特表2017-533797(P2017-533797A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エレクタ、インク.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-533797(P2017-533797A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】放射線治療のための画像ガイダンス
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20171020BHJP
【FI】
   A61N5/10 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-542787(P2017-542787)
(86)(22)【出願日】2015年10月27日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2015057633
(87)【国際公開番号】WO2016069633
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】62/069,145
(32)【優先日】2014年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/089,482
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517150065
【氏名又は名称】エレクタ、インク.
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】ラシェーヌ,マルタン エミール
(72)【発明者】
【氏名】ラテュイリエール,ファビェンヌ
(72)【発明者】
【氏名】モロー,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AE03
4C082AJ08
4C082AJ11
4C082AJ14
4C082AN01
4C082AP07
4C082AP08
(57)【要約】
適応放射線治療送達システムは、時間で変化する標的軌跡を含む容積画像であって、第1の期間で取得される容積画像を受信し、標的軌跡の異なる部分を含む少なくともふたつの撮像スライスであって、第2の期間で取得される第1の撮像スライスと第3の期間で取得される第2の撮像スライスとを受信する。適応放射線治療送達システムは、第1の撮像スライスからの標的軌跡の部分と第2の撮像スライスからの標的軌跡の部分とを空間的に登録する。適応放射線治療送達システムは、空間的に登録された情報により示された標的軌跡の位置と、容積画像により示された標的軌跡との相違を決定する。適応放射線治療送達システムは、決定された相違に基づいて治療ビームの送達を制御するための更新された治療プロトコルを生成する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応放射線治療送達システムを制御するコンピュータ実装の方法であって、
時間で変化する標的軌跡を含む容積画像であって、第1の期間で取得される容積画像を受信し、
前記標的軌跡の異なる部分を含む少なくともふたつの撮像スライスであって、第2の期間で取得される第1の撮像スライスと第3の期間で取得される第2の撮像スライスとを受信し、
前記第1の撮像スライスからの前記標的軌跡の部分と前記第2の撮像スライスからの前記標的軌跡の部分とを空間的に登録し、
前記空間的に登録された情報により示された前記標的軌跡の位置と、前記容積画像により示された前記標的軌跡との相違を決定し、
前記決定された相違に基づいて治療ビームの送達を制御するための更新された治療プロトコルを生成する
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項2】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記第1の期間は、前記第2の期間及び前記第3の期間よりも早い
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項3】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記第2の期間と前記第3の期間は相違している
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項4】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記更新された治療プロトコルを生成することは、前記治療ビームが更新された標的軌跡と共に向かう方向に治療軌跡を整列させることを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項5】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記更新された治療プロトコルを生成することは、前記治療軌跡が前記標的軌跡の前記位置と整列しているときに、治療配信を可能にするように前記治療ビームをゲート動作させることを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項6】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の前記部分は、前記少なくとも2つの撮像スライスの部分的に重複した部分である
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項7】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の前記部分は、前記少なくとも2つの撮像スライスの重複していない部分である
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項8】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の前記部分を示す前記情報を空間的に登録することは、前記少なくとも2つの画像スライス内の前記標的軌跡の前記部分をセグメント化することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項9】
請求項8記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の前記部分を示す前記情報を空間的に登録することは、前記標的軌跡のセグメント化された部分をひとつ又はそれ以上の先に取得された画像スライスに翻訳して、後で取得された画像スライスからの標的軌跡のセグメント化された部分を登録することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項10】
請求項8記載のコンピュータ実装の方法において、
ひとつ又はそれ以上の先に取得された撮像スライス内の前記標的軌跡の前記部分を示す前記情報を空間的に登録することは、先に取得された撮像スライスから前記標的軌跡のセグメント化された部分の位置を予測することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項11】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記空間的に登録された情報により示された前記標的軌跡の位置と、前記容積画像により示された前記標的軌跡との相違を決定することは、
前記容積画像内の前記標的軌跡をセグメント化することと、
前記少なくとも2つの撮像スライスから前記標的軌跡を示す前記空間的に登録された情報の3次元ボクセル表現を生成することと
を含むことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の位置の差を決定することは、前記容積画像からの前記セグメント化された標的軌跡を、前記少なくとも2つの画像スライスからの前記3次元ボクセル表現に空間的に登録することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項13】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像スライスは、1次元撮像プロファイルを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項14】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像スライスは、2次元撮像情報を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項15】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像スライスは、平面である
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項16】
請求項15記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像スライスは、直交している
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項17】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像スライスは、並列である
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項18】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記空間的に登録された情報により示された前記標的軌跡の位置と前記早期に取得された容積画像により示された前記標的軌跡の早期の位置との相違を決定することは、別の撮像スライスの画像取得と同時に発生する
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項19】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像情報は、核磁気共鳴(MR)撮像を使用して取得される
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項20】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像情報は、コンピュータ断層撮影(CT)撮像を使用して取得される
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項21】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記撮像情報は、超音波撮像を使用して取得される、
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項22】
治療ビームを治療部位に向けて送達するように構成された治療ジェネレータと、
前記治療ジェネレータに接続され、撮像入力を有する治療コントローラシステムと
を有する適応放射線治療送達システムであって、
前記治療コントローラシステムは、
時間で変化する標的軌跡を含む容積画像であって、第1の期間で取得される容積画像を受信し、
前記標的軌跡の異なる部分を含む少なくともふたつの撮像スライスであって、第2の期間で取得される第1の撮像スライスと第3の期間で取得される第2の撮像スライスとを受信し、
前記第1の撮像スライスからの前記標的軌跡の部分と前記第2の撮像スライスからの前記標的軌跡の部分とを空間的に登録し、
前記空間的に登録された情報により示された前記標的軌跡の位置と、前記容積画像により示された前記標的軌跡との相違を決定し、
前記決定された相違に基づいて治療ビームの送達を制御するための更新された治療プロトコルを生成する
ように構成されていることを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【請求項23】
請求項22記載の適応放射線治療送達システムにおいて、
前記少なくとも2つの撮像スライスは、前記容積画像の取得後に取得される
ことを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【請求項24】
請求項23記載の適応放射線治療送達システムにおいて、
前記少なくとも2つの撮像スライスは、異なる時間間隔で取得される
ことを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【請求項25】
請求項22記載の適応放射線治療送達システムにおいて、
前記治療コントローラシステムは、前記治療ビームが向けられた標的軌跡を更新された標的軌跡に整列することを含む、前記更新された治療プロトコルを生成するように構成されている
ことを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【請求項26】
請求項22記載の適応放射線治療送達システムにおいて、
前記治療コントローラシステムは、前記治療軌跡が前記標的軌跡の位置と整列しているときに、治療送達を可能にするため前記治療ビームのゲート動作することを含む、前記更新された治療プロトコルを生成するように構成されている
ことを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【請求項27】
請求項22記載の適応放射線治療送達システムにおいて、
核磁気共鳴(MR)撮像システムを更に有し、
前記撮像情報が、前記MR撮像システムによって実行されるMR撮像を使用して取得される
ことを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【請求項28】
請求項22記載の適応放射線治療送達システムにおいて、
X線撮像システムを更に有し、
前記撮像情報が、前記X線撮像システムによって実行されるコンピュータ断層撮影(CT)撮像を使用して取得される
ことを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【請求項29】
請求項22記載の適応放射線治療送達システムにおいて、
超音波撮像システムを更に有し、
前記撮像情報が、前記超音波撮像システムを使用して取得される
ことを特徴とする適応放射線治療送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本特許出願は、(1)2014年10月27日に出願された「MRI-LINAC REAL-TIME IMAGE GUIDANCE TECHNIQUES(MRI−LINAC リアルタイム イメージ ガイダンス技術)」と題されたモロー(Moreau)の米国仮特許出願第60/069,145号(代理人整理番号第4186.005PRV号)と(2)2014年12月9日に出願された「MAGNETIC RESONANCE IMAGING TARGET LOCALIZATION(磁気共鳴 イメージング ターゲット ローカライゼーション)」と題されたラシェーヌ(Lachaine)等の米国仮特許出願第60/089,482号(代理人整理番号第4186.009PRV号)の優先権の利益を主張する。これら米国仮特許出願のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、放射線治療(radiation therapy)すなわち放射線療法(radiotherapy)に関する。より詳細には、本開示は、放射線治療の送出中の標的腫瘍の位置の変化を補償するために放射線療法治療計画を適合させるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療すなわち「放射線療法」を用いて、哺乳動物(例えば、ヒト及び動物)組織における癌又は他の病気を治療することができる。そのような放射線治療技術のひとつはガンマナイフ(Gamma Knife)であり、それによって患者は、標的(例えば、腫瘍)において高強度かつ高精度に収束する多数の低強度ガンマ線によって照射される。別の実施形態では、リニア加速器を用いて放射線療法が提供され、それによって腫瘍が高エネルギー粒子(例えば、電子、プロトン、イオン、高エネルギー光子等)によって照射される。放射線ビームの配置及び線量は、腫瘍が所定の放射線を確実に受けるように正確に制御されなければならず、放射線ビームの配置は、周囲の健康な組織(しばしばリスク臓器(Organs at risk:OARs)と呼ばれる)への損傷を最小限に抑えるようなものでなければならない。医師が医学の処方箋と同様に腫瘍及び周囲の器官に所定量の放射線を注文するため、放射線は「処方された」と呼ばれる。
【0004】
一般に、コリメートされたビームの形態の電離放射線は、外部放射線源から患者の方に向けられる。
【0005】
診断エネルギーレベル範囲又は治療エネルギーレベル範囲を送達するため等に、特定された又は選択可能なビームエネルギーを使用することができる。放射ビームの変調は、ひとつ又はそれ以上の減衰器又はコリメータ(例えば、多分割コリメータ(multi-leaf collimator))によって提供される。放射線ビームの強度及び形状は、投影されたビームを標的組織の輪郭に一致させることによって、標的組織に隣接する健康な組織(例えば、リスク臓器:Organs at risk)に損傷を与えないように視準することによって調整される。
【0006】
治療計画手順は、標的領域(例えば、腫瘍)を同定し、腫瘍の近くの重要な器官を同定するために患者の三次元画像を使用することを含む。治療プランの作成は、臨床的に許容される治療計画を生成するために、プランナが、個々の重要性(例えば、重み付け)を考慮して、様々な治療目的又は制約(例えば、投与量ヒストグラム(DVH)目標)を遵守しようとする時間のかかるプロセスである。リスク臓器(OARs)の数が増えるにつれて(例えば、頭頸部治療では13個まで)プロセスが複雑となるので、この作業は、様々なリスク臓器(OARs)によって複雑になる、時間のかかる試行錯誤のプロセスである。腫瘍から遠いリスク臓器(OARs)は放射線から容易に逃げることができ、一方、標的腫瘍に近い又は重複するリスク臓器(OARs)に危害を加えないようにすることは困難である。
【0007】
伝統的に、各患者について、初期治療計画を「オフライン」で生成することができる。治療計画は、ひとつ又はそれ以上の医用イメージング技術を使用する等、放射線療法が提供される前に十分に開発される。画像化情報は、例えば、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、核磁気共鳴(MR)、陽電子放射断層撮影(PET)、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、又は超音波からの画像を含み得る。医師のような医療従事者は、患者の解剖学的構造を示す3次元イメージング情報を用いて、ひとつ又はそれ以上の標的腫瘍を腫瘍近くのリスク臓器とともに同定することができる。医療従事者は、手動技術を使用して所定の放射線量を受ける標的腫瘍を描写することができ、医療従事者は、放射線治療による損傷のリスクがある臓器のような近くの組織の輪郭を描くことができる。標的腫瘍とリスク臓器を同定又は輪郭描写を支援するために、代替的に又は追加的に、自動ツール(例えばスウェーデンのElekta ABによりABAS)を使用することができる。そのとき、臨床及び線量測定の目的及び制約(例えば、腫瘍及び重要な器官への放射線の最大、最小及び平均線量)に基づく最適化技術を使用して、放射線療法治療計画(治療計画)を作成することができる。
【0008】
治療計画手順には、標的領域(例えば、腫瘍)を同定し、腫瘍の近くの重要な器官を同定するために患者の三次元画像を使用することを含み得る。治療計画の作成は、臨床的に許容される治療計画を作成するため、プランナが、個々の重要性(例えば、重み付け)を考慮して、様々な治療目的又は制約(例えば、投与量ヒストグラム(DVH)目標)を遵守しようとする時間のかかるプロセスである。リスク臓器(OARs)の数が増えるにつれて(例えば、頭頸部治療では13個まで)プロセスが複雑となるので、この作業は、様々なリスク臓器(OARs)によって複雑になる、時間のかかる試行錯誤のプロセスである。腫瘍から遠いリスク臓器(OARs)は、放射線から容易に逃げることができ、一方、標的腫瘍に近い又は重複するリスク臓器(OARs)に危害を加えないようにすることは困難である。
【0009】
その後、患者を位置決めし、所定の放射線治療を行うことによって、治療計画を実行することができる。放射線療法の治療計画には線量「分画」法を含むことができ、それにより、一連の放射治療供給が、所定の総投与量の特定の割合を含む各治療供給が所定の時間(例えば45分画)にわたって提供される。しかし、標的腫瘍を確実にするため、そして健康な組織に照射されないことを確実にするために、治療期間中の治療機械(例えば、リニア加速器「linac」)に対する患者の位置及び標的腫瘍の位置は非常に重要である。
【発明の概要】
【0010】
本願発明者らは、とりわけ、腫瘍への送達又は放射線療法中の標的腫瘍の位置の変化を補償するために、放射線治療計画を適応的に同時に調整し得ることを認識した。例えば、腫瘍のような所望の標的は位置がシフトして、治療計画への排他的な「オフライン」アプローチが使用されるならば、治療前に撮影された医用画像によって示される腫瘍の位置が、放射線療法の治療中の腫瘍標的の位置から有意に異なり得る。例えば、腫瘍は、治療計画に示されているように、予想され又は所望の位置と比較して、収縮するか、動くか、又は整列しないことがある。標的の動きは、心臓の動き、呼吸、咳などの反射作用、又は他の動きのようなひとつ又はそれ以上の原因によって引き起こされ得る。したがって、治療に先立って撮影された画像に基づいて放射線治療がどこに送達されるべきかの位置は、放射線療法が最終的に有効である場合の所望の標的と大きくずれている可能性がある。
【0011】
ひとつのアプローチでは、画像処理は、例えば、処理セッション中に放射線治療の送達を開始する直前に画像取得を行うこと、又は、放射線療法の送達セッション中に腫瘍のひとつ又はそれ以上の画像を所得した直後に一連の放射線の送達を用いること、のように、放射線療法の送達と同時に行われる。そのような画像処理は、標的の位置を識別するため、又は、標的の動きを識別するために有用な情報を提供する。このような同時画像処理は、一般に「リアルタイム(real-time)」と呼ばれることがあるが、一般に、画像の取得と放射線療法の送達との間には待ち時間又は時間遅延が存在し、これは、一般に約100から500ミリ秒(ms)のオーダーである。
【0012】
3次元容積画像情報の取得待ち時間又は画像取得速度が許容できない場合(例えば、画像取得が、放射線治療の指導又は制御を可能にするには遅すぎる、例えば呼吸器の標的に対して約500msを超えるような場合)に問題がある。本願明細書に記載された発明の主題は、(ひとつ又はそれ以上の一次元プロファイル、2次元スライス、又は、サブボリューム又はより良く画像処理された容積領域のサブ領域を有する三次元ボリュームを含む)撮像スライスのより高速な取得を容易にするような問題に対処することである。その主題は、ひとつ又はそれ以上の撮像スライスから容易に得られる標的軌跡の一部を示す情報を、先に取得された容積基準画像から得られる情報と比較することを含む。
【0013】
一実施例では、適応的画像誘導された治療送達システムは、放射線療法患者内の標的を含む容積測定画像を含む画像化情報を受け取り、標的の異なる部分を含むひとつ又はそれ以上の撮像スライス(その撮像スライスは容積画像を取得した後の異なる瞬間に取得される)に対応する画像化情報を受け取ることができる。
【0014】
様々な実施例によれば、システムは、先に取得された撮像スライスの少なくともひとつから標的の一部を示す情報を空間的に登録すると共に、後で取得された撮像スライスの少なくともひとつから標的の一部を空間的に登録する。次いで、システムは、空間的に登録された情報によって示される標的の位置と、先に取得された容積画像によって示される標的のより早い位置との間の差異を決定することができる。次いで、システムは、標的の位置における決定された差異に基づいて治療ビームの送達を制御するために更新された治療プロトコルを生成することができる。
【0015】
他の実施例では、容積基準画像の一部又は全体は、容積標準画像とひとつ又はそれ以上の撮像スライスとの間の最適なシフトを決定するように、ひとつ又はそれ以上の撮像スライスと共に空間的に登録される。例えば、容積基準画像は、3次元撮像情報(例えば、ボクセルに対応するグレースケール又はコントラスト値)を含み、3次元撮像情報は、ひとつ又はそれ以上の撮像スライス(例えば、2次元撮像情報)と共に最適な登録を達成するために、変更され、又は、回転される。シフトされた又は回転された3次元容積画像情報とひとつ又はそれ以上の撮像スライスとの間の適合性は、標的をセグメンテーションせずに、ひとつ又はそれ以上の指標の使用を含むことができる。
【0016】
更新された治療プロトコルは、治療ビームによって確立された治療軌跡を更新された標的軌跡と整列させるように、又は、ビームをゲートするように、適応的に生成され、そのため、治療軌跡が標的軌跡を通過するときに治療が送達される。治療プロトコルを更新することは、(a)治療される者を支持する寝台又はテーブルのような可動プラットフォームに連結されたアクチュエータを調整すること、(b)治療ビームをコリメート又は整形するように構成されたひとつ又はそれ以上の開口を調整すること、(c)特定の治療ビーム方向を確立するように治療出力を位置決めするように構成されたひとつ又はそれ以上のアクチュエータを調整すること、又は(d)得られた撮像又は他のセンサからの情報を使用するように治療の送達のゲートを制御すること、のひとつ又はそれ以上のことを含むことができる。
【0017】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本願発明の排他的又は包括的な説明を提供することは意図されていない。発明の詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A図1Aは、治療ビームを提供するように構成された放射線治療出力を含む放射線治療システムの一例の概略を示す図である。
図1B図1Bは、放射線療法システムの一般的な別の例の概略を示す図である。
図1C図1Cは、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムを含む複合放射線治療システム及び撮像システムを含むシステムの一例の概略を示す図である。
図1D図1Dは、複合放射線療法システムと核磁気共鳴(MR)撮像システムのような撮像システムとを含むシステムの一例の部分切取図の概略を示す図である。
図2図2は、放射線治療ビームの形状を描くこと、管理すること、又は、強度を変調することのうちのひとつ又はそれ以上にために用いられるコリメータ構成の一例の概略を示す図である。
図3図3は、放射線治療装置と画像取得装置を含む放射線治療システムの一例の概略を示す図である。
図4図4は、画像取得、画像分割、標的予測、治療制御、又は治療調整のうちのひとつ又はそれ以上のために用いられるシステムの一例の概略を示す図である。
図5図5は、撮像入力、放射線治療ジェネレータ、及び放射線治療出力を有する放射線治療コントローラを含むシステムの一例の概略を示す図である。
図6図6は、容積撮像技術を用いて得ることができる、腫瘍領域のような標的軌跡の概略を示す図である。
図7A図7Aは、第1の撮像面方位に対応する撮像取得面を示す図である。
図7B図7Bは、第1の撮像面方位に対応する撮像取得面に対応する取得撮像スライスを示す図である。
図7C図7Cは、図7A及び図7Bに関連した第1の撮像面方位に垂直な第2の撮像面方位に対応する撮像取得面を示す図である。
図7D図7Dは、図7A及び図7Bに関連した第1の撮像面方位に垂直な第2の撮像面方位に対応する撮像取得面に対応する取得撮像スライスを示す図である。
図7E図7Eは、図7A及び図7Bに関連した第1の撮像面方位と、図7C及び図7Dに関連した第2の撮像面方位に垂直な第3の撮像面方位に対応する撮像取得面を示す図である。
図7F図7Fは、図7A及び図7Bに関連した第1の撮像面方位と、図7C及び図7Dに関連した第2の撮像面方位に垂直な第3の撮像面方位に対応する撮像取得面に対応する取得撮像スライスを示す図である。
図8A図8Aは、標的軌跡がひとつの画像取得インスタンスから別の画像取得インスタンスに移動するときに得られる一連の画像取得平面の概略を示す図である。
図8B図8Bは、湾曲形状を含む一連の撮像取得領域の概略を示す図である。
図8C図8Cは、それぞれが他のものと直交しない異なる複数の方位の一連の撮像取得面の概略を示す図である。
図9A図9Aは、第1の撮像スライスと第2の撮像スライスとの間で移動される標的軌跡を含む一連の2つの撮像スライスの概略を示す図である。
図9B図9Bは、標的軌跡の分割された部分がひとつ又はそれ以上の撮像スライス内で調整された後の、一連の2つの空間的に登録された撮像スライスの概略を示す図である。
図10図10は、標的軌跡の分割された部分を空間的に登録する技術の概略を示す図である。
図11A図11Aは、異なる時間に取得された標的軌跡の部分を空間的に登録した後の、標的軌跡の複合的な分割された表現の概略を示す図である。
図11B図11Bは、取得された空間的に登録された撮像情報による標的軌跡の位置と、先に取得された容積撮像情報により表現された標的軌跡の初期の位置と比較した相違を決定する技術の概略を示す図である。
図11C図11Cは、治療場所を新しい場所に移動する治療プロトコルを更新する技術の概略を示す図である。
図12図12は、本明細書に記載された他の技術の効率を高めるために、撮像取得で前もって取得した撮像スライスに対応する撮像情報の挿入処理を含む技術の概略を示す図である。
図13図13は、参照画像などの容積撮像情報を受信し、標的軌跡の位置における相違を決定することを含む撮像スライスを受信する方法の技術の概略を示す図である。
【0019】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、図面において、同様の数字は異なる図で類似の構成要素を示す。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる構成を表す。図面は、本明細書で論じられている様々な実施形態を、一例として、しかし限定することなく、その概略を示す。
【発明の詳細な説明】
【0020】
図1Aに 治療ビーム108を提供するように構成された放射線治療出力104を含む放射線治療システム102の一例の概略を示す。放射線治療出力104は、図2の例示的な実施例で説明された多分割コリメータ(multi-leaf collimator:MLC)のようなひとつ又はそれ以上の減衰器又はコリメータを含む。図1Aを参照すると、患者は、放射線療法治療計画に従って放射線療法用量を受けるために、プラットフォーム116(例えば、テーブル又はソファー)上のような領域112に配置される。放射線治療出力104は、軸(「A」)の周りで治療出力104を回転させるように、ガントリ106又は他の機械的支持部に配置される。ひとつ又はそれ以上のプラットフォーム116又は放射線療法出力104は、横断方向(Transverse direction)(「T」)又は横方向(Lateral direction)(「L」)に移動可能なような他の位置に移動可能である。横軸(Transverse axis)(「R」で示される)の周りの回転のような、ひとつ又はそれ以上の他の軸の周りの回転のような他の自由度が可能である。
【0021】
図1Aに示された座標系(軸A、T、Lを含む)は、アイソセンタ(治療中心)110に位置する原点を有する。アイソセンタは、放射線治療ビーム108が座標軸の原点と交差する場所、例えば所定の放射線量を患者上又患者内に送る場所として定義される。例えば、アイソセンタ110は、ガントリ106によって軸Aの周りに位置決めされた放射線治療出力104の様々な回転位置に対して、放射線治療ビーム108が患者と交差する場所として定義される。
【0022】
一実施例では、検出器114は、フラットパネル検出器(例えば、直接検出器又はシンチレーションベース検出器)を含むことができるように、治療ビーム108のフィールド内に配置される。検出器114は、ガントリ106が回転するときに、治療ビーム108との整列を維持するように、放射線治療出力104とは反対側のガントリ106に取り付けられる。このようにして、検出器114は治療ビーム108をモニタするために使用され、又は、検出器114はポータルイメージングのようなイメージングのために使用される。
【0023】
図示された実施例では、プラットフォーム116、治療出力104、又はガントリ106のうちのひとつ以上が自動的に位置決めされ、治療出力104は、特定の治療送達例に対して指定された線量に従って治療ビーム108を確立することができる。ガントリ106、プラットフォーム116、又は治療出力104のひとつ又はそれ以上の異なる向き又は位置を使用するような放射線治療計画に従って治療送達のシーケンスが特定される。治療送達は連続的に行うことができるが、治療送達はアイソセンタ110のように、患者上又は患者内の所望の治療位置で交差される。これにより、所定の累積線量の放射線療法を治療部位に送達することができ、その一方で、治療部位近傍の組織への損傷が低減又は回避される。
【0024】
本明細書の他の実施例に関連して述べたように、放射線治療システム102は、核磁気共鳴(MR)撮像、コンピュータ断層撮影(CT)撮像のようなX線撮像、又は超音波撮像のうちのひとつ以上を提供するような撮像収集システムを含むか、その撮像収集システムに接続される。一実施例では、MR撮像情報又は他の撮像情報を用いて、実際のCT撮像を必要とせずに、CT撮像と同等の撮像情報又は視覚化を生成することができる。このような撮像は「擬似CT(pseudo-CT)」撮像と呼ばれる。
【0025】
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、放射線治療システム102(例えば、Elekta、AB、ストックホルム、スウェーデンにより製造されたLeksell Gamma Knife)の他の実施例の概略を示す。図1Bに示すように、放射線療法治療セッションでは、患者152は、手術又は放射線療法を受けている患者の解剖学的構造(例えば、頭部)の一部を安定化させるために座標フレーム154を着用する。座標フレーム154と患者位置決めシステム156は、患者を撮像している間、又は放射線手術中に使用される空間座標系を確立することができる。
【0026】
放射線治療装置102は、複数の放射線源162を囲む保護ハウジング164を含む。放射源162は、ビームチャネル166を介して複数の放射ビーム(例えば、ビームレット)を生成する。複数の放射ビームは、異なる方向からアイソセンタ158に集束するように構成される。個々の放射ビームは比較的低い強度を有するが、アイソセンタ158は、異なる放射ビームからの複数の線量がアイソセンタ158に蓄積するとき、比較的高いレベルの放射を受けることができる。特定の実施形態では、アイソセンタ158は、腫瘍などの外科手術又は治療下の標的に対応する。
【0027】
図1Cは、複合放射線治療システム102と、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムのような撮像システムとを含むシステムの一例の概略を示す。CT撮像システムは、キロエレクトロン・ボルト(keV)のエネルギー範囲のX線エネルギーを提供するような撮像X線源118を含む。撮像X線源118は、フラットパネル検出器のような撮像検出器122に向けられた、ひとつ又はそれ以上の扇状又は円錐状のビーム120を提供する。放射線療法システム102は、図1Aに関連して説明したシステム102と同様であり、放射線治療出力104、ガントリ106、プラットフォーム116、及び別のフラットパネル検出器114を含む。図1A図1B図1Dの実施例のように、放射線治療システム102は、治療放射線ビームを提供するように構成された高エネルギー加速器に接続されるか、それを含む。X線源118は、撮像のために、比較的低エネルギーのX線診断ビームを提供する。
【0028】
図1Cに示された実施例では、放射線療法出力104とX線源118は、回転角度が90度だけ分離された同じ回転ガントリ106に取り付けられている。他の実施例では、それ自体の検出器構成をそれぞれ有する2つ又はそれ以上のX線源がガントリ106の周囲に沿って搭載され、複数の角度の診断画像を同時に提供する。同様にして、複数の放射線治療出力104が提供される。
【0029】
図1Dは、複合放射線療法システム102と核磁気共鳴(MR)撮像システム130のような撮像システムとを含むシステムの一例の部分切取図の概略を示す。MR撮像システム130は、軸(「A」)の周りに「ボア(bore)」を画定するように配置され、放射線治療システムは、軸Aに沿ったボア内でアイソセンタ110に向けられた放射線治療ビーム108を提供するような放射線治療出力104を含む。放射線治療出力104は、ひとつ又はそれ以上の、制御され、成形され、又は変調された放射線治療ビーム108のためのコリメータ124を含み、ビーム108を患者内の所望の標的軌跡に整列された治療軌跡に向ける。患者は、軸方向A、横方向L、又は横方向Tのうちのひとつ以上に沿って配置可能なプラットフォームのようなプラットフォームによって支持される。ひとつ又はそれ以上の放射線治療システム102は、放射線療法出力104を軸Aの周りに回転させるように、ガントリ106に取り付けられる。
【0030】
図1A図1B図1C図1Dは、治療出力が中心軸(例えば軸「A」)の周りを回転することができる構成を含む一例の概要を示す。他の放射線療法出力構成を使用することができる。例えば、放射線治療出力を、複数の自由度を有するロボットアーム又はマニピュレータに取り付けることができる。更に他の実施例では、患者から横方向に離れた領域に配置されるように治療出力を固定することができ、患者を支持するプラットフォームを使用して、放射線療法のアイソセンタを患者内の特定の標的部位に整列させることができる。
【0031】
図2は、放射線治療ビームの強度を、整形する、指向する、又は変調するために使用されるようなマルチリーフコリメータ(MLC)132の一例の概要を示す。図2において、リーフ132A〜132Jは、腫瘍140の断面又は投影に近似する開口部を画定するように自動的に位置決めされる。リーフ132A〜132Jは、放射線治療計画に従って、アパーチャ以外の領域で放射線ビームを減衰又は遮断するように指定された材料で作られる。例えば、リーフ132A〜132Jは、タングステンを含むような金属プレートを含み、プレートの長軸がビーム方向に垂直に向けられ、(図2の表示面で示されるように)端部がビーム方向に平行に配向される。MLC132の「状態」は、静的なコリメータ構成を使用することと比較して、又は、「オフライン」治療計画技術を用いて排他的に決定されたMLC132の構成を使用することと比較して、腫瘍140又は他の標的の軌跡の形状又は位置をよりよく近似する治療ビームを確立するように放射線療法の過程で適応的に調整される。MLC132を使用して、腫瘍又は腫瘍内の特定の領域への特定の放射線線量分布を生成する放射線療法技術は、強度変調放射線療法(Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)と呼ばれる。
【0032】
図3は、放射線治療装置330と画像取得装置を含む放射線治療システム300の一例の概略を示す。放射線療法システム300は、訓練モジュール312、予測モジュール314、訓練データベース322、検査データベース324、放射線治療装置330、画像取得装置350を含む。放射線療法システム300は、患者情報を提供する治療計画システム(Treatment Planning System:TPS)342と腫瘍情報システム(Oncology Information System:OIS)344に接続されてもよい。更に、放射線治療システム300は、表示装置とユーザインターフェースを含んでもよい。
【0033】
図4は、画像取得、画像分割、標的予測、治療制御、又は治療調整のうちのひとつ又はそれ以上のために用いられるシステム400の一例の概略を示す。いくつかの実施形態によれば、システム400は、開示された実施形態と一致する大量のデータを識別、分析、維持、生成、又は提供することができる、ひとつ又はそれ以上の高性能コンピューティングデバイスであってもよい。システム400は、スタンドアローンでもよく、又は、サブシステムの一部でもよく、サブシステムはより大きなシステムの一部であってもよい。例えば、システム400は、インターネット等のネットワーク、又はローカルエリアネットワーク(LAN)、又はワイドエリアネットワーク(WAN)等の専用ネットワークを介して遠隔地に位置し通信する分散型高性能サーバであってもよい。いくつかの実施形態では、システム400は、ひとつ又はそれ以上の遠隔配置された高性能計算装置と通信する、組み込みシステム、イメージングスキャナ(例えば、核磁気共鳴(MR)スキャナ、又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャナ等の他のスキャナ)、及び/又はタッチスクリーンディスプレイデバイスを含んでもよい。
【0034】
一実施形態では、システム400は、ひとつ又はそれ以上のプロセッサ414、ひとつ又はそれ以上のメモリ410、及びひとつ又はそれ以上の通信インターフェース415を含んでもよい。プロセッサ414は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)等のような、ひとつ又はそれ以上の汎用処理装置を含むプロセッサ回路でもよい。より詳細には、プロセッサ414は、CISC(Complex Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、RISC(Reduced Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、VLIW(Very Long Instruction Word)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサでもよい。
【0035】
プロセッサ414は、また、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、システムオンチップ(System-on-Chip:SoC)等でもよい。当業者には理解されるように、いくつかの実施形態では、プロセッサ414は、汎用プロセッサではなく、専用プロセッサであってもよい。プロセッサ414は、インテル(Intel(登録商標))により製造されたPentium(登録商標)又はXeon(登録商標)ファミリーや、AMD(登録商標)により製造されたTurion(登録商標)ファミリーのマイクロプロセッサのような、ひとつ又はそれ以上の既知の処理デバイスや、Oracle(登録商標)のような他のベンダーにより製造された様々なプロセッサ(例えば、SPARC(登録商標)アーキテクチャプロセッサ)を含んでもよい。プロセッサ414は、また、NVIDIA(登録商標)によって製造されたグラフィック処理ユニットを含んでもよい。開示された実施形態は、あるタイプのプロセッサに限定されるものではなく、大量の撮像データや、開示された実施形態と一致する他のタイプのデータを識別し、分析し、維持し、生成し、及び/又は提供するための演算要求を満たすように構成されているものである。
【0036】
メモリ410は、開示された実施形態に関連する機能を実行するためにプロセッサ414によって使用されるコンピュータ実行可能命令を格納するように構成された、ひとつ又はそれ以上の記憶装置を含む。例えば、メモリ410は、治療計画ソフトウェア411、オペレーティングシステムソフトウェア412、及び訓練/予測ソフトウェア413のためのコンピュータ実行可能ソフトウェア命令を格納することができる。プロセッサ414は、メモリ/記憶装置410に通信可能に接続されてもよく、プロセッサ414は、開示された実施形態による、ひとつ又はそれ以上の動作を実行するために記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成されてもよい。例えば、プロセッサ414は、訓練/予測ソフトウェア413を実行して、訓練モジュール312及び予測モジュール314の機能を実装することができる。さらに、プロセッサ装置414は、訓練/予測ソフトウェア413と接続される治療計画ソフトウェア411(例えば、Elektaにより提供されるMonaco(登録商標)のような)を実行してもよい。
【0037】
開示された実施形態は、専用タスクを実行するように構成された別個のプログラム又はコンピュータに限定されない。例えば、メモリ410は、システム400又は複数のプログラム(例えば、治療計画ソフトウェア411及び/又は訓練/予測ソフトウェア413)の機能を実行する単一のプログラムを含むことができる。更に、プロセッサ414は、データベース420に格納されたプログラムのような、システム400から遠隔に位置するひとつ又はそれ以上のプログラムを実行することができ、このような遠隔プログラムは、腫瘍情報システムソフトウェア又は治療計画ソフトウェアを含むことができる。メモリ410は、また開示された実施形態と一致する動作を実行するためにシステムが使用することができる任意のフォーマットの画像データ又は任意の他のタイプのデータ/情報を格納することができる。
【0038】
通信インターフェース415は、データがシステム400によって受信及び/又は送信されるように構成されたひとつ又はそれ以上のデバイスであってもよい。通信インターフェース415は、システム400、データベース420、又は病院データベース430の遠隔に位置するコンポーネントのような他の機械及びデバイスとシステム400が通信することを可能にする、ひとつ又はそれ以上のデジタル及び/又はアナログ通信デバイスを含むことができる。例えば、プロセッサ414は、通信インターフェース415を介してデータベース420又は病院データベース430に通信可能に接続することができる。例えば、通信インターフェース415は、LAN又はWANのような、インターネットなどのコンピュータネットワーク、又は専用ネットワークとすることができる。あるいは、通信インターフェース415は、プロセッサ414がいずれかのデータベース420,430との間でデータを送受信することを可能にする衛星通信リンク又は任意の形式のデジタル又はアナログ通信リンクであってもよい。
【0039】
データベース420及び病院データベース430は、情報を格納し、システム400を介してアクセス及び管理されるひとつ又はそれ以上のメモリデバイスを含むことができる。一例として、データベース420、病院データベース530、又はその両方は、Oracle(登録商標)データベース、Sybase(商標)データベース等のようなリレーショナルデータベースを含むことができ、Hadoopシーケンスファイル、HBase、Cassandra等のような非リレーショナルデータベースを含めることができる。
データベース又は他のファイルは、例えば、基準画像、MR特徴ベクトル、CT値、縮小次元特徴ベクトル、疑似CT値、疑似CT画像、DICOMデータ等を訓練又は提供するような、撮像対象に関連するMR走査又はCT走査からのひとつ又はそれ以上の生データを含むことができる。しかしながら、開示された実施形態のシステム及び方法は、別々のデータベースに限定されない。一態様では、システム400は、データベース420又は病院データベース430を含むことができる。あるいは、データベース420及び/又は病院データベース430は、システム400から離れて位置してもよい。データベース420及び病院データベース430は、データベース420又は病院データベースのメモリデバイスに格納されたデータの要求を受信及び処理し、データベース430又は病院データベース430からデータを提供するように構成されたコンピューティングコンポーネント(例えば、データベース管理システム、データベースサーバなど)を含んでもよい。
【0040】
システム400は、ネットワーク(図示せず)を介してシステム400の他の装置及び構成要素と通信することができる。ネットワークは、通信を提供し、情報を交換し、又は情報の交換を容易にし、ネットワーク(図示せず)を介して他のデバイス及び/又はシステム400のコンポーネント間で情報の送受信を可能にする任意のタイプのネットワーク(インフラストラクチャを含む)であってもよい。他の実施形態では、システム400のひとつ又はそれ以上のコンポーネントは、システム400とデータベース420及び病院データベース430との間のリンク(例えば、有線リンク、無線リンク、衛星リンク、又は他の通信リンク)のような専用通信リンクを介して直接通信することができる。
【0041】
システム400の機能構築ブロックの構成及び境界は、説明の便宜のために本明細書で定義されている。指定された機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、他の境界を定義することができる。当業者にとって、本明細書に含まれる教示に基づく代替物(本明細書に記載されているものの均等物、拡張物、変形物、偏差(deviation)等は明らかであろう。このような代替物は、開示された実施形態の範囲内に入る。
【0042】
図5は、撮像入力560、放射線治療ジェネレータ556、及び放射線治療出力504を有する放射線治療コントローラシステム554を含むシステム500の一例の概略を示す。治療ジェネレータ556は、線形加速器のような加速器又は別の放射線源を含むことができ、治療出力504は、治療ジェネレータ556に結合され、治療ジェネレータ556によって提供されるエネルギー光子又は粒子のビームを処理することができる。例えば、治療出力504は、出力アクチュエータ566を含む又は結合され、治療出力504を回転又は平行移動して、所望の標的軌跡に向けられた治療軌跡を有する放射線治療ビームを提供することができる。治療出力504は、図2に関連して上述したマルチリーフコリメータのようなコリメータ564を含むことができる。図5に戻ると、治療コントローラシステム554は、本明細書の他の実施例に記載された適応放射線治療技術(adaptive radiation treatment technique)を使用して、治療ジェネレータ556、治療出力504、又は患者位置アクチュエータ516(例えば、ソファー又はテーブルを含む可動プラットフォーム等)のうちのひとつ又はそれ以上のものを制御するように構成することができる。
【0043】
治療コントローラシステム554は、センサ入力562を用いるような、ひとつ又はそれ以上のセンサに接続されている。例えば、患者センサ558は、治療コントローラシステムに、呼吸(例えば、プレチスモグラフセンサを使用して)、患者の心臓の機械的又は電気的活動、末梢循環活動、患者の位置、患者の動きのうちひとつ又はそれ以上を示す情報のような生理学的情報を提供することができる。そのような情報は、治療出力504によって標的とされるひとつ又はそれ以上の臓器又は他の領域の動きと相関する代理信号を提供することができ、このような情報は治療を制御するために(例えば、治療ゲーティングのために)使用され得る。
【0044】
撮像入力560は、(例示的な実施例として、コンピュータ断層撮影撮像システム、核磁気共鳴(MR)撮像システム、又は超音波撮像システムを含むような)撮像システム550に接続される。代替的に、又はそれに加えて、治療コントローラシステム554は、集中撮像データベース、又はイメージングサーバのような撮像データストア552から撮像情報を受信することができる。治療コントローラシステム554又は撮像システム550のうちのひとつ又はそれ以上のものは、図4に示されたシステム400に関連して示されるか説明されるエレメントを含むことができる。
【0045】
図6は、容積撮像技術を用いて得ることができる、腫瘍領域のような標的軌跡616の概略を示す。標的軌跡616を示す情報は、容積撮像技術を用いて得ることができる。図6の表示では、図示の目的のためだけに長方形ファセットを有するが、実際の標的軌跡616は、湾曲した又は不規則な表面を含む。関心領域612は、MR画像化、CT画像化、擬似CT画像視覚化、ポータル画像化、超音波画像化、他の技術のうちのひとつ又は複数を使用するようにして画像化される。標的軌跡616は、自動、手動、又は半自動の画像分割技術を使用して識別することができる。例えば、特定のラベルが、ボクセル(例えば、ボクセル620)に割り当てられ、放射線療法の標的を含むボクセルの軌跡又は群を同定することができる。図示された一例として、ボクセル620のコントラスト値は隣接するボクセルと比較され、腫瘍又は他の領域のエッジはコントラスト情報を使用するようにして識別される。周辺の器官又は他の機能の場所等のような他の領域も識別される。
【0046】
標的軌跡の様々な特徴は、(例えば、エッジ検出又はエッジ識別技術を使用して)ひとつ又はそれ以上のエッジ位置のように決定することができる。例えば、標的軌跡616の位置は、標的軌跡616の空間重心608を決定することによって識別することができる。重心608を抽出された特徴として使用することは例示であり、標的軌跡616の点、表面又はエッジの手動で識別された位置又は自動的に決定された位置のような標的軌跡616の動きを追跡するために他の特徴を使用することができる。さらに別の例では、取得された画像化情報に証印を与えるなど、移植可能な又は外部のシードフィデューシャル(seed fiducial)を使用することができる。
【0047】
標的軌跡616及びセントロイド608のようなひとつ又はそれ以上の対応する特徴は、間欠的(例えば、放射線療法送達セッションの間)又は放射線療法送達セッションの開始直前のような、治療計画撮像中に特定することができる。標的軌跡616を含む体積測定画像情報は「基準画像」と呼ぶことができる。上述したように、画像取得及び処理の待ち時間は、放射線治療中の容積撮像情報の「リアルタイム」取得を妨げる可能性があるため、挑戦が存在し得る。従って、(放射線療法セッションにおける放射線療法送達中又は放射線療法送達の間のような)分画内画像取得は、(先に撮像された容積領域のサブボリューム又はサブ領域を含む、ひとつ又はそれ以上の1次元プロファイル、2次元スライス、又は3次元画像を含む)画像化スライスのより迅速な取得ボリュームを含むことができる。ひとつ又はそれ以上の撮像スライスから迅速に得られた標的軌跡の一部を示す情報は、標的軌跡の移動に起因する治療を調整するために、治療プロトコルを更新するために先に取得された容積参照画像から得られた情報と比較することができる。容積基準画像を取得又は生成するために使用される撮像モダリティは、イントラ・フラクショナル撮像に使用されるものと同じである必要はない。
【0048】
別の実施例では、標的軌跡616は、体積基準画像においてセグメント化される必要がなく、さもなければ識別される必要もない。語句「標的遺伝子座」の使用は、治療すべき腫瘍の一部又は全体、又は腫瘍に近い器官のような他の解剖学的構造のような関心領域内の標的の単なる表示である。標的軌跡616のセグメント化に加えて、又はその代わりに、本明細書に記載されるような様々な技法が、容積基準画像の一部(例えば、特定の関心領域)又は容積基準の全体を空間的に登録することを含むコントラスト又はグレースケール値を含むボクセル値を使用するなどの他のイメージング情報を用いて画像を生成する。例えば、そのような空間的登録は、ひとつ又はそれ以上の2次元撮像スライス(例えば、3次元から2次元の登録(3D-to-2D registration))を有する3次元(例えば、体積)登録、又は他の技術を含むことができる。
【0049】
図7A図7Bは、標的軌跡716の撮像取得面712A(図7A)を示し、線706Aに沿って標的軌跡716と交差する第1の撮像面方位に対応する対応取得撮像スライス714A(図7B)を示す。図示された実施例として、図7Aは、画像取得面712A及び対応するスライス714Aのサジタル方向を表す。撮像「スライス」は、図7Bに例示的に示すように、有限の厚さを有するような2次元ピクセルイメージング情報又は3次元イメージング情報を含む。撮像スライス714A内の標的軌跡の部分718Aは、例えば、離散的な動的輪郭、スネーク(snake)、又はレベルセットを使用するセグメンテーション技術、又は登録技術を再度使用して、識別される。
【0050】
一連の撮像スライスは、図7C図7D図7E図7Fに示すような異なる撮像面の向きを含むようにして得られる。例えば、図7C図7Dは、線706Bに沿った標的軌跡716に交差する撮像取得面712B(図7C)を示し、図7A図7Bに関連する上述の第1の結像面方位に直交する第2の結像面方位に対応する、標的軌跡716の異なる部分718Bを含む対応取得撮像スライス714B(図7D)を示す。一表示例として、図7C図7Dは、冠状面に対応している。図7E図7Fは、線706Cに沿って標的軌跡716と交差する撮像取得面712C(図7E)を示し、図7A図7B図7C図7Dに関連する標的軌跡716のさらに別の異なる部分718Cを含む対応する取得撮像スライス714C(図7F)例えば図1に関して上述の第1の結像面方位及び第2の結像面方位のうちのひとつ又は複数に直交する第3の結像面方位に対応する、標的軌跡716のさらに別の異なる部分718Cを含む対応する取得撮像スライス714C(図7F)を示す。一表示例として、図7E図7Fは、軸の結像面に対応している。図7A図7B図7C図7D図7E図7Fの撮像スライスは、互いに直交する2次元平面として示されている。しかし、本明細書の他の例に関して述べたように、スライスは平面である必要はなく、直交である必要もない。撮像スライスの各取得が処理され、それには撮像スライスの取得と並行してひとつ又はそれ以上のスライスの処理を含む。例えば、そのような処理は、取得された撮像スライスの平面又は領域に対応するような体積基準画像からのサンプリングされた情報を含む。
【0051】
ひとつのアプローチでは、撮像スライス714A、714B、又は714Cのひとつ又は複数から抽出された特徴を、体積基準画像から抽出された画像情報と比較する。例えば、ボリューム基準画像からの標的軌跡616のセグメント化された部分、又は標的軌跡及び周囲組織をカプセル化する領域は、対応する画像スライス714A、714B、又は714Cと空間的に登録されている。しかし、単一の2次元画像スライスから抽出された特徴と容積基準画像からの対応する特徴とを比較することは、チャレンジ(challenge)を提示する可能性がある。例えば、図8Aは、標的軌跡816がひとつの画像取得インスタンスから別の画像取得インスタンスに移動するときに得ることができるような一連の画像取得平面812A、812B、812Cの概要を示す。時刻ti−2において、撮像取得面が標的軌跡816と交差する線806Aがおおよそセンタリングされ、時刻ti−1において、線806Bがシフトされ、時刻tにおいて、線806Cはさらにシフトされる。時刻t、ti−1、ti−2、...で得られた撮像スライスは、一般的にS、Si−1、Si−2、...とラベル付けされる。
【0052】
標的軌跡の動きが平面外である場合、重心又は他の特徴位置は、標的軌跡が著しく移動したとしても、画像から画像へと大きくシフトしないように見えないか、又は標的軌跡が変形しているように見え、運動の解釈を困難にする。しかし、このような面外運動は、(例えば、図8C等に示すように)連続的に取得された撮像スライスの向きを変化させるか、(例えば、図8Bに示すように)撮像スライスが完全に平面ではないように、撮像取得領域の非平面形状に対応する。例えば、図8Bは、湾曲形状を含むことができるような一連の画像スライス813A、813B、及び813Cの概略を示す。一般に、画像取得「平面」を参照する場合であっても、本明細書に記載の技術は、図8Bの湾曲したスライスのような他のスライスジオメトリと共に使用することができる。図示された一実施例として、MR撮像情報を平面スライスとして利用することができ、変換を平面スライスに適用して、3次元的に湾曲する表面を得ることができる。確立された磁場における不均一性を補償するために使用される。別の図示された一実施例として、図8Cは、それぞれが直交する必要がない異なる向きを含むことができるような一連の撮像取得面815A、815B、及び815Cの概略を示す。
【0053】
上述のように、撮像スライスが時間的に連続して取得される場合、標的軌跡は、連続する画像取得間でシフトする可能性が高い。図9Aは、第1の撮像スライスと第2の撮像スライスの間で移動される標的軌跡を含むような一連の2つの撮像スライスを一般的に示す。連続的に取得された2つの撮像スライスの例は、例示的なものである。本明細書に記載される技術は、また、2つ又はそれ以上の撮像スライスのシーケンス(又は基準ボリューム撮像情報の一部又は全部に関して分析される単一の撮像スライスさえにも)に一般的に適用可能である。
【0054】
画像スライス914A(例えば、S)は、標的軌跡の一部918Aを含み、第2の画像スライス914B(時間的に先に取得されるSi−1)は、第2の部分918Bを含むことができる。第2の部分918Bは、変位920によって第1の部分918Aに対して変位しているように見える。変位920は一般に未知の値又はベクトルであるので、第1の部分918A及び第2の部分918Bを空間的に登録するなどの様々な技術を使用することができる。図9Bに示すように、空間的に登録されたスライス914Cは、標的軌跡の一部918Cの調整された位置を含むことができる。表記上、取得された撮像スライスのセット又はシリーズは、S、Si−1、Si−2、...、Si−nとラベル付けされ、処理のために最も最近に取得されたスライスに対応するSと、処理のために最も早期に取得されたスライスに対応するSi−nとを含む。一連の空間的に登録された撮像スライスは、S、S’i−1、S’i−2、...、S’i−nとラベル付けされる。
【0055】
図10は、2つ(又はそれ以上)の画像スライスS、Si−1、Si−2、...、Si−nからの標的軌跡のセグメント化された部分を空間的に登録することを含む技術の概略を示す。ひとつのアプローチでは、第1の部分1018Aとシフトされた第2の部分1018Bとを結合する交差線1022に沿ったピクセルの間の類似度のように、標的軌跡1018A及び1018Bの2つの部分がどのように整列されるか(又はより一般的には、2つの画像スライス又は撮像ボリュームがどの程度整列するか)を定量するメトリックが定義される。このようなメトリックの例には、1次元正規化相互相関又は相互情報が含まれる。メトリックの最適値を提供する第2の部分1018Bの翻訳を見つけるために、自動化された最適化技術を実行することができる。関心のある目標に近いピクセルなど、最も関連性の高いピクセルのみに計算を制限するために、マスクを使用することができる。この第1のアプローチは、一般に、共通の交差線を有する平面に依存する。
【0056】
別のアプローチは、スライス内の標的軌跡の一部に対応するポピュレートボクセルとスライス外のゼロ値ボクセルを含む第1のスライス配向に対応する第1の画像と、第2の画像内の標的軌跡の部分に対応する、それ自身のポピュレートされたボクセルを含む第2のスライス方向の第2の画像とを有するような、3次元(3D)ボクセル画像を作成することを含むことができる。図示された一実施例として、MR撮像スライスは、一般に、約5ミリメートルに相当するような有限の厚さを有する。有限なスライス厚さは、MR撮像スライスから抽出された2次元(2D)ピクセル情報を使用して、実際のスライス厚さ内のスライス情報をボクセルに割り当てることによって考慮することができる。3D登録技術を使用して、2つの3D画像間の最適な翻訳を見出すことができ、マスクを使用してスライス情報を含まないボクセルを除外することができる。3D登録アプローチはまた、一般に、共通の交差線を有することに依存する。三次元的に登録された撮像スライスの例示的な例が、図11に例示的に示されている。
【0057】
さらに別のアプローチでは、以前の撮像スライス方向に対して標的軌跡の一部の最も確からしい位置を見つけるために、現在のスライス又はより最近のスライスと同じタイムスタンプを有する予測技法を前の撮像スライスに適用することができる。そのような予測には、カーネル密度推定、ニューラルネットワーク、又はテンプレートマッチング技術などの様々な技術を使用することができる。呼吸運動に関連するような標的軌跡の運動が本質的に高度に周期的である場合、予測は特に有効であり得る。予測の使用は近似のみであるが、上述の画像ベースの方法及び本明細書の他の部分と組み合わせて使用することもできる。予測ベースのアプローチは、共通の交差線を有する画像取得面に依存しないので、平行なスライスを取得するときに予測技術を使用することができる。
【0058】
さらに別のアプローチでは、高速の垂直磁気共鳴撮像スライスが取得されるとき、前の画像が励起され、まだ完全に平衡状態に緩和されていない位置の現画像に暗線が現れることがある。前のスライスからの励起された磁気双極子は動く解剖学的構造に従うので、可視の先に励起された領域(例えば、励起線)は、前のスライスを後に取得された撮像情報と整列させるためのアンカーとして使用することができる。ピクセル特徴又はボクセル特徴などの暗い領域は、取得された撮像スライス内のそのような暗い領域の位置を特定又は明示的に決定するなど、登録に影響を及ぼす可能性があるため、これは上述の他の技術と共に暗黙的に考慮される。例えば、ピーク検出技術を用いて暗い領域の中心に沿った点を見つけることができ、これらの点に最適な線(直線又は曲線)を見つけることができる。
この文献に記載された様々な例は、第1の画像のセグメント化された部分又は第2の画像(又は一連の画像)の他の識別された特徴の登録を含むなど、画像間の登録を指す。一般に、2つの画像間の登録は、動く画像と固定された画像を含むことができる。目標は、固定画像に最もよく合うように動画像の位置又は変換を決定することである。「移動」とは、例えば、動画像を空間的にひとつ又はそれ以上の次元(翻訳のみ)にシフトさせたり、動画をシフトして回転させたり、動画像を変形したりすることを意味する。動画を動かすために利用可能な自由度は「最適化パラメータ」と呼ぶことができ、表示された一実施例として、2つの2D画像のみのシフトの場合の2自由度、又は3D画像のシフトプラス回転の6自由度を含むことができる。3D画像の登録を一般的に指しているとしても、「最適化パラメータ」は一般的には一般性を失うことなく「シフト値」と呼ばれる。
【0059】
所与の最適化パラメータの組について、メトリック(metric)は、動く画像と固定された画像との間の決定された重なりの「良さ」を定義することができる。様々な例は、(ボクセル又はピクセル値を入力値として使用するような)正規化された相互相関又は相互情報を決定することを含むことができ、そのような技術は、画像が完全に一致するときのメトリックの最適値の指示を提供することができる。基礎となるイメージング技術の性質は、どのメトリックを使用するかを確立するのに役立つ。例えば、相互情報技術は、陽電子放射断層撮影法(PET)及びCT画像化のような異なる様式を使用して得られた画像に使用することができる。
【0060】
最適化技術を使用して、2つの画像の間で最良の一致を与えるシフト値を識別するために、移動画像と固定画像との間のメトリックを最適化するシフト値を見つけることができる。使用することができる異なるオプティマイザには、グラジエント降下、アニーリングのシミュレート、信頼領域勾配降下、又はひとつ又はそれ以上の他の技法が含まれ得る。ある場合には、画像間に変形が存在することもあるが、変形情報の最適化が望ましくないレイテンシ(latency)や最適化の安定性を損なう可能性があるため、必ずしも変形ベクトルフィールドを最適化して考慮する必要はない。メトリックの計算は、「マスク」と呼ばれる特定の関心領域に限定することができる。例えば、関心領域に無視できる程度の変形があると仮定すると、変形のないひとつ又はそれ以上の並進又は回転を使用して、指定された関心領域において局所的に最適なシフト値を決定することができる。
【0061】
一般に、ひとつ又はそれ以上の2D撮像スライスが利用可能である場合、放射線治療目標の動きは、現在の2Dスライス(MR撮像スライスなど)と初期3Dボリューム(例えば、基準ボリューム画像)との間で決定される。表示された実施例として、3Dボリュームは、呼吸のぼけを低減するための呼吸の特定の段階に対応することもできる。呼吸は、ゲート又はトリガされた撮像(例えば、トリガされた撮像)に伴うか、又は、4次元撮像情報から特定のフェーズで3Dボリューム画像を抽出する(例えば、MR撮像を使用して得られた4D撮像情報のような4D撮像シリーズから3Dボリュメトリックスナップショットを抽出する)ことにより、得ることができる。
【0062】
ひとつのアプローチでは、目標自体を画像化スライスで識別することができる。しかしながら、本明細書の他の箇所でセグメンテーションが言及されているが、セグメンテーション又は他の特徴抽出が実行されない場合には、本明細書に記載される技術も適用可能である。表示された一実施例として、グレースケール値の最良適合は、ひとつ又はそれ以上の後に取得された撮像スライスと先に取得された基準3D画像との間で決定され得る。目標は画像内に実際に存在する必要はないが、目標の一部、目標プラスマージン、又は目標無しの任意の関心領域を含むように、関心領域が指定される。
【0063】
ひとつのアプローチでは、現在の撮像スライスと基準ボリュームとの間の相対的なずれを見つけるために2D/3D登録を実行することができる。3D画像は「動画」を表し、2Dスライスは登録技術に関連して「固定画像」を表すことができる。一般に、目標の位置は3D画像内で識別することができ、相対的なシフトをより早い目標位置に適用することにより、目標の更新された位置、例えば3次元座標フレームの推定値を提供することができる。このような推定は、変形の決定を必要とせずに行うことができ、最適化技術の実行効率を上げるなどの回転パラメータを使用せずに実行することさえできる。このような簡略化する仮定は、3D基準画像をひとつ又はそれ以上の2D画像スライスに登録する場合などに適用することができる。
【0064】
指定された関心領域を使用して、目標周辺のマスクとマージンを定義することができる(関心領域に目標又は目標の全体が含まれる必要はないけれど)。変形が存在してもよいが、表示されて一実施例として、マージンが小さい場合には、変形も小さく(例えば、無視できるほど小さい)、目標自体のシフトは、変形を無視して登録技術を使用して決定することができる。このようにして、単一平面技術(例えば、撮像スライスが固定画像である技術)は、依然として3次元でのシフトを示す情報を提供することができる。このような技法は、3次元での登録を「ロック」する十分な特徴が画像にあるときに、堅牢なものである。特徴を抽出又はセグメント化する必要はないが、登録は明確に最適化を収束させる。
【0065】
ひとつのアプローチでは、画像の勾配の正規化された相互相関は、このような技法が画像エッジと一致する傾向があり、画像ごとに異なることがある絶対的なグレースケール値に対して感受性が低いため、レジストレーションメトリックとして使用することができる。単一の撮像スライス又は撮像プレーンは、場合によっては、明確な最適値でシフトを確立する(口語で「ロックイン」する)のに十分に堅牢でない場合がある。したがって、追加のスライスは、例えば、現在のサジタル及び前に取得されたコロナルスライスを使用して、又はその逆のように、すべての方向でロックインするのを助けるのに有用である。並行、直交、又は非平行及び非直交のいずれの面であっても、登録に使用されるスライスの数が増えると、基準ボリューム画像と後で取得される画像スライスとの間の登録を行うための情報がより多く得られ、結果として得られるシフトパラメータ決定の堅牢性を向上させる。
【0066】
登録には、ひとつ又はそれ以上の撮像スライスにわたって3Dボリュームをスイープすることを含むことができ、又は本明細書の他の箇所で述べたように、スライスを3Dボリュームに挿入することができ、その場合、3Dから3Dへの登録技術を(例えば、充填されていないボクセルの登録を抑え又は無視するようにして)使用することができる。
複数スライス技法は、例えば、スライスが取得されたスライスに対応する瞬間の間で約50ms未満のように、迅速に連続して取得される場合などに良好に機能する。
画像スライス取得間により長い時間が生じる場合、古いスライスは「失効」になる可能性がある。しかしながら、そのようなスライスは、a)目標の動きが本来周期的であるような予測技術;b)本明細書の他の箇所に記載されているような励起線を通る線をフィッティングすることによって、撮像モダリティによって提供される励起線(例えば、MR撮像取得から見える励起線)を整列させる;又はc)失効した画像スライスを空間的に登録して、交差線に沿って計算されたメトリックを使用して現在のスライスに適合させる、等のいずれかを使用して、一時的に再整列され得る。
【0067】
図11Aは、空間的に登録された撮像スライス1114A及び1114Bに対応する、異なる時間に取得された標的軌跡のセグメント化された部分の空間的な登録後の、標的軌跡の複合物1118の表現の概略を示す。2つ以上の撮像スライスからの標的軌跡の部分が空間的に登録された後、複合物1118から特徴を抽出することができる。例えば、放射線療法プロトコルを更新する際に使用するための標的軌跡の重心位置の推定値を提供するなど、複合物1118の重心位置1108又は他の特徴を決定することができる。別の例では、第1の撮像スライス1114A及び第2の撮像スライス1114B内の標的軌跡の部分間の決定された空間的変位を使用して、放射線療法プロトコルを更新することができる。
【0068】
図11Bは、取得された空間的に登録された撮像情報に従って標的軌跡の複合物1118の後で推定又は予測された位置と、以前に取得された容積計測情報により表現される標的軌跡616の以前の位置との相違を決定する技術の概略を示す。ひとつ又はそれ以上の特徴の変位を使用して、現在又は将来の標的軌跡位置を推定することができる。例えば、変位は、基準撮像情報から抽出されたより以前に決定された重心608と、後に決定された重心1108との間で決定することができる。別の例では、重心などの特徴の抽出又は決定を必要とせずに、撮像登録からのシフトパラメータを使用して、更新された標的軌跡を提供することができる。一般に、空間的に登録された撮像スライスを使用して標的軌跡616の動き又は変位を示す情報を抽出するような様々な他の技術を使用することができる。
【0069】
例えば、一組の以前の撮像スライスが現在のスライスに整列されてスライスセットS、S’i−1、S’i−2、...、S’i−nを形成すると、スライスセット(又はそのようなスライスセットから生成された複合物1108)と3次元基準ボリュームとの間の(例えば、図11Bに示されるような標的軌跡616に対応する基準ボリュームのような)最適な登録が見出される。例示的な例として、サジタル(sagittal)スライスの取得の前に、コロナル(coronal)スライスの取得を先行させることができる。コロナルスライスをサジタルスライスと同じ時点にしてコロナルスライスをサジタルスライスに空間的に登録する空間的変換を特定することができる。次に、両方のスライスを3Dボクセル座標空間内に確立することができる。これは、スライスを無限に薄いスライスとして、又は(図11A及び図11Bの複合体1118に示すような)既知のスライス厚さを使用する有限スライスとして挿入することによって行うことができる。
【0070】
各スライスからの標的軌跡の部分によって満たされないボクセルは、未充填のままにすることができる。(例えば、標的軌跡616に対応する)3D基準画像と、(複合体1118に対応する)3D「スライス充填画像」との間で、3D対3Dの登録を決定することができる。充填されていないボクセルをフィルタリングするためにマスクを使用することができる。別の例では、単一の複合物ではなく複数の2Dスライスを使用するなど、3Dから2Dへの登録を実行することができる。例えば、3D参照画像のシフトパラメータ(例えば、セントロイドのようなひとつ又はそれ以上の特徴の変位、又は関心領域の平行移動又は回転を指定するシフト値のセット)を、上記のような登録及び最適化技術を使用して、シフトされた3D体積基準画像のボクセルを複数の2D撮像スライスのそれぞれと比較する類似性メトリックの値を最適化することにより、評価することができる。このようにして、最適なシフト値のセットを識別するために、3Dから2Dへの登録を行うことができる。目標の位置は、シフト値から得られた情報を使用して更新することができる。3Dから3D、2Dから2D、又は3Dから2Dへの登録技術は、画像セグメンテーションを必要とする必要はなく(例えば、標的軌跡そのものをセグメント化する必要はなく)、そのような登録は、重心又はエッジ位置のような撮像特徴の識別を必要としていない。代わりに、登録は、例えば本明細書の他の場所で一般的に言及されている特定の関心領域のような、グレースケール又はコントラスト画像情報(又は他の抽出された値)を用いて実行される。
【0071】
図11Cは、治療場所を新しい場所に移動する治療プロトコルを更新する技術の概略を示す。容積測定基準画像から抽出された、又は他の治療法又は線量測定目的によって確立された標的軌跡に対応するような、より早い放射線療法標的領域1110Aを確立することができる。そのような治療標的領域1110Aは、放射線治療出力を位置決めすること、強度又はビーム形状のうちのひとつ又はそれ以上を変調すること、又は可能の治療用ソファー又はプラットフォームのようなアクチュエータを用いて患者を移動することのうちのひとつ又はそれ以上を用いて、少なくとも部分的に確立される。重心1108Aのような、治療標的領域からひとつ又はそれ以上の特徴を抽出することができる。標的軌跡(例えば、治療すべき腫瘍又は他の構造)の推定又は予測された変位は、本明細書に記載の他の技術を使用する等して決定される。
【0072】
治療標的領域1110Aは、更新された治療標的領域1110Bを提供するように調節することができる。例えば、患者の動きのために標的軌跡が移動された場合、同様の変位を以前の重心1110Aに適用して、更新された治療標的領域1110Bの重心1108Bを提供することができる。同様に、他の特徴が抽出される場合、治療目標領域1110Aは、回転又はスケーリングなどの他の技術を使用して調整することができる。別の例では、治療標的領域1110Aを調整する代わりに、又はそれに加えて、更新された治療標的領域1110Bが指定された領域内にない場合には、放射線治療の送達を抑制するためのゲーティング療法などの治療を制御するために、他の技術が用いられる。さらに別の例では、センサ出力から得られるサロゲート信号が使用されて、治療をゲートすることができる。例えば、センサ出力は、撮像スライスが空間的に登録された後の撮像スライス内の標的軌跡の重心位置など、撮像スライスから抽出された特徴の位置と相関させることができる。治療送出は、センサ出力に応答してトリガされるような(例えば、呼吸のような周期的運動の間の特定の時間に治療を送達するような)同期的な方法でゲート制御される。
【0073】
上述の技術は、画像を取得し、そのような画像を処理し、次に別の一連の画像を取得し、その後に取得された画像のセットを処理することを含むように、逐次的に実行することができる。別のアプローチでは、本明細書に記載された技術のひとつ又はそれ以上の部分は、適応的な方法で治療プロトコルを更新する際に使用される変位又は他の情報の進行中の生成を提供するように、並行して又は混合して実行することができる。例えば、図12は、本明細書に記載された他の技術の効率を高めるなど、撮像取得を用いて前に取得した撮像スライスに対応する撮像情報の混合処理を含むことができる技術を示す。画像取得システムは、図12に示すように、時刻t、ti−1、ti−2、ti−3、...で得られた取得に対応するスライスS、Si−1、Si−2、Si−3、...のような撮像スライスを取得することができる。時刻tにおいて、スライスSが取得され、Si−1、Si−2、のようなひとつ又はそれ以上の先に取得されたスライスが互いに空間的に登録され、又は、撮像スライスSの取得中に実行される。
【0074】
表示された一実施例として、撮像スライスは、互いに直交する2次元平面として示されている。しかし、本明細書の他の例に関して述べたように、スライスは平面である必要はなく、直交である必要もない。撮像スライスの取得と並行してひとつ又はそれ以上のスライスの処理を含む、取得された各撮像スライスを処理することができる。例えば、そのような処理は、取得された撮像スライスの平面又は領域に対応するような体積基準画像からのサンプリングされた情報を含むことができる。標的軌跡(例えば、放射線治療を適応的に指示するためのランドマークとして使用され得る腫瘍又は他の解剖学的構造)の範囲は、容積参照画像内のひとつ又はそれ以上のセグメント化構造から抽出され得る。
【0075】
標的軌跡が後で取得される撮像スライス内に位置しなければならない領域を定義するような、標的軌跡の領域にマージンを加えることができる。マージンは、画像取得レートなどの要因に基づいて調整することができる(取得レートが低いほど、腫瘍又は他の標的が画像取得間を移動することができ、それに応じてマージンを拡大することができる)。腫瘍又は他の標的は、獲得された撮像スライスにおいてセグメント化することができる。ひとつ又はそれ以上の撮像スライスから抽出されたセグメント化された標的情報は、計画イメージで識別された標的軌跡と空間的に登録することができる。このような登録は、本明細書の他の実施例に記載されているように、更新された標的軌跡を決定するために、又はそうでなければ治療を制御又は適合させるために、使用され得る。例えば、更新された標的軌跡は、処置を一時停止するなどの処置をゲートするために使用され、更新された標的軌跡は、標的軌跡が部分的に又は完全に指定された空間ゲーティングウィンドウの外にあることを示すか、又は更新された標的軌跡は、表示された実施例として、腫瘍を追跡するためにビーム開口形状を適合させるために使用される。
【0076】
このような処理を実行している間に、以前取得した撮像スライスを再利用することができ、例えば、図12に示すように、より高いレートでゲーティング又はトラッキング更新を行うことができる。抽出された特徴位置(例えば、重心位置)などの更新標的軌跡に関する情報は、目標の所望の部分を再センタリングするか、そうでなければ、撮像フィールド内の標的軌跡の所望の位置を保持するかのように、将来取得される撮像スライスの位置又は向きを調整するために使用され得る。
【0077】
図13は、ステップ1302で参照画像のような容積撮像情報を受信し、ステップ1308で標的軌跡の位置の差を決定することを含む撮像スライス1304を受信することを含むような技術1300の概要を示す。技術1300(又は本明細書に記載される他の技法)の一部又は全部は、図1A図1B図1C図1D図2図3図4、又は図5に示されたようなシステム又は他の要素を使用するなどして実行することができる。
【0078】
ステップ1302において、容積イメージング情報が、例えば計画又は参照イメージに対応して受け取られる。ボリュメトリックイメージング情報は、放射線治療で標的とされるボクセルの領域を含むような標的軌跡を含むことができる。本明細書の他の箇所で述べたように、画像取得待ち時間は、イントラ−分数(intra-fractionally)のようなリアルタイムの方法で標的軌跡の完全な容積撮像を得ることを妨げる可能性がある。したがって、ステップ1304において、ひとつ又はそれ以上の撮像スライスを含むような撮像情報を受信することができる。例えば、ステップ1302で受信された容積測定画像を取得した後の異なる時間間隔で、2つの撮像スライスを取得することができる。2つの撮像スライスが異なる時間に取得される場合、各撮像スライスの標的軌跡の一部の位置が相違しうる(このような撮像スライスの相違は「時間的不整列」と呼ばれることがある)。
【0079】
ステップ1306において、撮像スライスが時間的にずれている場合には、少なくとも2つの撮像スライスのうち先に取得されたものからの情報(例えば、標的軌跡を示すもの)を、後に取得されたものの少なくとも一部と空間的に少なくとも2つの撮像スライスを含む。ステップ1308において、空間的に登録された情報によって示される標的軌跡の位置と、ステップ1302で受信された容積画像によって示される標的軌跡のより早い位置との間の差が決定され得る。例えば、セグメント化又は特徴抽出を必要とせずに、標的軌跡の重心又は標的のシフトなどの特徴におけるシフトを決定するように、上記のような登録技術を使用することができる。決定されたシフト値は、目標又は他の関心領域の更新された位置を示す情報を提供することができる。
【0080】
任意に、ステップ1310において、ステップ1308で決定された標的の更新された位置に関する情報を使用して治療軌跡(例えば、放射線療法ビームによって標的とされる領域又は容積)を更新することができる。加えて、又はその代わりに、ステップ1312において、療法が、更新又は推定された目標位置と適切に登録されたときに、治療の送達を可能にするように、治療ビーム操作をゲートすることができる。このようにして、放射線治療は、画像化スライス及び先に取得された体積基準画像を用いて適応的に制御することができる。
(様々な注意と実施例)
この文書に記載されている非限定的な例のそれぞれは、それ自体で成立することができ、又はひとつ又はそれ以上の他の例との様々な順列又は組み合わせで組み合わせることができる。
【0081】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。そのような例は、図示又は説明された要素に加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示又は記載された要素のみが提供される実施例も熟考する。さらに、本願発明者らは、特定の例(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)に関して、又は表示された又は記載された要素(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)の任意の組合せ又は置換を使用する例(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)を示す。
【0082】
本明細書と参考として組み込まれている文書との間に一貫性のない使用(usage)があった場合は、本明細書の慣用が優先する。
【0083】
本明細書では、「少なくともひとつ」又は「ひとつ又はそれ以上」の他の例(instance)又は使用(usage)とは独立して、ひとつ又はそれ以上のものを含み、特許文書で一般的であるように、用語「a」又は「an」が使用される。本明細書において、「又は」という用語は、特に断らない限り、「A又はB」には「AであってBでない」、「BであってAでない」、「A及びB」を含むように非排他的である。本明細書では、用語「including」及び「in which」は、それぞれ、用語「comprising」「wherein」の平易な英語の等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「含む(comprising)」という用語は、オープンエンドであり、すなわち、そのような用語の後に列挙された要素に、ある要素を含むシステム、装置、品物、組成、動作、プロセスを要素として加えたクレームは依然としてそのクレームの範囲内にあるとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用されており、それらに数値的な要件を課すことを意図しない。
【0084】
本明細書に記載の方法例は、少なくとも部分的に機械的に又はコンピュータで実施することができる。いくつかの実施例は、上記の実施例で説明した方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令でコード化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含めることができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。さらに、一例では、コードは、実行中又は他の時などに、ひとつ又はそれ以上の揮発性、非一時的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に格納することができる。これらの具体的なコンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、取り外し可能な光ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード、メモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などを含む。
【0085】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上記の例(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検討することにより、当業者によって、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように、米国特許法規則37C.F.R.1.72(b)に準拠するために提供される。クレームの範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないことを理解して提出されている。また、上記の詳細な説明では、開示を合理化するために様々な特徴をグループ化することができる。これは、クレームされていない開示された特徴がクレームに不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、開示された特定の実施形態のすべての特徴よりも少なくてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、実施形態又は実施形態としての詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立して立証され、そのような実施形態は、様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に決定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2017年6月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応放射線治療送達システムを制御するコンピュータ実装の方法であって、
時間で変化する標的軌跡を含む容積画像であって、第1の期間で取得される容積画像を受信し、
前記標的軌跡の異なる部分を含む少なくともふたつの撮像スライスであって、第2の期間で取得される第1の撮像スライスと第3の期間で取得される第2の撮像スライスとを受信し、
前記第1の撮像スライスからの前記標的軌跡の部分と前記第2の撮像スライスからの前記標的軌跡の部分とを空間的に登録し、
前記空間的に登録された情報により示された前記標的軌跡の位置と、前記容積画像により示された前記標的軌跡との相違を決定し、
前記決定された相違に基づいて治療ビームの送達を制御するための更新された治療プロトコルを生成する
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項2】
請求項1記載のコンピュータ実装の方法において、
前記第1の期間は、前記第2の期間及び前記第3の期間よりも早い
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコンピュータ実装の方法において、
前記更新された治療プロトコルを生成することは、前記治療ビームが更新された標的軌跡と共に向かう方向に治療軌跡を整列させることを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンピュータ実装の方法において、
前記更新された治療プロトコルを生成することは、前記治療軌跡が前記標的軌跡の前記位置と整列しているときに、治療配信を可能にするように前記治療ビームをゲート動作させることを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の前記部分を示す前記情報を空間的に登録することは、前記少なくとも2つの画像スライス内の前記標的軌跡の前記部分をセグメント化することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項6】
請求項5記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の前記部分を示す前記情報を空間的に登録することは、前記標的軌跡のセグメント化された部分をひとつ又はそれ以上の先に取得された画像スライスに翻訳して、後で取得された画像スライスからの標的軌跡のセグメント化された部分を登録することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項7】
請求項5又は6記載のコンピュータ実装の方法において、
ひとつ又はそれ以上の先に取得された撮像スライス内の前記標的軌跡の前記部分を示す前記情報を空間的に登録することは、先に取得された撮像スライスから前記標的軌跡のセグメント化された部分の位置を予測することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンピュータ実装の方法において、
前記空間的に登録された情報により示された前記標的軌跡の位置と、前記容積画像により示された前記標的軌跡との相違を決定することは、
前記容積画像内の前記標的軌跡をセグメント化することと、
前記少なくとも2つの撮像スライスから前記標的軌跡を示す前記空間的に登録された情報の3次元ボクセル表現を生成することと
を含むことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項9】
請求項8記載のコンピュータ実装の方法において、
前記標的軌跡の位置の差を決定することは、前記容積画像からの前記セグメント化された標的軌跡を、前記少なくとも2つの画像スライスからの前記3次元ボクセル表現に空間的に登録することを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のコンピュータ実装の方法において、
前記空間的に登録された情報により示された前記標的軌跡の位置と前記早期に取得された容積画像により示された前記標的軌跡の早期の位置との相違を決定することは、別の撮像スライスの画像取得と同時に発生する
ことを特徴とするコンピュータ実装の方法。
【国際調査報告】