特表2017-536482(P2017-536482A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-536482短レーザーパルス及び複合ターゲット材料を用いた薄膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-536482(P2017-536482A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】短レーザーパルス及び複合ターゲット材料を用いた薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20171110BHJP
   C23C 14/28 20060101ALI20171110BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   C23C14/24 E
   C23C14/28
   C23C14/06 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-528919(P2017-528919)
(86)(22)【出願日】2015年12月4日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月30日
(86)【国際出願番号】FI2015050854
(87)【国際公開番号】WO2016087718
(87)【国際公開日】20160609
(31)【優先権主張番号】20146071
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】FI
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517103108
【氏名又は名称】ピコデオン リミティド オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】ヤリ リーマタイネン
(72)【発明者】
【氏名】ビッレ ケッコネン
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA11
4K029AA25
4K029BA41
4K029BA44
4K029BA46
4K029BA64
4K029CA01
4K029CA15
4K029DB02
4K029DB03
4K029DB05
4K029DB06
4K029DB07
4K029DB10
4K029DB20
4K029EA01
4K029EA03
4K029JA10
4K029KA03
(57)【要約】
本発明は、崩壊される2種以上の材料で製造された複合ターゲットを用いること、及びこのようにターゲット材料に向けられた短レーザーパルスにより材料流を被コーティング物品に向けて製造することにより、金属、セラミック、及び有機材料から密で多孔質のコーティングを製造する方法を示す。この方法により、レーザーパルスの必要なエネルギー及び熱発生を最小化しつつ、制御された方法で材料構造を製造することが可能であり、この方法により、ターゲット材料のための成分を正確に選択することにより、生産性を向上させることも可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーパルスにより薄膜型のコーティングを製造する方法であって、
‐圧縮することによって、圧力及び/又は温度により少なくとも2種の異なるターゲット材料から所望の形状のターゲットを製造し、
前記ターゲット材料のうちの少なくとも1種の材料成分のアブレーション閾値(J/cm2)が、用いられる他のターゲット材料のものより低く、
第一のターゲット材料が、圧縮前に第二のターゲット材料のためのコーティングとして機能し、
第一のターゲット材料が、金属、無機又は有機材料であり、
前記ターゲットのコーティングされたソース材料が圧縮前に粉末状であり、
‐レーザーパルスが、前記ターゲット材料のはぎ取り並びに所望のサイズ及び材料分布を有する粒子の形成のためにターゲットに向けられ、個々のレーザーパルスの継続時間が10ns未満であり、
‐前記ターゲットからはぎ取られたターゲット材料が、基材に対して向けられて、前記基材の表面又は表面の一部に薄膜型のコーティングを形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ターゲット中で用いられる前記少なくとも1種のターゲット材料のアブレーション閾値(J/cm2)が、前記用いられる他のターゲット材料のアブレーション閾値より少なくとも10%低いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
より低いアブレーション閾値を有するターゲット材料のレーザーエネルギーの吸収能を、吸収能を向上させる少なくとも0.05質量パーセントの混合成分を混合することにより向上させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲットのより低いアブレーション閾値を有するターゲット材料の割合が、少なくとも0.01体積パーセントであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントが無機材料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントが金属材料であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントがポリマー材料であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ターゲットのためのソース材料として用いられるターゲット材料が粉末状であり、そのうちの少なくとも1種の粉末タイプは、粉末が一緒に圧縮されてターゲットを形成する前に金属、無機又は有機材料によりコーティングされることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
多孔質コーティングが前記方法において製造され、その空隙率が、少なくとも5体積パーセントであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記薄膜型のコーティングの厚さが少なくとも50nmかつ最大で4000nmであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
気化、粒子の形成、及びコーティングされる物品の表面への前記ターゲットからの材料の移送が、ターゲットに向けられたレーザーパルスにより達成され、個々のレーザーパルスの適時の継続時間が0.5〜10000psであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記レーザーパルスを50kHz≦f≦100MHzの繰り返し周波数で発生させることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザーパルスが調節ミラーに向けられて扇形レーザービーム分布が形成され、本質的に平行なレーザーパルスフロントを形成するのに用いられるテレセントリックレンズに向けられ、そのフロントが、粒子を形成するように前記ターゲットに更に向けられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザーアブレーション及びコーティングが、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、10-8〜1000mbarの制御された圧力において生じることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記無機材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であるか、または幾つかの異なる無機材料からなることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
リチウムアキュムレータ用の多孔質セパレータ膜をコーティングするための請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項17】
リチウムアキュムレータ用の多孔質カソード材料をコーティングするための請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項18】
センサ用の多孔質コーティングを製造するための請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項19】
レーザーアブレーションを用いることにより、コーティングが圧縮されたターゲットから製造されており、前記ターゲットが少なくとも2種の異なるターゲット材料を含む、薄膜型のコーティングによりコーティングされた物品又は表面であって、少なくとも1種のターゲット材料のアブレーション閾値が前記ターゲットの他のターゲット材料のアブレーション閾値より低く、より高いアブレーション閾値を有する材料が、製造されたコーティングの主要部分を形成しており、コーティングが多孔質構造を有することを特徴とする、物品又は表面。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
発明の分野
本発明は、少なくとも2種の異なる材料で製造されたターゲット材料を用いることによる多孔質コーティングの製造であって、1種の材料成分が最も有利に離散するように、ターゲット材料の、材料の粒子への原子化及び/又は崩壊が異なるエネルギー密度(J/cm2)値で生じ、材料の不均一な離散をもたらす製造に特に関する。これは、より容易に離散し、及び/またはエネルギーを吸収する材料により形成された構造に沿って、レーザーパルスにより発生したエネルギーが材料を原子化する際、制御された離散をもたらす。
【0002】
本発明の背景
異種薄膜適用に関する多孔質材料の製造は、例えばセンサコーティング、医療及びアキュムレータ技術において重要である応用分野である。多孔性の全量に加えて、多孔性分布の制御もまた多孔性の制御において重要である。多くのコーティング方法において、多孔性の全量、サイズ分布、及び多孔性分布の両方の均一な品質を制御することは課題であり、レーザーパルスにより発生したエネルギーが制御された方法で所望のサイズ及び形状の粒子に材料を崩壊させるように、ターゲット材料を設計することが好ましい。
【0003】
発明の概要
本発明は、レーザーアブレーション及び少なくとも2種の異なる材料で製造されたターゲット材料を用いることにより、多孔質コーティングを製造する方法を開示する。本発明の方法において、レーザーパルスは、制御された方法でターゲット材料に向けられ、レーザーパルスは、他のターゲット材料(B)より速く、粒子として第一のターゲット材料(A)を原子化により離散させる。また、速い広がりを目的とするこの主に原子化された材料は、ターゲット材料の第二の材料成分(B)をコーティングされる材料に向けて移送する。アブレーションにおいてこの第二の材料(B)を少なくとも完全に崩壊させる意図はないが、その目的はできるだけ元の粒子の形態で、コーティングされ、したがって多孔質コーティングを形成する物品の表面にそれを移送することである。第二の材料(B)の粒子は、基材に対して、及び互いに付着する。更に、アブレーションにおけるレーザーパルスによる材料(A)及び(B)からの材料の原子化および離散は、結合を強化する粒子間の材料の追加の層を形成することができる。
【0004】
言い換えると、本発明は、短レーザーパルスにより薄膜型のコーティングを製造する方法を記載する。この方法では、少なくとも2種の異なるターゲット材料から、圧力及び/又は温度を用いてそれらを一緒にプレスすることによって、所望の形状のターゲットが製造され、この方法では、用いられる材料成分の少なくとも1種のターゲット材料のアブレーション閾値(J/cm2)は、用いられる他のターゲット材料の閾値よりも低い。次いで、ターゲット材料をはぎ取り、所望のサイズ及び材料分布を有する粒子を形成するために、短レーザーパルスがターゲットに向けられる。次いで、ターゲットからはぎ取られた材料は、基材に対して向けられ、基材の表面または表面の一部の上に薄膜型のコーティングを形成する。
【0005】
レーザーパルスによって離散させたい第1のターゲット材料(A)が、他の材料部分(B)よりも効率的にレーザーパルスエネルギーを吸収することができ、これにより材料の粒子への選択的アブレーション及び制御された離散を強化する場合、有利である。第一のターゲット材料(A)の割合は、また、そのエネルギー吸収能がより良好であるように、有利に選択されることができ、または材料をエネルギー吸収能を支持するものと混合することができる。例において、材料(A)のアブレーション閾値、及び場合によりターゲットの幾らかの他の材料成分のアブレーション閾値は、ターゲットの他の材料のアブレーション閾値より少なくとも10パーセント低い。例において、レーザーエネルギーを吸収するのにより低いアブレーション閾値を有するターゲット材料(A)の性能は、吸収能を増大させる、少なくとも0.05質量パーセントのブレンド成分と混合することにより向上させた。例において、より低いアブレーション閾値を有するターゲット材料(A)の割合は、ターゲット全体の少なくとも0.01体積パーセント、すなわちターゲット全体の体積の少なくとも1/10000である。
【0006】
ターゲット材料の成分(A)及び(B)を選択して材料の制御された離散、及び一方で、コーティングされる物品又は表面に向けた材料の移送を達成ことは必須である。ターゲット材料からの所望のサイズの粒子のはぎ取りが、適切な運動エネルギーで達成されるように、レーザーパルスの衝撃によってより容易に離散するターゲット材料成分(A)のサイズ分布を適切に選択する必要がある。レーザーパルスのはぎ取りメカニズムを、例えばレーザーパルスの長さ、エネルギー密度、及び波長を調節することにより制御することができる。大きすぎる粒子のはぎ取りを回避すること、又はレーザーパルスがターゲット材料の全ての材料成分の離散を生じさせることは重要である。レーザーパルスの波長を選択することにより、エネルギーを吸収するターゲット材料の異なる成分の性能に影響を与え、したがって的確に材料の離散を調節することが可能である。制御された材料離散は、離散されることが望まれる材料(A)のエネルギー吸収能を増大させること、例えば混合することにより強化することができる。
【0007】
本発明の方法の実施態様において、ターゲットからはぎ取られ、コーティングに用いられるターゲット材料(B)は、無機材料、たとえば酸化アルミニウム又は酸化ケイ素であり、初めに主に離散するターゲット材料成分(A)は、例えば有機材料又は金属材料である。
【0008】
本発明の方法の実施態様において、ターゲットからはぎ取られ、コーティングに使用されるターゲット材料(B)は、無機材料、たとえば酸化アルミニウム又は酸化ケイ素であり、第一の材料成分(A)は炭素を含み、かつ、材料(B)よりレーザーアブレーションにおいてより容易に離散する材料である。
【0009】
上記の実施態様において用いられる無機材料は、2種又は幾つかの異なる無機材料からなることができ、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の他の基質が、この材料に含まれることが可能である。
【0010】
無機材料は、本発明の1つの実施態様において全体のターゲットの体積の少なくとも半分を構成することができる。第二の実施態様において、ターゲットの体積の半分超は、金属材料からなる。第三の実施態様において、ターゲットの体積の半分超は、ポリマー材料からなる。
【0011】
本発明の方法の実施態様において、製造される薄膜型のコーティングの厚さは、少なくとも50nmかつ最大で4000nmである。同様に、コーティングの空隙率は、本発明の実施態様の例において少なくとも5体積パーセントであるように選択することができ、すなわち、その外表面により制限された、コーティング面積全体により画定された体積の最大95%は付着したコーティング材料であり、所望の実施態様に応じてその残りは空気、他のガス又は真空である。
【0012】
本発明の方法の実施態様において、コーティングに用いられる無機材料は、窒化物、ホウ化物又は炭化物である。
【0013】
本発明の方法の実施態様において、コーティングに用いられる材料(B)は、リチウム合金酸化物、たとえばリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn24)、又はリチウム鉄ホスフェート(LiFePO4)であり、それは、リチウムイオンアキュムレータ用のカソード材料として用いることができる。
【0014】
本発明の方法の実施態様において、ターゲットから材料をはぎ取ること(すなわち、気化及び粒子の形成)、及びターゲットからコーティングされる物品又は表面に材料を移送することは、個々のレーザーパルスの適時の継続時間が0.5p秒〜10n秒である、目的のレーザーパルスにより達成される。本発明の実施態様において、コーティングされる表面はポリマー膜である。
【0015】
本発明の方法の実施態様において、レーザーパルスを、50kHz〜100MHzの繰り返し周波数で発生させる。
【0016】
本発明の方法の実施態様において、コーティングされるポリマー膜は、ポリエチレン又はポリプロピレンである。
【0017】
本発明の方法の実施態様において、コーティングされる材料は金属の帯、たとえばアルミニウム、銅又は鋼帯である。
【0018】
本発明の方法の実施態様において、レーザーアブレーション及びコーティングは、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、制御された10-8〜1000mbarの圧力にて生じる。
【0019】
本発明の方法の実施態様において、無機コーティング材料は、少なくとも2種の異なるターゲット材料を用いて製造された2種又は幾つかの材料層からなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ターゲットが、異なるアブレーション閾値を有する2種の異なる材料を有する本発明の方法の動作原理を示す。
図2図2は、ターゲットがコーティング粒子で形成されている、本発明の実施態様の例を示す。
図3図3は、本発明の例における異なる物理的構成要素によるレーザーアブレーションプロセスの原理を示す。
図4図4は、多孔質セパレータ膜が、本発明の原理によりコーティングされた例を示す。
図5図5は、本発明の装置配列により扇形のユニラテラル化レーザーパルスフロントを形成する原理を示す。
図6図6は、コーティングプロセスに関するいわゆるロール・ツー・ロール原理の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の方法において、複合ターゲット材料であって、少なくとも2種の異なる材料が用いられ、第一の材料(A)が、ターゲット材料の他の材料(B)より速くアブレーションにおいて離散することができる複合ターゲット材料が製造される。ターゲットからの材料(A)のはぎ取り及び離散は、例えば原子化により起こることができる。
【0022】
複合ターゲット材料は、幾つかの異なるプロセス、たとえば所望の関係において互いに異なる成分を混合すること、及びブレンドを一緒に圧縮(compressing)(すなわち「圧縮(compacting)」)して熱及び/又は圧力によりターゲット材料を形成することにより製造することができる。ターゲットのソース材料は、初めは粉末形態であることができる。圧縮後、ターゲット材料は、全体的にまたは部分的に稠密になることができる。粉末を圧縮する1つの方法は、固定されたブランクへの一軸圧縮又は冷間等方圧圧縮により当初の粉末形態材料を冷間プレスすることであり、それは、最終的に焼結され、温度によって、より密でより強い圧縮ターゲットが形成される。少なくとも1種のターゲット材料の強度が十分に低い場合、ターゲット材料を、1つの工程においてさえ熱及び圧力により十分に密で強いターゲット材料へと圧縮することができる。
【0023】
図1の最も下は、圧縮されたものの例であり、すなわち、材料12が第一のターゲット材料(A)であり、材料13がコーティング形成の少なくとも主要部分を形成する粒子形態の材料(B)である、圧縮ターゲットである。粒子材料、そのサイズ分布、及び粒子に関する他のパラメータは、典型的に用いられる実施態様の物品にしたがって望ましいように選択することができる。
【0024】
制御された離散を促進するために、より容易に離散する材料(A)を離散させる際に、所望の形態及びサイズの粒子が材料(B)から形成され、それが基材に対して向けられるように、ターゲット材料を製造することは必須である。これは、より容易に離散する材料(A)により形成されたパスが、望まれるように圧縮材料中で作り出されるように、材料成分(A)及び(B)の良好なブレンドにより影響される可能性がある。より容易に離散する材料(A)は、材料(B)の境界面に対して連続又は不連続であることができる薄膜又は層を形成することができる。
【0025】
ターゲット材料の成分は、材料(A)が離散する際、材料(A)及び(B)から製造された材料流が、コーティングされる物品に向けて十分な速度でターゲット材料の表面から向けられ、したがって基材への、及び相互に粒子間への、両方への付着を確実するように選択する必要がある。しかし、(粒子及び原子化された材料を含む)材料流のエネルギーは、ある種の材料の場合において、それは次いでコーティングされる材料を損傷させる場合があるため、強すぎてはならない。特に、材料流が、基材を打つ際にその温度を増加させる場合において、材料流の運動エネルギーと共に温度が上昇することにより、損傷を生じさせる可能性がある。
【0026】
制御された方法かつ所望の形態でターゲット材料から全ての材料成分を分離するように、ターゲット材料に向けられたレーザーパルスは分割される必要がある。幾つかの場合において、2成分ターゲットのうちのより容易に離散する材料(A)のみを崩壊させ、材料(B)における原子化等のレーザーパルスの影響を最小化することは有利である。この場合において、目的は、材料(B)が、例えば基材の表面に多孔質材料層を形成することと、基材の表面に蓄積する際、あるサイズ分布にしたがうターゲット材料に関して材料(B)を選択することにより、所望の細孔分布がコーティングに生成されることである。
【0027】
本発明の第二の例において、目的はまた、材料(B)を、それがより容易に離散する材料(A)と共に、粒子(B)及び接触表面の周りにその強度を増大させる層を形成するように部分的に離散させることである。
【0028】
レーザーパルスのインパクト深さ、すなわちレーザーパルスによりもたらされるエネルギーが、材料(A)又は同時に材料(A)及び(B)の両方で離散を達成する深さは、中心的なパラメータ、たとえばレーザーパルスのエネルギー、長さ、及び波長により制御される。例えば、材料(A)の離散があまりに深く起こる場合、材料(B)の移送が、材料(B)中の粒子が、互いから完全にはぎ取られていないような大きすぎる粒子として生じる危険がある。
【0029】
レーザーアブレーションプロセスは、図1を参照して次に記載される。レーザーソース11は、アブレーションにおいてエネルギーソースとして必要とされ、レーザーソースは、所望の繰り返し周波数で非常に短いレーザーパルスを放出する。繰り返し周波数は、例えば、50kHz〜100MHzであることができる。レーザーソースは、パルスを圧縮ターゲットの表面に向けることができるように配置される。図1において、パルスの前記到来角は、処理されるターゲットの表面に対して斜めに到着するように描かれるが、この角度は、コーティングされる物品の方向、また、レーザーソースの位置とは異なる方向にはぎ取られた材料を離散させるように自由に選択することができる。
【0030】
本発明の例において、材料Bを含む粒子セット13’及びこれを取り囲む原子化された材料(A)12’からなる材料流が形成される。材料流の粒子は、本質的に多くの異なるサイズ及び形状であることができる。レーザーアブレーションプロセスにおいて用いられるパラメータは、圧縮ターゲットの材料特性と共に、材料流のはぎ取られた粒子の特性を規定する。
【0031】
プロセスの目的は、材料流をコーティングされる表面又は物品14と衝突させることである。12’が原子化されたより容易にはぎ取られる材料であり、13’は粒子であるため、12’は材料流において粒子13’のためのトランスミッタのように働く。最終的な結果は、コーティングされる表面又は物品14を強く打つ材料フラックスであり、そこから粒子13’は表面に密接に付着し、コーティング15を形成する。トランスミッタAのために、望む場合には、コーティングは多孔質をなすことができ、多孔性の量も所望のレベル、すなわち、コーティングの単位体積当たりの細孔の数及びサイズ分布に調節することができ、細孔の品質をアブレーションプロセスのパラメータ及びターゲットの材料組成を調節することにより所望のように調節することができる。
【0032】
本発明の第二の実施態様は、ターゲット形成の異なる種類を用いることにより、請求項8に表されたコーティングのための代替的な方法に関する(図2参照)。この例において、ターゲットは、粉末基質から構成される。したがって、粉末自体は粒子セット13を形成する。この実施態様において、少なくとも1種の粉末タイプ13は、前記の材料(A)に対応する金属、無機、又は有機材料12によりコーティングされる。粒子をコーティングする前記材料(A)は、したがって粒子のアブレーション閾値と比較してより低いアブレーション閾値を有する。
【0033】
前記コーティング粉末又は粉末のセット(そこでは少なくとも1種の粉末タイプがコーティングされている)を、高い圧力及び温度において圧縮してターゲットにすることができる。レーザーアブレーションプロセス自体は、図1の実施態様と同様に実施することができる。言い換えると、レーザーソース11の短レーザーパルスは、所望の繰り返し周波数で伝達され、所望の入射角において圧縮ターゲットの表面に対して向けられることができる。はぎ取られた材料流は、より容易にアブレーションする材料が、気化され原子化された雲12’(その中では若干アブレーションしている(コーティングなしの)粒子13’が後に移動する)を形成するように形成される。したがって、材料フラックスは、典型的には原子化された粒子コーティング材料で形成された「バブル」からなり、各バブルは、その内側にアブレーションにおいてそのコーティング材料を失った多くの粉末粒子を有する。
【0034】
実際のコーティングされる面14を打つと、材料フラックスは上記のように振舞い、粒子13’は表面14に付着し、物品又は表面14に多孔質コーティング15を形成する。
【0035】
図3は、再び本発明のレーザーアブレーション方法において用いられる部分、処理される材料表面及び材料の移動の方向の原理図を示す。図3において、アブレーションプロセスのエネルギーソースは、レーザー光源31であり、そこからレーザー光がターゲット材料33に向けて短パルス32として向けられる。レーザーパルス32は、ターゲット材料33の表面上の粒子又は類似の部分としてターゲットから材料の局所的なはぎ取りを生じさせる(粒子はより詳しく上記に記載されている)。粒子材料流34が、したがって生成し、それはコーティングされる材料35に向けて広がる。適切な配向は、プラズマ形態で放出される運動エネルギーの方向がコーティングされる材料35に向けられるように、到達レーザーパルス32の方向に対して適切に傾けられたターゲット材料表面33の面の方向を設定することにより実現することができる。ターゲット33に対するレーザーソース31の距離、又はターゲット33の表面に対するレーザーパルス32の方向の角度は、したがって望む場合には変更することができる。加えて、別個の配列をレーザーソース31及びターゲット33の間に配置することができ、それによりターゲット33を打つレーザーパルスフロントがユニラテラル化することができる。この配列の別個の図5がある。
【0036】
図3におけるプラズマ及び粒子材料流34は、より大きい面積を、方向の選択された角度及びコーティングされる物品のある位置を用いることにより、コーティングされる表面35の領域において一度にコーティングすることができるように、扇形であることができる。第二の実施態様において、コーティングされる材料を移動させることができ、この例の別個の図6がある。
【0037】
図4は、膜が本発明の方法を用いてコーティングされた後の本発明の実施態様のように機能するリチウムアキュムレータ用のセパレータ膜の例示的な構造図を示す。アキュムレータ用途において用いられるセパレータ膜42は、典型的にはポリマー系であり、上記で述べた多孔質構造43を有する。ポリマー膜の細孔43のサイズは、変化することができる。無機材料からなるコーティング41もまた、多孔質構造を有する。リチウムアキュムレータ用のセパレータ膜中の多孔質ポリマー膜の空隙率は、典型的には30〜50体積パーセントであり、その目的は、無機コーティングの空隙率が少なくとも30体積パーセントであることである。無機材料の多孔性が基本的に緻密であることは必須であり、このことは電解質ができる限り良好に膜を濡らすことを可能にする。多孔質材料は、レーザーアブレーションにより材料をはぎ取ること、及び典型的には10〜100nmのナノ粒子又はこれらにより形成された粒子クラスターが、はぎ取られた材料として形成される状況を作り出すことにより達成される。これらの粒子及び粒子クラスターが、ポリマー膜の表面の上に蓄積した際、それらは多孔質コーティングを形成する。または、レーザーアブレーションにより実施された材料のはぎ取りは、融解した粒子又はターゲット材料からはがれた粒子を介して全体的にまたは部分的に起こり、それは、ポリマー膜の表面に無機材料のコーティングを形成する。上記のメカニズムは、より微細な粒子分布を製造し、その結果細孔分布をより微細にもする。実際には、コーティングは両方のメカニズムにより生成することが多く、それは、レーザーアブレーションの結果として生成したプラズマにより更に補完される。異なる材料の分離メカニズムを制御することにより、無機コーティングの構造及び多孔性が調節される。
【0038】
コーティングの均一な品質及び生産性を向上させるために、ターゲットから基材へできる限り広い材料流を製造することが有利である。本発明の実施態様の例において、これは、ミラーを調節してレーザーパルスを同一面において移動するレーザーパルスフロントに分散させることにより実施することができる。この配列は、図5に示されている。ターゲットの代わりに、レーザーソース31のレーザーパルス32は、ここでは調節ミラー51に向けられる。この種類のミラー構造は、例えば軸を中心に回転可能な六角形のミラー面であることができる。レーザーパルス32は、調節ミラー51から扇形のレーザーパルス形成(又はレーザービーム分布)へ反射され、前記反射されたパルスはテレセントリックレンズ52に導かれる。テレセントリックレンズ52により、レーザーパルスフロントは、平行なレーザーパルスフロント53として必然的に向けられることができ、そのため粒子を形成するように、全てのレーザーパルスが同じ角度でターゲット材料33を打つ。この図の例において、前記角度は90°である。
【0039】
セパレータ膜等のコーティングされる材料が、2つの回転ロール又はローラー間を移動するように設置されるように、コーティングプロセスをより効率的であるように拡縮することができる。係る装置配列の基本図は、図6に示される。アブレーションされた材料は、1種又は幾つかのコーティングソース、すなわちターゲット33から所望のコーティング幅に向けられ、コーティングされる材料面62は、コーティングチャンバの処理領域においてコーティングされるロール61aから連続的に放出され、材料がそのコーティングを得た後に、材料63は保存用の第二のロール61bに集められる。この方法をロール・ツー・ロール原理と呼ぶことができる。言い換えると、コーティングされるセパレータ膜62は、ロール61aの周りに元々見られる。上記されたようにレーザーソース31及びターゲット材料33を備えるアブレーション装置が含まれている。レーザーパルス32は、コーティングされる材料62に向けて材料を粒子流34として(言い換えると材料フラックスの形態で)放出し、付着の結果としてコーティングされたポリマー膜63が製造される。コーティングされたポリマー膜63を、図6の場合において膜の動きの向きを左から右にしつつ、第二のロール61bの周りで回転させる。ロール又はローラー構造61a、61bをモーターにより制御することができる。セパレータ膜のコーティングされる領域は、表面の全体の領域、又は奥行きの方向から見える同時の表面の深さ配向測定の一部のみであることができる。図5によるミラーソリューションの使用、及び平行なレーザーフロントの深さの方向における到達は、確かに、いかに一度に大きい面積をコーティングすることができるかについて直接的に影響を与える。同様に、膜の動きの方向でのコーティングのために膜の所望の部分(長さ)を選択することができ、または全体のロールがコーティングされるように、全体のロールをはじまりからおわりまで通過させることができる。図6の構造により、より効率的に、工業的製造によく適するようにコーティングを実施することが可能である。
【0040】
製造方法に加えて、本発明の思想は、コーティングされた材料、物品及びその最終的な結果として達成される要素、並びに例えばリチウムアキュムレータ用の多孔質セパレータ膜のコーティング、リチウムアキュムレータの多孔質カソード材料のコーティング、及びセンサ用の多孔質コーティングの製造のための示された製造方法の使用を含む。原理上は、本発明の物品は任意の表面であることができるが、それは高品質のコーティング、すなわち薄膜によりコーティングされる必要があり、例えば、材料の保護又はある種の物理的特性の向上若しくは変化に関する。最終的な結果は、したがって所望の物理的若しくは電気的特性又は所望の強さ若しくは多孔性の条件を満たすコーティング製品の生成である。
【0041】
言い換えると、本発明の発明の思想は、アブレーション法の結果として得られる薄膜型のコーティングによりコーティングされた物品又は表面も含む。このコーティングは、レーザーアブレーションにより圧縮されたターゲットから製造され、ターゲットは少なくとも2種の異なるターゲット材料を含む。製品及び方法の特徴的な特性は、用いられる少なくとも1種のターゲット材料のアブレーション閾値(すなわち、ターゲット中で用いられる1種の材料成分)がより低い、すなわちターゲット中の他のターゲット材料のアブレーション閾値より小さいことである。加えて、より高いアブレーション閾値を有する材料は、最終製品における製造されたコーティングの主要部分を形成し、生成したコーティングは多孔質構造を有する。
【0042】
本発明の方法は、以下の利点を有する:
i.ターゲット材料の製造ための適切なサイズ(又は適切なサイズ分布)及び形状の粒子を選択することと、レーザーパルスにより発生したエネルギーの衝撃による、材料の制御された離散のための条件を作り出すような材料選択を用いることにより、所望の細孔分布で多孔質コーティングを製造することができる。
ii.必要なレーザーパワーの量を、必要な場合には、より容易に離散する材料を選択することにより低減させることができる。
iii.レーザーパワーの量を項目iiにより低減させることができるため、熱応力を低減させることができる。
iv.レーザーアブレーションは、ターゲット材料(その離散閾値は例えば混合により低減させることができる)のごく一部だけを崩壊させる必要があるため、生産効率を増大させることができる。
v.材料が選択的に離散するため、機能性に必須である材料成分の十分な離散が生じない場合には、コーティングの組成を制御された方法で安定に維持することができる。
【0043】
本発明において、上記及び独立クレームで開示された本発明の個々の特徴を新たな組合せへと組み合わせることができ、そこでは同じ実施態様中の2つまたはそれより多くの個々の特徴を含むことができる。
【0044】
本発明は、もっぱら示された例に制限されることはないが、多くの変更が添付の特許請求の範囲に規定された保護の範囲内で可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2017年6月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
本発明は、もっぱら示された例に制限されることはないが、多くの変更が添付の特許請求の範囲に規定された保護の範囲内で可能である。
本開示は以下も包含する。
[1]
レーザーパルスにより薄膜型のコーティングを製造する方法であって、
‐圧縮することによって、圧力及び/又は温度により少なくとも2種の異なるターゲット材料から所望の形状のターゲットを製造し、
前記ターゲット材料のうちの少なくとも1種の材料成分のアブレーション閾値(J/cm2)が、用いられる他のターゲット材料のものより低く、
第一のターゲット材料が、圧縮前に第二のターゲット材料のためのコーティングとして機能し、
第一のターゲット材料が、金属、無機又は有機材料であり、
前記ターゲットのコーティングされたソース材料が圧縮前に粉末状であり、
‐レーザーパルスが、前記ターゲット材料のはぎ取り並びに所望のサイズ及び材料分布を有する粒子の形成のためにターゲットに向けられ、個々のレーザーパルスの継続時間が10ns未満であり、
‐前記ターゲットからはぎ取られたターゲット材料が、基材に対して向けられて、前記基材の表面又は表面の一部に薄膜型のコーティングを形成することを特徴とする方法。
[2]
前記ターゲット中で用いられる前記少なくとも1種のターゲット材料のアブレーション閾値(J/cm2)が、前記用いられる他のターゲット材料のアブレーション閾値より少なくとも10%低いことを特徴とする、上記態様1に記載の方法。
[3]
より低いアブレーション閾値を有するターゲット材料のレーザーエネルギーの吸収能を、吸収能を向上させる少なくとも0.05質量パーセントの混合成分を混合することにより向上させることを特徴とする、上記態様1又は2に記載の方法。
[4]
前記ターゲットのより低いアブレーション閾値を有するターゲット材料の割合が、少なくとも0.01体積パーセントであることを特徴とする、上記態様1〜3のいずれかに記載の方法。
[5]
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントが無機材料であることを特徴とする、上記態様1〜4のいずれかに記載の方法。
[6]
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントが金属材料であることを特徴とする、上記態様1〜5のいずれかに記載の方法。
[7]
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントがポリマー材料であることを特徴とする、上記態様1〜6のいずれかに記載の方法。
[8]
前記ターゲットのためのソース材料として用いられるターゲット材料が粉末状であり、そのうちの少なくとも1種の粉末タイプは、粉末が一緒に圧縮されてターゲットを形成する前に金属、無機又は有機材料によりコーティングされることを特徴とする、上記態様1〜7のいずれかに記載の方法。
[9]
多孔質コーティングが前記方法において製造され、その空隙率が、少なくとも5体積パーセントであることを特徴とする、上記態様1〜8のいずれかに記載の方法。
[10]
前記薄膜型のコーティングの厚さが少なくとも50nmかつ最大で4000nmであることを特徴とする、上記態様1〜9のいずれかに記載の方法。
[11]
気化、粒子の形成、及びコーティングされる物品の表面への前記ターゲットからの材料の移送が、ターゲットに向けられたレーザーパルスにより達成され、個々のレーザーパルスの適時の継続時間が0.5〜10000psであることを特徴とする、上記態様1〜10のいずれかに記載の方法。
[12]
前記レーザーパルスを50kHz≦f≦100MHzの繰り返し周波数で発生させることを特徴とする、上記態様1〜11のいずれかに記載の方法。
[13]
前記レーザーパルスが調節ミラーに向けられて扇形レーザービーム分布が形成され、本質的に平行なレーザーパルスフロントを形成するのに用いられるテレセントリックレンズに向けられ、そのフロントが、粒子を形成するように前記ターゲットに更に向けられることを特徴とする、上記態様1〜12のいずれかに記載の方法。
[14]
前記レーザーアブレーション及びコーティングが、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、10-8〜1000mbarの制御された圧力において生じることを特徴とする、上記態様1〜13のいずれかに記載の方法。
[15]
前記無機材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であるか、または幾つかの異なる無機材料からなることを特徴とする、上記態様5に記載の方法。
[16]
リチウムアキュムレータ用の多孔質セパレータ膜をコーティングするための上記態様1〜15のいずれかに記載の方法の使用。
[17]
リチウムアキュムレータ用の多孔質カソード材料をコーティングするための上記態様1〜15のいずれかに記載の方法の使用。
[18]
センサ用の多孔質コーティングを製造するための上記態様1〜15のいずれかに記載の方法の使用。
[19]
レーザーアブレーションを用いることにより、コーティングが圧縮されたターゲットから製造されており、前記ターゲットが少なくとも2種の異なるターゲット材料を含む、薄膜型のコーティングによりコーティングされた物品又は表面であって、少なくとも1種のターゲット材料のアブレーション閾値が前記ターゲットの他のターゲット材料のアブレーション閾値より低く、より高いアブレーション閾値を有する材料が、製造されたコーティングの主要部分を形成しており、コーティングが多孔質構造を有することを特徴とする、物品又は表面。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーパルスにより薄膜型のコーティングを製造する方法であって、
‐圧縮することによって、圧力及び/又は温度により少なくとも2種の異なるターゲット材料から所望の形状のターゲットを製造し、
前記ターゲット材料のうちの少なくとも1種の材料成分のアブレーション閾値(J/cm2)が、用いられる他のターゲット材料のものより低く、
第一のターゲット材料が、圧縮前に第二のターゲット材料のためのコーティングとして機能し、
第一のターゲット材料が、金属、無機又は有機材料であり、
前記ターゲットのコーティングされたソース材料が圧縮前に粉末状であり、
‐レーザーパルスが、前記ターゲット材料のはぎ取り並びに所望のサイズ及び材料分布を有する粒子の形成のためにターゲットに向けられ、個々のレーザーパルスの継続時間が10ns未満であり、
‐前記ターゲットからはぎ取られたターゲット材料が、基材に対して向けられて、前記基材の表面又は表面の一部に薄膜型のコーティングを形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ターゲット中で用いられる前記少なくとも1種のターゲット材料のアブレーション閾値(J/cm2)が、前記用いられる他のターゲット材料のアブレーション閾値より少なくとも10%低いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
より低いアブレーション閾値を有するターゲット材料のレーザーエネルギーの吸収能を、吸収能を向上させる少なくとも0.05質量パーセントの混合成分を混合することにより向上させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲットのより低いアブレーション閾値を有するターゲット材料の割合が、少なくとも0.01体積パーセントであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントが無機材料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントが金属材料であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲットの少なくとも50体積パーセントがポリマー材料であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ターゲットのためのソース材料として用いられるターゲット材料が粉末状であり、そのうちの少なくとも1種の粉末タイプは、粉末が一緒に圧縮されてターゲットを形成する前に金属、無機又は有機材料によりコーティングされることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
多孔質コーティングが前記方法において製造され、その空隙率が、少なくとも5体積パーセントであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザーパルスが調節ミラーに向けられて扇形レーザービーム分布が形成され、本質的に平行なレーザーパルスフロントを形成するのに用いられるテレセントリックレンズに向けられ、そのフロントが、粒子を形成するように前記ターゲットに更に向けられることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記レーザーアブレーション及びコーティングが、減圧チャンバー、減圧又はバックグラウンドガス中で、10-8〜1000mbarの制御された圧力において生じることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記無機材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素であるか、または幾つかの異なる無機材料からなることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
リチウムアキュムレータ用の多孔質セパレータ膜をコーティングするための請求項1〜1のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項14】
リチウムアキュムレータ用の多孔質カソード材料をコーティングするための請求項1〜1のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項15】
センサ用の多孔質コーティングを製造するための請求項1〜1のいずれか1項に記載の方法の使用。
【国際調査報告】