【実施例】
【0158】
下記の例が、本発明の好ましい実施形態を説明するために含まれる。下記の例に開示される手法が、本発明の実行に良好に機能するように発明者によって発見された手法を表わし、よってその実行に好ましいやり方を構成するものとみなされうることが当業者によって理解されるべきである。しかし、本開示に照らして、多くの変更が開示されている具体的な実施形態においてなされる可能性があり、それでもやはり本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を得ることができることを当業者は理解すべきである。
実施例1
選択的抗腫瘍効果をもつ自己サバイビン特異的T細胞クローンの生成
【0159】
HLA−A*02
+健康な提供者から採取した末梢血試料を使用して、そのヘテロクリット性バリアントサバイビン
96−10497M(LMLと呼ぶ;LMLGEFLKL;配列番号16)を用いて、HLA−A*0201−拘束性サバイビン
95−104(ELTと呼ぶ;ELTLGEFLKL;配列番号15)エピトープに対して特異的なCD8
+細胞傷害性T細胞(CTL)を生成した(Andersen, et al., 2001)。
【0160】
IFN−γ ELISpotで評価すると、3回の抗原特異的刺激後、5つのCTL株のうち3つ(提供者#2、4、及び5に由来)が、LML(643±5、49±1、及び96±7SFCs/10
5個のT細胞)並びにELTペプチド(662±65、45±6、及び86±9SFCs/10
5個のT細胞)の両方に特異的に反応した。最も反応性のある提供者(#2)から限界希釈によって単一T細胞クローンを生成し、サバイビン特異的と非特異的な(無関係)クローンを比較する複数のアッセイを用いて、最適な機能的アビディティーをもつクローンを同定した。具体的には、クローン#24が、LML四量体に対して最も高い特異性(>99%)(
図1A)及びLMLとELTペプチドともに最も高いTCRアビディティーを示した(IFN−γ ELISpotアッセイで評価した場合、10
−7M(
図1B)、並びに標準的な
51Cr放出で測定した場合、LMLに対して5x10
−8M及びELTに対して10
−6M(
図1C))。クローン#24の機能的アビディティーは、「同胞殺し」TCRに関してそれまで記載されていた広い範囲のアビディティーと重なった(表1)。重要なことには、クローン#24はHLA−A*02
+サバイビン
+腫瘍細胞株BV173(白血病)及びU266(骨髄腫)に対して細胞傷害活性(
図1D)、並びにHLA−A*02
+サバイビン
+白血病前駆体のコロニー形成単位(CFU)の阻害(
図1E)を示した。対照的に、同じクローンは、HLA−A*02−サバイビン
+細胞株HL−60に対しても、HLA−A*02
+正常造血前駆細胞(
図1D、E)に対しても細胞傷害性ではなかった。このクローンはインビトロで効果的に増殖し(3週間後>63倍増殖)(
図1F)、検出可能なT細胞同胞殺し効果がないことを示した。
【0161】
表1.LMLペプチドでパルスしたT2細胞に対するサバイビン特異的T細胞クローンの機能的アビディティー
【表1】
【0162】
TCR A66、TCR A71、及びTCR A72は、既報のアロ拘束性サバイビン特異的TCRである(Leisegang, et al, 2010)。
実施例2
サバイビン特異的TCRを発現するように組換え操作されたポリクローナルT細胞は同胞殺しではない
【0163】
クローン#24のTCRα鎖及びβ鎖(以下、s24−TCRという)を、クローニングし、コドンを最適化し、定常領域をマウスの対応する領域で置換した後、レトロウィルスベクターにコードした(
図2A)。TCR鎖利用及び相補性決定領域は、これまで既報の同胞殺しTCR(表2及び表3)と全く異なった。
【0164】
表2.サバイビン特異的TCRα鎖利用
【表2】
【0165】
国際免疫遺伝情報システム(international Immunogenetics information system)のウェブサイトwww.imgt.orgに従った術語体系。TCR A66、TCR A71、及びTCR A72の配列は、同胞殺しを伴う既報のアロ拘束性サバイビン特異的TCRである(Leisegang, et al., 2010)。
【0166】
表3.サバイビン特異的TCRβ鎖利用
【表3】
【0167】
国際免疫遺伝情報システムのウェブサイトwww.imgt.orgに従った術語体系。TCR A66、TCR A71、及びTCR A72の配列は、同胞殺しを伴う既報のアロ拘束性サバイビン特異的TCRである(Leisegang, et al., 2010)。
【0168】
CD8+T細胞を形質導入し、LMLペプチドでパルスした人工APC(aAPC)及びIL−2の存在下で増殖させた。形質導入直後、89%±4%のT細胞がマウス定常β鎖(mCβ
+)に関して染色され、47%±32%がLML四量体で染色された(
図2B)。平均蛍光強度(MFI)が26±12で、LML四量体に関する陽性度はあまり大きくないが、LMLでパルスしたaAPCの存在下で増殖後、LML四量体
+細胞は著しく富化した(97%±1%)(
図2B、C)。異所的に発現したs24−TCRは機能し、LML(725±274SFCs/10
5個のT細胞)及びELT(978±341SFCs/10
5個のT細胞)ペプチド双方に応答してs24−TCR
+T細胞がIFN−γを産生した(
図3A)。また、s24−TCR
+T細胞は、LMLペプチドでパルスしたT2細胞を溶解し(77%±8%特異的溶解、E:T 20:1)(
図3B)、細胞傷害活性がMHCクラスIブロッキング抗体で予めインキュベーションすることによって著しく減少したので(
図3C)(53%±10%特異的溶解、E:T 20:1;p=0.03)、その溶解はHLA拘束的である。s24−TCR
+T細胞が同胞殺しを生じなかったことを確認するために、HLA−A*02
+提供者とHLA−A*02−提供者の両方から生成されたs24−TCR
+細胞の表現型、増殖、及び細胞傷害活性を比較した。TCRは両者ともに効率的に発現されており(
図9)、s24−TCR
+T細胞はLMLでパルスしたaAPC及びIL−2に応えて同様に増殖した(3回の刺激後、HLA−A*02
+提供者及びHLA−A*02−提供者はそれぞれ、66±38対76±38倍増殖)(
図3D)。さらに、HLA−A*0201
+T細胞に対してs24−TCR
+T細胞による検出可能な細胞傷害活性はなかった。
図3E及びFに示されるように、活性化されたT細胞の溶解はごくわずかであった(2%±4%対6%±3%特異的溶解、E:T 20:1、HLA−A*02
+提供者対HLA−A*02−提供者)。これらの細胞はLML又はELTペプチドを積載した後のみ、s24−TCR
+T細胞による標的可能となった(LML積載T細胞について46%±12%対55%±7%特異的溶解;ELT積載T細胞について68%±14%対62%±16%、E:T 20:1、HLA−A*02
+提供者対HLA−A*02−提供者)。予想された通り、対照T細胞は活性化されたT細胞に対して細胞傷害活性がなかった(
図3E、F)。
実施例3
サバイビンTCRリダイレクトT細胞は正常造血前駆細胞に対する傷害性なしに抗腫瘍活性を発揮する
【0169】
同胞殺しが無いことが抗腫瘍活性の減少を犠牲にして起こらなかったことを確かめるために、サバイビン
+血液悪性腫瘍に対するs24−TCR
+T細胞の細胞傷害活性を評価した。s24−TCR
+T細胞では、HLA−A*02
+サバイビン
+白血病細胞株BV173(20:1のE:T比で46%±14%特異的溶解)及びHLA−A*02
+サバイビン
+多発性骨髄腫由来細胞株U266(27%±12%)の溶解が、対照T細胞(それぞれ、8%±6%及び14%±6%)と比較してより多く生じた(BV173に対してp<0.001、U266に対してp=0.003)(
図4A)。対照的に、形質導入T細胞及び対照T細胞の両方で、対照標的であるHLA−A*02−サバイビン
+白血病細胞株K562及びHL−60に対してごくわずかの殺作用が見られた(
図4A)。HLAクラスIブロッキング抗体での標的細胞を予めインキュベーションすることでBV173及びU266細胞に対する細胞傷害活性が妨げられたので、s24−TCR
+T細胞の細胞傷害活性はMHCクラスI拘束性であった(
図4B)。対照T細胞又はs24−TCR
+T細胞をこれらのHLA−A*02
+サバイビン
+腫瘍細胞と5日間共培養した長期間のアッセイでは、s24−TCR
+T細胞の存在下においてのみBV173及びU266腫瘍細胞ともに著しい減少があった(
図4C、
図10)。これらの細胞傷害性効果は、ELISpotアッセイで評価されたBV173及びU266細胞株に対するs24−TCR
+T細胞によるIFN−γ産生(
図4D)並びにサイトメトリービーズアレイで評価されたTh1サイトカインの放出(
図11)と同時に起きた。また、s24−TCR
+T細胞抗腫瘍効果は、原発白血病試料に対するCFUアッセイでも確認された。
図4Eに示されるように、白血病CFU形成は、対照T細胞と比較して、s24−TCR
+T細胞とインキュベーションした5つのHLA−A*02
+白血病試料すべてで著しく減少し、s24−TCR
+T細胞の存在下でのCFU形成の減少は中央値が48%であった(範囲32〜78%;p=0.03)。くわえて、2つのHLA−A*0201−白血病試料に対して細胞傷害性効果は見られなかった(
図4F)。際立って対照的に、HLA−A*0201
+健康な提供者由来の造血幹細胞/前駆細胞のCFU形成は、s24−TCR
+T細胞でのインキュベーションに影響されず、対照T細胞との培養と比較して、s24−TCR
+T細胞の存在下でCFUはわずか中央値3%の減少であった(
図4G)。
実施例4
サバイビンTCRトランスジェニックT細胞は生体内で抗腫瘍活性をもち、生存を向上する
【0170】
s24−TCR+T細胞の生体内抗腫瘍機能を確認するために、ホタルルシフェラーゼ(FFLuc)で遺伝子改変されたBV173細胞を全身的に移植した異種間NSGマウスモデルを使用し、生物発光イメージング(BLI)で腫瘍増殖をモニターした。残留白血病に似た症状を呈する条件で、白血病輸注に次の日、マウスは対照T細胞又はs24−TCR
+T細胞のいずれかで養子T細胞移入を受けた(
図5A)。輸注40日目後、s24−TCR
+T細胞で処理したマウスは、対照T細胞を受けたマウスと比べて著しくより良く白血病進行を制御した(8.1×10
6±9×10
6対195×10
6±85×10
6光子/秒)(p=0.003)(
図5B、C)。これはs24−TCR
+で処理したマウスの全生存期間が80日まで改善することにつながり(p<0.001)(
図5D)、10頭のうち3頭のs24−TCR
+T細胞処理マウスは腫瘍が無くなった。白血病量(leukemic burden)が高いマウスでの抗腫瘍活性を測定するために、疾患播種及び量がBLIによって確認された白血病接種(leukemia inoculation)の2週間後にT細胞を輸注した(
図6A)。s24−TCR
+T細胞を受けたマウスは、対照マウスと比べて白血病の進行が著しく遅く、結果として28日まで生物発光信号が弱かった(
図6B、C)(40×10
6±71×10
6対128×10
6±176×10
6光子/秒)(p=0.04)。このTCR媒介抗白血病活性はマウスの生存の著しい向上(p=0.01)につながった(
図6D)。
実施例5
アラニンスキャニングはサバイビンエピトープの認識に最適化されたTCR結合様式を明らかにする。
【0171】
s24−TCRが同胞殺し又は正常造血細胞に対する傷害性なしに抗腫瘍活性を生じた機序を理解するために、s24−TCR又は既報の「同胞殺し」TCR(A72−TCR)(Leisegang, et al., 2010)のいずれかを発現しているT細胞を同時並行実験で比較した。いずれかのTCRを発現するT細胞の間でインビトロでの抗腫瘍活性の点で有意差は見られなかったが(
図7A)、A72−TCRを発現するT細胞のみが、自己反応性(
図7B)及び正常造血幹細胞/前駆細胞に対する傷害性を示した(
図7C)。さらに、A72−TCR+T細胞は、線維芽細胞(
図7D)及び心筋細胞(
図7E)などの非造血細胞に対する細胞傷害活性も示したが、s24−TCR+細胞は示さなかった。重要なことには、標的をHLA−A*0201発現を調節するIFN−γで予めインキュベーションした場合などの、炎症性傷害に似た症状を呈する条件においてさえも、s24−TCR+T細胞によるより安全なプロファイルが保たれた(
図13)。s24−TCR+T細胞は、A72−TCR+T細胞と比較して、優れた腫瘍制御を仲介した(p<0.0001)(
図14)ので、この好ましい傷害性プロファイルはBV173腫瘍モデルの生体内抗腫瘍活性の減少に起因するものではなかった。
【0172】
コンピューターモデリング研究から、大部分がHLA−A*02溝(groove)と相互作用するA72−TCRと対照的に、s24−TCRの選択的腫瘍特異性がTCRとサバイビン−MHC複合体との狭く延びたインターフェースに依存することが示された。具体的には、s24−TCRは、Leu4、Gly5、及びPhe7を含むサバイビンペプチドの局所領域とともに数多くの芳香族残基が関与する高度に最適化された物理的相互作用のネットワークを創った。次いで、この構造解析は、サバイビンペプチドのアラニン置換実験によって行われたTCR−ペプチド−MHC相互作用の機能解析によって裏付けられた。
図8に示されるように、10箇所の単置換のうち7つがIFN−γ放出を完全に抑止し、且つ10箇所のうち3つがIFN−γ放出を著しく減少させたので、サバイビンペプチドの一つ一つの残基(10/10)が、s24−TCR機能的活性化に極めて重要なようであった。対照的に、10箇所の置換うち3つのみがA72−TCR活性化の完全な機能喪失に極めて重要であり(
図8)、より小さく少ない最適TCR−ペプチド結合様式を示唆した。予測モデルとアラニン置換分析の両方に基づいて、XLTXGEFLKX(配列番号13)及びXXXLXXFLKL(配列番号14)のモチーフを含有するタンパク質配列についてUniProtKB/Swiss−Protデータ塩基配列に照会をかけて、潜在的な交差反応性エピトープを同定した。造血系又はTリンパ球を含む免疫系の細胞に関連した7つのペプチドが選ばれた。IFN−γ ELISpotアッセイから、A72−TCRはこれらのペプチドの数個でパルスしたT2細胞に対して反応したが、s24−TCRは反応しなかったことが示された(表4)。
【0173】
表4.同種異系レパトア由来に対比した自己レパトア由来のサバイビンTCRの異なる分子認識パターン
【表4】
【0174】
アラニン置換分析によって予想された
Aエピトープは、T2細胞に載っており、s24−TCR
+又はA72−TCR
+T細胞による反応性はIFN−γ ELISpotアッセイで評価した。3名の提供者の代表的な結果。略称:CD3d:CD3デルタ;CD81:CD81抗原;CSF3R:顆粒球コロニー刺激因子受容体;CRLS1:カルジオリピンシンターゼ;EPB42:赤血球膜タンパク質バンド4.2.;INGR2:インターフェロンγ受容体2。
実施例6
あるいくつかの実施形態のまとめ
【0175】
本開示は、ポリクローナルT細胞に移植されたとき、自己傷害性を生じることなくインビトロでも生体内でも多様な腫瘍細胞を除去するのに十分な機能的アビディティーを示す新規のサバイビン特異的s24−TCRの自己TCRレパトアからの単離を示す。この新規のTCRは、自己組織上サバイビンを腫瘍関連サバイビン発現と識別することができ、「オンターゲット オフ腫瘍」傷害性なしに抗腫瘍反応性を選択的に仲介する。機能性データは、s24−TCRの選択的腫瘍特異性がTCRとサバイビン−MHC複合体との高度に特異的な相互作用に依存することを明らかにする。よって、TCRによる自己ペプチドの最適認識はその選択性を与え、交差反応性、したがって自己反応性を最小限にする。その知見は、機能的なサバイビン特異的TCRは傷害性があり、よって臨床での使用には適さないというこれまでの結論や、そのようなTCRによって仲介される同胞殺し効果は活性化されたT細胞の「オンターゲット」認識のみに起因という主張(Leisegang, et al., 2010)に異議を唱える。観察結果から、数種の異なるTAAを標的にする自己又は同種異系レパトアに由来する7つのさらなるTCRのセットに関する比較分析において一般化され、胸腺選択段階がTCR交差反応性を最小限するのに極めて重要であることが示唆された。
【0176】
多くの研究から、サバイビンが大部分のがんで増加しているが、CD34
+造血幹細胞、Tリンパ球(Altieri, 2003)及び心筋細胞(Wohlschlaeger, et al., 2010; Levkau, 2011)などの正常細胞でも機能的であることが示されている。例えば、コンディショナルノックアウトマウスでは、サバイビン欠失は初期にはダブルネガティブ細胞からダブルポジティブ細胞へのT細胞転換を阻止し、一方で後期には循環血液中のその数が減少することが示されている(Xing, et al., 2004)。また、サバイビンはヒトT細胞においてTCR架橋すると増加することがわかった(Leisegang, et al., 2010; Kornacker, et al., 2001)。サバイビンはうっ血性心不全の間(Wohlschlaeger, et al., 2010)及び虚血再灌流心(Levkau, 2011)における心筋細胞リモデリングの拡散に関与する。こられのサバイビンの機能活性にもかかわらず、の幹細胞移植後にサバイビンベースのワクチンを受けた患者において、自己由来サバイビン特異的CTLの惹起があっても、心毒性及び幹細胞生着又はT細胞再構成の遅れは報告されていない(Rapoport, et al., 2011)。この臨床での経験に一致して、正常造血前駆体の増殖傷害が存在せず、s24−TCRリダイレクトT細胞の存在下におけるT細胞増殖への悪影響は少しもなかった。白血病前駆体及び腫瘍細胞はインビトロでも生体内でもs24−TCRを発現するポリクローナルT細胞によって著しく殺傷されたので、この安全性プロファイルは抗腫瘍効果を弱めることなく現れた。よって、これらのデータから、s24−TCRは腫瘍標的を認識するが、認識の閾値を下回って抗原を発現する健康な細胞に対して「寛容」であることが示唆される。対照的に傷害性効果は、同種異系HLAミスマッチTCRレパトアから単離されたA72−TCRを発現するポリクローナルT細胞によって常時誘導された。
【0177】
s24−TCRが腫瘍細胞を選択的に認識するという結論は、少なくともサバイビンエピトープの機能的アラニン置換分析によって支持される。これらの研究は、s24−TCRがサバイビンペプチドとその最も強い相互作用の大部分を確立し、一方で既知の「同胞殺し」A72−TCRはペプチドと交差反応しやすいので、s24−TCRは「同胞殺し」でも自己反応的でもないことを示す。その知見は、生来の交差反応性は、任意のペプチド−MHC複合体における限られた数のホットスポット残基に集中しているようであることを示す以前の研究と一致する(Tynan, et al., 2005; Birnbaum, et al., 2014)。これまでのマウスでの研究から、生理的条件で起こる負の選択はTCRによって認識される異なるリガンドの数を大幅に制限するのでペプチド交差反応性は同種異系の設定でのみ起こることが示された(Huseby, et al., 2003)。交差反応性TCRは負の選択が実験的に制限されているマウスでのみ観察でき、よって標的ペプチド内のアミノ酸置換が「許容されている(accepting)」(Huseby, et al., 2006)。アロ拘束性サバイビンTCRに対比して自己由来のサバイビンTCRの分子認識パターン比較することによって、s24−TCRが天然のサバイビン発現レベルを腫瘍サバイビン発現レベルと識別する能力に関する機構を説明する分子決定因子が特定された。したがって、同種異系TCRレパトアから生成されたサバイビン特異的A72−TCRとともに報告されている「同胞殺し」効果は、活性化されたT細胞の「オンターゲット」認識の閾値が下がることに起因しうるだけでなく、最適ではないペプチド−TCR相互作用による交差反応性ペプチドの「オフターゲット」認識にも起因しうると考えられた。結果として、s24 TCRと比較すると、A72−TCR+T細胞の生体内抗腫瘍機能は、実際にBV173マウスモデルで観察されたように限定されうる。さまざまなTAAを標的にする自己及び同種異系TCRのさらなるセットでの知見を検証することによって、研究が示唆するのは、「オフターゲット」傷害性の可能性のある交差反応性が同種異系レパトアから単離されたTCRのより一般的な課題でありうることである。その知見はトランスジェニックTCRを手段として用いる治療腫瘍標的に幅広い影響をもつ。同種異系若しくは異種レパトア由来のTCR又は実験的に増強されたアフィニティーをもつTCRは、高アフィニティーTCRを得る手段として広く使われてきたが、自己レパトアは依然として有効な方法に変わりない。
【0178】
結論として、本開示は、エピトープ特異性、抗腫瘍活性があり、自己反応性が無いという要件を満たすTCRの異所性発現の手段を用いて、がん免疫療法における標的としてのサバイビンの妥当性を再確立する。このTCRは、MHC−エピトープ複合体の最適で且つ選択的な認識に依存し、腫瘍標的と対比して自己組織上のサバイビン抗原レベルを感知することができる。この方法は、他の共通腫瘍/自己抗原を標的にするさらなるTCRの同定に適応でき、TCR媒介自己反応性を生じるリスクを軽減する。
実施例7
例示的方法
細胞株
【0179】
腫瘍細胞株BV173(B細胞急性リンパ性白血病)はドイツ培養細胞系統保存機関(DSMZ、ブラウンシュヴァイク、ドイツ)から入手し、並びに腫瘍細胞株U266B1(多発性骨髄腫)、K562(赤白血病)、HL−60(急性骨髄単球性白血病)、CEM−T2(TAPトランスポーター欠損)、293T、及び心筋細胞株AC10は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC、バージニア州マナサス)から入手した。細胞は、業者の推奨による10%又は20%ウシ胎仔血清(FBS、ハイクローン)、1%L−グルタミン、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロジェン)を含有する、293T細胞ついてはRPMI1640培地(ハイクローン、サーモサイエンティフィック社、マサチューセッツ州ウォルサム)若しくはIMDM培地(ギブコ、インビトロジェンライフテクノロジーズ、ニューヨーク州グランドアイランド)、又はAC10細胞についてはDMEM/F12培地(ギブコ)を用いて、5%CO
2を含有する加湿雰囲気で37℃にて培養して維持した。以前の記載(Hoyos, et al., 2010)の通りに、BV173細胞株にホタルルシフェラーゼ(FFluc)及びネオマイシン耐性遺伝子をコードするレトロウィルスベクターを形質導入した。K562細胞株を遺伝子操作してHLA−A*0201分子並びに共刺激分子としてCD40L、CD80、及びOX40Lを発現させ、T細胞増殖のための人工抗原提示細胞(aAPC)として使用した(Quintarelli, et al., 2008)。細胞株は、テキサス大学州MDアンダーソンがんセンター特性化済み細胞株コア施設(Characterized Cell Line Core Facility)により認証された。高分解能シーケンスベースタイピング(ヒューストンメソジスト病院、テキサス州ヒューストン)で、AC10細胞はHLA−A*0201
+であることを確認した。
健康な提供者及び白血病患者由来の試料
【0180】
健常ボランティア血液提供者のバフィーコートは、湾岸地域血液センター(Gulf Coast Regional Blood Center)、テキサス州ヒューストンを通して入手した。非特定化された臍帯血(CB)ユニットは、IRB承認プロトコールに基づいてMDアンダーソン臍帯血バンク(テキサス大学、テキサス州ヒューストン)を通して入手した。非特定化されたAML又はCML患者の末梢血(PB)及び骨髄(BM)試料は、地域施設内審査委員会(IRB)承認プロトコール(ベイラー医科大学、テキサス州ヒューストン)に従って採取するか、テキサス小児がんセンター組織バンク(Texas Children' s Cancer Center Tissue Bank)によって提供された。皮膚線維芽細胞は、地域BCM−IRB承認プロトコールに従ってHLA−A*0201+健康な提供者(高分解能シーケンスベースタイピングにより確認、ヒューストンメソジスト病院、テキサス州ヒューストン)から採取し、以前に報告されている通りに(Leen, et al., 2004)生成した。
ペプチド及びアラニン置換実験
【0181】
天然の10merのペプチドであるサバイビン95−104 ELTLGEFLKL(ELT;配列番号15)、そのヘテロクリット性の9merのバリアントサバイビン
96−10497M LMLGEFLKL(LML;配列番号16)、メラノーマ優先発現抗原メラノーマ優先発現抗原(Preferentially Antigen Expressed in Melanoma)(PRAME)P435(P435、NLTHVLYPV[配列番号29])、PRAME P300(P300、ALYVDSLFFL[配列番号30])、MART−1 ELA(ELAGIGILTV[配列番号31])、チロシナーゼYMD(YMDGTMSQV[配列番号32])、及びこれら全てのペプチドの各アミノ酸位置のアラニン置換バリアントは、Genemedmed Synthesis社(テキサス州サンアントニオ)によって合成された。ペプチドはすべてDMSOに再溶解し、他に指示がない限り5μMの濃度で使用した。メラノーマ優先発現抗原(PRAME)P435ペプチド(P435、NLTHVLYPV;配列番号17)又はインフルエンザマトリックスタンパク質
58−66(flu、GILGFVFTL;配列番18)を無関係対照(Quintarelli, et al., 2008)として用いた。トランスジェニックT細胞によるHLA−ペプチド複合体の認識を、ペプチドでパルスしたT2細胞を標的にして用いるIFN−γ ELISpotアッセイによって分析した。
サバイビン特異的T細胞株及びクローンの生成と増殖
【0182】
末梢血単核細胞(PBMC)は、Lymphoprep(Accurate Chemical and Scientific Corp.社、ニューヨーク州ウエストベリー)密度勾配遠心によって単離した。以前に記載されているように(Quintarelli, et al., 2008)、HLA−A2ステータスをフローサイトメトリー(FACS)によって評価し、サバイビン特異的T細胞株をHLA−A2陽性提供者から生成した。簡単に記載すると、樹状細胞(DC)を(CD14
+ビーズ及び手動MACSカラム、ミルテニーバイオテク、カリフォルニア州オーバーンを用いて)CD14で選択した単球から精製し、成熟させた後に5μMの特異的ペプチドで37℃にて2時間パルスした。次にDCを使用して、自己由来のCD8
+T細胞(免疫磁気選択によって得た、ミルテニーバイオテク)を、20:1のエフェクター対標的(E:T)比にて、完全CTL培地(45%クリック培地(アーバイン・サイエンティフィック、カリフォルニア州サンタアナ)、45%RPMI1640、5%加熱不活性化ヒトAB血清(Valley Biomedical、バージニア州ウィンチェスター)、1%L−グルタミン、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロジェン、カリフォルニア州カールズバッド)中で、以前に検証されたサイトカインの組み合わせ(IL−7(10ng/ml)、IL−12(1ng/ml)、及びIL−15(2ng/ml)(Peprotec、ニュージャージー州ロッキー・ヒル又はR&Dシステム、ミネソタ州ミネアポリス)の存在下で刺激した。培養の9日目及び16日目に、IL−7、IL−12、及びIL−15を含有する培地中で、T細胞をペプチドでパルスした人工抗原提示細胞(aAPC)を用いて10:1のE:T比で再び刺激した。以前に記載されている通り(Quintarelli, et al., 2008)、インターロイキン−2(50U/ml)(Teceleukin、ホフマン・ラ・ロシュ社、ニュージャージー州ナットリー)を16日目から培養に加えた。
【0183】
以前に記載されている通りに(Perna、et al., 2013)、単一細胞サバイビン特異的T細胞クローンをLML及びELT反応性T細胞株から限界希釈によって生成した。成長細胞をIFN−γ ELISpotアッセイでサバイビン特異的反応性についてスクリーニングし、同種異系フィーダー細胞、IL−2、及びOKT3(Orthoclone)の存在下でさらに増殖させた。並行して、非特異的な(無関係)クローンを同一提供者から増殖させ、対照とした。増殖させたクローンは、高分解能シーケンスベースタイピング(メソジスト病院、テキサス州ヒューストン)でHLA−A*0201+であることを確認した。PRAME−特異的クローンを同じ方法に従って生成した。
免疫表現型検査
【0184】
細胞を、BDバイオサイエンス(カリフォルニア州サンノゼ)又はベックマン・コールター(カリフォルニア州ブレア)のHLA−A2、CD3、CD4、CD8、CD33、CD34、CD38、CD56、CD45に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗体、フィコエリスリン(PE)結合抗体、ペリジニンクロロフィルタンパク質(PerCP)結合抗体、又はアロフィコシアニン(APC)−結合抗体、サバイビンに対するPE結合抗体(R&Dシステム)、マウスTCR定常β鎖に対するAPC結合抗体(イーバイオサイエンス、カリフォルニア州サンディエゴ)、又はベイラー医科大学MHC四量体作製施設(MHC Tetramer Production Facility)により作製されたPE結合LML若しくはELTサバイビン特異的四量体を用いて染色した。データ取得は、CellQuestソフトウェア(BD)を用いてFACS Caliburで行った。データ分析はFlowJoソフトウェア(Treestar、オレゴン州アシュランド)を用いて行った。
ELISpotアッセイ
【0185】
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、インターフェロン−γ(IFN−γ)ELISpotアッセイを行った。簡単に記載すると、1×10
5個のT細胞/ウェルを3連で播き、次に5μM若しくは示された濃度の特異的ペプチド、又は対応する標的細胞株の1×10
5個の細胞、又は培地のみで刺激した。陽性対照として、T細胞を25ng/mlのホルボールミリスタートアセタート(PMA)(シグマアルドリッチ、ミズーリ州セントルイス)及び1μg/mlのイオノマイシン(シグマアルドリッチ)で刺激した。IFN−γスポット形成細胞(SFC)を数えた(ZellNet、ニュージャージー州フォートリー)。
クロム放出アッセイ
【0186】
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、T細胞の細胞傷害活性を標準的な4時間(ペプチドでパルスしたT2細胞を用いるTCRアビディティー測定のため)〜6時間(腫瘍細胞株、活性化されたT細胞、線維芽細胞、及び心筋細胞の殺作用評価のため)の
51Cr放出アッセイを用いて評価した。標的細胞を培地のみ又は1%トリトンX−100(シグマアルドリッチ)中でインキュベーションして、それぞれ自発的及び最大
51Cr放出を測定した。3連のウェルの特異的溶解の平均%割合を次のように計算した:[(テストカウン−自然カウント)/(最大カウント−自然カウント)]×100%。ブロッキング実験に関して、以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、標的細胞を抗HLAクラスI又はクラスIIブロッキング抗体(DAKO、カリフォルニア州カーピンテリア)で予めインキュベーションした。選ばれた実験では、線維芽細胞及び心筋細胞をIFN−γ(100U/ml)(Peprotech)で予め48時間インキュベーションした後、LMLペプチド(28)の非存在又は存在下で標的にして使用した。
共培養及びサイトメトリービーズアレイ
【0187】
24ウェルプレート中でサイトカインの非存在下において、形質導入又は非形質導入T細胞(1×10
6個/ウェル)を腫瘍細胞株(2×10
5個/ウェル)と5:1のエフェクター対標的(E:T)比で共培養した。培養の5日目、細胞を採取し、CD3及び特異的腫瘍マーカー(BV173についてはCD19、U266についてはCD138、HL−60及びK562についてはCD33)を染色した。CountBrightビーズ(インビトロジェン)を用いて培養中の残存腫瘍細胞をFACSで数えた。共培養上清を培養の24時間後に採取し、特異的サイトメトリービーズアレイ(BD)を製造業者の取扱説明書に従って使用してサイトカインを測定した。
白血病及び正常造血前駆体のコロニー形成単位アッセイ(CFU)
【0188】
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、健康な提供者又は白血病患者のBM、CB、又はPBからの単核細胞(MNC)をサバイビン特異的若しくは非特異的T細胞クローン、又はサバイビンTCR形質導入若しくは非形質導入T細胞と10:1のエフェクター対標的(E:T)比で6時間共インキュベーションし、次に組換えサイトカイン(Methocult H4434 classic、Stem Cell Technologies、ワシントン州タックウィラ)を補充したメチルセルロースベースの培地に2連で播いた。培養の2週間後に、高性能倒立顕微鏡を用いて顆粒球マクロファージコロニー形成ユニット及び赤血球CFUを記録した。
サバイビン特異的TCR遺伝子の単離及びレトロウィルスベクターの生成
【0189】
キアゲン(メリーランド州ジャーマンタウン)のRNeasyキットを用いて、トータルRNAを、サバイビン特異的クローン#24(s24)、#16(s16)から又はPRAME特異的クローンp11、p28、及びp300から単離し、5’RACE PCR(Generacerキット、インビトロジェン)を用いて製造業者の取扱説明書に従ってTCR cDNAをクローニングした。PCR産物をpCR4 TOPOベクター(インビトロジェン)にクローニングし、One Shot TOP10コンピテント細胞(インビトロジェン)を形質転換した。プラスミドDNAを40個の個別コロニーから調製し、20個がTCRα−鎖cDNAを含み、20個がTCRβ鎖cDNAを含んだ。1つのTCR鎖につき10個のプラスミドから全長インサートを配列決定して(Seqwright、テキサス州ヒューストン)、CTLクローンs24のTCR利用を決定した。同定後、ヒトTCR定常領域をマウスTCR定常領域で置換することによってTCR配列を改変し、2A配列を連結し、Geneart(インビトロジェン)でコドン最適化し、最後にSFGレトロウィルスベクターに導入した(
図2A)。A72−TCR(Leisegang、et al., 2010)の天然α鎖及びβ鎖TCR配列を、Geneart(インビトロジェン)でコドン最適化及び合成し、さらに改変することなくSFGレトロウィルスベクターに別々に導入した。MART−1(M1−29及びM1−67)並びにチロシナーゼ(T58)TCR配列(Wilde, et al., 2009)をコドン最適化し、2A配列を連結して、Geneartで合成し、SFGレトロウィルスベクターに導入した。
レトロウイルス上清の生成、T細胞形質導入及び増殖
【0190】
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2007)、一過性レトロウイルス上清を、293T細胞をトランスフェクションすることによって調製し、磁気ビーズ(ミルテニーバイオテク)を用いて健康な提供者のPBMCから単離したCD8
+T細胞に形質導入するのに使用した。形質導入細胞を10%FBSを含有するCTL培地で増殖させ、4:1のE:T比にてサバイビンLMLペプチド積載γ照射(80Gy)aAPC及びIL−2(50U/ml)で週1回刺激した。非形質導入T細胞を10%FBS及びIL2(50U/ml)を含有するCTL培地で維持し、固定化したOKT3及び抗CD28(BD)抗体で再刺激した。
BV173白血病異種移植片モデル及び生体内生物発光イメージング
【0191】
NSGマウス(8〜10週齢)は、ジャクソン研究所(メイン州バー・ハーバー)から購入し、IACUC承認プロトコールに基づいてベイラー医科大学動物施設で維持した。亜致死照射(120cGy)を受けたNSGマウスに3×10
6個のFFluc標識BV173細胞を尾静脈から静脈内輸注した。IVISシステム(Xenogen、Caliper Life Sciences、カリフォルニア州アラメダ)を用いる生物発光イメージング(光子/秒/cm2/sr)によって白血病負荷をモニターした。形質導入T細胞又は非形質導入T細胞(10×10
6/マウス)の計3回のT細胞輸注(2日間隔)を、BV173接種の24時間後(低全身腫瘍組織量モデル;
図5A)又は14〜17日後(高全身腫瘍組織量モデル;
図6A)に後眼窩注射で行った。組換えヒトIL−2(1000U/マウス)を、T細胞輸注の間及びその次の週に、計6回腹腔内投与した。白血病の進行を週1回イメージング及び記録生存期間によってモニターした。有病マウスを犠牲にし、臓器(脾臓、血液、骨髄、リンパ節、肝臓)を白血病細胞及びT細胞の有無についてFACSで分析した。
交差反応性ペプチドに関するExPASy−PROSITE検索
【0192】
ExPASy−PROSITEウェブサーバー(http://prosite.expasy.org/scanprosite/)を使用して、s24及びA72 TCRの比較のために、すべてのUniProtKB/Swiss−Prot登録データ(2013年10月16日のリリース2013_10:登録数541561)内のペプチドモチーフを検索した(登録数546000を含む2014年7月9日のリリース2014_07、全TCRについて)。フィルターはホモサピエンス及び造血系に設定した。
統計的解析
【0193】
データを平均及び標準偏差(SD)でまとめた。スチューデントのt検定を使用して、治療群間の統計的に有意な差を決定した。適切な場合はボンフェローニ法で調整した多重比較を伴った。マウスの白血病進行傾向を経時的に比較するために、各時点の生物発光シグナル強度を対数変換し、反復測定値についてロバスト一般化推定方程式法で解析した。生存分析はカプランマイヤー法を用いてGraphPadソフトウェア(カリフォルニア州ラホヤ)で行った。ログランク検定を使用して、p値<0.05が有意な差であること示すものとして、マウスの群間の統計的有意差を評価した。
参考文献
【0194】
本明細書で言及された特許及び刊行物はすべて、本発明の属する分野の当業者の水準を示す。特許及び刊行物のすべては、それぞれ個別の刊行物が具体的かつ個別に参照により組み込まれると示されるように、同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
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【0195】
本発明及びその利点が詳細に記載されてきたが、さまざまな変更、置換、及び改変が本明細書において添付の請求項に規定される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされうることが理解されるべきである。そのうえ、本願の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、及び工程の特定の実施形態に限定されることは意図されない。当業者なら本発明の本開示から容易に理解するであろうように、現在存在している又は後に開発される、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たす又は実質的に同じ結果を成し遂げるプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又は工程が本発明に従って利用されうる。したがって、添付の請求項は、その範囲内にそのようなプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又は工程を含むことを意図される。