特表2017-534802(P2017-534802A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2017-534802駆動源に対して適合可能な伝達装置を有するコンプレッサ
<>
  • 特表2017534802-駆動源に対して適合可能な伝達装置を有するコンプレッサ 図000003
  • 特表2017534802-駆動源に対して適合可能な伝達装置を有するコンプレッサ 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-534802(P2017-534802A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】駆動源に対して適合可能な伝達装置を有するコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F04B 35/01 20060101AFI20171027BHJP
【FI】
   F04B35/01 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-526677(P2017-526677)
(86)(22)【出願日】2015年11月16日
(85)【翻訳文提出日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015076636
(87)【国際公開番号】WO2016079031
(87)【国際公開日】20160526
(31)【優先権主張番号】102014116805.4
(32)【優先日】2014年11月17日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジル エブラール
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA01
3H076BB01
3H076BB21
3H076CC15
3H076CC24
(57)【要約】
本発明の範囲内でコンプレッサが改良された。コンプレッサは、クランクハウジングを備え、クランクハウジングに、クランクシャフトが、クランク室内で回動可能に軸支されている。クランクハウジングは、少なくとも1つのシリンダ室を有し、シリンダ室内で、連接棒により偏心的にクランクシャフトに軸支されたピストンが、往復運動可能である。クランクシャフトに配置された歯車が駆動源に設けられた歯車に噛み合うことにより、クランクシャフトは、モジュールmを有する歯車伝動装置により駆動源と結合されている。本発明によれば、クランクシャフトの回転軸線は、シリンダ室の中心軸線に対して、m/2の整数倍である値dlだけ変位されている。シリンダ室の中心軸線とは、シリンダ室の底面の中心点からこの底面に対して垂直に延在する軸線であって、この軸線に沿ってピストンが運動する軸線と解される。このようにして、コンプレッサの外寸または駆動源に変更を講じる必要なく、伝動装置の伝達比を好適な範囲へ変更できることが明らかとなった。特に、駆動源の歯車を変更しなくてよい。伝達比に応じて、コンプレッサの動作音を減じるまたは空気出力を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサであって、
クランクハウジング(1,5)を備え、該クランクハウジング(1,5)に、クランクシャフト(4)がクランク室内で回動可能に軸支されており、前記クランクハウジング(1,5)は、少なくとも1つのシリンダ室(1a)を有し、該シリンダ室(1a)内で、連接棒(3)により偏心的に前記クランクシャフト(4)に軸支されたピストン(2)が、往復運動可能であり、前記クランクシャフト(4)に配置された歯車(7)が駆動源(9)の歯車(8)に噛み合うことにより、前記クランクシャフト(4)は、モジュールmを有する歯車伝動装置(7,8)により駆動源(9)と結合されている、コンプレッサにおいて、
前記クランクシャフト(4)の回転軸線(Y)は、前記シリンダ室(1a)の中心軸線(X)に対して、m/2の整数倍である値dlだけ変位されていることを特徴とする、コンプレッサ。
【請求項2】
前記伝動装置(7,8)は、前記駆動源(9)から前記クランクシャフト(4)へ1:0.9〜1:1.1の伝達比を有する、請求項1記載のコンプレッサ。
【請求項3】
伝達比は、1よりも大きい、請求項1または2記載のコンプレッサ。
【請求項4】
前記連接棒(3)の、前記クランクシャフト(4)に対して回動可能に軸支された連接棒端部(3b)は、前記クランクシャフト(4)の軸線(Y)を中心に自由に円運動可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンプレッサ。
【請求項5】
前記クランクシャフト(4)の回転軸線(Y)は、前記シリンダ室(1a)の中心軸線(X)に対して、1mm〜5mm、好適には2mm〜3mmの値dlだけ変位されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動・伝達装置により駆動源と結合されたコンプレッサに関する。
【0002】
背景技術
商用車に用いられるエアコンプレッサは、通常は、シリンダ内で上下運動しその運動に際して空気を圧縮する少なくとも1つのピストンの、駆動源(エンジン)により提供される回動運動を変換する。変換は、連接棒により行われる。連接棒は、一方の連接棒端部で、ピストンに回動可能に軸支されていて、他方の連接棒端部で、クランクシャフトに偏心的に回動可能に軸支されている。クランクシャフトは、伝動・伝達装置を介して駆動源により回動させられる。伝達比が一定であるので、コンプレッサの作動速度はエンジン回転数とともに変化する。
【0003】
コンプレッサは、一般的に、車両のシステム圧において要求される車両の圧縮空気所要量を、車両エンジンのアイドリング時でも依然として送ることができるように設計されている。この場合、コンプレッサは、車両デザインにより設定される組込み容積に適合しなければならず、クランクシャフトは、力伝達のために、駆動源に存在する歯車に適合する歯車を有さなければならない。したがって、コンプレッサの動作パラメータは、大小の程度の差はあっても一定に設定されていて、動作パラメータが騒音およびエネルギ消費量に関して最適でなくてもユーザは甘受しなければならない。
【0004】
課題および解決手段
したがって本発明の課題は、エンジンコンパートメントにおける具体的な組込みスペースおよび駆動源に設けられた具体的な歯車が設定されている場合に力伝達に関して好適な動作パラメータが得られるように構成可能であるコンプレッサを提供することである。この課題は、本発明によれば、独立請求項に記載のコンプレッサにより解決される。別の好適な態様は、独立請求項を引用する従属請求項から明らかである。
【0005】
発明の対象
本発明の範囲内でコンプレッサが改良された。そのコンプレッサは、クランクハウジングを備え、クランクハウジングに、クランクシャフトがクランク室内で回動可能に軸支されている。クランクハウジングは、少なくとも1つのシリンダ室を有し、シリンダ室内で、連接棒により偏心的にクランクシャフトに軸支されたピストンが、往復運動可能である。クランクシャフトに配置された歯車が駆動源に設けられた歯車に噛み合うことにより、クランクシャフトは、モジュールmを有する歯車伝動装置を介して駆動源と結合されている。
【0006】
本発明によれば、クランクシャフトの回転軸線は、シリンダ室の中心軸線に対して、m/2の整数倍である値dlだけ変位されている。シリンダ室の中心軸線とは、シリンダ室の底面の中心点からこの底面に対して垂直に延在する軸線であって、この軸線に沿ってピストンが運動する、軸線と解される。
【0007】
このようにして、コンプレッサの外寸または駆動源に変更を講じる必要なく、伝動装置の伝達比を好適な範囲へ変更できることが明らかとなった。特に、駆動源の歯車を変更する必要はない。
【0008】
駆動源の歯車がZ1個の歯車を有し、これに噛み合うクランクシャフトの歯車がZ2個の歯車を有するとき、歯車の回転軸線の間隔は、m*(Z1+Z2)/2により得られ、ここで、mは伝動装置のモジュールである。このモジュールは、歯車の大きさに関する値である。クランクシャフトの回転軸線とシリンダ室の中心軸線との間の要求された変位が採用されることにより、駆動源に変更を講じる必要がなく、クランクシャフトに設けられた歯車の歯数Z2ひいては伝動装置の伝達比をも変更することができる。ちょうど要求された変位が存在する場合、歯数は整数に維持されるので、歯車に対する面倒な適合処置は省かれる。したがって、m/2の整数倍という特徴は、明確に、純粋な数学により設計されるのでもなく、機械公差の範囲内でクランクシャフトの歯車がまだ力伝達を目的とする歯の大きさの変更なく駆動源の歯車に噛み合うことができる限りにおいて、m/2の整数倍から外れる間隔dlもさらに包含する。
【0009】
この場合、伝動装置は、好適には、駆動源からクランクシャフトへ1:0.9〜1:1.1の伝達比を有する。重量のある商用車に用いられる通常のエンジンは、コンプレッサを駆動するために、1.5mm〜3.5mmのモジュールの値を有する歯車を用意している。これにより、クランクシャフトに設けられた歯車の歯数Z2が変化させられる歯ごとの伝達比を2%〜3%変更することができる。
【0010】
背景技術において、両方の歯車の歯数は同一である、つまりZ1=Z2である。Z2がZ1を超えて高められると、コンプレッサにおけるピストンは、より低速に運動する。これにより、時間単位あたり空気出力も低下することを犠牲にすれば、コンプレッサの動作音を低減することができる。
【0011】
したがって、1より大きな、つまりZ2がZ1よりも小さい伝達比が好適である。この場合、コンプレッサのピストンはより高速に運動する。時間単位あたり空気出力に関する規格が与えられている場合(たとえば12barのシステム圧で1分あたり700回のエンジンの回転数の場合、200リットル/分)、この出力を得るために、シリンダに必要とされるピストン行程はより小さくなっている。コンプレッサをよりコンパクトに構成することができる。より狭くなるエンジンコンパートメント内のスペース状況により、ピストンストローク室は、ますます隘路となっている。典型的には、シリンダあたり360cm3〜400cm3しか提供されない。
【0012】
好適には、連接棒の、クランクシャフトに対して回動可能に軸支された連接棒端部は、クランクシャフトの軸線を中心に自由に円運動可能である。この場合、支持力による摩耗は、特にわずかである。さらに、このような構成は、クランクハウジングのクランク室内に特にわずかなスペースしか必要としない。
【0013】
好適には、クランクシャフトの回転軸線は、シリンダ室の中心軸線に対して、1mm〜5mm、好適には2mm〜3mmの値dlだけ変位されている。この場合、追加的に、クランクシャフトの軸線を中心とするクランクシャフトの回動時、シリンダの中心軸線からの連接棒の振れが低減される効果を利用することができる。この振れにより、ピストンに、シリンダの壁に押し付け、ひいてはシリンダとピストンとの間の摩擦による摩耗を高める力成分が加えられてしまう。
【0014】
概して、本発明は、出力クラスの範囲の制限されたコンプレッサを、高い割合の同一部品をもって低コストで製造することができるという利点を提供する。出力を調整するために、クランクシャフトの回転軸線とシリンダの中心軸線との間の変位量dlを適合するだけでよい。
【0015】
詳細な説明
以下に、本発明の対象を図面に基づき説明する。本発明の対象は、この説明により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】クランクシャフトとシリンダ室の中心軸線との間に変位量を有する、本発明に係るコンプレッサの原理図を示す。
図2】所定のエンジンコンパートメントへの本発明に係るコンプレッサの組込みを示す。
【0017】
図1は、本発明に係るコンプレッサの原理図を示している。クランクハウジング1,5に、シリンダ孔1aが存在する。シリンダ孔1aの中心軸線は、Xで示されている。シリンダ孔内で、ピストン2が運動する。ピストン2は、連接棒3を介して、クランクシャフト4と結合されている。連接棒は、2つの連接棒端部3a,3bを有する。上側の連接棒端部3aは、ピストン2に対して回動可能に軸支されている。下側の連接棒端部3bは、クランクピン4aに対して回動可能に軸支されており、クランクピン4aは、クランクシャフト4とともに中心軸線Yを中心に回動する。クランクシャフト4が回動すると、連接棒3の下側の連接棒端部3bは、クランクシャフト4の中心軸線Yを中心とする円を描く。軸線Xと軸線Yとは、互いに垂直に延在しており、軸線Xは、図平面内で延在し、軸線Yは、図平面に対して垂直に延在する。しかし両方の軸線は、平行に値dlだけ互いに変位されている。クランクシャフト4は、クランクハウジング1,5の部分5に対して回動可能に軸支されている。
【0018】
平行の変位dlの作用は、図2に示すように、エンジンコンパートメントへコンプレッサを組込んだ状態で明らかである。所定の箇所に、決まった寸法を有するエンジンブロック9が位置し、エンジンブロック9は、コンプレッサの駆動に用いられる所定の歯車8を用意している。歯車は、Z軸線を中心に回動する。Z軸線は、図平面上で垂直に位置し、図平面内で延在する、シリンダ室の中心軸線Xから間隔Aを有する。クランクシャフト4は、歯車7により駆動される。歯車7は、エンジンブロック9に設けられた歯車8に噛み合う。この歯車7は、クランクシャフト4の対称軸線であり、図平面上で垂直に位置する軸線Yを中心に回動する。軸線Yと軸線Zとは、互いに、間隔Aよりも小さい間隔Bを有する。したがって、歯車7は、エンジンブロック9に設けられた歯車8の歯数Z1よりも少ない歯の数Z2を有する。したがって、歯車7は、歯車8よりも高速に回動する。これにより、コンプレッサは、時間単位あたりより大きな空気容積を排出する。このような変更は、コンプレッサの寸法およびフォームファクタに変化を講じる必要なくもたらされた。コンプレッサをエンジンコンパートメントに取り付けるフランジ6も、背景技術による、歯車7が歯車8と全く同じ大きさであったコンプレッサの場合と同一の箇所に位置する。
図1
図2
【国際調査報告】