特表2017-536812(P2017-536812A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-536812バイパータイト型およびトリパータイト型のシグナル伝達免疫細胞
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-536812(P2017-536812A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】バイパータイト型およびトリパータイト型のシグナル伝達免疫細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/078 20100101AFI20171117BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20171117BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20171117BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20171117BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20171117BHJP
   C12N 7/01 20060101ALN20171117BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20171117BHJP
【FI】
   C12N5/078
   C07K16/28
   A61K35/17 Z
   A61P37/02
   A61P35/00
   C12N7/01
   C12N15/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2017-520920(P2017-520920)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015056217
(87)【国際公開番号】WO2016061574
(87)【国際公開日】20160421
(31)【優先権主張番号】62/065,138
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/151,315
(32)【優先日】2015年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデス、ジュアン、フェルナンド ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】リーン、アン、マリー
(72)【発明者】
【氏名】スクマラン、スジタ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AC20
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB07
4C087ZB26
4H045AA10
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の実施形態には、免疫療法のために、例えば、ガンのために効果的である組成物および方法が含まれる。本開示の実施形態には、腫瘍微小環境に存在する2つのシグナルまたは3つのシグナルの組合せを認識する細胞が含まれる。ある特定の実施形態において、抗原刺激、共刺激およびサイトカインシグナル伝達のためのシグナルが、別個の分子を介して作用し、だが、ある特定の実施形態においては、抗原刺激および共刺激のためのシグナルが、同じ分子を介して伝達される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む組成物:
1)抗原認識を前記細胞に与える分子;
2)共刺激を前記細胞に与える分子;および
3)サイトカイン刺激を前記細胞に与える分子、
ただし、以下のうちの一方が存在する:
a)抗原認識を前記細胞に与える前記分子と、共刺激を前記細胞に与える前記分子とが、同じ分子である;または
b)抗原認識を前記細胞に与える前記分子と、共刺激を前記細胞に与える前記分子とが、異なる分子である。
【請求項2】
抗原認識を与える前記分子が受容体であり、または、サイトカイン刺激を与える前記分子が受容体であり、または、両方である、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項3】
共刺激を前記細胞に与える前記分子がエンドドメインである、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項4】
膜貫通ドメインが、抗原認識を前記細胞に与える前記分子と、共刺激を前記細胞に与える前記分子との間において分子内に配置される、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗原が腫瘍抗原である、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗原が、EphA2、HER2、GD2、グリピカン−3、5T4、8H9、αβインテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA)B7−H3、B7−H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、カッパ軽鎖、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、FAP、FAR、FBP、胎児性AchR、葉酸受容体α、GD2、GD3、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2、IL11Ra、IL13Ra2、KDR、ラムダ、ルイス−Y、MCSP、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY−ESO−1、PRAME、PSCA、PSC1、PSMA、ROR1、Sp17、サバイビン、TAG72、TEM1、TEM8、VEGRR2、ガン胎児性抗原、HMW−MAAおよびVEGF受容体からなる群から選択される腫瘍抗原である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
抗原認識を与える前記分子と、共刺激を与える前記分子とが、キメラ抗原受容体である、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項8】
前記キメラ抗原受容体が1つまたは2つの共刺激性エンドドメインを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
抗原認識を与える前記分子が組換え産生のαβT細胞受容体(TCR)または生来型のαβTCRである、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項10】
サイトカイン刺激を与える前記分子がサイトカイン受容体である、請求項1(a)または1(b)に記載の組成物。
【請求項11】
前記サイトカイン分子が、サイトカイン結合エキソドメインと、シグナル伝達エンドドメインとを含むキメラサイトカイン受容体である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記キメラサイトカイン受容体が、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、CD28、OX−40、4−1BB、CD80、CD86、ICOS、CD40、CD27、CD30、CD226、IL7、IL2、IL15、IL21、IL12、IL18、IL9、IFN−ガンマおよびそれらの組合せからなる群から選択される受容体または分子に由来するエンドドメインを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記キメラサイトカイン受容体が、TGFβ、IL10、IL4、IL13、IL6、IL8、IL5、VEGF、IL22、IL1、IL1β、IL35、TNF、GM−CSF、M−CSF、G−CSF、LAG3、TIM3およびそれらの組合せからなる群から選択される可溶性阻害因子に結合することができる受容体または分子に由来するエキソドメインを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記キメラサイトカイン受容体が、ケモカインレセプターに由来するエキソドメインを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記キメラサイトカイン受容体が、IL4受容体のエキソドメインと、IL7受容体のエンドドメインとを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記キメラサイトカイン受容体が、TGFβRのエキソドメインと、4−1BBのエンドドメインとを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記TGFβRエキソドメインがTGFβRIIのエキソドメインである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
抗原認識および共刺激を前記細胞に与える前記分子と、サイトカイン刺激を前記細胞に与える前記分子とが、同じ発現ベクターから発現させられる、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項19】
抗原認識および共刺激を前記細胞に与える前記分子と、サイトカイン刺激を前記細胞に与える前記分子とが、異なる発現ベクターから発現させられる、請求項1(a)に記載の組成物。
【請求項20】
抗原認識を与える前記分子と、共刺激を与える前記分子と、サイトカイン刺激を与える前記分子とがすべて、同じ発現ベクターから発現させられる、請求項1(b)に記載の組成物。
【請求項21】
抗原認識を与える前記分子と、共刺激を与える前記分子と、サイトカイン刺激を与える前記分子とがすべて、異なる発現ベクターから発現させられる、請求項1(b)に記載の組成物。
【請求項22】
前記ベクターがウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、請求項15〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはアデノ関連ウイルスベクターである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞またはNKT細胞である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記細胞がさらに、組成物の同じ抗原である腫瘍抗原を標的とする天然に存在するT細胞受容体または操作されたT細胞受容体を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記細胞がさらに、組成物の抗原とは異なる抗原である腫瘍抗原を標的とする天然に存在するT細胞受容体または操作されたT細胞受容体を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む組成物:
a)共刺激シグナル伝達を、第1の可溶性因子を認識したときに前記細胞に与える分子;
b)サイトカインシグナル伝達を、第2の可溶性因子を認識したときに前記細胞に与える分子;および
c)抗原認識を、抗原を認識したときに前記細胞に与える分子であって、前記細胞に対して生来的である、または前記細胞に対して人工的である分子、
ただし、抗原認識を前記細胞に与える前記分子が、キメラ抗原受容体である人工受容体であるとき、前記キメラ抗原受容体は共刺激性ドメインを欠いている。
【請求項28】
分子a)がただ1つのエンドドメインを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
分子b)がただ1つのエンドドメインを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記第1の可溶性因子および前記第2の可溶性因子が非同一である、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
前記細胞が、a)、b)およびc)を別個に発現する、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
前記細胞が、a)およびc)を別個に発現する、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
前記細胞が、b)およびc)を別個に発現する、請求項27に記載の組成物。
【請求項34】
サイトカインシグナル伝達を与える前記分子が、サイトカイン結合エキソドメインと、シグナル伝達エンドドメインとを含むキメラサイトカイン受容体である、請求項27に記載の組成物。
【請求項35】
下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む組成物:
a)共刺激シグナル伝達を、第1の可溶性因子を認識したときに前記細胞に与える分子;
b)サイトカインシグナル伝達を、第2の可溶性因子を認識したときに前記細胞に与える分子;および
c)抗原認識を、抗原を認識したときに前記細胞に与える分子であって、前記細胞に対して生来的である、または前記細胞に対して人工的である分子、
ただし、抗原認識を前記細胞に与える前記分子が人工受容体であるとき、前記人工受容体は共刺激性ドメインを欠いている。
【請求項36】
医学的状態のための免疫療法を必要とする個体を処置する方法であって、請求項1〜35のいずれか一項に記載される組成物の治療効果的な量を前記個体に送達する工程を含む方法。
【請求項37】
前記医学的状態がガンである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ガンが、前記抗原および可溶性因子を含む腫瘍微小環境を有し、それらのレベルが、前記分子1)、2)および3)のすべてを介して前記細胞を活性化するために十分である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1〜35のいずれか一項に記載される組成物を含むキットであって、前記組成物が適切な容器に収容されるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は米国仮特許出願第62/065138号(2014年10月17日出願)の優先権を主張し、米国仮特許出願第62/151,315号(2015年4月22日出願)の優先権もまた主張する(これらの出願はともにその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0002】
(連邦政府支援による研究開発に関する記載)
本発明は、P50CA126752およびPO1CA094237(これらはともに国立衛生研究所によって与えられた)のもとでの政府援助によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本開示の実施形態は少なくとも、免疫学、免疫療法、細胞生物学、分子生物学および医療(ガン医療を含む)の分野に関連する。
【背景技術】
【0004】
T細胞の特異性を、抗原認識に関わる細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインとから構成される人工受容体であるキメラ抗原受容体(CAR)を発現させることによって変化させることができる。細胞外ドメインは最も一般的には、柔軟なリンカーによって連結されるモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖(VおよびV)の可変領域(すなわち、抗原結合部分)に由来する。細胞内シグナル伝達ドメイン(エンドドメイン)は最も通常的には、T細胞受容体(CD3)ζ鎖に由来する。CARを発現させることにより、腫瘍がHLA非制限様式で標的化され、これにより、適格患者の数を増大させることが可能となり、また、T細胞によって認識され得る抗原のタイプが、炭水化物および糖脂質を含むように拡張される。しかしながら、CD3ζシグナル伝達ドメインだけを含有したCAR(いわゆる第1世代構築物)を発現するように改変されたT細胞を使用する初期の試験は準最適であると証明されている。実際、CARの関与はサイトカイン産生またはT細胞拡大のどちらもインビボでは誘導することができなかった。この制限を克服するために、科学者は、例えば、CD27、CD28、4−1BB、DAP10、OX40またはICOSを含むさらなるエンドドメインを組み込む第2世代および第3世代のCARの使用を探究してきた。そのような追加は、シグナル伝達のより大きい強さと、持続性とをT細胞に与え、この結果、改善された効力がもたらされた。例えば、直接の比較において、Savoldoおよび共同研究者らは、共刺激性のCD28エンドドメインをコードするCAR−CD19 T細胞では、拡大および持続性が驚くほどに高まったことを明らかにした。Porterおよび共同研究者らは、4−1BBエンドドメインを発現するCAR−CD19改変T細胞を使用して、慢性リンパ球性白血病(CLL)を処置し、著しいインビボ拡大と、少なくとも6ヶ月にわたる持続性とを認め、この結果、完全な臨床応答が3名の処置された患者のうちの2名においてもたらされた。
【0005】
したがって、さらなるエンドドメインが組み込まれる第2世代および第3世代のCARが、T細胞の効力を改善するためのCAR療法における現在の最先端技術となっている。しかしながら、後世代のCARにより処置された一部の患者は、T細胞の制御されない拡大のためにサイトカインストームに起因する当該治療に伴う毒性を経験している。本開示は、免疫療法におけるそのような課題のための解決策を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、例えば、ガンのための免疫療法を含めて、免疫療法を必要とする医学的状態を処置するための組成物および方法を少なくとも包含する。本開示の特定の態様において、免疫細胞を活性化するためにシグナルを伝達する(これらは別個のシグナルである場合がある)2つ以上の別個の分子(例えば、ポリペプチドなど)を発現するように改変されている免疫細胞を用いる組成物および方法が存在する。これらのシグナルは特定の実施形態において、腫瘍または腫瘍微小環境を直接的または間接的な起源とする。
【0007】
ある特定の実施形態において、非天然型の細胞が提供され、具体的な実施形態において、この細胞は、T細胞活性化のためのシグナル、例えば、殺傷などのためのシグナルと、共刺激のためのシグナル、例えば、細胞の持続性などのためのシグナルと、サイトカインのためのシグナル、例えば、増殖を高めるためなどのシグナルとを受け取る成分を発現する。具体的な実施形態において、細胞に対するこれら3つのシグナルが、例えば、微小環境からの3つの異なる入力から生じ、3つの別個の分子を介して、例えば、3つの別個の受容体などを介して伝達される。特定の実施形態において、本明細書中において意図される細胞は、これらのシグナルの存在下でのガン治療のために使用され、具体的な実施形態において、治療は、これらのシグナルのいずれかが存在しないもとでは行われない。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記免疫細胞は、腫瘍または腫瘍微小環境からの2つのシグナルを伝えるバイパータイトシグナル伝達免疫細胞であり、ただし、これら2つのシグナルのそれぞれが別個の分子を介して伝達される。バイパータイトシグナル伝達免疫細胞の具体的な実施形態において、第1のシグナルが抗原(例えば、腫瘍抗原など)に由来し、この抗原と結合する分子(例えば、受容体など)によって認識される。ある特定の態様において、第1のシグナルが結合することにより、すなわち、抗原により、T細胞受容体(TCR)の活性化が引き起こされる。少なくともいくつかの場合において、TCRの活性化が、シグナルを直接に受け取らない細胞内の共刺激性ドメインに連結される受容体を有することによって生じる。特定の実施形態において、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞の第2のシグナルが1つまたは複数のサイトカインに由来し、このサイトカインシグナルを伝達する(抗原認識分子とは別個である)分子を介して受け取られる。バイパータイトシグナル伝達免疫細胞のための例示的な第2のシグナル伝達分子がサイトカイン受容体である場合がある。具体的な実施形態において、サイトカイン受容体は、阻害性/抑制性サイトカインと結合し、それにもかかわらず、活性化シグナルが可能であるエンドドメインを含むキメラサイトカイン受容体である;特定の実施形態において、このキメラサイトカイン受容体は、サイトカイン結合エキソドメインと、シグナル伝達エンドドメインとを含む。したがって、具体的な実施形態において、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞は、抗原を認識する第1の分子と、可溶性因子(例えば、サイトカインなど)を認識する第2の分子(これは第1の分子とは別個である)とを含む。
【0009】
他の実施形態において、上記免疫細胞は、腫瘍または腫瘍微小環境からの3つのシグナルを伝えるトリパータイトシグナル伝達免疫細胞であり、ただし、これら3つのシグナルのそれぞれが別個の分子を介して伝達される。トリパータイトシグナル伝達免疫細胞の具体的な実施形態において、第1のシグナルが抗原(例えば、腫瘍抗原など)に由来し、この抗原と結合する分子(例えば、受容体など)によって認識される。第2のシグナルが、ある特定の実施形態においては共刺激のためのものであり、可溶性因子(例えば、共刺激シグナルなど)と結合する分子(例えば、受容体など)によって認識される。第3のシグナルが特定の態様において、該可溶性因子(例えば、サイトカイン)と結合し、かつ、増殖のための正のシグナルを伝達する分子(例えば、受容体など)によって認識されるサイトカインである。したがって、具体的な実施形態において、トリパータイトシグナル伝達免疫細胞は、抗原を認識する第1の分子と、可溶性因子(例えば、共刺激分子を含む)を認識する第2の分子(これは第1の分子とは別個である)と、可溶性因子(例えば、サイトカインなど)を認識する第3の分子(これは第1の分子および第2の分子の両方とは別個である)とを含む。
【0010】
1つの実施形態において、組成物は、1)抗原受容体と、2)サイトカイン受容体と、3)共刺激受容体とを別個に発現する操作された免疫細胞を含む。
【0011】
本開示の特定の態様において、免疫細胞は意図的に、特定の腫瘍または腫瘍微小環境に由来する抗原に対して特異的であるようにされる。
【0012】
1つの実施形態において、組成物は、下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む:1)抗原認識を該細胞に与える分子、2)共刺激シグナルを該細胞に与える分子、および、3)サイトカイン刺激を該細胞に与える分子、ただし、下記のうちの一方が存在する:a)抗原認識を該細胞に与える該分子と、共刺激シグナルを該細胞に与える該分子とが、同じ分子であり、または、b)抗原認識を該細胞に与える該分子と、共刺激シグナルを該細胞に与える該分子とが、異なる分子である。
【0013】
いくつかの実施形態において、下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む組成物が存在する:a)共刺激性のシグナル伝達を、第1の可溶性因子を認識したときに該細胞に与える分子、b)サイトカインのシグナル伝達を、第2の可溶性因子を認識したときに該細胞に与える分子、および、c)抗原認識を、可溶性抗原(たが、代替となる場合において、抗原は細胞の表面に存在する)を認識したときに該細胞に与える分子、この場合、抗原認識を該細胞に与える該分子は該細胞に対して生来的であり、または該細胞に対して人工的であり、ただし、抗原認識を該細胞に与える該分子が人工受容体であるとき、該人工受容体は共刺激性ドメインを欠いている。具体的な実施形態において、抗原認識を細胞に与える分子が、キメラ抗原受容体である人工受容体であるとき、このキメラ抗原受容体は共刺激性ドメインを欠いている。特定の実施形態において、分子a)および/または分子b)は、ただ1つのエンドドメインを含む。具体的な実施形態において、第1の可溶性因子および第2の可溶性因子は非同一である。特定の態様において、細胞は、a)、b)およびc)を別個に発現し、または、細胞はa)およびc)を別個の発現し、または、細胞はb)およびc)を別個に発現する。
【0014】
本明細書中において意図される方法および組成物によって処置されるガンはどのような種類のものであってもよく、しかし、例示的なガンには、前立腺、乳房、メラノーマ、膵臓、肺、脳、結腸、食道、肝臓、腎臓、精巣、卵巣、子宮頸部、胆嚢、甲状腺、肛門、子宮内膜、膀胱、下垂体、白血病、リンパ腫、胃および脾臓が含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
本開示の実施形態において、下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む組成物が存在する:1)抗原認識を該細胞に与える分子、2)共刺激を該細胞に与える分子、および、3)サイトカイン刺激を該細胞に与える分子、ただし、下記のうちの一方が存在する:a)抗原認識を該細胞に与える該分子と、共刺激を該細胞に与える該分子とが、同じ分子であり、または、b)抗原認識を該細胞に与える該分子と、共刺激を該細胞に与える該分子とが、異なる分子である。本開示の細胞組成物のための具体的な実施形態において、抗原認識を与える分子は受容体であり、または、サイトカイン刺激を与える分子は受容体であり、または、両方である。組成物のためのある特定の実施形態において、共刺激を細胞に与える分子はエンドドメインである。組成物のためのいくつかの実施形態において、膜貫通ドメインが、抗原認識を細胞に与える分子と、共刺激を細胞に与える分子との間において分子内に配置される。組成物のための特定の実施形態において、抗原は腫瘍抗原である。ある特定の実施形態において、抗原は、EphA2、HER2、GD2、グリピカン−3、5T4、8H9、αvβ6インテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7−H3、B7−H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、カッパ軽鎖、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、FAP、FAR、FBP、胎児性AchR、葉酸受容体α、GD2、GD3、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2、IL11Ra、IL13Ra2、KDR、ラムダ、ルイス−Y、MCSP、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY−ESO−1、PRAME、PSCA、PSC1、PSMA、ROR1、Sp17、サバイビン、TAG72、TEM1、TEM8、VEGRR2、ガン胎児性抗原、HMW−MAAおよびVEGF受容体(これらに限定されない)を含む群から選択される腫瘍抗原である。
【0016】
本開示の細胞組成物のためのある特定の実施形態において、抗原認識を与える分子と、共刺激を与える分子とは、キメラ抗原受容体であり、このキメラ抗原受容体は1つまたは複数の共刺激性エンドドメインを含む。組成物のための特定の実施形態において、抗原認識を与える分子は、組換え産生されたαβT細胞受容体(TCR)であり、または生来型のαβTCRである。組成物のためのある特定の実施形態において、サイトカイン刺激を与える分子はサイトカイン受容体であり、このサイトカイン受容体は、サイトカイン結合エキソドメインと、シグナル伝達エンドドメインとを含むキメラサイトカイン受容体である場合がある。具体的な実施形態において、キメラサイトカイン受容体は、刺激性シグナル(シグナル2(持続性)またはシグナル3(サイトカイン放出)または両方)を伝達することができる、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、CD28、OX−40、4−1BB、CD80、CD86、ICOS、CD40、CD27、CD30、CD226、IL7、IL2、IL15、IL21、IL12、IL18、IL9およびIFN−ガンマを含む受容体/分子に由来し得るエンドドメインを有する。特定の実施形態において、キメラサイトカイン受容体は、TGFβ、IL10、IL4、IL13、IL6、IL8、IL5、VEGF、IL22、IL1、IL1β、IL35、TNF、GM−CSF、M−CSF、G−CSFおよびケモカイン受容体を含む可溶性の阻害性因子に結合することができる受容体/分子に由来するエキソドメインを有する。具体的な実施形態において、キメラサイトカイン受容体はIL4エキソドメインとIL7エンドドメインとを有する。具体的な実施形態において、キメラサイトカイン受容体はTGFβRエキソドメインと4−1BBエンドドメインとを有する。
【0017】
本開示の細胞組成物のための特定の実施形態において、抗原認識および共刺激を細胞に与える分子と、サイトカイン刺激を細胞に与える分子とが、同じ発現ベクターから発現させられる。組成物のためのある特定の実施形態において、抗原認識および共刺激を細胞に与える分子と、サイトカイン刺激を細胞に与える分子とが、異なる発現ベクターから発現させられる。特定の実施形態において、抗原認識を与える分子と、共刺激を与える分子と、サイトカイン刺激を与える分子とがすべて、同じ発現ベクターから発現させられる。具体的な実施形態において、抗原認識を与える分子と、共刺激を与える分子と、サイトカイン刺激を与える分子とがすべて、異なる発現ベクターから発現させられる。ベクターには、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターが含まれる。ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはアデノ関連ウイルスベクターである場合がある。
【0018】
本開示の組成物はどれも、どのようなタイプの細胞であってもよく、これには、どのようなタイプの免疫細胞も含まれ、例えば、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞またはNKT細胞などが含まれる。具体的な実施形態において、細胞はさらに、組成物の同じ抗原である腫瘍抗原を標的とする天然に存在するT細胞受容体または操作されたT細胞受容体を含む。特定の実施形態において、細胞はさらに、組成物の抗原とは異なる腫瘍抗原を標的とする天然に存在するT細胞受容体または操作されたT細胞受容体を含む。
【0019】
1つの実施形態において、下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む組成物が存在する:a)共刺激性のシグナル伝達を、第1の可溶性因子を認識したときに該細胞に与える分子、b)サイトカインのシグナル伝達を、第2の可溶性因子を認識したときに該細胞に与える分子、および、c)抗原認識を、抗原を認識したときに該細胞に与える分子、この場合、該分子が該細胞に対して生来的であり、または該細胞に対して人工的であり、ただし、抗原認識を該細胞に与える該分子が、キメラ抗原受容体である人工受容体であるとき、該キメラ抗原受容体は共刺激性ドメインを欠いている。組成物のための具体的な実施形態において、分子a)は、ただ1つのエンドドメインを含む。組成物のための具体的な実施形態において、分子b)は、ただ1つのエンドドメインを含む。特定の実施形態において、第1の可溶性因子および第2の可溶性因子は非同一である。ある特定の実施形態において、細胞は、a)、b)およびc)を別個に発現する。細胞はa)およびc)を別個に発現する場合がある。細胞はb)およびc)を別個に発現する場合がある。具体的な実施形態において、サイトカインシグナル伝達を与える分子は、サイトカイン結合エキソドメインと、シグナル伝達エンドドメインとを含むキメラサイトカイン受容体である。
【0020】
1つの実施形態において、下記のうちの少なくとも2つを別個に発現する操作された免疫細胞を含む組成物が存在する:a)共刺激性のシグナル伝達を、第1の可溶性因子を認識したときに該細胞に与える分子、b)サイトカインのシグナル伝達を、第2の可溶性因子を認識したときに該細胞に与える分子、および、c)抗原認識を、抗原を認識したときに該細胞に与える分子、この場合、該分子が該細胞に対して生来的であり、または該細胞に対して人工的であり、ただし、抗原認識を該細胞に与える該分子が人工受容体であるとき、該人工受容体は共刺激性ドメインを欠いている。
【0021】
1つの実施形態において、医学的状態のための免疫療法を必要とする個体を処置する方法であって、本開示によって包含されるいずれかの組成物の治療効果的な量を該個体に送達する工程を含む方法が存在する。具体的な実施形態において、医学的状態はガンであり、ガンは、抗原および可溶性因子を含む腫瘍微小環境を有する場合があり、ただし、抗原および可溶性因子のレベルが、下記の分子1)、分子2)および分子3)のすべてを介して細胞を活性化するために十分である(この場合、1)抗原認識を細胞に与える分子、2)共刺激を細胞に与える分子、および、3)サイトカイン刺激を細胞に与える分子)。
【0022】
1つの実施形態において、本開示によって包含されるいずれかの組成物を含むキットであって、該組成物が、適切な容器に収容されるキットが存在する。
【0023】
前記では、下記の発明の詳細な説明がよりよく理解され得るために、本発明の特徴および技術的利点がかなり大まかに概説されている。本発明の請求項の主題を形成する本発明のさらなる特徴および利点が本明細書中下記において記載されるであろう。開示される概念および具体的な実施形態は、本発明の同じ目的を行うために他の構造を改変するための、または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されなければならない。そのような同等な組み立ては、添付された請求項において示されるような発明の精神および範囲から逸脱しないこともまた、当業者によって認識されなければならない。本発明に特徴的であると考えられる、その構成および操作方法の両方に関しての新規な特徴が、さらなる目的および利点と一緒に、添付された図面に関連して考慮されるときには下記の記載からよりよく理解されるであろう。しかしながら、図のそれぞれが例示および説明の目的のためにだけ提供されており、本発明の境界を規定するものとして意図されないことが明確に理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示のより完全な理解のためには、添付された図面と併せて解釈される下記の説明が次に参照される。
【0025】
図1】抗原の存在だけにより、T細胞活性化、共刺激およびサイトカインシグナル伝達の3つの異なるシグナル経路の活性化が生じる、T細胞の効力を改善するためにさらなるエンドドメインを組み込む先行技術由来の第3世代CARの一例を示す。
【0026】
図2】シグナルI(抗原刺激(a))、シグナルII(共刺激(b))およびシグナルIII(サイトカインシグナル(c))が3つの異なる受容体に分けられ、これにより、完全なT細胞活性化が、腫瘍微小環境に存在する特定の分子シグナチャーの存在下でのみ可能となる本発明の実施形態を例示する。
【0027】
図3】腫瘍微小環境に特異的に存在する存在する3つの例示的な入力シグナル(a)、(b)および(c)の選択のベン図を示す。
【0028】
図4】膵臓腫瘍微小環境に特異的に存在する3つの例示的な膵臓ガン特異的な入力シグナル、(a PSCA)、(b TGFβ)および(c IL4)の選択を例示する。
【0029】
図5図5Aは、標準的な第3世代CAR T細胞を示し、図5Bは、本開示の例示的なトリパータイトシグナル伝達細胞を示す。図5は、3G.CAR T細胞では、3つのシグナルがただ1つの入力に応答して誘発されるが、本開示の免疫細胞では、同じシグナル伝達カスケードを開始するために3つの独立したシグナルの組合せが必要とされることになることを明らかにする。
【0030】
図6】抗原発現の非排他的分布を例示する。正常な組織における腫瘍抗原発現は毒性の危険性を望ましくないT細胞拡大のために増大させる可能性があることを考えれば、腫瘍シグナチャーを特定することは、正常な組織と腫瘍組織とを区別することを助けることができる。
【0031】
図7】正常な組織部位(PSCAのみ)における3G.CAR T細胞の拡大を、腫瘍部位(PSCA、IL4、TGFβ)における拡大に対して示す。
【0032】
図8】正常な組織部位において認められる低下した拡大とは対照的に、腫瘍部位における本開示のある種の免疫細胞の優先的な拡大を示す。
【0033】
図9】共培養実験における本開示のある種の免疫細胞の数と腫瘍細胞の数との相関を示す。腫瘍成長が、腫瘍排除時に確実に収縮する細胞の数における増大によって抑制された。
【0034】
図10】3G.CAR T細胞と標的細胞との共培養により、正常な組織(パネルA)および腫瘍組織(パネルB)が6日の期間中に再現されることを示す。3G.CAR T細胞では、より大きい細胞溶解活性およびT細胞拡大が腫瘍微小環境(パネルB)に対して正常な組織(パネルA)において明らかにされた。
【0035】
図11】本開示のある種の免疫細胞と標的細胞との共培養により、正常な組織(パネルA)および腫瘍組織(パネルB)が6日の期間中に再現されることを示す。細胞は、より大きな細胞溶解活性およびT細胞拡大を、腫瘍微小環境を模倣する条件において明らかにし(パネルB)、その一方で、低下した細胞溶解機能およびT細胞拡大を正常な組織(抗原のみ)の存在下で示す。
【0036】
図12】特定の免疫細胞が抗原(PSCA)およびサイトカイン(IL4)の存在下で拡大することを示す。
【0037】
図13】抗原およびサイトカインとともに培養されたときの、2G CARおよび3G CARよりも大きい、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞の拡大を示す。
【0038】
図14】導入遺伝子の強化を、抗原およびIL4の存在下で培養されたときのバイパータイトシグナル伝達免疫細胞について示す。
【0039】
図15】抗原またはサイトカインのどちらかの単独による条件と比較したときの、抗原およびサイトカインの組合せに対する応答におけるバイパータイトシグナル伝達免疫細胞の拡大を示す。
【0040】
図16】例示的なキメラサイトカイン受容体4/7R(IL4受容体エキソドメインおよびIL7受容体エンドドメイン)は、1G CAR T細胞の増殖をIL4の存在下で促進させることを示す。
【0041】
図17】4/7Rは、1G CAR T細胞の遺伝子発現プロファイルを、IL4にさらされた後で変化させることを明らかにする。
【0042】
図18】4/7Rは、Th1分極サイトカイン発現プロファイルを、IL4にさらされた後での1G T細胞において保持することを明らかにする。
【0043】
図19】IL4との培養に起因する4/7R遺伝子組換えT細胞の選択的拡大を明らかにする。
【0044】
図20】1G+4/7R T細胞の安全性プロファイルを、それらの拡大および持続性が抗原およびサイトカインに依存しているように示す。
【0045】
図21】T−BBRは、TGFβにさらされるCAR T細胞の細胞溶解機能を維持することを明らかにする。
【0046】
図22】T−BBRにより改変されたCAR T細胞が拡大し、それにより、TGFβ阻害から保護されることを示す。
【0047】
図23】T−BBRは、1G CAR T細胞の遺伝子発現を、TGFβにさらされた後で変化させることを例示する。
【0048】
図24】T−BBRは、Bcl2発現を、TGFβにさらされた後でのT−BBR改変T細胞において保持することを示す。
【0049】
図25】4−1BBエンドドメインは、Th1分極応答を、TGFβにさらされた後での1G+T−BBR T細胞において維持することを示す。
【0050】
図26】3G CAR T細胞はPSCA+の標的を無差別に殺すことを明らかにする。
【0051】
図27】(T細胞活性化、持続性およびサイトカイン放出のためのシグナルを含む)トリパータイト免疫細胞は優先的な抗腫瘍活性を腫瘍シグナチャーの存在下で示すことを例示する(IL4およびTGFβの存在下におけるPSCA+の腫瘍細胞)。
【0052】
図28】ガス透過性底部(G−Rex)を有する特定の培養系を使用する、3G CAR T細胞に対しての例示的なトリパータイト免疫細胞の比較を示す。
【0053】
図29】トリパータイト細胞は、PSCA+、IL4+かつTGFβ+の標的に対する優先的な抗腫瘍活性を示すことを明らかにする。
【0054】
図30】PSCA、IL4およびTGFβが陽性である標的に対する、トリパータイト免疫細胞の優先的な抗腫瘍活性を示す。
【0055】
図31図31Aは、Logsdonおよび共同研究者が遺伝子発現プロファイリングを膵臓腺ガンおよび正常な膵臓に対して行い、これにより、膵臓腫瘍における上昇したIL4レベル(変化倍数 19.78、p=0.001)が明らかにされたことの例示を提供する(図N1A)。図31Bは、IL4発現強度に基づいてスコア化する免疫組織化学(IHC)研究により、そのような所見が確認されたことを明らかにする。図31Cは、ELISAによって定量測定されるような患者血清(n=7)における上昇したIL4サイトカインレベルを例示する。図31Dは、IL4産生腫瘍が移植されたマウスの血清から回収されるIL4サイトカイン濃度を示す。図31Eにおいて、4/7R改変細胞は、腫瘍において存在することが予測されるIL4レベルでのみ拡大することができた。
【0056】
図32】1G CARと、4/7Rとを発現するバイパータイトT細胞とともに抗原およびIL4が存在することにより、CD25のアップレギュレーションがもたらされることを明らかにする。
【0057】
図33】1G CARと、T−BBRとを発現するバイパータイト改変T細胞は、腫瘍細胞をTGFβの存在下で排除することができ、その一方で、対照的に、TGFβの投与により、細胞溶解機能が阻害され、1G CAR T細胞単独による標的細胞の排除が妨げられたことを示す。
【0058】
図34】T−BBRの遺伝子組換え発現により、CAR T細胞が、TGFβ投与後におけるPD−1発現のダウンレギュレーションによって測定されるT細胞消耗から保護されたことを明らかにする。
【0059】
図35】1G CARをT−BBRとともに発現する二重遺伝子組換えT細胞はTGFβの存在下で生存するが、拡大しないことを示す。
【0060】
図36】シグナル1およびシグナル2を含有する2G CARとともにT−BBRを発現するバイパータイトT細胞はT細胞拡大をTGFβの存在下で生じさせたことを示す。
【0061】
図37】トリパータイトT細胞は、シグナル1、シグナル2およびシグナル3を同時に開始させることができる腫瘍分子シグナチャーの存在下でT細胞拡大を示し、これに対して、シグナル1、シグナル2またはシグナル3が独立して誘発されるときには、不十分なT細胞応答が生じることを明らかにする。
【発明の詳細な説明】
【0062】
長年にわたる特許法慣行と調和して、“a”および“an”の単語は、請求項を含めて、comprising(含む)の単語と一緒に本明細書において使用されるとき、“one or more”(1つまたは複数)を意味する。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つまたは複数の要素、方法工程および/または方法からなる場合があり、あるいは、本開示の1つまたは複数の要素、方法工程および/または方法から本質的になる場合がある。本明細書中に記載される方法または組成物はどれも、本明細書中に記載されるどのような他の方法または組成物に関してあっても実行され得ることが意図される。
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語「約」または用語「およそ」は、参照する量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して30%程度、25%程度、20%程度、25%程度、10%程度、9%程度、8%程度、7%程度、6%程度、5%程度、4%程度、3%程度、2%程度または1%程度変化する量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量または長さを示す。特定の実施形態において、用語「約」または用語「およそ」は、数値に先行する場合、その値が、15%、10%、5%または1%の範囲での上下幅であることを示す。
【0064】
本明細書を通して、文脈が他のことを要求する場合を除き、単語“comprise”(含む)、単語“comprises”(含む)および単語“comprising”(含む)は、言及された工程または要素または工程群または要素群を含むことを意味すること、しかし、どのような他の工程または要素または工程群または要素群であってもそれらを除外することを意味しないことが理解されるであろう。“consisting of”(からなる)によって、この句“consisting of”の後に続くどのようなものも含み、かつ、そのようなものに限定されることが意味される。したがって、句“consisting of”(からなる)は、列挙された要素が要求される、または必須であること、そして、他の要素は何ら存在しなくてもよいことを示す。“consisting essentially of”(から本質的になる)によって、この句の後に列挙されるどのような要素も含み、かつ、列挙された要素について本開示において規定される活性または作用を妨げない、あるいは、そのような活性または作用に寄与しない他の要素に限定されることが意味される。したがって、句“consisting essentially of”(から本質的になる)は、列挙された要素が要求される、または必須であること、しかし、それ以外の要素は随意的であり、列挙された要素の活性または作用に影響を及ぼすか否かに依存して存在してもよい、または存在しなくてもよいことを示す。
【0065】
“one embodiment”(1つの実施形態)、“an embodiment”(1つの実施形態)、“a particular embodiment”(特定の実施形態)、“a related embodiment”(関連する実施形態)、“a certain embodiment”(ある特定の実施形態)、“an additional embodiment”(さらなる実施形態)、“a further embodiment”(さらなる実施形態)、“a certain aspect”(ある特定の態様)、“a particular aspect”(特定の態様)、“a specific aspect”(具体的な態様)またはそれらの組合せに対する本明細書を通しての参照は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、前記の句が本明細書を通して様々なところに現れる場合はすべてが必ずしも、同じ実施形態を示していない。さらには、特定の特徴、構造または特性が、1つまたは複数の実施形態において、どのような様式であれ適切な様式で組み合わされる場合がある。
【0066】
I.開示の細胞
本開示において包含されるのは、すべてのシグナルをただ1つの受容体に一緒に組み込むよりは、異なる受容体に分けられる、抗原刺激、共刺激およびサイトカインの多数のシグナルを含む細胞、および、当該細胞に関連づけられる方法である。ある特定の実施形態において、このような細胞はSmarT細胞として示される。いくつかの実施形態において、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞は、抗原刺激およびサイトカインシグナル伝達を受け取るための2つの別個の分子を含み、特定の態様において、共刺激が抗原刺激入力によって生じ、また、抗原刺激入力を介して間接的に生じる。他の実施形態において、抗原刺激、共刺激およびサイトカインシグナル伝達を互いに独立して受け取るための3つの別個の分子を利用するトリパータイトシグナル伝達免疫細胞が存在する。
【0067】
具体的な実施形態において、免疫細胞は、操作された細胞である。免疫細胞は生来的には、抗原を標的化すること、サイトカインシグナルを受け取ることなどのために様々な受容体を有し得るにもかかわらず、本開示の免疫細胞は非天然型であり、所望されるバイパータイトシグナル伝達分子またはトリパータイトシグナル伝達分子を発現するように人の手によって直接的または間接的に操作される。操作された免疫細胞は、シグナル伝達分子の1つ、2つまたは3つを発現するように組換え工学によって処理される場合がある。1つまたは複数のシグナル伝達分子を発現するように細胞を操作することが、ただ1つの工程で、または複数の工程で行われる場合があり、この処理が、ただ1つの時点で、または連続する時点の中で行われる場合がある。
【0068】
具体的な態様において、細胞は養子移入のためのものである。細胞は医薬組成物に含まれる場合がある。細胞は、本明細書中に記載されるような1つまたは複数のベクターにより形質転換される場合があり、またはトランスフェクションされる場合がある。組換え細胞が、本明細書中に記載されるベクターの少なくとも1つを導入することによって作製される場合がある。ベクターが細胞中に存在することにより、適切な受容体の発現が媒介され、また、いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の構築物が細胞のゲノムに組み込まれる。すなわち、宿主に導入される核酸分子またはベクターは宿主のゲノムに一体化する場合があり、あるいは、宿主に導入される核酸分子またはベクターは染色体外に維持される場合がある。
【0069】
本明細書中で使用される場合、用語「細胞」、用語「細胞株」および用語「細胞培養物」は、特定の実施形態においては交換可能に使用される場合がある。ある特定の実施形態において、これらの用語はまた、ありとあらゆる後続の世代を含めて細胞の子孫を含む。すべての子孫は、意図的な変異または故意でない変異のために同一でない場合があることが理解される。異種核酸配列を発現させることに関連して、「宿主細胞」は原核生物細胞または真核生物細胞を示し、宿主細胞には、ベクターを複製すること、および/または、ベクターによってコードされる異種遺伝子を発現させることが可能であるどのような形質転換可能な生物も含まれる。宿主細胞はベクターのためのレシピエントとして使用することができ、また、これまで使用されてきている。宿主細胞は「トランスフェクション」または「形質転換」される場合があり、これは、外因性の核酸が宿主細胞に移入されるプロセスまたは導入されるプロセスを示す。形質転換された細胞には、初代の対象細胞およびその子孫が含まれる。ある特定の態様において、本明細書中で使用される場合、用語「操作された」および用語「組換え(の)」細胞または宿主細胞は、外因性の核酸配列(例えば、ベクターなど)が導入されている細胞を示すことが意図される。したがって、組換え細胞は、組換え導入された核酸を含有しない天然に存在する細胞と区別可能である。
【0070】
ある特定の実施形態において、RNAまたはタンパク質性配列が、同じ宿主細胞において他の選択されたRNAまたはタンパク質性配列とともに共発現されてもよいことが意図される。共発現が、宿主細胞を2つ以上の異なった組換えベクターにより共トランスフェクションすることによって達成される場合がある。代替において、1つだけの組換えベクターが、RNAのための多数の異なったコード領域を含むように構築されてもよく、この場合、これらのコード領域がその後、この1つだけのベクターによりトランスフェクションされている宿主細胞において発現させられ得るかもしれない。いくつかの場合において、細胞は、1つまたは複数の発現構築物を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むことがある。
【0071】
細胞は、原核生物細胞および真核生物細胞の両方でのベクターの複製および/または発現を可能にする制御配列を用いるベクターを含む場合がある。当業者はさらに、宿主細胞を維持するために、また、ベクターの複製を可能にするために宿主細胞をインキュベーションするための条件を理解するであろう。本明細書中において意図される細胞の大規模産生を可能にするであろう技術および条件もまた、当業者には知られている。
【0072】
いくつかの実施形態において、操作された細胞の受容体の1つまたは複数の発現が調節される。発現の調節は、構成的発現、誘導性発現、環境特異的発現または組織特異的発現を含む場合があり、そのようなプロモーターの様々な例がこの技術分野では知られている。細胞における様々な組換え受容体の発現は、同じタイプまたは異なるタイプのプロモーターを有する場合がある。構成的な哺乳動物プロモーターには、例えば、シミアンウイルス40、前初期サイトメガロウイルスウイルス、ヒトユビキチンC、伸長因子1αサブユニットおよびマウスホスホグリセリン酸キナーゼ−1が含まれる。
【0073】
特定の実施形態において、本明細書中において意図される細胞には、例えば、哺乳動物細胞を含めて、真核生物細胞が含まれる。ある特定の実施形態において、細胞はヒトの細胞であり、しかし、特定の実施形態において、細胞として、ウマ、ウシ、マウス、ヒツジ、イヌ、ネコなどの細胞が、それらのそれぞれの動物における使用のために挙げられる。これらの種の中で、様々なタイプの細胞が関与し得る(例えば、T細胞、NK細胞、NKT細胞など)。
【0074】
細胞は、当該細胞を受ける個体に関して自己の細胞、同系の細胞、同種の細胞、および、それどころか、場合によっては異種の細胞であることが可能である。細胞は、主要組織適合遺伝子複合体(「MHC」)プロフィルを変化させることによって、あるいは、機能的なクラスI MHC分子の形成、クラスII分子の不活性化を妨げるためにβ−ミクログロブリンを不活性化すること、1つまたは複数のMHC分子の発現を提供すること、あるいは、細胞毒性活性に関連する遺伝子の発現を増強または阻害することにより細胞毒性能を強化または不活性化することなどによって改変される場合がある。
【0075】
場合により、細胞が特定の特異性を有する特異的なクローンまたはオリゴクローナル細胞が注目されることがある(例えば、特異的な抗原特異性またはホーミング標的部位特異性を有するT細胞およびB細胞など)。
【0076】
例示的なT細胞が、多数の受容体を別個に発現させること以外の方法で改変される場合がある。例えば、T細胞受容体の一方の鎖または両方の鎖をコードする遺伝子を導入したい場合がある。例えば、治療的価値を有する複数の遺伝子と、必要な場合には別の治療用遺伝子との発現を提供することに加えて、いくつかの実施形態では、細胞が、当該細胞を特定の部位に向けるために改変される。この部位には、様々な解剖学的部位を挙げることができ、特定の実施形態において、固形腫瘍が含まれる。細胞の限局化された濃度における増大を、細胞が標的部位(例えば、標的細胞上の天然に存在するエピトープなど)に結合することを可能にするであろう宿主細胞上の表面膜タンパク質を発現させることによって、ECMを通り抜けるその高まった遊走能の後で達成することができる。細胞を特定の部位に向かわせたいと考えられる状況、治療用産物の放出が大きい価値を有し得ると考えられる状況、または、細胞のアポトーシスを直接的もしくは間接的にもたらす細胞内の経路が誘発される状況が多数存在する。
【0077】
1つの実施形態において、宿主細胞は、例えば、多数の受容体の個別発現を含み、しかし、操作されたαβTCR、腫瘍抗原に対して特異的な生来型受容体、および/または、CARをも含むT細胞であり、だが、特定の場合には、バイパータイト免疫細胞またはトリパータイト免疫細胞のためのシグナル伝達受容体の1つが、操作されたαβTCR、またはCARを含む。
【0078】
天然に存在するT細胞受容体は、2つのサブユニット、すなわち、α−サブユニットおよびβ−サブユニット(これらのサブユニットのそれぞれが、それぞれのT細胞ゲノムにおける組換え事象によって産生される独特のタンパク質である)を含む。TCRのライブラリーが、特定の標的抗原に対するそれらの選択性についてスクリーニングされる場合がある。「操作されたTCR」は、標的抗原に対する高アビディティーおよび反応性を有する天然型TCRのうち、養子免疫療法のために選択され、養子免疫療法のためにクローン化され、および/または、続いて、養子免疫療法のために使用されるT細胞の集団に導入される天然型TCRを示す場合がある。操作されたTCRとは対照的に、CARは、標的抗原とMHC非依存的様式で結合するように操作される。特定の実施形態において、CARは、抗体またはその抗原結合フラグメント(これらに限定されない)を含めて細胞外の結合ドメイン、膜貫通ドメイン、1つまたは複数の細胞内の共刺激性のシグナル伝達ドメイン、および、元来のシグナル伝達ドメインを含む。
【0079】
様々な実施形態において、免疫細胞は多数の受容体の個別発現を含む。特定の実施形態において、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞またはトリパータイトシグナル伝達免疫細胞は、バイパータイトシグナルまたはトリパータイトシグナルの別々の受容体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む。そのような細胞はまた、CARまたは操作されたTCRを発現する場合があり、それぞれのCARまたは操作されたTCRが1つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされる場合がある。具体的な実施形態において、免疫細胞のためのサイトカインシグナル伝達は、IL−15、IL−2および/またはIL−7に関する。他の具体的な実施形態において、共刺激性ドメインは、CD27、CD80、CD83、CD86、CD134またはCD137である。他の具体的な実施形態において、エキソドメインは、PD−1、PD−L1、CTLA4またはB7−H4である。
【0080】
バイパータイトシグナル受容体またはトリパータイトシグナル受容体の1つを発現させるための外因性分子を有する本開示の細胞はCARをシグナル受容体の1つとして含む場合があり、または、シグナル受容体のいずれとも別個のものとして含む場合がある。CARは一般には、腫瘍関連抗原(TAA)結合ドメイン(最も一般的にはモノクローナル抗体の抗原結合領域に由来するscFv)と、細胞外スペーサー/ヒンジ領域と、膜貫通ドメインと、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。CARは、例えば、第1世代、第2世代または第3世代(シグナル伝達が、CD28および腫瘍壊死因子受容体(TNFr)(例えば、4−1BBまたはOX40など)の1つまたは複数によって提供される共刺激と一緒にCD3ζによって提供されるCAR)である場合がある。ある特定の実施形態において、CARは共刺激性ドメインを欠いている。
【0081】
いくつかの実施形態において、CARは、抗原に対して、例えば、腫瘍微小環境において存在する抗原に対して特異的である。CARは、EphA2、HER2、GD2、グリピカン−3、5T4、8H9、αβインテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA)B7−H3、B7−H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、カッパ軽鎖、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、FAP、FAR、FBP、胎児性AchR、葉酸受容体α、GD2、GD3、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2、IL11Ra、IL13Ra2、KDR、ラムダ、ルイス−Y、MCSP、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY−ESO−1、PRAME、PSCA、PSC1、PSMA、ROR1、Sp17、サバイビン、TAG72、TEM1、TEM8、VEGRR2、ガン胎児性抗原、HMW−MAA、VEGF受容体、および/または、腫瘍の細胞外マトリックスの内部に存在する他の例示的な抗原(例えば、フィブロネクチンのガン胎児性変化体、テネイシン、または、腫瘍の壊死性領域など)に対して特異的である場合がある。CAR(例示としてのみである)と、バイパータイトシグナル受容体またはトリパータイトシグナル受容体の1つまたは複数とが、同じベクターまたは異なるベクターに存在する場合がある。1つの実施形態において、細胞は、CARと、1つまたは複数のサイトカイン(例えば、IL−2、IL−7またはIL−15など)とをコードする1つまたは複数のベクターを含む。キメラ抗原構造および命名法はこの技術分野において知られており、例えば、下記を参照のこと:米国特許第7,741,465号、同第5,906,936号、同第5,843,728号、同第6,319,494号、同第7,446,190号、同第5,686,281号、同第8,399,645号、および、米国特許出願公開第2012/0148552号(これらのそれぞれの開示がそれらの全体において参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0082】
本開示の特定の実施形態において、免疫細胞は、当然のこととして同じ分子のものではないエキソドメインおよびエンドドメインを含む1つまたは複数のキメラサイトカイン受容体を含む。具体的な実施形態において、エキソドメインは受容体のエキソドメインに由来する。キメラサイトカイン受容体のエキソドメインは、特定の実施形態においてサイトカインと結合する。エキソドメインは、例えば、TGFβ、IL10、IL4、IL13、IL6、IL8、IL5、VEGF、IL22、IL1、IL1β、IL35、TNF、GM−CSF、M−CSF、G−CMSに結合することができる受容体または分子に由来する場合がある。エキソドメインはケモカイン受容体に由来する場合がある。具体的な実施形態において、エキソドメインはTGFβRIIに由来し、だが、代わりに、エキソドメインはTGFβRIまたはTGFβRIIIに由来する場合がある。キメラサイトカイン受容体のエンドドメインについて、エンドドメインはシグナル伝達エンドドメインである場合がある。シグナル伝達ドメインの例には、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、CD28、OX−40、4−1BB、CD80、CD86、ICOS、CD40、CD27、CD30、CD226、IL7、IL2、IL15、IL21、IL12、IL18、IL9およびIFN−ガンマに由来するエンドドメインが含まれる。
【0083】
多くの場合において、本開示の免疫細胞は、シグナルの1つまたは複数が腫瘍微小環境から減少し、または除かれると(例えば、ガン細胞を殺したとき)、増殖を止めることになるにもかかわらず、いくつかの実施形態においては、操作された免疫細胞を殺すことが望ましい場合がある(例えば、目的が、処置を停止させることであるとき、細胞は研究環境および/または別の事象では新生物性になる)。特定の実施形態において、操作された細胞は、必要に応じて転写レベルで、翻訳レベルで、または翻訳後に調節される自殺遺伝子を含む。様々な自殺遺伝子がこの技術分野では知られている:例えば、カスパーゼ9の改変型形態が小分子(例えば、AP1903)とともに二量体化することができるiCaspase9システム。例えば、Straathof他、Blood、105:4247〜4254(2005)を参照のこと。
【0084】
II.細胞の治療的使用
1つの実施形態において、操作された免疫細胞は、ガン性疾患(例えば、腫瘍性疾患など)の防止、処置または改善のために使用される。特定の実施形態において、本明細書中において意図される医薬組成物は、ガンを防止すること、改善することおよび/または処置すること(あるいはその1つまたは複数の症状を改善すること)において特に有用である場合があり、この場合、多数の別個に発現させられた受容体を有することにより、医薬組成物の細胞が、当該細胞が当該受容体の発現を欠いていた場合よりも効果的になる。具体的な実施形態において、医薬組成物の細胞は腫瘍微小環境における選択的な発現を有するので、医薬組成物により処置されるガン細胞が次々と、効果的に処置される。特定の実施形態において、ガンは固形腫瘍の形態である。
【0085】
本明細書中で使用される場合、「処置」または「処置する」には、どのような影響であれ、疾患または病理学的状態の症状または病理に対する有益な影響または望ましい影響が含まれ、また、処置されている疾患または状態(例えば、ガン)の1つまたは複数の測定可能なマーカーにおける最小限の低下さえも含まれる場合がある。処置は場合により、疾患または状態の症状の軽減または改善、あるいは、疾患または状態の進行を遅らせることのどちらかを伴うことが可能である。「処置」は、疾患または状態あるいはその関連した症状の完全な根絶または治癒を必ずしも示していない。
【0086】
本明細書中で使用される場合、“prevent”(防止する)および類似する言葉、例えば、“prevented”(防止される)、“preventing”(防止する)などは、疾患または状態(例えば、ガン)を防止するための、阻害するための、あるいは疾患または状態(例えば、ガン)の出現または再発の可能性を低下させるための取り組みを示している。疾患または状態の発症または再発を遅らせること、あるいは、疾患または状態の症状の出現または再発を遅らせることもまた示す。本明細書中で使用される場合、“prevention”(防止)および類似する言葉はまた、疾患または状態の発症または再発の前における当該疾患または状態の強さ、影響、症状および/または負荷を軽減することを包含する。
【0087】
固形腫瘍について危険性がある個体が本開示の組成物または方法を受ける場合がある。この個体は、1つまたは複数の知られている危険因子(例えば、家族歴または個人歴など)を有すること、喫煙者であること、1つまたは複数の遺伝子マーカーを有することなどのために危険性がある場合がある。
【0088】
免疫細胞の組成物を投与するための可能な適応症が、例えば、腫瘍性疾患を含めて、様々なガン性疾患であり、これらには、乳房、脳、骨、前立腺、肺、結腸、頭頸部、皮膚、卵巣、子宮内膜、子宮頸部、腎臓、肺、胃、小腸、肝臓、膵臓、精巣、下垂体、血液、脾臓、胆嚢、胆管、食道、唾液腺および甲状腺のガンが含まれる。特定の実施形態において、本開示の組成物の投与は、例えば、最小限の残存疾患、早期ガン、進行ガン、ならびに/あるいは、転移性ガンおよび/または難治性ガンの場合を含めて、ガンのすべての段階およびタイプのために有用である。
【0089】
本開示はさらに、ガンに対して効果的である他の化合物との共投与プロトコルを包含する。本発明の細胞を共投与するための臨床療法は、そのような他の成分を投与するのと同時での共投与、そのような他の成分を投与する前での共投与、または、そのような他の成分を投与した後での共投与を包含する場合がある。特定の併用療法には、化学療法、放射線、手術、ホルモン療法または他のタイプの免疫療法が含まれる。
【0090】
例示として、ガン患者、あるいは、ガンに罹りやすい患者、または、ガンを有することが疑われる患者が、下記のように処置される場合がある。操作された細胞が患者に投与され、長期間にわたって保持される場合がある。個体は細胞の1回または複数回の投与を受ける場合がある。例示的な細胞には、エクスビボ拡大されたT細胞が含まれる。様々な実施形態において、細胞は、バイパータイトシグナル伝達受容体またはトリパータイトシグナル伝達受容体を発現するように少なくとも改変され、その必要性のある個体に、効果的な量で与えられる。いくつかの実施形態において、細胞は腫瘍内に直接に注射される場合がある。
【0091】
いくつかの実施形態において、遺伝子改変された細胞が、免疫認識を妨げるためにカプセル封入され、腫瘍の部位に置かれる。例えば、細胞は、リポソーム、アルギン酸塩または富血小板血漿においてカプセル化される場合がある。
【0092】
別の実施形態において、抗原特異的T細胞が、エキソサイトーシスを受けるホルモンまたは因子を輸出するように改変される場合がある。強化されたエキソサイトーシスを提供することによって、そのようなホルモンまたは因子のより多くの量が輸出されることになる;加えて、そのようなホルモンまたは因子の量に基づくフィードバック機構が細胞質に存在するならば、そのようなホルモンまたは因子の増大した産生が生じることになる。1つの態様において、そのようなホルモンまたは因子の誘導された発現が提供される場合があり、その結果、発現および輸出が付随的に誘導される場合がある。
【0093】
III.構築物の細胞内への導入
様々な発現構築物を、構築物を含有する宿主細胞の選択を可能にするであろうマーカーを必要に応じて含む1つまたは複数のポリヌクレオチドまたは構築物として導入することができ、具体的な実施形態において、それぞれの受容体が、異なる発現構築物から発現させられる。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、同じ構築物からの別個のシグナル伝達ポリペプチドをコードし、いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、別個のシグナル伝達ポリペプチドを異なる構築物においてコードする。
【0094】
そのような構築物は従来の方法で調製することができ、この場合、遺伝子および調節領域が適するように単離され、連結され、適切なクローニング用宿主においてクローン化され、制限または配列決定あるいは他の好都合な手段によって分析されることがある。具体的には、PCRを使用して、機能的ユニットのすべてまたは一部分を含む個々のフラグメントが単離される場合があり、この場合、1つまたは複数の変異が、「プライマー修復」、連結、インビトロ変異誘発などを適するように使用して導入されることがある。構築物は、完了し、かつ、適切な配列を有することが明らかにされると、その後、どのような好都合な手段によってでも宿主細胞に導入される場合がある。構築物は、細胞への感染または形質導入のために、レトロウイルスベクターを含めて、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)または単純ヘルペスウイルス(HSV)などのような複製しない不完全なウイルスゲノムに組み込まれ、パッケージングされる場合がある。構築物は、所望されるならば、トランスフェクションのためのウイルス配列を含む場合がある。代替において、構築物は、融合、エレクトロポレーション、バイオリスティック法、トランスフェクションまたはリポフェクションなどによって導入される場合がある。宿主細胞は、構築物が導入される前に培養において成長させられ、拡大され、その後、構築物の導入および構築物の組み込みのための適切な処理に供される場合がある。その後、細胞は拡大され、構築物に存在するマーカーに基づいてスクリーニングされる。首尾よく使用されることがある様々なマーカーには、hprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ヒグロマイシン耐性などが含まれる。
【0095】
具体的な実施形態において、受容体が、一過性発現のためのRNAとして細胞に導入される。RNAは、例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションおよび脂質媒介性トランスフェクションを含む種々の手段によって本開示の免疫細胞に送達することができる。特定の態様において、細胞のゲノムへの構築物の導入がトランスポゾンによって生じる場合がある。使用されるための合成トランスポゾンの一例が、その活性なフラグメントの適切な遺伝子を含む発現カセットを含むスリーピング・ビューティートランスポゾンである。
【0096】
いくつかの場合において、標的部位を、構築物が特定の遺伝子座で組み込まれることが所望される相同的組換えのために有する場合がある。例えば、内因性遺伝子を、相同的組換えのためにこの技術分野で知られているような材料および方法を使用して、構築物によってコードされる遺伝子により置き換えることができる。特定の実施形態において、.OMEGA.またはO−ベクターのどちらかが、相同的組換えを達成するために使用される場合がある。例えば、ThomasおよびCapecchi(1987)、Mansour他(1988)、そして、Joyner他(1989)を参照のこと。
【0097】
様々な構築物が、少なくとも1つの受容体と、必要な場合には別の遺伝子、または、1つもしくは複数の遺伝子を有する異なるDNA分子とをコードするただ1つのDNA分子として導入される場合がある。様々な構築物が、同時に、または連続して導入される場合があり、それぞれが、同じマーカーまたは異なるマーカーを有する。例示的な例において、1つの構築物がシグナル伝達分子をコードし、特定の発現制御配列を制御するであろう。
【0098】
有用なエレメント(例えば、細菌または酵母の複製起点、選択マーカーおよび/または増幅可能マーカー、原核生物または真核生物における発現のためのプロモーター/エンハンサーエレメントなど)を含有するベクターで、構築物DNAのストックを調製するために、また、トランスフェクションを行うために使用されることがある様々なベクターがこの技術分野では広く知られており、多くが市販されている。
【0099】
IV.細胞の投与
(DNA構築物などにより)受容体を発現するように改変された細胞はその後、選択条件下の培養で成長させられ、その後、構築物を有するとして選択される細胞が拡大され、そして、例えば、宿主細胞における構築物の存在を明らかにするためにポリメラーゼ連鎖反応を使用してさらに分析される場合がある。改変された宿主細胞が特定されると、改変された宿主細胞はその後、計画されるように使用される場合があり、例えば、培養で拡大される場合があり、または、宿主生物に導入される場合がある。
【0100】
細胞の性質に依存して、細胞は広範囲の様々な方法で宿主生物(例えば、哺乳動物)に導入される場合がある。細胞は具体的な実施形態において、腫瘍の部位において導入され、だが、代替となる実施形態において、細胞は、例えば、全身投与時などにはガンに向かい、または、全身投与時などにはガンに向かうように改変される。用いられる細胞の数は、いくつかの状況、導入目的、細胞の寿命、使用されることになるプロトコル(例えば、投与回数)、細胞増殖能力および組換え構築物の安定性などに依存するであろう。細胞は分散物として適用される場合があり、だが、一般には目的とする部位またはその近くに注入される。細胞は、生理学的に許容される媒体において存在する場合がある。
【0101】
DNA導入は宿主細胞ゲノム内への組込みをどの場合でも生じさせる必要がない。状況により、DNAの一過性のエピソーム維持が十分である場合がある。このようにして、短期間の効果を、細胞が宿主に導入され、その後、所定の時間の後で、例えば、細胞が特定の部位に向かうことができた後で攻撃し得る場合には得ることができるかもしれない。
【0102】
細胞は、その必要性のある個体に投与される場合がある。細胞の投与は、所望される応答、投与様式、細胞の寿命、存在する細胞の数に依存する場合があり、様々なプロトコルが用いられる場合がある。投与回数は、少なくとも部分的には本明細書中に記載される要因に依存するであろう。特定の実施形態において、投与経路は、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下である場合がある。多数回の投与が同じ経路による場合があり、または異なる経路による場合がある。適切な用量レベルを決定することがこの技術分野では日常的に行われる。
【0103】
特定の実施形態において、複数の免疫細胞が、ガンを有する個体に送達される。具体的な実施形態において、単回投与が行われる。他の実施形態において、細胞の複数回の投与が行われる。例えば、操作された免疫細胞の第1の投与、第2の投与、第3の投与またはそれ以上の投与の後において、個体の検査が、例えば、ガンの存在の有無について、あるいは腫瘍の数および/またはサイズにおける低減について行われる場合がある。ガンがさらなる処置の必要性を示す場合、例えば、最初またはその続の投与の後での腫瘍成長のときなどにおいて、同じ操作された免疫細胞(または必要な場合には別のタイプのガン治療法(別のタイプの免疫療法を含む)、ならびに/あるいは、化学療法、手術および/または放射線)のさらなる1回または複数回の送達がその個体に与えられる。細胞の2回以上の投与が個体に与えられるとき、次回の投与までの期間は、どのような好適な期間であってもよく、これには、数日(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31またはそれ以上など)、数週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52またはそれ以上など)、数ヶ月(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上など)または数年(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上など)の程度での期間が含まれる。いくつかの場合において、個体における腫瘍サイズの縮小により、特定の免疫療法が効果的であることが示され、したがって、同じ細胞のさらなる投与がこの個体に与えられる。
【0104】
系は様々な変数に左右されやすいこと、例えば、リガンドに対する細胞応答、発現効率、また、適する場合には、分泌レベル、発現産物の活性、患者の特定の必要性(これは時間および状況とともに変化する場合がある)、および、細胞の喪失または個々の細胞の発現活性の喪失の結果としての細胞活性の喪失速度などに左右されやすいことを理解しなければならない。したがって、それぞれの個々の患者については、全体として集団に投与することが可能であると思われる万能的な細胞がたとえ存在したとしても、それぞれの患者が当該個体のための適切な投薬量についてモニターされるであろうことが予想され、患者をモニターするそのような慣行はこの技術分野では日常的である。
【0105】
V.バイパータイト免疫細胞またはトリパータイト免疫細胞のためのシグナル伝達分子をコードするポリヌクレオチド
本開示はまた、本明細書中で定義されるようなバイパータイトシグナル伝達免疫細胞またはトリパータイトシグナル伝達免疫細胞のためのシグナル伝達分子をコードする核酸配列と、該核酸配列を含んでいる細胞とを含む組成物を包含する。核酸分子は、特定の実施形態においては組換え核酸分子である。特定の実施形態において、核酸分子は合成である。核酸分子は、DNA、RNA、同様にまた、PNA(ペプチド核酸)を含む場合があり、また、核酸分子はそれらのハイブリッドである場合がある。
【0106】
1つまたは複数の調節配列が、本開示の組成物に含まれる核酸分子に加えられる場合があることが当業者には明らかである。例えば、プロモーター、転写エンハンサー、および/または、本開示のポリヌクレオチドの誘導された発現を可能にする配列が用いられる場合がある。好適な誘導可能な系が、例えば、テトラサイクリンによって調節される遺伝子発現、例えば、GossenおよびBujard(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89(1992)、5547〜5551)、ならびに、Gossen他(Trends Biotech.、12(1994)、58〜62)によって記載されるような遺伝子発現、または、デキサメタゾンにより誘導可能な遺伝子発現系、例えば、Crook(1989)、EMBO J.、8、513〜519によって記載されるような遺伝子発現系である。
【0107】
さらには、核酸分子が、例えば、チオエステル結合および/またはヌクレオチドアナログを含有する場合があることが、さらなる目的のために想定される。これらの修飾は、細胞内におけるエンドヌクレアーゼおよび/またはエキソヌクレアーゼに対する核酸分子の安定化のために有用である場合がある。核酸分子が、細胞における該核酸分子の転写を可能にするキメラ遺伝子を含む適切なベクターによって転写される場合がある。この点で、そのようなポリヌクレオチドは「遺伝子標的化」または「遺伝子治療」の取り組みのために使用され得ることもまた理解されなければならない。別の実施形態において、核酸分子は標識される。核酸の検出のための様々な方法がこの技術分野では広く知られている(例えば、サザンブロッティングおよびノーザンブロッティング、PCRまたはプライマー伸長)。この実施形態は、上記で記載される核酸分子の成功した導入を遺伝子治療取り組みの期間中に確認するためのスクリーニング方法のために有用である場合がある。
【0108】
核酸分子は、上記核酸分子のいずれかを単独または組合せのどちらかで含む組換え産生されたキメラ核酸分子である場合がある。具体的な態様において、核酸分子はベクターの一部である。
【0109】
したがって、本開示はまた、本開示において記載される核酸分子を含むベクターを含む組成物に関連する。
【0110】
多くの好適なベクターが分子生物学における当業者には知られており(ただし、その選定は、所望される機能に依存するであろう)、これらには、遺伝子操作において従来から使用されるプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージおよび他のベクターが含まれる。当業者には広く知られている様々な方法を、様々なプラスミドおよびベクターを構築するために使用することができる;例えば、Sambrook他(1989)に記載される技術、および、Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology(Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(1989)、(1994))に記載される技術を参照のこと。代替において、本開示のポリヌクレオチドおよびベクターは、標的細胞への送達のためにリポソームに再構成することができる。クローニングベクターが、DNAの個々の配列を単離するために使用される場合がある。関連のある配列を、特定のポリペプチドの発現が要求される発現ベクターに移入することができる。典型的なクローニングベクターには、pBluescript SK、pGEM、pUC9、pBR322およびpGBT9が含まれる。典型的な発現ベクターには、pTRE、pCAL−n−EK、pESP−1、pOP13CATが含まれる。
【0111】
具体的な実施形態において、本明細書中で定義されるキメラサイトカイン受容体構築物をコードする核酸配列に機能的に連結される調節配列である核酸配列を含むベクターが存在する。様々なそのような調節配列(制御エレメント)が当業者には知られており、これらには、プロモーター、スプライスカセット、翻訳開始コドン、翻訳、および、挿入物をベクターに導入するための挿入部位が含まれる場合がある。具体的な実施形態において、核酸分子は、発現を真核生物細胞または原核生物細胞において可能にする該発現制御配列に機能的に連結される。
【0112】
ベクターが、本明細書中において意図されるポリペプチドをコードする核酸分子を含む発現ベクターであることが想定される。具体的な態様において、ベクターはウイルスベクターであり、例えば、レンチウイルスベクターなどである。様々なレンチウイルスベクターが、例えば、Clontech(Mountain View、CA)またはGeneCopoeia(Rockville、MD)を含めて様々なところから市販されている。
【0113】
用語「調節配列」または用語「発現制御配列」は、DNA配列であって、このDNA配列が連結されるコード配列の発現を達成するために必要であるDNA配列を示す。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存して異なる。原核生物では、制御配列には一般に、プロモーター、リボソーム結合部位およびターミネーターが含まれる。真核生物では一般に、制御配列には、プロモーター、ターミネーター、および、場合により、エンハンサー、トランス活性化因子または転写因子が含まれる。用語「発現制御配列」は、発現のためにその存在が必要であるすべての成分を少なくとも含むことが意図され、また、さらなる好都合な成分を同様に含む場合がある。
【0114】
用語「機能的に連結される」は、そのように記載される様々な成分が、これらの成分がそれらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある状態での並置を示す。コード配列に「機能的に連結される」制御配列は、このコード配列の発現がそのような制御配列と適合し得る条件のもとで達成されるような様式で連結される。制御配列がプロモーターである場合には、二重鎖の核酸が好ましくは使用される。
【0115】
したがって、示されたベクターは、ある特定の実施形態においては発現ベクターである。「発現ベクター」は、選択された宿主を形質転換するために使用することができ、かつ、コード配列の発現をその選択された宿主においてもたらす構築物である。発現ベクターは、例えば、クローニングベクター、バイナリーベクターまたは組み込みベクターであることが可能である。発現は、核酸分子が好ましくは翻訳可能なmRNAに転写されることを含む。発現を原核生物および/または真核生物細胞において保証する様々な調節エレメントが当業者には広く知られている。真核生物細胞の場合には、調節エレメントは通常、転写の開始を保証するプロモーターと、必要な場合には、転写の終結および転写物の安定化を保証するポリAシグナルとを含む。発現を原核生物宿主細胞において可能にする可能な調節エレメントは、例えば、大腸菌におけるPプロモーター、lacプロモーター、trpプロモーターまたはtacプロモーターを含み、発現を真核生物宿主細胞において可能にする調節エレメントの例には、酵母におけるAOX1プロモーターまたはGAL1プロモーター、あるいは、哺乳動物細胞および他の動物細胞におけるCMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサーまたはグロビンイントロンが挙げられる。
【0116】
転写の開始に関わるエレメントのほかに、そのような調節エレメントはまた、転写終結シグナル(例えば、SV40ポリA部位またはtkポリA部位など)を上記ポリヌクレオチドの下流側に含む場合がある。さらに、使用される発現系に依存して、ポリペプチドを細胞区画に向かわせることが可能であるリーダー配列、または、ポリペプチドを培地中に分泌させることが可能であるリーダー配列が、示された核酸配列のコード配列に加えられる場合があり、そのようなリーダー配列がこの技術分野では広く知られている。このようなリーダー配列は、翻訳配列、開始配列および終結配列と適切に同調して組み立てられ、好ましくは、翻訳されたタンパク質またはその一部を細胞膜周辺腔または細胞外培地に分泌することを導くことができるリーダー配列である。必要に応じて、異種配列は、所望される特徴、例えば、発現された組換え産物の安定化または簡略化された精製をもたらすN末端の同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードすることができる;上記を参照のこと。これに関連して、好適な発現ベクターがこの技術分野では知られている;例えば、Okayama−Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pEF−Neo、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)、pEF−DHFRおよびpEF−ADA(Raum他、Cancer Immunol Immunother(2001)、50(3)、141〜150)またはpSPORT1(GIBCO BRL)など。
【0117】
いくつかの実施形態において、発現制御配列は、形質移入するための真核生物宿主細胞の形質転換が可能であるベクターにおける真核生物プロモーター系であり、しかし、原核生物宿主のための制御配列もまた使用される場合がある。ベクターが適切な宿主に組み込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現のために好適である条件のもとで維持され、そして、所望に応じて、本開示のポリペプチドの回収および精製が続く場合がある。
【0118】
さらなる調節エレメントには、転写エンハンサーと同様に、翻訳エンハンサーが含まれる場合がある。特定の実施形態において、ベクターは選択マーカーおよび/またはスコア化可能なマーカーを含む。形質転換された細胞を選抜するために有用である様々な選択マーカー遺伝子が当業者には広く知られており、これらは、例えば、下記のものについて選抜することの基礎としての代謝拮抗剤抵抗性を含む:dhfr(これは、メトトレキサートに対する抵抗性を与える)(Reiss、Plant Physiol.(Life−Sci.Adv.)、13(1994)、143〜149)、ntp(これは、アミノグリコシドのネオマイシン、カナマイシンおよびパロマイシンに対する抵抗性を与える)(Herrera−Estrella、EMBO J.、2(1983)、987〜995)、および、hygro(これは、ヒグロマイシンに対する抵抗性を与える)(Marsh、Gene、32(1984)、481〜485)。さらなる選択遺伝子が記載されている;すなわち、trpB(これは、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする);hisD(これは、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用することを可能にする)(Hartman、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85(1988)、8047);マンノース−6−リン酸イソメラーゼ(これは、細胞がマンノースを利用することを可能にする)(国際公開WO94/20627)、および、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(これは、オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤の2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン(DFMO)に対する抵抗性を与える(McConlogue、1987、Current Communications in Molecular Biology、Cold Spring Harbor Laboratory編))、または、ブラストサイジンSに対する抵抗性を与えるアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のデアミナーゼ(Tamura、Biosci.Biotechnol.Biochem.、59(1995)、2336〜2338)。
【0119】
有用なスコア化可能なマーカーもまた当業者には知られており、また、市販されている。好都合には、該マーカーは、ルシフェラーゼをコードする遺伝子(Giacomin、Pl.Sci.、116(1996)、59〜72;Scikantha、J.Bact.、178(1996)、121)、緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子(Gerdes、FEBS Lett.、389(1996)、44〜47)、または、β−グルクロニダーゼをコードする遺伝子(Jefferson、EMBO J.、6(1987)、3901〜3907)である。この実施形態は、示されたベクターを含有する細胞、組織および生物の簡便かつ迅速なスクリーニングのために特に有用である。
【0120】
上記で記載されるように、示された核酸分子は、コードされたポリペプチドを細胞において発現させるために単独で、またはベクターの一部として細胞において使用することができる。上記で記載されたキメラサイトカイン受容体構築物のいずれか1つをコードするDNA配列(1つまたは複数)を含有する核酸分子またはベクターが、目的とするポリペプチドを結果として産生する細胞に導入される。示された核酸分子およびベクターは、細胞への直接的な導入のために、あるいは、リポソームを介した、またはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス型、レトロウイルス型)を介した細胞への導入のために設計される場合がある。ある特定の実施形態において、細胞は、例えば、T細胞、CAR T細胞、NK細胞、NKT細胞、MSC、ニューロン幹細胞または造血幹細胞である。
【0121】
上記によれば、本開示は、本明細書中において意図されるキメラサイトカイン受容体構築物のポリペプチド配列をコードする核酸分子を含む、遺伝子操作において従来から使用されるベクター(特に、プラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージ)を得るための方法に関連する。特定の実施形態において、該ベクターは発現ベクターおよび/または遺伝子移入ベクターもしくは遺伝子標的化ベクターである。ウイルスに由来する発現ベクター、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルスまたはウシパピローマウイルスなどに由来する発現ベクターが、標的化された細胞集団への示されたポリヌクレオチドまたはベクターの送達のために使用される場合がある。当業者には広く知られている様々な方法を、組換えベクターを構築するために使用することができる;例えば、Sambrook他(上記引用文献中)、Ausubel(1989、上記引用文献中)または他の標準的教本に記載される技術を参照のこと。代替において、示された核酸分子およびベクターは、標的細胞への送達のためにリポソーム中に再構成することができる。本開示の核酸分子を含有するベクターは、広く知られている方法によって宿主細胞に移入することができ、ただし、この場合、その方法は細胞宿主のタイプに依存して変わる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションが原核生物細胞のために一般に利用され、これに対して、リン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションが他の細胞宿主のために使用される場合がある;Sambrook(上掲)を参照のこと。
【0122】
VI.医薬組成物
用語「医薬組成物」は、個体に投与するための組成物に関連し、免疫療法のための細胞の組成物を包含する。具体的な実施形態において、免疫療法のための細胞は、少なくとも1つのシグナル伝達分子を発現するように操作される。ある特定の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのシグナル伝達分子に加えて、1つまたは複数の改変を含み、例えば、人工型受容体および天然型受容体を含めて、1つまたは複数の受容体などを、例えば、腫瘍抗原に対する受容体を含む。特定の受容体はCARまたは操作されたαβTCRを含み、だが、いくつかの場合には、細胞は生来型TCRを含む。ある特定の実施形態において、組成物はCARを含む。特定の実施形態において、CARは共刺激性ドメインを含む。他の実施形態において、CARは共刺激性ドメインを含まない、または欠いている。
【0123】
特定の実施形態において、医薬組成物は、非経口投与、経皮投与、腔内投与、動脈内投与、クモ膜下腔内投与または静脈内投与のための、あるいは、ガンに直接に注入するための組成物を含む。1つの実施形態において、医薬組成物が個体に注入または注射により投与される。好適な組成物の投与が、種々の方法によって、例えば、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与、局所的投与または皮内投与によって行われる場合がある。
【0124】
医薬組成物はさらに、医薬的に許容されるキャリアを含む場合がある。好適な医薬用キャリアの様々な例がこの技術分野では広く知られており、これらには、リン酸塩緩衝化生理的食塩水溶液、水、エマルション(例えば、油/水エマルションなど)、様々なタイプの湿潤化剤、無菌溶液などが含まれる。そのようなキャリアを含む組成物を広く知られている従来の方法によって配合することができる。これらの医薬組成物は好適な用量で対象に投与することができる。
【0125】
投薬計画が主治医および様々な臨床上の要因によって決定されるであろう。医療技術分野では広く知られているように、どのような患者であれ、1人の患者のための投薬量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与されるべき具体的な化合物、性別、投与時間および投与経路、全身の健康状態、ならびに、同時に投与されている他の薬物を含めて、多くの要因に依存する。
【0126】
本開示の組成物は局所投与または全身投与により投与される場合がある。投与は一般には非経口(例えば、静脈内)であろう;DNAはまた、標的部位に対して直接に、例えば、バリスティック送達によって内部または外部の標的部位に、あるいは、カテーテルによって動脈内の部位に投与される場合がある。好ましい実施形態において、医薬組成物は皮下投与され、一層より好ましい実施形態においては静脈内投与される。非経口投与のための調製物には、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁物およびエマルションが含まれる。非水性溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油など)、および、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)が挙げられる。水性キャリアには、生理的食塩水および緩衝化媒体を含めて、水、アルコール性溶液/水溶液、エマルションまたは懸濁物が含まれる。非経口用ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは固定油が含まれる。静脈内用ビヒクルには、補液および栄養補充液ならびに電解質補充液(例えば、リンゲルブドウ糖に基づくものなど)などが含まれる。保存剤および他の添加剤もまた存在する場合がある(例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスなど)。加えて、本開示の医薬組成物は、タンパク質性キャリア、例えば、血清アルブミンまたは免疫グロブリン、好ましくはヒト起源の血清アルブミンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質性キャリアを含む場合があるかもしれない。ある特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、(本開示において記載されるような)タンパク質性のキメラサイトカイン受容体構築物あるいは該構築物をコードする核酸分子またはベクターに加えて、医薬組成物の意図された使用に依存して、さらなる生物学的に活性な作用因を含む。
【0127】
VII.医薬組成物
用語「医薬組成物」は、個体に投与するための組成物に関連し、免疫療法のための細胞の組成物を包含する。具体的な実施形態において、免疫療法のための細胞は、2つ以上の別個のCAR分子(例えば、3つまたは少なくとも3つの別個のCAR分子など)を発現するように操作される。ある特定の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのシグナル伝達分子に加えて、1つまたは複数の改変を含み、例えば、人工型受容体および天然型受容体を含めて、1つまたは複数の受容体などを、例えば、腫瘍抗原に対する受容体を含む。特定の受容体はCARまたは操作されたαβTCRを含み、だが、いくつかの場合には、細胞は生来型TCRを含む。ある特定の実施形態において、組成物はCARを含む。特定の実施形態において、CARは共刺激性ドメインを含む。他の実施形態において、CARは共刺激性ドメインを含まない、または欠いている。
【0128】
特定の実施形態において、医薬組成物は、非経口投与、経皮投与、腔内投与、動脈内投与、クモ膜下腔内投与または静脈内投与のための、あるいは、ガンに直接に注入するための組成物を含む。1つの実施形態において、医薬組成物が個体に注入または注射により投与される。好適な組成物の投与が、種々の方法によって、例えば、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与、局所的投与または皮内投与によって行われる場合がある。
【0129】
医薬組成物はさらに、医薬的に許容されるキャリアを含む場合がある。好適な医薬用キャリアの様々な例がこの技術分野では広く知られており、これらには、リン酸塩緩衝化生理的食塩水溶液、水、エマルション(例えば、油/水エマルションなど)、様々なタイプの湿潤化剤、無菌溶液などが含まれる。そのようなキャリアを含む組成物を広く知られている従来の方法によって配合することができる。これらの医薬組成物は好適な用量で対象に投与することができる。
【0130】
投薬計画が主治医および様々な臨床上の要因によって決定されるであろう。医療技術分野では広く知られているように、どのような患者であれ、1人の患者のための投薬量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与されるべき具体的な化合物、性別、投与時間および投与経路、全身の健康状態、ならびに、同時に投与されている他の薬物を含めて、多くの要因に依存する。
【0131】
本開示の組成物は局所投与または全身投与により投与される場合がある。投与は一般には非経口(例えば、静脈内)であろう;DNAはまた、標的部位に対して直接に、例えば、バリスティック送達によって内部または外部の標的部位に、あるいは、カテーテルによって動脈内の部位に投与される場合がある。好ましい実施形態において、医薬組成物は皮下投与され、一層より好ましい実施形態においては静脈内投与される。非経口投与のための調製物には、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁物およびエマルションが含まれる。非水性溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油など)、および、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)が挙げられる。水性キャリアには、生理的食塩水および緩衝化媒体を含めて、水、アルコール性溶液/水溶液、エマルションまたは懸濁物が含まれる。非経口用ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは固定油が含まれる。静脈内用ビヒクルには、補液および栄養補充液ならびに電解質補充液(例えば、リンゲルブドウ糖に基づくものなど)などが含まれる。保存剤および他の添加剤もまた存在する場合がある(例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスなど)。加えて、本開示の医薬組成物は、タンパク質性キャリア、例えば、血清アルブミンまたは免疫グロブリン、好ましくはヒト起源の血清アルブミンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質性キャリアを含む場合があるかもしれない。ある特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、(本開示において記載されるような)タンパク質性のキメラサイトカイン受容体構築物あるいは該構築物をコードする核酸分子またはベクターに加えて、医薬組成物の意図された使用に依存して、さらなる生物学的に活性な作用因を含む。
【0132】
VIII.キット
本明細書中に記載される組成物のどれもがキットに含まれる場合がある。限定されない例において、細胞療法における使用のための1つまたは複数のバイパータイトシグナル伝達免疫細胞部分またはトリパータイトシグナル伝達免疫細胞がキットに含まれる場合がある。キットの構成成分は、好適な容器手段において提供される。具体的な実施形態において、キットは、様々な組換え操作用試薬、例えば、ベクター、プライマー、酵素(制限酵素、リガーゼ、ポリメラーゼなど)、緩衝液、ヌクレオチドなどを含む。
【0133】
キットのいくつかの構成成分が、水性媒体において、または凍結乾燥形態でそのどちらかで包装される場合がある。キットの容器手段には一般に、構成成分が入れられることがある、好ましくは、好適に小分けして入れられることがある少なくとも1つのバイアル、試験チューブ、フラスコ、ビン、シリンジまたは他の容器手段が含まれるであろう。2つ以上の構成成分がキットに存在する場合、キットはまた、一般に、さらなる構成成分が別々に入れられることがある第2、第3または他のさらなる容器を含有するであろう。しかしながら、構成成分の様々な組合せがバイアルに含まれる場合がある。本開示のキットはまた典型的には、構成成分を商用販売のための厳重な閉じ込めで含有するための手段を含むであろう。そのような容器には、所望されるバイアルが保持される射出成形されたプラスチック容器またはブロー成形されたプラスチック容器が含まれる場合がある。
【0134】
キットの構成成分が1つおよび/または複数の液体溶液で提供されるとき、液体溶液は水溶液であり、無菌の水溶液が特に有用である。場合により、容器手段はそれ自体が、シリンジ、ピペットおよび/または他のそのような同様の装置である場合があり、ただし、この場合、そのような容器手段からの配合物が身体の感染領域に適用されることがあり、動物に注射されることがあり、ならびに/あるいは、それどころか、キットの他の構成成分に適用されることがあり、および/または、キットの他の構成成分と混合されることがある。
【0135】
しかしながら、キットの構成成分は、乾燥された粉末として提供される場合がある。試薬および/または構成成分が乾燥粉末として提供されるとき、粉末は、好適な溶媒を加えることによって再構成されることが可能である。溶媒もまた別の容器手段において提供される場合があることが想定される。キットはまた、無菌の医薬的に許容される緩衝剤および/または他の希釈剤を含有するための第2の容器手段を含む場合がある。
【0136】
特定の実施形態において、細胞療法のために使用されることになる細胞がキットにおいて提供され、また、場合により、そのような細胞がキットの本質的には唯一の構成成分である。キットは、代わりにまたは加えて、細胞を1つまたは複数のシグナル伝達分子のための組換え型にするための試薬および材料を含む場合がある。具体的な実施形態において、そのような試薬および材料には、シグナル伝達分子を増幅するためのプライマー、ヌクレオチド、好適な緩衝剤または緩衝剤試薬、塩などが含まれ、また、場合により、そのような試薬には、1つもしくは複数のシグナル伝達分子および/またはそのための調節エレメントをコードするベクターおよび/またはDNAが含まれる。試薬の例にはまた、細胞培養のための緩衝剤および他の材料が含まれる。具体的な実施形態において、1つまたは複数のサイトカインがキットにおいて提供される。
【0137】
特定の実施形態において、1つまたは複数のサンプルを個体から取り出すために好適であるキット内の1つまたは複数の装置が存在する。そのような装置はシリンジおよび外科用メスなどである場合がある。
【0138】
いくつかの実施形態において、キットは、組織学的試薬、抗体、血液分析試薬または尿分析試薬などを含めて、ガンを診断するための1つまたは複数の試薬または装置を含む。
【0139】
他の実施形態において、キットは、細胞療法実施形態に加えて、例えば、第2のガン治療法もまた、例えば、化学療法、ホルモン療法および/または免疫療法などもまた含む。キットは個体のために特定のガンに合わせて調整される場合があり、また、当該個体のためのそれぞれの第2のガン治療法を含む場合がある。
【0140】
いくつかの実施形態では、キットにおける細胞は、シグナル伝達分子以外の治療用分子を発現するように改変される場合がある。他の治療用分子はどのような種類のものであってもよく、しかし、具体的な実施形態において、治療用分子は、例えば、キメラ抗原受容体である。
【0141】
いくつかの実施形態において、キットはまた、細胞療法実施形態に加えて、例えば、第2のガン治療法、例えば、化学療法、ホルモン療法および/または免疫療法なども含む。キットは個体のために特定のガンに合わせて調整される場合があり、また、当該個体のためのそれぞれの第2のガン治療法を含む場合がある。
【0142】
IX.併用療法
本開示のある特定の実施形態において、臨床的態様のための本開示の方法は、過剰増殖性疾患の処置において効果的である他の作用因(例えば、抗ガン剤など)と組み合わされる(これはまた、ガン治療法として示される場合がある)。「抗ガン」剤は、例えば、ガン細胞を殺すこと、アポトーシスをガン細胞において誘導すること、ガン細胞の成長速度を低下させること、転移物の発生または数を減らすこと、腫瘍サイズを縮小させること、腫瘍成長を阻害すること、腫瘍細胞またはガン細胞への血液供給を減らすこと、免疫応答をガン細胞または腫瘍に対して促進させること、ガンの進行を防止または阻害すること、あるいは、ガンを有する対象の寿命を増大させることによって、対象においてガンに負の影響を与えることができる。より一般的には、これらの他の組成物が、細胞を殺すために、または細胞の増殖を阻害するために好適である併用量で与えられるであろう。このプロセスは、ガン細胞を同時に発現構築物および作用因または多数の因子と接触させることを伴う場合がある。このことが、細胞を、両方の作用因を含むただ1つの組成物または薬理学的配合物と接触させることによって、あるいは、細胞を同時に2つの異なった組成物または配合物(ただし、一方の組成物が発現構築物を含み、他方が第2の作用因を含む)と接触させることによって達成される場合がある。
【0143】
化学療法剤および放射線療法剤に対する腫瘍細胞耐性が臨床腫瘍学における大きな問題を表している。現在のガン研究の1つの目標が、化学放射線療法を遺伝子治療と組み合わせることによって化学放射線療法の効力を改善するための方法を見出すことである。例えば、単純ヘルペスのチミジンキナーゼ(HS−tK)遺伝子では、脳腫瘍にレトロウイルスベクター系によって送達されたとき、抗ウイルス剤のガンシクロビルに対する感受性が首尾よく誘導された(Culver他、1992)。特定の実施形態において、細胞療法が、他のアポトーシス促進剤または細胞周期調節剤に加えて、化学療法介入、放射線療法介入または免疫療法介入と併せて同様に使用され得るであろうことが意図される。
【0144】
別の実施形態において、治療が、数分から数週間にまで及ぶ間隔によって他の作用因処置の前または後で行われる場合がある。他の作用因および細胞療法が個体に対して別々に適用される実施形態においては、作用因および細胞療法が依然として腫瘍細胞に対する好都合な併用効果を発揮することができるであろうように、有意な期間がそれぞれの送達のときとの間において終了しなかったことが一般に保証されるであろう。そのような場合、腫瘍細胞が、互いに約12時間〜24時間のうちに、より好ましくは互いに約6時間〜12時間のうちに両方の様式と接触させられることがあることが意図される。状況により、処置のための期間を著しく延ばすことが望ましい場合があり、しかしながら、この場合、数日(2、3、4、5、6または7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)がそれぞれの施与の間で経過する。
【0145】
様々な組合せが用いられる場合がある。本開示が「A」であり、二次的な作用因(例えば、放射線療法または化学療法など)が「B」である場合:
【0146】
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
【0147】
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
【0148】
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0149】
処置サイクルは、必要に応じて繰り返されるであろうことが予想される。様々な標準的治療法、同様にまた、外科的介入が、本発明の細胞療法との組合せで適用される場合があることもまた意図される。
【0150】
A.化学療法
ガン治療法にはまた、化学的処置および放射線に基づく処置の両方との様々な併用療法が含まれる。併用抗がん剤には、例えば、下記のものが含まれる:アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ(COX−2阻害剤);クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシラート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシラート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキサート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エソルビシン塩酸塩;エストラルヌスチン;リン酸エストラムスチンナトリム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;イリノテカン塩酸塩;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサンントロン塩酸塩;マソプロコル;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;ピューロマイシ塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;テガフール;テロキサントロン塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ツブロゾール塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビンピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンレウロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾルビシン塩酸塩;20−epi−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドクス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背側化形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン物質、前立腺ガン;抗エストロゲン物質;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシナート;アポトーシス遺伝子調節剤;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン類;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロルルン類;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン類;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデンミンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドクス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール,9−;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルビシン塩酸塩;ホルフェニメクス;ホルメスタン;フォストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(例えば、GLEEVEC(登録商標));イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナン硫酸;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミソール;リアロゾール;線状ポリアミンアナログ;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコル;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド;ミトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;Erbitux,ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗ガン剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;オブリメルセン(GENASENSE(登録商標));O.sup.6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセルアナログ;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセタート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン類;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;レテリプチン脱メチル化体;エチドロン酸レニウムRe186;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣体;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプタート;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール
;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;超活性な血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;チマルファシン;サイモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;チタノセン二塩化物;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン類;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソル;ベラミン;ベルジン類;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマー、あるいは、前記のいずれかのアナログまた派生変化体。具体的な実施形態において、化学療法が、例えば、本開示の施与の前、期間中および/または後において本開示と併せて用いられる。例示的な化学療法剤には、ダカルバジン(これはDTICとも呼ばれる)、テモゾロミド、パクリタキセル、シスプラチン、カルムスチン、ホテムスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ブレオマイシンが含まれる。
【0151】
B.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、これまで広く使用されている他の因子には、γ線、X線、および/または、腫瘍細胞への放射性同位体の指向送達として一般に知られているものが含まれる。DNA損傷因子の他の形態もまた意図される(例えば、マイクロ波およびUV照射など)。これらの因子のすべてが、DNAに対して、DNAの前駆体に対して、DNAの複製および修復に対して、また、染色体の組立ておよび維持に対して広範囲の損傷をもたらすことが最も考えられる。X線についての適用線量範囲が、長期間(3週間〜4週間)にわたる50レントゲン〜200レントゲンの1日線量から、2000レントゲン〜6000レントゲンの単回線量までに及ぶ。放射性同位体についての適用線量範囲は広範囲に変化し、同位体の半減期、放射される放射線の強さおよびタイプ、ならびに、新生物細胞による取り込みに依存する。
【0152】
用語「接触される(させられる)」および用語「さらされる」は、細胞に対して適用されるとき、治療用構築物および化学療法剤または放射線療法剤が標的細胞に送達され、または標的細胞と直接に並置して置かれるプロセスを記載するために本明細書中では使用される。細胞の殺傷または静止を達成するために、両方の作用因が、細胞を殺すために、または、細胞が分裂することを妨げるために効果的である併用量で細胞に送達される。
【0153】
C.免疫療法
免疫療法剤は一般には、ガン細胞を標的とし、殺すために免疫エフェクター細胞および免疫エフェクター分子の使用に依拠する。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面における何らかのマーカーに対して特異的な抗体である場合がある。抗体は単独で治療のエフェクターとして役立つ場合があり、または、抗体は、細胞殺傷を実際に行うために他の細胞を集める場合がある。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)にコンジュゲート化される場合があり、また、単に標的化剤として役立つ場合がある。代替において、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的のどちらであっても相互作用する表面分子を有するリンパ球である場合がある。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
【0154】
したがって、免疫療法が、現在の細胞療法と併せて併用療法の一部として使用され得るかもしれない。併用療法のための一般的な取り組みが下記で議論される。一般には、腫瘍細胞は、標的化を受け入れる何らかのマーカー、すなわち、大多数の他の細胞には存在しない何らかのマーカーを有しなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在しており、これらのどれもが本開示の関連において標的化のために好適である場合がある。一般的な腫瘍マーカーには、ガン胎児性抗原、前立腺特異的抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erbBおよびp155などが含まれる。
【0155】
免疫療法は、例えば、インターロイキン−2(IL−2)またはインターフェロン(IFN)を含む場合がある。ある特定の実施形態において、免疫療法は、Notch経路のリガンドまたは受容体に対する抗体であり、例えば、DLL4、Notch1、Notch2/3、Fzd7またはWntに対する抗体である。ある特定の他の実施形態において、免疫療法は、r−スポンジン(RSPO)1、RSPO2、RSPO3またはRSPO4に対する抗体である。
【0156】
D.遺伝子
さらに別の実施形態において、二次的処置が、治療用ポリヌクレオチドが本開示の臨床実施形態の前に、本開示の臨床実施形態の後で、または本開示の臨床実施形態と同時に施される遺伝子治療である。様々な発現産物が本開示の範囲内に包含され、これらには、細胞増殖の誘導因子、細胞増殖の阻害剤またはプログラム化細胞死の調節因子が含まれる。
【0157】
E.手術
およそ60%のガン保有者が何らかのタイプの手術を受けることになり、この場合、そのような手術には、予防的、診断的または病期分類、治療的および緩和的な手術が含まれる。治療的手術は、他の治療法と併せて、例えば、本開示の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法および/または代替療法などと併せて使用される場合があるガン処置である。
【0158】
治療的手術には、ガン性組織のすべてまたは一部が物理的に除かれる、摘出される、および/または破壊される切除が含まれる。腫瘍切除は、腫瘍の少なくとも一部の物理的な除去を示す。腫瘍切除に加えて、手術による処置には、レーザー手術、凍結手術、電気手術および顕微鏡下手術(モース術)が含まれる。本開示は、表在性ガン、前ガン物または付随的な量の正常な組織の除去と併せて使用される場合があることがさらに意図される。
【0159】
ガン性の細胞、組織または腫瘍の一部またはすべてが摘出されるとき、空洞が体内に形成される場合がある。処置が、さらなる抗ガン治療法を伴う領域の灌流、直接的注入または局所的適用によって達成される場合がある。そのような処置が、例えば、1日毎、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎または7日毎に、あるいは、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎および5週間毎に、あるいは、1ヶ月毎、2ヶ月毎、3ヶ月毎、4ヶ月毎、5ヶ月毎、6ヶ月毎、7ヶ月毎、8ヶ月毎、9ヶ月毎、10ヶ月毎、11ヶ月毎または12ヶ月毎に繰り返される場合がある。これらの処置は同様に、様々な投薬量のものである場合がある。
【0160】
F.他の作用因
他の作用因が、処置の治療効力を改善するために本開示との組合せで使用される場合があることが意図される。これらのさらなる作用因には、免疫調節剤、細胞表面受容体およびGAPジャンクションのアップレギュレーションに影響を及ぼす作用因、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着の阻害剤、または、アポトーシス誘導剤に対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる作用因が含まれる。免疫調節剤には、腫瘍壊死因子、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータおよびインターフェロンガンマ、IL−2および他のサイトカイン、F42Kおよび他のサイトカインアナログ、または、MIP−1、MIP−1ベータ、MCP−1、RANTESおよび他のケモカインが含まれる。細胞表面受容体またはそれらのリガンド(例えば、Fas/Fasリガンド、DR4またはDR5/TRAILなど)のアップレギュレーションは本開示のアポトーシス誘導能の増強を過剰増殖性細胞に対するオートクリン影響またはパラクリン影響の確立によってもたらすであろうことがさらに意図される。GAPジャンクションの数が増加することによる増大した細胞間のシグナル伝達は、隣接する過剰増殖性細胞の集団に対する抗過剰増殖効果を増大させるであろう。他の実施形態において、細胞増殖抑制剤または分化剤を、処置の抗過剰増殖効力を改善するために本開示との組合せで使用することができる。細胞接着の阻害剤が、本開示の効力を改善するために意図される。細胞接着阻害剤の例には、フォーカルアドヒージョンキナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンが挙げられる。アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる他の作用因(例えば、抗体c225など)が、処置効力を改善するために本開示との組合せで使用され得るかもしれないことがさらに意図される。
【実施例】
【0161】
下記の実施例は、本開示の好ましい実施形態を明らかにするために含まれる。下記の実施例において開示される技術は、本開示の実施において十分に機能すると本発明者らによって認められる技術を表しており、したがって、その実施のための様々な好ましい態様を構成すると見なされ得ることが、当業者によって理解されなければならない。しかしながら、当業者は、多くの変化が、開示される具体的な実施形態において行われ得ること、そして、多くの変化により、同様な結果または類似する結果が依然として、本開示の精神および範囲から逸脱することなく得られ得ることを、本開示を考慮して理解しなければならない。
【0162】
実施例1
トリパータイトシグナル伝達免疫細胞
1つの実施形態において、腫瘍微小環境(例えば)に存在する3つのシグナルの組合せを認識する細胞が提供される。実施形態には、抗原刺激、共刺激およびサイトカインシグナルのためのシグナルが、例えば、第3世代CAR(「3G.CAR」;図1)の場合のように、すべてのシグナルを一緒にただ1つの分子(例えば、受容体など)に組み込みのではなく、むしろ、3つの異なる分子(例えば、受容体など)に分けられる免疫細胞の作製が包含される。したがって、抗原の存在だけにより、これら3つの異なるシグナル経路の活性化が生じる第3世代CARとは対照的に、本明細書中において意図される実施形態では、免疫細胞が、ある特定の場所(例えば、腫瘍微小環境など)にだけ存在する特定の分子シグナチャーの存在下でのみ完全に活性化される(シグナルI、シグナルIIおよびシグナルIII)(図2)。そのような実施形態は免疫療法の特異性および安全性を増大させる。
【0163】
免疫細胞応答の効力を依然として維持しながら、後世代CARの毒性問題を克服するために、本開示の実施形態は、シグナル1、シグナル2およびシグナル3に関わるエンドドメインを含む3つの別個の受容体を個々に発現する細胞を提供する。この独特の戦略によって、この免疫細胞は、当該免疫細胞の強力な活性化を生じさせる3つの個々の受容体を活性化するために3つの入力シグナルを必要とすることなる(図2)。
【0164】
腫瘍微小環境に特異的に存在する入力シグナル(a)、入力シグナル(b)および入力シグナル(c)の賢明な選択により、免疫細胞は、3つすべてのシグナルが存在する腫瘍部位におけるロバストな活性化を受けるように制御することができ、そして、3つすべてのシグナルが、腫瘍とは異なる身体内の正常な組織において共存するであろう確率は低いので、この操作された免疫細胞は非常に特異的である(図3)。
【0165】
1つの実施形態において、ガンを処置するための免疫細胞が提供される。どのようなガンも、本明細書中において意図される免疫細胞により処置されるかもしれない。具体的な実施形態において、膵臓ガンが免疫細胞により処置される。前立腺幹細胞抗原(PSCA)が、正常な組織における限定された発現を伴って、膵臓腫瘍において過剰発現していることが示されており、このことはPSCAを理想的な標的抗原および入力シグナル(a)にしている。加えて、阻害性サイトカイン(例えば、IL4およびTGFβなど)もまた、膵臓ガン患者では上昇したレベルで存在することが示されており、このことは阻害性サイトカインを入力シグナル(b)および入力シグナル(c)のための理想的な候補にしている。したがって、PSCA(a)、IL4(b)およびTGFβ(c)が、膵臓腫瘍微小環境においてもっぱら重なり合う3つの入力シグナルの一例として役立つ(図4)。
【0166】
腫瘍微小環境に存在する分子シグナチャーを利用するために、本開示の免疫細胞は、これらの入力を認識することができ、かつ、強力な活性化をもたらし得る下流側のシグナルを伝達することができる受容体を発現するように遺伝子改変される。このようにして、(一例としての)PSCAの発現がシグナル(I)を伝達することになり、TGFβの存在がシグナル(II)を誘導することになり、一方で、IL4サイトカインの存在がシグナル(III)を提供することになる。このようにして、免疫細胞が腫瘍部位においてのみ、これら3つのシグナルの存在下で活性化される。そのような方法は、現在の最先端技術と比較したときには、例えば、第3世代CARと比較したときには、はるかにより特異的な治療法を提供する。
【0167】
3G.CARと、本開示のトリパータイトシグナル伝達細胞との比較であって、3つすべてのシグナルが共存する腫瘍部位において拡大し、かつ、持続するそれらの能力における比較を、低レベルのPSCAを発現しており、したがって、潜在的に標的化され得るかもしれず、これにより、望ましくない副作用が生じる正常な組織(例えば、胃など)に対して行うために、膵臓ガンを、PSCA、IL4およびTGFβが発現しているので、モデル系として使用した(図6)。
【0168】
3G.CAR T細胞の拡大は、PSCAのみを発現する正常な組織を模倣する細胞株により攻撃されたときには、図7に例示されるように、3G.CAR T細胞の著しい拡大をもたらした。対照的に、腫瘍微小環境を再現する状態における3G.CAR T細胞の拡大は有意に低下した。このことは、3G.CARにより改変されるT細胞が、潜在的毒性につながる標的抗原を発現する正常な組織において優先的に拡大することができることを示唆する。
【0169】
トリパータイトシグナル伝達細胞の拡大を評価した。(図8)3G.CAR細胞とは異なり、トリパータイトシグナル伝達細胞は、優先的な拡大を、腫瘍シグナチャー(PSCA、IL4、TGFβ)を模倣する状態において示す。重要なことに、トリパータイトシグナル伝達細胞では、低下した拡大が、抗原のみを発現する正常組織により攻撃されたときに明らかにされた。これらの結果は、トリパータイトシグナル伝達細胞により、腫瘍部位における強力な応答が、正常な組織の部位における最小限の活性を伴って誘発され得ることを示唆しており、このことはこの取り組みの効力および安全性を強調している。
【0170】
次に、膵臓腫瘍微小環境(PSCA、IL4、TGFβ)を模倣する細胞とともに培養されるトリパータイトシグナル伝達細胞の効力を評価した。図9に示されるように、細胞の初期拡大が認められ、この結果、腫瘍細胞の完全な排除が9日目までにもたらされた。重要なことに、腫瘍が排除された後では、細胞は数において急速に収縮した。このことは、腫瘍シグナチャーの非存在下において、細胞は持続することを止めるであろうことを示唆しており、このことから、この改変のさらなる安全性特徴が明らかにされる。
【0171】
図10に例示されるように、3G CARにより改変されるT細胞では、より良好な拡大および細胞溶解機能が、抗原のみにより攻撃されたときに明らかにされた(パネルA)。対照的に、腫瘍微小環境を模倣する状態において、3G.CAR T細胞では、拡大および抗腫瘍効果における低下が明らかにされた(パネルB)。
【0172】
図11に例示されるように、腫瘍微小環境を模倣する状態により攻撃されるトリパータイトシグナル伝達免疫細胞では、腫瘍細胞の完全な排除をもたらすロバストなT細胞拡大が明らかにされ、その一方で、対照的に、抗原のみを発現する細胞(正常な組織)により攻撃されたときには、トリパータイトシグナル伝達免疫細胞では、持続性の欠如のために、低下した細胞溶解機能が明らかにされる。
【0173】
実施例2
バイパータイトシグナル伝達免疫細胞
別の実施形態において、腫瘍微小環境に存在するただ2つだけのシグナルの組合せを認識する細胞が提供される。このことを、2つの異なる分子(例えば、受容体など)を発現するように免疫細胞を改変することによって、すなわち、(i)リガンド(例えば、抗原など)を認識し、かつ、TCR活性化を引き起こす分子(例えば、受容体など)(例えば、CD3z)(一例が、腫瘍抗原を標的とする第1世代CAR(または生来型のT細胞受容体もしくは操作されたT細胞受容体)である)と、(ii)異なるリガンドを認識し、しかし、サイトカインシグナルを伝達する受容体(例えば、IL7エンドドメイン)とを発現するように免疫細胞を改変することによって達成することができる(これは本出願ではバイパータイトシグナル伝達免疫細胞として示される)。
【0174】
IL4が原発性膵臓腫瘍では上昇したレベルで存在する。Logsdonおよび共同研究者が遺伝子発現プロファイリングを膵臓腺ガンおよび正常な膵臓に対して行い、これにより、膵臓腫瘍における上昇したIL4レベルが明らかにされた(変化倍数 19.78、p=0.001)(図31A)。IL4発現強度にもとづいてスコア化されるIHC研究では、この観察結果が確認された(図31B)。図31Cは、ELISAによって定量測定されるような患者血清(n=7)における上昇したIL4サイトカインレベルを例示する。図31Dは、IL4産生腫瘍が移植されたマウスの血清から回収されるIL4サイトカイン濃度を例示し、IL4サイトカイン濃度が末梢では6.6pg/mlのIL4であり(これは患者血清レベルと類似している)、その一方で、腫瘍での濃度がおよそ100倍であった(554.2/ml)ことが明らかにされる。重要なことに、4/7R改変細胞は、腫瘍において存在することが予測されるIL4レベルでのみ拡大することができた(図31E))。
【0175】
バイパータイトシグナル伝達免疫細胞(例えば、IL7受容体シグナルをIL4サイトカインに応答して伝達する受容体との組合せで第1世代CAR.PSCAを発現するように改変されるT細胞など;該例示的な受容体は本明細書中では4/7Rとして示される場合がある)が、腫瘍微小環境においてともに存在する抗原(PSCA)およびサイトカイン(IL4)の存在下における優れた選択的拡大を示すかどうかを評価するために、1G.CAR PSCAに対するこの免疫細胞の拡大を、抗原およびサイトカインの毎週の刺激(PSCAおよびIL4)に対する応答において評価した。図12に示されるように、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞のみがこれらの条件のもとでは拡大することができた。
【0176】
次に、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞の拡大を、第2世代(2G)CARまたは第3世代(3G)CARのどちらかにより改変されるT細胞と比較した。2G CARおよび3G CARにより改変されるT細胞は、図13に例示されるように、毎週の抗原刺激の存在下で拡大する。重要なことに、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞は、3G.CARと比較したときには優れた拡大を示すだけでなく、このことが、抗原刺激およびサイトカイン刺激の存在下でのみ達成された。
【0177】
重要なことに、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞は、図14において明らかにされるように、抗原およびIL4とともに培養されると、導入遺伝子についての強化を示し、この場合、導入遺伝子の発現が5週間で48%から95%に増大した。
【0178】
次に、これらのバイパータイトシグナル伝達免疫細胞の安全性プロフィルを評価するために、細胞を、抗原およびサイトカインが一緒に、または個々に存在する条件で培養した。図15に例示されるように、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞は、抗原およびサイトカインの組合せに対する応答においてのみ拡大することができた。対照的に、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞は、抗原またはサイトカインのどちらかが独立して与えられたときにはわずかな拡大を示した。このことから、バイパータイトシグナル伝達免疫細胞は、抗原およびサイトカインの両方が存在する腫瘍部位における増殖において有利であることが示唆される。したがって、この取り組みは、従来の3G CAR T細胞療法よりも安全かつ強力である。
【0179】
さらなる実験を、キメラサイトカイン受容体を免疫細胞において用いることの利点を示すために行った。図16は、例示的な4/7Rが、1G CAR T細胞の増殖をIL4の存在下で促進させること、そして、そのような細胞において、4/7Rは細胞における遺伝子発現プロフィル(図17)を変化させたことを示す。図18は、4/7Rが、Th1分極のサイトカイン発現プロフィルを、IL4にさらされた後の1G T細胞において保持することを明らかにする。
【0180】
抗原およびIL4が、1G CARと、4/7Rとを発現するバイパータイトT細胞と一緒に存在することにより、CD25のアップレギュレーションがもたらされ、これにより、改変されたT細胞の活性化状態が明らかにされる(図32)。
【0181】
図19は、4/7R発現に起因する選択的な拡大、そして、1G+4/7R T細胞が抗原およびサイトカインに依存していることを明らかにする(図20)。
【0182】
したがって、4/7Rは、(i)増殖を保護し、かつ、誘導すること、(ii)遺伝子発現プロフィルにおいて変化すること、そして、(iii)プロトタイプ的なTh1分極サイトカインの発現レベルを、IL4にさらされる4/7R CAR T細胞において保持することが可能である。重要なことに、T細胞の成長および生存が両方のシグナル(すなわち、抗原およびサイトカイン)の存在に依存している。
【0183】
実施例3
免疫細胞におけるキメラT−BBR受容体
特定の実施形態において、免疫細胞は、生来型TGFβRのエキソドメインと、共刺激分子4−1BBのエンドドメインとを含むキメラサイトカイン受容体(「T−BBR」)を含む。(例えば)CAR PSCA T細胞におけるT−BBR発現により、この細胞はTGFβ阻害を克服することが可能となる。
【0184】
T−BBRを発現させるための、1G CAR T細胞の改変は、CAR機能に影響を及ぼさなかった一方で、細胞は、TGFβにさらされるCAR T細胞の細胞溶解機能を維持している(図21)。図22は、T−BBRが、TGFβにさらされるCAR T細胞を保護したことを示す。1G CARと、T−BBRとを発現するバイパータイト改変T細胞は、腫瘍細胞をTGFβの存在下で排除することができ、その一方で、対照的に、TGFβの投与により、細胞溶解機能が阻害され、1G CAR T細胞単独による標的細胞の排除が妨げられた(図33)。さらには、T−BBRは、1G CAR T細胞の遺伝子発現を変化させ(図23)、それにもかかわらず、Bcl2発現が、TGFβにさらされた後では、Th1分極応答が維持されたように(図25)、T−BBR改変T細胞において維持された(図24)。T−BBRの遺伝子組換え発現により、CAR T細胞が、TGFβ投与後におけるPD−1発現のダウンレギュレーションによって測定されるT細胞消耗から保護された(図34)。
【0185】
1G CARをT−BBRとともに発現する二重遺伝子組換えT細胞は、(図35)に例示されるように生存するが、拡大しない。対照的に、シグナル1およびシグナル2を含有する2G CARとともにT−BBRを発現するバイパータイトT細胞は、TGFβの存在下における著しいT細胞拡大(このことは、シグナル1、シグナル2およびシグナル3が、持続したT細胞活性のために必要であることを裏づけている)をもたらした(図36)。
【0186】
したがって、T−BBRは、CAR T細胞の細胞溶解機能に影響を及ぼさなかった一方で、TGFβにさらされる1G T細胞の細胞溶解活性を維持することを可能にし、かつ、その生存を促進させる。T−BBRはまた、TGFβ中で培養されるCAR T細胞の遺伝子発現プロフィルを変化させた。
【0187】
実施例4
例示的なキメラサイトカイン受容体を有するトリパータイトシグナル伝達免疫細胞
キメラ抗原受容体(CAR)により改変されたT細胞を使用するB細胞悪性腫瘍の処置における近年の臨床的成功は、注入された細胞がインビボで拡大し、長期間持続することができることに直接に関連づけられている。しかしながら、共刺激性エンドドメインを含むことにより、CAR T細胞の効力を高めることが示されているが、毒性の危険性もまた、真の腫瘍特異的抗原が不足しており、これにより、「オンターゲット・オフターゲット」作用が引き起こされるために増大する。本開示の1つの実施形態において、T細胞療法が、注入された細胞のエフェクター機能を妨げ、かつ、その持続性を制限し得る2つの障壁、すなわち、(i)特有の標的抗原の欠如と、(ii)免疫抑制的な腫瘍微小環境とを克服する取り組みを使用して、固形腫瘍に対して拡張される。
【0188】
T細胞を、腫瘍特異性を改善し、かつ、細胞の安全性プロフィルを高めるために3つの独立した受容体を発現するように操作した。これらの受容体が同時に3つの異なる腫瘍リガンドと関わるとき、T細胞の通常の生理学をまねるシグナルが開始される:抗原認識(シグナル1)、共刺激(シグナル2)およびサイトカイン(シグナル3)。ある特定の実施形態において、このような細胞はSmarT細胞として示される。腫瘍選択性を保証するために、受容体は、ただ1つの標的抗原ではなく、むしろ、腫瘍特異的な遺伝子発現「パターン」を認識するように、それにより、細胞が腫瘍環境でのみ作用し、正常な組織では作用しないことを保証するように改造される。
【0189】
T細胞を、腫瘍シグナチャー、すなわち、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、IL4およびTGFβ1を最初に特定することによって膵臓ガンを標的とするように操作した。次に、1G CARを、PSCAに対する抗原認識シグナルを確実に生じるように作製し、これにより、改変されたT細胞が、PSCA+の標的(CAPAN1およびK562−PSCA)を特異的に殺し、PSCA−の標的(293T)は殺さないことが可能となった(それぞれ、74±4%、73±6%、および、9±3%の特異的溶解、10:1のE:T、n=3)。次いで、CAR−PSCA T細胞をさらに、IL4RのエキソドメインをIL7Rのエンドドメインに融合するキメラサイトカイン受容体(CCR)「4/7R」を発現させることによってサイトカインシグナル伝達を刺激するように改変した(30〜72%の二重陽性細胞;n=4)。予想されたように、IL4への長期暴露により、CAR−PSCA T細胞の拡大が制限され(2x10細胞(0日目)から6.1±3.8x10細胞(28日目)、これは、指数関数的に(2x10細胞から5.1±3.6x10細胞にまで)拡大し、かつ、選択的な濃縮(4週間における45.9±15%から86±11%への増大)がもたらされたれた4/7R/CAR−PSCA T細胞とは対照的であった(n=3)。さらに、さらなる新規なCCR「T−BBR」を、生来型TGFβRのエンドドメインを共刺激分子4−1BBのエンドドメインにより置換することによって共刺激シグナルを提供するように作製した。T−BBRの遺伝子組換え共発現(39〜64%の二重陽性細胞、n=5)は、CAR T細胞をTGFβ1の強力な阻害影響から保護するために十分であった(1x10個(0日目)から4.6±3.9x10個(21日目)−CAR/TBBR;1x10個(0日目)から2±0.8x10個(14日目)−CAR単独)。最後に、細胞の選択性を、腫瘍組織を再現する標的(PSCA+IL4+TGFβ1+)に対して、正常な組織を再現する標的(PSCA+のみ)を使用してインビトロにおいて、3G.CAR T細胞と比較した。3G.CAR−PSCA T細胞は無差別な殺傷をもたらしたが、上記細胞は、「正常な」代用標的ではなく、腫瘍標的のみを選択的に排除することができた。インビボにおけるSmarT細胞の選択性を、この技術分野における日常的な方法を使用して確認することができる。
【0190】
トリパータイトT細胞の治療的価値が明らかにされた。3G CAR T細胞は、PSCA+の標的を無差別に殺す(図26)が、(T細胞活性化、持続性およびサイトカイン放出のためのシグナルを含む)トリパータイト免疫細胞は優先的な抗腫瘍活性を腫瘍シグナチャーの存在下(IL4およびTGFβの存在下におけるPSCA+の腫瘍細胞)において示す(図27)。
【0191】
トリパータイト免疫細胞を、ガス透過性底部(G−Rex)を有する特定の培養系を使用して、3G CAR T細胞に対して比較した(図28)。トリパータイト細胞は、PSCA+、IL4+かつTGFβ+の標的に対する優先的な抗腫瘍活性を示した(図29)。図30はトリパータイト免疫細胞の優先的な抗腫瘍活性を示す。
【0192】
図37は、トリパータイトT細胞が、シグナル1、シグナル2およびシグナル3を同時に開始させることができる腫瘍の分子シグナチャーの存在下における顕著なT細胞拡大を示すことを示す。対照的に、シグナル1、シグナル2またはシグナル3が独立して誘発されるときには、不十分なT細胞応答が生じる。
【0193】
最も重要なことは、3G CAR T細胞はPSCA陽性の標的を無差別に殺すのに対して、トリパータイト免疫細胞は、PSCA+、IL4+、TGFβ+の標的に対する優先的な抗腫瘍活性を示す。
【0194】
参考文献
本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は、本発明が関連する技術分野の当業者のレベルを示すものである。すべての特許および刊行物が、それぞれの個々の刊行物が、参照により組み込まれるために具体的かつ個々に示されていたかのような場合と同じ程度にその全体において参照によって本明細書中に組み込まれる。
Patents and Patent Applications
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【0195】
本開示およびその利点が詳しく記載されているにもかかわらず、様々な変更、置換および変化が、添付された請求項によって規定されるような本開示の精神および範囲から逸脱することなく本明細書中において行われ得ることを理解しなければならない。そのうえ、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法および工程の特定の実施形態に限定されることは意図されない。当業者は本開示の開示から容易に理解するであろうように、本明細書中に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を成し遂げる、または実質的に同じ結果を達成するプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法または工程は、現時点で存在するものであれ、または今後開発されることになるものであれ、本開示に従って利用される場合がある。したがって、添付された請求項は、そのようなプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法または工程をその範囲の範囲内に包含することが意図される。
図1
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【国際調査報告】