(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-536495(P2017-536495A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】インテリジェントな自動閉鎖ドア
(51)【国際特許分類】
E05F 15/43 20150101AFI20171110BHJP
E05F 15/665 20150101ALI20171110BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20171110BHJP
E05F 15/79 20150101ALI20171110BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20171110BHJP
E06B 9/02 20060101ALN20171110BHJP
【FI】
E05F15/43
E05F15/665
E06B9/58 A
E05F15/79
E06B9/68 A
E06B9/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-541161(P2017-541161)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2015074050
(87)【国際公開番号】WO2016066456
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】2014/5031
(32)【優先日】2014年10月27日
(33)【優先権主張国】BE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517148084
【氏名又は名称】エントレマティック・ベルギー・エヌフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ボスティン
(72)【発明者】
【氏名】シャルル・フォケット
(72)【発明者】
【氏名】ブルノ・ヴィズール
【テーマコード(参考)】
2E042
2E052
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB01
2E042CB02
2E042CB06
2E042CC02
2E042CC03
2E042CC06
2E042DA01
2E052AA04
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2E052DA03
2E052DA08
2E052DB03
2E052DB08
2E052EA14
2E052EB01
2E052GA02
2E052GA06
2E052GA09
2E052GB06
2E052GB13
2E052GB20
2E052GC01
2E052GD11
2E052KA02
(57)【要約】
本発明は、フレームによって少なくとも部分的に画定された区域(3)を閉鎖するための自動閉鎖ドアに関するものであり、前記自動閉鎖ドアは、(A) シャッタ(1)の前縁(1L)を第1の方向(α)に移動させて、前記フレームの内部に画定された前記区域を閉鎖し、第2の方向(β)に移動させて前記区域を開放するのに適した電動駆動機構(10)、(B) フレームによって画定された区域の範囲内の障害物の存在を検出するのに適した電波検出セル(5)、および/または(C) それに加えて、またはその代わりに、シャッタの前縁に対する衝突イベントを検出するのに適した衝突検出器(6)、ならびに(D) 中央処理装置(CPU)であって、以下の動作、(a) シャッタの前縁を前記第2の方向(β)へ移動させることによってその区域を最初に開放するとき、その区域を開放時間(t1)にわたって開放状態に保つステップと、その後、(b) シャッタを閉鎖するステップと、(c) シャッタを閉鎖するとき電波検出器または衝突検出器によって障害物および/または衝突イベントが検出されたかどうか記録するステップと、(d) ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルの(N)回の繰返し中に検出された障害物および/または衝突イベントの回数(n)をカウントして、n/N>v
ref,1(v
ref,1は第1の制御比)であれば、開放時間(t1)を、時間t2=t1+Δt2(Δt2>0)まで延長するステップと、(e) ステップ(d)において割り出された値t1またはt2を用いてステップ(a)〜(d)を繰り返すステップとを実行するようにプログラムされた中央処理装置(CPU)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームによって少なくとも部分的に画定された区域(3)を閉鎖するための自動閉鎖ドアであって、
(A) シャッタ(1)の前縁(1L)を第1の方向(α)に移動させて、前記フレームの内部に画定された前記区域を閉鎖し、第2の方向(β)に移動させて前記区域を開放するのに適した電動駆動機構(10)、
(B) 前記フレームによって画定された前記区域の範囲内の障害物の存在を検出するのに適した電波検出セル(5)、および/または
(C) それに加えて、またはその代わりに、前記シャッタの前記前縁(1L)に対する衝突イベントを検出するのに適した衝突検出器(6)、ならびに
(D) 中央処理装置(CPU)であって、以下の動作、
(a) 前記シャッタの前記前縁を前記第2の方向(β)へ移動させることによって前記区域を最初に開放するとき、前記区域を開放時間t1にわたって開放状態に保つステップと、その後、
(b) 前記シャッタを閉鎖するステップと、
(c) 前記シャッタを閉鎖するとき電波検出器または前記衝突検出器によって障害物および/または衝突イベントが検出されたかどうか記録するステップと、
(d) ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルのN回の繰返し中に検出された障害物および/または衝突イベントの回数nをカウントして、イベント頻度n/N>vref,1(vref,1は第1の制御比)であれば、前記開放時間t1を、時間t2=t1+Δt2(Δt2>0)まで延長するステップと、
(e) ステップ(d)において割り出された値t1またはt2を用いてステップ(a)〜(d)を繰り返すステップと
を実行するようにプログラムされた中央処理装置(CPU)を備える自動閉鎖ドア。
【請求項2】
ステップ(d)において、
(i) n/N<vref,2(vref,2はvref,2≦vref,1となる第2の制御比である)であれば、前記開放時間t0が時間t0=t1-Δt0(Δt0>0)に短縮され、
(ii) vref,2≦n/N≦vref,1であれば、前記開放時間t0が一定に保たれ、
また、ステップ(e)において、ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルが、ステップ(d)において割り出された前記値t0、t1、またはt2を用いて繰り返される、請求項1に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項3】
ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクル繰返しの統計的代表回数Nminが、ステップ(e)において前記開放時間が変更される前に実行されなければならず、Nminが、好ましくは1〜30サイクルの間、より好ましくは10〜20サイクルの間に含まれる、請求項1または2に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項4】
障害物および/または衝突イベントが検出されたとき、前記シャッタを閉鎖する前記ステップを停止して、好ましくは待機位置Pwaitingまでの前記シャッタの開放を開始するステップを含む緊急プロシージャが開始される、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項5】
前記シャッタが、前記フレームの2つの側を画定する平行ガイドレール(7)に係合された2つの側縁を備え、前記前縁が前記2つの側縁を連結し、前記シャッタの閉鎖および開放に際して、前記ガイドレールによって定義された前記方向に沿って移動する、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項6】
前記ガイドレール(7)によって定義された前記方向の閉鎖/開放の経路における前記シャッタの前記前縁の瞬時位置を監視するための手段をさらに備える、請求項5に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項7】
前記シャッタが速度v1で閉鎖して、障害物および/または衝突イベントを検出したとき、前記緊急プロシージャが、
(i) 電動機を停止して前記イベント位置Peventを記憶するステップと、続いて、
(ii) 前記障害物を取り除くのに十分なスペースを残すように事前設定された待機位置Pwaitingまで速度v2で前記シャッタを開放するステップと、
(iii) 前記待機位置Pwaitingにおける待ち時間Δtwaitingの後に、前記シャッタを、前記速度v1で、前記イベント位置Peventの上流にある所定位置P3まで再び閉鎖し、その場所において、前記閉鎖する速度を値v3(0<v3<v1)まで減少させるステップと、
(iv) 前記減少した速度v3で前記シャッタを閉鎖する際、前記位置Peventにおいて障害物が検出されなければ、前記シャッタが所望の最終位置に到達するまで、前記閉鎖する速度を前記値v1まで増加させるステップと、
(v) 他方では、減少した速度v3で前記シャッタを閉鎖する際、前記同じ位置Peventにおいて障害物がもう一度検出された場合にはステップ(i)〜(iii)によって定義されたサイクルを繰り返して、そこで定義された条件が満たされるとステップ(iv)を実行するステップと、
(vi) 前記サイクルを所定回数Nsafe繰り返した後にも前記障害物が依然として検出される場合、前記シャッタを速度v2で開放して、所定の停止位置Pstopにおいて、制御システムの手動による再活性化まで前記シャッタを停止させるステップとを含む、請求項4または6に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項8】
前記シャッタの前記前縁の前記瞬時位置を監視するための前記手段が、
・前記シャッタの少なくとも1つの側縁に沿って整列した複数の窓をカウントするのに適した光学デバイス、または
・前記シャッタの前記開放/閉鎖を駆動する電動機の回転数をカウントするためのデバイスから選択されたものである、請求項5または6に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項9】
・前記シャッタの少なくとも1つの側縁が備えるビードが、対応する前記ガイドレール(7)の開口部に滑動可能に係合され、たとえば前記シャッタの閉鎖の際の衝撃によって誘発される、前記ガイドレールに対して横方向の、定義された引張り力の作用でそこから引き出され得、また
・前記自動閉鎖ドアが、前記ガイドレールの開口部から引き出された前記ビードを、そこへ再挿入するための手段をさらに備え、この手段が備える、前記ガイドレールの開口部に面して配置されたガイド部材が、前記シャッタが開きつつあるとき、前記ガイドレールの開口部から引き出された前記ビードを前記ガイドレールの開口部に向けて偏向させるように設計されており、前記ガイド部材に備わっている少なくとも一対のローラーの固定された回転軸線が、前記シャッタの中央平面の両側に、前記シャッタの前記中央平面に対して実質的に垂直な同一の平面において対称に配置され、前記シャッタの前記中央平面に対して傾斜して向けられており、その結果、前記ローラーが、前記ガイドレールの開口部から引き出された前記ビードに沿って、前記ガイドレールの開口部の下部に向かって収斂し、前記シャッタが開放方向に移動するときには回転して、前記ガイドレールの開口部に前記ビードを押し込む、請求項5から8のいずれか一項に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項10】
前記シャッタおよび電動駆動機構が、
(a) 可撓性シャッタであって、前記電動駆動機構(10)が、ドラム(11)の回転を駆動して、前記前縁(1L)を前記第1の方向(α)に移動させ、前記ドラムから前記可撓性シャッタを巻き戻すことによって前記区域を閉鎖し、前記前縁を前記第2の方向(β)に移動させ、前記ドラムのまわりに前記可撓性シャッタを巻きつけることによって前記区域を開放する可撓性シャッタ、
(b) 前記前縁(1L)に対して平行に、互いに対して蝶番式に取り付けられたパネル(1p)を備える変形可能なシャッタであって、前記電動駆動機構(10)が軸の回転を駆動し、前記蝶番式に取り付けられたパネルが軸のまわりを回転してその方向が変化する変形可能なシャッタ、または
(c) 剛体のシャッタであって、前記電動駆動機構(10)が、好ましくはギヤシステム、ケーブル、またはチェーンによって、前記剛体のシャッタを前記区域の面において前記第1の方向および前記第2の方向に移動させる軸の回転を駆動する剛体のシャッタから選択されたものである、請求項1から9のいずれか一項に記載の自動閉鎖ドア。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の自動閉鎖ドアが、閉鎖される前に開放状態を保つ時間を制御するための方法であって、
(a) 前記シャッタの前記前縁を前記第2の方向(β)へ移動させることによって前記区域を最初に開放するとき、前記区域を開放時間t1にわたって開放状態に保つステップと、その後、
(b) 前記シャッタを閉鎖するステップと、
(c) 前記シャッタを閉鎖するとき前記電波検出器または前記衝突検出器によって障害物および/または衝突イベントが検出されたかどうか記録するステップと、
(d) ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルのN回の繰返し中に検出された障害物および/または衝突イベントの回数nをカウントして、イベント頻度n/N>vref,1(vref,1は第1の制御比)であれば、前記開放時間t1を、時間t2=t1+Δt2(Δt2>0)まで延長するステップと、
(e) ステップ(d)において割り出された値t1またはt2を用いてステップ(a)〜(d)を繰り返すステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の開放時間にわたってシャッタを開放状態に保った後にシャッタを自動的に閉鎖するのに適した自動閉鎖に関するものである。本発明は、詳細には、以前の開放/閉鎖のサイクルから記録されたイベント履歴の関数として開放時間を最適化することができるインテリジェントなドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッタを備える自動ドアは、一般に出入口を遮断するために使用され、特に倉庫または工業用のホールを遮断するために使用される。これらのシャッタは、大抵の場合、大きい可撓性防水シートで作製され、その側縁は、閉鎖すべき出入口の両側にあるガイドレールの中で滑るビードを備える。あるいは、シャッタは、互いに並んで蝶番式に取り付けられた剛体のパネルで作製され得、または剛体のパネルであり得る。自動ドアは、温度、相対湿度などの異なる環境条件を有する2つの部屋を区切るために使用されるとき、特に有用である。そのような状況では、ドアの両側において所望の状態を保つために、そのようなドアが開放状態を保つ時間は最小限にされなければならない。これらの用途では高速で開閉することができるドアも知られており、「高速ドア」と称されることが多い。
【0003】
自動ドアに伴う、特に高速の自動ドアに伴う問題の1つには、閉鎖速度が速いために、シャッタの閉鎖経路内に偶発的にある障害物に対して衝突することがある。そのような衝突により、障害物(人間である可能性もある)に被害を与えることに加えて、シャッタの前縁が損傷し、シャッタ側縁のビードがガイドレールから外れることもある。このようにして外れたビードを自動的に再挿入するためのシステムが、たとえば、その開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第20100181033号に説明されている。
【0004】
予防は修理に優るので、多くの自動ドアシステムに障害物および/または衝突の検出デバイスが備わっている。たとえば米国特許出願公開第20030071590号には、障害物検出デバイスを備えたドアが説明されている。たとえば米国特許出願公開第20120073200号には、衝突検出デバイスを備えたドアが説明されている。後者において説明されている、衝突の場合の安全プロシージャは、シャッタの閉鎖を停止するステップと、シャッタを待機位置まで開くステップと、所定の待ち時間にわたってシャッタを待機位置に保つステップとを含み、その後、シャッタを常用速度で再び閉じながら、最初の衝突位置に到達する直前に減速する。最初の衝突位置において障害物が検出されなければ、閉鎖は常用速度で継続される。他方では、障害物が最初の衝突位置に依然として存在する場合、シャッタは待機位置まで再び開かれる。いくつかのそのようなサイクルに際して、依然として障害物が検出される場合、シャッタは恒久的に開放され、手動で再始動されなければならない。
【0005】
作業者の快適さのため、ならびにドアのフレームによって画定された領域の閉鎖の最適化のために、多くのドアシステムに、「自動閉鎖」ドアと称されることもある自動閉鎖システムが備わっている。そのようなシステムでは、ドアは作業者が送った信号によって開放され得るが、所与の時間tの後に自動的に閉鎖するので、作業者はシャッタを閉鎖するための第2の信号を送る必要はない。そのようなドアは、本明細書では自動閉鎖ドアと称される。自動閉鎖ドアを用いると、作業者がドアの直近に居ないときに閉鎖が起こる可能性があるので、障害物に衝撃を与える危険性は、手動で制御されたドアよりもさらに高い。
【0006】
米国特許出願公開第20030071590号には、ドアを閉鎖する前に開放状態に保たなければならない時間を制御するための光学的障害物検出センサおよびタイマが備わっている自動閉鎖ドアが開示されている。たとえば車庫のドアの場合には、車両が通過することによってセンサが少なくとも3秒以上にわたって遮られた後にのみ、タイマが起動される。ドアが閉じつつあるときに障害が生じると、ドアは開放位置まで戻り、再び自動的に閉鎖することはできない。作業者がドアの閉鎖を起動しなければならず、そのドアが閉鎖状態を1分半保った後に自動閉鎖モードが再び作動され得る。このシステムは、ドアの開放時間を、開いたフレームを車両が通過する時間に一致させるので、興味深いものである。しかしながら、このシステムは、そのイベント履歴から学習して開放時間を適合させるものではないので、インテリジェントな自動閉鎖ドアではない。
【0007】
米国特許第6924730号には、火災警報などの警報の起動に際してドアを自動的に閉鎖することができる、たき口戸制御システムが開示されている。警報が起動されたとき、自動的にブレーキ解放を解放する前に、所定期間を待つためのタイマが起動される。ドアは、閉じるときに障害物にぶつかると、障害が取り除かれ得るように所与の時間にわたって停止することになる。次いで、ドアは、クラッチによって再び徐々に閉鎖される(pulsed closed)。ドアは、障害物に遭遇するたびに停止することになる。障害物に遭遇しなければ、ドアはパルスクラッチによって漸増的に閉鎖し終える。この自動閉鎖制御システムも、ドアが開放状態を保つ時間をドアのイベント履歴に適合させないので、インテリジェントではない。
【0008】
EP344404および米国特許第5001557号は、自動的に動作するエレベータのドアの位置を、自動的に動作するドアの所定の側に広がる予定の空間の範囲内の支持体表面に居る1人または複数の人の存在、数および移動状態の関数として制御するための方法を説明している。この方法は、1人または複数の人の存在、数および移動状態の明瞭かつ明白な指標を提供し、1人または複数の人の示された存在、数および移動状態と一致する、自動的に動作するドアの動作の制御を可能にするものである。この方法は、ドアの開放時間を、ドアが開いているときの各ステージにおける人の存在および動作の関数として前記ステージに適合させるので、エレベータのドアを制御するのに有利である。しかしながら、この方法はドアの片側のみ走査するように設計されており、両側を走査すると、プロセッサは2つのカメラによって生成された画像を解釈しなければならないので、ドアの制御がかなり複雑になるはずであるため、倉庫および工業用のホールにおいて使用されるタイプの高速ドアなど向けには適切でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第20100181033号
【特許文献2】米国特許出願公開第20030071590号
【特許文献3】米国特許出願公開第20120073200号
【特許文献4】米国特許出願公開第20030071590号
【特許文献5】米国特許第6924730号
【特許文献6】EP344404
【特許文献7】米国特許第5001557号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記ドアが自動的に閉鎖する前に、開放状態を保たなければならない最適な時間を学習することができるインテリジェントな自動閉鎖ドアを提供するものである。前記学習は、複数の、開放および自動的閉鎖のサイクルの繰返しに基づくものである。続いて(in continuation)、本発明のこの利点および他の利点が示される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は添付の独立請求項において定義される。好ましい実施形態は従属請求項において定義される。詳細には、本発明は、少なくともフレームによって部分的に画定された区域を閉鎖するための自動閉鎖ドアに関し、前記自動閉鎖ドアは、
(A) 前記フレームの内部に画定された前記区域を閉鎖するためにシャッタの前縁を第1の方向へ移動させ、前記区域を開放するためにシャッタの前縁を第2の方向へ移動させるのに適した電動駆動機構、
(B) フレームによって画定された区域の範囲内の障害物の存在を検出するのに適した電波検出セル、および/または
(C) それに加えて、またはその代わりに、シャッタの前縁に対する衝突イベントを検出するのに適した衝突検出器、ならびに
(D) 中央処理装置(CPU)であって、以下の動作、
(a) シャッタの前縁を前記第2の方向へ移動させることによってその区域を最初に開放するとき、その区域を開放時間t1にわたって開放状態に保つステップと、その後、
(b) シャッタを閉鎖するステップと、
(c) シャッタを閉鎖するとき電波検出器または衝突検出器によって障害物および/または衝突イベントが検出されたかどうか記録するステップと、
(d) ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルのN回の繰返し中に検出された障害物および/または衝突イベントの回数nをカウントして、イベント頻度n/N>v
ref,1(v
ref,1は第1の制御比)であれば、開放時間t1を、時間t2=t1+Δt2(Δt2>0)まで延長するステップと、
(e) ステップ(d)において割り出された値t1またはt2を用いてステップ(a)〜(d)を繰り返すステップとを実行するようにプログラムされた中央処理装置(CPU)を備える。
【0012】
自動閉鎖ドアの特定の使用条件に対して最適の、最短の開放時間を可能にする好ましい実施形態では、ステップ(d)は、
(i) n/N<v
ref,2(v
ref,2はv
ref,2≦v
ref,1となる第2の制御比である)であれば、開放時間t0が時間t0=t1-Δt0(Δt0>0)に短縮されるステップと、
(ii) v
ref,2≦n/N≦v
ref,1であれば、開放時間t0が一定に保たれるステップとによってさらに定義され、さらに、ステップ(e)において、ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルが、ステップ(d)において割り出された値t0、t1、またはt2を用いて繰り返される。
【0013】
好ましい実施形態では、ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクル繰返しの統計的代表回数N
minは、ステップ(e)において開放時間が変更される前に実行されなければならず、N
minは、好ましくは1〜30サイクルの間に含まれ、より好ましくは10〜20サイクルの間に含まれる。
【0014】
本発明による自動閉鎖ドアのシャッタは、好ましくはフレームの2つの側を画定する平行なガイドレールに係合される2つの側縁を連結する前縁を備える。そのようなガイドレールは、シャッタの閉鎖および開放に際して前縁の移動方向を定義する。
【0015】
本発明による自動閉鎖ドアの学習過程が、いくつかの衝突を経験するステップを含むので、障害物および/または衝突イベントが検出されたとき、シャッタを閉鎖するステップを停止して、好ましくは待機位置P
waitingまでのシャッタの開放を開始するステップを含む緊急プロシージャが開始されるのが有利である。たとえば、自動閉鎖ドアが、ガイドレールによって定義された方向の閉鎖/開放の経路におけるシャッタの前縁の瞬時位置を監視するための手段をさらに備える場合、
(i) 電動機を停止してイベント位置P
eventを記憶するステップと、続いて、
(ii) 障害物を取り除くのに十分なスペースを残すように事前設定されたP
waitingまで、速度v2でシャッタを開放するステップと、
(iii) 待機位置P
waitingにおける待ち時間Δt
waitingの後に、シャッタを、速度v1で、イベント位置P
eventの上流にある所定位置P3まで再び閉鎖し、その場所において、閉鎖する速度を値v3(0<v3<v1)まで減少させるステップと、
(iv) 減少した速度v3でシャッタを閉鎖する際、位置P
eventにおいて障害物が検出されなければ、シャッタが所望の最終位置に到達するまで、閉鎖する速度を値v1に増加させるステップと、
(v) 他方では、減少した速度v3でシャッタを閉鎖する際、同じ位置P
eventにおいて障害物がもう一度検出された場合にはステップ(i)〜(iii)によって定義されたサイクルを繰り返して、そこで定義された条件が満たされるとステップ(iv)を実行するステップと、
(vi) 前記サイクルを所定回数N
safe繰り返した後にも障害物が依然として検出される場合、シャッタを速度v2で開放して、所定の停止位置P
stopにおいて、制御システムの手動による再活性化まで停止させるステップと、の緊急プロシージャが適用され得る。
【0016】
本発明による自動閉鎖ドアは、
・シャッタの少なくとも1つの側縁に沿って整列した複数の窓をカウントするのに適した光学デバイス、または
・シャッタの開放/閉鎖を駆動する電動機の回転数をカウントするためのデバイスから選択された、シャッタの前縁の瞬時位置を監視するための手段を備え得る。
【0017】
好ましい実施形態では、自動閉鎖ドアは、
対応するガイドレール(7)の開口部(opening)に滑動可能に係合するビードであって、たとえばシャッタを閉鎖する際の衝撃によって誘発される、ガイドレールに対して横方向の(directed transversely)定義された引張り力の作用でそこから引き出され得るビードが備わっている、シャッタの少なくとも1つの側縁を備え、
自動閉鎖ドアは、ガイドレールの開口部から引き出されたビードを、そこへ再挿入するための手段をさらに備え、この手段が備える、ガイドレールの開口部に面して配置されたガイド部材は、シャッタが開きつつあるとき、ガイドレールの開口部から引き出されたビードをこのガイドレールの開口部に向けて偏向させるように設計されており、ガイド部材に備わっている少なくとも一対のローラーの固定された回転軸線が、シャッタの中央平面の両側に、シャッタの前記中央平面に対して実質的に垂直な同一の平面において対称に配置され、シャッタの前記中央平面に対して傾斜して向けられており、その結果、ローラーが、ガイドレールの開口部から引き出されたビードに沿って、ガイドレールの開口部の下部に向かって収斂し、シャッタが開放方向に移動するときには回転して、ガイドレールの開口部にビードを押し込む。
【0018】
シャッタおよび電動駆動機構は、
(a) 可撓性シャッタであって、電動駆動機構が、ドラムの回転を駆動して、前縁を第1の方向に移動させ、前記ドラムから可撓性シャッタを巻き戻すことによってその区域を閉鎖し、前縁を第2の方向(β)に移動させ、前記ドラムのまわりに可撓性シャッタを巻きつけることによって前記区域を開放する可撓性シャッタ、
(b) 前縁に対して平行に、互いに対して蝶番式に取り付けられたパネルを備える変形可能なシャッタであって、電動駆動機構が軸の回転を駆動し、蝶番式に取り付けられたパネルが軸のまわりを回転してその方向が変化する変形可能なシャッタ、または
(c) 剛体のシャッタであって、電動駆動機構が、好ましくはギヤシステム、ケーブル、またはチェーンによって、剛体のシャッタを前記区域の面において第1の方向および第2の方向に移動させる軸の回転を駆動する剛体のシャッタから選択され得る。
【0019】
本発明の本質についてのより詳細な理解のために、添付図面と併用される以下の詳細な説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による自動閉鎖ドアの3つの実施形態を示す図である。
【
図2】本発明による自動閉鎖ドアの学習過程を示す流れ図である。
【
図3】本発明による自動閉鎖ドアの学習過程の好ましい実施形態を示す流れ図である。
【
図4】開放時間がイベント頻度n/Nの記録値の関数として変化する様子を示す図である。
【
図5】本発明による自動閉鎖ドアの学習過程の好ましい実施形態を示す流れ図である。
【
図6】本発明による自動閉鎖ドアの学習過程の好ましい実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示されるように、本発明による自動閉鎖ドアが備える電動駆動機構(10)は、シャッタ(1)の前縁(1L)を第1の方向(α)に移動させて、前記フレームの内部に画定された区域を閉鎖し、第2の方向(β)に移動させて前記区域を開放するのに適したものである。
【0022】
図1(a)および
図1(d)に示されるように、シャッタは、可撓性布地またはカーテンの形式の可撓性シャッタであり得、電動駆動機構(10)は、ドラム(11)の回転を駆動し、前縁(1L)を第1の方向(α)へ移動させて、前記ドラムから可撓性シャッタを巻き戻すことによってその区域を閉鎖し、前縁(1L)を第2の方向(β)へ移動させて、前記ドラムのまわりに可撓性シャッタを巻きつけることによって前記区域を開放する。
【0023】
図1(b)には、前縁(1L)に対して平行に、互いに対して蝶番式に取り付けられた剛体のパネル(1p)を備える変形可能なシャッタが示されており、電動駆動機構(10)が軸の回転を駆動し、蝶番式に取り付けられたパネルが軸のまわりを回転して、その方向が変化する。たとえば、変形可能なシャッタが滑らずに移動することを保証するように、軸のノッチがパネル間の蝶番と協働してよい。あるいは、シャッタの移動を駆動するのにケーブルまたはチェーンが使用され得る。
【0024】
図1(c)には、剛体のシャッタの形式の第3のタイプのシャッタが示されており、電動駆動機構(10)は、剛体のシャッタを、前記区域の面において第1の方向および第2の方向に移動させる軸の回転を駆動する。
図1(c)にはギヤシステムが示されているが、剛体のシャッタを上下に移動させるために、当業者に知られているケーブルまたはチェーンなどのあらゆる手段が、本発明に影響を及ぼすことなく使用され得る。
【0025】
シャッタは、
図1に示されるような垂直の区域(3)の場合には、上(β)下(α)に移動する前縁(1L)によって定義される表面であり、前記前縁は、互いに平行な2つの側縁を橋絡する。使用されるシャッタのタイプに関係なく、側縁は、好ましくはガイドレール(7)に係合され、ガイドレール(7)は、区域(3)を開放するときまたは閉鎖するとき、その経路にシャッタを誘導するのに適したものである。ガイドレールに結合されたシャッタの側縁を備える自動ドアの例は、たとえば、その内容が参照により本明細書に組み込まれているEP0587586またはWO2008155292に示されている。そのような自動ドアは、本発明に使用するのに特に適切である。詳細には、WO2008155292のシャッタは、
・シャッタの少なくとも1つの側縁が備えるビードは、対応するガイドレール(7)の開口部に滑動可能に係合され、たとえばシャッタの閉鎖の際の衝撃によって誘発される、ガイドレールに対して横方向の、定義された引張り力の作用でそこから引き出され得、また
・自動閉鎖ドアは、ガイドレールの開口部から引き出されたビードを、そこへ再挿入するための手段をさらに備え、この手段が備える、ガイドレールの開口部に面して配置されたガイド部材は、シャッタが開きつつあるとき、ガイドレールの開口部から引き出されたビードをこのガイドレールの開口部に向けて偏向させるように設計されており、ガイド部材が備える少なくとも一対のローラーの固定された回転軸線が、シャッタの中央平面の両側に、同一の面において対称に配置されている、といった特徴を含むので、本発明にとって有利である。
【0026】
このタイプのドアに対して本発明を適用すると、衝突の場合や、側縁が対応するガイドレールから分離した場合にさえ、ドアが自動的に修復され得、外部からのいかなる支援もなくその機能を回復することができるので、ドアの学習過程が完全に自律性になる。
【0027】
本発明による自動閉鎖ドアは、
(a) シャッタが閉じつつあるとき、フレームによって画定された区域の範囲内の障害物の存在を検出するのに適した電波検出セル(5)、および/または
(b) シャッタの前縁に対する衝突イベントを検出するのに適した衝突検出器(6)も備えなければならない。
【0028】
検出セル(5)および衝突検出器(6)は当技術において周知であり、市場で入手可能ないかなるモデルも本発明において使用され得る。たとえば、検出セル(5)は米国特許出願公開第20030071590号に説明されており、衝突検出器は米国特許出願公開第20120073200号に説明されている。本発明によるドアは、好ましくは少なくとも検出セル(5)を備える。
【0029】
本発明の要点は、特定の使用条件に晒されたドアに、複数の試行の後、前記使用条件に対して最適な開放時間を教示するための特定の動作を実行するようにプログラムされた中央処理装置(CPU)である。使用条件が時間とともに変化する場合、教示過程は、ドアが、前記新規の使用条件に対してその開放時間を適合させることを可能にする。「開放時間」という用語は、本明細書では、シャッタが、自動的に閉鎖する以前に開放状態を保つ時間として定義されることに留意されたい。
【0030】
本発明による自動閉鎖ドアの中央処理装置は、以下の動作、
(a) シャッタの前縁を前記第2の方向(β)へ移動させることによってその区域を最初に開放するとき、その区域を開放時間t1にわたって開放状態に保つステップと、その後、
(b) (シャッタの前縁を前記第1の方向(α)へ移動させることによって)シャッタを閉鎖するステップと、
(c) シャッタを閉鎖するとき電波検出器または衝突検出器によって障害物および/または衝突イベントが検出されたかどうか記録するステップと、
(d) ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルのN回の繰返し中に検出された障害物および/または衝突イベントの回数nをカウントして、n/N>v
ref,1(v
ref,1は第1の制御比)であれば、開放時間t1を、時間t2=t1+Δt2(Δt2>0)まで延長するステップと、
(e) ステップ(d)において割り出された値t1またはt2を用いてステップ(a)〜(d)を繰り返すステップとを実行するようにプログラムされている。
【0031】
図2は、前記動作を示す流れ図である。イベントの回数nをカウントした後、比n/Nを前記第1の制御比-v
ref,1と比較して、前記比が-v
ref,1よりも大きければ、次の開放/閉鎖のサイクルに対して、より長い開放時間t2=t1+Δt2が定義される。
【0032】
好ましくは、
(i) n/N<v
ref,2(v
ref,2はv
ref,2≦v
ref,1となる第2の制御比である)であれば、開放時間t0が時間t0=t1-Δt0(Δt0>0)に短縮され、
(ii) -v
ref,2≦n/N≦v
ref,1であれば、開放時間t0が一定に保たれ、さらに、ステップ(e)において、ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクルが、ステップ(d)において割り出された値t0、t1、またはt2を用いて繰り返される。
【0033】
図4は、
図3の流れ図に示されている前述の実施形態において、制御比n/Nの値が[v
ref,2、v
ref,1]の範囲内のときまたは範囲外のとき、開放時間が制御比n/Nの値の関数として変化する様子を示すものである。次の開閉サイクルに関する開放時間は以下のように定義される。
・制御比n/Nが[v
ref,2、-v
ref,1]の範囲内にあるとき、次のサイクルは、ここまでに使用されたものと同一の開放時間t1を用いて繰り返される。
・制御比n/Nがv
ref,1よりも大きいとき、事件(シャッタの閉鎖中に検出された衝突または障害物)が多すぎることを意味し、シャッタは、より長い時間、開放状態を保つべきである。その故に、次の開放/閉鎖のサイクルは、より長い開放時間t2>t1(t2=t1+Δt2)を用いて実行される。
・最後に、制御比n/Nがv
ref,2よりも小さいときには開放時間を短縮し得ることを意味し、シャッタはより急速に閉鎖される(ドアから外部への加熱エネルギーの節約を可能にする)。したがって、次の開放/閉鎖のサイクルは、より短い開放時間t0<t1(t0=t1-Δt0)を用いて実行される。
【0034】
第1の制御比の値v
ref,1は、5〜33%の間、好ましくは10〜20%の間に含まれ得る。第2の制御比の値v
ref,2は、v
ref,2<v
ref,1の条件を伴って、1〜10%の間、好ましくは2〜5%の間に含まれ得る。
【0035】
n/Nの値が、ドアが晒される特定の使用条件の統計的代表値に到達することを可能にするために、ステップ(a)〜(c)によって定義されたサイクル繰返しの統計的代表回数N
minは、ステップ(e)において開放時間が変更される前に実行されなければならないのが好ましい。この追加条件は、
図5および
図6の流れ図に示されている。サイクル繰返しの統計的代表回数N
minは、1〜30のサイクルの間、より好ましくは5〜30サイクルの間、より好ましくは10〜20サイクルの間に含まれ得る。サイクル回数N
minがより少ないと、ドアが、より頻繁に変化する使用条件に対してよりよく反応する。他方では、より多いサイクル回数N
minは、あまり変化しない運転条件に対してより適切であり、ドアが、偶然の衝突など最初の意外なイベントに即座に反応してその開放時間を変更することはない。
【0036】
イベントの頻度が第2の基準比v
ref,2よりも少ない場合には開放時間が短縮される
図3および
図4に示された実施形態では、いかなるイベントもなければ、イベントの頻度が第1の基準比v
ref,1の値よりも多くなるまで、開放時間がさらに短縮されるので、シャッタが障害物に数回衝突する可能性が高くなる。このために、障害物および/または衝突イベントを検出したとき、
図6の流れ図に示されるように緊急プロシージャが開始されるのが好ましい。一般的には、緊急プロシージャは、シャッタの閉鎖を停止するステップと、好ましくは待機位置P
waitingまでのシャッタの開放を開始するステップとを含む。
【0037】
たとえば、自動閉鎖ドアが、ガイドレール(7)によって定義された方向の閉鎖/開放の経路におけるシャッタの前縁の瞬時位置を監視するための手段を備える場合、米国特許出願公開第20120073200号において提案されているような緊急プロシージャが適用され得る(緊急プロシージャの細部について、米国特許出願公開第20120073200号の開示は参照によって本明細書で組み込まれる)。詳細には、シャッタが速度v1で閉鎖する場合、障害物および/または衝突イベントを検出したとき、
(i) 電動機を停止してイベント位置P
eventを記憶するステップと、続いて、
(ii) 障害物を取り除くのに十分なスペースを残すように事前設定された待機位置P
waitingまで、速度v2でシャッタを開放するステップと、
(iii) 待機位置P
waitingにおける待ち時間Δt
waitingの後に、シャッタを、速度v1で、イベント位置P
eventの上流にある所定位置P3まで再び閉鎖し、その場所において、閉鎖する速度を値v3(0<v3<v1)まで減少させるステップと、
(iv) 減少した速度v3でシャッタを閉鎖する際、位置P
eventにおいて障害物が検出されなければ、シャッタが所望の最終位置に到達するまで、閉鎖する速度を値v1に増加させるステップと、
(v) 他方では、減少した速度v3でシャッタを閉鎖する際、同じ位置P
eventにおいて障害物がもう一度検出された場合にはステップ(i)〜(iii)によって定義されたサイクルを繰り返して、そこで定義された条件が満たされるとステップ(iv)を実行するステップと、
(vi) 前記サイクルを所定回数N
safe繰り返した後にも障害物が依然として検出される場合、シャッタを速度v2で開放して、所定の停止位置P
stopにおいて、制御システムの手動による再活性化まで停止させるステップと、を含む緊急プロシージャが起動され得る。
【0038】
前記サイクルの繰返しの前記所定回数N
safeの後に検出されたイベントの回数は、開放時間の値を適合させるのに使用されるイベント頻度n/Nを割り出すために考慮に入れられてよい。
【0039】
たとえば、以前に説明されたような緊急プロシージャを実施するために、本発明による自動閉鎖ドアは、シャッタの前縁の瞬時位置を監視するための手段を備えてよい。たとえば、そのような手段は、
・シャッタの少なくとも1つの側縁に沿って整列した複数の窓をカウントするのに適した光学デバイス、または
・シャッタの開放/閉鎖を駆動する電動機の回転数をカウントするためのデバイスから選択され得る。
【0040】
本発明による自動閉鎖ドアは、それまで開放されていたシャッタを、前記ドアの特定の使用条件によって変化する開放時間の後に自動的に閉鎖するので、とても有利である。ドアは、人間の支援を必要とせずに、特定の使用条件に対して適合されたできる限り短い開放時間を適合させることができる。その上、ドアの使用条件が、時間が経つにつれて変化する場合、ドアは、新規の条件に対して独力で適合することができる。
【0041】
(実施例)
CPUは、以下に列記されるN、v
ref,2、v
ref,1、t1、Δt0、Δt2の値を用いてプログラムされる。
N=20
v
ref,2 5%(=1/20)
v
ref,1 25%(=5/20)
t1 15秒
Δt0 3秒
Δt2 5秒
開放時間t1=15秒を用いて開始し、N回のサイクル中に検出されたイベントの回数nに依拠して、次のサイクル(21番目のサイクル)における開放時間は、以下に示されるような値を有することになる。
【符号の説明】
【0044】
1 シャッタ
1L シャッタの前縁
1p 剛体のパネル
3 閉鎖/開放されるべき区域
5 電波検出セル
6 衝突検出器
7 ガイドレール
10 電動駆動機構
11 回転ドラム
α その区域を閉鎖するための前縁の変位の第1の方向
β その区域を開放するための前縁の変位の第2の方向
【国際調査報告】