(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-535061(P2017-535061A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】フレキシブルなハイブリッドエネルギー生成および電力貯蔵セル
(51)【国際特許分類】
H01G 11/08 20130101AFI20171027BHJP
H01G 11/56 20130101ALI20171027BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20171027BHJP
H01G 11/42 20130101ALI20171027BHJP
H01G 7/02 20060101ALI20171027BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20171027BHJP
【FI】
H01G11/08
H01G11/56
H01G11/62
H01G11/42
H01G7/02 A
H01M10/0585
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-512747(P2017-512747)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月21日
(86)【国際出願番号】FI2015050577
(87)【国際公開番号】WO2016038246
(87)【国際公開日】20160317
(31)【優先権主張番号】14/479,716
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】リウ インリン
(72)【発明者】
【氏名】ラディヴォジェヴィック ゾラン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ピアーズ
(72)【発明者】
【氏名】コットン ダリル
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA15
5E078BA13
5E078DA05
5E078DA12
5E078JA11
5H029AJ01
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5H029EJ01
5H029EJ04
5H029EJ12
5H029HJ12
(57)【要約】
好適な実施形態は、セパレータ/電解質アセンブリと、前記セパレータ/電解質アセンブリの第1の表面に配置された第1のエネルギー貯蔵部分と、前記セパレータ/電解質アセンブリの第2の表面に配置された第2のエネルギー貯蔵部分と、前記第1のエネルギー貯蔵部分に配置された第1の金属被覆圧電薄膜と、前記第2のエネルギー貯蔵部分に配置された第2の金属被覆圧電薄膜とを備える。前記第1の金属被覆圧電薄膜に力が印加されると、圧電効果により、機械的歪みが電位に変換され、各エネルギー貯蔵部分は、前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分において変換されたエネルギーを貯蔵し、後に前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分から電子デバイスへ放出する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータ/電解質アセンブリと、
前記セパレータ/電解質アセンブリの第1の表面に配置された第1のエネルギー貯蔵部分と、
前記セパレータ/電解質アセンブリの第2の表面に配置された第2のエネルギー貯蔵部分と、
前記第1のエネルギー貯蔵部分に配置された第1の金属被覆圧電薄膜と、
前記第2のエネルギー貯蔵部分に配置された第2の金属被覆圧電薄膜と
を備え、前記第1の金属被覆圧電薄膜に力が印加されると、圧電効果により、機械的歪みが電位に変換され、各エネルギー貯蔵部分は、前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分において変換された前記エネルギーを貯蔵し、後に前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分から電子デバイスへ放出する、装置。
【請求項2】
前記第1の金属被覆圧電薄膜と前記第2の金属被覆圧電薄膜との間に接続されたダイオードをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ダイオードは前記装置と一体の薄膜である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ダイオードは、前記第1の金属被覆圧電薄膜および前記第2の金属被覆圧電薄膜の外部に接続される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記セパレータ/電解質アセンブリは、液体電解質が中に含浸しているポリマー構造体を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ポリマー構造体はポリプロピレンを含み、前記液体電解質は、テトラフルオロボラート塩を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記液体電解質は、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラートを含む、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分のうち少なくとも1つは活性炭を含む、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記第1のエネルギー貯蔵部分は第1の活性炭層を含み、前記第2のエネルギー貯蔵部分は第2の活性炭層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の金属被覆圧電薄膜および前記第2の金属被覆圧電薄膜はそれぞれ、アルミニウムが両面に配置されたPVDFの層を構成する、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記第1のエネルギー貯蔵部分はリチウム金属酸化物薄膜を含み、前記第2のエネルギー貯蔵部分は黒鉛層を含む、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記第1の金属被覆圧電薄膜は、アルミニウムが両面に配置されたPVDFの層を構成し、前記第2の金属被覆圧電薄膜は、銅が両面に配置されたPVDFの層を構成する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記セパレータ/電解質アセンブリ、前記第1のエネルギー貯蔵部分、前記第2のエネルギー貯蔵部分、前記第1の金属被覆圧電薄膜、および前記第2の金属被覆圧電薄膜のうち少なくとも1つに接続したコントローラと、プロセッサと、メモリとをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の装置を備えた電子デバイス。
【請求項15】
前記電子デバイスは、手持ち式の携帯型デバイス、装着型デバイス、電話、カメラ、タブレット、ビデオ/音声デバイス、ナビゲーションデバイス、ゲーミングデバイス、メッセージ伝達デバイス、ウェブブラウザ、または前述のものの組み合わせのいずれかである、請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
装置において電圧を生成することを含む方法であって、前記装置は、セパレータ/電解質アセンブリと、前記セパレータ/電解質アセンブリの第1の表面に配置された第1のエネルギー貯蔵部分と、前記セパレータ/電解質アセンブリの第2の表面に配置された第2のエネルギー貯蔵部分と、前記第1のエネルギー貯蔵部分に配置された第1の金属被覆圧電薄膜と、前記第2のエネルギー貯蔵部分に配置された第2の金属被覆圧電薄膜とを備え、前記第1の金属被覆圧電薄膜に力が印加されると、圧電効果により、機械的歪みが電位に変換され、各エネルギー貯蔵部分は、前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分において変換された前記エネルギーを貯蔵し、前記貯蔵されたエネルギーを前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分から電子デバイスへ放出する、方法。
【請求項17】
少なくともプロセッサおよびメモリを有するコントローラを介して前記貯蔵されたエネルギーの放出を制御することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数回の変形/解放サイクルの下でダイオードを通る一方向での電荷のポンピングをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
放出されるエネルギーの量は、前記貯蔵されたエネルギーが特定の量未満であれば制限される、請求項16から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
ハイブリッド電力デバイスを操作するための装置であって、
前記ハイブリッド電力デバイスにおいて電圧を生成する手段と、
前記ハイブリッド電力デバイスにおいて生成された前記エネルギーを貯蔵する手段と、
前記貯蔵されたエネルギーを、前記エネルギーを貯蔵する手段から電子デバイスへ放出する手段と
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される例示的な非限定的実施形態は、概して、電子デバイスおよび方法に関し、より詳細には、エネルギーを生成および貯蔵する電子ハイブリッド電力デバイスに関する。特定の実施形態およびその種々の態様は、再生可能かつ持続可能なエネルギー源が利用される携帯型電子デバイスに関する。
【0002】
エネルギーハーベスティングは、エネルギーが外部発生源(例えば、太陽エネルギーまたは運動エネルギー)から生じ、捕捉され、各種デバイスで後に使用するために貯蔵されるプロセスである。貯蔵されたエネルギーが使用されうるデバイスとしては一般に、装着型の電子機器およびセンサネットワーク等の小型自律デバイスが挙げられる。これらのデバイスは有線または無線であってよい。
【0003】
以下の概要は単に例示であることが意図される。本概要は、特許請求の範囲を限定することを目的としていない。
【0004】
一態様によると、装置は、セパレータ/電解質アセンブリと、前記セパレータ/電解質アセンブリの第1の表面に配置された第1のエネルギー貯蔵部分と、前記セパレータ/電解質アセンブリの第2の表面に配置された第2のエネルギー貯蔵部分と、前記第1のエネルギー貯蔵部分に配置された第1の金属被覆圧電薄膜と、前記第2のエネルギー貯蔵部分に配置された第2の金属被覆圧電薄膜とを備える。前記第1の金属被覆圧電薄膜に力が印加されると、圧電効果により、機械的歪みが電位に変換され、各エネルギー貯蔵部分は、前記第1のエネルギー蓄積部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分において変換されたエネルギーを貯蔵し、後に前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分から電子デバイスへ放出する。
【0005】
別の態様によると、方法は、装置において電圧を生成することを含み、前記装置は、セパレータ/電解質アセンブリと、前記セパレータ/電解質アセンブリの第1の表面に配置された第1のエネルギー貯蔵部分と、前記セパレータ/電解質アセンブリの第2の表面に配置された第2のエネルギー貯蔵部分と、前記第1のエネルギー貯蔵部分に配置された第1の金属被覆圧電薄膜と、前記第2のエネルギー貯蔵部分に配置された第2の金属被覆圧電薄膜とを備える。前記第1の金属被覆圧電薄膜に力が印加されると、圧電効果により、機械的歪みが電位に変換され、各エネルギー貯蔵部分は、前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分において変換された前記エネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを前記第1のエネルギー貯蔵部分および前記第2のエネルギー貯蔵部分から電子デバイスへ放出する。
【0006】
別の態様によると、ハイブリッド電力デバイスを操作するための装置は、前記ハイブリッド電力デバイスにおいて電圧を生成する手段と、前記ハイブリッド電力デバイスにおいて生成されたエネルギーを貯蔵する手段と、貯蔵されたエネルギーを、前記エネルギーを貯蔵する手段から電子デバイスへ放出する手段とを備える。ハイブリッド電力デバイスを操作する手段は、貯蔵されたエネルギーの放出を制御する手段を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
前述の態様およびその他の特徴は、添付の図面と関連して以下の記述で説明される。
【0008】
【
図1】
図1は、先行技術のリチウムイオン電池構造体のアセンブリの斜視図である。
【0009】
【
図2】
図2は、先行技術の可撓性ファブリックのアセンブリの概略図である。
【0010】
【
図3A】
図3Aは、スーパーキャパシタの形態のハイブリッド電力デバイスの略図である。
【0011】
【0012】
【
図4A】
図4Aは、スーパーキャパシタとして実現されたフレキシブルハイブリッド電気化学セルの略図である。
【0013】
【
図4B】
図4Bは、ハイブリッドリチウム電池として実現されたハイブリッド電力デバイスの略図である。
【0014】
【
図5A】
図5Aは、プロトタイプハイブリッドスーパーキャパシタの静電容量挙動のサイクリックボルタモグラムである。
【0015】
【
図5B】
図5Bは、プロトタイプハイブリッドスーパーキャパシタの充放電曲線のグラフ表示である。
【0016】
【
図6A】
図6Aは、ステンレススチール製コイン型セルとして組み立てられたハイブリッドスーパーキャパシタの構成部品の分解斜視図である。
【0017】
【
図6B】
図6Bは、ユーザの靴に実装されたスチール製コイン型セルの略図である。
【0018】
【
図7】
図7は、電子デバイスにより後に使用されるエネルギーを収集して貯蔵する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
運動エネルギーハーベスティングは、人間の運動、低周波地震振動、もしくは音響ノイズによる膜の運動等の運動から、または熱、光、もしくは水流等の周囲環境発生源に由来する運動からエネルギーを捕捉する環境に優しい方法である。捕捉されたエネルギーは、後に例えば、充電式バッテリで使用するために貯蔵されてもよい。通常、充電式バッテリを充電するために使用するエネルギーは、AC電気を使用した充電器に由来する。しかしながら、用途によっては、バッテリ充電は困難であるかまたは可能でない場合がある。捕捉したエネルギーの貯蔵をせずとも、エネルギーハーベスティングは緊急事態において、例えば、従来の非常用電源の代替としてエネルギーを提供する手段として有用でありうる。
【0020】
本明細書に開示される種々の例示的実施形態は、周囲環境発生源から収集された再生可能かつ持続可能なエネルギーに基づいて動作する携帯型および装着型電子デバイスに係る。このような携帯型および装着型電子デバイスとしては、手持ち式の携帯型デバイスおよび/または装着型デバイス(例えば、電話、カメラ、タブレット、ビデオ/音声デバイス、ナビゲーションデバイス、ゲーミングデバイス、メッセージ伝達デバイス、ウェブブラウザ、前述のものの組み合わせ等)が挙げられるが、これらに限定されない。このようなデバイスの使用に障害となるのは、収集されたエネルギーを貯蔵するために利用されるバッテリのサイズおよび重量であった。
【0021】
図1を参照すると、先行技術のリチウムイオン電池構造体のアセンブリが全体を100で示されており、以下、「バッテリ100」と呼ぶ。バッテリ100において、アノード層102およびカソード層104は、セパレータ層106の両側に配置される。アノード層102およびカソード層104は両方とも、電極活物質と、薄く可撓性の金属箔の形態の支持集電体とからなる。バッテリ100において、アノード層102は銅箔にコーティングされた炭素薄膜であり、カソード層104はアルミニウム箔にコーティングされたリチウム金属酸化物薄膜である。アノード層102、カソード層104、およびセパレータ層106の材料は、それぞれの材料のスプールから供給され、ピンチローラ108を使用して組み合わされ、一体層110としてバッテリ100を形成する。
【0022】
図2を参照すると、先行技術の可撓性ファブリックのアセンブリが全体を200で示されており、以下、「ファブリック200」と呼ぶ。ファブリック200は、上に充電可能なエネルギー貯蔵層204が配置されたエネルギー放出層202を備えた一体型薄膜ファブリック積層体である。任意の充電/再充電層206が充電可能なエネルギー貯蔵層204上に配置されてもよい。充電可能なエネルギー貯蔵層204(または任意の充電/再充電層206と組み合わされた充電可能なエネルギー貯蔵層204)は、外部発生源から周囲の位置エネルギー222を受け取り、受け取ったエネルギーを電気エネルギーに変換し、ファブリック200に不可欠な電気エネルギーを貯蔵し、エネルギー224としてさまざまな方法で電気エネルギーを放出することができる。
【0023】
図3Aから
図6を参照すると、本発明の例示的実施形態はエネルギーの生成および貯蔵に使用できるハイブリッド電力デバイスに係る。これらのハイブリッド電力デバイスは、2つの集電体と、電解質が含浸されたセパレータによって仕切られた電極とを備えた電気化学セル(例えば、バッテリまたはスーパーキャパシタ)である。このようなデバイスの一実施形態は、集電体にエネルギーハーベスティング層を組み込むことによって自動充電式バッテリまたはスーパーキャパシタを提供する。エネルギーハーベスティング層は、バッテリまたはスーパーキャパシタ内の分離できない内部部品であってもよく、それ自体がエネルギーハーベスティングおよびエネルギー貯蔵の両方のハイブリッド機能を有するモノリシックデバイスを具体化したものである。
【0024】
運動からエネルギーを収集するためにエネルギーハーベスティング層を使用する際に、圧電効果に頼ることができる。圧電効果は、機械的歪みが電界に変換される材料を利用し、これを利用して電流または電圧を生成することによって、1つの構造体における充電能力および貯蔵能力の両方を提供する。ほとんどの圧電性電気発生源は、ミリワット単位の電力を生成する。これはほとんどのシステムの用途には一般に不十分でありうるが、無線自律デバイスおよび電源内蔵式メカニカルセンサのいくつかの種類には十分でありうる。
【0025】
本明細書に開示されるハイブリッド電力デバイスの例示的実施形態では、集電体の一方または両方は薄い可撓性の金属被覆ポリフッ化ビニリデン(PVDF)薄膜で構成され、これは、機械的歪みエネルギーを使用して電荷を分離する能力を有し、このようにして生じた電荷はエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵される。金属被覆PVDF薄膜は2つの機能、すなわち、機械的歪みを電気エネルギーに変換する機能(PVDF層)と集電体として作用する機能(金属層)とを有する。デバイスが機械的に圧迫されるか、折り曲げられるか、または別の方法で屈曲されると、集電体上にあるPVDF薄膜は応力を受けることによって、電気化学セルを充電するための電荷ポンプとして機能する圧電電位を生じる。PVDFを(先行技術に記述されているような)電気化学セルのセパレータとして使用する代わりに金属被覆PVDFを集電体として使用することにより、2つのPVDF層は、構造体内で一体化されてもよく、充電効率を2倍にできる。従来のバッテリおよびスーパーキャパシタの電極および処理方法を使用してもよく、これにより製造プロセスが全体として簡略化され、実用化が促され、全体的なコストパフォーマンスにつながる。
【0026】
図3Aから
図6Bに示されるハイブリッド電力デバイスを製造するときの製造手順は、従来のバッテリまたはスーパーキャパシタの製造と同様である。ただし、金属箔集電体は金属被覆圧電薄膜に変更される。
図2に示すファブリック200にはあるような、バッテリを圧電層に接続し、その後バッテリと圧電層とを一緒に積層する余分なステップがない。上部電極層および下部電極層にある2つの外側金属電極はダイオード309を用いて接続されうる。これはロールツーロール積層後に行ってもよい。これは、製造を簡略化し、製造コストを下げることができる。圧電層は直接バッテリまたはスーパーキャパシタの集電体に配置されてよいため、収集されたエネルギーは直接、電気化学的に最小の抵抗損失で貯蔵されうるため、潜在的に損失の多い導体を介して2つの別個の部分が接続されているよりも効率的でありうる。
【0027】
図3Aを参照すると、ハイブリッドスーパーキャパシタの形態のハイブリッド電力デバイスの動作機構が全体を参照番号300で示されており、以下、「スーパーキャパシタ300」と呼ぶ。本明細書に記載される例示的実施形態は、スーパーキャパシタであることに限定されないが、これは、ハイブリッド電力デバイスの動作機構がバッテリを備えてもよいからである。スーパーキャパシタ300は、電解質が含浸されたセパレータ302を備え、セパレータ/電解質アセンブリ304を画定する。第1の炭素層306により画定される第1電極は、セパレータ/電解質アセンブリ304の片面に配置され、第2の炭素層308により画定される第2電極はセパレータ/電解質アセンブリ304のもう一方の(例えば、反対側の)面に配置される。セパレータを作製できる材料としては、好適なポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および任意の他の適切なポリマーが挙げられる。第1の金属被覆PVDF薄膜310は、第1の炭素層306に配置され、第2の金属被覆PVDF薄膜312は、第2の炭素層308に配置される。PDVF膜の金属被覆のために利用される材料としては、アルミニウムを挙げてもよい。金属被覆用のその他の材料としては、銅、クロム、金、ニッケル、銀、プラチナ、ロジウム、前述のもののいずれかの合金等が挙げられるが、これらに限定されない。電解質は、酸(例えば、硫酸(H
2SO
4))、アルカリ(例えば、水酸化カリウム(KOH))、または塩(例えば、第4級ホスホニウム塩、過塩素酸ナトリウム(NaClO
4)、過塩素酸リチウム(LiClO
4)、または六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF
6))を有する水性電解質であってよく、あるいは、有機電解質(例えば、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、および第4級アンモニウム塩もしくはアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート(N(Et)
4BF
4)もしくはトリエチル(メチル)テトラフルオロボラート(NMe(Et)
3BF
4)))を有する溶液、またはゲル電解質であってよい。ダイオード309は圧電薄膜上にある2つの外側金属電極に接続されてよく、複数回の変形/解放サイクルの下で一方向での電荷のポンピングを可能とする。ダイオード309は構造体内に組み込まれる薄膜タイプのものであってよく、または構造体に接続され、第1の金属被覆PVDF薄膜310および第2の金属被覆PVDF薄膜312の金属被膜表面の最外表面全体に接続される外部モジュールであってもよい。
【0028】
第1の金属被覆PVDF薄膜310に力Fが印加されると、圧電電界が生じる。生じた電界がダイオード309のしきい電圧よりも大きい場合、ダイオード309は伝導する。両方の圧電層全体に生じた電界により、電解質−炭素電極の液体−固体界面それぞれで電荷分離が起こり、電解質によって直列接続された2つの二重層コンデンサを効果的に作り出す。圧力が解放された後、ダイオード309はオフになり、2つの電極間の電圧は存在しているまま残り、エネルギーは電極/電解質アセンブリ304/306に貯蔵される。繰り返しの圧力の印加は、第1の金属被覆PVDF薄膜310に繰り返し力Fを及ぼし、トリクル電荷を連続的にスーパーキャパシタ300に供給して電荷をいっぱいなままで維持する。接続されたダイオード309と並列の金属被覆PVDF薄膜310、312は、従来のスーパーキャパシタ用のDC電源のように動作する。
【0029】
スーパーキャパシタ300の動作は、スーパーキャパシタ300の1つまたは複数の部分に接続されたコントローラ320によって制御されてもよい。特に、スーパーキャパシタ300は、プロセッサ322およびメモリ324を有するコントローラ320に接続されてもよく、プロセッサ322はソフトウェア326を含み、コントローラ320は第1の金属被覆PVDF薄膜310および第2の金属被覆PVDF薄膜312の最も内側の金属被覆表面に接続されている。スーパーキャパシタ300の制御は、生成されたエネルギーの量を調整すること、またはさまざまなパラメータに基づいて放出されるエネルギーの量を調整することを含んでよい。
【0030】
図3Bを参照すると、
図3Aのスーパーキャパシタの等価充電回路が全体を330で示されており、以下、「等価回路330」と呼ぶ。等価回路330は、ダイオード309に直列接続されている第1の圧電素子334Aおよび第2の圧電素子334B、第1の圧電素子334Aおよび第2の圧電素子334Bに接続される出力335、ならびに出力335に並列接続されているキャパシタ/インダクタ336により画定されてよい。キャパシタ/インダクタ336は、並列のキャパシタ338および制限レジスタ340を備え、等価直列抵抗344およびコイル348と直列接続されている。
【0031】
ここで
図4Aおよび
図4Bを参照すると、ハイブリッド電力デバイスの構造および製造が示される。
図4Aにおいて、スーパーキャパシタ300として実現されたフレキシブルハイブリッド電気化学セルの一例示的実施形態の構造は、セパレータ/電解質アセンブリ304と、セパレータ/電解質アセンブリ304上にある第1の活性炭層306および第2の活性炭層308とを備え、それぞれの活性炭層は電極として作用する。第1の金属被覆PVDF薄膜310および第2の金属被覆PVDF薄膜312は、それぞれ蒸着アルミニウムの層502により挟まれたPVDFの層500により形成された金属被覆PVDF薄膜から形成されており、それぞれ、第1の炭素層および第2の炭素層に配置される。第1の炭素層306および第2の炭素層308はエネルギーを貯蔵するのに対し、第1の金属被覆PVDF薄膜310および第2の金属被覆PVDF薄膜312は、それぞれエネルギー生成アセンブリとして作用する。
【0032】
さらに
図4Aを参照すると、スーパーキャパシタ300を作製する一例示的実施形態では、活性炭インクが金属被覆PVDF薄膜にバーコートされ、電極を形成する。印刷された電極は次いで、100℃で約1時間乾燥される。電解質に浸漬されるかまたは電解質が含浸されたポリプロピレンセパレータは2つの電極間に挟まれる。本明細書に開示される例示的実施形態では、1モルのTEABF
4水溶液が電解質として使用される。スーパーキャパシタ300の試験中の対照として、集電体としてアルミ箔を有するスーパーキャパシタ(エネルギー生成部分のない構造)および電解質含侵セパレータにより仕切られた2つの金属被覆PVDF薄膜を有するセル(エネルギー貯蔵部のない構造体)がさらに作製され、スーパーキャパシタ300と比較された。ダイオード309は集電体の内部(薄膜ダイオード)または外部(例えば、従来の半導体ダイオード)に接続されてよい。
【0033】
図4Bにおいて、ハイブリッド電力デバイスの一例示的実施形態はハイブリッドリチウム電池550として実現され、これは、セパレータ/電解質アセンブリ552、その片面にあるリチウム金属酸化物薄膜554、およびその反対側面に配置された黒鉛層556を備えることにより、エネルギー貯蔵部分を画定する。蒸着アルミニウムの層502の間に挟まれるPVDF薄膜500はリチウム金属酸化物薄膜554上に配置され、蒸着銅の層562の間に挟まれるPVDF薄膜560は黒鉛層556上に配置される。
【0034】
ここで
図5Aおよび
図5Bを参照すると、PVDF薄膜を有していても有していなくてもスーパーキャパシタ300は電気化学的測定により試験したときに類似の静電容量挙動を示す。特に、
図5Aにおいて全体が600で示されるサイクリックボルタモグラムは、電圧の関数としての電流の特性を示す。
図5Bでは、グラフ610は、充電曲線612および放電曲線614を示し、スーパーキャパシタとしてハイブリッドデバイスが動作することを示している。
【0035】
炭素系スーパーキャパシタ300は、物理的にエネルギーを貯蔵し、リチウム電池と比較して化学変化も相転移も起こらない。充電/放電プロセスは、理論上は制限なく高速で何度も繰り返すことができる。このため、スーパーキャパシタ300を、ハイブリッドエネルギー貯蔵装置として使用するにあたってリチウム電池よりも理想的な選択肢とすることができる。
【0036】
ここで
図6Aを参照すると、自己充電式電気化学セル(例えば、スーパーキャパシタ300)はステンレススチール製コイン型セル800として組み立てられてもよい。各セル800は、例えば、スーパーキャパシタ300(セパレータ302と、上に金属被覆PVDF薄膜310、312が配置され、ダイオード309が組み込まれた電極306、308)を備え、スーパーキャパシタ300は、波形ばね802および少なくとも1つのスペーサ804によって挟まれ、蓋808およびガスケット809により閉鎖可能な缶806に収容される。
図6Bに示すように、1つまたは複数のステンレススチール製コイン型セル800は、ユーザの靴810(例えば、踵)に実装されて、ユーザが歩行、ジョギング、またはランニングする間にエネルギーを収集できる。ステンレススチール製コイン型セル800は予備または非常用電源として動作できる。
【0037】
ここで
図7を参照すると、電子デバイスにより後に使用されるエネルギーを収集して貯蔵する方法が全体を参照番号900で示されており、以下、「方法900」と呼ぶ。方法900では、電圧が生成ステップ911においてスーパーキャパシタ300を使用して生成される。生成された電圧は貯蔵ステップ914において、スーパーキャパシタ300の第1のエネルギー貯蔵部分および第2のエネルギー貯蔵部分にエネルギーとして貯蔵される。例えば電子デバイスに電力を供給するためにエネルギーが必要とされるとき、エネルギーは放出ステップ924において放出される。生成ステップ911、貯蔵ステップ914、および放出ステップ924のいずれかまたはそのすべては、プロセッサ917(ソフトウェア968を含む)およびメモリ959を有するコントローラ928により独立して制御できる。例えば、生成ステップ911で生成される電圧の量は、貯蔵されたエネルギーの量が最大であればプロセッサ917により調整できる(例えば、減らされる)。加えて、デバイスへ放出されるエネルギーの量は、貯蔵エネルギーが完全になくなることを避けるために貯蔵エネルギーがある最小値未満であり生成されていなければ制限されうる。コントローラ928、プロセッサ917、メモリ959、およびソフトウェア968は、
図3Aに示されるコントローラ320、プロセッサ322、メモリ324、およびソフトウェア326に対応できる。
【0038】
ハイブリッド電力デバイス(スーパーキャパシタ300等)の例示的実施形態のいずれかにおいて、デバイスは従来の電力デバイス構造体(例えば、
図1および
図2に示される)よりも薄くなりうる。通常、薄膜バッテリおよびスーパーキャパシタでは、複数のアノード層、カソード層、およびセパレータ層が一緒に積層されて限られた空間内の容量を増加させる。
図2に示される構造については、これは、別個行われなければならないことがあり、これにより、製造が複雑になり、デバイスの厚みが増加しうる。実際に、エネルギー生成およびエネルギー貯蔵は、通常2つの別個のユニットで完了することができ、いかなる電力システムのコストおよびサイズも増加しうる。
【0039】
しかし、本明細書に開示される例示的実施形態では、エネルギーハーベスティング部およびエネルギー貯蔵部を一緒に積層することを実現するため、単位体積当たりの貯蔵容量を増加させることができる。さらに、本明細書に開示されるハイブリッド電力デバイスに関して、圧電薄膜それ自体が伝導性でない場合があるため、追加の金属被膜または追加の電気配線を使用して圧電薄膜をバッテリに接続できる。利用される場合、このような特徴は、余分な製造ステップで一般に生じうることであり、さらに、構造体全体の厚みを増加させうる。できるだけ薄いデバイスを得るために、多種多様な用途におけるデバイスの使用を可能にするために可撓性を増加させることが望ましい場合がある。
【0040】
前述の例示的実施形態のいずれかでは、多数の利点が実現されている。第1に、自然な可撓性エネルギー貯蔵形態を活用してエネルギーを収集できる。特に、機械的変形、例えば、屈曲、打撃、および/または圧迫により生成されるエネルギーは直接電気化学セルに貯蔵できる。第2に、エネルギー変換効率を上げることができ、別個のエネルギー生成および貯蔵システムと比べるとバッテリの重量およびサイズを低減できる。第3に、従来のバッテリおよびスーパーキャパシタの電極およびセパレータの材料はこの設計において適用可能であり、これにより作製を簡単にし、コストを下げることができる。さらに、所望する場合、従来のバッテリおよびスーパーキャパシタの製造方法を使用できる。
【0041】
エネルギー生成機能およびエネルギー貯蔵機能を1つのユニットに組み合わせることによって、本明細書の例示的実施形態に記載されるハイブリッド電力デバイスは、両方がより効率的であり、一緒に積層された別個のユニットを備えたシステムと比べて、重量、全体の体積、厚みの低減の利益を享受する。このようなシステムは、システムの任意の機械的変形、例えば、湾曲、振動、打撃等を利用することによって、エネルギー貯蔵およびエネルギーハーベスティングを組み合わせる。
【0042】
本明細書に開示される例示的実施形態は、さまざまな範囲および規模にわたる広い用途を有し、多くの種類のデバイスに組み込まれてエネルギー自治に寄与できる。例えば、エネルギー貯蔵システムの可撓性を活用して、機械的変形を電子デバイスのさらなる充電のためのエネルギーに変換できる。さらに、振動運動から発生したエネルギーは、小型の低電力システム、例えば、センサ/アクチュエータおよびマイクロ電気機械システムに、ならびに生物医学的用途またはリモートセンシングまたはバッテリの再充電が難しい場合がある類似の用途に有用でありうる。本明細書に開示されるエネルギー貯蔵システムを利用可能な用途としては、衣料、衣服、紙製品(例えば、新聞紙工作品(functional newspaper))、携帯型デバイス(例えば、柔らかい携帯型電子ガジェット)、玩具等が挙げられるが、これらに限定されない。その他の可能な用途としては、皮膚に付着される絆創膏の形態の薄く可撓性のエネルギー自律センサとしての使用が挙げられ、このようなセンサは、身体の状態、例えば、体温、血圧、心拍数等をモニタして、電荷ポンプが十分な量のエネルギーを蓄積させると(例えば、ユーザがその皮膚を動かし変形させる度に)、後に携帯型デバイスに無線通信できる。機械的変形が圧電効果を提供し、エネルギーが貯蔵され、その後回収できるその他の用途が可能であるため、本発明はこれに限定されない。
【0043】
一例示的実施形態では、装置は、セパレータ/電解質アセンブリと、セパレータ/電解質アセンブリの第1の表面に配置された第1のエネルギー貯蔵部分と、セパレータ/電解質アセンブリの第2の表面に配置された第2のエネルギー貯蔵部分と、第1のエネルギー貯蔵部分に配置された第1の金属被覆PVDF薄膜と、第2のエネルギー貯蔵部分に配置された第2の金属被膜PVDF薄膜とを備える。ダイオードは第1および第2の圧電薄膜上にある第1および第2の外側金属電極間に接続されてよく、複数回の変形/解放サイクルの下で一方向での電荷のポンピングを可能とする。第1の金属被覆薄膜に力が印加されると、圧電電界が生じ、電荷分離がセパレータ/電解質アセンブリの界面で起こり、各エネルギー貯蔵部分はエネルギーを生成する。
【0044】
装置において、セパレータ/電解質アセンブリは、液体電解質が中に含浸しているポリマー構造体を備えることができる。ポリマー構造体は、ポリプロピレンを含んでいてもよく、液体電解質は、テトラフルオロボラート塩を含むことができる。液体電解質は、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラートを含むことができる。第1のエネルギー貯蔵部分および第2のエネルギー貯蔵部分のうち少なくとも1つは活性炭を含むことができる。第1のエネルギー貯蔵部分は、第1の活性炭層を含むことができ、第2のエネルギー貯蔵部分は、第2の活性炭層を含むことができる。第1の金属被覆薄膜および第2の金属被覆薄膜はそれぞれ、アルミニウムが両面に配置されたPVDFの層を構成してよい。第1のエネルギー貯蔵部分は、リチウム金属酸化物薄膜を含むことができ、第2のエネルギー貯蔵部分は、黒鉛層を含むことができる。第1の金属被覆薄膜は、アルミニウムが両面に配置されたPVDFの層を構成してよく、第2の金属被覆薄膜は、銅が両面に配置されたPVDFの層を構成してよい。装置は、セパレータ/電解質アセンブリ、第1のエネルギー貯蔵部分、第2のエネルギー貯蔵部分、第1の金属被覆薄膜、および第2の金属被覆薄膜のうち少なくとも1つに接続したコントローラと、プロセッサと、メモリとを含むことができる。装置は電子デバイスを備えてよく、この電子デバイスは、手持ち式の携帯型デバイス、装着型デバイス、電話、カメラ、タブレット、ビデオ/音声デバイス、ナビゲーションデバイス、ゲーミングデバイス、メッセージ伝達デバイス、ウェブブラウザ、または前述のものの組み合わせ等のいずれかであってよい。
【0045】
別の例示的実施形態では、方法は、装置において電圧を生成することを含み、当該装置は、セパレータ/電解質アセンブリと、セパレータ/電解質アセンブリの第1の表面に配置された第1のエネルギー貯蔵部分と、セパレータ/電解質アセンブリの第2の表面に配置された第2のエネルギー貯蔵部分と、第1のエネルギー貯蔵部分に配置された第1の金属被覆薄膜と、第2のエネルギー貯蔵部分に配置された第2の金属被覆薄膜とを備え、第1の金属被覆薄膜に力が印加されると、圧電電界が生じ、電荷分離がセパレータの界面で起こり、各エネルギー貯蔵部分はエネルギーを生成する。本方法はまた、装置において電圧を生成することと、第1のエネルギー貯蔵部分および第2のエネルギー貯蔵部分において生成されたエネルギーを貯蔵することと、貯蔵されたエネルギーを第1のエネルギー貯蔵部分および第2のエネルギー貯蔵部分から電子デバイスへ放出することとを含む。
【0046】
本方法は、少なくともプロセッサおよびメモリを有するコントローラを介して貯蔵されたエネルギーの放出を制御することをさらに含んでよい。生成した電圧の量はプロセッサによって調整されてよい。放出されるエネルギーの量は、貯蔵エネルギーが特定の量未満であれば制限されうる。
【0047】
別の例示的態様では、ハイブリッド電力デバイスを操作する装置は、ハイブリッド電力デバイスにおいて電圧を生成する手段と、ハイブリッド電力デバイスにおいて生成されたエネルギーを貯蔵する手段と、貯蔵されたエネルギーを、エネルギーを貯蔵する手段から電子デバイスへ放出する手段とを備える。ハイブリッド電力デバイスを操作する手段は、貯蔵されたエネルギーの放出を制御する手段を備えてもよい。
【0048】
別の例示的態様では、装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、装置において電圧を生成させること、装置に生成されたエネルギーを貯蔵すること、および貯蔵されたエネルギーを装置から電子デバイスへ放出することを少なくとも行わせる、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【0049】
上記記述は例示的なものに過ぎないことを理解すべきである。種々の代替物および変形物が当業者によって考案されうる。例えば、種々の従属クレームに列挙される特徴は、任意の好適な組み合わせで互いに組み合わせることができる。加えて、上記のさまざまな実施形態の特徴は選択的に組み合わせて新たな実施形態としてもよい。したがって、当該記述は、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれるすべてのこのような代替物、変形物、および改変物を包含することが意図されている。
【国際調査報告】