコクシジオイデス症、クリプトコッカス症(crytococcosis)、アスペルギルス症、クロモミコーシス、菌腫感染症、シュードアレシェリア症、又は癜風菌感染であり得る。
【0205】
寄生虫感染は、限定するものではないが、アメーバ症、クルーズ・トリパノソーマ感染、肝臓ジストマ症、リーシュマニア症、マラリア原虫感染、オンコセルカ症、肺吸虫症、トリパノソーマ・ブルーセイ感染、ニューモシスチス感染、膣トリコモナス感染、条虫(Taenia)感染、膜様条虫(Hymenolepsis)感染、エキノコックス感染、住血吸虫症、神経嚢虫症、アメリカ鉤虫感染、又は鞭虫感染であり得る。
【0206】
アレルギー及び喘息
本発明は、アレルギー又は喘息を有するか、又はこれらを発症するリスクを有する被験体への薬剤の投与を想定する。薬剤は、アレルゲン、免疫刺激剤(例えばTh1応答を刺激する薬剤)、免疫阻害剤若しくは免疫抑制剤(例えばTh2応答を阻害する薬剤)、抗炎症剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、IL-4突然変異タンパク質、可溶性IL-4受容体、抗-IL-4抗体、IL-4アンタゴニスト、抗-IL-5抗体、可溶性IL-13受容体-Fc融合タンパク質、抗-IL-9抗体、CCR3アンタゴニスト、CCR5アンタゴニスト、VLA-4阻害剤、及び他のIgEのダウンレギュレーター、例えば限定するものではないが抗-IgE、サイトカイン、例えばTh1サイトカイン(例えばIL-12及びIFN-γ)、ステロイド、例えばコルチコステロイド(プレドニゾロン等)であって良く、及び/又は薬剤は診断薬(例えば造影剤)、又は本明細書に記載の他の薬剤のいずれかであり得る。本発明は、本発明のベシクルが、単独で若しくは組み合わせて、これらの被験体にこれらの薬剤をより多量に送達できること、及び/又は被験体をゆっくりで安定した放出プロファイルを介してこれらの薬剤に長時間暴露させることができることを想定する。
【0207】
アレルギーは、アレルゲンに対する獲得過敏性である。アレルギー状態としては、限定するものではないが、湿疹、アレルギー性鼻炎若しくは鼻風邪、花粉症、気管支喘息、じんましん及び食品アレルギー、及び他のアトピー性の症状が挙げられる。アレルギーは一般に、無害のアレルゲンに対するIgE抗体の産生によって引き起こされる。喘息は、炎症、気道の閉塞(narrowing)及び吸入した薬剤に対する気道の反応性の上昇を特徴とする、呼吸器系の疾患である。喘息は、必ずではないが、アトピー性又はアレルギー性の症状と関連することが非常に多い。
【0208】
自己免疫疾患
本発明は、自己免疫疾患若しくは障害を有するか、又は発症するリスクを有する被験体に薬剤を投与することを想定する。薬剤は、Th1応答を阻害するもの等の免疫阻害剤若しくは免疫抑制剤、Th2応答を刺激する免疫刺激剤、IL-4、IL-5及びIL-10等のサイトカイン、抗炎症剤であって良く、及び/又は薬剤は診断薬(例えば造影剤)、又は本明細書中に記載される任意の他の薬剤であって良い。本発明は、本発明のベシクルが、単独又は組み合わせにおいて、より多量のこれらの薬剤をこれらの被験体に送達すること、及び/又はゆっくりした安定な放出プロファイルを介して被験体のこれらの薬剤への長期間の暴露を可能とすることができることを想定する。
【0209】
自己免疫疾患は、被験体自身の抗体が宿主組織と反応するか、又は免疫エフェクターT細胞が内在性の自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の破壊を引き起こす疾患のクラスである。従って、免疫応答は、自己抗原と呼ばれる被験体自身の抗原に対して生じる。自己免疫疾患は一般的にTh1傾向であると考えられている。その結果、Th2免疫応答又はTh2様サイトカインの誘導が有益であり得る。
【0210】
自己免疫疾患としては、限定するものではないが、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば尋常性天疱瘡)、グレーブス病(Grave's disease)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体を有する強皮症、混合性結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、糸球体腎炎(例えば半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性、及び自己免疫性真性糖尿病が挙げられる。
【0211】
移植療法
本発明は、細胞移植又は臓器移植を行っている被験体への薬剤の投与を想定する。薬剤は、免疫阻害剤若しくは免疫抑制剤、抗炎症剤であって良く、及び/又は薬剤は診断薬(例えば造影剤)、あるいは本明細書に記載した他の薬剤のいずれかであり得る。本発明は、本発明のベシクルが、単独で若しくは組み合わせて、これらの被験体にこれらの薬剤をより多量に送達できること、及び/又は被験体をゆっくりで安定した放出プロファイルを介してこれらの薬剤に長時間暴露させることができることを想定する。
【0212】
本明細書において提供される組成物及び方法はまた、移植治療後の免疫応答を調節するために使用することもできる。移植の成功は、身体の免疫系による移植された組織の拒絶によって制限されることがしばしばである。その結果、移植のレシピエントは通常、移植された組織の生存を可能にするために、長時間免疫抑制される。本発明は、移植拒絶を最小限にするために、免疫調節剤、特に免疫阻害剤の移植部位への送達を想定する。従って、本発明は、移植を受ける予定の被験体、移植を受けつつある被験体、又は移植を受けた被験体への投与を想定する。
【0213】
上記のリストは網羅的ではなく、むしろ例示的であることを意図するものである。当業者であれば、本発明の方法を使用した予防及び治療に適したそれぞれの状態の型の他の例を特定するであろう。
【0214】
有効量、レジメン、製剤
薬剤は、1種以上のコンジュゲートした薬剤(例えば全長タンパク質抗原等の抗原)を含む安定化したMLVの形態で、かつ有効量で投与される。有効量は、医学的に所望の結果をもたらすのに十分な薬剤の投与量である。有効量は、所望の結果、治療若しくは予防される特定の状態、治療される被験体の年齢及び身体の状態、状態の重症度、治療期間、(使用する場合には)同時若しくは併用療法の性質、具体的な投与経路等の因子によって、医療関係者の知識及び技能の範囲内で変動するであろう。最大投与量、すなわち妥当な医学的判断に従った最高の安全な投与量を使用することが一般的に好ましい。
【0215】
例えば、被験体が腫瘍を有する場合、有効量は、腫瘍体積又は負荷(例えば腫瘍のイメージングによって決定して)を縮小する量であり得る。有効量はまた、血液若しくは他の体液又は組織(例えば生検)中の癌細胞の存在及び/又は頻度によって評価することもできる。腫瘍が組織又は器官の正常な機能に影響している場合には、有効量は、その組織又は器官の正常な機能を測定することによって評価することができる。
【0216】
一部の例では、有効量は、1以上、及び好ましくは全ての症状を軽減するか又は除去するために必要な量である。例えば、アレルギーを有するか、又は喘息発作を経験した被験体では、薬剤の有効量は、アレルギー又は喘息発作と関連する症状を軽減するか又は除去する量であり得る。症状としては、くしゃみ、蕁麻疹、鼻詰まり、及び呼吸困難が挙げられる。同様に、感染症を有する被験体では、薬剤の有効量は、感染症と関連する症状を軽減するか又は除去する量であり得る。症状としては、発熱及び倦怠感が挙げられる。薬剤が診断薬である場合、有効量は、目的の身体領域又は細胞の可視化を可能とする量であり得る。薬剤が抗原である場合、有効量は、その抗原に対する免疫応答を引き起こし、好ましくはその抗原が由来する病原体に対する短期間及び更により好ましくは長期間の保護をもたらす量であり得る。一部の例では本発明は薬剤の単回投与を想定し、一部の例では本発明は薬剤の複数回投与を想定していることが理解されるであろう。一例として、抗原は初回投与及び追加(ブースト)投与で投与することができるが、一部の例では本発明は抗原、及び場合によってアジュバントの十分な送達をもたらし、追加投与は必要ではない。
【0217】
本発明は医薬組成物を提供する。医薬組成物は、本発明のベシクル、及び好ましくは薬剤を、好ましくは製薬上許容される担体中に含む無菌の組成物である。用語「製薬上許容される担体」は、本発明によって意図されるヒト又は他の被験体に投与するために好適な1種以上の適合可能な固体若しくは液体充填剤、希釈剤又はカプセル化物質を意味する。
【0218】
用語「担体」は、投与を促進するためにベシクル及び好ましくは薬剤が組み合わされる有機若しくは無機の天然又は合成の成分を示す。医薬組成物の成分は、その所望の薬学的効果を実質的に損なうような相互作用が起きないように混合される。
【0219】
好適な緩衝剤としては、酢酸及び塩(1〜2% W/V);クエン酸及び塩(1〜3% W/V);ホウ酸及び塩(0.5〜2.5% W/V);及びリン酸及び塩(0.8〜2% W/V)が挙げられる。好適な防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03% W/V);クロロブタノール(0.3-0.9% W/V);リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、及びパラベン(0.01〜0.25% W/V)が挙げられる。
【0220】
本明細書中で他に記載のない限り、様々な投与経路が利用可能である。選択される特定の経路は、当然のことながら、選択された特定の活性薬剤、治療される特定の状態、及び治療効果のために必要な投与量に依存するであろう。提供される方法は、一般的に、臨床的に許容できない副作用を引き起こすことなく有効なレベルの所望の応答をもたらす方法を意味する、医学的に許容される任意の投与方法を使用して実施することができる。投与方法の一つは非経口投与である。用語「非経口」は、皮下注射、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内注射又は注入技術を含む。他の投与方法としては、経口、粘膜内、直腸内、膣内、舌下、鼻内、気管内、吸入、眼内、及び皮内投与が挙げられる。
【0221】
経口投与の場合、組成物は、ベシクルを、当分野において周知の製薬上許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような担体は、治療される被験体による経口摂取のために、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、フィルム、懸濁剤等として製剤化することを可能とする。好適な賦形剤は、特に糖類、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトール等の充填剤;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。場合によって、経口製剤は、内部の酸性条件を中和するために食塩水若しくは緩衝液中に製剤化することもでき、又はいかなる担体もなしに投与することができる。
【0222】
経口で使用可能な医薬調製物には、ゼラチン性の押し込み型カプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールで構成されるソフトシールドカプセルが含まれる。押し込み型のカプセルは、水性溶液、緩衝溶液、脂肪油、液体パラフィン、又は液状ポリエチレングリコール等の好適な液体中に懸濁したベシクルを含み得る。更に、安定化剤を添加しても良い。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与のために好適な投与量であるべきである。
バッカル投与のためには、組成物は、伝統的な方法で製剤化された錠剤又はロゼンジの形態をとり得る。
【0223】
吸入による投与のためには、組成物は、好適なプロペラント、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適な気体を使用して、加圧したパック又はネブライザーからのエアゾールスプレーの形態で便利に送達され得る。加圧エアゾールの場合、投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定することができる。
【0224】
本発明の組成物を全身的に送達することが望ましい場合、組成物は、注入、例えばボーラス注射又は持続注入による非経口投与のために製剤化することができる。注入のための製剤は、単位投与形態、例えばアンプル又は複数回投与用容器で提供することができる。非経口医薬製剤としては、成分の水性溶液が挙げられる。注入用水性懸濁液は、懸濁液の粘度を上昇させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランを含み得る。あるいはまた、ベシクルの懸濁液は、油性ベースの懸濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒又はベヒクルとしては、ゴマ油等の脂肪油、又は合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドが挙げられる。
【0225】
あるいはまた、ベシクルは、使用前に好適なベヒクル、例えば無菌の発熱物質不含有の水と共に構成するための粉末形態又は凍結乾燥形態であり得る。
組成物はまた、例えばカカオ脂又は他のグリセリド類等の伝統的な坐剤用基材を含む、坐剤又は停留浣腸等の直腸又は膣内投与用組成物に製剤化することもできる。
【0226】
治療方法
本発明は、疾患及び障害、例えば癌(例えばHPV-陽性癌)及び感染症(例えばHPV感染症)に罹患している被験体を治療するために使用し得る治療方法を提供する。一部の実施形態において、本発明の方法は、治療的有効量の本明細書に記載する組成物(例えば脂質二重層間に架橋を有するマルチラメラ脂質ベシクルを含み、1種以上の変異型HPVペプチドを含む組成物であって、1種以上の変異型HPVペプチドの少なくとも1種がマルチラメラ脂質ベシクルの脂質にコンジュゲートしている上記組成物)を、それを必要とする被験体に投与することを含む。一部の実施形態において、免疫調節剤は被験体に投与しない。
【0227】
一部の実施形態において、本発明の方法は、治療的有効量の本明細書に記載する組成物、及び本明細書に記載する1種以上の免疫調節剤を、それを必要とする被験体に投与することを含み、ここで免疫調節剤はCT-011抗体ではない。
【0228】
一部の実施形態において、本発明の方法は、脂質二重層間に架橋を有し、かつ1種以上の変異型HPVペプチド、及び1種以上の本明細書に記載する免疫調節剤を含むマルチラメラ脂質ベシクルを含み、ここで免疫調節剤はCT-011抗体ではない。
【0229】
一部の実施形態において、組成物及び1種以上の免疫調節剤は実質的に同時に投与される。
一部の実施形態において、組成物及び1種以上の免疫調節剤は別個に投与される。一部の実施形態において、最初に組成物が投与され、続いて1種以上の免疫調節剤が投与される。一部の実施形態において、最初に1種以上の免疫調節剤が投与され、続いて組成物が投与される。
【0230】
in vitro使用
本発明は更に、限定するものではないが、細胞増殖因子等の1種以上の薬剤の持続的供給源が必要であるか、又はそれを有することがより便利であろう細胞培養及び組織操作等のin vitroでの応用を想定する
【0231】
キット
本発明は更に、本発明のベシクルを含むキットを想定する。ベシクルは目的の1種以上の薬剤を含み得る。キットは更に、ベシクル中に組み込むべき目的の1種以上の薬剤を含み得る。これらのキットは、ベシクルの使用説明書等の資料も含み得る。ベシクルは、好ましくはスクロース含有賦形剤と共に、緩衝液形態又は凍結乾燥形態で提供し得る。
【0232】
本発明はまた、本発明のベシクルを合成するために必要な様々な物質、試薬及び触媒を含むキットを想定する。このようなキットは、例えば本明細書に記載されるもののような脂質、脂質二重層の官能化された成分(例えば官能化された脂質)、1種以上の架橋剤(例えば膜透過性架橋剤)、多価カチオン(例えば2価カチオン)等を含み得る。これらのキットはまた、ベシクルの合成のための説明書等の資料を含み得る。キットはまた、目的の薬剤を含み得る。
【0233】
一部の実施形態において、本発明のキットは、(i)脂質二重層間に架橋を有し、1種以上の薬剤(例えばHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド))を含むマルチラメラ脂質ベシクル、(ii)1種以上の免疫調節剤、及び(iii)疾患(例えば癌(例えばHPV-陽性癌)、感染症(例えばHPV感染))を有する被験体に(i)及び(ii)を投与するための説明書、を含み、薬剤は、末端にシステインを有する抗原ではなく、かつ免疫調節剤はCT-011抗体ではない。
【0234】
一部の実施形態において、本発明のキットは、(i)脂質二重層間に架橋を有し、1種以上の薬剤(例えばHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド))を含むマルチラメラ脂質ベシクル、及び(ii)疾患(例えば癌(例えばHPV-陽性癌)、感染症(例えばHPV感染))を有する被験体に1種以上の免疫調節剤と共に(i)を投与するための説明書、を含み、薬剤は、末端にシステインを有する抗原ではなく、かつ免疫調節剤はCT-011抗体ではない。
【0235】
一部の実施形態において、本発明のキットは、(i)1種以上の免疫調節剤、及び(ii)疾患(例えば癌(例えばHPV-陽性癌)、感染症(例えばHPV感染))を有する被験体に、脂質二重層間に架橋を有し、1種以上の薬剤(例えばHPVペプチド(例えば変異型HPVペプチド))を含むマルチラメラ脂質ベシクルと共に(i)を投与するための説明書、を含み、薬剤は、末端にシステインを有する抗原ではなく、かつ免疫調節剤はCT-011抗体ではない。
【0236】
本発明は、以下の実施例によって更に説明されるが、実施例は、いかなる意味においても更に限定するものと解釈されるべきではない。本出願を通して引用された全ての文献(参考文献、特許、特許出願公開公報、及び同時継続特許出願を含む)の全内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0237】
[実施例1.コンジュゲートした薬剤を用いたICMVの合成]
材料:
(a) DOPC (CHCl
3中5 mg/ml - Avanti Polar Lipids #850375)
(b) MPB (CHCl
3中10 mg/ml - Avanti Polar Lipids #870012)
(c) 3M-052 (CHCl
3中0.1 mg/ml) 又は MPLA/GLA (MeOH中0.5 mg/ml)
(d) (PEG 2k)-SH (H
2O 中100 mg/ml - Laysan Bio #MPEG-SH-2000)
(e) ジチオスレイトール (H
2O 中150 mM - Sigma Aldrich #43819)
(f) CaCl
2(H
2O 中200 mM - Fischer Scientific #BP510)
(g) 20 mM ビス-トリス-プロパン中適切な濃度の薬剤、pH 7.0 (bTp - Sigma Aldrich #B4679)
(h) Traut試薬 (bTp 中10 mg/ml - Thermo Scientific #26101)
【0238】
方法:
DOPC(500μL)、MPB(325μL)、及び任意のアジュバント成分をシンチレーションバイアル中、真空下で少なくとも12時間乾燥させ、続いてbTp(1mL)中に、室温で1時間、10分毎に3000 rpmで10秒間ボルテックスしながら再懸濁させた。脂質/アジュバント混合物を、1mLの溶液をロードし、生成物を廃棄し、次いで3mLのbTpをロードし、生成物を回収することによってMicrofluidics LV-1中で流動化した(フルイダイザー中の死容積を2mLと推定した)。脂質/アジュバント混合物の流動化と並行して、薬剤を、40-80モル比のTraut試薬で室温で1時間処理した。次いで、流動化した脂質/アジュバント混合物を、官能化した薬剤と共に、37℃で12〜24時間インキュベートした。DTT(20μL)及びCaCl
2(200μL/mL総体積)を添加し、37℃で1時間置くことによって、ICMVを架橋し、密閉(シール)した。21000×gで5分間遠心分離することによってベシクルを回収し、1mLの水に再懸濁させた。PEG-SH(50μL)の添加及び37℃で1時間のインキュベーションによってベシクルをPEG化した。PEG化したベシクルを21000×gで5分間遠心分離することによって回収し、PBS中に再懸濁させ、続いて0.2μmのメンブレンを通して9回押し出した。
長期保存のためには、一部又は全てのベシクルを21000×gで5分間遠心分離し、PBS+40%ソルビトール中に再懸濁させることができる。
上記の方法における変数についての可能な範囲及び望ましい範囲を表1に示す。
【0239】
【表1】
【0240】
[実施例2.薬剤官能化の最適化]
異なるモル当量のTraut試薬を用いてオボアルブミンで様々な官能化比率がもたらされた。遊離チオールの量をElmanアッセイを使用して決定した。
【0241】
材料:
Ellman試薬(Pierce);Ellman反応緩衝液は0.1 Mリン酸ナトリウム、1 mM EDTA、pH 8.0である。
塩酸システイン一水和物(Pierce)
【0242】
プロトコル:
Ellman試薬(4 mg)をEllman反応緩衝液(1 mL)に溶解した。システイン標準品及びサンプルを96ウェルプレートに20μL/ウェルでトリプリケートで添加した。Ellman試薬(ウェルあたり20μL)及びPBS(ウェルあたり60μL)を添加し、15分間インキュベートした。412nmの固定波長で吸光度を測定した(参照波長540nm)。結果を表2に示す。
【0243】
【表2】
【0244】
オボアルブミンを20モル当量のTraut試薬で官能化した場合、オボアルブミンの各分子は添加した硫黄を平均して0.35分子有しており、一方80モル当量ではオボアルブミンの各分子は添加した硫黄を平均して1.1分子有していた。
他のチオール化試薬は様々なレベルのチオール化をもたらすことが示された。結果を表3に示す。
【0245】
【表3】
【0246】
チオール化の増大によるタンパク質のカプセル化の増大は見られなかった。従って、望ましい官能化は0.5〜2 mol SH/molタンパク質の間で達成される。
【0247】
[実施例3.薬剤コンジュゲーションの最適化]
流動化脂質への薬剤のコンジュゲーションを可能にする時間の延長がカプセル化効率を改善するかどうかを決定するために実験を行った。結果を表4に示す。
【0248】
【表4】
【0249】
チオール含有薬剤とICMVとの反応は、ICMV上のマレイミド基の遊離チオール基に対する高い反応性のために通常は1時間に制限されるが、大きなタンパク質分子の官能化は低いため、この反応が生じるためにより長い時間を用いることでタンパク質のローディング効率が47%上昇することが見出された。従って、薬剤のコンジュゲーションの増大を可能とするための所望のカプセル化効率は24時間のインキュベーション時間で達成された。
[実施例4.流動化ステップの最適化]
ほとんどの物質が大きく希釈することなくフルイダイザーから回収されることを確実にするために実験を行った。結果を表5に示す。
【0250】
【表5】
1mLの脂質サンプルをロードした後に3mLのバッファーでフルイダイザーをすすぐことで、バッファーを浪費することなくほとんどの物質が回収される。
【0251】
[実施例5.保存最適化]
スクロース、遊離のPEG、又はポリソルベート20(PS-20)を含有するPBS溶液と比較した場合、40%ソルビトールを含有するものは溶液中の粒子サイズをより長期間維持することができた。これは、4℃で12日間の間、凝集物がないこと、又は粒径の変化がないことによって決定された。その後の試験では、PBS+40%ソルビトールによって粒子サイズ及びタンパク質ローディングが7カ月にわたって維持された。
【0252】
[実施例6.HPV-16 E6及び/又はE7ペプチドのDNAプラスミド構築物の発現ベクターへのクローニング]
pVEXK His6x-HPV-16 E6 及び pVEXK His6x-HPV-16 E7
HPV-16 E6及びE7ペプチドをコードする核酸配列のそれぞれについて、5'末端NdeI部位を含む配列をATG開始コドンの上流に付加した。3'末端EcoRI部位を含む配列を、3'末端TGA翻訳終止コドンの下流に付加した。次いで、E6又はE7タンパク質の核酸配列を、NdeI及びEcoRIを制限部位として使用してpVEXK His6x発現ベクター中にクローニングした。
【0253】
pVEXK His6x-HPV-16 E6-E7
HPV-16 E6-E7融合タンパク質をコードする配列について、5'末端AgeI部位を含む配列をATG開始コドンの上流に付加した。3'末端EcoRI部位を含む配列を、3'末端TGA翻訳終止コドンの下流に付加した。次いで、E6-E7融合タンパク質の核酸配列を、AgeI及びEcoRIを制限部位として使用してpVEXK His6x発現ベクター中にクローニングした。
【0254】
[実施例7.E6-ICMV及びE7-ICMVによって誘導される免疫原性]
E6-ICMV及びE7-ICMVによって誘導される免疫原性を、E6/E7-特異的CD8 T細胞のうちのIFNγ分泌細胞のパーセンテージを定量することによって測定した。
【0255】
マウスの左脇腹の背側(left dorsal flank)に、50,000個のTC-1腫瘍細胞を0日目に接種した。7日目に開始して毎週3回用量の処置を行った。マウスを、皮下注射によってICMV中10μgのHPV-16 E7(E7-ICMV)及びICMV中10μgのHPV-16 E6(E6-ICMV)で処置するか、又はPBS中の同量の非製剤化可溶性E7及びE6タンパク質で処置した。
【0256】
注射から1週間後にマウスから採血し、IFNγ分泌E6/E7-特異的CD8 T細胞のパーセンテージを定量することによって免疫原性を試験した。血液細胞を回収し、次いでE749-57(RAHYNIVTF (配列番号11))ペプチド又はE648-57(EVYDFAFRDL (配列番号12))ペプチドで刺激した。IFNγ分泌E6/E7-特異的CD8 T細胞のパーセンテージは、細胞内サイトカイン染色アッセイを使用して測定した。
図1は、E6-ICMV+E7-ICMVによる処置がIFNγ
+CD8
+ T細胞の最も高いパーセンテージをもたらしたことを示す。
【0257】
[実施例8.E6-ICMV及びE7-ICMVを用いたマウス固形腫瘍の治療]
HPV-16のE6又はE7ペプチドを含むICMV(E6-ICMV及びE7-ICMV)を、マウス固形腫瘍モデルの治療における有効性について試験した。マウスの左脇腹の背側に50,000個のTC-1腫瘍細胞を0日目に接種した。7日目に開始して毎週3回用量の処置を行った。マウスを、皮下注射によってICMV中10μgのHPV-16 E7(E7-ICMV)及びICMV中10μgのHPV-16 E6(E6-ICMV)で処置するか、又はPBS中の同量の非製剤化可溶性E7及びE6タンパク質で処置した。
図2は、式V = L x W
2 / 2を使用して測定した腫瘍体積の定量を示す。ICMV中のE6及びE7で処理したマウスのみが強い腫瘍退縮及び生存期間の延長を示した。
【0258】
[実施例9.免疫調節剤と組み合わせたICMV療法]
マウスの左脇腹の背側に50,000個のTC-1腫瘍細胞を0日目に接種した。7日目に開始して毎週3回用量の処置を行った。
図3A及び3Bは、抗-CTLA-4抗体(aCTLA-4)、抗-PD-1抗体(aPD-1)、及び抗-PD-L1抗体(aPD-L1)から選択される免疫調節剤と共に、または免疫調節剤なしにE6-ICMV及びE7-ICMVによって誘導された免疫原性を示す。マウスを、1)ICMV中10μgのHPV-16 E7(E7-ICMV)+ICMV中10μgのHPV-16 E6(E6-ICMV)単独(皮下注射)、又は2) 用量あたり230μgの抗-CTLA-4抗体(aCTLA-4)、抗-PD-1抗体(aPD-1)、又は抗-PD-L1抗体(aPD-L1)単独(腹腔内(i.p.)注射)又は3)E6-ICMV+E7-ICMV+aCTLA-4又はaPD-1又はaPD-L1、で処置した。
【0259】
注射から1週間後にマウスから採血し、IFNγ分泌E6/E7-特異的CD8 T細胞のパーセンテージを定量することによって免疫原性を試験した。
図3A及び3Bは、E6-ICMV+E7-ICMV+aCTLA-4又はaPD-1又はaPD-L1の組合せによる処置が、ICMV単独療法又は免疫調節剤の単独療法による処置よりも優れており、IFNγ
+CD8
+細胞のパーセンテージが最も高かったことを示す。
【0260】
図3Cは、ICMV単独療法(E6-ICMV及びE7-ICMV)及び免疫調節剤単独療法(抗-CTLA-4抗体 (aCTLA-4)、抗-PD-1抗体 (aPD-1)、又は抗-PD-L1抗体 (aPD-L1))によって誘導される腫瘍サイズの低減を示す。
図3Cは、式V = L x W
2 / 2を使用して測定した腫瘍体積を示す。ICMV単独療法(E6-ICMV+E7-ICMV)で処置したマウスは、免疫調節剤単独療法よりも強い腫瘍退縮を示す。
【0261】
[実施例10.免疫調節剤抗-PD-1抗体と共に、及び抗体なしでE6-ICMV及びE7-ICMVを用いたマウスのより大きな固形腫瘍の治療]
HPV-16のE6又はE7ペプチドを含むICMV(E6-ICMV及びE7-ICMV)を、マウスの大きな固形腫瘍モデルの治療における有効性について、抗-PD-1抗体と共に、及び抗体なしに試験した。マウスの左脇腹の背側に、一匹あたり1,000,000個のTC-1腫瘍細胞の増大する腫瘍負荷を用いて接種した。
図4は、より高い腫瘍負荷を有するマウスにおいて、E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体の組み合わせがE6-ICMV+E7-ICMVよりもより良い治療効果を有することを示す。
【0262】
[実施例11.免疫調節剤シクロホスファミドと共に、及びシクロホスファミドなしでE6-ICMV及びE7-ICMVを用いたマウス固形腫瘍の治療]
マウスの左脇腹の背側に50,000個のTC-1腫瘍細胞を0日目に接種した。7日目に開始して毎週3回用量の処置を行った。マウスを1)10μgのE7-ICMV+10μgのE6-ICMV単独(皮下注射)、又は2)シクロホスファミド(CPM)単独(50 mg/kg/用量、i.p.注射)、又は3)E6-ICMV+E7-ICMV+CPM、で処置した。
図5は、E6-ICMV+E7-ICMV処置群でより強い腫瘍退縮及び生存期間の延長が見られるため、E6-ICMV+E7-ICMVの治療効果がCPM単独よりも大きいことを示す。E6-ICMV+E7-ICMV+CPMの組合せは最も強力であり、腫瘍の根絶と100%の治癒率をもたらす。
【0263】
[実施例12.ICMV治療は長期持続T細胞記憶及び保護を誘発する]
マウスの左脇腹の背側にTC-1腫瘍細胞を0日目に接種した。7日目に開始して毎週3回用量のE6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体+シクロホスファミド(CPM)処置を行った。
図6は、処置により、7匹中6匹のマウスで治癒がもたらされたことを示す。長期の抗原特異的記憶T細胞が存在してこれらの治癒したマウスで機能しているかどうかを試験するために、500k個のTC1腫瘍細胞を最初の投与から約110日後に脇腹に注入した。E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体+CPM処置は、再チャレンジ後の6匹の治癒マウスの100%で腫瘍の再増殖を予防することに成功した(
図6)。
【0264】
[実施例13.シクロホスファミドと組み合わせたICMV治療は大きな確立された腫瘍の増殖を制御する]
マウスの左脇腹の背側にTC-1腫瘍細胞を接種し、60mm
3〜793mm
3の様々なサイズの腫瘍を5回用量のE6-ICMV+E7-ICMV+シクロホスファミド(CPM)で処置した。
図7は、処置によって全てのマウスで腫瘍退縮(上図)及び生存期間の延長(下図)がもたらされたことを示す。このことは、E6-ICMV+E7-ICMV+CPMの組合せの効力を実証する。処置により、文献で報告されているTC1腫瘍よりもかなり大きな腫瘍を攻撃することができる。
【0265】
[実施例14.シクロホスファミドと組み合わせたICMV治療は舌腫瘍を治癒させる]
マウスの舌に50,000個のTC-1腫瘍細胞を0日目に接種した。7日目に開始して、E6-ICMV+E7-ICMV+シクロホスファミド(CPM)(皮下注射)、E6-ICMV+E7-ICMV、又はCPMの週1回の3回投与を行った。食餌の摂取は腫瘍サイズと直接関連するため、体重を舌の腫瘍サイズの指標として使用した。
図8A及び8Bは、E6-ICMV+E7-ICMV+CPM又はE6-ICMV+E7-ICMVで処置した全てのマウスにおいて、処置が体重増加及び生存期間の延長をそれぞれもたらしたことを示す。
図8Cは、E6-ICMV+E7-ICMV+CPM処置を受けたマウスにおける舌腫瘍の退縮及び消失を示す。この結果から、処置によって、脇腹の腫瘍と同様の傾向で舌の腫瘍を治療できることが示される。すなわち、E6-ICMV+E7-ICMV+CPMは腫瘍を治癒させることができ、E6-ICMV+E7-ICMVはシクロホスファミド単独よりも強力である。このことは、処置によって誘発される免疫応答が注入部位(size)から離れた腫瘍を治療できることを実証している。
【0266】
[実施例15.インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤と組み合わせたICMV療法は治療効果を改善し得る]
マウスの左脇腹の背側に1,000,000個のTC-1腫瘍細胞を0日目に接種した。7日目に開始して毎週3回用量の処置を行った。マウスを1)ICMV中10μgのHPV-16 E7(E7-ICMV)+ICMV中10μgのHPV-16 E6(E6-ICMV)(皮下注射)又は2)E6-ICMV+E7-ICMV+IDO阻害剤 1-メチルトリプトファン(強制経口投与により毎日8mg)で処置した。
図9は、式V = L x W
2 / 2を使用して測定した腫瘍体積を示す。E6-ICMV+E7-ICMV+IDO阻害剤で処置したマウスはE6-ICMV+E7-ICMVで処置したマウスと比較してより速い腫瘍退縮を示し、ICMV療法の効果を高めるためにIDO阻害剤が使用できることが実証された。
【0267】
[実施例16.アジュバントと共に及びアジュバントなしでE6-ICMV及び/又はE7-ICMVを使用したマウス固形腫瘍の治療]
HPV-16のE7ペプチドを含むICMV(E7-ICMV)を、マウス固形腫瘍モデルの治療におけるその有効性について試験した。250,000個の組織培養-1(TC-1)腫瘍細胞をC57BL/6マウスの左脇腹に0日目に注入した。6日目及び19日目に、マウスをICMV中にカプセル化した1用量のHPV E7全タンパク質(E7-ICMV)で、アジュバントなしで、又はアジュバントとしてモノホスホリルリピドA(MPLA)を用いて、免疫した。E7-ICMVの各用量は、5〜10μgのE7タンパク質、及び6〜10μgのMPLAを含んでいた。
【0268】
週に2回、腫瘍サイズをモニタリングした。
図10は、E7-ICMVで免疫した双方の群(E7-ICMV(アジュバントなし)及びE7-MPLA ICMV)で同様の割合の腫瘍退縮が示され、免疫原性組成物中のE7-ICMVが、アジュバントなしでも効果的な治療免疫応答を誘発できることを示す。
【0269】
同じプロトコルに従って、HPV-16のE6ペプチドを含むICMV(E6-ICMV)を、アジュバントと共に及びアジュバントなしで、マウス固形腫瘍モデルの治療におけるその有効性について試験することができた。
【0270】
更に、同じプロトコルに従って、E6-ICMV及びE7-ICMVの双方を含む併用療法を、アジュバントと共に及びアジュバントなしで、マウス固形腫瘍モデルの治療におけるその有効性について試験することができた。
【0271】
[実施例17.増強剤と共に及び増強剤なしでE6-ICMV及び/又はE7-ICMVを使用したマウス固形腫瘍の治療]
増強剤と組み合わせたE6-ICMV又はE7-ICMVを、マウス固形腫瘍モデルの治療におけるその有効性について試験することができる。増強剤は、疾患の治療においてE6-ICMV又はE7-ICMVの有効性を増大又は増強できる分子(例えば小さな有機分子)、ペプチド、タンパク質(例えば抗体若しくは抗原)、又は薬剤であり得る。増強剤としては、限定するものではないが、抗癌剤、免疫刺激剤、癌抗原、抗感染剤、抗ウイルス剤、及び抗真菌剤が挙げられる。増強剤の例は上記したものである。好ましくは、増強剤は抗体である。実施例16に記載したものと類似のプロトコルに従って、TC-1腫瘍細胞を注入したマウスを、増強剤と共に若しくは増強剤なしで、E6-ICMV又はE7-ICMVの1以上の用量で免疫することができる。腫瘍サイズは、腫瘍退縮の促進におけるその有効性を比較するために、双方の処置群でモニタリングすることができる。
【0272】
同じプロトコルに従って、E6-ICMV及びE7-ICMVの双方を含む併用療法を、増強剤と共に及び増強剤なしで、マウス固形腫瘍モデルの治療におけるその有効性について試験することができた。
【0273】
[実施例18.E6-ICMV及びE7-ICMVを使用したマウス固形腫瘍の治療]
HPV-16のE6ペプチドを含むICMV(E6-ICMV)及びE7-ICMVを、マウス固形腫瘍モデルの治療におけるその有効性を試験するために併用療法において使用した。250,000個の組織培養-1(TC-1)腫瘍細胞を、C57BL/6マウスの左脇腹に0日目に注入した。腫瘍の注入後、6日目に開始して2週間に1回、毎週、又は3日毎に、マウスを別個のICMV中にカプセル化したHPV E6及びHPV E7タンパク質の1回用量(用量あたり5〜10μgの各抗原)で免疫した。
図11は、腫瘍移植後30日目までの腫瘍サイズを示す。E6-ICMV+E7-ICMVの併用療法は、より頻回に投与することでより効果的に腫瘍退縮を促進した。
【0274】
[実施例19.E6-ICMV、E7-ICMV、及びペプチドワクチンを使用したマウス固形腫瘍の治療]
HPV-16のE6ペプチドを含むICMV(E6-ICMV)及びE7-ICMVを含む併用療法を、マウス固形腫瘍モデルの治療においてE6及びE7ペプチドワクチンと比較した。50,000個の組織培養-1(TC-1)腫瘍細胞を、C57BL/6マウスの左脇腹に0日目に注入した。腫瘍の注入後、8日目、15日目、及び22日目に、マウスを、(1) 1用量のHPV-16 E6ペプチド+E7ペプチド(各5〜10μg)、(2) E6及びE7 CD8エピトープ(各100μg)+50μg R848(レシキモド、免疫応答調節剤)、(3) E6及びE7 CD8エピトープ(各100μg)+50μg ポリIC、又は(4) E6-ICMV+E7-ICMV(各5〜10μg、アジュバントなし)で免疫した。全ての処置群で腫瘍サイズをモニタリングして、腫瘍退縮促進におけるそれらの効果を比較した。E6-ICMV+E7-ICMVの併用療法(処置(4))は、E6及びE7 CD8エピトープを使用した2種の処置(処置(2)及び(3))、及びE6及びE7ペプチドワクチンを使用した1つの処置(処置(1))よりも効果的に腫瘍退縮を促進した。
【0275】
[実施例20.アジュバントと共にICMV中にカプセル化されたE7ペプチドによって誘導される免疫原性]
E7ペプチドによって誘導される免疫原性を、マウスにおけるCD8-陽性T細胞の中のテトラマー陽性(H2-D
b E7
49-57(RAHYNIVTF (配列番号11))含有テトラマー)細胞のパーセンテージを定量することによって測定した。
【0276】
0日目、28日目及び56日目(
図12のパネルA-C)又は0日目及び21日目(
図12のパネルD-F)のいずれかでマウスにワクチン接種し、7日目、35日目及び63日目(
図12のパネルA-C)又は42日目(
図12のパネルD-F)に、テトラマー特異的CD8 T細胞(H2-D
b E7
49-57(RAHYNIVTF (配列番号11))含有テトラマー)を末梢血(
図12のパネルA-C)又は脾細胞(
図12のパネルD-F)で測定した。
【0277】
マウスに、10μgの可溶性HPV-16 E7及び10μgのポリIC(
図12のパネルA)、ICMV中10μgのHPV-16 E7(E7 ICMV)及び1μgのTLR-4アゴニスト(
図12のパネルB)、又はICMV中10μgのHPV-16 E7(E7 ICMV)及び1μgのTLR-7アゴニスト(
図12のパネルC)を投与した。比較のために、Vaccine 19:3652-3660, 2001からのデータを示す(
図12のパネルD-F)。マウスに、200μgのTA-CIN(組換えHPV-16 L2E6E7融合タンパク質ワクチン)を0日目及び21日目に(A)、200μgのTA-CINを0日目、かつ5x10
6個のTA-CIN-発現ワクシニアウイルスを21日目に(E)、又は5x10
6個のTA-CIN-発現ワクシニアウイルスを0日目及び21日目に(
図12のパネルF)投与した。
【0278】
図12は、E7を含むICMVが、E7又はL2E6E7融合タンパク質ワクチンによって誘導されるものと比較して、CD8-陽性T細胞の中で最も高いパーセンテージのテトラマー陽性(H2-D
bE7
49-57 (RAHYNIVTF (配列番号11))含有テトラマー)細胞を誘導したことを示す。
【0279】
[実施例21.腫瘍退縮の最小ペプチドワクチン接種との比較]
マウスの左脇腹の背側に250,000個(
図13のパネルA-C)又は50,000個(
図13のパネルD-F)のTC-1細胞を0日目に接種し、腫瘍体積(cm
3)を経時的にモニタリングした。
【0280】
マウスを、処置せずに放置するか(
図13のパネルA)、又は、6日目、20日目、及び34日目に、5μgのHPV-16 E6及び5μgのHPV-16 E7可溶性タンパク質(
図13のパネルB)又はICMV中の5μgのHPV-16 E6及び5μgのHPV-16 E7(
図13のパネルC)で免疫した。比較のために、Eur. J. Immunol. 41:2977-2986, 2011からのデータを示す(
図13のパネルD-F)。マウスを、処置せずに放置するか(
図13のパネルD)、又は、8日目、15日目、及び22日目に、5μgのGM-CSF及び20μgのα-CD-40と共に50μLの不完全フロインドアジュバント(IFA)中100μgのHPV-16 E7
49-57(RAHYNIVTF (配列番号11))(
図13のパネルE)、又は5μgのGM-CSF、20μgのα-CD-40、静脈内投与(i.v.)される2.5 mg/kg用量の抗-PD-1抗体、及び腹腔内投与(i.p.)される1 mgのシクロホスファミド(CPM)と共に50μLの不完全フロインドアジュバント(IFA)中100μgのHPV-16 E7
49-57(RAHYNIVTF (配列番号11))(
図13のパネルF)で処置した。
図13は、式V = L x W
2 / 2を使用して測定した腫瘍体積の定量を示す。ICMV中のE6及びE7で処置したマウス(
図13のパネルD)は、腫瘍体積が最も小さいようであった。
【0281】
[実施例22.腫瘍退縮のリステリアワクチン接種との比較]
マウスの左脇腹の背側に、250,000個(
図14のA-C)又は50,000個(
図14のD-F)のTC-1細胞を0日目に接種し、腫瘍体積(cm
3)を経時的にモニタリングした。
【0282】
マウスを処置せずに放置するか(
図14のA)、又は、6日目、20日目、及び34日目に、可溶性タンパク質(
図14のB)若しくはICMV中(
図14のC)の5μgのHPV-16 E6及び5μgのHPV-16 E7で免疫した。比較のために、J. Immunother. Cancer. 1:15、2013からのデータを示す(
図14のD-F)。マウスを処置せずに放置するか(
図14のD)、又は、8日目及び15日目に、HPV-16 E7を発現する5×10
6個のリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)を単独で(E)又は2.5 mg/kg若しくは50μgの抗-PD-1抗体の静脈内投与(i.v.)と共に(F)用いて処置した。
図14は、式V = L x W
2 / 2を使用して測定した腫瘍体積の定量を示す。ICMV中のE6及びE7で処置したマウス(
図14のD)は、腫瘍体積が最も小さいようであった。
【0283】
[実施例23.免疫調節剤抗-CD40抗体を用いて/用いずにE6-ICMV及びE7-ICMVを使用したマウス固形腫瘍の治療]
HPV-16のE6又はE7タンパク質を含むICMV(E6-ICMV及びE7-ICMV)を、抗-CD40抗体と共に、または抗-CD40抗体なしで、マウス固形腫瘍モデルの治療における有効性について試験した。50,000個の組織培養-1(TC-1)腫瘍細胞を、C57BL/6マウスの左脇腹の背側に0日目に注入した。6日目、13日目及び20日目に、マウスを1) 200μgの抗-CD40抗体(腹腔内(i.p.)注射)、2) 10μgのE7-ICMV+10μgのE6-ICMV(皮下注射)、又は3) E6-ICMV+E7-ICMV+抗-CD40抗体、で処置した。
図15は、式V = L x W
2 / 2を使用して測定した腫瘍体積の定量を示す。E6-ICMV+E7-ICMV+抗-CD40抗体で処置したマウスの腫瘍体積が最も小さい。
【0284】
[実施例24.免疫調節剤抗-PD-1抗体及びシクロホスファミド(CPM)を用いて/用いずにE6-ICMV及びE7-ICMVを使用したマウス固形腫瘍の治療]
HPV-16のE6又はE7タンパク質を含むICMV(E6-ICMV及びE7-ICMV)を、抗-PD-1抗体及びシクロホスファミド(CPM)と共に、またはこれらなしで、マウス固形腫瘍モデルの治療における有効性について試験した。50,000個の組織培養-1(TC-1)腫瘍細胞を、C57BL/6マウスの左脇腹の背側に0日目に注入した。6日目、13日目及び20日目に、マウスを1) 230μgの抗-PD-1抗体のみ(i.p.注射)、2) 10μgのE7-ICMV+10μgのE6-ICMV(皮下注射)、3) E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体、又は4) E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体+シクロホスファミド、で処置した。シクロホスファミド(CPM)(1mg、i.p.注射)はICMV及び抗-PD-1抗体の注入1日前に投与した。
【0285】
図16は、式V = L x W
2 / 2を使用して測定した腫瘍体積の定量を示す。E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体+シクロホスファミド(CPM)で処置したマウスが、腫瘍体積が最も小さく、30日目に100%治癒した。
【0286】
[実施例25.免疫調節剤抗-PD-1抗体及びAMD3100を用いて/用いずにE6-ICMV及びE7-ICMVによって誘導される免疫原性]
抗-PD-1抗体及びAMD3100を用いて/用いずにE6-ICMV及びE7-ICMVによって誘導される免疫原性を、E6/E7-特異的CD8 T細胞の中のIFNγ分泌細胞のパーセンテージを定量することによって測定した。
【0287】
50,000個の組織培養-1(TC-1)腫瘍細胞を、C57BL/6マウスの左脇腹の背側に0日目に注入した。6日目及び13日目に、マウスを1) 230μgの抗-PD-1抗体(i.p.注射)、2) 10μgのE7-ICMV+10μgのE6-ICMV(皮下注射)、3) E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体、又は4) E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体+AMD3100で処置した。AMD3100(25μg、i.p.注射)は6日目から19日目まで毎日注射した。
【0288】
19日目に、E6/E7-特異的CD8 T細胞の中のIFNγ分泌細胞のパーセンテージを定量することによって免疫原性を試験した。血液細胞を回収し、E749-57(RAHYNIVTF (配列番号11))ペプチド又はE648-57(EVYDFAFRDL (配列番号12))ペプチドで刺激した。IFNγ分泌のパーセンテージは細胞内サイトカイン染色アッセイを使用して測定した。
【0289】
図17は、E6-ICMV+E7-ICMV+抗-PD-1抗体+AMD3100による併用治療が、E6/E7-特異的CD8 T細胞中のIFNγ分泌細胞の最も高いパーセンテージをもたらしたことを示す。
【0290】
他の実施形態
いくつかの発明の実施形態を本明細書中に記載し、説明してきたが、当業者は、本明細書に記載する機能を実施するため、及び/又は結果及び/若しくは1以上の利益を得るために、様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定するであろう。そのような変更及び/又は改変のそれぞれが、本明細書に記載する発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載する全てのパラメーター、寸法、物質、及び形態が例示的であることを意味するものであり、実際のパラメーター、寸法、物質、及び/又は形態が本発明の教示が用いられる特定の応用に依存するであろうということを容易に認識するであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の発明の実施形態の多くの等価物を認識し、又は単なる慣用の実験を用いて確かめることができるであろう。従って、上記の実施形態は例としてのみ提示されるものであり、添付の請求項の範囲及びその等価物の範囲内で、発明の実施形態が、具体的に記載されかつ請求されたもの以外で実施し得ることは理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は本明細書に記載された個々の特徴、システム、項目、物質、キット、及び/又は方法のそれぞれに関する。更に、そのような特徴、システム、項目、物質、キット、及び/又は方法が互いに矛盾しない場合には、そのような特徴、システム、項目、物質、キット、及び/又は方法の2つ以上の任意の組み合わせが、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0291】
本明細書で定義し、使用する全ての定義は、辞書における定義、参照により組み込まれる文献における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味よりも優先することが理解されるべきである。
【0292】
本明細書において開示した全ての参考文献、特許及び特許出願は、それぞれが引用される目的の主題に関して参照により組み込まれ、場合により文献の全体を包含し得る。