(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-536807(P2017-536807A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】水溶性加水分解クリノプチロライト断片の産生及び水溶性加水分解クリノプチロライト断片に基づく機能性食品製品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/16 20160101AFI20171117BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20171117BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20171117BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/51 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/4406 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20171117BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20171117BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20171117BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20171117BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20171117BHJP
A61K 36/84 20060101ALI20171117BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20171117BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
A23L33/16
A61K33/06
A61K9/20
A61K9/08
A61K31/51
A61K31/4985
A61K31/525
A61K31/4406
A61K31/197
A61K31/4415
A61K31/4188
A61K31/714
A61K31/375
A61K31/198
A61K36/28
A61K36/53
A61K36/185
A61K36/84
A61P25/00
A61P25/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-519558(P2017-519558)
(86)(22)【出願日】2015年10月9日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月22日
(86)【国際出願番号】US2015054824
(87)【国際公開番号】WO2016057864
(87)【国際公開日】20160414
(31)【優先権主張番号】PCT/US2014/072923
(32)【優先日】2014年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/061,898
(32)【優先日】2014年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517122903
【氏名又は名称】ツィリコス − カラパノス、ニコラオス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツィリコス − カラパノス、ニコラオス
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LE03
4B018ME14
4B018MF10
4C076AA11
4C076AA36
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4C086NA05
4C086ZA02
4C086ZA05
4C088AB12
4C088AB23
4C088AB26
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4C088MA34
4C088NA05
4C088ZA02
4C088ZA05
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA44
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4C206MA37
4C206MA54
4C206NA05
4C206ZA02
4C206ZA05
(57)【要約】
クリノプチロライトを、経口投与を含む多様な投与経路に適した水溶性加水分解形態にするための方法を提供する。水溶性加水分解クリノプチロライト断片の吸収は、重金属及び環境毒と結合することによって解毒を補助することが可能であり、活性酸素種及び重金属に関連する炎症を減少させて、エネルギーの増加、フォーカス、集中、及び記憶のうちの1つ以上の向上を生じ得る。水溶性加水分解クリノプチロライト断片を、多様なビタミン及び睡眠補助薬を含む、1つ以上の栄養補助食品と組み合わせてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を含む、組成物。
【請求項2】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が、約218ダルトン〜約620ダルトンの範囲の分子量を有する複数の断片を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が、約99%のクリノプチロライトを含むゼオライト由来であり、前記クリノプチロライトがアルミノケイ酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
約1個のナトリウムイオンが各断片に会合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が約98ダルトン及び約120ダルトンの反復単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が、約218ダルトン〜約620ダルトンの範囲の分子量を有する複数の断片を含み、少なくとも1個のナトリウムイオンが各断片に会合し、前記断片が約98ダルトン及び約120ダルトンの反復単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が、11.5+/−0.1オングストローム、7.6+/−0.1オングストローム、5.8+/−0.1オングストローム、3.8+/−0.1オングストローム、3.3+/−0.1オングストローム、2.9+/−0.1オングストローム、1.9+/−0.1オングストローム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるX線回折パターン中の少なくとも1つのピークを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が、11.5+/−0.1オングストローム、7.6+/−0.1オングストローム、5.8+/−0.1オングストローム、3.8+/−0.1オングストローム、3.3+/−0.1オングストローム、2.9+/−0.1オングストローム、及び1.9+/−0.1オングストロームのX線回折パターンのピークを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が、7.5°+/−0.1°、11°+/−0.1°、15°+/−0.1°、23°+/−0.1°、26°+/−0.1°、31°+/−0.1°、及び49°+/−0.1°の2シータの値で、X線回折パターン中の特徴的なピークを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が固体形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が水性形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
栄養補助食品をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記栄養補助食品が、ビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、アミノ酸、ハーブ、ハーブ抽出物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるメンバーを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記栄養補助食品が、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される水溶性ビタミンを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片がイオンと錯体化している、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記イオンが金属イオンを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ビタミンCをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
3.0〜4.5のpH、
約0.35〜0.9mg/mlの水溶性加水分解クリノプチロライト断片、及び
約3.5〜6.0mg/mlのビタミンCを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
睡眠補助薬をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記睡眠補助薬が、L−トリプトファン、L−テアニン、カモミール、レモンバーム、トケイソウ(passion flower)、ホップ、カノコソウ(valerian)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるメンバーを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
3.0〜4.5のpH、
約0.35〜4.5mg/mlの水溶性加水分解クリノプチロライト断片、
約3.5〜6mg/mlのビタミンC、
約1.0〜4.0mg/mlのL−トリプトファン、及び
約20〜40mg/mlのL−テアニン、カモミール、レモンバーム、トケイソウ、ホップ、カノコソウの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片が、
ゼオライトクリノプチロライトをリン酸で加水分解すること、及び
前記加水分解ゼオライトクリノプチロライトを、前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片を含む液体部分と固形部分とに分離すること、を含むプロセスによって調製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を作製する方法であって、
ゼオライトクリノプチロライトをリン酸で加水分解すること、及び
前記加水分解ゼオライトクリノプチロライトを、前記水溶性加水分解クリノプチロライト断片を含む液体部分と固形部分とに分離すること、を含む、前記方法。
【請求項24】
前記クリノプチロライトをリン酸で加水分解する前記ステップが、前記クリノプチロライト及び前記リン酸を加熱すること、前記クリノプチロライト及び前記リン酸を攪拌すること、ならびに前記クリノプチロライト及び前記リン酸を加熱し、かつ攪拌することからなる群のメンバーを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年10月9日出願の米国仮出願第62/061,898号、及び2014年12月31日出願の国際出願第PCT/US2014/072923号の利益を主張する。上記出願の全開示は、本明細書に援用される。
【0002】
本技術は、水溶性及び生体吸収性クリノプチロライト断片及びその組成物を作製し、用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、本開示に関連する背景情報を提供するが、これは必ずしも先行技術ではない。
【0004】
ゼオライトクリノプチロライトは、シリカ及びアルミナ四面体の微孔配置(例えばアルミノケイ酸ナトリウム)であり、三次元ハニカム立体配置を有する非水溶性非生体吸収性の塩である。その三次元立体配置のため、クリノプチロライトは、インビトロで多様な重金属を誘引し、保持し得る。この特性に基づいて、クリノプチロライトは、家庭用水濾過から製油産業ガス濾過に渡る多様な適用において、市販のフィルターで用いられている。インビボでクリノプチロライトの特性を利用するいくつかの試みがなされてきている。市販の栄養補助食品製品に関連するものを含めたこうした試みには、クリノプチロライトの単純な水懸濁物が含まれてきたが、その水溶性溶液は含まれなかった。これらの製品では、クリノプチロライトがインビボで重金属を除去する能力を発揮できない。経口投与した場合、クリノプチロライト水懸濁物は、クリノプチロライトを胃腸(GI)管内に放出するであろうが、これはクリノプチロライトのGI吸収を生じない。この方式で投与されたクリノプチロライトは、単純に、数回の腸運動の後、体から排出される。
【0005】
経口投与可能であり、GI管に吸収されることが可能であって、GI管に吸収されたクリノプチロライトが、多様な重金属に結合する能力を保持するような水溶性クリノプチロライト配合物に関する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従って、驚くべきことに、経口投与可能であり、GI管に吸収されることが可能であって、GI管に吸収されたクリノプチロライトが、多様な重金属に結合する能力を保持するような水溶性クリノプチロライト配合物が発見された。
【0007】
本技術には、細胞解毒の範囲内で、栄養補助食品として使用可能な、水溶性及び生体吸収性加水分解クリノプチロライト由来製品の配合及び使用に関する組成物及び方法が含まれる。水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、GI管に吸収されることが可能であり、栄養補助食品として単独でまたは多様な構成成分と組み合わせて使用可能である。組成物には、水溶性加水分解クリノプチロライト断片、ならびに栄養補助食品、例えばビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、アミノ酸、ハーブ、ハーブ抽出物、及びそれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態において、水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、ビタミンCと組み合わせられる。いくつかの実施形態において、水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、睡眠補助薬、例えばL−トリプトファン、L−テアニン、カモミール、レモンバーム、トケイソウ(passion flower)、ホップ、カノコソウ(valerian)、及びそれらの組み合わせと組み合わせられる。
【0008】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を作製する方法を提供する。こうした方法には、クリノプチロライトを酸で加水分解すること、及び加水分解反応を、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を含む加水分解反応産物を含む液体部分と固形部分とに分離することによって、加水分解反応を実行することが含まれる。加水分解反応にはリン酸が使用可能である。加水分解反応はまた、クリノプチロライト及び酸を加熱すること及び攪拌することを伴ってもよい。
【0009】
適用可能性のさらなる領域は、本明細書に提供する説明から明らかになるであろう。本要約中の説明及び特定の例は、例示のみの目的のために意図され、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書記載の図は、選択した実施形態の例示目的のみのためのものであり、すべてのあり得る実行ではなく、本開示の範囲を限定するようには意図されない。
【0011】
【
図1】本技術に従って産生された218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する水溶性加水分解クリノプチロライト断片の液体クロマトグラフィ−質量分析(LC−MS)による分析から得たスペクトログラムを示す。
【
図2】本技術に従って産生された218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する水溶性加水分解クリノプチロライト断片の別の調製物のLC−MS分析から得た別のスペクトログラムを示す。
【
図3】本技術に従って産生された218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する水溶性加水分解クリノプチロライト断片のさらに別の調製物のLC−MS分析から得たさらに別のスペクトログラムを示す。
【
図4】本技術に従って産生された218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する水溶性加水分解クリノプチロライト断片のさらに別の調製物のLC−MS分析から得たさらに別のスペクトログラムを示す。
【
図5】本技術に従って産生された218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する水溶性加水分解クリノプチロライト断片のさらに別の調製物のLC−MS分析から得たさらに別のスペクトログラムを示す。
【
図6】本技術に従って産生された218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する水溶性加水分解クリノプチロライト断片のさらに別の調製物のLC−MS分析から得たさらに別のスペクトログラムを示す。
【
図7】出発ゼオライトクリノプチロライト材料に関するX線回折(XRD)パターンを示す。
【
図8】水溶性加水分解クリノプチロライト断片の調製物(調製物1)に関するXRDパターンを示す。
【
図9】水溶性加水分解クリノプチロライト断片の別の調製物(調製物2)に関するXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
技術の以下の説明は、1つ以上の発明の主題、製造及び使用の性質における単なる例示であり、本出願または本出願に対する優先権を主張して出願され得るような他の出願、またはそこから発行される特許において請求されるいかなる特定の発明の範囲、適用または使用も限定することは意図されない。開示する方法に関して、提示するステップの順序は、事実上、例示的であり、したがって、ステップの順序は、多様な実施形態において異なってもよい。明らかに別に示される場合を除き、本明細書中のすべての数値量は、技術の最も広い範囲を示す単語「約」によって修飾されるように理解されるものとする。
【0013】
含まれる(including)、含有する(containing)、または有する(having)などの非制限的用語の同義語として、開放型用語「含む(comprising)」が、本明細書において、本技術の実施形態を記載し、請求するために用いられているが、「からなる(consisting of)」、または「から本質的になる(consisting essentially of)」などのより限定的な用語を用いて、実施形態を代替的に記載することも可能である。したがって、材料、構成成分、またはプロセスステップを列挙するあらゆる所定の実施形態に関して、本技術はまた、具体的に、こうした材料、構成成分、またはプロセスステップからなるか、またはそれらから本質的になり、さらなる材料、構成成分、またはプロセスを排除する実施形態(からなる、の場合)、及び実施形態の重要な特性に影響を及ぼすさらなる材料、構成成分、またはプロセスを排除する実施形態(から本質的になる、の場合)を含み、こうしたさらなる材料、構成成分、またはプロセスが本出願において明らかに列挙されていない場合であっても先述の通りである。例えば、要素A、B、及びCを列挙する組成物またはプロセスの列挙は、要素Dが本明細書において排除されると明らかに記載されていなくても、当該技術分野において列挙され得る要素Dを除き、A、B、及びCからなる実施形態、及びそれらから本質的になる実施形態を具体的に想定する。
【0014】
本明細書に言及するように、すべての組成比は、別に明記しない限り、総組成の重量による。範囲の開示は、別に明記しない限り、終点を含み、全範囲内のすべての別個の値及びさらに分割された範囲を含む。したがって、例えば、「A〜B」または「約A〜約B」の範囲は、A及びBを含む。特定のパラメータに関する値及び値の範囲の開示(例えば、量、重量パーセントなど)は、本明細書に有用な他の値及び値の範囲を除外しない。所定のパラメータに関する2つ以上の特定の例示される値は、パラメータに関して請求され得る値の範囲に関する終点を定義し得ることが想定される。例えば、パラメータXが値Aを有すると本明細書に例示され、かつまた値Zも有すると例示された場合、パラメータXは、約A〜約Zの値の範囲を有し得ることが想定される。同様に、パラメータに関する値の2つ以上の範囲の開示は(こうした範囲が入れ子状であるか、重複するか、または別個であるかに関わらず)、開示する範囲の終点を用いて請求され得る値の範囲のすべてのあり得る組み合わせを包含することが想定される。例えば、パラメータXが、1〜10、または2〜9、または3〜8の範囲の値を有すると本明細書に例示されている場合、パラメータXは、1〜9、1〜8、1〜3、1〜2、2〜10、2〜8、2〜3、3〜10、3〜9などを含む値の他の範囲を有し得ることもまた想定される。
【0015】
本技術には、水溶性加水分解クリノプチロライト断片、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を含む組成物、及び水溶性加水分解クリノプチロライト断片を作製する方法が含まれる。クリノプチロライトには、シリカ及びアルミナ四面体の微孔配置を持つ天然ゼオライトが含まれ得る。クリノプチロライトは、IUPAC名、アルミニウムナトリウムジオキシド(オキソ)シランを有し、アルミノケイ酸ナトリウムまたはケイ酸アルミニウムナトリウムと称され得る。その構造には、シリカ及びアルミナ四面体の外部フレームワークが含まれてもよく、その中には、水分子及び交換可能カチオン(例えばカルシウム、カリウム、ナトリウム)が遊走可能である。クリノプチロライトの分子式は組成が多様であってもよく、代表的な例は、以下の分子式によって具体化され得る。(K
0−1Na
0−1Ca
0−0.5)
6(Al
6Si
30O
72)・2H
2O、(Na,K,Ca)
2−3Al
3(Al,Si)
2Si
13O
36・12H
2O、(Na
2,K
2,Ca)
3Al
6Si
30O
72・24H
2O、及び(Na,K)
6(Al
6Si
30O
72)・20H
2O。本明細書に提供するように、水溶性加水分解クリノプチロライト断片には、ゼオライトクリノプチロライト断片の水溶性及び生体吸収性混合物の水溶液が含まれる。水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、天然ゼオライトクリノプチロライトを、酸、例えばリン酸を使用しながら加熱下で加水分解することによって産生可能である。
【0016】
クリノプチロライトを含む天然ゼオライトを加水分解して、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を形成してもよい。本明細書に開示するプロセスを用いて、天然ゼオライトを水溶性にして、加水分解断片の特定のプロファイルを提供してもよい。天然ゼオライトの例には、St.Cloud Mining Company(ニューメキシコ州ウィンストン)製のゼオライトが含まれ、これには、アルミノケイ酸カルシウムを含む、ニューメキシコ州ウィンストンから得られるクリノプチロライト、及びアルミノケイ酸ナトリウムを含む、ネバダ州アッシュミドウズから得られるクリノプチロライトが含まれる。
【0017】
特定の実施形態において、加水分解されて水溶性加水分解クリノプチロライト断片を形成する天然ゼオライトは、St.Cloud Mining Company(ニューメキシコ州ウィンストン)製の含水アルミノケイ酸ナトリウムを含むNV−Na *アッシュミドウズ・クリノプチロライトである。表1はこのゼオライトの典型的な特性を示す。
【表1】
【0018】
ゼオライトの典型的な化学分析には、表2に示す構成成分比が含まれ得る。
【表2】
【0019】
ゼオライトは、以下のカチオン、Rb
+、Na
+、Ba
+2、Mg
+2、Li
+、Ag
+、Sr
+2、Fe
+3、K
+、Cd
+2、Cu
+2、Co
+3、Cs
+、Pb
+2、Ca
+2、Al
+3、NH
4+、Zn
+2、Hg
+2、及びCr
+3とイオン交換を示してもよい。
【0020】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を以下のように産生してもよい。加水分解反応を用いて、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を産生してもよく、その際、加水分解反応進行を長期に渡って監視することも可能であり、例えば加水分解反応を数時間から数日間に渡って進行させることも可能である。特定の実施形態において、加水分解反応を1日の経過に渡って行ってもよい。加水分解産物(すなわち水溶性加水分解クリノプチロライト断片)を、例えば産物をサイホンで吸い上げ、濾過することによって、回収してもよい。
【0021】
加水分解反応には以下の態様が含まれ得る。クリノプチロライト、酸(例えばリン酸)、及び水を含む反応混合物を調製してもよい。水を加熱し、何らかの方式で、反応混合物を攪拌しながら、クリノプチロライトを添加することによって、例えば加熱水をかき混ぜながら、比較的均一なスラリーが形成されるように、凝集を最小限にする速度で、クリノプチロライトを分配することによって、反応混合物を合わせてもよい。リン酸をクリノプチロライト−水混合物に添加してもよい。リン酸の添加は、反応混合物に関して所望の温度プロファイルを維持する速度であってもよく、この場合、攪拌またはかき混ぜは、リン酸添加中、反応混合物をスラリーとして維持可能である。加水分解反応の完了に必要であるように、加熱を続けてもよい。完了したら、反応混合物を冷却させてもよい。
【0022】
加水分解反応の完了を以下のように監視してもよい。多様な時間間隔、例えば1時間ごと、1/2時間ごと、または1/4時間ごとに反応混合物のかき混ぜ及び加熱を停止してもよい。混合物表面の形態を観察してもよい。加水分解反応がまだ完了していない場合、反応混合物の加熱及びかき混ぜを続けてもよい。加水分解反応及びその監視を続けてもよい。
【0023】
加水分解反応産物の吸い上げ及び濾過には、以下の態様が含まれてもよい。加水分解反応産物を室温に冷却して、反応混合物を定着させてもよい。定着は、実質的な液体層または部分及び実質的な固形層または部分を含む、2層または部分を生じてもよく、この場合、液体層に加水分解反応産物が含まれる。液体層を、吸い上げ及び/またはデカントによって、固形層から分離してもよい。液体層をさらに濾過して、淡黄色の色合いを有してもよい、実質的に透明な液体を得てもよい。液体層をその後、保存してもよく、保存には、液体層の冷蔵が含まれてもよい。
【0024】
加水分解反応産物を含む液体層は、以下のように特徴付け可能である。液体層は、酸性pH、例えば4.7〜4.9の範囲を含めて、4.5〜5.5の範囲であることも可能なpHを有してもよい。液体層は、固形部分、例えば約17〜19mg/mlを含む約15〜21mg/mlの固形部分を有してもよい。加水分解反応産物を含む液体層の特定の体積(例えば30〜50ml)を取り、液体部分を蒸発させることによって、固形の決定を行ってもよい。例えば、液体層体積を蒸発プレート上に乗せ、温かいチャンバー中に60℃で24時間放置してもよい。液体が蒸発したら、固形部分を測定してもよい。
【0025】
加水分解産物中の水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、以下のように特徴付け可能である。質量分析を伴う液体クロマトグラフィ(LC−MS)を行って、非水溶性ゼオライトクリノプチロライトから水溶性加水分解クリノプチロライト断片への変換を決定してもよい。LC−MSを実行するための適切な装置には、Agilent 1200 HPLC、エレクトロスプレーイオン化を伴うTOF質量分析装置であるAgilent 6210が含まれる。水溶性加水分解クリノプチロライト断片を含む加水分解産物を、直接注入質量分析による分析のため、可動相内で希釈してもよい。可動相には、0.1%ギ酸を含む50/50アセトニトリル/水が含まれ得る。試料を可動相流内に注入し、これをTOF質量分析装置内にエレクトロスプレーしてもよい。LC−MSは、本明細書記載のゼオライトクリノプチロライト加水分解の結果が、加水分解されたゼオライトクリノプチロライト由来断片の水溶液であることを確認し得る。
【0026】
図1〜6は、各々、水溶性加水分解クリノプチロライト断片の6つの異なる調製物に関して得られる質量スペクトルの例を提供する。ここに見られるように、水溶性加水分解クリノプチロライト断片の質量分析は、218〜620ダルトンの範囲の分子量範囲を生じ得る。観察されるピーク各々の正確な質量及び隣接するピーク間の相違を用いて、ナトリウムイオンの存在を決定し得る。水溶性加水分解クリノプチロライト断片の多様な分子量種各々と、少なくとも1個のナトリウムイオンが会合し得る。98ダルトン及び120ダルトンの反復単位が観察され得る。水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、出発ゼオライト材料よりも実質的に低い分子量を有し、これらのより低い分子量は、加水分解クリノプチロライト断片の水溶性の性質に寄与することも可能であり、体内での水溶性加水分解クリノプチロライト断片の吸収及び取り込み改善に寄与することも可能である。
【0027】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を単独で、ならびに多様なサプリメント組み合わせ及び機能性食品製品を含む、多様な組成物及び配合物中で提供してもよい。本明細書に記載するように、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を産生するために用いた前駆体材料は、天然ゼオライトクリノプチロライトである。食品添加物を含む機能性食品製品は、米国食品医薬品局(FDA)による市販前検査及び承認に供されてもよく、FDA 21 CFRの下で、これらは、GRAS(一般的に安全と見なされる)状態と承認されてもよい。ゼオライトクリノプチロライト(アルミノケイ酸ナトリウム)は、2014年4月のものとしてFDA GRAS状態を有する(FDA 21 CFR §182.2727及び食品添加物E番号、E−554)。出発ゼオライト材料は、本明細書記載のさらなる構成成分のいくつかとともに、GRAS材料として、有害物質規制法上に見出され得る。
【0028】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を、所望の量または重量パーセントに希釈してもよい。例えば、本明細書記載の方法を用いて得られる加水分解産物は、約15〜21mg/mLの固形部分を有し、これは水溶性加水分解クリノプチロライト断片1.5〜2.1重量%に相当する。希釈には、無菌、蒸留及び脱イオン水を用いてもよい。水溶性加水分解クリノプチロライト断片及び水溶性加水分解クリノプチロライト断片を希釈するために用いる水の溶液にはまた、多様な安定化剤及び/または保存剤が含まれてもよい。例えば、安息香酸ナトリウム及び/またはソルビン酸カリウムが使用可能である。水溶性加水分解クリノプチロライト断片を、水ならびに任意の安定化剤及び/または保存剤で希釈して、特定のpH値及び固形部分を有する溶液を産生してもよい。例えば希釈した水溶性加水分解クリノプチロライト断片溶液は、4.0±1のpH、及び0.35〜9.00mg/mlの固形部分(すなわち0.35重量%〜0.9重量%)を有し得る。
【0029】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片の特別な水溶性の性質が、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を投与する際に特定の利益及び利点を提供する。例えば、水溶性加水分解クリノプチロライト断片の経口投与は、水溶性加水分解クリノプチロライト断片の少なくとも一部分のGI吸収を生じ得る。吸収された水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、血液内に通過して、体の多様な部分に輸送されて、多様な利益及び利点を提供することも可能である。こうした利益の非限定的例には、解毒のための重金属/環境毒との結合、細胞レベルでの吸収、重金属が集積し得るかまたは脂肪組織内に貯蔵され得る脂肪組織内への通過、活性酸素種及び活性酸素種に関連する炎症の減少、エネルギー増加の提供、ならびにフォーカス、集中、及び記憶のうちの1つ以上の向上の提供が含まれる。
【0030】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を単独で用いてもよいし、1つ以上の多様なビタミン及び/または1つ以上の多様な機能性食品などの1つ以上の多様な栄養補助食品を含む、多様な組成物中の構成成分として用いてもよい。栄養補助食品の非限定的例には、さらに、ビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、アミノ酸、ハーブ、ハーブ抽出物、及びそれらの組み合わせが含まれる。栄養補助食品には、水溶性ビタミン、例えばビタミンB
1、ビタミンB
2、ビタミンB
3、ビタミンB
5、ビタミンB
6、ビタミンB
7、ビタミンB
9、ビタミンB
12、及びビタミンCの1つ以上が含まれてもよい。特定の実施形態において、こうした栄養補助食品は、いかなる疾患も診断、治療、治癒、または防止するようには意図されない。水溶性加水分解クリノプチロライト断片はまた、毒性金属を含む多様な金属をキレートまたは除去するためにも使用可能であり、この場合、水溶性加水分解クリノプチロライト断片は解毒を促進し得る。
【0031】
特定の実施形態において、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を、その多様な塩、誘導体、及びエステルを含む、ビタミンC(すなわちアスコルビン酸)と組み合わせてもよい。ビタミンC受容体は、GI管に、そしてヒト体内の多様なバリア組織の内皮細胞に存在する。例には、ビタミンCならびにグルコースの取り込みのためのGLUT1受容体が含まれる。したがって、取り込みはGI管において、そして血管を渡って起こり得る。例えば、ビタミンC受容体の数は、血液脳関門の部分である内皮細胞において、有意に増加し得る。水溶性加水分解クリノプチロライト断片のLC−MSによって示されるように、少なくとも1個のナトリウムイオンが、加水分解クリノプチロライト断片の多様な分子量種の各々と会合する。したがって、ビタミンCと水溶性加水分解クリノプチロライト断片の組み合わせは、[加水分解クリノプチロライト断片]−[ナトリウム]−[アスコルビン酸]塩を提供し得る。水溶性加水分解クリノプチロライト断片及びビタミンCを含む組成物は、したがって、個々の水溶性加水分解クリノプチロライト断片及びビタミンC分子の間の複合体を提供し、ここで、水溶性加水分解クリノプチロライト断片と会合するナトリウムイオン及びビタミンC間でイオン結合が形成され得る。この方式で、イオン的に結合したビタミンC分子は、ビタミンC受容体をディスプレイしている細胞に対する「ターゲティングデバイス」として働き得る。こうした細胞は、水溶性加水分解クリノプチロライト断片と複合体形成したビタミンC分子に結合し、ビタミンC分子の取り込み中に、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を保持することも可能である。1つの実施形態には、以下の特性、3.0〜4.5のpH、0.35〜0.90mg/mlの水溶性加水分解クリノプチロライト断片、3.5〜6.0mg/mlのビタミンCを有する、ビタミンCと組み合わされた水溶性加水分解クリノプチロライト断片の溶液が含まれる。
【0032】
ビタミンCと組み合わせた水溶性加水分解クリノプチロライト断片の利益及び利点には、以下の非限定的例、重金属/環境毒の解毒、細胞レベルでの吸収の増加、重金属が集積し得るかまたは脂肪組織内に貯蔵され得る脂肪組織内への通過、炎症に関連する重金属の減少、炎症に関連する活性酸素種の減少、血液脳関門への浸透、中枢神経系(CNS)における重金属関連炎症の減少、CNSにおける活性酸素種関連炎症の減少、エネルギー増加の提供、ならびにフォーカス、集中、及び記憶のうちの1つ以上の向上の提供が含まれる。
【0033】
特定の実施形態において、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を、ビタミンC及び1つ以上の睡眠補助薬を含む他の構成成分と組み合わせてもよい。睡眠補助薬の例には、L−トリプトファン及びAlphawave(登録商標)Calming Blend(Ethical Naturals Inc.より市販され、このAlphawave(登録商標)Calming Blendには、カモミール、レモンバーム、トケイソウ、ホップ、及びカノコソウのハーブ抽出物とともに、精製L−テアニンが含まれる)。1つ以上の睡眠補助薬を含む配合物を用いて、睡眠の開始及び維持を改善することも可能である。睡眠の開始及び維持は、以下の経路に従った、メラトニンの産生、放出、及び血中濃度レベルと関連し得る。
【化1】
【0034】
脳において、セロトニン生合成は、血液脳関門を横断するトリプトファンの量に依存し得る。L−テアニン(Alphawave(登録商標)Calming Blendの成分)は、緑茶葉に見られるアミノ酸であり、天然弛緩薬として機能し得る。配合実施形態には、0.35〜4.5mg/mlの水溶性加水分解クリノプチロライト断片、3.5〜6.0mg/mlのビタミンC、1.0〜4.0mg/mlのL−トリプトファン、及び20〜40mg/mlのAlphawave(登録商標)Calming Blendが含まれてもよい。利益及び利点には、以下の非限定的例、細胞レベルでの吸収、血液脳関門への浸透、睡眠のスムーズな開始及び維持の補助、眠気を伴わない弛緩の補助、神経緊張の減少、ならびに強いられた急騰及び崩壊を伴わない、集中したエネルギーを伴う落ち着いた感覚の維持が含まれる。
【0035】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片を含む組成物は、典型的には経口投与用に、多様な方式で配合することができる。例としては、組成物を、1つ以上の多様な水溶液、液体カプセルに形成すること、液体またはスラリー形態の組成物を提供すること、及びゲルまたはシロップとして組成物を提供することが含まれる。水溶性加水分解クリノプチロライト断片はまた、乾燥させる(例えば凍結乾燥させる)か、または部分的に乾燥させ、固形または部分的固体形態、例えば粉末またはペーストなどの形態で提供することも可能である。組成物の構成成分は、単一の部分へとともに完全に混合してもよいし、各々が別個の部分として提供されてもよいし、または全組成物は2つ以上の部分で提供されるが、部分の総数が構成成分の数よりも少ないように多様な構成成分を混合してもよい。経口投与に適した他の投薬形態を用いてもよい。いくつかの実施形態において、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を、他の投与経路、例えば舌下、直腸、局所、鼻内、吸入、及び点眼経路用に配合してもよい。
【0036】
組成物中に、1つ以上の抗接着剤(例えばステアリン酸マグネシウム)、結合剤(例えば糖類、ゼラチン、ポリマー)、コーティング(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、腸溶性物質、例えばワックス、プラスチック、繊維など)、崩壊剤(例えばポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、加工デンプン)、フレーバー、着色剤、潤滑剤(例えばタルク、シリカ、脂肪)、流動促進剤(例えばヒュームドシリカ、タルク、炭酸マグネシウム)、吸着剤、保存剤(例えば酸化防止剤、例えばビタミンA、E、及びC、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム)、及び甘味料を含む、多様な賦形剤などの他の構成成分が含まれてもよい。
【実施例】
【0037】
ゼオライトを加水分解することによって、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を産生するために、以下のプロトコルを用いた。
【0038】
加水分解反応を以下のように組み立て、反応混合物は、UV処理R/O水中に、1モルのゼオライトクリノプチロライト及び0.16モルのリン酸を含んだ。
1. ステンレススチールポットを、加熱プレート上に置いた。
2. 濾過及びUV処理した逆浸透水をステンレススチールポットに入れ、攪拌を開始した。
3. 一定の攪拌下で、1Mのクリノプチロライトを、ステンレススチールポットにゆっくりと移した。
4. クリノプチロライト−水の混合物を、170〜175°F(77〜79℃)に加熱した。
5. 0.16Mのリン酸(85%)を、一定の攪拌下で、クリノプチロライト−水の混合物に添加した。加水分解反応のこの時点は、ゼロ時点であった。
6. 一定の攪拌下で、加水分解反応の完了に必要である場合、混合物を170〜175°F(77〜79℃)にさらに加熱した。
7. 加水分解反応が完了したら、攪拌及び加熱を停止した。混合物を含むステンレススチールポットを、加熱プレート表面から直ちに取り除き、室温で24時間冷却させた。
【0039】
ゼロ時点後の多様な時間間隔、例えば1時間ごと、1/2時間ごと、または1/4時間ごとに、反応混合物の攪拌及び加熱を停止してもよい。混合物表面の形態を観察してもよい。加水分解反応がまだ完了していない場合、反応混合物の加熱及び攪拌を続けてもよい。加水分解反応及びその監視を続けてもよい。
【0040】
加水分解反応産物の吸い上げ及び濾過には、以下の態様が含まれた。
1. 反応混合物を室温で冷却した。
2. 加水分解反応の結果として、ポット中で、2つの別個の層、液体層及び固形層が形成された。
3. 液体層の吸い上げを真空で開始し、引力で補助した。
4. 淡黄色の色合いを持つ透明な液体を収集するために必要であるように、液体産物の濾過を行った。
5. 液体産物を冷蔵庫に入れた。
【0041】
液体層中の加水分解反応産物の定量的特性には、4.7〜4.9のpH及び15〜21mg/mlの固形内容量が含まれた。加水分解反応の特定の体積(例えば30〜50ml)を蒸発プレート上に置き、60℃の温かいチャンバー中で24時間乾燥させることによって、液体層中の水溶性加水分解クリノプチロライト断片の量、または固形内容量を決定した。蒸発プレート中に入れた液体が完全に蒸発したら、残渣固形の量を測定した。
【0042】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片に関する分析化学試験には以下が含まれた。質量分析を伴う液体クロマトグラフィ(LC−MS)を行って、非水溶性ゼオライトクリノプチロライトから水溶性クリノプチロライト断片への転換の成功を試験した。LC−MSは、上述のゼオライトクリノプチロライト加水分解の結果、水溶性ゼオライトクリノプチロライト由来断片の水溶液が生じたことを確認した。Agilent 1200 HPLC、エレクトロスプレーイオン化を伴うTOF質量分析装置であるAgilent 6210を用いて、LC−MS分析を行った。直接注入質量分析による分析のため、加水分解産物を可動相内で希釈した。可動相は、0.1%ギ酸を含む50/50アセトニトリル/水からなった。試料を可動相流内に注入し、これをTOF質量分析装置内にエレクトロスプレーした。
【0043】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片の6つの異なる調製物を分析した。
【0044】
図1は、218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する種を含む、第一の水溶性加水分解クリノプチロライト断片調製物のスペクトログラムを示し、観察されるピーク各々の正確な質量及び隣接するピーク間の相違を用いて、ナトリウムイオンの存在を決定して、少なくとも1個のナトリウムイオンが、多様な分子量種各々と会合することを示した。(+/−22Da)スペーシングに基づく、ナトリウム−プロトン交換の証拠があった。98及び120ダルトンの反復単位を検出した。
【0045】
図2は、218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する種を含む、第二の水溶性加水分解クリノプチロライト断片調製物のスペクトログラムを示し、観察されるピーク各々の正確な質量及び隣接するピーク間の相違を用いて、ナトリウムイオンの存在を決定して、少なくとも1個のナトリウムイオンが、多様な分子量種各々と会合することを示した。(+/−22Da)スペーシングに基づく、ナトリウム−プロトン交換の証拠があった。98及び120ダルトンの反復単位を検出した。
【0046】
図3は、218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する種を含む、第三の水溶性加水分解クリノプチロライト断片調製物のスペクトログラムを示し、観察されるピーク各々の正確な質量及び隣接するピーク間の相違を用いて、ナトリウムイオンの存在を決定して、少なくとも1個のナトリウムイオンが、多様な分子量種各々と会合することを示した。(+/−22Da)スペーシングに基づく、ナトリウム−プロトン交換の証拠があった。98及び120ダルトンの反復単位を検出した。
【0047】
図4は、218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する種を含む、第四の水溶性加水分解クリノプチロライト断片調製物のスペクトログラムを示し、観察されるピーク各々の正確な質量及び隣接するピーク間の相違を用いて、ナトリウムイオンの存在を決定して、少なくとも1個のナトリウムイオンが、多様な分子量種各々と会合することを示した。(+/−22Da)スペーシングに基づく、ナトリウム−プロトン交換の証拠があった。98及び120ダルトンの反復単位を検出した。
【0048】
図5は、218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する種を含む、第五の水溶性加水分解クリノプチロライト断片調製物のスペクトログラムを示し、観察されるピーク各々の正確な質量及び隣接するピーク間の相違を用いて、ナトリウムイオンの存在を決定して、少なくとも1個のナトリウムイオンが、多様な分子量種各々と会合することを示した。(+/−22Da)スペーシングに基づく、ナトリウム−プロトン交換の証拠があった。98及び120ダルトンの反復単位を検出した。
【0049】
図6は、218〜620ダルトンの間の分子量範囲を有する種を含む、第六の水溶性加水分解クリノプチロライト断片調製物のスペクトログラムを示し、観察されるピーク各々の正確な質量及び隣接するピーク間の相違を用いて、ナトリウムイオンの存在を決定して、少なくとも1個のナトリウムイオンが、多様な分子量種各々と会合することを示した。(+/−22Da)スペーシングに基づく、ナトリウム−プロトン交換の証拠があった。98及び120ダルトンの反復単位を検出した。
【0050】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片の2つの調製物(調製物1及び調製物2)を、X線回折(XRD)によって分析した。XRD分析に、角度分析計をスキャンするステップを含有するPhilips−Norelcoモデル3000 XRD装置を用いた。各調製物に関して、加水分解クリノプチロライト断片の水溶液の試料をまず、周囲温度及び低湿度で一定の重量まで乾燥させ、次いで、セラミックの乳鉢及び乳棒で200メッシュ未満に微粉砕した。XRD分析のため、加水分解クリノプチロライト断片のこの微粉砕試料を、ランダムに配向した粉末として戻して装填し、試料ホルダー内に5psiで圧縮した。XRD範囲は、粉末試料に関しては、3°〜70°の2シータであり、配向コーティングに関しては、2°〜18°の2シータ配向であった。
【0051】
出発ゼオライトクリノプチロライトを、X線回折(XRD)によって分析した。XRD分析に、角度分析計をスキャンするステップを含有するPhilips−Norelcoモデル3000 XRD装置を用いた。ゼオライトクリノプチロライト粉末の試料をまず、周囲温度及び低湿度で一定の重量まで乾燥させ、次いで、セラミックの乳鉢及び乳棒で200メッシュ未満に微粉砕した。XRD分析のため、出発ゼオライトクリノプチロライトのこの微粉砕試料を、ランダムに配向した粉末として戻して装填し、試料ホルダー内に5psiで圧縮した。XRD範囲は、粉末試料に関しては、3°〜70°の2シータであり、配向コーティングに関しては、2°〜18°の2シータ配向であった。スメクタイト粘土検出のため、このクリノプチロライト試料の部分を、蒸留水中でスラリー化し、その後、ガラス顕微鏡スライド上にスラリーをコーティングした。このスラリーが乾くにつれて、いかなる分散したスメクタイト粘土プレートレットもガラススライドに平行に配向し、その(0,0,X)層回折ピークを増進させた。2°〜18°の2シータ配向のこの配向したコーティングのXRD評価後、これをエチレングリコール蒸気に最短4時間、50℃で曝露し、次いで、XRDによって再評価した。エチレングリコールへの曝露とともに、いかなる拡張可能なスメクタイト(0,0,1)層回折ピークも、17オングストロームに拡張し、スメクタイトが試料中に存在しないことを確認した。石英濃度を0.1%の位まで報告する。出発ゼオライトクリノプチロライトのXRD結果を以下の表3に報告する。
【表3】
【0052】
出発ゼオライト材料に関するXRDパターンを
図7に示す。
【0053】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片の第一の調製物(調製物1)のXRDパターンを
図8に示す。
【0054】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片の第二の調製物(調製物2)のXRDパターンを
図9に示す。
【0055】
以下に示す表4は、水溶性加水分解クリノプチロライト断片の2つの異なる調製物(調製物1及び調製物2)、ならびに出発ゼオライトクリノプチロライト(St.Cloud Mining Company(ニューメキシコ州ウィンストン)から得られる、ネバダ州アッシュミドウズ産のアルミノケイ酸ナトリウム)に関するXRDピーク位置(オングストローム)を列挙する。
【表4】
【0056】
表4ならびに
図8及び9からわかるように、水溶性加水分解クリノプチロライト断片の2つの調製物(調製物1及び調製物2)のXRD分析の結果は同様であった。
図8及び9は、不定形(非結晶)材料断片の検出によるようである、18°〜35°の2シータの間の広いベースラインの膨らみを記録した。加水分解反応が、出発ゼオライトクリノプチロライト材料を変換して、水溶性加水分解クリノプチロライト断片を産生したことが明らかである。
【0057】
LC−MSデータに基づいて、水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、218〜620ダルトンの分子量を有する。出発ゼオライトクリノプチロライト材料の単位格子の分子量は、およそ474g/molであり、個々の単位格子は化学組成が異なり、特に会合する交換カチオンが異なることが注目される。したがって、液体クロマトグラフィによって分離され、続いて質量分析によって特徴付けられた荷電粒子(すなわち水溶性加水分解クリノプチロライト断片)は、0.46〜1.31のクリノプチロライト単位格子を含有するようである。理論によって束縛されることは望ましくないが、水溶性加水分解クリノプチロライト断片には、出発ゼオライトクリノプチロライト由来の単位格子の断片が含まれ、加水分解反応は、ゼオライトクリノプチロライトの反復単位格子構造を多様な不安定な位で寸断するように働き、完全単位格子、不完全単位格子、及び以前隣接した単位格子の残りにカップリングしたままである完全単位格子を含む、クリノプチロライト断片を生じる。
【0058】
水溶性加水分解クリノプチロライト断片に関するXRDパターンは、本技術を用いて生成した特別な加水分解産物を同定するフィンガープリント及び方法を提供可能である。例えば、出発ゼオライトを欠く水溶性加水分解クリノプチロライト断片にユニークなXRDピークは、水溶性加水分解クリノプチロライト断片の定義特性を提供し得る。オングストロームでのこうしたピーク値の例を、11.54、7.61、5.75、3.827、3.303、2.874、及び1.855として、表4に列挙する。したがって、これらのピークのうちの1つ以上を用いて、本明細書記載の加水分解反応によって産生された水溶性加水分解クリノプチロライト断片を定義するかまたは同定し、そして出発ゼオライトクリノプチロライト材料から加水分解クリノプチロライト断片を区別することも可能である。したがって、水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、11.5+/−0.1オングストローム、7.6+/−0.1オングストローム、5.8+/−0.1オングストローム、3.8+/−0.1オングストローム、3.3+/−0.1オングストローム、2.9+/−0.1オングストローム、及び1.9+/−0.1オングストロームのX線回折パターン中の1つ以上の特徴的なピークによって区別され得る。
【0059】
あるいはまたはさらに、水溶性加水分解クリノプチロライト断片は、
図6の出発ゼオライト材料に対する、
図7及び8に示す2シータのユニークな値で、粉末X線回折パターン中の1つ以上の特徴的なピークによって区別され得る。例えば、1つ以上のユニークな2シータ値(度)は本技術を用いて生成された特別な加水分解産物を同定するフィンガープリント及び方法を提供可能である。11.54、7.61、5.75、3.827、3.303、2.874、及び1.855と標識されたピークに関するそれぞれの2シータ値は、7.5°、11°、15°、23°、26°、31°、及び49°である。2シータ値にはまた、+/−0.1°の標準偏差または標準誤差を割り当ててもよい。
【0060】
本開示が完全であり、かつ当業者にその範囲を完全に伝達するように、例示的実施形態が提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成成分、デバイス、及び方法の例などの多くの具体的な詳細が示される。当業者であれば、具体的な詳細は必ずしも使用する必要はなく、例示的実施形態は多くの異なる形式で具体化可能であり、またこれらがどちらも本開示の範囲を限定するとは解釈されるべきでないことが明らかであろう。いくつかの例示的実施形態において、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術については、詳細には記載されていない。実質的に類似の結果を生じる、いくつかの実施形態、材料、組成物、及び方法の同等の変更、修正、及び変形を、本技術の範囲内で行うことができる。
【国際調査報告】