(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532499(P2017-532499A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】電気的駆動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 25/06 20060101AFI20171006BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20171006BHJP
F04D 29/70 20060101ALN20171006BHJP
【FI】
F04D25/06
F04D29/056 A
F04D29/70 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-523217(P2017-523217)
(86)(22)【出願日】2015年10月21日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2015074398
(87)【国際公開番号】WO2016066498
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】102014222241.9
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート ヴァイグル
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB22
3H130AB44
3H130AC13
3H130BA24A
3H130BA52G
3H130CA06
3H130CA13
3H130CA21
3H130DB08Z
3H130DC14X
3H130DD01Z
3H130DJ02X
(57)【要約】
本発明は、ポンプハウジングとモーターハウジングとを備えたガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプに関し、ポンプハウジング内に、ポンプインペラーを備えたラジアルポンプが形成されており、このポンプインペラーは、駆動軸と接続されており、この駆動軸は、ポンプハウジングの壁部を通ってモーターハウジング内へ突出し、そこで駆動軸は電気モーターのローターに接続されており、駆動軸とポンプハウジングの壁部との間に、少なくとも1つの空隙が形成されており、ポンプハウジング内に、ポンプ入口が形成されており、このポンプ入口は、ポンプインペラーの中央領域に配置されており、ポンプハウジング内に、圧力側が形成されており、この圧力側は、ポンプインペラーの径方向外側領域に配置されている。長期使用期間に亘って故障なしで動作する、ガスまたはガス混合気のための低コストな電気的駆動ポンプを提供するために、圧力側の領域に、ポンプハウジングの内部空間を、モーターハウジングの内部空間に接続させる開口部がポンプハウジングを通って形成され、それにより、圧力側に作用する圧力が、モーターハウジングの内部へ伝播可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジング(1)とモーターハウジング(2)とを備えたガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプ(16)であって、
前記ポンプハウジング(1)内に、ポンプインペラー(7)を備えたラジアルポンプが形成されており、
前記ポンプインペラー(7)は、駆動軸(8)と接続されており、前記駆動軸(8)は、前記ポンプハウジング(1)の壁部を通って前記モーターハウジング(2)内へ突出し、そこで前記駆動軸(8)は電気モーターのローター(10)に接続されており、
前記駆動軸(8)と前記ポンプハウジング(1)の前記壁部との間に、少なくとも1つの空隙(15)が形成されており、
前記ポンプハウジング(1)内に、ポンプ入口(3)が形成されており、前記ポンプ入口(3)は、前記ポンプインペラー(7)の中央領域に配置されており、
前記ポンプハウジング(1)内に、圧力側(4)が形成されており、前記圧力側(4)は、前記ポンプインペラー(7)の径方向外側領域に配置されている、電気的駆動ポンプにおいて、
前記圧力側(4)の領域に、前記ポンプハウジング(1)の内部空間を、前記モーターハウジング(2)の内部空間に接続させる開口部(5)が前記ポンプハウジング(1)を通って形成されており、それにより、前記圧力側(4)に作用する圧力が、前記モーターハウジング(2)の内部へ伝播可能になることを特徴とする電気的駆動ポンプ(16)。
【請求項2】
前記駆動軸(8)は、前記ポンプハウジング(1)の前記壁部に配置された第1のボールベアリング(9)によって支承されており、前記空隙(15)は、前記第1のボールベアリング(9)の球体の間を延在している、請求項1に記載の電気的駆動ポンプ(16)。
【請求項3】
前記ポンプハウジング(1)の前記壁部内または前記壁部において、前記駆動軸(8)の周辺に、環状ディスク(14)が形成されており、前記駆動軸(8)と前記環状ディスク(14)との間に空隙(15)が形成されている、請求項1または2に記載の電気的駆動ポンプ(16)。
【請求項4】
前記開口部(5)は、前記ポンプハウジング(1)の壁部を通る孔部として形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気的駆動ポンプ(16)。
【請求項5】
前記開口部(5)は、バイパス(31)として形成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気的駆動ポンプ(16)。
【請求項6】
前記開口部(5)は、フィルタ素子(6)を備えており、前記フィルタ素子(6)は、前記モーターハウジング(2)の内部への液体または固形体の侵入を阻止している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気的駆動ポンプ(16)。
【請求項7】
前記電気的駆動ポンプ(16)は、パージエアポンプとして形成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気的駆動ポンプ(16)。
【請求項8】
前記パージエアポンプは、自動車の燃料タンクシステムの構成部品である、請求項7に記載の電気的駆動ポンプ(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプハウジングとモーターハウジングとを備えたガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプに関し、ポンプハウジング内に、ポンプインペラーを備えたラジアルポンプが形成されており、このポンプインペラーは、駆動軸と接続されており、駆動軸は、ポンプハウジングの壁部を通ってモーターハウジング内へ突出し、そこで駆動軸は電気モーターのローターに接続されており、駆動軸とポンプハウジングの壁部との間に、少なくとも1つの空隙が形成されており、ポンプハウジング内に、ポンプ入口が形成されており、このポンプ入口は、ポンプインペラーの中央領域に配置されており、ポンプハウジング内に、圧力側が形成されており、この圧力側は、ポンプインペラーの径方向外側領域に配置されている。
【背景技術】
【0002】
自動車にまつわる汚染物質の排出を低減するために、過去数十年において数多くの手段が採用されてきた。これらの手段の1つは、燃料タンクが、炭化水素を一時的に蓄積するための蓄積要素と接続された燃料タンクシステムを使用することにある。炭化水素ベースの燃料を自動車に給油する場合、燃料からの炭化水素の気化が生じるが、この場合の炭化水素は、大気中に放出されるべきではない。また高温の場合や平らではない地表上を走行する場合にも、燃料からの炭化水素の気化が増加し、この場合には、これらの炭化水素が大気中に漏出しないように効果的に考慮する必要がある。特に内燃機関が長い走向区間に亘って完全に停止するハイブリッド車両の場合に、気化した炭化水素を、後で内燃機関の新たな始動のときに燃焼させるために、効果的に一時的に蓄積させる必要がある。この目的のために、燃料タンクと、炭化水素を一時的に蓄積するための蓄積要素とからなる燃料タンクシステムは実績があり、ここでの燃料タンクと蓄積要素は、燃料タンク内に存在する燃料から気化された炭化水素が、蓄積要素内に蓄積されるように相互に接続されており、蓄積要素は、新鮮空気を蓄積要素に搬送可能である第1の管路に接続されており、さらに蓄積要素は、当該蓄積要素を内燃機関の吸気管路に接続し、これを通じて炭化水素で濃厚となった新鮮空気が当該蓄積要素から吸気管路に搬送可能となる第2の管路に接続されている。蓄積要素による新鮮空気の搬送は、電気的に駆動されるパージエアポンプを用いて行われる。このようにして、蓄積要素を新鮮空気で周期的にパージすることができ、蓄積された炭化水素を、内燃機関の吸気管路に供給することができ、内燃機関には、空気フィルタと吸気管路とを介して新鮮空気が供給される。これにより、燃料タンクから気化した炭化水素が内燃機関において燃焼可能となり、そして炭化水素の大気中への漏出が確実に阻止される。蓄積要素から吸気管路への炭化水素の搬送のために、従来技術によれば、パージエアポンプが使用されており、このパージエアポンプは、例えばラジアルポンプとして構成されていてもよい。このパージエアポンプは、比較的高い回転数のもとで、できるだけ完全な車両寿命を確実に機能させなければならず、このことは特にパージエアポンプの可動部品間のシール要素の要求を出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、長期の使用期間に亘って故障なしで動作する、ガスまたはガス混合気のための低コストな電気的駆動ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、独立した装置クレームによる、ガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプによって解決される。
【0005】
圧力側の領域に、ポンプハウジングの内部空間を、モーターハウジングの内部空間に接続させる開口部がポンプハウジングを通って形成され、それにより、圧力側に作用する圧力が、モーターハウジングの内部へ伝播可能になることによって、モーターハウジングの内部圧力が、ポンプインペラーの中央領域の圧力よりも高くなり、それによって、圧力差により駆動されるガス流が、空隙を通ってモーターハウジングの内部領域から駆動軸に沿って、ポンプインペラーの中央領域方向へ生じる。このガス流により、ポンプ入口を通ってガスまたはガス混合気と共にポンプハウジング内へ達した液状または固形状の成分が、モーターハウジング内へ浸透する可能性はなくなる。この駆動軸の、ポンプハウジングの壁部を通るその貫通領域内のシーリングは、本発明により、何らかの物理的なシール要素なしで、有利な構成、並びに、ポンプハウジングの内部とモーターハウジングの内部との間の圧力特性の利用のみによって行われる。回転する駆動軸のシーリングのために必要とされる例えばシマーリングのような物理的シール要素は何も存在しないので、格段に耐久性が高くて長寿命となる、ガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプが提供できるようになる。空隙を通るガス流は、ポンプによって吐出されるガス流全体に比べれば非常に少ないので、ポンプは本発明に係る自身の構成に基づいて非常に僅かな出力しか失わず、このことは、駆動軸の摩耗のないシーリングによる絶大な利点に対して下位に置かれることを意味する。
【0006】
改善構成では、駆動軸は、ポンプハウジングの壁部に配置された第1のボールベアリングによって支承されており、この場合空隙が、第1のボールベアリングの球体の間を延在している。このボールベアリングは、駆動軸の十分に支障のない回転を可能にし、ここでは、モーターハウジングの内部空間と、ポンプハウジングの内部空間との間で圧力差が、ポンプインペラーの中央領域において、連続的なガス流を引き起こし、この連続的なガス流がモーターハウジングの内部空間から第1のボールベアリングを通ってポンプハウジングの内部空間の方へ案内され、モーターハウジングの内部空間内への液体および/または固形体の侵入が阻止される。
【0007】
次の改善構成では、ポンプハウジングの壁部内または壁部において、駆動軸の周辺に、環状ディスクが形成されており、駆動軸と環状ディスクとの間に空隙が形成されている。この駆動軸と環状ディスクとの間の空隙は、駆動軸と環状ディスクとの間に摩擦を生じさせることなく、非常に小さく実施することが可能である。それによりモーターハウジングの内部空間からポンプハウジングの内部空間への連続的なガス流は、非常に小さくなり得る。これにより、このガス流による電気的駆動ポンプの効率が悪化することはほとんどない。
【0008】
本発明の一構成では、開口部は、ポンプハウジングの壁部を通る孔部として形成されている。この孔部は、圧力側領域におけるポンプ壁部内に存在しており、これにより可動部材がこの孔部と接触することはない。このことは、開口部がバイパスとして形成されている場合にも当てはまる。これらの両ケースにおいては、好ましくは、開口部は、フィルタ素子を備えており、フィルタ素子は、モーターハウジングの内部への液体または固形体の侵入を阻止している。
【0009】
本発明の改善構成では、電気的駆動ポンプは、パージエアポンプとして形成されている。特に自動車への使用の際には、本発明に係るパージエアポンプの長寿命が有利であることがわかった。これに対してパージエアポンプは、自動車の燃料タンクシステムの構成部品であってもよい。
【0010】
以下では本発明の好ましい実施形態を、図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】自動車における本発明に係る電気的駆動ポンプの配置構成
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、燃料タンクシステムを備えた内燃機関19が示されている。この内燃機関19は、排気管路21と吸気管路22とを有している。排気ガス中に含まれる運動エネルギーを回収するために、排気管路21は、吸気管路22内の吸入空気を圧縮可能なターボ過給機25を備えている。内燃機関19には、吸気管路22を介して新鮮空気20が供給される。この新鮮空気20は、新鮮空気側から出発して、吸気フィルタ23を介して吸気管路22内に導かれ、場合によっては排気ガスターボ過給機25またはコンプレッサによって圧縮された後、内燃機関19の燃焼室に供給される。その上さらに内燃機関19には、燃料17が、燃料タンク26から燃料管路18を介して供給される。
【0013】
図1には、さらに燃料タンク26と、炭化水素24を一時的に蓄積するための蓄積要素27とを備えた燃料タンクシステムが示されている。この燃料タンク26と蓄積要素27は、燃料タンク26内に存在する燃料17から気化した炭化水素24が蓄積要素27内に蓄積され得るように、相互に接続されている。この蓄積要素27は、例えば活性炭蓄積器として構成されていてもよい。活性炭蓄積器は、大抵は粒状の炭素が、当該炭素上に蓄積すべき炭化水素24が付加するように配置されている閉鎖されたキャニスターである。しかしながら、蓄積要素27は、限られた蓄積容量しか備えておらず、そのため蓄積要素27を定期的に空にする必要があり、その際には新鮮空気20が、例えばパージエアフィルタ28を介して吸入され、パージエアポンプ16を用いて、管路を介して蓄積要素27内に吸引または圧縮される。新鮮空気20は、蓄積要素27内の活性炭を通って流れ、その際に炭化水素24を吸収し、その後炭化水素24で濃厚化された新鮮空気20が、さらなる管路に沿って吸気管路22に搬送される。この吸気管路22内では、炭化水素24で濃厚化された新鮮空気20が、吸気フィルタ23を介して吸入された新鮮空気20と混合される。これによって、炭化水素24を内燃機関19に供給することができ、そこで炭化水素24が内燃機関19の燃焼室内で燃焼される。燃料タンクシステムは、揮発し易い炭化水素24を含んでいるので、燃料タンクシステム全体の永続的な機能を保証する必要がある。この燃料タンクシステムの主要な構成部品は、パージエアポンプ16であり、このパージエアポンプ16は、ここでは、本発明によるガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプの一例として、以下で図面に基づき詳細に説明される。
【0014】
図2は、本発明に係るガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプ16を示す。このポンプは、ポンプハウジング1とモーターハウジング2とを有している。ポンプハウジング1もモーターハウジング2も、外気に対して気密である。ポンプハウジングでは、この気密性は、もちろんポンプ入口3と、ここでは図示されていない圧力側4にあるポンプ出口においては除外される。ポンプハウジング1では、ポンプインペラー7を備えたラジアルポンプが形成されている。このポンプインペラー7は、駆動軸8と接続されており、駆動軸8はポンプハウジングの壁部を通ってモーターハウジング2内へ突出している。ポンプハウジング1の壁部を通る駆動軸8の貫通領域では、この駆動軸8が第1のボールベアリング9によって回転可能に支承されている。その上さらに、駆動軸8は、モーターハウジング2内でも、第2のボールベアリング13によって支承されていてもよい。駆動軸8は、モーターハウジング2の内部で電気モーターのローター10と接続されている。ここに示されている電気モーターは、電子整流ブラシレス電気モーターである。電気モーターのこのタイプでは、ローター10は、永久磁石による要素を備えており、ステーター11は、ステーター巻線12を備えている。このステーター巻線12は電気コイルを示している。ステーター巻線には、相応に整流された直流電流が通流され、それによってステーター巻線12は、ローター10内に統合された永久磁石を吸引し、これによってローターは回転する。駆動軸8とポンプハウジング1の壁部との間には、少なくとも1つの空隙15が形成されている。その上さらに、ポンプハウジング1内には、ポンプ入口3が形成されており、このポンプ入口3は、ポンプインペラー7の中央領域に存在している。このポンプ入口3を介して、ガス流がポンプハウジング1内へ吸引され、ポンプインペラー7の回転に基づいてポンプハウジング1内に形成された圧力側4へ吐出される。圧力側4は、ポンプインペラー7の径方向外側領域に存在している。圧力側4の領域では、開口部5が識別できる。この開口部5は、壁部領域においてポンプハウジング1を貫通し、それに伴ってポンプハウジング1の内部空間を、モーターハウジング2の内部空間に接続している。この開口部5によって、圧力側4に作用する圧力が、モーターハウジング2の内部へ伝播し得る。ポンプインペラーの中央領域では、ポンプの圧力側と共にモーターハウジング2の内部の圧力よりも少ない圧力が作用するので、空隙15を通るガス流が形成される。この空隙15は、当該実施例では、例えば第1のボールベアリング9の個々の球体間の開口部によって形成されてもよい。このボールベアリングを介した圧力補償は、ポンプ入口3を通って吸入されたガス流中の液状または固形状の成分が、モーターハウジング2の内部へ浸透できないように配慮している。ポンプハウジングの圧力側4と、モーターハウジング2の内部との間の開口部5は、フィルタ素子6によって覆われている。このフィルタ素子6も、ガス流中に存在する液状または固形状の成分が、モーターハウジングの内部へ侵入できないように配慮している。なおここでは、フィルタ素子6が、何の動きにも支配されない純粋な静的構成部材であることを述べておく。これにより、このフィルタ素子6において、機械的な摩耗が生じることはない。電気的駆動ポンプ16の可動部品、例えば駆動軸8またはボールベアリング9は、物理的に形成されたシール要素によって取り囲まれず、そのためここでも摩耗が生じる可能性はない。さらに微細な空隙15を形成するために、ポンプハウジングの壁部に接続され、駆動軸8を取り囲むように配置された環状ディスク14が設けられていてもよい。この場合空隙15は、駆動軸と環状ディスク14との間に形成される。この空隙15は、可動の駆動軸8と環状ディスク14との間で機械的な接触を生じさせることなく非常に小さく維持できる。それにより、軸のシーリングのための部分ガス流の分岐による電気的駆動ポンプの出力低下若しくは効率低下は格段に僅かとなる。
【0015】
図3は、ポンプハウジング1を通る駆動軸の実施例を詳細図で示す。ここでは、第1のボールベアリング9内に支承されている駆動軸8が識別できる。この第1のボールベアリング9も、ポンプハウジング1と接続されている。ポンプハウジング1の内部でのポンプ入口3の領域においては、モーターハウジング2の内部よりも僅かな圧力が作用しているので、空隙15を通って移動し吸入されたガスまたはガス混合気中の液状または固形状の成分が、モーターハウジング2の内部空間に浸透できないように配慮する部分ガス流32が発生する。
【0016】
図4は、自動車29における本発明に係る電気的駆動ポンプ16の配置構成の一例を示している。この自動車29内では、ステアリングホイール30が略示されている。電気的駆動ポンプ16は、燃料タンクシステムの構成部品であり、この燃料タンクシステムは、ここでは少なくとも、燃料17が充たされた燃料タンク26と、揮発性炭化水素24の蓄積のための蓄積要素27とから構成されている。ここでは電気的駆動ポンプがパージエアポンプ16として構成されていることが識別される。パージエアフィルタ28を通って、パージエアは、パージエアポンプ16を用いて吸入され、充填された蓄積要素27内で圧縮され得る。これにより、炭化水素24は、管路を介して内燃機関19の吸気マニホールドの方へ搬送される。
図4では、ガスまたはガス混合気のための電気的駆動ポンプ16の取り付け位置が識別できる。ここで明らかなことは、ポンプハウジング1はいずれにせよ、モーターハウジング2の下方に配置されなければならないことである。これにより、パージエアポンプ16の停止状態の場合にも、液体または固形体がモーターハウジング2内に侵入することはできない。
【0017】
図5は、ガスまたはガス混合気のための本発明に係る電気的駆動ポンプ16の一構成を示している。ここでは、開口部5が、バイパス31として形成されていることが識別でき、このバイパス31は、ポンプハウジング1の圧力側4を、モーターハウジング2の内部に接続している。このバイパス31内でも、フィルタ素子6が識別でき、このフィルタ素子6は、ガスまたはガス混合気からの液状または固形状の成分がモーターハウジング2の内部に侵入することを防いでいる。
【国際調査報告】