特表2017-533269(P2017-533269A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-533269SFK阻害剤としてのピラゾロ[3,4−D]ピリミジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-533269(P2017-533269A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】SFK阻害剤としてのピラゾロ[3,4−D]ピリミジン
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20171013BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 33/24 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20171013BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20171013BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20171013BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   C07D487/04 143
   C07D487/04CSP
   A61K31/5377
   A61K31/519
   A61K31/407
   A61K33/24
   A61K31/7048
   A61K31/475
   A61K31/704
   A61K31/675
   A61K45/00
   A61K31/203
   A61K9/127
   A61K47/42
   A61K47/40
   A61K47/02
   A61K9/14
   A61P35/00
   A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】177
(21)【出願番号】特願2017-542300(P2017-542300)
(86)(22)【出願日】2015年10月29日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月16日
(86)【国際出願番号】EP2015075148
(87)【国際公開番号】WO2016066755
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】RM2014A000620
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517153789
【氏名又は名称】リード・ディスカバリー・シエナ・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ・ボッタ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアーノ・アンジェルッチ
(72)【発明者】
【氏名】エレナ・ドレアッシ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィア・スケノネ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ・ティントーリ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア・ヴィニャロリ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE04
4C050FF01
4C050FF04
4C050GG04
4C050GG06
4C050HH04
4C076AA19
4C076AA29
4C076CC01
4C076CC27
4C076EE39A
4C076EE41A
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA01
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB03
4C086CB06
4C086CB21
4C086DA35
4C086EA10
4C086EA11
4C086HA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA01
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA12
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA17
4C206NA05
4C206ZA01
4C206ZB26
(57)【要約】
本発明は、Src、Fyn及びHckチロシンキナーゼ等のSrcファミリーキナーゼ(SFK)並びにAblチロシンキナーゼを標的とすることができる式I及びIVの4-アミノ-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン及びピロロ[2,3-d]ピリミジン誘導体並びにそれらの使用及び調製の方法に関する。特に、本発明の化合物は、神経芽細胞腫(NB)若しくは多形性膠芽腫(GBM)等のがんの治療及び/又は予防において使用するための、或いはタウオパチー等の神経変性疾患の治療及び/又は予防において使用するためのものである。
[この文献は図面を表示できません]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Zは、CH又はNを表し;
R1は、式:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; R8'及びR9'は、独立に、H又はCH3であり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖を表し;
R2は、NR10'R11'
{R10'及びR11'は、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、1-ピロリジニル、4-モルホリニル、1-ヘキサヒドロアゼピニル;
又は、式:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり、nは、0から4までの整数である}
又は:
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルである}
を表し;
R3は、H、
又は、式:
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、R22'、R23'、R24'、R25'、R26'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Lは、CH又はNであり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルを表し;
R4は、
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、R27'は、H、CH3、CF3、F、Cl、Br、OH; OMe、O-アルキル、アルキルを表し;
R28'、R29'、R30'、R31'、R32'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である); SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、SO2H、SO2CH3、PO2、PO(CH3)2、POHCH3、POH2、SO2Jであり、ここで、Jは:
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数である}
を表す]
の化合物(但し、化合物:
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-N-プロピル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si109);
N-ベンジル-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si110);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(4-フルオロベンジル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si180);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-N-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si182);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(3-クロロフェニル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si181);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-N-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si192);
N-シクロヘキシル-6-(2-モルホリノエトキシ)-1-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Sv12);
N4-(3-クロロフェニル)-N6-(2-モルホリノエチル)-1-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン(Sv24);
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチルブチル(1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(エチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi20);
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(3-ブロモフェニル)(6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi278);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(3-クロロベンジル)-6-(3-モルホリノプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
及び式A
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Z=Nである場合、R1 = SCH2CH2-4-モルホリニルであり、R2は、NHCH2CH2C6H5、NHCH2C6H5、NHC6H4mCl1-ヘキサヒドロアゼピニル、NHC3H7、4-モルホリニル又はNHCH2C6H4pClである}を除く)、
又はその立体異性体若しくはプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Zが、Nであり、且つ/或いはR1が、SCH2CH24-モルホリニルであり、且つ/或いはR2が、NHC6H5又はNHC6H4mCl又はNHC6H4mF又はNHC6H4mBr又はNHC6H4mOHであり、且つ/或いはR3が、Hであり、且つ/或いはR4が、CH2CH2C6H5又はCH2CHClC6H5又はCH2CHMeC6H5又はCH2CH2C6H4pFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
N-(3-クロロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si303);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(2-フルオロベンジル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-インダゾール-4-アミン(Si304);
6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-N-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si313);
N-(3-フルオロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si314);
N-(3-クロロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si307);
N-(3-クロロフェニル)-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si327);
N-(3-ブロモフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si306);
3-{[6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}フェノール塩酸塩(Si332);
3-{[6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}フェノール塩酸塩(Si329);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si310);
3-(4-クロロフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si308);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si309);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si311);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン塩酸塩(Si244);
3-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si312);
1-{4-[4-アミノ-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル]フェニル}エタノン(Si336);
3-(4-クロロフェニル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si337);
3-(4-メチルフェニル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si338);
3-(1H-インドール-5-イル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si339);
N-ベンジル-6-(sec-ブチルチオ)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si146);
6-(Sec-ブチルチオ)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si147);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(シクロペンチルチオ)-N-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si170);
6-(Sec-ブチルチオ)-N-(3-クロロフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si148);
2-(4-ベンジルアミノ-1-スチリル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-6-イルアミノ)-エタノール(Si74);
N-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-6-(メチルチオ)-1-[2-フェニルビニル]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si215);
N,6-ジベンジル-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si164)
である、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記プロドラッグが、式III
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Zは、CH又はNを表し;
R8は、H、アルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルキルアミノ、アルキル、S(CH2)pOH、S(CH2)pNH2、S(CH2)pNHCH3、S(CH2)pN(CH3)2、NH(CH2)pOH、NH(CH2)pNH2; NH(CH2)pNHCH3、NH(CH2)pNH(CH3)2 (pは、0から6までの整数である);
又は、式:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; R8'及びR9'は、独立に、H又はCH3であり; mは、0から2までの整数である}
若しくは:
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖を表し;
R9は、
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、R34'は、H又はアルキル又はシクロアルキル又は1-ピロリジニル又は4-モルホリニル又は1-ヘキサヒドロアゼピニル;
又は、式:
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖;
又は、式:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルであり;
式中、R35'は、式:
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; R36'は、H又はアルキル又はアリール又はアラルキルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
又は:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
を持つアルキル鎖である}
を表し;
R10は、
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、R27'は、H、CH3、CF3、F、Cl、Br、OH; O-アルキル、アルキルを表し;
R28'、R29'、R30'、R31'、R32'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である); SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、SO2H、SO2CH3、PO2、PO(CH3)2、POHCH3、POH2、SO2Jであり、ここで、Jは:
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数である}
を表す]のプロドラッグ
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の式Iの化合物のプロドラッグ。
【請求項5】
Zが、Nであり、且つ/或いはR8が、H又はSMe又はSEt又はSCH2CH2-4-モルホリノであり;且つ/又は
R9が、
【化27】
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[式中、R34'は、CH2C6H5又はCH2C6H4oCl又はC6H4mCl又はC6H4mBr又はCH2CH2C6H5又はC6H5又はnBuであり; R35'は、
【化28】
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である]
であり、且つ/又はR10が、
【化29】
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[式中、R27'は、H又はCl又はMeであり; R30'は、H又はBrであり; R28'、R29'、R31'、R32'は、Hである]
である、請求項4に記載のプロドラッグ。
【請求項6】
医学的使用のための、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
がんの治療及び/又は予防におけるSFK阻害薬剤として使用するための、請求項6に記載の使用のための化合物。
【請求項8】
SFKがs-Srcである、請求項7に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
がんが、固形又は液体がんであり、好ましくは、がんが、神経芽細胞腫、膠芽細胞腫、骨肉腫、前立腺がん、肝細胞癌、白血病、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肝細胞癌、多形性膠芽腫、頭頸部の扁平上皮癌、黒色腫、乳がん、卵巣がん、膵臓がん、中皮腫からなる群から選択される、請求項7又は8に記載の使用のための化合物。
【請求項10】
神経変性疾患の治療において使用するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
固形腫瘍及び神経変性疾患からなる群から選択される疾患の治療及び/又は予防において使用するための、式IV:
【化30】
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[式中、
Zは、CH又はNを表し;
R6は、H、
又は、式:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、R22'、R23'、R24'、R25'、R26'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CO(C1〜6アルキル)、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Lは、CH又はNであり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルを表し、
R8は、H、ベンジル、アルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルキルアミノ、アルキル、S(CH2)pOH、S(CH2)pNH2、S(CH2)pNHCH3、S(CH2)pN(CH3)2、NH(CH2)pOH、NH(CH2)pNH2; NH(CH2)pNHCH3、NH(CH2)pNH(CH3)2(pは、0から6までの整数である);
又は、式:
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり;
nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; R8'及びR9'は、独立に、H又はCH3であり; mは、0から2までの整数である}
若しくは:
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖を表し、
R10は、
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、R27'は、H、CH3、CF3、F、Cl、Br、OH; O-アルキル、アルキルを表し;
R28'、R29'、R30'、R31'、R32'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である); SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、SO2H、SO2CH3、PO2、PO(CH3)2、POHCH3、POH2、SO2Jであり、ここで、Jは:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数である}
を表し;
R37'及びR38'は、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、1-ピロリジニル、4-モルホリニル、1-ヘキサヒドロアゼピニルであり;
又は、式:
【化39】
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{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり、nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルであり;
或いは、
R11は、
【化41】
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{式中、R34'は、H又はアルキル又はシクロアルキル又は1-ピロリジニル又は4-モルホリニル又は1-ヘキサヒドロアゼピニル;
又は、式:
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖、
又は、式:
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルであり;
式中、R35'は、式:
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; R36'は、H又はアルキル又はアリール又はアラルキルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
又は:
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
を持つアルキル鎖である}
を表す]
を有する化合物(但し、化合物:
N-(3-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)-1-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si214);
6-(メチルチオ)-N-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si276);
N-(3-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si277);
N-(3-ブロモフェニル)-6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si278)
N-ベンジル-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si34);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(メチルチオ)-N-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si35);及び
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(3-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si83)
を除く)、
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項12】
【化48】
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[この文献は図面を表示できません]
である、請求項11に記載の使用のための化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項13】
腫瘍が、神経芽細胞腫、膠芽細胞腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肝細胞癌、多形性膠芽腫、頭頸部の扁平上皮癌、黒色腫、乳がん、卵巣がん、膵臓がん及び中皮腫からなる群から選択される、請求項11又は12に記載の使用のための化合物。
【請求項14】
更なる抗腫瘍性療法とともに使用するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
更なる抗腫瘍性療法が、放射線療法及び化学療法からなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
化学療法が、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、イソトレチノイン及びシクロホスファミドからなる群から選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1から5のいずれか一項に規定の式Iの化合物又はその立体異性体若しくはプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
薬学的に許容される担体が、リポソーム、アルブミン、シクロデキストリン及び金ナノ粒子等のナノ粒子からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
請求項1に規定の式Iの化合物のプロドラッグの調製のための方法であって、前記プロドラッグが、式III
【化49】
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[式中、
R10は、
【化50】
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であり、R28'、R29'、R31'及びR32'は、Hである]
のプロドラッグであり、
下記の工程:
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、R8、R27'、R28'、R29'、R30'、R31'、R32'、R34'は、請求項4に規定の通りであり、
R35'は、
式:
【化52】
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{式中、Yは、NH又はO又はSであり; R36'は、H又はアルキル又はアリール又はアラルキルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
又は:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
を持つアルキル鎖である]
を含む、方法、
或いは、式Iの化合物の調製のための方法であって、下記の工程:
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
を含む、方法、
或いは、請求項11に規定の式IVの化合物又はその塩の調製のための方法であって、下記の工程:
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
を含む、方法、
或いは、請求項11に規定の式IVの化合物又はその塩の調製のための方法であって、下記の工程:
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
を含む、方法、
或いは、請求項11に規定の式IVの化合物又はその塩の調製のための方法であて、下記の工程:
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
を含む、方法、
或いは、請求項11に規定の式IVの化合物Si74又はその塩の調製のための方法であって、下記の工程:
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
を含む、方法、
或いは、請求項11に規定の式IVの化合物Si164又はその塩の調製のための方法であって、下記の工程:
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Src、Fyn及びHckチロシンキナーゼ等のSrcファミリーキナーゼ(SFK)並びにAblチロシンキナーゼを標的とすることができる式I及びIVの4-アミノ-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン及びピロロ[2,3-d]ピリミジン誘導体並びにそれらの使用及び調製の方法に関する。特に、本発明の化合物は、神経芽細胞腫(NB)又は多形性膠芽腫(GBM)等のがんの治療及び/又は予防において使用するための、或いはタウオパチー等の神経変性疾患の治療及び/又は予防において使用するためのものである。
【背景技術】
【0002】
チロシンキナーゼ(TK)の脱制御(deregulation)は、がん発生(増殖、移行、浸潤、血管新生、薬物耐性等)と関連があるとされており、小分子TK阻害剤(TKI)は、悪性腫瘍の治療のために製薬会社及び学界によって現在標的とされている最大の薬物ファミリーの1つを代表する。注目すべきことに、特異的な分子標的に対して作用するTKIは、抗腫瘍治療中の毒性副作用の低減と関係する可能性がある。多くのTKIが、それらのインビトロ抗増殖活性及びインビボ抗がん活性について試験されてきており、それらの一部は、臨床治験において承認されているか、又はがん療法において現在利用されている1,2。ヒトがんの治療における標的としての非受容体TKの1つのサブクラスは、Src、Fyn、Hck等の9つのメンバーを含む、Src-ファミリーチロシンキナーゼ(SFK)である。一方、Ablは、その活性状態における有意な配列相同性及び顕著な構造類似性を、Srcファミリーメンバーと共有する。この理由で、当初はSrc阻害剤として開発された酵素の活性立体配座を標的とするいくつかのATP競合阻害剤が、強力なAbl阻害剤であることも示された3a
【0003】
研究の活発且つ有望な分野は、内皮細胞及び線維芽細胞を含む腫瘍関連細胞(TAC)の表現型をモジュレートするTKの役割についての分野である。実際に、TKの阻害は、好都合な腫瘍微小環境を作り出すことに寄与する表現型へのTACの表現型スイッチをブロックすることに、直接的に又は間接的に、関与している可能性がある3b。がんと間質細胞との間の最もよく知られた共生関係は、筋線維芽細胞における分化関連線維芽細胞によって決定される3c。TKファミリーのいくつかのメンバーを含むシグナル伝達経路の阻害は、がん関連線維芽細胞分化のブロックを介してがんの進行を有効に阻害することができると実証された3d
【0004】
NBは交感神経系の珍しいがんであり、当該癌ではc-Srcの過剰活性が腫瘍細胞の分化、細胞接着及び生存において中心的な役割を果たす4,5。最近、周知のc-Src阻害剤PP2は、細胞生存/増殖を阻害すること及びNB細胞株における凝集を低減させることが最近証明された6のに対し、デュアルSrc/Abl阻害剤ダサチニブ(dasatinib)は、インビトロ及びインビボの両方でNB成長を低減させる上で有効であることが証明された(図1) 7
【0005】
NBは、15歳未満の患者における悪性腫瘍の約9%及びすべての小児腫瘍の死亡の15%前後を占める8。これは、小児期における最も一般的な頭蓋外固形腫瘍であり、乳児期における新生物による死亡の主な原因である9。患者のある特定の明確に定義されたサブセットの治療における実質的な改善が過去数十年の間に観察されたが、高リスクの臨床表現型を持つ小児についての転帰は、あまり改善しておらず、長期生存は40%未満であった10,11。NBの臨床管理のための治療選択肢は、手術、化学療法、放射線療法及び生物学的療法を含む集学的アプローチからなる。高リスクのNBのための現在の化学療法治療は、ビンクリスチン、ドキソルビシン及びシクロホスファミドと交互に服用する、シスプラチン及びエトポシドの用量集中的なサイクル(dose-intensive cycle)を使用する。更に、イソトレチノインは最初の寛解中に使用されてよい。これらの患者の全体の治癒率における改善にもかかわらず、治療戦略は、とりわけ重度の副作用により、満足な状況からは依然として遠い12,13。したがって、NB患者の予後を向上させるために、新規の治療的アプローチが必要である。
【0006】
GBMは、最も一般的且つ侵襲性の原発性脳腫瘍であり、極めて予後不良で、この十年における治療的進歩は非常に少ない14。腫瘍の不均一性、局所管理が及ばない領域における腫瘍位置、及び急速な侵襲性の腫瘍再発を含む、複数の課題が残されている。したがって、悪性神経膠腫患者の治療は、依然として緩和的なものであり、手術、放射線療法及び化学療法を包括する。手術又は化学療法と組み合わせた手術に加えて、放射線療法は、手術単独と比較して、GBM患者における生存を持続させることが示された。手術への放射線療法の追加は、生存を3〜4か月から7〜12か月に増大させることが示されており15、腫瘍は典型的に1年以内に再発して、更なる臨床悪化をもたらすため、いかなる応答期間も一時的なものである16。異なる治療標的が最近同定され(例えば、VEGF及びEGFR)、標的療法が有望な戦略を代表しうることを示している。c-Src及びSRCファミリーキナーゼ(SFK)が、中心的な生物学的/発癌性プロセスを制御する細胞内シグナル伝達経路を媒介することを示す前臨床データは、SRC/SFK阻害剤を調査することについての強い根拠を提供する17
【0007】
Fynは、Srcファミリーキナーゼ(SFK)に属する非受容体チロシンキナーゼである39。このファミリーの9つのメンバーは、サブクラスにグループ分けされる: Src、Yes、Fyn及びFgrを含むSrcAサブファミリー、Lck、Hck、Blk及びLynを含有するSrcBサブファミリー、並びに最後に自身のサブファミリーのFrkのサブクラスにグループ分けされる。Fynは、染色体6q21上に位置する、Fyn遺伝子によってコードされる537アミノ酸を含む59-kDaタンパク質である。Fynの3つのアイソフォーム:脳において主に発現されるfynB、造血細胞(T細胞)において発現されるfynT及び末梢血単核細胞において同定されたfynDelta7が公知である 40。脊椎動物において、SFKのタンパク質は、6つの固有の機能ドメイン: Src相同性ドメイン4 (SH4)、独自ドメイン、SH3ドメイン、SH2ドメイン、触媒ドメイン(SH1)及びC末端調節領域を含む、同様の構造を共有する。SH4ドメインは、脂肪酸による修飾についてのシグナルを含む領域である39。独自ドメインは、各Srcファミリータンパク質に特異的であり、特定の受容体及びタンパク質標的との特異的な相互作用を司ることが示唆される41。SH2及びSH3ドメインは、他のタンパク質と相互作用し、これらの相互作用は、チロシンキナーゼ活性を調節する。ATPの末端リン酸基の、タンパク質基質のチロシン残基への移動を触媒するキナーゼドメインは、ATPとの結合に関与する小さいN末端ローブと、活性化ループ(A-ループ)が存在するより大きいC末端ローブとによって形成される典型的な2ローブ性構造を、酵素の活性形態で自己リン酸化された、保存されたチロシン残基とともに提示する42。A-ループは、28の残基を含有し、これらは、一次配列において、2つの保存されたトリペプチドモチーフ、DFG (Asp-Phe-Gly)と APE (Ala-Pro-Glu)との間に含まれる領域として定義される43。同じ構造を共有する他に、SFKは、同じ調節機構も特徴とする。実際に、キナーゼ活性の活性化又は阻害は、キナーゼドメインを持つSH2とSH3との間の分子内相互作用並びに2つの重要なチロシンのリン酸化/脱リン酸化に依存しており、その1つ目はA-ループに、2つ目はC末端領域に対応して位置している44。Fynタンパク質は、ほぼ300の異なるタンパク質と相互作用することができ、これらの相互作用を通して、生理学的及び病的状態の両方における多くの細胞経路に携わる。Fynは、免疫系の調節並びにT細胞発生及び活性化に関与している45。Fynは、中枢神経系(CNS)の発生において重要な役割を果たし、これには、髄鞘形成、オリゴデンドロサイトにおける神経突起の形成に関連する形態学的分化、シナプス形成及び調節、オリゴデンドロサイト分化並びに記憶形成が含意される46
【0008】
最近の証拠は、Fyn過剰活性/脱制御がアルツハイマー病(AD)発病機序及び他のタウオパチーに寄与するかもしれないことを示唆している。これらの疾患は、ADの神経原線維のもつれの基本成分を構成する微小管関連タンパク質であるタウタンパク質の量又は構造における変更を特徴とする47。正常なニューロンにおいて、Tauは、非リン酸化形態で細胞質中に存在する。対照的に、Tauは、ADにおいて複数の部位でリン酸化を生じる。特に、神経原線維のもつれに関連する場合、Tauは、そのアミノ末端残基Tyr18においてリン酸化することが分かっており49、Fynは、ADにおいてそのような事象を司る唯一のキナーゼである。積み上がった証拠は、Tyr18のリン酸化が、Tauにおける立体配座変化につながるADの病態生理学における初期事象であり、その線維化を開始することを示唆している48a。加えて、アミロイド-ベータ(Aβ)は、Fynを活性化させることが分かり48b;その上、Fynの過剰発現は、トランスジェニックADマウスモデルにおいてシナプス損失及び認知機能障害の発症を加速させ、一方、Fyn発現の阻害は、シナプス損失を救済した。現在臨床治験中であるAD治療的アプローチは、Aβクリアランス又はその生成若しくは凝集の阻害に焦点を合わせている。したがって、Aβシグナル伝達の中核を成すことから、Fynは、ADにおける独自の治療標的を代表する。
【0009】
Fyn過剰発現は、正常細胞において形態転換を駆動し、腫瘍発生につながることが示されてきた。実際に、Fynは、多形性膠芽腫、頭頸部の扁平上皮癌、黒色腫50、乳房51、卵巣52、前立腺53、及び膵臓がん54を含む種々のがんにおいて過剰発現される。最近の研究は、中皮腫においてもその関与を示した55。最近になって、Singh及び同僚ら56は、Fynキナーゼ活性が慢性骨髄性白血病(CML)の進行において役割を果たしており、これは、急性転化CMLの特色であるBCR-ABL1誘発ゲノム不安定性に寄与しているためであることを実証した57。疾患の終末の急性転化期は、依然として臨床的課題のままである。急性転化CMLは、チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性、ゲノム不安定性の増大及び後天性の二次変異により、治療することが困難である。Fynのノックダウンは、インビトロ及びインビボでの細胞成長及び増殖の減少につながる。その上、そのグループは、遺伝的ノックアウトモデルを使用するFynの完全な喪失が、BCR-ABL1媒介性成長及びクローン原性についてFynへの依存を強調するBCR-ABL1を形質導入した細胞の増殖及びクローン原性の可能性を減少させることを実証した。加えて、急性転化CMLの細胞株モデルを使用して、彼らは、構成的に活性なFynの過剰発現が異数性及びゲノム変更の増大を引き起こすことを発見した。そのような疾患にFynが関与していることから、Fyn阻害剤の探索は拡大する研究分野を代表するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Wong Jら、Neuroscience 210、2012、363〜374
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、本発明者らのグループは、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン及びピロロ[2,3-d]ピリミジン足場を特徴とする一連の新規Src、Abl、Fyn及びHck阻害剤について、広範な研究を行った18。このファミリーのいくつかのメンバーは、異なる固形腫瘍細胞株(A431、8701-BC、SaOS-2及びPC3)において、アポトーシスを誘発し細胞増殖を低減させることが分かった。このファミリーの選択されたメンバー、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン足場上のC6メチルチオ基を特徴とするSi34は、ヒトNBのSH-SY5Y細胞培養物において有望な抗増殖活性を示した(図1)19。NB及びGBM等の固形腫瘍の治療のための、そのようなピラゾロ[3,4-d]ピリミジンの可能性について更なる洞察を得るために、C6メチルチオ基の存在を特徴とする密接に関係する類似体の小コレクションを合成して、生物学的活性についてN1及びC4における異なる官能基の役割を探索した。合成された類似体の中でも、化合物Si214は、c-Srcに対する強力な阻害活性(Ki = 90nM)及びSH-SY5Y NB細胞に対する著しい抗増殖効果(IC50 = 80nM)を特徴としていた(図1)。しかしながら、その顕著な活性にもかかわらず、この化合物は、経口投与を妨げる低い水溶性(0.12μg/mL)に悩まされている20。したがって、一連のより可溶性のピラゾロ[3,4-d]ピリミジン誘導体が、本発明者らの研究グループにより、合理的に設計され、溶媒曝露したC6位置への極性基の導入を介して合成された。この研究は、C4-アニリノ誘導体Si192の同定につながり、これは、生物学的活性及びADME特性の両方の観点から、有益なプロファイルを示し、高い代謝安定性(95%)、良好な水溶性(1.7μg/mL)、効率的な膜透過性(10×10-6cm/秒)及び単離されたc-Srcに対する強力な阻害活性(Ki = 0.21μM)を特徴としていた21。本明細書においては、Si192データから出発して、著者らは第二世代阻害剤を開発し、NB及びGBMに対してインビボで試験するために、c-Srcに対する親和性の改善及びADME特性の改善を与えた(図1)。この目的のために、X線結晶構造解析、構造ベースの薬物設計、合成、インビトロADMEプロファイリング及びインビトロ/インビボ生物学的評価を組み合わせた、集学的アプローチを適用した。Si192及びc-Srcの結晶学的複合体から出発して、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン置換基の効率的な最適化が自由エネルギー摂動(FEP)計算によってc-Src阻害剤の合成を指示するように導かれ、ここで、その多くにナノモル効力が与えられることを示した。
【0012】
化合物のサブセットは、NB及びGBM細胞に対する強い抗増殖活性並びに最適なADME特徴も示した。本発明の化合物は、NB及びGBM細胞株の増殖を阻害し、良好なADME特性(特に、膜透過性の観点から)を示し、先に報告されている化合物Si192及びSi181と比較した場合に増大した水溶性を示す、インビボ活性を実証した。
【0013】
従って、マウスにおける経口投与後、インビボでのNB及びGBMに対するその効能を試験するために、最も有望な誘導体の1つである化合物Si306に対して、更なる研究が行われた。NBマウスモデルにおいて、腫瘍成長は、50mg/kgの用量の化合物Si306によって有意に阻害された。摘出した腫瘍塊についてのその後の観察及びインビボアッセイは、c-Src阻害剤が、がん細胞並びにそれらの遊走能及び血管新生を阻害している腫瘍関連内皮細胞の両方において活性であることを示唆している。
【0014】
更に、U87 GBM細胞を皮下接種したヌードマウスにSi306をインビボで投与した。マウスに50mg/kgのSi306を1日おきに受けさせ、化合物の抗腫瘍性効果を単一の放射線治療(4Gy)とも組み合わせて評価した。エンドポイントで、併用療法を受けたマウスは、腫瘍塊の80%低減を示した。
【0015】
Si306プラス放射線療法の併用療法を、低密度成長アッセイによってインビトロ(U87細胞)でも評価し、ここでも、併用療法は、対照と及び単一の治療に対してコロニーの数を有意に低減させた。
【0016】
Si306を、U87及びU251細胞モデルにおいて、周知の遺伝毒性剤であるマイトマイシンCと組み合わせても試験し、併用治療は、U87細胞においてより顕著であった相乗的抗増殖効果を決定した。
【0017】
その上、水溶性を更に増強するために、本発明において記述されている化合物のプロドラッグも合成し、実際に、この薬物速度論的特性の改善は、血漿中及びインビボの分布に良い影響を及ぼすことができた。プロドラッグは、それらのそれぞれの薬物と比較した場合、がん細胞株NB及びGBMがん細胞株に対する活性の全般的改善を示した。インビボ生体内分布は、proSi306のインビボ加水分解並びに最高の脳及び血漿中濃度を生じさせる能力を実証した。
【0018】
本発明において、新規Fyn阻害剤を同定することを狙いとして、構造ベースの薬物設計プロトコールを用いた。Fynは、非受容体タンパク質-チロシンキナーゼのSrc-ファミリー(SFK)のメンバーである。その異常な活性は、種々のヒトがん並びにアルツハイマー及びパーキンソン病等の重度の病理に関係することが示されており、故に、Fynを、タウオパチー及び腫瘍に対する新規治療剤の同定のための魅力的な標的としている。
【0019】
第一に、FynのATP結合部位内におけるドッキング研究の使用によって市販の化合物のデータベースをスクリーニングするために、仮想スクリーニングアプローチを適用した。次に、デュアルAbl及びc-Src阻害剤であることが先に示されているピラゾロ[3,4-d]ピリミジン誘導体のインハウスライブラリーを、同じ計算プロトコールによって分析した。疎水性領域I内のリガンドのファンデルワールス接触を最適化することを狙いとしたわずかな修正は、結合親和性における増大を迅速に決定し、最良の阻害剤Si310及びSi308は、それぞれ70nM及び95nMのKiを有する。注目すべきことに、両方の化合物は、慢性骨髄性白血病細胞株K562に対して興味深い抗増殖活性プロファイルを示し、アルツハイマー病モデル細胞株においてタンパク質TauのFyn媒介性リン酸化を阻害することができると分かった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、式I
【0021】
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
【0022】
[式中、Zは、CH又はNを表し;
R1は、式:
【0023】
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
【0024】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【0025】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0026】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【0027】
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
【0028】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; R8'及びR9'は、独立に、H又はCH3であり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【0029】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【0030】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖を表し;
R2は、NR10'R11'
{R10'及びR11'は、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、1-ピロリジニル、4-モルホリニル、1-ヘキサヒドロアゼピニル;
又は、式:
【0031】
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【0032】
{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり、nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【0033】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0034】
好ましくは
【0035】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【0036】
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルである}
を表し;
R3は、H
又は、式:
【0037】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
【0038】
{式中、R22'、R23'、R24'、R25'、R26'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【0039】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0040】
{式中、Lは、CH又はNであり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルを表し;
R4は、
【0041】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0042】
{式中、R27'は、H、CH3、CF3、F、Cl、Br、OH; OMe、O-アルキル、アルキルを表し;
R28'、R29'、R30'、R31'、R32'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である); SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、SO2H、SO2CH3、PO2、PO(CH3)2、POHCH3、POH2、SO2Jであり、ここで、Jは:
【0043】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0044】
であり、式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数である}
を表し;
但し、化合物:
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-N-プロピル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si109);
N-ベンジル-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si110);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(4-フルオロベンジル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si180);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-N-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si182);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(3-クロロフェニル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si181);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-N-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si192);
N-シクロヘキシル-6-(2-モルホリノエトキシ)-1-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Sv12);
N4-(3-クロロフェニル)-N6-(2-モルホリノエチル)-1-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン(Sv24);
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチルブチル(1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(エチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi20);
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(3-ブロモフェニル)(6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi278);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(3-クロロベンジル)-6-(3-モルホリノプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
及び式A
【0045】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0046】
{式中、Z=Nである場合、R1 = SCH2CH2-4-モルホリニルであり、R2は、NHCH2CH2C6H5、NHCH2C6H5、NHC6H4mCl1-ヘキサヒドロアゼピニル、NHC3H7、4-モルホリニル又はNHCH2C6H4pClである}の化合物
は除外される]
の化合物、又はその立体異性体若しくはプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩を提供する。
【0047】
好ましくは、Zは、Nであり、且つ/或いはR1は、SCH2CH24-モルホリニルであり、且つ/或いはR2は、NHC6H5又はNHC6H4mCl又はNHC6H4mF又はNHC6H4mBr又はNHC6H4mOHであり、且つ/或いはR3は、Hであり、且つ/或いはR4は、CH2CH2C6H5又はCH2CHClC6H5又はCH2CHMeC6H5又はCH2CH2C6H4pFである。
【0048】
好ましくは、化合物は、
N-(3-クロロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si303);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(2-フルオロベンジル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-インダゾール-4-アミン(Si304);
6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-N-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si313);
N-(3-フルオロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si314);
N-(3-クロロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si307);
N-(3-クロロフェニル)-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si327);
N-(3-ブロモフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si306);
3-{[6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}フェノール塩酸塩(Si332);
3-{[6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}フェノール塩酸塩(Si329);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si310);
3-(4-クロロフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si308);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si309);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-メトキシフェニル(methyoxyphenyl))-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si311);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン塩酸塩(Si244);
3-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si312);
1-{4-[4-アミノ-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル]フェニル}エタノン(Si336);
3-(4-クロロフェニル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si337);
3-(4-メチルフェニル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si338);
3-(1H-インドール-5-イル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si339);
N-ベンジル-6-(sec-ブチルチオ)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si146);
6-(Sec-ブチルチオ)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si147);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(シクロペンチルチオ)-N-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si170);
6-(Sec-ブチルチオ)-N-(3-クロロフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si148);
2-(4-ベンジルアミノ-1-スチリル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-6-イルアミノ)-エタノール(Si74);
N-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-6-(メチルチオ)-1-[2-フェニルビニル]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si215);
N,6-ジベンジル-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si164);
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩である。
【0049】
好ましくは、プロドラッグは、式III
【0050】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0051】
[式中、Zは、CH又はNを表し;
R8は、H、アルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルキルアミノ、アルキル、S(CH2)pOH、S(CH2)pNH2、S(CH2)pNHCH3、S(CH2)pN(CH3)2、NH(CH2)pOH、NH(CH2)pNH2; NH(CH2)pNHCH3、NH(CH2)pNH(CH3)2 (pは、0から6までの整数である);
又は、式:
【0052】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0053】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【0054】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0055】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【0056】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0057】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; R8'及びR9'は、独立に、H又はCH3であり; mは、0から2までの整数である}
若しくは:
【0058】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0059】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖を表し;
R9は、
【0060】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0061】
{式中、R34'は、H又はアルキル又はシクロアルキル又は1-ピロリジニル又は4-モルホリニル又は1-ヘキサヒドロアゼピニル;
又は、式:
【0062】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0063】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖;
又は、式:
【0064】
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0065】
{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【0066】
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0067】
好ましくは
【0068】
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0069】
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルであり;
式中、R35'は、式:
【0070】
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0071】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; R36'は、H又はアルキル又はアリール又はアラルキルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【0072】
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
【0073】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
又は:
【0074】
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0075】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
を持つアルキル鎖である}
を表し;
R10は、
【0076】
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0077】
{式中、R27'は、H、CH3、CF3、F、Cl、Br、OH; O-アルキル、アルキルを表し;
R28'、R29'、R30'、R31'、R32'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である); SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、SO2HSO2CH3、PO2、PO(CH3)2、POHCH3、POH2、SO2Jであり、ここで、Jは:
【0078】
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【0079】
であり、式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数である}
を表す]
のプロドラッグである。
【0080】
プロドラッグにおいて一層好ましくは、Zは、Nであり、且つ/或いはR8は、H又はSMe又はSEt又はSCH2CH2-4-モルホリノであり;且つ/又は
R9は、
【0081】
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【0082】
[式中、R34'は、CH2C6H5又はCH2C6H4oCl又はC6H4mCl又は
C6H4mBr又はCH2CH2C6H5又はC6H5又はnBuであり; R35'は、
【0083】
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【0084】
である]であり、且つ/又はR10は、
【0085】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0086】
[式中、R27'は、H又はCl又はMeであり; R30'は、H又はBrであり; R28'、R29'、R31'、R32'は、Hである]
である。
【0087】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、医学的使用のため、好ましくはがんの治療及び/又は予防において、好ましくはSFK阻害薬剤として使用するためのものである。
【0088】
好ましくは、SFKはs-Srcである。より好ましくは、がんは、固形又は液体がんであり、好ましくは、がんは、神経芽細胞腫、膠芽細胞腫、骨肉腫、前立腺がん、肝細胞癌、白血病、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肝細胞癌、多形性膠芽腫、頭頸部の扁平上皮癌、黒色腫、乳がん、卵巣がん、膵臓がん、中皮腫からなる群から選択される。
【0089】
好ましくは、本発明の化合物は、神経変性疾患の治療において使用するためのものである。
【0090】
本発明は、固形腫瘍及び神経変性疾患からなる群から選択される疾患の治療及び/又は予防において使用するための、式IV:
【0091】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0092】
[式中、
Zは、CH又はNを表し;
R6は、H、
又は、式:
【0093】
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0094】
{式中、R22'、R23'、R24'、R25'、R26'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CO(C1〜6アルキル)、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【0095】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0096】
{式中、Lは、CH又はNであり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルを表し、
R8は、H、ベンジル、アルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルキルアミノ、アルキル、S(CH2)pOH、S(CH2)pNH2、S(CH2)pNHCH3、S(CH2)pN(CH3)2、NH(CH2)pOH、NH(CH2)pNH2; NH(CH2)pNHCH3、NH(CH2)pNH(CH3)2 (pは、0から6までの整数である);
又は、式:
【0097】
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0098】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり;
nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【0099】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0100】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
若しくは:
【0101】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0102】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Vは、シクロプロピル又はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり; R8'及びR9'は、独立に、H又はCH3であり; mは、0から2までの整数である}
若しくは:
【0103】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0104】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖を表し、
R10は、
【0105】
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0106】
{式中、R27'は、H、CH3、CF3、F、Cl、Br、OH; O-アルキル、アルキルを表し;
R28'、R29'、R30'、R31'、R32'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である); SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、SO2HSO2CH3、PO2、PO(CH3)2、POHCH3、POH2、SO2Jであり、ここで、Jは:
【0107】
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0108】
であり、式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数である}
を表し;
R37'及びR38'は、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、1-ピロリジニル、4-モルホリニル、1-ヘキサヒドロアゼピニル;
又は、式:
【0109】
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0110】
{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり、nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【0111】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0112】
好ましくは
【0113】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0114】
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルであり;
或いは、R11は、
【0115】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0116】
{式中、R34'は、H又はアルキル又はシクロアルキル又は1-ピロリジニル又は4-モルホリニル又は1-ヘキサヒドロアゼピニル;
又は、式:
【0117】
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0118】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; nは、0から4までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
を持つアルキル鎖、
又は、式:
【0119】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0120】
{式中、T及びUは、独立に、C又はNであり;
R12'、R13'、R14'、R15'、R16'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHCONH-C1〜6アルキル、NHSO2-C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
若しくは:
【0121】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0122】
好ましくは
【0123】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0124】
{式中、Mは、NH又はS又はOであり;
R17'、R18'、R19'、R20'、R21'は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール非置換若しくは置換された基、ハロ、ハロアルキル、OCH3、NO2、CN、CONH2、CONH-C1〜6アルキル、CON(C1〜6アルキル)2、NH2、NH-C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)2、NHC(O)アルキル、NHSO2C1〜6アルキル、SO2NH2、SO2NHC1〜6アルキル、SO2N(C1〜6アルキル)2、OQ'又はSQ' (ここで、Q'は、H、又はアルキル非置換若しくは置換された基、又はアリール非置換若しくは置換された基、又はアラルキル非置換若しくは置換された基である)であり; nは、0から4までの整数である}
を持つアラルキルであり;
式中、R35'は、式:
【0125】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0126】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; R36'は、H又はアルキル又はアリール又はアラルキルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【0127】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0128】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
又は:
【0129】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0130】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
を持つアルキル鎖である}
を表し;
但し、化合物:
N-(3-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)-1-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si214);
6-(メチルチオ)-N-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si276);
N-(3-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si277);
N-(3-ブロモフェニル)-6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si278)
N-ベンジル-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si34);
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(メチルチオ)-N-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si35);及び
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(3-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si83)
は除外される]を有する化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供する。
【0131】
好ましくは、
【0132】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
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[この文献は図面を表示できません]
【0133】
である、使用するための化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。好ましくは、腫瘍は、神経芽細胞腫、膠芽細胞腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肝細胞癌、多形性膠芽腫、頭頸部の扁平上皮癌、黒色腫、乳がん、卵巣がん、膵臓がん及び中皮腫からなる群から選択される。
【0134】
好ましくは、化合物は、更なる抗腫瘍性療法とともに使用するためのものである。より好ましくは、更なる抗腫瘍性療法は、放射線療法及び化学療法からなる群から選択される。一層好ましくは、化学療法は、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、イソトレチノイン及びシクロホスファミドからなる群から選択される。
【0135】
本発明は、上記で定義された通りの式Iの化合物又はその立体異性体若しくはプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0136】
好ましくは、薬学的に許容される担体は、リポソーム、アルブミン、シクロデキストリン及び金ナノ粒子等のナノ粒子からなる群から選択される。
【0137】
本発明は、請求項1に規定の式Iの化合物1のプロドラッグの調製のための方法であって、前記プロドラッグが、式III
【0138】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0139】
[式中、
R10は、
【0140】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0141】
であり、R28'、R29'、R31'及びR32'は、Hである]
のプロドラッグであり、
下記の工程:
【0142】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
[式中、R8、R27'、R28'、R29'、R30'、R31'、R32'、R34'は、請求項5に規定の通りであり、
R35'は、
式:
【0144】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0145】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; R36'は、H又はアルキル又はアリール又はアラルキルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【0146】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0147】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
又は:
【0148】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0149】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
を持つアルキル鎖である]
或いは、下記の工程:
【0150】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0151】
を含む、式Iの化合物の調製のための方法、或いは、下記の工程:
【0152】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
を含む、請求項3に規定の式IVの化合物又はその塩の調製のための方法、或いは、下記の工程:
【0154】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0155】
を含む、請求項3に規定の式IVの化合物又はその塩の調製のための方法、或いは、下記の工程:
【0156】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0157】
を含む、請求項3に規定の式IVの化合物又はその塩の調製のための方法、或いは、下記の工程:
【0158】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0159】
を含む、請求項3に規定の式IVの化合物Si74又はその塩の調製のための方法、或いは、下記の工程:
【0160】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
を含む、請求項3に規定の式IVの化合物Si164又はその塩の調製のための方法、
を提供する。
【0161】
本発明において、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0162】
用語「アルキル」は、炭素及び水素原子だけからなる、直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖基を指す。前記アルキルの好適な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニル、ヘキサデカニル、エイコサニル等を含むがこれらに限定されない。「アルキル置換された基」は、独立にそれぞれの炭素原子上の任意の水素原子が置換基によって独立に置き換えられていてよいことを意味し、置換基の好適な例は、F、Cl、Br、I、CF3、CN、O-C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、OH、S-C1〜6アルキル、COC1〜6アルキル、OCOC1〜6アルキル、CO2C1〜6アルキルを含むがこれらに限定されない。
【0163】
用語「C1〜6アルキル」は、炭素及び水素原子だけからなり、1から6個までの炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖基を指す。C1〜6アルキルの好適な例は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシルを含むがこれらに限定されない。
【0164】
用語「C2〜6アルキル」は、炭素及び水素原子だけからなり、2から6個までの炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖基を指す。C2〜6アルキルの好適な例は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシルを含むがこれらに限定されない。
【0165】
用語「C2〜6アルケニル」は、少なくとも1つの炭素間二重結合を含有し、炭素及び水素原子だけからなり、2から6個までの炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖不飽和炭化水素鎖基を指す。C2〜6アルケニルの好適な例は、エテニル、プロペニル、アリル、イソブテニル、ペンテニル、プレニル、エセニル(esenyl)等を含むがこれらに限定されない。
【0166】
用語「C2〜6アルキニル」は、少なくとも1つの炭素間三重結合を含有し、炭素及び水素原子だけからなり、2から6個までの炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖不飽和炭化水素鎖基を指す。C2〜6アルキニルの好適な例は、アセチレニル、エチニル、プロピニル等を含むがこれらに限定されない。
【0167】
用語「ハロアルキル」基は、好ましくは直鎖又は分枝鎖C1〜C10ハロアルキル基、より好ましくはC1〜C8ハロアルキル基、より好ましくは直鎖又は分枝鎖C1〜C6ハロアルキル基、さらにより好ましくは直鎖又は分枝鎖C1〜C4ハロアルキル基、より好ましくはC1〜C2ハロアルキル基であり、特に、CF3、CHF2、CH2Fである。
【0168】
用語「アリール」は、それぞれ、6、9又は10個の原子の単環式又は二環式芳香族環系を表し、そのようなアリールの好適な例は、フェニル、インデニル、インダニル並びにナフチル及びテトラヒドロナフタレニルである。「置換されたアリール」又は「アリール置換された基」は、独立にそれぞれの炭素原子上の水素原子が、置換基によって独立に置き換えられていてよいことを意味し、置換基の好適な例は、F、Cl、Br、I、CF3、CN、O-C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、OH、S-C1〜6アルキル、COC1〜6アルキル、OCOC1〜6アルキル、CO2C1〜6アルキルを含むがこれらに限定されない。
【0169】
用語「アラルキル」は、1個又は複数の水素原子を任意の基によって置き換えることによりアルキル基から誘導された任意の一価の基を表し、ここで、アリールは、本明細書において上記で定義された通りである。「アラルキル置換された基」は、独立にそれぞれの炭素原子上の任意の水素原子が、置換基によって独立に置き換えられていてよいことを意味し、置換基の好適な例は、F、Cl、Br、I、CF3、CN、O-C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、OH、S-C1〜6アルキル、COC1〜6アルキル、OCOC1〜6アルキル、CO2C1〜6アルキルを含むがこれらに限定されない。
【0170】
用語「シクロアルキル」は、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは3から7個までの炭素原子を有する、飽和単環式炭化水素環系を指す。シクロアルキル基の好適な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等を含む。
【0171】
用語「シクロアルキルアミノ」は、シクロアルキル-NH基を指し、ここで、シクロアルキル基は、本明細書において上記で定義された通りである。
【0172】
用語「シクロアルキルチオ」は、シクロアルキル-S基を指し、ここで、シクロアルキル基は、本明細書において上記で定義された通りである。
【0173】
用語「アルキルチオ」は、アルキル-S基を指し、ここで、アルキル基は、本明細書において上記で定義された通りである。
【0174】
用語「アルキルアミノ」は、アルキル-NH基を指し、ここで、アルキル基は、本明細書において上記で定義された通りである。
【0175】
タウオパチーは、ヒト脳におけるタウタンパク質の病理学的な凝集に関連する神経変性疾患の1つのクラスである。
【0176】
これらの病気のうち最も知られているのは、タウタンパク質がニューロン内に神経原線維のもつれ(NFT)の形態で堆積する、アルツハイマー病(AD)である。これらは、名祖Alois Alzheimerにより、障害に罹患している彼の患者の1人において最初に記述された。もつれは、tauとして公知である微小管関連タンパク質の過剰リン酸化によって形成され、それを不溶性形態で凝集させる(過剰リン酸化されたタウタンパク質のこれらの凝集は、PHF又は「対らせん状フィラメント」とも称される)。もつれ形成の正確な機構は完全には理解されておらず、もつれが疾患における主な原因因子であるか又はより周辺的な役割を果たしているかについて、依然として論争の的となっている。ADは、老人斑の存在により、アミロイドーシスとしても分類される。
【0177】
神経原線維のもつれが一般に観察される他の状態は、PHF tauではなく直線フィラメントを持つ進行性核上性麻痺、ボクサー認知症(慢性外傷性脳症)、染色体17と関係があるが検出可能なβ-アミロイド斑のない前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム、リティコ-ボディグ病(Lytico-Bodig disease) (グアムパーキンソン認知症複合)、最終的に老人において出現する、ADと同様のNFTを持つが斑のないもつれ優位型認知症(Tangle-predominant dementia)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、並びに鉛脳症、結節性硬化症、ハレルフォルデン・スパッツ病及びリポフスチン症を含む。
【0178】
ピック病及び大脳皮質基底核変性症において、タウタンパク質は、封入体の形態で、腫脹した又は「膨らんだ」ニューロン内に堆積する。
【0179】
別の種類の認知症である嗜銀顆粒性疾患(AGD)は、脳組織の顕微鏡検査時における豊富な嗜銀顆粒及びコイル体の存在によって特徴付けられる。アルツハイマー病の一種であるとみなす人もいる。これは、進行性核上性麻痺及び大脳皮質基底核変性症等の他のタウオパチーと、並びにピック病とも共存しうる。いくつかの他のタウオパチーは、前頭側頭型認知症又は前頭側頭葉変性症を含む。非アルツハイマータウオパチーは、時に、「ピック複合」として一緒にグループ化される。
【0180】
本発明の化合物の塩も、本発明の範囲内に包括される。薬におけるそれらの潜在的使用により、式I、II、III及びIVの化合物の塩は、好ましくは薬学的に許容される。好適な薬学的に許容される塩は、式I、II、III及びIVの化合物の、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸又はリン酸)による、又は有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、安息香酸、スルファニル酸、2-アセトキシ-安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、グリコール酸、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸)による塩化によって取得された従来の非毒性塩を含む。好適な薬学的塩に関する総説については、(37)を参照されたい。薬学的に許容されない他の塩、例えば、トリフルオロ酢酸塩は、本発明の化合物の調製において有用となることができ、これらは本発明の更なる態様を形成する。本発明は、その範囲内に、式I、III及びIVの化合物の塩のすべての可能な化学量論的及び非化学量論的形態を含む。
【0181】
加えて、式I、III及びIVの化合物は、非溶媒和、及び水、EtOH等の薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で、存在しうる。
【0182】
式I、III及びIVのある特定の化合物は、立体異性形態で存在しうる(例えば、1個又は複数の不斉炭素原子を含有しうる)。個々の立体異性体(鏡像異性体及びジアステレオマー)及びこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、式I、III及びIVによって表される化合物の、1つ又は複数のキラル中心が反転しているその異性体との混合物としての個々の異性体も網羅する。同様に、式I、III及びIVの化合物が式中に示されているもの以外の互変異性形態で存在してよく、これらも本発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0183】
本発明は、本発明の化合物のすべての好適な同位体変化物も含む。本発明の化合物の同位体変化物は、少なくとも1個の原子が、同じ原子数を有するが自然界において通常見られる原子質量とは異なる原子質量を有する原子によって置き換えられているものとして定義されている。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例は、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F及び36CI等の同位体を含む。本発明のある特定の同位体変化物、例えば、3H又は14C等の放射性同位体が組み込まれたものは、薬物及び/又は基質組織分布研究において有用である。更に、重水素2H等の同位体による置換は、より優れた代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点をもたらしうる。本発明の化合物の同位体変化物は、概して、例証的な方法によって、又は好適な試薬の適切な同位体変化物を使用する以下の例において記述されている調製によって等、従来の手順によって調製されうる。
【0184】
本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、添加剤及び/又は賦形剤とを含む、医薬組成物も提供する。
【0185】
医薬組成物は、治療要件に基づいて選択されうる。そのような組成物は、混和によって調製され、経口又は非経口投与に好適に適合され、そのため、錠剤、カプセル剤、経口調製物、散剤、顆粒剤、丸剤、注射用又は注入用液体溶液、懸濁剤、坐剤、吸入用調製物の形態で投与されうる。
【0186】
経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、通常、単位用量形態で提示され、結合剤、充填剤(セルロース、マンニトール、ラクトースを含む)、賦形剤、錠剤化剤、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムを含む)、洗剤、崩壊剤(例えば、ポリビニルピロリドン及びデンプングリコール酸ナトリウム等のデンプン誘導体)、着色剤、香味剤、及び湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)等の従来の添加剤を含有する。
【0187】
経口固形組成物は、混和、充填又は錠剤化の従来の方法によって調製することができる。混和操作を繰り返して、大量の充填剤を含有する組成物の全体にわたって活性成分を配分することができる。そのような操作は慣用されている。
【0188】
経口液体調製物は、例えば、水性若しくは油性懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤又はエリキシル剤の形態であってよく、或いは使用前の水又は好適なビヒクルによる再構成のための乾燥製品として提示されてもよい。そのような液体調製物は、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル又は水素化食用油脂;レシチン、ソルビタンモノオレエート又はアカシア等の乳化剤;アーモンド油、分画したヤシ油、グリセリン、プロピレングリコール又はエチルアルコールのエステル等の油性エステル等の非水性ビヒクル(食用油を含みうる);メチル若しくはプロピルp-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸等の保存料、及び所望ならば、従来の香味又は着色剤等、従来の添加物を含有することができる。経口製剤は、腸溶コーティングされた錠剤又は顆粒剤等の従来の徐放製剤も含む。
【0189】
吸入による投与のための医薬調製物は、注入器又はネブライザー加圧パックから送達することができる。
【0190】
非経口投与のために、化合物及び滅菌ビヒクルを含有する流体単位剤形が調製されうる。化合物は、ビヒクル及び濃度に応じて、懸濁又は溶解されうる。非経口溶液は、通常、化合物をビヒクルに溶解し、濾過により滅菌し、好適なバイアルを充填し、密封することによって調製される。有利には、局部麻酔薬、保存料及び緩衝剤等のアジュバントをビヒクルに溶解してもよい。安定性を増大させるために、バイアルを充填し、真空下で水を除去した後、組成物を凍結させてよい。非経口懸濁液は、化合物を、溶解する代わりにビヒクルに懸濁してよく、滅菌ビヒクルに懸濁する前にエチレンオキシドへの曝露によって滅菌してよいことを除き、実質的に同じ様式で調製される。有利には、本発明の化合物の均一な分布を容易にするために、組成物中に界面活性剤又は湿潤剤が含まれてよい。
【0191】
口腔内又は舌下投与のために、組成物は、錠剤、ロゼンジ剤、パステル剤又はゲル剤であってよい。
【0192】
化合物は、経直腸投与のために、例えばココアバター、ポリエチレングリコール又は他のグリセリド等の従来の坐剤基剤を含有する、坐剤又は停留浣腸として薬学的に製剤化されてよい。
【0193】
本発明の化合物を投与する別の手段は、局所治療に関係する。局所製剤は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、ペースト剤を含有することができ、且つ/又はリポソーム、ミセル及び/若しくはミクロスフェアを含有することができる。軟膏剤の例は、植物油、動物性脂肪、半固体炭化水素等の油性軟膏剤、ヒドロキシステアリンサルフェート(hydroxystearin sulfate)、無水ラノリン、親水ワセリン、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート、ステアリン酸等の乳化性軟膏剤、種々の分子量のポリエチレングリコールを含有する水溶性軟膏剤を含む。製剤専門家には公知であるように、クリーム剤は、粘性液体又は半固体エマルションであり、油相、乳化剤及び水性相を含有する。油相は、概して、ワセリン及びセチル又はステアリルアルコール等のアルコールを含有する。眼への局所投与に好適な製剤は、点眼剤も含み、ここで、活性成分は、好適な担体、とりわけ活性成分のための水性溶媒に溶解又は懸濁される。
【0194】
本発明の化合物を投与する更なる方法は、経皮送達に関係する。典型的な経皮製剤は、クリーム、油、ローション又はペースト等の従来の水性及び非水性ベクターを含むか、或いは、膜又は薬用パッチ剤の形態であってよい。
【0195】
製剤についての参考文献は、Remingtonによる書籍38である。
【0196】
本発明の化合物は、上記で言及した状態の治療及び/又は予防における使用のために、単独療法として単独で、或いは別個の投与によって又は同じ医薬製剤に2つ以上の活性成分を含むことによってのいずれかで、他の治療剤と組み合わせて用いられてよい。化合物は、同時に又は逐次に投与されうる。
【0197】
他の治療剤は、現在市場に出回っている抗腫瘍薬又は化合物であってよい。好適な追加の作用物質の非網羅的な例は、特に、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、イソトレチノイン及びシクロホスファミドのグループに属する薬物を含む。
【0198】
組合せは、治療の個々の成分の別個の組成物(同時、逐次)として、又は両方の作用物質を含有する単一剤形として投与することができる。本発明の化合物が他の活性成分と組み合わせられる場合、活性成分は、上述した形態の1つの、単一原料の調製物に別個に製剤化され、次いで、同じ時間又は異なる時間に与えられる組合せ調製物として提供されてもよいし、2つ以上の成分の調製物に一緒に製剤化されてもよい。
【0199】
一般式I、III及びIVの化合物は、例えば、1日当たり体重1kgにつき0.001から1000mgの総日用量で、患者に投与されうる。投薬量単位組成物は、日用量を構成するために、その約数のような量を含有しうる。化合物は、毎週又は任意の他の日に投与されてもよい。特定の患者のための最適な投薬量の決定は、当業者に周知である。慣例として、組成物には、通常、問題の治療において使用するための書面での又は印刷された説明書が添付される。
【0200】
ここで、下記の図面を参照し、非限定的な例を利用して、本発明を例証する:
【図面の簡単な説明】
【0201】
図1】PP2、ダサチニブ、化合物Si34、Si214、Si192及びS34の分子構造を示す図である。
図2】野生型cSrcと複合体とした阻害剤Si192 (PDB-コード: 4O2P)を示す図である。2.1Å解像度におけるSi192の実験的電子密度が示されている(1σで等高線が引かれた2Fo-Fcマップ)。キナーゼドメインは、活性DFG-in立体配座にあり、阻害剤の、Thr338 (ゲートキーパー)との、したがってMet341の骨格アミドとの水素結合相互作用は、赤色の点線として例証されている。ヒンジ領域(橙色)、ヘリックスC (青緑色)、DFG-モチーフ(ピンク色)及び阻害剤Si192 (黄色の棒)。
図3】A)互いに整列した結晶構造の鎖A (赤紫色)及びB (アクアマリン色)を示す図である。2つの立体配座の間の差異は、活性化ループ、αC-ヘリックス及びP-ループのレベルで観察された。B) MC/FEP計算に使用した鎖A (赤紫色)及びB (アクアマリン色)である。結晶構造において不足残基をモデル化した。
図4A】移動相n-ヘキサン/2-プロパノールに5%のアセトニトリルをドープしたもの90:10 (v/v)を用いる0.8mL/分の流速でのキラルセルODにおけるSi192ラセミ化合物の分析的HPLC分解能を示す図である(Rt1 31.33分、Rt2 36.22分)。
図4B】移動相n-ヘキサン/2-プロパノールに5%のアセトニトリルをドープしたもの90:10 (v/v)を用いる0.8mL/分の流速でのキラルセルODにおける単一の分離された鏡像異性体に対する分析的HPLC再実行を示す図である。
図4C】移動相n-ヘキサン/2-プロパノールに5%のアセトニトリルをドープしたもの90:10 (v/v)を用いる0.8mL/分の流速でのキラルセルODにおける単一の分離された鏡像異性体に対する分析的HPLC再実行を示す図である。
図5】ラセミ混合物の分離から得られた化合物3の鏡像異性体のCDスペクトル(メタノール、室温)を示す図である。第一の溶出液は黒色であり、第二の溶出液は灰色である。
図6】漸増濃度(0.1、1、10、50uM)の異なる化合物(Si192、Si303、Si304、Si306、Si307、Si313、Si318、Si329、Si322、Si330、Si323、Si332)で処理した神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に対する生存率試験を示す図である。ビヒクル処理細胞(対照細胞= 100%)に対する生存細胞の百分率が示されている。この実験は、SH-SY5Y細胞増殖を阻害する際における各化合物の効力を実証する。データは、少なくとも3つの異なる実験からの平均百分率及びSDを表す。対照細胞に対するスチューデントのt検定により*P<0.01。
図7】SH-SY5Y細胞成長の評価を示す図である。細胞を、Si306、1μMの存在下でスフェロイドとして培養した。スフェロイドの平均面積を、実験の項において記述されている通り、24、48及び72時間で計算した。コントラスト顕微鏡によって撮影されたエンドポイントにおける細胞培養物の代表的な画像を右側に示す。スチューデントのt検定により*P<0.01。CTR=ビヒクルで処理した対照。
図8】0.1μMダサチニブ及び漸増濃度のSi306による処理後のSH-SY5Y細胞の細胞周期分布の分析を示す図である。SH-SY5Y細胞の状態を、ヨウ化プロピジウム染色後にサイトフルオロメトリー(cytofluorimetry)によって調査し、結果を、全生存細胞に対する細胞周期の各期における細胞の百分率として表現した。アポトーシスは、低二倍体細胞の数を計算することによって評価し、全細胞(生存及び死細胞)に対するアポトーシス細胞の百分率として表現した。結果は、3つの異なる実験の平均± SDである。*p<0.01 (スチューデントのt検定)対ビヒクルで処理した対照細胞の値(対照)。
図9】Si306の抗腫瘍性効果の評価を示す図である。A) NBのげっ歯類モデルにおけるSi306 (50mg/kg)又はダサチニブ(50mg/kg)処理による腫瘍成長の阻害。腫瘍異種移植片をモニターして、腫瘍塊の直径を測定した。B)内皮細胞を用いる発芽アッセイによって評価されたSi306の抗血管新生効果。ヒストグラムは、各実験条件についてのスフェロイド当たりの新芽の平均数を示す。代表的な画像を右側に示す。スチューデントのt検定により*P<0.01。CTR=ビヒクルで処理した対照。
図10】CTRL (CTRL=ビヒクルで処理した対照細胞)に対する細胞の百分率として表現されたGBM U251細胞の数を示す図である。U251細胞を、Si306、5μM及び30μMで72時間にわたって処理した。各実験点について、生存及び死細胞の百分率が示されている。スチューデントのt検定により*P<0.01対対照。
図11】CTRL (CTRL=ビヒクルで処理した対照細胞)に対する百分率として表現されたU87細胞の数を示す図である。U87細胞を、Si306、5μM及び30μMで72時間にわたって処理した。各実験点について、生存及び死細胞の百分率が示されている。スチューデントのt検定により*P<0.01対対照。
図12】CTRL (CTRL=ビヒクルで処理した対照細胞)に対する百分率として表現されたU87細胞の数を示す図である。U87細胞を、Si306、10μM及び漸増濃度のマイトマイシンC (MIT.C、0.02〜20μM)で72時間にわたって処理した。CTR=ビヒクルで処理した対照細胞。スチューデントのt検定により*P<0.01対対照。
図13】CTRL (CTRL=ビヒクルで処理した対照細胞)に対する百分率として表現されたU251細胞の数を示す図である。U251細胞を、Si306、10μM及び漸増濃度のマイトマイシンC (MIT.C、0.02〜20μM)で72時間にわたって処理した。スチューデントのt検定により*P<0.01対対照。
図14】GBMのインビボモデルを示す図である。マウスを、Si306及び放射線療法(RX)で処理した。(A)実験終了時における腫瘍質量のヒストグラム。U87細胞を免疫不全マウスに皮下接種することによって取得されたGBMのインビボモデルから、腫瘍を切り取った。マウスを、放射線(RX、4Gy)で1回及び50mg/kgのSi306 (306)で1日おきに30日間にわたって処理した。(B)切り取られた腫瘍の代表的な画像を示す。CTR=ビヒクルで処理した対照。RX処理は、約40% (対CTR)の低減を誘発した。Si306は、約50% (対CTR)の低減を誘発する。組み合わせた治療(放射線+ Si306)は、約80% (対CTR)の低減を誘発した。スチューデントのt検定により*P<0.01対対照。
図15】放射線(RX、4Gy)及び1μM又は10μMのSi306による処理後のU87細胞によって形成されたコロニーの数を示す図である。CTR=ビヒクルで処理した対照細胞。スチューデントのt検定により*P<0.01対対照。
図16】アルファ-SMA発現についての免疫組織化学アッセイを示す図である。図14において記述されている通りの実験からの腫瘍塊を、間質コンパートメントの組成について分析した。特に、筋線維芽細胞のマーカーであるアルファ-SMA (褐色染色)発現は、Si306で処理されていないマウスから切り取られた腫瘍においてのみ明白であった。
図17】PDGFR-ベータ及びアルファ-SMA発現のウエスタンブロット分析を示す図である。ヒト線維芽細胞を、筋線維芽細胞分化の公知のインデューサーであるTGF-ベータで、及びLY2157299 (5μM、TGF-ベータ受容体の阻害剤)又はSi306 (1μM)で処理した。線維芽細胞のTGF-ベータ分化は、PDGFRベータ及びアルファ-SMAの上方調節によって実証された。Si306は、この分化に対抗することができ、その効果は、LY2157299 (TGF-ベータ受容体の特異的阻害剤)と同様であった。
図18】GBMの同所性移植マウスモデルの生存曲線(日)を示す図である。U87細胞を、マウス脳に同所性注射し、マウスを4つの群(1群当たり7匹のマウス)に分けた:ビヒクルを受けている対照群(CTRL); 50mg/kgのSi306 (週に3回4週間にわたって)を受けているSi活性薬物群; 50mg/kgのpro-Si306 (週に3回4週間にわたって)を受けているSiプロドラッグ群; RT:放射線(RX、4Gy)で1回処理した群。生存時間を記録し、Si306及びpro-Si306群をCTRL及びRT群と比較する統計的分析を実施した。
図19】漸増濃度の異なる化合物(A、B、C、D)で処理した白血病K562細胞の増殖アッセイから生成されたシグモイド曲線を示す図である。IC50及び標準偏差を含む曲線の数学的特徴を、表に示す。
図20A】Si308及びSi309が、分化したSH-SY5Y細胞においてTyr17-TauのAβ42媒介性リン酸化を阻害することを示す図である。Tyr17-TauのAβ42媒介性リン酸化のウエスタンブロット分析は、異なる量の化合物Si308及びSi309の投与から1.5時間後に実施した。
図20B】Si308及びSi309が、分化したSH-SY5Y細胞においてTyr17-TauのAβ42媒介性リン酸化を阻害することを示す図である。データを化学発光によって定量化した。実験は三連で行われたものであり、エラーバーは±SEMを表す。
図20C】Si308及びSi309が、分化したSH-SY5Y細胞においてTyr17-TauのAβ42媒介性リン酸化を阻害することを示す図である。Tyr17-TauのAβ42媒介性リン酸化のウエスタンブロット分析は、異なる量の化合物Si308及びSi309の投与から6時間後に実施した。
図20D】Si308及びSi309が、分化したSH-SY5Y細胞においてTyr17-TauのAβ42媒介性リン酸化を阻害することを示す図である。データを化学発光によって定量化した。実験は三連で行われたものであり、エラーバーは±SEMを表す。
図21】Si20、proSi20、Si278及びproSi278 (0.1μM、1μM及び10μM)で72時間にわたって処理し、対照細胞に対する百分率として表現した、神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞の生存率分析を示す図である。各グラフは、薬物とそれぞれのプロドラッグとの間の比較を示す。少なくとも3つの異なる実験からのデータ(平均及びSD)。
図22】1及び10μMの異なる薬物及びそれぞれのプロドラッグで72時間にわたって処理した膠芽細胞腫細胞株(U251及びU87)の生存率試験からの結果を示すヒストグラムの図である。異なる3つの実験からの平均及びSD。
図23】薬物及びそれぞれのプロドラッグのパネルの抗腫瘍性活性を白血病細胞K562において試験したことを示す図である。細胞を、各薬物又はプロドラッグについて1及び10μMで72時間にわたって処理した。結果を、未処理細胞に対する平均百分率及びSDとして表現する(3つの異なる実験)。
図24】化合物(ProSi306及びその加水分解で誘導された薬物Si306、及びSi306)を、HPLC-UV-MS分析により、脳及び血漿組織において定義された時点で定量化したことを示す図である。Balb/cマウスを、ProSi306及びSi306、50mg/Kgで、腹腔内注射により、24時間にわたって処理した。実験は、三連で実施した。
図25】Balb/cマウスにおける化合物(Si306 e proSi306) 50mg/Kgの腹腔内注射によって取得された生体内分布を示す図である。囲まれているエリアは、Si306のみで処理したマウスの脳及び血漿において見られたproSi306及びSi306 (proSi306の加水分解に由来する)の量を示す。バー(*)は、遊離薬物Si306で処理したマウスの脳及び血漿において見られた薬物Si306の量を表す。実験は、四連で実施した。測定は、24時間の処理後に実施した。試料をHPLC-UV-MSによって分析した。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0202】
化合物合成及びその特徴付け
1.1- X線構造及び計算研究
c-Src-SI192の結晶化及び構造決定。
Michalczykら58によって先に報告されているものと同様の条件を使用して、阻害剤SI192をc-Srcと共結晶化した。手短に述べると、最終濃度の540μM阻害剤(DMSO中100mMストック)及び180μM野生型c-Src (50mMトリス pH8.0、100mM NaCl、1mM DTT、5%グリセロール(v/v)中に貯蔵)を氷上で1時間にわたってプレインキュベートして、結晶化前に酵素-阻害剤複合体を形成した。1μLタンパク質-阻害剤溶液を1μLリザーバー溶液(0〜30mM NaCl、pH7.0、9〜20%エチレングリコール)と混合した後、懸滴法を使用し、20℃で結晶を成長させた。30% (v/v)グリセロールの更なる添加により、すべての結晶を凍結させた。c-Src-SI192複合体結晶の回折データを、Swiss Light Source(PSI社、Villingen、Switzerland)のPX10SAビームラインで、1Åに近い波長を使用して2.1Åの解像度まで収集した。データセットをXDS60で加工し、XSCALE59-60を使用してスケーリングした。
【0203】
c-Src-SI192の構造決定及び精密化。公開されているc-Src構造2OIQ62をテンプレートとして使用するPHASER61を用いる分子置き換えによって、c-Src-阻害剤複合体構造を解明した。不斉単位中の2個のc-Src分子を、プログラムCOOTを使用して手動で改変した63。モデルを、最初にシミュレートしたアニーリングを使用してCNS64で精密化して、モデルバイアスを除去した。最終精密化は、REFMAC5を用いて実施した65。阻害剤トポロジーファイルは、Dundee社PRODRG2サーバーを使用して生成した66。精密化された構造をPROCHECKで検証した67。詳細データ、精密化及びラマチャンドラン統計を、Table 1 (表1)に提供する。
【0204】
【表1】
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【0205】
コンピューターモデリング
ループモデリングプロトコール。c-SrcのFASTA配列をクエリーとして使用し、本発明者らの結晶構造(SI192と複合体としたc-Src)の2つの鎖の座標を今度はテンプレートとして用い、プログラムPrimeを使用することによって不足残基を構築した68。各鎖について、正確さのレベルとして「拡張」を選択する(6と11残基との間のループ長のために推奨される)ことによってシリアルループサンプリングアプローチを適用し、最低エネルギー立体配座を次の分析のために確保しておいた。同様に、Primeを使用して、Cys277不足残基の構築によって鎖BのA-ループを充填し、鎖A中に存在しないアミノ酸300及び301を組み立てた69。戻す構造の最大数を10に設定した。10kcal/molのエネルギーカットオフを適用した。ループ立体配座がクラスター化し、各クラスターの代表を選択した。最高得点のループ構造を最後に選択した。
【0206】
モンテカルロ/自由エネルギー摂動。MC/FEP計算は、MCPROプログラム及び下記の標準的なプロトコールを用いて実施した70,71。c-Src-リガンド複合体についてのZ-マトリックスは、本発明者らの結晶構造(PDB-コード: 4O2P)内のSI192のポーズから出発し、分子成長プログラムBOMB70を用いて取得した。モデルは、リガンドに最も近い160のアミノ酸残基を含んでいた。すべての複合体について、初期構造に対し、短コンジュゲート勾配最小化を行って、あらゆる不都合な接触を解放した。遊離リガンドについての座標は、複合体からの抽出によって取得した。次に、OPLS/CM1Ax力場及びGB/SA水和を用いるBOSS72プログラムを使用して、リガンドについて1500工程の立体配座の検索分析を行った。結果として生じた、最低エネルギーを持つ配座異性体をFEP計算に使用した。未結合のリガンド及び複合体を、25Åの半径を持つTIP4P水球体(「キャップ」)と溶媒和させた。溶質原子と密着しすぎている水分子は除去した。各システムについて全体的な電荷中性を維持するために、少数の遠隔側鎖を中和した。任意のリガンドの10Å以内のリガンド及びタンパク質側鎖を、MCシミュレーション中にサンプリングした。唯一の制約は側鎖における結合長さであり、すべての主鎖原子を短コンジュゲート勾配最小化後に凍結させた。システムのためのエネルギー論を、タンパク質についてはOPLS-AAx力場、及びリガンドについてはOPLS/CM1Axを用いて評価した73。CM1A原子電荷を、中性分子については1.14倍でスケーリングした。結合の自由エネルギーにおける差異は、1つのリガンドから、水中で遊離している及びタンパク質と結合している両方の別のリガンドへの変換を必要とする通常の熱力学サイクルから決定した。FEP計算では、11ウィンドウの単純な重複サンプリングを利用した。未結合のリガンドについては、各ウィンドウは、平衡の40Mコンフィギュレーション及び平均化のための60Mコンフィギュレーションからなるものであった。結合の計算については、各ウィンドウは、溶媒のみ平衡の20Mコンフィギュレーション、完全平衡の40Mコンフィギュレーション及び平均化の50Mコンフィギュレーションを網羅していた。ハロゲン結合スキャンの場合、コンフィギュレーションの数は、平衡の60M及び平均化の80Mまで増大した。すべてのMCシミュレーションは、298Kで実行した。
【0207】
X線構造及び計算研究。C6置換された誘導体結合モードのより深い構造的な理解を獲得するために、本発明者らは、c-Srcのキナーゼドメイン(aa 256〜533)とヒット化合物Si192との複合体の結晶構造を決定した。回折データを2.1Å解像度まで収集し、その後のデータ加工及び精密化は、この文書において鎖A及び鎖Bと称される結晶セルユニット内に、2個のタンパク質分子を呈した。経験的に決定されたタンパク質-リガンド構造の比較分析及び先のドッキング研究は、c-Srcに対してSi192の一致する結合モードを例証した(図2)20。C4アニリノ置換基及びN1側鎖は、疎水性領域I及びII内にそれぞれ位置付けられている。更に、X線構造は、2つの予測された水素結合の存在を裏付け、これは、Thr338側鎖及びピラゾロピリミジン足場のN2と相互作用してMet341の骨格と接触するC4アミノ基を伴うものであった。注目すべきことに、同じ結合配向は、化合物Si192について、各鎖のATP結合ポケット内で観察された。しかしながら、活性化ループの多くの残基が十分に定義されていないにもかかわらず(鎖A中の413から424まで及び鎖B中の411から424まで)、2つの鎖の間の有意な差異は、そのような柔軟なループの3D転位において(aa 402〜423)並びにαC-ヘリックスの位置において(aa 303〜318)及びグリシンリッチなループ立体配座において(aa 273〜281)観察された(図3A)。特に、鎖Aにおいて、Glu310側鎖は、Tyr527でリン酸化されたc-Srcの閉鎖及び阻害されたもの(PDBコード: 2SRC)と同様の立体配座を採用しているATP結合部位から離れて突出している75。対照的に、鎖Bにおいて、Glu310は、その側鎖が、活性部位に向けられて活性キナーゼの典型であるLys295との塩橋を形成しているのを示す。その上、鎖Aにおいて、活性化ループの解明されたアミノ酸(Phe405〜Asp413)は、リン酸化c-Src (PDBコード: 2SRC)と同一ではないが同様に3ターンのアルファヘリックスに配置されている75。逆もまた同様に、鎖Bの決定された活性化ループは、c-Srcの活性立体配座(PDBコード: 1Y57)について解明されたものを想起させるものである76。鎖AとBとの間の別の有意な差異は、DFGモチーフの配向にあり、鎖Aにおいて、Glu404は、その側鎖をATP結合部位中に深く突出しており、それにより、C4置換基を内包する疎水性ポケットIのサイズを低減させる。小分子阻害剤の存在下におけるc-Srcの構造的可塑性については、最近記述された77。立体配座の差異を考慮に入れるために、両方の鎖をその後の計算研究すべてにおいて使用した。最初に不足残基を充填するために分子モデリングプロトコールを適用し(詳細については上記の実験の項を参照)、2つの精密化された鎖を互いに整列させた(図3B)。これらの完成した構造から出発し、モンテカルロ自由エネルギー摂動(MC/FEP)計算の結果によって主に導かれる計算的駆動アプローチを使用して、Si192の最適化を追求した78。とりわけ、Si192のラセミ混合物をX線結晶構造の調製に使用したが、R-鏡像異性体のみが両方の鎖中のキナーゼ活性部位内で結合することができると分かり、キラル中心についての更なる調査に向かって本発明者らの研究を後押した。c-Srcに対する2つの鏡像異性体の活性において差異は観察されなかった(以下のインビトロ生物学的活性の段落、Table 6 (表7)を参照)。
【0208】
次に、本発明者らは、c-Srcキナーゼに対する親和性を増大させることによってSi192の活性を最適化することを狙いとして、C4アニリノ環に着目した。MC/FEPハロゲン(塩素、臭素及びフッ素)及びヒドロキシルスキャンを実施して、C4アニリノ水素の置換に最も有望な部位及び基を同定した。現在の計算において、オルト位2,6及びメタ位3,5は、各配座異性体について別個のシミュレーションを必要とするMC実行中には相互変換しないため、同等ではない。Table 2 (表2)における環の番号付けによれば、OHによる水素の置き換えは、開始複合体が鎖Bを使用して構築された場合、C2、C3及びC4においてそれぞれ5.11、4.89、1.49kcal/molで好都合(結合の正の自由エネルギー、ΔΔGb)、C5及びC6で不都合(それぞれ-6.68及び-5.08kcal/molのΔΔGb)と予測された。
【0209】
【表2】
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【0210】
正のΔΔGb値は、C2における、塩素、臭素又はフッ素の導入でも見られた(それぞれ、4.8、1.28及び1.96kcal/mol)。対照的に、鎖Aにおいて、これらの置換基の実体は、負のΔΔGbを持つ不都合なものとなった(Table 3 (表3))。
【0211】
【表3】
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【0212】
MC/FEP結果を考慮に入れて、研究中の化合物の水溶性及びc-Src結合親和性の両方を増大させるために、C4アニリノ環にm-OH置換基を担持するピラゾロ[3,4-d]ピリミジン誘導体の集中的ライブラリーを合成した。更に、メタ位において、臭素、塩素及びフッ素で置換された類似体も合成し、不都合な転帰の予測にもかかわらず、構造活性相関を拡張するための酵素アッセイ(Table 4 (表4))において試験した。これらの最後の置換に関して、本発明者らの阻害剤とATP結合部位との間のハロゲン結合の可能性も、m-Br及びm-Cl置換基を考慮した鎖A及びB両方に対するハロゲン結合スキャンによって調査した(Table 4 (表4))。
【0213】
【表4】
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【0214】
ハロゲン結合相互作用の限界効果は、鎖Bシミュレーション中、C5位における塩素及び臭素置換基について見られ(それぞれ、1.14及び0.35kcal/mol)、一方、鎖Aを使用した場合には負の結果が取得された。ハロゲン結合の計算された正の寄与は、Cl又はBrの、ルイス塩基として働くIle336のカルボニル骨格との相互作用によるものであった。しかしながら、この寄与は、C4アニリノ基のメタ位における臭素又は塩素の導入のために計算された結合の総自由エネルギーに対して限定された効果を有するに過ぎず、依然として概して負のままである。要約すれば、MC/FEP結果の分析は、C4アニリノ環の3位において水素をヒドロキシル基によって置き換えることにより、c-Src結合親和性が増強されうることを明らかに強調するものであった。この置換は、c-Srcの活性立体配座と本明細書において研究されているピラゾロ[3,4-d]ピリミジンとの間の複合体の安定化を可能にする。リガンドの3-OHとGlu310側鎖との間の水素-結合相互作用は、通常、Lys295との塩橋の形成に関与し、疑う余地なく、結合親和性に重要な寄与をする。その一方で、2位におけるヒドロキシル基又はハロゲンの導入も好都合として予測されたため、本発明者らの将来の研究に供されるであろう。
【0215】
1.2-化学:材料及び方法
出発材料は、Aldrich-Italia社(Milan、Italy)から購入した。融点は、Buchi社530装置を用いて決定したものであり、補正していない。IRスペクトルは、Perkin-Elmer社398分光光度計を用い、KBr又はCHCl3中で測定した。1H NMRスペクトルは、400MHzにて、CDCl3又は(CH3)2SO中、Bruker社Avance DPX400分光計で記録した。化学シフトは、内部標準J (単位Hz)としてのTMSに対するδ(ppm)として報告される。1Hパターンは、下記の略語を使用して記述される: s =一重線、d =二重線、t =三重線、q =四重線、quint =五重線、sx =六重線、sept=七重線、m =多重線、br =広域シグナル、br s =広域一重線。TLCは、Merck TLCプレートシリカゲル60 F254を使用して行った。クロマトグラフィー精製は、フラッシュ技術のためのMerck 60シリカゲル、230〜400メッシュを詰めたカラムで実施した。
【0216】
元素分析は、元素分析装置EA 1110 (Fison-Instruments社、Milan、Italy)を用いて決定され、分析された、すべての合成した化合物の純度は95%超であった。
【0217】
質量スペクトル(MS)データは、Agilent 1100 LC/MSD VLシステム(G1946C)を使用し、0.4mL/分の流速で、95:5メタノール/水の二成分溶媒系を使用して取得した。UV検出は、254nmでモニターした。MSは、50〜1500m/zの範囲にわたってスキャンして、正ES (+)及び負ES (-)モードで獲得した。下記のイオン源パラメーターを使用した:乾燥ガス流量、9mL/分;ネブライザー圧力、40psig;乾燥ガス温度、350℃。
【0218】
本発明において、下記の略語が使用される:
【0219】
【表5】
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【0220】
別段の指示がある場合を除き、すべての温度は、℃(摂氏度)又はK (ケルビン)で表現される。
【0221】
収率は、別段記載されていなければ、生成物が純度100%であったと仮定して計算される。
【0222】
化合物(SI又はSiは同じである) Si192、Si181、Si319、Si320、Si321、Si328、Si315、Si316、Si317、Si318、Si322、Si331、Si188、Si189、Si190、Si323、Si171、Si170、Si330、Si176、Si174、Si138、Si135、Si109、Si180、Si182、Si34、Si39、Si1001、Si1003は、本発明者らが先に報告した手順によって合成し、中間体6、7、8、12、16、24a-b、24a-b、Si58及び26は、本発明者らが既に報告した18,20,21,22,23
【0223】
鏡像異性体分離(図4及び5)
ラセミ体Si192のキラル分離。
計測器
キラル分離研究は、手動注入バルブ付きバイナリポンプ及びモデルProstar 325 UV-VIS検出器を備えたVarian Prostar HPLCシステム(Varian Analytical Instruments社、USA)で行った。CD検出は、Jasco CD-815円二色性分散計(日本分光株式会社、東京、日本)で実現した。旋光度は、Perkin-Elmer Mod 343旋光計を用い、589nmで10-1dmマイクロセルを使用して決定した。濃度はg mL-1として表現する。
【0224】
エナンチオ選択的カラム及び化学物質
多糖由来のカラムは、10μmのシリカゲルにコーティングされたセルローストリス-3,5-ジメチルフェニルカルバメート(250mm×4.6mm、Chiralcel OD)であった。キラルカラムは、株式会社ダイセル社(東京、日本)から入手した。溶媒及び試薬はすべて、Sigma Aldrich Srl社(Milan、IT)製であった。
【0225】
LC (液体クロマトグラフィー)エナンチオ選択的条件
クロマトグラフ分離は、周囲温度で、移動相n-ヘキサン/ 2-プロパノールにアセトニトリル5%をドープしたもの90:10 (v/v)を使用して行った。検出は、280nmで行った。注入体積は、20μLであった。10mgのラセミ体から出発して、4mgのSi192 (R) (tR: 31分33秒)及び4mgのSi192 (S) (tR:36分20秒)が取得された(図4)。
【0226】
CD (円偏光二色性(cicular dichroism))条件
CDスペクトルは、線形データアレイ、2つの蓄積物及び100nm分-1のスキャン速度を用いる、Jasco J-815偏光二色性分光計で獲得した。1.0mm経路長の石英セルを使用し、CDスペクトルを室温で記録した。ラセミ混合物の分離により溶出された化合物から取得したCDスペクトルを、190〜400nmの範囲内で獲得した。純粋な鏡像異性体をメタノールに溶解して、0.001mol L-1の溶液を得た。3回のスキャンを平均し、ブランク減算して、CDスペクトルを取得した(図5)。
【0227】
すべての標的化合物は、理論値との比較による元素分析によって検証される通り、95%以上の純度を保有していた。
【0228】
[2-(4-フルオロフェニル)エチル]ヒドラジン(2)。
【0229】
【化65】
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【0230】
イソプロパノール(10mL)中の1-(2-ブロモエチル)-4-フルオロベンゼン1 (5g、24.6mmol)の溶液を、イソプロパノール(200mL)中のヒドラジン一水和物(10mL、206.2mmol)の溶液に滴下添加し、反応物を10時間にわたって還流させた。室温に冷却した後、過剰のヒドラジン及び溶媒を減圧下で除去した。次いで、40%KOH溶液(10mL)を添加し、水性相をジエチルエーテル(3×15mL)で抽出した。有機相を今度はH2O (2×15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で蒸発させて油状物を得、これを、バルブ・ツー・バルブ蒸留によって精製して、2を淡黄色油状物(3.1g、81%)として得て、これを粗製のまま次の工程において使用した。
【0231】
エチル5-アミノ-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(3)。
【0232】
【化66】
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【0233】
無水トルエン(30mL)中の[2-(4-フルオロフェニル)エチル]ヒドラジン2 (1.54g、10mmol)及びエチル(エトキシメチレン)シアノアセテート(1.69g、10mmol)の溶液を、80℃で8時間にわたって加熱した。溶液を減圧下で半分の体積に濃縮し、室温に冷却させた。得られた黄淡色固体を濾過し、トルエンから再結晶させて、所望の化合物3を白色固体(2.16g、78%)として得た;融点: 129〜131℃。
【0234】
【数1】
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【0235】
エチル5-{[(ベンゾイルアミノ)カルボノチオイル]アミノ}-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(4)。
【0236】
【化67】
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【0237】
無水THF(10mL)中のエチル5-アミノ-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート3 (500mg、1.8mmol)及びベンゾイルイソチオシアネート (0.97mL、7.2mmol)の溶液を、12時間にわたって還流させた。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテル(20mL)を添加することにより、粗製物が白色固体として結晶化した(713mg、90%);融点: 185〜187℃。
【0238】
【数2】
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【0239】
1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-6-チオキソ-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(5)。
【0240】
【化68】
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【0241】
2N NaOH (10mL)中のエチル5-{[(ベンゾイルアミノ)カルボノチオイル]アミノ}-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート4 (600mg、1.36mmol)の溶液を、10時間にわたって還流させ、次いで、H2O (10mL)で希釈し、氷酢酸で酸性化した。4℃で12時間後、結晶化した固体を濾過し、無水エタノールから再結晶させて、1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-6-チオキソ-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン5を白色固体(249mg、63%)として得た;融点: 257〜259℃。
【0242】
【数3】
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【0243】
化合物9、10、11の合成のための一般的手順。
無水DMF (1mL)及び無水エタノール(3mL)中の、1-置換6-チオキソ-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン5又は6又は7のいずれか(1mmol)と、4-(2-クロロエチル)モルホリン(224mg、1.5mmol)、NaOH (40mg、1mmol)との混合物を、6時間にわたって撹拌還流した。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、混合物を冷水(20mL)に注ぎ入れた。得られた固体を濾過し、水で洗浄し、無水エタノールから再結晶させた。
【0244】
1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(9)。
【0245】
【化69】
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【0246】
白色固体(347mg、86%);融点: 213〜215℃。
【0247】
【数4】
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【0248】
6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(10)。
【0249】
【化70】
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【0250】
白色固体(197mg、51%);融点: 197〜198℃。
【0251】
【数5】
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【0252】
6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(11)。
【0253】
【化71】
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【0254】
白色固体(200mg、50%);融点: 128〜130℃。
【0255】
【数6】
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【0256】
化合物13、14、15の合成のための一般的手順。
POCl3 (0.74mL、8mmol)及び無水DMF (590mg、8mmol)から予め調製したビルスマイヤー錯体を、CH2Cl2 (10mL)中の9、10、11又は12のいずれか(1mmol)の懸濁液に添加した。混合物を6〜12時間にわたって還流させた。化合物14及び15については、溶液を、4N NaOH溶液(2×10mL)、水(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製油状物を、溶出液としてジエチルエーテルを使用するカラムクロマトグラフィー(Florisil (登録商標)、100〜200メッシュ)によって精製して、純粋な生成物を得た。
【0257】
4-クロロ-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(13)。
【0258】
【化72】
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【0259】
白色固体(363mg、86%);融点: 101〜102℃。
【0260】
【数7】
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【0261】
4-クロロ-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(14)。
【0262】
【化73】
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【0263】
黄色油状物(323mg、80%)。
【0264】
【数8】
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【0265】
4-クロロ-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(15)。
【0266】
【化74】
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【0267】
黄色油状物(288mg、69%)。
【0268】
【数9】
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【0269】
化合物Si303、Si313、Si314、Si307、Si327、Si306の合成のための一般的手順。
好適なアニリン(2mmol)を、無水エタノール(5mL)中の4-クロロ誘導体13、14、15又は16 (1mmol)の溶液に添加し、混合物を3〜5時間にわたって還流させた。室温に冷却した後、得られた固体を濾過し、水で洗浄し、無水エタノールから再結晶させた。
【0270】
N-(3-クロロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si303)。
【0271】
【化75】
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【0272】
白色固体(233mg、47%);融点: 235〜237℃。
【0273】
【数10】
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【0274】
6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-N-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si313)。
【0275】
【化76】
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【0276】
白色固体(332mg、70%);融点: 212〜213℃。
【0277】
【数11】
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【0278】
N-(3-フルオロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si314)。
【0279】
【化77】
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【0280】
白色固体(182mg、37%);融点: 236〜237℃。
【0281】
【数12】
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【0282】
N-(3-クロロフェニル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si307)。
【0283】
【化78】
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【0284】
淡黄色固体(265mg、52%);融点: 247〜249℃。
【0285】
【数13】
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【0286】
N-(3-クロロフェニル)-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si327)。
【0287】
【化79】
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【0288】
白色固体(159mg、31%);融点: 127〜128℃。
【0289】
【数14】
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【0290】
N-(3-ブロモフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si306)。
【0291】
【化80】
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【0292】
白色固体(350mg、61%);融点: 232〜233℃。
【0293】
【数15】
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【0294】
化合物Si332、Si329の合成のための一般的手順。
3-アミノフェノール(545mg、5mmol)を、無水エタノール(10mL)中の好適な4-クロロ誘導体14又は15 (1mmol)の溶液に添加し、混合物を3〜5時間にわたって還流させた。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗製物を酢酸エチル(10mL)に溶解し、0.1N HCl溶液(2×10mL)、1N NaOH溶液(10mL)、ブライン(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色油を得、これは、ジエチルエーテル/石油エーテルの1:1混合物(沸点40〜60℃)を添加することによって4℃で結晶化した。必要ならば、得られた固体を、溶出液としてCH2Cl2を使用するシリカゲルクロマトグラフィーカラムによって精製した。化合物Si332及びSi329を塩酸塩として得た。
【0295】
3-{[6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}フェノール塩酸塩(Si332)。
【0296】
【化81】
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【0297】
淡黄色固体(261mg、51%);融点: 261〜262℃。
【0298】
【数16】
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【0299】
3-{[6-[(2-モルホリン-4-イルエチル)チオ]-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}フェノール塩酸塩(Si329)。
【0300】
【化82】
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【0301】
淡黄色固体(248mg、47%);融点: 177〜178℃。
【0302】
【数17】
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【0303】
18a、18b、18c、18d、18eの合成のための一般的手順。
鉱油中60%水素化ナトリウム分散液(1.21g、30.3mmol)を、0/5℃で予冷した乾燥THF (25mL)中のマロニトリル(1.00g、15.1mmol)の溶液に、小バッチで添加した。0/5℃で30分後、好適な塩化アシル(15.1mmol)を滴下添加した。橙色溶液を室温で2〜12時間にわたって撹拌し、次いで、硫酸ジメチル(1.75mL、18.2mmol)をゆっくり添加し、溶液を3〜6時間にわたって還流させた。最後に、乾燥THF (2mL)に溶解した2-ヒドラジノ-1-フェニルエタノール17 (4.62g、30.2mmol)を添加し、反応物を4時間にわたって還流させた。室温に冷却した後、水(25mL)及び濃NH3 (5mL)を撹拌しながら添加した。15分後、THFを減圧下で除去し、水性相をCH2Cl2 (3×30mL)で抽出した。有機相を、水(15mL)、ブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で蒸発させた。粗製物を、溶出液としてEt2O/PE (沸点40〜60℃)を使用するフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル0.060〜0.200mm、40Å)によって、勾配溶出(3:1→9:1)で精製して、化合物18a、18b、18c、18d又は18eを得た。
【0304】
5-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(18a)。
【0305】
【化83】
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【0306】
白色固体(1.54g、32%);融点: 175〜176℃。
【0307】
【数18】
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【0308】
5-アミノ-3-(4-クロロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(18b)。
【0309】
【化84】
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【0310】
白色固体(2.50g、49%);融点: 173〜174℃。
【0311】
【数19】
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【0312】
5-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-3-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(18c)。
【0313】
【化85】
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【0314】
白色固体(2.02g、42%);融点: 172〜174℃。
【0315】
【数20】
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【0316】
5-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(18d)。
【0317】
【化86】
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【0318】
白色固体(2.50g、50%);融点: 144〜145℃。
【0319】
【数21】
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【0320】
5-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(18e)。
【0321】
【化87】
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【0322】
白色固体(1.84g、40%);融点: 165〜166℃。
【0323】
【数22】
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【0324】
19a、19b、19c、19d、19eの合成のための一般的手順。
ホルムアミド(18mL、450mmol)中の好適な中間体18a、18b、18c、18d又は18e (3mmol)の懸濁液を、190℃で3〜4時間にわたって加熱し、次いで、水(40mL)に注ぎ入れた。粗固体を濾過し、水で洗浄し、エタノールに懸濁し、木炭とともに10分間にわたって沸騰させた。固体はエタノールの沸点で溶解した。木炭濾過後、化合物19b、19c又は19eが純粋な固体として沈殿した。化合物19a又は19dが沈殿し、溶出液としてCH2Cl2/CH3OH (98:2)を使用するフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル0.060〜0.200mm、40Å)によって更に精製して、純粋な油を得て、これは、Et2O/PEの混合物(沸点40〜60℃) (1:1)を添加することにより、ゆっくり結晶化した。
【0325】
2-[4-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]-1-フェニルエタノール(19a)。
【0326】
【化88】
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【0327】
白色固体(497mg、48%);融点: 190〜192℃。
【0328】
【数23】
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【0329】
2-[4-アミノ-3-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]-1-フェニルエタノール(19b)。
【0330】
【化89】
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【0331】
白色固体(509mg、46%);融点: 200〜201℃。
【0332】
【数24】
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【0333】
2-[4-アミノ-3-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]-1-フェニルエタノール(19c)。
【0334】
【化90】
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【0335】
白色固体(496mg、48%);融点: 93〜95℃。
【0336】
【数25】
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【0337】
2-[4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]-1-フェニルエタノール(19d)。
【0338】
【化91】
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【0339】
白色固体(427mg、39%);融点: 161〜163℃。
【0340】
【数26】
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【0341】
2-(4-アミノ-3-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)-1-フェニルエタノール(19e)。
【0342】
【化92】
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【0343】
白色固体(549mg、55%);融点: 160〜161℃。
【0344】
【数27】
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【0345】
Si244、Si308、Si309、Si310、Si311の合成のための一般的手順。
SOCl2 (80μL、1.1mmol)を、乾燥CH2Cl2 (5mL)中の好適な中間体19a、19b、19c、19d又は19e (0.5mmol)の溶液に滴下添加し、反応物を、窒素雰囲気下、室温で12時間にわたって撹拌した。水(5mL)及び1N NaOH (1mL)を慎重に添加し、水性相をCH2Cl2 (2×5mL)で抽出した。次いで、有機相を、水(5mL)、ブライン(5mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。Et2O/PEの混合物(沸点40〜60℃) (1:1)を添加して、最終化合物Si308、Si309、Si310又はSi311が白色固体として得られた。黄色油状物になった化合物Si244は、乾燥Et2O中のHClの飽和溶液を添加することにより、塩酸塩として沈殿した。
【0346】
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si310)。
【0347】
【化93】
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【0348】
白色固体(125mg、68%);融点: 203〜206℃。
【0349】
【数28】
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【0350】
3-(4-クロロフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si308)。
【0351】
【化94】
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【0352】
白色固体(65mg、34%);融点: 150〜151℃。
【0353】
【数29】
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【0354】
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si309)。
【0355】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【0356】
白色固体(90mg、49%);融点: 159〜160℃。
【0357】
【数30】
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【0358】
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si311)。
【0359】
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【0360】
白色固体(146mg、77%);融点: 152〜153℃。
【0361】
【数31】
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【0362】
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-3-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン塩酸塩 (Si244)。
【0363】
【化97】
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【0364】
白色固体(135mg、70%);融点: 129〜132℃。
【0365】
【数32】
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【0366】
5-アミノ-1H-ピラゾロ-4-カルボニトリル(20)の合成。
【0367】
【化98】
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【0368】
ヒドラジン一水和物(800μL、16.4mmol)を、無水エタノール(10mL)中の(エトキシメチレン)マロノニトリル(2g、16.4mmol)の溶液に添加し、混合物を4時間にわたって還流させた。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させた。次いで、冷水(50mL)を添加し、粗製物を濾過し、水(3×40mL)で洗浄して、化合物20を赤色固体(1.40g、81%)として得た;融点: 172〜174℃。(文献値74%;融点: 169〜170℃)。
【0369】
1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(21)の合成。
【0370】
【化99】
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【0371】
5-アミノ-1H-ピラゾロ-4-カルボニトリル20 (400mg、3.7mmol)及びホルムアミド(5mL、125.8mmol)の溶液を、200℃で1時間にわたって撹拌した。室温に冷却した後、水を添加し(20mL)、得られた固体を濾過した。粗生成物を温水(40mL)及び濃HCl (5mL)に懸濁し、次いで、木炭(600mg)を添加し、混合物を15分間にわたって沸騰させた。木炭濾過後、濃NH3を添加し、沈殿した固体を濾過して、化合物21を白色固体(405mg、81%)として得た;融点353〜356℃。(文献値58%、融点>300℃)。
【0372】
3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(22)の合成。
【0373】
【化100】
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【0374】
N-ヨードコハク酸イミド(2g、8.9mmol)を、乾燥DMF(5mL)中の1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン21 (800mg、5.9mmol)の溶液に添加し、混合物を、窒素雰囲気下、80℃で14時間にわたって加熱した。室温に冷却した後、水を添加し(20mL)、沈殿した固体を濾過し、水(50mL)で洗浄した。粗生成物を無水エタノールから再結晶させて、化合物22を薄黄色固体(1.31g、85%)として得た;融点272〜275℃。(文献値97%)。
【0375】
3-ヨード-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(23)の合成。
【0376】
【化101】
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【0377】
K2CO3 (600mg、4.34mmol)を、乾燥DMF (5mL)中の3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン22 (400mg、1.53mmol)の溶液に添加し、混合物を50℃で1時間にわたって加熱した。1-ブロモ-2-フェニルプロパン(350μL、2.30mmol)を添加し、反応物を130℃で18時間にわたって撹拌した。室温に冷却した後、水を添加し(30mL)、沈殿した固体を濾過し、溶出液としてCH2Cl2/MeOH (95:5)の混合物を使用するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル0.060〜0.200mm、40Å)によって精製して、化合物23を白色固体(390mg、67%)として得た;融点265〜268℃。
【0378】
【数33】
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【0379】
Si312、Si336、Si337、Si338、Si339の合成のための一般的手順。好適なボロン酸(1.08mmol)を、乾燥トルエン(5mL)中の3-ヨード-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン23 (100mg、0.27mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、窒素雰囲気下、室温で10分間にわたって撹拌した。次いで、Cs2CO3 (350mg、1.07mmol)及びPdCl2(dppf) (20mg、10%mol)を添加した。反応物を90℃で14時間にわたって撹拌した。室温に冷却した後、水(70mL)を添加し、水性懸濁液をEtOAc (2×40mL)で抽出した。有機相を水(40mL)及びブライン(40mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮して、粗製物を得、これを、溶出液としてCH2Cl2/MeOHの混合物(95:5)を使用するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル0.060〜0.200mm、40Å)によって精製して、化合物Si312、Si336、Si337、Si338又はSi339を得た。
【0380】
3-フェニル-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si312)。
【0381】
【化102】
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【0382】
白色固体(24mg、27%);融点: 105〜109℃。
【0383】
【数34】
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【0384】
1-{4-[4-アミノ-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル]フェニル}エタノン(Si336)。
【0385】
【化103】
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【0386】
黄色固体(50mg、50%);融点232〜235℃。
【0387】
【数35】
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【0388】
3-(4-クロロフェニル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si337)。
【0389】
【化104】
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【0390】
黄色固体(42mg、43%);融点153〜154℃。
【0391】
【数36】
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【0392】
3-(4-メチルフェニル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si338)
【0393】
【化105】
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【0394】
薄褐色固体(30mg、32%);融点152〜155℃。
【0395】
【数37】
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【0396】
3-(1H-インドール-5-イル)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si339)。
【0397】
【化106】
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【0398】
薄褐色固体(30mg、30%);融点240〜241℃。
【0399】
【数38】
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【0400】
6-(sec-ブチルチオ)-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(24c)の合成。
【0401】
【化107】
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【0402】
無水DMF(10mL)中の、1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-6-チオキソ-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン8 (2.88g、10mmol)、2-ブロモブタン(1.11mL、10.14mmol)及び無水K2CO3 (1.38g、10mmol)の混合物を、室温で24時間にわたって撹拌した。混合物を冷水に注ぎ入れ、得られた白色固体を濾過し、水で洗浄し、酢酸エチルで再結晶させた。白色固体(1.58g、46%);融点: 171〜172℃。
【0403】
【数39】
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【0404】
6-(sec-ブチルチオ)-4-クロロ-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(25c)の合成。
【0405】
【化108】
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【0406】
POCl3 (9.32mL、100mmol)及び無水DMF (7.7mL、100mmol)から予め調製したビルスマイヤー錯体を、CHCl3 (50mL)中の6-(sec-ブチルチオ)-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン24c (3.44g、10mmol)の懸濁液に添加した。混合物を8時間にわたって還流させた。溶液を水(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製油状物を、溶出液としてジエチルエーテルを使用するカラムクロマトグラフィー(Florisil (登録商標)、100〜200メッシュ)によって精製して、純粋な生成物を得た。黄色油状物(1.91g、50%)。
【0407】
【数40】
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【0408】
化合物Si146及びSi147の合成のための一般的手順。好適なアミン(4mmol)を、無水トルエン(5mL)中の4-クロロ誘導体25c (381mg、1mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で48時間にわたって撹拌した。有機相を水(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製油状物を、溶出液としてジエチルエーテルを使用するカラムクロマトグラフィー(Florisil (登録商標)、100〜200メッシュ)によって精製した。化合物は、Et2O/石油エーテル(PE)の1:1混合物(沸点40〜60℃)を添加することによって結晶化した。
【0409】
N-ベンジル-6-(sec-ブチルチオ)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si146)。
【0410】
【化109】
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【0411】
白色固体(271mg、60%);融点: 112〜113℃。
【0412】
【数41】
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【0413】
6-(Sec-ブチルチオ)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-N-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si147)。
【0414】
【化110】
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【0415】
白色固体(368mg、79%);融点: 97〜98℃。
【0416】
【数42】
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【0417】
化合物Si170及びSi148の合成のための一般的手順。適切なアニリン(2mmol)を、無水エタノール(5mL)中の4-クロロ誘導体25b又は25c (1mmol)の溶液に添加し、混合物を3〜5時間にわたって還流させた。室温に冷却した後、得られた固体を濾過し、水で洗浄し、無水エタノールから再結晶させた。
【0418】
1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(シクロペンチルチオ)-N-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si170)。
【0419】
【化111】
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【0420】
白色固体(206mg、44%);融点: 226〜227℃。
【0421】
【数43】
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【0422】
6-(Sec-ブチルチオ)-N-(3-クロロフェニル)-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si148)。
【0423】
【化112】
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【0424】
白色固体(236mg、50%);融点: 213〜214℃。
【0425】
【数44】
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【0426】
N-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-6-(メチルチオ)-1-[2-フェニルビニル]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si215)の合成。
【0427】
【化113】
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【0428】
4N NaOHの溶液(2mL)を、95%エタノール(12mL)中のN-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンSi58 (458mg、1mmol)の懸濁液に添加し、混合物を5時間にわたって還流させた。冷却した後、固体を濾過し、水で洗浄し、無水エタノールから再結晶させた。白色固体(273mg、65%);融点: 104〜106℃。
【0429】
【数45】
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【0430】
2-(4-ベンジルアミノ-1-スチリル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-6-イルアミノ)-エタノール(Si74)の合成。
【0431】
【化114】
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【0432】
エタノールアミン(180μL、3mmol)を、ブタン-1-オール(16mL)及びDMSO (4mL)中の26 (405mg、1mmol)の懸濁液に添加し、混合物を90℃で12時間にわたって加熱した。室温に冷却した後、ブタン-1-オールを減圧下で除去し、次いで、水(20mL)を添加し、溶液を酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、有機相を水(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で蒸発させた。得られた固体を濾過し、無水エタノールから再結晶させた(recrystalized)。白色固体。(255mg、66%);融点: 148〜149℃。
【0433】
【数46】
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【0434】
6-ベンジル-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(28)の合成。
【0435】
【化115】
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【0436】
ナトリウム(138mg、6mmol)及び無水エタノール(5mL)から調製したナトリウムエトキシドの溶液並びにフェニル酢酸メチル(900mg、6mmol)を、無水エタノール(5mL)中の5-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド27 (246mg、1mmol)の溶液に添加した。混合物を6時間にわたって還流させ、室温に冷却した後、氷水(30mL)を添加し、溶液を3%酢酸で酸性化した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、無水エタノールから再結晶させて、化合物28白色固体(200mg、58%)を得た;融点: 205〜207℃。
【0437】
【数47】
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【0438】
6-ベンジル-4-クロロ-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(29)の合成。
【0439】
【化116】
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【0440】
POCl3 (2.80mL、30mmol)及び無水DMF (2.3mL、30mmol)から予め調製したビルスマイヤー錯体を、CHCl3 (10mL)中の6-ベンジル-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン28 (346mg、1mmol)の懸濁液に添加した。混合物を12時間にわたって還流させた。溶液を水(2×20ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製油状物を、溶出液としてジエチルエーテルを使用するカラムクロマトグラフィー(Florisil (登録商標)、100〜200メッシュ)によって精製して、化合物を黄色油状物として得て、これを、Et2O/PEの1:1混合物(沸点40〜60℃) (1:1)を添加することにより、冷蔵庫内で静置させて結晶化した。白色固体(320mg、84%);融点: 172〜173℃。
【0441】
【数48】
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【0442】
N,6-ジベンジル-1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(Si164)。
【0443】
【化117】
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【0444】
ベンジルアミン(440μL、4mmol)を、無水トルエン(5mL)中の4-クロロ誘導体29 (383mg、1mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で48時間にわたって撹拌した。有機相を水(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製油状物を、Et2O/PEの1:1混合物(沸点: 40〜60℃)を添加することによって結晶化して、Si164を得た。白色固体(250mg、55%);融点: 125℃。
【0445】
【数49】
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【0446】
【化118】
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【0447】
【化119】
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【0448】
【化120】
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【0449】
【化121】
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【0450】
【化122】
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【0451】
【化123】
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【0452】
【化124】
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【0453】
1.3-化学:考察
化合物Si327は、1-(2-ブロモエチル)-4-フルオロベンゼン1の、ヒドラジン一水和物との、イソプロパノール中、還流させながら10時間にわたる反応(スキーム1)によって得た、[2-(4-フルオロフェニル)エチル]ヒドラジン2から出発して合成した。ヒドラジン誘導体2を、エチル(エトキシメチレン)シアノアセテートと、無水トルエン中、80℃で8時間にわたって反応させて、エチル5-アミノ-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート3を得て、これを、ベンジルイソチオシアネートにより、無水THF中、還流させながら12時間にわたって処理して、中間体4を得た。この化合物を、次に、2N NaOHによる100℃で10分間にわたる処理、続いて、酢酸による酸性化により、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジノン5に環化した。C6位のチオカルボニル基の、4-(2-クロロエチル)モルホリンによる、無水DMF中、アルコール性NaOH溶液の存在下でのアルキル化により、化合物9を得て、これを、ビルスマイヤー錯体(POCl3/DMF、1:1)により、CH2Cl2中、還流させながら12時間にわたって処理して、ハロゲン化合物13を得た(スキーム2)。最後に、後者を、過剰の3-クロロアニリンと、無水エタノール中、還流させながら5時間にわたって反応させて、所望の化合物Si327を得た。C6にN-モルホリノ-エタンチオ置換基を担持する他の化合物の合成は、スキーム2において報告されている。本明細書においてTable 2 (表2)に示されている比較化合物Si181は、本発明者らが先に報告したものである21。4-(2-クロロエチル)モルホリンによる誘導体5〜820のチオカルボニル基のアルキル化により、6-アルキルチオ誘導体9〜12を得て、これを次に、ビルスマイヤー錯体(POCl3/DMF、1:1)により、CH2Cl2中、還流させながら6〜8時間にわたって処理して、C4に塩素原子を担持する化合物13〜16を取得した。最後に、13〜16の、好適なアニリンとの、無水エタノール中、還流させながら3〜5時間にわたる反応により、所望のSi化合物を良好な収率で得た。
【0454】
3-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンSi244、Si308、Si309、Si310及びSi311の合成は、3成分ワンポット合成を使用して実施した24。水素化ナトリウムを、0/5℃で予冷した乾燥THF中のマロノニトリルの溶液に、小バッチで添加し、30分後、好適な塩化アシルを添加し、溶液を室温で2〜12時間にわたって撹拌した。次いで、硫酸ジメチルを添加し、溶液を3〜6時間にわたって還流させた。最後に、乾燥THF (2mL)に溶解した2-ヒドラジノ-1-フェニルエタノール17を添加し、反応物を4時間にわたって還流させて、中間体18a〜cを得て、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。化合物18a〜cをホルムアミドに懸濁し、混合物を190℃で3〜4時間にわたって加熱して、ピラゾロ-ピリミジン19a〜cを得て、これを次に、塩化チオニルと、乾燥CH2Cl2中、窒素雰囲気下、室温で12時間にわたって反応させて、最終化合物Si308、Si309及びSi310を得た(スキーム3)。先に記述したワンポット反応が非常に低い収率につながったことから、化合物Si312、Si337、Si336、Si338及びSi339の合成は、鈴木クロスカップリングを介して実施した。(エトキシメチレン)マロノニトリルの、ヒドラジン一水和物との反応によって得られた5-アミノ-1H-ピラゾロ-4-カルボニトリル2020を、ホルムアミドとの、200℃で1時間にわたる反応によって環化して、1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン21を得た20。21の、N-ヨードコハク酸イミド(NIS)との、乾燥DMF中、窒素雰囲気下、80℃で14時間にわたる反応により、3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン22を得た26。これを次に、K2CO3及び1-ブロモ-2-フェニルプロパンにより、130℃で18時間にわたって処理して、3-ヨード-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン23を良好な収率で得た。最後に、化合物23を、過剰の好適なボロン酸と、Cs2CO3及びPdCl2(dppf)の存在下、乾燥トルエン中、90℃で14時間にわたって反応させて、化合物Si336及びSi339を得た(スキーム4)。化合物Si170、Si146、Si147、Si148及びSi74の合成は、本発明者らが先に報告した1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-6-チオキソ-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン8から出発して実施した20。C6チオカルボニル基の、好適な臭化アルキルとの、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中、室温でのアルキル化により、6-アルキルチオ誘導体24a〜cを得て、次に、ビルスマイヤー錯体(POCl3/DMF、1:1)により、CHCl3中で処理して、ジクロロ-誘導体25a〜cを得た。最後に、過剰の適切なアミンとの、トルエン中、室温での反応により、化合物Si146、Si147、Si58及びSi34を良好な収率で得た。それとは異なって、化合物Si170及びSi148は、25b、cを、好適なアニリンと、無水エタノール中、還流させながら3〜5時間にわたって反応させて得た。化合物Si215は、Si34の、4N NaOH溶液による、還流させながら5時間にわたる処理によって得た (スキーム5)。化合物Si39の、メタ-クロロ過安息香酸(mCPBA)による、CHCl3中での酸化により、6-メチルスルホニル誘導体26を得た。最後に、Si74は、メチルスルホニル基の、2-アミノエタノールによる、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びブタン-1-オール中、90℃で12時間にわたる求核置換により、良好な収率で得た (スキーム6)。化合物Si164は、27から出発して得られ18、これを、ビルスマイヤー錯体により、CHCl3中、還流させながら12時間にわたって塩素化し、ジクロロ誘導体29を得て、これをベンジルアミンと反応させて、Si164を得た(スキーム7)。
【実施例2】
【0455】
2-ADMEアッセイ:
2.1-ADMEアッセイ:材料及び方法
化学物質。すべての溶媒、試薬はSigma-Aldrich Srl社(Milan、Italy)製であり、脳極性脂質抽出物(ブタ)はAvanti Polar Lipids社(Alabama、USA)製であった。ドデカンはFluka社(Milan、Italy)から購入した。プールされた男性ドナー20mg mL-1 HLMはBD Gentest-Biosciences社(San Jose、California)製であった。ミリQ品質の水(Millipore社、Milford、MA、USA)を使用した。疎水性フィルタープレート(MultiScreen-IP、透明プレート、0.45μm細孔直径)、96ウェルマイクロプレート及び96ウェルUV透過マイクロプレートは、Millipore社(Bedford、MA、USA)から入手した。
【0456】
並列人工膜透過性アッセイ(PAMPA)。ドナー溶液(0.5mM)は、リン酸緩衝液(pH7.4、0.025M)を使用して、1mMジメチルスルホキシド(DMSO)化合物ストック溶液を希釈することによって調製した。フィルターを、5μLのホスファチジルコリンの1% (w/v)ドデカン溶液、又はCHCl3溶液10%w/vから調製した4μLの脳極性脂質溶液(20mg mL-1 16%CHCl3、84%ドデカン)で、それぞれ腸透過性及びBBB透過性のためにコーティングした。ドナー溶液(150μL)をフィルタープレートの各ウェルに添加した。アクセプタープレートの各ウェルに、300μLの溶液(リン酸緩衝液中50%DMSO)を添加した。すべての化合物を、3つの異なるプレート中で異なる日に試験した。サンドイッチを、穏やかに振とうしながら、室温で5時間にわたってインキュベートした。インキュベーション時間後、プレートを分離し、試料をレシーバー及びドナー側の両方から採取し、280nmにおけるUV検出でLCを使用して分析した。
【0457】
LC分析は、手動注入バルブ付きバイナリポンプ及びモデルProstar 325 UV-VIS検出器を備えたVarian Prostar HPLCシステム(Varian Analytical Instruments社、USA)を用いて実施した。クロマトグラフ分離は、Polaris C18-Aカラム(150〜4.6mm、5μm粒径)を0.8mL分-1の流速で、60%ACN/40%H2O-ギ酸0.1%から構成される移動相を使用して行った。
【0458】
PAMPAについての透過性(Papp)は、Wohnsland及びFaller27並びにSuganoら28の方程式から入手した下記の方程式:
【0459】
【数50】
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【0460】
[式中、VAはアクセプターウェル中における体積であり、VDはドナーウェル中における体積(cm3)であり、Aは膜の「有効面積」(cm2)であり、tはインキュベーション時間(秒)であり、rはアクセプター中における薬物濃度と全体積(VD+VA)中における薬物の平衡濃度との比である]に若干の修正を加えたものに従って計算して、透過性値を単位cm秒-1で取得した。薬物濃度は、ピーク面積積分を使用して推定される。
【0461】
膜保持(%)は、下記の方程式:
【0462】
【数51】
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【0463】
[式中、rは、アクセプター中における薬物濃度と平衡濃度との比であり、D、A及びEqは、それぞれ、ドナー、アクセプター及び平衡溶液中における薬物濃度を表していた]に従って計算した。
【0464】
水溶性アッセイ。各固体化合物(1mg)を、1mLの水に添加した。試料を、シェーカー浴中、室温で24〜36時間にわたって振とうした。懸濁液を0.45μmのナイロンフィルター(Acrodisc社)に通して濾過し、可溶化した化合物をLC-MS-MSアッセイによって決定した。各化合物について、決定を三連で実施した。
【0465】
定量化に使用したのは、真空溶媒脱気装置、2つのポンプ(212-LC)、ESインターフェース付きのトリプル四重極MSD (Mod. 320-LC)質量分析計、及びVarian MSワークステーションシステムコントロールバージョン6.9ソフトウェアを含むVarian装置(Varian社)からなるLC-MSシステムであった。クロマトグラフ分離は、3μmの粒径を持つPursuit C18カラム(50×2.0mm) (Varian社)及び勾配溶出(溶出液AはACNであり、溶出液Bはギ酸の水溶液(0.1%)からなる)を使用して取得した。分析は、0%の溶出液Aから出発し、これを10分間で70%まで直線的に増大させ、次いで、最大15分、98%までゆっくり増大させた。流速は0.2mL分-1であり、注入体積は5μLであった。機器はポジティブモードで操作し、パラメーターは、検出器1850V、乾燥ガス圧25.0psi、脱溶媒和温度300.0℃、霧化ガス40.0psi、針5000V及びシールド600Vであった。窒素をネブライザーガス及び乾燥ガスとして使用した。衝突誘起解離は、アルゴンを衝突ガスとして使用し、衝突セル内、1.8mTorrの圧力で実施した。転移並びに各化合物に使用したキャピラリー電圧及び衝突エネルギーを、Table 5 (表6)にまとめる。
【0466】
【表6A】
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【0467】
【表6B】
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【0468】
ミクロソーム安定性アッセイ。DMSO溶液中の各化合物を、125mMリン酸緩衝液(pH7.4)、5μLのヒト肝臓ミクロソームタンパク質(0.2mg mL-1)中、NADPH-生成システムの存在下、0.5mLの最終体積(化合物最終濃度、50μM)にて、37℃で60分間にわたってインキュベートし、DMSOは2% (最終溶液)を超えなかった。氷上で冷却し、1.0mLのアセトニトリルを添加することによって、反応を停止させた。次いで、反応混合物を遠心分離し、その後、親薬物及び代謝物をLC-UV-MSによって決定した。
【0469】
クロマトグラフィー分析は、真空溶媒脱気装置、バイナリ高圧勾配ポンプ、1100シリーズUV検出器及び1100 MSDモデルVLベンチトップ型質量分析計によって構成される、Agilent 1100 LC/MSD VLシステム(G1946C) (Agilent Technologies社、Palo Alto、CA)を用いて実施した。
【0470】
クロマトグラフ分離は、Varian社Polaris C18-Aカラム(150〜4.6mm、5μm粒径)及び勾配溶出(溶出液AはACNであり、溶出液Bはギ酸の水溶液(0.1%)からなる)を使用して取得した。分析は、2%の溶出液Aから出発し、これを12分間で70%まで急速に増大させ、次いで、20分で98%までゆっくり増大させた。流速は0.8mL分-1であり、注入体積は20μLであった。
【0471】
Agilent 1100シリーズ質量スペクトル検出(MSD)シングル四重極機器は、直交スプレーAPI-ES (Agilent Technologies社、Palo Alto、CA)を備えていた。窒素を霧化及び乾燥ガスとして使用した。霧化ガスの圧力、乾燥ガスの流量、キャピラリー電圧、フラグメンター電圧及び気化温度は、それぞれ、40psi、9L/分、3000V、70V及び350℃に設定した。UV検出は280nmでモニターした。LC-ESI-MS決定は、MSDを正イオンモードで操作することによって実施した。スペクトルは、0.1uの刻み幅を使用して、スキャン範囲m/z 100〜1500にわたって獲得した。代謝されなかった化合物の百分率は、基準溶液との比較によって計算した。
【0472】
1.2-ADMEアッセイ:考察
キナーゼ阻害剤は、概して、それらの親油性による溶解度の問題の影響を受けることが周知である。したがって、この分野におけるADME特性の初期評価は、これまで以上に、薬物候補選択を導く中心的な工程を表す。したがって、本明細書において報告されている最も強力なc-Src阻害剤に対して、それらの吸収/安定性を初期評価するために、インビトロADME研究を行った。特に、水溶解度、並列人工膜透過性(PAMPA)及びヒト肝臓ミクロソーム(HLM)安定性を、最も活性なc-Src阻害剤について評価した(Table 6 (表7))。神経芽細胞腫に対するそれらの活性を特徴付けられた、先に合成した化合物19と比較した場合に、本発明の化合物のクラスは、特に水溶解度に関して、最適なADME特性を示した。実際に、先のC6-メチルチオ誘導体19 Si34、Si35及びSi83は、非常に低い水溶性の値(0,07から0.12μg/mLまでの範囲)を示した。それに反して(By contrats)、本発明の化合物は、基準C6-モルホリン誘導体Si192のものと比較して、約2〜57倍超増大した水溶解度を有する。最も可溶性の化合物は、97μg/mLの溶解度値を示すSi332である。
【実施例3】
【0473】
神経芽細胞腫、膠芽細胞腫及び白血病に対する酵素アッセイ及び生物学的活性
3.1-酵素アッセイ:
3.1.1-酵素アッセイ:材料及び方法
単離されたFynキナーゼに対する酵素アッセイ。活性な組換えFyn及び特異的ペプチド基質(Src基質ペプチド、カタログ12〜140)は、Merk-Millipore社から購入した。キナーゼアッセイは、200μM ATP及び100μMペプチド基質の存在下で実施した。すべての阻害アッセイは、0.01μg活性キナーゼ、0.33pmol [γ32P]ATP、60mM HEPES-NaOH pH7.5、3μM Na-オルトバナデート、1.2mM DTT、50μg/ml PEG20.000、10mM酢酸マグネシウム、0,004%NP40及び10%DMSOを、10μLの最終体積で用いて行った。Fyn及び阻害剤を氷中で5分間にわたってプレインキュベートし、基質の添加後、反応を30℃で10分間にわたって行った。5μLの3%リン酸を添加することによって反応を停止させた。次いで、アリコート(10μL)をP30フィルターマット(PerkinElmer社)に移し、75mMリン酸で5回及びアセトンで1回5分間にわたって洗浄した。フィルターを乾燥させ、密封可能なプラスチック袋に移し、シンチレーションカクテル(4mL)を添加した。スポットした反応物を、MicroBeta Liquid (Perkinelmer社)シンチレーションカウンターで読み取った。ID50値は、下記の方程式:
v=V/(1+(I/ID50)
[式中、vは測定された反応速度であり、Vは阻害剤の非存在下での見掛けの最大速度であり、Iは阻害剤濃度であり、ID50は50%阻害用量である]に従って取得した。
【0474】
組換えFynに対するKi値は、方程式:
Ki=(ID50/(1+KmATP/[SATP]))
[式中、[SATP]は、ATPの濃度である]を使用し、ATP基質に対する阻害の競合機構に従って計算した。曲線当てはめは、プログラムGraphPad Prismバージョン5.00を用いて実施した。
【0475】
単離されたSrcに対する酵素アッセイ。組換えヒトSrcは、Upstate社(Lake Placid、NY)から購入した。活性は、市販キット(Srcアッセイキット、Upstate社)を使用するフィルター結合アッセイにおいて、製造業者のプロトコールに従い、150μMの特異的Srcペプチド基質(KVEKIGEGTYGVVYK)を使用し、0.125pMolのSrc及び10μMの[γ-32P]-ATPの存在下で測定した。そのペプチド及びATP基質に使用したSrc調製物の見掛けの親和性(Km)値を別個に決定し、それぞれ30μM及び5μMであることが分かった。
【0476】
単離されたAblに対する酵素アッセイ。組換えヒトAblは、Upstate社から購入した。活性は、フィルター結合アッセイにおいて、Abl特異的ペプチド基質(アブチド、Upstate社)を使用して測定した。反応条件は、10μM [γ-32P]-ATP、50μMペプチド、0.022μM c-Ablであった。そのペプチド及びATP基質に使用したAbl調製物の見掛けの親和性(Km)値を別個に決定し、それぞれ1.5μM及び10μMであることが分かった。
【0477】
3.1.2-酵素アッセイ:考察
基準化合物Si192を含むすべての合成した化合物を、無細胞アッセイにおいて最初に試験して、単離されたc-Srcに対するそれらの親和性を評価した(Table 6 (表7))。
【0478】
【表7A】
[この文献は図面を表示できません]
【0479】
【表7B】
[この文献は図面を表示できません]
【0480】
【表7C】
[この文献は図面を表示できません]
【0481】
【表7D】
[この文献は図面を表示できません]
【0482】
【表7E】
[この文献は図面を表示できません]
【0483】
【表7F】
[この文献は図面を表示できません]
【0484】
【表7G】
[この文献は図面を表示できません]
【0485】
【表7H】
[この文献は図面を表示できません]
【0486】
【表7I】
[この文献は図面を表示できません]
【0487】
【表7J】
[この文献は図面を表示できません]
【0488】
【表7K】
[この文献は図面を表示できません]
【0489】
本発明者らによって既に公開された化合物Si181及びSi135 18,24も、比較目的でTable 6 (表7)に挿入されている。Table 6 (表7)から分かるように、合理的に設計された誘導体Si332、Si329、Si322、Si323及びSi330は、低ナノモル範囲内のKi値を持つc-Srcに対して、強力なインビトロ阻害効果を示した(それぞれ、40nM、70nM、30nM、10nM及び7nM)。これらの効力は、本発明者らの分子モデリング計算によって仮定され、観察された構造活性相関によって更に裏付けられた通り、アニリノ環のメタ位におけるヒドロキシル基の寄与により惹起された可能性が最も高い。C4アニリノ環上のm-OH置換基の単純な添加により、2から30倍の増大された活性を持つ強力な作用物質が同定された(Table 6 (表7)において、Si328をSi319と、Si329をSi313と、Si323をSi188と、及びSi330をSi171と比較している)。対照的に、同じ位置における、フッ素、塩素又は臭素の導入では、明確な傾向は観察されなかった。しかしながら、顕著な活性を持つ化合物は、Si317、Si327、Si170及びSi306等のこれらのシリーズにおいても同定され、100nM前後のKi値を惹起した。最も活性なc-Src阻害剤Si332、Si329、Si322、Si323及びSi330を、Ablに対しても試験した。これらの化合物は、リード構造Si192及びSi181のデュアルSrc/Abl阻害プロファイルを維持したが、Srcに対してよりも1桁高いKi値を示し、Ablよりもc-Srcに対する有意な選択性を保有していた。誘導体Si192は、7.5μMのKiを持つ中等度の活性を呈した。Table 6 (表7)から分かるように、誘導体Si308及びSi309は、Fynに対して強力なインビトロ阻害効果を、ナノモル範囲内のKi値とともに示した(それぞれ、70nM及び95nM)。これらの効力は、C3フェニル環のパラ位における塩素又はメチル置換基の寄与により惹起された可能性が最も高い(Si308をSi244と、及びSi309をSi244と比較している)。マイクロモル未満の親和性(それぞれ、0.36μM、0.78μM及び0.995μM)を呈した化合物Si310、Si337及びSi338についても、興味深い活性が見られた。
【0490】
更に、Si174、Si74、S13及びSi244には、それぞれ、1.4μM、1.15μM、3.5μM及び0.9μMのKi値が結果的に与えられた。誘導体Si109、Si180、Si192、Si215、Si148、Si164は、7.5μMから16μMの範囲のKiを持つ中等度の活性を呈した。残りの化合物については活性が検出されなかった。
【0491】
一般的な傾向として、N1側鎖におけるメチルによる塩素の置換は、約1/10に減少した活性を持つ親和性の著しい低減につながった(Si312対Si244、Si337対Si308及びSi338対Si309を比較している)。
【0492】
3.2-神経芽細胞腫:
3.2.1-神経芽細胞腫:材料及び方法
神経芽細胞腫ヒト細胞株SH-SY5Yに対する抗増殖活性。インビトロ実験は、ヒト神経芽細胞腫細胞株SH-SY5Yを使用して行った。細胞は、American Type Culture Collection社(ATCC、Manassas、VA、USA)から購入し、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地中で培養した。薬物の抗増殖効果を決定するために、SH-SY5Y細胞を2×105細胞/ml密度で播種し、0.01から50μMまでの漸増濃度の化合物で処理した。培養物を、37℃、5% v/v CO2中で72時間にわたって維持した。自動細胞カウンターNucleoCounter (登録商標) (Chemometec社、Denmark)を使用して、細胞数及び生命力を評価した。NucleoCounterからの結果は、製造業者により指示された試料調製に応じて、全又は非生存細胞濃度のいずれかを表した。IC50 (50%の成長阻害を決定した薬物濃度)は、最良当てはめシグモイド曲線を使用するGrafit v4.0 (Erithacus Software Limited社)ソフトウェアによって計算した。
【0493】
スフェロイド成長アッセイ。阻害剤のインビトロ抗腫瘍作用を、神経芽細胞腫スフェロイドアッセイによって評価した。SH-SY5Y細胞株を、ヒト神経芽細胞腫の細胞モデルとして利用した。細胞は、American Type Culture Collection社(ATCC、Manassas、VA、USA)から購入し、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地中で培養した。IBIDI血管新生マイクロスライド(IBIDI GmbH社)に成長因子低減マトリゲル(BD、Bioscience社)をコーティングし、30分間にわたって重合させた。SH-SY5Y細胞を、阻害剤の存在下又は非存在下(CTR)で、96マルチウェルプレートに播種した。播種後24時間から出発して、基礎条件で、球状の外観を持つ細胞凝集体(直径>100μm)が可視であった。細胞の球のサイズは、面積及び直径の観点から、5つのランダムフィールド/処理(400×倍率)を考慮し、Image Pro-plus v 4.5分析システムを使用して決定した。IC50 (50%の成長阻害を決定した薬物濃度)は、最良当てはめシグモイド曲線を使用するGrafit v4.0 (Erithacus Software Limited社)ソフトウェアによって計算した。
【0494】
細胞周期分析。細胞(SH-SY5Y)を、60mmのペトリ皿に3×105の密度で播種した。処理及びその後の加湿雰囲気における37℃及び5%CO2で24時間にわたるインキュベーションの後、収穫した細胞を洗浄し、70%エタノールで終夜固定した。次いで、エタノールを遠心分離によって除去し、細胞をPBSに再懸濁し、50μg/mLヨウ化プロピジウム(PI)により、4℃で30分間にわたって暗所にて染色した。染色した細胞を、試料について20のフィールドをカウントするTaliイメージベースサイトメーター(Life Technologies社、Carlsbad、CA、USA)によって分析し、エクスポートされたfcs生データをFlowingソフトウェア(v. 2.5.0、Perttu Terho、University of Turku、Finland)によって精巧化した。
【0495】
動物及び実験的インビボモデル。雄CD1ヌードマウス(Charles River社、Milan、Italy)を、本発明者らの施設によって確立されたガイドライン下で維持した(University of L'Aquila、Medical School and Science and Technology School Board Regulations、実験動物の使用については1992年1月27日のイタリア政府規制n.116に従う)。あらゆる侵襲的な操作の前に、ケタミン(25mg/mL)/キシラジン(5mg/mL)の混合物でマウスに麻酔をかけた。100μLの12mg/mLマトリゲル(Becton Dickinson社、Franklin Lakes、NJ、USA)中の1×106 SH-SY5Y細胞を皮下注射することによって、腫瘍移植片を取得した。平均腫瘍径を測定することによって腫瘍成長を毎日モニターした。腫瘍体積を、式4/3πr3に従ってmm3で表現した。インビボ投与のために、Si306を0.5%メチルセルロース溶液中懸濁液として調製した。各マウスに、メチルセルロースビヒクルの、又は50mg/kg Si306の経口投与を毎日受けさせた。
【0496】
発芽アッセイ。脳微小血管内皮細胞株hBMECは、ScienCell Research Laboratory社(Carlsbad、CA、USA)から購入した。HBMEC細胞を、20%メチルセルロースを含有する培養培地に懸濁し、1000細胞/ウェルの密度で非接着性96ウェルプレートに播種し、37℃(5%CO2、100%湿度)で培養した。これらの条件下で、懸濁した内皮細胞(EC)は、スフェロイドとして公知の単一細胞凝集体を4時間以内に自発的に形成する。スフェロイドを24時間以内に収穫し、ゲル内発芽血管新生実験に使用した。手短に述べると、スフェロイドを、マトリゲルでコーティングしたマイクロスライドに播種し、画像を24時間後に観察し、倒立顕微鏡によって捕捉し、NIH社Image J分析システムで分析した。統計的分析のために、スフェロイド当たりの新芽の数を、各処理につき10のスフェロイドの最小で、考慮した。
【0497】
3.2.2-神経芽細胞腫:考察
インビトロ生物学的活性。選択されたc-Src阻害剤を、神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞の増殖を阻害するそれらの能力について評価した(図6)。細胞を、漸増濃度の阻害剤(0.1〜50μM)で72時間にわたって処理し、対照に対するスフェロイドの平均面積を考慮してIC50値を計算した。SH-SY5Yに対する最強の効果は、0.12及び0.34μMのIC50値をそれぞれ示すSi322及びSi306によって取得された。抗腫瘍性効果もスフェロイド形成アッセイによって試験した。Si306の存在下におけるスフェロイドの成長速度は、有意に抑えられた(図7)。Si306の生物学的効果も、細胞周期の分析を介して評価した(図8)。SH-SY5Y細胞を、漸増濃度のSi306 (0.1〜10μM)で処理し、細胞周期の各期における細胞の百分率を、DNA含有量の蛍光分析によって評価した。Si306は、0.1μMから出発して、細胞周期のG1相における細胞の有意且つ用量依存性の蓄積を決定した。並行して、本発明者らは、アポトーシス細胞の存在を示す低二倍体細胞の進行性蓄積を観察した。10μM Si306による処理は、処理細胞の約50%においてアポトーシスを誘発した。
【0498】
インビボ研究。最も有望なc-Src阻害剤の中でも、化合物Si306が、異なるADME特性、無細胞アッセイにおける顕著な活性、及びSH-SY5Y神経芽細胞腫細胞に対する有望なマイクロモル未満の効力の適切なバランスを示したことから、これをインビボ研究に選択した。Si306の抗がん活性は、異種移植片マウスモデルを使用してインビボで試験した。SH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を接種したマウスを、可視腫瘍塊の出現から出発して50mg/kgのSi306で毎日処理し、腫瘍体積を一定の間隔で評価した。Si306は、60日の経口治療後に、腫瘍体積における有意な低減を引き起こし、プラセボ処理マウスと比較して平均腫瘍体積において50%超低減させた。インビボでのダサチニブ処理(50mg/kg)は非常に類似する阻害傾向が決定されたが、明瞭な腫瘍塊の出現はダサチニブ群の方がSi306で処理したマウスと比べて早かった(図9A)。注目すべきことに、マウスは、実験中に苦痛又は体重減少の兆候を示さなかった。エンドポイントにおける腫瘍関連血管新生が、Si306で処理したマウスにおいて有意に損なわれたことは、注目に値する(データは示されていない)。故に、内皮細胞の血管新生応答に対するSi306の効果を分析するために、3次元インビトロ発芽アッセイを実施した。内皮HBMEC由来のスフェロイドを、マトリゲル上に播種した。実験の開始から24時間後、本発明者らは、未処理対照細胞と比較した、0.5μM及び1μM濃度の化合物で処理したスフェロイドに由来する新芽の数の低減によって実証される通り、血管新生の有意な低減を観察した(図9B)。
【0499】
3.3-膠芽細胞腫:
3.3.1-膠芽細胞腫:材料及び方法
U87及びU251細胞に対する増殖アッセイ。U87及びU251細胞は、European Collection of Cell Cultures社(ECACC、Salisbury、UK)から購入し、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地中で培養した。薬物の抗増殖効果を決定するために、腫瘍細胞を2×105細胞/ml密度で播種し、示されている濃度の化合物で処理した。培養物を、37℃、5% v/v CO2で72時間にわたって維持した。細胞数及び生存率をトリパンブルー排除試験によって評価した。生存細胞を、ビヒクルで処理した細胞(=100%)に対する百分率として表現した。少なくとも3つの異なる実験の平均及びSD値を示す。
【0500】
U87異種移植片。雄CD1ヌードマウス(Charles River社、Milan、Italy)を、実験動物の使用についてはイタリア政府規制に従い、University of L'Aquila、Medical School and Science and Technology School Board Regulationsによって確立されたガイドライン下で維持した。あらゆる侵襲的な操作の前に、ケタミン(25mg/mL)/キシラジン(5mg/mL)の混合物でマウスに麻酔をかけた。100μLの12mg/mLマトリゲル(Becton Dickinson社、Franklin Lakes、NJ、USA)中の1×106 U87細胞を皮下注射することによって、腫瘍移植片を得た。マウスを4つの群に分けた:ビヒクルで処理したもの、放射線療法で処理したもの、Si306で処理したもの及び放射線療法と組み合わせたSi306で処理したもの。インビボ投与のために、Si306を0.5%メチルセルロース溶液中懸濁液として調製した。各マウスに、メチルセルロースビヒクルの、又は40mg/kg Si306の経口投与を毎日受けさせた。エンドポイントで、腫瘍を回収し、秤量した。明瞭な腫瘍塊の最初の兆候時に、腫瘍異種移植片に4Gy線量を1回照射した。
【0501】
低密度成長アッセイ。クローン密度におけるU87細胞の成長のための能力は、10%ウシ胎仔補充DMEM中、10細胞/cm2の密度で細胞を平板培養することによって評価した。2週間の培養後、接着性細胞を冷メタノールで固定し、PBS/BSAで洗浄し、風乾させた。接着性細胞を、0.5%クリスタルバイオレットにより、室温で15分間にわたって染色した。染色されたコロニーを顕微鏡撮影し、パブリックドメインソフトウェアImageJ (Wayne Rasband開発、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を用いて数及びサイズによって分析した。少なくとも3つの異なる実験の平均及びSD値を示す。細胞増殖を、マイトマイシン(20μM、2μM、0.2μM及び0.02μM)と、又は放射線(4Gy、細胞平板培養の翌日)と組み合わせたSi306でも試験した。
【0502】
免疫組織化学(IHC)分析。スライドに載せた組織切片(厚さ4μm)をキシレン中で脱パラフィンし、100%、95%及び80%エタノール中で連続的に水和させ、3%H2O2で処理し、次いで、抗アルファ平滑筋アクチン(アルファ-SMA)抗体とともに室温で1時間にわたってインキュベートした。切片をPBS中で3回洗浄し、Sigma fast 3,30-ジアミノベンジジン錠セット(Sigma社、St.Louis、MO)を製造業者の指示に従って使用して、抗体結合を明らかにした。抗体は、Cell Signaling (Cell Signaling Technology,Inc.社)から購入した。
【0503】
ウエスタンブロット分析。全細胞溶解物は、1%トリトン、0.1%SDS、2mM CaCl2、10mg/mlオルトバナデート及び1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する溶解緩衝剤(Sigma社、St. Louis、MI、USA)中で細胞をインキュベートすることによって得た。タンパク質含有量は、タンパク質アッセイキット2 (Bio-Rad Laboratories社、Hercules、CA、USA)を使用して決定した。60マイクログラムのタンパク質を、10% SDS-ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動させた。電気泳動の後、ゲルをトランスブロットTurboミニニトロセルロース転写パック上に置き、トランスブロットTurbo転写システム(Bio-Rad Laboratories社、Hercules、CA、USA)を使用して転写した。膜を、1μg/mlの一次抗体とともに、次いで、適切な西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体とともにインキュベートした。一次抗体β-アクチン、PDGFR-ベータ、アルファ-SMAは、Cell Signaling Technology社から購入し、タンパク質バンドは、化学発光検出システム(Thermo Scientific社、Rockford、IL、USA)を使用して可視化し、シグナルは、Chemidoc XRSシステム(Bio-Rad Laboratories社)によってデジタル方式で獲得した。
【0504】
同所性移植マウスモデル。雄CD1ヌードマウス(Charles River社、Milan、Italy)を、実験動物の使用についてはイタリア政府規制に従い、University of L'Aquila、Medical School and Science and Technology School Board Regulationsによって確立されたガイドライン下で維持した。あらゆる侵襲的な操作の前に、ケタミン(25mg/mL)/キシラジン(5mg/mL)の混合物でマウスに麻酔をかけた。定位機器上に載せたハミルトンシリンジで、2microL PBS (David Kopf Instruments社、CA、USA)に再懸濁した2*103 U87細胞を注射することによって、腫瘍移植片を得た。細胞は、骨膜クラニック(cranic)部位の露出並びに線条体から4mm及び4mmの深さに限局した直径1mmの穴のドリミング(drimming)後に注射した。創傷を抗生物質で処置し、外科的に縫合した。
【0505】
3.3.2-膠芽細胞腫:考察
Si306の抗増殖効果を、U251及びU87細胞株においてインビトロで試験した(図10及び11)。U251悪性神経膠腫細胞株は、当初、Pontenその他によってGBMを持つ75歳の男性から確立された29,30。Ponten及び同僚らは、GBMを持つ女性から、U87 GBMモデルを当初確立した30。これらのGBM細胞株は、ヒトGBMの目立った特色を模倣することが公知であり、そのため、がんの異種マウスモデルにおいて、この40年にわたって大きな注目を集めている29,31。U251及びU87細胞株は、重要な分子態様が異なる。U87はU251よりも本質的に放射線抵抗性であり、これは最も放射線感受性細胞期であるG2/Mにおいて見られるより多くのサイクリングU251細胞に部分的に起因しており、一方、より多くのU87細胞は、より放射線抵抗性の細胞期であるS及びG1にあることが見出されている32。U251は突然変異体p53を含有し、U87はWT p53を含有する33
【0506】
5μMの濃度のSi306は、処理の72時間後の対照と比較した場合に、総細胞数の約50%の低減を誘発した(図10及び11)。U87細胞(図11)において、80%超の死細胞が30μMの化合物の存在下で観察されたため、Si306の効果は、U251細胞におけるものよりも顕著であった(図10)。
【0507】
Si306を、U87 (図12)及びU251 (図13)膠芽細胞腫細胞株において、周知の遺伝毒性剤であるマイトマイシンCとも組み合わせて試験した。細胞を、漸増マイトマイシンC濃縮物により、1μM Si306の存在下で72時間にわたって処理した。併用治療は、相乗的抗増殖効果を決定し、これはU87細胞においてより顕著であった。
【0508】
U87細胞を皮下接種したヌードマウスにSi306をインビボで投与した。マウスに50mg/kgのSi306を1日おきに受けさせ、化合物の抗腫瘍性効果を単一の放射線治療(4Gy)とも組み合わせて評価した。エンドポイントで、併用療法を受けたマウスは、他の実験群に対して最小の腫瘍(未処理群に対して<80%)を示した(図14)。
【0509】
Si306プラス放射線療法の併用療法を、低密度成長アッセイによってインビトロでも評価した。U87細胞を低密度(100細胞未満/cm2)で播種し、1回の照射(4Gy)プラス1μM又は10μMのSi306を1日おきに受けさせた。15日後、10を超える細胞を持つコロニーの数をカウントした。併用療法は、対照と及び単一の治療に対して、コロニーの数を有意に低減させた(図15)。
【0510】
インビボ実験からの腫瘍塊を分析することにより、発明者らは、組織学パターンにおける有意差を観察した。Si306処理は、分化マーカーアルファ-SMAの発現によって評価される通り、筋線維芽細胞含有量の低減を決定した(図16)。筋線維芽細胞分化を妨げるSi306の能力を、TGF-ベータで処理したヒト線維芽細胞wi38上においてインビトロで試験した。Si306は、TGF-ベータシグナル伝達の下流のPDGFR及びアルファ-SMAの発現を遮断することができた(図17)。次いで、発明者らは、膠芽細胞腫の同所性移植インビボモデルにおいてSi306及びプロドラッグpro-Si306の抗腫瘍性活性を評価した。Si306及びpro-Si306はいずれも、対照群に対するマウスの生存延長における有意な能力を実証し、この能力は、放射線治療に匹敵するものであった(図18)。
【0511】
3.4-白血病:
3.4.1-白血病:材料及び方法
ヒト細胞株K562に対する抗増殖活性。
インビトロ実験は、ヒト慢性骨髄性白血病細胞株K562を使用して行った。細胞は、American Type Culture Collection社(ATCC、Manassas、VA、USA)から購入し、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI培地中で培養した。Fyn阻害剤の抗増殖効果を決定するために、K562細胞を2×105細胞/ml密度で播種し、0.01から50μMまでの漸増濃度の化合物で処理した。培養物を、37℃、5% v/v CO2中で72時間にわたって維持した。自動細胞カウンターNucleoCounter (登録商標) (Chemometec社、Denmark)を使用して、細胞数及び生命力を評価した。NucleoCounterからの結果は、製造業者により指示された試料調製に応じて、全又は非生存細胞濃度のいずれかを表した。IC50 (50%の成長阻害を決定した薬物濃度)は、最良当てはめシグモイド曲線を使用するGrafit v4.0 (Erithacus Software Limited社)ソフトウェアによって計算した。
【0512】
3.4.2-白血病:考察
Srcキナーゼファミリーのいくつかのメンバーは、CMLにおいて上方調節及び/又は過剰活性化され、それらの活性ががん細胞の増殖及び分化を調節する。K562細胞において、Fynキナーゼ発現は、BCR-ABL1癌遺伝子の直接制御下にあり、その上方調節は、K562増殖を持続する上で基本的なものである。試験化合物は、インビトロ阻害アッセイによって決定されたKi値と十分に相関する有効な抗増殖活性を示した。最も有効な化合物、Si308及びSi309は、マイクロモル未満の範囲内の細胞生存率について、有望なIC50値を示した(図19)。それらの化合物は、ヒト正常線維芽細胞において試験した場合には、細胞毒性のいかなる兆候も示さなかったことに留意することが重要である。
【実施例4】
【0513】
神経変性に対する化合物の効果
4.1-神経変性:材料及び方法
SH-SY5Y細胞に対する細胞培養、分化及び処理。神経芽細胞腫細胞株SH-SY5Yを、15%ウシ胎仔血清(FCS社、Australian origin、Lonza)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び2mM L-グルタミン(すべてEuroclone社製)を補充した、等体積のMEM及びHAM F12を混合することによって得られた培地中、5%CO2を含む加湿空気中にて37℃で培養した。培地を48時間毎に交換した。細胞を約80%集密で分け、決して20継代を超えて培養しなかった。細胞分化は、SH-SY5Y細胞を、1%FCS及び10μMレチノイン酸を含有する培地(RA、Sigma Aldrich社)とともに5日間にわたって前処理することによって実現された。その後、細胞を、血清は加えず、50ng/mlのヒト組換え脳由来神経栄養因子(BDNF、Peprotech社)、10ng/mlヒト組換えベータ神経成長因子(NGF、Peprotech社)、10ng/mlニューレグリン1ベータ2タンパク質(NRG、Abcam社)及び9.35μg/mlビタミンD3 (Sigma Aldrich社)を補充した培地中で、もう7日間にわたって処理した。完全な神経分化を裏付けるために、Tauの成熟したアイソフォームの発現を確認した。分化した細胞を、10μM Aβ42オリゴマー/プロトフィブリル及びN2補充を含有する培地(Life Technologies社)により、DMSOに溶解したFyn阻害剤の存在下又は非存在下で、1.5、3及び6時間にわたって処理した。対照として、細胞を、等量のDMSOを含有する培地で処理した。
【0514】
42調製。Aβ42オリゴマー/プロトフィブリル試料は、先に記述したプロトコールを使用して調製した(Wong Jら、Neuroscience 210、2012、363〜374)。手短に述べると、Aβ42ペプチド(Sigma社)を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールに溶解し、凍結乾燥して、溶媒を完全に除去した。凍結乾燥したAβ42ペプチドをDMSO中で再構成して、10mMの作業濃度とし、HAM F12 (フェノールレッド及びグルタミンなし)を使用して1:100に希釈し、15秒間にわたってボルテックスし、4℃で24時間にわたってインキュベートした。Aβ42オリゴマー/プロトフィブリルを、SDS-PAGE及び銀染色によって視覚化した。
【0515】
4.2-神経変性:考察
ADにおいて、Fynは、Tyr18残基におけるTauのリン酸化、疾患進行における初期の重大な段階を媒介し、したがって、有望な治療標的とみなされる。この理由で、インビトロ阻害アッセイ中に同定された最も興味深い化合物、Si308及びSi309を、ADモデル細胞株におけるタウタンパク質中の残基Tyr18のFyn媒介性リン酸化を阻害するそれらの能力について評価した。この目的のために、神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞を、レチノイン酸の投与、続いて、脳由来神経栄養因子、ニューレグリンβ1、神経成長因子及びビタミンD3処理により、成熟したニューロンに分化させた。一旦分化したら、AD様神経毒性を誘発するために、SH-SY5Y細胞をアミロイドベータ1-42 (Aβ42)オリゴマー/プロトフィブリルで処理した。いずれの化合物も、同様の程度及び用量依存様式で、Aβ42誘発Tyr18-Tauリン酸化に有意に影響を及ぼした(図20)。その上、Si308及びSi309の阻害活性は経時的に一定という結果になり、化合物投与後最大6時間有効であった(図20、パネルA、BをパネルC、Dと比較する)。
【実施例5】
【0516】
本発明の化合物のプロドラッグ
別段の指定がない限り、材料及び方法は、実施例1、2及び3について先に報告されているものと同じである。
【0517】
5.1-化学:材料及び方法
化合物S13、Si35、Si83、Si214、Si221、Si223、Si278及びSi306は、本発明者らが既に報告した18,20,21,22,23
【0518】
ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンプロドラッグ(proS13、proS13(A)、proSi221、proSi214、proSi306、proSi35、proSi223、proSi83、proSi20、proSi278(A)、proSi278(B)、proSi278(C)、proSi278(D))の合成のための一般的手順
NaHCO3 (2.25mmol、5.00当量)を、DCM乾燥(8mL)中の適切なピラゾロ[3,4-d]ピリミジン化合物(0.45mmol、1.00当量)の溶液に添加した。室温で5分間の撹拌後、懸濁液を氷浴で冷却し、次いで、DCM乾燥(8mL)中のトリホスゲン(0.45mmol、1.00当量)の溶液を添加した。30分後、氷浴を除去し、反応混合物を室温に加温し、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン化合物のスポットがTLCから消失するまで(2時間、およそ)撹拌した。DCM乾燥(8mL)中の2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタノール(又は適切なアルコール) (0.90mmol、2.00当量)の溶液を添加し、得られた混合物を室温で16時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた残留物を、溶出液としてDCM及びMeOHの混合物を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0519】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチルベンジル(1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proS13)
【0520】
【化125】
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【0521】
柔らかい白色固体。収率: 79%。
【0522】
【数52】
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【0523】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(1-(2-(4-ブロモフェニル)-2-クロロエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)(2-クロロベンジル)カルバメート(proSi221)
【0524】
【化126】
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【0525】
柔らかい白色固体。収率: 76%。
【0526】
【数53】
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【0527】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(3-クロロフェニル)(6-(メチルチオ)-1-フェネチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi214)
【0528】
【化127】
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【0529】
透明油状物。収率: 75%。
【0530】
【数54】
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【0531】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(3-ブロモフェニル)(1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-((2-モルホリノエチル)チオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi306)
【0532】
【化128】
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【0533】
柔らかい白色固体。収率: 51%。
【0534】
【数55】
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【0535】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(3-ブロモフェニル)(6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi278 (A))
【0536】
【化129】
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【0537】
透明油状物。収率: 30%。
【0538】
【数56】
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【0539】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチルブチル(1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(エチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi20)
【0540】
【化130】
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【0541】
透明油状物。収率: 39%。
【0542】
【数57】
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【0543】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)(フェネチル)カルバメート(proSi35)
【0544】
【化131】
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【0545】
透明油状物。収率: 71%。
【0546】
【数58】
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【0547】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(1-(2-(4-ブロモフェニル)-2-クロロエチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)(フェニル)カルバメート(proSi223)
【0548】
【化132】
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【0549】
白色固体。収率: 25%。
【0550】
【数59】
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【0551】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル(1-(2-クロロ-2-フェニルエチル)-6-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)(3-クロロフェニル)カルバメート(proSi83)
【0552】
【化133】
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【0553】
透明油状物。収率: 85%。
【0554】
【数60】
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【0555】
1-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-2-イル(3-ブロモフェニル)(6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート2 (proSi278 (B))
【0556】
【化134】
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【0557】
透明油状物。収率: 30%。
【0558】
【数61】
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【0559】
1-(4-メチルピペラジン-1-イル)ブタン-2-イル(3-ブロモフェニル)(6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi278 (C))
【0560】
【化135】
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【0561】
透明油状物。収率: 40%。
【0562】
【数62】
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【0563】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-フェニルエチル(3-ブロモフェニル)(6-(メチルチオ)-1-(2-フェニルプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(proSi278 (D))
【0564】
【化136】
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【0565】
透明油状物。収率: 32%。
【0566】
【数63】
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【0567】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタノール(30)
【0568】
【化137】
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【0569】
メチルピペラジン(3.54mL、31.9mmol、1.33当量)をトルエン(11mL)に溶解し、ブロモエタノール(1.70mL、23.9mmol、1.00当量)をゆっくり添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、これを濾過し、有機相を回収し、溶媒を減圧下で除去して、所望生成物を得た。収率: 80%。白色固体。
【0570】
【数64】
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【0571】
1-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-2-オール(31)
【0572】
【化138】
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【0573】
メチルピペラジン(55.0μL、0.50mmol、2.00当量)をトルエン(7mL)に溶解し、1-ブロモ-2-プロパノール(23.0μL、0.25mmol、1.00当量)をゆっくり添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、これを濾過し、有機相を回収し、溶媒を減圧下で除去して、所望生成物を得た。収率: 38%。透明油状物。
【0574】
【数65】
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【0575】
1-(4-メチルピペラジン-1-イル)ブタン-2-オール(32)
【0576】
【化139】
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【0577】
ZnCl2 (12.4mg、0.09mmol、0.10当量)を、ACN (8mL)中のメチルピペラジン(110μL、1.00mmol、1.10当量)及び1,2-エポキシブタン(79.0μL、0.91mmol、1.00当量)の溶液に添加し、混合物を還流させながら16時間撹拌した。次いで、溶出液としてPE:EtOAc:MeOH:Et3N = 10:8:1:1を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収率: 31%。透明油状物。
【0578】
【数66】
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【0579】
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-フェニルエタノール(33)
【0580】
【化140】
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【0581】
メチルピペラジン(55.0μL、0.50mmol、2.00当量)をトルエン(7mL)に溶解し、混合物を100℃に加熱し、次いで、スチレンオキシド(23.0μL、0.25mmol、1.00当量)をゆっくり添加し、混合物を130℃で終夜撹拌した。H2Oを添加し、DCMによる抽出を実施し(×3)、有機相を収集し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水した。溶媒の蒸発後に得られた油性残留物を、溶出液としてEtOAc:MeOH = 8:2を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収率: 60%。透明油状物。
【0582】
【数67】
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【0583】
クロマトグラフィー法
LC分析は、真空溶媒脱気装置、バイナリ高圧勾配ポンプ、1100シリーズUV検出器、及び1100 MSDモデルVLベンチトップ型質量分析計によって構成される、Agilent 1100 LC/MSD VLシステム(G1946C) (Agilent Technologies社、Palo Alto、CA)を用いて実施した。
【0584】
クロマトグラフィープロファイルは、Varian社Polaris C18-Aカラム(150-4.6mm、5μm粒径)及び勾配溶出(溶出液AはACNであり、溶出液Bは水からなる)を使用して取得した。分析は、2%の溶出液Aから出発し、これを12分間で70%まで急速に増大させ、次いで、20分間で98%までゆっくり増大させた。流速は0.8mL分-1であり、注入体積は20μLであった。
【0585】
Agilent 1100シリーズ質量スペクトル検出(MSD)シングル四重極機器は、直交スプレーAPI-ES (Agilent Technologies社、Palo Alto、CA)を備えていた。窒素を霧化及び乾燥ガスとして使用した。霧化ガスの圧力、乾燥ガスの流量、キャピラリー電圧、フラグメンター電圧及び気化温度は、それぞれ、40psi、9L/分、3000V、70V及び350℃に設定した。UV検出は254nmでモニターした。LC-ESI-MS決定は、MSDを正イオンモードで操作することによって実施した。スペクトルは、0.1uの刻み幅を使用して、スキャン範囲m/z 100〜1500にわたって獲得した。
【0586】
水溶性アッセイ。
固体化合物(1mg)を、1mLの水に添加した。試料を、シェーカー浴中、20℃で24時間にわたって振とうした。懸濁液を0.45μmのナイロンフィルター(Acrodisc社)に通して濾過し、可溶化した化合物をLC-MS-MSアッセイによって決定した。決定を三連で実施した。
【0587】
クロマトグラフィー分析は、上記で報告された方法を用いて実施し、化合物の定量化は、メタノール中標準溶液で実現された適切な較正曲線との比較によって行った。
【0588】
並列人工膜透過性アッセイ(PAMPA)。
試験化合物のドナー溶液(0.5mM)は、リン酸緩衝液(pH7.4、25mM)を使用して、1mMジメチルスルホキシド(DMSO)化合物ストック溶液を希釈することによって調製した。フィルターを、5μLのホスファチジルコリンの1% (w/v)ドデカン溶液、又はCHCl3溶液10%w/vから調製した4μLの脳極性脂質溶液(20mg/mL 16%CHCl3、84%ドデカン)で、それぞれ腸透過性及びBBB透過性のためにコーティングした。ドナー溶液(150μL)をフィルタープレートの各ウェルに添加した。アクセプタープレートの各ウェルに、300μLの溶液(リン酸緩衝液中50%DMSO)を添加した。化合物を、3つの異なるプレート中で異なる日に試験した。サンドイッチを、穏やかに振とうしながら、室温で5時間にわたってインキュベートした。インキュベーション時間後、プレートを分離し、試料をレシーバー及びドナー側の両方から採取し、254nmにおけるUV検出でLCを使用して分析した。
【0589】
クロマトグラフィー分析は、上記で報告された方法を用いて実施した。
【0590】
PAMPAについての透過性(Papp)は、Wohnsland及びFaller並びにSuganoら27, 28から入手した下記の方程式に従って計算した。
【0591】
透過性値をcm/秒で取得するために、方程式に若干の修正を加えた:
【0592】
【数68】
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【0593】
[式中、VAはアクセプターウェル中における体積であり、VDはドナーウェル中における体積(cm3)であり、Aは膜の「有効面積」(cm2)であり、tはインキュベーション時間(秒)であり、rはアクセプター中における薬物濃度と全体積(VD+VA)中における薬物の平衡濃度との比である]。薬物濃度は、ピーク面積積分を使用して推定される。
【0594】
膜保持(%)は、下記の方程式:
【0595】
【数69】
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【0596】
[式中、rは、アクセプター中における薬物濃度と平衡濃度との比であり、D、A及びEqは、それぞれ、ドナー、アクセプター及び平衡溶液中における薬物濃度を表していた]に従って計算した。
【0597】
5.2-生物学的活性:材料及び方法
ミクロソーム安定性アッセイ。
DMSO中で可溶化した各化合物を、25mMリン酸緩衝液(pH7.4)、5μLのヒト肝臓ミクロソームタンパク質(0.2mg/mL)中、NADPH-生成システムの存在下、0.5mLの最終体積(化合物最終濃度、50μM)にて、37℃で60分間にわたってインキュベートし、DMSOは2% (最終溶液)を超えなかった。氷中で冷却し、1.0mLのアセトニトリルを添加することによって、反応を停止させた。次いで、反応混合物を10000rpmで15分間にわたって遠心分離し、その後、親薬物及び代謝物をLC-UV-MSによって決定した。
【0598】
クロマトグラフィー分析は、上記で報告された方法を用いて実施した。
【0599】
代謝されなかった化合物の百分率は、基準溶液との比較によって計算した。決定を三連で実施した。
【0600】
安定性試験
20℃に維持したプロドラッグ溶液(500μM)は、化合物を、0,0125M pH7.4リン酸緩衝液、水及びメタノールにそれぞれ溶解することによって調製した。48時間のインキュベーション期間中に引き抜いたアリコート(20μL)を、HPLCによって分析した。
【0601】
酵素安定性を決定するために、プールされたヒト血漿(750μL)、pH7.4リン酸緩衝液(700μL)及び50μLのMeOH中プロドラッグの3.0mM溶液(最終濃度100μM)を、試験管中で混合した。
【0602】
管を、37℃及び所定の時点でインキュベートし、150μLアリコートを除去し、600μLの冷アセトニトリルと混合し、5000rpmで15分間にわたって遠心分離した。上清を除去し、HPLCによって分析した。
【0603】
化合物の加水分解に続いて、上記で報告されたUV-MS検出方法を用いるHPLCを行った。
【0604】
減衰量の半減期(t1/2)を、Sobolら79から入手した下記の方程式に従って計算した:
【0605】
【数70】
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【0606】
[式中、ln(2)は2の自然対数(0.693)であり、kは消失速度定数である]。
値は分で表現する。
【0607】
神経芽細胞腫ヒト細胞株SH-SY5Yに対する抗増殖活性。インビトロ実験は、ヒト神経芽細胞腫細胞株SH-SY5Yを使用して行った。細胞は、American Type Culture Collection社(ATCC、Manassas、VA、USA)から購入し、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地中で培養した。薬物の抗増殖効果を決定するために、SH-SY5Y細胞を2×105細胞/ml密度で播種し、0.01から50μMまでの漸増濃度の化合物で処理した。培養物を、37℃、5% v/v CO2中で72時間にわたって維持した。自動細胞カウンターNucleoCounter (登録商標) (Chemometec社、Denmark)を使用して、細胞数及び生命力を評価した。NucleoCounterからの結果は、製造業者により指示された試料調製に応じて、全又は非生存細胞濃度のいずれかを表した。IC50 (50%の成長阻害を決定した薬物濃度)は、最良当てはめシグモイド曲線を使用するGrafit v4.0 (Erithacus Software Limited社)ソフトウェアによって計算した。
【0608】
増殖アッセイ。U87及びU251細胞は、European Collection of Cell Cultures社(ECACC、Salisbury、UK)から購入し、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地中で培養した。薬物の抗増殖効果を決定するために、腫瘍細胞を2×105細胞/ml密度で播種し、示されている濃度の化合物で処理した。培養物を、37℃、5% v/v CO2で72時間にわたって維持した。細胞数及び生存率をトリパンブルー排除試験によって評価した。生存細胞を、未処理細胞(=100%)に対する百分率として表現した。少なくとも3つの異なる実験の平均及びSD値を示す。
【0609】
ヒト細胞株K562に対する抗増殖活性。インビトロ実験は、ヒト慢性骨髄性白血病細胞株K562を使用して行った。細胞は、American Type Culture Collection社(ATCC、Manassas、VA、USA)から購入し、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI培地中で培養した。Fyn阻害剤の抗増殖効果を決定するために、K562細胞を2×105細胞/ml密度で播種し、0.01から50μMまでの漸増濃度の化合物で処理した。培養物を、37℃、5% v/v CO2で72時間にわたって維持した。自動細胞カウンターNucleoCounter (登録商標) (Chemometec社、Denmark)を使用して、細胞数及び生命力を評価した。NucleoCounterからの結果は、製造業者により指示された試料調製に応じて、全又は非生存細胞濃度のいずれかを表した。IC50 (50%の成長阻害を決定した薬物濃度)は、最良当てはめシグモイド曲線を使用するGrafit v4.0 (Erithacus Software Limited社)ソフトウェアによって計算した。
【0610】
インビボ薬物動態。使用した動物プロトコールは、Animal Care and Ethics Committee of the Universita degli Studi di Siena、Italyによって総説され承認されたものである。雄BALB/Cマウス(体重20〜30g)をCharles River社(Milan、Italy)から入手した。実験は三連で実施し、マウスを3つの群に分け、各群に、DMSO (腹腔内、50mg.Kg-1)中の100μLのDMSO (対照)、薬物(Si306)又はプロドラッグ(pro-Si306)溶液を受けさせた。動物をヘパリン溶液で処理し、CO2下、異なる時点(0,25時間〜24時間)で屠殺し、血液(心臓穿刺によって抜き取った)及び脳を次の定量分析のために収集した。予めヘパリン化した血液を、4000rpmで20分間にわたって遠心分離して、血漿分画を分離し、次いで、500μlを試験管中に収集した。各試料につき1mlのACNを(内部標準として化合物S34 5μMの存在下で)添加してタンパク質を変性させ、薬物及びプロドラッグを抽出した。試料を4000rpmで20分間にわたって遠心分離し、上清を回収し、真空下で乾燥させ、LC-UV-MSによって分析した。ガラス/ガラスポッターエルベジェム型ホモジナイザーを使用し、トリス-HCl緩衝液(50mM)の存在下で脳をホモジナイズし、7mLのACNを使用して化合物を回収し、次いで、血液試料について先に記述した通りに処理した。
【0611】
5.3-プロドラッグ:考察
インビボ転換を経た後に活性薬物を放出する薬学的に活性な薬物の化学的に修飾されたバージョンであるプロドラッグの使用は、潜在的な薬物候補の、物理化学的、生物薬剤学的又は薬物動態学的特性を改善するための十分に確立された戦略を代表する34,35
【0612】
ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンの生物学的活性は、時に、これらの推定上の薬物候補の将来の開発に影響を及ぼし得る低い水溶性に関連する。この問題を克服し、薬物動態学的特性を増強し、インビボ分布を容易にするために、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン化合物のプロドラッグが合成された36
【0613】
これらの化合物は、可溶化部分、すなわち、O-アルキルカルバメート鎖によってピラゾロ[3,4-d]ピリミジン核のC4位に連結しているN-メチルピペラジノ基を特徴とする。
【0614】
先に合成した幅広い最終化合物に適用可能な、より迅速且つ多目的な合成(既に報告したものに対して)36の開発は、魅力的な目標であった。適切なアルコール30、31、32及び33の合成(スキーム5)後、重炭酸ナトリウムを塩基として使用して、クロロカーボネート形成及びその後のアルコールによる塩素の置き換えのためのワンポット2工程手順を実施した(スキーム6)。すべてのプロドラッグ(proS13、proS13(A)、proSi221、proSi214、proSi306、proSi35、proSi223、proSi83、proSi20、proSi278(A)、proSi278(B)、proSi278(C)、proSi278(D))は、Table 7 (表8)に列挙されている対応するSi化合物(S13、Si221、Si214、Si306、Si35、Si223、Si83、Si20、Si278)から出発して合成された。
【0615】
【化141】
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【0616】
【化142】
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【0617】
[式中、
R35'OHは、アルコール化合物であり、
R8、R27'、R28'、R29'、R30'、R31'、R32'、R34'は、上記で定義された通りであり、及び
R35'は、
式:
【0618】
【化143】
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【0619】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり; R36'は、H又はアルキル又はアリール又はアラルキルであり; Xは、CH又はNであり; Wは、NH又はNCH3又はOであり; mは、0から2までの整数であり; iは、0から1までの整数である}
又は:
【0620】
【化144】
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【0621】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
又は:
【0622】
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
【0623】
{式中、Yは、NH又はO又はSであり;
nは、0から4までの整数である}
を持つアルキル鎖である]。
【0624】
【表8A】
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【0625】
【表8B】
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【0626】
水溶解度、GI (胃腸)及びBBB (血液脳関門)見掛けの透過性を評価した。PBS、MeOH及び血漿中における安定性についても報告する(Table 8 (表9))。
【0627】
【表9A】
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【0628】
【表9B】
[この文献は図面を表示できません]
【0629】
プロドラッグは、それぞれの薬物に関して増強された水溶性を実証した。更に、プロドラッグ部分のかさ高性を増大させることにより、血漿安定性の増強をもたらし、故に、本発明者らは、必要に応じて正しい置換基を選択することができた(ヒト血漿におけるt1/2: proSi278 (A) (3.21時間) < proSi278 (B) (10.4時間) < proSi278 (C) (11.31時間))。
【0630】
Table 9 (表10)は、神経膠腫U251及びU87細胞(図22)、神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞(図21)並びに白血病K562細胞(図23)における細胞データ(IC50)を表し、プロドラッグは、がん細胞株に対する活性の全般的改善を示した。
【0631】
【表10】
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【0632】
図24は、インビボ薬物動態を示す: proSi306 (及びその加水分解で誘導された生成物、すなわちSi306)は、薬物に対して、より高い脳内濃度(神経膠腫腫瘍の部位)を示した。同じアッセイは、proSi306のインビボ加水分解を、結果として生じる薬物Si306の放出とともに実証した。更に、血漿分析は、proSi306の分布の、より良好なプロファイルを示した。これらの結果は、プロドラッグアプローチの妥当性を実証し、実際に、加水分解によって生成されたproSi306及びSi306の和によって与えられる総化合物の量は、薬物Si306投与によって得られるものよりも高い脳及び血液組織結果にそれぞれ到達することができる。Table 10 (表11)は、固定の時点で脳及び血液組織において見られる化合物の量を記述している。図25は、24時間の時点で脳及び血漿において見られる化合物の量を図示している。
【0633】
【表11】
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【0634】
[参考文献]
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図1
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図2
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図3
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図4-1】
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図4-2】
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図4-3】
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図5
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図6
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図7
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図8
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図9
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図10
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図11
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図12
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図13
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図14
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図15
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図16
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図17
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図18
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図19
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図20-1】
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図20-2】
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図21
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図22
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図23
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図24
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図25
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【国際調査報告】
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