特表2017-532495(P2017-532495A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532495(P2017-532495A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】自動車用圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20171006BHJP
【FI】
   F04C18/02 311E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-522108(P2017-522108)
(86)(22)【出願日】2015年10月28日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月21日
(86)【国際出願番号】IB2015058293
(87)【国際公開番号】WO2016067206
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】14/60445
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーギュスタン ベル
(72)【発明者】
【氏名】出口 裕展
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA02
3H039AA04
3H039AA12
3H039BB02
3H039BB04
3H039BB28
3H039CC17
3H039CC32
(57)【要約】
本発明は、固定部と前記固定部に対して移動可能な可動部(10)とを備えた圧縮機に関し、前記可動部(10)は、旋回軸の周りを旋回運動するように構成され、前記圧縮機は、さらに、旋回運動中の可動部(10)の自転を拘束するように構成されたリング(22)とピン(24)とで形成された、少なくとも1つの回転防止アセンブリ(20)を備える。前記固定部と前記可動部(10)は、前記ピン(24)が交差する軸方向クリアランス(J)を形成する空間によって少なくとも局所的に分離され、前記リング(22)は前記空間に入り込んでいる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と前記固定部に対して移動可能な可動部(10)とを備え、
前記可動部(10)は、旋回軸(4)の回りを旋回運動するように構成され、
さらに、旋回運動中の前記可動部10の自転を拘束するように構成された、少なくとも1つの回転防止アセンブリ(20)を備え、
前記回転防止アセンブリ(20)は、リングとピン(24)を備え、前記固定部と前記可動部(10)は、前記ピン(24)が交差する軸方向クリアランス(J)を形成する空間によって少なくとも局所的に離されており、前記リング(22)は、前記空間と同一平面にあり、及び/又は、前記空間に入り込んでいることを特徴とする圧縮機(1)。
【請求項2】
前記リング(22)を受ける凹部(30)を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記リング(22)は、前記凹部(30)内で前記旋回軸(4)に沿って向けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記リング(22)は、前記凹部(30)内で径方向のクリアランスを持たせて配されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記凹部(30)は、カップ状であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項6】
前記リング(22)は、前記カップの迫部(32)に当接していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項7】
前記カップは、高さhの側壁(34)を有し、前記リング(22)は、前記高さh以上の軸方向長さを有していることを特徴とする請求項5又は6記載の圧縮機。
【請求項8】
前記凹部(30)は、前記可動部(10)内に画定され、前記リング(22)は、前記固定部から残留クリアランス(J‘)だけ離れて位置していることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項9】
前記残留クリアランス(J‘)は、前記ハウジングが前記固定部に完全に面している時に、前記凹部(30)から前記空間への流体の流れを制限するように構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項10】
前記凹部(30)のそれぞれは、前記凹部(30)が前記固定部(2)に完全には面していない時に、流体の流れの制限から解放されることを特徴とするクレーム9記載の圧縮機。
【請求項11】
前記駆動部(10)を駆動させる電動機を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項12】
電動機とこれを制御する電子回路を備えていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれに記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、圧縮機、特に空調用圧縮機、とりわけ自動車用の圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
現時点で知られている圧縮機においては、異なるタイプの圧縮機構が存在している。"スクロール"タイプとして知られる特定のタイプにおいては、可動スクロールが固定スクロールに対して旋回する。このような旋回運動は、閉空間、例えば自動車の車室を熱的に調整するために空調回路内の冷媒を圧縮し、この冷媒に動きを与える。
【0003】
このような機構の正確な動作を確保するために、可動スクロールの自転は規制されなければならない。このために、可動スクロールを保持する部分に接続された複数のリングを用いることが知られている。それらは、その周辺で円周方向に配設されている。各リングは、圧縮機の固定部に接続されたピンに関連付けられている。そのピンは、リングの内側と局所的に接触しており、リングに対して自由な移動を確保している。その結果、ピンは、可動スクロールの自転を阻止するが、旋回運動の障害とはならない。
【0004】
この場合、そのような解決策は、規制することが必要となる摩擦を発生させる。それにも拘らず、既知の解決策では、多くの欠点をもたらすリングの不正確な位置決めのリスクがある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、リングの正確な位置決めを容易に行うことであり、したがって、固定部と、前記固定部に対して移動可能な可動部とを備え、前記可動部は、旋回軸周りの旋回運動に追従するように構成された圧縮機を提案するものであり、この圧縮機は、さらに、少なくとも、リングとピンとで形成されて、旋回動中に可動部の自転に対する動きを停止させるように構成された回転防止アセンブリを備え、前記固定部と前記可動部とは、前記ピンによって交差された軸方向クリアランスを形成する空間によって少なくとも局部的に分離されており、前記リングは、前記空間と同一平面にあり、かつ/または、前記空間に入り込んでいる。
【0006】
このようにリングを伸ばすことにより、不正確な位置決めを防止することができる。これにより、固定部と可動部との間の不要な摩擦が増加することを避けることができる。この結果として、故障を引き起こす可能性のある早期の摩耗のリスクを抑えることができる。また、圧縮機によって生成される雑音や過剰な消費電力も抑えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の特徴を同時に、又は、別々に有している。
前記圧縮機は、前記リングを受け入れる凹部を有し、
前記リングは、前記凹部内において前記旋回軸に沿って配向され、
前記リングは、前記凹部内に径方向のクリアランスを持たせて配され、
前記凹部は、カップ形状、言い換えれば、実質的にU字形状と称されるものであり、
前記リングは、前記カップの底部に当接しており、
前記カップは、高さhの側壁を有し、前記リングは、前記高さh以上の軸方向長さを有し、
前記凹部は、前記可動部で規定されており、
前記リングは、前記固定部から残余のクリアランス分だけ離れた位置に配置され、
前記残余のクリアランスは、前記凹部が前記固定部に全面的に面しているときに、前記凹部から前記空間への流体の流れを防止するように構成され、
前記固定部は、間欠的に前記凹部に流体の循環を許容するように構成され、
前記リングは、円形の内面及び/又は円形の外面を有し、
前記ピンは円形断面を有し、
前記カップは、前記凹部が開口する面に対して、より大きな厚みを有する縁部が接線方向で傍らにあり、
前記極太の縁部は、前記固定部上を摺動するように構成され、
前記圧縮機は、スクロール圧縮機構を備え、
前記圧縮機は、カウンターウェイトを備え、
前記圧縮機は、必要に応じて、前記圧縮機本体と前記可動部品との間の漏れをもたらすか、逆に、前記旋回スクロールを理想的には前記固定スクロールに対して位置決めして常に圧縮室を閉じることを可能にするクラッチ機構を備え、
前記圧縮機は、前記旋回軸を形成する駆動軸を備え、
前記圧縮機は、前記可動部を駆動するための電動機を備え、言い換えると、前記圧縮機は、電気式であり、
前記コンプレッサは、それを制御するための電子回路を備える。
【0008】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、以下の実施例の説明を図面を参照して読むことでより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明に係る圧縮機の一例を示す縦断面図である。
図2図2a,2b及び2cは、図1から圧縮機における回転防止原理を模式的に示している。
図3図3は、この回転防止アセンブリを示す典型的な圧縮機の一例の一部を示す長手方向の断面図である。
図4図4は、前記回転防止アセンブリを含む、図3の圧縮機の一部を拡大して簡略化した図である。
図5図5は、不正確に位置決めされている問題となっている回転防止アセンブリのリングである、従来技術の構成における図4と同様の図である。
【0010】
本発明は、図1に示す圧縮機1に関し、特に空調回路、とりわけ自動車の乗客室の温調のための空調回路内を循環する冷媒を循環させ且つ加圧することを目的としている。
【0011】
前記圧縮機1は、固定部2と、固定部2に対して移動可能な可動部10とを備え、前記可動部10は、旋回シャフト4を中心とする旋回運動に追従するように構成されている 。
【0012】
より正確には、前記圧縮機は、回転シャフト3を挿通している固定部2を形成する本体またはハウジングを備えている。回転シャフト3は、前記旋回シャフト4を形成する圧縮機の主軸の回りを回転する。この圧縮機のシャフトは、駆動機構によって駆動させることができ、駆動機構は、機械的に駆動される圧縮機においてはプーリの形態を取ることができる。このような駆動機構は、好ましくは、圧縮機に組み込まれた電気モータである。前記圧縮機は、前記モータのための電源および/または制御ユニット5を備えるようにしてもよい。
【0013】
前記回転シャフト3は、ハウジング2に対して回転可能に保持され、その端部に駆動ピン6を備えている。駆動ピン6は、偏心ブッシュ7にねじ込まれる。偏心ブッシュ7は、圧縮機1の圧縮機構11に不可欠な部分である可動部10に対して、偏心ブッシュ7の回転を許容する軸受9と接触している。駆動ピン6は、旋回シャフト4に対してオフセットされた軸に沿って延びている。このような構造は、旋回シャフト4の回りの旋回運動を伴って偏心ブッシュ7を駆動し、可動部10の旋回運動に反映される。
【0014】
前記圧縮機構は、スクロール機構であることが好ましい。すなわち、圧縮機機構は、ハウジング2に対して固定されたスクロール13と、可動部10、言い換えれば旋回スクロールと称される部分によって構成され、ハウジングに対して移動可能なスクロール14と、が設けられた圧縮本体12を備える。固定スクロール13内での可動スクロール14の旋回運動は、このような圧縮機を含む空調回路内を循環する冷媒を圧縮して動かすことを可能にする。
【0015】
偏心ブッシュ7は、カウンターウェイトを備えていてもよい。このようなウェイトは、旋回シャフト4に対してオフセットされており、可動スクロール14の旋回運動によって生じる遠心力をバランスさせることができる。したがって、これは、これらの2つの要素間の力および質量をバランスさせる 。
【0016】
前記圧縮機は、好ましくは、図示しないクラッチ機構を備え、このクラッチ機構は、とりわけ、駆動ピン6の回りの偏心ブッシュ7の関節運動によって達成される、前記圧縮本体12と前記可動部10との間の漏れをもたらすことを可能としている。
【0017】
図2a〜2cに示すように、前記圧縮機は、更に、少なくとも1つの回転防止アセンブリ20を備えている。ここでは、6個のアセンブリ20が、旋回シャフト4の周りに規則的にかつ周方向に配設されている。各アセンブリは、リング22とピン24とで構成され、旋回シャフト4の回りを旋回運動している際に、可動部材の自転を拘束するよう構成されている。リング22または夫々のリング22は、円形の内面22 aおよび/または円形の外面22bを有するとよい。リングは、好ましくは、実質的に矩形断面の環状体を形成するとよい。ピン24、又は、夫々のピン24は、好ましくは、円形断面を有するとよい。そのような構成により、リングとピンとの間の接触は、実質的に直線状となる。
【0018】
図2aにおいて、旋回スクロール14は、固定スクロール13に対して上側に位置している。そして、2つのスクロールは、入口室26a、圧縮室26b、及び、出口室26cを形成している。この段階における旋回スクロールは、上側回転防止アセンブリ20から時計回りに60度の位置に配置された回転防止アセンブリのピン24とリング22との接触によって回転が拘束されている。
【0019】
図2bにおいて、旋回スクロール14は、固定スクロール13に対して左側に位置している。入口室26aの閉鎖の開始、中央部に向かう圧縮室26bの動き、及び出口室26cの容積の減少により、圧縮を完了させ、前記出口室からの排出を開始させることが可能であることが示されている。その後、旋回スクロール22は、上部回転防止アセンブリのピン24とリング22との接触によって、回転が拘束される。
【0020】
図2cにおいて、旋回スクロール14は、固定スクロール13に対して下側に位置している。入口室26aの閉鎖が完了し、中心部へ向かう圧縮室26bの動きは継続され、出口室26cの体積は、出口室から排出するためにゼロに向かって徐々に小さくなる。その時、旋回スクロールは、上部回転防止アセンブリから反時計方向に60度に位置する回転防止アセンブリのピン24とリング22との接触によって、回転が拘束される。
【0021】
また、それぞれの回転防止アセンブリにおいて、ピン24の対応するリング22内での相対的な位置は変化し、又は、自由であることが、各種図面に示されている。このため、回転防止アセンブリは、可動部10を旋回シャフト4の回りに自由に旋回させると同時に、少なくとも1つの回転防止アセンブリ20により、可動部10の自転を拘束する。
【0022】
図3及び図4により良く示されるように、前記圧縮機は、さらに、前記ハウジング2と前記圧縮本体12との間に力受板16を備える。前記力受板(以下において、シールと称する)は、ハウジング2に対して固定されている。前記可動部10は、好ましくは、可動部のリブ17の高さで力受板16に接触している。ここで、前記リブ17は、旋回スクロール14の反対側の面18において前記可動部10の周辺に位置する部材の厚みを環状に増加することによって形成されている。前記可動部10上の前記リブ17は、旋回運動中、前記力受板16上をスライドする。前記力受板16は、偏心ブッシュ7の動きを許容し、流体の流通を許容するために、中央孔19を有している。
【0023】
前記固定部、ここでは、ハウジング2、より正確には前記シール16と、前記可動部10とは、ピン24が交差している軸方向クリアランスJを形成する空間によって少なくとも局所的に分離されており、ピンが対応するリング22と相互作用できるようになっている。例えば、前記空間は、旋回スクロール14の反対側の前記可動部10の表面と前記シール16との間によって形成される。換言すれば、ここでは、空間は、リブ17の厚さ、即ち、旋回シャフト4に沿うリブ17の寸法に対応している。
【0024】
本発明によれば、前記リング22は、軸方向クリアランスJを形成する前記空間と同一平面にあるか、前記空間に入り込んでいる。このことは、以下において詳細に説明するように、前記リング22の不正確な位置決めのリスクを制限する。換言すれば、凹部30の深さは、常にリング22の高さよりも小さい。
【0025】
前記圧縮機は、好ましくは、前記リング22のそれぞれを受ける凹部30を備える。したがって、ここでは、リング22のそれぞれに対応する6つの凹部30を備えている。
【0026】
前記凹部30は、好ましくは、可動部10に位置し、前記ピン24は、固定部、ここではハウジングの一部に設けられ、力受板16のオリフィスを貫通している。例えば、前記ピン24は、ハウジング2に設けられた穴に嵌め込まれたピンによって形成されている。前記リング22は、前記固定部、ここでは力受板16から、残留クリアランスJ’だけ離れた位置に配置されている。
【0027】
前記残留クリアランスJ'は、好ましくは、軸方向クリアランスJ以下である。
この点について、前記力受板16は、好ましくは、旋回シャフト4の回りの可動部10の各角度位置において、凹部30の幾つかは、前記力受板16の前面に全体が設けられ、他は、中央開口部19に少なくとも部分的に面するように構成されている。凹部30が前記シール16に全体的に面している場合には、前記残留クリアランスJ‘は、流体の流れを制限するように構成される。特に、圧縮機の潤滑油が混合された潤滑流体の場合には、前記凹部30から軸方向クリアランスJを形成する前記空間への流れを制限することができる。
【0028】
換言すれば、図2に示されるように、前記力受板16は、好ましくは、旋回シャフト4の回りの可動部10の各角度位置において、凹部30の幾つかは、中央開口部19に少なくとも部分的に面し、他の凹部は、力受板19に全体的に面するように構成されている。中央開口部19に部分的に面している凹部30は、流体、特に、前記凹部30の外側の圧縮機の潤滑油が混合された流体を凹部30に導入することを許容する。これとは反対に、力受板16の前面に全体的にある他の凹部30においては、残留クリアランスJ’は、流体の流れを制限するように構成されるとよい。流体の流れの間欠的な制限は、潤滑剤が混合された流体を、凹部30内に保持し、換気することを可能にする。これにより、凹部30の潤滑を向上させることができ、より正確には、ピンとリングとの間の潤滑を向上させることが可能となる。換言すれば、中央開口部19は、凹部30の各々が中央開口部19に部分的に面することによって流体の流れの制限から一時的に解放されるように配置されている。
【0029】
前記リング22は、前記凹部30に前記旋回シャフト4に沿って配向されている。リング22は、前記凹部30に径方向のクリアランスを持たせて取り付けてもよい。
【0030】
前記凹部30は、例えば、カップ状であり、前記旋回スクロール14とは反対側の前記可動部10の面18に開口している。ここで、前記カップは、前記リブ17によって接線方向に隣接している
【0031】
前記リング22は、前記カップの迫部32に当接している。この迫部32は、平坦であってもよい。前記カップは、高さhの側壁34を有し、前記リング22は、前記高さh以上の軸方向の長さを有している。したがって、前記リング22は、リングの軸方向の長さとカップの高さhとの差に相当する量だけ、旋回スクロール14とは反対側となる前記可動部10の表面18から突出している。
【0032】
本発明の効果は、従来技術で示した構成に対応している図5から明らかであろう。図5のような構成では、リング122の軸方向長さは、それらが位置している凹部130の高さh以下である。その結果、角度αによる角度オフセットのリスクと、したがって、前記凹部130内での前記リングの不正確な位置決めのリスクは、利用可能な空間により高くなることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】