(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532492(P2017-532492A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】2速ベルト駆動システム
(51)【国際特許分類】
F02B 67/06 20060101AFI20171006BHJP
F16H 55/36 20060101ALI20171006BHJP
F16H 9/06 20060101ALI20171006BHJP
F16D 41/20 20060101ALI20171006BHJP
F16D 27/112 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
F02B67/06 E
F16H55/36 E
F16H9/06 A
F16D41/20 A
F16D27/112 Z
F02B67/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-520395(P2017-520395)
(86)(22)【出願日】2015年8月7日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月28日
(86)【国際出願番号】US2015044243
(87)【国際公開番号】WO2016060730
(87)【国際公開日】20160421
(31)【優先権主張番号】14/515,114
(32)【優先日】2014年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】サーク,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ディーン
【テーマコード(参考)】
3J031
3J050
【Fターム(参考)】
3J031BA19
3J031CA03
3J050AA02
3J050AB07
3J050BA12
3J050BB16
3J050CC08
3J050CD07
3J050DA07
(57)【要約】
第1ベルト(10)に係合する第1プーリ(213)および第2ベルト(20)に係合する第2プーリ(206)を備えるクランク軸モジュール(200)と、第1ベルトおよび第2ベルトに係合するクラッチモジュール(100)とを備え、第2ベルト(20)がエンジンアクセサリに係合され、クランク軸モジュールが第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリング(205)を有し、クラッチモジュールが第2ベルトを選択的に駆動するためのクラッチ(57)を有する2速ベルト駆動システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベルト(10)に係合する第1プーリ(213)および第2ベルト(20)に係合する第2プーリ(206)を備えるクランク軸モジュール(200)と、
前記第1ベルトおよび前記第2ベルトに係合するクラッチモジュール(100)とを備え、
前記第2ベルト(20)はエンジンアクセサリに係合され、
前記クランク軸モジュールは前記第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリング(205)を有し、
前記クラッチモジュールは前記第2ベルトを選択的に駆動するためのクラッチ(57)を有する
2速ベルト駆動システム。
【請求項2】
前記クラッチモジュールが電磁クラッチを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記クランク軸モジュール・クラッチスプリングが巻き戻し方向に負荷をかけられる請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記クランク軸モジュールが弾性部材により取付けられた慣性部材を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記クラッチモジュールのクラッチがエンジンアイドル状態において係合される請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記クラッチモジュールのクラッチがエンジンの非アイドル状態において解放される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1ベルトに係合されるテンショナをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2ベルトに係合されるテンショナをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記クラッチスプリングがオーバーラン状態において解放される請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
第1ベルト(10)に係合する第1プーリ(213)および第2ベルト(20)に係合する第2プーリ(206)を備えるクランク軸モジュール(200)を備え、前記クランク軸モジュールは弾性部材(212)により取付けられた慣性部材(2010)をさらに備え、
前記第1ベルトおよび前記第2ベルトに係合するクラッチモジュール(100)を備え、前記クランク軸モジュールは前記第1ベルトとともに前記クラッチモジュールを駆動し、
前記第2ベルトはエンジンアクセサリを駆動し、
前記クランク軸モジュールは前記第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリング(205)を有し、前記クラッチスプリングは所定の状態において解放可能であり、
前記クラッチモジュールは、エンジンの非アイドル状態より大きいスピードにおけるエンジンアイドル状態の間、前記第2ベルトを選択的に駆動するための電磁クラッチ(57)を有する
2速ベルト駆動システム。
【請求項11】
前記電磁クラッチがエンジンの非アイドル状態において解放される請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1ベルトに係合されるテンショナをさらに備える請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2ベルトに係合されるテンショナをさらに備える請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
第1ベルト(10)に係合する第1プーリ(213)および第2ベルト(20)に係合する第2プーリ(206)を備えるクランク軸モジュール(200)を備え、前記第1プーリが、弾性部材(212)によってハブ(300)に取付けられた慣性部材(2010)をさらに備え、
前記第1ベルトおよび前記第2ベルトに係合するクラッチモジュール(100)を備え、前記クランク軸モジュールは前記第1ベルトとともに前記クラッチモジュールを駆動し、
前記第2ベルトはエンジンアクセサリを駆動し、
前記クランク軸モジュールは前記第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリング(205)を有し、前記クラッチスプリングがオーバーラン状態において解放可能であり、
前記クラッチモジュールは、エンジンの非アイドル状態より大きいスピードにおけるエンジンアイドル状態において前記第2ベルトを選択的に駆動するための電磁クラッチ(57)を有し、前記電磁クラッチはエンジンアイドル状態において係合される
2速ベルト駆動システム。
【請求項15】
前記第1ベルトに係合されるテンショナをさらに備える請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2ベルトに係合されるテンショナをさらに備える請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記クランク軸モジュールのクラッチスプリングは、前記電磁クラッチが係合されるときオーバーラン状態になる請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ベルトに係合する第1プーリおよび第2ベルトに係合する第2プーリを備えるクランク軸モジュールと、第1ベルトおよび第2ベルトに係合するクラッチモジュールとを備え、第2ベルトがエンジンアクセサリに係合され、クランク軸モジュールが第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリングを有し、クラッチモジュールが第2ベルトを選択的に駆動するためのクラッチを有する2速ベルト駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は自動車用アクセサリベルト駆動システム(ABDS駆動)に関する。
【0003】
本技術の代表は米国特許第7,798,928号明細書である。これは、駆動源の回転軸に直接取付けられたクラッチユニットと、駆動源の回転軸に直接取付けられたワンウェイクラッチと、第1および第2の速度比の間の変化を規定するエンジン作動状態の所定値において作動するクラッチユニットを有し、アクセサリが第1の速度比ではクラッチユニットによって駆動され、第2の速度比ではワンウェイクラッチを介して駆動源の回転軸により直接駆動されるように、クラッチユニットに回転自在に接続され、かつワンウェイクラッチを介して駆動源の回転軸に回転自在に接続された複数の回転アクセサリとを備え、
クラッチユニットはエンジンの始動時に係合する。
【0004】
必要なものは、第1ベルトに係合する第1プーリおよび第2ベルトに係合する第2プーリを備えるクランク軸モジュールと、第1ベルトおよび第2ベルトに係合するクラッチモジュールとを備え、第2ベルトがエンジンアクセサリに係合され、クランク軸モジュールが第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリングを有し、クラッチモジュールが第2ベルトを選択的に駆動するためのクラッチを有する2速ベルト駆動システムである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の主な特徴は、第1ベルトに係合する第1プーリおよび第2ベルトに係合する第2プーリを備えるクランク軸モジュールと、第1ベルトおよび第2ベルトに係合するクラッチモジュールとを備え、第2ベルトがエンジンアクセサリに係合され、クランク軸モジュールが第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリングを有し、クラッチモジュールが第2ベルトを選択的に駆動するためのクラッチを有する2速ベルト駆動システムである。
【0006】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記述と添付した図面により説明され、明らかになる。
【0007】
本発明は、第1ベルトに係合する第1プーリおよび第2ベルトに係合する第2プーリを備えるクランク軸モジュールと、第1ベルトおよび第2ベルトに係合するクラッチモジュールとを備え、第2ベルトがエンジンアクセサリに係合され、クランク軸モジュールが第2プーリの摩擦駆動のためのクラッチスプリングを有し、クラッチモジュールが第2ベルトを選択的に駆動するためのクラッチを有する2速ベルト駆動システムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図6】アイソレーティング・スプリングの側面図である。
【
図10】セカンダリ・クラッチモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はベルト駆動システムの正面図である。システム1000は内燃機関(E)用のフロントエンド・アクセサリドライブを備える。
図1においてエンジンのフロント部分が示され、他の部分は明確性のために省略されている。
【0010】
本発明のシステム1000はベルト10と第2ベルト20を備える。種々のエンジンおよび車両用アクセサリコンポーネントはベルト20によって駆動される。ベルト10とベルト20はそれぞれマルチリブドベルトである。これはリブがベルトの無端方向に沿って平行に延びることを意味する。
【0011】
ベルト10はクラッチモジュール100とクランク軸モジュール200とテンショナ30との周囲のみに沿って走行する。ベルト10はクランク軸モジュール200からクラッチモジュール100へ動力を伝達する。ベルト20はクランク軸モジュール200と、クラッチモジュール100と、オルタネータ40、パワーステアリングポンプ50およびウォータポンプ60を有するアクセサリとの周囲に沿って走行する。ベルト20はまた、テンショナ70とアイドラ80とアイドラ90とに係合する。テンショナ70はベルト20に適正な負荷を維持する。
【0012】
テンショナ30はベルト10に適正なベルト負荷を維持する。テンショナ70とテンショナ30は、従来公知である。適正なベルト負荷はベルトスリップとノイズを防止する。
【0013】
図2Aはクランク軸モジュールの正面図である。
図2Bはクランク軸モジュールの背面図である。
図3はクランク軸モジュールの断面図である。
図3を参照すると、クランク軸モジュール200はダンパアセンブリ201、ハブ300、アイソレーティング・スプリング202、スプリングキャリア203、ブッシュ204A、ブッシュ204B、クラッチスプリング205、プーリ206、ベアリング207、ベアリング208、リテーナ209、シールド210、リテーナ211を備える。ダンパアセンブリ201は慣性部材2010と弾性部材212を備える。弾性部材212は、ハブ300に対する慣性部材2010の微増振動を許容し、これは延いてはシリンダの爆発行程により引き起こされるクランク軸の振動を減衰させる。アイソレーティング・スプリング202は巻き戻し方向に負荷をかけられる。シールド210は異物が本装置へ侵入することを防止する。
【0014】
慣性部材2010はさらにプーリ213を備える。プーリ213とプーリ206はそれぞれベルト10とベルト20に係合する。ハブ300は受部301とスプリング・ストッパ302とを備える。アイソレーティング・スプリング202の端部2020はストッパ302に係合する。アイソレーティング・スプリング202はスプリング受部301の中に入れ子状態に収容される。ハブ300はエンジンクランク軸に強固に連結される。
【0015】
図6はアイソレーティング・スプリングの側面図である。アイソレーティング・スプリング202はスプリングキャリア203に係合する。スプリング202の端部2021はストッパ2030に係合する。
図7B参照。スプリングキャリア203はさらに外部円筒状面2031を備える。クラッチスプリング205は面2013に摩擦係合する。スプリング205の端部2050は受部2032に係合する。
図7A参照。プーリ206は内面2061と外面2060を備える。
図9参照。クラッチスプリング205は内面2061に摩擦係合する。
図4はクランク軸モジュールの分解図である。
【0016】
動作においてハブ300は巻き戻し方向にアイソレーティング・スプリング202を駆動する。スプリング202の端部2020はストッパ302に係合する。スプリング202は延いてはスプリングキャリア203を駆動する。スプリングキャリア203はクラッチスプリング205を巻き戻し方向に駆動する。これはクラッチスプリング205を面2061に対して径方向に拡大させ、これはスプリング205をプーリ206に摩擦係合させて駆動する。このようなクラッチの際、プーリ206はハブ300と同スピードで回転する。この状態においてプーリ213もプーリ206と同スピードで回転する。
【0017】
クラッチスプリング205がプーリ206を駆動しないとき、スプリング205は径方向に収縮し、それにより面2061から解放される。そしてプーリ206はオーバーランすることができ、ハブ300よりも高速で回転する。この状態は、ベルト駆動システムの慣性がエンジンと同じ割合でベルト駆動システムが減速することを妨げる場合に、例えばエンジンの減速時に生じる。オルタネータのような、それぞれのアクセサリは慣性を有する。慣性は、エンジンをオーバーランさせると言われる点において、アクセサリがエンジンと同じくらいに早く減速することを妨げる。
【0018】
クラッチモジュール100は、例えば米国特許第7,798,928号明細書に記載されている。
図9参照。米国特許第7,798,928号明細書は参照することにより、この明細書に組入れられる。
図10はクラッチモジュール100の断面図である。
図10は断面図の上半分を示し、下半分は上半分と対称的な形状である。クラッチモジュール100はコイル57を有する電磁クラッチを備える。コイル57はバックプレート75を介して固定ハウジング77に取付けられる。ハウジング77は回転せず、例えばエンジン面である面にクラッチを取付けるために用いられる。プーリ71を有するロータ73は、ハウジング77上のボールベアリング55に回転自在に設けられる。ベアリング55はボールベアリングであるが、従来公知の適切なベアリングであってもよい。クラッチプレート61はシャフト67を有する第2プーリ69に移動可能に取付けられ、例えば3本のシャフト67がプーリ69の周りに対称的に配置される。ゴムパッド65は、コイル57が通電されないとき、プレート61をロータ73から離れる方向に付勢する。この取付け方法によれば、コイル57が通電されてクラッチが係合したとき、プレート61がプーリ69からロータ73に向かって軸方向に移動することができる。プーリ69はまた、パワーステアリングポンプのシャフトのようなアクセサリにプーリ69が直接取付けられるハブ53を備える。コイル57はプーリ71の幅の範囲内に収容され、プレート61はプーリ69の幅の範囲内に収容される。コイル57は従来公知であるエンジンECUシステム400に接続され、これによりエンジンスピードの信号が、スイッチングスピードに応じてコイル57を制御して通電あるいは非通電するために利用可能となる。コイル57は従来公知の車両電子システムに接続される。
【0019】
本発明システムは2つの動作モードを備える。動作モード1では、第2クラッチモジュール100が解放され、すなわち電磁クラッチコイル57は非励磁化される。この結果プーリ206はベルト20を介してベルト駆動システムの駆動源として作用する。ベルト駆動のスピードはプーリ206の直径の関数である。プーリ206はエンジンのクランク軸と同回転スピードで回転する。これは非アイドル状態において典型的である。
【0020】
エンジンクランク軸からの動力はハブ300からストッパ302を介してアイソレーティング・スプリング202に伝わり、スプリングキャリア203、クラッチスプリング207そしてプーリ206およびベルト20に伝わる。プーリ213は、第2クラッチモジュール100に係合するベルト10を駆動する。
【0021】
クランク軸のねじれ振動はアイソレーティング・スプリング202の動作によりプーリ206から遮断される。スプリング202は、ねじれ負荷振動がスプリング202により吸収されるような、ねじれバネ係数を有する。クランク軸のねじれ振動がプーリ206から遮断されるので、振動はベルト駆動システムから遮断される。
【0022】
動作モード2では、第2クラッチモジュール100は閉鎖あるいはロックされ、すなわち電磁クラッチコイル57が通電されてプーリ69をプーリ71に固定する。このモードでは、プーリ213はベルト駆動システムの駆動源である。駆動スピードはプーリ213の直径の関数である。プーリ213はプーリ206より大きな直径を有する。プーリ213はベルト10を駆動する。ベルト10は第2クラッチモジュール100を駆動する。そして第2クラッチモジュールはベルト20を駆動する。プーリ213、プーリ206および第2クラッチモジュール100間の直径の違いにより、ベルト20のスピードは増加され、プーリ206はエンジンのクランク軸より速く回転する。プーリ206はハブ300(クランク軸)を“オーバーラン”させる。クラッチスプリング205はオーバーラン状態において面2061から解放され、“開放される”と考えられる。モード2は、アイドリングのように、エンジンスピードが遅いとき用いられる。ベルトスピードの増加は、エンジンのアイドリングスピードが減速することを許容し、これは、ベルトが例えばオルタネータおよびエアコンディショナコンプレッサに適正なスピードを維持することを許容する。低いエンジンアイドルスピードは燃料消費量を減少させる。
【0023】
図11はシステムがどのように動作するかの例を示す図である。エンジンスピードに対するクラッチモジュールの駆動比が示される。駆動比はプーリ206とプーリ71の比である。
【0024】
望ましいスイッチングスピードは、本システムが各モードにおいて作動するスピード範囲の中心値である。このスピード範囲は、エンジンスピードがスイッチングスピードの周り、例えば約200RPMの範囲で変化するとき、モード間でのスイッチの繰り返しを制限することに役立つ。アイドリングにおいて、アクセサリ駆動はモード2であり、クラッチ57は係合され、これによりベルト20をプーリ71とともに駆動する。プーリ206はモード2におけるオーバーラン状態にあり、スプリング205は非係合状態にある。
【0025】
エンジンスピードが増加し、望ましいスイッチングスピードに近づくので、クラッチ57が非励磁になって解放するときクラッチモジュール100がモード2からモード1に変化する。アクセサリはモード1においてプーリ206により駆動される。プーリ206はプーリ71より小さな直径を有するので、プーリ206の使用により、全てのアクセサリスピードが低減する。エンジンスピードはスイッチングスピードよりも減少するので、クラッチモジュールのクラッチ57は係合し、これによりモード1からモード2に切り替わり、延いてはモード2およびアイドル時におけるアクセサリスピードを全体的に増加させる。
【0026】
例えば、スイッチングスピードが1200rpmであるならば、システムがモード2のとき、モード2からモード1への切換えは、エンジンスピードが上昇するに従って、スイッチングスピードよりも約100rpm高いときに生じる。反対に、本システムがモード1のとき、モード1からモード2への切換えは、エンジンスピードが下降するに従って、スイッチングスピードよりも約100rpm低いときに生じる。
【0027】
典型的な状況において、エンジンアイドルスピードは、本発明システムの使用により50から100RPMだけ低下し得る。例えば、典型的なエンジンアイドルスピードは約600RPMである。
【0029】
限定されない一例として、表1はシステムの一組の設計パラメータの例を示す。
【0030】
モード2はアクセサリが、例えば600RPMの典型的なアイドルスピードよりも低い、例えば50RPMから100RPMの低エンジンスピードにおいて、適正かつ効果的に機能することを可能にするスピードで作動することを許容する。モード1は、アクセサリを減速するが、アクセサリが、スイッチングスピードよりも高い非アイドルエンジンスピードで適正かつ効果的に機能することを可能にするスピードで作動することを許容する。アクセサリを低速化することは、全体的に燃料消費と排気ガスを減少させ、アクセサリの効率を改善し、車両の加速性能を向上させる。アイドルにおけるアクセサリの高速化は、エンジンのアイドルスピードの全体的な低下を許容し、これは燃料消費を減らし排気ガスを減少させる。
【0031】
本発明の1つの形態が説明されたが、当業者は、ここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。
【国際調査報告】