(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532473(P2017-532473A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】熱回収機能を備えた内燃機関システム
(51)【国際特許分類】
F02G 5/04 20060101AFI20171006BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20171006BHJP
F02D 29/00 20060101ALI20171006BHJP
F02M 26/05 20160101ALI20171006BHJP
F02M 26/14 20160101ALI20171006BHJP
F01N 5/02 20060101ALI20171006BHJP
F02G 5/02 20060101ALI20171006BHJP
F02G 5/00 20060101ALI20171006BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20171006BHJP
B60K 6/12 20060101ALI20171006BHJP
B60K 13/06 20060101ALI20171006BHJP
B60K 6/24 20071001ALN20171006BHJP
【FI】
F02G5/04 TZHV
F02B37/00 302B
F02B37/00 302F
F02D29/00 G
F02M26/05
F02M26/14
F01N5/02 F
F02G5/02 B
F02G5/00 B
B60K11/04 G
B60K6/12
B60K13/06 B
B60K6/24
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-575167(P2016-575167)
(86)(22)【出願日】2014年6月26日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2014001743
(87)【国際公開番号】WO2015197087
(87)【国際公開日】20151230
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】アンダースン,レナルト
(72)【発明者】
【氏名】アンダースン,アーン
(72)【発明者】
【氏名】マルドベルク,ペーター
【テーマコード(参考)】
3D038
3D202
3D235
3G005
3G062
3G093
【Fターム(参考)】
3D038AA08
3D038AB03
3D038AC01
3D038AC04
3D038AC11
3D038AC12
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3D038AC24
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3D038BC07
3D038BC20
3D202AA03
3D202BB58
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3D235AA01
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3G005EA16
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3G005GB26
3G005HA12
3G062AA05
3G062ED01
3G062ED08
3G093AA07
3G093AB02
3G093BA19
3G093EB01
3G093EB09
(57)【要約】
【解決手段】熱回収機能を備えた内燃機関システム100を開示する。システムは排熱通路16を備えた内燃機関12と、電気モータ28と、作動流体を用いた作動流体循環回路と、排熱通路16によって加熱され、また作動流体を加熱するように構成された第1熱源4,6と、加熱された作動流体によって作動するエキスパンダエンジン8とを有する熱回収アッセンブリ1と、電気モータ28に接続され、また車両のドライブトレイン26に接続されるように構成された分岐装置24であって、さらに、エキスパンダエンジン8がドライブトレイン及び/又は電気モータ28を駆動できるように、エキスパンダエンジン8と接続される分岐装置24とを備える。内燃機関システム100はさらに、熱回収アッセンブリ1に熱を供給するための第2熱源32を少なくとも備える。また上記内燃機関システム100を備える車両も開示する。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収機能を備えた内燃機関システム(100)であって、前記システムは
排熱通路(16)を備えた内燃機関(12)と、
電気モータ(28)と、
作動流体を用いた作動流体循環回路と、前記排熱通路(16)によって加熱され、また前記作動流体を加熱するように構成された第1熱源(4、6)と、前記加熱された作動流体によって作動するエキスパンダエンジン(8)とを有する熱回収アッセンブリ(1)と、
前記電気モータ(28)に接続され、また車両のドライブトレイン(26)に接続されるように構成された分岐装置(24)であって、さらに、前記エキスパンダエンジン(8)が前記ドライブトレイン及び/又は前記電気モータ(28)を駆動できるように、前記エキスパンダエンジン(8)と接続される前記分岐装置(24)とを備え、
前記内燃機関システム(100)はさらに、前記熱回収アッセンブリ(1)に熱を供給するための第2熱源(32)を少なくとも備えることを特徴とする内燃機関システム(100)。
【請求項2】
前記熱回収アッセンブリ(1)は、前記内燃機関(12)の動作と関係なく動作可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項3】
前記第2熱源(32)は、前記内燃機関(12)の動作と関係なく動作可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項4】
前記熱回収アッセンブリ(1)及び/又は前記第2熱源(32)は、前記内燃機関(12)が停止した際に動作可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項5】
前記第2熱源(32)は、前記熱回収アッセンブリ(1)の前記作動流体を加熱するための加熱器であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項6】
前記排熱通路(16)は、前記内燃機関(12)からの排ガスの少なくとも一部を大気中へ案内するための排ガス後処理システム(20)を備えた排ガスシステム(16)であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項7】
前記第2熱源(32)は、前記排ガスシステム(16)の前記排ガスを加熱するための加熱器であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項8】
前記第2熱源(32)は、前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に配置された前記排ガス後処理システム(20)のための加熱器であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項9】
前記第2熱源(32)は、燃料を燃焼するためのバーナーであり、前記バーナーは燃料取り入れ口(34)と、吸気口(36)と、高温の排ガスを前記排ガスシステム(16)に供給するための前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続された排ガス出口(38)とを備えることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項10】
前記バーナーの前記排ガス出口(38)は、前記排ガス後処理システム(20)の上流に位置する前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続されることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項11】
前記熱回収アッセンブリ(1)の前記第1熱源は、前記内燃機関(12)の排熱源に接続された少なくとも1つの熱交換器(4、6)を備え、前記排熱源は前記排ガスシステム(16)及び/又は前記内燃機関(12)の冷却システム及び/又は排ガス再循環システムからの排熱であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの熱交換器(4、6)は、前記排ガス後処理システム(20)の上流及び/又は下流に配置されることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項13】
前記第1熱交換器(4)は、前記排ガス後処理システム(20)の下流に配置され、前記第2熱交換器(6)は前記排ガス後処理システム(20)の上流に配置され、前記第2熱源(32)は、前記第1熱交換器(4)と前記第2熱交換器(6)との間の前記作動流体循環回路(11)に配置されることを特徴とする請求項12に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項14】
前記バーナー(32)の前記排ガス出口(38)は、前記第2熱交換器(6)の下流に位置する前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続されることを特徴とする請求項9、請求項10及び請求項13のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項15】
前記排ガスシステム(16)は、さらにターボチャージャを駆動するためのタービン(14)を備え、前記少なくとも1つの熱交換器(4、6)は前記タービン(14)の下流に配置されることを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項16】
前記バーナー(32)の前記排ガス出口(38)は、ターボチャージャを駆動するためのタービン(14)の下流かつ前記第2熱交換器(6)の上流に位置する前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続されることを特徴とする請求項15に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項17】
前記内燃機関(12)は、排ガス再循環ダクト(30)と再循環する前記排ガスを冷却するための冷却装置とを有する排ガス再循環部(31)を備えた排ガスシステム(16)を用いた排ガス再循環エンジンであり、前記排ガス再循環ダクト(30)は好ましくはターボチャージャを駆動するためのタービン(14)の上流において分岐することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項18】
前記熱回収アッセンブリ(1)は、さらに前記排ガス再循環ダクト(30)に配置された少なくとも1つの熱交換器(4、6)を備え、前記熱交換器(4)は再循環する前記排ガスの冷却装置として設計されることを特徴とする請求項17に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項19】
前記熱回収システム(1)は、前記タービン(14)の下流かつ排ガス後処理システム(20)の上流に位置する前記排ガスシステム(16)の排ガス管(18)に配置される第2熱交換器(6)を備えることを特徴とする請求項18に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項20】
前記分岐装置(24)は、少なくとも1つのクラッチであることを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項21】
前記分岐装置(24)は、遊星歯車パワースプリッタであることを特徴とする請求項1〜請求項20のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項22】
前記熱回収アッセンブリ(1)は、少なくとも1つの熱交換器(4、6)と、前記少なくとも1つのエキスパンダユニット(8)と、少なくとも1つのコンデンサ(10)と、少なくとも1つのポンプ(2)とを備えるランキンサイクルであることを特徴とする請求項1〜請求項21のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項23】
前記第2熱源(32)は、前記内燃機関(12)と同じ燃料を用いて動作するように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項22のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項24】
前記エキスパンダエンジン(8)は、車両に電気エネルギーを供給する発電機として前記電気モータ(28)を作動させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項23のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項25】
請求項1〜請求項24のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)を備えることを特徴とする車両。
【請求項26】
さらに車室用の加熱システムを含む補助装置を備え、前記電気モータ(28)が動作可能に前記補助装置に接続され該装置を操作させることを特徴とする請求項25に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱回収機能を備えた内燃機関システムに関し、該システムは内燃機関を有し、内燃機関は、排熱通路と、電気モータと、作動流体を用いる作動流体循環回路を備えた熱回収アッセンブリと、排熱通路によって加熱され、また作動流体を加熱するように構成された第1の熱源と、加熱された作動流体によって作動するエキスパンダエンジンと、電気モータに接続され、また車両のドライブトレインに接続されるように構成された分岐装置とを有するものであり、分岐装置はさらにエキスパンダエンジンに接続され、これによりエキスパンダエンジンはドライブトレイン及び/又は電気モータを駆動することができる。
【背景技術】
【0002】
以下において、「ICE操作モード」とは内燃機関(ICE)操作モードの略称である。「高負荷ICE操作モード」はICE操作モードに含まれ、該モードでの運転は例えば上り坂での走行や加速など、多大な駆動力を必要とする。「通常負荷ICE操作モード」もICE操作モードの一つであり、該モードでの走行は例えば一定の速度で高速道路を走行するなど、実質的に車両が加速も減速も行わない状態である。「低負荷ICE操作モード」もICE操作モードの一つであり、該モードでの走行は例えば下り坂での走行や減速もしくはモニタリングやアイドリングモード(下記参照)時など、車両がほとんど駆動力を必要としない状態である。「無負荷ICE操作モード」もICE操作モードの一つであり、該モードにおいては、内燃機関は停止している。
【0003】
上記アイドリングモードのエンジン操作は、アイドル回転数で行われるすべてのエンジン操作を指す。アイドル回転数とは、エンジンがドライブトレインから切り離されて内燃機関のアクセルが解放された状態におけるエンジンの回転速度を示す。通常、回転速度は毎分回転数もしくはエンジンのクランク軸の毎分回転数で表される。アイドル回転数では、エンジンが割合円滑に動作可能で、かつ付属機器(水ポンプオルタネータ及びパワーステアリングなどのその他の付属品)を操作可能な程度の動力を発生するが、この動力は一般的に車両の移動など通常の操作を行うには不十分である。トラックや自動車などの車両において、アイドル回転数は通常600rmp〜1000rpmである。アクセル解放時にも、エンジンを動かし続けるためにある一定量の燃料が内燃機関に送られる。エンジンが多数の付属品を動作させている場合は、特に空調装置を動作させている場合、エンジンが円滑に動作可能で、かつ付属品を操作可能な動力を確実に発生できるまでアイドル回転数を上げなくてはならない。このためエンジンの多くは、より高い動力が必要になった際にアイドル回転数を上げる燃料噴射システムのキャブレタに自動調整機能を持たせている。
【0004】
上述したモニタリングモードでのエンジン操作とは、所定の回転数(rpm)より高い回転数でエンジンが動作しているが燃料はエンジンに送られていない状態を指す。モニタリングモードでのエンジン操作の一例を挙げると、エンジンがゆっくり動作している状態であり、すなわち、通常はエンジンで駆動される車両が自力で(エンジンを使わずに)丘を下っているような状態である。このモード時もアクセルは解放されているものの、エンジンはドライブトレインに接続されたままであり、変速装置の主軸からの駆動力によってエンジン動作が継続される。
【0005】
上述した熱回収アッセンブリは、通常電気エネルギーの発生などの別の目的で内燃機関の排熱を利用するように構成されている。当該技術分野において、複数の熱回収アッセンブリが知られており、その一つはランキンサイクルに基づいたものであり、これによれば、内燃機関の排ガス熱を利用して作動流体を加熱し、この作動流体によって電気エネルギーを発生させるエキスパンダエンジンが駆動される。
【0006】
ランキンサイクルに基づいた熱回収アッセンブリの作動流体は、通常4つの段階を巡る。第1の段階では、液状作動流体が低圧から高圧へ圧縮される。次の段階では、高圧の液状作動流体が加熱装置に流入し、装置内で外部熱源、好ましくは内燃機関システムの排熱を利用した熱源により加熱され気化する。続く段階では、気化した作動流体がエキスパンダエンジン、例えば、ピストンエンジンなどの容積型エキスパンダ及び/又は作動流体の熱エネルギーにより駆動するタービンを介して膨張する。最後の段階では、作動流体はコンデンサ内で冷却され液状に戻る。
【0007】
従来の熱回収アッセンブリの問題として、熱回収アッセンブリによるエネルギー生産や分配が制御できない。さらに、従来の熱回収アッセンブリは電気エネルギーと機械エネルギーのいずれかを発生させるものである。電気エネルギーを発生するエキスパンダエンジンにとって、これは例えば高負荷ICE操作モード時は電気エネルギーが過剰に生産され、低負荷ICE操作モードでは十分な電気エネルギーが生産されないことを意味する。熱回収アッセンブリが補助電源装置として機能する場合、低負荷ICE操作モード時、特に車両が丘を下っているときなど、余分な推進エネルギーはむしろ望ましくない。
【0008】
このため、例えば欧州特許出願公開第1243758号明細書に記載されるように、当該技術分野において機械エネルギーを発生する容積型エキスパンダ及び電気エネルギーを発生させる電気モータの両方を備えることが提案されている。ここでは、容積型エキスパンダと電気モータは双方が発生するエネルギーを分配し、エネルギー量を制御する無段変速装置(CVT)によって接続されている。
【0009】
しかしながら、欧州特許出願公開第1243758号明細書に記載される変速装置(CVT)であっても、問題解決には不十分である。というのもCVTは高価な上、干渉特性があり、高度な制御を必要とする。加えてCVTは変速装置のエネルギー損失のせいで効率が悪く、これにより排熱回収システムの全体効率は熱回収システムの余剰エネルギーでまかなえない程に低下してしまう。
【0010】
また、従来の熱回収アッセンブリは、低負荷ICE操作モードにおいて別の問題があることが知られている。低負荷ICE操作モード中、内燃機関が周辺温度の外気を排ガスシステムに多かれ少なかれ送り込むので、内燃機関の排ガス温度が大きく低下してしまう。熱回収アッセンブリを動作させるために、排ガスシステムに設置された熱交換器により排ガス温度はさらに低下してしまう。これにより以下に示すような少なくとも二つの問題が生じる。
【0011】
(i)排ガス温度が作動流体を気化させるに十分でなく、熱回収アッセンブリが動作できない。
(ii)任意に設置される排ガス後処理システムは、通常約250°C〜450°Cの作動温度を必要とし、作動温度より低い温度では冷却してしまう。
そのため、低負荷ICE操作モードが長く続くと、例えば、下り坂での走行後は、熱回収アッセンブリと排ガス後処理システムのいずれも正常に作動しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1243758号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上を鑑みて本発明の目的は、熱分配を改良した熱回収システムを備えた内燃機関システムを提供することにあり、ここで熱回収アッセンブリは全てのICE操作モードで操作可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は添付する特許請求の範囲の独立請求項に係る熱回収機能を備えた内燃機関システム及び車両によって達成される。
【0015】
本開示の第1の態様は、熱回収機能を備えた内燃機関システムを開示する。本システムは、排熱通路を備えた内燃機関と、電気モータと、作動流体を用いた作動流体循環回路と、前記排熱通路によって加熱され、また前記作動流体を加熱するように構成された第1熱源と、前記加熱された作動流体によって作動するエキスパンダエンジンとを有する熱回収アッセンブリと、前記電気モータに接続され、また車両のドライブトレインに接続されるように構成された分岐装置であって、さらに、前記エキスパンダエンジンが前記ドライブトレイン及び/又は前記電気モータを駆動できるように、前記エキスパンダエンジンと接続される前記分岐装置とを備える。前記第1熱源は例えば前記排熱通路を介した前記内燃機関の排熱であって良い。前記分岐装置は例えばクラッチやパワースプリッタであって良い。前記エキスパンダエンジンが前記車両の前記ドライブトレインに接続される場合、前記エキスパンダエンジンは前記車両を推進する際に前記内燃機関をサポートすることが出来る。前記エキスパンダエンジンが前記電気モータに接続される場合、前記エキスパンダエンジンは電気駆動装置を駆動するために必要な電気エネルギーを発生させることができる。
【0016】
本開示は、少なくとも上記熱回収アッセンブリに熱を供給するための第2熱源を備えるという考えに基づいている。このような第2熱源は例えば、前記内燃機関の排ガスシステムの熱が十分でない場合や上記内燃機関が停止して熱を全く発生しない場合に、上記熱回収アッセンブリを作動させるために用いることができる。低負荷ICE操作モード、特にアイドリングもしくはモニタリングICE操作モードにおいては、少ない量の熱を発生させることもできる。
【0017】
上述した低負荷ICE操作モードにおいては、上記内燃機関は基本的に外気を上記排ガスシステムへ送り込み、これにより該排ガスの温度が低下する。その結果、該作動流体を気化させ、引いては上記エキスパンダエンジンを作動させるに足る熱は供給されない。このような操作モードにおけるさらなる問題としては、上記排ガス後処理システムが制御不可能な意図しない方法で空冷することがある。このような場合、前記第2熱源は該エキスパンダエンジンを作動させる熱を発生するために稼働されてもよく、また排ガス後処理システムを作動温度範囲内に保つために稼働されてもよい。
【0018】
一実施形態によれば、前記熱回収アッセンブリは前記内燃機関の動作と関係なく動作可能に構成されている。
【0019】
上記構成によれば、上記熱回収アッセンブリを、上記内燃機関と一緒に動作した場合の速度とは異なる速度で動作させることができる。上記熱回収アッセンブリは該内燃機関よりも高いもしくは低い速度で動作できる。そのため、上記熱回収アッセンブリを上記内燃機関と独立して動作させることができる。
【0020】
一実施形態によれば、前記第2熱源は前記内燃機関の動作と関係なく動作可能に構成されている。
【0021】
上記構成によれば、上記第2熱源を、上記内燃機関と一緒に動作した場合の速度とは異なる速度で動作させることができる。上記第2熱源は該内燃機関よりも高いもしくは低い速度で動作できる。そのため、上記第2熱源を上記内燃機関と独立して動作させることができる。これは上記内燃機関の供給可能量よりも多くのエネルギーが必要な場合に特に有用である。このような場合、上記第2熱源は上記熱回収アッセンブリに熱を供給でき、該アッセンブリがそのエネルギーを今度は上記分岐装置に供給し、さらに該エネルギーは分岐装置を介して電気駆動装置へ送られる。
【0022】
一実施形態によれば、前記熱回収アッセンブリ及び/又は前記第2熱源は前記内燃機関が停止した際に動作可能に構成されている。
【0023】
この構成は上記内燃機関が停止しており、エネルギーを全く供給できない状況において特に有用である。他に、前記熱回収アッセンブリ及び/又は前記第2熱源はエネルギーを発生し、発生したエネルギーを上記分岐装置を介して電気駆動装置に分配するものであっても良い。概して、第2熱源を設けることで、内燃機関に対する要求が低い場合に完全に上記内燃機関を停止させエキスパンダエンジンのみを用いて車両を駆動できるという利点が生じる。加えて、停車中や車両を寝台として用いる場合、上記第2熱源によって動作する上記熱回収アッセンブリが電気エネルギーを提供できる。その利点として、上記熱回収アッセンブリは上記車両のドライブトレインを駆動でき、該ドライブトレインにより、運転手が上記内燃機関を始動することなく車両を駆動できる。これは特に駐車場やキャンプ場に停車中のトラックやモータホームを動かすのに特に好適である。
【0024】
上述したように、前記第2熱源は、上記熱回収アッセンブリや上記排ガスシステムの該作動流体を加熱することができる。後者の場合、高温の排ガスを発生もしくは上記内燃機関の排ガスを加熱することで、上記排ガスシステムを加熱させることができる。上記排ガスシステムを加熱することは、停止時や低負荷ICE操作モード時にも上記排ガス後処理システムをその作動温度範囲に保つことができ、上記排ガス後処理のコールド・スタートを防ぐことができるという利点がある。一実施形態によれば、前記第2熱源は前記熱回収アッセンブリの前記作動流体を加熱するための加熱器である。
【0025】
一実施形態によれば、前記排熱通路は前記内燃機関からの排ガスの少なくとも一部を大気中へ案内するための排ガス後処理システムを備えた排ガスシステムである。
【0026】
一実施形態によれば、前記第2熱源は前記排ガスシステムの前記排ガスを加熱するための加熱器である。さらに、一つ以上の熱源、特に上記排ガスを加熱するための加熱器としての第2熱源、及び上記作動流体を加熱するための第3熱源を備えてもよい。また全く同一の第2熱源を設けて、上記の加熱対象の内、一つもしくは複数の対象物を組み合わせて加熱しても良い。
【0027】
一実施形態によれば、前記第2熱源は燃料を燃焼するためのバーナーであり、前記バーナーは燃料取り入れ口と、吸気口と、高温の排ガスを前記排ガスシステムに供給するために前記内燃機関の前記排ガスシステムに接続された排ガス出口とを有する。上記バーナーの該高温の排ガスを用いて、上記熱交換器において熱交換を行うことで上記熱回収アッセンブリを動作させても良く、また上記排ガス後処理システムをその作動温度範囲内に保つのに用いても良い。
【0028】
一実施形態によれば、前記バーナーの該排ガス出口は、前記排ガス後処理システムの上流に位置する前記内燃機関の前記排ガスシステム(16)に接続されている。
【0029】
余分なバーナーを設ける代わりに、既に設置されている上記排ガス後処理システムの予熱システムを第2熱源として用いても良い。
【0030】
一実施形態によれば、前記熱回収アッセンブリはさらに、前記内燃機関の排熱源に接続された少なくとも1つの熱交換器を備える。通常、上記内燃機関には排ガス出口側が設けてあり、これは少なくとも1つの排ガス管を有する排ガスシステムと、ターボチャージャを駆動するために任意で設けられるタービンと、任意で設けられる排ガス後処理システムに接続される。前記排ガスシステムは、排ガスを前記内燃機関及び再循環した前記排ガスを冷却するための冷却装置に再循環するための排ガス再循環システムをさらに備えて良い。高温の排ガスである上記内燃機関の排熱は上記内燃機関の排ガスシステムに流れ込み、上記熱回収アッセンブリを作動させるために用いることができる。そのために、少なくとも1つの熱交換器を上記排ガスシステムの適当な場所に設置しても良い。
【0031】
上記内燃機関の該冷却システムを別の排熱源としても良い。上記内燃機関の冷却材を冷却するのにラジエータを用いる代わりに、該冷却材の熱を用いて上記熱回収アッセンブリの作動流体を気化するように構成された熱交換器を用いても良い。冷却材はそれにより冷却される。
【0032】
全ての場合における利点として、上記排熱の熱エネルギーが上記エキスパンダエンジンによって電気もしくは機械エネルギーに変換でき、これは電気装置を作動させるのに用いても良く、また該車両を推進させるための補助電源として用いても良い。
【0033】
一実施形態によれば、少なくとも1つの熱交換器を、任意の排ガス後処理システムの下流又は上流の上記排ガス管それ自体及び/又は排ガス再循環ダクト(EGR duct)に設ける。上記熱交換器を上記排ガス後処理システムの下流に設けることは、前記排ガス後処理システムを出た高温の排ガスを用いることができるという利点がある。上記排ガス後処理システムは約250°C〜450°Cの作動温度範囲で動作するので、上記排ガス後処理システムを出た該排ガスの温度もまた同じような範囲である。この温度は上記排ガス後処理システムの上流の排ガス温度よりも高い。これは、例えば、タービンが上記排ガス後処理システムの上流に位置するターボチャージャを駆動するのに用いられる場合である。上記熱交換器を上記排ガス後処理システムの上流に設けることで、上記排ガス後処理システムの上流の排ガスの冷却範囲が拡大する。上記排ガス後処理システムの上流で該排ガスを冷却すると、今度は上記排ガス後処理システムにおいて大幅な温度低下が生じ、システム効率を下げてしまう。
【0034】
一実施形態によれば、第1熱交換器を上記排ガス後処理システムの下流に設け、第2熱交換器を上記排ガス後処理システムの上流に設ける。以下に示すように、このような配置の利点は二つある。
【0035】
(i)上記排ガス後処理システムの上流の排ガス温度が非常に高い場合、特に上記排ガス後処理システムの作動温度を超えている場合は、該作動流体は上記第2熱交換器によって過熱され、これにより上記エキスパンダエンジンのエネルギー利用が増える。同時に、該排ガス温度が上記排ガス後処理システムの作動温度範囲まで下がることにより上記排ガス後処理システムの耐用年限が延びる。
(ii)該排ガス温度が低い場合、特に、上記排ガス後処理システムの作動温度範囲を下回る場合、上記第2熱交換器は該排ガスを加熱し、それにより上記排ガス後処理システムはその作動温度範囲内に保たれる。
【0036】
好ましい配置、すなわち、二つの熱交換器が上記排ガス後処理システムの上流と下流に設置される場合、追加の熱源は好ましくは該二つの熱交換器の間に設置される。これにより、高温の作動流体が上記排ガス後処理システムの上流において上記排ガスを加熱することもできる。上記排ガス後処理システムの上流における該高温の排ガスが今度は上記排ガス後処理システムをその作動温度範囲内に保つ。上記排ガス後処理システムの下流に位置する熱交換器が次に熱の一部を上記作動流体回路へ戻すことになる。
【0037】
一実施形態によれば、上記熱交換器の少なくとも1つは排ガス再循環エンジン(EGR engine)を備えた内燃機関の排ガス再循環ダクトに設置されて良い。EGRエンジンにおいて、全排ガス流量の一部を再循環することで上記内燃機関の排気量は減じる。再循環する排ガスの伏流は上記EGRエンジンのガス吸入側に供給される前に冷却され、上記EGRエンジンにおいて、流入する大気と混合され、混合気は上記EGRエンジンの各シリンダーへ導入される。再循環する高温の排ガスは、上記EGRエンジンのガス吸入側においてガス温度が上記EGRエンジンを損傷するレベルにまで上昇する可能性がある為、再循環する排ガスを冷却することは上記EGRエンジンにとって好ましい。さらに排ガスの再循環の割合は、上記EGRエンジンに流れる全質量流に対して15〜30%であると、NOxを十分に低減できるので望ましい。これにより、上記EGRエンジンの冷却器を用いて、該作動流体の加熱と該再循環する排ガスの冷却を同時に行える。好ましくは、熱回収機能を備えた上記EGRシステムにおいても、上記排ガス後処理システムの上流に設置する第2熱交換器を用いることで上述した利点を得ることができる。
【0038】
一実施形態によれば、上記分岐装置は上記ドライブトレイン及び/又は上記電気モータを接続及び切断するように操作される少なくとも1つのクラッチもしくはクラッチ構成であって良い。遊星歯車(epicyclic or planetary)パワースプリッタ装置を追加で、もしくは選択的に用いても良い。
【0039】
使用する分岐装置の種類にかかわらず、当該技術分野で知られているように、分岐装置の基本的な利点は、上記エキスパンダエンジンを上記ドライブトレイン及び上記電気モータに接続または切断することであり、上記エキスパンダエンジンの動力を上記ドライブトレイン及び電気モータに分配するものではない。
【0040】
さらに、前記分岐装置は、上記ドライブトレインと上記電気モータとの間を接続するように構成されても良い。
【0041】
一実施形態によれば、上記電気モータはバッテリやコンデンサなどのエネルギー貯蔵装置に接続されても良い。この構成において、上記熱回収アッセンブリ、すなわち、上記エキスパンダエンジンを完全に切り離して、上記ドライブトレインを上記電気モータのみで駆動することも可能である。
【0042】
上述した構成に加えて、もしくはその代わりに、上記分岐装置が上記ドライブトレインを該電気モータに接続するように構成しても良い。これにより、上記電気モータを上記車両のドライブトレインを駆動する電気モータとして使用できる。さらに、該電気モータを駆動するように構成されたバッテリなどの電力貯蔵装置を設けても良い。一方、上記電気モータが上記エキスパンダエンジンや上記ドライブトレインで駆動される場合は、上記電気モータによって電気エネルギーが生成され、電力貯蔵装置に貯蔵される。
【0043】
一実施形態によれば、前記第2熱源は前記内燃機関と同じ燃料を用いて動作するように構成されており、内燃機関システムの設計を容易にしている。
【0044】
一実施形態によれば、前記エキスパンダエンジンは、車両に電気エネルギーを供給する発電機として前記電気モータを作動させるように構成されている。
【0045】
第2の態様によれば、上述したような内燃機関システムを備える車両を開示する。
【0046】
一実施形態によれば、前記車両はさらに車室用の加熱システムなどの補助装置を備え、前記電気モータが動作可能に前記補助装置に接続され該装置を作動させる。
【0047】
更なる利点及び好適実施形態を添付する請求の範囲、明細書及び図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
以下、本発明を図に示す好適な実施形態を用いて説明する。尚、図面は例示を目的とするものであり保護の範囲をそれに制限するものでなく、添付されている請求の範囲にのみ制限されるものとする。
【0049】
【
図1a】本明細書にて開示する種類の内燃機関システムを備えた大型トラックの概略図である。
【
図1b】本開示に係る内燃機関システムの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、同一もしくは同様な機能を有する各部は同じ参照符号を付して説明する。
【0051】
図1b〜
図5は、熱回収機能を備えた内燃機関システム100の異なる実施形態を示しており、熱回収アッセンブリ1は
図1aに示す種類の車両200の内燃機関12に接続される。これにより、内燃機関12の排熱は、熱回収アッセンブリ1に対する熱源として用いることができる。
図1aに示す大型トラック200は、本開示を実施するのに有利である車両200のような車両の一例にすぎず、乗用車や他の種類のトラックであっても良い。車両200は、本明細書で開示するいずれかの実施形態に係る内燃機関システム100を備えることができる。
【0052】
図1bは本開示の実施形態を示す。同図には熱回収機能を備えた内燃機関システム100が示されており、該システムは排熱通路16を有する内燃機関12を備える。尚、排熱は様々な熱源として用いられる。例えば、排熱は内燃機関12もしくは車両200に接続された任意のシステムからの冷却熱であって良いので、例えば、排ガス再循環(EGR)回路(
図1bでは図示省略)からの冷却熱であっても良い。
【0053】
同図にはさらに、電気モータ28及び熱回収アッセンブリ1を示している。熱回収アッセンブリ1は作動流体を用いた作動流体循環回路を備えている。熱回収アッセンブリは排熱通路16を介して加熱され、また作動流体を加熱するように構成された第1熱源4と、加熱された作動流体によって作動するエキスパンダエンジン8を備える。内燃機関システム100にはまた、電気モータ28に接続され、また車両のドライブトレイン26に接続されるように構成された分岐装置24が配置されている。分岐装置24はさらにエキスパンダエンジン8とも接続され、エキスパンダエンジン8がドライブトレイン及び/又は電気モータ28を駆動できるように構成されている。内燃機関システム100はさらに熱回収アッセンブリ1に熱を供給する第2熱源32を備えている。
【0054】
図2を参照すると、熱回収アッセンブリ1はポンプ2と、第1熱交換器4と、第2熱交換器6と、エキスパンダエンジン8と、コンデンサ10とを備え、これらは互いに作動流体再循環回路11によって接続されている。
【0055】
これにより熱回収アッセンブリ1は次のように作動する。すなわち、第1段階Iにおいて、冷たい液状作動流体がポンプ2に流れ込み、ここで冷たい液状作動流体は大気圧よりも高い所定の圧力に加圧される。その後、加圧された液状作動流体は熱交換器4及び6へ送られ、ここで液状作動流体は加熱され液状から気体へと変換される。この気体への変換によって、圧力が再度増加する。加圧された気体の作動流体はエキスパンダエンジン8に送られ、ここで熱エネルギーが機械エネルギーに変換される。またその後さらに電気エネルギーに変換されることもある。機械エネルギーは、例えば、加圧された作動流体がピストンを作動させるピストンエンジンなどの容量型エンジン、もしくはタービンによって生産できる。他には、エキスパンダエンジン8が電気モータ28を作動して電気エネルギーを発生しても良い。作動流体の圧力は例えばピストンを変位させたり、タービンや電気モータを作動させるのに用いられる。その結果、作動流体の圧力は低下し、第4段階IVでは、気体のままであっても作動流体は低圧になっている。低圧の気体の作動流体は次にコンデンサ10に送られ、ここで作動流体は露点よりも低い温度に冷却され、これにより液状に戻る。
【0056】
このような熱回収アッセンブリ1で用いられる作動流体は純液体、例えば、水もしくはエタノールやアンモニア、又は水と例えばアンモニアかエタノールの混合物、もしくは水、アンモニア、エタノールの混合物であっても良い。
【0057】
特に、車両200に適用する場合、アンモニアもしくはアンモニア化合物、すなわち、尿素は既に車両200内に存在するため、アンモニアの使用がさらに望ましい。排ガス後処理システムが選択接触還元装置(SCR unit)を用いて排ガス中のNOx化合物を還元する場合、尿素やアンモニアを還元剤として使用できる。
【0058】
図2〜5に示すように、熱交換器4及び6は内燃機関12の排ガスシステム16と熱交換可能に接続されている。排ガスシステム16はタービン14と、図中太い矢印で示されている排ガス管18と、排ガス後処理システム20を備える。さらに内燃機関12にはガス吸入側22が設けられており、ここで燃料と空気が公知の方法で混合され内燃機関12に送られる。
【0059】
排ガス後処理システム20及び熱交換器4は一つの装置に組み込まれるが、排ガス後処理システム20と熱交換器4を別々の装置としても良い。
【0060】
図示する実施形態のいくつかで、2つの熱交換器4及び6が示されていたとしても、
図1bに示すように熱交換器4のみを設けても良い。同図において、熱交換器4は排ガス後処理システム20の下流に設けられている。これは、内燃機関12からの排ガスが排ガス後処理システム20に到達するまで冷却されないという利点がある。このような実施形態は本開示の実施形態のいずれか一つと組み合わせることもできる。
【0061】
また、熱交換器6のみを設けても良い。作動流体の加熱以外にも、この熱交換器は非常に高温の排ガスを急速冷却することもできる。非常に高温の排ガス、すなわち排ガス後処理システムの作動温度よりも高い温度の排ガスは、排ガス後処理システムを損傷する可能性がある。
【0062】
例えば
図2に示すように、少なくとも二つの熱交換器4及び6が設けられているシステムにおいては、熱交換器4から熱交換器6に流れ込む作動流体が既に予熱されているため、第2熱交換器6が排ガスを冷却する効果は低くなる。加えて、排ガス管18内の排ガスが低温の場合、熱交換器6は排ガス温度を上昇させるのに用いられる。低温排気は低負荷ICE操作モードにおいて生じる。
【0063】
尚、
図1bにしか示していないが、内燃機関12の排ガスの排熱を用いる代わりに、内燃機関12を冷却する冷却材の熱も熱回収アッセンブリ1の熱源として使用可能であることに言及しておかねばならない。開示する実施形態のいずれか一つにおいて、排熱通路16の排熱を用いることもできる。
【0064】
本開示によれば、エキスパンダエンジン8は分岐装置24に接続される。分岐装置24は、さらに少なくともドライブトレイン26及び電気モータ28に接続でき、これによりエキスパンダエンジン8がドライブトレイン26と電気モータ28のいずれかを駆動できる。上記した実施形態において、分岐装置24は機械エネルギーを発生させる車両200のドライブトレイン26と接続されており、また電気エネルギーを発生させる電気モータ28とも接続されている。その結果、エキスパンダエンジン8は、車両200のドライブトレイン26と接続し、内燃機関12の補助電源装置として機能させても良く、また車両200の付属装置で用いる電気エネルギーを発生するために電気モータ28と接続しても良い。
【0065】
分岐装置24は、エキスパンダエンジン8を、ドライブトレイン26及び電気モータ28に接続もしくは切断するよう構成されたクラッチとすることができる。エキスパンダエンジン8を、ドライブトレイン26と電気モータ28それぞれに接続もしくは切断する以外に、分岐装置24はさらに電気モータ28とドライブトレイン26を直接接続するように構成されても良い。
【0066】
これにより、分岐装置24は、以下に示すように少なくとも3つの接続形態をとることができる。
【0067】
(i)エキスパンダエンジン8とドライブトレイン26間の接続
この接続形態において、熱回収アッセンブリ1によって作動するエキスパンダエンジン8は、特に高負荷エンジン操作モードにおいて、車両200のドライブトレイン26に補助電源を供給する補助電源装置として用いられる。一方、熱回収アッセンブリ1が第2熱源32(詳細は下記参照)を備える場合、エキスパンダエンジン8をドライブトレイン26、つまりは車両の唯一の推進エンジンとして用いることが出来る。
(ii)エキスパンダエンジン8と電気モータ28間の接続
この接続形態において、エキスパンダエンジン8は、電気モータ8にのみ接続される。これにより、熱回収アッセンブリ1が電気エネルギーを発生し、このエネルギーは蓄電装置に蓄電されても良く、電気駆動装置の駆動に用いても良い。第2熱源、例えば、バーナーに関しては、上記構成により、停車時にバッテリを使い果たすことなく運転手は複数の電気駆動装置を使用できる。
(iii)電気モータ28とドライブトレイン26間の接続
この接続形態において、例えばブレーキ時(エネルギー回復時)は、車両200のドライブトレイン26で電気エネルギーを発生でき、電気モータ28がドライブトレインによって駆動される。このモードの別の利点として、低負荷/高速(rpm)操作時に、エキスパンダエンジン8はいかなるパワーも追加することなしにフリクションを付加し、これを切り離すことで、フリクション総量が低減する。一方、電気モータ28を車両200のドライブトレイン26を駆動するための電気モータとして用いることもでき、単一電源装置もしくは補助電源装置とすることができる。
【0068】
分岐装置24としてクラッチを用いる以外に、分岐装置24は上記構成を可能とする他の装置であっても良い。このような分岐装置24のさらに別の例は遊星歯車パワースプリッタである。
【0069】
本開示によれば、熱回収機能を備えた内燃機関システム100は、さらに追加の加熱装置32を備える。この装置は、
図2にバーナーとして例示されている。バーナー32において、噴射された燃料(矢印34参照)は空気により燃焼し(矢印36参照)、内燃機関12の排ガスシステム16に導入される高温の排ガス38を生成する。好ましくは、バーナー32の高温の排ガス38は、排ガス後処理システム20の上流に位置する排ガス管18に導入され、バーナー32は排ガス後処理システム20のための予熱及び熱回収アッセンブリ1の作動流体の加熱の双方に用いることができるようになっている。これにより、作動温度を下回って排ガス後処理システム20を冷却する恐れがない。
【0070】
さらに、低負荷操作時、例えば車両200がゆっくり走行しており回転数を保つことが出来ない場合など、内燃機関12を停止し、エキスパンダエンジン8からのみドライブトレイン26にエネルギーを供給しても良い。加えて、例えば、駐車場やキャンプ場で車両200が停車している場合、バーナー32によって作動される熱回収アッセンブリ1が供給する電気エネルギーを用いてテレビやラジオなどの電力駆動装置を作動できる。
【0071】
バーナー32を排ガス後処理システム20の上流に設置することで、バーナー32の排ガスも排ガス後処理システム20に処理され、大気中に放出されるというさらなる利点が生じる。
【0072】
上述したように、内燃機関12の排熱は様々な形態で回収できる。
図2では、通常の内燃機関12からの排ガスの排熱が用いられている。排ガスシステム18内の熱交換器4及び6の配置以外に、
図3に示すように熱回収アッセンブリ1の少なくとも1つの熱交換器7を、排ガス再循環部31(EGRエンジン12a)の排ガス再循環ダクト30に設置することができる。EGRエンジン12aにおいて、高温の排ガスの一部はNOx還元のために内燃機関12のガス吸入側22に再循環する。しかしながら、高温の排ガスは内燃機関12のガス吸入側22の温度を、内燃機関12が損傷する程度にまで上昇させる可能性があるため、少なくとも1つの冷却装置が排ガス再循環ダクト30に設けられている。この冷却装置は熱交換器7であって良く、これにより相乗的に排ガスは冷却され、作動流体は加熱される。上記少なくとも1つの熱交換器7は
図3において、熱交換器4及び6と直列に配置されているが、熱交換器4及び6と平行に配置しても良い。また上述したように、熱交換器4及び6のいずれか一つを用いてよく、この場合、第1熱交換器4を用いるのが好ましい。
【0073】
図4はさらに別の実施形態を示し、ここでは、バーナー32が排ガス後処理システム20の上流のみならず第2熱交換器6の上流にも位置していない。バーナー32を第2熱交換器6の上流に配置することにより、熱回収アッセンブリ1の作動流体が2段階で加熱されるというさらなる利点が生じる。
【0074】
図5は、第2熱源32を配置するさらに別の実施形態を示す。排ガスシステム16を加熱して熱回収アッセンブリ1の作動流体を間接的に加熱する代わりに、作動流体を直接加熱することもできる。
図5に示すように、第1熱交換器4及び第2熱交換器6が配置されており、作動流体を加熱するための第2熱源32を第1熱交換器4と第2熱交換器6との間に設ける場合、作動流体は直接加熱され、排ガスシステム16は間接的に加熱される。その結果、作動流体を直接加熱したとしても、上述したような内燃機関12を使わずにドライブトレイン26や電気モータ28を作動させる及び/又は排ガス後処理システム20を作動温度内に保つという利点は得られる。
【0075】
第2熱源32は、車両200の室内を暖めるためにも用いられる。このように内燃機関システム100の加熱と車室内の暖房を組み合わせることは特に、例えば車両200の停止時や内燃機関12が動作していない時などに有用である。これはホテルモードと呼ばれることもある。後の使用に備えて内燃機関システム100の代わりに第2熱源32を用いることができ、また冬季など寒い環境においてホテルモードで加熱する際にも用いることができる。典型的な室内暖房機は車室内を適温に暖めるのに略10kWを発生する。暖房効率は略20%である。これにより、10kW×0.2=2kWの電気が生み出され、この量は、この例示的な実施形態において、内燃機関システム100を動作させるのに十分な量である。
【0076】
開示する実施形態のいずれかに係るコンデンサ10は、車両200の通常の冷却システムに接続できる。この場合、通常の冷却システムに追加の機能を与えるという簡単だが効果的な方法が取れる。
【0077】
図に詳細に示していないが、上述した全ての構造は、通常の内燃機関12の代わりのEGRエンジン12aでも同様に適用可能である。
【0078】
加えて、熱回収機能を備えた内燃機関システム100は例えば、排ガスや再循環する排ガス、排ガス再循環通路及び/又は内燃機関の冷却システムなどの別の種類の排熱源を有していても良い。しかしながら、熱回収機能を備えた内燃機関システム100の各要素、例えば、熱交換器4、6、7、第2熱源32などの上述した配置は、別の排熱源にも適用できる。さらに、第1及び第2熱源の他に熱源を設けても良い。
【0079】
尚、上述した全ての実施形態において、第2熱源32は該システムのいずれの熱交換器とも異なっておりかつ離れた位置にある。
【0080】
好ましくは、熱回収機能を備えた内燃機関システム100を用いれば、内燃機関12が供給するエネルギーをより効率的に利用できる。長距離トラックなどのある種の車両200は、比較的低い電力しか必要としないことが多く、例えば寝台として用いる時など、冷房、暖房やテレビの使用に数キロワットの電力しか必要とせず、大型ディーゼルエンジンを作動させるのは燃料の無駄である。熱回収アッセンブリの加熱用のバーナーを配置することで、低燃料コストで電気エネルギーを発生させることができる。加えて、バーナーは低負荷エンジン操作モードや車両の停止時に、排ガス後処理システムをその作動温度範囲内に保つのに役立つ。それ故、熱回収アッセンブリ、特に第2熱源は内燃機関と独立して動作可能であると結論付けられ、また熱回収アッセンブリ及び第2熱源は内燃機関が停止もしくは休止していても動作可能である。
【0081】
クラッチのような分岐装置を第2熱源、例えばバーナーと組み合わせて設置したので、熱回収アッセンブリのエネルギーは、電気エネルギーを発生させるための電気モータと車両自体を推進するドライブトレインのいずれにも供給できる。これにより、エネルギー分配が改善され、内燃機関が作動していないときでも、エネルギーを必要な場所へ自由に供給できる。さらに、第2熱源は発進前及び低負荷ICE操作モードにおいて排ガス後処理システムを加熱するのに使用可能である。
【0082】
加えて、もし2つの熱交換器を1つは排ガス後処理システムの上流に、もう一方を下流に配置する場合、低負荷ICE操作モードにおいて、エネルギーが回収できる。第2熱源、特にバーナーを排ガス後処理システムの上流に配置すれば、バーナーの排ガスも排ガス後処理システムによってクリーン化されるというさらなる利点が生じる。
【手続補正書】
【提出日】2016年4月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収機能を備えた内燃機関システム(100)であって、前記システムは
排熱通路(16)を備えた内燃機関(12)と、
電気モータ(28)と、
作動流体を用いた作動流体循環回路と、前記排熱通路(16)によって加熱され、また前記作動流体を加熱するように構成された第1熱源(4、6)と、前記加熱された作動流体によって作動するエキスパンダエンジン(8)とを有する熱回収アッセンブリ(1)と、
前記電気モータ(28)に接続され、また車両のドライブトレイン(26)に接続されるように構成された分岐装置(24)であって、さらに、前記エキスパンダエンジン(8)が前記ドライブトレイン及び/又は前記電気モータ(28)を駆動できるように、前記エキスパンダエンジン(8)と接続される前記分岐装置(24)とを備え、
前記内燃機関システム(100)はさらに、前記熱回収アッセンブリ(1)に熱を供給するための第2熱源(32)を少なくとも備え、前記熱回収アッセンブリ(1)及び/又は前記第2熱源(32)は前記内燃機関(12)の動作と関係なく動作可能に構成され、かつ前記内燃機関(12)が停止した際に動作可能に構成されていることを特徴とする内燃機関システム(100)。
【請求項2】
前記第2熱源(32)は、前記熱回収アッセンブリ(1)の前記作動流体を加熱するための加熱器であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項3】
前記排熱通路(16)は、前記内燃機関(12)からの排ガスの少なくとも一部を大気中へ案内するための排ガス後処理システム(20)を備えた排ガスシステム(16)であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項4】
前記第2熱源(32)は、前記排ガスシステム(16)の前記排ガスを加熱するための加熱器であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項5】
前記第2熱源(32)は、前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に配置された前記排ガス後処理システム(20)のための加熱器であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項6】
前記第2熱源(32)は、燃料を燃焼するためのバーナーであり、前記バーナーは燃料取り入れ口(34)と、吸気口(36)と、高温の排ガスを前記排ガスシステム(16)に供給するための前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続された排ガス出口(38)とを備えることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項7】
前記バーナーの前記排ガス出口(38)は、前記排ガス後処理システム(20)の上流に位置する前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続されることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項8】
前記熱回収アッセンブリ(1)の前記第1熱源は、前記内燃機関(12)の排熱源に接続された少なくとも1つの熱交換器(4、6)を備え、前記排熱源は前記排ガスシステム(16)及び/又は前記内燃機関(12)の冷却システム及び/又は排ガス再循環システムからの排熱であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの熱交換器(4、6)は、前記排ガス後処理システム(20)の上流及び/又は下流に配置されることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項10】
前記第1熱交換器(4)は、前記排ガス後処理システム(20)の下流に配置され、前記第2熱交換器(6)は前記排ガス後処理システム(20)の上流に配置され、前記第2熱源(32)は、前記第1熱交換器(4)と前記第2熱交換器(6)との間の前記作動流体循環回路(11)に配置されることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項11】
前記バーナー(32)の前記排ガス出口(38)は、前記第2熱交換器(6)の下流に位置する前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続されることを特徴とする請求項6、請求項7及び請求項10のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項12】
前記排ガスシステム(16)は、さらにターボチャージャを駆動するためのタービン(14)を備え、前記少なくとも1つの熱交換器(4、6)は前記タービン(14)の下流に配置されることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項13】
前記バーナー(32)の前記排ガス出口(38)は、ターボチャージャを駆動するためのタービン(14)の下流かつ前記第2熱交換器(6)の上流に位置する前記内燃機関(12)の前記排ガスシステム(16)に接続されることを特徴とする請求項12に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項14】
前記内燃機関(12)は、排ガス再循環ダクト(30)と再循環する前記排ガスを冷却するための冷却装置とを有する排ガス再循環部(31)を備えた排ガスシステム(16)を用いた排ガス再循環エンジンであり、前記排ガス再循環ダクト(30)は好ましくはターボチャージャを駆動するためのタービン(14)の上流において分岐することを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項15】
前記熱回収アッセンブリ(1)は、さらに前記排ガス再循環ダクト(30)に配置された少なくとも1つの熱交換器(4、6)を備え、前記熱交換器(4)は再循環する前記排ガスの冷却装置として設計されることを特徴とする請求項14に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項16】
前記熱回収システム(1)は、前記タービン(14)の下流かつ排ガス後処理システム(20)の上流に位置する前記排ガスシステム(16)の排ガス管(18)に配置される第2熱交換器(6)を備えることを特徴とする請求項15に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項17】
前記分岐装置(24)は、少なくとも1つのクラッチであることを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項18】
前記分岐装置(24)は、遊星歯車パワースプリッタであることを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項19】
前記熱回収アッセンブリ(1)は、少なくとも1つの熱交換器(4、6)と、前記少なくとも1つのエキスパンダユニット(8)と、少なくとも1つのコンデンサ(10)と、少なくとも1つのポンプ(2)とを備えるランキンサイクルであることを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項20】
前記第2熱源(32)は、前記内燃機関(12)と同じ燃料を用いて動作するように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項21】
前記エキスパンダエンジン(8)は、車両に電気エネルギーを供給する発電機として前記電気モータ(28)を作動させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項20のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項22】
請求項1〜請求項21のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)を備えることを特徴とする車両。
【請求項23】
さらに車室用の加熱システムを含む補助装置を備え、前記電気モータ(28)が動作可能に前記補助装置に接続され該装置を操作させることを特徴とする請求項22に記載の車両。
【国際調査報告】