特表2017-534168(P2017-534168A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2017-534168基板をパターニングするシステム及び方法
<>
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000003
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000004
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000005
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000006
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000007
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000008
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000009
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000010
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000011
  • 特表2017534168-基板をパターニングするシステム及び方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-534168(P2017-534168A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】基板をパターニングするシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20171020BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20171020BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20171020BHJP
   H01J 37/063 20060101ALI20171020BHJP
   H01J 37/077 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
   H01L21/30 541B
   H05H1/46 A
   H01J37/305 B
   H01J37/063
   H01J37/077
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-545975(P2016-545975)
(86)(22)【出願日】2014年10月30日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月31日
(86)【国際出願番号】US2014063112
(87)【国際公開番号】WO2016068932
(87)【国際公開日】20160506
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】フランク シンクレア
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ シー オルソン
【テーマコード(参考)】
2G084
5C030
5C034
5F056
【Fターム(参考)】
2G084AA12
2G084BB05
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC23
2G084CC33
2G084DD39
2G084FF27
2G084FF28
5C030BB17
5C034BB01
5C034BB02
5C034BB03
5C034BB04
5C034BB10
5F056AA07
5F056CB01
5F056EA02
5F056EA04
5F056EA06
(57)【要約】
ある実施形態において、基板をパターニングするシステムは、プラズマ室と、プラズマ室内においてプラズマを生成するための電源と、複数の開口を含み、プラズマ室の一方側に沿って配置される抽出プレートシステムとを含む。抽出プレートシステムは、プラズマ室に対して抽出プレートシステムをバイアスする抽出電圧を受け取るように構成され、複数の開口は、プラズマから複数のそれぞれの荷電粒子ビームレットを抽出するように構成される。当該システムはさらに、複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つを基板へと導く投影光学システムを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をパターニングするシステムであって、
プラズマ室と、
前記プラズマ室内においてプラズマを生成するための電源と、
複数の開口を含み、前記プラズマ室の一方側に沿って配置され、前記プラズマ室に対して抽出プレートシステムをバイアスする抽出電圧を受け取るように構成される抽出プレートシステムであって、前記複数の開口は前記プラズマから複数のそれぞれの荷電粒子ビームレットを抽出するように構成される、抽出プレートシステムと、
前記複数の荷電粒子ビームレットを受け取り、該複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つを前記基板へと導くように構成される投影光学システムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記電源は、誘導結合RF電源、容量結合RF電源、マイクロ波源、またはアーク放電源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、前記抽出プレートシステムと前記プラズマ室との間に前記抽出電圧を供給するように構成される電圧源を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記抽出電圧は、前記プラズマ室に対して前記抽出プレートシステムの正バイアスを確立し、
前記荷電粒子ビームレットは、電子である、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記開口プレート は、平面を定義する前記プラズマ室に隣接する表面を含み、
前記荷電粒子は、前記平面への垂線に対して+0.5度〜−0.5度の入射角で前記開口プレートに当たる、
、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記抽出プレートシステムはさらに、前記複数のビームレットを生成するように構成される複数の開口を有する開口アレイを含み、
前記複数の開口は、それぞれの複数の偏向電極を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
さらに、前記複数の偏向電極に結合されて、偏向電圧を前記開口アレイの選択開口に印加するプログラマブル偏向電圧源を備え、
偏向電圧が前記開口アレイの開口の偏向電極に印加されると、該開口を通過する荷電粒子ビームは偏向される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記抽出プレートシステムは、
前記複数のビームレットを生成するように構成される第1の複数の開口を有する第1開口アレイを含む開口プレートと、
第2の複数の開口を有する第2開口アレイを含むブランキングプレートと
を含み、
前記第1の複数の開口は、前記第2の複数の開口と位置合わせされて、前記開口アレイを形成し、前記第2の複数の開口は、それぞれの前記複数の偏向電極を含む、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
さらに、前記荷電粒子ビームレットの入射方向に垂直な方向において前記基板をスキャンするように構成される基板台を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
基板をパターニングする方法であって、
プラズマ室内において荷電粒子を含むプラズマを生成するステップと、
複数の荷電粒子ビームレットを形成するために、前記プラズマから複数の開口を通じて前記荷電粒子を抽出するステップと、
前記複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つの荷電粒子ビームレットを、投影光学系を用いて基板へと導くステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
誘導結合RF電源、容量結合RF電源、マイクロ波源、およびアーク放電源のうちの1つを用いて前記プラズマを生成するステップを有する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマから前記荷電粒子を抽出するステップは、前記複数の開口を含む抽出プレートシステムと前記プラズマ室との間に抽出電圧を生成するステップを有する、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出電圧を、前記プラズマ室に対する前記抽出プレートシステムの正バイアスとして与えるステップを有し、
前記荷電粒子ビームレットは、電子である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記複数の荷電粒子ビームレットのうちの選択荷電粒子ビームレットが前記複数の開口のうちの選択開口を通過する際に、該選択荷電粒子ビームレットを偏向させるステップを有し、
該選択荷電粒子ビームレットは、前記基板に当たらない、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
基板をパターニングするシステムであって、
プラズマ室と、
前記プラズマ室内においてプラズマを生成するための電源と、
複数の開口を含み、前記プラズマ室の一方側に沿って配置され、前記プラズマ室に対して抽出プレートシステムをバイアスする抽出電圧を受け取るように構成される抽出プレートシステムであって、前記複数の開口は、第1領域を定義する二次元開口アレイに配列され、前記プラズマから複数のそれぞれの荷電粒子ビームレットを抽出するように構成され、それぞれの複数の偏向電極を含む、抽出プレートシステムと、
前記複数の荷電粒子ビームレットを受け取り、該複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つを基板へと導くように構成され、前記複数の荷電粒子ビームレットを集束させて第2領域を定義するように構成される投影光学システムであって、前記第2領域に対する前記第1領域の比は、10,000以上である、投影光学システムと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィシステムに関し、特に、荷電粒子リソグラフィシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種リソグラフィシステムでは、荷電粒子を用いて基板をパターニングする。このような荷電粒子リソグラフィシステムには、電子およびイオンベースのリソグラフィシステムが含まれる。画像を形成するために、フォトレジスト等の電子感受性またはイオン感受性物質が基板の外面に配置されて、それぞれ電子またはイオンを遮断する。直接書込システムにおいて、荷電粒子ビームのランダムスキャン(ベクタースキャン)により、荷電粒子ビームでフォトレジストまたは他のターゲット材料をスキャンして、連続的にパターンを書き込んでもよい。他の荷電粒子リソグラフィシステムでは、荷電粒子の広幅ビームをマスキングまたはパターニングシステムを用いて小ビームあるいはビームレットに分割し、フォトレジストに画像を形成する。一般に、後者のシステムは、マスキングまたはパターニングシステムを照射する低エミッタンス高輝度ビームを生成する。広幅ビームを多数のビームレットに分割することによって形成された画像は、フォトレジスト上に投影されて、基板に形成すべきパターンを定義する。
【0003】
広幅ビームから多数のビームレットを生成する荷電粒子リソグラフィシステムの中には、固定ステンシルマスクを利用するものがある。固定ステンシルマスクでは、媒体または膜が所望パターンを定義する開口領域の組を有し、これらを通じて荷電粒子は基板へと伝導する。他の荷電粒子リソグラフィシステムでは、一定間隔の穴の組を含むプログラマブル開口プレートによって、広域ビームから多数の異なるビームレットを得てもよい。プログラマブル開口プレートシステムはまた、多数の制御電極を備え、所望の基板部分を照射すべきか否かに応じて個々のビームレットをオン・オフする。
【0004】
固定マスクまたはプログラマブル開口プレートシステムを用いる荷電粒子リソグラフィシステムでは、多くのツールが固定マスクまたはプログラマブル開口プレートシステムに広幅平行ビームを照射する。当該ビームは、典型的に、発散ビームを生成する小さな点源から生じる。小ビームレットにパターニングする前に発散ビームを集束させてより平行な荷電粒子ビームを形成するために、マスキングシステムの上流に集光レンズシステムを設ける。固定マスクまたはプログラマブル開口を通過した後、荷電粒子ビームは、所望の画像縮小を行って適切な寸法で所望のパターンを基板上に生成し得る投影光学システムを通って伝導する。このような荷電粒子リソグラフィシステムの問題の一つは、高輝度点源から荷電粒子ビームを生成し、ビームを広げて、その後マスクに入射する前にビームをコリメートする必要性に起因するリソグラフィシステムの複雑さやサイズにある。当該事項およびその他の事項に鑑みて、本改良が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本概要は、下記詳細な説明においてさらに説明される概念の一部を簡略化して説明するものである。本概要は、請求項に記載される対象の重要な特徴または必須の特徴を特定するものではなく、請求項に記載される対象の範囲を定める助けとなるものでもない。
【0006】
ある実施態様において、基板をパターニングするシステムは、プラズマ室と、プラズマ室内においてプラズマを生成するための電源と、複数の開口を含み、プラズマ室の一方側に沿って配置される抽出プレートシステムとを含む。抽出プレートシステムは、プラズマ室に対して抽出プレートシステムをバイアスする抽出電圧を受け取るように構成され、複数の開口は、プラズマから複数のそれぞれの荷電粒子ビームレットを抽出するように構成される。当該システムはさらに、複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つを基板へと導く投影光学システムを含む。
【0007】
さらなる実施態様において、基板をパターニングする方法は、プラズマ室内において荷電粒子を含むプラズマを生成するステップと、複数の荷電粒子ビームレットを形成するために、前記プラズマから複数の開口を通じて前記荷電粒子を抽出するステップと、複数のビームレットのうちの第1荷電粒子ビームレットを、当該荷電粒子ビームレットが複数の開口のうちの第1開口を通過する際に偏向させるステップと、複数のビームレットのうちの第2荷電粒子ビームレットを、偏向なしに複数の開口のうちの第2開口を通過させるステップとを有し、第1荷電粒子ビームレットは基板に当たらず、第2荷電粒子は基板に当たる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態と一致する例示的荷電粒子リソグラフィシステムを示す。
図2A】種々の実施形態に係る抽出プレートシステムの上面図である。
図2B】プラズマ室に配置された図2Aの抽出プレートシステムの側断面図である。
図3A】動作時の図1の例示的荷電粒子リソグラフィシステムの側断面図である。
図3B】動作時の図3Aの抽出プレートシステムおよびプラズマ室の上面図である。
図4】本発明の実施形態と一致する基板パターニングのための荷電粒子ビームレットの生成の第1ステージにおける例示的荷電粒子リソグラフィシステムを示す。
図5】基板パターニングのための荷電粒子ビームレットの生成の第2ステージにおける図4のシステムを示す。
図6】基板パターニングのための荷電粒子ビームレットの生成の第3ステージにおける図4のシステムを示す。
図7】本発明の実施形態と一致する他の例示的荷電粒子リソグラフィシステムを示す。
図8】本発明の実施形態と一致する追加の例示的荷電粒子リソグラフィシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態を示す付属の図面を参照して、以下に本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。但し、本発明の対象は、多くの違う形で実施されてもよく、本明細書に記載する実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり当業者に開示範囲を十分に伝えられるように示される。図面全体を通して、同様の番号は同様の要素を表す。
【0010】
本明細書に記載する実施形態は、新規のリソグラフィ装置を提供する。種々の実施形態において、荷電粒子リソグラフィシステムは、荷電粒子の広域源として作用するプラズマ室を含む。このような広域源を用いて、種々の実施形態に従って効率的で迅速な基板パターニングを行い得る。プラズマベースの広域源を用いる利点は、プラズマ室を使用することによって、荷電粒子を高い平行度でパターニングシステムを通過するように導くことが容易になり、パターンニングされる基板上に当たる際に荷電粒子が同一角度をなすようにできることである。本発明の実施形態による他の利点は、プラズマ室の使用によって、パターニングシステムの領域にわたって高均一の荷電粒子密度が得られることである。また、プラズマ源は、さまざまな調整可能パラメータを提供し、これらをチューニングしてプラズマ条件を調整し、基板に入射する荷電粒子のエネルギー拡散を低減してもよい。こうすることで、パターニングプロセスの均一性がさらに向上する。低エネルギー拡散は、先行技術で用いられる点源よりも低いプラズマ密度を要する広領域の使用によって促進される。
【0011】
種々の実施形態において、荷電粒子を生成するためのプラズマ源を抽出プレートシステムと併用して、基板パターニングのための荷電粒子ビームレットを生成する。このような抽出プレートシステムは、荷電粒子リソグラフィに利用される既知の開口システムに応じて設計されてもよい。このようなシステムは、パターニングされている基板のビームレットへの露出を制御するために用いられるプログラマブル開口または固定開口を含んでもよい。プログラマブル開口と共に設計されるシステムは、他の部分で「マスクレスシステム」と呼ばれている。これは、プログラマブル開口が、固定マスクパターンに構成されずに基板をパターニングするからである。但し、本明細書では、当該システムを単に「抽出プレートシステム」と呼ぶ。本発明の実施形態の抽出プレートシステムと既知のシステムとの間に共通する特徴の1つは、開口プレートが、開口プレートに匹敵するサイズの広域にわたって分布する荷電粒子束に露出することである。荷電粒子束は、その後、開口プレートに含まれる多数の開口を通過する際に、多数のビームレットに変換される。但し、以下に詳述するように、本発明の実施形態による多くの利点は、抽出プレートシステムによってパターニングされる広域の荷電粒子を生成するプラズマ源の性質に由来するものであり、この点で従来の点源システムと異なる。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る荷電粒子リソグラフィに用いられるシステム100を示す。特に、システム100を用いて、当該システムに配置された基板124をパターニングすることができる。システム100は、電源104から電力を受けるプラズマ室102を含む。種々の実施形態において、電源104は、容量結合プラズマまたは誘導結合プラズマを生成するRF電源、マイクロ波電源、またはアーク放電電源であってもよい。但し、本実施形態は、このように限定されない。プラズマ室102は、任意の適当な形状であってもよく、図示のデカルト座標系のXY平面において円形または長方形であってもよい。但し、本実施形態は、このように限定されない。
【0013】
図1にさらに示すように、抽出プレートシステム106は、プラズマ室102の一方側108に沿って配置され、プラズマ室102の当該側の壁全体または一部を形成し得る。プラズマ室102内でプラズマ(図示せず)が生成されると、抽出プレートシステム106を用いて、プラズマ室102から多数の開口110を通じて多数の荷電粒子ビームレットを抽出し、これらビームレットの一部は、基板124へと導かれて、基板124のパターニングに供される。プラズマ室102から荷電粒子を抽出するために、抽出電圧源112がプラズマ室102と抽出プレートシステム106とに結合され、両者間で抽出電圧VEXTを生成する。環状インシュレータ109を用いて、開口プレートの電位からプラズマ発生領域の電位を分離する。種々の実施形態において、抽出電圧VEXTの振幅は、5kV〜100kVであるが、本実施形態は、このように限定されない。種々の実施形態において、抽出プレートシステム106は、単一の抽出プレートであってもよく、あるいは、複数の抽出プレートを含んでもよい。
【0014】
種々の実施形態に従って、抽出電圧源112は、VEXTを負電圧または正電圧として供給してもよく、こうして、抽出プレートシステム106をプラズマ室102に対して負または正にバイアスする。抽出プレートシステム106がプラズマ室102に対して正にバイアスされる場合、電子をプラズマ室102から抽出して、多数の電子ビームレットを形成して基板124へと導き得る。抽出プレートシステム106がプラズマ室102に対して負にバイアスされる場合、正イオンをプラズマ室102から抽出して、多数の正イオンビームレットを形成して基板124へと導き得る。他の実施形態において、プラズマ室102を基準にして抽出プレートシステム106に正VEXTを印加することによって、負イオンを抽出してもよい。但し、当業者が認識するように、プラズマ室102内で負イオンを生成するために他の構成要素(図示せず)を要するかもしれない。
【0015】
システム100はまた、以下に詳述するように抽出プレートシステム106において開口110に偏向電圧VDEFを与えるために用いられる多数の偏向電圧源114を含む。つまり、偏向電圧源114を用いて、個々の開口に印加される偏向電圧を個別制御する。こうして、システム100は、偏向電圧を選択開口に用いて当該開口を通過する荷電粒子ビームレットの軌道を制御することによって、所与の荷電粒子ビームレットがパターニングのために基板124に到達するかどうかを制御することができる。偏向電圧源114は、プログラマブル電圧偏向源であってもよく、この場合、異なる開口110に対する所与の偏向電圧パターンが偏向電圧源114においてプログラムされて、基板124での所与の荷電粒子ビーム露出パターンが生成される。
【0016】
システム100はまた、基板に当たる前の荷電粒子ビームレットの集束を制御するための投影光学システム116を含む。投影光学システム116は、荷電粒子ビームレットの焦点および大きさを制御するために従来の荷電粒子リソグラフィシステムで用いられる従来システムであってもよい。例えば、抽出プレートシステム106は、投影光学システム116によってサイズが縮小されるビームレットパターンを形成してもよい。このような投影光学システムの詳細は周知であるため、ここでのさらなる説明を省略する。
【0017】
システム100は、抽出プレートシステム106によって偏向された荷電粒子ビームレットを排除する停止プレート118を含む。こうして、抽出プレートシステム106は、以下に詳述するように、どの荷電粒子ビームレットが基板124に到達するかを選択することができる。システム100はまた、基板124の異なる領域が荷電粒子に露出するように、例えば、少なくともX方向およびY方向に基板124を平行移動させる基板台122を含む。例えば、システム100は、抽出プレートシステム106と基板124との間で100倍または200倍の画像サイズ縮小を発生してもよい。こうして、X方向に沿って20cmにわたる抽出プレートシステム106は、例えば2mmにわたる基板124上のパターンを生成し得る。したがって、多センチメートルの大きさの基板124を露出するために、基板台122は、一連の露出間で、X方向およびY方向に沿ってスキャンされてもよい。
【0018】
図2Aおよび2Bは、基板パターニングのためにシステム100で用いられ得る抽出プレートシステム200のそれぞれ上面図および側面図である。具体的に、図2Bは、方向A−A’に沿った抽出プレートシステム200の断面図である。抽出プレートシステム200は、互いに取り付けられた開口プレート202およびブランキングプレート204を含む。開口プレート202およびブランキングプレート204はそれぞれ、開口206および208のアレイを含み、これらは互いに位置合わせされている。開口206が開口208に位置合わせされることによって、抽出プレートシステム200全体にわたって開口209のアレイが形成される。開口209は、プラズマ室102において形成されたプラズマ(図示せず)から抽出された荷電粒子ビームを伝導し得る。
【0019】
抽出プレートシステム200はまた、プラズマ室102と抽出プレートシステム200との間にバイアスを印加するために抽出電圧源112に結合される電極210を含む。こうして、プラズマ室102内でプラズマが形成されると、抽出プレートシステム200は、荷電粒子をプラズマから所望のエネルギーへと加速させることができる。ブランキングプレート204はまた、偏向電圧源114に結合される偏向電極212を含む。各偏向電極212は、それぞれ開口208と位置合わせされ、2つの異なる電極を含む。このように、各偏向電極212を構成する2つの異なる電極間に偏向電圧を印加してもよい。当該偏向電圧は、開口209を通過する荷電粒子を偏向させるように構成される偏向場を生じる。偏向電圧源114は、偏向電圧が個別に任意の偏向電極212に与えられるようにプログラム可能であってもよい。図2Aおよび2Bに明示していないが、偏向電極212は、抽出プレートシステム200内または上の配線を通じて偏向電圧源に接続されてもよい。
【0020】
小寸法の特徴を都合よく生成するために、XおよびY方向における開口209の開口サイズは、約1〜10マイクロメートルであってもよい。図1を参照すると、こうすることで、システム100等のシステムは、投影光学システム116が行う縮小 に応じて、約10〜100ナノメートルの大きさの荷電粒子ビームレットを生成することができる。但し、本実施形態は、このように限定されない。
【0021】
図2Bでは抽出プレートシステム200が開口を有する2つの異なるプレートを含む実施形態が具体的に示されているが、他の実施形態では、抽出プレートシステムは、ブランキングプレート204のように偏向電極が開口内に配置される単一の開口プレートであってもよい。また、電極は、単一開口プレートの実施形態において開口の長さに沿って部分的に伸びてもよく、当該開口の全長に沿って伸びてもよい。
【0022】
図3Aは、種々の実施形態に係るシステム100の動作の1つのシナリオを示す。図3Aにおいて、ガス種(個別に図示されていない)は、プラズマ室102に入り、その後、電源104がプラズマ室102に電力を供給すると、プラズマ300が生成される。プラズマ300を生成するために適したガス種の例には、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスおよびH、HO、NH等の水素含有ガスがある。これは、開口プレート要素との反応やエッチングを制限し得る。 但し、本実施形態は、このように限定されない。例えば、イオンを基板層に注入して基板層をパターニングする正イオンリソグラフィの実施形態では、ガス種を選択して任意の所望の正イオンを生じてもよい。
【0023】
本発明の実施形態に対応して、プラズマ300は、荷電粒子を抽出するために用いられる開口209のアレイの幅Wおよび長さL(図2A参照)にわたって均一荷電粒子束を与えるように生成される。例えば、図3Aに示すように、X方向におけるプラズマ300の幅およびY方向におけるプラズマの長さが、それぞれ開口209のアレイの幅Wおよび長さLより大きくなるように、抽出プレートシステム200に近接するプラズマ室102のサイズを定めてもよい。このような幾何学的配置を利用して、電源が誘導結合または容量結合(図3に明示されていない)を介してプラズマ300を生じるRF電源である実施形態では、開口209のアレイの幅Wおよび長さLにわたる荷電粒子密度の変動は、3%未満であり得る。そうすれば、抽出プレートシステム200の異なる開口209を通って伝導される単位面積当たりの荷電粒子束の変動も、3%未満であり得る。
【0024】
図3Aにさらに示すように、多数の荷電粒子ビームレット302、304、306、308、および310は、異なる開口209を通じてプラズマ300から抽出される(図2B参照)。上記の通り、これらの荷電粒子ビームレット302〜310はそれぞれ、単位面積当たり同一の荷電粒子束を搬送し得る。こうして、基板124に到達するビームレット302〜310のうちのいずれかが、所与の露出時間でフィルム126を同様にして変質させ得る。
【0025】
図3Aの図解は、どの荷電粒子ビームレットが基板124に到達するかを制御することによって基板124をパターニングする偏向電圧源の使用例を示している。具体的に、荷電粒子ビームレット302および306は、それぞれ開口209Aおよび209Cを通過する際に偏向されて、停止プレート118によって遮断される。他の荷電粒子ビームレット304、308、および310は、偏向なしに抽出プレートシステム200を通過して、停止プレート118の開口120を通るように導かれる。荷電粒子ビームレット304、308、および310がフィルム126に当たると、フィルム126は変質し、それぞれ変質領域312、314、および316のパターンを形成する。開口209のアレイ内の他の荷電粒子ビームレットは、基板124へと導かれるかあるいは停止プレート118によって遮断されて、所望のパターンをフィルム126に転写することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、概して抽出プレートシステム200で表される抽出プレートシステムは、二次元アレイに配列される例えば500,000個の開口等、何千もの開口を含んでもよい。こうして、基板124は、何十万もの平行荷電粒子ビームレットによって処理されることになり、基板124の迅速なパターニングが促進される。
【0027】
図3Bは、動作時のプラズマ室102の上面図である。図示の通り、プラズマ室102内でプラズマ300が生じると、プラズマ300は、開口209のアレイがおよぶ領域(WL)と少なくとも同じ大きさの領域を対象として含み得る広域荷電粒子源として効果的に作用する。図3Aおよび3Bから明らかなように、この幾何学的配置は、開口プレートまたはマスクに入射する前に荷電粒子が広域に広がる点源ベースの従来の荷電粒子装置と対照的である。代わりに、システム100では、プラズマ300から抽出された電子またはイオンは、プラズマシース318を横断して、抽出プレートシステム200の表面に垂直の入射で、実質的に平行な軌道を有して開口206(209)に入る。このように、プラズマ300から出る荷電粒子のXY平面における単位面積当たりの荷電粒子束は、開口209に入る荷電粒子の単位面積当たりの荷電粒子束と同じである。言い換えると、荷電粒子がプラズマシースを通って抽出プレートシステム200に当たるため、荷電粒子の広がりはない。
【0028】
さらに、上記の通り、投影光学システム116は、荷電粒子ビームアレイによって形成されるパターンまたは画像のサイズにおいて、抽出プレートシステム200から基板124へと100倍または200倍の線形縮小を与え得る。これは、100または200の荷電粒子ビームによって形成されるパターンの領域の縮小係数に対応する。こうして、抽出プレートシステム200で荷電粒子ビームアレイによって形成される原領域(LW)は、荷電粒子ビームが投影光学システム116を通った後、基板124でLW/40,000の領域に縮小し得る。個々の荷電粒子ビームレットの(XY平面における)断面積は、同様の係数により縮小されてもよい。このようにして、基板124に到達する個々の荷電粒子ビームレット内の荷電粒子の単位面積当たりの束は、開口209に入る荷電粒子の単位面積当たりの束の40,000倍までになり得る。プラズマ300からの抽出時に荷電粒子が広がらないため、基板124のパターニングのために所与の荷電粒子投与量を与える必要があるプラズマ300における荷電粒子の体積密度は、従来の荷電粒子リソグラフィシステムにおける高輝度点光源が要するものよりも大幅に低くてもよい。
【0029】
より詳細に図3のシステム100の動作を説明するため、図4、5、および6は、基板124のパターニングのための荷電粒子ビームレット生成における異なるステージを示す。明確にするために、プラズマ室102、抽出プレートシステム200、および関連電圧源のみを示す。図4において、プラズマ室102において、電源(図示せず)を利用してプラズマ300を生成する。本発明の実施形態に対応して、プラズマ300は、開口209のアレイによって画定される領域にわたって均一密度の荷電粒子を与えるように生成される(図3B参照)。このステージにおいて、抽出プレートシステム200とプラズマ室102との間に抽出電圧は供給されない。したがって、抽出プレートシステム200による荷電粒子ビームレットの抽出はない。プラズマ出力、ガス圧力、ガス流量、その他の各種パラメータを調節して、プラズマ均一性を所望レベルに調整してもよい。
【0030】
図5において、プラズマ300がプラズマ室102に存在する間に、プラズマ室102と抽出プレートシステム200との間に抽出電圧VEXTを印加する。これにより、プラズマ300からの荷電粒子が加速して図示の荷電粒子ビームレット302、304、306、308、および310を形成する。荷電粒子は、それらの軌道が開口プレート202の上面によって定義される平面Pと垂直の入射角をなすようにプラズマ300から開口プレート202へと加速してもよく、あるいは、荷電粒子は、平面Pへの垂線320に対して+0.5度〜−0.5度の入射角で開口プレート202に当たってもよい。
【0031】
図5に示すシナリオでは、偏向電圧は、抽出プレートシステム200の開口に印加されていない。したがって、荷電粒子ビームレット302、304、306、308、および310は、それらの軌道を変え得るXY平面での偏向電場の影響を受けず、平面Pに垂直な軌道を有して抽出プレートシステム200を通過することができる。
【0032】
基板をパターニングするために、抽出プレートシステム200の選択開口に偏向電圧を与えて、選択開口を通過する荷電粒子ビームを所望のやり方で偏向させる。これを図6のシナリオに示す。図示の通り、プラズマ300をプラズマ室102において点火し、抽出電圧VEXTをプラズマ室102と抽出プレートシステム200との間に印加する。その結果、荷電粒子ビームレット302、304、306、308、および310が、それぞれ開口209A、209B、209C、209D、および209Eを通じて抽出される。但し、この例では、偏向電圧VDEFも、開口209Aおよび209Cそれぞれの偏向電極212Aおよび212Cに印加する。当該偏向電圧によって、それぞれの荷電粒子ビームレット302および306の軌道が変わり、その結果、基板に当たるのを妨げられる。同時に、開口209B、209D、および209Eそれぞれの偏向電極212B、212D、および212Eには偏向電圧を印加しないため、荷電粒子ビームレット304、308、および310は、軌道が変わることなく抽出プレートシステム200を通過する。図6のシナリオの結果、図3に関連して上記したように、荷電粒子ビームレット304、308、および310は、投影光学系を介して導かれて基板124に到達し、基板に配置されたフィルムが衝突される露出領域を形成する一方、荷電粒子ビームレット302および306は、基板に到達するのを妨げられる。
【0033】
付加的な実施形態において、カスプ閉じ込めをプラズマ室に設けて、プラズマ温度を低下させてプラズマ全体にわたって均一性を改善してもよい。例えば、既知の「ピケットフェンス(picket fence)」磁石配置をプラズマ室壁に近接して設けてもよく、ここで、隣接する磁石においてN極・S極配置を交番させて、カスプ閉じ込めを形成する。カスプ閉じ込めは、電子の反射器として作用することによって、プラズマ室壁から離してプラズマを閉じ込めるように作用する。プラズマ温度の低下は、荷電粒子リソグラフィにとって多数のメリットがある。その1つは、プラズマ内での荷電粒子エネルギーの同時低下により、基板に到達する荷電粒子ビームレットのエネルギー拡散が軽減されることである。さらに、荷電粒子エネルギー拡散の軽減により、投影光学システム116の色収差が減少し得る。これは、色収差が、荷電粒子ビームの所与の公称エネルギーのための荷電粒子エネルギー拡散に比例するからである。
【0034】
さらなる実施形態において、加速電極を抽出プレートシステムと基板との間に配置して、荷電粒子を所望エネルギーへとさらに加速してもよい。例えば、基板パターニングのための荷電粒子ビームにエネルギー30keVを与える場合、電圧15kVを抽出プレートシステム200とプラズマ室102との間に印加し、さらに15kVを抽出プレートシステムと基板との間に配置された加速電極または電極によって印加してもよい。図7は、抽出プレートシステム200の下流に加速電極702を設けた以外はシステム100と同様の構成のシステム700の実施形態を示す。加速電圧を加速電圧源704によって印加して、基板124へと導かれる荷電粒子ビームレットのエネルギーを所望の通り上げてもよい。これは、例えば、正イオンリソグラフィ処理において抽出プレートシステム200を横断する正イオンのエネルギーを下げるのに有用であり、その結果、イオンが抽出プレートシステム200の表面に当たる場合に発生し得るエッチング過程を低減する。
【0035】
さらに付加的な実施形態において、抽出プレートシステムを、基板に転写すべきパターンを定義する固定開口パターンを有する開口プレートを用いて構成してもよい。したがって、そのような抽出プレートシステムの開口を通過する荷電粒子は全て、基板に当たるように構成される軌道を有し得る。図8は、抽出プレートシステムが固定開口プレートまたはステンシルマスクである点においてシステム100と異なるシステム800の実施形態を示す。図示の通り、抽出プレートシステム802は、プラズマ室102の一方側に沿って配置され、抽出プレートシステム802とプラズマ室102との間に抽出電圧が印加されると、イオンまたは電子を受け取る。抽出プレートシステムは、基板124に転写すべきパターンを定義する開口804のパターンを含んでもよい。こうして、抽出プレートシステム802は、基板124上に縮小サイズで所望パターンを形成すべく転写されるパターンを生成するため、任意の形状の組み合わせを持つ荷電粒子ビームレットの組を抽出してもよい。
【0036】
本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態によりその範囲を制限されない。実際、本明細書に記載した実施形態に加えて、本発明の他の様々な実施形態および変更は、先の記載および添付図面から、当業者に明らかであろう。よって、このような他の実施形態および変更は、本発明の範囲に含まれるものである。さらに、本発明は、特定の目的に対する特定の環境における特定の実施の文脈で本明細書に記載されているが、当業者は、その有用性がこれに限定されず、本発明は多くの目的に対して多くの環境において有利に実施できることを認識するであろう。したがって、後述の特許請求の範囲は、本明細書に記載する本発明の全容および精神を考慮して解釈すべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2017年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をパターニングするシステムであって、
プラズマ室と、
前記プラズマ室内においてプラズマを生成するための電源と、
複数の開口を含み、前記プラズマ室の一方側に沿って配置され、前記プラズマ室に対して抽出プレートシステムをバイアスする抽出電圧を受け取るように構成される抽出プレートシステムであって、前記複数の開口は前記プラズマから複数のそれぞれの荷電粒子ビームレットを抽出するように構成される、抽出プレートシステムと、
前記複数の荷電粒子ビームレットを受け取り、該複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つを前記基板へと導くように構成される投影光学システムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記電源は、誘導結合RF電源、容量結合RF電源、マイクロ波源、またはアーク放電源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、前記抽出プレートシステムと前記プラズマ室との間に前記抽出電圧を供給するように構成される電圧源を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記抽出電圧は、前記プラズマ室に対して前記抽出プレートシステムの正バイアスを確立し、
前記荷電粒子ビームレットは、電子である、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
さらに、開口プレートを備え、
前記開口プレート は、平面を定義する前記プラズマ室に隣接する表面を含み、
前記荷電粒子は、前記平面への垂線に対して+0.5度〜−0.5度の入射角で前記開口プレートに当たる、
、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記抽出プレートシステムはさらに、前記複数の荷電粒子ビームレットを生成するように構成される複数の開口を有する開口アレイを含み、
前記複数の開口は、それぞれの複数の偏向電極を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
さらに、前記複数の偏向電極に結合されて、偏向電圧を前記開口アレイの選択開口に印加するプログラマブル偏向電圧源を備え、
偏向電圧が前記開口アレイの開口の偏向電極に印加されると、該開口を通過する前記複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つの荷電粒子ビームレットは偏向される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記抽出プレートシステムは、
前記複数の荷電粒子ビームレットを生成するように構成される第1の複数の開口を有する第1開口アレイを含む開口プレートと、
第2の複数の開口を有する第2開口アレイを含むブランキングプレートと
を含み、
前記第1の複数の開口は、前記第2の複数の開口と位置合わせされて、前記開口アレイを形成し、前記第2の複数の開口は、それぞれの前記複数の偏向電極を含む、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
さらに、前記荷電粒子ビームレットの入射方向に垂直な方向において前記基板をスキャンするように構成される基板台を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
基板をパターニングする方法であって、
プラズマ室内において荷電粒子を含むプラズマを生成するステップと、
複数の荷電粒子ビームレットを形成するために、前記プラズマから複数の開口を通じて前記荷電粒子を抽出するステップと、
前記複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つの荷電粒子ビームレットを、投影光学系を用いて基板へと導くステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
誘導結合RF電源、容量結合RF電源、マイクロ波源、およびアーク放電源のうちの1つを用いて前記プラズマを生成するステップを有する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマから前記荷電粒子を抽出するステップは、前記複数の開口を含む抽出プレートシステムと前記プラズマ室との間に抽出電圧を生成するステップを有する、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出電圧を、前記プラズマ室に対する前記抽出プレートシステムの正バイアスとして与えるステップを有し、
前記荷電粒子ビームレットは、電子である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記複数の荷電粒子ビームレットのうちの選択荷電粒子ビームレットが前記複数の開口のうちの選択開口を通過する際に、該選択荷電粒子ビームレットを偏向させるステップを有し、
該選択荷電粒子ビームレットは、前記基板に当たらない、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
基板をパターニングするシステムであって、
プラズマ室と、
前記プラズマ室内においてプラズマを生成するための電源と、
複数の開口を含み、前記プラズマ室の一方側に沿って配置され、前記プラズマ室に対して抽出プレートシステムをバイアスする抽出電圧を受け取るように構成される抽出プレートシステムであって、前記複数の開口は、第1領域を定義する二次元開口アレイに配列され、前記プラズマから複数のそれぞれの荷電粒子ビームレットを抽出するように構成され、それぞれの複数の偏向電極を含む、抽出プレートシステムと、
前記複数の荷電粒子ビームレットを受け取り、該複数の荷電粒子ビームレットのうちの少なくとも1つを基板へと導くように構成され、前記複数の荷電粒子ビームレットを集束させて第2領域を定義するように構成される投影光学システムであって、前記第2領域に対する前記第1領域の比は、10,000以上である、投影光学システムと、
を備える、システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
さらなる実施態様において、基板をパターニングする方法は、プラズマ室内において荷電粒子を含むプラズマを生成するステップと、複数の荷電粒子ビームレットを形成するために、前記プラズマから複数の開口を通じて前記荷電粒子を抽出
するステップと、複数のビームレットのうちの第1荷電粒子ビームレットを、当該荷電粒子ビームレットが複数の開口のうちの第1開口を通過する際に偏向させるステップと、複数のビームレットのうちの第2荷電粒子ビームレットを、偏向なしに複数の開口のうちの第2開口を通過させるステップとを有し、第1荷電粒子ビームレットは基板に当たらず、第2荷電粒子ビームレット は基板に当たる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
さらなる実施形態において、加速電極を抽出プレートシステムと基板との間に配置して、荷電粒子を所望エネルギーへとさらに加速してもよい。例えば、基板パターニングのための荷電粒子ビームにエネルギー30keVを与える場合、電圧15kVを抽出プレートシステムとプラズマ室102との間に印加し、さらに15kVを抽出プレートシステムと基板との間に配置された加速電極または電極によって印加してもよい。図7は、抽出プレートシステムの下流に加速電極702を設けた以外はシステム100と同様の構成のシステム700の実施形態を示す。加速電圧を加速電圧源704によって印加して、基板124へと導かれる荷電粒子ビームレットのエネルギーを所望の通り上げてもよい。これは、例えば、正イオンリソグラフィ処理において抽出プレートシステムを横断する正イオンのエネルギーを下げるのに有用であり、その結果、イオンが抽出プレートシステムの表面に当たる場合に発生し得るエッチング過程を低減する。
【国際調査報告】