(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-533230(P2017-533230A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】薬用クロロゲン酸の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/58 20060101AFI20171013BHJP
C07C 67/52 20060101ALI20171013BHJP
C07C 69/732 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
C07C67/58CSP
C07C67/52
C07C69/732 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-523845(P2017-523845)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月1日
(86)【国際出願番号】CN2014092262
(87)【国際公開番号】WO2016082122
(87)【国際公開日】20160602
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516331498
【氏名又は名称】スーチョアン チウチャン バイオロジカル サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン チエ
(72)【発明者】
【氏名】チャン リャン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ワン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AD15
4H006AD16
4H006BN20
4H006BN30
4H006BS20
(57)【要約】
本発明は、以下のステップa〜gを含む薬用クロロゲン酸の調製方法を提供する。a.サンプルの水相処理、b.冷凍、c.解凍、濾過、d.残渣の有機相処理、e.濃縮、結晶、f.サンプル中のクロロゲン酸含有量の違いによって、ステップa〜eを繰り返す回数を選択する、g.乾燥。この方法によってクロロゲン酸抽出物を分離精製することで、抽出物中の水溶性不純物と脂溶性不純物をよく除去し、最終製品の不純物の含有量を薬用の基準に合致させることができる。また、この方法は操作が簡単で、有機溶媒を再利用することができ、コストが低く、様々な方法によって抽出されたクロロゲン酸抽出物のさらなる分離精製に適し、薬用クロロゲン酸の調製に特に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップa〜gを含む薬用クロロゲン酸の調製方法。
a.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が20mg〜2000mg含まれる溶液に調製して濾過する、なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が60%以上の抽出物とし、調製温度は60℃以下とする、
b.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍する、
c.解凍、濾過:冷凍してできた氷を5〜60℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過する、
d.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で溶解させ、濾過する、なお、有機溶媒は酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチルのうちの1つとし、溶解温度は60℃以下とする、
e.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させ、濃縮温度は60℃以下、真空度は0.04Mp以上とする、
f.サンプル中のクロロゲン酸含有量の違いによって、ステップa〜eを繰り返す回数を選択し、抽出物の含有量が60〜80%の場合、ステップa〜eを繰り返す回数を2回とし、抽出物の含有量が80〜90%の場合、ステップa〜eを繰り返す回数を1回とし、抽出物の含有量が90%以上の場合、繰り返しは必要ない、
g.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させ、乾燥温度は60℃以下とし、常圧又は負圧下で乾燥させる。
【請求項2】
以下のステップa〜fを含むことを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
a.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が500mg含まれる溶液に調製して濾過する、なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が90%の抽出物とし、調製温度は40℃とする、
b.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍する、
c.解凍、濾過:冷凍してできた氷を25℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過する、
d.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過する、なお、有機溶媒は酢酸エチルとし、溶解温度は60℃とする、
e.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させ、濃縮温度は60℃、真空度は0.08Mpとする、
f.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させ、乾燥温度は60℃とし、常圧下で乾燥させる。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法で調製されたクロロゲン酸。
【請求項4】
クロロゲン酸含有量が98%を超え、1〜6種類の関連物質を含有し、関連物質は5−カフェオイルキナ酸、4−ビニルカテコール、カフェ酸、4−カフェオイルキナ酸、3−クマロイルキナ酸、クロロゲン酸メチドを含み、含有量はいずれも0.5%以下であることを特徴とする、請求項3に記載のクロロゲン酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬用クロロゲン酸の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロゲン酸は比較的広範な殺菌作用を有するが、体内においてタンパク質によって不活性化される。カフェ酸と類似しており、ラットに内服させる又は腹腔内注射を行うと、中枢神経の興奮作用をもたらす。ラット及びマウスの小腸の蠕動、及びラットの子宮の張力を高めることができる。利胆作用があり、ラットの胆汁分泌を促進することができる。ヒトに対しては感作作用があり、クロロゲン酸を含有する植物のちりを吸い込むと、喘息や皮膚炎などを引き起こす場合がある。現在報告されているクロロゲン酸の分離精製方法は多く、例えば、以下の方法がある。出願番号CN201010558366、発明の名称「凍結、濃縮、結晶化によるクロロゲン酸の生産方法(氷凍濃縮結晶製備緑原酸的生産方法)」の発明は、天然物からの抽出液を濃縮する新規な方法に属するクロロゲン酸結晶の生産方法を開示しており、天然物の分離精製過程における水溶液の濃縮及び化合物の結晶分離に用いることができる。この発明は、メタノール濃度が50%のメタノールクロロゲン酸溶液を0℃で結晶させ、結晶体を濾過し、結晶母液を−50℃で凍結させた後に取り出し、氷削器で粉砕して粉末状にする。粉末状の氷を遠心分離器にかけて遠心分離を行い、高濃度のメタノールクロロゲン酸溶液を得る。そして、その溶液に水を加え、メタノール濃度が50%のメタノールクロロゲン酸溶液とする。その溶液を0℃で結晶させ、結晶体を分離し、真空で凍結乾燥させて、含有量が98%以上のクロロゲン酸を得る。出願番号CN201210543580、発明の名称「キダチニンドウの葉からクロロゲン酸を調製する方法(一種従紅腺忍冬葉製備緑原酸的方法)」は、杜仲葉からアスペルロシドとクロロゲン酸とを同時に抽出する生産プロセスである。乾燥させた杜仲葉を原料として、水浴加熱による抽出、カラムクロマトグラフィ、溶出、濃縮、動的抽出、晶析、再結晶等のプロセスによりアスペルロシドの精製品を得る。さらに、晶析後に残ったアセトン母液を濃縮し動的抽出した後に残ったペーストを合わせて、クロロゲン酸を抽出する。出願番号CN201010135116、発明の名称「杜仲葉からクロロゲン酸精製品を調製する方法(一種杜仲葉製備緑原酸精品的方法)」の発明は、杜仲葉からクロロゲン酸精製品を調製する方法に関し、脱イオン水常温浸漬による抽出、圧搾(又は遠心分離)、マクロポーラス吸着カラムクロマトグラフィ及び濃縮、醋酸エチルによる抽出、脱イオン水の再結晶、というプロセスを採用している。
【0003】
一般的なクロロゲン酸の精製方法にはまた、樹脂カラムクロマトグラフィ、ポリアミドカラムクロマトグラフィ、ゲルクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、結晶及び再結晶等の方法がある。樹脂カラムクロマトグラフィは、クロロゲン酸を濃縮、精製することができるものの、この方法のみではサンプルの純度及び不純物が薬用としての基準を満たせない。ポリアミドカラムクロマトグラフィは、クロロゲン酸とフラボノイドをよく分離でき、比較的純度の高いクロロゲン酸を精製することができるが、操作が煩雑で、溶出時間が長く、コストが高く、材料の再生が難しく、産業化には大きな投資が必要となる。ゲルクロマトグラフィは、高純度のクロロゲン酸を得られるが、ゲルが高価で、製品の収率が低く、工業的な生産は難しい。高速液体クロマトグラフィは、比較的高純度のクロロゲン酸を得られるが、高い技術が必要であり、生産量が少なく、現在はまだ実験段階にとどまっている。結晶及び再結晶は一般的な精製方法であり、高純度のクロロゲン酸を濃縮精製できるが、通常、単一の溶媒を用いて結晶及び再結晶精製処理を行うため、精製時に除去できる不純物が限られ、極性の異なる不純物を同時に分離精製することができない。また、抽出物に対する選択性が強く、異なるプロセスで調製された抽出物に広く用いることができない。いくつかの研究文献によって、混合溶媒による結晶及び再結晶の精製方法が報告されている。この方法は、混合する溶媒の種類及び比率を変えることで極性の異なる不純物を取り除き精製するものであり、抽出物から極性の異なる不純物を効果的に取り除くことが可能であるが、混合溶媒を回収して再利用することが大変難しく、同様に一定の制限が存在し、また精製品に混合溶媒が残留してしまうため、安全面で大きな問題がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題解決手段は、クロロゲン酸の調製方法を提供することである。
【0005】
本発明は、以下のステップa〜gを含む薬用クロロゲン酸の調製方法を提供する。
【0006】
a.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が20mg〜2000mg含まれる溶液に調製して濾過する。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が60%以上の抽出物とし、調製温度は60℃以下とする。
【0007】
b.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍する。
【0008】
c.解凍、濾過:冷凍してできた氷を5〜60℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過する。
【0009】
d.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過する。なお、有機溶媒は酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチルのうちの1つとし、溶解温度は60℃以下とする。
【0010】
e.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させる。濃縮温度は60℃以下、真空度は0.04Mp以上とする。
【0011】
f.サンプル中のクロロゲン酸含有量の違いによって、ステップa〜eを繰り返す回数を選択する。抽出物の含有量が60〜80%の場合、ステップa〜eを繰り返す回数を2回とし、抽出物の含有量が80〜90%の場合、ステップa〜eを繰り返す回数を1回とする。抽出物の含有量が90%以上の場合、繰り返しは必要ない。
【0012】
g.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させる。乾燥温度は60℃以下とし、常圧又は負圧下で乾燥させる。
【0013】
より好ましくは、薬用クロロゲン酸の調製方法は以下のステップa〜fを含む。
【0014】
a.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が500mg含まれる溶液に調製して濾過する。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が90%の抽出物とし、調製温度は40℃とする。
【0015】
b.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍する。
【0016】
c.解凍、濾過:冷凍してできた氷を25℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過する。
【0017】
d.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過する。なお、有機溶媒は酢酸エチルとし、溶解温度は60℃とする。
【0018】
e.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させる。濃縮温度は60℃、真空度は0.08Mpとする。
【0019】
f.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させる。乾燥温度は60℃とし、常圧下で乾燥させる。
【0020】
本発明はさらに上記の方法で調製されたクロロゲン酸を提供する。
【0021】
なお、クロロゲン酸の含有量が98%を超え、1〜6種類の関連物質を含有し、関連物質は5−カフェオイルキナ酸、4−ビニルカテコール、カフェ酸、4−カフェオイルキナ酸、3−クマロイルキナ酸、クロロゲン酸メチドを含み、含有量はいずれも0.5%以下である。
【0022】
本発明は、水と有機溶媒とを組み合わせた方法を用いている。異なる水温におけるクロロゲン酸と水溶性不純物の溶解度の違いを利用し、水相の冷凍、再溶解という方法によって抽出物中の水溶性不純物を除去する。そして、有機溶媒におけるクロロゲン酸と脂溶性不純物の溶解度の違いを利用し、有機溶液を濃縮結晶させる方法によって抽出物中の脂溶性不純物を除去する。これら極性の異なる2種類の溶媒によってクロロゲン酸抽出物を分離精製することで、抽出物中の水溶性不純物と脂溶性不純物をよく除去し、最終製品の不純物の含有量を薬用の基準に合致させることができる。また、この方法は操作が簡単で、有機溶媒を再利用することができ、コストが低く、様々な方法によって抽出されたクロロゲン酸抽出物のさらなる分離精製に適し、薬用クロロゲン酸の調製に特に適する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施例1 本発明の薬用クロロゲン酸の調製方法
1.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が500mg含まれる溶液に調製して濾過した。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が90%の抽出物とし、調製温度は40℃とした。
【0024】
2.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍した。
【0025】
3.解凍、濾過:冷凍してできた氷を25℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過した。
【0026】
4.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過した。なお、有機溶媒は酢酸エチルとし、溶解温度は60℃とした。
【0027】
5.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させた。濃縮温度は60℃、真空度は0.08Mpとした。
【0028】
6.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させた。乾燥温度は60℃とし、常圧下で乾燥させた。
【0029】
実施例2 本発明の薬用クロロゲン酸の調製方法
1.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が800mg含まれる溶液に調製して濾過した。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が60%の抽出物とし、調製温度は50℃とした。
【0030】
2.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍した。
【0031】
3.解凍、濾過:冷凍してできた氷を10℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過した。
【0032】
4.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過した。なお、有機溶媒は酢酸プロピルとし、溶解温度は60℃とした。
【0033】
5.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させた。濃縮温度は60℃、真空度は0.07Mpとした。
【0034】
6.ステップa〜eを、操作手順に沿って2回繰り返した。
【0035】
7.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させた。乾燥温度は60℃とし、常圧下で乾燥させた。
【0036】
実施例3 本発明の薬用クロロゲン酸の調製方法
1.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が20mg含まれる溶液に調製して濾過した。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が85%の抽出物とし、調製温度は20℃とした。
【0037】
2.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍した。
【0038】
3.解凍、濾過:冷凍してできた氷を5℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過した。
【0039】
4.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過した。なお、有機溶媒は酢酸メチルとし、溶解温度は20℃とした。
【0040】
5.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させた。濃縮温度は40℃、真空度は0.04Mpとした。
【0041】
6.ステップa〜eを、操作手順に沿って1回繰り返した。
【0042】
7.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させた。乾燥温度は40℃とし、常圧下で乾燥させた。
【0043】
実施例4 本発明の薬用クロロゲン酸の調製方法
1.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が100mg含まれる溶液に調製して濾過した。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が72%の抽出物とし、調製温度は30℃とした。
【0044】
2.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍した。
【0045】
3.解凍、濾過:冷凍してできた氷を60℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過した。
【0046】
4.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過した。なお、有機溶媒は酢酸ブチルとし、溶解温度は60℃とした。
【0047】
5.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させた。濃縮温度は60℃、真空度は0.09Mpとした。
【0048】
6.ステップa〜eを、操作手順に沿って2回繰り返した。
【0049】
7.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させた。乾燥温度は60℃とし、負圧下で乾燥させた。
【0050】
実施例5 本発明の薬用クロロゲン酸の調製方法
1.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が2000mg含まれる溶液に調製して、濾過した。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が68%の抽出物とし、調製温度は60℃とした。
【0051】
2.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍した。
【0052】
3.解凍、濾過:冷凍してできた氷を60℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過した。
【0053】
4.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過した。なお、有機溶媒は酢酸エチルとし、溶解温度は50℃とした。
【0054】
5.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させた。濃縮温度は50℃、真空度は0.05Mpとした。
【0055】
6.ステップa〜eを、操作手順に沿って2回繰り返した。
【0056】
7.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させた。乾燥温度は40℃とし、負圧下で乾燥させた。
【0057】
実施例6 本発明の薬用クロロゲン酸の調製方法
1.サンプルの水相処理:サンプルを、精製水を用いて1ml当たりクロロゲン酸が1500mg含まれる溶液に調製して濾過した。なお、サンプルは杜仲葉から抽出分離した、クロロゲン酸含有量が95%の抽出物とし、調製温度は60℃とした。
【0058】
2.冷凍:濾過してできた濾液を0℃以下で完全に凍るまで冷凍した。
【0059】
3.解凍、濾過:冷凍してできた氷を60℃で解凍し、且つ解凍液の温度を5℃以下に維持して、濾過した。
【0060】
4.残渣の有機相処理:濾過してできた残渣を有機溶媒で十分に溶解させ、濾過した。なお、有機溶媒は酢酸プロピルとし、溶解温度は60℃とした。
【0061】
5.濃縮、結晶:有機溶液を、低温且つ負圧下で、少量の沈殿物ができるまで濃縮し、静置して結晶させた。濃縮温度は60℃、真空度0.08Mpとした。
【0062】
6.乾燥:結晶体を濾過した後に、低温で乾燥させた。乾燥温度は60℃とし、負圧下で乾燥させた。
【0063】
実施例7 本発明の実施例1〜6の薬用クロロゲン酸の質量
含有量の検出方法は以下の通りである。
【0064】
クロマトグラフィ条件及びシステム適用性試験 オクタデシル基結合シリカゲルを充填材とし、0.1%ギ酸−アセトニトリル(92:8)を移動相とし、検出波長を215nmとした。理論段数はクロロゲン酸のピークに基づいて計算し、3000以上であるものとした。クロロゲン酸のピークと、隣接する不純物のピークとの分離度は要求を満たすものとした。
【0065】
測定方法 本品を適量用意し、正確に秤量して移動相を加え、1ml当たり本品が約10μg含まれる溶液に調製し、試料溶液とした。これを正確に20μl量り取って液体クロマトグラフ装置に注入し、クロマトグラムを記録した。別途クロロゲン酸標準物質を適量用意し、正確に秤量して移動相を加え、1ml当たりクロロゲン酸標準物質が10μg含まれる溶液に調製し、同様の方法で測定した。外部標準法によってピーク面積を計算した。
【0066】
不純物の検出方法は以下の通りである。
【0067】
本品を適量用意し、正確に秤量して移動相を加え、1ml当たり本品が0.5mg含まれる溶液に調製し、試料溶液とした。試料溶液1mlを100mlのメスフラスコに入れ、移動相を目盛りまで加えて希釈し、希釈試料溶液とした。別途カフェ酸標準物質を適量用意し、正確に秤量して移動相を加え、1ml当たりカフェ酸標準物質が2μg含まれる溶液に調製し、標準溶液とした。含有量測定の項目のクロマトグラフィ条件に基づき、希釈試料溶液を20μl取って液体クロマトグラフ装置に注入した。検出感度を、主成分のクロマトグラムピークのピーク高さがフルスケールの約20%となるよう調節した。そして試料溶液、希釈試料溶液、標準溶液を20μlずつ正確に計り取り,それぞれ液体クロマトグラフ装置に注入し、主成分のピーク保持時間の3倍までクロマトグラムを記録した。試料溶液のクロマトグラムにカフェ酸不純物のピークが表れた場合、外部標準法によって計算し、その他不純物のピークが表れた場合、自身対照法によって計算した。
【国際調査報告】