特表2017-533907(P2017-533907A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-533907再利用可能な触媒系を使用したC−O結合およびC=O結合の穏やかな触媒還元
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-533907(P2017-533907A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】再利用可能な触媒系を使用したC−O結合およびC=O結合の穏やかな触媒還元
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/22 20060101AFI20171020BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 41/18 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 15/06 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 15/073 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 15/067 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 15/16 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 209/68 20060101ALI20171020BHJP
   C07C 211/45 20060101ALI20171020BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171020BHJP
【FI】
   C07C1/22
   B01J31/22 Z
   C07C41/18
   C07C43/23 B
   C07C15/06
   C07C15/073
   C07C15/067
   C07C15/16
   C07C209/68
   C07C211/45
   C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-522393(P2017-522393)
(86)(22)【出願日】2015年10月30日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2015075333
(87)【国際公開番号】WO2016066835
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】62/072,774
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516351946
【氏名又は名称】オルガノフール スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コルドバ、アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】アフェウェルキ、サムソン
(72)【発明者】
【氏名】パロ−ニエト、カーロス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA06
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA14A
4G169BA14B
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BC31A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC70A
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC74A
4G169BE01B
4G169BE14A
4G169BE14B
4G169CB02
4G169CB62
4G169CB70
4G169EB18Y
4G169EB19
4G169EE01
4G169FB27
4H006AA02
4H006AC13
4H006BA25
4H006BA55
4H006BB11
4H006BB14
4H006BB31
4H006BC10
4H006BE20
4H006GP03
4H006GP10
4H006GP12
4H039CA11
4H039CA60
4H039CB20
4H039CB40
(57)【要約】
本発明は、再利用可能な金属触媒系を使用して、基材中にて、C−O結合を対応するC−H結合へ還元する穏やかな方法に関する。基材は、ベンジル型アルコール、アリル型アルコール、エステル、または、水酸基に対してベータ位にあるエーテル結合、またはカルボニル基に対してアルファ位にあるエーテル結合であり得る。この再利用可能な触媒系は、C=O結合を、対応するC−OH結合へ、次いで、C−H結合へ還元することにもまた適用可能である。これらの方法は、リグニンのような芳香族ポリオールの、ワンポットでの、選択的な酸化および解重合に結び付けられ得る。これは、本発明の重要な一部分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C=O結合をC−H結合に変換する方法であって、
i)アルコールを提供し、C=O結合を含む化合物へ前記アルコールを変換するステップであって、C=Oを含む前記化合物はアルデヒドおよびケトンから選択され、C=O結合を含む化合物への前記アルコールの前記変換は、
酸化剤および触媒を用いた酸化ステップであって、前記酸化剤はH、OおよびNaOClから選択され、前記触媒は不均一系担持金属触媒、均一系有機金属錯体、無金属触媒(メディエータ)、および酵素(EC 1:10:3:2)から選択される酸化ステップを含む、変換するステップと、
ii)前のステップからのC=O結合を含む前記化合物を提供するステップと、
iii)C=O結合を含む前記化合物を、還元剤および触媒を含む溶媒中で還元するステップであって、前記触媒は不均一系金属触媒および均一系有機金属錯体から選択され、前記不均一系金属触媒はシリカ含有材料に不均一に担持されたPd(0)−ナノ触媒であり、前記均一系有機金属錯体はPd、Ir、Ru、Ni、Co、Cu錯体を含む、還元するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記触媒は、Pd(0)−アミノ官能基化されたシリカ担持体から選択されるPd−触媒であり、好ましくはPd(0)−AmP−シリカ担持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒は、Pd(0)−AmP−MCFおよびPd(0)−AmP−CPGから選択されるPd−触媒であり、好ましくは、前記Pd−触媒は再利用可能である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元剤はギ酸アンモニウムおよびHガスであり、前記溶媒は好ましくはトルエンである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記還元は、20−80℃の温度において、好ましくは周囲温度または80℃において実行される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アルコールはステップi)においてアルデヒドに変換され、アルデヒドへの前記アルコールの前記変換は、NaOCl、TEMPO((2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル)、NaOH、KBrおよびOの存在下で行われる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップi)は、
(a)前記アルコールおよびTEMPOを含む溶液に対してKBrの溶液を添加するステップであって、好ましくは、KBrは水溶液中に存在し、TEMPOはCHCl中に存在する、添加するステップと、
(b)混合物を、好ましくは0℃において撹拌するステップと、
(c)前記混合物に対してNaOCl溶液を添加するステップであって、好ましくは前記NaOCl溶液がpH9を有する、添加するステップと、
(d)Oの存在下で前記混合物に対してNaOHを添加するステップと、
(e)好ましくは0℃において、より好ましくは0℃において3時間、前記混合物を撹拌するステップと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アルコールはステップi)においてケトンに変換され、ケトンへの前記アルコールの前記変換は、O、TEMPO、HNO、およびHClの存在下で行われる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップi)は、
i.Oの存在下で前記アルコールに対してTEMPOを添加するステップと、
ii.HNOがアセトニトリル中に存在する混合物を添加するステップと、
iii.HClがアセトニトリル中に存在する混合物を添加するステップ、好ましくは、水およびアセトニトリルもまた添加するステップと、
iv.任意で前記混合物を加熱するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アルコールはジオールであり、前記ジオールは、ステップi)においてアルドールに変換され、次いで、自発的な触媒レトロアルドール反応を経て対応するアルデヒド部分となり、前記アルデヒドの前記C=O結合が、続いて、ステップiii)においてC−H結合へ還元される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ジオールはリグニンおよびその誘導体から選択され、好ましくは、前記アルコールは、β−O−4アリールエーテル結合を含むベンジル型アルコール、アリル型アルコール、または脂肪族アルコールを含むリグニンであり、より好ましくは、前記リグニンは磨砕リグニン、セルロース分解性リグニン、パルプ化プロセスからのオルガノソルブリグニンおよび工業リグニンから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
i.リグニンを提供し、前記リグニンを酸化してアルデヒド基を含むポリマにするステップと、
ii.前のステップにおいて提供された、アルデヒド基を含む前記ポリマを、続いて、自発的な触媒レトロアルドール反応を経て解重合に至らせるステップと、
iii.前記アルデヒド基を還元するステップと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルコールは第一級アルコールであり、前記第一級アルコールはステップi)においてアルデヒドに変換され、前記アルデヒドの前記C=O結合は、続いて、C−H結合へ還元される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルコールは、バニリルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、およびエトキシベンジルアルコールから選択され、バニリルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、およびエトキシベンジルアルコールは、ステップi)において、それぞれの対応するアルデヒドに変換され、前記アルデヒドの前記C=O結合が、続いて、C−H結合へ還元される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記アルコールは第二級アルコールであり、前記第二級アルコールはステップi)においてケトンに変換され、前記ケトンの前記C=O結合は、続いて、C−H結合へ還元される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
C−O結合またはC=O結合をC−H結合に変換する方法であって、
i)C−O結合またはC=O結合を含む化合物を提供するステップであって、前記化合物は、アルデヒド、ケトン、アルコール、アルドール、水酸基に対してベータ位のエーテル結合を有する化合物、または、カルボニル基に対してアルファ位のエーテル結合を有する化合物から選択される、提供するステップと、
ii)前記C−O結合またはC=O結合を、還元剤および触媒を含む溶媒中でC−H結合へ還元するステップであって、前記触媒は不均一系金属触媒および均一系有機金属錯体から選択され、前記不均一系金属触媒はシリカ含有材料に不均一に担持されたPd(0)−ナノ触媒であり、前記均一系有機金属錯体はPd、Ir、Ru、Ni、Co,Cu錯体を含む、還元するステップと、
を含み、
アルコールを提供し、次いで、C=O結合を含む化合物へと前記アルコールを変換する任意のステップが、ステップi)の前に提供される、方法。
【請求項17】
前記触媒は、Pd(0)−アミノ官能基化されたシリカ担持体から選択されるPd−触媒であり、好ましくはPd(0)−AmP−シリカ担持体である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒は、Pd(0)−AmP−MCFおよびPd(0)−AmP−CPGから選択されるPd−触媒であり、好ましくは、前記Pd−触媒は再利用可能である、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記還元剤は、水素、ギ酸、およびギ酸アンモニウムから選択される、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
C−O結合を含む前記化合物がアルコールである場合、前記還元剤はギ酸アンモニウムおよびギ酸である、請求項16から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ギ酸アンモニウムおよびギ酸は、
前記アルコールに対して、それぞれ、0.25および6.6の比率で添加される、または、
前記アルコールに対して、それぞれ、0.25および3.3の比率で添加される、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒は、エタノールおよび水の少なくとも一方、好ましくはエタノールと水の混合物であり、より好ましくは、エタノールと水の前記混合物が、4:1のエタノール:水の比率を有する、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
C=O結合を含む前記化合物がアルデヒド、ケトン、アルドール、水酸基に対してベータ位のエーテル結合を有する化合物、または、カルボニル基に対してアルファ位のエーテル結合を有する化合物である場合、前記還元剤はギ酸アンモニウムおよびHガスであり、前記溶媒は好ましくはトルエンである、請求項16から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記還元は、20−80℃の温度において、好ましくは周囲温度または80℃において、最も好ましくは周囲温度において実行される、請求項16から請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
アルコールを提供し、次いで、C=O結合を含む化合物へ前記アルコールを変換するステップが、ステップi)の前に提供され、前記アルコールは、好ましくは、ジオール、第一級アルコールおよび第二級アルコールから選択される、請求項16から請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールの炭化水素への変換、並びに、アルデヒドおよびケトンのようなカルボニルの、アルコール、次いで炭化水素への変換のための、環境に優しい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコールは、用途の広い有機化合物試薬であり、合成化学において、他の種類の有機分子のための前駆体として使用され得る。C−OH結合の触媒水素化分解は、非常に重要な合成技術であり、有機合成[1−3]、医薬品製造[4、5]、およびバイオマス変換[6−8]において広く使用されている。対応する炭化水素へのアルコールの還元は、通常、複数のステップのシーケンスで実施される。従来、C−OH結合の水素化分解は、水素分子を用い、貴金属を触媒として使用して実施されている。いくつかの場合においては、金属水素化物のような当量の還元剤が使用される。にもかかわらず、これらの従来の水素化分解法は、いくつかの欠点を有する。1つの欠点は、安全問題および環境問題をしばしば引き起こす水素分子または当量の還元剤の使用である。何故ならば、水素分子および金属水素化物は、引火性であり、爆発性であり、危険だからである。別の欠点は、高価な高圧設備が必要となるであろう、高温および高圧の使用である。それにより、プロセスのコストを増加させ、操作上の多くの問題を生じさせる。さらなる欠点は、使用される厳しい反応条件による、その低い選択性である。従来の水素化分解法とは対照的に、触媒移動水素化分解(CTH)は、水素種をインサイチュで提供するための水素供与体を使用する。従って、従来の水素化分解法の欠点を克服する可能性を提供する。
【0003】
CTHは、有機化学における重要な合成技術である。水素容器も圧力容器も必要無いので、穏やかな反応条件が、触媒水素化分解の従来の方法に比べて相当な利点を提供する。移動水素化分解または水素添加に対しては、効率の高い触媒および適切な水素供与体を選択する必要がある。近年、水素源としてギ酸が使用されてきている。ギ酸は、取扱い、輸送、および保管に関して多くの利点を有しており、水素ガスおよび二酸化炭素から容易に生成され得る。
【0004】
移動水素化分解のための触媒としては、一般的に、パラジウム、ルテニウム、およびラネーニッケルのような金属(VIII族元素)が使用される。パラジウムは、ほぼ間違いなく、最も強力で用途の広い遷移金属触媒の一つであり、様々な不均一系担持体上で固定されることができ、様々な有機変換に対して使用され得る。パラジウム不均一系触媒は、単純なろ過によって再利用されることができ、効率を失うことなく数サイクルにわたって再使用され得る。その結果、経済性および環境保護のような利点を有する。近年、我々は、単純なキラルアミン共触媒との不均一系パラジウム触媒を実施する、非対称炭素環化反応を開発した。しかしながら、パラジウム不均一系触媒が、アルコールのCTHに再使用され得るかどうかは確かでない。
[発明の目的]
【0005】
本発明の目的は、不均一系金属触媒系を使用して、アルコールから炭化水素を合成することである。
【0006】
本発明の別の目的は、不均一系金属触媒系を使用して、アルデヒドまたはケトンから炭化水素を合成することである。
【0007】
本発明の別の目的は、リグニンを解重合し、次いで、カルボニルまたはアルコールを、それぞれ、炭化水素へ上記のように変換することである。
【0008】
本発明の別の目的は、これを、リグニンのようなアリールポリジオールの選択的触媒酸化、これに続く解重合、次いで、カルボニルまたはアルコールのそれぞれ炭化水素への変換に結び付けることである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、環境および健康の観点から有利な、上述した種類の方法を提供することである。
【0010】
さらなる目的は、本発明の概要、図面に示された多数の好ましい実施形態、および添付の特許請求項を学ぶことにより、明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、適切な還元剤を使用して、アルコールを炭化水素へと変換することのできる、不均一系金属触媒の使用に基づいている(スキーム1)。
スキーム1
【0012】
本発明の別の態様は、適切な還元剤を使用して、水酸基に対してベータ位のエーテル結合、または、カルボニル基に対してアルファ位のエーテル結合を、それぞれ炭化水素に変換することのできる不均一系金属触媒を使用することである。
【0013】
本発明の別の態様は、適切な還元剤を使用して、アルデヒドまたはケトンを、それぞれ炭化水素に変換することのできる不均一系金属触媒を使用することである(スキーム2)。
スキーム2
【0014】
本発明の別の態様は、"リグニン型"構造の第一級アルコールまたは第二級アルコールを、それぞれ、対応するカルボニルへと触媒選択的に酸化することである。ワンポットの解重合がこれに続き、次いで、適切な還元剤を使用して、不均一系金属触媒によって、対応する炭化水素へと還元される(スキーム3)。
スキーム3
【0015】
本発明の別の態様は、選択的酸化と、それに続く解重合の組合せを使用して、リグニンおよびその誘導体から出発して、炭化水素および類似化合物を合成することである。
【0016】
本発明の方法は、環境に無害な条件下でリグニンが変換される、重要なステップから構成される。本発明の1つの実施形態において、この方法は、以下のステップを含む。
i.アルコールを提供する。
ii.このアルコールを、適切な改質方法、すなわち酸化によって、カルボニルへと化学的に変換する。
iii.適切な解重合系を使用して、このカルボニルを別のカルボニル化合物へと変換する。
iv.適切な不均一系金属触媒および還元剤を使用することによって、このカルボニルを対応するアルコールへと変換する。
v.適切な不均一系金属触媒および還元剤を使用することによって、このアルコールを対応する炭化水素へと変換する。
【0017】
酸化は、水中または有機溶媒中で実行され得る。適切な触媒は、反応分子の性質に応じて、不均一系金属触媒、均一系金属触媒、無金属触媒、または酵素であってよい。反応分子の性質に応じて、適切な酸化剤は、酸素、空気、過酸化水素であってよい。
【0018】
この酸化された、リグニン型構造を有するオリゴマまたはポリマは、塩基性、酸化性、ラジカル、または有機触媒条件を使用することにより、より小さいサイズのカルボニル化合物へと直接解重合される。
【0019】
前のステップからのカルボニル基が、適切な還元剤を使用した不均一系触媒によって、対応するアルコールへと還元される。適切な還元剤は、反応分子の性質に応じて、水素、ギ酸、ギ酸アンモニウムであってよい。
【0020】
前のステップからのアルコール基が、適切な還元剤を使用した不均一系触媒によって、対応する炭化水素へと還元される。適切な還元剤は、反応分子の性質に応じて、水素、ギ酸、ギ酸アンモニウムであってよい。
【0021】
本発明の別の実施形態において、この方法は以下のステップを含む。
ii.アルデヒドまたはケトンを提供する。
iii.適切な解重合系を使用して、このカルボニルを別のカルボニル化合物へと変換する。
iv.適切な不均一系金属触媒および還元剤を使用することによって、ステップiiiからのカルボニルを、対応するアルコールへと変換する。
v.適切な不均一系金属触媒および還元剤を使用することによって、このアルコールを、対応する炭化水素へと変換する。
【0022】
カルボニル基は、適切な還元剤を使用した不均一系触媒によって、対応するアルコールへと還元される。適切な還元剤は、反応分子の性質に応じて、水素、ギ酸、ギ酸アンモニウムであってよい。
【0023】
前のステップからのアルコール基は、適切な還元剤を使用した不均一系触媒によって、対応するアルコールへと還元される。適切な還元剤は、反応分子の性質に応じて、水素、ギ酸、ギ酸アンモニウムであってよい。
【0024】
従って、上記を考慮すると、本発明の目的は、C=O結合をC−H結合へ変換する、以下のステップを含む方法によって達成される。
i.アルコールを提供し、C=O結合を含む化合物へとこのアルコールを変換するステップ。C=Oを含む化合物はアルデヒドおよびケトンから選択される。C=O結合を含む化合物へのアルコールの変換は、以下のステップを含む。
a.酸化剤および触媒を用いた酸化ステップ。酸化剤はH、OおよびNaOClから選択され、触媒は不均一系担持金属触媒、均一系有機金属錯体、無金属触媒(メディエータ)、および酵素(EC 1:10:3:2)から選択される。
ii.前のステップからのC=O結合を含む化合物を提供するステップ。
iii.C=O結合を含むこの化合物を、還元剤および触媒を含む溶媒中で還元するステップ。触媒は不均一系金属触媒および均一系有機金属錯体から選択され、不均一系金属触媒はシリカ含有材料に不均一に担持されたPd(0)−ナノ触媒であり、均一系有機金属錯体はPd、Ir、Ru、Ni、Co、Cu錯体を含む。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、触媒は、Pd(0)−アミノ官能基化されたシリカ担持体から選択されるPd−触媒であり、好ましくはPd(0)−AmP−シリカ担持体である。
【0026】
さらなる好ましい実施形態において、触媒は、Pd(0)−AmP−MCFおよびPd(0)−AmP−CPGから選択されるPd−触媒であり、好ましくは、このPd−触媒は再利用可能である。
【0027】
さらなる好ましい実施形態において、還元剤はギ酸アンモニウムおよびHガスであり、溶媒は好ましくはトルエンである。さらに、還元は20−80℃の温度において、好ましくは周囲温度または80℃において実行されてよい。
【0028】
さらなる好ましい実施形態において、アルコールはステップi)においてアルデヒドに変換される。アルデヒドへのアルコールの変換は、NaOCl、TEMPO((2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル)、NaOH、KBrおよびOの存在下で行われる。ここで、ステップi)は、次のステップを含み得る。
a.アルコールおよびTEMPOを含む溶液に対してKBrの溶液を添加するステップ。好ましくは、KBrは水溶液中に存在し、TEMPOはCHCl中に存在する。
b.混合物を、好ましくは0℃において撹拌するステップ。
c.反応混合物に対してNaOCl溶液が添加されるステップ。好ましくはNaOCl溶液がpH9を有する。
d.Oの存在下で反応混合物に対してNaOHを添加するステップ。および、
e.好ましくは0℃において、より好ましくは0℃において3時間、混合物を撹拌するステップ。
【0029】
さらなる好ましい実施形態において、アルコールはステップi)においてケトンに変換される。ケトンへのアルコールの変換は、O、TEMPO、HNO、およびHClの存在下で行われる。ここで、ステップi)は、次のステップを含み得る。
a.Oの存在下でアルコールに対してTEMPOを添加するステップ。
b.HNOがアセトニトリル中に存在する混合物を添加するステップ。
c.HClがアセトニトリル中に存在する混合物を添加するステップ、好ましくは、水およびアセトニトリルもまた添加するステップ。および、
d.任意で混合物を加熱するステップ。
【0030】
さらなる好ましい実施形態において、アルコールはジオールである。このジオールは、ステップi)においてアルドールに変換され、次いで、自発的な触媒レトロアルドール反応を経て対応するアルデヒド部分となり、アルデヒドのC=O結合が、続いて、ステップiii)においてC−H結合へ還元される。
【0031】
さらなる好ましい実施形態において、このジオールはリグニンおよびその誘導体から選択され、好ましくは、アルコールは、β−O−4アリールエーテル結合を含むベンジル型アルコール、アリル型アルコール、または脂肪族アルコールを含むリグニンであり、より好ましくは、リグニンは磨砕リグニン、セルロース分解性リグニン、パルプ化プロセスからのオルガノソルブリグニンおよび工業リグニンから選択される。この方法は、以下のステップを含み得る。
i.リグニンを提供し、このリグニンを酸化してアルデヒド基を含むポリマにするステップ。
ii.前のステップにおいて提供された、アルデヒド基を含むポリマが、続いて、自発的な触媒レトロアルドール反応を経て解重合に至るステップ。
iii.アルデヒド基を還元するステップ。
【0032】
さらなる好ましい実施形態において、アルコールは第一級アルコールであり、この第一級アルコールがステップi)においてアルデヒドに変換され、アルデヒドのC=O結合が、続いて、C−H結合へ還元される。
【0033】
さらなる好ましい実施形態において、アルコールは、バニリルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、およびエトキシベンジルアルコールから選択され、バニリルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、およびエトキシベンジルアルコールは、ステップi)において、それぞれの対応するアルデヒドに変換され、このアルデヒドのC=O結合が、続いて、C−H結合へ還元される。
【0034】
さらなる好ましい実施形態において、アルコールは第二級アルコールであり、この第二級アルコールがステップi)においてケトンに変換され、ケトンのC=O結合が、続いて、C−H結合へ還元される。
【0035】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の目的は、上記の好ましい実施形態によって得られる生成物により達成される。さらに、本発明の目的は、上記の生成物を燃料として使用することによってもまた達成される。
【0036】
本発明の目的は、C−O結合またはC=O結合をC−H結合に変換する、以下のステップを含む方法によってもまた達成される。
i.C−O結合またはC=O結合を含む化合物を提供するステップ。この化合物は、アルデヒド、ケトン、アルコール、アルドール、水酸基に対してベータ位のエーテル結合を有する化合物、または、カルボニル基に対してアルファ位のエーテル結合を有する化合物から選択される。
ii.このC−O結合またはC=O結合を、還元剤および触媒を含む溶媒中でC−H結合へ還元するステップ。触媒は不均一系金属触媒および均一系有機金属錯体から選択され、不均一系金属触媒はシリカ含有材料に不均一に担持されたPd(0)−ナノ触媒であり、均一系有機金属錯体はPd、Ir、Ru、Ni、Co,Cu錯体を含む。
アルコールを提供し、次いで、C=O結合を含む化合物へとこのアルコールを変換する任意のステップが、ステップi)の前に提供される。
【0037】
さらなる実施形態において、触媒は、Pd(0)−アミノ官能基化されたシリカ担持体から選択されるPd−触媒であり、好ましくはPd(0)−AmP−シリカ担持体である。
【0038】
さらなる好ましい実施形態において、触媒は、Pd(0)−AmP−MCFおよびPd(0)−AmP−CPGから選択されるPd−触媒であり、好ましくは、このPd−触媒は再利用可能である。
【0039】
さらなる好ましい実施形態において、還元剤は、水素、ギ酸、およびギ酸アンモニウムから選択される。
【0040】
さらなる好ましい実施形態において、C−O結合を含む化合物がアルコールである場合、還元剤はギ酸アンモニウムおよびギ酸である。溶媒は、エタノールおよび/または水、好ましくはエタノールと水の混合物であってよく、より好ましくは、エタノールと水の混合物が、4:1のエタノール:水の比率を有する。さらに、ギ酸アンモニウムおよびギ酸は、
−アルコールに対して、それぞれ、0.25および6.6の比率で添加されてよい。または、
−アルコールに対して、それぞれ、0.25および3.3の比率で添加されてよい。
【0041】
さらなる好ましい実施形態において、C=O結合を含む化合物がアルデヒド、ケトン、アルドール、水酸基に対してベータ位のエーテル結合を有する化合物、または、カルボニル基に対してアルファ位のエーテル結合を有する化合物である場合、還元剤はギ酸アンモニウムおよびHガスであり、溶媒は、好ましくはトルエンである。
【0042】
さらなる好ましい実施形態において、還元は、20−80℃の温度において、好ましくは周囲温度または80℃において、最も好ましくは周囲温度において実行される。
【0043】
さらなる好ましい実施形態において、アルコールを提供し、次いで、C=O結合を含む化合物へこのアルコールを変換するステップが、ステップi)の前に提供される。このアルコールは、好ましくは、ジオール、第一級アルコールおよび第二級アルコールから選択される。最も好ましくは、このアルコールはリグニンである。
【0044】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の目的は、上記の好ましい実施形態によって得られる生成物により達成される。さらに、本発明の目的は、上記の生成物を燃料として使用することによってもまた達成される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、C−O結合またはC=O結合をC−H結合へ変換する方法に関する。この方法は、(i)C−O結合またはC=O結合を含む化合物を提供するステップ、次いで、(ii)このC−O結合またはC=O結合をC−H結合へ還元するステップを含む。C=O結合を含む化合物は、例えばアルデヒド分子であり、このC=O結合は、本発明に従った方法において、C−H結合へ還元される。すなわち、アルデヒドが、その対応する炭化水素へ還元される。
【0046】
C−O結合またはC=O結合をC−H結合へ変換する方法は、リグニンを燃料に変換する方法においてもまた使用され得る。しかしながら、リグニンは、アルデヒド基を有する化合物への酸化および解重合を最初に経なくてはならない。その結果生じるアルデヒド基のC=O部分が、その後、C−H部分へ還元される。最終生成物は、燃料として使用され得る。
【0047】
酸化反応はリグニンのみに限定されないことに留意することが重要である。第一級アルコール、第二級アルコール、およびジオールを含め、その他のアルコールが、全て、アルデヒドを生じる酸化反応を経ることができる。さらに、リグニンのようなジオールは、ケトンに酸化されることもまたできる。
【0048】
酸化反応、すなわち、C=O結合を含む化合物(すなわち、アルデヒドまたはケトン)へのアルコールの変換は、酸化剤および触媒を用いる酸化を含む。酸化剤は、H、OおよびNaOClから選択され得るのに対し、触媒は、不均一系担持金属触媒、均一系有機金属錯体、および無金属触媒(メディエータ)、および酵素(EC 1:10:3:2)から選択される。次のステップにおいて、C=Oを含む化合物が、還元剤および不均一系金属触媒を用いて還元される。
【0049】
既に示したように、(リグニンのような)アルコールは、アルデヒドまたはケトンに酸化され得る。アルデヒドへのアルコールの変換は、NaOCl、TEMPO((2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル)、NaOH、KBrおよびO(例9−12を参照のこと)の存在下で行われる。最初に、KBrの溶液が、アルコールおよびTEMPOを含む溶液に添加される。次いで、この混合物は撹拌され、塩基性のNaOCl溶液が反応混合物に添加され、次いで、Oの存在下でNaOHを反応混合物に添加する。
【0050】
アルコールは、O、TEMPO、HNOおよびHClの存在下でケトンに変換される(例8を参照のこと)。この変換は、Oの存在下でアルコールにTEMPOを添加することを含む。次のステップにおいて、HNOおよびHClがこの混合物に添加され、次いで加熱する。
【0051】
アルコールがジオールの場合、酸化剤および触媒を用いてジオールがアルドールに酸化され、次いでこれは、対応するアルデヒド部分への自発的な触媒レトロアルドール反応を経る(例6および7を参照のこと)。アルデヒドのC=O結合は、続いて、還元剤および不均一系金属触媒によってC−H結合へ還元される。
【0052】
好ましいジオールは、リグニンおよびその誘導体である。リグニンは、磨砕リグニン、セルロースリグニン、パルプ化プロセスからのオルガノソルブリグニンおよび工業リグニンから選択され得る。リグニンは、酸化剤および触媒を用いて酸化され、自発的な触媒レトロアルドール反応を経て解重合に至るアルデヒド基を含むポリマとなる(例13)。次のステップにおいて、還元剤および不均一系金属触媒を用いて、アルデヒド基が還元される。さらに、アルコールは第一級アルコールであってよく、これは、最初にアルデヒドに変換され、次いでC=O基がC−H結合へ還元される。第一級アルコールは、バニリルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、およびエトキシベンジルアルコールから選択されてよく、バニリルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、およびエトキシベンジルアルコールである。
【0053】
さらなる代替手段は、第二級アルコールを使用することであり、これは、最初にケトンに酸化される。ケトンのC=O結合は、続いてC−H結合へ還元される。
【0054】
還元ステップに対し、不均一系金属触媒は、シリカ含有材料に不均一に担持されたPd(0)−ナノ触媒である。Pd−触媒は、Pd(0)−AmP−シリカ担持体のような、Pd(0)−アミノ官能基化されたシリカ担持体から選択され得る。Pd(0)−ナノ触媒の具体例は、Pd(0)−AmP−MCFおよびPd(0)−AmP−CPGである(例1を参照のこと)。Pd−触媒は、好ましくは再利用可能である(再利用プロセスのための例3を参照のこと)。あるいは、触媒は、Pd、Ir、Ru、Ni、Co、Cu錯体を含む錯体を有し得る均一系有機金属錯体であり得る(例13を参照のこと)。
【0055】
アルデヒドまたはケトンを還元するための還元剤は、ギ酸アンモニウムおよびHガスである。この還元は、20−80℃のような、様々な温度で実行され得る。この還元は、80℃で実行され得るものの、周囲温度(すなわち、約22℃の室温)が、より高温よりも便利であり、より高温と同じく効果的である(例1を参照のこと)。
【0056】
重要なことには、上記の方法(特に、リグニンを含む方法)により得られた生成物が、燃料として使用され得ることである。
【0057】
C−O結合またはC=O結合をC−H結合へ変換する方法は、必ずしも酸化反応を含まなくてもよいことに留意すべきである。出発化合物としてリグニンのようなアルコールを有する代わりに、出発化合物は、アルデヒド、ケトン、アルコール、アルドール、水酸基に対してベータ位のエーテル結合を有する化合物、または、カルボニル基に対してアルファ位のエーテル結合を有する化合物のような、C−O結合またはC=O結合を有する化合物であってよい。C−O結合またはC=O結合は、還元剤および不均一系金属触媒によって、C−H結合へ還元される(例1、2、4および5を参照のこと)。
【0058】
不均一系金属触媒は、シリカ含有材料に不均一に担持されたPd(0)−ナノ触媒であり、好ましくは再利用可能である。これらのタイプの触媒の具体例は既に上記されており(例1もまた参照のこと)、還元剤は、水素、ギ酸およびギ酸アンモニウムから選択される(例2、4および5を参照のこと)。あるいは、触媒は、Pd、Ir、Ru、Ni、Co、Cu錯体を含む錯体を有し得る均一系有機金属錯体であり得る(例13を参照のこと)。
【0059】
C−O結合を含む化合物がアルコールである場合、還元剤は、ギ酸アンモニウムおよびギ酸である(例2)。しかしながら、C=O結合を含む化合物がアルデヒド(例5)、ケトン、アルドール、水酸基に対してベータ位のエーテル結合を有する化合物、または、カルボニル基に対してアルファ位にエーテル結合を有する化合物(例4)である場合には、還元剤はギ酸アンモニウムおよびHガスである。
【0060】
上記の還元方法によって得られる生成物は、燃料として使用され得る。
【0061】
【0062】
一般的な方法
【0063】
(IR)スペクトルが、Thermo Fisher Nicolet 6700 FT−IR分光計に記録された。nmaxはcm−1で示される。バンドは、ブロード(br)、強い(s)、中程度(m)、または、弱い(w)と特徴付けられている。
【0064】
H NMRスペクトルがBruker Avance(500MHz)分光計に記録された。化学シフトは、不完全な重水素取り込みから生じる溶媒共鳴を内部標準として(CDCl:δ 7.26ppm)テトラメチルシランからのppm単位で報告されている。データは、次のように報告されている。化学シフト、多重度(s=一重線、d=二重線、q=四重線、br=ブロード、m=多重線)、および、カップリング定数(Hz)、積分値。
【0065】
13C NMRスペクトルが、完全なプロトンデカップリングを伴うBruker Avance(125.8MHzまたは100MHz)分光計に記録された。化学シフトは、内部標準(CDCl:δ 77.16ppm)として溶媒共鳴を伴うテトラメチルシランからのppm単位で報告されている。
【0066】
高分解能質量分析法が、Agilent 6520 Accurate−Mass Q−TOF LC/MS(ポジティブモード)で実行された。
【0067】
化学薬品および溶媒は、商用の供給業者から購入したpuriss p. A.であった。または、標準的な技術によって精製された。市販の試薬が、さらなる精製をせずに、購入したままの状態で使用された。
【0068】
アルミニウムシートシリカゲルプレート(Fluka 60 F254)が薄層クロマトグラフィ(TLC)に使用された。化合物は、UV光(254nm)の照射によって、または、リンモリブデン酸(25g)、Ce(SO・HO(10g)、濃HSO(60mL)、およびHO(940mL)の溶液による処理によって視覚化され、次いで加熱された。生成物の精製は、シリカゲル(Fluka 60、粒子サイズ0.040−0.063mm)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィによって実行された。
【0069】
例1 − 最適化調査(表1)
1a(0.4mmol、1.0当量)、ギ酸アンモニウムおよびPd(0)−ナノ触媒(パラジウム−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質(Pd(0)−AmP−MCF)、26.8mg、0.02mmol、8wt%、5mol%)[1]、または、(パラジウム−アミノプロピル−制御細孔ガラス(Pd(0)−CPG)、569Å、148.0mg、0.02mmol、135μmol/g)をEtOH(2.4mL)およびHO(0.6mL)中に有する溶液を含むマイクロ波バイアルが、室温にて10分間撹拌された。その後、ギ酸が添加され、生じた混合物が、室温において、表中に示される時間にわたって撹拌された。NMR収率用のNMRサンプルが、反応混合物から0.05mLのアリコートを除去し、溶出液としてCDCl(1.5mL)を使用してセライトを通すろ過よって調製された。メシチレンが内部標準として使用された。
【表1】
【0070】
例2 − アルコールを炭化水素に変換する例(表2)
手順:1(0.4mmol、1.0当量)、ギ酸アンモニウム(6.0mg、0.095mmol、25mol%)およびPd(0)−ナノ触媒(Pd(0)−AmP−MCF、26.8mg、0.02mmol、8wt%、5mol%)[2]、または、(Pd(0)−CPG、569Å、148.0mg、0.02mmol、135μmol/g)をEtOH(2.4mL)およびHO(0.6mL)中に有する溶液を含むマイクロ波バイアルが、室温にて10分間撹拌された。その後、ギ酸(0.09mL、2.4mmol、6当量)が添加され、生じた混合物が、室温において、表中に示される時間にわたって撹拌された。NMR収率用のNMRサンプルが、反応混合物から0.05mLのアリコートを除去し、溶出液としてCDCl(1.5mL)を使用してセライトを通すろ過よって調製された。メシチレンが内部標準として使用された。生成物を精製する前に、粗製反応混合物が、溶出液としてCHCl(10mL)を使用したセライトを通してろ過され、蒸発された。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって、粗製物質が精製された。
【表2】
【0071】
生成物の特性評価
【0072】
トルエン
報告されている[3]と同一なスペクトル;H NMR(500MHz、CDCl):d 7.20−7.15(m、2H)、7.11−7.05(m、3H)、2.28(s、3H)。
【0073】
p−トルイジン
報告されている[4]と同一なスペクトル;H NMR(500MHz、CDCl):d 6.93(d、J=8.7Hz、2H)、6.62(d、J=8.6Hz、2H)、2.18(s、3H)。
【0074】
1,2−ジメトキシ−3−メチルベンゼン
無色の油;IR(ニート) n 2935(m)、2834(w)、1586(m)、1484(s)、1425(m)、1268(s)、1222(s)、1174(m)、1081(s)、1009(s)、805(w)、747(s)、686(m);H NMR(500MHz、CDCl):d 6.95(t、J=8.2Hz、1H)、6.78−6.75(m、2H)、3.85(s、3H)、3.80(s、3H)、2.28(s、3H);13C NMR(125.8MHz、CDCl):d 152.9、147.5、132.2、123.8、123.0、110.1、60.2、55.8、15.9;HRMS(ESI)[M+H]13に対する計算値:153.0916、実測値:153.0906。
【0075】
2−メトキシ−4−メチルフェノール
無色の油;IR(ニート) n 3511(b)、2923(m)、1608(w)、1514(s)、1464(m)、1364(w)、1271(s)、1234(m)、1206(m)、1150(m)、1122(w)、1034(m)、919(w)、810(m)、590(w)、559(w)cm−1H NMR(500MHz、CDCl):d 6.83(d、J=7.9Hz、1H)、6.71−6.67(m、2H)、5.45(s、1H)、3.89(s、3H)、2.31(s、3H);13C NMR(125.8MHz、CDCl):d 146.2、143.3、129.6、121.5、114.1、111.6、55.8、21.0;HRMS(ESI)[M+H]11に対する計算値:139.0759、実測値:139.0752。
【0076】
1−エチルベンゼン
報告されている[5]と同一なスペクトル;H NMR(500MHz、CDCl):d 7.28(m、2H)、7.18(m、3H)、2.65(q、2H、J=7.5Hz)、1.24(t、3H、J=7.5Hz)。
【0077】
4−エチルベンゼンアミン
茶色の固体;IR(ニート) n 3354(b)、2963(m)、2929(m)、2870(m)、2360(w)、1686(s)、1612(m)、1516(s)、1455(w)、1411(m)、1310(m)、1180(w)、1123(w)、827(m)、755(m)、474(w)cm−1H NMR(500MHz、CDCl):d 7.03(d、J=8.4Hz、2H)、6.69(d、J=8.4Hz、2H)、5.79(s、2H)、2.57(m、2H)、1.21(t、J=7.6Hz、3H);13C NMR(125.8MHz、CDCl):d 128.3,128.3,128.2,120.3,119.3,118.0,28.0,15.5;HRMS(ESI)[M+H]12Nに対する計算値:122.0969、実測値:122.0965。
【0078】
1−エチル−4−メトキシベンゼン
報告されている[6]と同一なスペクトル;H NMR(500MHz、CDCl):7.11(d、J=8.5Hz、2H)、6.83(d、J=8.5Hz、2H)、3.78(s、3H)、2.59(q、J=7.6Hz、2H)、1.21(t、J=7.6Hz、3H)。
【0079】
ジフェニルメタン
白色固体;IR(ニート) n 3060(w)、3025(w)、2907(w)、2842(w)、1598(w)、1492(m)、1450(m)、1075(w)、1028(w)、729(s)、715(s)、606(m)、551(w)、456(m)cm−1H NMR(500MHz、CDCl):d 7.34−7.27(m、4H)、7.24−7.18(m、6H)、4.00(s、2H);13C NMR(125.8MHz、CDCl):d 141.3、129.1(4C)、128.6(4C)、126.2(3C)、42.1;HRMS(ESI)[M−H]1311に対する計算値:167.0861、実測値:167.0854。
【0080】
トリフェニルメタン
白色固体;IR(ニート) n 3462(b)、3060(w)、1596(w)、1489(m)、1443(m)、1326(w)、1154(m)、1068(w)、1007(m)、889(m)、755(s)、694(s)、636(s)、581(m)、466(m)cm−1H NMR(500MHz、CDCl):d 7.36−7.30(m、15H)、2.82(s、1H);13C NMR(125.8MHz、CDCl):d 146.8、128.6−127.23(m)、82.0;HRMS(ESI)[M−H]1915に対する計算値:243.1174、実測値:243.1168。
【0081】
1−プロピルベンゼン
報告されている[7]と同一なスペクトル。H NMR(500MHz、CDCl)[7]:7.42−7.04(m、5H)、2.49(t、2H)、2.05−1.82(m、2H)、0.9(t、3H)。
【0082】
例3 − Pdナノ粒子の再利用のための手順(表3)
1a(61.7mg、0.4mmol、1.0当量)、ギ酸アンモニウム(6.0mg、0.095mmol、25mol%)およびPd(0)−ナノ触媒(Pd(0)−AmP−MCF、26.8mg、0.02mmol、8wt%、5mol%)[8]、または、(Pd(0)−CPG、569Å、148.0mg、0.02mmol、135μmol/g)をEtOH(2.4mL)およびHO(0.6mL)中に有する溶液を含むマイクロ波バイアルが、室温にて10分間撹拌された。その後、ギ酸(121.6mg、0.1mL、2.64mmol、6.6当量)が添加され、生じた混合物が、室温において1時間撹拌された。次に、反応混合物は遠心分離バイアルに移され、EtOH(8mL)が添加され、遠心分離の後、上澄み液が除去され、触媒はEtOH(8mL)で3回洗浄された。その後、触媒は真空中で乾燥され、次いで、CHCl(8mL)で3回洗浄され、次いで、真空中で乾燥された。
【表3】
【0083】
例4 − エーテル開裂の例
【0084】
例5 − アルデヒドの脱酸素の例
アルデヒド(0.1mmol、1.0当量)、ギ酸アンモニウム(18.9mg、0.3mmol、3.0当量)、および、Pd(0)−ナノ触媒(Pd(0)−AmP−MCF、6.7mg、0.005mmol、8wt%、5mol%)をトルエン(0.5mL)中に有する溶液を含むマイクロ波バイアルが、H条件下で、80℃にて6時間撹拌された。
【0085】
例6 − 選択的酸化/解重合シーケンスに対する基本手順
KBr(1.2mg、0.01mmol、10mol%)を水(1mL)中に有する溶液が、リグニンモデル(0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(1.6mg、0.01mmol、10mol%)をCHCl(4mL)中に含む溶液に対して添加され、0℃にて撹拌された。次いで、pH9を有するNaOCl(5.3g、10mmol、100当量)溶液が、反応混合物に対して滴下により添加された。その後、反応混合物にNaOH(2M、3mL)が添加され、Oを有するバルーンに接続され、0℃にて3時間撹拌された。この後、CHClを用いて水性層が2回抽出され、混ぜ合わさった有機物層が、HOを用いて2回洗浄され、無水NaSOによって乾燥され、減圧下で濃縮された。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって粗製物質が精製され、主生成物(Cl生成物)を得た:H NMR(500MHz、CDCl):d 10.32(s、1H)、7.41(s、1H)、6.90(s、1H)、3.97(s、3H)、3.92(s、3H)。13C NMR(125.8MHz、CDCl):d 188.7、154.5、148.4、132.0、125.4、112.4、109.77、56.5、56.2。
【0086】
例7 − 選択的酸化/解重合/脱酸素シーケンスに対する手順
KBr(1.2mg、0.01mmol、10mol%)を水(1mL)中に有する溶液が、"ジオールリグニンモデル"(0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(1.6mg、0.01mmol、10mol%)をCHCl(4mL)中に含む溶液に対して添加され、0℃にて撹拌された。次いで、pH9を有するNaOCl(5.3g、10mmol、100当量)溶液が、反応混合物に対して滴下により添加された。その後、反応混合物にNaOH(2M、3mL)が添加され、Oを有するバルーンに接続され、0℃にて3時間撹拌された。この後、CHClを用いて水性層が2回抽出された。溶媒が除去された。ギ酸アンモニウム(18.9mg、0.3mmol、3.0当量)およびPd(0)−ナノ触媒(Pd(0)−AmP−MCF、6.7mg、0.005mmol、8wt%、5mol%)およびトルエン(0.5mL)が添加された。反応は、H雰囲気下で、80℃において6時間撹拌された。
【0087】
例8 − ケトンへのTEMPO酸化に対する基本手順
マイクロ波バイアルが、ジオール3(33.4mg、0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(0.8mg、0.005mmol、5mol%)によって充填され、O−バルーンを使用して5分間にわたり酸素で洗浄された。次いで、10μLのHNOが1mLのアセトニトリル中に存在する混合物からの溶液を100μL添加し、次いで、10μLのHClが1mLのアセトニトリル中に存在する混合物からの溶液を100μL添加した。その後、アセトニトリル(300μL)および水(30μL)が添加され、次いで、このバイアルは密封され、45℃まで20時間加熱された。続いて、有機相が分離され、CHClを用いて水相が洗浄された。収集された有機相がNaSOで乾燥され、減圧により濃縮された。粗製物質がシリカクロマトグラフィによってさらに精製され、純粋な生成物8を99%の収率で与えた。
【0088】
例9 − ジメトキシベンジルアルコールのTEMPO酸化のスクリーニング
4mLのCHCl中のアルコール1(16.8mg、0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(1.6mg、0.01mmol、10mol%)の溶液に対して、KBrの水溶液(1.2mg、0.01mmol、10mol%、水1mL中)が0℃にて添加され、反応混合物が0℃にて撹拌された。NaClO(14%水溶液)(2.7g、5mmol、50当量、または、0.53g、1mmol、10当量)の新たな水溶液を、飽和NaHCOによりpH9に調節する。その後、2MのNaOH(3mL)がゆっくりと添加された。反応混合物は、0℃において、1時間または24時間にわたって、Oガスの存在下で撹拌された。その後、有機相が分離され、CHClを用いて水相が洗浄された。収集された有機相がNaSOで乾燥され、減圧により濃縮された。粗製物質がシリカクロマトグラフィによってさらに精製され、純粋な生成物5を与えた。
【0089】
例10 − リグニンモデルのTEMPO酸化のスクリーニング
4mLのCHCl中のジオール3(33.4mg、0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(1.6mg、0.01mmol、10mol%)の溶液に対して、KBrの水溶液(1.2mg、0.01mmol、10mol%、水1mL中)が0℃にて添加され、反応混合物が0℃にて撹拌された。NaClO(14%水溶液)(2.7g、5mmol、50当量、または、0.53g、1mmol、10当量)の新たな水溶液を、飽和NaHCOによりpH9に調節する。その後、2MのNaOH(3mL)がゆっくりと添加された。反応混合物は、0℃において、1時間または24時間にわたって、Oガスの存在下で撹拌された。その後、有機相が分離され、CHClを用いて水相が洗浄された。収集された有機相がNaSOで乾燥され、減圧により濃縮された。粗製物質がシリカクロマトグラフィによってさらに精製され、純粋な生成物5および8を与えた。
【0090】
例11 − 2置換リグニンモデルのTEMPO酸化のスクリーニング
4mLのCHCl中のアルコール1またはジオール3(0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(1.6mg、0.01mmol、10mol%)の溶液に対して、KBrの水溶液(1.2mg、0.01mmol、10mol%、水1mL中)が0℃にて添加され、反応混合物が0℃にて撹拌された。NaClO(14%水溶液)(2.7g、5mmol、50当量)の新たな水溶液を、飽和NaHCOによりpH9に調節する。その後、2MのNaOH(3mL)がゆっくりと添加された。反応混合物は、0℃において、1時間にわたって、Oガスの存在下で撹拌された。その後、有機相が分離され、CHClを用いて水相が洗浄された。収集された有機相がNaSOで乾燥され、減圧により濃縮された。粗製物質がシリカクロマトグラフィによってさらに精製され、純粋な生成物4を与えた。
【0091】
例12 − 3置換リグニンモデルのTEMPO酸化
4mLのCHCl中のアルコール1またはジオール3(0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(1.6mg、0.01mmol、10mol%)の溶液に対して、KBrの水溶液(1.2mg、0.01mmol、10mol%、水1mL中)が0℃にて添加され、反応混合物が0℃にて撹拌された。NaClO(14%水溶液)(2.7g、5mmol、50当量)の新たな水溶液を、飽和NaHCOによりpH9に調節する。その後、2MのNaOH(3mL)がゆっくりと添加された。反応混合物は、0℃において、1時間にわたって、Oガスの存在下で撹拌された。その後、有機相が分離され、CHClを用いて水相が洗浄された。収集された有機相がNaSOで乾燥され、減圧により濃縮された。粗製物質がシリカクロマトグラフィによってさらに精製され、純粋な生成物7を与えた。
【0092】
例13 − (β−O−4アリールエーテル結合を含むベンジル型アルコール、アリル型アルコール、または脂肪族アルコールを含む)リグニンの選択的酸化/解重合/脱酸素シーケンスに対する手順
KBr(1.2mg、0.01mmol、10mol%)を水(1mL)中に有する溶液が、リグニン(0.1mmol、1.0当量)およびTEMPO(1.6mg、0.01mmol、10mol%)をCHCl(4mL)中に含む溶液に対して添加され、0℃にて撹拌された。次いで、pH9を有するNaOCl(5.3g、10mmol、100当量)溶液が、反応混合物に対して一滴一滴添加された。その後、反応混合物にNaOH(2M、3mL)が添加され、Oを有するバルーンに接続され、0℃にて3時間撹拌された。この後、CHClを用いて水性層が2回抽出された。溶媒が除去された。ギ酸アンモニウム(18.9mg、0.3mmol、3.0当量)およびPd(0)−ナノ触媒(Pd(0)−AmP−MCF、6.7mg、0.005mmol、8wt%、5mol%)およびトルエン(0.5mL)が添加された。反応は、H雰囲気下で、80℃において6時間撹拌された。
【0093】
(β−O−4アリールエーテル結合を含むベンジル型アルコール、アリル型アルコール、または脂肪族アルコールを含む)リグニンが基材として使用された。リグニンは、磨砕リグニン(MWL)、セルロース分解性酵素リグニン(CEL)、パルプ化プロセスからのオルガノソルブリグニンまたは工業リグニンであることができる。
【0094】
様々な遷移金属(例えば、Pd、Ir、Ru、Ni、Co、Cu)錯体を使用したリグニンの選択的酸化/解重合/脱酸素シーケンスが使用され得る。
【0095】
参考文献
【0096】
発明の背景のための参考文献
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[8]J. Feng, M.-L. Yuan, H. Chen, X.-J. Li, Prog. Chem. 2007, 19, 651.
【0097】
発明の詳細な説明の例を示すセクションに対する参考文献
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b) M. Shakeri, C. Tai, E. Gothelid, S. Oscarsson and J. Backvall, Chem. Eur. J., 2011, 17, 13269-13273
c) E. V. Johnston, O. Verho, M. D. Karkas, M. Shakeri, C. Tai, P. Palmgren, K. Eriksson, S. Oscarsson and J. Backvall, Chem. Eur. J., 2012, 18, 12202-12206
d) L. Deiana, S. Afewerki, C. Palo-Nieto, O. Verho, E. V. Johnston and A. Cordova, Sci. Rep., 2012, 2, 851.; DOI:10.1038/srep00851
2.a) E. W. Ping, R. Wallace, J. Pierson, T. F. Fuller and C. W. Jones, Micropor. Mesopor. Mater., 2010, 132, 174-180
b) M. Shakeri, C. Tai, E. Gothelid, S. Oscarsson and J. Backvall, Chem. Eur. J., 2011, 17, 13269-13273
c) E. V. Johnston, O. Verho, M. D. Karkas, M. Shakeri, C. Tai, P. Palmgren, K. Eriksson, S. Oscarsson and J. Backvall, Chem. Eur. J., 2012, 18, 12202-12206
d) L. Deiana, S. Afewerki, C. Palo-Nieto, O. Verho, E. V. Johnston and A. Cordova, Sci. Rep., 2012, 2, 851.; DOI:10.1038/srep00851
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8.a) E. W. Ping, R. Wallace, J. Pierson, T. F. Fuller and C. W. Jones, Micropor. Mesopor. Mater., 2010, 132, 174-180
b) M. Shakeri, C. Tai, E. Gothelid, S. Oscarsson and J. Backvall, Chem. Eur. J., 2011, 17, 13269-13273
c) E. V. Johnston, O. Verho, M. D. Karkas, M. Shakeri, C. Tai, P. Palmgren, K. Eriksson, S. Oscarsson and J. Backvall, Chem. Eur. J., 2012, 18, 12202-12206
d) L. Deiana, S. Afewerki, C. Palo-Nieto, O. Verho, E. V. Johnston and A. Cordova, Sci. Rep., 2012, 2, 851.; DOI:10.1038/srep00851
【国際調査報告】