(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532739(P2017-532739A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】安全な燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20171006BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20171006BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20171006BHJP
H01M 8/06 20160101ALI20171006BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20171006BHJP
【FI】
H01M8/04 H
H01M8/04 Z
H01M8/04 A
H01M8/10
H01M8/06 W
H01M8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-516514(P2017-516514)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月21日
(86)【国際出願番号】FR2015052514
(87)【国際公開番号】WO2016046477
(87)【国際公開日】20160331
(31)【優先権主張番号】1458959
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516284345
【氏名又は名称】サフラン・パワー・ユニッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ボウジェマー
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC02
5H127AC07
5H127AC14
5H127BA02
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB18
5H127BB39
5H127CC01
5H127DC34
5H127EE02
(57)【要約】
アセンブリ(1)は、ハウジング(2)に配置された燃料電池(3)を具備しており、燃料電池(3)は、入口(41)及び陽極出口(42)を有する、陽極(4)と、酸素入口(51)及び陰極出口(52)を有する、陰極(5)と、を具備しており、ハウジング(2)は、密封された囲いを具備しており、密封された囲いにおいて燃料電池(3)が配置されており、更に燃料電池(3)は、燃料電池により吐出されたガスが、密封された囲い内に吐出されて、密封された囲いの内部に酸素枯渇空気の過剰圧力を発生させるような状態で構成されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)に配置された燃料電池(3)を具備する、アセンブリ(1)であって、
前記燃料電池(3)は、入口(41)及び陽極出口(42)を有する、陽極(4)と、酸素入口(51)及び陰極出口(52)を有する、陰極(5)と、を具備する、アセンブリ(1)において、
前記ハウジング(2)は、密封された囲いを具備しており、前記密封された囲いにおいて前記燃料電池(3)が配置されており、更に前記燃料電池(3)は、前記燃料電池により吐出されたガスが、前記密封された囲い内に放出されて、前記密封された囲いの内部において酸素枯渇空気の過剰圧力を発生させるような状態で構成される、ことを特徴とするアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記密封された囲いの内部に配置されていて且つ前記陰極出口(52)に接続される、凝縮器(7)を更に具備しており、
前記凝縮器(7)は、前記陰極出口(52)からの水を集め且つ前記ハウジング(2)の外部に水を排出するように構成されており、その際、前記陰極出口(52)からの空気が、前記ハウジング(2)の前記密封された囲い内に排出される、ことを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記ハウジング(2)は、前記密封された囲い内の最大の圧力を規定するように構成された、定格弁(81)を具備しており、前記圧力は、所定の周囲圧力より高い、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記陰極の前記酸素入口(51)は、逆止弁により周囲環境に接続される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記燃料電池(3)は、陽子交換膜燃料電池である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記燃料電池(3)は、前記ハウジング(2)の前記密封された囲いの外側に配置された熱交換器(61)を具備する、冷却システム(6)を更に具備する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項7】
周囲圧力で加圧される、航空機の容積内に配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアセンブリ(1)を具備する、ことを特徴とする航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の分野に係わり、より詳細には、本発明は、航空分野における用途のための燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、エネルギ発生の点において重要な利点を示すが、しかし、燃料電池は、燃料電池に適用される非常に高い安全要求により、航空等の特定の分野において殆ど使用されない状態に留まる。
【0003】
具体的には、例えば陽子(プロトン)交換膜型の、高温燃料電池において、問題は、スタック(積層電池)からの水素の漏れに関する。
【0004】
水素の存在は、特定の状況下で発火又は爆発に導き得る、電気の高温点(ホットポイント)及び電源により、重大なリスク要因である。
【0005】
従って、その様なリスクが、特に航空分野において容認可能ではないこと、更にその結果、水素の漏れを改善するために燃料電池のための安全システムを開発する必要があることは容易に理解可能である。
【0006】
現在において、使用される解決法は、燃料電池が配置された区域を換気して周囲環境内への水素の任意の漏れを希釈すること、あるいは水素漏れを検出する場合において、窒素等の不活性ガスにより掃除することができる、システムに結合された、水素検出器を有することにより構成される。
【0007】
それにもかかわらず、これらの解決案は、燃料電池を受容可能である場所を、航空機の特定の区域及び特にはキャビン(機室)の外側の区域に制限するという点において、あまり満足できるものではない。
【0008】
これらの解決案はまた、空気を駆動するために外部ファン(換気扇)を必要とする。残念なことに、ファンの任意の故障はその際、システムを安全にするために、燃料電池を停止させる必要があるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、これらの問題を少なくとも部分的に改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ハウジングに配置された燃料電池を具備する、アセンブリを提案しており、燃料電池は、入口及び陽極出口を有する、陽極と、酸素入口及び陰極出口を有する、陰極と、を具備しており、ハウジングが、密封された囲いを具備しており、密封された囲いにおいて燃料電池が配置されており、更に燃料電池は、燃料電池により吐出されたガスが、密封された囲い内に放出されて、密封された囲いの内部において酸素枯渇空気の過剰圧力を発生させるような状態で構成されることを、アセンブリは特徴とする。
【0011】
特定の実施の形態において、アセンブリは、密封された囲いの内部に配置されていて且つ陰極出口に接続される、凝縮器を更に具備しており、凝縮器は、陰極出口からの水を集め且つハウジングの外部に水を排出するように構成されており、その際、陰極出口からの空気が、ハウジングの密封された囲い内に排出される。
【0012】
一般的に、ハウジングは、密封された囲い内の最大の圧力を規定するように構成された、定格弁を具備しており、その圧力は、所定の周囲圧力より高い。
【0013】
一例として、陰極の酸素入口は、逆止弁により周囲環境に接続される。
【0014】
一般的に、燃料電池は、陽子交換膜燃料電池である。
【0015】
一般的に、燃料電池は、ハウジングの密封された囲いの外側に配置された、熱交換器を具備する、冷却システムを更に具備する。
【0016】
本発明はまた、周囲圧力で加圧される、航空機の容積内に配置されていて且つ上記で規定される、アセンブリを具備する、航空機を提供する。
【0017】
本発明の別の特徴、目的及び利点は、純粋に例示的且つ非限定的であって且つ添付の図面を参照して読まれるべきである、以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の形態におけるアセンブリの図である。
【
図2】
図2は、その様なアセンブリの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一形態におけるアセンブリ(組立体)1を示す図である。
【0020】
図示のようなアセンブリ1は、燃料電池3を含む、ハウジング2を具備する。
【0021】
ハウジング2は、燃料電池3が配置されていて且つ周囲環境に対して密封された、囲いを形成する。
【0022】
燃料電池3は、入口41及び陽極出口42を有する陽極4と、酸素入口51及び陰極出口52を有する陰極5と、冷却システム6と、を具備する。
【0023】
燃料電池3は一般的に、陽子(プロトン)交換膜燃料電池(PEMFC)と通常呼ばれる、高温陽子交換膜を有する型式のものである。
【0024】
以下の説明において及び例として、陽極4において水素に及び陰極5において酸素に関連する反応を含む、燃料電池を参照する。しかしながら、この説明は、任意の別の型式の燃料電池に、それが酸素を消費するとの前提で、直接的に置き換え可能であり、本発明は従って、単一の型式の燃料に限定されると解釈されるべきではない。
【0025】
燃料電池3の陽極4は、専用の水素供給源から、その水素入口41を介して水素を供給される。陽極4の水素入口41は例えば、逆止弁を介して周囲環境に接続されてもよい。
【0026】
燃料電池3の陰極5は、周囲環境か又は専用の酸素供給源の何れかから空気を取り込むことにより、その酸素入口51を介して酸素を供給される。一例として、陰極5の酸素入口51は、逆止弁により周囲環境に接続されてもよい。
【0027】
図示される冷却システム6は、例えば、ファンに関連する可能性があって且つ従って冷却システム6の熱伝達流体を冷却する、熱交換器61であって、ハウジング2の密封された囲いの外側に配置される、熱交換器61を具備する。
【0028】
PEMFC型の燃料電池3の動作は、周知であるが、しかし非限定的な例として以下に簡単に要約する。
【0029】
水素は、陽極4に導入され、そこで水素は、陽子と電子に分離する。陽子は、燃料電池の膜を通り通過するが、電子は、膜を通過できないので、電子は、特定の回路を使用して、それにより電気を発生する。
【0030】
膜を通過した後に、陽子は陰極5の酸素と反応して水を生成する。
【0031】
図示されるアセンブリ1において、陽極出口42は、もしアセンブリが航空機内において使用されるならば、周囲環境に又は例えば航空機の排出口に接続される。
【0032】
陰極出口52は、陽極4における反応の後に吐出される、ガスが密封された囲いの内容積に注入されるように、ハウジング2の密封された囲いの内容積に接続される。
【0033】
図示の実施の形態において、アセンブリは、陰極5により吐出されたガスから水を分離するように陰極出口52に接続された、凝縮器7を具備する。
【0034】
陰極5により吐出されたガスはその後、ハウジング2の密封された囲い内に注入される一方で、水は周囲環境に、もしアセンブリが航空機内において使用されるならば、例えば航空機の排出口に、排出される。
【0035】
図示された凝縮器7は、例えばファンと関連する可能性があって且つ密封された囲いの外側に配置される、熱交換器71を更に具備しており、それにより、凝縮器7において流れる、熱伝達流体を冷却する。
【0036】
ハウジング2は一般的に、定格弁81を有する出口オリフィス(開口部)8を具備しており、従ってハウジング2の密封された囲い内における最大圧力値を規定する。
【0037】
運転において、燃料電池3は役割を果たす。陽極4は、水素が供給され、陰極5は、例えば、周囲環境から空気を取り込むことにより、酸素が供給される。
【0038】
燃料電池の動作は、電気を生成し、陰極における反応が燃料電池を通過する空気中の酸素の一部を消費する限り、酸素枯渇空気と共に、上述のように水を吐出する。
【0039】
従って、陰極は、その陰極出口52を介して、水と酸素枯渇空気の両方を吐出する。陰極5により吐出された酸素枯渇空気は一般的に、9%未満の酸素含有量を有する。水は凝縮器7により捕捉され、周囲環境に排出される一方で、酸素枯渇空気は、ハウジング2の密封された囲い内に排出される。
【0040】
陽極出口42は、周囲環境に接続され、従って、もしアセンブリが航空機内で使用されるならば、航空機からガスを排出するために、周囲環境又はドレイン(排水路)に、陽極4を離れる、ガスを排出する。
【0041】
ハウジング2の密封された囲いは従って、陰極5により吐出される、酸素枯渇空気により漸次充填され、それにより、密封された囲い内部の圧力を定格弁81により規定される閾値まで上昇させており、その閾値を超えると、過剰空気は、定格弁81を介して周囲環境に排出される。
【0042】
密封された囲いは従って、実質的に不活性な酸素枯渇空気により漸次充填される。
【0043】
図2は、これらの動作手順を示す、図である。
【0044】
試験は、10%未満の又は実際には9%未満の酸素含有量を有するように酸素枯渇空気によりこの様に充填された容積において、燃料電池3からの水素の可能性のある漏れを発火させることが可能ではないことを示している。
【0045】
従って、提案されたアセンブリ1は、燃料電池3が動作中に不活性になる、内容積に燃料電池3を設置することにより、燃料電池3を安全にすることを可能にする。
【0046】
提案されたアセンブリ1の動作はまた、受動的な動作である。アセンブリ1は、専用の換気システムを必要とせず、また、アセンブリ1は、故障の際に燃料電池を停止させることを必要とするセンサをも必要としない。
【0047】
従って、提案されたアセンブリ1は、航空機において信頼可能に使用可能である。アセンブリ1は、圧力が一般的に約80kPa(0.8バール)に維持される、航空機の加圧領域内に配置されてもよい。定格弁81はその際一般的に、ハウジング2の密封された囲いの内容積内において100kPa(1バール)の最大圧力を規定して、燃料電池3の動作中に、ハウジング2の密封された囲い内部において不活性空気の過剰圧力を確立する。
【国際調査報告】