特表2017-534586(P2017-534586A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-534586キラルγ−第二級アミンアルコールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-534586(P2017-534586A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】キラルγ−第二級アミンアルコールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/00 20060101AFI20171027BHJP
   C07C 215/30 20060101ALI20171027BHJP
   C07C 217/72 20060101ALI20171027BHJP
   C07D 317/58 20060101ALI20171027BHJP
   C07D 333/20 20060101ALI20171027BHJP
   C07D 307/14 20060101ALI20171027BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20171027BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171027BHJP
【FI】
   C07C213/00
   C07C215/30
   C07C217/72
   C07D317/58
   C07D333/20
   C07D307/14
   C07B53/00 B
   C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-516135(P2017-516135)
(86)(22)【出願日】2015年9月23日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】CN2015090359
(87)【国際公開番号】WO2016045589
(87)【国際公開日】20160331
(31)【優先権主張番号】201410503201.3
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI JIAO TONG UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 万斌
(72)【発明者】
【氏名】張 振鋒
(72)【発明者】
【氏名】胡 秋鵬
【テーマコード(参考)】
4C022
4C023
4C037
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4C022CA07
4C023CA04
4C037CA10
4H006AA02
4H006AC41
4H006AC81
4H006AD17
4H006BA24
4H006BA48
4H006BA61
4H006BB12
4H006BB14
4H006BB17
4H006BB25
4H006BB42
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC19
4H006BE12
4H006BE20
4H006BJ20
4H006BJ30
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM72
4H006BM73
4H006BN10
4H006BP30
4H006BU36
4H039CA60
4H039CB20
(57)【要約】
本発明は、溶媒に下記一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩、塩基、金属塩添加剤及びジホスフィン−ロジウム錯体を添加して、水素雰囲気中で反応して、下記一般式(2)で表されるキラルγ-第二級アミンアルコール化合物を得ることを特徴とするキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法を提供する。

[一般式(1)及び一般式(2)において、Arは置換基を有するか又は有しないアリール基を示し、Rはアルキル基又はアリールアルキル基を示し、HYは酸を示す。]
本合成プロセスは簡単で、金属塩添加剤がロジウム触媒不斉水素化の技術的な効果を著しく向上させ、反応収率及び生成物の光学的な純度を向上させ、生産プロセスを簡略化させ、生産コストを低下させ、産業化バッチ生産に非常に適合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒に下記一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩、塩基、金属塩添加剤及びジホスフィン−ロジウム錯体を添加し、水素雰囲気中で反応して、下記一般式(2)で表されるキラルγ-第二級アミンアルコール化合物を得ることを特徴とするキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【化1】
[一般式(1)及び一般式(2)において、Arは置換基を有するか又は有しないアリール基を示し、Rはアルキル基又はアリールアルキル基を示し、HYは酸を示す。]
【請求項2】
一般式(1)及び一般式(2)において、
Arは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-エトキシフェニル、3-エトキシフェニル、4-エトキシフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2-ヨードフェニル、3-ヨードフェニル、4-ヨードフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-トリフルオロメチルフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-フリル、2-チエニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-メチレンジオキソフェニルから選ばれるいずれかの一種であり、
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ベンジル基から選ばれるいずれかの一種である、請求項1に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項3】
一般式(1)において、
HYは、塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸及びヘキサフルオロアンチモン酸から選ばれるいずれかの一種である、請求項1に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項4】
前記ジホスフィン−ロジウム錯体は、[Rh(L)(L')]Xであって、その中、
Lは、下記の(R,R)-QuinoxP*、(R,R)-BenzP*、(R,R)-Miniphos、(S,S)-BisP*、(S,S)-QuinoxP*、(S,S)-BenzP*、(S,S)-Miniphos、(R,R)-BisP*から選ばれるいずれか一種のキラルジホスフィン配位子であり、
【化2】
L'は、1,5-シクロオクタジエン又は2,5-ノルボルナジエンから選ばれるいずれかの一種の補助的なジエン配位子であり、
Xは、SbF6-又はBF4-から選ばれるいずれかの一種のアニオンである、請求項1に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項5】
前記ジホスフィン−ロジウム錯体と一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩とのモル比率は、ジホスフィン−ロジウム錯体/一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩=1/200〜1/20000である、請求項1又は2に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項6】
前記金属塩添加剤は、酢酸亜鉛、塩化セリウム、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、塩化銅、酢酸銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化銅、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化鉄又は塩化アルミニウムから選ばれるいずれかの一種である、請求項1又は2に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項7】
前記塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、又はカリウム tert-ブトキシドから選ばれるいずれかの一種である、請求項1又は2に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項8】
前記溶媒は、極性溶媒である、請求項1又は2に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項9】
前記溶媒は、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はトリフルオロエタノールから選ばれるいずれかの一種又は二種以上である、請求項8に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【請求項10】
水素雰囲気の水素圧力が10〜100barであり、反応温度が-20〜100℃であり、反応時間が1〜48時間である、請求項1又は2に記載のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法に関する。具体的には、金属塩添加剤によりジホスフィン−ロジウム錯体触媒系活性を向上し、触媒的不斉水素化技術によりキラルγ-第二級アミンアルコールを製造する合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キラルγ-第二級アミンアルコール骨格は、多種の薬物分子及び生理活性分子に広く存在しており、例えば、デュロキセチン、フルオキセチンなどである。塩酸デュロキセチン(Duloxetine)は、化学名が(S)-N-メチル-3-(1-ナフトキシ)-3-(2-チエニル)-1-プロピルアミン塩酸塩であり、米国のイーライリリー社(Eli Lilly)で開発した、5-ヒドロキシトリプタミンや、ノルエピネフリンの再取込みに対する阻害剤であり、臨床では主に抑うつ症及び不安症の治療に使用されている。2013年でのグローバル売上げは約50億米ドルであり、広い市場を持っている。現在、この薬は特許保護の期限が切れ、一部の薬物生産者はすでに生産許可を得た。
【0003】
今、キラルγ-第二級アミンアルコールを得るのは、主にラセミ体を分割する方法によるが、伝統的な分割の技術では、収率が50%未満であり、多量の異性体の利用が容易ではなく、コストの上昇や環境の汚染が起きてしまう。不斉水素化技術によりγ-アミンアルコールを合成する研究は少ない。1991年、Achiwa教授は、はじめて、(2S, 4S)-MCCPMを触媒として用いて、β-第二級アミンケトンを触媒水素化して、γ-第二級アミンアルコールを不斉合成し、90.8%のee値を得られたことを報告した(a) S. Sakuraba, K. Achiwa, Synlett 1991, 689. b) S. Sakuraba, K. Achiwa, Chem. Pharm. Bull. 1995, 43, 748.)(非特許文献1及び2)。2005年、張緒穆教授は、DuanPhos-Rhを触媒として用い、β-第二級アミンケトン基質に対する触媒的不斉水素化を報告した。その中、ee値が99%に達し、TONが4500を超える(D. Liu, W. Gao, C. Wang, X. Zhang, Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1687)(非特許文献3)。
【0004】
しかしながら、従来技術には、キラルγ-第二級アミンアルコールである生成物が、N原子の強配位作用のため、触媒不活性化及びβ-第二級アミンケトン基質の不安定性を起きてしまい、β-第二級アミンケトンの不斉水素化は困難になる。また、従来技術に含むキラルγ-第二級アミンアルコール合成ステップが長く、分割剤による分割が必要であるが、用いる分割剤は高価で、腐食性がある問題も有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Synlett 1991, 10, p.689-690
【非特許文献2】Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 1995, 43, p.748-753.
【非特許文献3】Angewandte Chemie International Edition, 2005, 44, p.1687-1689
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に存在するいろいろな欠点を解決するために完成されたものである。
【0007】
本発明は、初めて、一連の金属塩添加剤の添加により、生成物である窒素及び酸素原子のジホスフィン−ロジウム錯体触媒に対する競争的な配位を低下し、触媒の循環効率を向上して、従来技術における当該タイプの化合物の競争的な配位の弊害を解消して、根本的に触媒の循環効率を向上して触媒の反応活性及び鏡像異性体の選択性を向上する目的を達成した。
【0008】
即ち、本発明の最も重要な発明ポイントは、本発明者らは、初めて、金属塩添加剤がジホスフィン−ロジウム錯体のβ-第二級アミンケトンに対する触媒的不斉水素化を促進できることを発見したことであり、これにより本発明を完成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る製造方法によれば、合成効率が向上され、鏡像異性体の選択性が高く、合成コストが低下されて、キラルγ-第二級アミンアルコールの産業化合成を実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の技術方案により完成されるものである。
【0011】
本発明は、溶媒に下記一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩、塩基、金属塩添加剤及びジホスフィン−ロジウム錯体を添加し、水素雰囲気中で反応して、下記一般式(2)で表されるキラルγ-第二級アミンアルコール化合物を得ることを特徴とするキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法を提供する。
【化1】
[一般式(1)及び一般式(2)において、Arは置換基を有するか又は有しないアリール基を示し、Rはアルキル基又はアリールアルキル基を示し、HYは酸を示す。]
本発明に係る製造方法において、好ましくは、一般式(1)及び一般式(2)において、Arは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-エトキシフェニル、3-エトキシフェニル、4-エトキシフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2-ヨードフェニル、3-ヨードフェニル、4-ヨードフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-トリフルオロメチルフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-フリル、2-チエニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-メチレンジオキソフェニルから選ばれるいずれかの一種であり、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ベンジル基から選ばれるいずれかの一種である。
【0012】
本発明に係る製造方法において、好ましくは、一般式(1)において、HYは、塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸及びヘキサフルオロアンチモン酸から選ばれるいずれかの一種である。
【0013】
本発明に係るキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法において、好ましくは、ジホスフィン−ロジウム錯体は[Rh(L)(L')]Xであって、その中、Lは、下記(R,R)-QuinoxP*、(R,R)-BenzP*、(R,R)-Miniphos、(S,S)-BisP*、(S,S)-QuinoxP*、(S,S)-BenzP*、(S,S)-Miniphos、(R,R)-BisP*から選ばれるいずれか一種のキラルジホスフィン配位子であり、
【化2】
L'は、1,5-シクロオクタジエン(「cod」と簡単に称する)又は2,5-ノルボルナジエン(「nbd」と簡単に称する)から選ばれるいずれかの一種の補助的なジエン配位子であり、Xは、SbF6-又はBF4-から選ばれるいずれかの一種のアニオンである。
【0014】
本発明に係るキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法において、好ましくは、前記ジホスフィン−ロジウム錯体と一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩とのモル比率は、ジホスフィン−ロジウム錯体/一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩=1/200〜1/20000である。
【0015】
本発明に係るキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法において、好ましくは、前記金属塩添加剤は、酢酸亜鉛、塩化セリウム、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、塩化銅、酢酸銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化銅、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化鉄又は塩化アルミニウムから選ばれるいずれかの一種である。
【0016】
本発明に係るキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法において、好ましくは、前記塩基が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、又はカリウム tert-ブトキシドから選ばれるいずれかの一種である。
【0017】
本発明に係るキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法において、好ましくは、溶媒は極性溶媒であり、より好ましくは、溶媒は、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はトリフルオロエタノールから選ばれるいずれかの一種又は二種以上である。
【0018】
本発明に係るキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法において、好ましくは、前記水素雰囲気の水素圧力が10〜100barであり、反応温度が-20℃〜100℃であり、反応時間が1〜48時間である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法は、下記の反応式で表される。
【化3】
本発明に係るγ-第二級アミンアルコール化合物の製造方法において、反応の前後に、一般式(1)及び一般式(2)におけるAr及びRは変化しない。
【0020】
一般式(1)において、HYは酸を示す。HYで表される酸として、第二級アミン基と酸付加塩を形成でき各種の酸を使用することができ、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸などが挙げられる。言い換えれば、本発明に係る製造方法において、一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩として、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、サリチル酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩などが使用される。
【0021】
一般式(1)及び一般式(2)において、Arは置換基を有する又は有しないアリール基であり、その中、アリール基として、フェニル、ナフチル及びフリル、チエニルなどの複素環アリール基が挙げられる。また、これらのアリール基の置換基として、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化基、ハロゲン化アルキル基などが挙げられ、アリール基においてそれらの置換基の数が一つ又は二つ以上であってもよく、また、アリール基においてそれらの置換基が環になってもよい。本発明におけるArの具体例として、例えば、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-エトキシフェニル、3-エトキシフェニル、4-エトキシフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2-ヨードフェニル、3-ヨードフェニル、4-ヨードフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-トリフルオロメチルフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-フリル、2-チエニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-メチレンジオキソフェニル(即ち、Ar = 3,4-OCH2OC6H3-)などが挙げられる。
【0022】
一般式(1)及び一般式(2)において、Rはアルキル基又はアリールアルキル基を示し、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又はアリールアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基である。Rの具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ベンジル基などが挙げられる。
【0023】
本発明に係る製造方法において、ジホスフィン−ロジウム錯体 [Rh(L)(L')]Xは触媒である。その中で、Lは、下記(R,R)-QuinoxP*、(R,R)-BenzP*、(R,R)-Miniphos、(S,S)-BisP*、(S,S)-QuinoxP*、(S,S)-BenzP*、(S,S)-Miniphos、(R,R)-BisP*から選ばれるいずれかの一種のキラルジホスフィン配位子である。
【化4】
L'は、1,5-シクロオクタジエン(「cod」と簡単に称する)又は2,5-ノルボルナジエン(「nbd」と簡単に称する)から選ばれるいずれかの一種の補助的なジエン配位子であり、Xは、SbF6-又はBF4-から選ばれるいずれかの一種のアニオンである。
【0024】
本発明に係る製造方法において、塩基は特に制限されない。本分野において公知的な塩基であって、本発明の触媒的不斉水素化反応が行われる塩基であればよい。ただし、コストや実際的な入手の易しさの観点からすると、本発明に使用される塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム又はカリウム tert-ブトキシドなどが好ましい。
【0025】
本発明に係る製造方法において、水素雰囲気の水素圧力は特に制限されない。本発明の触媒的不斉水素化反応が行われる水素圧力であればよい。ただし、反応収率や反応効率の観点から、水素雰囲気の水素圧力を10〜100barに設定し、好ましくは20〜80barに設定し、より好ましくは20〜50barに設定する。
【0026】
本発明に係る製造方法において、溶媒は特に制限されなく、当該溶媒に反応原料が溶解でき、且つ本発明の触媒的不斉水素化反応が行われる溶媒であればよい。ただし、反応収率や反応効率の観点から、溶媒は極性溶媒が好ましい。その中に、好ましくは、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はトリフルオロエタノールから選択される一種又は二種以上の溶媒である。二種以上の溶媒の混合溶媒として、必要に応じて、溶媒種類や配合比率を適当に選択すればよく、特に制限されない。
【0027】
本発明に係る製造方法は、攪拌方式で行うことができ、攪拌速度に対して特に制限しなく、本発明の反応が進めればよい。
【0028】
本発明に係る製造方法において、反応温度及び反応時間は特に制限されなく、本発明の反応が進めればよい。ただし、反応収率や反応効率の観点から、反応温度を-20〜100℃、好ましくは0〜50℃、より好ましくは25〜50℃、さらに好ましくは25〜30℃に設定し、また、反応時間を1〜48時間、好ましくは1〜24時間、より好ましくは6〜24時間、さらに好ましくは12〜24時間に設定すればよい。
【0029】
本発明に係る製造方法において、金属塩添加剤は、酢酸亜鉛、塩化セリウム、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、塩化銅、酢酸銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化銅、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化鉄及び塩化アルミニウムなどから選ばれるいずれかの一種である。
本発明に係る製造方法において、好ましくは、モル比で、(一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩:塩基:金属塩添加剤)は1:(0.5〜2.0):(0.1〜2.0)、好ましくは1:(0.5〜2.0):(0.1〜1.0)、より好ましくは1:(0.5〜1.0):(0.5〜1.0)、特に好ましくは1:1:1である。
【0030】
本発明に係る製造方法において、好ましくは、モル比で、(ジホスフィン配位子-ロジウム錯体/一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩)は1/200〜1/20000、好ましくは1/500〜1/20000、より好ましくは1/1000〜1/20000、さらに好ましくは1/2000〜1/20000、特に好ましくは1/10000〜1/20000である。
【0031】
本発明に係る製造方法による生成物であるγ-第二級アミンアルコール化合物の主な立体配置は、製造方法に使用される触媒(即ち、ジホスフィン配位子-ロジウム錯体)の立体配置による決定される。言い換えれば、触媒の立体配置が決めている場合、本発明に係る製造方法による生成物の主な立体配置も決められる。本発明に係る製造方法による生成物(即ち、一般式(2)で表されるキラルγ-第二級アミンアルコール)の主な立体配置はR立体配置又はS立体配置である。
【0032】
従来のキラルγ-第二級アミンアルコールの製造方法に比べると、本発明の製造方法は、反応条件が温和で、後処理が簡素化で、キラル触媒が容易に合成され且つ性質が安定で、基質適用性が強くて、生成物の収率が大幅に向上されるなどの利点を有している。特に、金属塩添加剤を使用しなくて触媒のみを使用する製造方法に比べると、本発明に係る製造方法によれば、生成物の収率が大幅に向上される。また、本発明に係る製造方法によれば、生成物の鏡像異性体の過剰率は最高的に99%に達し、光学的な純度が高い。本発明は、キラルγ-第二級アミンアルコールの産業化生産に適切な方法を提供する。
【実施例】
【0033】
以下、本発明に係る製造方法について、具体的な実施例を示す。本発明の保護範囲は以下の実施例に限定されるものでないことは明らかである。
【0034】
以下の実施例において、基質(即ち、一般式(1)で表されるβ-第二級アミンケトンの酸付加塩)を1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、1j、1k、1l、1m、1n、1o、1pで表し、それに対応して、生成物(即ち、一般式(2)で表されるγ-第二級アミンアルコール化合物)を2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i、2j、2k、2l、2m、2n、2o、2pで表す。
また、以下の実施例において、収率は、下記の計算式に基づいて算出して得られた数値である。
【数1】
【0035】
また、鏡像異性体の過剰百分率(以下、「ee値」と簡単に称する)は、理論的には以下の式に基づいて算出して得られる値である。
鏡像異性体の過剰百分率%=[|[S]-[R]|/([S]+[R])]×100%
その中、[S]はS立体配置の鏡像異性体である生成物の量であり、[R]はR立体配置の鏡像異性体である生成物の量である。
【0036】
以下の実施例において、鏡像異性体の過剰百分率は、キラルHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定する。HPLC測定に用いられる機器は島津社のLC-2010であり、具体的な操作条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-H、Daicel Chiralpak AD-H又はDaicel Chiralpak OJ-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン/イソプロパノール(体積比)=90/10〜97/3であり、移動相の流速が0.5〜1.2mL/minであり、検出波長が222nmである。
【0037】
また、以下の実施例において、合成した生成物に対して、全部核磁気共鳴水素スペクトル(1H-NMR)及び核磁気共鳴炭素スペクトル(13C-NMR)データを測定し、文献に報告されない化合物に対してさらに高分解能マススペクトル及び赤外分光データを測定する。
また、以下の実施例において、合成後の各生成物に対していずれもNMR分析及びHPLC分析を行ったが、同一の生成物に対しては、便宜上、最初に現れた時だけを具体的に記載し、以後の記載は省略する。
【0038】
本発明の実施例において、核磁気共鳴分析に用いられる機器はVarian社のMercury Plus-400(400MHz, 1H; 100MHz, 13C) Spectrometerであり、高分解能マススペクトル機器は米国Waters社のQ-TOF Premierであり、赤外分光測定に用いられる機器はPerkinElmer Spectrum 100 FT-IR Spectrometerであり、比旋光度測定に用いられる機器はRudolph Research Analytical Autopol VI Automatic Polarimeter(用いる検出光の波長が589nm、光路長が50mm)である。
【0039】
実施例1
【化5】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの [Rh((S,S)-BenzP*)(cod)]SbF6触媒、803mgの N-メチル-3-カルボニル-3-フェニルプロピルアミン塩酸塩(基質1a)、277mg炭酸カリウム、241mg硫酸マグネシウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤=2000:1:1000:1000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2mL脱ガスした酢酸エチルを加え、最後に水素圧力を50barに調整して、50℃で1時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2=20/1)により、淡黄色の油状の生成物2aが得られ、生成物2aの収率が80%であった。
【0040】
生成物2aの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.38-7.31(m, 4H), 7.26-7.21(m, 1H), 4.93(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.04(br s, 2H), 2.92-2.81(m, 2H), 2.44(s, 3H), 1.91-1.73(m, 2H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 145.4, 128.4, 127.1, 125.8, 75.6, 50.6, 37.3, 36.3.
【0041】
生成物2aのアミン基をアセチル化して、下記3aで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3aのee値が92%である。よって、生成物2aのee値が92%であることが分かった。
【化7】
【0042】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)=95:5であり、移動相の流速が1.0mL/minであり、tmajor=44.0 min、tminor=66.3 minである。
【0043】
化合物3aのNMR測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.37(m, 5H), 4.67(t, J=6.4Hz, 0.2H), 4.54(d, J = 7.2Hz, 0.8H), 4.53(br s, 1H), 4.10-4.03(m, 0.8H), 3.50-3.34(m, 0.4H), 3.13-3.07(m, 0.8H), 2.99(s, 2.3H), 2.89(s, 0.7H), 2.08(s, 2.3H), 2.06(s, 0.7H), 1.94-1.90(m, 1H), 1.85-1.77(m, 1H);
13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 172.3, 144.2, 128.9, 128.5, 128.1, 127.3, 125.8, 71.6, 70.1, 47.6, 44.8, 37.5, 36.9, 36.5, 33.3, 21.8, 21.4.
【0044】
実施例2
【化7】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの [Rh((S,S)-BenzP*)(cod)]SbF6触媒、85.5mgのN-メチル-3-カルボニル-3-(2-メチルフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1b),21.2mg炭酸ナトリウム、73.4mg酢酸亜鉛[ケトン:触媒:塩基:添加剤=200:1:100:200(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2mL脱ガスした酢酸エチルを加え、最後に水素圧力を50barに調整して、-20℃で24時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2=20/1)により、淡黄色の油状の生成物2bが得られ、生成物2bの収率が75%であった。
【0045】
生成物2bのNMR測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.55(d, J=7.6Hz, 1H), 7.22(t, J=7.2Hz, 1H), 7.14(td, J=1.2Hz, 7.6Hz, 1H), 7.10(d, J=7.6Hz, 1H), 5.13(dd, J=3.2Hz, 8.8Hz, 1H), 3.15(br s, 2H), 2.96-2.83(m, 2H), 2.46(s, 3H), 2.30(s, 3H), 1.87-1.81(m, 1H), 1.76-1.67(m, 1H);
13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 143.1, 134.1, 130.4, 127.0, 126.3, 125.7, 72.4, 50.8, 36.2, 35.4, 19.2.
【0046】
生成物2bのアミン基をアセチル化して、下記3bで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3bのee値が90%である。よって、生成物2bのee値が90%であることが分かった。
【化8】
【0047】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 90:10であり、移動相の流速が1.0mL/minであり、tmajor=13.6 min、tminor=25.6 minである。
【0048】
化合物3bのNMR測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.51(d, J = 7.2Hz, 0.8H), 7.47(d, J = 7.2Hz, 0.2H), 7.21(td, J = 1.2Hz, 7.6Hz, 1H), 7.18-7.09(m, 2H), 4.92(dd, J = 4.0Hz, 8.8Hz, 0.2H), 4.72(dd, J = 2.4Hz, 10.4Hz, 0.8H), 4.33(br s, 1H), 4.24-4.16(m, 0.8H), 3.59-3.51(m, 0.2H), 3.46-3.39(m, 0.2H), 3.07-3.00(m, 0.8H), 3.04(s, 2.3H), 2.92(s, 0.7H), 2.31(s, 0.7H), 2.28(s, 2.3H), 2.75(s, 2.3H), 2.10(s, 0.7H), 1.93-1.85(m, 1H), 1.75-1.67(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 171.1, 142.2, 134.0, 130.8, 130.4, 127.8, 127.2, 126.7, 126.5, 125.4, 125.1, 67.9, 66.7, 47.8, 45.0, 36.5, 36.2, 35.7, 33.4, 21.8, 21.4, 19.2.
【0049】
実施例3
【化9】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの [Rh((R,R)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、93.6mgのN-メチル-3-カルボニル-3-(4-クロロフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1c)、22.4mg水酸化カリウム、145.4mgトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛[ケトン:触媒:塩基:添加剤=200:1:200:200(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2 mL脱ガスしたエタノールを加え、最後に水素圧力を50barに調整して、0℃で12時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、淡黄色の固体の生成物2cが得られ、生成物2cの収率が82%であった。
【0050】
生成物2cのNMR測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.31(s, 4H), 4.92(dd, J = 3.2Hz, 8.8Hz, 1H), 3.84 (br s, 2H), 2.91-2.82(m, 2H), 2.44(s, 3H), 1.88-1.83(m, 1H), 1.71-1.68(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 144.0, 132.7, 128.5, 127.3, 75.3, 50.6, 37.0, 36.3.
【0051】
生成物2cのアミン基をアセチル化して下記3cで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3cのee値が94%である。よって、生成物2cのee値が94%であることが分かった。
【化10】
【0052】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 95:5であり、移動相の流速が1.0mL/minであり、tminor = 36.3 min、tmajor = 42.4 minである。
【0053】
化合物3cのNMR測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.21(s, 4H), 4.87(br s, 1H), 4.54(t, J = 6.4Hz, 0.3H), 4.44(dd, J = 3.2Hz, 10.4Hz, 0.7H), 3.91-3.84(m, 0.8H), 3.42-3.24(m, 0.4H), 3.07-3.03(m, 0.8H), 2.92(s, 2.1H), 2.79(s, 0.9H), 1.99(s, 2.1H), 1.97(s, 0.9H), 1.84-1.79(m, 1H), 1.72-1.63(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 171.2, 143.4, 142.9, 133.2, 132.8, 128.7, 128.5, 127.3, 70.4, 69.6, 47.6, 44.8, 37.5, 36.8, 36.6, 33.3, 21.8, 21.3.
【0054】
実施例4
【化11】
【0055】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの [Rh((R,R)-Miniphos)(cod)]SbF6触媒、919 mgのN-メチル-3-カルボニル-3-(2-メトキシフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1d)、801 mg水酸化カリウム、799 mg酢酸銅[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 2000:1:4000:2000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、15 mL脱ガスしたジクロロメタンを加え、最後に水素圧力を10 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、淡黄色の油状の生成物2dが得られ、生成物2dの収率が78%である。
【0056】
生成物2dの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25(d, J = 8.8Hz, 1H), 6.96(s, 1H), 6.93(d, J = 7.6Hz, 1H), 6.78(dd, J= =2.0Hz, 8.0Hz, 1H), 4.91(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.81(s, 3H), 2.98(br s, 2H), 2.93-2.81(m, 2H), 2.44(s, 3H), 1.92-1.85(m, 1H), 1.81-1.72(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 159.9, 147.0, 129.4, 118.2, 112.7, 111.3, 75.6, 55.4, 50.6, 37.0, 36.2;
IR (KBr, v/cm-1):3307, 2943, 2908, 2835, 2800, 1601, 1487, 1259, 1155, 1043, 871, 784, 700;
HRMS (ESI-MS):C11H18NO2 [M+H]+ 理論的な計算値196.1338、実測値196.1346.
【0057】
生成物2dのアミン基をアセチル化して、下記3dで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3dのee値が88%である。よって、生成物2dのee値が88%であることが分かった。
【化12】
【0058】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak AD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 95:5であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tminor = 58.5 min、tmajor = 64.4 min。
【0059】
化合物3dのNMR測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.46(dd, J = 1.6Hz, 7.2Hz, 0.6H), 7.33(dd, J = 1.6Hz, 7.6Hz, 0.4H), 7.26-7.18(m, 1H), 6.95(t, J = 7.2Hz, 1H), 6.86(d, J = 8.4Hz, 0.4H), 6.82(d, J = 8.4Hz, 0.6H), 4.89(dd, J = 3.2Hz, 8.8Hz, 0.4H), 4.81(dd, J = 2.4Hz, 10.0Hz, 0.6H), 4.29(br s, 1H), 4.11-4.02(m, 0.8H), 3.82(s, 1.1H), 3.80(s, 1.9H), 3.55-3.35(m, 0.5H), 3.11-3.05(m, 0.8H), 3.00(s, 1.9H), 2.89(s, 1.9H), 2.10(s, 1.9H), 2.08(s, 1.1H), 2.05-1.91(m, 1H), 1.72-1.63(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.1, 171.1, 156.4, 155.9, 132.5, 132.2, 128.8, 128.1, 126.5, 126.5, 121.0, 110.6, 110.3, 67.4, 65.6, 55.5, 47.9, 44.9, 36.3, 35.6, 35.0, 33.2, 21.9, 21.4.
【0060】
実施例5
【化13】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mg [Rh((R,R)-BisP*)(cod)]BF4触媒、91.9 mg のN-メチル-3-カルボニル-3-(4-メトキシフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1e)、80.1 mgリン酸カリウム、79.9 mg塩化亜鉛[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 200:1:400:200(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2 mL脱ガスしたメタノールを加え、最後に水素圧力を100 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、白色の固体の生成物2eが得られ、生成物2eの収率が87%である。
【0061】
生成物2eの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.23(d, J = 8.8Hz, 2H), 6.82(d, J = 8.8Hz, 2H), 4.76(dd, J = 4.0Hz, 8.0Hz, 1H), 3.77(br s, 2H), 3.74(s, 3H), 2.78-2.67(m, 2H), 2.33(s, 3H), 1.78-1.67(m, 2H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 158.8, 137.7, 127.0, 113.8, 74.7, 55.4, 50.3, 37.5, 36.2.
【0062】
生成物2eのアミン基をアセチル化して、下記3eで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3eのee値が96%である。よって、生成物2eのee値が96%であることが分かった。
【化14】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)=90:10であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tmajor = 27.7 min、tminor = 33.0 minである。
【0063】
化合物3eのNMR測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.28-7.23(m, 2H), 6.88-6.83(m, 2H), 4.59(dd, J = 4.8Hz, 8.4Hz, 0.3H), 4.48(dd, J = 3.6Hz, 10.0Hz, 0.7H), 4.41(br s, 1H), 4.04-3.97(m, 0.8H), 3.78(s, 0.8H), 3.77(s, 2.2H), 3.46-3.31(m, 0.4H), 3.12-3.06(m, 0.4H), 2.98(s, 2.2H), 2.87(s, 0.8H), 2.07(s, 2.2H), 2.04(s, 0.8H), 1.96-1.86(m, 1H), 1.83-1.75(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 171.1, 158.9, 136.4, 127.1, 114.2, 113.9, 71.2, 69.8, 55.5, 47.7, 44.9, 37.4, 36.8, 36.5, 33.3, 21.8, 21.4.
【0064】
実施例6
【化15】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの [Rh((S,S)-BisP*)(nbd)]BF4触媒、919mgのN-メチル-3-カルボニル-3-(3-メトキシフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1f)、1394mgリン酸水素二カリウム、682 mg塩化銅[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 2000:1:4000:2000(モル比)]を加え,反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2 mL脱ガスしたエタノールを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、100℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、淡黄色の油状の生成物2fが得られ、生成物2fの収率が77%である。
【0065】
生成物2fの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25(d, J = 8.8Hz, 1H), 6.96(s, 1H), 6.93(d, J = 7.6Hz, 1H), 6.78(dd, J= =2.0Hz, 8.0Hz, 1H), 4.91(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.81(s, 3H), 2.98(br s, 2H), 2.93-2.81(m, 2H), 2.44(s, 3H), 1.92-1.85(m, 1H), 1.81-1.72(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 159.9, 147.0, 129.4, 118.2, 112.7, 111.3, 75.6, 55.4, 50.6, 37.0, 36.2;
IR (KBr, v/cm-1):3307, 2943, 2908, 2835, 2800, 1601, 1487, 1259, 1155, 1043, 871, 784, 700;
HRMS (ESI-MS):C11H18NO2 [M+H]+理論的な計算値196.1338、実測値196.1346.
【0066】
生成物2fのアミン基をアセチル化して、下記3fで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3fのee値が89%である。よって、生成物2fのee値が89%であることが分かった。
【化16】
【0067】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)=90:10であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tminor = 27.4 min、tmajor = 33.1 minである。
【0068】
化合物3fの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.30-7.23(m, 1H), 6.97-6.91(m, 2H), 6.84(dd, J = 2.4Hz, 8.0Hz, 0.3H), 6.80(dd, J = 2.4Hz, 8.0Hz, 0.7H), 4.66(t, J = 6.4Hz, 0.2H), 4.54(dd, J = 3.2Hz, 10.0Hz, 0.8H), 4.11-4.04(m, 0.8H), 3.82(s, 3H), 3.53-3.35(m, 0.5H), 3.14-3.09(m, 0.8H), 3.01(s, 2.2H), 2.91(s, 0.8H), 2.11(s, 2.2H), 2.09(s, 0.8H), 2.00-1.92(m, 1H), 1.86-1.78(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.4, 171.2, 159.9, 146.2, 146.0, 130.0, 129.5, 118.2, 118.1, 113.4, 113.0, 111.5, 111.3, 71.5, 70.1, 55.5, 47.7, 44.8, 37.5, 36.9, 36.6, 33.4, 21.9, 21.4;
IR (KBr, v/cm-1):3373, 3002, 2940, 2836, 1621, 1488, 1455, 1435, 1362, 1259, 1156, 1042, 870, 786, 700, 609;
HRMS (ESI-MS):C13H20NO3 [M+H]+理論的な計算値238.1443、実測値238.1443.
【0069】
実施例7
【化17】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの[Rh((S,S)-BisP*)(cod)]BF4触媒、103.9mgの N-メチル-3-カルボニル-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1g)、108.9mgリン酸二水素カリウム、127.7 mgヨウ化銅[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 200:1:400:200(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2 mL脱ガスしたトリフルオロエタノールを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、白色の固体の生成物2gが得られ、生成物2gの収率が85%である。
【0070】
生成物2g の測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.94(s, 1H), 6.86-6.79(m, 2H), 4.85(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.86(s, 3H), 3.84(s, 3H), 3.28(br s, 2H), 2.93-2.82(m, 2H), 2.45(s, 3H), 1.90-1.81(m, 2H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 149.1, 148.2, 137.8, 117.9, 111.2, 109.2, 74.8, 56.1, 56.1, 50.1, 36.8, 35.8;
IR (KBr,v/cm-1):3430, 2939, 2837, 1593, 1516, 1464, 1417, 1262, 1234, 1139, 1075, 858, 812, 763;
HRMS (ESI-MS) :C12H20NO3 [M+H]+ 理論的な計算値226.1443、実測値226.1448.
【0071】
生成物2gのアミン基をアセチル化して、下記3gで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3gのee値が93%である。よって、生成物2gのee値が93%であることが分かった。
【化18】
【0072】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)=90:10であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tminor = 49.7 min、tmajor = 65.2 minである。
【0073】
化合物3gの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.93(d, J = 2.0Hz, 0.8H), 6.86(d, J = 1.6Hz, 0.2H), 6.83-6.86(m, 2H), 4.56(dd, J = 4.8Hz, 8.4Hz, 0.2H), 4.51(br s, 1H), 4.46(dd, J = 3.2Hz, 10.0Hz, 0.8H), 4.02-3.95(m, 0.8H), 3.85-3.82(m, 6H), 3.45-3.30(m, 0.4H), 3.11-3.05(m, 0.8H), 2.97(s, 2.2H), 2.86(s, 0.8H), 2.06(s, 2.2H), 2.03(s, 0.8H), 1.94-1.85(m, 1H), 1.82-1.74(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 171.1, 149.4, 149.1, 148.8, 148.3, 137.1, 137.0, 118.1, 118.0, 111.3, 111.1, 109.3, 109.0, 71.3, 70.0, 56.1, 56.1, 47.7, 44.9, 37.5, 36.9, 36.6, 33.3, 21.8, 21.3;
IR (KBr,v/cm-1):3420, 2936, 1621, 1516, 1456, 1417, 1263, 1234, 1139, 1025, 811, 763;
HRMS (ESI-MS):C14H21NO4 [M+H]+ 理論的な計算値268.1549、実測値268.1547.
【0074】
実施例8
【化19】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mg の[Rh((S,S)-BisP*)(cod)]BF4触媒、975 mg N-メチル-3-カルボニル-3-(3, 4-メチレンジオキソフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1h)、810 mgトリエチルアミン、649 mg塩化鉄[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 2000:1:4000:2000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、15 mL脱ガスしたイソプロパノールを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、淡黄色の油状の生成物2hが得られ、生成物2hの収率が89%である。
【0075】
生成物2hの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.88(d, J = 1.6Hz, 1H), 6.80(dd, J = 1.6Hz, 8.0Hz, 1H), 6.75(d, J = 8.0Hz, 1H), 5.93(s, 2H), 4.83(dd, J = 3.2Hz, 8.8Hz, 1H), 3.28(br s, 2H), 2.90-2.82(m, 2H), 2.44(s, 3H), 1.84-1.69(m, 2H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 147.8, 146.6, 139.5, 119.0, 108.2, 106.6, 101.1, 75.5, 50.5, 37.1, 36.1;
IR (KBr,v/cm-1):3307, 2897, 1504, 1488, 1442, 1243, 1095, 1075, 1038, 932, 811;
HRMS (ESI-MS) :C11H16NO3 [M+H]+ 理論的な計算値210.1130、実測値210.1127.
【0076】
生成物2hのアミン基をアセチル化して、下記3hで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3hのee値が94%である。よって、生成物2hのee値が94%であることが分かった。
【化20】
【0077】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)=90:10であり、移動相の流速が1.0mL/minであり、tminor = 29.4 min、tmajor = 34.2 minである。
【0078】
化合物3hの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.88(d, J = 1.6Hz, 0.7H), 6.84(s, 0.3H), 6.78(td, J = 1.6Hz, 8.0Hz, 1H), 6.75(t, J = 8.0Hz, 1H), 5.94(s, 0.5H), 5.92(s, 1.5H), 4.58(dd, J = 5.2Hz, 8.0Hz, 0.3H), 4.44(dd, J = 3.2Hz, 10.0Hz, 0.7H), 4.42(br s, 1H), 4.09-4.01(m, 0.8H), 3.47-3.32(m, 0.5H), 3.08-3.03(m, 0.8H), 3.00(s, 2.2H), 2.89(s, 0.8H), 2.10(s, 2.2H), 2.07(s, 0.8H), 1.94-1.84(m, 1H), 1.88-1.72(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 171.1, 147.8, 146.8, 138.4, 119.2, 119.1, 108.5, 108.2, 106.6, 106.3, 101.3, 101.1, 71.5, 70.0, 47.7, 44.8, 37.5, 37.0, 36.5, 33.3, 21.8, 21.4;
IR (KBr, v/cm-1):3390, 2921, 1621, 1488, 1441, 1243, 1036, 931, 811;
HRMS (ESI-MS) :C13H17NO4Na [M+Na]+ 理論的な計算値274.1055、実測値274.1050.
【0079】
実施例9
【化21】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの [Rh((R,R)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、1071mgのN-メチル-3-カルボニル-3-(4-トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1i)、652 mg炭酸セシウム、107 mg塩化アルミニウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 2000:1:1000:200(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、4 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、白色の固体の生成物2iが得られ、生成物2iの収率が87%である。
【0080】
生成物2iの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.60(d, J = 8.0Hz, 2H), 7.51(d, J = 8.8Hz, 2H), 5.02(dd, J = 2.8Hz, 8.8Hz, 1H), 3.85 (br s, 2H), 2.96-2.86(m, 2H), 2.47(s, 3H), 1.94-1.87(m, 1H), 1.79-1.69(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 149.2, 129.5, 129.2, 128.9, 128.6, 128.4, 125.9, 125.7, 125.2, 125.2, 125.1, 125.1, 123.0, 120.3, 75.2, 50.4, 36.5, 36.0;
IR (KBr, v/cm-1):3282, 3105, 2935, 2899, 2816, 1618, 1482, 1422, 1332, 1162, 1115, 1068, 1053, 1015, 984, 851, 826;
HRMS (ESI-MS) :C11H15NOF3 [M+H]+ 理論的な計算値234.1106、実測値234.1100.
【0081】
生成物2iのアミン基をアセチル化して、下記3iで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3iのee値が91%である。よって、生成物2iのee値が91%であることが分かった。
【化22】
【0082】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OJ-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 95:5であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tminor = 10.0 min、tmajor = 11.8 minである。
【0083】
化合物3iの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.62-7.57(m, 2H), 7.50-7.45(m, 2H), 4.98(br s, 1H), 4.74(dd, J = 4.4Hz, 8.4Hz, 0.1H), 4.59(dd, J = 2.4Hz, 10.0Hz, 0.9H), 4.16-4.09(m, 0.9H), 3.58-3.36(m, 0.2H), 3.12-3.06(m, 0.9H), 3.03(s, 2.7H), 2.91(s, 0.3H), 2.11(s, 2.7H), 2.10(s, 0.3H), 1.97-1.92(m, 1H), 1.80-1.71(m, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.4, 170.9, 148.1, 129.3, 129.0, 128.7, 128.3, 125.9, 125.6, 125.5, 125.5, 125.2, 125.2, 125.2, 125.1, 122.9, 70.5, 69.2, 47.2, 44.5, 37.4, 36.8, 36.4, 33.1, 21.6, 21.1.
IR (KBr, v/cm-1):3360, 2926, 1621, 1057, 1403, 1362, 1219, 1157, 1072, 1014, 837;
HRMS (ESI-MS) :C13H17NO2F3 [M+H]+ 理論的な計算値276.1211、実測値276.1211.
【0084】
実施例10
【化23】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの [Rh((R,R)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、855 mgの N-メチル-3-カルボニル-3-(4-メチルフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1j),160 mg水酸化ナトリウム、493 mg塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 2000:1:2000:1000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、10 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、淡黄色の油状の生成物2jが得られ、生成物2jの収率が87%である。
【0085】
生成物2jの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25(d, J = 8.0Hz, 2H), 7.14(d, J = 7.6Hz, 2H), 4.89(dd, J = 3.6Hz, 8.8Hz, 1H), 3.02 (br s, 2H), 2.93-2.83(m, 2H), 2.45(s, 3H), 2.33(s, 3H), 1.91-1.75(m, 2H), 1.71-1.68(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 142.2, 136.9, 129.1, 125.7, 75.4, 50.4, 36.9, 36.0, 21.3.
【0086】
生成物2jのアミン基をアセチル化して、下記3jで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3jのee値が96%である。よって、生成物2jのee値が96%であることが分かった。
【化24】
【0087】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 95:5であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tminor = 41.1 min、tmajor = 55.7 minである
【0088】
化合物3jの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.22(t, J = 8.0Hz, 2H), 7.13(t, J = 8.0Hz, 2H), 4.61(dd, J = 5.2Hz, 7.6Hz, 0.2H), 4.50(dd, J = 3.6Hz, 10.0Hz, 0.8H), 4.44(br s, 1H), 4.04-3.97(m, 0.8H), 3.47-3.31(m, 0.5H), 3.13-3.07(m, 0.8H), 2.97(s, 2.2H), 2.87(s, 0.8H), 2.33(s, 0.8H), 2.31(s, 2.2H), 2.07(s, 2.2H), 2.04(s, 0.8H), 1.96-1.87(m, 1H), 1.83-1.75(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 171.1, 141.4, 141.3, 137.7, 136.9, 129.9, 129.2, 125.8, 71.3, 70.1, 47.7, 44.8, 37.5, 36.9, 36.5, 33.3, 21.8, 21.3.
【0089】
実施例11
【化25】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの[Rh((R,R)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、111.4 mgのN-メチル-3-カルボニル-3-(4-ブロモフェニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1k)、65.6 mg酢酸ナトリウム、98.6 mg塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 200:1:400:200(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、白色の固体の生成物2kが得られ、生成物2kの収率が79%である。
【0090】
生成物2kの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.47(d, J = 8.4Hz, 2H), 7.27(d, J = 8.4Hz, 2H), 4.91(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.74 (br s, 2H), 2.91-2.86(m, 2H), 2.45(s, 3H), 1.89-1.82(m, 1H), 1.76-1.67(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 144.3, 131.2, 127.4, 120.5, 75.1 50.4, 36.7, 36.0.
【0091】
生成物2kのアミン基をアセチル化して、下記3kで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3kのee値が94%である。よって、生成物2kのee値が94%であることが分かった。
【化26】
【0092】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)=95:5であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tminor = 36.7 min、tmajor = 41.3 minである。
【0093】
化合物3kの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.41-7.36(m, 2H), 7.19-7.13(m, 2H), 4.84(br s, 1H), 4.54(t, J = 6.4Hz, 0.2H), 4.43(dd, J = 3.2Hz, 10.0Hz, 0.8H), 3.96-3.89(m, 0.8H), 3.44-3.26(m, 0.5H), 3.08-3.02(m, 0.8H), 2.94(s, 2.2H), 2.81(s, 0.8H), 2.02(s, 2.2H), 1.99(s, 0.8H), 1.89-1.81(m, 1H), 1.72-1.64(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.4, 171.2, 143.9, 143.4, 131.7, 131.5, 127.7, 121.4, 120.9, 70.5, 69.6, 47.5, 44.8, 37.5, 36.8, 36.6, 33.3, 21.8, 21.3.
【0094】
実施例12
【化27】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの [Rh((S,S)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、219.1 mgのN-エチル-3-カルボニル-3-(2-チエニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1l)、112.2 mgカリウム tert-ブトキシド、246.4 mg塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 500:1:500:500(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、5 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で12時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、白色の固体の生成物2lが得られ、生成物2lの収率が94%である。
【0095】
生成物2lの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.21(dd, J = 1.2Hz, 5.2Hz, 1H), 6.97(dd, J = 3.6Hz, 4.8Hz, 1H), 6.92(dt, J = 1.2Hz, 3.6Hz, 1H), 5.19(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 4.06(br s, 2H), 3.03-2.96(m, 1H), 2.90-2.84(m, 1H), 2.74-2.59(m, 2H), 2.02-1.96(m, 1H), 1.92-1.83(m,1H), 1.11(t, J = 7.2Hz, 3H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 149.9, 126.5, 123.6, 122.2, 71.9, 47.8, 43.8, 37.3, 15.1;
IR (KBr, v/cm-1):3265, 2943, 2898, 1481, 1378, 1110, 1064, 949, 909, 875, 834, 816, 703;
HRMS (ESI-MS):C9H16NOS [M+H]+ 理論的な計算値186.0953、実測値 186.0949.
【0096】
生成物2lのアミン基をアセチル化して、下記3lで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3lのee値が98%である。よって、生成物2lのee値が98%であることが分かった。
【化28】
【0097】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 90:10であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tmajor = 15.7 min、tminor = 19.1 minである。
【0098】
化合物3lの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.23(dd, J = 1.6Hz, 4.8Hz, 0.2H), 7.19-7.18(m, 0.8H), 6.96-6.92(m, 2H), 4.99(br s, 1H), 4.93(t, J = 6.4Hz, 0.2H), 4.79(dd, J = 3.2Hz, 10.0Hz, 0.8H), 4.00-3.93(m, 0.8H), 3.40-3.32(m, 1.7H), 3.28-3.19(m, 0.8H), 3.17-3.11(m, 0.8H), 2.09(s, 2.2H), 2.07-2.01(m, 1.8H), 1.96-1.88(m, 1H), 1.20(t, J = 7.2Hz, 2.4H), 1.08(t, J = 7.2Hz, 0.6H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.1, 148.3, 127.0, 126.7, 124.9, 124.3, 124.0, 123.1, 67.5, 66.6, 45.1, 43.8, 41.9, 40.6, 38.5, 37.7, 21.7, 21.3, 14.1, 13.2;
IR (KBr, v/cm-1):3334, 2988, 2918, 2849, 1737, 1620, 1488, 1424, 1373, 1285, 1229, 1070, 1035, 703;
HRMS (ESI-MS):C11H18NO2S [M+H]+ 理論的な計算値228.1058、実測値 228.1059.
【0099】
実施例13
【化29】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの [Rh((S,S)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、281.1 mgの N-べンジル基-3-カルボニル-3-(2-チエニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1m)、112.2 mgカリウム tert-ブトキシド、246.4 mg塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 500:1:500:500(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、5 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で12時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、淡黄色の固体の生成物2mが得られ、生成物2mの収率が92%である。
【0100】
生成物2mの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.38-7.28(m, 5H), 7.23(dd, J = 1.2Hz, 5.2Hz, 1H), 6.99(dd, J = 3.2Hz, 5.2Hz, 1H), 6.94(dt, J = 1.2Hz, 3.6Hz, 1H), 5.24(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.83(q, J = 12.8Hz, 10.4Hz, 2H), 3.09-3.04(m, 1H), 2.96-2.90(m, 1H), 2.09-2.02(m, 1H), 1.99-1.90(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 149.6, 139.1, 128.6, 128.3, 127.3, 126.6, 123.8, 122.4, 72.0, 53.8, 47.6, 37.4;
IR (KBr, v/cm-1):3266, 2902, 2851, 2706, 1490, 1453, 1437, 1100, 1075, 1024, 896, 792, 746, 716, 693;
HRMS (ESI-MS) :C14H18NOS [M+H]+ 理論的な計算値248.1109、実測値248.1106.
【0101】
生成物2mのアミン基をアセチル化して、下記3mで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3mのee値が98%である。よって、生成物2mのee値が98%であることが分かった。
【化30】
【0102】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak AD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 90:10であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tmajor = 23.8 min、tminor = 27.2 minである。
【0103】
化合物3mの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.42-7.19(m, 6H), 6.98-6.92(m, 1H), 4.91-4.86(m, 1H), 4.66-4.47(m, 2H), 4.09-4.02(m, 0.8H), 3.41-3.37(m, 0.4H), 3.24-3.18(m, 0.8H), 2.18(s, 0.7H), 2.16(s, 2.3H), 2.09-2.00(m, 1H), 1.97-1.89(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 173.1, 171.3, 148.3, 137.9, 136.3, 129.3, 128.8, 128.4, 128.1, 127.6, 127.0, 126.8, 126.5, 125.1, 124.3, 124.1, 123.2, 67.5, 66.8, 52.5, 48.4, 44.7, 42.8, 37. 9, 37.3, 21.8, 21.6;
IR (KBr, v/cm-1):3362, 3029, 2921, 2850, 1737, 1624, 1422, 1366, 1288, 1232, 1169, 1076, 1028, 982, 729, 698;
HRMS (ESI-MS) :C16H20NO2S [M+H]+ 理論的な計算値290.1295、実測値 290.1296.
【0104】
実施例14
【化31】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの [Rh((R,R)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、1891 mgの N-メチル-3-カルボニル-3-(2-フリル)プロピルアミン塩酸塩(基質1n)、1122 mgカリウム tert-ブトキシド、2464 mg塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 5000:1:5000:5000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、5 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で12時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、濃黄色の油状の生成物2nが得られ、生成物2nの収率が95%である。
【0105】
生成物2nの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.35(s, 1H), 6.32(dd, J = 1.6Hz, 7.2Hz, 1H), 6.24(d, J = 7.2Hz, 1H), 4.93(t, J = 6.0Hz, 1H), 2.94-2.80(m, 2H), 2.88(br s, 2H), 2.43(s, 3H), 1.97-1.92(m, 2H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 141.7, 110.2, 105.5, 69.7, 50.3, 36.2, 33.3;
IR (KBr, v/cm-1):3300, 2942, 2853, 1619, 1540, 1488, 1387, 1306, 1273, 1228, 1150, 1066, 1010, 884, 813, 739, 600;
HRMS (ESI-MS) :C8H14NO2 [M+H]+ 理論的な計算値156.1025、実測値:156.1025.
【0106】
生成物2nのアミン基をアセチル化して、下記3nで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3nのee値が99%である。よって、生成物2nのee値が99%であることが分かった。
【化32】
【0107】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak AD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)=95:5であり、移動相の流速が1.0 mL/minであり、tminor = 44.4 min、tmajor = 48.6 minである。
【0108】
化合物3nの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32-7.29(m, 1H), 6.28-6.26(m, 1H), 6.19(d, J = 3.2Hz, 1H), 4.72(br s, 1H), 4.62(t, J = 6.8Hz, 0.3H), 4.55(t, J = 6.8Hz, 0.7H), 3.87-3.80(m, 0.8H), 3.45-3.32(m, 0.4H), 3.22-3.16(m, 0.8H), 2.93(s, 2.2H), 2.85(s, 0.8H), 2.02(s, 1H), 2.00(s, 2H), 2.00-1.95(m, 2H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.4, 171.2, 156.6, 142.1, 141.8, 110.4, 110.4, 106.1, 105.7, 64.7, 64.4, 47.4, 44.3, 36.5, 34.0, 33.3, 32.8, 21.7, 21.3;
IR (KBr, v/cm-1):3362, 2931, 1621, 1497, 1404, 1150, 1065, 1010, 742, 599;
HRMS (ESI-MS):C10H15NO3Na [M+Na]+ 理論的な計算値220.0950、実測値220.0951.
【0109】
実施例15
【化33】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの[Rh((S,S)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、2491 mg のN-メチル-3-カルボニル-3-(2-ナフチル)プロピルアミン塩酸塩(基質1o)、1122 mgカリウム tert-ブトキシド、2464 mg塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 5000:1:5000:5000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、15 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で6時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、白色の固体の生成物2oが得られ、生成物2oの収率が93%である。
【0110】
生成物2o の測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.86-7.80(m, 4H), 7.48-7.42(m, 3H), 5.10(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.52(br s, 2H), 2.92-2.84(m, 2H), 2.45(s, 3H), 2.00-1.93(m, 1H), 1.87-1.80(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 142.8, 133.6, 133.0, 128.2, 128.1, 127.8, 126.1, 125.7, 124.4, 124.3, 75.8, 50.6, 36.9, 36.2.
【0111】
生成物2oのアミン基をアセチル化して、下記3oで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3oのee値が98%である。よって、生成物2oのee値が98%であることが分かった。
【化34】
【0112】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 95:5であり、移動相の流速が1.0mL/minであり、tmajor = 35.1 min、tminor = 46.9 minである。
【0113】
化合物3oの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.79-7.72(m, 4H), 7.45-7.39(m, 3H), 4.85(br s, 1H), 4.74(t, J = 6.4Hz, 0.2H), 4.68(dd, J = 3.6Hz, 10.4Hz, 0.8H), 3.99-3.92(m, 0.8H), 3.45-3.27(m, 0.4H), 3.15-3.09(m, 0.8H), 2.90(s, 2.1H), 2.83(s, 0.9H), 2.00(s, 2.1H), 1.99(s, 0.9H), 1.97-1.92(m, 1H), 1.89-1.82(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 171.2, 142.0, 141.8, 133.5, 133.5, 133.2, 132.9, 128.6, 128.2, 128.1, 127.9, 127.8, 126.5, 126.2, 126.1, 125.8, 124.6, 124.4, 124.3, 124.0, 71.3, 70.4, 47.7, 44.9, 37.4, 36.8, 36.5, 33.3, 21.8, 21.3.
【0114】
実施例16
【化35】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの [Rh((S,S)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、410.9 mgのN-メチル-3-カルボニル-3-(2-チエニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1p)、224.4 mgカリウム tert-ブトキシド、638.2 mgヨウ化亜鉛[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 1000:1:1000:1000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、10 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で12時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、黄色の油状の生成物2pが得られ、生成物2pの収率が83%である。
【0115】
生成物2pの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.18(dd, J = 1.2Hz, 4.8Hz, 1H), 6.94(t, J = 6.0Hz, 1H), 6.90(d, J = 3.6Hz, 1H), 5.15(dd, J = 3.2Hz, 8.4Hz, 1H), 3.93(br s, 2H), 2.94-2.88(m, 1H), 2.85-2.79(m, 1H), 2.40(s, 3H), 1.99-1.84(m, 2H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 149.9, 126.8, 123.9, 122.6, 71.8, 50.2, 37.2, 36.1.
【0116】
生成物2pのアミン基をアセチル化して、下記3pで表される化合物が得られ、キラルHPLCにより測定した3pのee値が94%である。よって、生成物2pのee値が94%であることが分かった。
【化36】
【0117】
HPLC測定を行う時の条件は以下の通りである。日本ダイセル社製のDaicel Chiralpak OD-Hキラルカラムを使用し、移動相がn-ヘキサン:イソプロパノール(体積比)= 97:3であり、移動相の流速が1.2 mL/minであり、tmajor = 77.2 min、tminor = 91.1 minである。
【0118】
化合物3pの測定データは以下の通りである。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.23(dd, J = 1.6Hz, 4.4Hz, 0.2H), 7.19-9.18(m, 0.8H), 6.95-6.91(m, 2H), 4.90(t, J = 6.4Hz, 0.2H), 4.84(br s, 1H), 4.78(dd, J = 3.6Hz, 9.6Hz, 0.8H), 4.03-3.96(m, 0.8H), 3.49-3.34(m, 0.4H), 3.16-3.10(m, 0.8H), 2.99(s, 2.3H), 2.88(s, 0.7H), 2.09-2.01(m, 1H), 2.05(s, 3H), 1.96-1.89(m, 1H);
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.5, 148.2, 127.0, 126.7, 124.9, 124.3, 124.0, 123.2, 67.2, 66.5, 47.5, 44.6, 37.7, 36.7, 33.4, 21.8, 21.3.
【0119】
実施例17
【化37】
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5mgの [Rh((S,S)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、4109 mgの N-メチル-3-カルボニル-3-(2-チエニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1p)、2244 mgカリウム tert-ブトキシド、4929 mg塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 10000:1:10000:10000(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、20 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を20 barに調整して、25℃で12時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、黄色の油状の生成物2pが得られ、生成物2pの収率が97%である。生成物2pのアミン基をアセチル化して、上記3pで表される化合物が得られ、実施例16に記載されている方法と同じ方式で、HPLCにより化合物3pのee値を測定した結果、3pのee値が99%である。よって、実施例17で得られた生成物2pのee値が99%であることが分かった。
【0120】
実施例18
【化38】
1.5 mgの [Rh((S,S)-QuinoxP*)(cod)]SbF6触媒、16.44 gの N-メチル-3-カルボニル-3-(2-チエニル)プロピルアミン塩酸塩(基質1p)、9.98 gカリウム tert-ブトキシド、9.86 g塩化セリウム[ケトン:触媒:塩基:添加剤 = 20000:1:20000:20000(モル比)]を水素化リアクターのポリテトラフルオロエチレン製内張りに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、200 mL脱ガスしたテトラヒドロフランを加え、最後に水素圧力を50 barに調整して、25℃で48時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、油状の生成物2pが得られ、生成物2pの収率が76%である。生成物2pのアミン基をアセチル化して、上記3pで表される化合物が得られ、実施例16に記載されている方法と同じ方式で、HPLCにより化合物3pのee値を測定した結果、化合物3pのee値が97%である。よって実施例18で得られた生成物2pのee値が97%であることが分かった。
【0121】
比較例1
50mLの反応試験管において、それぞれ、1.5 mgの[Rh((S,S)-BenzP*)(cod)]SbF6触媒、80.3mgのN-メチル-3-カルボニル-3-フェニルプロピルアミン塩酸塩(基質1a)、27.7 mg炭酸カリウム [ケトン:触媒:アルカリ =200:1:100(モル比)]を加え、反応試験管を水素化リアクターに置いて、真空引きって、水素ガスで3回置換して、水素ガスの保護で、2 mL脱ガスした酢酸エチルを加え、最後に水素圧力を50 barに調整して、50℃で1時間激しく攪拌した後、反応を終了し、溶媒を濃縮し蒸発乾燥する。アルカリ性の酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンV1/メタノールV2 = 20/1)により、淡黄色の油状の生成物2aが得られ、生成物2aの収率が36%である。
生成物2aのアミン基をアセチル化して、上記3aで表される化合物が得られ、実施例1と同じ方法で、キラルHPLCにより測定した3aのee値が63%である。よって、比較例1で得られた生成物2aのee値が63%であることが分かった。
【0122】
応用例1
【化39】
8.56 g の(S)-N-メチル-3-ヒドロキシ-3-(2-チエニル)プロピルアミン2pを50 mLの N,N-ジメチルアセトアミドに溶解して、氷浴冷却条件下2.40g水素化ナトリウムをゆっくり添加して、添加終了後に50℃で2時間加熱反応する。その後、14.60 gの 1-フルオロ−ナフタレンを加え、反応は80℃で4時間反応して、加熱終了後に冷却する。トルエンを加えて反応液を希釈し、トルエンと水で抽出して、有机相を併合し、濃縮乾燥して油状の液体が得られた。カラムクロマトグラフィーにより油状の液体9.65 gが得られ、生成物であるデュロキセチン(Duloxetine)の収率が65%である。
【0123】
生成物であるデュロキセチン(Duloxetine)の測定データは以下の通りである。
[α]D25 = -110.7 (c 0.9, CHCl3);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):8.35-8.33 (m, 1H), 7.81-7.78 (m, 1H), 7.52-7.48 (m, 2H), 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.29-7.27 (m, 1H), 7.25-7.21 (m, 1H), 7.20-7.09 (m, 1H), 6.92 (dd, J = 3.6 Hz, 5.2 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.86 (dd, J = 5.2 Hz, 7.6 Hz, 1H), 3.28-3.22 (m, 2H), 2.65-2.62 (m, 1H), 2.55 (s, 3H), 2.48-2.43 (m, 1H).
13C-NMR (100 MHz CDCl3):153.2, 145.0, 134.4, 127.3, 126.4, 126.2, 125.9, 125.5, 125.0, 124.6, 121.9, 120.4, 106.7, 74.6, 48.1, 38.7, 36.5.
【0124】
以上、本発明の具体的な実施例に対して説明したが、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されるのではない。当業者は、請求の範囲で様々な変更又は変形をすることができ、これは本発明の実質内容に影響しない。
【国際調査報告】