(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532557(P2017-532557A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】ロータリセンサ部品及び製造方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/165 20060101AFI20171006BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
G01D5/165 A
A61M5/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-518851(P2017-518851)
(86)(22)【出願日】2015年10月7日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月7日
(86)【国際出願番号】EP2015073157
(87)【国際公開番号】WO2016055522
(87)【国際公開日】20160414
(31)【優先権主張番号】14188039.3
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マスン, ジョン オスタゴー
【テーマコード(参考)】
2F077
4C066
【Fターム(参考)】
2F077AA46
2F077NN02
2F077NN12
2F077PP03
2F077VV02
2F077VV33
4C066QQ53
4C066QQ72
4C066QQ82
(57)【要約】
センサ部材の製造方法であって、初期のセンサ部材を、材料除去ツールに対して定位置に配置するステップと、当該ツールを制御して、(i)キャリアのアライメント部分から材料を除去し、それによりアライメント構造を作成し、(ii)少なくとも1つのセンサ層エリアから材料を除去し、それによりコードセグメントパターンを作成し、それにより、各コードセグメントがアライメント構造と位置合わせされるステップ、を含む、方法。
【選択図】
図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部材(401)の製造方法であって、
i)初期状態(400)のセンサ部材を提供するステップであって、前記センサ部材が、
−表面(411)とアライメント部分(420)とを有するキャリア(410)、及び
−前記キャリアの表面の一部に形成された、少なくとも1つの導電性センサ層エリア(430)
を含むステップ、
ii)前記キャリアのアライメント部分と前記センサ層とから材料を除去するように適合された材料除去ツールを提供するステップ、
iii)前記センサ部材を、前記ツールに対して定位置に配置するステップ、並びに
iv)前記ツールを制御して
−前記キャリアのアライメント部分から材料を除去し、それにより、アライメント構造(421,422)を作成し、
−少なくとも1つのセンサ層エリアから材料を除去し、それにより、コードセグメントパターン(431)を作成し、それにより、各コードセグメントが前記アライメント構造と位置合わせされる、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記作成されたアライメント構造(421)が、前記キャリアのエッジ部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリアが平坦な板の形態である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの導電性センサ層エリアが、前記キャリアの表面上にめっき処理によって形成されている、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ツールがアブレーションレーザである、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの導電性センサ層エリア(430)がリング型であり、前記作成されたコードセグメントが、それぞれ所与の角度で広がる複数の環状セグメント(431)の形態である、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
幾つかのアライメント構造が作成される、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記提供されたキャリアが、少なくとも1つの導電性センサ層エリアをそれぞれ含む一以上の追加の表面を有する、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ツールが制御されて、少なくとも1つの更なるセンサ層エリアから材料が除去され、それにより、少なくとも1つの更なるコードセグメントパターンが作成される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動に関する情報を取得するように適合された、部品、方法、装置、及びシステムに関する。本発明は、具体的な実施態様において、薬剤送達装置における用量の電子データの取得に関する課題に対処するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、薬剤送達装置を用いた糖尿病治療に主に言及するが、これは本発明の例示的な用途に過ぎない。
【0003】
薬剤注射器具は、薬剤及び生物学的製剤を自己投与する必要がある患者の生活を大いに改善してきた。薬剤注射器具は多くの形態をとることがあり、それらは、アンプルに注射手段を伴うだけの単純な使い捨て装置を含むか、又は、充填済みのカートリッジと共に使用されるよう適合した耐久性のある装置であり得る。薬剤注射器具は、その形態や種類に関わりなく、注射薬及び生物学的製剤の患者による自己投与を支援する上で大いに役立つことが分かっている。薬剤注射器具は、自己注射を実行できない人々に介護者が注射剤を投与する際にも、大いに役立っている。
【0004】
正しい時間に正しいサイズの必要な薬剤注射を実行することは、糖尿病を管理するために不可欠である。すなわち、特定のインスリンレジメンの順守は重要である。医療関係者が規定された投薬パターンの効果を判定できるようにするために、糖尿病患者は、各注射のサイズ及び時間を記録することを推奨される。しかしながら、そのような記録は通常手書きでノートに記載されるため、記載された情報をデータ処理のためにコンピュータにアップロードすることが容易でない。更に、患者によって書き留められるイベントだけが記載されているので、記載された情報が患者の病気の治療において何らかの価値を有するものにするためには、患者が、各々の注射を記載することを忘れないことが、ノートシステム上、要求される。記録忘れや間違った記録は、注射履歴の有様をミスリードさせることになり得、それ故、今後の薬物治療に関して行われる医療関係者の判断の基礎となる情報を誤らせることになる。従って、薬剤送達システムからの注射情報の記載を自動化することが、望ましい。
【0005】
これに対応して、用量監視/取得機能を備えた幾つかの注射装置が提案されている(例えば、US2009/0318865、WO2010/052275、及びUS7,008,399などを参照)。しかしながら昨今の装置にはそのような機能が備わっていない。
【0006】
上記に鑑み、本発明は、薬剤送達装置の使用に関する用量データを、安全、正確、ユーザフレンドリー、且つ費用対効果と信頼性の高い方式で検出し記憶することが可能な薬剤送達装置、及びその部品、アセンブリ、並びに方法の提供を目的とする。更に、同タイプのインプットを有する他の用途にも使用できるような部品及びアセンブリの提供も目的とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の開示において、上述の目的の一又は複数に対処する、又は、後述の開示から及び例示的実施形態の記載から明らかな目的に対処する、実施形態及び態様が記載される。
【0008】
従って、本発明の第1の態様では、センサ部材の製造方法が提供される。本方法は、(i)初期状態のセンサ部材を提供するステップを含み、センサ部材は、表面とアライメント部分とを有するキャリアを含み、キャリア表面の一部分には少なくとも1つの導電性センサ層エリアが形成されている。本方法は更に、(ii)キャリアのアライメント部分とセンサ層とから材料を除去するように適合された材料除去ツールを提供するステップ、(iii)センサ部材をツールに対して定位置に配置するステップ、並びに、(iv)ツールを制御して、キャリアのアライメント部分から材料を除去し、それによりアライメント構造を作成し、少なくとも1つのセンサ層エリアから材料を除去し、それによりコードセグメントパターンを作成し、それにより各コードセグメントがアライメント構造と位置合わせされるステップ、を更に含む。1つよりも多いアライメント構造が作成されてよい。
【0009】
2つの処理作業を組み合わせて1つのステップとすることで、2つの処理作業間で表面を位置合わせする際に付随する許容誤差がなくなり、パターン及びアライメント構造の作成という単一の処理に付随する許容誤差のみが存在する。ツールは例えばアブレーションレーザであり得る。
【0010】
例示的な実施形態では、作成されたアライメント構造がキャリアのエッジ部分である。キャリアは平坦な板の形態であり、少なくとも1つの導電性センサ層エリアがめっき処理によってキャリア表面上に形成されていてよく、それにより従来型のプリント回路基板(PCB)が作成されてよい。
【0011】
例示的な実施形態で、少なくとも1つの導電性センサ層エリアはリング形状であり、作成されたコードセグメントは、それぞれ所与の角度で広がる複数の環状セグメントの形態である。
【0012】
提供されたキャリアは、一以上の追加の表面を有していてよく、各表面が少なくとも1つの導電性センサ層エリアを含み、ツールが制御されて少なくとも1つの更なるセンサ層エリアから材料が除去され、それにより、少なくとも1つの更なるコードセグメントパターンが作成される。更なる表面は、ディスク型キャリア上の対向する表面であるか、又は周方向端面であり得る。
【0013】
本明細書で使用する「薬剤」という語は、カニューレ又は中空針などの送達手段を制御された手法で通過することができる、液体、溶液、ゲル、もしくは微粒子懸濁液などであって、一又は複数の薬剤を包含する、任意の流動可能な医薬製剤を網羅することを意図している。薬剤は、単一のリザーバからの、単一の薬剤化合物又は予め混合されたかもしくは同時に処方された複数の薬剤化合物薬剤であり得る。代表的な薬剤はペプチド(例えばインスリン、インスリン含有薬剤、GLP−1含有薬剤及びその誘導体)、タンパク質、ホルモン、生物学的由来製剤又は生理活性製剤、ホルモン製剤及び遺伝子製剤、栄養調合物並びにその他の固形状(調合したもの)もしくは液体状双方の物質、などの医薬を含む。例示的な実施形態の説明の中で、インスリンおよびGLP−1含有薬剤の使用について言及することになるが、これには、その類似物ならびに一又は複数の他の薬剤との組合せが含まれる。
【0014】
以下の実施形態では、図面を参照して本発明を説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】薬剤カートリッジが取り付けられた前方装填式の薬剤送達装置を示す。
【
図2】薬剤カートリッジが取り付けられていない前方装填式の薬剤送達装置を示す。
【
図3】ロギングモジュールを含む薬剤送達装置サブアセンブリの分解図である。
【
図5】
図3のモジュールの第1のロータリセンサ部を示す。
【
図6】
図3のモジュールの第2のロータリセンサ部を示す。
【
図7B】
図7Aのセンサ部材が機械加工された最終的な状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面において、同様の構造物は、主として同様の参照番号により特定される。
下記において、「上方(upper)」及び「下方(lower)」、「右(right)」及び「左(left)」、「水平(horizontal)」及び「垂直(vertical)」などの語、又は類似の相対的表現が使用される場合、これらは添付図面にのみ言及するものであり、必ずしも実際の使用状況を表すものではない。示された図面は概略表現であるため、種々の構造物の構成及びそれらの相対的寸法は例示目的にのみ使用することが意図されている。所与の構成要素に対して部材又は要素という語が使用される場合、一般的には、記載される実施形態においてその構成要素が一体型の構成要素であるということを示すが、代替的に、同じ部材又は要素が幾つかのサブ構成要素を備えてもよく、また、2つ以上の記載された構成要素が、例えば単一の射出成型部品として機械製造された一体型の構成要素として提供されることも可能である。部材が互いに軸方向に自由(axially free)に取り付けられていると定められている場合、これは一般に、それら部材が互いに対して、典型的には定められた停止位置の間で、取り外し可能であることを示している。一方、部材が互いに回転的に自由(rotationally free)に取り付けられていると定められている場合、これは一般に、それら部材が互いに対して自由に、或いは定められた停止位置の間で、回転可能であることを示している。「アセンブリ(assembly)」及び「サブアセンブリ(subassembly)」という語は、説明されている構成要素が所与の組立手順において必然的に一体型の又は機能的なアセンブリ又はサブアセンブリを提供するよう組み立てられ得ることを示唆するものではなく、単に、機能的により密接に関連したものとしてグループ化された構成要素を説明するために使用される。
【0017】
図1を参照し、ペン型薬剤送達装置100について記載する。装置は「汎用的な(generic)薬剤送達装置を表し、本発明の実施形態が組み合わせて使用されることが意図される装置の一例を提供する。そのような装置は、設定及び/又は吐出された薬剤用量に対応して回転するように適合された回転部材を含む。
【0018】
より具体的には、ペン装置は、キャップ部分(図示せず)と、薬剤吐出機構が配置され且つ一体化されている、ハウジング121を備えた近位本体もしくは駆動アセンブリ部分120、及び、遠位の針穿刺可能な隔膜132を有する薬剤充填済みの透明なカートリッジ180が近位部分に取り付けられたカートリッジホルダ110によって定位置に配置され保持され得る遠位のカートリッジホルダ部分を備える主部と、を備え、カートリッジホルダはカートリッジの部分を検視することができる開口を有する。カートリッジは例えば、インスリン、GLP−1又は成長ホルモン製剤を内包し得る。装置は、新しいカートリッジがカートリッジホルダの遠位受容開口を通してユーザにより装填されるよう設計されており、カートリッジは吐出機構の部分を形成するピストンロッド128により推進される、ピストンを備える。最近位回転可能投与量リング部材125は、表示窓126に示される望ましい薬剤投与量を手動で設定するよう働き、次いで、解放ボタン127が駆動されると投与量が吐出される。薬剤吐出装置に実装される吐出機構のタイプに応じて、吐出機構は、投与量設定中に歪み、次いで解除ボタンが作動されると解放されてピストンロッドを駆動するばねを備え得る。あるいは吐出機構は完全に手動であってもよく、この場合投与量リング部材及び解放ボタンは、投与量設定中は設定された投与量サイズに応じて近位に移動し、次いで、設定された投与量を吐出するためにユーザによって遠位に移動される。カートリッジは針ハブマウントの形態の遠位結合手段182を備え、図示の例で結合手段は、針アセンブリの対応するハブの雌ねじに係合するよう適合された雄ねじ185を有する。代替的な実施形態で、ねじは、他の連結手段(例えば、バヨネット連結)と組み合されるかそれらに代わられ得る。
【0019】
カートリッジホルダは、カートリッジを受ける遠位開口を備える。より具体的には、カートリッジホルダは、グリップ手段の移動を制御することにより、カートリッジを把持及び保持するように構成されたグリップショルダー部145を開閉すべくユーザによって操作される、外側回転可能チューブ部材170を備える。
図2は、カートリッジが除去されてグリップショルダー部がロックされていない「開」位置にある装置を示し、この位置で、カートリッジが除去され新しいものが挿入され得る。
【0020】
図示のように、
図1は、前方装填式の薬剤送達装置を示し、この場合、カートリッジはカートリッジホルダの遠位開口を通じて挿入され、装置の主部に取り外し不可能に装着されるが、代替的に、薬剤送達装置は、装置の主部から除去されるカートリッジホルダを備えてもよく、この場合、カートリッジは近位開口を通じて受けられ除去される。
【0021】
図3aを参照して、薬剤送達装置のためのサブアセンブリ200を説明する。サブアセンブリは、ロギングユニットの組込み及び動作に機能上直接的に関連する薬剤送達装置の部分と組み合わされた、ロギングモジュールを備える。より具体的には、サブアセンブリは、電子制御式ロギングモジュール300、内側チューブ部材210、概して円筒形の内側ハウジング部材220、ダイアルリング部材230、並びに、ボタンリング240、ボタン窓241、及びボタンばね242を備えるボタンアセンブリを備える。内側ハウジング部材は、薬剤送達装置の外側を提供している外側ハウジング部材の内側に配置されるように構成される。
【0022】
ロギングモジュール300の種々の部品が
図4に示されている。より詳細には、ロギングモジュールが、遠位方向に延びるチューブ部分312を備えたバレル型の近位主部311を有するハウジング部材310と、取付けフォイル部材313と、第1のコネクタ329が取り付けられるディスク型の第1のロータリセンサ部320と、ディスク型の第2のロータリセンサ部330と、横方向の突起337を備えたロータリセンサホルダ339と、第2のコネクタ349が取り付けられる多層スタックに折り曲げられたフレキシブルPCB340と、バッテリ345及びバッテリクリップ346と、幾つかの取付けリング350、351、352と、アンテナ360と、LCD370と、LCDフレーム371と、を含む。PCB電子回路部品には、例えば、マイクロコントローラ、ディスプレイドライバ、メモリ、及び無線通信手段が搭載されている。下記で詳述するように、第1のロータリセンサ部320は複数の円弧型の個別の接触エリアを含み、第2のロータリセンサ部330は複数の可撓性の接触アームを含み、複数の可撓性の接触アームのうち外側の接触アームは、横方向に延びる突起334を有した軸方向スイッチを提供する。
【0023】
図5は、回路基板材料で形成されたリング型のディスクを含む第1のロータリセンサ部320を示す。第1のロータリセンサ部320には幾つかの接触エリア(又はセグメント)がめっきされており、内側、中間、及び外側リングの3つの同心リングを形成している。図示の実施形態で、内側リングはグラウンド(即ち、基準)として用いられる単一の接触エリア321であり、中間リングは、互いにある周方向距離をおいて配置された4つの個別のアーチ型のポジション接触セグメント322を含み、外側リングは、互いに周方向の小さな間隙のみをおいて配置された3つの個別のアーチ型のスイッチ接触セグメント323を含み、セグメントは、ディスクの裏(近位)面に取り付けられたマルチ端子コネクタ329の所与の接触端子に個々に接続されている。所与のセグメントは、端子に接続されていない場合には受動的セグメントとみなされ得る。
【0024】
図6に示す第2のロータリセンサ部330は、幾つかの可撓性の円弧型の近位に突出する接触アームを含む金属ディスクの形態であり、各接触アームの遠位端は、所与の接触エリアとのガルバニック接続を生み出すように適合されたドーム型の接触点335(図では下向き)を含む。接触アームは第1のロータリセンサ部の3つの同心リングに対応して配置されている。より詳細には、第2のロータリセンサ部が、2つの内側接触アーム331、3つの中間接触アーム332、及び2つの外側接触アーム333を含む。
【0025】
このように、接触アームの所与の対が、2つの接触セグメント間の電気的接触をなすように適合された組み合わせ接触構造を提供する。図示の実施形態では、2つの内側グラウンド接触アーム331が内側同心リングの単一のグラウンド接触エリア321と接触するように設けられており、3つのポジション接触アーム332が中間の同心リングの4つのポジション接触セグメント322と接触するように設けられており、2つの外側スイッチ接触アーム333が外側同心リングの3つのスイッチ接触セグメント323と接触するように設けられており、外側スイッチ接触アームは横方向に延びる突起334を有している。実際、中間及び外側接触アームについて、2つのセンサ部の間の回転位置により、何れの接触セグメントが所与の接触アームと係合するかが決定づけられるであろう。
【0026】
図示の実施形態で、隣り合う2つの外側接触セグメント間の間隙は、ドーム型の接触点が1つのセグメントから次のセグメントへと動く際に両方のセグメントと接触することになるような寸法形状である。これについては後で詳述する。第2のロータリセンサ部は、ロータリセンサホルダ339の突起337に係合してそれらの間の回転移動を防止するように適合された、グリップ部336を更に含む。
【0027】
図示の実施形態で、中間アームと接触セグメントはロータリセンサ接触部を提供するが、後で詳述するように、外側アームと接触セグメントは軸方向スイッチを提供する。
【0028】
図5に示すタイプのロータリセンサ部、即ち、パターン状に配置されたコードセグメントのトラックを有した表面を含み、同表面が外部の回転基準の方への位置合わせ手段を有することにより、コードパターンがその外部の回転基準の方に位置合わせされるロータリセンサ部を製造する際には、センサ部の許容誤差を可能な限り抑えることが、測定システムの精密性及び正確性のために重要である。製造コストを抑えつつ許容誤差を小さくすることが課題である。そのようなセンサ部の標準的な製造プロセスの一例は、コードセグメントパターンの作成(例えば、プリント回路基板(PCB)パターン描画、エッチング、ストリッピング)という1つの処理と、回転アライメントの作成(例えば、PCB材料の切削/穿孔によるPCB輪郭のデパネリング)というもう1つの処理と、によってPCBを製造することによるものである。これら2つの異なる処理ステップによって、コードパターンとアライメント構造との間の許容誤差が累積することになってしまう。
【0029】
図7A及び7Bを参照すると、
図5に示すタイプのロータリセンサ部の製造方法が示されている。本方法により、コードパターンとアライメント構造との間の許容誤差の累積が抑えられる。
【0030】
図7Aは、初期状態にあるセンサ部材400であって、上方主面411を有したリング型のキャリア410及びアライメント部分420を含むセンサ部材を示す。キャリアは従来の回路基板材料で作成されていてよい。リング型の導電性センサ層エリア430が、例えばめっきによって、キャリア主面の一部に形成されている。コードセグメントパターンと回転アライメント構造とを作成するために、センサ部材は、例えば機械的締め付けによって、キャリアのアライメントエリア及びセンサ層から材料を除去するように適合された材料除去ツールに対して、定位置に配置される。その後、材料除去ツールが制御され、(i)キャリアのアライメント部分から材料を除去し、それによりアライメント構造を作成し、(ii)センサ層エリアから材料を除去し、それによりコードセグメントパターンを作成し、それにより、各コードセグメントがアライメント構造と位置合わせされる。材料除去ツールは、最終的な形状に対応してアライメントエリアを切削するための第1の強度及び/又は速度で作動し、所望のパターンに対応して導電性センサ層の比較的薄い層のみを除去するための第2の強度及び/又は速度で作動する、アブレーションレーザであり得る。
【0031】
2つの処理作業を組み合わせて1つのステップとすることで、2つの処理作業間で表面を位置合わせする際に付随する許容誤差がなくなり、パターンとアライメント構造の作成という単一のプロセスに付随する許容誤差、例えば、レーザアブレーションシステムの正確性/精密性のみが存在する。
【0032】
図7Bは、
図7Aの初期のセンサ部材から形成された最終的なセンサ部材401を示す。初期のアライメント部分が、明確に規定されたエッジ422の形態のアライメント構造を有した、最終的なアライメント部分421へと切削されており、リング型の導電性センサ層が幾つかの個別のセグメント431へと切削されている。所望であれば、記載の方法用いて
図5の特定のセンサ部材が形成されてもよい。
【0033】
代替的な実施形態では、キャリア部材が、追加の表面、例えば反対の表面又はエッジ表面上に導電性センサ層を備えていてもよい。実際、センサを目的として外外周エッジが用いられる場合には、例えば、
図5に示すように、アライメント構造は別の位置に配置されるべきである。また、2つ以上のアライメント構造が形成されてもよい。回転センサに換えて線形センサ部材が形成されてもよい。
【0034】
例示的な実施形態の上記の説明においては、説明されている機能を種々の構成要素に提供する種々の構造及び手段について、本発明の概念が当業者にとって明確になる程度に説明してきた。種々のコンポーネントにおける詳細な構築及び仕様は、本発明の仕様の規定に沿って当業者により実施される通常の設計工程の対象と見なされる。
【国際調査報告】