(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
薄型ガラスシートを曲げる装置および方法を説明する。説明される方法および装置は、炉とガラス曲げステーションの入口との間に補助加熱器を位置付けるもの、および/またはガラス曲げステーションと急冷ステーションとの間に下流補助加熱器を位置付けるものを含む。さらに、熱損失を補償して、ガラスの粘度を曲げまたは成形作業のために有効な範囲内で維持することによって、薄型ガラスシートを曲げる装置および方法を説明する。補助加熱要素を、補助加熱要素がない場合に過度の熱損失をもたらすことになる位置に置いてもよい。
前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部の上流に位置付けられた炉であって、炉熱源と、前記ガラスシートが前記炉を出て行くときに該ガラスシートに面する下側表面を有する、出口端部壁とを含む、炉、をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
前記ガラスシート曲げステーションがロール曲げ機を備え、かつ前記曲げ部材が上方曲げ部材および下方曲げ部材を含み、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると該ガラスシートが前記上方曲げ部材と前記下方曲げ部材との間で曲げられるように、前記上方曲げ部材および前記下方曲げ部材が位置付けられており、このとき前記上方曲げ部材が第1の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールを備え、かつ前記下方曲げ部材が第2の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールを備え、前記ガラスシートが、前記第1の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールと前記第2の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールとの間で搬送されることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
前記ガラスシート曲げステーションがプレス曲げ機を備え、かつ前記曲げ部材が上方曲げ部材および下方曲げ部材を備え、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると該ガラスシートが前記上方曲げ部材と前記下方曲げ部材との間で曲げられるように、前記上方曲げ部材および前記下方曲げ部材が位置付けられていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の装置。
前記曲げステーションの下流の急冷ステーション、および、前記曲げステーションと前記急冷ステーションとの間に位置付けられた下流補助加熱要素、をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は以下の説明に明記される構造または処理ステップの詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本開示は他の実施形態の能力を有し、また種々の手法で実施または実行することができる。
【0019】
本明細書全体を通じて、「一実施の形態」、「特定の実施形態」、「種々の実施形態」、「1以上の実施形態」、または「実施形態」に言及する場合、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて様々な箇所に現れる、「1以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「種々の実施形態において」、「一実施の形態において」、または「実施形態において」などの表現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を参照しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1以上の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせることができる。
【0020】
本書で説明されるのは、湾曲したガラスシートを成形する装置および方法である。ほとんどの自動車用ガラスの曲げ装置は、ガラスを「高温内部」で曲げるものと、ガラスを「高温外部」で曲げるものとの、2つの一般的なカテゴリに分けられる。ガラスを高温外部で曲げるカテゴリでは、より薄いガラスを曲げることは特に難題であり、というのも一旦こういったガラスが炉を越えて曲げ装置に向けて移動すると、ガラスは非常に急速に熱を失うためである。このようなガラス曲げプロセスでは、典型的には厚さが1.5mmから6mmの間のソーダ石灰ガラスを使用する。平坦なガラスシートは炉を通ってローラコンベアなどのコンベア上で移動するときに、湾曲したガラスシートを成形するよう曲げるために所望の温度へと加熱される。平坦なガラスシートは、炉を出て次いで一定のまたは加速されたスピードを継続して、あるいは炉から出て一定間隔で特定の動きを繰り返すように動いて、部品を成形する曲げ装置内または曲げプロセスへと、さらに続いてガラス部品を熱的に焼戻しまたは熱強化する冷却ステーション(例えば急冷)内へと進む。この高温外部での曲げプロセスは設備製造業者ごとに異なるが、熱を過度に失う前にガラスを曲げること、さらに急冷することは、全てにおいて難題である。従来の厚さのガラスシートでは、炉を出て行く前に部品をより高温へと加熱することが多い。しかしながら曲げる前にガラスシートをより高温に加熱する場合には、その部品を曲げるのに十分な高温にすることによる利益と、ガラスがいっそう歪んだり跡がついたりし易くなるといったより高い温度による不利益との、バランスが取られなければならない。ガラスを高温内部で曲げる方法は、部品成形中の熱損失を軽減するために、使用される曲げ工具または成形型を加熱するステップを含む。
【0021】
本開示の1以上の実施形態によれば、1以上の補助加熱器または補助加熱要素を利用して、薄型ガラスシートが炉から出て曲げ装置に入るときに、薄型ガラスシートの熱損失を軽減する。補助加熱器または加熱要素を使用すると、炉の加熱器によって提供される熱を継続または拡張できることが理解されよう。さらに本開示の実施形態によれば、補助加熱器または補助加熱要素を、炉に加えて、および/または曲げステーションまたは曲げ機内に提供される加熱ユニットに加えて使用してもよい。一実施の形態において補助加熱要素は、端部壁が典型的には金属エンクロージャ内に入れられた絶縁区域である、炉出口と、典型的には開口している炉出口に隣接している、曲げ装置の先端とのうちの一方または両方に位置している。本開示の実施形態によれば補助加熱要素は、ガラスが炉から出て曲げ区域に入るときにガラスの温度を維持するために使用される。1以上の実施形態によれば、薄型ガラスの曲げは、炉からガラスの曲げが開始される地点までガラスの温度を維持することによって、ガラスシートを過熱しないようにしながら薄型ガラスシートを曲げるのに十分な温度で保つことによって達成される。1以上の実施形態によれば、1以上の補助加熱器はガラスシートを、加熱炉内で得られるガラス処理温度で維持する。
【0022】
本開示の実施形態によれば、「維持」とは、ガラスシートの温度をガラスシートが炉内にあったときと略同じ温度で保ち、再加熱が必要とされないことを称する。本開示の実施形態によれば、「補助加熱器」とは、炉内部を加熱する加熱器、さらにガラスシートが曲げ装置または曲げステーション内で曲げプロセスを受けている間にガラスシートを加熱する加熱器に、追加される加熱器を称する。
【0023】
1以上の実施形態は、薄型ガラスシートが炉または徐冷窯の加熱ゾーンを出た後の、曲げプロセスの前および間に、薄型ガラスシートの温度レベルを維持する方法に関する。薄型ガラスシートは、一旦炉または徐冷窯の加熱区域から出ると非常に急速に熱を失うため、既存の工業的技術を用いた加熱ゾーン外部での曲げは、薄型ガラスシートで、特に厚さが0.1mm超かつ1.6mm未満、特に1.5mm未満、または1.4mm未満、または1.3mm未満、または1.2mm未満、または1.0mm未満、または0.9mm未満、または0.8mm未満、または0.7mm未満、または0.6mm未満、または0.5mm未満、さらに具体的には0.4mm未満の薄型プレートで、成功しなかった。
【0024】
本開示の実施形態は、炉内部と曲げステーション入口との間に位置付けられて、ガラスシートが炉内にあったときのガラスシートの温度を維持し炉の下流でガラスシートの曲げまたは成形を成功させることを可能にする、補助的な外部加熱器を提供する。この補助加熱器は、炉出口の直前に、炉または徐冷窯のコンベア上方に位置していてもよいし、および/または曲げまたは成形区域内へのガラスの入口の直前に、コンベアの上方および下方に位置していてもよい。1以上の実施形態において、曲げまたは成形区域と急冷区域とが別個のステーションであるシステムおよびプロセスでは、下流補助加熱要素を曲げまたは成形区域と急冷区域との間にさらに設けてもよい。従って、いくつかの実施形態において補助加熱要素は、ガラスの温度を、ガラスが炉を出てから成形または曲げ区域内へと移送されるときに、またガラスが成形または曲げ区域から急冷区域へと入るよう移動するときに、維持するように提供される。いくつかの実施形態では、下流補助加熱要素が成形または曲げ区域と急冷区域との間に提供され、炉と曲げまたは成形区域との間には補助加熱要素は存在しない。1以上の実施形態によればフィードバック制御システムを使用して、所望のガラス温度を維持して曲げを助けながらもガラスシートの過熱によって生じる光学的歪みを防ぐように、補助加熱器を正確に制御する。1以上の実施形態では複数の熱電対を使用して、ガラスの温度を監視および維持する。フィードバック制御ループを熱電対と共に使用して、ガラスが炉を出て曲げステーションに入るときに、および/またはガラスが成形または曲げステーションを出て急冷区域に入るときに、温度を監視し、補助加熱器に信号を送信して補助加熱器によって提供される熱の量を増加または減少させ、ガラスシートの所望の温度を維持する。本書では、「急冷」、「急冷ステーション」、および類似の表現は、ガラスシートから熱を急速に抽出して、ガラスの内部部分が未だ柔らかい間にガラスの外側表面を凝固させるものを称する。急冷ステーション、または急冷区域、または急冷プロセスは、典型的には、ガラス表面への強制空気を用いて実施される。冷却が続くと、内部部分の熱収縮が凝固した外側表面に強い圧縮応力を生み出す一方、内部部分には引張応力が誘起される。これは急冷工程の単なる一例であり、急冷区域または急冷ステーションを提供するために、他の既知の急冷技術を1以上の実施形態に従って使用することができる。
【0025】
1以上の実施形態によれば、炉内で曲げを行う加熱システムと比べて、より厚いガラスシートを炉の加熱区域外で曲げるように設計されている市販のガラス成形システムを用いて薄型ガラスシートを曲げることが可能な装置および方法を提供する。本開示の実施形態によると、炉の加熱区域を越えた位置で工作器具設備を用いることで、使用される曲げ用工作器具設備が炉の加熱区域内に位置している場合よりも、交換をより速く行うことが可能になる。本開示の実施形態は、炉の加熱区域外で薄型ガラスシートを曲げる能力を可能にしながら、より低い工作器具設備コストと、より短いダウンタイムの利用が可能になる。1以上の実施形態によれば、曲げのために必要とされるガラスの温度レベルをガラスシートの過熱によって維持しがちな既存のシステムに比べて、ガラスの光学的向上も達成される。この過熱プロセスは、許容できないレベルの光学的歪みに寄与し得る。本開示の実施形態によれば、薄型ガラスシートを所望の温度範囲に加熱および維持して、過熱による歪みを防ぐことができる。
【0026】
ここで
図2を参照すると、加熱されたガラスシートを曲げる装置100の例示的な実施形態が示されている。この装置はガラスシート曲げステーション122を備え、ガラスシート曲げステーション122は、曲げステーション122が炉110に隣接して位置付けられると、炉110から搬送されたガラスシート112を曲げステーション122に受け入れるような、受入れ端部126を備えている。ガラスシート曲げステーション122は、ガラスシート出口端部128、上方曲げ部材131、および下方曲げ部材132をさらに備えている。上方曲げ部材131および下方曲げ部材132は、ガラスシート112がガラスシート曲げステーション122内へと搬送されるとガラスシート112が上方曲げ部材131と下方曲げ部材132との間で曲げられるように、位置付けられている。ガラスシート曲げステーション122は、受入れ端部と出口端部との間で曲げステーションに熱を付与する、随意的な内部加熱器140をさらに備えていてもよい。内部加熱器140は抵抗加熱器でもよいし、あるいは任意の他の適切なタイプの加熱器でもよい。
【0027】
装置100は、ガラスシート曲げステーション122の受入れ端部126に隣接して位置付けられた、補助加熱器150をさらに備えている。補助加熱器150は、ガラスシート112が炉を出てガラスシート曲げステーション122の受入れ端部126内へと搬送されるときに、ガラスシート112に向けて熱を導くように位置付けられている。
【0028】
図2に示されている装置は、ガラスシート112が炉110を出てガラスシート曲げステーション122に入るときにガラスシート112の温度を維持するための、補助加熱器150のみを含み得ることを理解されたい。しかしながら上記ように曲げステーションは、ガラスシート112が曲げステーション122内にある間にガラスシート112を加熱するために、内部加熱器140をさらに含み得る。ただし補助加熱器150は、炉110、および曲げステーション122の内部にある随意的な内部加熱器140によって供給される熱に加えて、補助的または補足的な熱を提供することを理解されたい。言い換えれば補助加熱器は、ガラスシート112が炉110を出た後、ガラスシート曲げステーション122に入る前に、熱を導いてガラスシート112の温度を維持する。より薄いガラスシート、例えば厚さが0.1mm超かつ1.5mm未満、特に1mm未満、さらに具体的には0.8mm未満のガラスシートでは、ガラスシートからの熱損失が過剰になることが確認された。この過度の損失は、顧客の要件を満たすガラスシートを提供するための一貫した高品質の曲げを生み出すことができないプロセスをもたらし得る。炉の出口と曲げステーションへの入口との間に位置付けられた補助加熱器は、一貫した高品質の曲げを可能にする。
【0029】
さらに
図2を参照すると、炉110は、炉110内に内部空間160を画成する、端部壁124および入口壁(図示なし)を備えている。内部空間160での加熱は複数の加熱区域162によって達成され、その1つのみが図示されている。徐冷窯とも称され得る炉110は、コンベア170を備えた細長い炉であることが理解されよう。コンベア170は、ベルト、空気浮上式コンベア、または
図2に示されているローラ172など、任意の従来のコンベア機構を含み得る。ガラスシート112は、コンベアローラ上で炉の端部壁124に向けて搬送され、さらに炉を出て曲げステーション122に向かって搬送される。
【0030】
図1に戻って参照すると、最後の加熱区域14とガラスシート曲げステーションの入口端部26との間に距離があり、ここではガラスシートに向けて導かれる熱が存在しないため、ガラスシートが曲げの前に冷えることが理解されよう。ガラスシートが、1.5mm、1mm、またはさらには0.8mmよりも薄い場合、ガラスシートが曲げ機22または曲げステーションに向かって移動するとき、ガラスシートからの熱損失は著しくなる。
図2を参照すると、1以上の実施形態によれば端部壁124は、ガラスシート112が炉110を出て行くときにガラスシート112に面する、下側表面176を備えている。
図2に示されている実施形態において端部壁124は、ガラスシート112が炉を出て行くときにガラスシート112に向けて熱を導く端部壁加熱器178を、端部壁124に備えている。図示の実施形態において端部壁加熱器178は、端部壁124の下側表面176内に埋め込まれた複数の細長い加熱要素180を備えている。加熱要素180は抵抗型のものでもよい。
【0031】
さらに
図2を参照すると、補助加熱器150は同様に、ガラスシート曲げステーションの受入れ端部126に据え付けられた複数の加熱要素182をさらに備え得る。図示の実施形態において、加熱要素182は細長い抵抗加熱要素である。本開示は特定のタイプの加熱要素に限定されないことを理解されたい。例えば適切な加熱要素としては放射加熱要素を挙げることができ、加熱用ランプ、レーザ、バーナーなどを利用することができる。
図2は、ガラスシートがガラスシート曲げステーション122の受入れ端部126を通過するときの、補助加熱器が、ガラスシートの上方に位置付けられた単一の加熱ユニット184、およびガラスシート112の下方に位置付けられる随意的な第2の加熱ユニット186を備えている実施形態を示している。従って加熱ユニット184を、複数の加熱要素182、より具体的には細長い抵抗加熱要素から構成された、上方加熱ユニットと称することができ、また加熱ユニット186を、同様に加熱要素182、特に図示のように複数の細長い抵抗加熱要素から構成されたものとすることができる。
【0032】
図3は、補助加熱器150が対の加熱ユニット184および186を備えていることを除いて、
図2に類似した構成を示している。この両方のユニットは複数の加熱要素182を備えている。
図2および3から、端部壁加熱器178と、単一の加熱ユニット184または対の加熱ユニット184、186を含み得る補助加熱器150とのうちの一方または両方を含むと、間隙130および炉の端部壁の下のエリアがここで加熱され、ガラスシート112が、炉内部を出てガラスシート曲げステーション122に入る前に一定温度で維持されることが理解されよう。
【0033】
端部壁124内に埋め込まれた加熱要素180は、限定するものではないが、放射加熱要素、レーザ加熱要素、火炎加熱要素など、任意の適切な加熱要素とすることができる。しかしながら
図2および3に示されているように、細長い抵抗加熱要素を利用して適切な結果を得ることができる。
図3では、6つの細長い抵抗加熱要素が夫々9.5kWで、端部壁124内に埋め込まれているように図示されている。さらに加熱要素182、特に3つの細長い抵抗加熱要素が、加熱ユニット184および186の夫々において図示されており、これらの各加熱要素も、ガラスを所望の温度で維持するのに適した出力で動作され得る。本開示は図示の構成に限定されるものではなく、他の加熱要素および出力値を使用できることを理解されたい。端部壁の補助加熱要素と、補助加熱器を構成する加熱要素は、ガラスが曲げステーション122に入るときにガラスの温度を維持するのに十分な熱を提供するべきである。さらに加熱要素は、装置を通って搬送されているガラスシートの全幅を加熱するのに適した大きさおよび/または間隔とされるべきである。
【0034】
曲げステーションは、ガラスシートに曲げまたは曲線を付与するための、任意の適切なステーションを備え得る。例えば重力で撓む曲げユニットを使用してもよく、このユニットではガラスを周縁リングによって保持している間に曲げまたは湾曲させ、つまりリングによって支持している間にガラスを、重力を利用して曲げるまたは湾曲させる。ロール曲げ機またはプレス曲げ機を含む他の曲げ装置を以下で説明する。
【0035】
ここで
図4を参照すると、曲げステーションの特定の実施形態が示されている。特定の実施形態において、
図2および3に示されている曲げステーションはロール曲げ機222である。当技術で理解されているように、ロール曲げ機222は、第1の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロール292を備えている、上方部材290を含み得る。下方部材294は、第2の組の複数の横方向に間隔を空けて傾斜させたロール296から構成される。当技術で理解されているように、ガラスシートが、
図2および3に示されているように炉からコンベアで供給される。従って、
図2および3の曲げステーションが
図4に示されているロール曲げ機222である場合、ガラスシートはロール曲げ機222の受入れ端部226内に、矢印300の方向に供給される。ロール曲げ機222の受入れ端部に位置する加熱要素282を含む、補助加熱器250は、傾斜させたロール292、296間をガラスが移動するとガラスに曲げ力をかける、ロール曲げ機222の上方部材290と下方部材294との間にガラスが入るときに、ガラスの温度を維持するように熱を提供する。
図4に示されているロール曲げ機222はロール曲げ機の例示的な実施形態であり、多くの変更形態が使用可能であることを理解されたい。本書では「ロール曲げ機」は、ロールを用いてガラスシートを曲げる装置を称する。
【0036】
図5は、上方加熱ユニット284と下方加熱ユニット286とを含む補助加熱器250の分解斜視図を示している。上方加熱ユニット284および下方加熱ユニット286は、夫々が複数の加熱要素282、特に細長い抵抗加熱要素と、さらに加熱コイル283とを含んでいる。
【0037】
図6は、シート曲げステーションが、受入れ端部326を備えたプレス曲げ機322を含み、ガラスシートを炉から矢印400の方向に受け入れる例示的な実施形態を示している。プレス曲げ機は、雄型390である上方部材と雌型394である下方部材とを備えている。この構成は逆転させてもよく、すなわち雄型が下型で、雌型が上型でもよいことを理解されたい。補助加熱器350は、上方加熱ユニット384と下方加熱ユニット386とを含む対の加熱ユニットを備え、上方加熱ユニット384および下方加熱ユニット386の夫々は、複数の細長い抵抗加熱要素382を備えている。補助加熱器350は、ガラスシートが炉を出てプレス曲げ機322に入るときにガラスシートの温度を維持し、このガラスシートは上方部材および下方部材の相補的成形面によって曲げ力を受ける。
図6に示されているプレス曲げ機322はプレス曲げ機の例示的な実施形態であり、多くの変更形態が使用可能であることを理解されたい。本書では「プレス曲げ機」は、相補的な成形型間でガラスシートを曲げる装置を称する。
【0038】
図4に示されているロール曲げ機および
図6に示されているプレス曲げ機は、
図2および3に示されている装置で使用され得ることを理解されたい。細長い抵抗加熱要素の長さは、ローラ172から構成されたコンベア170によって搬送されているガラスシートの幅以上である。ベルトコンベア、または空気浮上式または吊下げ式コンベアなどの他のコンベアタイプを利用することができる。
【0039】
本開示の別の態様はガラスシートを曲げる方法に関し、この方法は、ガラスシートを
図2、3、4、および6のいずれかに示されている装置に通して搬送し、曲がったまたは湾曲した表面を有するガラスシートを生成するステップを含む。ガラスの厚さは、0.1mm超であり、かつ1.5mm未満、または1.4mm未満、または1.3mm未満、または1.2mm未満、または1.1mm未満、または1.0mm未満、または0.9mm未満、または0.8mm未満、または0.7mm未満、または0.6mm未満、または0.5mm未満、または0.4mm未満でもよい。特定の実施形態ではガラスシートを曲げる方法が提供され、この方法は、ガラスシート曲げステーションに隣接して位置付けられた炉に通して、ガラスシートを搬送するステップを含み、炉は、入口端部壁と出口端部壁との間の内部と、この内部を加熱しかつガラスシートが炉を通って搬送されているときにガラスシートを加熱する、内部加熱器とを備えている。ガラスシートは次いで、ガラスシートに対の曲げ部材間で曲げ力を付与する、ガラスシート曲げステーションへと搬送される。補助熱が、ガラスシートが炉内部を出た後の、ガラスシート曲げステーションに入る前に、ガラスシートに加えられる。補助熱は炉の端部壁で加えられ得る。1以上の実施形態において補助加熱は、ガラスシートが炉の端部壁を通過した後の、ガラスシート曲げステーションに入る前に提供される。上記方法によるガラスシート曲げステーションは、プレス曲げ機でもよいし、あるいは上述したような曲げローラでもよい。
【0040】
図示していない別の実施形態では、補助加熱器を
図2および3に示されているように炉の端部壁内に提供してもよく、さらに
図2および3に示されているような下流の曲げステーションを設ける代わりに、炉内部で曲げを行ってもよく、ガラスは次いで冷却のためにガラス急冷区域に搬送される。このタイプの装置およびプロセスは、厚さ2.8mm未満の湾曲したガラスシートにとって有用である。従って本実施形態によれば、装置は、ガラスシートを炉に通して入口端部から出口端部へと、さらに急冷区域へと搬送する、コンベア、炉内部を画成する入口端部壁と出口端部壁とを有する炉であって、炉内部の炉熱源と、ガラスシートが炉を出て行くときにガラスシートに面する下側表面を有する、出口端部壁とを有している、炉、および、ガラスシートが搬送されて炉内部を過ぎた後にガラスシートの温度を維持するよう、ガラスシートが炉を出て行くときにガラスシートに熱を導くための、炉の端部壁に設けられた補助加熱器、を備えている。一実施の形態においてこの装置は、ガラスシートが搬送されて炉の端部壁を過ぎた後にガラスを冷却する、急冷区域を備えている。一実施の形態において急冷区域は、
図2および3に対して説明した補助加熱器に類似し得る、補助加熱器を備えている。一実施の形態においてこの装置は、炉内部に位置する曲げステーションを備えている。
【0041】
厚さ約1.5mm以下の薄型ガラスは、非常に急速に冷えるため炉の加熱区域外の曲げ装置内では適切に成形することができず、曲げ作業中に許容できない傷またはガラス物品の破壊をもたらし得ることが分かっていた。
【0042】
さらに厚さ約1.5mm以下の薄型ガラスは、このような冷却を相殺するためにより高温へと加熱されると、より歪み易くなることがある。各ガラスシートの先端および後端エッジは、シートのエッジがローラで支持されていないとカンチレバーを形成する。特定の温度を超えて加熱されると、ガラスシートはそれ自体のカンチレバーの重量の荷重を受けて撓み得、この撓みはより薄いシートで、またより高温に加熱されたシートで、より大きくなり得る。この撓みは、支持ローラ間の支持されていないシートの区域に亘っても起こり得る。こういった問題の1以上は、ガラスを搬送および成形している間に薄型ガラスシートを、歪みを容易にもたらし得る点まで最初にガラスを軟化させることなく、ガラスの曲げを可能にする粘度で維持することによって対処することができる。
【0043】
本開示の原理および実施形態は、炉と、厚さが約0.1mmから約1.5mmの範囲のガラスシートを曲げることができる曲げ装置とを備えた、湾曲ガラス製造システムに関する。
【0044】
本開示の原理および実施形態は、厚さが約0.1mmから約1.5mmの範囲、すなわち1.5mm未満から0.1mmのガラスシートを、搬送および成形作業中に適切な粘度で維持して曲げ装置によって曲げることができる、湾曲ガラス製造システムに関する。
【0045】
1以上の実施形態において、曲げ装置に入るガラスシートの粘度は、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲、または約1×10
10ポアズから約1×10
11ポアズの範囲でもよい。
【0046】
1以上の実施形態において、炉を出るガラスシートの粘度は、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲でもよい。
【0047】
1以上の実施形態においてガラスシートは、ガラスシートが炉から曲げ装置へと間隙に亘って移動されている間に、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲の粘度で維持され得る。種々の実施形態においてガラスシートは、ガラスシートが炉から曲げ装置へと移動されている間に、炉と湾曲ガラス製造システムとの間に位置し得る1以上の補助加熱要素によって、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.2ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲、または約1×10
10ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度で維持される。
【0048】
1以上の実施形態において曲げ装置は、ローラ曲げ装置、重力で撓む曲げ装置、またはプレス曲げ装置でもよい。
【0049】
1以上の実施形態において、プレス曲げ装置は雄型枠(雄曲げ型枠とも称する)および雌型枠(雌曲げ型枠とも称する)を備え得る。種々の実施形態において、雌曲げ型枠はリングまたはフレームを備え得るものであり、リングまたはフレームは、加熱されるガラス物品の周縁の少なくとも一部に係合しおよび/またはこれを支持し、さらにリングの少なくとも中央部分には、成形作業中にガラスシートの一部を受け入れる中空空間を提供する。加熱されるガラス物品は平坦なシートでもよい。種々の実施形態において雌曲げ型枠および雄曲げ型枠は、互いに係合してガラス物品を成形するように構成されている。種々の実施形態において、加熱要素、炉出口開口、雌曲げ型枠、および雄曲げ型枠は、水平に配向され得る。
【0050】
種々の実施形態において、軟化したガラスシートを、プレス曲げ装置の雌曲げ型枠内に置いてもよい。種々の実施形態では、軟化したガラスシートを、曲げの前に重力下で撓ませることも可能である。
【0051】
1以上の実施形態において、1以上の補助加熱要素は炉出口と曲げ装置入口との間に位置し得、このとき1以上の補助加熱要素は、炉出口および/または曲げ装置入口に隣接し得る。種々の実施形態において1以上の補助加熱要素は、曲げ装置に接続されたものでもよいし、および/または作動的に曲げ装置に関連付けられたものでもよく、このとき補助加熱要素は曲げ装置の少なくとも一部と同調して移動する。1以上の実施形態において、曲げ区域と急冷区域とが別個のステーションであるシステムおよびプロセスでは、下流補助加熱要素を曲げ装置と急冷区域との間にさらに設けてもよい。従っていくつかの実施形態において補助加熱要素は、ガラスが炉を出てから成形区域内へと移送されるときに、さらにガラスが成形区域から移動して急冷区域に入るときに、ガラスの温度を維持するように提供される。
【0052】
本開示の1以上の実施形態において1以上の補助加熱要素は、ガラスが炉または徐冷窯を出て曲げ装置へと入る間に、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.2ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲、または約1×10
10ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度で、ガラスを維持するために使用される。種々の実施形態において薄型ガラスの曲げは、加熱要素からガラスシートに熱エネルギーを付与することで、ガラスシートを過度に柔らかくせずに(すなわち約1×10
9.9ポアズ未満)曲げるのに十分な粘度で薄型ガラスシートを保つことによって達成される。1以上の実施形態によれば、1以上の補助加熱要素はガラスシートを、加熱炉内で確立されるガラス処理粘度付近で維持する。
【0053】
本開示の種々の例示的な実施形態を、図を参照してより詳細に説明する。これらの図はいくつかの実施形態を単に示したものであり、添付の請求項に対して参照されるべき本開示の全範囲を表すものではないことを理解されたい。図面は正確な縮尺ではなく、種々の図示の構成要素のサイズは描写を簡単にするためのものであることにも留意されたい。
【0054】
図7は、ガラス製造システム510の例示的な実施形態の断面図を示している。この例示的なガラス製造システム510は、炉550と、曲げ装置600と、冷却装置900とを備え得る。ガラス物品が、炉550から曲げ装置600へと移送されて成形され、次いで冷却装置900へと移送されて冷却され得る。炉550と曲げ装置600との間、および/または曲げ装置600と冷却装置900との間には、移動ゾーンが設けられ得る。移動ゾーンは、ガラス物品をガラス製造システム510内に入れるために炉550の手前にも設けられ、また完成したガラス物品を取り出すために冷却装置900の後ろにも設けられ得る。
【0055】
図8は、ガラス製造システム510の例示的な実施形態の断面図を示している。この例示的なガラス製造システム510は、炉550と、曲げ装置600と、複数の補助加熱要素700とを備え得る。種々の実施形態において、例示的な湾曲ガラス製造システム510は冷却リングおよび/または冷却装置をさらに備え得る。湾曲ガラス製造システム510の異なるモジュール(すなわち、炉550、曲げ装置600、冷却装置)間には、間隙すなわち移動ゾーンが存在し得る。
【0056】
より薄いガラスシート、例えば厚さが1.5mm未満、特に1mm未満、さらに具体的には0.8mm未満のガラスシートでは、ガラスシートからの熱損失が過剰になることが確認された。移動ゾーンの周囲温度が加熱されたガラス物品とは異なることによるガラス粘度の変化により、特に厚さ1.5mm以下のガラス物品では、ガラスを適切に成形するのに有効な範囲内でガラス粘度を維持して、光学的歪みを引き起こす皺の生成を防ぐには、課題が生じ得る。こういった課題の要因の1つは、薄型ガラスシート(すなわち、≦1.5mm)の熱質量が、有効な粘度範囲内のまま維持にするには不十分なものであることである。この課題の解決策として、1以上の各移動ゾーン内に位置付けられる1以上の加熱要素が挙げられる。
【0057】
いくつかの事例では、他の装置構成要素の空間的要件のために、移動ゾーン内の加熱要素とガラス物品の主表面との間のクリアランス距離が大き過ぎることから、ガラスシート505の粘度を効果的におよび/または効率的に維持できない可能性がある。ある解決策は、ガラス物品5が炉550のガラス加熱ゾーンから曲げ装置600内の成形ゾーンへと移動されるときにもガラス物品に十分な熱を提供しながら、少なくとも部分的に鉛直成分を含む運動を加熱要素に提供して、プレス成形型、冷却リング、および/または他の成形設備および構成要素を受け入れるものである。加熱要素を、ガラス移動プロセス中にガラスシートに近く、かつ加熱要素からガラス物品表面に対して効率的な熱伝達を提供することができる位置と、ガラスシートが加熱要素の下を通過した後に、必要に応じて下流の機械的機器(すなわち、プレス成形型、または他の可動部品を備えた成形設備)のために空間を空けることができる、より高い高度の位置との間で、ある機構によって関連付けることができる。
【0058】
1以上の実施形態において湾曲ガラス製造システム510は、ガラス物品の粘度が約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲になるまでガラス物品を加熱するように構成され得る、炉550を備えている。炉は出口開口を有し得、ガラス物品5はこの出口開口から炉を離れることができる。種々の実施形態においてガラスシート505は、炉出口開口から曲げ装置600へと、1以上の支持体590上で搬送され得る。
【0059】
1以上の実施形態において曲げ装置600は、取入口端部および排出口端部と、雄曲げ型枠630と雌曲げ型枠650とを備えていてもよく、このとき取入口端部および排出口端部は、薄型ガラスシートの通過を可能にするような構成および寸法である。ガラスシート505を少なくとも炉550から曲げ装置内へと搬送する、支持体590は、ガラス物品のための移動経路に沿って位置付けられて、この移動経路を形成し得る。種々の実施形態では曲げ装置600内に支持体590が存在し、かつこれらの支持体の平面の下に雌曲げ型枠650が存在していることで、ガラス物品が1以上の支持体590上で雌曲げ型枠650を通り過ぎるための、またガラス物品が曲げ装置600内へと入るための、クリアランスを提供することができる。曲げ装置600はさらに、雄曲げ型枠630に接続されて雄曲げ型枠630を支持している、上方フレーム620と、支持体590の1以上および/または雌曲げ型枠650に接続されてこれを支持している、下方フレーム670とを備え得る。上方フレーム620および下方フレーム670は、当技術において既知であるように、限定するものではないが支持および構造的剛性を提供する構成および寸法の鉛直、水平、および横方向の構造フレーム部材などの、他のフレーム部品に接続および/または動作可能に関連付けられたものでもよい。種々の実施形態において支持体590は、支持ブラケット596を備えたベース680に固定され得、ベース680は曲げ装置600の構造フレーム610に固設され得る。
【0060】
1以上の実施形態において、支持体590はローラおよび/またはガスベアリングでもよく、ガスベアリングは、気体を利用してガラス物品を気体の薄膜上で支持することができる、静圧ベアリングでもよい。種々の実施形態において気体は、空気、窒素、水素、ヘリウム、またはこれらの組合せでもよい。種々の実施形態において支持体は、1以上のローラと1以上のガスベアリングとの組合せを含み得る。支持体は、ガラス物品が炉550、移動ゾーンとも称され得る間隙710、および/または曲げ装置600を通り過ぎる際の、平坦な平面を形成するものでもよく、この平面は、水平、横方向に傾けたもの、縦方向において傾斜させたもの、または横方向に傾けたものと縦方向において傾斜させたもの組合せでもよい。
【0061】
1以上の実施形態において補助加熱要素700は、ガラス物品の移動平面の上方、移動平面の下方、または移動平面の上方および下方の両方に位置付けられ得る。
【0062】
1以上の実施形態では、加熱されたガラスシート505が炉出口開口555から離れて曲げ装置入口開口605へと移動するときにこの加熱されたガラスシート505を支持するローラである、複数の支持体590の上方に、加熱ガスベアリングを設けてもよく、加熱ガスベアリングは加熱ガスの流れを加熱ガスベアリングの表面と加熱されたガラスシートの主表面との間の間隙内へと提供することで、ガラスシートの粘度を維持し、および/または加熱されたガラスシート505の面している主表面に対してガス圧を加える。
【0063】
1以上の実施形態において、ガラス物品が炉出口開口555から曲げ装置入口開口605へと移動するときに、加熱されたガラスシート505が移動する際の速度は支持体590上で、約100mm/秒から約800mm/秒の範囲、または約200mm/秒から約800mm/秒の範囲、または約250mm/秒から約750mm/秒の範囲、または約500mm/秒から約750mm/秒の範囲、または約250mm/秒から約700mm/秒の範囲、または約600mm/秒から約750mm/秒の範囲でもよい。加熱されたガラスシート505の速度は、加熱されたガラスシート505が炉を離れるときと加熱されたガラスシート505が最終形状へと曲げられるときとの間の時間量と、それによる粘度の増加量とを決定する一因子である。
【0064】
種々の実施形態において、炉出口開口555と曲げ装置入口開口605との間の間隙710は、約2.54cmから約100cm、または約2.54cmから約61cm、または約2.54cmから約30.5cm、または約5cmから約30.5cm、または約5cmから約15.25cmの範囲でもよい。
【0065】
動作時には加熱されたガラスシートを、ガラス物品からの熱損失を補償しながら炉550から曲げ装置600へと支持体590上で搬送することができ、そのためガラス物品の粘度は約1×10
9.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲で維持される。種々の実施形態においてガラス物品からの熱損失は、炉出口開口555と曲げ装置入口開口605との間の間隙710に位置付けられた、1以上の補助加熱要素によって補償され得る。種々の実施形態において補助加熱要素700は、熱を加熱要素から炉550と曲げ装置600との間の移動経路に向けて導くことができる、ハウジング705内に設けてもよい。種々の実施形態において1以上の補助加熱要素700は、炉出口開口555の長い寸法に平行に、かつ加熱されたガラスシートの運動方向に垂直に、移動方向を横切って延在し得る。種々の実施形態において1以上の補助加熱要素700は、炉出口開口555の長い寸法に垂直に、かつ加熱されたガラスシートの運動方向に平行に、移動方向に沿って縦方向に延在し得る。種々の実施形態において補助加熱要素700および炉出口開口555は、水平にまたは傾けて配向され得る。
【0066】
1以上の実施形態において1以上の補助加熱要素700は、ガラス物品を少なくとも約1×10
9.9ポアズの粘度で、あるいは約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲、または約1×10
10ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度で、維持するのに十分な熱を供給することができる。種々の実施形態において加熱要素の熱出力は、ガラス物品が少なくとも炉550と曲げ装置600との間にある間にガラス物品によって放出される熱の量を補償するのに十分な熱流束を、伝導、対流、および/または放射を通じて提供するのに十分なものである。種々の実施形態において加熱要素は、電気抵抗加熱要素、ガス燃焼加熱要素、および/または放射加熱要素でもよい。
【0067】
種々の実施形態において電気抵抗加熱要素は、金属(例えば、ニクロム、キュプロニッケル、またはカンタルなど)、セラミック(例えば、二ケイ化モリブデン(MoSi
2)または炭化ケイ素(SiC)など)、またはハウジング内に電気抵抗加熱要素を備えた複合物でもよい。種々の実施形態において放射加熱要素は、タングステン線、炭素、カンタルを含むものでもよいし、または石英/ハロゲンでもよく、あるいはラジアントチューブのガス燃焼加熱要素でもよい。
【0068】
1以上の実施形態においてガラス物品は、厚さ1.5mm以下の薄型ガラスシートでもよい。種々の実施形態において薄型ガラスシートの厚さは、約0.1mmから約1.5mmの範囲、または約0.1mmから約1.4mmの範囲、または約0.1mmから約1.3mmの範囲、または約0.1mmから約1.2mmの範囲、または約0.1mmから約1.1mmの範囲、または約0.1mmから約1.0mmの範囲、または約0.1mmから約0.9mmの範囲、または約0.1mmから約0.8mmの範囲、または約0.1mmから約0.7mmの範囲、または約0.1mmから約0.6mmの範囲、または約0.1mmから約0.5mmの範囲、または約0.1mmから約0.4mmの範囲でもよい。
【0069】
1以上の実施形態において、厚さが約0.1mmから約1.5mmの範囲、または約0.1mmから約1.4mmの範囲、または約0.1mmから約1.3mmの範囲、または約0.1mmから約1.2mmの範囲、または約0.1mmから約1.1mmの範囲、または約0.1mmから約1.0mmの範囲、または約0.1mmから約0.9mmの範囲、または約0.1mmから約0.8mmの範囲、または約0.1mmから約0.7mmの範囲、または約0.1mmから約0.6mmの範囲、または約0.1mmから約0.5mmの範囲、または約0.1mmから約0.4mmの範囲の薄型ガラスシートは、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲、または約1×10
10ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度、または少なくとも約1×10
9.9ポアズの粘度で維持され得る。
【0070】
1以上の実施形態において、ガラス物品またはシートのガラスは、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、またはアルミノケイ酸塩ガラスから作られたものでもよい。
【0071】
1以上の実施形態では、複数の薄型ガラスシートを同時に、積み重ね、位置合わせし、さらに曲げ装置内へと取り込んでもよい。複数のシートを、曲げ装置で一度に一緒に成形してもよい。
【0072】
1以上の実施形態において曲げ装置600は、1以上の薄い加熱されたガラスシートの通過を可能にする構成および寸法の、曲げ装置入口開口605と、1以上の薄い加熱されたガラスシートの通過を可能にする構成および寸法の、曲げ装置出口開口695とを備えていてもよく、薄型ガラスシートは曲げ装置600に曲げ装置入口開口605から入り、かつ出口開口695から曲げ装置を離れることができる。種々の実施形態において、曲げ装置出口開口695は曲げ装置入口開口605の反対側にあるものでもよいし、あるいは曲げ装置出口開口695は曲げ装置入口開口605に対して、傾斜または直交していてもよい。
【0073】
種々の実施形態において曲げ装置600は、毎分約1から10のガラス物品、あるいは1分当たり約2から10のガラス物品、または1分当たり約6から10のガラス物品を成形することができ、このとき各ガラス物品は、約6秒から約60秒で、または約6秒から約30秒で、または約6秒から約10秒で成形され得る。
【0074】
図9は、曲げ装置600の例示的な実施形態の斜視図を示している。
【0075】
1以上の実施形態において曲げ装置600は、曲げ装置600を構成する種々の構成要素に支持および空間的配置を提供する構成、寸法、および配置の、1以上のフレーム部材を備えた、構造フレーム610を含み得る。
【0076】
成形作業後に薄型ガラスシートを受け入れて支持し得る冷却リング800が、曲げ装置600の出口側の方に図示されている。1以上の実施形態において、冷却リング800を支持フレーム850(
図11参照)に接続してもよく、支持フレームはレールおよび/またはローラに乗って、雄曲げ型枠630の下の雄曲げ型枠630に適切に位置合わせされた受入れ位置と冷却装置900(
図11参照)との間を往復することができる。冷却リング800は、このとき曲げられた薄型ガラスシートを続く熱処理のために、曲げ装置600から冷却位置または冷却装置900へと移送することができる。種々の実施形態において冷却装置900は、制御された冷却のために冷却ガスを薄型ガラスシートに向けて導く、冷却リング800の上方、冷却リング800の下方、またはその両方に配列された、複数のガスジェット910を備えていてもよく、複数のガスジェットの位置および/または方向によって、冷却装置内に冷却ゾーンが形成される。
【0077】
1以上の実施形態では、加熱要素駆動機構750を1以上の補助加熱要素701に作動的に関連付けてもよく、このとき加熱要素駆動機構750は1以上の補助加熱要素701に、鉛直運動を含み得る運動範囲を提供する。さらに支持体590の平面から固定距離上方の意図された位置に留まる、1以上の固定補助加熱要素700が存在していてもよい。可動ハウジング706内に1以上の補助加熱要素701を備えている補助加熱器709は、曲げ作業の少なくとも一部の間に上下に動いて、雄および/または雌型枠、冷却リング、または他の成形設備および構成要素を受け入れることを可能にすると同時に、ガラス物品が炉のガラス加熱ゾーンから曲げ装置600の成形ゾーンへと移動されるときに、さらにガラス物品に十分な熱を提供することができる。種々の実施形態において、加熱要素の運動の鉛直範囲は、約125mm(約5インチ)から約356mm(約14インチ)、または約203mm(約8インチ)から約305mm(約12インチ)の範囲でもよい。種々の実施形態において加熱要素の運動は、加熱されたガラスシートの運動方向に垂直な平面内でもよい。種々の実施形態において加熱要素の運動は、加熱されたガラスシートの運動方向に対して円弧状または傾斜したものでもよく、このとき少なくとも運動の一成分は、移動平面から離れる、例えば鉛直成分(すなわち、ベクトル成分)である。
【0078】
種々の実施形態において補助加熱要素および/または可動ハウジングは、加熱されたガラスシートを炉出口開口555から曲げ装置入口開口605へと移動させる間、加熱されたガラスシートの主表面から、約5mmから約30mm、または約10mmから約30mm、または約15mmから約30mmとなるように構成され得る。
【0079】
1以上の実施形態において、1以上の可動補助加熱要素701の移動ゾーン内での運動は、直線運動に対して回転を生み出すモータおよび機械的リンク機構、機械的リニアアクチュエータ、または空気圧式リニアアクチュエータを備えた、加熱要素駆動機構750によって達成され得る。機械的リンク機構および駆動装置、機械的リニアアクチュエータ、または空気圧式リニアアクチュエータは、補助加熱器709および/または1以上の加熱要素に動作可能に関連付けられており、またある範囲の運動を提供するように構成されている。
【0080】
1以上の実施形態では、加熱要素駆動機構750が可動ハウジング706を上方フレーム620に接続させてもよく、このとき加熱要素駆動機構750は、例えば1以上の棒部材、ブラケット、ロッド、梁など、機械的連結部材755によって上方フレーム620に接続され得る。種々の実施形態においては1以上の補助加熱要素700、701を、1以上の補助加熱要素700、701を受け入れる構成および寸法のハウジング705、706内に据え付けてもよく、ハウジング705、706は、1以上の補助加熱要素700、701への電力接続を保持および提供する、適切な機械的支持体および電気コネクタを備えている。電力は1以上の加熱要素に、電気コネクタを通じて提供することができる。冷却リング800が雄曲げ型枠630の下の雄曲げ型枠630に適切に位置合わせされた受入れ位置へと動くときに、可動ハウジング706および補助加熱要素701を加熱要素駆動機構750によって鉛直に動かして、冷却リング800、支持フレーム850、および/または往復レール880のために、十分なクリアランスを提供することができる。種々の実施形態において、加熱要素駆動機構750は直線駆動機構でもよく、限定するものではないが、リニアモータ、ダイレクトドライブモータおよびボールねじ、空気圧式、油圧式、または電磁式リニアアクチュエータ、および空気圧式または油圧式シリンダなどの、例えばリニアアクチュエータでもよい。
【0081】
図10は、曲げ装置600の例示的な実施形態を、装置の構造フレーム610を図示せずに示した斜視図である。
【0082】
1以上の実施形態において雄曲げ型枠630は、中心部分と周縁部分とを有する雄曲げ型枠表面635を含む、雄型体632を備え得るものであり、雄曲げ型枠表面635は雌曲げ型枠650に面し得る。種々の実施形態において雄曲げ型枠表面は湾曲しており、この表面の湾曲は、ガラス物品に一致する形状を付与するように意図されている。種々の実施形態において雄曲げ型枠表面の湾曲は、凹状、凸状、複合曲線、鞍状部、複素曲線、またはこれらの組合せとすることができる。種々の実施形態においては、雄曲げ型枠および雌曲げ型枠の、構成、寸法、および位置付けにより、曲げ装置内での成形ゾーンが画成される。
【0083】
1以上の実施形態において、雄型体632は中空内部エリアを備えていてもよく、中空内部エリアは雄曲げ型枠表面635を加熱する、1以上の加熱要素を収容することができる。種々の実施形態において雄曲げ型枠630は、雄型体632内に配置されかつ雄曲げ型枠表面635と熱的に接触している、複数の型加熱要素を備えていてもよく、このとき1以上の加熱要素を、雄曲げ型枠表面635の中心部分を雄曲げ型枠表面635の周縁部分よりも高い温度へと加熱するように、制御することができる。種々の実施形態において、雄曲げ型枠表面635の中心部分のデルタ温度は、雄型表面の周縁部分の温度よりも約30℃から約100℃高いものでもよい。
【0084】
1以上の実施形態によれば、フィードバック制御システムを使用して、加熱下によるガラスシートの過熱および/または破損によって生じる光学的歪みを回避しながら曲げを助けるべく、意図された表面温度を維持するよう雄曲げ型枠の加熱要素を正確に制御することができる。1以上の実施形態では1以上の熱電対を使用して、雄曲げ型枠表面635の温度を、さらに雄曲げ型枠表面635の周縁部分と中心部分との間の温度勾配を、監視および維持することができる。
【0085】
図11は曲げ装置600の例示的な実施形態の側面図を示している。
【0086】
1以上の実施形態ではガラスシート505が、1以上の支持体590によって移動方向に沿って前に押し出されながら、複数の補助加熱要素700、701(移動平面の下の加熱要素は示されているが、支持体590の支持ブラケット596の背後に隠れている)の間を通過し得る。ガラスシート505は、その間に厚さを有する2つの主表面を備えた、平坦なガラスシートでもよい。種々の実施形態において、移動平面の下の加熱要素は支持体590の下に位置付けられたものでもよく、炉出口開口555から曲げ装置入口開口605へと加熱されたガラスシートが移動する間、加熱されたガラスシートの主表面から、約90mmから約100mm、または約90mmから約110mmの位置に位置付けられ得る。種々の実施形態において移動平面の下の加熱要素は、支持体590間に位置付けられたものでもよく、炉出口開口555から曲げ装置入口開口605へと加熱されたガラスシートが移動する間、加熱されたガラスシートの主表面から約5mm、または約5mmから約30mm、または約10mmから約30mm、または約15mmから約30mm、または約20mmから約75mmの位置に位置付けられ得る。曲げ装置600内で、雌曲げ型枠650がガラス物品を支持体から持ち上げるのと同調してガラスシート505が雌曲げ型枠650に位置合わせされて雌曲げ型枠650の上方に位置付けられるように、ガラスシート505は減速し得る。
【0087】
種々の実施形態において雌曲げ型枠650は、雌曲げ型枠650に直線運動を付与する雌曲げ型枠駆動装置665に作動的に関連付けられたものでもよく、そのため雌曲げ型枠650は、雌曲げ型枠650の上方エッジが支持体590の上方平面よりも下になる、受入れ位置と、雌曲げ型枠650が雄曲げ型枠630に作動的に係合してガラスシート505に曲げを生じさせる、成形位置との間で、鉛直に動くことができる。種々の実施形態において雌曲げ型枠650は、下方フレーム662および1以上の柱660によって雌曲げ型枠駆動装置665に接続され得る。種々の実施形態において雌曲げ型枠駆動装置665は、雌曲げ型枠650に往復運動を提供する、電気モータ、またはガスまたは油圧式シリンダでもよい。
【0088】
1以上の実施形態において、移動平面の上方に位置する1以上の補助加熱要素700、701は、炉出口開口555から曲げ装置入口開口605へと加熱されたガラスシートが移動する間、加熱されたガラスシートの主表面から約5mm、または約5mmから約30mm、または約10mmから約30mm、または約15mmから約30mmの位置に位置付けられ得る。
【0089】
1以上の実施形態において、雄曲げ型枠630は雄曲げ型枠表面635に複数のオリフィスを有し、このオリフィスを通じて真空が適用され得る。種々の実施形態において複数のオリフィスは、雄曲げ型枠630の接触表面と薄型ガラスシートの主表面との間に形成される境界面に、真空適用のための空気通路を提供する。オリフィスは境界面およびオリフィス内の気体を真空吸引することができる真空源に接続され、真空源と流体連通した状態とすることができる。軟化したガラス物品が雄曲げ型枠表面635に接触するときに真空力をガラスシート505に適用して、曲がったガラス物品を雄曲げ型枠表面635に付着させることができる。ガラス物品が意図された形状へと曲がった後に、雌曲げ型枠650を成形位置から受入れ位置へと後退させて戻し、曲がったガラス物品を雄曲げ型枠630の表面に付着した状態で移動平面の上方に残したままにすることができる。種々の実施形態では、冷却リング800が冷却位置から曲げ装置600内部の受入れ位置へと動くためのクリアランスを提供するために、雄曲げ型枠630および付着しているガラス物品を支持体591、592の十分に上方に留まらせることができる。
【0090】
1以上の実施形態において冷却リング800は、冷却装置900と曲げ装置600との間で1以上の往復レール880に乗ってこれに沿って動く、支持フレーム850で支持されており、冷却リング800および支持フレーム850は曲げ装置出口開口695を通って曲げ装置600に入る。種々の実施形態において曲げ装置入口開口605および/または曲げ装置出口開口695は、冷却リング800、支持フレーム850、往復レール880、またはこれらの組合せの、通過を可能にする構成および寸法とされ得る。種々の実施形態において、冷却リング800のフレームは曲げ装置入口開口605を越えて延在することがあり、補助加熱要素701の1以上および/または可動ハウジング706と衝突および/または干渉し得る。
【0091】
1以上の実施形態においては、雄曲げ型枠630に対する真空を解除して、曲がったガラス物品を冷却リング800の上方表面上へと落下させることができる。種々の実施形態において、真空が解除されて曲がったガラス物品が冷却リング800上に落下するときに、雄曲げ型枠630は固定された位置のままでもよい。種々の実施形態では、雄曲げ型枠630が鉛直に移動して雄曲げ型枠表面635と冷却リング800の上方表面との間の距離を減少させることができ、曲がったガラス物品を減少した高さから落下させてもよいし、または冷却リング800の上方表面上に置いてもよい。
【0092】
図12は、曲げ装置600の例示的な実施形態の上面図を示している。
【0093】
1以上の実施形態では、支持体590の1以上を分割して、雌曲げ型枠650によって形成される境界の外側に存在する外部支持体591と、雌曲げ型枠650によって形成される境界内に位置する内部支持体592とを提供してもよく、このときガラス物品は、ガラス物品が曲げ装置600内の位置に搬送されるときに少なくとも、1以上の内部支持体592で支持され得る。雌曲げ型枠650を鉛直に動かして、ガラス物品を持ち上げてもよい。種々の実施形態において雌曲げ型枠は、ガラス物品を雄曲げ型枠表面635の少なくとも一部に対して押圧するのに十分な距離だけ移動し得る。種々の実施形態において雌曲げ型枠は、雄曲げ型枠表面635に接触する前に減速するか、あるいは動きを止めてもよく、雄曲げ型枠が鉛直に動いてガラス物品を押してもよい。
【0094】
1以上の実施形態において雌曲げ型枠650は、加熱されたガラスシートの周縁の少なくとも一部を支持すると同時に少なくとも中央部分に開口を提供する構成および寸法の、曲げ型枠構造部材652、654、656、658とも称される1以上の曲げ型枠構造部材を備え得る。種々の実施形態において、雌曲げ型枠650を形成している1以上の曲げ型枠構造部材または複数の曲げ型枠構造部材は、雄曲げ型枠表面635に面する1以上の接触表面と、さらにリングの少なくとも中央部分に開口とを有している、閉じたリングを形成するよう隣接し得る。加熱されるリング内の開口は、ガラス物品が雄曲げ型枠表面635の少なくとも一部に係合するときにガラス物品および雄曲げ型枠630の一部を受け入れる、構成および寸法とされ得る。種々の実施形態では、雌曲げ型枠650を形成する1以上の構造部材または複数の曲げ型枠構造部材を、リブ間にガラス物品を支持するための表面が存在しない介在する空間を設けるように分割してもよい。種々の実施形態において雌曲げ型枠650は、ガラスシートの周縁に接触してこれを支持する、上面を有し、平坦なガラスシートの少なくとも一部はこの上面の上に置かれる。種々の実施形態において、雌曲げ型枠650を構成する曲げ型枠構造部材652、654、656、658の1以上は、真っ直ぐでありかつガラス物品の周縁に沿ってガラス物品の重量の少なくとも一部を支持する、平坦な上面を提供するものでもよく、また雌曲げ型枠650を構成するリブの形を成す曲げ型枠構造部材652、654、656、658の1以上は、湾曲したものでもよく、このときリブの1以上における湾曲は、最終的な曲がったガラス物品の意図された湾曲に対応する。
【0095】
1以上の実施形態において雌曲げ型枠650は、2以上のいくつかの曲げ型枠リブを備えたリングと、1以上の加熱要素とを備え、このいくつかの曲げ型枠リブは、薄型ガラスシートの周縁を支持する構成および寸法であり、また1以上の加熱要素のうちの少なくとも1つは、リブの1つに作動的に関連付けられている。
【0096】
1以上の実施形態において、雌曲げ型枠650を構成する曲げ型枠構造部材652、654、656、658の幅は、約3mmから約30mmの範囲、または約6mmから約30mmの範囲、または約12mmから約30mmの範囲、または約20mmから約30mmの範囲でもよく、このとき曲げ型枠構造部材652、654、656、658の幅は、ガラス物品と接触し得る雌曲げ型枠650の上面の面積を決定する。種々の実施形態において、雌曲げ型枠650を構成する曲げ型枠構造部材652、654、656、658の断面は、正方形、長方形、三角形、六角形、または他の多角形、L字状またはП字状でもよい。種々の実施形態においては加熱要素690を、リブの形を成している曲げ型枠構造部材652、654、656、658の底面または側面に熱接触させ、また固設してもよい。雌曲げ型枠650に関連する各雌曲げ型枠加熱要素690によって生成される熱は、ガラス物品の周縁の粘度を、ガラス物品に付与される光学的歪みおよび/または皺の程度を減少させながら曲げに適した範囲で維持するように、個々に制御することができる。種々の実施形態において雌曲げ型枠加熱要素は、ガラス物品の周縁の粘度を約1×10
12.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲で維持するように構成され得る。
【0097】
1以上の実施形態において曲げ装置は、加熱された雌曲げ型枠に作動的に関連付けられている、熱センサと、通信経路で熱センサに電気通信している、コントローラとをさらに備え、加熱された雌曲げ型枠は、加熱されたガラスシートの周縁に接触してこれを支持する、表面を有し、また熱センサは、加熱されたガラスシートの周縁に接触している少なくとも雌曲げ型枠表面の温度を測定するように構成されており、かつ測定された温度をフィードバックループでコントローラに伝えることができる。
【0098】
1以上の実施形態において、雌曲げ型枠650の1以上の接触表面はガラス物品の主面の周縁に接触して、ガラス物品を雄曲げ型枠630に接触させるように持ち上げる。種々の実施形態において、雄曲げ型枠630は成形作業中に移動しない。種々の実施形態において、ガラス物品は加熱された雄曲げ型枠表面635に対して押圧され、このとき雄曲げ型枠表面635の周縁は雄曲げ型枠表面635の中心部分よりも低温であるよう、雄曲げ型枠表面635の周縁と中心部分との間には勾配が存在する。種々の実施形態において雄曲げ型枠表面635の周縁は、ガラス物品の周縁の粘度を約1×10
12.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲で維持する温度であり、また雄曲げ型枠表面635の中心部分は、ガラス物品の中心部分の粘度を約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲で維持する温度である。種々の実施形態において、ガラス物品の周縁の粘度は約1×10
12.6ポアズで維持され、またガラス物品の中心部分の粘度は約1×10
9.9ポアズで維持され、成形作業中これらの間には粘度勾配が存在する。種々の実施形態において、より鋭角の曲げを含むガラス物品の部分は、加熱された雄曲げ型枠表面635によって約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度を生み出す温度まで加熱される。加熱された雄曲げ型枠表面635は、各加熱要素によって生成される熱をコントローラで制御することによって、薄型ガラスに差別的な粘度プロファイルを生成することができる。
【0099】
1以上の実施形態において、雌曲げ型枠650の曲げ型枠構造部材652、654、656、658は、ガラス物品の周縁の粘度を約1×10
12.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲で維持する温度まで加熱される。
【0100】
曲げ装置600の出口側の方に図示されている冷却リング800は、曲げ装置600内へと水平に移動することができ、雄曲げ型枠630の下に雄曲げ型枠630に位置合わせして位置付けられて、このときに曲げられたガラス物品を受け取る。1以上の実施形態において冷却リング800は、加熱されたガラスシートの周縁の少なくとも一部を支持する、1以上の冷却リング構造部材または冷却リングリブ810、820、830、840を備え得る。
【0101】
種々の実施形態では冷却リング800を加熱してもよく、この加熱は、冷却リング800の冷却リングリブ810、820、830、840に作動的に関連付けられ、またこれに熱接触している、1以上の冷却リング加熱要素860によって達成され得る。種々の実施形態において加熱された冷却リング800は、少なくとも曲がったガラス物品の周縁の周りで、成形後にガラス物品の冷却速度を制御することができる。種々の実施形態では、曲がったガラス物品が曲げ装置から移動するときに、加熱された冷却リング800を提供しかつ曲がったガラス物品の冷却を制御することによって、ガラス製造システム510は高いスループット率を維持することができる。これはガラス物品が冷却リング800へと移動されると、ガラス物品の熱衝撃を防ぐよう曲げ装置600を減速させる必要がないためである。
【0102】
図13は、曲げ装置600の例示的な実施形態を、装置の支持フレームを図示せずに示した側面図である。
【0103】
1以上の実施形態において1以上の補助加熱要素700、701は、加熱されたガラスシートが炉出口から曲げ装置入口開口605へと移動する間に、加熱されたガラスシート505の粘度を約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲で維持するのに十分な熱流束を、加熱されたガラスシート505に提供する。種々の実施形態において、熱流束は、ガラスシートの質量、ガラスシートの移動速度、および/または移動ゾーンのサイズに基づいて決定され得る。
【0104】
1以上の実施形態において平坦なガラスシートは、曲げ装置600内へ、および/または曲げ装置600を通って移動するときに、複数の支持体590に載っていてもよい。平坦なガラスシートの前方への運動は、このガラスシートが雌曲げ型枠650の上方に雌曲げ型枠650に位置合わせされて位置付けられるときに減速させてもよい。このとき支持体はガラスシート505の前方への運動を、雌曲げ型枠650の鉛直運動と同調させて減速させてもよく、そのため雌曲げ型枠650は、ガラスシート505が完全な停止に近づくとガラスシート505を支持体から持ち上げる。支持体が順次的な形で配置された一連のローラであり、そのためガラスシートの重量および表面積が少なくとも大部分、複数のローラに載っている実施形態では、当技術において既知であるようにローラを適切な駆動機構(例えば、チェーン、シャフト、サーボモータなど)で駆動してもよく、さらにローラは、ガラスシートが曲げ装置内に意図された距離だけ移動したときにその回転を減速させて、ガラスシート505を減速させることができる。雌曲げ型枠650の一方の端部に位置する緩衝器は、ガラスシートが持ち上げられるときにガラスシートがぶつかって停止する、固定の位置および表面を提供することができる。支持体が、ガラスシートの重量および表面積の少なくとも大部分を支持するガスベアリングとされ得る実施形態では、シートの前方への運動を、遮断機構によって減速または停止させてもよい。
【0105】
1以上の実施形態において雌曲げ型枠650は、雄型枠に向かい合う中心部分と周縁部分とを有するリングを形成する、曲げ型枠構造部材652、654、656、658を備え、このとき雌曲げ型枠650の接触表面と雄型の接触表面は、意図されている曲がったガラス物品の形状を有するような構成および寸法である。
【0106】
1以上の実施形態では雌曲げ型枠650を加熱してもよく、この加熱は、雌曲げ型枠650に作動的に関連付けられ、またこれに熱接触している、1以上の雌曲げ型枠加熱要素690によって達成され得る。種々の実施形態において雌曲げ型枠加熱要素690は、セラミック、ワイヤ、または当技術において既知の他の加熱要素とすることができる。
【0107】
種々の実施形態において、雌曲げ型枠650は上昇して、雌曲げ型枠650を形成する1以上の構造部材またはリブの上方表面の少なくとも一部の上でガラスシート505を受け取る。構造部材の少なくともいくつかが湾曲して、曲がったガラスシートの所望の最終形状を有している場合、平坦なガラスシート。
【0108】
図14は、曲げ装置600の例示的な実施形態の、装置の入口側からの斜視図を示している。
【0109】
図14では、明瞭にするために、またより明瞭に図示の構成要素の態様を描くために、いくつかの構成要素を図示しなかった。例えば、雌曲げ型枠650の曲げ型枠構造部材652、654、656、658、および加熱された平坦なガラスシートが成形作業中にその中で雄曲げ型枠630によって変形されることになる中空空間659の、特徴をより明瞭に示すために、内部支持体592は図示しなかった。
【0110】
1以上の実施形態において雌曲げ型枠650は、リングの少なくとも中央または中心部分に、加熱された雄曲げ型枠630によって変形されるときに加熱されたガラスシート505および加熱された雄曲げ型枠630の少なくとも一部を受け入れるような構成および寸法の、中空空間659を提供し得る。
【0111】
1以上の実施形態では、ラムスピードが連続的に変化するラムを、雄曲げ型枠630に作動的に関連付けてもよい。このときラムは雄型部材を、十分に後退している位置から、雄曲げ型枠表面635と薄型ガラスシート505の表面との間に約5mmのクリアランスを有する位置へと、速度を増加させながら移動させることができる。さらにラムは雄曲げ型枠630を、雄型部材の接触表面と薄型ガラスシートの表面との間に約5mmのクリアランスを有する位置から、十分に伸びた位置へと、速度を減少させながら移動させて曲がったガラス物品を成形し、さらにラムは十分に伸びた位置に到達した後、雄曲げ型枠630の方向を逆転させる。
【0112】
1以上の実施形態においてラムは雄曲げ型枠630を、十分に伸びた位置から、雄曲げ型枠630の接触表面と雌曲げ型枠650の支持表面との間に約5mmのクリアランスを有する位置へと移動させ、このとき曲がったガラス物品は雄型部材の接触表面に、境界面に真空を適用することによって付着している。さらにラムは、曲がったガラス物品を解除するために真空を遮断する。
【0113】
1以上の実施形態において、曲げ装置の成形ゾーンを離れる薄型ガラス物品は、最終的な所望の形状を有している。
【0114】
図15は、補助加熱要素700および下流補助加熱要素752を含む、ガラス製造システム510の例示的な実施形態の断面図を示している。湾曲したガラスを生成するための例示的なガラス製造システム510は、炉550と、曲げ装置600(曲げステーションとも称される)と、冷却装置900(急冷区域とも称される)とを備え得る。ガラス物品が、炉550から曲げ装置600へと移送されて成形され、次いで冷却装置900へと移送されて冷却され得る。補助加熱要素700は、ガラス基板が曲げ作業のために曲げ装置に入るときにガラス基板の温度を維持するよう、熱を提供する。補助加熱要素は、
図1〜14に対して上述したような位置付けおよび構成とすることができる。下流補助加熱要素752は、曲げ装置の下流、かつ冷却装置900または急冷ステーションの上流に位置付けられる。下流補助加熱要素752は、補助加熱要素700に類似した位置付けおよび構成とすることができる。炉550と曲げ装置600との間、および/または曲げ装置600または曲げステーションと冷却装置900または急冷ステーションとの間には、移動ゾーンが設けられ得る。移動ゾーンは、ガラス物品をガラス製造システム510内に入れるために炉550の手前にも設けられ得、また完成したガラス物品を取り出すために冷却装置900または急冷ステーションの後ろにも設けられ得る。
【0115】
本書で説明した位置に補助加熱要素を提供するのに加え、1以上の実施形態によれば補助加熱要素を、ガラスが移送中に熱損失を受け得る任意の中間の区域に位置付けて、例えばガラスの焼戻しを成功させることができるガラス温度を維持することができる。1以上の実施形態では補助加熱要素を、炉や徐冷窯の出口、徐冷窯または炉のコンベアの上方、ガラスが急冷に入る入口の直前、移送コンベアの上方および下方、および、ガラスが移送中に熱損失を受け得る炉出口と急冷開始位置との間の任意の他の中間区域に設けてもよい。一実施の形態において下流補助加熱要素または加熱器は、曲げまたは成形区域と急冷区域の前との間に提供され、また特定の実施形態ではシステム内にさらなる補助加熱要素は存在しない。厚さが0.1mmから2.5mmの範囲、例えば0.1mmから2.4mm、または0.1mmから2.3mm、または0.1mmから2.2mm、または0.1mmから2.1mm、または0.1mmから2.0mm、または0.1mmから1.9mm、または0.1mmから1.8mm、または0.1mmから1.7mm、または0.1mmから1.6mm、または0.1mmから1.5mm、または0.1mmから1.4mm、または0.1mmから1.3mm、または0.1mmから1.2mm、または0.1mmから1.1mm、または0.1mmから1.0mm、または0.1mmから0.9mm、または0.1mmから0.8mm、または0.1mmから0.7mm、または0.1mmから0.6mm、または0.1mmから0.5mm、または0.1mmから0.4mmのガラスシートでは、急冷ステーションの前の下流補助加熱器または加熱要素の設置は有用である。1以上の実施形態においては、温度センサシステム、例えば高温熱電対を採用して各補助加熱要素を正確に制御し、焼戻しを促進するがガラスプレートの過熱に関連する好ましくない光学的歪みをもたらし得る過熱を防ぐよう、所望のガラス温度を維持することができる。補助加熱要素の代わりに、補助加熱要素を赤外線反射面で置き換えて、種々のステーション間のガラスの熱損失を減少させることも可能であろう。
【0116】
1以上の実施形態によれば、急冷ステーションの上流に設置された下流補助加熱要素によって、より厚いガラスプレートを急冷するように設計された市販のガラス急冷システムを用いて湾曲したガラスプレートを冷却する方法を実現することができる。下流補助加熱要素752は、有害な結果をもたらさない、既存の設備の若干の変更によって、従来の最小厚さである2.85mmよりも著しく薄い湾曲したガラスプレートを急冷する能力を提供する。1以上の実施形態による装置および方法は、ガラスの光学的向上の可能性を提供する。従来の既存のプロセスによれば、焼戻しのために必要とされるガラスの温度レベルを特により薄いガラスプレートで維持するためには、時にはガラス基板の「過熱」が必要になる。この過熱プロセスは、望ましくないまたは許容できないレベルの光学的歪みに寄与し得る。1以上の実施形態によれば、薄型ガラスプレートをある温度範囲に加熱および維持して、過熱による歪みを防ぐことができる。
【0117】
ガラスの温度データを入手するツールを利用して、急冷ステーションの前に薄型ガラスに下流補助加熱要素752を提供する利益を定量化し、熱損失を軽減すること、また全体的により低い処理温度での動作を可能にすることに関する、補助加熱器の効果を実証した。風冷には薄すぎる、厚さ0.7mmのGorilla(登録商標)ガラスを用いて試験を行った。この試験で補助加熱要素の効果を立証する。2つの試験を同じ線速度(250mm/秒)で行い、同様の部品品質が得られるように炉の温度および急冷を調整して、形状および光学的歪みの特性によって評価した。これらの2つの試験の結果により、急冷冷却開始までガラスの温度を4℃の損失で本質的に維持する、補助加熱器の効果が示された(またその損失の2.5℃は、加熱要素を過ぎた最後の0.4秒の間であった)。補助加熱器がない場合には、ガラスが加熱エリア内ではなくなるとすぐに12℃の温度損失が始まり、急冷冷却が始まる地点までその温度損失は継続することが示された。これらの2つの試験は、より低い温度(この例では31.6℃低い温度)でガラスを処理する能力も示した。
【0118】
最終的な曲がったガラス物品のガラスの厚さは、0.1mmから約1.5mmの範囲、または約0.1mmから約1.4mmの範囲、または約0.1mmから約1.3mmの範囲、または約0.1mmから約1.2mmの範囲、または約0.1mmから約1.1mmの範囲、または約0.4mmから約1.0mmの範囲、または約0.1mmから約0.9mmの範囲、または約0.1mmから約0.8mmの範囲、または約0.1mmから約0.7mmの範囲、または約0.1mmから約0.6mmの範囲、または約0.1mmから約0.5mmの範囲、または約0.1mmから約0.4mmの範囲でもよい。
【0119】
1以上の実施形態においてガラス物品の長さおよび幅は、30.5cm×約30.5cm(12インチ×12インチ)から、約50.8cm×101.6cm(20インチ×40インチ)まで、または約121.9cm×127cm(48インチ×50インチ)まで、または約127cm×183cm(50インチ×72インチ)までの範囲でもよい。ガラス物品を2つの寸法の観点で説明したが、ガラス物品は、例えば平面の2つの異なる辺または軸に沿って2つの方向に寸法を有する、四辺形(例えば、長方形、正方形、台形など)、三角形など、種々の形状を有するものでもよいし、あるいは半径および/または主軸および短軸の長さの観点から説明することができる、非長方形形状(例えば、円形、楕円形、長円形、多角形など)を有するものでもよく、このとき非長方形は、例えばこれを長方形シートから切り出すよう測定すると、直交する方向のその2つの最大寸法に対応する長方形形状に関連付けられ得ることを理解されたい。ガラス製造システム510およびその構成要素は、意図されたサイズのガラス物品を処理するのに適した構成および寸法とすることができる。ガラス製造システム510のモジュールおよび構成要素は、より大きい、また小さい、ガラス物品に適応するよう、拡大縮小され得ることを理解されたい。
【0120】
本開示の態様は、さらにガラス物品を成形する方法に関する。方法の種々の実施形態は、2つの主面を有しかつ約0.1mmから約1.5mmの範囲の厚さを有する、すなわち2つの主面間が約0.1mmから約1.5mmである、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲の粘度を有する平坦なガラスシートを、この平坦なガラスシートの周縁の少なくとも一部を支持する加熱されたリングへと供給するステップを含む。平坦なガラスシートの主表面が雄型枠の湾曲面に当たって、平坦なガラスシートは湾曲したガラス物品へと変形する。湾曲したガラス物品を冷却リングへと移動させて、続く処理のために別の装置へと往復させることができる。
【0121】
方法の1以上の実施形態は、ガラス物品を炉内で、ガラスの粘度が約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズになるまで加熱するステップと、ガラス物品を1以上の支持体上で曲げ装置へと搬送するステップと、炉から曲げ装置への移動中に、ガラス物品を1以上の補助加熱要素からの熱流束に暴露するステップとを含む。方法はさらに、ガラス物品を曲げ装置の成形ゾーン内で減速または停止させるステップを含むものでもよく、このとき雌曲げ型枠が、加熱されたガラス物品の主表面の周縁部分に係合して、ガラス物品を支持体から持ち上げることができる。この方法はさらに、雌曲げ型枠に接触している表面とは反対側の加熱されたガラス物品の主表面を、雄曲げ型枠に接触させるステップと、ガラス物品の周縁部分の粘度を約1×10
11.5ポアズから約1×10
12.6ポアズで、またガラス物品の中心部分の粘度を約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズで維持しながら、雄曲げ型枠および雌曲げ型枠の湾曲を加熱されたガラス物品に付与するステップとを含み得る。種々の実施形態において、ガラス物品の周縁部分の粘度は約1×10
9.9ポアズであり、またガラス物品の中心部分の粘度は約1×10
11ポアズである。雌曲げ型枠表面および雄曲げ型枠表面は、意図されている曲がったガラス物品の形状を有する構成および寸法でもよい。この方法はさらに、ガラス物品を真空の適用により雄曲げ型枠表面に接触したままにしながら、雌曲げ型枠をここでの湾曲したガラス物品から後退させるステップと、湾曲したガラス物品を冷却リングの上面の上に置くステップとを含み得る。この方法はさらに、湾曲したガラス物品を曲げ装置から冷却装置へと、続く熱処理のために往復させるステップを含み得る。
【0122】
本開示の態様はさらに、曲がったガラス物品を成形する方法に関し、この方法は、2つの主面を有しかつその間に厚さを有する、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズ、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度を有する平坦なガラスシートを、曲げ装置内へと供給するステップ、平坦なガラスシートを、この平坦なガラスシートの周縁の少なくとも一部を支持する雌曲げ型枠内に、受け入れるステップ、平坦なガラスシートの一方の主面の少なくとも一部を、平坦なガラスシートの少なくとも一部に接触するように構成されている雄曲げ型枠表面に、接触させるステップであって、雌曲げ型枠および雄曲げ型枠表面が平坦なガラスシートに形状を付与する、ステップ、および、雄曲げ型枠表面を平坦なガラスシートの平面を越えて動かして、平坦なガラスシートを曲がったガラス物品に変形させるステップ、を含む。この方法はさらに、成形されたガラスシートを雄曲げ型枠表面に付着したままにしながら、雌曲げ型枠を後退させるステップと、曲げ作業の少なくとも一部の間に、補助加熱器を移動させ、または上昇させて、冷却リングのためのクリアランスを提供するステップとを含み得る。
【0123】
本開示の態様はさらに、曲がったガラス物品を成形する方法に関し、この方法は、2つの主面を有しかつその間に厚さを有する、約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズ、または約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度を有する平坦なガラスシートを、曲げ装置内へと供給するステップ、平坦なガラスシートを、この平坦なガラスシートの周縁の少なくとも一部を支持する雌曲げ型枠内に、受け入れるステップ、雌曲げ型枠を上昇させて、平坦なガラスシートの一方の主面の少なくとも一部を、平坦なガラスシートの少なくとも一部に接触するように構成されている雄曲げ型枠表面に、接触させるステップであって、雌曲げ型枠および雄曲げ型枠表面が平坦なガラスシートに形状を付与する、ステップ、成形されたガラスシートを雄曲げ型枠表面に付着したままにしながら、雌曲げ型枠を後退させるステップ、および、補助加熱器を上昇させて冷却リングのためのクリアランスを提供するステップであって、加熱要素駆動機構が1以上の補助加熱要素に少なくとも鉛直運動成分を提供するように構成されている、ステップ、を含む。この方法はさらに、ガラス物品の少なくとも周縁の粘度を約1×10
12.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲で維持するのに十分な温度へと、雌曲げ型枠を加熱するステップを含み得る。この方法はさらに、雄曲げ型枠表面の少なくとも一部を平坦なガラスシートの一方の主面の少なくとも一部に接触させる前に、加熱された雌曲げ型枠によって支持されている平坦なガラスシートを、平坦なガラスシートが十分に撓み得る粘度となる温度まで加熱するステップを含み得る。この方法はさらに、冷却リングを雄曲げ型枠表面の下方の位置へと往復させるステップと、成形されたガラスシートを冷却リング上に置くステップとを含み得る。
【0124】
本開示の態様はさらに、本書で説明される方法のいずれかによって成形される、厚さが0.1mmから1.5mmの範囲の曲がったガラス物品に関する。
【0125】
本書で説明される材料、方法、および物品の、種々の改変および変形が作製可能である。本書で説明される材料、方法、および物品の他の態様は、本書で開示される材料、方法、および物品の仕様および実施の考察から明らかであろう。仕様および例は、例示的なものと考えられるよう意図されている。
【0126】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0127】
実施形態1
加熱されたガラスシートを曲げる装置において、
ガラスシート曲げステーションであって、該ガラスシート曲げステーションが上流炉に隣接して位置付けられた場合に前記上流炉から搬送されたガラスシートを該ガラスシート曲げステーションに受け入れるような、ガラスシート受入れ端部を備え、さらにガラスシート出口端部と、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると前記ガラスシートを曲げるように位置付けられる、曲げ部材とを備え、さらに、前記受入れ端部と前記出口端部との間で前記ガラスシート曲げステーションに熱を付与する、随意的な内部加熱器を備えている、ガラスシート曲げステーション、および、
前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部に隣接して位置付けられ、前記ガラスシートが前記炉を出て前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部内へと搬送されるときに前記ガラスシートに向けて熱を導くよう位置付けられた、補助加熱器、
を備えていることを特徴とする装置。
【0128】
実施形態2
前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部の上流に位置付けられた炉であって、炉熱源と、前記ガラスシートが前記炉を出て行くときに該ガラスシートに面する下側表面を有する、出口端部壁とを含む、炉、をさらに備えていることを特徴とする実施形態1記載の装置。
【0129】
実施形態3
前記端部壁が、前記ガラスシートが前記炉を出て行くときに該ガラスシートに向けて熱を導くために、端部壁加熱器を該端部壁に備えていることを特徴とする実施形態2記載の装置。
【0130】
実施形態4
前記端部壁加熱器が、前記端部壁の前記下側表面に埋め込まれた、複数の細長い抵抗加熱要素を備えていることを特徴とする実施形態3記載の装置。
【0131】
実施形態5
前記補助加熱器が、前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部に据え付けられた、複数の加熱要素を備えていることを特徴とする実施形態1から4いずれか1項記載の装置。
【0132】
実施形態6
前記補助加熱器が、前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部に据え付けられた対の加熱要素を、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーションへと搬送されるときに該ガラスシートが前記対の加熱要素の間を搬送されるように、備えていることを特徴とする実施形態1から5いずれか1項記載の装置。
【0133】
実施形態7
前記ガラスシート曲げステーションがロール曲げ機を備え、かつ前記曲げ部材が上方曲げ部材および下方曲げ部材を含み、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると該ガラスシートが前記上方曲げ部材と前記下方曲げ部材との間で曲げられるように、前記上方曲げ部材および前記下方曲げ部材が位置付けられていることを特徴とする実施形態1から6いずれか1項記載の装置。
【0134】
実施形態8
前記上方曲げ部材が第1の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールを備え、かつ前記下方曲げ部材が第2の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールを備え、前記ガラスシートが、前記第1の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールと前記第2の組の横方向に間隔を空けて傾斜させたロールとの間で、搬送されることを特徴とする実施形態7記載の装置。
【0135】
実施形態9
前記ガラスシート曲げステーションがプレス曲げ機を備え、かつ前記曲げ部材が上方曲げ部材および下方曲げ部材を備え、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると該ガラスシートが前記上方曲げ部材と前記下方曲げ部材との間で曲げられるように、前記上方曲げ部材および前記下方曲げ部材が位置付けられていることを特徴とする実施形態1から8いずれか1項記載の装置。
【0136】
実施形態10
前記上方曲げ部材が雄型を備え、かつ前記下方曲げ部材が雌型を備え、前記雄型および前記雌型が相補的な成形面を有していることを特徴とする実施形態9記載の装置。
【0137】
実施形態11
前記ガラスシートを前記炉に通して前記ガラスシート曲げステーションの前記ガラスシート受入れ端部へと搬送するように位置付けられた、ローラコンベアをさらに備えていることを特徴とする実施形態2記載の装置。
【0138】
実施形態12
前記曲げステーションの下流の急冷ステーション、および、前記曲げステーションと前記急冷ステーションとの間に位置付けられた下流補助加熱要素、をさらに備えていることを特徴とする実施形態1から11いずれか1項記載の装置。
【0139】
実施形態13
加熱されたガラスシートを曲げる装置において、
炉であって、幅を有するガラスシートを入口端部から出口端部へと該炉に通して搬送するコンベアを備えている、炉、
前記炉の下流に位置付けられた、ガラスシート曲げステーションであって、前記ガラスシートが前記炉から搬送されたときに該ガラスシートを受け入れる、ガラスシート受入れ端部と、ガラスシート出口端部と、さらに前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると前記ガラスシートを曲げるように位置付けられる、曲げ部材とを備えている、ガラスシート曲げステーション、および、
前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部に隣接して位置付けられ、前記ガラスシートが前記炉を出て前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部内へと搬送されるときに前記ガラスシートに向けて熱を導くよう位置付けられた、補助加熱器、
を備えていることを特徴とする装置。
【0140】
実施形態14
前記炉が、炉内部を画成する入口端部壁および出口端部壁を有する、エンクロージャと、前記炉内部に熱を導く、前記入口端部壁および前記出口端部壁の間の炉熱源とを備え、前記出口端部壁が、前記ガラスシートが前記炉を出て行くときに該ガラスシートに面する、下側表面を有していることを特徴とする実施形態13記載の装置。
【0141】
実施形態15
前記ガラスシート曲げステーションがプレス曲げ機またはロール曲げ機を備え、かつ前記ガラスシート曲げステーションが、前記受入れ端部と前記出口端部との間で前記曲げステーションに熱を付与する、随意的な内部加熱器を備えていることを特徴とする実施形態13または14記載の装置。
【0142】
実施形態16
前記曲げ部材が上方曲げ部材および下方曲げ部材を備え、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると該ガラスシートを前記上方曲げ部材と前記下方曲げ部材との間で曲げるように、前記上方曲げ部材および前記下方曲げ部材が位置付けられていることを特徴とする実施形態13から15いずれか1項記載の装置。
【0143】
実施形態17
前記補助加熱器が、前記ガラスシートの前記幅に亘って延在している、複数の加熱要素を備えていることを特徴とする実施形態13から16いずれか1項記載の装置。
【0144】
実施形態18
前記補助加熱器が、前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部に据え付けられた対の加熱要素を、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーションへと搬送されるときに該ガラスシートが前記対の加熱要素の間を搬送されるように、備えていることを特徴とする実施形態13から16いずれか1項記載の装置。
【0145】
実施形態19
ガラスシートを曲げる方法であって、ガラスシートを実施形態1の装置に通して搬送して、曲がったまたは湾曲した表面を有するガラスシートを生成するステップを含むことを特徴とする方法。
【0146】
実施形態20
前記ガラスシートの厚さが1mm未満であることを特徴とする実施形態19記載の方法。
【0147】
実施形態21
ガラスシートを曲げる方法であって、ガラスシートを実施形態13の装置に通して搬送して、曲がったまたは湾曲した表面を有するガラスシートを生成するステップを含むことを特徴とする方法。
【0148】
実施形態22
前記ガラスシートの厚さが0.1mmから1.5mmの範囲であることを特徴とする実施形態19記載の方法。
【0149】
実施形態23
ガラスシートを曲げる方法において、
ガラスシート曲げステーションに隣接して位置付けられた、炉内部を有する炉に通して、ガラスシートを搬送するステップであって、前記炉が、炉入口端部壁と炉出口端部壁との間の前記炉内部と、該炉内部を加熱しかつ前記ガラスシートが前記炉を通って搬送されているときに該ガラスシートを加熱する、内部加熱器とを備えている、ステップ、
前記ガラスシートに対の曲げ部材間で曲げ力を付与する、ガラスシート曲げステーションへと、前記ガラスシートを搬送するステップ、および、
前記ガラスシートが前記炉内部を出た後の、前記ガラスシート曲げステーションに入る前に、前記ガラスシートに補助加熱を加えるステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【0150】
実施形態24
前記補助加熱が、前記炉の前記端部壁で提供されることを特徴とする実施形態23記載の方法。
【0151】
実施形態25
前記補助加熱が、前記ガラスシートが前記炉出口端部壁を通過した後の、前記ガラスシート曲げステーションに入る前に、提供されることを特徴とする実施形態23記載の方法。
【0152】
実施形態26
前記補助加熱が、前記ガラスシートが前記炉の前記端部壁を通過した後の、前記ガラスシート曲げステーションに入る前に、提供されることを特徴とする実施形態24記載の方法。
【0153】
実施形態27
前記ガラスシート曲げステーションが、プレス曲げ機またはプレスローラを備えていることを特徴とする実施形態23から26いずれか1項記載の方法。
【0154】
実施形態28
加熱されたガラスシートを処理する装置において、
ガラスシートを炉に通して入口端部から出口端部へと、さらに急冷区域へと搬送する、コンベア、
炉内部を画成する入口端部壁および出口端部壁を有する前記炉であって、前記炉内部の炉熱源と、前記ガラスシートが該炉を出て行くときに該ガラスシートに面する下側表面を有している、出口端部壁とを有している、炉、および、
前記ガラスシートが搬送されて前記炉内部を過ぎた後に該ガラスシートの温度を維持するよう、前記ガラスシートが前記炉を出て行くときに該ガラスシートに熱を導くための、前記炉の端部壁に設けられた補助加熱器、
を備えていることを特徴とする装置。
【0155】
実施形態29
前記ガラスシートが搬送されて前記炉の端部壁を過ぎた後に前記ガラスシートを冷却する、急冷区域をさらに備えていることを特徴とする実施形態28記載の装置。
【0156】
実施形態30
前記炉内部に位置する曲げステーションをさらに備えていることを特徴とする実施形態28または29記載の装置。
【0157】
実施形態31
湾曲ガラス製造システムにおいて、
炉出口開口を備えている炉であって、粘度が約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲の加熱されたガラスシートを提供するように構成された、炉、
曲げ装置であって、前記炉からの前記加熱されたガラスシートの通過を可能にする構成および寸法の、曲げ装置入口開口と、成形後に該曲げ装置からの前記加熱されたガラスシートの通過を可能にする、曲げ装置出口開口と、前記曲げ装置入口開口および前記曲げ装置出口開口の間に、加熱された雄曲げ型枠とを備えている、曲げ装置、および、
前記炉出口開口と前記曲げ装置入口開口との間に位置する1以上の補助加熱要素であって、前記加熱されたガラスシートが前記炉出口から前記曲げ装置入口へと移動する間に、該加熱されたガラスシートの粘度を約1×10
9.9ポアズから約1×10
12.6ポアズの範囲で維持するのに十分な熱流束を、前記加熱されたガラスシートに提供するように構成された、1以上の補助加熱要素、
を備えていることを特徴とする湾曲ガラス製造システム。
【0158】
実施形態32
前記1以上の補助加熱要素が、可動であり、さらに曲げ作業の少なくとも一部の間に上昇するように構成されていることを特徴とする実施形態31記載の湾曲ガラス製造システム。
【0159】
実施形態33
前記曲げ装置入口開口と前記曲げ装置出口開口との間に、前記加熱された雄曲げ型枠に位置合わせされる、加熱された雌曲げ型枠をさらに備え、さらに前記加熱された雌曲げ型枠が、成形作業中に、前記ガラスシートの少なくとも一部に接触するよう動くように構成されていることを特徴とする実施形態32記載の湾曲ガラス製造システム。
【0160】
実施形態34
前記加熱された雌曲げ型枠が、リングを形成する1以上の曲げ型枠構造部材を備え、前記リングが、前記雄曲げ型枠に面する1以上の接触表面と、前記リングの少なくとも中央部分に、前記加熱された雄曲げ型枠によって変形されるときに前記加熱されたガラスシートの一部を受け入れる構成および寸法の、開口とを有していることを特徴とする実施形態33記載の湾曲ガラス製造システム。
【0161】
実施形態35
前記加熱された雌曲げ型枠が、前記加熱されたガラスシートの周縁の少なくとも支持される部分を約1×10
12.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲の粘度で維持するように構成された前記1以上の曲げ型枠構造部材に動作可能に関連付けられた、1以上の加熱要素をさらに備えていることを特徴とする実施形態34記載の湾曲ガラス製造システム。
【0162】
実施形態36
前記曲げ装置が、該曲げ装置に固設されかつ前記1以上の補助加熱要素に作動的に関連付けられている、加熱要素駆動機構をさらに備え、前記加熱要素駆動機構が、前記1以上の補助加熱要素に少なくとも鉛直運動成分を提供するように構成されていることを特徴とする実施形態32から35いずれか1項記載の湾曲ガラス製造システム。
【0163】
実施形態37
前記加熱要素駆動機構が、直線運動に対して回転を生み出すように構成されたモータおよび機械的リンク機構、または直線運動を生み出すように構成された機械的リニアアクチュエータ、あるいは直線運動を生み出すように構成された空気圧式リニアアクチュエータ、を備え、前記機械的リンク機構および駆動装置、または前記機械的リニアアクチュエータ、あるいは前記空気圧式リニアアクチュエータが、前記1以上の補助加熱要素に動作可能に関連付けられていることを特徴とする実施形態36記載の湾曲ガラス製造システム。
【0164】
実施形態38
前記曲げ装置が、前記加熱要素駆動機構に接続された可動ハウジングをさらに備え、該可動ハウジングが、前記1以上の補助加熱要素への電力接続を保持および提供することを特徴とする実施形態37記載の湾曲ガラス製造システム。
【0165】
実施形態39
冷却装置に動作可能に関連付けられ、前記曲げ装置の成形ゾーン内の受入れ位置と前記冷却装置内の冷却ゾーンとの間で移動するように構成された、冷却リングをさらに備え、前記加熱要素駆動機構が、前記冷却リングが前記成形ゾーン内の前記受入れ位置内へと移動するのに十分なクリアランスを提供するよう前記補助加熱要素に十分な鉛直運動を提供するように、構成されていることを特徴とする実施形態36記載の湾曲ガラス製造システム。
【0166】
実施形態40
前記加熱されたガラスシートを前記炉出口開口から前記曲げ装置入口開口へと約100mm/秒から約800mm/秒の範囲の速度で前進させるように構成された、1以上の支持体をさらに備えていることを特徴とする実施形態31から39いずれか1項記載の湾曲ガラス製造システム。
【0167】
実施形態41
加熱ガスベアリングをさらに備え、前記1以上の補助加熱要素が前記1以上の支持体の下方に位置し、かつ前記加熱ガスベアリングが前記1以上の支持体の上方に位置し、前記1以上の支持体が、前記加熱されたガラスシートが前記炉出口開口を離れて前記曲げ装置入口開口へと移動するときに該加熱されたガラスシートを支持するように構成され、さらに前記加熱ガスベアリングが、該加熱ガスベアリングと前記加熱されたガラスシートとの間の間隙内に加熱ガスの流れを提供して、前記加熱されたガラスシートの主表面に対してガス圧を加えることを特徴とする実施形態31から40いずれか1項記載の湾曲ガラス製造システム。
【0168】
実施形態42
薄型ガラスシートから曲がったガラス物品を製造する、ガラス曲げ装置において、
前記薄型ガラスシートの通過を可能にするような構成および寸法の、取入口端部および排出口端部、
2以上のいくつかの曲げ型枠リブを備えたリングと、1以上の加熱要素であって、前記いくつかの曲げ型枠リブが、前記薄型ガラスシートの周縁を支持する構成および寸法であり、前記1以上の加熱要素のうちの少なくとも1つが、前記リブの1つに作動的に関連付けられている、リングと1以上の加熱要素、および、
中心部分と周縁部分とを含む接触表面を有する雄型体を備えている、雄曲げ型枠であって、複数の雄曲げ型枠加熱要素が、前記雄型体内に配置されかつ前記接触表面と熱接触しており、前記接触表面の前記中心部分が、前記接触表面の前記周縁部分よりも約30℃から約100℃高い温度へと加熱される、雄曲げ型枠、
を備えていることを特徴とするガラス曲げ装置。
【0169】
実施形態43
前記雄型部材に向かい合う中心部分と周縁部分とを含む接触表面を有するリングを備えている、雌曲げ型枠をさらに備え、前記雌曲げ型枠表面および前記雄曲げ型枠表面が、意図されている曲がったガラス物品の形状を有する構成および寸法であることを特徴とする実施形態42記載のガラス曲げ装置。
【0170】
実施形態44
前記雄曲げ型枠が前記雄曲げ型枠表面に、前記雄曲げ型枠表面と前記薄型ガラスシートの主表面との間に形成される境界面への真空適用のための空気通路を提供する、複数の開口をさらに備えていることを特徴とする実施形態43記載のガラス曲げ装置。
【0171】
実施形態45
前記薄型ガラスシートの厚さが、0.1mmから1.5mmの範囲であることを特徴とする実施形態42から44いずれか1項記載のガラス曲げ装置。
【0172】
実施形態46
前記曲げ装置の下流の急冷ステーション、および、前記曲げ装置と前記急冷ステーションとの間の下流補助加熱要素、をさらに備えていることを特徴とする実施形態31から41いずれか1項記載の装置。
【0173】
実施形態47
曲げ装置において、
ガラス物品の通過を可能にする構成および寸法の、曲げ装置入口開口、
成形後に前記ガラス物品の通過を可能にする構成および寸法の、曲げ装置出口開口、
前記曲げ装置入口開口と前記曲げ装置出口開口との間の成形ゾーン内に位置付けられた、雌曲げ型枠、
前記曲げ装置入口開口と前記曲げ装置出口開口との間の成形ゾーン内に位置付けられ、前記雌曲げ型枠に鉛直に位置合わせされている、加熱される雄曲げ型枠、および、
前記曲げ装置に固設され、かつ可動ハウジング内の1以上の補助加熱要素を含む補助加熱器に作動的に関連付けられている、加熱要素駆動機構、
を備えていることを特徴とする曲げ装置。
【0174】
実施形態48
前記加熱要素駆動機構が、ある範囲の運動を提供するように構成されており、前記運動の少なくとも一成分が鉛直であることを特徴とする実施形態47記載の曲げ装置。
【0175】
実施形態49
前記加熱要素駆動機構が、前記補助加熱要素の、約125mmから約356mmの範囲の鉛直運動を提供するように、構成されていることを特徴とする実施形態48記載の曲げ装置。
【0176】
実施形態50
雌曲げ型枠加熱要素が前記雌曲げ型枠に動作可能に関連付けられており、かつ前記雌曲げ型枠加熱要素が、前記ガラス物品の少なくとも周縁の粘度を約1×10
12.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲で維持するのに十分な熱を提供するように構成されていることを特徴とする実施形態47から49いずれか1項記載の曲げ装置。
【0177】
実施形態51
前記雌曲げ型枠に作動的に関連付けられている、熱センサと、通信経路で該熱センサに電気通信している、コントローラとをさらに備え、前記雌曲げ型枠が、前記ガラス物品の前記周縁に接触して該周縁を支持する、表面を有し、前記熱センサが、前記ガラス物品の前記周縁に接触している少なくとも前記表面の温度を測定するように構成されていることを特徴とする実施形態50記載の曲げ装置。
【0178】
実施形態52
前記雄曲げ型枠が、前記ガラス物品の少なくとも一部に接触するように構成された、雄曲げ型枠表面を備えており、前記雄曲げ型枠表面の中心部分が、前記雄曲げ型枠表面の周縁部分よりも約30℃から約100℃高い温度へと加熱されることを特徴とする実施形態47から51いずれか1項記載の曲げ装置。
【0179】
実施形態53
曲がったガラス物品を成形する方法において、
2つの主面を有しかつ該2つの主面間に厚さを有する、約1×10
9.9ポアズから約1×10
11ポアズの範囲の粘度を有する平坦なガラスシートを、曲げ装置内へと供給するステップ、
前記平坦なガラスシートを、該平坦なガラスシートの周縁の少なくとも一部を支持する加熱された雌曲げ型枠内に、受け入れるステップ、
前記平坦なガラスシートの一方の主面の少なくとも一部を、前記平坦なガラスシートの少なくとも一部に接触するように構成されている雄曲げ型枠表面に、接触させるステップであって、前記雌曲げ型枠および前記雄曲げ型枠表面が前記平坦なガラスシートに形状を付与する、ステップ、および、
前記雄曲げ型枠表面を前記平坦なガラスシートの平面を越えて動かして、該平坦なガラスシートを曲がったガラス物品に変形させるステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【0180】
実施形態54
成形された前記ガラスシートを前記雄曲げ型枠表面に付着したままにしながら、前記雌曲げ型枠を後退させるステップと、補助加熱器を上昇させて、冷却リングのためのクリアランスを提供するステップとをさらに含むことを特徴とする実施形態53記載の方法。
【0181】
実施形態55
前記ガラス物品の少なくとも周縁の粘度を約1×10
12.6ポアズから約1×10
11.5ポアズの範囲で維持するのに十分な温度へと、前記雌曲げ型枠を加熱するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態53または54記載の方法。
【0182】
実施形態56
前記加熱された雌曲げ型枠によって支持されている前記平坦なガラスシートを、前記ガラス物品の一方の主面の少なくとも一部に前記雄曲げ型枠表面の少なくとも一部を接触させる前に前記ガラスシートの粘度によって十分に前記ガラス物品を撓ませることができる温度へと、加熱するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態54記載の方法。
【0183】
実施形態57
前記ガラス物品が、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、またはアルミノケイ酸塩ガラスから作られたものであることを特徴とする実施形態56記載の方法。
【0184】
実施形態58
冷却リングを前記雄曲げ型枠表面の下方の位置へと往復させるステップと、湾曲した前記ガラス物品を前記冷却リング上に置くステップとをさらに含むことを特徴とする実施形態55記載の方法。
【0185】
実施形態59
厚さが0.1mmから1.5mmの範囲にある、実施形態53から58いずれか1項記載の方法によって成形された曲がったガラス物品。
【0186】
実施形態60
加熱されたガラスシートを曲げる装置において、
ガラスシート曲げステーションであって、該ガラスシート曲げステーションが上流炉に隣接して位置付けられた場合に前記上流炉から搬送されたガラスシートを該ガラスシート曲げステーションに受け入れるような、ガラスシート受入れ端部を備え、さらにガラスシート出口端部と、前記ガラスシートが前記ガラスシート曲げステーション内へと搬送されると前記ガラスシートを曲げるように位置付けられる、曲げ部材とを備えている、ガラスシート曲げステーション、
前記曲げステーションの下流に位置付けられた、急冷ステーション、および、
少なくとも1つの補助加熱器であって、(1)前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部に隣接して、前記ガラスシートが前記炉を出て前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部内へと搬送されるときに前記ガラスシートに向けて熱を導くよう位置付けられた位置、および(2)前記曲げステーションの下流でありかつ前記急冷ステーションの上流である位置、のうちの一方または両方から選択される位置に位置付けられた、少なくとも1つの補助加熱器、
を備えていることを特徴とする装置。
【0187】
実施形態61
前記曲げステーションの下流かつ前記急冷ステーションの上流に、下流補助加熱器を備え、さらに前記ガラスシート曲げステーションの前記受入れ端部に隣接する補助加熱器を備えていないことを特徴とする実施形態60記載の装置。