特表2017-533547(P2017-533547A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-533547リチウムバッテリーのセパレーター膜のコーティング方法及びコーティングされたセパレーター膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-533547(P2017-533547A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】リチウムバッテリーのセパレーター膜のコーティング方法及びコーティングされたセパレーター膜
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/14 20060101AFI20171013BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   H01M2/14
   H01M2/16 L
   H01M2/16 M
   H01M2/16 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-516951(P2017-516951)
(86)(22)【出願日】2015年9月23日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月10日
(86)【国際出願番号】FI2015050636
(87)【国際公開番号】WO2016046452
(87)【国際公開日】20160331
(31)【優先権主張番号】20145837
(32)【優先日】2014年9月24日
(33)【優先権主張国】FI
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517103108
【氏名又は名称】ピコデオン リミティド オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】ヤリ リーマタイネン
(72)【発明者】
【氏名】ビッレ ケッコネン
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ ゾロトゥクヒン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB02
5H021BB12
5H021BB15
5H021BB19
5H021CC04
5H021EE04
5H021EE21
5H021HH02
5H021HH03
(57)【要約】
本発明は、リチウムバッテリーの多孔質セパレーター膜(15,22,42)のコーティング方法、及び各製造方法の結果として製造されたコーティングされたセパレーター膜(21,22,42,43)を記載する。レーザーアブレーションは、ターゲット(13)から粒子(14)をはぎ取るように用いられ、レーザーパルス(12)により気化された粒子フラックス(14)が、材料が付着するコーティングされるベース材料(15,22,42)に向けられる。コーティングされるベース材料(42)が、1つのロール(41a)から第二のロール(41b)に向けられ、コーティングがこれらのロール(41a〜b)間の領域で生じる、いわゆるロール・ツー・ロール原理を方法において用いることができる。加えて、ターゲット材料(13)上へ導く前に、レーザーパルス(12)を直線状のパルスフロント(33)として整列させるのに回転ミラー(31)及びテレセントリックレンズ(32)を用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Liバッテリー中で用いられる多孔質ポリマー膜(15,22,42)を多孔質コーティング(21,43)によりコーティングする方法であって、方法が、以下の
‐短い継続時間のレーザーパルス(12)がターゲット(13)に適用される工程と、
‐無機材料(14)がレーザーアブレーションによりターゲット(13)からはぎ取られる工程と、
‐はぎ取られた無機材料(14)がポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部に向けられる工程と、
‐無機材料(14)が前記ポリマー膜の表面に付着しつつ、多孔質コーティング(21,43)が、ポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部上で製造される工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ポリマー膜(15,22,42)の表面に適用される多孔質コーティング(21,43)が薄膜であり、その厚さが少なくとも50nmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマー膜(15,22,42)の表面に適用される多孔質コーティング(21,43)が薄膜であり、その厚さが最大で4000nmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング中で用いられる無機材料が酸化物、窒化物又はホウ化物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ターゲット(13)からほどけた材料(14)及びターゲット(13)からポリマー膜(15,22,42)へ移動する材料(14)が、ターゲット(13)に適用されたレーザーパルスにより達成され、個々のレーザーパルスの瞬間的な継続時間が0.5〜1000psであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
レーザーパルス(12)を100kHz〜100MHzの繰り返し周波数で発生させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー膜(15,22,42)の材料が、ポリエチレン又はポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー膜(15,22,42)の空隙率が、20〜70体積パーセントであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
無機多孔質コーティング(21,43)の空隙率が、20〜70体積パーセントであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
無機多孔質コーティング(21,43)の空隙率が、30〜55体積パーセントであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング方法において、ポリマー膜(15,22,42)が第一のロール(41a)から第二のロール(41b)へ移動し、ターゲット(13)からはぎ取られる材料フラックス(14)が、レーザーパルス(12)によりポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部に同時に導かれることにより、無機材料を含むコーティングが形成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
レーザーパルス(12)が、回転ミラー(31)に導かれて扇形のレーザービーム分布が形成され、レーザーパルスの本質的に線状のフロント(33)を形成するのに用いられるテレセントリックレンズ(32)に向けられ、ターゲット(13)に更に向けられて前記材料をはぎ取ることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザーアブレーション及びコーティングが、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、10-8〜1000mbarの制御された圧力において生じることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
無機材料(14)が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であるか、または幾つかの異なるセラミック材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
多孔質コーティング(21,43)が、少なくとも2種の異なるターゲット材料(13)を用いることにより調製された、少なくとも2つの材料層からなることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コーティングプロセスにおいて、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、緻密な無機コーティングが多孔質ポリマー膜(15,22,42)上に最初に調製され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側で更なるコーティングが実施されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
コーティングプロセスにおいて、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、30%未満の空隙率を有する無機コーティングが多孔質ポリマー膜(15,22,42)上に最初に調製され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側で更なるコーティングが実施されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法において、
‐調製されるコーティング(21,43)の空隙率が、前記コーティングが緻密になるように0%であるように選択され、
‐調製されるコーティング(21,43)の厚さが最大で100nmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記セパレーター膜が、
‐多孔質ポリマー膜(15,22,42)、
‐無機材料の多孔質コーティング(21)を含み、
‐多孔質ポリマー膜(15,22,42)の表面への多孔質コーティング(21)の付着が、レーザーアブレーションにより実施されたことを特徴とする、Liバッテリーのセパレーター膜(21,22,43)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にリチウムバッテリーに関し、その構造に属するセパレーター膜に関する。本発明は更に、いわゆるレーザーアブレーション法を用いることによる前記セパレーター膜のコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルデバイス、電気自動車及びエネルギーの貯蔵に対する必要性が大きくなっているため、バッテリー技術の発展に対する必要性が増大している。リチウムバッテリーは、特に、例えば従来のNi‐Cd及びNi‐Mnバッテリーと比較した際の良好なエネルギー密度及び再充電の可能性のために、非常に多くの応用において成功してきた。
【0003】
リチウムバッテリー技術は、活物質が、例えば遷移金属酸化物である正のカソード、及び炭素系の負のアノードに基づく。微多孔質ポリマーセパレーターは、アノード及びカソード間で用いられてアノード及びカソードの接触を妨げるが、それでもなお、セパレーター膜を通るイオンの移動を許容する。イオン透過性に加えて、セパレーター膜は、良好な機械的強度、及び熱と化学種に対する長期の耐性を有することも必要である。
【0004】
ポリマー系微多孔質膜の使用に伴う課題は、150°未満に制限される場合があるその温度耐性であり、この場合、高温により短絡が生じ、問題のある状況において電解質が燃え上がり、火が発生する可能性がある。安全性は、衝撃等の異常な状況を含む全ての動作条件において重要である。この場合、できる限り良好なバッテリーの動作の信頼性を維持する試みも重要である。加えて、使用中、例えば温度が上昇した際のポリマー膜の収縮、化学的安定性、及び液体電解質を保持する膜の性能は、ポリマーメンブレンの使用を制限する場合がある。多くの異なる方法(その例は次に開示される)により、ポリマー膜の特性を向上させることが試みられてきた。
【0005】
セパレーター膜の特性は、ポリマー及び無機材料の組み合わせにより電極の表面をコーティングすることにより向上させることができる(すなわち、マイクロコンポジットマテリアル)。製造は、無機フィラーをポリマー及び溶媒と混合すること、この溶液により電極をコーティングすること、並びに溶媒を排出させることにより実施され、その結果ポリマー及び無機材料の微多孔質混合物が得られる。セパレーターは、無機材料で全体が製造されていないため、その絶縁性能は、必ずしも無機材料の均一な層に対応しない。
【0006】
また、少量の結合剤により強化された完全に無機のセラミックセパレーター膜もリチウムバッテリー中で用いられてきた。その利点は、数ある中でも、それが非常に良好な熱的及び化学的安定性、並びに液体電解質を保持する性能を有することである。一方、その使用は、例えばローリング及び組立てにおけるその乏しい処理性能により制限される。
【0007】
セパレーター膜の信頼性を向上させるために、その安定性を、例えばセパレーター膜の片側又は両側を、強度、絶縁サイズ、及び温度耐性を得るためにセラミックコーティングによりコーティングすることにより向上させてきた。例えば種々の湿潤プロセスによるセラミックコーティングの製造は、かならずしも要求される均一性を有するリチウムバッテリーを提供しない。細孔径分布の制御は困難であり、例えば非常に細かい細孔ネットワークの製造は不可能である場合がある。ポリマーセパレーター膜における付着もまた、かならずしも十分でない。この種類の膜の厚さは、イオンの透過性を部分的に妨げ、活物質の相対量とエネルギーを貯蔵するリチウムバッテリーの性能とを減少させる数マイクロメートルであることが多い。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、Liバッテリー中で用いられる多孔質ポリマー膜を多孔質コーティングによりコーティングする方法を開示する。方法は以下の工程を含む。第一の短期間のレーザーパルスがターゲットに適用される。結果として、レーザーアブレーションによりターゲットから、例えば原子及び粒子として無機材料がはがれる。この後、方法において、はぎ取られた無機材料は、少なくとも1つの表面又は表面の一部に向けられ、その結果として、無機材料がポリマー膜の前記表面に付着した際、多孔質コーティングがポリマー表面の少なくとも1つの表面又は表面の一部に製造される。
【0009】
本発明の方法の実施態様において、ポリマー膜の表面上に製造された薄膜の厚さは少なくとも50nmである。
【0010】
本発明の方法の実施態様において、ポリマー膜の表面上に製造された薄膜の厚さは最大で4000nmである。
【0011】
本発明の方法の実施態様において、コーティング中で用いられる無機材料は酸化物、窒化物、又はホウ化物である。
【0012】
本発明の方法の実施態様において、ターゲットからはがれた材料、及びターゲットからポリマー膜上に移動する材料は、個々のレーザーパルスの瞬間的な継続時間が0.5〜1000psであるように、ターゲットに向けられたレーザーパルスにより達成される。
【0013】
本発明の方法の実施態様において、レーザーパルスは、100kHz〜100MHzの繰り返し周波数で発生する。
【0014】
本発明の方法の実施態様において、ポリマー膜の材料は、ポリエチレン又はポリプロピレンである。
【0015】
本発明の方法の実施態様において、ポリマー膜の空隙率は、20〜70体積%である。
【0016】
本発明の方法の実施態様において、無機コーティングの空隙率は、20〜70体積%である。
【0017】
本発明の方法の実施態様において、無機コーティングの空隙率は、30〜55体積%である。
【0018】
本発明の方法の実施態様において、ポリマー膜は第一のロールから第二のロールへ移動し、ターゲットからはぎ取られる物質フラックスは、レーザーパルスの補助により同時にポリマー膜の少なくとも1つの表面又は表面の一部に向けられ、無機材料を含むコーティングがしたがって形成される。
【0019】
本発明の方法の実施態様において、レーザーパルスは、回転ミラーに向けられてレーザービームの扇形の分布を形成し、平行なレーザーパルスのフロントを本質的に形成するのに用いられるテレセントリックレンズに導かれ、材料をはぎ取るためにターゲットにさらに向けられる。
【0020】
本発明の方法の実施態様において、レーザーアブレーション及びコーティングは、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、制御された10-8〜1000mbarの圧力にて生じる。
【0021】
本発明の方法の実施態様において、無機材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であるか、または幾つかの異なるセラミック材料からなる。
【0022】
本発明の方法の実施態様において、無機コーティングされた材料層は、少なくとも2種の異なるターゲット材料を用いることにより製造される、少なくとも2つの材料の層からなる。
【0023】
本発明の方法の実施態様において、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、コーティング中に、緻密な無機コーティングが多孔質ポリマー膜上で最初に製造され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、既に製造されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側の表面に更なるコーティングが実施される。
【0024】
本発明の方法の実施態様において、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、コーティング中に、30%未満の空隙率を有する無機コーティングが多孔質ポリマー膜上で最初に製造され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、既に製造されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側の表面に更なるコーティングが実施される。
【0025】
本発明の方法の実施態様において製造されるコーティングの空隙率は、コーティングが緻密になるように0%であるように選択され、製造されたコーティングの厚さは最大で100nmである。
【0026】
本発明の発明の思想は、方法により製造された最終製品、すなわちLiバッテリーに対するセパレーター膜も含む。セパレーター膜の独特の特徴は、それが、多孔質ポリマー膜と、無機材料で製造された多孔質コーティングとを含み、多孔質ポリマー膜の表面上への多孔質コーティングの付着が、レーザーアブレーションにより実施されることである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の例における種々の物理的部品によるコーティング手順の原理を示す。
図2図2は、コーティングされたセパレーター膜の例示的な構造を示す。
図3図3は、コーティングプロセスに関するいわゆるロール・ツー・ロール原理の例を示す。
図4図4は、本発明の装置配置により扇形の直線的なレーザーパルスフロントを形成する原理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の方法において、金属酸化物等の無機材料又は幾つかの酸化物の化合物の多孔質コーティングが微多孔質ポリマー膜(すなわちポリマーメンブレン)の表面の片面又は両面又は一部に調製された、複合セパレーター膜が調製される。コーティングは、したがって適切に選択された酸化物であることができ、または所望の窒化物又はホウ化物であることもできる。コーティングは、ターゲット材料に向けられた瞬間的な非常に短いレーザーパルスを用いたレーザーアブレーションによりはがれるようにターゲット材料を製造することと、このように粒子を形成することと、生じた材料をポリマー系材料の表面に向けることにより調製される。アブレーションは、かならずしも材料を完全に原子化しないが、ターゲット材料からはがれた材料は、いわゆるドロップレット(ターゲット材料からはがれた材料、及びアブレーションの後にプラズマ中で生成した部分的な粒子又は粒子群)も含む場合がある。ターゲット材料から材料をはぎ取る方法は、コーティングの生成されたミクロ構造及び細孔分布、並びにポリマー系材料において進展する熱応力を制御するのに用いることができる。
【0029】
この基本原理は、図1の原理図に示されており、コーティング手順に含まれる構造的な部分、及び材料の動きの方向が、原理的な水準で示されている。図1において、レーザー光ソース11は、アブレーションプロセスのエネルギーソースとして機能し、短パルス12としてターゲット材料13に向けてレーザー光が適用される。レーザーパルス12は、ターゲット材料13の表面において、上記で言及された粒子又は他の各々の部分としてターゲットからの材料の局所的なはぎ取りを生じさせる。このように、粒子材料の流れ14が生成され、それはコーティングされる材料15に向けられる。正しい向きは、プラズマの形態で放出する運動エネルギーの方向がコーティングされる材料15に向かうように、到達するレーザーパルス12の方向に関連して適切に傾斜するように、ターゲット材料表面13の面の方向を配することにより実現することができる。レーザーソース11が、ターゲット13に関連して当然に移動することができるか、又はターゲット13の表面に関連してレーザービームの方向の角度を変化させることができる。加えて、別個の配置がレーザーソース11とターゲット13との間に配されることができ、それによりターゲットを打つレーザーパルスのフロントを直線状にすることができる。この配置の別個の図4がある。
【0030】
図1におけるプラズマ及び粒子材料の流れ14は、(図からわかるように)コーティングされる材料が横方向に移動しないと仮定して、より広い領域がレーザーパルスの方向の1つの角度を用いることによりコーティングされる表面15の領域にコーティングされることができるように、扇形であることができる。第二の実施態様において、コーティングされる材料は移動することができ、別個の図3はこの実施態様を示す。
【0031】
本発明において用いられるアブレーションの例において概してとられるように、ターゲット表面の材料のはぎ取り及び粒子の形成及びターゲットからポリマー膜への材料の移動は、ターゲットに適用されたレーザーパルスにより達成され、個々のレーザーパルスの瞬間的な継続時間は0.5〜1000psであることができる。
【0032】
本発明の例において、レーザーパルスを100kHz〜100MHzの繰り返し周波数で発生させることができる。
【0033】
用いられるポリマー膜の材料は、例えばポリエチレン又はポリプロピレンであることができる。
【0034】
レーザーアブレーションによりはぎ取られた材料により生じた熱応力により、ポリマー膜の融解若しくは損傷、又は微細孔の閉鎖を生じさせてはならない。熱応力は、ターゲット材料からの運動エネルギー移動及び部分的に熱エネルギーを介してポリマー膜に向かう熱応力が、許される最大温度の熱応力を超えないように、レーザーパルスによるアブレーション発生及び他の材料のはぎ取りを調節することにより制御される。知られている薄膜コーティング方法と比較して、また、PVD(物理気相堆積)及びCVD(化学気相堆積)法と比較して、レーザーアブレーションを用いた際の温度の上昇は、より小さい。
【0035】
レーザーアブレーションにより粒子としてターゲット材料からベース材料へ材料を移動させることにより形成された膜は、ポリマー膜との信頼性のある結合を構築するはずである。これは、無機コーティングとポリマー膜との付着を形成するのに十分なエネルギーを可能にする、粒子の十分な運動エネルギーにより達成することができる。
【0036】
形成したコーティングの空隙率は、コーティング及び膜を通るイオンの拡散を可能にするのに十分である必要がある。図2において、本発明の方法によりコーティングされた後の本発明の実施態様のように機能するリチウムバッテリーのセパレーター膜の例示的な構造図が示されている。典型的には、バッテリー応用で用いられるセパレーター膜22はポリマー系であり、上記で述べられた微多孔質23構造を有する。ポリマー膜の細孔23のサイズは変化することができる。無機材料で形成されたコーティング21も、多孔質構造である。リチウムバッテリーのセパレーター膜において、微多孔質ポリマー膜の空隙率は、典型的には30〜50体積パーセントであり、目的は、無機コーティングの空隙率が少なくとも30体積パーセントであることである。無機材料の空隙率が基本的に緻密であることは必須であり、このことは電解質ができる限り良好に膜を濡らすことを可能にする。多孔質材料は、レーザーアブレーションにより材料をはぎ取ること、及び典型的には10〜100nmのナノ粒子又はこれらにより形成された粒子群が、はぎ取られた材料として確立される状況を作り出すことにより得られる。これらの粒子及び粒子群がポリマー膜の表面に蓄積した際、それらは多孔質コーティングを形成する。または、レーザーアブレーションにより実施された材料のはぎ取りは、融解した粒子又はターゲット材料からはがれた粒子を介して全体的にまたは部分的に起こり、それは、ポリマー膜の表面に無機材料のコーティングを形成する。先のメカニズムはより微細な粒子分布を製造し、その結果、細孔分布もより微細になる。実際には、コーティングは両方のメカニズムにより生成することが多く、それは、レーザーアブレーションの結果として生成したプラズマにより追加的に補完される。材料の異なる分離メカニズムを制御することにより、無機コーティングの構造及び空隙率を調節することができる。
【0037】
本発明の例において、ポリマー膜の表面上に製造される薄膜の厚さは、少なくとも50nmである。別の例において、ポリマー膜の表面上に製造される薄膜の厚さは、最大で4000nmである。コーティング又は薄膜のための無機材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であることができ、または幾つかの異なるセラミック材料からなる。
【0038】
本発明の実施態様におけるパラメータ選択肢として、ポリマー膜の空隙率は、20〜70体積パーセントであることができる。1つの実施態様において、無機コーティングの空隙率は20〜70体積パーセントであることができ、第二の実施態様において、30〜55体積パーセントを問題となっている空隙率のパラメータ間隔として選択することができる。ターゲット材料に直接的に由来する材料の流れに加えて、ターゲット材料からはがれた材料がコーティングチャンバー中のガス状材料と反応し、ベース材料の表面上にコーティングを形成する技術の使用も可能である。
【0039】
ターゲット材料及び粒子からはがれた材料の運動エネルギーに加えて、コーティングチャンバー中で用いられるガスの特性により、既にはがれた材料からの粒子の形成を制御することも可能である。言い換えると、ガスの特性は、1つの中心的なプロセスパラメータを形成する。
【0040】
1つの実施態様において、レーザーアブレーション及びコーティングは、制御された圧力を適用することができる減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で生じる。1つの選択肢は圧力を10-8〜1000mbarに設定することである。
【0041】
均一な品質及び生産性を向上させるために、ターゲットからベース材料へできる限り広い材料の流れを製造することが有利である。本発明の1つの例において、これは、ミラーを回転させてレーザーパルスを同一面においてレーザーパルスフロントに分解することにより実施することができる。この配置は、図3に示されている。ターゲットの代わりに、レーザーソース11のレーザーパルス12は、したがって回転ミラー31に向けられる。このミラー構造の種類は、例えば六角形で回転可能なミラー面であることができる。レーザーパルス12は、回転ミラー31から扇形のレーザーパルス形成(又はレーザービーム分布)へ反射され、前記反射されたパルスはテレセントリックレンズ32に導かれる。テレセントリックレンズ32により、レーザーパルスフロントは、線状のレーザーパルスフロント33として必然的に整列することができ、そのためレーザーパルスが同じ角度でターゲット材料13を打つ。この図の例において、前記角度は90°である。
【0042】
1つの応用例において、セパレーター膜は、材料が、コーティングチャンバー中で所望の幅にコーティングされるロールから巻き取られるようなコーティングによく適している。この応用の選択肢の原理図は、図4に示されている。コーティングのためのロールから連続的に巻き取られるように、材料は1つ又は幾つかのコーティングソースから所望のコーティング幅へ向けられ、その後、材料はコーティングゾーンを通過し、それはロールへ再構築される。この方法をロール・ツー・ロール原理と呼ぶことができる。言い換えると、コーティングされるセパレーター膜42は、ロール41aの周りに元々見られる。上記されたようにレーザーソース11及びターゲット材料13を備えるアブレーション装置が含まれている。レーザーパルス12は、コーティングされる材料42に向けて材料を粒子の流れ14として(言い換えると材料フラックスの形態で)はがし、付着の結果としてコーティングされたポリマー膜43が製造される。コーティングされたポリマー膜43を、図4の状況において膜の動きの向きを左から右にしつつ、第二のロール41bの周りで回転させる。ロール構造41a、41bをモーターにより制御することができる。コーティングされるセパレーター膜は、表面の全体の領域、又は図の深さ方向から見える表面の一部のみであることができる。膜の動きの方向と同様に、膜の所望の部分(長さ)を選択してコーティングすることができ、または全体のロールがコーティングされるように、全体のロールをはじまりからおわりまで加工することができる。
【0043】
本発明において、幾つかの異なるターゲットと異なる材料を用いることもでき、または代わりに幾つかの除去可能な材料からなる1種のターゲットを用いることもできる。したがって、無機コーティングされた材料層は、少なくとも2種の異なるターゲット材料を用いることにより調製された、少なくとも2つの材料層からなることができる。
【0044】
本発明の1つの実施態様において、コーティングプロセスにおいて緻密な無機コーティングが、多孔質ポリマー膜上に最初に製造されるように、コーティングを少なくとも2段階で製造することができる。このコーティングの厚さは最大で100nmである。この後に、更なるコーティングが、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側の表面に適用される。コーティング層の空隙率のパーセンテージ割合は、コーティングの端部表面により規定された全体の体積からの空の体積(開口部)の割合を指す。または、多孔質コーティングは、最初に及びこの後に多孔質コーティング又はポリマー膜の反対側に前記薄い緻密なコーティングを製造することができる。
【0045】
本発明の実施態様において、30%未満の空隙率を有する無機コーティングがコーティングの厚さが最大で100nmであるように多孔質ポリマー膜に最初に適用される。この後に、更なるコーティングが、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側の面に適用される。代わりに、より多孔質のコーティングを最初に調製することができ、この後に前記のより低い多孔質コーティングをより多孔質のコーティング又はポリマー膜の反対側に適用することができる。
【0046】
本発明の実施態様によれば、コーティングの空隙率は、コーティングが緻密になるように、方法において0%として選択され、さらに方法において、製造されたコーティングの厚さは最大で100nmである。
【0047】
したがって、空隙率は、コーティングの異なる段階間で変化することができ、必要な場合に、空隙率パラメータを、問題となっている層が特に非多孔質、すなわち完全に緻密な材料層になるように、ゼロとして選択することができる。
【0048】
多くの関連においてこれまで表明されてきたが、本発明の発明の思想は製造方法に加えて製造された製品、すなわちセパレーター膜も含む。セパレーター膜は、多孔質ポリマー膜、無機材料の多孔質コーティングを含み、セパレーター膜中の多孔質ポリマー膜の表面上の多孔質コーティングの付着は、レーザーアブレーションにより実施されている。
【0049】
本発明の方法は以下の利点を有する:
i.無機材料コーティングを、多孔質ポリマー膜を損傷させることなくポリマー膜の表面上で製造することができる。
ii.良好な付着が、無機コーティング及びポリマー膜間で達成される。
iii.均一なコーティングが、厚さ及び空隙率に関連して達成される。
iv.コーティングの良好な品質が、より薄い無機コーティングの製造を可能にし、それはバッテリーのエネルギー密度を向上させ、イオンがセパレーター膜を突き抜けることをより容易にする。
v.空隙率の量及び分布を、プロセスパラメータを調節することにより調節することができる。
vi.良好な生産性は、いわゆるロール・ツー・ロール原理及び効率的なレーザーの使用により達成される。
【0050】
本発明において、上記及び独立クレームで言及された本発明の個々の特徴を組み合わせて新たな組合せを形成することができ、そこでは同じ実施態様中の少なくとも2つの個々の特徴を含むことができる。
【0051】
本発明は、もっぱら示された例に制限されることはないが、多くの変更が特許請求の範囲に規定された範囲内で可能である。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2017年5月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
本発明は、もっぱら示された例に制限されることはないが、多くの変更が特許請求の範囲に規定された範囲内で可能である。
本開示は以下も包含する。
[1]
Liバッテリー中で用いられる多孔質ポリマー膜(15,22,42)を多孔質コーティング(21,43)によりコーティングする方法であって、方法が、以下の
‐短い継続時間のレーザーパルス(12)がターゲット(13)に適用される工程と、
‐無機材料(14)がレーザーアブレーションによりターゲット(13)からはぎ取られる工程と、
‐はぎ取られた無機材料(14)がポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部に向けられる工程と、
‐無機材料(14)が前記ポリマー膜の表面に付着しつつ、多孔質コーティング(21,43)が、ポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部上で製造される工程とを含むことを特徴とする方法。
[2]
ポリマー膜(15,22,42)の表面に適用される多孔質コーティング(21,43)が薄膜であり、その厚さが少なくとも50nmであることを特徴とする、上記態様1に記載の方法。
[3]
ポリマー膜(15,22,42)の表面に適用される多孔質コーティング(21,43)が薄膜であり、その厚さが最大で4000nmであることを特徴とする、上記態様1又は2に記載の方法。
[4]
前記コーティング中で用いられる無機材料が酸化物、窒化物又はホウ化物であることを特徴とする、上記態様1に記載の方法。
[5]
ターゲット(13)からほどけた材料(14)及びターゲット(13)からポリマー膜(15,22,42)へ移動する材料(14)が、ターゲット(13)に適用されたレーザーパルスにより達成され、個々のレーザーパルスの瞬間的な継続時間が0.5〜1000psであることを特徴とする、上記態様1〜4のいずれかに記載の方法。
[6]
レーザーパルス(12)を100kHz〜100MHzの繰り返し周波数で発生させることを特徴とする、上記態様1〜5のいずれかに記載の方法。
[7]
ポリマー膜(15,22,42)の材料が、ポリエチレン又はポリプロピレンであることを特徴とする、上記態様1〜6のいずれかに記載の方法。
[8]
ポリマー膜(15,22,42)の空隙率が、20〜70体積パーセントであることを特徴とする、上記態様1〜7のいずれかに記載の方法。
[9]
無機多孔質コーティング(21,43)の空隙率が、20〜70体積パーセントであることを特徴とする、上記態様1に記載の方法。
[10]
無機多孔質コーティング(21,43)の空隙率が、30〜55体積パーセントであることを特徴とする、上記態様1に記載の方法。
[11]
前記コーティング方法において、ポリマー膜(15,22,42)が第一のロール(41a)から第二のロール(41b)へ移動し、ターゲット(13)からはぎ取られる材料フラックス(14)が、レーザーパルス(12)によりポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部に同時に導かれることにより、無機材料を含むコーティングが形成されることを特徴とする、上記態様1〜10のいずれかに記載の方法。
[12]
レーザーパルス(12)が、回転ミラー(31)に導かれて扇形のレーザービーム分布が形成され、レーザーパルスの本質的に線状のフロント(33)を形成するのに用いられるテレセントリックレンズ(32)に向けられ、ターゲット(13)に更に向けられて前記材料をはぎ取ることを特徴とする、上記態様1〜11のいずれかに記載の方法。
[13]
前記レーザーアブレーション及びコーティングが、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、10−8〜1000mbarの制御された圧力において生じることを特徴とする、上記態様1〜12のいずれかに記載の方法。
[14]
無機材料(14)が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であるか、または幾つかの異なるセラミック材料からなることを特徴とする、上記態様1に記載の方法。
[15]
多孔質コーティング(21,43)が、少なくとも2種の異なるターゲット材料(13)を用いることにより調製された、少なくとも2つの材料層からなることを特徴とする、上記態様1〜14のいずれかに記載の方法。
[16]
コーティングプロセスにおいて、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、緻密な無機コーティングが多孔質ポリマー膜(15,22,42)上に最初に調製され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側で更なるコーティングが実施されることを特徴とする、上記態様1〜15のいずれかに記載の方法。
[17]
コーティングプロセスにおいて、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、30%未満の空隙率を有する無機コーティングが多孔質ポリマー膜(15,22,42)上に最初に調製され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側で更なるコーティングが実施されることを特徴とする、上記態様1〜15のいずれかに記載の方法。
[18]
前記方法において、
‐調製されるコーティング(21,43)の空隙率が、前記コーティングが緻密になるように0%であるように選択され、
‐調製されるコーティング(21,43)の厚さが最大で100nmであることを特徴とする、上記態様1に記載の方法。
[19]
前記セパレーター膜が、
‐多孔質ポリマー膜(15,22,42)、
‐無機材料の多孔質コーティング(21)を含み、
‐多孔質ポリマー膜(15,22,42)の表面への多孔質コーティング(21)の付着が、レーザーアブレーションにより実施されたことを特徴とする、Liバッテリーのセパレーター膜(21,22,43)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Liバッテリー中で用いられる多孔質ポリマー膜(15,22,42)を多孔質コーティング(21)によりコーティングする方法であって、方法が、以下の
‐短い継続時間のレーザーパルス(12)がターゲット(13)に適用される工程と、
‐無機材料(14)がレーザーアブレーションによりターゲット(13)からはぎ取られる工程と、
‐はぎ取られた無機材料(14)がポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部に向けられる工程と、
‐無機材料(14)が前記ポリマー膜の表面に付着しつつ、多孔質コーティング(21)が、ポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部上で製造される工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ポリマー膜(15,22,42)の表面に適用される多孔質コーティング(21)が薄膜であり、その厚さが少なくとも50nmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマー膜(15,22,42)の表面に適用される多孔質コーティング(21)が薄膜であり、その厚さが最大で4000nmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング中で用いられる無機材料が酸化物、窒化物又はホウ化物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ターゲット(13)からほどけた材料(14)及びターゲット(13)からポリマー膜(15,22,42)へ移動する材料(14)が、ターゲット(13)に適用されたレーザーパルス(12)により達成され、個々のレーザーパルスの瞬間的な継続時間が0.5〜1000psであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
レーザーパルス(12)を100kHz〜100MHzの繰り返し周波数で発生させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー膜(15,22,42)の材料が、ポリエチレン又はポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー膜(15,22,42)の空隙率が、20〜70体積パーセントであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
無機多孔質コーティング(21)の空隙率が、20〜70体積パーセントであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
無機多孔質コーティング(21)の空隙率が、30〜55体積パーセントであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング方法において、ポリマー膜(15,22,42)が第一のロール(41a)から第二のロール(41b)へ移動し、ターゲット(13)からはぎ取られる材料フラックス(14)が、レーザーパルス(12)によりポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部に同時に導かれることにより、無機材料を含むコーティングが形成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
レーザーパルス(12)が回転ミラー(31)に導かれて扇形のレーザービーム分布が形成され、レーザーパルスの本質的に線状のフロント(33)を形成するのに用いられるテレセントリックレンズ(32)に向けられ、ターゲット(13)に更に向けられて前記材料をはぎ取ることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザーアブレーション及びコーティングが、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、10−8〜1000mbarの制御された圧力において生じることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
無機材料(14)が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であるか、または幾つかの異なるセラミック材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
多孔質コーティング(21)が、少なくとも2種の異なるターゲット材料(13)を用いることにより調製された、少なくとも2つの材料層からなることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コーティングプロセスにおいて、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、緻密な無機コーティングが多孔質ポリマー膜(15,22,42)上に最初に調製され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側更なるコーティングが実施されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
コーティングプロセスにおいて、コーティングの厚さが最大で100nmであるように、30%未満の空隙率を有する無機コーティングが多孔質ポリマー膜(15,22,42)上に最初に調製され、その後、更なるコーティングの空隙率が30%より大きいように、調製されたコーティング又は多孔質ポリマー膜の反対側更なるコーティングが実施されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法において、
‐調製されるコーティング(21)の空隙率が、前記コーティングが緻密になるように0%であるように選択され、
‐調製されるコーティング(21)の厚さが最大で100nmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記セパレーター膜が、
‐多孔質ポリマー膜(15,22,42)
‐無機材料の多孔質コーティング(21)を含み、
‐多孔質ポリマー膜(15,22,42)の表面への多孔質コーティング(21)の付着が、レーザーアブレーションにより実施されており、
前記レーザーアブレーションが、短い継続時間のレーザーパルス(12)を無機材料を含むターゲット(13)に集束させて、ターゲット(13)から無機材料(14)をはぎ取ること、はぎ取られた無機材料(14)をポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部に向けること、及び無機材料(14)を前記ポリマー膜の表面に付着させつつ、ポリマー膜の表面(15,22,42)の少なくとも1つの表面又は一部上に多孔質コーティング(21)を製造することにより準備されていることを特徴とする、Liバッテリーのセパレーター膜(21,22,43)。
【国際調査報告】