(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532617(P2017-532617A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】エンロールメントおよび認証の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/31 20130101AFI20171006BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20171006BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20171006BHJP
【FI】
G06F21/31
G06T7/00 510B
G06F21/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-567755(P2016-567755)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月10日
(86)【国際出願番号】IL2015050510
(87)【国際公開番号】WO2015173822
(87)【国際公開日】20151119
(31)【優先権主張番号】61/992,294
(32)【優先日】2014年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】516337984
【氏名又は名称】ウェイス ゴラン
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス ゴラン
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA03
5B043BA04
5B043BA06
5B043DA05
5B043EA06
5B043EA15
5B043FA07
5B043GA02
(57)【要約】
対象候補者の認識のための認証方法を提供する。認証の過程で、以前に格納されたエンロールメント画像が、ディスプレイ上で対象候補者に提示される。対象候補者は、視認シーンまたは対象体に対し、カメラ(例えば携帯カメラ)を支えなく自由空間に保持しながら、カメラに向け同じシーンおよび/または対象体の再現画像を提示するよう指示される。上記に代えて、対象候補者は、カメラに対し、対象体を支えなく自由空間に保持してもよい。カメラを使って、視認シーンまたは対象体の候補画像が取り込まれ、以前に格納されたエンロールメント画像と共に提示される。対象候補者は、候補画像を以前に格納されたエンロールメント画像に位置合わせする。位置合わせされたならば、候補画像はユーザの真正画像として検証され、対象候補者は以前にエンロールされたユーザとして認証される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのエンロールメントおよび認証を含むコンピュータ化バイオメトリック方法であって、
前記認証は、
ディスプレイ上で、以前に格納されたエンロールメント画像を対象候補者に提示するステップと、
対象候補者に、前記対象候補者が、カメラに対して観察対象体を支えなく自由空間に保持しながら前記観察対象体を前記カメラに提示するように指示するステップと、
前記対象候補者による、候補画像の前記以前に格納されたエンロールメント画像への位置合わせを可能にしながら、前記カメラを使って、前記観察対象体の時系列の前記候補画像を取り込むステップと、
前記位置合わせがされると、前記候補画像を、前記対象候補者の真正な画像として検証し、これにより前記対象候補者を以前にエンロールされた前記ユーザとして認証するステップと、
を含む、コンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項2】
前記カメラに対して前記観察対象体を支えなく自由空間に保持する前記対象候補者は、これに代えて、前記観察対象体に対して前記カメラを自由空間に保持することもできる、請求項1に記載のコンピュータ化方法。
【請求項3】
前記認証するステップに先立って、前記ユーザをエンロールし、これにより、前記ユーザが、複数の以前に格納されたエンロールメント画像から、前記以前に格納されたエンロールメント画像を選択するステップ、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項4】
前記位置合わせは、画像空間における空間および角度の位置合わせ、ならびに前記観察対象体と前記ディスプレイとの間の実空間の距離を含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項5】
前記エンロールメントは、
ユーザが前記カメラに対して観察対象体を支えなく自由空間に保持している間に、それによって、前記カメラを使って前記観察対象体およびその背景の前記エンロールメント画像を最初に取り込むステップ、
を含み、
前記認証は、
前記候補観察対象体およびその背景の前記候補画像の、前記時系列を前記取り込むステップと、
前記取り込みの間に、ディスプレイ上に、それぞれの前記背景と共に、前記エンロールメント画像上に重ね合わされた候補画像の前記時系列を提示するステップと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項6】
前記観察対象体は、顔面の少なくとも一部、手の少なくとも一部、耳の少なくとも一部、および眼の少なくとも一部を含む群から選択された身体部分またはその一部である、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項7】
前記位置合わせは、前記対象候補者に、前記候補画像中の前記観察対象体の特徴を前記エンロールメント画像中の対応する特徴に位置合わせするよう指示することによって行われる、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項8】
前記特徴および前記対応する特徴は、ライン、点、任意の種類のシンボル、外形、隆起、ほくろ、瘢痕、あざ、異なる皮膚色素沈着の領域、母斑、およびしわを含む群から選択される、請求項7に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項9】
前記エンロールメント画像と前記認証画像とを対比することによって、前記検証を実施するステップをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項10】
前記位置合わせは、水平方向、垂直方向の画像座標、画像空間中の角度方向、およびカメラへの実空間距離における位置合わせを含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項11】
前記以前に格納されたエンロールメント画像を前記提示するステップの前に、前記エンロールメント画像の再形成をできなくするため、画像の変形および操作手順を実施して前記エンロールメント画像を処理するステップをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項12】
前記対象候補者に、前記候補画像中の前記観察対象体の特徴を、前記エンロールメント画像中の対応する特徴に位置合わせするよう指示するステップと、
前記対象候補者が、前記候補画像中の前記観察対象体の前記特徴を前記エンロールメント画像中の前記対応する特徴に前記位置合わせしたならば、前記特徴と前記対応する特徴とを対比することによって、前記候補画像の少なくとも1つを前記対象候補者の真正な画像として前記検証し、これにより、前記対象候補者を以前にエンロールされた前記ユーザとして前記認証するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項13】
前記ユーザが前記カメラに対して前記観察対象体を支えなく自由空間に保持している間に、前記観察対象体のエンロールメント事前画像を取り込むステップと、
前記エンロールメント事前画像をディスプレイ上で前記ユーザに提示するステップと、
前記エンロールメント事前画像を提示したならば、前記ユーザが、シンボルを、前記ディスプレイ上に提示された前記観察対象体の画像化特徴に重ね合わせできるようにするステップと、
前記ディスプレイ上の前記シンボルを前記観察対象体の画像化特徴に重ね合わせたならば、前記シンボル群、および前記エンロールメント事前画像中の画像空間におけるそれらそれぞれの位置および方向をエンロールメント画像として格納するステップと、
をさらに含み、
前記認証するステップは、
対象候補者に対し、前記ディスプレイ上に前記エンロールメント画像を提示するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項14】
前記重ね合わせの前に、
前記シンボルを再配置するステップと、
前記シンボルを手書きするステップと、
前記シンボルをサイズ変更するステップと、
前記シンボルを回転するステップと、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項13に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項15】
前記対象候補者に前記ディスプレイ上で前記エンロールメント画像を前記提示するステップは、前記ディスプレイ上に前記格納されたシンボルおよび前記観察対象体の画像の少なくとも一部を提示するステップを含む、請求項13に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項16】
前記対象候補者に前記ディスプレイ上で前記エンロールメント画像を前記提示するステップは、前記観察対象体の画像のどの部分もなしに、前記格納されたシンボルを提示するステップを含む、請求項13に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項17】
前記エンロールメントは、
ユーザに対し、ディスプレイ上に以前に定義された複数のエンロールメントスケールを提示するステップと、
前記ディスプレイ上に提示された前記スケールの少なくとも1つを選択し、これにより、選択されたエンロールメントスケールを生成することを可能にし、その一方で、前記エンロールメント画像の少なくとも1つを前記選択されたスケールに重ね合わせ、再位置付けすることを可能にするステップと、
前記選択されたスケールを、少なくとも1つのエンロールメント画像として格納するステップと、
を含み、
前記認証は、
ディスプレイ上に、前記選択されたエンロールメントスケール上に重ね合わされた前記候補画像の前記時系列を前記提示するステップと、
前記対象候補者が、前記候補画像の少なくとも1つを前記選択されたエンロールメントスケールに位置合わせすることを可能にするステップと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項18】
前記認証の過程で、前記対象候補者に対し前記エンロールメントスケールを前記提示するステップは、複数のエンロールメントスケールを前記提示するステップを含み、前記方法は、
前記対象候補者によって、前記選択されたエンロールメントスケールを選ぶステップ、
をさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項19】
以前に格納されたエンロールメント画像は、以前に格納されたいずれかの媒体から電子的に取り出されるか、または、任意の撮像デバイスを使って、パスポート、IDカード、運転免許証、および任意の他の形の身元証明文書からのカード上の写真を含む任意の種類の印刷写真から視覚的に取得される、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項20】
前記エンロールメント画像は、手書きのパスワードシンボルを含み、前記格納されたシンボルは前記エンロールされた手書きパスワードシンボルに位置合わせされ、認証にあたり、前記対象候補者は、前記提示された前記格納されたシンボルに一致する同じ手書きパスワードシンボルを手書きする、請求項13に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項21】
以前にエンロールされた画像は、登録された前記シンボルとは関係のない任意の無作為のシンボルを伴った、画面上の部分的/全体的手書きパスワードシンボルから成る、請求項20に記載のコンピュータ化方法。
【請求項22】
認証にあたり、前記対象候補者は、エンロールメントの過程で書かれたのと同じ前記手書きパスワードシンボルを手書きし、前記無作為の関係のないシンボルは無視する、請求項21に記載のコンピュータ化方法。
【請求項23】
前記エンロールメント画像は、前記手書きシンボル、およびキーボードまたは任意の他のデバイスからのタイプ入力された任意の事前定義のシンボルを含み、バイオメトリック署名として処理される、請求項22に記載のコンピュータ化方法。
【請求項24】
エンロールメントの過程で、前記観察対象体は、前記カメラに対し少なくとも1つの次元では自由空間に支えがなく、他方いずれかの他の相補次元では任意の種類の補助デバイスによって支えられ、前記認証は、前記補助デバイスを使って、前記カメラに対する前記対象候補者の観察対象体の前記候補画像の前記時系列を取り込むステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項25】
前記エンロールメントおよび認証は、エンロールメントの過程で前もって定義された時間枠内で前記観察対象体を提示するステップをさらに含み、
前記時間枠は、測定された時間の長さの視覚または聴覚表示の任意の形態の時間同期方法を使って、時間測定および繰り返しが可能である、請求項1に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項26】
エンロールメントの過程で、前記ユーザは、画面上のシンボルに適用するためのタイミング取りされたシーケンスステップのセットを定義することができ、認証の過程において、前記対象候補者だけがタイミング取りされたシーケンスステップの前記セットを繰り返すことができ、前記タイミング取りされたシーケンスステップは、測定された時間の長さの視覚または聴覚表示の任意の形態の時間同期方法を使って、時間測定および繰り返しが可能である、請求項13に記載のコンピュータ化バイオメトリック方法。
【請求項27】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の前記コンピュータ化バイオメトリック方法を実行できるようにされた携帯コンピュータシステムであって、前記カメラおよび前記ディスプレイが前記携帯コンピュータシステムの部分である、携帯コンピュータシステム。
【請求項28】
プロセッサに請求項1〜24のいずれか一項に記載の前記方法を実行させるための処理命令をエンコードされたコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本開示の分野は、カメラおよびディスプレイに基づくユーザのエンロールメント(入会登録)および認証の方法を用いる身元検証に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の記載
電子商取引における不正行為を防止すべく、身元検証のための信頼できるスキームを開発するため多くのリソースが投資されてきた。身元検証のための既存の方法は、スマートカードなどユーザが所有する物品、または、パスワード、個人識別番号(PIN:personal identification number)または他の情報などユーザが知るデータに依存することができる。
【0003】
生理的および/または行動的特徴に基づく、バイオメトリクスを用いる身元検証にも相当な努力が払われてきた。バイオメトリック認証のために用いられる特徴は、指紋、網膜または虹彩のスキャニング、音声、署名、および/または顔面を含み得る。
【0004】
特許文献1は、平面状のプラテンを備えたスキャナなどのスキャニング装置によってスキャンされた際の、手の際立ったラインを使うバイオメトリック認証を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,327,858号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、ユーザのエンロールメントおよび認証のための様々なコンピュータ化バイオメトリック方法が提供される。認証の過程で、対象候補者に、ディスプレイ上で以前に格納されたエンロールメント画像が提示される。
【0007】
当然のことながら、本発明中の身体部分用語の使用は、単なる例示のためのもので、後記で定義するように「観察対象体」として言及されるべきものである。
【0008】
ユーザは、ユーザが、カメラに対して身体部分を支えなく自由空間に保持しながらその身体部分をカメラに提示するように指示される。また、ユーザは、携帯カメラを使って任意の静止対象体/シーンを取り込むことが可能であり、次いでそのカメラを対象体に位置合わせするよう要求されることになる。カメラを使って、身体部分の候補画像が取り込まれ、以前に格納されたエンロールメント画像と共に提示される。対象候補者は、その候補画像を以前に格納されたエンロールメント画像に位置合わせする。位置合わせされれば、候補画像は対象候補者の真正画像として検証され、対象候補者は以前にエンロールされた対象者として認証される。以前に格納されたエンロールメント画像は、該対象者から独立的に生成することができる。同じエンロールメント画像を、以前にエンロールされていない複数のユーザのエンロールメントのために表示することも可能である。
【0009】
エンロールメントの過程において、ユーザは、カメラに対して、身体部分を支えなく自由空間に保持すればよい。上記に代えて、ユーザは、静止シーン/対象体に対して、カメラを支えなく自由空間に保持してもよい。カメラを使って、身体部分のエンロールメント画像およびその背景を取り込むことが可能である。この認証には、候補身体部分およびその背景の候補画像の時系列の取り込みを含めることができる。
【0010】
取り込みの過程で、候補画像群の時系列がそれぞれの背景と共に、エンロールメント画像の上に重ね合わされてディスプレイ上に提示される。
【0011】
観察対象体は、全顔面、手、耳、眼、および写真または文書などの品目、の一部とすればよい。対象候補者は、候補画像中の観察対象体の特徴を、エンロールメント画像中の対応する特徴と位置合わせすることが可能である。この特徴および対応する特徴は、ライン、隆起、ほくろ、瘢痕、あざ、異なる皮膚色素沈着、母斑、およびしわなどとすればよい。さらに、或る特徴および対応する特徴は、点、縁部、固有の視覚的特徴、或る領域の色もしくはテクスチャ、または対象部分の取り込み画像の他の部分から区別可能なコントラストを有する任意の項目とすることができる。
【0012】
検証は、エンロールメント画像と認証画像とを対比することによって行うことが可能である。この位置合わせは、水平方向、垂直方向の画像座標、画像空間中の角度方向、およびカメラへの実空間距離の位置合わせを含み得る。
【0013】
以前に格納されたエンロールメント画像を提示する前に、エンロールメント画像に、該エンロールメント画像の水平鏡面反転を実施する処理を行うことができる。
【0014】
対象候補者には、候補画像中の観察対象体の特徴を、エンロールメント画像中の対応する特徴と位置合わせするよう指示することができる。対象候補者が、候補画像中の観察対象体の特徴を、エンロールメント画像中の対応する特徴と位置合わせすると、1つ以上の候補画像が、対象候補者の真正な画像として検証される。これにより、1つ以上の候補画像を対象候補者の真正な画像として認証することができる。対象候補者は、次いで、候補画像中の特徴とエンロールメント画像中の対応する特徴とを対比することによって、以前にエンロールされたユーザとして認証される。
【0015】
観察対象体のエンロールメント事前画像は、ユーザが、カメラに対してユーザの観察対象体を支えなく自由空間に保持している間に取り込むことが可能である。このエンロールメント事前画像は、ディスプレイ上でユーザに提示するとよい。エンロールメント事前画像が提示されると、ユーザは、ディスプレイ上に提示された観察対象体の画像化された諸特徴にシンボル群を重ね合わせることができる。観察対象体の画像化特徴にシンボルを重ね合わせると、エンロールメント画像は、シンボル、およびエンロールメント事前画像中の画像空間中のシンボル群のそれぞれの位置および方向と共に格納される。
【0016】
これらのシンボルは、キーボードの打ち込みで生成されたシンボルまたは文字などの、所定のシンボルの群からのものを適用することができる。上記に代えて、これらシンボルは、手書きシンボル、形状、または対象候補者によって定義された任意の他のシンボルなど、手入力で定義することも可能である。
【0017】
登録の過程で、ユーザは、ステップ群のシーケンスを定義および設定することができ、ここで、各ステップは、観察対象体を取り込まずに、画面上で相異なる/同一のシンボルを適用することから成る。これらシンボルの詳細な定義は、1つ以上のパスワードシンボルとして言及される。さらに、前述のシーケンスステップは、認証の過程で、対象候補者だけが、自分の知る同期化され登録されたシーケンスステップを繰り返すことができるようにタイミング取りすることが可能である。
【0018】
さらに、このエンロールメントおよび認証には、エンロールメントの過程で事前定義された特定の時間枠で、観察対象体を提示するステップを含めることができる。
【0019】
時間同期化の方法は、タイマー、プログレスバー、振動、または測定された時間の長さを視覚的におよび音声的に示す任意の他の形態など、時間進行の任意の表示によって実装することが可能である。
【0020】
別の実装は、時間間隔の間の任意のキーボード打鍵としてもよく、視覚シンボルが、エンロールメントの過程で設定される、本明細書で定義するステップシーケンス間のギャップを含め、対象候補者によるキーボード押下の時間長さを示す。
【0021】
ここで定義するステップシーケンスは、対象候補者が認証フェーズにおいて、登録時と同じステップシーケンスを再現または同期できる場合にだけ有効なものである。当該発明では、対象候補者が、認証フェーズにおいて同じ登録ステップを再現するのを助力するための画面上の手引きについても述べておく。
【0022】
重ね合わせの前に、シンボルは、再配置、サイズ変更、または回転させてもよい。ディスプレイ上での対象候補者へのエンロールメント画像の提示には、格納されたシンボルおよび観察対象体の画像の少なくとも一部を含めることができる。上記に代えて、対象候補者に対するディスプレイ上でのエンロールメント画像の提示は、観察対象体の画像のどの部分もなしに、格納されたシンボルの提示を含んでもよい。
【0023】
以前に定義された複数のエンロールメントスケールが、ユーザに対しディスプレイ上に提示されてもよい。ユーザは、ディスプレイ上に提示された1つ以上のスケールを選択して、選択済みのエンロールメントスケールを生成することができる。ユーザは、選択されたスケールを使ってエンロールメント画像の1つを重ね合わせおよび/または再位置付けすることが可能である。選択されたスケールは、エンロールメント画像として格納することができる。認証は、選択されたエンロールメントスケール上に重ね合わされた候補画像の時系列の、ディスプレイ上への提示を含む。また、対象候補者は、選択されたエンロールメントスケールを使って候補画像を位置合わせすることができる。
【0024】
認証の過程において、対象候補者に対するエンロールメントスケールの提示は、複数のエンロールメントスケールを含んでよく、対象候補者はエンロールメントスケールを選択すればよい。
【0025】
本明細書で開示するコンピュータ化バイオメトリック方法の実施が可能になる様々な携帯コンピュータシステムが本明細書で提供され、カメラおよびディスプレイは、この携帯コンピュータシステムの一部である。
【0026】
プロセッサに本明細書で開示する方法を実行させるための処理命令をエンコードされた、様々なコンピュータ可読媒体が本明細書で提供される。
【0027】
前述のおよび/または他の態様は、添付の図面と併せ検討することによって以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0028】
本明細書において、本発明は、限定的な形でなく例示のためだけに、添付の図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の各種の特徴を動作させるための、携帯コンピュータシステムの簡易化ブロック図を示す。
【
図2】本発明の或る特徴による、或る方法の流れ図を示す。
【
図3】本発明の諸特徴による、ディスプレイ上に、同じく取り込まれた背景と共に提示された或るエンロールメント画像を示す。
【
図4】
図2に示された方法による、それぞれの背景と共に重ね合わされたエンロールメントおよび認証の画像を示す。
【
図5】本発明の特徴による、バイオメトリックエンロールメントおよび認証の別の方法を示す。
【
図6】本発明の特徴による、ディスプレイ上の、以前に格納されたエンロールメント画像の例を示す。
【
図7】本発明の特徴による、ディスプレイ上の、以前に格納されたエンロールメント画像の例を示す。
【
図8】本発明の各種特徴を含む、或る方法の流れ図を示す。
【
図9】本発明の各種特徴による、或る方法の流れ図を示す。
【
図10a】本発明の異なる特徴による、エンロールメント画像を示す。
【
図10b】本発明の異なる特徴による、エンロールメント画像を示す。
【
図11】
図5および9に示された方法による、前記設定されたステップのタイミング取りされたシーケンスを用いたエンロールメントおよび認証方法の例を示す。
【
図12】
図11に示された方法による、画面上に提示されたスケール取りされたシンボルの例を示す。
【
図13】
図11に示された方法による、
図12の前記スケール取りされたシンボルを使ったユーザによる対象体の可能な重ね合わせの事例を示す。
【
図14】
図11に示された方法による、
図12の前記スケール取りされたシンボルを使ったユーザによる対象体の可能な重ね合わせの事例を示す。
【
図15】
図5および9に示された方法による、前記タイミング取りされたステップ/秒のシーケンスの設定を用いたエンロールメントおよび認証の方法の例を示す。
【
図16】画面上の手書きシンボルの登録、および前記登録されたシンボルをマスクするおよび/または隠すための他の補助シンボルの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明の諸実施形態を詳細に参照するものとし、これらの例が添付の図面に示されており、これら図面全体を通し同じ参照符号は同じ要素を指す。本発明を解説するために、これらの図面を参照して諸実施形態を以下に説明する。
【0031】
本明細書で用いる用語「登録」とは、いろいろな画像フレーム中の類似または同一の対象体の、相異なる場所および/または時間に取り込まれた異なった画像の画像特徴の空間的な位置合わせを言う。
【0032】
本明細書で用いる用語「識別」とは、エンロールされるユーザがエンロールメントの前またはその過程で提示する、初期情報、名前、身分証明書番号、または対象候補者を一意的に識別するために有用な他の情報を受信することを言う。
【0033】
本明細書で用いる用語「エンロール」または「エンロールメント」とは、バイオメトリックシステムにおけるユーザの加入を言い、この過程において、バイオメトリック情報が受理され後の身元検証または認証のため格納される。用語「エンロールメント画像」とは、エンロールメントの過程における画像取り込みを言う。
【0034】
以下で用いる用語「認証」とは、識別の過程において、候補者が自分であると主張する人物であることをバイオメトリック検証することを言う。
【0035】
以下で用いる用語「検証」とは、対象候補者のバイオメトリック画像の特徴に基づいて、前にエンロールされたユーザの一人または前に識別された対象者として認証することまたは認証否認することを言う。
【0036】
2つ以上の画像を同時にディスプレイ上に提示するコンテクストにおいて、本明細書で用いる用語「重ね合わせる」は、(i)画像処理技法を使って2つ以上の画像を組み合わせ、組み合わされた画像を提示すること、および/または(ii)上記に代えて、対象候補者には組み合わされた重ね合わせの画像に見えるように、2つ以上の画像を対象候補者に提示すること、を含む。
【0037】
バイオメトリックエンロールメントおよび認証において使用される、本明細書で用いる用語「身体部分」は、手、眼、耳、鼻、顔貌、またはユーザの他の部分であってよい。
【0038】
本明細書で定義される用語「視認画像」は、カメラまたは任意の他の撮像デバイスにより取り込まれた任意の再生可能な視覚的シーンを含む。このシーンは、カメラで取り込むことができ、(ドア、建物背景など)静止状の、あるいは、身体部分、文書、バーコード、QRコードもしくは視覚コードの任意の他の様式、写真、任意の種類のカード、または類似物の任意の組み合わせなど移動可能な、任意の有形の対象体の組み合わせとすることが可能である。
【0039】
用語「パスワードシンボル」とは、署名、画像、任意の形状、文字、連結ドットまたはピクセルの任意の組み合せ、および識別のため使用可能な任意の他の形のシンボル、またはこれらの特徴の任意の組み合せのうちの任意のものを言う。認証での手書きシンボルは、画像処理およびバイオメトリクス技術の当業者には周知のように、バイオメトリック署名として認証されることになる。
【0040】
本明細書で用いる用語「対象領域」とは、登録の過程で、ユーザにより選択され画面上にマークされた、視認画像の任意の部分を言う。視認画像の認証にあたり、ホットスポット部分は、視認画像とは独立に相関付けられなければならない。この相関付け処理は、画像処理の当業者には周知である。
【0041】
用語「観察対象体」は、視覚的に再生可能で登録の過程で取り込みが可能であり、且つ、同じ対象体および/またはシーンの候補画像による画面上の部分的/変形した画像と繰り返して重ね合わせが可能である、対象体またはシーンを取り込んだ視認画像に関する。
【0042】
身体部分の位置合わせのコンテクストにおいて、本明細書で用いる用語「特徴」は、身体部分の「輪郭」または外縁を除外する。
【0043】
本明細書で用いる用語「ユーザ」は、エンロールメントフェーズに関連する、最終ユーザ、システムユーザ、および/または顧客、または対象者の任意の一般的呼称に関する。
【0044】
本明細書で用いる用語「対象候補者」は、認証フェーズに関連する、最終ユーザ、システムユーザ、および/または顧客に関する。
【0045】
本明細書で用いる用語「時間同期方法」は、タイマー、プログレスバー、振動、または測定された時間の長さを視覚的にまたは音声的に示す任意の他の形態など、時間進行の任意の表示を使った、ユーザまたは対象候補者による時間測定に関する。
【0046】
本明細書で用いる用語「時間枠」は、ユーザによって測定および再現することが可能な任意の測定された時間経過に関する。
【0047】
本明細書で用いる用語「タイミング取りされたシーケンスステップ」は、対象候補者が、エンロールメントフェーズにおいてユーザによって記録され提示されたのと同じ順序および/または時間同期でたどらなければならないステップに関する。これらのシーケンスステップは、同じ対象体または光景の、画面上で重ね合わされた候補画像群で構成することが可能である。さらに、これらのシーケンスステップは、シンボル、画面上の配置、図面、キーボード打鍵などの任意の組み合わせ、または類似物の任意の他の組み合わせとすることができる。シーケンスステップは、測定された時間経過の間、観察対象体を提示することが可能である。このタイミング取りされたステップは、1ステップを適用する間の所与の時間経過または連続ステップの間の時間経過いずれの組み合わせとすることもできる。
【0048】
「或る候補画像」「或るエンロールメント画像」、「或る背景」など、本明細書で用いる冠詞「或る(a、an)」は、「1つ以上の」、すなわち「1つ以上の候補画像」「1つ以上のエンロールメント画像」、および「1つ以上の背景」の意味を有する。
【0049】
対象体は、十分なコントラスト、周縁を包含すべきで、認証フェーズがうまくできるように再生が可能であるべきである。
【0050】
前置きとして、本発明の各種実施形態は、ユーザを識別してシステムにエンロールし、その後に対象候補者を以前にエンロールされたユーザの一人として認証するために、いくつかの異なるバイオメトリック方法に用いることができる。本発明の実施形態は、カメラおよび例えばスマートフォンなどの携帯コンピュータシステムにおいて利用可能な二次元または三次元ディスプレイ、と共に用いるように意図されている。本発明のいくつかの実施形態において、ユーザがエンロールメントの過程で、例えば手などの観察対象体を自由空間中に支えなく提示し、エンロールメント画像が取り込まれる。その後、ユーザが、例えばオンライン取引をしたいと望むとき、例えば手などの同じ観察対象体を提示し、同様に、カメラと手との間の自由空間で支えのない手を使って認証画像が取り込まれる。認証画像は、エンロールメント画像に対し使われたのと同じ手のものになるように処理することができれば認証が達成され、できなければ認証は否認される。
【0051】
認証のためエンロールメント画像が再度使用されるとき、認証目的のため提示される際のエンロールメント画像は、認証の過程で提示された際に該エンロールメント画像から詐称者が認証画像を再構成するのを困難な状態にするため、不鮮明にし、グレースケールまたは色を操作し、解像度を低下させ、部分的に表示し、または別途に画像を処理することができる。
【0052】
さらなる詳細を提示することになる本発明の様々な実施形態において、認証は、エンロールメントとは違った場所および/または時間もしくは日付で、異なったコンピュータシステムを使って行うことが可能であり、任意の観察対象体がバイオメトリックエンロールメントおよび認証に適したものであり得る。
【0053】
身元の認証および検証の処理は、米国特許第7,327,858号に開示された、エンロールメント画像と認証画像との間で特定の特徴を対比するなどによる処理技法と類似であり得る。米国特許第7,327,858号で用いられた特徴は、手の際立ったラインである。しかしながら、従来技術の方法によれば、実際の認証処理が実行可能となる前に、画像登録が行われ、その過程で、同じ対象特徴のそれぞれの画像が、エンロールメント画像および認証画像の双方に配置される。
【0054】
本発明の様々な実施形態は、エンロールメント画像中と認証画像中との間での共通した画像化対象特徴の画像登録を回避または容易化することが意図されている。画像登録の回避または容易化は、使用されているプロセッサへの計算負荷を低減し、および/または必要な計算時間を短縮する。
【0055】
しかして、自由空間中に支えなく保持された観察対象体、または対象体に対し支えなく保持された携帯デバイスによる画像取り込みを用いた認証を可能にするべく、エンロールメント画像と認証画像との間での画像登録を回避および/または容易化するために有用な方法およびシステムを有することが必要とされており、有益であろう。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、エンロールメントおよび認証のために携帯コンピュータシステムが使われているが、他の実施形態では、非携帯型のコンピュータシステムおよび他の専用コンピュータシステムも併せてまたは代わりに使用することが可能である。
【0057】
本明細書に記載の登録および認証のプロセスは、前述のシーケンスステップのセットから組み合わせるものとする。本明細書に提示するシーケンスステップは、対象候補者が、同じ順序および/または時間同期でたどらなければならないステップ群である。これらのシーケンスステップは、画面上に重ね合わされた同一の対象体または光景の候補画像群で構成することができる。さらに、これらのシーケンスステップは、画面上に配置されたシンボル、図、キーボード打鍵の任意の組み合せ、または類似物の任意の他の組み合わせとすることが可能である。
【0058】
本発明の諸実施形態を詳細に解説する前に、当然のことながら、本発明は、その適用において、以下の説明で述べるまたは図面に示される構成要素の設計および配置の詳細に限定はされない。本発明は、他の実施形態を取ることまたは様々な仕方で実施または遂行することが可能である。また、当然ながら、本明細書で用いる表現および用語は、説明目的のためのものであって限定していると見なすべきではない。
【0059】
ここで、図面を参照すると、
図1は、本発明の諸特徴による、携帯コンピュータシステム100の簡易化されたブロック図を示す。携帯コンピュータシステム100は、ネットワーク106を介してサーバ108に接続可能である。また、携帯コンピュータシステム100は、セルラー基地局のトランシーバ119を介してセルラーネットワーク121に接続可能である。携帯コンピュータシステム100は、ローカルデータストレージ102に接続されたプロセッサ110Cを含む。データ通信モジュール104Cは、プロセッサ110Cをデータネットワーク106に動作可能に接続する。セルラー通信モジュールは、プロセッサ110Cをセルラーネットワーク121に動作可能に接続する。携帯コンピュータシステム100には、ディスプレイ109、全地球測位システム107、カメラ105、マイクロフォン111、スピーカ113、バイブレータ115、および加速度計/重力センサ、ブルートゥース(商標)、IRセンサ(図示せず)など、プロセッサ110Cに動作可能に接続された周辺付属デバイスを含めるとよい。
【0060】
ここで、本発明の特徴による、バイオメトリックエンロールメントおよび認証の方法301を表す、
図2を参照する。方法301は、ユーザのエンロールメントのためのステップ303、305、対象候補者の認証/不認証または検証のためのステップ307〜317を含む。ステップ303で、身体部分のエンロールメント画像を取り込むため、例えば携帯コンピュータシステム100のカメラ105を使って、例えば対象候補者の手などの観察対象体の画像が取り込まれる。
【0061】
また、ここで、(携帯コンピュータシステム100の例として使われているIPAD(商標)の)カメラ105および/またはディスプレイ109に対して、例えば自由空間中の手の視認画像を保持しているユーザを示す、
図2aも参照する。ディスプレイ109は、ユーザの、キー、手のひら、手首さらに腕、ならびにユーザの顔面および胴体を含む背景のエンロールメント画像20を示す。カメラ105および/またはディスプレイ109は、ユーザの両手が自由になるように、スタンド上に搭載してもよい。
図2bは、単なる一例として、エンロールメント画像20を提供するために取り込みが可能な、キー、カード、文書、耳、または眼などの別の観察対象体を示す。
【0062】
次いで、例えば携帯コンピュータシステム100のディスプレイ109上に提示されたキーだけを含むエンロールメント画像20を示す、
図3を参照する。本発明の諸実施形態による或る特徴は、例えばキーなどの観察対象体のエンロールメント画像20の輪郭を検知する処理を回避することを含む。しかして、
図3では、観察対象体のキーの画像20が、エンロールメントの過程で取り込まれた背景と共に提示されている。この背景は、
図4中の繁みの画像22と共に略図で示されている。
【0063】
図2に戻って参照すると、ステップ305で、エンロールメント画像20がユーザと関連付けられる。ユーザとエンロールメント画像20とのこの関連付けには、ユーザの名前、誕生日、身分証明書(ID:identification)番号、または国民保険番号もしくは社会保障番号を含めることができる。
【0064】
ステップ307は、以前にエンロールされた対象候補者の認証/不認証プロセスを開始する。認証は、エンロールメントステップ303〜307とは違った場所および/または時間もしくは日付でもよく、または異なったコンピュータシステムを使ってもよい。
【0065】
ここで、認証過程におけるディスプレイ109を示している、
図4を参照する。ステップ307で、エンロールメント画像20が、背景画像22と共にディスプレイ109上に提示される。
【0066】
図2に戻って参照すると、ステップ309で、対象候補者が例えばキーなどの観察対象体をカメラ105に向け提示するよう指示され、例えばビデオなど対象候補者のキーの候補画像40の時系列が取り込まれる。候補画像40は、対象候補者の候補観察対象体の画像およびそれぞれの背景画像42を含むことができる。本発明の特徴によれば、エンロールメント画像20におけるように、例えばキーなどの観察対象体の画像を背景なしに抽出し提示するために、例えばキーなどの観察対象体の画像の輪郭を検知するのを回避しながら、候補画像40がそれぞれの背景と共に提示される。
図4では、手の候補画像40の背景が、家の画像42と共に略図で示されている。
【0067】
さらに
図2を参照すると、ステップ311で、取り込みの間(ステップ309)に、前にステップ303で取り込まれたエンロールメント画像20と共に、候補画像40の時系列がディスプレイ109上に表示される。これにより、ステップ311で、1つ以上の候補画像40が、それぞれの背景42および22と共に、エンロールメント画像20上に重ね合わされる。
【0068】
ステップ313で、対象候補者は、1つ以上の候補画像40がディスプレイ109上のエンロールメント画像20に合わさるように、カメラ105の前の例えば手などの観察対象体の位置合わせすなわち位置付けおよび再位置付けを行う。
【0069】
ステップ313での位置合わせを可能にするために、取り込み(ステップ303)後のエンロールメント画像20およびまたは候補画像40は、ディスプレイ109上に表示する(ステップ311)前に、水平鏡面反転などを用いて処理することが可能である。
【0070】
ステップ313での位置合わせのためのベースは、候補画像40中の例えばキーなどの観察対象体の特徴と、エンロールメント画像20中の対応する特徴とにすればよい。この特徴および対応する特徴は、当該身体部分および候補身体部分それぞれの、ライン群、隆起、ライン、瘢痕、異なる皮膚色素沈着の領域、母斑、またはしわなどとすればよい。さらに、これらの特徴は、対象画像の対象体中に位置する、縁部、ライン、点、または任意の視覚的に異なる領域など、対照のベースとなる特徴としてもよい。位置合わせステップ313は、水平方向、垂直方向の画像座標、画像空間中の角度方向、およびカメラ105に対する実空間距離、の位置合わせを含む。
【0071】
判断ブロック315において、ディスプレイ109上で、1つ以上の候補画像40がエンロールメント画像20に合わさったとき、検証ステップ317を実施することができる。検証の過程で(ステップ317)、画像処理技術で知られている任意の技法によって、以前に格納されたエンロールメント画像20と認証画像とを対比することにより、対象候補者を、ステップ303〜305で以前にエンロールされたユーザおよび/または前に識別されたユーザとして検証することが可能である。
【0072】
判断ブロック315において、1つ以上の候補画像40が、ディスプレイ109上のエンロールメント画像20に未だに合わさらないとき、対象候補者による位置合わせがステップ313で続く。
【0073】
次いで、本発明の特徴によるバイオメトリックエンロールメントおよび認証の別の方法501を表す、
図5を参照する。バイオメトリック方法501は、ユーザのエンロールメントおよび認証のためのステップを含む。ステップ503で、カメラ105を使ってユーザの観察対象体が取り込まれ、例えばキーなど観察対象体のエンロールメント画像20が生成される。ステップ305で、そのエンロールメント画像20がユーザに関連付けられる。ステップ507で認証段階が開始され、エンロールメント画像20が、背景22と共にまたはそれなしに、ディスプレイ109上に提示される。ステップ509で、対象候補者は、カメラ105に向けキーを提示するよう指示され、対象候補者の例えばキーなど観察対象体の候補画像40の時系列が取り込まれる。候補画像40は、背景画像42と共にまたはそれなしに提示された、対象候補者の候補観察対象体の画像を含む。
【0074】
ステップ511で、取り込みの間(ステップ509)にも、候補画像の該時系列が、前にステップ503で取り込まれたエンロールメント画像20の表示(背景22と共にまたはそれなしに)と一緒にディスプレイ109上に表示される。ステップ511で、候補画像40が、エンロールメント画像20に重ね合わされる。
【0075】
ステップ513で、対象候補者は、ディスプレイ109上で候補画像40がエンロールメント画像20に重ね合わさるように、カメラ105の前で自分の手および/またはキーを位置合わせ、位置付けおよび再位置付けをすることができる。
【0076】
位置合わせを容易化するために、取り込み(ステップ503)後のエンロールメント画像20および/または候補画像40は、ディスプレイ109上に表示する前に、水平鏡面反転を用いて処理することが可能である。
【0077】
ステップ513での位置合わせのためのベースは、候補画像40の中の身体部分またはキーの特徴の画像と、エンロールメント画像20中の対応する特徴の画像とにすることができる。この特徴および対応する特徴は、それぞれ、身体部分もしくは主要な候補身体部分上の隆起、ライン、瘢痕、異なる皮膚色素沈着の領域、母斑、またはしわ、あるいはキーとすればよい。ステップ513における位置合わせは、例えばキーなどの観察対象体の画像の外形輪郭の位置合わせをせずに実行することが可能である。候補画像40および/またはエンロールメント画像20に対する画像の外形輪郭は、ディスプレイ109上で必ずしも見取り可能ではない。画像の特徴の位置合わせステップ513は、水平方向、垂直方向の画像座標、画像空間中の角度方向、およびカメラ105に対する実空間距離の位置合わせを含む。
【0078】
判断ブロック315において、1つ以上の候補画像40が、エンロールメント画像20に合わされば、認証/不認証を実施することができる。対象候補者を、以前にエンロールされたユーザとして認証することは、エンロールメント画像20と認証画像とを対比することによって行うことが可能である。この認証は、該候補画像を対象候補者の認証画像として関連付ける(ステップ317)ことによって検証される。
【0079】
判断ブロック315において、候補画像40の時系列が、ディスプレイ109上のエンロールメント画像20と完全に合わさらなかったときは、対象候補者による候補画像40とエンロールメント画像20との位置合わせが、ステップ513で続く。
【0080】
ここで、本発明の特徴による方法801を表す、
図6を参照する。ステップ807で、エンロールメントのために以前に格納されたエンロールメント画像がユーザに示される。また、ここで、以前に格納されたエンロールメント画像65および75の例を、それぞれディスプレイ109上に表す
図7および
図8も参照する。エンロールメント画像65は、ユーザが自分の手33の画像を楕円65内に位置合わせした楕円である。楕円65を貫通して示されている点線37は、中指および手首の画像を位置合わせするために用いることができる。画像75は、対象候補者が自分の手首および手33の各指のそれぞれの画像を位置合わせするための破線を含む。
【0081】
図6に戻って参照すると、ステップ809で、対象候補者は、カメラ105に向けて、例えばキー、または例えば手33などの身体部分など、観察対象体を提示するように指示される。ステップ809で、対象候補者の候補画像40は、対象候補者が、候補画像40と、ディスプレイ109上に表示された以前に格納されたエンロールメント画像との位置合わせを試みている間に取り込まれる。画像65およびステップ809に関し、対象候補者は各指先の画像を楕円65のぴったり外周内に位置合わせし、その中指は楕円65を通り抜ける点線37の周りに対称的に位置合わせされる。画像75およびステップ809に関し、対象候補者は、自分の手33の各指が画像75の点線に確実に中心合わせされてそれと平行になるよう試みる。判断ブロック815において、ステップ809での位置合わせが達成されたならば、候補画像40がエンロールされたユーザの真正の画像であることを確認する(ステップ317)ことによって検証が行われる。それ以外の場合は、対象候補者による位置合わせがステップ809で続く。
【0082】
以前に格納されたエンロールメント画像65/75が使われる場合、エンロールするユーザは、例えば、エンロールメント取り込みステップ503を行うのに用いるために、携帯コンピュータシステム100のメモリ102中に格納された例えば10〜100の格納画像のバンクから、以前に格納された1つ以上のエンロールメント画像65/75を選択することができる。以前に格納されたエンロールメント画像65/75のこの選択は、追加的なセキュリティを提供し、この例では、ユーザが自分の手33に適したエンロールメント画像65/75を選択することを可能にする。
【0083】
本発明の特徴による、方法901およびディスプレイ109上に示されたエンロールメント画像95をそれぞれ表す、
図9および10を参照する。ステップ903で、ユーザの身体部分のエンロールメント画像95がカメラ105を使って取り込まれる。エンロールメント画像95(
図10a)中に示された身体部分はユーザの手である。次いで、ステップ903で取り込まれたエンロールメント画像95が、ディスプレイ109上でユーザに提示される(ステップ905)。ユーザは、エンロールメント画像の上に、例えば、ディスプレイ109上に提示されたような、身体部分の特徴を被う矩形などのシンボル101を重ね合わせる(ステップ907)ことが可能である。
図10aに示された手の特徴には、隆起、ライン、しわ、瘢痕、または指をつないでいる湾曲部分を含んでよい。重ね合わせ(ステップ907)は、ユーザが、特徴を被うシンボルを、再配置、サイズ変更、および/または回転することを含んでよい。
【0084】
判断909において、ディスプレイ109上で、シンボル群101が手の特徴にうまく重ね合わされると、シンボル101は、画像空間における手および/またはシンボル101のそれぞれの位置、方向、および特徴と共に、エンロールメント画像95として格納される(ステップ911)。ディスプレイ109上のシンボル101が、手の特徴と未だに重ね合わさらない場合、重ね合わせがステップ907で続く。
【0085】
図9に戻って参照すると、次いで、対象候補者の認証がステップ913〜921へと続く。ステップ913で、ステップ911において格納されたエンロールメント画像95がディスプレイ109上に提示される。携帯コンピュータシステム100は、ステップ913で、対象候補者に、候補身体部分をカメラに向けて提示するよう指示する。例えば、候補身体部分が手である場合、カメラ105を使って、手の候補画像の時系列が取り込まれる。取り込みステップ913の間にも、該候補画像の時系列が、エンロールメント画像95に重ね合わされて(ステップ915)ディスプレイ109上に表示される。ステップ917で、エンロールメント画像95と1つ以上の候補画像との対応する特徴が合わさるように、候補画像の少なくとも1つをエンロールメント画像95に位置合わせすることができる。位置合わせにおいて(ステップ917)、候補者は、例えばライン、しわなど識別に使用され、エンロールされたユーザだけが知る特徴が、シンボル101に位置合わせされるように、自分の手をカメラ105の前で動かすことが可能である。判断919において、シンボルを有する適正な特徴の位置合わせが成功すると、例えば米国特許第7,327,858号の教示に基づき、検証317が実施可能となる。上記以外は、位置合わせの不成功または認証の否認により、対象候補者は、ステップ913で、再度カメラ105の前に自分の手を提示するよう再び指示されることになろう。対象候補者は、携帯デバイスの前面カメラ、背面カメラ、または任意の他のカメラを同時に、または特定のシーケンスで使用することができる。
【0086】
ここで、ディスプレイ109上にソフトウェアペグ101として表されたシンボル101を使用する別の例を示す、
図10bを参照する。ソフトウェアペグ101bは、ソフトウェアペグ101が、例えば、指の間の湾曲した接続部の位置を示すように、ユーザによって位置付けることができる。
【0087】
本発明の特徴による、方法1101を示す流れ図を含む、
図11を参照する。ステップ1103で、ディスプレイ109上で、以前に定義された複数のエンロールメントスケールがユーザに提示される。ディスプレイ109上に示される以前に定義されたエンロールメントスケールの例は、それぞれの格子枠ライン1203a〜1203cを有するスケールまたは格子枠1201a〜1201cとして、
図12中に示されている。
【0088】
図11中の方法1101に戻って参照すると、ステップ1105で、ユーザの観察対象体のエンロールメント画像は、カメラ105を使って取り込まれる。ステップ1107で、ユーザのエンロールメント画像は、ディスプレイ109上で該ユーザに提示される。ユーザは、エンロールメント画像を、選択された格子枠またはスケール1201a〜1201cに重ね合わせながら、同時に格子枠スケール1201a〜1201cを選択(ステップ1109)することが可能である。選択されたスケールとして格子枠1201bを使って、ユーザは、
図14におけるように、格子枠ライン1203bが婦人の靴の下に位置し、同時に
図14に示されるようにドアの最上部分がライン1203cに沿って位置するように、選択された格子枠スケール1201bを再位置づけまたは回転することができる。上記に代えて、ユーザは、
図14に示されるように、格子枠ライン1203bがライン1205b上に位置するように、カメラの方を回転し位置付けることも可能である。
図11中の方法1101に戻って参照すると、ステップ1111で、ユーザの観察対象体のエンロールメント画像20は、選択された格子枠スケール1201bと共に格納され、エンロールされたユーザに関連付けられる。
【0089】
認証ステップ1113〜1123は、対象候補者が、ステップ1101〜1111で前にエンロールされたユーザであるかないかを検証するステップである。ステップ1113で、対象候補者の身分証明書(ID)番号を、携帯コンピュータシステム100によって受信することが可能である。
【0090】
対象候補者は、システム100によって、候補観察対象体の候補画像40を取り込む(ステップ1115)ために、観察対象体をカメラ105に向け提示するよう指示される。
【0091】
取り込まれた候補画像が提示され(ステップ1117)、選択されたエンロールメントスケール1201に重ね合わされる。ステップ1119で、候補者は、候補画像の1つを選択されたエンロールメントスケール1201に位置合わせする。判断ブロック1121で、候補画像40と選択されたスケール1201との間に一致がある場合、次いで、候補画像40を、ステップ1123で以前にエンロールされたユーザとしての対象候補者の真正な画像として検証し、または検証しないことが可能となる。その他の場合は、対象候補者による位置合わせは、判断1121からステップ1119へと続くことになり、あるいは何回かの位置合わせ失敗の後では、対象候補者はこれら画像の認証が不合格であったと通知される。
【0092】
さらに、ステップ1115および1117はセキュリティ特徴に関わる。候補画像40を真正な画像として検証する(ステップ317)ためには、候補の観察対象体および特徴が、エンロールメント過程で使われた観察対象体および特徴と一致する必要がある。さらに、候補画像が真正であるとの検証を成就するためには、エンロールメントの過程で使われたスケールが、対象候補者によって選択スケール1201として選択されなければならない。
【0093】
図13、14に示されたエンロールメントプロセスの過程で、携帯コンピュータシステム100に、エンロール対象のユーザの観察対象体の詳細(サイズ、形状など)の知識がないことがある。したがって、エンロールメント段階で、それぞれ格子枠ライン1203を有するいくつかの格子枠スケール1201をディスプレイ109上に表示することが可能で、ユーザは、各スケール1201にその観察対象体を位置合わせする。観察対象体はスケール1201に位置合わせすることができ、観察対象体の全体をスケール1201の矩形ボックスの内部に配置する必要がある。
【0094】
図13を参照すると、エンロールメントの過程で、ユーザが、ディスプレイ109上の観察対象体のドアをスケール1201の各々に位置合わせするとき、結果として、スケール1201の各々に対して、実際上、観察対象体がカメラ105から相異なる距離に位置することがある。携帯コンピュータシステム100は、対象候補者に対し最善のスケール1201を選択することが可能で、対応するスケール1201に関連するエンロールメント画像20から抽出された特徴は、最もロバストで明瞭なものとなる。この点から、最善に選択されたスケール1201は、ユーザと保存され検証過程で用いられるエンロールメント画像とのために使われてよい。
【0095】
前述した多くの検証プロセスの1つに関し、前述した検証プロセスの任意の1つに、これと同じエンロールメントメカニズムを用いることが可能で、対象候補者は、要求されるスケール1201を選択し、自分の対象体配置の選択に従って、自分の観察対象体を位置付ける必要があることになる。対象候補者に過多な検証試行がある場合、その対象候補者は、上記に代えて、自分の身元に関するいかなる情報も提示することなく、エンロールメントフェーズ通りに正確に自分の対象体を位置合わせすることが可能である。これにより、対象候補者の検証試行の回数は、同じスケールおよび回転の関連エンロール対象者だけに限定でき、対象候補者を識別することが可能である。
【0096】
ユーザは、選択スケールとして格子枠1201bを用い、
図14に示されるように、格子枠ライン1203bがユーザのドアの最上部分のライン1205b上に位置するように、選択された格子枠スケール1201bを再位置付けまたは回転することができる。上記に代えて、ユーザは、
図15に示されるように、格子枠ライン1203bがユーザのドアの最上部ラインのライン1205b上に位置するように、自分の手を回転し、位置付ける。
図14および15に提示された選択肢は、エンロールメントおよび検証プロセスの両方、またはエンロールメントプロセスだけに適用することが可能である。検証プロセスにおいて、スケール1201を、事前定義しディスプレイ109上で変更できないようにしてもよい。
【0097】
検証のプロセスは、特定の仕方で繰り返すことができる。例えば、エンロールメントの過程で、ユーザは、スケール1201a、1201b、1201cのうちの1つを選択し、自分の観察対象体1205aである婦人の靴を、スケール1201bのライン1203bに位置合わせする。検証が成功したならば、対象候補者は、異なるスケールを使った第2の検証ステップに進み、以下同様に続ける。さらに安全なオプションとして、ユーザは、エンロールメントの過程で、スケール群1201を、逐次的な検証ステップに組み合わせ、これにより、スケール群1201の順序付けされたシーケンスによるパスワードを生成することが可能である。
【0098】
別の実施形態において、候補ユーザは、カードを取り込み、画面上の各種スケールまたはシンボルに対する、カードの配置および配列のシーケンスを用いることができる。スケールとのカード位置合わせのステップおよびカード位置合わせのタイミングは、認証の過程で、詐称者が正しいシーケンスおよびタイミングを推測できないような仕方で登録される。この方法によれば、詐称者は、当該カードと、特定のスケールを備えた携帯デバイスと、カード配置の正しいシーケンスと、各ステップのタイミングとを必要とすることになろう。例えば、対象候補者は、カードを任意の第1スケールに2秒間の間位置合わせし、次いで、2つのさらなるスケールにカードを0.5秒の間位置合わせする。システムは、カードの信ぴょう性と、スケール取りされたシンボルの登録されたシーケンスおよびカード提示のタイミングに沿った正しい位置合わせとを検証することになる。
【0099】
運転免許証およびパスポートなど、いろいろなサイズのいろいろなカードの利用は、カードが、カードが最善のピント状態になるカメラからの適正な焦点距離にあることを確実にするために、相異なるシンボルサイズを必要とする。例えば、運転免許証は、画面上に小さな境界の四角枠を有し、一方パスポートについては、ディスプレイ上にずっと大きい四角枠を必要とすることになろう。対象候補者がカードの認証を望む場合、カードは、画面上の合致する境界の四角枠に位置合わせする必要がある。この方法では、最善の焦点距離でのカードの読み取りが可能であり、このカード読み取りは、補助的なデバイスを必要としないことになろう。
【0100】
補助的なデバイスが必要な場合には、携帯デバイスは、反射鏡が手の内側掌を反射するようにセットされる。この実装において、携帯カメラは、対象候補者の手のひらを取り込んで認証を行うことができる。鏡面により、対象候補者は、(携帯機器の配置角度によって)携帯機器のディスプレイ表示を見て、携帯機器およびその前面カメラと相互作用することができる。さらに、ユーザは、手の背面部分を取り込み、次いで手をデバイスの下側部分に位置させることができる。これにより、携帯デバイスのディスプレイとの相互作用が可能になり、同時に対象候補者が手を使う様が識別される。この特定の実装において、対象候補者は、携帯デバイスを補助デバイス上に位置させ、鏡面を使って、手を一定の位置および携帯機器の背面カメラから一定の距離に保つため面状またはペグ状のデバイスの上に置かれた手の写真を撮ることができる。このようにして、対象候補者は、任意の携帯カメラを配置し最もロバストな対処策を生成することが可能である。手の上側部分が撮られる場合は、鏡は必要なく、手は、携帯機器の下側に位置される。この実装における携帯デバイスの位置によって、対象候補者は、アクセス制御、販売時点管理(POS:Point of Sale)、および認証を必要とする任意の他の用途のため、携帯デバイスのディスプレイと相互作用することが可能となる。
【0101】
ここで、認証および登録のためのシーケンスステップを示す、
図15を参照する。対象候補者は、登録フェーズに基づいて、いろいろなQRコードを包含する、9個四角枠のグリッドからいくつかのQRコードと取り込むよう指示される。デバイスのディスプレイ109上で、シンボル表示ボックスは視認画像を表示する。シンボル表示ボックス1301、1301a、1301b、および1301cは、認証および登録の4ステップの各々において取り込まれた画像を表示する。タイマーシンボル1303は、全体シーケンスの開始からの時間、もしくは、登録において定義された各ステップに対し必要な取り込み時間の長さのいずれかを表示する。1305、1307、1309、および1311の四角枠中の取り込み画像の表示ボックスは、各ステップに対する1303中のタイムスタンプに合わされている。フェーズ1において、対象候補者は、表示ボックス1301a上に、四角枠1305および左側の隣接四角枠(これは1307の一部である)中のQRコードだけを取り込む。ボックス表示1301bにおいて実施される第2ステップで、対象候補者は、1303中に表示されている、四角枠1309および1311中のQRコードを取り込む。第3ステップで、対象候補者は、ボックス1301C上に、3秒の長さの間ボックス1307から4つのQR四角枠を取り込む。正しい順序で、且つ要求されるタイミング枠内で、ボックス1303中に画面表示される全てのQR取り込みステップが行われ適正に位置合わせされたならば、対象候補者が認証される。
【0102】
上記に代えて、対象候補者は、カード、壁、署名、および任意の他の利用可能な面のいずれかの上に、写真およびシンボルのグリッド四角枠を取り込み位置合わせすることも可能である。登録の過程で、ユーザは、各々が任意の所望の組み合わせで画面上のグリッドまたはセルに配列された、グリッド写真のシーケンスを取り込む。認証時に、対象候補者は、登録ステップシーケンスにおけるのと同様に、携帯デバイスを保持し、画面上のグリッドシンボルをグリッド写真に位置合わせする。認証ステップは、タイマー、または画面上で測定される任意の他の表示シンボルを使って、同期合わせするとよい。
【0103】
対象候補者は、携帯カメラを観察対象体に位置合わせしてもよく、カードをカメラに位置合わせしてもよい。さらに、任意の他の組み合わされた静止対象体、およびカードなどの有形で移動可能な対象体を、認証の所望のシーケンスの一部とすることができる。
【0104】
別の例は、iPhone(登録商標)パスワード画面のように同じサイズの9つの四角枠が配置されている場合、検証過程で、対象候補者は、或る特定の四角枠内に1つの指のラインを、次いで、異なる特定の四角枠に別の指のラインを提示し、そのように提示を続けてもよい。ステップの組み合わせは、エンロールメントフェーズにおいて保存され、検証の過程で、対象候補者はステップの前記組み合わせを繰り返さなければならない。しかして、詐称者は、初期のエンロールメントの過程で行われた順序による、指の配置および四角枠の選択の組み合わせを予測することはできない。
【0105】
観察対象体に位置合わせされる画面上のシンボルは、任意の順序および配置で、事前定義しまたは手入力で定義すればよい。これらシンボルは、ユーザが、登録の過程で行ったように、画面上シンボルを視認シーンに位置合わせすることが可能な仕方で、ユーザによってサイズ変更、順序変更、移動、または手書きすることができる。対象候補者は、認証がうまく行くように、再生が可能なシーンを選択しなければならない。
【0106】
例えば、ユーザが、シーン画像の一部として木を選んだ場合、その木が形状を変える可能性があってその画像は再生可能でないことがあり、利用に適していない。
【0107】
さらに、登録の過程で定義され、以降の認証に対するステップのシーケンスは、キーボードのタイプなど任意の形のパスワードと組み合わせることができる。このパスワードのタイプは、登録ステップ内において、単独で、または本発明で説明したような提示されたステップと組み合わせることが可能である。例えば、対象候補者は、特定のタイミングのシーケンスで、各パスワードの文字の押下を相異なるタイミングで、もしくは各文字の間のギャップを相異なる時間長さで、または任意の他の組み合わせで、パスワードをタイプすることができる。認証の過程では、各文字の所望の文字押下測定を示すため、タイマー表示、プログレスバー、もしくは任意の他のイコライザ様のもの、または、各文字への所望の測定された文字押下を示すための任意の他の時間表示告知、ならびにキーボード文字押下の時間長さおよび文字押下間のギャップのシーケンスのタイミングを取るためのシンボルの任意の他の組み合わせ、を含む視覚的時間表示を設けることになる。このように、詐称者は、たとえパスワードを知り得ても、文字押下の正しいシーケンスのタイミングを知らないので、それを使うことができない。このような方法で、対象候補者は、複数のパスワードを使う代わりに、パスワードとして、文字の同じシーケンスを用いることが可能で、これは、順列置換の様に終わりがないパスワードなので、破るのは困難であろう。
【0108】
このキーボードシーケンスのタイミングは、全ての他のシーケンスの視認画像位置合わせおよび手書きシンボル、または提示された任意の他の認証の方法と、任意の組み合せでタイムリーに結合できる。
【0109】
ユーザが、最高レベルのセキュリティを維持しながら、覚えるのが易しい同じパスワードを使えるならば、人々が身元証明を行うやり方が変化することになろうと考えられる。
【0110】
パスワードを取得した詐称者は、多くの可能な組み合せが存在するので、正しいステップシーケンスを知っていなければ、それを使用することはできない。以下のステップは、容易に再現され直感的なものなので、対象候補者は、シーケンスが再現可能な限りにおいて、特定の実装に制限されずに、自分が必要とする複雑さのレベルを生成することができる。
【0111】
次に、署名バイオメトリクスなど、手書きの対象候補者のシンボルを示す、
図16を参照する。登録の過程において、第1ステップで、対象候補者は、画面デバイス109上に、1401で示されるような登録されたシンボルまたは署名を描く。続いて第2ステップの間に、対象候補者は、任意の種類の補助的なシンボルまたはマーカを、ステップ1の1401表示シンボルの登録シンボルまたは署名と共に配列する。さらに登録の過程において、第2フェーズで対象候補者は、表示ボックス1403を用いて署名の一部を消去する。補助シンボルには、登録されたシンボルまたは署名と共に配列された任意のシンボル、登録署名の一部の除去、署名の任意の種類の変形、および署名の任意の他のシンボルマーキング部分を含めてよい。
【0112】
検証の過程で、表示は、登録1403表示のフェーズ2の補助マーカ/ヒントを包含することができる。前述のプロセスは、高レベルの署名バイオメトリクス認証を可能にする。ステップ2の署名変形は、1401中のような前記エンロールメント画像の再形成をできなくするための、不鮮明化、幾何学的変形、または任意の他の画像操作を含む。
【0113】
別の可能な実装は、以下のステップを含む。
【0114】
ステップ1で、対象候補者は、ディスプレイ109上のシンボルボックス1401中の署名またはシンボルを適用する。ステップ2で、表示ボックスシンボル1401上の署名が画面109上に表示され、対象候補者は、シンボルボックス表示1403におけるように、当初の署名を隠すため、無作為のシンボル、スクランブルされたライン、および任意の他のシンボルを適用する。認証時に、対象候補者は、表示シンボル1403中の隠された署名と一緒にスクランブルされたラインを見る。対象候補者は、登録フェーズ1の1401の隠された署名またはシンボルのラインをたどることによって、署名またはシンボルを利用する。この実装において、詐称者は、登録1403のフェーズ2の他の隠蔽用のシンボルから署名を区別するのに困難をきたすであろう。認証のこの方法は、制限された短い時間枠内では破ることが難しい。この手書きのマークまたはシンボルは、対象候補者の認証の任意の他の形態と組み合わせることが可能である。
【0115】
認証の過程で、対象候補者は、未知の組み合せを使った連続的なやり方で、1つ以上のランダムに選択されたエンロールメント画像を示される。
【0116】
さらに、エンロールされたバイオメトリック方法には、本明細書で説明するように、登録された画像の規定のシーケンスまたは登録された映像シーケンスを含めることも可能である。認証に際し、対象候補者は、観察対象体を、登録の中で提示された、画面上で移動する観察対象体もしくはシンボルの画面上の登録済み映像シーケンスもしくは登録済み画像シーケンスに重ね合わせなければならない。
【0117】
例えば、登録時に、対象候補者は、画面上の選択された移動するラインを、運転免許証の左縁に連続して重ね合わせることができる。上記に代えて、対象候補者は、運転免許証を、画面上のラインの特定の同期化された位置の移動するラインに重ね合わせてもよい。
【0118】
別の例において、対象候補者は、画面上で移動するラインまたはシンボルなどのシンボルのセットを決めることができる。登録の過程で、画面上の2つのラインが相異なる方向に回転しており、対象候補者は、特定の同期および画面上のラインの位置で、観察対象体を1つ以上の動くラインに重ね合わせる。認証時に、これら2つのラインが画面上に表示され、対象候補者は、観察対象体について登録済みの同期された位置、時間をたどることになろう。対象候補者だけが、正しいラインの配列、およびラインと観察対象体との間の同期を知っており、認証されることになろう。
【0119】
上記に代えて、対象候補者は、視認画像を取り込み、認証方法の追加のシーケンスステップとして、該視認画像上の特定の位置および時間におけるシンボルを位置合わせまたは適用することも可能であろう。
【0120】
時間表示シンボルの別の例において、この表示は、本明細書で述べた時間表示同期方法として対象候補者が使用可能な、動く針を備えたクロック様の表示を包含することができる。さらに、対象候補者は、クロックの動く針が時計上の特定の位置に達するか、または特定の視認画像を取り込んだならば、クロック表示を押すかまたはスワイプすればよい。
【0121】
また、この表示シンボルは、任意の種類の任意にスケール取りされたシンボル、または任意の他の量測定指向のシンボルから成ることができる。例えば、対象候補者は、1〜1000の数の範囲を備えた表示バーを用いればよい。認証の過程で、対象候補者は、画面上のバーに指を滑らせることにより、追加のシーケンスステップとして、所望の数を選択する。このバーは、必要に応じ、任意の種類、範囲数、精度とすればよい。別のシンボル選択肢は、登録および認証において対象候補者が追加のシーケンスステップとして選択可能な、色およびテクスチャの違った部分を有する任意のシンボルとすることができる。
【0122】
本発明の諸実施形態は、各種のコンピュータハードウェア構成要素を含め、汎用または特殊用途コンピュータシステムを含むことが可能で、これについては以下にさらに詳しく説明する。また、本発明の範囲内の諸実施形態は、コンピュータ実行可能命令、コンピュータ可読命令、または格納されたデータ構造体を、搬送しまたは有するコンピュータ可読媒体を含む。かかるコンピュータ可読媒体は、汎用または特殊用途コンピュータシステムによってアクセスが可能な、任意の利用可能な媒体であってよい。限定でなく例として、かかるコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、フラッシュディスク、CD−ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、または、コンピュータ実行可能命令、コンピュータ可読命令、またはデータ構造体の形で所望のプログラムコード手段を搬送もしくは格納するために使用可能で、汎用または特殊用途コンピュータシステムによるアクセスが可能な任意の他の媒体など、非一時的物理ストレージ媒体を含み得る。
【0123】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「コンピュータシステム」は、電子データの演算を行うため協働する1つ以上のソフトウェアモジュール、1つ以上のハードウェアモジュール、またはこれらの組み合せとして定義される。例えば、コンピュータシステムのこの定義は、パーソナルコンピュータのハードウェア構成要素、およびパーソナルコンピュータのオペレーティングシステムなどのソフトウェアモジュールを含む。これらモジュールの物理的レイアウトは重要ではない。コンピュータシステムは、コンピュータネットワークを介して連結された1つ以上のコンピュータを含み得る。同様に、コンピュータシステムは、(メモリおよびプロセッサなどの)内部モジュールが電子データの演算を行うため協働する、(電話、または携帯情報端末「PDA:Personal Digital Assistant」などの)単独の物理デバイスも含み得る。任意のコンピュータシステムが携帯可能であり得るが、用語「携帯コンピュータシステム」は、特に、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、ワイヤレス電話、携帯情報端末、タッチ感応画面を備える携帯型コンピュータなどを含む。
【0124】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「ネットワーク」は、2つ以上のコンピュータシステムがデータを交換できる任意のアーキテクチャとして定義される。本用語「ネットワーク」は、広域ネットワーク、インターネットローカルエリアネットワーク、イントラネット、「Wi−Fi(商標)」などのワイヤレスネットワーク、仮想プライベートネットワーク、アクセスポイント名(APN:access point name)を用いる携帯アクセスネットワーク、およびインターネットを含み得る。交換されるデータは、2つ以上のコンピュータシステムに意味がある電気信号の形であればよい。データが、ネットワークまたは別の通信接続(有線、ワイヤレス、または有線もしくはワイヤレスの組み合わせ、のいずれか)を介してコンピュータシステムまたはコンピュータデバイスに転送または提供される場合、該接続は、一時的コンピュータ可読媒体と妥当に見なされる。しかして、任意のかかる接続は、一時的コンピュータ可読媒体、と妥当に呼称される。また、前述の組み合せは、一時的コンピュータ可読媒体および非一時的コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。コンピュータ実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータシステムまたは特殊用途コンピュータシステムに特定の機能または機能群を実行させる命令およびデータを含む。
【0125】
本明細書で用いる用語「サーバ」とは、一般にコンピュータネットワークを介してサービスを提供するように構成された、プロセッサ、データストレージ、およびネットワークアダプタを含むコンピュータシステムを言う。サーバによって提供されるサービスを受信するコンピュータシステムは、「クライアント」コンピュータシステムとして知られていよう。
【0126】
本発明の選択された実施形態が示され説明されてきたが、当然のことながら、本発明は、説明された実施形態には限定されない。それどころか、本発明の原理から逸脱することなくこれらの実施形態に変更を加えるのが可能なことを十分に理解すべきであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその等価物によって定義される。
【国際調査報告】