特表2017-534883(P2017-534883A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-534883煙捕集機用煙収集装置、及び煙草煙を分析するために煙収集装置を使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-534883(P2017-534883A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】煙捕集機用煙収集装置、及び煙草煙を分析するために煙収集装置を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20171027BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20171027BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20171027BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20171027BHJP
【FI】
   G01N1/22 L
   B01J20/28 Z
   B01J20/20 A
   B01D53/04 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-534867(P2017-534867)
(86)(22)【出願日】2015年4月13日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月21日
(86)【国際出願番号】CN2015076485
(87)【国際公開番号】WO2016041347
(87)【国際公開日】20160324
(31)【優先権主張番号】201410489403.7
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201410481786.3
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517095537
【氏名又は名称】チャイナ・ナショナル・タバコ・クォリティ・スーパービジョン・アンド・テスト・センター
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フー,チンユアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ホンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,シェ
(72)【発明者】
【氏名】チュー,フェンペン
(72)【発明者】
【氏名】パン,ヨンキエン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ヤンボー
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,シンイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ツァイゲン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ホンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シン,バオジュン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ニウ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】レン,ジンシャ
(72)【発明者】
【氏名】モン,ケー
【テーマコード(参考)】
2G052
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052BA05
2G052BA22
2G052EA01
2G052EA08
2G052JA04
2G052JA09
2G052JA13
4D012BA03
4D012CA20
4D012CB06
4D012CG01
4G066AA05B
4G066BA01
4G066BA09
4G066BA20
4G066CA56
4G066DA01
(57)【要約】
煙収集装置、及び煙草煙を分析するために前記煙収集装置を使用する方法を提供する。上記装置は吸着ブロック(1)、人工口唇ホルダ(2)、人工口唇(3)、前方収集器カバー(5)、後方収集器カバー(7)及び吸着ブロック保持具(8)を備える。人工口唇ホルダ(2)の内側部分には人工口唇(3)が設けられ、前方収集器カバー(5)の前端を人工口唇ホルダ(2)に挿入し、人工口唇を押圧し、前方収集器カバー(5)の後端には第1凹部がある。後方収集器カバー(7)の前端は第1凹部に収容され、後方収集器カバー(7)の後端には第2凹部がある。吸着ブロック保持部品(8)は第1凹部内に収容され、中空の内部キャビティが設けられる。吸着ブロック(1)は中空内部キャビティ内に位置し、前方収集器カバー(5)及び後方収集器カバー(7)の内側部分は一体的に、煙を収集するための収集キャビティ(10)を形成し、収集キャビティの前端は吸着ブロックに接続する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙捕集機用煙収集装置であって、吸着ブロック(1)、人工口唇ホルダ(2)、人工口唇(3)、前方収集器カバー(5)、後方収集器カバー(7)及び吸着ブロック保持具(8)を備え、
前記人工口唇ホルダ(2)の内側部分に前記人工口唇(3)を設け;
前記前方収集器カバー(5)の前端を前記人工口唇ホルダ(2)に挿入して前記人工口唇を押圧し、前記前方収集器カバー(5)の後端には第1凹部があり;
前記後方収集器カバー(7)の前端は前記第1凹部に収容され、前記後方収集器カバー(7)の後端には第2凹部があり;
前記吸着ブロック保持具(8)は前記第1凹部内に収容され、中空の内部キャビティが設けられ;
前記吸着ブロック(1)は前記中空内部キャビティ内に位置し;
前記前方収集器カバー(5)及び前記後方収集器カバー(7)の内側部分は一体的に、煙を収集するための収集キャビティ(10)を形成し、前記収集キャビティの前端は前記吸着ブロックに接続することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記煙収集装置は更にケンブリッジフィルタ(6)を備え、前記ケンブリッジフィルタ(6)は前記前方収集器カバー(5)と前記後方収集器カバー(7)との接合部に前記収集キャビティ(10)を横断して設けられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
貫通孔を有する第1ガスケット(4)は前記前方収集器カバー(5)に設けられ、前記第1ガスケットの前面は煙草ホルダ(9)に接続し、前記第1ガスケットの背面は前記吸着ブロック保持具(8)の前端に接続することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記収集キャビティ(10)は菱形の空洞形状であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記吸着ブロック(1)は固体吸着材料(11)及び2つの側面篩板(12)を備え、前記2つの側面篩板の間に前記固体吸着材料(11)を設けることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記収集キャビティ(10)と、収集キャビティ側に隣接する前記2つの側面篩板の1つとの間に、貫通孔を備えた第2ガスケット(13)を設けることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記吸着ブロック(1)内の前記吸着材料(11)は、粒径が40〜80μmの活性炭材料、磁性吸着材料又は分子篩材料であり;前記2つの側面篩板(12)はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板であることを特徴とする請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記吸着ブロック(1)は吸着管(20)であり、前記吸着管(20)は外管(21)、吸着管用の吸着ブロック(22)、テーパ状境界面(23)及びガスケット(24)を備え、前記外管(21)は中空円筒であり、前記吸着ブロック(22)は前記外管(21)の内部に位置し、前記テーパ状境界面(23)は、内部キャビティがテーパ状である中空の円筒であり、前記内部キャビティの広い端部は前記外管(21)側に接続し、前記ガスケット(24)は前記テーパ状境界面(23)の内側に位置し、前記吸着ブロック(22)に当接する中空の円筒であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記吸着管(20)において前記吸着ブロック(22)の中央は固体吸着材料(221)であり;前記固体吸着材料(221)の両側に篩板(222)がそれぞれ設けられ;前記吸着材料(221)は活性炭材料、磁性吸着材料又は分子篩材料であり、前記吸着材料の粒径は40〜80μmであり、前記吸着材料の前記2つの側面篩板(222)はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の煙収集装置の使用により煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する方法であって、以下の工程:
工程1、煙草試料を選び、GB/T16447規格条件に従って試料計量を行い、試料試験のために(平均品質±0.02)g及び(平均吸引抵抗±50)Paの煙草を選択する工程;
工程2、前記煙捕集機に前記煙収集装置を取り付け、一度に1本の煙草を吸引する工程;
工程3、前記煙捕集後に前記煙収集装置を取り外し、前記吸着ブロックを抽出用容器に移す工程;
工程4、ブランク試料を前記煙収集装置内に設置し、一度に1本の煙草を吸引し、工程3を繰り返し、前記ブランク試料処理の結果を前記煙草試料の結果と比較し、煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙草煙分析及び検出技術の分野、より具体的には、煙捕集機用煙収集装置、及び煙草煙を分析するために煙収集装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙及び健康に関する調査が進むにつれ、人々の煙草煙の有害成分についての関心が高まっている。煙草主流煙は多数の揮発性有機化合物を含む。カナダ保健省のリストに挙げられた44種類の有害有機化合物のうち、揮発性有機化合物は5種類、すなわち1,3‐ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン及びトルエンである。1,3‐ブタジエン及びイソプレンは、IARC(国際がん研究機関)によりヒト発癌性物質(2B)として、発癌性である。ベンゼンはヒト発癌性物質であり、その発癌性は「十分な動物実験及びヒト実験データ」(群1)である。アクリロニトリルは、IARCにより発癌性物質として分類され、これは「限定された動物実験及びヒト実験データ」に属する。トルエンは皮膚及び粘膜を刺激し、中枢神経系に麻酔作用を与える可能性があり、トルエン下の長期的暴露もまた癌を引き起こす可能性がある。従って、煙草煙中の揮発性有機化合物の効果的な捕集及び正確な測定は、喫煙及び健康に関する調査にとって実用的な意義を持つ。現在、主に、捕集のための冷却溶液吸収法(約−70℃のメタノール)及び吸着管法により、煙草煙中の揮発性有機化合物を測定するGC−MSが利用されることが多い。冷却溶液吸収法では、15mLの冷メタノールが収容される、直列に接続された2つの収集ボトルを使用して収集するが、これにより操作が煩雑である。吸着管法では喫煙収集装置吸引チャネルの「デッドボリューム」が発生し、圧力降下がより大きくなるため、試験結果がより低再現性となる。
【発明の概要】
【0003】
従来技術の欠点を克服するため、煙捕集機用煙収集装置、及び当該装置を使用した煙草煙の分析方法を提供する。本発明による装置は操作が簡単で反復性が良く、有機溶媒の消費量が少なく、試験結果と標準方法との間に大幅な差がない利点を有し、室温での揮発性有機化合物の捕集を可能にし、大量の試料分析に適している。
【0004】
本発明の上記目的は、以下の技術的解決策により達成される。
【0005】
一方において、煙捕集機用煙収集装置は、吸着ブロック、人工口唇ホルダ、人工口唇、前方収集器カバー、後方収集器カバー及び吸着ブロック保持具を備え、人工口唇ホルダの内側部分に人工口唇を設け、前方収集器カバーの前端を人工口唇ホルダに挿入し、人工口唇を押圧し、前方収集器カバーの後端には第1凹部があり、後方収集器カバーの前端は第1凹部に収容され、後方収集器カバーの後端には第2凹部があり、吸着ブロック保持具は第1凹部内に収容され、中空の内部キャビティが設けられ、この中に吸着ブロックを配置し、前方収集器カバー及び後方収集器カバーの内側部分は一体的に、煙を収集するための収集キャビティを形成し、収集キャビティの前端は吸着ブロックに接続する。
【0006】
好ましくは、煙収集装置は更に、前方収集器カバーと後方収集器との接合部に収集キャビティを横断して設けられたケンブリッジフィルタを備える。
【0007】
好ましくは、貫通孔を有する第1ガスケットを前方収集器カバーに設け、第1ガスケットの前面は煙草ホルダに接続し、第1ガスケットの背面は吸着ブロック保持具の前端に接続する。
【0008】
好ましくは、収集キャビティは菱形の空洞形状である。
【0009】
好ましくは、吸着ブロックは固体吸着材料及び2つの側面篩板を備え、2つの側面篩板の間に固体吸着材料を配置する。
【0010】
好ましくは、収集キャビティと、収集キャビティ側に隣接する2つの側面篩板の1つとの間に、貫通孔を備えた第2ガスケットを設ける。
【0011】
好ましくは、吸着ブロック内の吸着材料は、粒径が40〜80μmの活性炭材料、磁性吸着材料又は分子篩材料であり、2つの側面篩板はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板である。
【0012】
好ましくは、吸着ブロックは吸着管であり、吸着管は外管、吸着管用の吸着ブロック、テーパ状境界面及びガスケットを備え、外管は中空円筒であり、吸着管用吸着ブロックは外管の内部に位置し、テーパ状境界面は、内部キャビティがテーパ状である中空の円筒であり、開口端は外管側に接続し、ガスケットはテーパ状境界面の内側に位置し、吸着管用吸着ブロックに当接する中空の円筒である。
【0013】
好ましくは、吸着管用吸着ブロックの中央は固体吸着材料であり、固体吸着材料の両側に2つの篩板の1つがそれぞれ設けられており、吸着材料は活性炭材料、磁性吸着材料又は分子篩材料であり、吸着材料の粒径は40〜80μmであり、吸着材料の2つの側面篩板はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板である。
【0014】
他方において、本発明は上記煙収集装置の使用により煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する方法を提供し、当該方法は以下の工程を含む:
工程1、GB/T16447規格条件に従って試料計量を行い、試料試験のために(平均品質±0.02)g及び(平均吸引抵抗±50)Paを有する煙草を選択する工程;
工程2、煙捕集装置に煙収集装置を取り付け、一度に1本の煙草を吸引する工程;
工程3、煙捕集後に煙収集装置を取り外し、吸着ブロックを抽出用容器に移す工程;
工程4、ブランク試料を煙収集装置内に設置し、一度に1本の煙草を吸引し、工程3を繰り返し、ブランク試料処理の結果を煙草試料の結果と比較し、煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する工程。
【0015】
本発明の技術的解決策はまた、以下のように説明できる:
本発明は以下を備える煙収集装置を提供する:
煙草ホルダを固定するための固定装置と取り外し可能に接続することが可能であり、その内部に接着材料を配置し、揮発性有機化合物などの煙草煙中の物質を吸着する吸着装置;及び
捕集チャンバの一端が上記吸着装置と密閉連通し、それにより煙が上記吸着装置を通過して進入することが可能になり、捕集チャンバの他端は煙吸引ポンプと連通する、2つの開放端を有する捕集チャンバ。
【0016】
好ましくは、当該装置は保持装置も備える。すなわち、煙収集装置は以下を備える:
煙草を保持するための保持装置;
上記保持装置と密閉連通し、その内部に接着材料を配置し、揮発性有機化合物などの煙草煙中の物質を吸着する吸着装置;及び
捕集チャンバの一端が上記吸着装置と密閉連通し、それにより煙が上記吸着装置を通過することが可能になり、捕集チャンバの他端は煙吸引ポンプと連通する、2つの開放端を有する捕集チャンバ。
【0017】
煙吸引ポンプは操作中にガスを吸い上げる。煙草煙は吸着装置に進入する。揮発性有機化合物などの煙中物質は吸着装置内の吸着材料に吸収され、非吸着物質は、煙吸引ポンプにより捕集チャンバを経て吸い出される。煙草煙の組成は、吸着装置内にある吸着材料中の物質の組成及び含有量を検出することにより測定する。
【0018】
好ましくは、保持装置、吸着装置及び捕集チャンバは一体的に、又は取り外し可能に設けるが、好ましくは取り外し可能に設ける。保持装置、吸着装置及び捕集チャンバが取り外し可能である場合、吸着材料の組成及び含有量を測定するために吸着装置は容易に取り外せる。
【0019】
好ましくは、保持装置、吸着装置及び捕集チャンバを取り外し可能に設ける場合、保持装置と吸着装置と捕集チャンバとの間にガスケットを設けることで、確実にこれら3部材を外部から密閉したままで互いに連通させる。
【0020】
好ましくは、保持装置、吸着装置及び捕集キャビティを一体的に設ける場合、吸着装置には、吸着装置内の吸着材料を除去又は交換するために開閉可能な蓋を設ける。
【0021】
好ましくは、保持装置は人工口唇及び人工口唇把持部を含む。人工口唇は煙草を保持するために使用し、人工口唇把持部の内側に配置し、人工口唇把持部で固定する。
【0022】
好ましくは、吸着装置には内部に2つの側面篩板も設けられ、吸着装置内の吸着材料は2つの側面篩板の間に配置し、好ましくは2つの側面篩板はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂岩用篩板である。
【0023】
好ましくは、吸着装置内の吸着材料は固体吸着材料、好ましくは活性炭材料、磁性材料又は分子篩材料であり、好ましくは、材料の吸着剤粒径は40〜80μmである。
【0024】
好ましくは、吸着装置には内部に外管を含む吸着剤管が設けられ、吸収材料は外管の内側に配置する。このような吸着剤管を使用する場合、吸着剤管を直接取り外すことも、吸着材料の交換又は除去中に適宜取り外すことも可能である。好ましくは、吸着剤管の外管には内部に2つの側面篩板が設けられ、吸収材料は2つの側面篩板間に配置し、好ましくは、2つの側面篩板の各々は40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板である。
【0025】
好ましくは、煙収集装置は捕集チャンバ内に配置されたケンブリッジフィルタを含む。
【0026】
好ましくは、捕集チャンバの容積は10〜20mLであり、二重円錐チャンバの形状であり、これは同じ2つの円錐を左右に背中合わせに接合させることで形成したチャンバであり、両端に開放端を有し(すなわち、狭い端部が開放端である)、一端は吸着材料と連通し、他端はポンプと連通している。好ましくは、ケンブリッジフィルタは二重円錐チャンバの最大円形断面に配置する。
【0027】
他方において、本発明は煙捕集機用の上記煙収集装置を使用して煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する方法を提供し、当該方法は以下の工程を含む:
工程1、煙草試料を選び、試料計量を行い、GB/T16447規格条件に従って、試料試験のために煙草の(平均品質±0.02)g及び(平均吸引抵抗±50)Paを選択する工程であって、ここで平均品質及び平均吸引抵抗は、1銘柄につき50本を超える煙草の品質及び吸引抵抗の平均値である;
工程2、煙捕集機に煙収集装置を取り付け、一度に1本の煙草を吸引する工程;
工程3、煙捕集後に煙収集装置を取り外し、煙収集装置の吸着装置内の吸着材料を抽出用容器に移す工程;及び
工程4、ブランク試料を煙収集装置内に設置し、一度に1本の煙草を吸引し、工程3を繰り返し、ブランク試料処理の結果を煙草試料の結果と比較し、煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する工程。
【0028】
先行技術と比較して、本発明は少なくとも以下の有利な技術的効果を有する:
1.本発明は、従来の捕集装置と比較して、収集器の前方カバー内に固体吸着材料を含む内部キャビティが追加されている新規なタイプの煙収集装置を採用していることから、煙の脱出が抑えられ、収集器内の滞留時間が長くなり、煙草煙中揮発性有機化合物に対する篩板間の吸着材料の吸着効果が良好になり、これにより煙草煙ガス流が完全に吸着剤と接触可能になり、確実に煙草煙の関連成分が効果的に吸収され、煙草煙中の揮発性有機化合物分析のための要件が満たされる。
2.本発明の煙収集装置が取り外し式を採用する場合、吸着材料を含む吸着装置、又は吸着材料を備えて吸着装置内部に配置された吸着管は直接取り外すことが可能であるため、吸着材料を除去するか、その中の吸着材料を交換することが簡便である。
3.本発明の煙収集装置にケンブリッジフィルタを設ける場合、吸着材料とポンプとの間にケンブリッジフィルタを設けていることから、煙草煙は最初に吸着材料を通過した後にケンブリッジフィルタを通過し、そのために吸着材料は煙中の揮発性有機化合物を完全に吸着することになり、そうすることで測定結果がより正確になる。
4.本発明の捕集チャンバが二重円錐チャンバである場合、二重円錐の2つの端部は開放端であり、一端は吸着材料と連通し、他端はポンプと連通している。このような構造では、吸着材料からの煙は円錐内で緩衝され、次いでケンブリッジフィルタを通過し、吸い出され、ケンブリッジフィルタを直接透過しないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】内部キャビティを備える直線的煙収集装置の図である。
図2】吸着ブロックの図である。
図3】吸着管を備える煙収集装置の図である。
図4】吸着管の図である。
図5】異なる容積のキャビティに関する吸引曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の技術的説明を更に具体例と組み合わせて詳細に説明する。
【0031】
図1は煙捕集機用の煙収集装置を示す。当該装置は吸着ブロック1、人工口唇ホルダ2、人工口唇3、前方収集器カバー5、後方収集器カバー7及び吸着ブロック保持具8を備える。本発明によれば、人工口唇ホルダ2の内側部分に人工口唇3を設け、前方収集器カバー5の前端を人工口唇ホルダ2に挿入し、人工口唇を押圧する。前方収集器カバー5の後端には第1凹部があり、この後方収集器カバー7の前端は当該第1凹部に収容する。後方収集器カバー7の後端には第2凹部がある。吸着ブロック保持具8は第1凹部内に収容し、中空の内部キャビティが設けられており、この中に吸着ブロック1が位置する。前方収集器カバー5及び後方収集器カバー7の内側部分は一体的に、煙を収集するための収集キャビティ10を形成する。収集キャビティの前端は吸着ブロック保持具8に接続し、人工口唇3に挿入された煙草9と連通する。上記構造を有する本発明の煙収集装置によれば、収集装置の後端に設けられた吸着ブロックを介して煙草煙中の揮発性有機化合物を煙草煙に吸着させることが可能になり、それにより煙草煙流と吸着ブロック内の吸着剤とは互いに完全に接触し、確実に煙草煙中の関連成分が効果的に吸収され、煙草煙中の揮発性有機化合物の分析要件が満たされるようになる。
【0032】
本発明によれば、煙収集装置には更に、前方収集器カバー5と後方収集器カバー7との接合部に収集キャビティ10を横断して設けられたケンブリッジフィルタ6が備えられる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、貫通孔を有する第1ガスケット4を前方収集器カバー5に設ける。第1ガスケット4の前面は煙草ホルダ9に接続し、第1ガスケット4の背面は吸着ブロック保持具8の前端に接続する。
【0034】
図1に示す本発明の例によれば、収集キャビティ10は菱形の空洞形状である。ただし、当該形状は本明細書の一例に過ぎず、収集キャビティの形状はこれに限定せず、当技術分野で一般的に用いられているどのような形状も採用できる。
【0035】
次に、図2を参照して吸着ブロックの構造について説明する。吸着ブロック1は固体吸着材料11及び2つの側面篩板12を備え、2つの側面篩板12の間に固体吸着材料11を設ける。収集キャビティ10と2つの側面篩板12との間に、貫通孔を有する第2ガスケット13を設ける。
【0036】
吸着ブロック1内の吸着材料11は、粒径が40〜80μmの活性炭材料、磁性吸着材料又は分子篩材料である。2つの側面篩板12はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板である。
【0037】
図3に示す本発明の別の実施形態によれば、吸着ブロック保持具8には、吸着管20が配置された中空の内部キャビティ4が設けられる。吸着管20は外管21、吸着管用の吸着ブロック22、テーパ状境界面23及びガスケット24を備え、外管21は中空円筒であり、吸着ブロック22は外管21の内部に配置する。テーパ状境界面23は、内部キャビティがテーパ状である中空の円筒である。内部キャビティの広い端部は外管21側に接続し、ガスケット24は、テーパ状境界面23の内側に位置し、吸着ブロック22に当接する中空の円筒である。
【0038】
図4は、吸着ブロック22の中央は固体吸着材料221であり、固体吸着材料221の両側にそれぞれの篩板222が設けられていることを示しており、吸着材料221は活性炭材料、磁性吸着材料又は分子篩材料であり、吸着材料の粒径は40〜80μmであり、吸着材の2つの側面篩板222はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板である。
【0039】
煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する方法は以下の工程を含む:
工程1、煙草試料を処理し、煙草試料を選び、GB/T16447規格条件に従って試料計量を行い、試料試験のために煙草の(平均品質±0.02)g及び(平均吸引抵抗±50)Paを選択する工程;
工程2、煙捕集装置に直線状煙収集装置を取り付け、一度に1本の煙草を吸引する工程;
工程3、煙捕集後に煙収集装置を取り外し、吸着ブロック1を抽出用容器に移す工程;
工程4、ブランク試料を煙収集装置内に設置し、一度に1本の煙草を吸引し、工程3を繰り返し、ブランク試料処理の結果を煙草試料の結果と比較し、煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する工程。
【0040】
人工口唇3内の煙草9は吸引中に煙を発生する。煙は吸着ブロック1を通過してケンブリッジフィルタ6に入る。吸着ブロック1は固体吸着材料11及び2つの側面篩板12を備え、固体吸着材料11は2つの側面篩板12の間に設ける。吸着ブロック1内の吸着材料11は、粒径が40〜80μmの活性炭材料、磁性吸着材料又は分子篩材料である。2つの側面篩板12はそれぞれ40〜60μmの目開きを有する砂中子用篩板である。煙は2つの側面篩板の前面篩板を通過し、数本の細いガス流に分かれ、活性炭材料により緩衝され、その後、背面篩板から流出する。煙中の関連成分はこのプロセス中に効率的に吸収される。
【0041】
本発明の分析方法によるガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)装置条件を以下に列挙する:InertCap AQUATIC‐2カラムクロマトグラフィカラム(長さ:60M、ID:0.25mm、厚さ:1.4μm);プログラムした温度手順:初期温度は40℃、6.0分維持し、加熱率20℃/分で230℃に上昇させ、10分維持する;キャリヤガスはヘリウム 流速は1.5mL/分である;注入口温度は180℃、試料量は1.0μl、分割比は10:1である;送電線温度は230℃、イオン源温度は230℃、四重極温度は150℃である;質量分析イオン化電圧は70eVである;スキャン方式:フルスキャン方式及び選択イオン方式を同時に行う。
【0042】
【表1】
【0043】
次に、本発明の煙収集装置を使用する煙草煙中の揮発性有機化合物を分析する方法を実施例により例示する。
【実施例】
【0044】
実施例1
銘柄Aの煙草を選択し、GB/T16447規格条件に従って試料計量を行い、試料試験のために煙草用の(平均質量±0.02)g及び(平均吸引抵抗±50)Paを選択する。待機状態の収集装置を煙捕集機に設置し、ISO規格条件下で吸引を行い、吸引容積は35.0mLであり、吸引時間は2秒であり、吸引回数は60秒間の回数であり、一度に1本の煙草を吸引する。煙草を吸引及び収集した後に収集装置を取り外し、吸着材料及び前後の篩板をそれぞれ対応する抽出用容器に移す。
【0045】
ブランク試料に同じプロセスを適用する。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例2
銘柄Bの煙草を選択し、GB/T16447規格条件に従って試料計量を行い、試料試験のために、煙草用の(平均質量±0.02)g及び(平均吸引抵抗±50)Paを選択する。待機状態の収集装置を煙捕集機に設置し、ヘルスカナダインテンス(HCI)規格条件下で吸引を行い、吸引容積は55.0mLであり、吸引時間は2秒であり、吸引回数は30秒間の回数であり、一度に1本の煙草を吸引する。煙草を吸引及び収集した後に収集装置を取り外し、吸着材料及び前後の篩板をそれぞれ対応する抽出用容器に移す。
【0048】
ブランク試料に同じプロセスを適用する。結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
実施例3
銘柄Cの煙草を選択し、GB/T16447規格条件に従って試料計量を行い、試料試験のために、煙草用の(平均質量±0.02)g及び(平均吸引抵抗±50)Paを選択する。本発明による装置(ケンブリッジフィルタを吸着材料とポンプとの間に設置する。装置は図1に示すとおりである)、及びケンブリッジフィルタとポンプとの間に吸着材料を設ける手段はそれぞれ、ISO規格条件下で吸引を行い、吸引容積は35.0mLであり、吸引時間は2秒であり、吸引回数は60秒間の回数であり、一度に1本の煙草を吸引する。煙草を吸引及び収集した後に収集装置を取り外し、吸着材料及び前後の篩板をそれぞれ対応する抽出用容器に移す。
【0051】
ブランク試料に同じプロセスを適用する。両装置の技術的効果を互いに比較する。結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
上記表の結果から、吸着材料とポンプとの間に配置されたケンブリッジフィルタの比較的良好な吸着効果が本発明によりもたらされたことが分かる。
【0054】
実施例4
本実施形態は図1に示す装置を使用する。当該装置では、例えば10〜20mL、<10mL、>20mLといった異なる収集キャビティ寸法を使用している。試験結果に応じた寸法の収集キャビティの効果の結果を図5に示す。図5によれば、収集キャビティの寸法は主に煙草吸引曲線に影響を与え、試験結果に影響する。処理ニーズを満たす状況下では、収集キャビティの容積を最小限に抑える必要があり、10〜20mlに制限することを推奨する。容積が大きすぎるか、又は小さすぎたりする場合、吸引曲線に影響が及ぶ。
【0055】
本発明は、従来の吸収装置と比較して新規なタイプの煙収集装置を採用していることから、本発明による装置には、従来の捕集装置と比較して、収集器の前方カバー内に固体吸着材料を含む内部キャビティが追加されている。そのため、煙の脱出が抑えられ、収集器内の滞留時間が長くなり、煙草煙中の揮発性有機化合物に対する篩板間の吸着材料の吸着効果が良好になり、これにより煙草煙ガス流が完全に吸着剤と接触可能になり、確実に煙草煙の関連成分が効果的に吸収され、煙草煙中の揮発性有機化合物分析のための要件が満たされる。5種類の揮発性有機化合物が0.03μg/本〜0.08μg/本に限定的に検出され、収集率は97.6%〜107.8%である。本発明の装置は操作が簡単であり、再現性の判定が良好であり、有機溶媒の消費が低く、試験結果と標準方法との間に大幅な差はなく、大量の試料分析に好適な揮発性有機化合物を蒸発させる際に室温で実行することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】