(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-534512(P2017-534512A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】厚さを低減した複数の領域を有する厚さが可変のサイプを備えるタイヤトレッド
(51)【国際特許分類】
B60C 11/12 20060101AFI20171027BHJP
【FI】
B60C11/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-517254(P2017-517254)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月10日
(86)【国際出願番号】US2015053346
(87)【国際公開番号】WO2016054278
(87)【国際公開日】20160407
(31)【優先権主張番号】PCT/US2014/058351
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(71)【出願人】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ローソン ロバート セシル
(72)【発明者】
【氏名】コセ サディ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC02
3D131BC12
3D131BC33
3D131BC51
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3D131ED05U
3D131ED07U
(57)【要約】
本発明は、サイプ(18)の対向する末端間に延びる長さを備え、かつサイプの長さ及び高さに渡って可変である高さ及び厚さを有するサイプを有するタイヤトレッド(10)及びタイヤトレッド(10)の形成方法を含む。サイプ(18)の厚さは、サイプの長さを画定する対向する末端間に配置され、かつ薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる厚肉部を有するサイプ部を含む。薄肉部は実質的に0.2ミリメートル以下の厚さであり、かつサイプの対向する側面の各々に沿った表面積の少なくとも40%を形成し、対向する側面はサイプの厚さの対向する側面に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤトレッドであって、
長さの方向に延びる長さであって、前記長さの方向は前記トレッドをタイヤに配置したときの周方向である長さと、
横方向に延びる幅であって、前記横方向は前記長さの方向に対して垂直である幅と、
前記トレッドの外部地面係合側から深さの方向に延びる厚さであって、前記深さの方向は前記トレッドの前記長さの方向及び前記幅の方向の両方に対して垂直である厚さと、
サイプの対向する末端間に延びる長さ、高さ、及び前記サイプの前記長さ及び前記高さに渡って可変である厚さを有するサイプと、を備え、
前記厚さは前記サイプの長さを画定する前記対向する末端間に配置され、かつ薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる厚肉部を有するサイプ部を含み、
前記薄肉部は実質的に0.2ミリメートル以下の厚さであり、かつ前記サイプの前記対向する側面の各々に沿った表面積の少なくとも40%を形成し、前記対向する側面は前記サイプの厚さの対向する側面に配置される、タイヤトレッド。
【請求項2】
前記厚肉部は少なくとも0.5ミリメートルの厚さである、請求項1に記載のタイヤトレッド。
【請求項3】
第1及び第2のサイプ部の各々の間に、かつそれと流体接続して配置される第1の直立空隙機構をさらに備え、
前記第1の直立空隙機構は主に前記サイプの深さの方向に延び、
前記第1の直立空隙機構は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ前記サイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1又は請求項2に記載のタイヤトレッド。
【請求項4】
前記サイプ部は第1の部及び第2の部を備え、前記第1のサイプ部は第1の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第1の厚肉部を有し、前記第2のサイプ部は第2の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第2の厚肉部を有し、前記第1のサイプ部は前記サイプの長さに沿って前記第2のサイプ部から離間し、前記第1の直立空隙機構は第1のサイプ部と第2のサイプ部との間に配置され、前記第1及び第2の薄肉部は前記サイプの前記対向する側面の各々を画定する表面積の少なくとも40%を共に形成し、前記対向する側面は前記サイプの厚さの対向する側面に配置される、請求項3に記載のタイヤトレッド。
【請求項5】
前記サイプの長さを画定する前記対向する末端間の前記サイプ部に沿って配置される第2の直立空隙機構をさらに備え、
前記第2の直立空隙機構は主に前記サイプの深さの方向に延び、
前記第2の直立空隙機構は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ前記サイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項6】
前記サイプ部は第3の部を含み、前記第3のサイプ部は第3の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第3の厚肉部を有し、前記第3のサイプ部は前記サイプの長さに沿って前記第1及び第2のサイプ部から離間し、前記第2の直立空隙機構は第2のサイプ部と第3のサイプ部との間に配置され、前記第1、第2、及び第3の薄肉部は前記サイプの前記対向する側面の各々を画定する表面積の少なくとも40%を共に形成する、請求項5に記載のタイヤトレッド。
【請求項7】
前記第1のサイプ部と流体接続して配置される第2の直立空隙機構であって、前記第1のサイプ部は前記サイプの長さの方向で前記第1及び第2の直立空隙機構間に配置される、第2の直立空隙機構と、
前記第2のサイプ部と流体接続して配置される第3の直立空隙機構であって、前記第2のサイプ部は前記サイプの長さの方向で前記第1及び第3の直立空隙機構間に配置される、第3の直立空隙機構と、をさらに備え、
前記第2及び第3の直立空隙機構の各々は主に前記サイプの深さの方向に延び、
前記第2及び第3の直立空隙機構の各々は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ各第1及び第2のサイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項8】
主に前記サイプの長さの方向に延びる横空隙機構をさらに備え、前記横空隙機構は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ前記サイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1乃至7の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項9】
前記横空隙機構は前記トレッドの深さの方向で前記サイプの底に配置される、請求項8に記載のタイヤトレッド。
【請求項10】
前記横空隙機構の前記厚さは前記第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々の前記厚さより大きい、請求項8又は請求項9に記載のタイヤトレッド。
【請求項11】
前記横空隙機構は前記サイプの長さの方向で前記第1及び第2のサイプ部の各々に少なくとも架かる、請求項8乃至10の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項12】
前記横空隙機構は前記サイプの実質的に全長に延びる、請求項8乃至11の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項13】
前記横空隙機構は前記第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々と流体接続する、請求項8乃至12の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項14】
前記サイプが複数の起伏を形成するように前記サイプの高さ及び/または幅の方向に延びるとき、前記サイプの前記厚さは前記サイプの厚さの方向に前後に起伏する、請求項1乃至13の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項15】
前記複数の起伏の各々は少なくとも1ミリメートルの振幅を有する、請求項14に記載のタイヤトレッド。
【請求項16】
前記複数の起伏は少なくとも1.0ミリメートルの距離で離間する、請求項1乃至10の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項17】
タイヤトレッドの形成方法であって、前記トレッドは長さの方向に延びる長さであって、前記長さの方向は前記トレッドをタイヤに配置したときの周方向である長さと、横方向に延びる幅であって、前記横方向は前記長さの方向に対して垂直である幅と、前記トレッドの外部地面係合側から深さの方向に延びる厚さであって、前記深さの方向は前記トレッドの前記長さの方向及び前記幅の方向の両方に対して垂直である厚さと、を有し、前記方法は、
請求項1乃至16の何れか1項に記載のサイプを前記トレッドに成形するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照により本明細書に組み込まれる、2014年9月30日に米国受理官庁に出願された国際出願第PCT/US2014/058351号に対して優先権を主張し、かつその利益を享受する。
【0002】
本発明は、一般に、タイヤトレッドに関し、より具体的には、サイプを有するタイヤトレッドに関し、サイプの少なくとも一部は低減した厚さを有する。
【背景技術】
【0003】
特定の状況下で十分な牽引及び操縦を提供するように、トレッドの地面係合側に沿って配置される空隙及び/または不連続部のパターンを含むタイヤトレッドが知られている。例えば、溝は、水、泥、または他の環境材料を中に偏向させてトレッドの表面が地面に係合することをより良く可能にし得る空隙を提供する。空隙/不連続部のパターンを提供することによって、トレッド要素がトレッドに沿って形成され、当該要素の外部は外側が地面(すなわち、タイヤが作動する表面であり、タイヤ作動面とも言う)に係合するとき牽引を提供するようにトレッドの外側に沿って配置される。
【0004】
トレッドの外側とタイヤ作動面との間のスリップの生成に起因して、タイヤ作動中にタイヤトレッドが摩耗することはよく知られている。これは、旋回またはコーナリング操作中に車両が方向を変えるときなど、横牽引力を生成するように車両の走行の方向に対してタイヤの転がり方向が付勢されるときのみでなく、車両が直線に走行するときにも生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある特定の例において、タイヤとタイヤ作動面との間の接触領域であるタイヤのフットプリント内に、一部の例では略閉じた、狭い空隙またはスリットであるサイプを採用することが有益である。例えば、サイプは、雪の中などでの牽引において有益であり得る。しかしながら、サイプは、タイヤトレッドの剛性を低減し得、結果として不要なタイヤの摩耗を生じる。したがって、サイプの厚さを低減することによってトレッドの剛性を増し、それによりタイヤトレッドにサイプの使用を採用したときの摩耗の発生を低減させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特定の実施形態は、サイプの対向する末端間に延びる長さを有し、かつ可変である高さ及び厚さを有するサイプを備えるタイヤトレッドを含む。本発明の特定の実施形態は、その形成方法を含む。
【0007】
サイプを有するタイヤトレッド及びその形成方法についての特定の実施形態は、長さの方向に延びる長さであって、長さの方向はタイヤトレッドをタイヤに配置したときの周方向である長さと、横の方向に延びる幅であって、横の方向は長さの方向に対して垂直である幅と、トレッドの外部地面係合側から深さの方向に延びる厚さであって、深さの方向はトレッドの長さの方向及び幅の方向の両方に対して垂直である厚さと、を備えるタイヤトレッドを含む。サイプは、サイプの対向する末端間に延びる長さを有する。サイプの高さ及び厚さは、サイプの長さ及び高さに渡って可変である。
【0008】
多様な実施形態において、サイプの厚さは、サイプの長さを画定する対向する末端間に配置され、かつ薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる厚肉部を有するサイプ部を含む。ある特定の例において、薄肉部は実質的に0.2ミリメートル以下の厚さであり、かつサイプの対向する側面の各々に沿った表面積の少なくとも40%を形成し、対向する側面はサイプの厚さの対向する側面に配置される。
【0009】
本発明の前記その他の実施形態、物体、特徴及び利点は、同様の符号が本発明の同様の部分を表す添付図に図示するように、本発明の特定の実施形態についての下記のより詳細な記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態による横及び縦溝により分離された複数のトレッドブロックを示すタイヤトレッドの斜視図であり、タイヤトレッドは1つ以上のサイプを含む。
【
図2】本発明の実施形態による
図1に示すサイプを形成するサイプ成形要素の斜視図である。
【
図4】4−4線に沿って切り取った
図2に示すサイプ成形要素の断面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による同じ設計の空隙を有するサイプを形成するサイプ成形要素の斜視図であり、サイプはサイプの底に配置される横空隙機構を含む。
【
図6】本発明の別の実施形態による同じ設計の空隙を有するサイプを形成するサイプ成形要素の斜視図であり、サイプはサイプの底に配置される溝を形成する横空隙機構を含む。
【
図7】本発明の別の実施形態による同じ設計の空隙を有するサイプを形成するサイプ成形要素の断面図であり、サイプは起伏した経路に沿ってサイプの深さの方向に延びる厚さを有する。
【
図8】8−8線に沿って切り取った
図1に示すサイプの一部断面図である。
【
図9】9−9線に沿って切り取った
図8に示すサイプの一部断面図である。
【
図10】
図8及び9のサイプの一側面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、タイヤトレッドの形成方法、タイヤトレッド、及び当該トレッドを含むタイヤを含み、任意のトレッドは厚さが可変の1つ以上のサイプを含む。可変の厚さは、第1の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第1の厚肉部を有する第1のサイプ部と、第2の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第2の厚肉部を有する第2のサイプ部と、を含み、第1のサイプ部はサイプの長さに沿って第2のサイプ部から離間する。1つ以上のサイプを提供するとき、1つのサイプまたは複数のサイプを任意のトレッドに提供し得ると理解される。このようなトレッドを採用することによって、対応するサイプ成形部材の耐久性を犠牲にせずに、局所トレッドの剛性を増すようにサイプのより大きい領域に渡ってサイプの厚さの低減が達成される。これによりタイヤの摩耗を低減し、かつ転がり抵抗を改善し、同時にこのようなサイプのうちの1つ以上の利用により共通して達成されるタイヤ/車両性能の利点を継続して得る。
【0012】
上記の1つ以上のサイプ及び1つ以上のサイプの各々と流体接続する空隙機構を有する本明細書に記載のタイヤトレッドに関して、各トレッドは長さ、幅、及び厚さを含むと理解される。トレッドの長さは長さの方向に延びる。更生作業中などにタイヤと共に、またはタイヤに別個に後付けするようにトレッドが形成され得るとき、例えば、トレッドの長さの方向はトレッドをタイヤに配置したときの周(すなわち、環状)方向である。幅は横方向に延び、横方向は長さの方向に対して垂直であり、厚さはトレッドの外部地面係合側から深さの方向に延び、深さの方向はトレッドの長さの方向及び幅の方向の両方に対して垂直である。例として、例示的タイヤトレッドを
図1に一部示し、タイヤトレッド10は縦溝14及び横溝16により分離された複数のトレッドブロック12を含む。タイヤトレッドは、トレッドの長さL
10、トレッドの幅W
10、及びトレッドの厚さT
10の方向に延びる。各トレッドブロック12は、トレッドの幅W
10の方向に少なくとも一部延びる長さL
18、トレッドの深さT
10の方向に少なくとも一部延び、かつトレッドの長さに対して垂直な高さH
18、及び厚さT
18を各々有する1つ以上のサイプ18を含む。各サイプは、その高さH
18及び長さL
18に対して垂直に延びる幅W
18を有する。
図1に最も良く見られるように、各サイプ18はトレッドの厚さ内のトレッドの対向する側面または表面19間に配置される。任意のサイプは、トレッドの長さの方向に延びるサイプの長さなど、トレッド内に任意の所望の構成で配置され得ると理解される。
【0013】
上記のように、特にサイプに関して、タイヤトレッドの特定の実施形態は、サイプの対向する末端間に延びる長さ、高さ、幅、及びサイプの長さ及び高さに渡って可変である厚さを有するサイプを含む。サイプの長さを画定する対向する末端間に配置され、かつ薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる厚肉部を有するサイプ部によって厚さの可変性を提供する。サイプは、記載のような厚肉部及び薄肉部を有する複数のサイプ部を有すると理解される。例えばある特定の実施形態において、サイプ部は、第1の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第1の厚肉部を有する第1のサイプ部と、第2の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第2の厚肉部を有する第2のサイプ部と、を含み、第2のサイプはサイプの長さに沿って第2のサイプ部から離間する。ある特定の実施形態において、第1の厚肉部は第1の薄肉部の周りに50%、第1の薄肉部の2つの側面に実質的に沿って、第1の薄肉部の周りに少なくとも75%、第1の薄肉部の3つの側面に実質的に沿って、または第1の薄肉部の実質的に周りに延びる。さらにまたは代替的に、他のある特定の実施形態において、第2の厚肉部は、第2の薄肉部の周りに50%、第2の薄肉部の2つの側面に実質的に沿って、第2の薄肉部の周りに少なくとも75%、第2の薄肉部の3つの側面に実質的に沿って、または第2の薄肉部の実質的に周りに延びる。ある特定の例において、第1の直立空隙機構(下記にさらに記載する)は第1及び第2のサイプ部間に配置される。他の変形例において、サイプ部は第3のサイプ部を含み、第3のサイプ部は第3のサイプ部(第1及び第2のサイプ部と関連する上記の任意の手段など)の周りに少なくとも一部延びる第3の厚肉部を有し、第3のサイプ部はサイプの長さに沿って第1及び第2のサイプ部から離間し、第2の直立空隙機構は第2及び第3のサイプ部間に配置され、第1、第2、及び第3の薄肉部はサイプの対向する側面の各々を画定する表面積の少なくとも40%を共に形成する。ある特定の例において、第1の直立部は第1及び第2のサイプ部間に配置され、かつ第2の直立部は第2及び第3のサイプ部間に配置される。
【0014】
それぞれ第1及び第2の薄肉部の少なくとも一部周りに別個に第1及び第2の厚肉部を提供することによって、薄肉部はタイヤトレッド(タイヤ更生作業用にトレッドを生成するためなど、トレッドをタイヤから分離して成形し得るため、タイヤの一部を形成してもよく、または形成しなくてもよい)をサイプ成形部材から脱型するときに生じる脱型力により良く耐えることができるため、さらなるマスはサイプを成形する部材(サイプ成形部材という)中に薄肉部が存在することを許容する強度及び剛性を提供する。サイプの厚さに関して、特定の実施形態において、第1及び第2の薄肉部の各々は第1及び第2の厚肉部の各々より厚いと理解される。例えば、ある特定の実施形態において、厚肉部は少なくとも0.4ミリメートル(mm)の厚さ、0.5mmの厚さ、または0.5〜1.9mmの厚さであり、かつ薄肉部は0.4mm未満の厚さである。特定の変形例において、薄肉部は0.2mm以下の厚さ、または0.1〜0.2mmの厚さである。0.4mmを超える厚肉部を提供することによって、サイプ成形部材がサイプの薄肉部及び/またはサイプのより大きい表面積を形成する薄肉部を、すなわち0.2mm以下の厚さで生成することを可能にし得る、さらなる強度及び剛性を提供する。第1及び第2の薄肉部の各々の大きさに関して、特定の実施形態において、第1及び第2の薄肉部は、サイプの対向する側面の各々に沿って、またはそれを画定する表面積の少なくとも40%を共に形成し、対向する側面はサイプの厚さの対向する側面に配置される。他の変形例において、薄肉部は、サイプの対向する側面の各々に沿って、またはそれを画定する表面積の上方に、またはその少なくとも60%を形成する。
【0015】
図2乃至
図4を参照すると、図のサイプ18の例示的実施形態は、
図1に示す各サイプを表すが、図のサイプがサイプ成形部材により形成された成形空隙を表す空隙であるときサイプ形成部材118をも表す。特に、サイプの長さ及び高さの方向に延びる可変厚さT
18を有するサイプ18を示す。厚さの可変性は、第1の薄肉部22の周辺周りに少なくとも一部延びる第1の厚肉部21を有する第1のサイプ部20、及び第2の薄肉部26の周辺周りに少なくとも一部延びる第2の厚肉部25を有する第2のサイプ部24により少なくとも提供され、第1のサイプ部はサイプの長さL
18に沿って第2のサイプの部から離間する。当然ながら、第1の薄肉部22は第1の厚肉部21の厚さT
21より小さい厚さT
22を有し、第2の薄肉部26は第2の厚肉部25の厚さT
25より小さい厚さT
26を有する。第1の厚肉部21は周辺PE
22に沿って第1の薄肉部22を完全に囲み、第2の厚肉部25は周辺PE
26に沿って第2の薄肉部26を完全に囲むことは、
図2、3において明らかである。また、
図3において、第1及び第2の薄肉部が図のサイプの側面の側面に沿った表面積の少なくとも40%を共に形成し、図の側面はサイプの厚さを画定する1組の対向する側面のうちの1つを表すことは明らかであると留意される。
【0016】
対応するサイプ成形部材にさらなる強度及び剛性を提供するために、より狭いサイプの厚さを形成及び/または狭いサイプの厚さのより大きい領域または範囲を形成するように厚さを低減した領域を提供する目的で、サイプ成形部材は、ある特定の例において1つ以上の直立空隙機構を備える1つまたは複数の厚くなった成形部を含む。特定の実施形態において、第1の直立空隙機構は、第1及び第2のサイプ部の各々の間に、かつそれと流体接続して配置される。第1の直立空隙機構は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつサイプ部の厚さより大きいサイプの厚さの方向に延びる任意の厚さを備え得る。ある特定の例において、上記のように、第1の直立空隙機構は第1及び第2のサイプ部間に配置される。他の例において、上記のように、第2の直立空隙機構をさらに提供し、第1の直立空隙機構は第1及び第2のサイプ部間に配置され、かつ第2の直立空隙機構は第2及び第3のサイプ部間に配置される。各場合において、第1及び第2の直立空隙部はサイプの長さの末端の各々から離間する。第1及び第2の直立空隙部はサイプの長さの対向する末端間のサイプの長さに沿って中間配置されると言える。
【0017】
さらなる例示的実施形態において、第1及び第2のサイプ部の各々の間に、かつそれと流体接続して配置される第1の直立空隙機構、第1のサイプ部と流体接続して配置される第2の直立空隙機構であって、第1のサイプ部はサイプの長さの方向で第1及び第2の直立空隙機構間に配置される第2の直立空隙機構、及び第2のサイプ部と流体接続して配置される第3の直立空隙機構であって、第2のサイプ部はサイプの長さの方向で第1及び第3の直立空隙機構間に配置される第3の直立空隙機構を形成するように構成される。流体接続は、1つの空隙機構により形成される空隙が対応するサイプ部の空隙に直接接続することを内包する。
【0018】
任意の実施形態において、第1、第2、及び第3の直立空隙機構のいずれも、かつその各々は、主にサイプの高さ(すなわちサイプの深さ)の方向でその長さに沿って延びる。この長さの延長は、任意の直線または非直線経路に沿って生じ得る。非直線経路は、曲線であり得、またはジグザグ経路など複数の直線区画から形成され得る弓形または起伏のある経路を含み得る。主にサイプの高さの方向に延びるとき、延長の平均方向をサイプの長さ、深さ及び幅の方向に延びるベクトルに分離させると、サイプの高さの方向に延びるベクトルは異なるベクトルの中で最も大きい。他の実施形態において、第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々は、主にトレッドの厚さの方向に延びるように記載され得る。タイヤに沿ってトレッドを配置したとき、この主な方向は半径方向である。第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々の厚さに関して、特定の実施形態において、各々は第1及び第2のサイプ部の厚さより大きいサイプの厚さの方向に延びる厚さを有する。さらに特定の実施形態において、第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々の厚さは少なくとも実質的に0.6ミリメートルである。より薄いまたはより厚い、他の厚さを採用してよい。また、各直立空隙機構は、任意の成形断面を有するなど、任意の手段で成形され得、かつ連続的に、不連続的に、またはサイプの一部または全部の高さに延び得ると理解される。
【0019】
例として、
図1乃至
図4の実施形態を再度参照すると、複数の直立空隙機構をサイプ18内に示す。特に、サイプ18は、第1及び第2のサイプ部20、24の各々の間に、かつそれと流体接続して配置される第1の直立空隙機構30を含む。また、サイプ18は、第1のサイプ部20と流体接続して配置される第2の直立空隙機構32であって、第1のサイプ部はサイプの長さL
18の方向で第1及び第2の直立空隙機構30、32間に配置される第2の直立空隙機構32と、第2のサイプ部24と流体接続して配置される第3の直立空隙機構34であって、第2のサイプ部はサイプの長さL
18の方向で第1及び第3の直立空隙機構30、34間に配置される第3の直立空隙機構34と、を含む。第1、第2、及び第3の直立空隙機構30、32、34の各々は、主にサイプの高さH
18の方向に延び、かつ第1及び第2のサイプ部の厚さT
20、T
24より大きいサイプの厚さT
18の方向に延びる厚さT
30、T
32、T
34を有する。最後に、直立空隙機構30、32、34の各々は、サイプの高さH
18全体に連続して直線経路に沿って延びる長さL
30、L
32、L
34を有し、かつ円形または半円形の断面を有すると留意される。第1の直立空隙機構はサイプの長さの対向する末端の間に、かつそこから離間してサイプに沿って中間配置され、第2及び第3の直立空隙機構の各々はサイプの長さの対向する末端の各々に配置されると留意される。これらの第2及び第3の直立空隙機構は任意であり、かつ1つ以上の直立空隙機構がサイプの長さに沿って中間配置されるか否かに関わらず、ある特定の実施形態に含まれない場合がある。
【0020】
また、対応するサイプ成形部材にさらなる強度及び剛性を生成し得、サイプ成形部材の特定の実施形態は、主にサイプの長さの方向に延びる横空隙機構を含む。主にサイプの長さの方向に延びるとき、延長の平均方向をサイプの長さ、深さ及び幅の方向に延びるベクトルに分離させると、サイプの長さの方向に延びるベクトルは異なるベクトルの中で最も大きい。横空隙機構は、第1及び第2のサイプ部の厚さより大きいサイプの厚さの方向に延びる厚さを有する。さらに特定の実施形態において、横空隙機構は実質的に0.6ミリメートルに少なくとも等しい厚さを有する。
【0021】
横空隙機構は、任意の成形断面を有するなど、任意の手段で成形され得、かつ連続的に、不連続的に、またはサイプの一部または全部の長さに延び得ると理解される。ある特定の例において、横空隙機構はサイプの長さの方向で第1及び第2のサイプ部の各々に少なくとも架かる。他の例において、横空隙機構はサイプの実質的に全長に延びる。横空隙機構は第1、第2、及び第3の直立空隙機構の任意の組み合わせと直接接続してもよく、またはそうでなくてもよく、ある特定の例において、横空隙機構は第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々と流体接続する。また、横空隙機構はサイプの高さに沿って任意の位置に配置され得ると理解される。例えば、ある特定の例において、横空隙機構はトレッドの深さの方向でサイプの底に配置され、すなわちサイプの高さによりオフセットされる外部地面係合側の下に沈水する。横空隙機構の厚さは任意の大きさであり得、特定の実施形態において、第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々の厚さより大きい。
【0022】
例として、
図5及び
図6を参照して、異なる横空隙機構を異なる実施形態において示す。
図5において、主にサイプの長さL
18の方向に延びる横空隙機構40を示す。横空隙機構40は、第1及び第2のサイプ部20、24の厚さT
20、T
24より大きいサイプの厚さT
18の方向に延びる厚さT
40を有する。図の実施形態において、横空隙機構40の長さL
40は、サイプの長さL
18の方向で第1及び第2のサイプ部20、24の各々に及び、かつサイプの実質的に全長L
18に延びる。その際、横空隙機構40は、第1、第2、及び第3の直立空隙機構30、32、34の各々と直接接続(流体接続)する。トレッドの深さの方向でサイプ18の底に配置される横空隙機構を示す。
図6に示す実施形態を参照すると、横空隙機構40の厚さT
40は、例えば沈水した溝を提供するように、第1、第2、及び第3の直立空隙機構30、32、34の各々の厚さより大きい。
【0023】
サイプの任意の、かつ全ての特徴は、サイプの強度及び剛性を増すように任意の方向で任意の直線または非直線経路に沿って延び得ると理解される。非直線経路は弓形または起伏のある経路を形成し得る。起伏のある経路は、曲線経路、またはジグザグ経路など複数の線区画から形成される経路を形成し得る。例えば、ある特定の例において、サイプが複数の起伏を形成するようにサイプの高さまたは幅の方向に延びるとき、第1及び第2のサイプ部を含むサイプの厚さは、サイプの厚さの方向に前後に起伏する。
図7を参照すると、例示的実施形態は、サイプが複数の起伏50を形成するようにサイプの高さ(起伏のある経路Pに沿って)の方向に延びるとき、サイプの厚さまたは幅の方向で前後に起伏する第1及び第2のサイプ部20、24を共に含むサイプ18及びその厚さT
18を示す。また、他の変形例において、サイプがサイプの長さの方向に延びるとき(さらに、または代替的に)、サイプの厚さは起伏し得る。任意の起伏のある経路について、複数の起伏の各々は任意の所望の振幅及び間隔を有し得る。例えば、ある特定の例において、複数の起伏は少なくとも1ミリメートル(mm)または少なくとも2mmの振幅を有し、及び/または3.5mm以下または少なくとも1.0mmの距離で離間する。
【0024】
さらに、サイプを配置するトレッドの対向する側面の間の表面摩擦を増し、かつその間の連動を改善する目的で、本明細書に記載され、または考慮される任意のサイプに表面の形状を加え得る。その結果、摩耗、ドライ制動及び転がり抵抗の改善を達成し得る。さらに、新規の表面形状はサイプ成形部材の剛性を増すため、成形部材に沿ってより幅の広いサイプ形成領域を増し得、及び/またはサイプ形成領域の厚さを低減し得、その各々は摩耗、ドライ制動及び転がり抵抗のさらなる改善を達成し得る。
【0025】
任意の所望のサイプに適用するための、そのためサイプを配置及び画定する対向するトレッドの側面または表面のうちの1つまたは両方に適用するための表面形状に関して、結果として生じる形状は、凹凸面のように平面または非平面あるいは起伏のある表面を形成する複数の突起及び/または凹部を含む表面形状機構を提供し、その結果、サイプを配置するトレッドの対向する側面は、タイヤ作動中に2つの側面間の相対移動を試みたとき摩擦の増加を観察する。また、サイプの表面形状を適用するとき、複数の起伏、つまりサイプの本体に表面形状を適用する。離間した突起は突起間に配置される間質腔を形成し、間質腔は突起に対して凹部であると理解される。当然ながら、その逆の例も同様にあり、離間した凹部は凹部間に配置される間質腔を形成し、間質腔は凹部に対して突起である。したがって、突起及び凹部は互いを参照して使用され、かつ各々が表面に沿って形成される方法に関しては使用されない。さらに、サイプの突起は対向する側面または表面のうちの1つの対応する凹部と関連付けられることが留意される。ある特定の実施形態において、例えば対向する側面が互いの対向に反映されるときなど、対向する側面に配置される表面形状機構が一般に連動するように表面形状機構は形成される。
【0026】
図8乃至
図10を参照すると、サイプ18を配置及び画定するトレッド10の対向する側面または表面19のうちの1つに沿って、複数の突起60及び対向する凹部62を備える表面形状機構を示す。複数の突起60及び凹部62は、サイプの長さ及び高さに沿って離間する。図の変形例において、突起及び凹部は均一に離間するが、他の変形例において、突起及び/または凹部は必要に応じて均一に、または不均一に離間し得る。略滑らか、または丸い起伏のある表面を形成する突起60及び凹部62の配置を示すが、突起が円柱、長方形または尖った円錐を形成するなど、表面が滑らかな起伏でないように、より画定された突起及び/または凹部を提供してもよいと考えられる。特定の実施形態において、
図8〜10に示す滑らかな、または丸い起伏のある表面は、少なくともその一部に沿ってf(x、y)=A
*sin(B
*x)*sin(C
*y)の関数により表される複数の均等に離間した突起60及び凹部62を備え、A、B及びCは縮尺係数である。特に、B及びCは突起及び凹部間の周期または間隔を制御し、AはB及びCを含む突起の振幅及び凹部の深さを制御する。図にも表されたこの関数により生成された表面は、卵箱のような表面を生成する。また、特定の位置の2つの垂直方向で起伏のある経路に沿って延びる滑らかな、または丸い起伏のある表面を記載する。したがって、必要に応じてA、B及びCを変化させることによって、当業者の1人が当該式を使用して本明細書に記載する表面形状を得ることができる。特定の実施形態において、複数の突起60は1つの突起の中心から隣接する突起の中心に、または先端から先端に離間し、かつ0.025〜0.375ミリメートル(mm)、または他の変形例では0.025〜0.25mmを測定する高さ(振幅とも言う)を有する。高さまたは振幅は突起の基部または底から測定される。ある特定の実施形態において、複数の突起はサイプの厚さが一般的に起伏する第1の経路P1の振幅A
P1の2倍未満である距離で離間する。振幅の2倍とは、振幅×2という意味であり、振幅または高さは突起の基部または底から測定される。さらに特定の変形例において、突起及び凹部は、0.1〜3.0mm、0.1〜2.0mm、または0.1〜1.0mmの周期(1つの突起の中心から隣接する突起の中心に、または先端から先端に離間する)及び0.025〜0.375mm、または他の変形例では0.025〜0.250mmの振幅を有する複数の起伏を形成する起伏のある経路に沿って配置されるこれらの実施形態において、振幅の2倍とは、単一の周期内で起伏に沿って対向する先端間の距離という意味である。起伏はサイプの他のサイプの側面に影響を与えずに表面に沿って形成され得、またはサイプの厚さは起伏のある経路に沿って起伏があり得、その結果、突起がサイプの一側に形成される場所で、凹部はサイプの他のサイプの側面の突起に対向して形成されると理解される
【0027】
図8乃至
図10を続けて参照すると、サイプの厚さまたはサイプの本体が延びる起伏のある経路P1に対して、サイプまたは隣接するトレッドの表面に沿って突起60及び凹部62を形成する起伏のある経路についての振幅A
S及び周期P
Sを示す。起伏のある経路P1の振幅及び周期はそれぞれA
P1及びP
P1として表される。また、トレッドの対向する側面を合わせ構造で配置するように、サイプの長さ及び高さに沿って突起と凹部が互い違いの配置で配置されるものとして突起及び凹部の配置を記載され得る。さらに、任意の行の各突起を各隣接する行(列)の凹部に隣接して配置するように隣接する行を互いに対して移行させる、複数の行内に互い違いの配列で配置されるものとして突起及び凹部の配置を記載し得る。
【0028】
本明細書に記載の任意の1つまたは複数のサイプは、同様の形状のサイプ成形部材を使用したタイヤトレッドの形成方法でタイヤトレッドに成形され得ると理解される。本方法において、タイヤトレッドは上記の長さ、幅及び厚さを有する。特定の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の任意の変形例のサイプ及び空隙をトレッドに成形するステップを含む。上記のように、サイプ成形部材は、
図1〜10の任意の例示的実施形態において示すように、トレッドに形成される空隙の形態をとり得る。さらなるステップは、同様の形状の空隙を提供するようにサイプ成形部材を除去するステップを含み得る。
【0029】
本明細書に記載する任意のトレッドは、当業者の1人に公知の任意の技術またはプロセスにより、環状空気タイヤに沿って配置され得、またはタイヤカーカスに後付けするためのタイヤの部品としてタイヤから別個に形成され得ると理解される。例えば、本明細書で記載及び参照されるトレッドは、新規の元のタイヤと共に成形され得、または更生作業中に使用されたタイヤカーカスに後付けするための更生として形成され得る。したがって、タイヤトレッドを参照すると、タイヤトレッドの縦方向は、トレッドをタイヤに取付けたときのタイヤの周方向と同義である同様に、トレッドの幅の方向は、トレッドをタイヤに取付けたときのタイヤの軸方向またはタイヤの幅の方向と同義である。最後に、トレッドの厚さの方向は、トレッドをタイヤに取付けたときのタイヤの半径方向と同義である。本発明のトレッドは、例えば空気または非空気タイヤを備え得る任意の公知のタイヤで採用され得ると理解される。
【0030】
本明細書に記載のトレッド機構のいずれも、任意の手動または自動プロセスを含み得る任意の所望の方法によりタイヤトレッドに形成され得ると理解される。例えば、中の任意のまたは全ての不連続部がトレッドと共に成形され得、または任意の手動または自動プロセスを使用して後でトレッドに切断され得る、トレッドを成形し得る。また、1組の対向する不連続部の任意の1つまたは両方は、最初からトレッドの外部地面係合側に沿って、かつそれと流体連通して形成され得、またはトレッドの厚さが摩耗され、またはタイヤの寿命中に除去された後にトレッド要素を後で形成するように、トレッドの外部地面係合側の下に沈水し得ると理解される。
【手続補正書】
【提出日】2017年5月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤトレッドであって、
長さの方向に延びる長さであって、前記長さの方向は前記トレッドをタイヤに配置したときの周方向である長さと、
横方向に延びる幅であって、前記横方向は前記長さの方向に対して垂直である幅と、
前記トレッドの外部地面係合側から深さの方向に延びる厚さであって、前記深さの方向は前記トレッドの前記長さの方向及び前記幅の方向の両方に対して垂直である厚さと、
サイプの対向する末端間に延びる長さ、高さ、及び前記サイプの前記長さ及び前記高さに渡って可変である厚さを有するサイプと、を備え、
前記サイプの厚さは前記サイプの長さを画定する前記対向する末端間に配置され、かつ薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる厚肉部を有するサイプ部を含み、
前記薄肉部は実質的に0.2ミリメートル以下の厚さであり、かつ前記サイプの対向する側面の各々に沿った表面積の少なくとも40%を形成し、前記対向する側面は前記サイプの厚さの対向する側面に配置される、タイヤトレッド。
【請求項2】
前記厚肉部は少なくとも0.5ミリメートルの厚さである、請求項1に記載のタイヤトレッド。
【請求項3】
第1及び第2のサイプ部の各々の間に、かつそれと流体接続して配置される第1の直立空隙機構をさらに備え、
前記第1の直立空隙機構は主に前記サイプの深さ高さの方向に延び、
前記第1の直立空隙機構は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ前記サイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1または2のいずれか一項に記載のタイヤトレッド。
【請求項4】
前記サイプ部は第1のサイプ部及び第2のサイプ部を備え、前記第1のサイプ部は第1の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第1の厚肉部を有し、前記第2のサイプ部は第2の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第2の厚肉部を有し、前記第1のサイプ部は前記サイプの長さに沿って前記第2のサイプ部から離間し、前記第1の直立空隙機構は第1のサイプ部と第2のサイプ部との間に配置され、前記第1及び第2の薄肉部は前記サイプの前記対向する側面の各々を画定する表面積の少なくとも40%を共に形成し、前記対向する側面は前記サイプの厚さの対向する側面に配置される、請求項3に記載のタイヤトレッド.
【請求項5】
前記サイプの長さを画定する前記対向する末端間の前記サイプ部に沿って配置される第2の直立空隙機構をさらに備え、
前記第2の直立空隙機構は主に前記サイプの高さの方向に延び、
前記第2の直立空隙機構は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ前記サイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項6】
前記サイプ部は第3のサイプ部を含み、前記第3のサイプ部は第3の薄肉部の周辺周りに少なくとも一部延びる第3の厚肉部を有し、前記第3のサイプ部は前記サイプの長さに沿って前記第1及び第2のサイプ部から離間し、前記第2の直立空隙機構は第2のサイプ部と第3のサイプ部との間に配置され、前記第1、第2、及び第3の薄肉部は前記サイプの前記対向する側面の各々を画定する表面積の少なくとも40%を共に形成する、請求項5に記載のタイヤトレッド。
【請求項7】
前記第1のサイプ部と流体接続して配置される第2の直立空隙機構であって、前記第1のサイプ部は前記サイプの長さの方向で前記第1及び第2の直立空隙機構間に配置される、第2の直立空隙機構と、
前記第2のサイプ部と流体接続して配置される第3の直立空隙機構であって、前記第2のサイプ部は前記サイプの長さの方向で前記第1及び第3の直立空隙機構間に配置される、第3の直立空隙機構と、をさらに備え、
前記第2及び第3の直立空隙機構の各々は主に前記サイプの深さ高さの方向に延び、
前記第2及び第3の直立空隙機構の各々は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ各第1及び第2のサイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項8】
主に前記サイプの長さの方向に延びる横空隙機構をさらに備え、前記横空隙機構は、実質的に0.6ミリメートル以上であり、かつ前記サイプ部の前記厚さより大きい前記サイプの厚さの方向に延びる厚さを有する、請求項1乃至7の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項9】
前記横空隙機構は前記トレッドの深さの方向で前記サイプの底に配置される、請求項8に記載のタイヤトレッド。
【請求項10】
前記横空隙機構の前記厚さは前記第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々の前記厚さより大きい、請求項8又は請求項9に記載のタイヤトレッド。
【請求項11】
前記横空隙機構は前記サイプの長さの方向で前記第1及び第2のサイプ部の各々に少なくとも架かる、請求項8乃至10の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項12】
前記横空隙機構は前記サイプの実質的に全長に延びる、請求項8乃至11の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項13】
前記横空隙機構は前記第1、第2、及び第3の直立空隙機構の各々と流体接続する、請求項8乃至12の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項14】
前記サイプが複数の起伏を形成するように前記サイプの高さ及び/または幅の方向に延びるとき、前記サイプの前記厚さは前記サイプの厚さの方向に複数の起伏を形成するように前後に起伏する、請求項1乃至13の何れか1項に記載のタイヤトレッド。
【請求項15】
前記複数の起伏の各々は少なくとも1ミリメートルの振幅を有し、及び/または前記複数の起伏は少なくとも1.0ミリメートルの距離で離間する、請求項14に記載のタイヤトレッド。
【国際調査報告】