特表2017-533575(P2017-533575A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-533575ポリマー電荷移送層及びそれを含む有機電子装置
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  • 特表2017533575-ポリマー電荷移送層及びそれを含む有機電子装置 図000034
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-533575(P2017-533575A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】ポリマー電荷移送層及びそれを含む有機電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20171013BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20171013BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   H05B33/22 D
   H05B33/14 A
   C08G61/12
   C07D209/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-508642(P2017-508642)
(86)(22)【出願日】2015年1月8日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月15日
(86)【国際出願番号】CN2015070355
(87)【国際公開番号】WO2016026266
(87)【国際公開日】20160225
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/084915
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/084918
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リアム・スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ヨプ・ナ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ・ジン・ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】チュン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ミンロン・チュ
(72)【発明者】
【氏名】ジチャン・フェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンミン・タン
(72)【発明者】
【氏名】シャオガン・フェン
(72)【発明者】
【氏名】ケニス・ケアンズ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・デヴリース
(72)【発明者】
【氏名】スクリット・ムコパディヤーイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・トレフォナス・サード
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・ディー・デボア
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ウッドワード
【テーマコード(参考)】
3K107
4C204
4J032
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC11
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD73
3K107DD78
3K107DD79
3K107FF14
3K107FF18
4C204BB05
4C204CB25
4C204EB01
4C204FB17
4C204GB14
4J032BA01
4J032BA12
4J032BB03
4J032BC01
4J032BD02
4J032CG01
(57)【要約】
本発明は、ポリマーと、p−ドーパントとを含むポリマー電荷移送層に関する。ポリマーは、重合単位として、モノマーA、モノマーB、及びモノマーC架橋剤を含む。本発明はさらに、有機電子装置、特にポリマー電荷移送層を含む有機発光装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー電荷移送層であって、前記組成物の総重量に基づいて、1重量%〜20重量%のp−ドーパント成分と、重合単位として、モノマーA及びモノマーC架橋剤を含むポリマーと、を含む組成物から形成され、モノマーAが、構造Aを有し、
【化1】
式中、A及びMがそれぞれ、置換若しくは非置換芳香族部分または置換若しくは非置換ヘテロ芳香族部分であり、
nが、2〜10であり、
〜Rがそれぞれ独立して、以下:水素;重水素;ヒドロカルビル、さらにC−C100ヒドロカルビル、さらにC−C100ヒドロカルビル、さらにC10−C100ヒドロカルビル、さらにC20−C100ヒドロカルビル、さらにC30−C100ヒドロカルビル;置換ヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヒドロカルビル、さらにC10−C100置換ヒドロカルビル、さらにC20−C100置換ヒドロカルビル、さらにC30−C100置換ヒドロカルビル;ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC10−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC20−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC30−C100ヘテロヒドロカルビル;置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC10−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC20−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC30−C100置換ヘテロヒドロカルビル;ハロゲン;シアノ;アリール、さらにC−C100アリール、さらにC−C100アリール、さらにC10−C100アリール、さらにC20−C100アリール、さらにC30−C100アリール;置換アリール、さらにC−C100置換アリール、さらにC−C100置換アリール、さらにC10−C100置換アリール、さらにC20−C100置換アリール、さらにC30−C100置換アリール;ヘテロアリール、さらにC−C100ヘテロアリール、さらにC−C10ヘテロアリール、さらにC10−C100ヘテロアリール、さらにC20−C100ヘテロアリール、さらにC30−C100ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、さらにC−C100置換ヘテロアリール、さらにC−C100置換ヘテロアリール、さらにC10−C100置換ヘテロアリール、さらにC20−C100置換ヘテロアリール、さらにC30−C100置換ヘテロアリールから選択され、
が、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、及びC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
〜Rのうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成し得、
モノマーC架橋剤が、構造Cを有し、
【化2】
式中、Cが、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、またはC−C50置換ヘテロヒドロカルビルであり、
〜Rがそれぞれ独立して、以下:水素、重水素、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、C−C50置換ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、シアノ、C−C50アリール、C−C50置換アリール、C−C50ヘテロアリール、C−C50置換ヘテロアリールから選択され、
が、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、またはC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
mが、2〜25であり、
の各化学基が、Cに独立して結合され、
〜Rのうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成し得、
前記p−ドーパントが、トロピリウム塩、イミダゾリウム塩、及びトリチル塩から選択される、ポリマー電荷移送層。
【請求項2】
前記ポリマーが、構造Bを有するモノマーBをさらに含み、
【化3】
式中、Bが、置換若しくは非置換芳香族部分または置換若しくは非置換ヘテロ芳香族部分であり、
xが、2〜10であり、
が、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、及びC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
〜Rがそれぞれ独立して、以下:水素、重水素、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、C−C50置換ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、シアノ、C−C50アリール、C−C50置換アリール、C−C50ヘテロアリール、及びC−C50置換ヘテロアリールから選択され、
〜Rのうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成し得る、請求項1に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項3】
モノマーAが、以下のA1〜A12から選択される、
【化4】
請求項1に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項4】
モノマーAが、以下のA13〜A28から選択される、
【化5-1】
【化5-2】
請求項1に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項5】
モノマーC架橋剤が、以下のC1−C11から選択される、
【化6】
請求項1に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項6】
モノマーC架橋剤が、モノマーAの総モルに基づいて、0.1〜50モル%である、請求項1に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項7】
モノマーBが、以下のB1〜B6から選択される、
【化7】
請求項2に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項8】
モノマーA対モノマーBのモル比が、0.8〜1.2である、請求項2に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項9】
前記p−ドーパントが、以下のうちの1つから選択される構造を有する、
【化8】
請求項1に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項10】
前記p−ドーパントが、構造:
【化9】
を有する、請求項9に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項11】
モノマーA、モノマーB、及びモノマーCのうちのいずれかが、500g/モル〜28000g/モルの分子量を有する、請求項2に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項12】
モノマーA及びモノマーCのうちのいずれかが、99%以上の純度を有する、請求項1に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項13】
モノマーA、モノマーB、及びモノマーCのうちのいずれかが、99%以上の純度を有する、請求項2に記載のポリマー電荷移送層。
【請求項14】
請求項1に記載のポリマー電荷移送層を備える、有機発光装置。
【請求項15】
請求項1に記載のポリマー電荷移送層を備える、有機電子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーと、p−ドーパントとを含むポリマー電荷移送層に関する。ポリマーは、重合単位、モノマーA、モノマーB、及びモノマーC架橋剤を含む。本発明はさらに、有機電子装置、特にポリマー電荷移送層を含む有機発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子装置は、少なくとも1つの有機材料を使用して電気操作を行う装置である。それらには、従来の無機電子装置に勝る、柔軟性、低電力消費、及び比較的低い価格等の利点が賦与されている。有機電子装置は通常、有機発光装置、太陽電池、有機メモリ装置、有機センサ、有機薄フィルムトランジスタ、ならびに有機電池、燃料電池、及び有機スーパーキャパシタ等の電力生成及び貯蔵装置を含む。そのような有機電子装置は、正孔注入若しくは輸送材料、電子注入若しくは輸送材料、または発光材料から作製される。
【0003】
典型的な有機発光装置は、多層構造を有する有機発光ダイオード(OLED)であり、典型的にはアノード及び金属カソードを含む。正孔注入層(HIL)、正孔移送層(HTL)、放出層(EL)、電子移送層(ETL)、及び電子注入層(EIL)等のいくつかの有機層が、アノードと金属カソードとの間に挟まれる。OLEDにおけるETL及びHTLに対する新たな材料発見は、装置性能及び寿命を改善することを標的としている。典型的なポリマー電荷移送層としてのHTL層の場合、層を堆積させるプロセスは、その最終用途に対して極めて重要である。小型ディスプレイ用途において、HTL層を堆積するための方法は、その堆積を導くための微細な金属マスクを用いる小さい有機化合物の蒸発を含む。大型ディスプレイの場合、この手法は、材料使用及び高スループットの観点から実用的ではない。これらの発見を考慮して、これらの課題を克服し、大型ディスプレイ用途に直接適用することができる、HTLを堆積する新たなプロセスが必要とされている。
【0004】
有望と思われる1つの手法は、架橋または重合部分によって付着した小分子HTL材料の堆積を含む溶液プロセスである。溶液プロセスに基づく方法には、当該技術分野において周知であるスピンコーティング、インクジェット印刷、及びスクリーン印刷が挙げられる。これらの線に沿って、この領域で広範囲に及ぶ取り組みが行われているが、しかしながら、これらの手法は、それら独自の欠点を有する。具体的には、架橋または重合化学の結果として、HTLにおける電荷の移動度が低減する。この低減された正孔移動度は、乏しい装置寿命につながる。
【0005】
したがって、有機電子装置のための、特に有機発光装置、有機太陽電池、または有機メモリ装置のための、改善された装置寿命を有する新たなポリマー電荷移送層組成物を提供することが依然として所望される。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ポリマー電荷移送層、及び有機電子装置、特にポリマー電荷移送層を備える発光装置を提供する。本ポリマー電荷移送層は、組成物の総重量に基づいて、1重量%〜20重量%のp−ドーパント成分と、重合単位として、モノマーA及びモノマーC架橋剤を含むポリマーとを含む組成物から形成される。
【0007】
モノマーAは、構造Aを有し、
【0008】
【化1】
【0009】
式中、A及びMはそれぞれ、置換若しくは非置換芳香族部分または置換若しくは非置換ヘテロ芳香族部分であり、
nは、2〜10であり、
〜Rはそれぞれ独立して、以下:水素;重水素;ヒドロカルビル、さらにC−C100ヒドロカルビル、さらにC−C100ヒドロカルビル、さらにC10−C100ヒドロカルビル、さらにC20−C100ヒドロカルビル、さらにC30−C100ヒドロカルビル;置換ヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヒドロカルビル、さらにC10−C100置換ヒドロカルビル、さらにC20−C100置換ヒドロカルビル、さらにC30−C100置換ヒドロカルビル;ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC10−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC20−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC30−C100ヘテロヒドロカルビル;置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC10−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC20−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC30−C100置換ヘテロヒドロカルビル;ハロゲン;シアノ;アリール、さらにC−C100アリール、さらにC−C100アリール、さらにC10−C100アリール、さらにC20−C100アリール、さらにC30−C100アリール;置換アリール、さらにC−C100置換アリール、さらにC−C100置換アリール、さらにC10−C100置換アリール、さらにC20−C100置換アリール、さらにC30−C100置換アリール;ヘテロアリール、さらにC−C100ヘテロアリール、さらにC−C10ヘテロアリール、さらにC10−C100ヘテロアリール、さらにC20−C100ヘテロアリール、さらにC30−C100ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、さらにC−C100置換ヘテロアリール、さらにC−C100置換ヘテロアリール、さらにC10−C100置換ヘテロアリール、さらにC20−C100置換ヘテロアリール、さらにC30−C100置換ヘテロアリールから選択され、
は、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、及びC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
〜Rのうちの2つ以上は、1つ以上の環構造を任意に形成し得る。
【0010】
モノマーC架橋剤は、構造Cを有し、
【0011】
【化2】
【0012】
式中、Cは、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、またはC−C50置換ヘテロヒドロカルビルであり、
〜Rはそれぞれ独立して、以下:水素、重水素、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、C−C50置換ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、シアノ、C−C50アリール、C−C50置換アリール、C−C50ヘテロアリール、C−C50置換ヘテロアリールから選択され、
が、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、またはC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
mは、2〜25であり、
の各化学基は、Cに独立して結合され、
〜Rのうちの2つ以上は、1つ以上の環構造を任意に形成し得る。
【0013】
p−ドーパントは、トロピリウム塩、イミダゾリウム塩、及びトリチル塩から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】OLED装置A〜Dの発光減衰曲線を示し、OLED装置A及びDは、OLED装置B及びCのものと比較して、より緩徐な減衰速度を示し、OLED装置A〜Dのうちのいずれも、オーバーシュート現象は示さなかった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のポリマー電荷移送層組成物は、組成物の総重量に基づいて、1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%、及びより好ましくは5重量%〜12重量%のp−ドーパント成分と、重合単位として、モノマーA、任意のモノマーB、及びモノマーC架橋剤を含むポリマーとを含む。
【0016】
ポリマー
ポリマーは、構造Aを有するモノマーAを含み、
【0017】
【化3】
【0018】
式中、A及びMはそれぞれ、置換若しくは非置換芳香族部分または置換若しくは非置換ヘテロ芳香族部分であり、
nは、2〜10であり、
〜Rはそれぞれ独立して、以下:水素;重水素;ヒドロカルビル、さらにC−C100ヒドロカルビル、さらにC−C100ヒドロカルビル、さらにC10−C100ヒドロカルビル、さらにC20−C100ヒドロカルビル、さらにC30−C100ヒドロカルビル;置換ヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヒドロカルビル、さらにC10−C100置換ヒドロカルビル、さらにC20−C100置換ヒドロカルビル、さらにC30−C100置換ヒドロカルビル;ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC10−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC20−C100ヘテロヒドロカルビル、さらにC30−C100ヘテロヒドロカルビル;置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC10−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC20−C100置換ヘテロヒドロカルビル、さらにC30−C100置換ヘテロヒドロカルビル;ハロゲン;シアノ;アリール、さらにC−C100アリール、さらにC−C100アリール、さらにC10−C100アリール、さらにC20−C100アリール、さらにC30−C100アリール;置換アリール、さらにC−C100置換アリール、さらにC−C100置換アリール、さらにC10−C100置換アリール、さらにC20−C100置換アリール、さらにC30−C100置換アリール;ヘテロアリール、さらにC−C100ヘテロアリール、さらにC−C100ヘテロアリール、さらにC10−C100ヘテロアリール、さらにC20−C100ヘテロアリール、さらにC30−C100ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、さらにC−C100置換ヘテロアリール、さらにC−C100置換ヘテロアリール、さらにC10−C100置換ヘテロアリール、さらにC20−C100置換ヘテロアリール、さらにC30−C100置換ヘテロアリールから選択され、
は、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、及びC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
〜Rのうちの2つ以上は、1つ以上の環構造を任意に形成し得る。
【0019】
一実施形態では、モノマーAは、以下のA1〜A12から選択される、
【0020】
【化4】
【0021】
一実施形態では、構造Aは、以下のA13〜A28から選択される、
【0022】
【化5-1】
【0023】
【化5-2】
【0024】
任意で、ポリマーは、少なくとも2つのジエノフィル部分を含むモノマーBをさらに含み、構造Bを有し、
【0025】
【化6】
【0026】
式中、Bは、置換若しくは非置換芳香族部分または置換若しくは非置換ヘテロ芳香族部分であり、
は、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、及びC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
xは、2〜10であり、
〜Rはそれぞれ独立して、以下:水素、重水素、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、C−C50置換ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、シアノ、C−C50アリール、C−C50置換アリール、C−C50ヘテロアリール、及びC−C50置換ヘテロアリールから選択され、
〜Rのうちの2つ以上は、1つ以上の環構造を任意に形成し得る。
【0027】
一実施形態では、モノマーBは、以下のB1〜B6から選択される、
【0028】
【化7】
【0029】
ポリマーは、構造Cを有するモノマーC架橋剤をさらに含み、
【0030】
【化8】
【0031】
式中、Cは、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、またはC−C50置換ヘテロヒドロカルビルであり、
〜Rはそれぞれ独立して、以下:水素、重水素、C−C50ヒドロカルビル、C−C50置換ヒドロカルビル、C−C50ヘテロヒドロカルビル、C−C50置換ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、シアノ、C−C50アリール、C−C50置換アリール、C−C50ヘテロアリール、C−C50置換ヘテロアリールから選択され、
は、ヘテロ原子、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、C−C100ヒドロカルビル、C−C100置換ヒドロカルビル、C−C100ヘテロヒドロカルビル、またはC−C100置換ヘテロヒドロカルビルから選択され、
mは、2〜25であり、
の各化学基は、Cに独立して結合され、
〜Rのうちの2つ以上は、1つ以上の環構造を任意に形成し得る。
【0032】
一実施形態では、架橋剤は、以下のC1−C11から選択される、
【0033】
【化9】
【0034】
一実施形態では、モノマーC架橋剤は、モノマーA(構造A)の総モルに基づいて、0.1〜50モル%、好ましくは0.5〜15モル%、及びより好ましくは5〜12モル%の量で存在する。
【0035】
一実施形態では、モノマーA対モノマーBのモル比は、0.8〜1.2、及び好ましくは0.9〜1.1である。
【0036】
一実施形態では、モノマーA、モノマーB、及びモノマーCのうちのいずれかの分子量は、500g/モル〜28000g/モル、好ましくは700g/モル〜14000g/モル、及びより好ましくは1000g/モル〜4000g/モルである。
【0037】
一実施形態では、モノマーA、モノマーB、及びモノマーCのうちのいずれかの純度は、99%以上、好ましくは99.4%以上、及びより好ましくは99.5%以上である。該精製は、当該技術分野において周知である、不純物を除去するための方法によって達成され、分画、昇華、クロマトグラフィー、結晶化、及び沈殿方法が挙げられる。
【0038】
一実施形態では、モノマーA、モノマーB、及びモノマーCのうちのいずれかは、イオン交換ビーズを通してさらに精製されて、金属イオン、硫酸イオン、ギ酸イオン、シュウ酸イオン、及び酢酸イオン等のカチオン性不純物及びアニオン性不純物が除去される。
【0039】
P−ドーパント
一実施形態では、p−ドーパントは、ロピリウム塩、イミダゾリウム塩、及びトリチル塩から選択される。
【0040】
さらに別の実施形態では、p−ドーパントは、以下のうちの1つから選択される構造を有する、
【0041】
【化10】
【0042】
好ましくは、p−ドーパントは、構造:
【0043】
【化11】
【0044】
を有する。
【0045】
有機電子装置
本発明は、有機電子装置を作製する方法を提供する。本方法は、ポリマー電荷移送層溶液を提供することと、溶液プロセスによる有機電子装置の製造において使用されることが既知であるか、または提案されている有機溶媒のいずれかに、ポリマー電荷移送層溶液を溶解または分散させることと、を含む。そのような有機溶媒には、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、クロロホルム、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラリン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラロン、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリマー電荷移送層溶液を膜またはフィルターを通して濾過して、50nmよりも大きい粒子を除去した。
【0046】
その後、ポリマー電荷移送層溶液を、アノードであってもカソードであってもよい第1の電極上に堆積する。堆積は、発光装置の製造に使用されることが既知であるか、または提案されている様々な種類の溶液処理技術のうちのいずれかによって実施され得る。例えば、ポリマー電荷移送層溶液は、インクジェット印刷、ノズル印刷、オフセット印刷、転写印刷、若しくはスクリーン印刷等の印刷プロセスを使用して、または例えば、スプレーコーティング、スピンコーティング、若しくはディップコーティング等のコーティングプロセスを使用して、堆積され得る。溶液の堆積後、溶媒が除去され、これは、真空乾燥または加熱等の従来の方法を使用することによって実施され得る。
【0047】
ポリマー電荷移送層溶液をさらに架橋させて、層を形成する。架橋は、層溶液を、熱及び/または光放射線(UV光、ガンマ線、またはX線を含む)に曝露することによって実施され得る。架橋は、熱または放射線照射下で分解して、架橋反応を開始させるフリーラジカルまたはイオンを生成する開始剤の存在下で行われ得る。架橋は、装置の製造中にインサイチュで実施され得る。架橋後、それによって作製されたポリマー電荷移送層は、好ましくは、反応性であるか、または光、正電荷、負電荷、若しくは励起子への曝露によって分解可能である残余部分を含まない。
【0048】
溶液堆積及び架橋のプロセスは、複層を作製するために繰り返されてもよい。
【0049】
本発明の有機発光装置は、第1の伝導層と、電子輸送層(ETL)と、正孔輸送層(HTL)と、第2の伝導層とを備える。典型的なポリマー電荷移送層としての正孔輸送層は、上述のプロセスに従って作製される。第1の伝導層はアノードとして使用され、一般に透明導電性酸化物、例えば、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、金属窒化物、金属セレン化物、及び金属硫化物である。第2の伝導層はカソードであり、伝導材料を含む。材料が、第2の伝導層と正孔輸送層との間の十分な接触を確保して、低電位下での電子注入を促進し、より良好な安定性を提供するための良好な薄フィルム形成特性を有することが好ましい。例えば、カソードの材料は、アルミニウム及びカルシウム等の金属、マグネシウム/銀及びアルミニウム/リチウム等の金属合金、ならびにこれらの任意の組み合わせであってもよい。さらに、フッ化リチウムの極薄フィルムが、カソードと放出層との間に任意で置かれてもよい。フッ化リチウムは、カソードから放出層へと電子を注入するエネルギー障壁を効果的に低減することができる。さらに、放出層は、発光装置の全体的構造において非常に重要な役割を果たす。装置の色の決定に加えて、放出層はまた、全体的な輝度効率に対して重要な影響を有する。一般的なルミネセント材料は、発光機序によって蛍光及び燐光として分類され得る。
【0050】
定義
「ジエノフィル」という用語は、2π−電子を持ち、ディールス・アルダー付加環化反応に関与し得る分子を指す。この例には、アルケン、アルキン、ニトリル、エノールエーテル、及びエナミンが挙げられる。
【0051】
「有機電子装置」という用語は、有機材料の存在下で電気操作を行う装置を指す。具体的な例には、有機発光装置、太陽電池、有機メモリ装置、有機センサ、有機薄フィルムトランジスタ、ならびに有機電池、燃料電池、及び有機スーパーキャパシタ等の電力生成及び貯蔵装置が挙げられる。
【0052】
「有機発光装置」という用語は、2つの電極にわたって電流が適用されると発光する装置を指す。具体的な例には、発光ダイオードが挙げられる。
【0053】
「ポリマー電荷移送層」という用語は、正孔または電子のいずれかの、電荷担持部分を輸送することができるポリマー材料を指す。具体的な例には、正孔輸送層が挙げられる。
【0054】
「芳香族部分」という用語は、そこから少なくとも1つの水素原子を取り除くことによって芳香族炭化水素から生じる有機部分を指す。芳香族部分は、単環式及び/または縮合環系であってもよく、その各環は、好適に4〜7個、好ましくは5〜6個の原子を含有する。2つ以上の芳香族部分が単結合(複数可)を介して組み合わせられた構造も含まれる。具体的な例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、及びフルオランテニル等が挙げられる。ナフチルは、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり得、アントリルは、1−アントリル、2−アントリル、または9−アントリルであり得、フルオレニルは、1−フルオレニル、2−フルオレニル、3−フルオレニル、4−フルオレニル、及び9−フルオレニルのうちのいずれか1つであり得る。
【0055】
「ヘテロ芳香族部分」という用語は、少なくとも1つの炭素原子またはCH基若しくはCH基がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換された芳香族部分を指す。ヘテロ芳香族部分は、1つ以上のベンゼン環(複数可)で縮合される5若しくは6員単環式ヘテロアリールまたは多環式ヘテロアリールであってもよく、部分的に飽和されてもよい。単結合を介して結合される1つ以上のヘテロ芳香族部分を有する構造も含まれる。具体的な例には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式ヘテロアリール基、ベンゾフラニル、フルオレノ[4,3−b]ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フルオレノ[4,3−b]ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチア−ジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、及びベンゾジオキソリル等の多環式ヘテロアリール基が挙げられる。
【0056】
「ヒドロカルビル」という用語は、水素及び炭素原子のみを含有する化学基を指す。
【0057】
「置換ヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1つの水素原子がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたヒドロカルビルを指す。
【0058】
「ヘテロヒドロカルビル」という用語は、水素及び炭素原子を含有する化学基を指し、少なくとも1つの炭素原子またはCH基若しくはCH基は、ヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換される。
【0059】
「置換ヘテロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1つの水素原子がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたヘテロヒドロカルビルを指す。
【0060】
「アリール」という用語は、そこから1つの水素原子を取り除くことによって芳香族炭化水素から生じる有機ラジカルを指す。アリール基は、単環式及び/または縮合環系であってもよく、その各環は、好適に4〜7個、好ましくは5〜6個の原子を含有する。2つ以上のアリール基が単結合(複数可)を介して組み合わせられた構造も含まれる。具体的な例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、及びフルオランテニル等が挙げられる。ナフチルは、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり得、アントリルは、1−アントリル、2−アントリル、または9−アントリルであり得、フルオレニルは、1−フルオレニル、2−フルオレニル、3−フルオレニル、4−フルオレニル、及び9−フルオレニルのうちのいずれか1つであり得る。
【0061】
「置換アリール」という用語は、少なくとも1つの水素原子がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたアリールを指す。
【0062】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの炭素原子またはCH基若しくはCH基がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたアリール基を指す。ヘテロアリールは、1つ以上のベンゼン環(複数可)で縮合される5若しくは6員単環式ヘテロアリールまたは多環式ヘテロアリールであってもよく、部分的に飽和されてもよい。単結合を介して結合される1つ以上のヘテロアリール基(複数可)を有する構造も含まれる。ヘテロアリール基は、そのヘテロ原子が酸化または四級化され、N−オキシド、四級塩等を形成する二価アリール基を含み得る。具体的な例には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式ヘテロアリール基、ベンゾフラニル、フルオレノ[4,3−b]ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フルオレノ[4,3−b]ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチア−ジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、及びベンゾジオキソリル等の多環式ヘテロアリール基、ならびに対応するN−オキシド(例えば、ピリジルN−オキシド、キノリルN−オキシド)、及びそれらの四級塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
「置換ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの水素原子がヘテロ原子または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されたヘテロアリールを指す。
【0064】
ヘテロ原子には、O、N、P、P(=O)、Si、B、及びSが挙げられる。
【0065】
「ポリマー」という用語は、同じまたは異なる種類であるかを問わず、モノマーを重合することによって調製される高分子化合物を指す。このため、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がそのポリマー構造中及び/または構造内に組み込まれ得るということを理解して、一種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び以下で定義されるようなインターポリマーという用語を含む。
【0066】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。このため、インターポリマーという総称は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【実施例】
【0067】
I.試薬及び試験方法
全ての溶媒及び試薬を商業用供給元、例えば、Sigma−Aldrich,TCI及びAlfa Aesarから得て、可能な限りの最高純度で使用するか、及び/または必要に応じて使用前に再結晶化させた。室内精製/分配システムから乾燥溶媒を得た(ヘキサン、トルエン、及びテトラヒドロフラン)、またはSigma−Aldrichから購入した。「水に敏感な化合物」に関わる全ての実験は、「炉乾燥」ガラス器内で、窒素雰囲気下で、またはグローブボックス内で行われた。
【0068】
H−NMR−スペクトル(500MHzまたは400MHz)を、別段明記しない限り、Varian VNMRS−500またはVNMRS−400スペクトロメーター上、30℃で得た。化学シフトは、CDCl中のテトラメチルシラン(TMS、δ=0.00)を基準とした。
【0069】
ルーチン液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)研究を、以下のように行った。「テトラヒドロフラン(THF)中1mg/ml溶液」としての1マイクロリットルのアリコートの試料を、Agilent 6520四重極飛行時間型(Q−TOF)MSシステムに結合されたAgilent 1200SLの2成分液体クロマトグラフィー(LC)上に、PIモードで動作する二重エレクトロスプレーインターフェース(ESI)を介して注入した。以下の分析条件を使用した。カラム:Agilent Eclipse XDB−C18、4.6*50mm、1.7um;カラムオーブン温度:30℃;溶媒A:THF;溶媒B:水/アセトニトリル(v/v、95/5)中0.1%のギ酸;勾配:0〜6分で40〜80%溶媒A、9分間保持;流速:0.3mL/分;UV検出器detector:ダイオードアレイ、254nm;MS条件:キャピラリー電圧:3900kV(負)、3500kV(正);モード:負及び正;スキャン:100〜2000amu;速度:1秒/スキャン;脱溶媒和温度:300℃。
【0070】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)研究を、以下のように行った。2mgのB段階HTLポリマーを、1mLのTHF中に溶解させた。溶液を0.20μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターを通して濾過し、50μlの濾液をGPCシステムに注入した。以下の分析条件を使用した。ポンプ:1.0mL/minの名目上流量のWaters(商標)e2695 Separations Modules;溶離液:Fisher Scientific HPLC等級THF(安定化されていない);注入器:Waters e2695 Separations Modules;カラム:Polymer Laboratories Inc.からの2つの5μm混合Cカラム、40℃で保持;検出器:Shodex RI−201 Differential Refractive Index(DRI)Detector;較正:Polymer Laboratories Inc.からの17個のポリスチレン標準材料、3,742kg/モル〜0.58kg/モルの範囲にわたって3次多項式曲線に適合。
【0071】
II.実施例
1.N−([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン(式1)の合成
【0072】
【化12】
【0073】
N−([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−N−(4−ブロモフェニル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(15.48g、30mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(9.14g、36mmol)、Pd(dppf)Cl(571mg、0.75mmol)、CHCOOK(4.41g、45mmol)、及び60mLの乾燥ジオキサンの混合物を、窒素雰囲気下で12時間かけて85℃で加熱した。室温への冷却後、溶媒を真空下で除去し、次いで水を添加した。混合物をCHClで抽出した。有機相を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を蒸発させて溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーを通して精製し、白色固体を得た(84%の収率)。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):564.30[M+H]H−NMR(CDCl,400MHz,TMS,ppm):δ7.65(d,2H)、7.59(d,2H)、7.50(d,2H)、7.40(m,8H)、7.17(m,3H)、7.05(m,3H)、1.42(s,6H)、1.38(s,12H)。
【0074】
2.9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール−3−カルバルデヒド(式2)の合成
【0075】
【化13】
【0076】
150mLのジメチルホルムアミド(DMF)中9−(4−ブロモフェニル)−9H−カルバゾール(32.2g、100mmol)の溶液に、100mLのDMF中N−ブロモサクシニミド(NBS)(17.8g、100mmol)を30分かけて滴加した。添加後、混合物を室温で12時間撹拌し、次いで水に注いで沈殿させた。固体を濾過し、ジクロロメタン及びエタノールから再結晶化させて、白色固体を得(92%の収率)、次のステップに使用した。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):402.09[M+H]
【0077】
THF(500mL)中3−ブロモ−9−(4−ブロモフェニル)−9Hカルバゾール(8.02g、20mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中24mLの2.5M溶液、60mmol)を、−78℃の内部温度を維持する速度で添加した。混合物を−78℃で1時間かけて撹拌し、10mLのDMFに10mLのTHFを滴加した。添加後、反応混合物を−45℃で30分間、0℃でさらに30分間撹拌した。NHCl飽和水溶液(400mL)を添加し、有機溶媒を蒸発させた。残留物をCHCl(2×100mL)で抽出し、組み合わせた有機相を無水MgSOで乾燥させた。溶媒の除去後、カラムクロマトグラフィーを通して粗生成物を精製して、粗生成物を得た(65%の収率)。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):300.09[M+H]H−NMR(CDCl,400MHz,TMS,ppm):δ10.15(s,1H)、10.13(s,1H)、8.67(s,1H)、8.23(d,1H)、8.17(d,2H)、7.99(d,1H)、7.80(d,2H)、7.54(m,3H)、7.40(m,1H)。
【0078】
3.6−ブロモ−9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール−3−カルバルデヒド(式3)の合成
【0079】
【化14】
【0080】
CHCl(20mL)及びDMF(20mL)中、式2の化学物質の溶液(0.898g、3mmol)に、NBS(0.587mg、3.3mmol)を少量に分けて添加した。4時間の撹拌後、形成された沈殿物を濾過し、DMF及びCHClで数回洗浄して粗生成物を得た(84%の収率)。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):378.01[M+H]。(低い可溶性のため、H−NMRデータを得ることができない)。
【0081】
4.6−(4−([1,1'−ビフェニル]−4−イル(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミノ)フェニル)−9−(4−ホルミルフェニル)−9H−カルバゾール−3−カルバルデヒド(式4)の合成
【0082】
【化15】
【0083】
式3の化学物質(0.756g、2mmol)、式1の化学物質(1.24g、2.2mmol)、Pd(OAc)(12.8mg、0.06mmol)、及びX−Phos(28.6mg、0.06mmol)の混合物に、2.0MのNaCO:エタノール:トルエンの1:1:2混合物の比率で、20mLの混合溶媒を窒素流動下で添加した。反応混合物を90℃の窒素雰囲気下で一晩撹拌した。トルエン及びエタノールの蒸発後、水を添加し、混合物をCHCl(2×30mL)で抽出し、組み合わせた有機相を無水MgSOで乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーを通して精製し、黄色固体を得た(64%の収率)。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):735.29[M+H]H−NMR(CDCl,400MHz,TMS,ppm):δ10.12(s,1H)、10.09(s,1H)、8.36(s,1H)、8.20(d,1H)、7.64(m,12H)、7.53(m,2H)、7.42(m,6H)、7.32(m,7H)、7.15(d,1H)、4.88(s,2H)、4.85(s,2H)、1.45(s,6H)。
【0084】
5.(4−(3−(4−([1,1'−ビフェニル]−4−イル(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミノ)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)メタノール(式5)の合成
【0085】
【化16】
【0086】
40℃の10mLのTHF及び10mLのエタノール中、式4の化学物質(734mg、1mmol)の溶液に、NaBH(302mg、8mmol)を窒素雰囲気下で添加した。溶液を室温で2時間かけて撹拌させた。次いで、塩酸水溶液をpH5まで添加し、混合物を30分間撹拌し続けた。溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した。次いで生成物を真空下で乾燥させ、さらに精製することなく次のステップに使用した(95%の収率)。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):739.32[M+H]H−NMR(CDCl,400MHz,TMS,ppm):δ8.36(s,1H)、8.20(d,1H)、7.64(m,12H)、7.53(m,2H)、7.42(m,6H)、7.32(m,7H)、7.15(d,1H)、4.88(s,2H)、4.85(s,2H)、3.74(m,2H)、1.45(s,6H)。
【0087】
6.モノマーB化学物質、N−([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(6−(((4−ビニルベンジル)オキシ)メチル)−9−(4−(((4−ビニルベンジル)オキシ)メチル)フェニル)−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン(99.6%純度)の合成
【0088】
【化17】
【0089】
50mLの乾燥DMF中、式5の化学物質(3.69g、5mmol)の溶液に、NaH(432mg、18mmol)を添加し、次いで混合物を室温で1時間撹拌した。1−(クロロメチル)−4−ビニルベンゼン(2.75g、15mmol)を、注射器を介して上述の溶液に添加した。混合物を一晩かけて60℃に加熱した。水で反応停止させた後、混合物を水に注いでDMFを除去した。残留物を濾過し、結果として生じる固体をジクロロメタンで溶解し、それを次いで水で洗浄した。溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した。次いで、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって、生成物を得た(55%の収率)。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):943.42[M+H]H−NMR(CDCl,400MHz,TMS,ppm):δ8.35(s,1H)、8.17(d,1H)、7.62(m,12H)、7.42(m,14H)、7.29(m,10H)、6.72(dd,2H)、5.77(d,2H)、5.24(d,2H)、4.74(s,2H)、4.67(s,4H)、4.60(s,2H)、1.45(s,6H)。
【0090】
7.モノマーA化学物質、N−([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−N−(4−(6−((ビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2,4−トリエン−7−イルオキシ)メチル)−9−(4−((ビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2,4−トリエン−7−イルオキシ)メチル)フェニル)−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(99.6%純度)の合成
【0091】
【化18】
【0092】
50mLの乾燥DMF中、式5の化学物質(3.69g、5mmol)の溶液に、NaH(432mg、18mmol)を添加し、次いで混合物を室温で1時間撹拌した。7−ブロモビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(Br−BCB)(2.75g、15mmol)を、注射器を介して上述の溶液に添加した。混合物を60℃に加熱し、一晩撹拌した。水で反応停止させた後、混合物を水に注いでDMFを除去した。残留物を濾過し、結果として生じる固体をジクロロメタンで溶解し、それを次いで水で洗浄した。溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した。次いで、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって、生成物を得た(65%の収率)。この生成物は、以下の特徴を有した。MS(ESI):943.42[M+H]H−NMR(CDCl,400MHz,TMS,ppm):δ8.35(s,1H)、8.22(d,1H)、7.65(m,12H)、7.47(d,2H)、7.43(m,6H)、7.29(m,10H)、7.15(m,6H)、5.27(d,2H)、4.89(s,2H)、4.82(s,2H)、3.55(d,2H)、3.22(d,2H)、1.45(s,6H)。
【0093】
8.B段階HTLポリマー調製
モノマーAの化学物質(モノマーA24、657.1mg、0.697mmol)、モノマーBの化学物質(モノマーB4、479.7mg、0.494mmol)、及びトリス(4'−ビニル−[1,1'−ビフェニル]−4−イル)アミン(モノマーC6)(72.7mg、0.132mmol、99.6%純度)の混合物を、1.2mLの電子アニソールに溶解させて、10重量%の溶液を作製した。上述の溶液のB段階化を、窒素雰囲気下、105℃で5時間かけて行った。室温への冷却後、B段階HTL溶液を電子溶媒で4重量%に希釈した。次いで、等量の電子メタノールをB段階HTL溶液に添加して、HTLポリマーを溶液から沈殿させた。次いで、B段階HTLポリマーを濾過によって収集し、40℃の真空炉内で一晩乾燥させた。結果として生じるB段階HTLポリマーを、電子アニソール中に再溶解させて、4重量%の溶液を作製し、上述の沈殿をもう一度繰り返して、残余HTLモノマーを完全に除去した。最後に、0.71g(59%の収率)のB段階HTLポリマー生成物を、黄色結晶様固体の形態で収集した。表1は、沈殿前後のB段階HTLポリマー分子量及び分布を示した。B段階HTLポリマーの分子量分布は、2×10g/モル(二量体)〜1×10g/モルの範囲で、非常に広範であったことに留意する価値がある。
【0094】
【表1】
【0095】
9.発光装置製造
酸化インジウムスズ(ITO)ガラス基板(2*2cm)を溶媒エタノール、溶媒アセトン、及び溶媒イソプロパノールで連続して洗浄し、次いでUVオゾン洗浄剤で15分間処理した。Plextronics Companyからの正孔注入層(HIL)材料Plexcore(商標)OC AQ−1200は、グローブボックス内で水溶液からITO基板にスピンコーティングし、150℃で20分間焼鈍した。その後、比較蒸発性HTL、N−([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンについては、基板を、HTL、放出材料層(EML)、電子移送層(ETL)、及びカソードの堆積のために熱蒸発器に移し、溶液プロセスのための本発明のHTLについては、アニソール溶液からHTL材料(B段階HTLポリマー)を堆積させ、150℃で10分間焼鈍して、有機溶媒を除去した。その後、B段階材料の架橋を、205℃で5分間、グローブボックス内のホットプレート上で行った。次いで、後続する燐光緑色(Ph−Green)EML、ETL、及びカソードを連続して堆積させた。最後に、装置を試験前に密封した。
【0096】
正孔輸送層材料としての、B段階ポリマーのエレクトロルミネセント(EL)性能を評価するために、以下の構造を有するOLED装置を製造した。
装置A:ITO/AQ−1200/比較HTL(蒸発、800Å)/EML/ETL/Al、
装置B:ITO/AQ−1200/B段階HTL(架橋せず、400Å)/EML/ETL/Al、
装置C:ITO/AQ−1200/B段階HTL(架橋、390Å)/EML/ETL/Al、
装置D:ITO/AQ−1200/10%のp−ドーパントを有するB段階HTL(架橋、290Å)/EML/ETL/Al。
【0097】
HIL(AQ−1200)、EML、ETL、及びカソードAlの厚さはそれぞれ、470、400、350、及び800Åである。
【0098】
III.結果
OLED装置の電流−電位−輝度(J−V−L)特性、つまり、駆動電位(V)、輝度効率(Cd/A)、及び1000ニトかつ50mA/cmの輝度での国際照明委員会(CIE)データ、ならびに15000ニトでの10時間の寿命を、Konica Minolta CompanyからのKeithly(商標)238 High Current Source−Measurement Unit及びCS−100A Color and Luminance Meterで実施し、表2に列挙した。OLED装置のエレクトロルミネセンス(EL)スペクトを、較正CCD分光器によって収集し、4つ全てのOLED装置実施例について516nmで固定した。
【0099】
装置Aは、蒸発性比較HTLで製造した一方で、装置Dは、溶液プロセスを通して、p−ドーパント成分(Acros Companyからのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)を含む本発明のB段階HTLポリマーを堆積させた。装置BまたはCはそれぞれ、p−ドーパント成分を含まない、非架橋B段階HTLポリマーまたは架橋B段階HTLポリマーを堆積させた。装置B及びCと比較して、装置Dは、より長い寿命(60.2%及び79.2%〜95.8%)を有し、これは、HTLポリマーにおいてp−ドーパント成分が果たす極めて重要な役割を実証した。装置Bと比較して、装置Cもまた、より長い寿命(79.2%〜95.8%)を有し、これは、モノマーC架橋剤が果たす極めて重要な役割を実証した。
【0100】
p−ドーパント成分及び本発明の架橋剤をその添加することによって、溶液プロセスによって堆積されたOLED装置性能、詳細には装置寿命が著しく改善され、蒸発性装置(装置A)のそれに非常に近かったことに留意されたい。
【0101】
【表2】

図1
【国際調査報告】