(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-534138(P2017-534138A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池用複合極板及びその製造方法並びにリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20171020BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20171020BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20171020BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20171020BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20171020BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20171020BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20171020BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20171020BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/58
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/38 Z
H01M4/139
H01M10/0566
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-565646(P2016-565646)
(86)(22)【出願日】2015年10月23日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月27日
(86)【国際出願番号】CN2015092669
(87)【国際公開番号】WO2017063219
(87)【国際公開日】20170420
(31)【優先権主張番号】201510662396.0
(32)【優先日】2015年10月14日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516324803
【氏名又は名称】中航▲里電▼(洛▲陽▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA AVIATION LITHIUM BATTERY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】肖▲亜▼洲
(72)【発明者】
【氏名】▲懐▼永建
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼金保
(72)【発明者】
【氏名】白莉
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ12
5H029BJ13
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029CJ22
5H029CJ30
5H029DJ08
5H029EJ03
5H029EJ11
5H029EJ12
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ04
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050DA02
5H050DA03
5H050DA09
5H050EA01
5H050EA21
5H050EA23
5H050FA02
5H050FA04
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA29
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
(57)【要約】
本発明
は、電池極板及び前記電池極板の表面に複合された機能性コーティング層を含
むリチウムイオン電池用複合極板を提供する。前記機能性コーティング層
は機能性物質及び接合剤から製造され、前記機能性物質
は、リン含有化合物、窒素含有化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種であり、前記電池極板
は、電池正極及び/又は電池負極である。本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板
により、電池の潜在的な危険性
が根本的に制御され、電池の安全性
が保障
される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池用複合極板であって、電池極板及び前記電池極板の表面に複合された機能性コーティング層を含み、前記機能性コーティング層が機能性物質及び接合剤から製造され、前記機能性物質がリン含有化合物、窒素含有化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種であり、前記電池極板が電池正極及び/又は電池負極であることを特徴とするリチウムイオン電池用複合極板。
【請求項2】
前記機能性物質はペンタエリスリトールメラミンホスフェート及びその塩類、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド類化合物、有機ホスファゼンポリマー、ポリシロキサン類化合物及びチオウレア類化合物から選ばれる一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項3】
前記機能性物質はメラミンシアヌレート、ペンタエリスリトールメラミンホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、ポリジメチルシロキサン及びメラミンピロリン酸塩から選ばれる一種又は複数種であることを特徴とする請求項2に記載の複合極板。
【請求項4】
前記機能性物質と接合剤との質量比は(90〜99):(1〜10)であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項5】
前記機能性コーティング層の片面あたりの厚さは3〜6μmであることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項6】
前記接合剤はポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、アクリル酸及びその共重合体、アクリル酸エステル及びその共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリウレタンの中の一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項7】
前記正極の活物質はLiFePO4、LiMn2O4、LiCoO2、LiV2O5、LiNiO2、LiNi(1-x-y)CoxAlyO2(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y=1)、LiNi(1-m-n)ComMnnO2(0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1)及びLiCozNi(1-z)O2(0≦z≦1)材料から選ばれる一種又は複数種であり、
前記負極の活物質は黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ及びシリコン系材料から選ばれる一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項8】
A)リン含有化合物、窒素含有類化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種である機能性物質及び接合剤を溶媒に分散させ、混合スラリーを得る工程と、
B)前記混合スラリーを電池正極及び/又は電池負極である電池極板の表面にコーティング、ベークし、リチウムイオン電池用複合極板を得る工程と、含むことを特徴とするリチウムイオン電池用複合極板の製造方法。
【請求項9】
前記コーティングの方式はトランスファーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーテイング、押出コーティングから選ばれることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
電池正極、電池負極、セパレータ及び電解液を含み、前記電池正極及び/又は電池負極が請求項1〜7に記載のリチウムイオン電池用複合極板又は請求項8〜9に記載の製造方法により製造されたリチウムイオン電池用複合極板であることを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年10月14日に中国特許庁へ出願された、出願番号201510662396.0、発明の名称「リチウムイオン電池用複合極板及びその製造方法並びにリチウムイオン電池」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本出願に用いられる。
【0002】
本発明はリチウムイオン電池技術分野に属し、具体的には、リチウムイオン電池用複合極板及びその製造方法並びにリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0003】
電動自動車の走行距離を増加させ、社会の実際のニーズを満たすために、高エネルギー密度のリチウムイオン電池の開発・設計がリチウム電池業界の必然的な傾向となっている。しかしながら、高エネルギーリチウムイオン電池は、乱用状態(釘刺、押圧、短絡、過充電など)にある場合、爆発又は発火などの安全事故を起こしやすく、そのため、リチウムイオン電池の安全面の設計は、より大きな課題に直面している。
【0004】
リチウムイオン電池の安全性を如何にして向上させるかはリチウムイオン電池業界の解決しなければならない技術的課題となっている。リチウムイオン電池の潜在的な危険性を引き起こす主な問題は、電池内部で不可逆的な電気化学的副反応を引き起こし、最終的に、電池の熱暴走につながることである。そのため、電池内部で熱暴走を引き起こす前に、電池内部の自己保護を達成することは、電池の安性を図るのに重要な保障となる。
【0005】
業界内では例えば、主に、極板の表面に酸化アルミニウムをコーティングして極板の耐高温の物理的性能を向上させることを利用している。しかし、単なる物理的性能は、電池温度の更なる上昇を防ぐことができず、効率よく電池の安全性を保障できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、解決しようとする技術的問題はリチウムイオン電池用複合極板及びその製造方法並びにリチウムイオン電池を提供することであり、本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板によれば、電池温度の上昇を抑制し、電池の安全性を保障できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電池極板及び前記電池極板の表面に複合された機能性コーティング層を含み、前記機能性コーティング層が機能性物質及び接合剤から製造され、前記機能性物質がリン含有化合物、窒素含有化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種であり、前記電池極板が電池正極及び/又は電池負極であることを特徴とするリチウムイオン電池用複合極板を提供する。
【0008】
好ましくは、前記機能性物質はペンタエリスリトールメラミンホスフェート及びその塩類、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド類化合物、有機ホスファゼンポリマー、ポリシロキサン類化合物及びチオウレア類化合物から選ばれる一種又は複数種である。
【0009】
好ましくは、前記機能性物質はメラミンシアヌレート、ペンタエリスリトールメラミンホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、ポリジメチルシロキサン及びメラミンピロリン酸塩から選ばれる一種又は複数種である。
【0010】
好ましくは、前記機能性物質と接合剤との質量比は(90〜99):(1〜10)である。
【0011】
好ましくは、前記機能性コーティング層の片面あたりの厚さは3〜6μmである。
【0012】
好ましくは、前記粘着剤はポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、アクリル酸及びその共重合体、アクリル酸エステル及びその共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリウレタンの中の一種又は複数種である。
【0013】
前記正極の活物質はLiFePO
4、LiMn
2O
4、LiCoO
2、LiV
2O
5、LiNiO
2、LiNi
(1-x-y)Co
xAl
yO
2(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y=1)、LiNi
(1-m-n)Co
mMn
nO
2(0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1)及びLiCo
zNi
(1-z)O
2(0≦z≦1)材料から選ばれる一種又は複数種であり、
前記負極の活物質は、黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ及びシリコン系材料から選ばれる一種又は複数種である。
【0014】
本発明は、さらに、A)リン含有化合物、窒素含有類化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種である機能性物質及び接合剤を溶媒に分散させ、混合スラリーを得る工程と、
B)前記混合スラリーを電池正極及び/又は電池負極である電池極板の表面にコーティング、ベークして、リチウムイオン電池用複合極板を得る工程と、含むことを特徴とするリチウムイオン電池用複合極板の製造方法を提供する。
【0015】
好ましくは、前記コーティングの方式は、トランスファーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーテイング、グラビアコーティング、スプレーコーティング又はスクリーン印刷から選ばれる。
【0016】
本発明はさらに、電池正極、電池負極、セパレータ及び電解液を含み、前記電池正極及び/又は電池負極が上記のリチウムイオン電池用複合極板又は上記の製造方法により製造されたリチウムイオン電池用複合極板であるリチウムイオン電池を提供する。
【0017】
本発明は、従来技術と比べて、電池極板及び前記電池極板表面に複合された機能性コーティング層を含み、前記機能性コーティング層が機能性物質及び接合剤から製造され、前記機能性物質がリン含有化合物、窒素含有化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種であり、前記電池極板が電池正極及び/又は電池負極である特徴とするリチウムイオン電池用複合極板を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板は、電池極板の表面に一層の機能性コーティング層をコーティングし、該機能性コーティング層が、リチウムイオン電池の温度が上昇する際に、速やかに電池の余分な熱を吸収し、反応エントロピーとして、化学反応に自発的に応答し、電池極板の表面に保護層が生成される。一方では、電池の温度が上昇し続けることを効果的に抑制でき、他方では、電池の陰陽極の活性層を不動態化することができ、電池の潜在的な危険性を根本的に制御し、電池の安全性を保障することができる。また、本発明のコーティング層の硬度が小さいので、電池の製造過程でのプロセス損失を減少することができ、電池の製造コストを削減できる。
【0019】
その結果、本発明に提供されるリチウムイオン電池用複合極板は、電池の安全性試験において、優れた安全性能を有することを分かった。そして、良好な電気化学的性能を示し、前記複合極板をリチウムイオン電池に製造すると、1500サイクルまでの容量維持率が>85%であり、レート性能が3Cである場合、容量維持率が>95%であった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、電池極板及び前記電池極板表面に複合された機能性コーティング層を含み、前記機能性コーティング層は機能性物質及び接合剤から製造され、前記機能性物質がリン含有化合物、窒素含有化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種であり、前記電池極板が電池正極及び/又は電池負極であることを特徴とするリチウムイオン電池用複合極板を提供する。
【0021】
本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板は電池極板を含む。前記電池極板は電池正極であってもよく、電池負極であってもよく、或いは電池正極及び電池負極の両方であってもよい。
【0022】
本発明において、前記正極の活物質はLiFePO
4、LiMn
2O
4、LiCoO
2、LiV
2O
5、LiNiO
2、LiNi
(1-x-y)Co
xAl
yO
2(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y=1)、LiNi
(1-m-n)Co
mMn
nO
2(0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1)及びLiCo
zNi
(1-z)O
2(0≦z≦1)材料から選ばれる一種又は複数種であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記電池正極の活物質はLiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2であり、本発明の他のいくつかの実施形態において、前記電池正極の活物質はLiFePO
4である。
【0023】
本発明は、前記電池正極の製造方法について特に限定されることなく、当業者にとって公知の電池正極の製造方法であればよい。本発明において、好ましくは、
a1)電池正極の活物質、導電剤及び粘着剤を溶媒に分散させ、正極スラリーを得ることと、
b1)前記正極スラリーを正極集電体にコーティングし、乾燥した後、ロールプレスし、電池正極を得ることとを含む方法に従って製造される。
【0024】
本発明は、まず、前記電池正極の活物質、導電剤及び粘着剤を溶媒に分散させ、正極スラリーを得る。ここで、本発明は、前記導電剤及び粘着剤の種類について特に限定されることなく、当業者にとって公知の導電剤及び粘着剤であればよい。本発明において、前記導電剤はアセチレンブラック、Super P、 Super S、350G、炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNTs)、ケッチェンブラック(KetjenblackEC300J、KetjenblackEC600JD、Carbon ECP、Carbon ECP600JD)などであることが好ましく、前記粘着剤はスチレンブタジエンゴム類、ポリアクリル酸類、LA型水性粘着剤、フッ素含有オレフィンポリマーなどの正極に一般に用いられる粘着剤であることが好ましい。本発明は、前記溶媒の種類について特に限定されることなく、当業者にとって公知の溶媒であればよく、本発明において、前記溶媒は脱イオン水又はNMPであることが好ましい。
【0025】
本発明は、前記分散の方法について特に限定されることなく、当業者にとって公知の分散方法であればよい。
【0026】
本発明では、正極スラリーを得た後、前記正極スラリーを正極集電体にコーティングする。本発明では、前記正極集電体の種類について特に限定されることなく、当業者にとって公知の正極集電体であればよく、本発明において、前記正極集電体はアルミニウム箔から選ばれる。
【0027】
本発明では、前記正極スラリーを正極集電体にコーティングする方式について特に限定されることなく、トランスファーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーテイング又は押出コーティングから選択することができる。
【0028】
前記正極スラリーを正極集電体にコーティングした後、コーター乾燥オーブンで数回に分けてベークする。本発明において、前記コーター乾燥オーブンの温度が70〜130℃である。塗布終了した後、ロールプレス操作を行い、電池正極を得る。ここで、本発明は、前記ロールプレスの具体的方法について特に限定されることなく、当業者にとって公知のロールプレス方法であればよい。
【0029】
本発明において、前記負極の活物質は、黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ及びシリコン系材料から選ばれる一種又は複数種である。本発明のいくつかの実施形態において、前記負極活物質は黒鉛粉から選ばれる。
【0030】
本発明では、前記電池負極の製造方法について特に限定されることなく、当業者にとって公知の電池負極の製造方法であればよい。本発明において、好ましくは、
a2)電池負極の活物質、導電剤、増粘剤及び粘着剤を溶媒に分散させ、負極スラリーを得ることと、
b2)前記負極スラリーを負極集電体にコーティングし、乾燥した後、ロールプレスし、電池負極を得ることとを含む方法に従って製造される。
【0031】
本発明は、まず、前記電池負極の活物質、導電剤、増粘剤及び粘着剤を溶媒に分散させ、負極スラリーを得る。ここで、本発明は、前記導電剤、増粘剤及び粘着剤の種類について特に限定されることなく、当業者にとって公知の導電剤、増粘剤及び粘着剤であればよい。本発明において、前記導電剤はアセチレンブラック、Super P、 Super S、350G、炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNTs)、ケッチェンブラック(KetjenblackEC300J、KetjenblackEC600JD、Carbon ECP、Carbon ECP600JD)などであることが好ましく、前記増粘剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)であることが好ましく、前記粘着剤はスチレンブタジエンゴム類、ポリアクリル酸類、LA型水性粘着剤、フッ素含有オレフィンポリマーの中の一種又は複数種であることが好ましい。本発明では、前記溶媒の種類について特に限定されることなく、当業者にとって公知の溶媒であればよく、本発明において、前記溶媒は脱イオン水又はNMPであることが好ましい。
【0032】
本発明は、前記分散の方法について特に限定されることはなく、当業者にとって公知の分散方法であればよい。
【0033】
負極スラリーを得た後、本発明は、前記負極スラリーを負極集電体にコーティングする。本発明では、前記負極集電体の種類について特に限定されることなく、当業者にとって公知の負極集電体であればよく、本発明において、前記負極集電体は銅箔から選ばれる。
【0034】
本発明は、前記負極スラリーを負極集電体にコーティングする方式について特に限定されることなく、トランスファーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーテイング又は押出コーティングから選ばれることができる。前記負極スラリーを負極集電体にコーティングした後、コーター乾燥オーブンでベークする。本発明において、前記ベークの温度は70〜120℃である。
【0035】
塗布、ベークした後、ロールプレス操作を行い、電池負極を得る。ここで、本発明は、前記ロールプレスの具体的方法について特に限定されることはなく、当業者にとって公知のロールプレス方法であってもよい。
【0036】
本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板は、さらに、前記電池極板の表面に複合された機能性コーティング層を含み、前記機能性コーティング層は機能性物質及び接合剤から製造される。
【0037】
本発明により提供される機能性コーティング層は機能性物質を含み、前記リチウムイオン電池用複合極板の表面機能性コーティング層を製造するための機能性物質は、電池の温度が上昇する際に、速やかに電池の熱量を吸収し、反応エントロピーとして、化学反応に自発的に応答し、電池極板の表面に保護層が生成される。本発明において、前記機能性物質は、リン含有化合物、窒素含有化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種である。
【0038】
好ましくは、前記機能性物質はペンタエリスリトールメラミンホスフェート及その塩類、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド類化合物、有機ホスファゼンポリマー、ポリシロキサン類化合物及びチオウレア類化合物から選ばれる一種又は複数種である。
【0039】
更好ましくは、前記機能性物質はメラミンシアヌレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールメラミンホスフェート及びその誘導体、ポリリン酸アンモニウム及びその誘導体、ポリジメチルシロキサン及びその誘導体及びメラミンピロリン酸塩及びその誘導体から選ばれる一種又は複数種である。
【0040】
最も好ましくは、前記機能性物質はメラミンシアヌレート、ペンタエリスリトールメラミンホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、ポリジメチルシロキサン及びメラミンピロリン酸塩から選ばれる一種又は複数種である。
【0041】
本発明のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質はメラミンシアヌレート(MCA)から選ばれ、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質はペンタエリスリトールメラミンホスフェート(PPMS)から選ばれ、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質はメラミンピロリン酸塩(MPP)から選ばれ、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質はメラミンポリホスフェート(MPOP)から選ばれ、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質はポリリン酸アンモニウム(APP)から選ばれ、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質はポリリン酸アンモニウム(APP)とメラミンシアヌレート(MCA)との混合物質から選ばれ、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質はポリジメチルシロキサン(PDMS)で被覆されたポリリン酸アンモニウム(APP)粒子から選ばれ、ここで、前記ポリジメチルシロキサンとポリリン酸アンモニウムとの質量比は80:15であることが好ましい。本発明は、上記被覆の方法について特に限定されることなく、好ましくは
ポリジメチルシロキサン及びポリリン酸アンモニウムを高速分散機にて10〜80m/sのライン速度で15〜60分間高速攪拌し、ポリジメチルシロキサンで被覆されたポリリン酸アンモニウム粒子(PDMS-APP)を得ることを含む方法に従って被覆される。
【0042】
本発明により提供される機能性コーティング層は、さらに、接合剤を含み、前記接合剤はポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、アクリル酸及びその共重合体、アクリル酸エステル及びその共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリウレタンから選ばれる一種又は複数種であり、ポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びLA132水性接合剤から選ばれる一種又は複数種であることが好ましい。本発明に用いられる接合剤は電池極板と密接に接着できることにより、該接合剤が機能性コーティング層と電池極板との密接に接着することを保証できる。両層の接着が密着しているので、振動、曲げ又は折りたたみ過程における粉体脱落現象の発生を避けることができ、電池の充放電過程における電流の均一性を保障できる。
【0043】
本発明において、前記機能性物質と接合剤との質量比は(80〜99):(1〜20)であり、(90〜99):(1〜10)であることが好ましい。本発明のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質と接合剤との質量比は85:15であり、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質と接合剤との質量比は78:22であり、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質と接合剤との質量比は90:10であり、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記機能性物質と接合剤との質量比は95:5である。
【0044】
本発明において、前記機能性コーティング層が前記電池極板の片面に複合されてもよく、前記電池極板の両面に複合されてもよい。
【0045】
本発明に記載の機能性コーティング層の厚さは2〜15μmであり、3〜6μmであることが好ましい。本発明のいくつかの具体的実施形態において、前記コーティング層の厚さは3μmであり、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記コーティング層の厚さは4μmであり、本発明の他のいくつかの具体的実施形態において、前記コーティング層の厚さは5μmである。
【0046】
さらに、本発明は、
A)リン含有化合物、窒素含有類化合物及び無機ケイ素類化合物の中の一種又は複数種を含む機能性物質及び接合剤を溶媒に分散させ、混合スラリーを得る工程と、
B)前記混合スラリーを電池極板の表面にコーティング、ベークし、リチウムイオン電池用複合極板を得る工程と、含むリチウムイオン電池用複合極板の製造方法を提供する。
【0047】
本発明は、まず、機能性物質及び接合剤を溶媒に分散させ、混合スラリーを得る。本発明は、前記分散の方法について特に限定されることなく、当業者にとって公知の分散方法であればよい。本発明において、好ましくは、高速分散機で、機能性物質及び接合剤をそれぞれ溶媒に分散させた後に混合し、混合スラリーを得ることを含む方法に従って分散される。
【0048】
前記高速分散機の回転速度は10〜80m/sであることが好ましく、分散時間は10分〜90分であることが好ましい。前記溶媒は、脱イオン水、エタノール、ベンゼン、トルエン、NMP及びアセトンの中の一種又は複数種を含むが、これらに限定されない。本発明のいくつかの具体的実施形態において、前記溶媒は脱イオン水又はNMPであることが好ましい。混合スラリーを製造した後、溶媒で混合スラリーにおける固形分を調節し、最終的に、混合スラリーにおける固形分が30wt%〜60wt%、好ましくは35wt%〜50wt%になるように制御する。本発明に用いられる混合スラリーにおける固形分を調節する溶媒は脱イオン水、エタノール、ベンゼン、トルエン、NMP及びアセトンの中の一種又は複数種を含むが、これらに限定されない。
【0049】
混合スラリーを得た後、前記混合スラリーを電池極板の表面にコーティング、ベークし、リチウムイオン電池用複合極板を得る。
【0050】
本発明では、前記混合スラリーを電池極板の表面にコーティングする方法について特に限定されることなく、当業者にとって公知のコーティング方法であればよい。本発明において、トランスファーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーテイング、グラビアコーティング、スプレーコーティング又はスクリーン印刷を採用することが好ましい。
【0051】
前記混合スラリーを電池極板の表面にコーティングした後、ベークし、リチウムイオン電池用複合極板を得る。本発明は、前記ベークの方式について特に限定されることなく、当業者にとって公知のベーク方法であればよい。本発明において、前記ベークの温度は40〜90℃であることが好ましい。
【0052】
さらに、本発明は、電池正極、電池負極、セパレータ及び電解液を含み、前記電池正極及び/又は電池負極が上記のリチウムイオン電池用複合極板又は上記の製造方法により製造されたリチウムイオン電池用複合極板であるリチウムイオン電池を提供する。
【0053】
本発明は前記リチウムイオン電池のセパレータについて特に限定されることなく、当業者にとって公知のリチウムイオン電池に使用できるセパレータであればよい。本発明において、前記セパレータはポリオレフィン微多孔質フィルム、ポリオレフィン系セラミックスなどのコーティングフィルム、PVDF類セパレータ又はポリイミドなどの繊維セパレータであることが好ましい。
【0054】
本発明では、前記リチウムイオン電池の電解液の種類について特に限定されることなく、当業者にとって公知の電解液であればよい。
【0055】
本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板は、その機能コーティング層の耐高温的物理性能により、複合極板の熱安定性を向上することができる。電池の温度が上昇する際に、電池の安全性に対して最初の保障になる。
【0056】
本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板は、その機能コーティング層の優れた化学性能により、電池の温度が上昇した後、機能コーティング層が、速やかに電池の余分な熱を吸収し、反応エントロピーとして、化学反応に自発的に応答し、保護層が生成される。一方では、電池の温度が上昇し続けることを効果的に抑制でき、他方では、電池の陰陽極の活性層を不動態化することができ、電池の潜在的な危険性を根本的に制御し、電池の安全性を保障できる。
【0057】
また、本発明のコーティング層の硬さが小さいので、電池の製造過程でのプロセス損失を減少することができ、電池の製造コストを削減できる。
【0058】
その結果、前記複合極板を用いてリチウムイオン電池を製造し、電池の安全性試験に供すると、優れた安全性能を有することを分かった。そして、1500サイクルまでの容量維持率が>85%であり、レート性能が3Cである場合、容量維持率が>95%である。
【0059】
以下、本発明をより理解すべく、実施例を組み合わせて本発明により提供されるリチウムイオン電池用複合極板及びその製造方法並びにリチウムイオン電池を説明するが、本発明の請求の範囲は以下の実施例に限定されない。
【0060】
比較例1
a.正極の製造
溶媒であるNMPに質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、4wt%の導電剤Super P及び3wt%の粘着剤PVDFを加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
c.電池の製造:
1)上記電池正極極板、負極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成した。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0061】
比較例2
a.正極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiFePO
4、3.5wt%の導電剤カーボンブラック及び3.5wt%の接合剤LA132を加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
c.電池の製造:
1)上記電池正極極板、負極極板及び24μmのポリプロピレン系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成する。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0062】
実施例1
a.正極極板の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiFePO
4、3.5wt%の導電剤カーボンブラック及び3.5wt%の接合剤LA132を加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.混合スラリーの製造:
97:3の質量比で、メラミンシアヌレート(MCA)、ポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)を正確に量り取る。高速分散機でそれぞれMCA及びPVDFを均一に溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)に分散させ、MCAスラリー及びPVDFスラリーを得て、さらに両種類のスラリーを均一に攪拌し、溶媒NMPによりスラリーにおける固形分が50wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
c.複合正極極板の製造:
上記混合スラリーを正極極板の両側にコーティングし、70℃でベークし、機能性コーティング層の片面当たりのコーティング厚さが4μmになるように制御した。
d.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
e.電池の製造:
1)上記電池複合正極極板、負極極板及び24μmのポリプロピレン系セラミックスセパレータを積層してモジュールを形成した。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0063】
実施例2
a.正極極板の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiFePO4、3.5wt%の導電剤カーボンブラック及び3.5wt%の接合剤LA132を加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.負極極板の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
c.混合スラリーの製造:
97:3の質量比で、メラミンシアヌレート(MCA)、ポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)を正確に量り取る。高速分散機でそれぞれMCA及びPVDFを均一に溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)に分散させ、MCAスラリー及びPVDFスラリーを得て、さらに両種類のスラリーを均一に攪拌し、溶媒NMPによりスラリーにおける固形分が50wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
d.複合負極極板の製造:
上記cで製造された混合スラリーをbで製造された負極極板の両側にコーティングし、65℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが3μmになるように制御した。
e.電池の製造:
1)上記電池複合負極極板、正極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータを積層してモジュールを形成する。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0064】
実施例3
a.正極の製造
溶媒NMPに質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、4wt%の導電剤Super P及び3wt%の粘着剤PVDFを加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.混合スラリーの製造:
有効成分が98:2の質量分率になりように、ポリリン酸アンモニウム(APP)及びポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)正確に量り取り、高速分散機でAPP及びPVDFをそれぞれNMPに分散させ、APPスラリー及びPVDFスラリーを得て、さらに上記2種類のスラリーを均一に分散させ、NMPにより固形分が30wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
c.複合正極極板の製造:
上記混合スラリーを正極極板の両側にコーティングし、75℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが5μmになるように制御した。
d.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
e.電池の製造:
1)上記電池複合正極極板、負極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成する。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0065】
実施例4
a.正極の製造
溶媒NMPに質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、4wt%の導電剤Super P及び3wt%の粘着剤PVDFを加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.混合スラリーの製造:
有効成分が95.5:4.5の質量分率になるように、メラミンピロリン酸塩(MPP)及びポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)正確に量り取り、高速分散機でAPP及びPVDFをそれぞれNMPに均一に分散させ、APPスラリー及びPVDFスラリーを得て、さらに上記2種類のスラリーを均一に分散させ、NMPにより固形分が45wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
c.複合正極極板の製造:
上記混合スラリーを正極極板の両側にコーティングし、70℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが4μmになるように制御した。
d.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
e.電池の製造:
1)上記電池複合正極極板、負極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成した。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0066】
実施例5
a.正極の製造
溶媒NMPに質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、4wt%の導電剤Super P及び3wt%の粘着剤PVDFを加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.混合スラリーの製造:
有効成分が97:3の質量分率になるように、メラミンポリホスフェート(MPOP)及びポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)を正確に量り取り、高速分散機でAPP及びPVDFをそれぞれNMPに均一に分散させ、APPスラリー及びPVDFスラリーを得て、上記2種類のスラリーを均一に分散させ、NMPにより固形分が40wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
c.複合正極極板の製造:
上記混合スラリーを正極極板の両側にコーティングし、70℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが4μmになるように制御した。
d.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
e.電池の製造:
1)上記電池複合正極極板、負極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成した。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0067】
実施例6
a.正極極板の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiFePO
4、3.5wt%の導電剤カーボンブラック及び3.5wt%の接合剤LA132を加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティング、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.混合スラリーの製造;
有効成分が80:15:5の質量比になるように、ポリリン酸アンモニウム(APP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)を正確に量り取り、ポリジメチルシロキサン及びポリリン酸アンモニウムを高速分散機にて50m/sのライン速度で30分高速攪拌し、PDMSで被覆されたAPP粒子(PDMS-APP)を得た。高速分散機でPDMS-APPを脱イオン水に均一に分散させ、さらにSBRを上記混合液に加え、均一に分散させ、固形分が60wt%になるようにスラリーに脱イオン水を加えて制御し、混合スラリーを得た。
c.複合正極極板の製造:
上記aで製造された混合スラリーをbで製造された正極極板の両側にコーティングし、75℃でベークし、機能性コーティング層の片面当たりのコーティング厚さが5μmになるように制御する。
d.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
e.電池の製造:
1)上記電池複合正極極板、負極極板及び24μmのポリプロピレン系セラミックスセパレータを積層してモジュールを形成した。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0068】
実施例7
a.正極の製造
溶媒NMPに質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、4wt%の導電剤Super P及び3wt%の粘着剤PVDFを加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティング、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.混合スラリーの製造:
有効成分が50:45:5の質量分率でメラミンピロリン酸塩(MPP)、メラミンシアヌレート(MCA)及びポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)を正確に量り取り、高速分散機でMPP、MCA及びPVDFをNMPに均一に分散させ、MPPスラリー、MCAスラリー及びPVDFスラリーを得て、さらに上記三種類のスラリーを均一に分散させ、NMPにより固形分が55wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
c.複合正極極板の製造:
上記bで製造された混合スラリーをaで製造された正極極板の両側にコーティングし、70℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが4μmになるように制御する。
d.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
e.電池の製造:
1)上記電池複合正極極板、負極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成する。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0069】
実施例8
a.正極極板の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiFePO
4、3.5wt%の導電剤カーボンブラック及び3.5wt%の接合剤LA132を加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.負極極板の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
c.混合スラリーの製造:
有効成分が50:47:3の質量分率になるように、ポリリン酸アンモニウム(APP)、メラミンシアヌレート(MCA)及びPVDFを正確に量り取り、高速分散機でMPP及びMCAをNMPに均一に分散させ、PVDFを上記スラリーに加えて均一に分散させ、NMPにより固形分が35wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
d.複合負極極板の製造:
上記cで製造された混合スラリーをbで製造された負極極板の両側にコーティングし、80℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが5μmになるように制御する。
e.電池の製造:
1)上記電池複合負極極板、正極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータを積層してモジュールを形成する。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0070】
実施例9
a.正極の製造
溶媒であるNMPに質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、4wt%の導電剤Super P及び3wt%の粘着剤PVDFを加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
c.混合スラリーの製造;
有効成分が98:2の質量分率になりよう、ポリリン酸アンモニウム(APP)及びポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)を正確に量り取り、高速分散機でAPP及びPVDFをNMPに均一に分散させ、APPスラリー及びPVDFスラリーを得て、さらに上記2種類のスラリーを均一に分散させ、NMPにより固形分が30wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
d.複合負極極板の製造
上記cで製造された混合スラリーをbで製造された負極極板の両側にコーティングし、75℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが5μmになるように制御する。
e.電池の製造:
1)上記電池正極極板、複合負極極板及び24μmのポリビニル系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成する。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0071】
実施例10
a.正極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ93wt%の活性材料LiFePO
4、3.5wt%の導電剤カーボンブラック及び3.5wt%の接合剤LA132を加え、均一に混合して三元系正極スラリーを得て、正極スラリーを厚さが20μmの正極集電体Al箔に均一にコーティングし、乾燥して正極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
b.負極の製造
溶媒である脱イオン水に質量分率がそれぞれ95wt%の負極活物質黒鉛粉、2wt%の導電剤KS-6、1wt%の増粘剤CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)及び2wt%の粘着剤SBR(スチレンブタジエンゴム)を加え、均一に混合して負極スラリーを得て、負極スラリーを厚さが10μmの負極集電体Cu箔に均一にコーティングし、乾燥して負極を得て、ロールプレスし、使用のために準備した。
c.混合スラリーの製造
有効成分が97:3の質量分率になるように、ポリリン酸アンモニウム(APP)及びPVDFを正確に量り取り、高速分散機でAPP及びPVDFをNMPに均一に分散させ、さらにPVDFを上記スラリーに加えて均一に分散させ、NMPにより固形分が40wt%になるように制御し、混合スラリーを得た。
d.複合負極極板の製造
上記cで製造された混合スラリーをb製造された負極極板の両側にコーティングし、75℃でベークし、片面当たりのコーティング厚さが5μmになるように制御する。
e.電池の製造:
1)上記電池正極極板、負極極板及び24μmのポリプロピレン系セラミックスセパレータ(セラミックスコーティング層が4μmである)を積層してモジュールを形成する。
2)電解液の注入:リチウムイオン電池モジュールに電解液を注入し、リチウムイオン二次電池を得た。前記電解液は、LiPF
6がEC、EMC及びDMCからなる系において、前記LiPF
6の濃度が1mol/ Lで、EC、EMCとDMCとの体積比が1:1:1であるものである。
【0072】
実施例11
1.電池の安全性能の試験
GB/T 31485-2015の方法(電動自動車用動力バッテリーの安全要件及び試験方法)により実施例1〜10及び比較例1〜2で製造された電池について安全性能試験を行った。結果を表1に示した。表1は電池の安全試験結果である。
【0074】
表1より、実施例1〜10で製造されたリチウムイオン電池は優れた安全性能を有することを分かる。
【0075】
2.電池のサイクル性能の測定
実施例1〜10及び比較例1〜2により提供されるリチウムイオン電池が1C/1Cでの異なるサイクル周期の容量維持率を測定した。結果を以下の表2に詳しく示す。表2は異なるセパレータを用いたリチウムイオン電池のサイクル性能である。
【0077】
表2より、実施例1〜10で製造されたリチウムイオン複合極板電池は電池のサイクル寿命に影響していないことが分かる。
【0078】
3.電池の放電特性の測定
実施例1〜10及び比較例1〜2により提供されるリチウムイオン電池が3Cレートでの放電容量維持率を測定し、結果を以下の表3に詳しく示す。表3は異なる極板を用いたリチウムイオン電池の放電レート特性である。
【0080】
表3より、実施例1〜10で製造されたリチウムイオン電池は良好なレート性能を有することが分かる。
【0081】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態のみであり、当業者にとって、本発明の技術原理を逸脱しない限り、適切に改善および変形することが可能であり、これらの改善と変形も本発明の請求の範囲であると見なされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2017年1月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池用複合極板であって、電池極板及び前記電池極板の表面に複合された機能性コーティング層を含み、前記機能性コーティング層が機能性物質及び接合剤から製造され、前記機能性物質がリン含有化合物、窒素含有化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種であり、前記電池極板が電池正極及び/又は電池負極であることを特徴とするリチウムイオン電池用複合極板。
【請求項2】
前記機能性物質はペンタエリスリトールメラミンホスフェート及びその塩類、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド類化合物、有機ホスファゼンポリマー、ポリシロキサン類化合物及びチオウレア類化合物から選ばれる一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項3】
前記機能性物質はメラミンシアヌレート、ペンタエリスリトールメラミンホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、ポリジメチルシロキサン及びメラミンピロリン酸塩から選ばれる一種又は複数種であることを特徴とする請求項2に記載の複合極板。
【請求項4】
前記機能性物質と接合剤との質量比は(90〜99):(1〜10)であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項5】
前記機能性コーティング層の片面あたりの厚さは3〜6μmであることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項6】
前記接合剤はポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、アクリル酸及びその共重合体、アクリル酸エステル及びその共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリウレタンの中の一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項7】
前記正極の活物質はLiFePO4、LiMn2O4、LiCoO2、LiV2O5、LiNiO2、LiNi(1-x-y)CoxAlyO2(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y=1)、LiNi(1-m-n)ComMnnO2(0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1)及びLiCozNi(1-z)O2(0≦z≦1)材料から選ばれる一種又は複数種であり、
前記負極の活物質は黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ及びシリコン系材料から選ばれる一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の複合極板。
【請求項8】
A)リン含有化合物、窒素含有類化合物及び無機ケイ素類化合物から選ばれる一種又は複数種である機能性物質及び接合剤を溶媒に分散させ、混合スラリーを得る工程と、
B)前記混合スラリーを電池正極及び/又は電池負極である電池極板の表面にコーティング、ベークし、リチウムイオン電池用複合極板を得る工程と、含むことを特徴とするリチウムイオン電池用複合極板の製造方法。
【請求項9】
前記コーティングの方式はトランスファーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーテイング、押出コーティングから選ばれることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
電池正極、電池負極、セパレータ及び電解液を含み、前記電池正極及び/又は電池負極が請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用複合極板或いは請求項8又は9に記載の製造方法により製造されたリチウムイオン電池用複合極板であることを特徴とするリチウムイオン電池。
【国際調査報告】