【実施例】
【0113】
実施例1A:HIV‐1xCD3又はHIV‐1xCD16二重特異性分子及び対照二重特異性分子の構築
表2は、設計、発現及び精製された二重特異性ダイアボディのリストを含む。上記二重特異性ダイアボディは、列挙したアミノ酸配列のヘテロ二量体又ヘテロ三量体である。二重特異性ダイアボディの形成方法は、国際公開第2006/113665号、国際公開第2008/157379号、国際公開第2010/080538号、国際公開第2012/018687号、国際公開第2012/162068号、国際公開第2012/162067号、国際公開第2014/159940号、国際公開第2015/021089号、国際公開第2015/026892号及び国際公開第2015/026894号において提供されている。
【0114】
【表2】
【0115】
HIV‐1×CD3二重特異性ダイアボディは、HIV‐1及びCD3に同時に結合できる。HIV‐1×CD16二重特異性ダイアボディは、HIV‐1及びCD16に同時に結合できる。対照二重特異性ダイアボディ(4420×CD3)は、FITC及びCD3に同時に結合できる。対照二重特異性ダイアボディ(4420×CD16)は、FITC及びCD16に同時に結合できる。対照二重特異性ダイアボディ(7B2×4420)は、HIV‐1及びFITCに同時に結合できる。対照二重特異性ダイアボディ(A32×4420)は、HIV‐1及びFITCに同時に結合できる。対照二重特異性ダイアボディ(パリビズマブ×CD3)は、RSV及びCD3に同時に結合できる。
【0116】
表3は、二重特異性分子のいくつかの実施形態の概要を示す。本明細書中の情報は、列挙した二重特異性分子の代替設計のため、並びにこれらの分子からの、CDR又はVH及びVL鎖を用いた、他の二重特異性分子、例えば7B2、CH27、CH28、CH44の設計のために、容易に使用できる。
【0117】
【表3】
【0118】
実施例1C:ADCC活性を有するHIV‐1抗体
モノクローナル抗体。HIV‐1 env gp120定常領域1(C1;n=1)、CD4結合部位(CD4bs;n=3)、及びgp41クラスタ1[Pollara J. Curr. HIV Res.2013; 11(8):378-3870]を指向するものを表す、5つのmAb。全てのmAbは表1に列挙されている。ほとんどのmAbは、Fcγ受容体(Fcγ‐R)IIIaへの結合を最適化するためのShields et alに従ったアミノ酸置換を含むFc領域のための配列を用いて産生された[Shields RL J Biol Chem 2001; 276(9): 6591-6604]。
【0119】
A32 mAbは、HIV‐1 Env gp120のC1領域において立体配座的なエピトープを認識し(Wyatt et al, J. Virol. 69:5723‐5733 (1995))、強力なADCC活性を仲介でき、HIV‐1感染個体において検出可能なADCC仲介型Ab活性の大部分をブロックできた(Ferrari et al, J. Virol. 85:7029‐7036 (2011))。
【0120】
CH28又はCH44は、HIV‐1 CD4 bs中和抗体である。
【0121】
【表4】
【0122】
感染性分子クローン(IMC)。HIV‐1 IMCは、A3R5細胞株を用いた試験に基づいて、様々な程度の中和感受性を有するものを代表する22種の分離株を示した。IMCのリストは表5に報告されている。
【0123】
【表5】
【0124】
全てのIMCは、既に記載されているように、NHL4‐3単離株由来の骨格上に生成された[Edmonds TG. Virology. 2010;408(1):1-13; Adachi A. J Virol. 1986;59(2):284-291]が、サブタイプAE92TH023については、IMCは、40021AE HIV‐1単離株からの骨格を利用して生成された。全てのIMCはRenillaルシフェラーゼレポータ遺伝子を発現し、9つのウイルスオープンリーディングフレーム全てを保持した。Renillaルシフェラーゼレポータ遺伝子は、HIV‐1 Tat遺伝子の制御下で発現した。CD4+T細胞がHIV‐1に感染すると、HIV‐1複製中のTatの発現は、ルシフェラーゼの発現を誘発し、感染細胞は相対発光単位の測定によって容易に定量化できる。
【0125】
抗体依存性細胞毒性(ADCC)アッセイ。このアッセイは、mAbによって仲介される細胞毒性に関する読み出し値として、ルシフェラーゼベースのプラットフォームを用いて、本出願人らが以前に公開した方法に従って実施した[Pollara J. J Virol。 2014; 88(14):7715‐7726]。エフェクタ細胞集団は全て、Fcγ‐R IIIaの158位のアミノ酸に特徴的なヘテロ接合表現型F/Vを有する単一のドナーから得られた。エフェクタ対標的比は、各アッセイにおいて30:1であった。HIV‐1感染個体(A300)由来の血漿、及びパリビズマブ(抗RSV)mAbを、各アッセイにおいて陽性対照及び陰性対照として使用した。全てのmAbを、各IMCに対して共に試験した。特異的殺滅のパーセンテージ(%SK)を、既に報告したように計算した。%SKが>20%であれば、結果を陽性とみなした。
【0126】
ADCC仲介型mAbの効力及び幅。表1に列挙した各mAbを、表2に列挙した22個のIMCそれぞれに対して個別に試験した。結果を評価し、活性が観察された濃度とは無関係に、最大ADCC活性を%SKとして識別した。mAbを、認識されたenv gp120及びgp41領域に基づいてグループ化した。各mAbの陽性応答の平均を
図1で報告する。mAbの大きさ及び幅を表3にまとめる。gp120 C1及びgp41クラスタ1に対する非中和Abは、それぞれ21個(95%)及び20個(91%)のHIV‐1分離株を認識することにより、最も広いADCCスペクトルを提供した。特異的殺滅の平均%(%SK)は、C1 mAbに関して37%、gp41クラスタI mAbに関して34%であった。A32及び7B2の最大%SKの平均は、それぞれ45及び42であった。累積的に、CH44 mAbは、21〜60%SKの活性範囲で試験した単離株の<60%を認識した。
【0127】
【表6】
【0128】
実施例2:二重親和性再標的化(DART)分子A32/CD3及び7B2/CD3による細胞殺滅
二重親和性再標的化分子A32/CD3(配列番号9及び11)並びに7B2/CD3(配列番号13及び15)を設計し、発現させた。これらの分子は、抗HIV‐1モノクローナル抗体(mAb)(tier2伝染/始祖(transmitted/founder:T/F)ウイルス感染CD4T細胞の表面に結合する特性を有するmAb(即ちA32又は7B2)[Ferrari G, J Virol. 2011; 85(14):7029-7036; Pollara J. Curr. HIV Res. 2013; 11(8):378-3870]のFabをベースとして生成されたHIV‐1結合アームと、CD3(αCD3εアーム)又はCD16(αCD16 h3G8アーム)レポータに結合できるエフェクタ細胞結合アームとを含む。HIV‐1又はエフェクタアームの代わりに無関係な結合アーム[αフルオレセイン(4420)又はαRSV]を有する適切な陰性対照も開発した。この実施例において提示される結果は、CD3‐DARTを用いた実験によるものである。
【0129】
ルシフェラーゼベース細胞毒性アッセイ。本発明者らは、既に報告されている最終的な読み取り値として、ルシフェラーゼ活性の検出に基づいて、DARTによって動員された細胞毒性CD8 T細胞によるHIV‐1感染細胞の排除を定量化するための方法を最適化した[Pollara J. J Virol. 2014; 88(14):7715‐7726]。正常かつ健康なHIV‐1血清陰性ドナー由来の、凍結保存した休止PBMCを、抗ヒトCD3(クローンOKT3;eBioscience)/抗ヒトCD28(クローンCD28.2;BD Pharmingen)を用いて、72時間活性化した。続いて、磁気ビーズを用いてCD4+富化細胞集団を得、HIV‐1サブタイプAE(CM235)、B(BaL)及びC(1086.c)を提示するIMCの存在下でスピノキュレート(spinoculate)し、72時間培養した。CD4+感染標的細胞を、33:1、11:1、3:1及び0:1のエフェクタ対標的比で、休止CD8+エフェクタ細胞と共に播種した。組み合わせた細胞に、DART(4420×CD3、7B2×CD3又はA32×CD3)を0.001〜1000ng/mlの濃度で添加し、6時間、24時間及び48時間の時点までインキュベートした。DARTを有しない組み合わせたエフェクタ及び標的細胞、非感染細胞、並びに標的細胞単独を、対照条件として各プレートに含めた。各インキュベーション時間の終わりに、Viviren基質を各ウェルに添加し、細胞をルミノメータで分析し、ルシフェラーゼ読み取り値によってRLU値を測定した。目的の細胞毒性細胞の存在下で、感染標的細胞の排除を、既に公表された適切な処方[Pollara J. J Virol. 2014; 88(14):7715‐7726]を用いて評価した。結果を、ADCCアッセイに関して記載したように、%SKとして報告する。
【0130】
抗HIV‐1 DART仲介型細胞毒性活性。上述の結果に基づいて、抗HIV‐1アームがA32及び7B2 Fab領域であり、エフェクタ細胞結合アームがαCD3εアームである、2つのDARTを生成した。本発明者らはこれら2つのDART分子を、感染CD4+T細胞を認識してこれらの殺滅を仲介する能力に関して研究した。HIV‐1血清陰性ドナーから得られた白血球搬出試料をインビトロで感染させて、既に説明したADCCルシフェラーゼベースアッセイを用いて、「材料及び方法」のセクションにおいて記載したような標的細胞を生成し、これにより、DARTの細胞毒性効果を検出した。本発明者らは、上記2つのCD3‐DART分子(7B2×CD3及びA32×CD3)を、休止CD8+T細胞の細胞毒性をサブタイプB BaL、AE CM235及びC 1086.c HIV‐1 IMC感染自己CD4+T細胞に対して標的転換する能力に関して試験した。本発明者らは、エフェクタ:標的比33、11及び3:1におけるエフェクタ及び標的細胞のインキュベーションの6、24及び48時間後に、DART仲介型細胞毒性を評価した。細胞毒性活性はインキュベーションの6時間後に既に観察されたが、各HIV‐1 IMCに対して33:1のE:T比を用いると、48時間においてピーク細胞毒性活性(>70%SK)が検出された(
図2)。上記2つのHIV‐1 DARTの活性は、4420×CD3対照DARTを用いて観察されたバックグラウンドの最大殺滅よりも常に大きかった。本発明者らはまた、BaL IMC(
図3)に関して図示されているように、各HIV‐1 IMC感染標的細胞集団(これもまた各E:T比のレベルにおいて考察される)に対する上記2つのDARTの用量依存性効力も観察した。
【0131】
33:1のE:Tにおいて48時間で50%の特異的殺滅が検出されたDART濃度(殺滅濃度
50又はKC
50)として、上記2つのDARTの効力の違いも分析した。A32×CD3 DART KC
50は、各HIV‐1 IMCに対して、7B2×CD3 DART KC
50よりも対数でおよそ1桁小さかった(
図4)。
【0132】
これらの結果は、DARTが効果的にCD8+T細胞を動員でき、またCD8+T細胞の細胞毒性活性をHIV‐1感染細胞に向けることができることを示している。
【0133】
実施例3:A32/CD16及び7B2/CD16 DART
二重親和性再標的化分子A32/CD16(配列番号44及び45)並びに7B2/CD16(配列番号25及び27、表2参照)を、実施例6に記載されているように、ルシフェラーゼベース細胞毒性アッセイ、及び休止エフェクタ細胞と共にCD4+感染標的細胞を用いて、分析する。CD16‐DARTアッセイに関しては、エフェクタ細胞はCD16+細胞であり、これは全PBMCからCD3+CD20+細胞を除去することによって精製できる。
【0134】
実施例2に記載のルシフェラーゼベース殺滅アッセイを用いて、CD3‐DARTに関して既に提案したように、増殖性感染のCD16‐DART増強クリアランスの効力及び動態を検査及び比較する。手順は同一であるが、エフェクタ細胞の陰性選択により、CD16+細胞の富化集団が提供される。
【0135】
実施例4:CH28及びCH44 DART
CH28又はCH44の結合特異性を有するHIV‐1アームと、CD3又はCD16を標的とするエフェクタ細胞アームとを有するDART分子を作製し、基本的に実施例2及び3に記載したようなルシフェラーゼベース殺滅アッセイにおいて試験する。CH28又はCH44は、HIV‐1 CD4 bs中和抗体である。2013年9月27日出願の米国仮特許出願第61/883,220号、及びそれに対応するPCT出願を参照。CH28/CD3は配列番号17及び19を備える。CH44/CD3は配列番号21及び23を備える。
【0136】
実施例5:CD13‐及びCD16‐DARTの組み合わせ
上記ルシフェラーゼベース殺滅アッセイを用いて、併用処方中のCD13‐DART及びCD16‐DARTが増強された便益を提供するかどうかを試験する。DARTの組み合わせそれぞれに関して、本発明者らは、3つの異なるFcγ‐R IIIa(CD16)表現型を発現する細胞と、確立されたIMCのパネルとを利用して、CD3+及びCD16+エフェクタ細胞を同時に動員するDARTの能力を試験する。これらの評価は、HIV‐1血清陰性ドナーから回収された白血球搬出試料を用いて実施する。
【0137】
本明細書中に引用される全ての文献及び他の情報源は、その全体が参照によって本出願に援用される。
【0138】
実施例6:二重親和性再標的化(DART)タンパク質は、潜伏HIV感染細胞のT細胞仲介型細胞溶解を指示する
HIV特異性免疫の増強は、潜伏HIV感染を排除するために必要であると思われる。この目的のために、新規の免疫治療モダリティ、即ち2つの異なる細胞表面分子に同時に結合できる二重特異性抗体ベースの分子である、二重親和性再標的化(DART)タンパク質が開発されている。ここで説明されるのは、HIV感染標的細胞に結合することが公知である、幅広く結合するADCC仲介型抗体に由来する1価HIV‐1エンベロープ(Env)結合アームを用いて設計された、HIV×CD3 DARTであり、これは、細胞溶解性エフェクタT細胞に会合するよう設計された1価CD3結合アームに連結する。従ってDARTはポリクローナルT細胞を、異なるHIV‐1サブタイプに感染したCD4
+T細胞を含むEnv発現細胞に特異的に会合してこれを殺滅するよう、標的転換させ、これにより、HIV特異的免疫の必要性を取り除く。抑制性抗レトロウイルス療法(anti‐retroviral therapy :ART)を受けている患者からのリンパ球を用いて、DARTは、HIV‐1株JR‐CSFに重感染した、又はHIV感染患者の休止CD4
+T細胞から単離された自己残存ウイルスに感染した、CD4
+T細胞の、インビトロでのCD8
+T細胞クリアランスを仲介した。重要なことには、DARTは、潜伏ウイルスの発現の誘発後に、休止CD4
+T細胞培養物からのHIVのCD8
+T細胞クリアランスも仲介した。HIV潜伏逆転剤と組み合わせると、HIV×CD3 DARTは、HIV感染個体の潜伏HIV‐1残存をクリアする、効果的な免疫治療剤となる潜在能力を有する。
【0139】
抗レトロウイルス療法(ART)がHIVを根絶できないことは、まず、休止CD4
+T細胞の潜伏感染の実証(1)によって示唆され、次に、強力なARTを受けている患者の休止CD4
+記憶T細胞からの、珍しい完全な自律増殖性(replication‐competent)HIVの回復(2‐4)によって示唆された。現行のARTはHIV感染を根絶できないというのは、これらの長寿命のCD4
+T細胞は、HIV遺伝子又はタンパク質を最小限しか発現しない状態で、持続的に感染したままとなり、また免疫系によって認識されないままとなるためである(1、5、6)。主に中枢記憶T細胞内における、休止状態のHIV感染の持続性は、HIV感染の根絶の主要な障害である(2‐4、7‐9)。
【0140】
ウイルスの持続性は、効果的な一連の新規複製のないウイルス粒子の発現を示し、薬物耐性又は治療の失敗をもたらさないように思われる(12、13)ような、非常に低いレベルの検出可能なウイルスRNAによって、治療された患者のかなりの割合で現れる(10、11)。しかしながら、持続性ウイルス血症は、免疫応答によってHIV‐1感染細胞を認識及びクリアすることができないことを実証している。
【0141】
慢性的に感染した個体は一般に、ARTを撤退させると急速なウイルスのリバウンドを有する(14‐16)。この観察は、患者の免疫系が、更なる介入によって補強されない限り、ウイルス血症を制御できないことを示唆している。従って、治療上の免疫付与は、CD4
+及びCD8
+細胞性免疫応答が比較的保存されたままであるときにARTを開始した個体においてさえも、ARTの不在下でウイルス血症を抑制できる増強された抗HIV免疫の誘発には現在まで成功していない(17)。従って、ARTにもかかわらず持続するHIV感染細胞、及び同様にARTにもかかわらずほとんどの患者に見られる低レベルのウイルス血症の原因である未知の細胞の潜伏プールの除去は、新規で革新的な戦略を必要とする。1つの初期段階、即ち潜伏期の破壊及び潜伏感染した細胞におけるウイルス抗原発現の誘導が、集中的に調査されている(18、19)。しかしながら、潜伏逆転剤(LRA)の開発において早期の進歩が得られているため、持続性感染をクリアする能力の改善も探求する必要がある。
【0142】
潜伏感染細胞は非常に稀であり、たとえ潜在残存が、休止中枢記憶CD4
+細胞10
6個あたり感染細胞約1個という典型的な推定値の60倍も多い場合(20)であっても、現在のLRAは、この集団のごく一部分においてしかプロウイルス転写を誘発し得ず、また提示されるウイルス抗原の量も少なくなり得る(21、22)。従って、低レベルのウイルス血症を産生する細胞及び潜伏状態を離れるよう誘導された休止状態の感染細胞の両方を検出及びクリアするために、新規かつロバストな免疫応答が必要となり得る。
【0143】
潜伏HIVの再活性化後、ウイルス抗原が細胞の表面に提示され、従って抗体又は抗体由来分子によって標的とされ得る。このアプローチの実証概念は、免疫毒素、即ち毒素エフェクタドメインに連結した抗体又はリガンド等の標的化ドメインからなる二重官能性キメラタンパク質によって提供されている(23)。HIV感染個体における、免疫毒素を用いた初期臨床試験は、免疫学的又は臨床的マーカに対して持続的な影響を与えることができなかった(24)が、免疫毒素3B3‐PE38(25)は、BLTヒト化マウスモデルにおいて、ARTにもかかわらず持続するHIV感染細胞のレベルを低下させることが報告されている(26)。
【0144】
いくつかのモノクローナル抗体(mAb)が、HIV‐1感染細胞を認識でき、Fcγ受容体担持細胞に会合して、抗体依存性細胞毒性(ADCC)を仲介できるものとして報告されており(27)、例えばA32及び7B2は、それぞれgp120(28)及びgp41(29、30)中の保存された残基に結合する非中和mAbである。これらの特性に基づいて、2つの二重親和性再標的化(DART)タンパク質(31、32)が生成され、上記タンパク質中では、A32及び7B2 mAbに由来するHIVエンベロープ標的化アームを、ヒト化抗CD3ε mAbであるhXR32に由来するCD3エフェクタアームと組み合わせることによって、2つのHIV×CD3 DART、即ちA32×CD3及び7B2×CD3が生成された(
図10)。
【0145】
T細胞とDART等の抗原発現標的細胞及び二重特異性T細胞エンゲージャタンパク質(BiTE)とを共会合させる二重特異性分子は、主に腫瘍学における使用のために特性決定され、開発されている(31‐34)。これらは、両方の結合アームの会合に依存し、これにより、主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex:MHC)とは独立した様式で、標的細胞を発現する抗原に対して、ポリクローナルT細胞の細胞溶解活性を活性化及び標的転換する(31‐34)。このクラスの二重特異性分子は、mAbに関して典型的に採用されるものよりも何倍も低い用量においてインビボで有効であり(33、34)、また上記二重特異性分子は、再発性又は難治性B前駆細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療のための、CD19×CD3 BiTEであるブリナツムマブの承認によって証明されているように、許容可能な安全性を有しながら臨床的に強力かつ効果的であることが示されている(35、36)。C末端に鎖間ジスルフィド結合を有し、構造的にコンパクトであることによって、標的とエフェクタ細胞との間の安定した細胞間接触を形成するのに非常に好適となったDARTは、並列比較においてBiTEよりも高い効力を示す(32、37)。
【0146】
本明細書において開示されるのは、潜在的な臨床HIV根絶戦略を模倣するために設計されたモデル系において、HIV感染患者の細胞から発生した真正潜伏ウイルス単離株に感染したものを含む、HIV‐1に感染したCD4
+細胞に対してCD8
+T細胞を標的転換する、HIV×CD3 DARTの能力である。感染細胞上の保存されたHIV‐1抗原を認識し、同時にポリクローナルエフェクタT細胞上の受容体と会合する、HIV×CD3 DARTの能力は、既存のHIV特異的細胞毒性エフェクタ細胞を活性化する必要を克服し(38)、従ってCD4
+T細胞の残存の効果的な排除を妨げる大きなハードルを乗り越える。
【0147】
DARTに関するHIVアーム選択。A32 mAbは、(エピトープクラスタA内の)gp120 C1/C2立体構造のCD4誘発性エピトープに結合し(28、39‐41)、また7B2 mAbは、gp41クラスタIの線形エピトープに結合する(29、30、42)。上記2つのmAbを、サブタイプA、AE、B及びCの22個の代表的なHIV‐1感染分子クローン(infectious molecular clone:IMC)のパネルに対して、抗体依存性細胞仲介型細胞毒性(ADCC)を仲介する能力に関して試験した(
図18)。A32 mAbは、平均パーセント特異的溶解(%SL)43.69%(12‐86%の範囲;
図23)で、HIV‐1単離株のうちの21個(95%)を認識した。7B2 mAbは、平均%SL39.58%(15‐74%の範囲;
図23)で、HIV‐1単離株のうちの20個(91%)を認識した。ADCCの仲介の幅広さ及び効率性を有すること、即ちHIV×CD3 DARTに必須の特性である、HIV感染細胞の表面におけるエピトープアクセス可能性を示すことに加えて、A32及び7B2 mAbは、これらのmAbによる結合に影響を及ぼすEnv中の残基が全てのHIV‐1サブタイプにわたって良好に保存されているため、DARTのためのEnv結合ドメインの魅力的な源となる(
図24)。これらの特性に基づき、A32及び7B2 mAbに由来するHIV標的化アームが、ヒト化抗CD3ε mAbであるhXR32に由来するCDエフェクタアームと組み合わせられた、2つのHIV×CD3 DARTが生成された(
図10A‐10C)。これらのHIV×CD3 DARTは、A32×CD3及び7B2×CD3と名付けられる。HIVアーム(4420×CD3、RSV×CD3)又はCD3アーム(A32×4420、7B2×4420)の代わりに、抗FITC抗体(4420)由来、又は呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合タンパク質抗体に対する抗体であるパリビズマブ由来の無関係なアームを有する、対照DARTも生成した。HIVアーム(4420×CD3、RSV×CD3)又はCD3アーム(A32×4420、7B2×4420)の代わりに、抗FITC抗体(4420)由来、又は呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合タンパク質抗体に対する抗体であるパリビズマブ由来の無関係なアームを有する、対照DARTも生成した。
【0148】
HIV DART結合特性。A32×CD3及び7B2×CD3はそれぞれ、ELISAによって示されるように、組み換えヒトCD3及びHIV‐1 Envタンパク質に対する結合を、別個にかつ同時に示した(
図11A‐11C)。CD3タンパク質への結合は両方のDARTに関して同様であるが、JR‐FL gp140 CFに対する結合の大きさは、7B2×CD3に関しての方がA32×CD3に関してより大きく、これは恐らく、立体構造のA32エピトープがより高度にCD4依存性であるという事実によるものである(41‐44)。表面プラズモン共鳴(SPR)に基づき、CD3アーム結合に関する平衡解離定数(K
D)は、A32×CD3及び7B2×CD3に関してそれぞれ3.6及び6.1nMであり、HIVアーム結合に関するK
Dは、M.ConS gp140 CFIを用いてA32×CD3に関して47.7nM、そしてJR‐FL gp140 CFを用いて7B2×CD3に関して15.1nMであった(
図19)。SPR研究において、これら2つのDARTに対して異なるEnvタンパク質を利用したが、これは、JR‐FL gp140 CFに対するA32×CD3結合は不十分であり、またM.ConS gp140 CFIに対する7B2×CD3結合は、gp41クラスタI配列の欠如を理由として排除されるためである。
【0149】
HIV×CD3 DARTは、その細胞表面抗原に特異的に結合する。CD3エフェクタアームを有するDART(A32×CD3、7B2×CD3、4420×CD3)は、ヒトCD3
+T細胞に同様の効率で結合するが、CD3アームを無関係なアームで置換されたDART(A32×4420、7B2×4420)又は2つの無関係なアームを有するDART(4420×4420)は結合しない(
図11D)。HIV×CD3 DART(A32×CD3、7B2×CD3)は、サブタイプAE CM244 Envを発現するHEK293‐D371細胞に効率的に結合し(
図11E)、A32×4420及び7B2×4420対照DARTでも同様の結合活性が観察される(
図25)。予想されるように、4420×CD3対照DARTはこれらの細胞には結合しない(
図11E)。A32×CD3及び7B2×CD3は、Jurkat‐522 F/Y細胞に結合し、これはCD3及びサブタイプB HXBc2 Envの両方を発現し(45)、CD3アームを介した結合は、4420×CD3、A32×CD3及び7B2×CD3結合の等価性によって示されるように、支配的である。CD3アームを無関係な4420アームで置換してCD3結合を切除した場合、細胞表面Envに対する低レベルの結合が、A32×4420を用いると検出されるが、7B2×4420を用いると検出されない(
図11F)。
【0150】
Env発現細胞株のHIV×CD3 DART標的転換T細胞殺滅、及び付随するT細胞活性化。Jurkat 522‐F/Yは、Envを発現し、かつHIV感染CD4
+T細胞のためのモデルとして機能する、ヒトCD4
+細胞株であり、Jurkat‐ΔKSは、Env遺伝子の発現を排除するEnv遺伝子中の欠失/フレームシフト突然変異を除いて同一の、対照細胞株である(45)。これらの細胞株を利用して、HIV×CD3 DARTの、Env
+標的細胞の標的転換T細胞殺滅を仲介する能力を評価した。標的細胞の細胞溶解は、乳酸デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase:LDH)放出を標準的なアッセイで測定することによって決定し、その結果を、ルミネッセンス(luminescence:LUM)アッセイによって確認した。LDH放出アッセイによって測定されるように、A32×CD3及び7B2×CD3は、健康なドナー由来のヒトT細胞を標的転換させて、E:T比10:1において濃度依存的な様式でJurkat‐522 F/Y細胞を殺滅し、これら2つのHIV×DARTは、インキュベーションの48時間後に、50パーセント有効濃度(EC
50)が160‐230pg/mLであるという、同様の効力を示した(
図12A)。Jurkat‐522 F/Y細胞のDART仲介型標的転換T細胞殺滅は、HIVアーム又はCD3アームが無関係なアームで置換された対照DART(4420×CD3、A32×4420、7B2×4420)を用いると発生しなかった(
図12A)。A32×CD3及び7B2×CD3 DARTは、エフェクタT細胞を省略した場合(
図12B)又は標的細胞がEnV発現を欠いていた場合(
図12C)、標的細胞殺滅を仲介しなかった。これらのデータは、Env発現標的細胞及びEnv発現標的細胞とCD3発現エフェクタ細胞の共会合が、HIV×CD3 DART仲介型細胞溶解活性のために厳密に必要であることを実証している。
【0151】
LUMアッセイによって測定されるように、A32×CD3及び7B2×CD3は、Jurkat 522‐F/Y GF細胞の標的転換T細胞殺滅に関して、EC
50値140‐170pg/mLという同様の効力を示し(
図12D)、これはLDH放出アッセイによって測定されたものに近く、これは2つの異なるアッセイのモダリティ間に一貫性があることを示している。更に、LUMアッセイの感受性及び特異性によると、Env
+標的細胞のDART依存性の排除は略完璧であり(>98%)、その一方で4420×CD3対照DARTは細胞毒性を仲介しなかった(
図12D)。HIV×CD3 DART標的転換T細胞殺滅活性は、E:T比依存性であった。7B2×CD3による略完全な細胞溶解は、E:T比10:1及び5:1において、48時間の時点で達成されたが、E:T比1:1における高レベルの細胞溶解(>80%)は72時間まで遅れ(
図12E‐12H)、これは、比較的低いE:T細胞比において、時間が、標的細胞の効率的な排除のための制限因子となることを示唆している。
【0152】
T細胞殺滅活性の標的転換に付随して、HIV×CD3 DARTは、Env
+標的細胞の存在下で(活性化マーカCD25の上方制御によって測定される)T細胞活性化を誘発し、ここでCD25はCD8
+T細胞において、CD4
+T細胞よりも大きく上方制御された(
図26A‐26D)。データ全体は、A32×CD3及び7B2×CD3がT細胞、特にCD8
+T細胞を強力に活性化及び標的転換し、Env発現標的細胞を特異的に殺滅させることを実証している。更に上記殺滅のデータは、FACS分析によるEnv結合の検出が無視できる程度のものであっても、両方のDARTがCD4
+細胞株の表面上のEnv抗原を認識してこれに結合できることを確認するものである(
図13F)。
【0153】
HIV×CD3 DARTは、HIV感染CD4+T細胞の表面に結合し、CD8+T細胞を標的転換して、HIV‐1血清陰性ドナーからのリンパ球を用いてHIV‐1感染CD4+細胞を殺滅させる。A32×4420及び7B2×4420 DARTを、サブタイプAE CM235、サブタイプB BaL、及びサブタイプC 1086.C HIV‐1単離株を提示するHIV‐1感染性分子クローンに感染したCD4
+T細胞に結合してその殺滅を標的転換する能力に関して評価した。各IMCは、感染標的細胞の細胞溶解を定量的に測定するために、ルシフェラーゼレポータ遺伝子を用いて操作した。感染細胞表面Envへの結合を評価するために、(CD3エフェクタアームを欠いた)A32×4420及び7B2×4420 DARTを、親A32及び7B2 mAbと比較した。感染のために用いたHIV‐1 IMCに独立して由来する両方のHIV×CD3 DARTによる、p24
+(感染)CD4
+T細胞の同様の染色(
図27)が観察された。興味深いことに、A32×4420 DARTによる染色は、A32 mAbによる染色を略再現し;対照的に、7B2×4420 DARTは、7B2 mAbによる>24%(24‐38の範囲)の認識に比べて、HIV‐1感染細胞の>66%(66‐78%の範囲)を認識し、これは上記DARTが上記mAbに比べて、クラスタI gp41エピトープに対するより良好なアクセス可能性を有していることを示唆している(
図27)。対照として利用した二次コンジュゲートAb及びパリビズマブmAbは、HIV‐1感染CD4
+T細胞の<5%未満を認識した。
【0154】
次に、A32×CD3及び7B2×CD3の、HIV‐1血清陰性ドナーからのCD8
+T細胞を3つのHIV‐1 IMCに感染した自己CD4
+T細胞に対して標的転換する能力を調査した。上記2つのHIV×CD3 DARTは、自己CD8
+Tエフェクタ細胞を標的転換して、サブタイプB BaL(
図13A)、サブタイプAE CM235(
図13B)及びサブタイプC 1086.C(
図13C)IMC感染CD4
+標的細胞を、濃度依存的な様式で殺滅させたが、その一方で対照DART(4420×CD3)は不活性であった。IMC感染CD4
+細胞を用いたこれらの研究において、7B2×CD3(EC
50〜10ng/mL)に比べてA32×CD3(EC
50≦1ng/mL)がより高い効力を示したことは、Env
+細胞株を用いた研究において同様の効力が観察されたこと(
図12A‐12C)と対照的である。IMC感染CD4
+T細胞のDART仲介型殺滅は、CD8
+エフェクタ細胞の存在に依存しており、これらが存在していない場合、細胞溶解活性は観察されなかった(
図13A‐13C)。時間経過研究では、DART依存性細胞溶解活性は、6時間において明らかであり、48時間において最大活性(>70%の細胞溶解)であった(
図13D‐13F)。
【0155】
DARTによって動員されたエフェクタT細胞がHIV‐1感染標的細胞を殺滅する頻度に関する洞察を得るために、DARTの、細胞溶解活性を検出するために使用したものと同一の条件下で自己HIV‐1 BaL IMC感染CD4
+細胞とコインキュベートした場合に、5体のHIV‐1血清陰性ドナーから得たCD8
+T細胞の脱顆粒化を誘発する能力を評価した。データ分析に採用したゲート戦略の例を
図14A‐14Gに示す。対照条件(HIV×CD3 DARTの不在又は対照DARTの存在)下での生存/CD3
+/CD8
+/CD107
+細胞の平均頻度(
図14H)は、0.38%(標準偏差0.10%;0.24‐0.51の範囲)であり、これは、1ng/mLの7B2×CD3又はA32×CD3の存在下ではそれぞれ平均3.53%(1.5‐6.9%の範囲)又は18.23%(12.30‐23.35%の範囲)まで上昇した。このデータは、HIV×CD3DARTが、Env発現標的細胞(自己HIV‐1感染CD4
+T細胞)の存在下で、休止CD8
+T細胞の脱顆粒化を特異的に誘発できることを実証している。
【0156】
血清陰性ドナーからのJR‐CSF感染細胞に対するHIV×CD3 DART標的転換CD8+T細胞殺滅活性。
HIV gag p24抗原産生を測定するウイルスクリアランスアッセイを、DART標的転換T細胞殺滅活性を評価するための代替的な方法として利用した。健康なドナーからのCD4
+細胞に、HIV‐1クレードBクローンJR‐CSFを重感染させ、100ng/mLのDARTの不在下又は存在下において、E:T比1:1で自己CD8
+T細胞を用いて7日間インキュベートした。2体の異なるドナーを用いた実験では、対照DART(4420×CD3)の添加は、DARTの不在下で実施したインキュベーションに比べてp24産生を有意には低減しなかったが、A32×CD3又は7B2×CD3の添加は、p24産生を同様の程度で有意に低減した(それぞれ72‐96%又は87‐99%;p<0.01ステューデントT検定;
図15A‐15B)。上記ウイルスクリアランスアッセイを、インテグラーゼ及び非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤の存在下でも、感染が確立された後、エフェクタ細胞及びDARTの添加時に、更なる一連の感染をブロックするために実施した。抗レトロウイルス薬(ARV)がアッセイに含まれる場合、A32×CD3及び7B2×CD3は依然として、p24産生の低減への傾向を仲介するが、これは、抗レトロウイルスによるベースラインp24産生のレベルが低いことを恐らく原因として、統計的に有意なものとはならず(
図15C)、これは、上記DARTがウイルス拡散の阻害によってではなく、感染細胞のクリアランスによって作用していることを示唆している。
【0157】
HIV×CD3 DARTは、抑制性ARTを受けている患者のリンパ球を使用して、JR‐CSF‐重感染CD4+細胞をクリアするよう、CD8+T細胞を標的転換させる。慢性ARTは、機能不全及び消耗したT細胞応答を特徴とし(46、47)、従って、生体外での患者試料における強力なDART仲介型T細胞標的転換クリアランス活性の確認が重要である。抑制性ARTを受けている8人のHIV感染個体からのリンパ球を用いたウイルスクリアランスアッセイにおける、HIV×CD3 DARTの活性を評価した。全ての参加者は、ウイルス量<50コピー/mLの研究の時点で少なくとも6ヶ月間ARTを受けていたが、それ以外は多様な臨床的背景を示した(
図20)。
【0158】
HIV‐1血清陽性被験者からのT細胞は、血清陰性被験者からのものに比べてアポトーシスに対する感受性が高い場合があるため、HIV×CD3 DARTが、標的細胞の不在下において、T細胞生存率に影響を及ぼし得るかどうか(これは患者の細胞を用いたDART活性の分析を混乱させ得る)を評価した。ウイルスクリアランスアッセイ条件を模倣した、100ng/mLDARTの存在下での、HIV感染ART抑制患者からのCD4
+又はCD8
+T細胞の7日間の培養の後、アネキシンV/7AAD染色に基づくT細胞生存率の低下(
図28A‐28B)は観察されなかった。更に、HIV×CD3又は対照DARTを用いた培養後、未刺激CD4
+又はCD8
+T細胞上の活性化マーカ(HLA‐DR、CD25)の変化は観察されず(
図28C‐28D)、これは、CD3アームの会合単独では、生体外の患者のCD8
+又はCD4
+T細胞を活性化させないことを示唆している。
【0159】
抑制性ARTを受けている8人のHIV患者からのリンパ球を用いて、ウイルスクリアランスアッセイを実施した。このウイルスクリアランスアッセイでは、CD4
+細胞にHIV‐1 JR‐CSF(標的細胞)を重感染させ、100ng/mLのDARTの不在下又は存在下において、E:T比0:1、1:10又は1:1で自己CD8
+T細胞(エフェクタ)を用いて7日間インキュベートした。HIV×CD3 DART活性は、追加のCD8
+T細胞の不在下でさえ発生し、これは、これらの実験条件下において、CD4
+T細胞をエフェクタ細胞として動員できることを示し;対照と比べて、p24産生は、7B2×CD3(p<0.05)を用いた場合0.89ログ、A32×CD3を用いた場合0.32ログ(p=NS)、及び両方のDARTの1:1混合を用いた場合0.81ログ(p<0.05)だけ低下した(
図16A)。実際のところ、完全に活性のDARTの添加は、感染標的細胞の存在時、CD4+T細胞の脱顆粒化の有意な増大につながった(
図16G、16H)。CD8
+T細胞をエフェクタとして添加すると、1:10のE:TにおいてCD8
+T細胞単独時に見られた0.13ログの低減と比べて更なるp24レベルの低減がもたらされ、p24産生は、7B2×CD3を用いた場合1.2ログ(p<0.05)、A32×CD3を用いた場合0.6ログ(p=NS)、及び2つのDARTの混合を用いた場合1.8ログ(p<0.05)だけ低下した(
図16B)。1:1というより高いE:T非の場合は更に顕著な低減が見られ、CD8単独では0.7ログの低下をもたらすが、p24産生は、7B2×CD3を用いた場合2.8ログ(p<0.05)、A32×CD3を用いた場合1.6ログ(p=NS)、及び2つのDARTの混合を用いた場合2.8ログ(p<0.05)だけ低下した(
図16C)。有意な低減は、いずれの検出可能なベースラインCD8T細胞抗ウイルス活性の不在下でさえ見られ、3つのケースにおいて、DARTを用いたインキュベーション後に、ウイルスは回復できなかった(患者749に対して完全活性DART、並びに患者720及び725に対して7B2×CD3)。HIV gag p24抗原の絶対値を
図21中で提供する。
【0160】
HIV×CD3 DARTはCD8
+T細胞を、抑制性ARTを受けている患者からのリンパ球を用いて自己残存(autologous reservoir:AR)ウイルス重感染CD4
+細胞をクリアするよう、標的転換する。5人の患者からの自己残存(AR)ウイルス感染CD4
+標的細胞を用いたウイルスクリアランスアッセイを用いて、潜伏残存から発生したEnv配列を発現する標的細胞に対してT細胞を標的転換するDARTの能力を評価した(
図16D‐16F)。潜伏ウイルスの再活性化後にインビボで発生し得るウイルスの多様性を考察するために、患者のARウイルス単離株を、マイトジェン刺激休止CD4
+T細胞の限定希釈培養物のプールされた上清から生成した。AR ウイルス単離株の多様性にもかかわらず、JR‐CSF感染標的細胞を用いた場合に見られるDART活性が反映された。CD8
+エフェクタの不在下においてARは感染標的細胞を用いると、中程度の活性が観察され(従ってCD4
+T細胞に属する;
図16D)、p24産生は、7B2×CD3を用いた場合0.32ログ、A32×CD3を用いた場合0.20ログ(p=N.S:7B2×CD3に対する応答の変動が比較的大きいため)、両方のDARTの1:1混合を用いた場合0.51ログ(p<0.05)だけ低減され、その一方で、対照DARTを用いると活性は観察されなかった(
図16D)。ARウイルス感染CD4+標的細胞と自己CD8+エフェクタ細胞との混合物にHIV×CD3 DARTを添加すると、p24産生の低減は大幅に増強された。E:T比1:10では、p24産生は、CD8
+細胞を単独で使用した場合のわずか0.02ログの低減と比較して、7B2×CD3を用いた場合0.51ログ(p<0.05)、A32×CD3を用いた場合0.37ログ、これら2つのDARTの1:1混合を用いた場合0.79ログ(p<0.05)だけ低減された(
図16E)。HIV×CD3 DARTの存在下におけるp24産生の低減への傾向は、1:1というより高いE:T比においても見られるが、効果の大きさは、DARTの不在下で見られる可変ベースラインCD8
+活性だけ低減される(
図16F)。特に生体外DART活性は、2つのHIV×CD3 DARTのうちの少なくとも一方を用いて評価した5人の患者全てからのリンパ球を用いて、及び1:1DART混合を用いた全ての場合において、観察された。
【0161】
HIV×CD3 DARTは、潜在ウイルス発現の誘発後に休止CD4+T細胞からのウイルスをクリアするよう、抑制性ARTを受けているHIV感染個体からのT細胞を標的転換する。最終的に、「衝撃及び殺滅(shock and kill)」HIV根絶戦略において使用される試薬は、潜伏状態から出現する際に低レベルの抗原を発現する可能性がある稀な感染細胞を認識及びクリアしなければならない。既に説明されている潜伏状態クリアランスアッセイ(49)を採用した。このアッセイは、抑制性ARTを受けているHIV感染個体の休止CD4
+T細胞の誘発後のウイルス回復を低減するよう、自己CD8
+T細胞を標的転換する、DARTの能力を測定することを目指している。完全活性DART、又はA32×CD3及び7B2×CD3の1:1混合を、CD8
+T細胞とPHA刺激休止CD4
+T細胞とのE:T比1:10での共培養物に添加すると、6人の患者のうち6人全てにおいてウイルス回復が低減されたが、低減の大きさは患者によって異なっていた(
図17A、22)。
【0162】
インビボでの最大マイトジェン刺激を用いたHIV潜伏の逆転は臨床的に現実的ではない(50)。しかしながら、全体的なT細胞活性化をもたらさない作用剤、例えばボリノスタット(VOR)を用いた潜伏の逆転後のウイルス抗原の提示は、最大マイトジェン刺激後に比べて小さくなり得る。臨床的に関連する文脈でHIV×CD3 DARTを評価するために、潜伏ウイルスエンベロープ発現を誘発するためのインビボでの400mgの単回投薬後に得られたものをモデル化する、VORへの生理学的に関連する曝露(18)を用いた。この設定では、E:T比1:10でのCD8
+細胞及び完全活性DARTの添加は、試験した5人の患者のうち4人において、対照DARTを用いない又は用いる場合のCD8
+細胞と比較して、24時間の共培養期間後のウイルス回復の低減につながった。24時間の共培養期間後にDARTに応答しなかった1人の患者(患者795)においては、共培養期間を24時間から96時間に延長することにより、ウイルス回復の完全な排除が得られた(
図17B、22)。
【0163】
議論
潜在HIV‐1残存の排除における大きなハードルとしては:1)潜伏逆転剤(LRA)による誘発の前又は後における、中程度のHIV抗原レベルを提示する稀なHIV‐1感染細胞を認識する、免疫系の限定された能力(38、51);2)HIV‐1潜伏残存中の、CD8
+細胞毒性Tリンパ球エスケープ突然変異体の存在(52);並びに3)感染細胞が提供する刺激が不十分であることによる、ARTを受けている患者の循環性HIV特異性CD8
+T細胞の頻度の低さ、及び上記循環性HIV特異性CD8
+T細胞を活性化する必要性(38)が挙げられる。本明細書において記載されるのは、HIV×CD3 DARTがこれらの主要な障害のそれぞれを克服し得るというデータである。
【0164】
非中和mAbであるA32及び7B2に由来するHIVアームを有するHIV×CD3 DARTは、細胞表面Env発現が低いように思われる場合であっても、HIV‐1 Env発現細胞株の認識、及び標的転換T細胞殺滅活性の誘発が可能であった。更にHIV×CD3 DARTは、VORへの曝露後のウイルス非保有(aviremic)ART治療患者から得られた休止CD4
+T細胞をクリアするようにCD8
+T細胞を標的転換するにあたって、生体外において有効であった。
【0165】
潜伏残存中に現れるHIV‐1単離株は、CD8
+T細胞応答によって生成されるエスケープ突然変異体を含むことが報告されており(52)、これは、HIV‐1感染細胞をクリアするために自然感染によって誘発されるMHCクラスI制限CD8
+CTL応答を制限し得る。HIV×CD3 DARTのA32及び7B2アームは、それぞれgp120及びgp41の良好に保存された残基と相互作用して、様々なサブタイプのHIV‐1単離株に感染した細胞に対するADCC活性を効率的に仲介する、幅広い応答性を有する非中和抗HIV mAbをベースとしている。なお、A32 mAbエピトープは、シンシチウム形成プロセス中(53)又はtier 2ウイルス感染後(54)に感染細胞の表面上に発現することが知られている最も早いものであり、7B2 mAbエピトープはgp41スタンプにアクセス可能であり、これは、出芽中に感染細胞の表面上に発現して、gp120サブユニットが解離する際に膜表面に保持される(29、55)。これらの特性は、感染細胞の表面に対するA32及び7B2エピトープのアクセス可能性の指標となる。重要なことには、CTLエピトープはDART仲介型標的転換殺滅活性には無関係であるため、CTL突然変異体の存在は制約にはならない。更に、DARTのような二重特異性分子によって動員されるエフェクタT細胞はポリクローナルであり、MHC制限を受けない(33)。これらの主張と矛盾することなく、A32×CD3及び7B2×CD3は、療法の開始前に蓄積され得るいずれのエスケープ突然変異体の存在にもかかわらず、自身の自己残存(AR)ウイルスに感染したCD4
+細胞をクリアするように、患者からのCD8
+T細胞を標的転換させるにあたって、有効であった(52)。興味深いことに、標的細胞として使用されるCD4
+T細胞をインビトロで活性化させると、CD8
+T細胞の不在下でのウイルス回復の特異的低減が観察され、これは、DARTがこれらの特定の実験条件下において、細胞毒性CD4
+T細胞も動員し得ることを示唆している。これらと矛盾することなく、DARTが、Env発現Jurkat‐522 F/Y細胞の存在下においてCD4
+T細胞の活性化を誘発し、HIV陽性個体からの感染自己標的細胞と共培養した場合に、CD4
+T細胞の脱顆粒化を増大させることができることが分かった。細胞毒性CD4
+T細胞は、HIV‐1(56)及びサイトメガロウイルス(57)への応答の文脈において過去に報告されている。有効なDART動員及び細胞毒性CD4
+T細胞の標的転換がインビボ設定で発生するかどうかを決定するために、更なる研究が必要である。
【0166】
A32×CD3及び7B2×CD3 DARTの相対的な効力は、本発明者らの研究において採用した異なる複数の試験系にわたって変化したが、これはEnv発現標的細胞及び/又はエフェクタT細胞の特徴の変化によるものである可能性が最も高い。しかしながら、DARTのうちの一方が他方よりも高い活性を示した場合は常に、感染患者の細胞を用いた研究において2つのDARTの組み合わせを利用した場合(
図16A‐16H及び17A‐17B)におけるより強力なDARTの活性と同様の活性が、一貫して観察された。従って、異なるHIVエピトープを標的とするDARTの組み合わせは、ADCC仲介型(58)又は幅広く中和された抗HIV‐1 mAb(59、60)の組み合わせに関して説明したものと同様に、活性のレベル及び幅広さの両方を最大化するための有利な戦略となり得る。
【0167】
HIV‐1特異的CD8
+T細胞応答による潜伏感染細胞のプールの排除は、感染個体におけるこれらの細胞の頻度の低さ、及びこれらの細胞を休止状態から活性化させる必要によって制限される(38)。過去にHIV‐1抗原に曝露されていないHIV‐1血清陰性個体からの休止CD8
+T細胞を用いると、HIV×CD3 DARTは、殺滅されることになる自己HIV‐1感染標的細胞と共にインキュベートした場合に、これらの休止CD8
+T細胞の最大23%の脱顆粒化を誘発した。またDARTは、ウイルスクリアランスアッセイにおいて抗レトロウイルス療法を受けたHIV‐1血清陽性個体からのCD8
+T細胞も標的転換できた。従ってHIV×CD3 DARTタンパク質は、HIV抗原に対する過去の曝露に関係なく、及び慢性HIV‐1感染において存在し続ける場合があるいずれの機能障害にかかわらず、CD8
+T細胞毒性細胞を効果的に動員及び標的転換できる(46、47、61)。
【0168】
HIV‐1 Env発現標的に対するDART標的転換T細胞活性は、HIV×CD3DART濃度、エフェクタ:標的(E:T)細胞比及びインキュベーション時間に対して依存性であった。上記HIV×CD3 DART分子の各結合アームの1価性によって、標的細胞殺滅が、CD19×CD3及び他のDARTを用いて観察されたように(31、32、34)、エフェクタ/標的細胞の共会合のみに依存することが保証される。HIV×CD3 DART仲介型T細胞活性又は標的転換殺滅活性は、標的細胞上のEnv発現の不在下では観察されなかった。同様に、抑制性ARTを受けているHIV感染患者からのT細胞を用いると、ウイルス感染標的細胞の不在下ではT細胞活性化は観察されなかった。HIV×CD3 DARTは、HIV‐1感染Env発現標的細胞の近傍においてのみ、循環T細胞からの細胞毒性活性を誘発するため、HIV×CD3 DARTは、Env発現標的細胞が稀であることを理由として、ARTを受けているHIV感染患者において、炎症性サイトカイン放出等の広範な全身性効果を誘発することは期待されない。HIV×CD3 DARTが誘発するT細胞標的転換応答の特異性は、HIV感染が、疾患の急性期及び慢性期の両方において、HIV‐1特異的T細胞サブセット及び一般的なCD8+T細胞集団において免疫系の非特異的活性化を誘発することを考慮すると、臨床的に極めて重要である(62‐64)。
【0169】
細胞表面Envを発現するHIV感染CD4
+T細胞は、HIV×CD3 DART標的転換T細胞殺滅活性の主要なインビボ標的である。これらの標的細胞はCD3も発現するため、上記DART分子は、感染CD4
+T細胞と非感染CD4
+T細胞との間のシナプスを仲介でき、これは、感染細胞の殺滅の標的転換ではなく、又は感染細胞の殺滅の標的転換に加えて、未感染細胞へのウイルスの拡散を恐らく促進し得る。しかしながら、DARTはCD8+T細胞の不在下であってもp24産生を低減した(
図16A及び16D)ため、DARTがウイルスの拡散を増強したことを示唆するエビデンスは観察されなかった。
【0170】
要約すると、本明細書に記載の実験は、非中和A32及び7B2 mAb由来のHIVアームを有するHIV×CD3 DARTが、細胞溶解T細胞を:1)HIV‐1 Env発現CD4
+細胞株;2)異なる複数のサブタイプのHIV‐1 IMVに感染した血清陰性個体からの活性化CD4
+細胞;3)JR‐CSF若しくは自己残存ウイルスに感染した、抑制性ARTを受けている血清陽性患者からの活性化CD4
+細胞;又は4)T細胞マイトジェン(フィトヘマグルチニン、PHA)若しくは潜伏逆転剤(ボリノスタット、VOR)に生体外曝露されたHIV感染患者からの休止CD4
+細胞からなる標的細胞に対して標的転換させる特異的かつ強力な作用剤であることを実証した。重要なことには、本研究は、抑制性ARTを受けているHIV感染患者からの自己CD8
+T細胞が、DARTの存在下においてエフェクタ細胞として有効であることを実証した。ボリノスタットの存在下でのHIV×CD3 DART仲介型T細胞殺滅活性の実証は特に注目に値する。というのは、これは、生体外拡張CTLを用いた以前の発見(49)と同様に、見込みのある臨床的HIV根絶戦略を模倣するために設計されたモデル系において、HIV感染患者の細胞から発現される真正潜伏ウイルス単離株に対する活性のエビデンスを提供するためである。従って、開示されているデータは、HIV×CD3 DARTが、「衝撃及び殺滅」HIV根絶戦略における、LRAと組み合わせたインビボでの試験のために、好適な作用剤であることを示している。
【0171】
方法
本発明者らは、本研究の試料の数が比較的限られていることから適切であると見做されたダネットの多重比較検定を用いて、データを再分析した。ここでは、計算されたp値を本文中(14ページ)、及び
図5〜7に関する説明文中に示している。統計的分析のための「方法」のセクションも再び参照した。
【0172】
患者集団。示されているように、白血球搬出試料を、HIV血清陰性ドナー、又は少なくとも6ヶ月にわたって安定したARTを受けている、検出不可能な血漿ウイルス血症(<50コピー/mL)を有するHIV感染ドナーから得た。各患者からは文書によるインフォームドコンセントが得られており、研究はDuke and UNC Biomedical Institutional Review Boardsによって承認された。
【0173】
感染性分子クローン(Infectious Molecular Clones:IMC)。サブタイプB BaL、サブタイプAE CM235及びサブタイプC 1086.CのためのHIV‐1 IMCを、既に説明されているように(65、66)、NHL4‐3単離株由来の骨格を用いて生成した。全てのIMCはRenillaルシフェラーゼレポータ遺伝子を発現し、9つのウイルスオープンリーディングフレーム全てを保持した。Renillaルシフェラーゼレポータ遺伝子は、HIV‐1 Tat遺伝子の制御下で発現した。CD4+T細胞がHIV‐1に感染すると、HIV‐1複製中のTatの発現は、ルシフェラーゼの発現を誘発し、これにより、相対発光単位(RLU)の測定による感染細胞の定量化が可能となる。
【0174】
HIV×CD3 DARTの構築、発現及び精製。このDARTは、2つのポリペプチド鎖:抗CD3のVLが抗HIVのVHに連結した第1のもの;抗HIVのVLが抗CD3のVHに連結した第2のものを共発現するプラスミドから産生された。これら2つのポリペプチド鎖のカルボキシ末端は、ペアになった反対の電荷を有するEコイル/Kコイル二量体化ドメインからなり、これは鎖間ジスルフィド結合を含む(
図10A‐10C)。HIVアーム配列は、非中和mAbであるA32[Genbank登録番号3TNM_H及び3TNM_L]並びに7B2[Genbank登録番号AFQ31502及びAFQ31503]に由来し、またCD3アーム配列は、hXR32、ヒト化マウス抗ヒトCD3εmAbに由来した(L. Huang, L. S. Johnson, CD3‐binding molecules capable of binding to human and nonhuman CD3,米国特許第20140099318号(2014))。対照DARTは同様に、HIV又はCD3特異性を、抗フルオレセインmAb(4420)(67)又は抗RSV mAb(パリビズマブ)(68)からの無関係な特異性によって置換することによって構築された。DARTエンコード配列は、CET1019AD UCOEベクター(EMD Millipore)にクローニングされ、既に説明したように(31)精製されたCHO細胞及びタンパク質にトランスフェクトされた。精製されたタンパク質を(NuPAGE Bis‐Tris gel system, Invitrogen)及び分析用SEC(TSK GS3000SWxL SE‐HPLC,Tosoh Bioscience)で分析した。
【0175】
ELISA。単一特異的結合アッセイのために、重炭酸塩緩衝液中において組み換えタンパク質(ヒトCD3ε/δヘテロ二量体、JR‐FL gp140DCF;(69))でコーティングしたMaxiSorpマイクロタイタープレート(Nunc)を、3%BSA及び0.1%Tween‐20でブロックした。DARTタンパク質を塗布した後、ビオチン化抗EKコイル抗体及びストレプトアビジン‐HRP(BD Biosciences)を順次添加した。二重特異性結合アッセイのために、上記プレートをJRFL gp140ΔCFでコーティングし、DART塗布後、ビオチン化CD3ε/δ及びストレプトアビジン‐HRPを順次添加した。HRP活性を、SuperSignal ELISAピコ化学発光基質(Thermo Scientific)を用いて検出した。
【0176】
SPR分析。抗原に結合するHIV×CD3 DARTを、既に説明したように(31、32)BIAcore 3000 biosensor(GE,Healthcare)で分析した。ヒトCD3ε/δを、製造元の手順に従ってCM5センサチップ上で不動化した。不動化されたCD3に対するDART結合を分析して、CD3アームの特性を評価し、また不動化されたCD3上で捕捉されたHIV DARTに結合するHIV‐1 Envタンパク質を分析して、HIVアームの特性を評価した。JRFL gp140ΔCFを用いて7B2×CD3結合を評価し、M.ConS gp140ΔCFI(69)を用いてA32×CD3結合を評価した。A32×CD3はJR‐FL gp140ΔCFに効率的に結合せず、またM.ConS gp140ΔCFIは7B2×CD3に対するgp41結合部位を有しないため、異なる複数のEnvタンパク質を利用した。結合実験は、10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA及び0.005%P20界面活性剤中で実施した。不動化された受容体表面の再生成を、pH1.5の10mMグリシンのパルス注入によって実施した。K
D値を、Langmuir1:1結合モデルに対する結合曲線のグローバルフィットによって決定した(BIA評価ソフトウェアv4.1)。
【0177】
細胞株。カイアシ類緑色蛍光タンパク質(Copepod Green Fluorescent Protein:copGFP)及びホタルルシフェラーゼ(System Biosciences)の融合タンパク質を構成的に発現するJurkat‐522 F/Y GF細胞を、形質導入及びクローン選択によって、Jurkat‐522 F/YからMacrogenicsにおいて生成した。HIV‐1 CM244(サブタイプAE)gp140のドキシサイクリン誘発性発現を有するHEK293‐D371細胞を、Dr. John Kappes(University of Alabama、Birmingham)から得た。
【0178】
細胞に対するDART又はmAb結合のフローサイトメトリー分析。4μg/mLのDARTを、10%ヒトAB血清を含有する200μLのFACS緩衝液中で、10
5細胞を用いて、室温で30分間インキュベートした。洗浄後、細胞を、100μLの1μg/mLビオチンコンジュゲートマウス抗EK抗体(これはDARTタンパク質のE/Kヘテロ二量体化領域を認識する)中に再懸濁し、1:500希釈ストレプトアビジンPEと混合し、2‐8度において暗所で45分間インキュベートした。細胞を洗浄し、FACS緩衝液を用いて再懸濁し、BD Caliburフローサイトメータ及びFlowJoソフトウェア(TreeStar,Ashland OR)で分析した。正常なヒトドナーからのIMC感染CD4
+T細胞に対する結合は、A32及び7B2 mAbに関して既に説明したように(54)、HIV×4420 DARTに関してビオチンコンジュゲートマウス抗EK抗体及び1:500希釈ストレプトアビジン‐PEを用いて実施した。
【0179】
HIV‐1 Env発現細胞株に対する標的転換T細胞細胞毒性アッセイ及びT細胞活性化の評価。PanT細胞を、健康なヒトPBMCから、Dynabeads(登録商標)Untouched(商標)ヒトT細胞キット(Invitrogen)を用いて単離した。HIV‐1 Env発現細胞株(1‐4×10
5細胞/mL)を、エフェクタ:標的(E:T)比=10:1、又は示されているような可変E:T比においてヒトT細胞と合わせて、DARTの連続希釈によって処理し、37℃、5%CO
2において一晩インキュベートした。細胞毒性を、既に説明したように(32)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出によって測定した(CytoTox96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ、Promega)。Jurkat‐522 F/Y GF細胞株の場合、細胞毒性を、ルシフェラーゼ‐Glo基質(Promega)を用いてルミネッセンスによっても測定した。特異的溶解を、ルミネッセンス計数(RLU)から算出した:細胞毒性(%)=100×(1‐(試料のRLU÷対照のRLU))、ここで対照=DARTの不在下でエフェクタ細胞を用いてインキュベートした標的細胞の平均RLUである。データをシグモイド用量応答関数にフィットさせて、50%有効濃度(EC
50)及びパーセント最大特異的溶解値を得た。アッセイプレート中の細胞をCD8‐FITC、CD4‐APC及びCD25‐PE抗体(BD Biosciences)を用いて標識し、それに続く取得ソフトウェアCellQuest Pro Version 5.2.1(BD Biosciences)を備えたFACS Caliburフローサイトメータによる細胞回収の後、T細胞活性化をFACS分析によって測定した。データ分析を、FlowJoソフトウェア(Treestar, Inc)を用いて実施した。
【0180】
HIV‐1 IMC感染CD4
+細胞に対する標的転換T細胞の細胞毒性アッセイ。正常かつ健康なHIV‐1血清陰性ドナーからの凍結保存休止PBMCを、抗ヒトCD3(クローンOKT3;eBioscience)及び抗ヒトCD28(クローンCD28.2;BD Pharmingen)を用いて72時間活性化させた。続いて、CD4
+富化細胞集団(純度>92.3%;平均±標準偏差95.73±2.6%)を、磁気ビーズ(Miltenyi Biosciences)を用いたCD8
+T細胞の欠失によって得て、HIV‐1サブタイプAE(CM235)、B(BaL)又はC(1086.C)を提示するルシフェラーゼ発現IMCの存在下でスピノキュレートし、72時間培養した。CD4
+感染標的細胞を、1000〜0.0001ng/mLの濃度において、DARTの不在下又は存在下で、E:T比33:1、11:1、3:1及び0:1で、休止CD8
+エフェクタ細胞(自己PBMCからの陰性選択によって単離、CD8
+T細胞単離キット、Miltenyi Biosciences)を用いて6‐48時間インキュベートした。単独の未感染及び感染標的細胞を追加の対照として含めた。各条件を二重試験した。インキュベーション後、ViviRen(商標)生存細胞基質(Promega)を添加し、標的細胞の、ルミノメータで測定されたRLU;パーセンテージ特異的溶解(%SL)を、既に説明したように決定した(58)。
【0181】
T細胞脱顆粒化(CD107)アッセイ。HIV‐1 IMC感染細胞を標的として用いた細胞毒性アッセイに関して記載したように、HIV‐1 BaL IMCに感染したCD4
+細胞を、1ng/mLのDARTの不在下又は存在下において、E:T比33:1で休止CD8
+エフェクタ細胞と共に播種し、6時間インキュベートした。CD4T細胞の脱顆粒化に関して、活性化CD4
+T細胞を、JR‐CSFに感染させて、本発明者らのADCCアッセイにおいて通常利用される(70)生存率(NFL1)及び標的特異性(TFL4)マーカを用いて標識するか、又はDARTの添加前に10:1の比でエフェクタとして標的に添加した。各条件を二重試験した。CD107 PE‐Cy5(クローンH4A3;eBioscience)を滴定し、インキュベーションの最後の6時間の間に、モネンシン溶液(BD GolgiStop)と共に添加した(71)。LIVE/DEAD Aqua染色、抗CD3 APC‐H7(クローンSK7;BD Pharmingen)、抗CD4 BV605(クローンOKT4;Biolegend)、抗CD8 BV650(クローンRPA‐T8;Biolegend)からなる抗体のパネルを用いて、CD107
+CD8
+T細胞を検出した。洗浄及び固定後、続く24時間以内に、カスタムメイドのLSRII(BD Bioscience,San Jose,CA)上で試料を得た。各試験に関して、合計最低300,000件の有望なイベントを取得した。データの分析を、Flow‐Joソフトウェア(Treestar,Ashland,OR)を用いて実施した。
【0182】
T細胞生存率及び活性化アッセイ。HIV感染ART抑制患者から得られたCD8
+T細胞及びCD8欠失PBMCを、示されている100ng/mLのDARTと共に、96ウェルプレートに5×10
4細胞/ウェルで播種した。細胞を、10%のFBS、1%のペニシリン/ストレプトマイシン及び5U/mLのIL‐2を補充したcIMDM媒体0.2mL中で7日間培養した後、以下の抗体を用いて染色した:HLA‐DR‐PerCP(クローンL243)、CD25‐PE(クローンM‐A251)、CD8‐FITC(クローンHIT8a)、CD8‐PE(クローンHIT8a)、CD4‐FITC(クローンRPA‐T4)、並びにアネキシンV‐PE及び7‐AAD(全てBD biosciences,San Jose,CA)。
【0183】
標的転換T細胞ウイルスクリアランスアッセイ。CD8
+T細胞を、陽性選択(EasySepヒトCD8
+選択キット、Stem Cell)によって、PBMCから単離した。まず、CD8欠失PBMCを、2μg/mLのPHA(Remel,Lenexa,KS)及び60U/mLのIL‐2を用いて活性化し、次に90分間の1200xgにおけるスピノキュレーションによって、既に説明したように(47)MOI=0.01において、JR‐CSF又は自己残存ウイルス(AR)に感染させた。ARウイルスは、既に説明したように(72)実施した、各患者に対する休止CD4+T細胞の増生(outgrowth)アッセイからの複製ウェルの、プールされた上清から得た。5万(5×10
4)標的/ウェルを、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシ及び5U/mLのIL‐2を補充したcIMDM媒体0.2mL中で100ng/mLのDARTの不在下又は存在下において、示されているE:T比で、CD8
+T細胞と共に3重に共培養した。抗レトロウイルス薬(ARV)の存在下で実施した実験に関しては、接種の24時間後に細胞を洗浄し、1μMのラルテグラビル及び4μMのアバカビル、続いてDART及びCD8
+T細胞を、培養物に添加した。7日目に、上清をp24ELISA(ABL,Rockville,MD)によってアッセイした、結果を、対数(単に対照としての感染標的細胞のp24を、試験条件のp24で除算する)として算出する。
【0184】
潜伏クリアランスアッセイ(Latency Clearance Assay:LCA)。CD4
+感染細胞からのウイルス回復の低減を、過去に説明されているように(49)、抗ウイルスエフェクタ細胞及び/又は分子の添加後のウイルス非保有(aviremic)ART治療患者の休止CD4
+T細胞を用いた、標準的な定量的ウイルス増生(outgrowth)アッセイによって評価した。この場合、LCAは、臨床的かつ薬理学的に関連する条件下で潜伏残存から出現するウイルスをクリアするDARTの能力をモデル化するために使用された。既に説明されているように(72)、休止CD4
+T細胞を白血球搬出産物から単離して、PHA(4μg/mL)及びIL‐2(60U/mL)に24時間、又はボリノスタット(VOR)(335nM,6時間)(Merck Research Laboratories)に曝露し、0.5〜1×10
6細胞/ウェルで、上記残存の大きさに応じて12〜36個の複製ウェルに播種した。続いてVORを洗い落とし、CD8を1:10のE:Tで、及び指示されたDARTを100ng/mL添加した。細胞を(他の時間を指定されていない限りは)24時間にわたって共培養し、その後、DARTタンパク質を洗い落とし、HIV陰性ドナーからの同種異系CD8欠失PBMCを添加して、残留ウイルスを増幅した。各ウェルに関して、15日目のp24抗原の存在に関して上清をアッセイした。結果を、CD8
+T細胞を添加していない対照に対して平準化された%ウイルス回復[(陽性ウェルの数/播種した合計数)×100]として算出する。
【0185】
統計的分析。グループ間の統計的比較を、GraphPad Prism Softward(La Jolla、CA)を用いたダネットの多重比較検定を用いて分析した。ダネットの多重比較補正を用いて算出されたp値<0.05は、有意であると考えた。ダネットの多重比較検定は、本研究の試料の数が比較的限られていることから、適切であると見做された。
【0186】
実施例6のための参考文献
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