特表2017-532988(P2017-532988A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-532988歯の仮想モデル基部のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-532988(P2017-532988A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】歯の仮想モデル基部のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/04 20060101AFI20171013BHJP
   A61B 1/24 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   A61C19/04 Z
   A61B1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-509031(P2017-509031)
(86)(22)【出願日】2015年8月28日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】IB2015001840
(87)【国際公開番号】WO2016030754
(87)【国際公開日】20160303
(31)【優先権主張番号】62/043,732
(32)【優先日】2014年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】507224587
【氏名又は名称】ケアストリーム ヘルス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイナール デルフィーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アンリ セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カプロン−リシャール サブリナ
【テーマコード(参考)】
4C052
4C161
【Fターム(参考)】
4C052NN02
4C052NN03
4C052NN04
4C161AA08
4C161BB06
(57)【要約】
方法及び/又は装置の実施形態は、仮想歯列矯正基部を提供することができ、歯(例えば、上下の顎)のそれぞれの仮想三次元歯モデルに適合する。仮想歯列矯正基部は、各三次元モデル(例えば、サイズ)と一致する必要があり、所定の寸法要件に準拠する必要があり、なおかつ高速に算出される必要がある。三次元の仮想歯モデルは、(例えば、患者の歯列の石膏製のネガティブ歯型(例えば、アルギン酸塩又はケイ素)のレーザー走査、口腔内カメラ走査若しくはX線走査に基づいて、又は直接的に患者の口に対するそのような走査に基づいて)提供され、又は復元され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実装される、患者の歯列のデジタルモデルからデジタルモデル基部を作成する方法であって、
選択された仮想基部型の複数の所定寸法から最初の仮想基部を形成するステップと、
前記患者の歯列の三次元デジタルモデルを取得するステップと、
前記患者の歯列の前記三次元デジタルモデルの境界寸法を決定するステップと、
前記境界寸法に基づいて前記最初の仮想基部の第1の変形を実行するステップと、
前記変形された仮想基部の第2の変形を局所的な基準に基づいて実行して前記デジタルモデル基部を形成するステップと、
少なくとも1つの仮想モデル基部を表示し、記憶し、又は送信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記選択された仮想基部型は、規制された仮想基部型であるか、又は米国歯科矯正学委員会の規制に準拠する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記境界寸法は、上歯列弓の部分、下歯列弓の部分、又は咬合状態の前記上歯列弓と前記下歯列弓の両方のうちの少なくとも1つの三次元境界ボックスを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
選択された仮想基部型の前記複数の所定寸法は、(i)後方角の側面である少なくとも1つの一対の側面の傾斜面の長さ、(ii)裏面に対する前記後方角の側面の角度、(iii)前面である第2の一対の側面の前記裏面からの直交線に対する角度、上顎の仮想基部の上面から下顎の仮想基部の底面までの距離並びに前記上顎の仮想基部及び前記下顎の仮想基部の高さ制限を含む高さの範囲、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記最初の仮想基部の前記第1の変形は、前記最初の仮想基部を前から後ろの深さ寸法及び左から右の幅寸法で拡大縮小する全体変形を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上顎の仮想基部は、裏面の周辺部、前記裏面の両端にある一対の傾斜背面、前記裏面に対向する一対の前面、及び前記前面を前記背面に接続する一対の中間面を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
下顎の仮想基部は、裏面の周辺部、前記裏面の両端にある一対の傾斜背面、前記裏面に対向する一対の中間面、及び前記中間面のそれぞれの第1端部にそれぞれ接続された一対の中間面、及び前記中間面の第2端部にそれぞれ接続された曲線状の前面を備え、前記曲線状の前面は円弧を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記変形された仮想基部の前記第2の変形の前記局所的な基準は、前記仮想基部の背面、中間面及び前面のそれぞれにおける選択点の局所的な移動を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
歯の小帯が、上顎の仮想基部及び下顎の仮想基部に表される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
オペレータの命令が、前記仮想モデル基部の一部を調節することができる、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
zスケール変位及び局所的なxy変位に従って前記仮想モデル基部の表面の各点を調節することを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータによって実装される、患者の歯列のデジタルモデルからデジタルモデル基部を作成する方法であって、
選択された仮想基部型の複数の所定寸法を取得するステップと、
前記患者の歯列の三次元デジタルモデルを取得するステップと、
前記患者の歯列の前記三次元デジタルモデルの境界寸法を決定するステップと、
前記患者の歯列の前記三次元デジタルモデルの前記複数の所定寸法及び前記境界寸法から前記デジタルモデル基部を自動的に形成するステップと、
前記患者の歯列の前記三次元デジタルモデルと共に少なくとも1つの仮想モデル基部を表示し、記憶し、又は送信するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記仮想モデル基部は米国歯科矯正学委員会の規制に準拠する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記境界寸法は、上歯列弓の部分、下歯列弓の部分、又は咬合状態の前記上歯列弓と前記下歯列弓の両方のうちの少なくとも1つの三次元境界ボックスを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
選択された仮想基部型の前記複数の所定寸法は、(i)後方角の側面である少なくとも1つの一対の側面の傾斜面の長さ、(ii)裏面に対する前記後方角の側面の角度、(iii)前面である第2の一対の側面の前記裏面からの直交線に対する角度、上顎の仮想基部の上面から下顎の仮想基部の底面までの距離並びに前記上顎の仮想基部及び前記下顎の仮想基部の高さ制限を含む高さの範囲、のうちの少なくとも2つを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
選択された仮想基部型の複数の所定寸法を取得する手段と、
患者の歯列の三次元デジタルモデルを取得する手段と、
前記患者の歯列の前記三次元デジタルモデルの境界寸法を決定する手段と、
前記患者の歯列の前記三次元デジタルモデルの前記複数の所定寸法及び前記境界寸法からデジタルモデル基部を形成する手段と、
前記患者の歯列の前記三次元デジタルモデルと共に少なくとも1つの仮想モデル基部を表示し、記憶し、又は送信する手段と、
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として歯の診断撮像の分野に関し、より詳細には、三次元歯モデルを位置決めするための患者の歯列及び三次元基部の三次元撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想歯モデルは、(例えば、患者の歯列の石膏製のネガティブ歯型(例えば、アルギン酸塩又はケイ素)に対するレーザー走査若しくは口腔内カメラ走査に基づいて、又は直接的に患者の口に対するそのような走査に基づいて)受け取られるか、提供されるか、又は復元される。仮想歯モデルは、患者の歯の石膏モデル又はネガティブ歯型に対するX線走査に基づいて取得することもできる。仮想モデルは、仮想基部に配置される。しかしながら、仮想歯基部モデルを作成するための方法及び/又は装置を改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願の態様は、特に歯科用途のために、医用診断処置の技術を発展させることである。
【0004】
本出願の別の態様は、全部にせよ一部にせよ、従来技術における前述の不備及び他の不備に少なくとも対処することである。
【0005】
本出願の別の態様は、全部にせよ一部にせよ、本明細書に記載された利点を少なくとも提供することである。
【0006】
本出願の装置及び/又は方法の実施形態によって提供される利点は、反復可能に、ばらつきなく、かつ/又は正確に歯の仮想モデルを位置決めすることに関する。
【0007】
本出願の装置及び/又は方法の実施形態によって提供される別の利点は、歯の仮想モデルの基部を仮想的に定義することに関する。
【0008】
本出願の装置及び/又は方法の実施形態によって提供される別の利点は、歯の規制要件仕様に従って患者の歯の仮想モデルをばらつきなく位置決めすることに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、患者の歯列のデジタルモデルからデジタルモデル基部を作成する方法が提供される。この方法は、選択された仮想基部型の複数の所定寸法を取得することと、患者の歯列の三次元デジタルモデルを取得することと、患者の歯列の三次元デジタルモデルの境界寸法を決定することと、患者の歯列の三次元デジタルモデルの複数の所定寸法及び境界寸法からデジタルモデル基部を自動的に形成することと、患者の歯列の三次元デジタルモデルと共に少なくとも1つの仮想モデル基部を表示し、記憶し、又は送信することと、を含むことができる。
【0010】
これらの対象は、説明のための例によってのみ与えられ、かかる対象は、本発明の1つ以上の実施形態の例示であり得る。によって本質的に実現される他の望ましい目的及び利点は、当業者にとって想起され得るか、又は明らかとなり得る。本発明は、添付された特許請求の範囲によって定められる。
【0011】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面に示されるように、本発明の実施形態の以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0012】
各図面の要素は、互いに対して必ずしも縮尺通りとは限らない。基本的な構造関係又は動作原理を強調するために、多少の誇張が必要となる場合がある。電力の供給、パッケージング、並びにX線システム構成要素の実装及び保護に使用される支援構成要素などの、記載された実施形態の実装に必要となるいくつかの従来の構成要素は、例えば、説明を簡単にするために図面には示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】患者の歯及び関連構造の表面輪郭撮像を行うための撮像装置の構成要素を示す概略図である。
図2】パターン化された光をどのように使用して携帯カメラ又は他の可搬型撮像装置を用いて表面輪郭情報を取得するかを模式的に示す図である。
図3】複数本の光を有するパターンを用いた表面撮像の一例を示す図である。
図4図3に示したものなどの構造化光撮像から作成された点群を示す図である。
図5】ポリゴンメッシュを単純な形の三角形メッシュで示す図である。
図6】本出願に従って仮想歯基部を作成するための例示的な方法の実施形態を示す論理フロー図である。
図7a】例示的な仮想歯基部モデルの実施形態の斜視図、平面図及び側面図を示す図である。
図7b】例示的な仮想歯基部モデルの実施形態の斜視図、平面図及び側面図を示す図である。
図7c】例示的な仮想歯基部モデルの実施形態の斜視図、平面図及び側面図を示す図である。
図7d】例示的な仮想歯基部モデルの実施形態の斜視図、平面図及び側面図を示す図である。
図7e】例示的な仮想歯基部モデルの実施形態の斜視図、平面図及び側面図を示す図である。
図8】三次元歯モデルを囲む例示的な境界寸法を示す図である。
図9】仮想基部モデルの実施形態に適用される例示的なサイズ設定を示す図である。
図10】仮想基部モデルの実施形態に適用される例示的な全体変形を示す図である。
図11】仮想基部モデルの実施形態に適用される例示的な局所変形を示す図である。
図12】仮想基部モデルを決定する実施形態のための例示的なパラメータを示す図である。
図13】ポリゴンメッシュを含む例示的な仮想基部モデルを示す図である。
図14】例示的な仮想基部モデルの実施形態に従った局所的な移動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、例示的な実施形態について説明する。これらの図面では、同一の参照番号により、いくつかの図面のそれぞれにおける構造の同一の要素が識別される。
【0015】
「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語が使用される場合、それらは、任意の序数関係又は優先関係を必ずしも表すものではなく、ある要素又は時間間隔を別の要素又は時間間隔とより明確に区別するために使用され得る。
【0016】
本出願で使用される場合、用語「信号通信で(in signal communication)」は、2つ以上の装置及び/又は構成要素が、いくつかの種類の信号経路を伝わる信号を経由して相互に通信可能であることを意味する。信号通信は有線であっても良く、又は無線であっても良い。信号は、通信信号、電力信号、データ信号又はエネルギー信号であっても良い。これらの信号は、情報、電力及び/又はエネルギーを、第1の装置及び/又は構成要素から第2の装置及び/又は構成要素に、第1の装置及び/又は構成要素と第2の装置及び/又は構成要素との間の信号経路に沿って伝達しても良い。信号経路は、第1の装置及び/又は構成要素と第2の装置及び/又は構成要素との間の物理的接続、電気的接続、磁気的接続、電磁的接続、光学的接続、有線接続及び/又は無線接続を含み得る。信号経路は、また、第1の装置及び/又は構成要素と第2の装置及び/又は構成要素との間に、別の装置及び/又は構成要素を含み得る。
【0017】
本開示の文脈において、用語「画素(pixel)」及び「ボクセル(voxel)」は、個々のデジタル画像データ要素、すなわち、測定された画像信号の強度を表す単一の値を記載するために同義的に使用されても良い。従来、個々のデジタル画像データ要素は、三次元画像又はボリューム画像の場合にはボクセルと呼ばれ、二次元(2D)画像の場合には画素と呼ばれる。本明細書では説明のために、用語のボクセルと画素とは、実質的に同等であるとみなすことができ、数値の範囲をとることが可能な、画像の基本データを表す。ボクセルと画素は、空間的な位置と画像データの符号値との両方の属性を有する。
【0018】
「パターン化された光(patterned light)」は、所定の空間パターンを有する光を示すために使用され、それにより、光が、1つ以上の形状を有するようになる。このような形状としては、1つ以上の識別可能な平行線、曲線、格子若しくは市松模様パターン、又は照射されない領域によって隔てられた光の領域を有する他の形状などがある。本開示の文脈において、語句「パターン化された光(patterned light)」と「構造化光(structured light)」は、同等であるとみなされ、いずれも、輪郭画像データを得るために患者の頭部に投影される光を識別するために使用される。
【0019】
本開示の文脈において、用語「観察者(viewer)」、「オペレータ(operator)」及び「ユーザー(user)」は、同等であるとみなされ、観察中の施術者、技師又は他の人物を指す。これらの人物は、複数の構造化光画像の組み合わせから形成された輪郭画像をディスプレイモニタ上で観察及び操作する。
【0020】
「観察者の命令(viewer instruction)」、「オペレータの命令(operator instruction)」又は「オペレータのコマンド(operator command)」は、観察者によって入力された明示的なコマンドから取得することが可能であり、あるいは、例えば、機器の設定を作成するなどの、いくつかの他のユーザーの行為に基づいて暗黙的に取得又は導出されても良い。例えば、ディスプレイモニタやキーボードを用いたインターフェースなどのオペレータ・インターフェース上で入力されたエントリに関して、用語「コマンド(command)」と「命令(instruction)」は、オペレータの入力を参照するために同義的に使用されても良い。
【0021】
本開示の文脈において、1本の光の投影線は、「一次元(one dimensional)」パターンとみなされる。これは、当該線は、ラインレーザーから投影されるときなどには、ほぼ無視できる幅であり、支配的な寸法の長さを有するためである。同時に、又は走査される構成で、並行して投影された2本以上のかかる線は、二次元パターンを提供する。例示的な実施形態において、光の線は、直線、曲線、又は三次元とすることができる。
【0022】
用語「三次元モデル(3−D model)」、「点群(point cloud)」、「三次元表面(3−D surface)」及び「メッシュ(mesh)」は、本開示の文脈において同義的に使用されても良い。高密度の点群は、点群を形成するためのボリューム撮像技術の当業者にとって公知の技術を用いて形成され、表面形状に対応する頂点を点群から識別する方法に実質的に関連する。従って、高密度の点群は、復元された輪郭データを用いて1つ以上の反射率画像から作成される。高密度の点群の情報は、歯及び歯茎の表面のための高密度のポリゴンモデルの基礎として機能する。
【0023】
本出願に係る装置及び/又は方法の実施形態は、歯の仮想モデルの基部を仮想的に定義して、当該基部に対して仮想歯モデルを反復可能に、正確に、かつ/又は高速に方向付けることを容易にすることを目的とする。ある例示的な実施形態では、患者の歯列の三次元デジタルモデルの複数の所定寸法及び境界寸法からデジタルモデル基部を自動的に形成することができる。仮想歯モデルの1つの例示的な利用は、歯列矯正治療における仮想記憶目的のためである。
【0024】
仮想歯モデルは、(例えば、患者の歯列の石膏製のネガティブ歯型(例えば、アルギン酸塩若しくはケイ素)に対するレーザー走査若しくは口腔内カメラ走査に基づいて、又は直接的に患者の口に対するそのような走査に基づいて)受け取られるか、提供されるか、又は復元される。仮想歯モデルは、患者の歯の石膏モデル又はネガティブ歯型に対するX線走査に基づいて取得することもできる。従って、仮想歯モデルは、口腔内又は口腔外を走査する装置/方法を用いて取得することができる。仮想歯モデルは、仮想基部又は仮想基部モデルに配置することができる。この仮想歯モデルの1つの例示的な利用は、歯列矯正治療における仮想記憶目的のためである。
【0025】
一実施形態において、患者の歯列の仮想歯モデルは、口腔内スキャナから取得することができる。
【0026】
図1は、構造化光パターン46を用いて投影及び撮像するための撮像装置70を示す概略図である。撮像装置70は、本開示の実施形態に従って画像を獲得するために携帯カメラ24を使用する。制御論理プロセッサ80、又は、カメラ24の一部であっても良い他の種類のコンピュータは、構造化光を生成する照明アレイ10の動作を制御し、撮像センサアレイ30の動作を制御する。歯22からなどの、表面20からの画像データは、撮像センサアレイ30から取得され、メモリ72に記憶される。制御論理プロセッサ80は、画像を獲得するカメラ24の構成要素との信号通信で、受信した画像データを処理することができ、メモリ72にマッピングを記憶させる。次いで、メモリ72からの結果画像を、必要に応じてディスプレイ74にレンダリングし、表示する。メモリ72は、ディスプレイ74の画像内容を一時的に記憶するための表示バッファを含んでも良い。制御論理プロセッサ80は、別個のディスプレイ及びユーザー入力機能を備えたスタンドアロンのコンピュータ又はワークステーションの一部とすることができる。制御論理プロセッサ80は、カメラ24に対して遠隔に位置することができる。
【0027】
表面のフリンジ投影撮像では、複数本の線からなるパターンが、所与の角度から対象物の表面に向かって照明アレイ10から投影される。次いで、表面からの投影パターンを別の角度から輪郭画像として観察し、輪郭線の様相に基づいて表面情報の分析を行うために三角測量を利用する。位相シフトは、投影パターンを空間的に少しずつシフトさせることによって新たな位置で別の測定値を取得するためのものであり、通常はフリンジ投影撮像の一部として施され、表面の輪郭マッピングを完成させて輪郭画像の全体的な解像度を向上させるために使用される。
【0028】
図2の概略図は、1本の光Lの例により、パターン化された光をどのように使用して携帯カメラ又は他の可搬型撮像装置を用いて表面輪郭情報を取得するかを示す図である。照明アレイ10が光のパターンを表面20に導くときにマッピングが取得され、撮像センサアレイ30に線L’の対応画像が形成される。撮像センサアレイ30の各画素32は、表面20による変調に応じて、照明アレイ10の対応画素12にマッピングされる。図2に表されるように、画素位置をシフトすることにより、表面20の輪郭に関する有用な情報が得られる。図2に示した基本的なパターンは、様々な照明源及びシーケンスを用いて、更には1つ以上の異なる種類のセンサアレイ30を用いて、多くの方法で実現可能であることを認めることができる。照明アレイ10は、光変調に使用される多くの種類のアレイのいずれかを利用することができる。このようなアレイとしては、テキサス・インスツルメンツ(ダラス、テキサス州)のDigital Light Processor又はDLPデバイスを用いて提供されるものなどの、液晶アレイ又はデジタルマイクロミラーアレイなどがある。この種の空間光変調器を照射経路に使用して、マッピングシーケンスに必要とされる光パターンを変化させる。
【0029】
図1及び2に示した配置を複数回繰り返す構造化光パターンを表示する画像を投影し、取り込むことにより、撮像対象物の多くの表面点が、カメラの輪郭線の画像によって同時に位置付けられる。これにより、対象物の外面の一部又は全部に光の平面を「描く」ために光の平面を(更には、通常は受信カメラも)横方向に移動させつつ、多くの標本点の収集工程を高速化することができる。
【0030】
図3は、複数本の光を有するパターンを用いた表面撮像を示す図である。線パターンを少しずつシフトすること及び他の技術は、表面に沿った急峻な変化から生じ得る誤差及び不明瞭さを補償するのに役立つが、それにより、投影された各線に対応する部分を明確に識別することが困難となり得る。図3では、例えば、線分16が線分18又は隣接する線分19と同じ照明線に由来するかどうかを判定することが困難となり得る。
【0031】
画像を獲得したときに対象物と相対的な座標系の範囲内でカメラの瞬時位置及び光の線の瞬時位置を知ることにより、コンピュータ及びソフトウェアは、三角測量法を使用して照明先の多くの表面点の座標を計算することができる。平面が移動されて対象物の表面の一部又は全部と最終的に交差すると、ますます多くの点の座標が蓄積される。この画像獲得の結果、ボリューム内で表面の範囲を表すために、頂点位置又は頂点の点群を識別し、使用することができる。一例として、図4は、図3に示したものなどのパターン化された照明からの結果を用いて、構造化光撮像装置であるケアストリームヘルス社(米国、ニューヨーク州、ロチェスター)製のCS 3500三次元カメラから作成された高密度の点群50を示す図である。点群50は、歯の表面及び他の口腔内表面における標本点の物理的位置、又はより一般的には、現実世界の対象物の表面の物理的位置をモデル化したものである。様々な解像度を得ることができる。図4の例は、例示的な100ミクロンの解像度を示している。点群の位置は、対象物の三次元表面における実際の測定点を表す。
【0032】
表面構造は、ポリゴンメッシュを形成することによって点群表現から近似することができる。このとき、隣接する頂点が線分によって接続される。ある頂点に対し、それに隣接する頂点は、ユークリッド距離に換算して当該頂点に最も近い頂点である。
【0033】
一例として、図5は、(例えば、患者の歯列の)三次元ポリゴンメッシュモデル60を単純な形の三角形メッシュで示す図である。三角形メッシュは、隣接する境界を共有する三角形平面部分の形で、基本的なメッシュ構造を形成する。このメッシュ構造は、点群から作成することができ、三次元対象物をその近似的な表面形状によって表すデジタルモデルとして使用することができる。三角形メッシュ又はより複雑なメッシュ構造などのポリゴンメッシュモデルを形成する方法/装置は、輪郭撮像技術の当業者にとって周知である。
【0034】
図6の論理フロー図は、本開示に従って仮想歯基部を作成する(例えば、歯列矯正の基部モデル)ための例示的な方法の実施形態を示す図である。復元された三次元の仮想歯モデルから始まって、ある例示的な方法及び/又は装置の実施形態では、この仮想歯モデル(復元された仮想歯モデル)の基部を仮想的に処理する。仮想歯モデルは、規制要件(例えば、米国歯科矯正学委員会(American Board of Orthodontics:ABO)の方針)を考慮又は遵守して、仮想歯列矯正基部に表示されることが必要とされ得るか、又は必要とされる。本明細書におけるある例示的な仮想基部の実施形態は、少なくとも仮想歯モデルのサイズに適合する。
【0035】
図6に示すように、仮想基部の要件ステップS600において、規則に関する複数の仮想基部の要件を取得することができる。本明細書におけるいくつかの例示的な仮想基部の実施形態は、米国歯科矯正学委員会(ABO)の仮想歯列矯正基部の規制要件を少なくとも遵守する。例えば、本明細書におけるある例示的な仮想基部の実施形態は、少なくとも以下の規則を遵守する。
基部(b)の後方角における傾斜面の長さは13.0mmである。
指定角度は、65.0°である(例えば、全ての面の方向が、規制当局によって課される)。
基部の最小高さは13.0mmである。
上顎基部と下顎基部の間の距離は、60.0〜70.0mmの間に含まれる。
しかしながら、本出願の実施形態は、そのように制限されることを意図するものではない。これは、代替的な実施形態において、このような例示的な歯の仮想基部の実施形態が別の規則、つまり種々の規則に従うことができるためである。
【0036】
図7aは、本出願に係る例示的な仮想歯基部モデルの実施形態(例えば、上顎弓及び/又は下顎弓)の透視図を示す図である。図7aに示すように、例示的な仮想歯基部モデルの実施形態700は、本出願によると上部及び/又は下部(例えば、上顎弓及び/又は下顎弓)を含むことができる。下部750と上部760の間の第1距離707は、好ましくは第1の所定範囲の間にあり、そのため、モデル700の高さは、所定の高さ範囲708の間にある。
【0037】
図7bは、本出願に係る仮想歯基部モデルの実施形態(例えば、上顎弓)のための例示的なフットプリントの平面図を示す図である。図7cは、本出願に係る図7bの例示的な仮想歯基部モデルの実施形態の断面図を示す図である。図7bに示すように、仮想基部750の傾斜面702は所定の長さを有し、選択された角度704によって所定の弓形が形成される。図7cに示すように、仮想基部700の上部750(又は下部760)は、所定の高さ706(例えば、最小高さ)よりも高い。
【0038】
図7cは、本出願に係る例示的な仮想歯基部モデルの実施形態(例えば、上顎弓及び/又は下顎弓)の透視図を示す図である。図7cに示すように、下部及び/又は上部750、760の間の距離708は、所定範囲内にある。
【0039】
図7dは、本出願に係る仮想歯基部モデルの実施形態(例えば、下顎弓)のための例示的なフットプリントの平面図を示す図である。図7eは、本出願に係る例示的な仮想歯基部モデルの実施形態(例えば、下顎弓)の断面図を示す図である。図7dに示すように、仮想基部700の傾斜面702は所定の長さを有し、選択された角度704によって所定の弓形が形成される。図7eに示すように、仮想基部700の上部及び/又は下部750、760は、所定の高さ706よりも高い。図7dの例示的な実施形態では、下顎基部760は、上顎基部と同じ規則を有することができるが、曲線形状(例えば、円形)を前面に有することができる。一実施形態では、角度704を65度とすることができ、所定の高さの閾値706を13mmとすることができ、長さ702を13mmとすることができる。
【0040】
歯の小帯(又は小帯)は、唇と歯茎の間にある皮膚の小さなひだである。ある例示的な実施形態において、小帯は、仮想基部の表面上の小さなピークとして表すことができる。図7a〜7eに示すように、基部の右側と左側において、歯の小帯720を見ることができる。一実施形態では、角度704を65度とすることができ、長さ702を13mmとすることができる。
【0041】
次いで、歯の三次元モデルを取得するステップS610は、患者の歯列の三次元デジタルモデルを入力する。本明細書で説明したように、患者の歯列の三次元デジタルモデルを、(例えば、口腔外技術又は口腔内技術を用いて)当業者に知られているように取得することができる。患者の歯列の三次元デジタルモデルの境界寸法を決定するステップS620は、患者の歯列の三次元デジタルモデルを囲む三次元エンクロージャを決定することができる。図8に示すように、三次元境界ボックス810は、患者の歯列の三次元デジタルモデル820を囲むように決定される。図8において、境界ボックス810は、上歯列弓モデルと下歯列弓モデルの両方を囲む寸法を有する二次元の長方形として示される。ある例示的な実施形態において、境界ボックス810は、咬合位又は咬合関係にある上下の歯列弓モデルを囲むことができる。
【0042】
次いで、変形ステップS630は、仮想基部モデルを好ましくは自動的に作成することができる。ある例示的な実施形態において、変形ステップS630は、境界寸法及び局所的な基準に基づいた全体変形及び局所変形を含むことができる。上顎基部及び下顎基部の寸法(例えば、面の高さ及び長さ、並びに咬合状態に合わせられた両方のモデル750、760の全高(及び、必要に応じて小帯の位置))は、上顎及び下顎の復元後の仮想歯モデルのサイズ及び形状に好ましくは自動的に適合する。図9に示すように、(例えば、上顎及び下顎の)全体的な歯モデルの三次元境界ボックス810から、最初の所望の又は最適なサイズを、1つ以上の仮想基部750、760に対して決定することができる。次いで、最初の仮想基部のサイズに対し、仮想基部を全体として調節する全体変形を施すことができる。
【0043】
ある例示的な実施形態によって提供される全体変形は、(i)最適距離(例えば、必要な高さ)に配置されるように各面を変形すること、及び/又は(ii)前から底面に、かつ右から左に全体的に拡大縮小することを含む。図10は、最初にサイズ設定した仮想基部モデルに適用される例示的な全体変形を示す図である。1つの例示的な実施形態では、最初の仮想基部(複数可)を自動的に歪ませて、選択されたサイズを有するようにすることができる。このサイズは、現在の審美的基準及び/又は現在の慣例に対応して、患者の歯の実際の石膏に対するモデル基部を定義することができるようになっている。別の例示的な実施形態では、いくつかの手動入力を検討又は使用することもできる。ステップS730において、全体的に変形させた仮想基部モデルに対し、次いで、局所変形を施すことができる。一実施形態において、例示的な局所変形は、部分単位(例えば、背面、中間面及び前面)で実行することができる。ある例示的な実施形態によって提供される局所変形は、仮想基部の主要な、又は本来の各点(例えば、角、前面の点、小帯など)を局所的に移動することを含む。図11は、全体的に変形させた仮想基部モデルに適用される例示的な局所変形を示す図である。図11に示すように、各部分について、次いで、図示した矢に沿って基部の局所的な高さを変えることにより、全体的に変形させた基部の高さを局所的に適合させることができる。
【0044】
次いで、表示ステップS630は、仮想歯モデルに組み付けられた最終的な仮想基部モデルを好ましくは表示することができる。本出願の例示的な方法及び装置の実施形態に係る最終的な仮想基部モデルは、所定の要件を依然として守る(例えば、ABOによって定義された要件の基準を遵守する)。あるいは、最終的な仮想基部モデルを記憶又は送信して使用することができる。
【0045】
パラメトリックな仮想基部の例示的な定義
仮想基部モデルを決定する実施形態のための例示的なパラメータを図12に示す。1つの例示的な工程の実施形態において、仮想動的基部1200は、式(1)に示した以下のアルゴリズム的関係により、完全にパラメトリックに決定することができる。
d=[(a+a’)tanβ−h]/q
c=(a+a’)/q+h[1/sinβ−1/(qtanβ)]−b 式(1)
式中、
q=sinβtanβ−cosβ
a’=bsqrt(2−2cosβ)
【0046】
あるスケールを仮想動的基部1200に適用した場合(例えば、X=Sのスケール値かつY=Sのスケール値)、様々な長さが以下の式(2)として変化する。
Δa=(S−1.0)
Δb=0.0
Δ=(S−1.0)
Δ=Δatanβ/q−Δ/q
Δ=√[ΔΔ+ΔΔ−2ΔΔcosβ] 式(2)
【0047】
好ましくは、仮想基部モデルは、同一のメッシュではない。ある例示的な実施形態において、仮想基部モデル1200は、いくつかの点及び三角形を含む。図13は、仮想基部モデル1200を形成する例示的なポリゴン(例えば、三角形)メッシュを示す図である。
【0048】
基部の各点P(P,P,P)について、図13に示すように、位置を定めることができる。この位置は、a、h、c、d、b及びβにのみ依存し、そのため、a、h、b及びβにのみ依存する(c及びdが、a、h、b及びβにのみ依存するためである)。スケールが適用されると、次いで、点Pの新たな位置は、以下の式(3)となる。
P’=P+wΔX+wΔ+wΔ 式(3)
(Py>−bsinβ)の場合、
=0.0かつw=0.0
(−(b+c)sinβ<Py<−bsinβ)の場合、
=0.0
(Py<−(b+c)sinβ)の場合、
=1.0
Pxが正又は負である場合、ベクトルVとVは異なる。従って、基部に施された(例えば、全体的又は局所的な)歪みに応じて仮想基部モデルの各点の歪みを求めることができる。
【0049】
図14は、例示的な仮想基部モデルの実施形態に従った局所的な移動を示す図である。図14に示すように、局所的な移動(例えば、局所的なzスケール及び局所的なxy変位)の場合、xyの局所的な変位は、点が配置される部分に沿ってのみ行うことができる。例えば、前面の右端部にPが属している場合、Pは、ベクトルVに沿ってのみ移動することができる。局所的なzスケールの場合、垂直面に属している点は、関連する端部及び底部の点までの距離に従って移動することができる。
【0050】
本出願に係るある例示的な方法及び/又は装置の実施形態では、歯の仮想モデルの基部を仮想的に定義することができる。本出願に係る例示的な実施形態は、本明細書に記載された各種の特徴を(個別に又は組み合わせて)含むことができる。図6に図示した例示的な方法の実施形態は、スタンドアロンのコンピュータ、ワークステーションなど、又は、歯の撮像装置/歯のX線システムに不可欠な同様のプロセッサ若しくは制御論理プロセッサによって実行され得るが、図6の方法の実施形態は、それらによって限定されることを意図するものではない。
【0051】
ある例示的な実施形態において、式(1)〜(3)によって決定されるなどの、仮想基部モデルを決定するためのパラメータは、全部にせよ一部にせよ、ステップS630を実装するために使用することができるが、図6の方法の実施形態は、それらによって限定されることを意図するものではない。
【0052】
ある例示的な実施形態では、個別化されたデジタルモデルの基部を、各患者について、上述した各患者の歯列の三次元デジタルモデルの複数の所定寸法及び境界寸法から形成することができる。ある例示的な方法及び/又は装置の実施形態では、ABOの規定及び/又は施行後の規制当局の要件に依然として準拠する、個人化されたデジタルモデルの基部(例えば、歯列モデル)を各患者について形成することができる。
【0053】
本開示の一実施形態に合わせて、本開示は、記憶される命令を含むコンピュータプログラムを利用する。この命令は、電子メモリからアクセスされる画像データに作用する。画像処理技術の当業者によって理解され得るように、本出願の実施形態のコンピュータプログラムは、パーソナルコンピュータ又はワークステーションなどの、適切な汎用コンピュータシステムによって利用することができる。しかしながら、ネットワーク化された処理装置を含む、多くの他の種類のコンピュータシステムを使用して、本出願のコンピュータプログラムを実行することができる。本出願の方法を実行するコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されても良い。この媒体は、例えば、ハードドライブ若しくはリムーバブル装置などの磁気ディスク若しくは磁気テープなどの磁気記憶媒体、光学ディスク、光学テープ若しくは機械可読バーコードなどの光学記憶媒体、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)若しくはリードオンリーメモリ(read only memory:ROM)などの固体電子記憶装置、又はコンピュータプログラムを記憶するのに用いられるその他の物理的な装置若しくは媒体を含んでも良い。本出願の方法を実行するコンピュータプログラムは、インターネット又は他の通信媒体を介して画像処理装置に接続されているコンピュータ可読記憶媒体に記憶されても良い。当業者は、かかるコンピュータプログラム製品の均等物をハードウェアで構成しても良いことを容易に理解するであろう。
【0054】
用語「メモリ(memory)」は、本出願の文脈において「コンピュータアクセス可能なメモリ(computer−accessible memory)」と同等であり、例えば、データベースを含む、画像データの記憶及び処理に使用され、かつコンピュータシステムにとってアクセス可能である任意の種類の一時的又はより永続的なデータ記憶装置の作業空間を指すことができることに留意すべきである。メモリは、例えば、磁気記憶装置又は光学記憶装置などの長期記憶媒体を用いて、不揮発性とすることが可能である。あるいは、メモリは、マイクロプロセッサ又は他の制御論理プロセッサ装置によって一時的なバッファ又は作業空間として用いられるランダムアクセスメモリ(RAM)などの電子回路を用いて、より揮発的な性質を有することも可能である。画像を表示するには、メモリ記憶装置が必要である。表示データは、例えば、一時記憶バッファに記憶されることが多い。この一時記憶バッファは、表示装置に直結され、表示データを提供するために必要に応じて定期的にリフレッシュされる。この一時記憶バッファは、本用語を本出願で使用する場合にはメモリとみなすこともできる。メモリは、計算及び他の処理の中間結果及び最終結果を実行及び記憶するためのデータ用作業空間としても使用される。コンピュータアクセス可能なメモリは、揮発性、不揮発性、又は揮発型と不揮発型との混合の組み合わせとすることができる。
【0055】
本出願のコンピュータプログラム製品は、周知の様々な画像操作アルゴリズム及び画像操作プロセスを利用しても良いことが理解されよう。本出願のコンピュータプログラム製品の実施形態は、本明細書で具体的に図示も説明もされていない、実装に有用なアルゴリズム及びプロセスを取り入れても良いことが更に理解されよう。かかるアルゴリズム及びプロセスは、画像処理技術の通常の技量の範囲内である従来のユーティリティを含んでも良い。かかるアルゴリズム及びシステム、並びに、画像を作成し、さもなければ処理するか、又は本開示のコンピュータプログラム製品と協調するハードウェア及び/又はソフトウェアの別の態様は、本明細書で具体的に図示も説明もされておらず、当技術分野において既知であるこのようなアルゴリズム、システム、ハードウェア、構成要素及び素子から選択されても良い。
【0056】
1つ以上の実装に関して本発明を説明してきたが、添付された請求項の思想及び範囲から逸脱することなく、説明した例に変更及び/又は修正を施すことができる。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの実装の1つに関して開示され得るが、かかる特徴は、所与の、又は特定の機能にとって望ましく、かつ有利であり得るように、他の実装の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。用語「の少なくとも1つ(at least one of)」は、列挙された項目の1つ以上を選択できることを意味するのに使用される。用語「約(about)」は、列挙された値をある程度変更可能であることを示す。ただし、その変更により、工程又は構造が、例示した実施形態に不適合とならない場合に限られる。最後に、「例示的な(exemplary)」は、説明が理想的なものであることを意味するのではなく、説明が一例として使用されていることを示す。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の明細書及び実施の考察から当業者にとって明らかとなるであろう。従って、現時点で開示された実施形態は、例示的であり、限定的ではないとあらゆる点で考えられる。本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲によって示されており、その均等物の意味及び範囲内に含まれる全ての変更は、その特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b-7c】
図7d-7e】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】