(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
前記1つ以上の症状が、前記対象の足及び/または下腿の傷、潰瘍、または水疱;前記対象の足(複数可)及び/または下腿の疼痛;歩行困難;前記対象の足(複数可)の変色;ならびに/または、前記対象の足(複数可)の感染、である、請求項12に記載の方法。
前記治療が、前記糖尿病性足部潰瘍の閉鎖までの時間の増加、前記対象の足関節上腕血圧比(ABI)の改善、前記対象の足趾上腕血圧比(TBI)の改善、前記対象の経皮酸素レベルの改善、前記対象の脈容量記録の改善、主要の切断までの時間の低減、Wagnerの評価尺度の改善、Rutherfordの基準の改善、及び/または、前記対象の脚の安静時疼痛スコアの改善、をもたらす、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0044】
糖尿病性足部潰瘍(DFU)を治療することを、それらを必要とする対象において行う方法が本明細書で提供され、該方法は、治療的有効量の組織培養プラスチック接着性胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞、例えば、CD34
−、CD10
+、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞を、対象に投与することを含む。具体的な実施形態では、該胎盤細胞は、医薬組成物として製剤化される。
【0045】
具体的な実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療されるDFUを有する対象は、I型糖尿病に罹患している。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療されるDFUを有する対象は、II型糖尿病に罹患している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される対象は、1つより多いDFUを有し、すなわち、対象は、片足に1つより多いDFU、または各足に少なくとも1つのDFUを有する。具体的な実施形態では、対象は、片足または両足の裏に1つ以上のDFUを有する。
【0046】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される対象は、末梢ニューロパチー、例えば、脚及び/または足の神経のうちの1つ以上への損傷、を有する。
【0047】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される対象は、対象の末梢血管系に血液の流れの中断を引き起こす状態のDFUを有する。具体的な実施形態では、対象は、末梢動脈疾患(PAD)を有する。ある特定の実施形態では、該DFUが、PADに起因及び/または関連する。具体的な実施形態では、対象は、末梢動脈疾患(PAD)を有しない。
【0048】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、本明細書で提供される方法に従って治療された対象において、DFUの1つ以上の症状を検出可能に改善することをもたらす。DFUの例示的症状としては、脚及び/または下腿の傷、潰瘍、または水疱;脚(若しくは足)及び/または下腿疼痛;歩行困難;足(または両足)の変色、例えば、足(または両足)が黒く、青く、及び/または赤く見える:ならびに感染の徴候(例えば、熱、皮膚の赤み、及び/または腫れ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、改善の1つ以上の徴候における検出可能な改善のために十分な量及び時間で、DFUを有する対象に、胎盤幹細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)を投与することを含み、改善の該徴候は、(i)潰瘍サイズの低減;(ii)潰瘍閉鎖:ドレナージまたはドレッシングの必要性のない1つ以上の潰瘍の皮膚閉鎖;(iii)閉鎖後の特定の期間、例えば、閉鎖後2週間、3週間、4週間、5週間、または6週間、の潰瘍閉鎖の保持;(iv)潰瘍閉鎖までの時間;(v)対象が静止している間に足首及び腕の血圧を測定し、次に、対象が動いている(例えば、トレッドミルで歩く)間に繰り返される、PADの重症度を予測/評価するために使用することができる検査である足関節上腕血圧比(ABI)の改善;(vi)足首血圧ではなく足趾血圧を使用するABIに類似した検査である足趾上腕血圧比(TBI)の改善;(vii)経皮酸素、すなわち、潰瘍に近い皮膚の下の組織の酸素レベルの改善(例えば、Ruangsetakit et al., J Wound Care, 2010, 19(5):202−6を参照のこと);(viii)血液測定用カフ及び手持ち式超音波装置が、腕及び脚の動脈血流量についての情報を得るために使用される非侵襲的血管検査である脈容量記録の改善;(ix)大切断、例えば、足首の上での切断、までの時間;(x)評価システム:グレード0(潰瘍性病変の前または後)、グレード1(部分/全層潰瘍)、グレード2(腱または被膜に達する)、グレード3(骨髄炎を伴う深部)、グレード4(部分的な足の壊疽)、及びグレード5(全足壊疽)、を使用して、潰瘍の深さ及び骨髄炎または壊疽の存在を評価するWagnerの評価尺度の改善;(xi)7つの分類ステージ:ステージ0:無症状、ステージ1:軽度跛行、ステージ2:中等度跛行、ステージ3:高度跛行、ステージ4:安静時疼痛、ステージ5:足指の壊疽を超えない虚血性潰瘍形成、及びステージ6:高度虚血性潰瘍または明らかな壊疽、を有する、末梢動脈疾患のステージングのために使用されるRutherfordの基準の改善:ならびに、(xii)脚の安静時疼痛スコア、0が無痛であり、10が最大の疼痛を表す疼痛の0〜10尺度の改善、を含む。
【0050】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、(i)36項目簡易健康調査(SF−36)(例えば、Ware et al., Medical Care 30(6):473−483を参照のこと);(ii)糖尿病性足部潰瘍の、生活の質への影響を測定する糖尿病性足部潰瘍尺度簡易版(DFS−SF)(例えば、Bann et al., Pharmacoeconomics, 2003, 21(17):1277−90を参照のこと);(iii)経時的なニューロパチーの変化を評価するための、変化尺度の患者の全体的印象(例えば、Kamper et al., J. Man. Manip. Ther., 2009, 17(3):163−170を参照のこと);ならびに/または、(iv)患者の健康状態に対する記述的プロファイル及び単一の指標値を得るために使用される健康質問票であるEuroQol5D(EQ−5D(商標))尺度、で評価される場合の対象の生活の質における検出可能な改善のために十分な量及び時間で、DFUを有する対象に、胎盤幹細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)を投与することを含む。
【0051】
本明細書に記載のDFUの治療方法の具体的な実施形態では、胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、注射で投与される。本明細書に記載のDFUの治療方法の別の具体的な実施形態では、胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、胎盤細胞を含むマトリックスまたは足場の対象への移植により治療されている該対象に投与される。
【0052】
本明細書に記載のDFUの治療方法の具体的な実施形態では、胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、筋肉内投与される。本明細書に記載のDFUの治療方法の別の具体的な実施形態では、胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、静脈内投与される。本明細書に記載のDFUの治療方法の別の具体的な実施形態では、胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、皮下投与される。本明細書に記載のDFUの治療方法の別の具体的な実施形態では、胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、局所投与される。本明細書に記載のDFUの治療方法の別の具体的な実施形態では、胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、全身投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物の一部として)約1×10
3、3×10
3、5×10
3、1×10
4、3×10
4、5×10
4、1×10
5、3×10
5、5×10
5、1×10
6、3×10
6、5×10
6、1×10
7、3×10
7、5×10
7、1×10
8、3×10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、または1×10
10の胎盤細胞の投与を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物の一部として)約1×10
3〜3×10
3、3×10
3〜5×10
3、5×10
3〜1×10
4、1×10
4〜3×10
4、3×10
4〜5×10
4、5×10
4〜1×10
5、1×10
5〜3×10
5、3×10
5〜5×10
5、5×10
5〜1×10
6、1×10
6〜3×10
6、3×10
6〜5×10
6、5×10
6〜1×10
7、1×10
7〜3×10
7、3×10
7〜5×10
7、5×10
7〜1×10
8、1×10
8〜3×10
8、3×10
8〜5×10
8、5×10
8〜1×10
9、1×10
9〜5×10
9、または5×10
9〜1×10
10の胎盤細胞の投与を含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、約3×10
3の胎盤細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、約3×10
4の胎盤細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、約3×10
5の胎盤細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、約3×10
6の胎盤細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、約1×10
7の胎盤細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載のDFUの治療方法は、約3×10
7の胎盤細胞の投与を含む。
【0053】
本明細書に記載のDFUの治療方法の具体的な実施形態では、胎盤幹細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)は、1週間の投与間隔で筋肉内投与され、例えば、胎盤細胞は1日目(投与の最初の日)に投与され、胎盤幹細胞(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物)の2回目投与が、1週間後(すなわち、8日目)に投与される。別の具体的な実施形態では、方法は、投与のそれぞれの日(すなわち、1日目及び8日目)の、約3×10
6の胎盤幹細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、方法は、投与のそれぞれの日(すなわち、1日目及び8日目)の、約1×10
7の胎盤細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、方法は、投与のそれぞれの日(すなわち、3日目及び8日目)の、約3×10
7の胎盤細胞の投与を含む。別の具体的な実施形態では、胎盤幹細胞が投与される対象は、PADを有する。
【0054】
組織培養プラスチックに接着した、本明細書に記載される方法で使用される胎盤細胞は、例えば、フローサイトメトリーで検出できるようなCD34
−、CD10
+、CD105
+、及びCD200
+である。本明細書で提供される方法で使用される胎盤細胞のさらなる特徴は、セクション5.1に記載されている。本明細書で提供される方法で使用されるべき組成物、例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物は、セクション5.3に記載されている。
【0055】
5.1 単離胎盤細胞及び単離胎盤細胞集団
本明細書ではPDACと称される場合がある、本明細書で提供されるDFUの治療方法に有用である単離胎盤細胞は、胎盤またはその一部から得ることができ、組織培養基質に接着し、多分化能細胞または幹細胞の特徴を有するが、栄養芽細胞ではない。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の方法に有用である単離胎盤細胞は、非胎盤細胞型に分化する能力を有する。
【0056】
本明細書に開示の方法に有用である単離胎盤細胞は、由来が胎児または母体のいずれかであることができる(つまり、それぞれ、胎児または母親のいずれかの遺伝子型を有することができる)。好ましくは、単離胎盤細胞及び単離胎盤細胞の集団は、由来が胎児である。本明細書で使用される場合、「由来が胎児」または「由来が非母体」という表現は、単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団が、胎児に関連する、すなわち、胎児遺伝子型を有する、臍帯または胎盤構造から得られることを示す。本明細書で使用される場合、「由来が母体」という表現は、細胞または細胞の集団が、母親と関連する、例えば、母体遺伝子型を有する、胎盤構造体から得られることを示す。単離胎盤細胞、例えば、PDACまたは単離胎盤細胞を含む細胞の集団は、胎児若しくは母体単独である単離胎盤細胞を含むことができる、または胎児由来及び母体由来の両方の単離胎盤細胞の混合集団を含むことができる。単離胎盤細胞、及び単離胎盤細胞を含む細胞の集団は、以下で論じる形態的特徴、マーカー特徴、及び培養特徴により特定及び選択することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞、のいずれも、レシピエント、例えば、DFUを有する個体、にとって自己由来である。他のある特定の実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞、のいずれも、レシピエント、例えば、DFUを有する個体、にとって異種である。
【0057】
5.1.1 物理的及び形態的特徴
本明細書に記載の単離胎盤細胞(PDAC)は、初代培養または細胞培養で培養される時、組織培養基質、例えば、培養容器表面(例えば、組織培養プラスチック)に、または、ラミニン、コラーゲン(例えば、天然若しくは変性)、ゼラチン、フィブロネクチン、オルニチン、ビトロネクチン、及び細胞外膜タンパク質(例えば、MATRIGEL(登録商標)(BD Discovery Labware、マサチューセッツ州ベッドフォード))などの細胞外マトリックス若しくはリガンドでコーティングされた組織培養表面に、接着する。培養中の単離胎盤細胞は一般に、中心細胞体から延びる多くの細胞質突起を有する、線維芽細胞様星状外観を呈する。しかし、単離胎盤細胞は、線維芽細胞よりも多数のこのような突起を示すので、細胞は、同じ条件下で培養された線維芽細胞と形態学的に識別できる。形態学的に、単離胎盤細胞はまた、培養中に、より丸みのある、または丸石の形態を一般に呈する造血幹細胞と識別できる。
【0058】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の方法に有用である単離胎盤細胞は、成長培地中で培養される時、胚様体様体を発達させる。胚様体様体は、増殖した単離胎盤細胞の接着層の上部で成長することができる細胞の非連続的な塊である。細胞の塊が、胚性幹細胞の培養物から成長する細胞の塊である胚様体に似ているので、「胚様体様」という用語が、使用される。胚様体様体が、単離胎盤細胞の増殖培養物中で発生することができる成長培地は、例えば、DMEM−LG(例えば、Gibco製);2%のウシ胎児血清(例えば、Hyclone Labs.製);1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS);1×リノール酸−ウシ血清アルブミン(LA−BSA);10
−9Mのデキサメタゾン(例えば、Sigma製);10
−4Mのアスコルビン酸2−ホスフェート(例えば、Sigma製);上皮成長因子10ng/mL(例えば、R&D Systems製);及び、血小板由来成長因子(PDGF−BB)10ng/mL(例えば、R&D Systems製)、を含む培地を含む。
【0059】
5.1.2 細胞表面マーカー、分子マーカー、及び遺伝子マーカー
本明細書の開示の方法、例えば、対象のDFUの治療方法、に有用な単離胎盤細胞、例えば、単離多分化能胎盤細胞または単離胎盤幹細胞、及びこのような単離胎盤細胞の集団は、多分化能細胞または幹細胞の特徴を有する組織培養プラスチック接着ヒト胎盤細胞であり、幹細胞を含む細胞または細胞の集団を特定及び/または単離するために使用することができる複数のマーカーを発現する。ある特定の実施形態では、PDACは、例えば、インビトロまたはインビボの血管新生性である。本明細書に記載の単離胎盤細胞、及び胎盤細胞集団(つまり、2つ以上の単離胎盤細胞)は、胎盤またはそれらの任意の部分(例えば、絨毛膜、胎盤絨毛叢など)から直接得られる胎盤細胞及び胎盤細胞含有細胞集団を含む。単離胎盤細胞集団は、培養中の単離胎盤細胞の複数集団(つまり、2つ以上)、及び容器、例えば、バッグ中の集団も含む。本明細書に記載の単離胎盤細胞は、臍帯血、胎盤血、または末梢血から得られる骨髄由来間葉系細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、または間葉系細胞ではない。本明細書に記載の方法及び組成物に有用な胎盤細胞、例えば、胎盤多分化能細胞及び胎盤細胞は、本明細書、及び例えば、米国特許第7,311,904号、同第7,311,905号、及び同第7,468,276号、ならびに米国特許公開公報第2007/0275362号に記載されており、これらの開示は、その全体が本明細書で参照により組み込まれる。
【0060】
ある特定の実施形態では、単離胎盤細胞は、単離胎盤幹細胞である。他のある特定の実施形態では、単離胎盤細胞は、単離胎盤多分化能細胞である。一実施形態では、単離胎盤細胞、例えば、PDACは、フローサイトメトリーで検出されるようなCD34
−、CD10
+及びCD105
+である。別の具体的な実施形態では、単離CD34
−、CD10
+、CD105
+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型の細胞、及び/または軟骨形成表現型の細胞に分化する可能性がある。別の具体的な実施形態は、単離CD34
−、CD10
+、CD105
+胎盤細胞はさらに、CD200
+である。別の具体的な実施形態では、単離CD34
−、CD10
+、CD105
+胎盤細胞はさらに、CD45
−またはCD90
+である。別の具体的な実施形態では、単離CD34
−、CD10
+、CD105
+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD45
−及びCD90
+である。別の具体的な実施形態では、単離CD34
−、CD10
+、CD105
+、CD200
+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90
+またはCD45
−である。別の具体的な実施形態では、単離CD34
−、CD10
+、CD105
+、CD200
+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90
+及びCD45
−であり、すなわち、細胞は、CD34
−、CD10
+、CD45
−、CD90
+、CD105
+及びCD200
+である。別の具体的な実施形態は、該CD34
−、CD10
+、CD45
−、CD90
+、CD105
+、CD200
+細胞はさらに、CD80
−及びCD86
−である。
【0061】
ある特定の実施形態では、該胎盤細胞は、フローサイトメトリーで検出されるようなCD34
−、CD10
+、CD105
+、及びCD200
+、ならびに、CD38
−、CD45
−、CD80
−、CD86
−、CD133
−、HLA−DR,DP,DQ
−、SSEA3
−、SSEA4
−、CD29
+、CD44
+、CD73
+、CD90
+、CD105
+、HLA−A,B,C
+、PDL1
+、ABC−p
+、及び/またはOCT−4
+のうちの1つ以上である。他の実施形態では、上記CD34
−、CD10
+、CD105
+細胞のいずれもさらに、CD29
+、CD38
−、CD44
+、CD54
+、SH3
+、またはSH4
+のうちの1つ以上である。別の具体的な実施形態では、細胞はさらに、CD44
+である。上記単離CD34
−、CD10
+、CD105
+胎盤細胞のいずれの別の具体的な実施形態でも、細胞はさらに、CD117
−、CD133
−、KDR
−(VEGFR2
−)、HLA−A,B,C
+、HLA−DP,DQ,DR
−、若しくはプログラム死1リガンド(PDL1)
+のうちの1つ以上、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0062】
別の実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD62E−、CD62L−、CD62P−、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80−、CD86−、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117−、CD144/VEカドヘリンlow、CD184/CXCR4−、CD200+、CD133−、OCT−4+、SSEA3−、SSEA4−、ABC−p+、KDR−(VEGFR2−)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−、HLA−G−、若しくはプログラム死1リガンド(PDL1)+のうちの1つ以上、またはそれらの任意の組み合わせである。他の実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38−、CD44+、CD45−、CD54/ICAM+、CD62E−、CD62L−、CD62P−、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80−、CD86−、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117−、CD144/VEカドヘリンlow、CD184/CXCR4−、CD200+、CD133−、OCT−4+、SSEA3−、SSEA4−、ABC−p+、KDR−(VEGFR2−)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−、HLA−G−、及びプログラム死1リガンド(PDL1)+である。
【0063】
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞のいずれも、さらに、フローサイトメトリーで検出されるようなABC−p+、またはRT−PCRで測定されるようなOCT−4+(POU5F1+)であり、ABC−pは、(乳癌耐性タンパク質(BCRP)及びミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)としても知られている)胎盤特異的ABCトランスポータータンパク質であり、OCT−4は、オクタマー4タンパク質(POU5F1)である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞のいずれも、さらに、フローサイトメトリーで測定されるようなSSEA3−またはSSEA4−であり、SSEA3は、ステージ特異的胚抗原3であり、SSEA4は、ステージ特異的胚抗原4である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞のいずれも、さらに、SSEA3−及びSSEA4−である。
【0064】
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞のいずれも、さらに、MHC−I+(例えば、HLA−A,B,C+)、MHC−II−(例えば、HLA−DP,DQ,DR−)、またはHLA−G−のうちの1つ以上である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞のいずれも、さらに、MHC−I+(例えば、HLA−A,B,C+)、MHC−II−(例えば、HLA−DP,DQ,DR−)、及びHLA−G−のうちの1つ以上である。
【0065】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用な、単離胎盤細胞の集団、または、単離胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富である、細胞の集団、例えば、胎盤細胞の集団、も本明細書で提供される。単離胎盤細胞を含む細胞の集団が好ましく、細胞の集団が、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%の単離CD10+、CD105+、及びCD34−胎盤細胞を含む、つまり、該集団中の細胞の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%が、単離CD10+、CD105+、及びCD34−胎盤細胞である。具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90+またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90+及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、上記単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞のいずれも、さらに、CD29+、CD38−、CD44+、CD54+、SH3+、またはSH4+のうちの1つ以上である。別の具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞または単離CD34−、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、CD44+である。上記単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞を含む細胞の集団のいずれの具体的な実施形態においても、単離胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD62E−、CD62L−、CD62P−、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80−、CD86−、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117−、CD144/VEカドヘリンlow、CD184/CXCR4−、CD200+、CD133−、OCT−4+、SSEA3−、SSEA4−、ABC−p+、KDR−(VEGFR2−)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−、HLA−G−、若しくはプログラム死1リガンド(PDL1)+のうちの1つ以上、またはそれらの任意の組み合わせである。別の具体的な実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38−、CD44+、CD45−、CD54/ICAM+、CD62E−、CD62L−、CD62P−、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80−、CD86−、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117−、CD144/VEカドヘリンlow、CD184/CXCR4−、CD200+、CD133−、OCT−4+、SSEA3−、SSEA4−、ABC−p+、KDR−(VEGFR2−)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−、HLA−G−、及びプログラム死1リガンド(PDL1)+である。
【0066】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、SSEA4−、OCT−4+、及びABC−p+のうちの1つ以上、または全てであり、該単離胎盤細胞は、胎盤組織の物理的及び/または酵素的破壊により得られる。具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+及びABC−p+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+及びCD34−であり、該単離胎盤細胞は、次の特徴のうちの少なくとも1つを有する:CD10+、CD29+、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3−、及びSSEA4−。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+、CD34−、CD10+、CD29+、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3−、及びSSEA4−である。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+、CD34−、SSEA3−、及びSSEA4−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+及びCD34−であり、SH2+またはSH3+のいずれかである。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+、CD34−、SH2+、及びSH3+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+、CD34−、SSEA3−、及びSSEA4−であり、SH2+またはSH3+のいずれかである。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+及びCD34−であり、SH2+またはSH3+のいずれかであり、CD10+、CD29+、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SSEA3−、またはSSEA4−のうちの少なくとも1つである。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+、CD34−、CD10+、CD29+、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SSEA3−、及びSSEA4−であり、SH2+またはSH3+のいずれかである。
【0067】
別の実施形態では、本明細書に開示の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT−4+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、CD34−、CD45−、SSEA3−、またはSSEA4−である。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、及びSSEA4−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、及びSSEA4−、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、OCT−4+、CD34−、またはCD45−である。
【0068】
別の実施形態では、本明細書に開示の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、及びSH4+であり、該単離胎盤細胞はさらに、OCT−4+、SSEA3−、またはSSEA4−のうちの1つ以上である。
【0069】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD200+またはHLA−G−である。具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD200+及びHLA−G−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該幹細胞は、CD34−、CD38−、CD45−、CD73+、及びCD105+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+またはHLA−G−胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、単離胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団中での胚様体様体の形成を容易にする。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、幹細胞または多分化能細胞でない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0070】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、CD200+、HLA−G−幹細胞を含む、例えば、これらが豊富である、細胞の集団である。具体的な実施形態では、該集団は、胎盤細胞の集団である。種々の実施形態では、該細胞集団中の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%は、単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞である。好ましくは、該細胞集団中の細胞の少なくとも約70%は、単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞である。より好ましくは、該細胞の少なくとも約90%、95%、または99%は、単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞である。細胞集団の具体的な実施形態では、該単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞はまた、CD73+及びCD105+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞はまた、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞はまた、CD34−、CD38−、CD45−、CD73+、及びCD105+である。別の実施形態では、該細胞集団は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、1つ以上の胚様体様体を生じる。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0071】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD73+、CD105+、及びCD200+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、HLA−G−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD34−、CD38−、CD45−、及びHLA−G−である。別の具体的な実施形態では、単離CD73+、CD105+、及びCD200+胎盤細胞は、単離胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団中で、集団が胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、単離胎盤細胞でない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0072】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、単離CD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富である、細胞の集団である。種々の実施形態では、該細胞集団中の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%は、単離CD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の該細胞の少なくとも約70%は、単離CD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約90%、95%、または99%は、単離CD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞である。該集団の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、HLA−G−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、CD45−、及びHLA−G−である。別の具体的な実施形態では、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、細胞の該集団は、1つ以上の胚様体様体を生じる。別の具体的な実施形態では、胎盤細胞の該集団は、幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、胎盤細胞の該集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離される。
【0073】
他のある特定の実施形態では、単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、SSEA4−、OCT−4+、HLA−G−、またはABC−p+のうちの1つ以上である。具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、SSEA4−、及びOCT−4+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD45−、CD54+、SH2+、SH3+、及びSH4+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD45−、CD54+、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT−4+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、HLA−G−、SH2+、SH3+、SH4+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+及びABC−p+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT−4+である。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+、CD34−、SSEA3−、及びSSEA4−である。具体的な実施形態では、該単離OCT−4+、CD34−、SSEA3−、及びSSEA4−胎盤細胞はさらに、CD10+、CD29+、CD34−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、及びSH4+である。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、OCT−4+及びCD34−、ならびにSH3+またはSH4+のいずれかである。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、CD34−、及びCD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、またはOCT−4+のいずれかである。
【0074】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD200+及びOCT−4+である。具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、CD73+及びCD105+である。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、HLA−G−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞は、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞は、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞は、CD34−、CD38−、CD45−、CD73+、CD105+、及びHLA−G−である。別の具体的な実施形態では、単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞は、単離細胞を含む胎盤細胞の集団による1つ以上の胚様体様体の産生を、集団が、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、容易にする。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離される。
【0075】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、CD200+、OCT−4+胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富である、細胞の集団である。種々の実施形態では、該細胞集団中の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%は、単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞である。別の実施形態では、該細胞の少なくとも約70%は、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞である。別の実施形態では、該細胞集団中の細胞の少なくとも約80%、90%、95%、または99%は、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞である。単離集団の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、HLA−G−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、CD45−、CD73+、CD105+、及びHLA−G−である。別の具体的な実施形態では、細胞集団は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、1つ以上の胚様体様体を生じる。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、単離CD200+、OCT−4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0076】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD73+、CD105+、及びHLA−G−である。別の具体的な実施形態では、単離CD73+、CD105+、及びHLA−G−胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、CD45−、OCT−4+、及びCD200+である。別の具体的な実施形態では、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞は、該細胞を含む胎盤細胞の集団での胚様体様体の形成を、集団が胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、容易にする。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞は、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0077】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、単離CD73+、CD105+、及びHLA−G−胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富である、細胞の集団である。種々の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%は、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約70%は、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約90%、95%、または99%は、単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞である。上記集団の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、CD45−、OCT−4+、及びCD200+である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、CD73+、CD105+、HLA−G−胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0078】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD73+及びCD105+であり、該CD73+、CD105+細胞を含む単離胎盤細胞の集団での1つ以上の胚様体様体の形成を、該集団が胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、容易にする。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、OCT−4+、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞は、該細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離される。
【0079】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、CD73+、CD105+であり、該集団が、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、該細胞を含む単離胎盤細胞の集団での1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする単離胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富である、細胞の集団である。種々の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%は、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約70%は、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約90%、95%、または99%は、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞である。上記集団の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、CD45−、OCT−4+、及びCD200+である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0080】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、OCT−4+であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、該細胞を含む単離胎盤細胞の集団での1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする。具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+、CD105+、CD200+、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞は、OCT−4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離される。
【0081】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、OCT−4+であり、該集団が、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、該細胞を含む単離胎盤細胞の集団での1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする単離胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富である、細胞の集団である。種々の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%は、該単離CD73+、CD105+胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約70%は、該単離OCT−4+胎盤細胞である。別の実施形態では、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約80%、90%、95%、または99%は、該単離OCT−4+胎盤細胞である。上記集団の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、該単離OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+、CD105+、CD200+、CD34−、CD38−、及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、該細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0082】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、単離HLA−A,B,C+、CD45−、CD133−、及びCD34−胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、単離胎盤細胞を含む細胞の集団であり、細胞の該単離集団中の細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%は、単離HLA−A,B,C+、CD45−、CD133−、及びCD34−胎盤細胞である。具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、HLA−A,B,C+、CD45−、CD133−、及びCD34−胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、胎盤細胞の該単離集団は、母体成分を実施的に含まない、例えば、胎盤細胞の該単離集団での該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、または99%は、由来が非母体である。
【0083】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、単離CD10+、CD13+、CD33+、CD45−、CD117−、及びCD133−胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、単離胎盤細胞を含む細胞の集団であり、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%は、単離CD10+、CD13+、CD33+、CD45−、CD117−、及びCD133−胎盤細胞である。具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、該単離胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離CD10+、CD13+、CD33+、CD45−、CD117−、及びCD133−胎盤細胞は、由来が非母体であり、すなわち、胎児遺伝子型を有する。別の具体的な実施形態では、胎盤細胞の該単離集団中の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、または99%は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離される。
【0084】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、単離CD10−、CD33−、CD44+、CD45−、及びCD117−胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、単離胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富な、細胞の集団であり、細胞の該集団中の細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%は、単離CD10−、CD33−、CD44+、CD45−、及びCD117−胎盤細胞である。具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、該細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団中の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、または99%は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0085】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、単離CD10−、CD13−、CD33−、CD45−、及びCD117−胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、単離CD10−、CD13−、CD33−、CD45−、及びCD117−胎盤細胞を含む、例えば、これらが豊富な、細胞の集団であり、該集団中の細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%は、CD10−、CD13−、CD33−、CD45−、及びCD117−胎盤細胞である。具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、該細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団中の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、または99%は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離される。
【0086】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、HLA A,B,C+、CD45−、CD34−、及びCD133−であり、さらに、CD10+、CD13+、CD38+、CD44+、CD90+、CD105+、CD200+及び/若しくはHLA−G−であり、かつ/またはCD117に対し陰性である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法に有用な細胞集団は、単離胎盤細胞を含む細胞の集団であり、該集団中の細胞の少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または約99%は、HLA A,B,C−、CD45−、CD34−、CD133−であり、さらに、CD10、CD13、CD38、CD44、CD90、CD105、CD200に対して陽性であり、かつ/または、CD117及び/若しくはHLA−Gに対して陰性である単離胎盤細胞である。具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、該細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団中の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、または99%は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離される。
【0087】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、抗体結合で決定されるようなCD200+及びCD10+であり、抗体結合及びRT−PCRの両方で決定されるようなCD10+である単離胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD10+、CD29−、CD54+、CD200+、HLA−G−、MHCクラスI+、及びβ−2ミクログロブリン+である単離胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、少なくとも1つの細胞マーカーの発現が間葉系幹細胞(例えば、骨髄由来間葉系幹細胞)場合よりも少なくとも2倍高い、胎盤細胞である。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、由来が非母体である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団中の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、または99%は、由来が非母体である。
【0088】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45−、CD54/ICAM+、CD62E−、CD62L−、CD62P−、CD80−、CD86−、CD103−、CD104−、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VEカドヘリンlow、CD184/CXCR4−、β2ミクログロブリンlow、MHC−Ilow、MHC−II−、HLA−Glow、及び/またはPDL1lowのうちの1つ以上である単離胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞である。具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、少なくともCD29+及びCD54+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、少なくともCD44+及びCD106+である。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、少なくともCD29+である。
【0089】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞集団は、単離胎盤細胞を含み、該細胞集団中の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45−、CD54/ICAM+、CD62−E−、CD62−L−、CD62−P−、CD80−、CD86−、CD103−、CD104−、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VEカドヘリンdim、CD184/CXCR4−、β2ミクログロブリンdim、HLA−Idim、HLA−II−、HLA−Gdim、及び/またはPDL1dimのうちの1つ以上である単離胎盤細胞である。別の具体的な実施形態では、該細胞集団中の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45−、CD54/ICAM+、CD62−E−、CD62−L−、CD62−P−、CD80−、CD86−、CD103−、CD104−、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VEカドヘリンdim、CD184/CXCR4−、β2ミクログロブリンdim、MHC−Idim、MHC−II−、HLA−Gdim、及びPDL1dimである。
【0090】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、SSEA4−、OCT−4+、及びABC−p+のうちの1つ以上または全てである単離胎盤細胞であり、ABC−pは、胎盤特異的ABCトランスポータータンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)及びミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)としても知られている)であり、該単離胎盤細胞は、残留血液を除去するために、臍帯血を排出され、灌流されている哺乳動物の胎盤、例えば、ヒト胎盤、の灌流により得られる。
【0091】
上記特徴のいずれの別の具体的な実施形態でも、細胞マーカー(例えば、分化抗原群または免疫原性マーカー)の発現は、フローサイトメトリーで決定され;別の具体的な実施形態では、マーカーの発現は、RT−PCRで決定される。
【0092】
遺伝子プロファイリングにより、単離胎盤細胞、及び単離胎盤細胞の集団は、他の細胞、例えば、間葉系幹細胞、例えば、骨髄由来間葉系幹細胞、と識別できることが確認される。本明細書に記載の単離胎盤細胞は、例えば、1つ以上の遺伝子の発現を基準にして、間葉系幹細胞と識別することができ、これらの発現は、骨髄由来間葉系幹細胞と比較して、単離胎盤細胞において、またはある特定の単離臍帯幹細胞において有意に高い。特に、本明細書で提供される治療の方法に有用な単離胎盤細胞は、1つ以上の遺伝子の発現を基準にして、間葉系幹細胞と識別することができ、これらの発現は、細胞が、同等の条件で成長する時、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも、単離胎盤細胞において有意に高く(つまり、少なくとも2倍高く)、1つ以上の遺伝子は、ACTG2、ADARB1、AMIGO2、ARTS−1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA−G、ICAM1、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、ZC3H12A、または上述のもののいずれかの組み合わせである。例えば、米国特許公開公報第2007/0275362号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の具体的な実施形態では、該1つ以上の遺伝子の該発現は、例えば、RT−PCRまたは例えば、U133−Aマイクロアレイ(Affymetrix)を使用したマイクロアレイ分析で決定される。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、DMEM−LG(例えば、Gibco製);2%のウシ胎児血清(例えば、Hyclone Labs.製);1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS);1×リノール酸−ウシ血清アルブミン(LA−BSA);10−9Mのデキサメタゾン(例えば、Sigma製);10−4Mのアスコルビン酸2−ホスフェート(例えば、Sigma製);上皮成長因子10ng/mL(例えば、R&D Systems製);及び、血小板由来成長因子(PDGF−BB)10ng/mL(例えば、R&D Systems製)を含む培地で、多くの集団倍加、例えば、約3〜約35の範囲の集団倍加のために培養される時、該1つ以上の遺伝子を発現する。別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞特異的または単離臍帯細胞特異的遺伝子は、CD200である。
【0093】
これらの遺伝子に対する特異的配列は、2008年3月の時点で、GenBankのアクセッション番号NM_001615(ACTG2)、BC065545(ADARB1)、(NM_181847(AMIGO2)、AY358590(ARTS−1)、BC074884(B4GALT6)、BC008396(BCHE)、BC020196(C11orf9)、BC031103(CD200)、NM_001845(COL4A1)、NM_001846(COL4A2)、BC052289(CPA4)、BC094758(DMD)、AF293359(DSC3)、NM_001943(DSG2)、AF338241(ELOVL2)、AY336105(F2RL1)、NM_018215(FLJ10781)、AY416799(GATA6)、BC075798(GPR126)、NM_016235(GPRC5B)、AF340038(ICAM1)、BC000844(IER3)、BC066339(IGFBP7)、BC013142(IL1A)、BT019749(IL6)、BC007461(IL18)、(BC072017)KRT18、BC075839(KRT8)、BC060825(LIPG)、BC065240(LRAP)、BC010444(MATN2)、BC011908(MEST)、BC068455(NFE2L3)、NM_014840(NUAK1)、AB006755(PCDH7)、NM_014476(PDLIM3)、BC126199(PKP−2)、BC090862(RTN1)、BC002538(SERPINB9)、BC023312(ST3GAL6)、BC001201(ST6GALNAC5)、BC126160またはBC065328(SLC12A8)、BC025697(TCF21)、BC096235(TGFB2)、BC005046(VTN)、及びBC005001(ZC3H12A)に見出すことができる。
【0094】
特定の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、細胞が、同等の条件で成長する時、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも検出可能に高いレベルで、ACTG2、ADARB1、AMIGO2、ARTS−1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA−G、ICAM1、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aのそれぞれを発現する。
【0095】
具体的な実施形態では、胎盤細胞は、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞(BM−MSC)よりも検出可能に高いレベルで、CD200及びARTS1(1型腫瘍壊死因子のアミノペプチダーゼ制御因子);ARTS−1及びLRAP(白血球由来アルギニンアミノペプチダーゼ);IL6(インターロイキン−6)及びTGFB2(トランスフォーミング成長因子−β2);IL6及びKRT18(ケラチン18);IER3(即時初期応答3)、MEST(中胚葉特異的転写ホモログ)及びTGFB2;CD200及びIER3;CD200及びIL6;CD200及びKRT18;CD200及びLRAP;CD200及びMEST;CD200及びNFE2L3(核因子(赤血球由来2)様3);またはCD200及びTGFB2を発現する。該骨髄由来間葉系幹細胞は、該単離胎盤細胞が経ている継代数と同等の、培養での継代数を経ている。他の具体的な実施形態では、胎盤細胞は、ARTS−1、CD200、IL6及びLRAP;ARTS−1、IL6、TGFB2、IER3、KRT18、及びMEST;CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2;ARTS−1、CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2;またはIER3、MEST及びTGFB2を発現する。同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも検出可能に高いレベルBM−MSCで、該骨髄由来間葉系幹細胞は、該単離胎盤細胞が経ている継代数と同等の、培養での継代数を経ている。
【0096】
上記参照の遺伝子の発現は、標準的な技術で評価することができる。例えば、遺伝子(複数可)の配列を基準にしたプローブは個別に、従来技術により選択及び構築することができる。遺伝子の発現は、例えば、遺伝子のうちの1つ以上に対するプローブを含むマイクロアレイ、例えば、Affymetrix GENECHIP(登録商標)Human Genome U133A 2.0 array、またはAffymetrix GENECHIP(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0(カリフォルニア州サンタクララ)で評価することができる。特定のGenBankアクセッション番号に対する配列が補正される場合でも、補正された配列に特異的なプローブが、周知の標準的な技術を使用して、容易に生成することができるので、これらの遺伝子の発現は評価することができる。
【0097】
これらの遺伝子の発現のレベルは、単離胎盤細胞の集団の識別を確認するため、少なくとも複数の単離胎盤細胞を含む細胞の集団を特定するためなど、使用することができる。識別が確認された単離胎盤細胞の集団は、クローン性、例えば、本明細書に記載されるような、単一の単離胎盤細胞から拡大した単離胎盤細胞の集団、または幹細胞の混合集団、例えば、複数の単離胎盤細胞をから拡大した単独の単離胎盤細胞を含む細胞の集団、または単離胎盤細胞を含む細胞の集団、及び少なくとも1つの他の種類の細胞であることができる。
【0098】
これらの遺伝子の発現のレベルは、単離胎盤細胞の集団を選択するために使用することができる。例えば、細胞の集団、例えば、クローン拡大細胞は、上記遺伝子のうちの1つ以上の発現が、間葉系幹細胞の同等の集団においてよりも、細胞の集団由来の試料において有意に高い場合、選択されてもよい。このような選択は、複数の単離胎盤細胞集団由来、複数の細胞集団(識別が不明)由来などの集団の選択とすることができる。
【0099】
単離胎盤細胞は、例えば、1つ以上のこのような遺伝子の発現の、間葉系幹細胞対照における該1つ以上の遺伝子における発現のレベルと比較した、レベル、例えば、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞中の該1つ以上の遺伝子における発現のレベル、を基準にして選択することができる。一実施形態では、同等数の間葉系幹細胞を含む試料における該1つ以上の遺伝子の発現のレベルが、対照として使用される。別の実施形態では、特定の条件下で試験される単離胎盤細胞に対する対照は、該条件下の間葉系幹細胞における該1つ以上の遺伝子の発現のレベルを表す数値である。
【0100】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に有用な胎盤細胞(例えば、PDAC)は、4〜21日間、1〜100ng/mLのVEGFに曝露した後、免疫局在法で検出されるようなCD34を発現しない。ある特定の実施形態では、該胎盤接着細胞は、組織培養プラスチックに接着している。別の具体的な実施形態では、細胞の該集団は、例えば、MATRIGEL(商標)などの基質上、血管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、または塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)などの血管新生因子の存在下で培養される時、内皮細胞が新芽または管腔様構造を形成するように誘導する。
【0101】
別の態様では、細胞の集団である本明細書で提供されるPDAC、例えば、PDACの集団、または細胞の該単離集団中の細胞の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくは98%がPDACである細胞の集団は、細胞(複数可)が成長する培地に、VEGF、HGF、IL−8、MCP−3、FGF2、フォリスタチン、G−CSF、EGF、ENA−78、GRO、IL−6、MCP−1、PDGF−BB、TIMP−2、uPAR、またはガレクチン−1のうちの1つ以上または全てを分泌する。別の実施形態では、PDACは、正常酸素条件下(例えば、約20%または約21%の02)と比較して、低酸素条件下(例えば、約5%未満のO2)で、増加したレベルのCD202b、IL−8、及び/またはVEGFを発現する。
【0102】
別の実施形態では、本明細書に記載のPDACまたはPDACを含む細胞の集団のいずれも、該胎盤由来接着細胞と接触して、内皮細胞の集団における新芽または管腔様構造の形成を引き起こすことができる。具体的な実施形態では、PDACは、例えば、少なくとも4日間、胎盤コラーゲンまたはMATRIGEL(商標)などの基質中またはこれ上に、例えば、I型及びIV型コラーゲンなどの細胞外マトリックスタンパク質、ならびに/または血管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、若しくは塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)などの血管新生因子の存在下で培養された時、新芽若しくは管腔様構造を形成する、または内皮細胞の新芽の形成をサポートするヒト内皮細胞と共培養される。別の実施形態では、本明細書に記載の胎盤由来接着細胞を含む細胞の集団のいずれも、例えば、胎盤コラーゲンまたはMATRIGEL(商標)などの基質中またはこれ上に、I型及びIV型コラーゲンなどの細胞外マトリックスタンパク質の存在下で培養される時、血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、またはインターロイキン−8(IL−8)などの血管新生因子を分泌し、それにより、ヒト内皮細胞が新芽または管腔様構造を形成するように誘導することができる。
【0103】
別の実施形態では、胎盤由来接着細胞(PDAC)を含む細胞の上記集団のいずれかは、血管新生因子を分泌する。具体的な実施形態では、細胞の集団は、血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、及び/またはインターロイキン−8(IL−8)を分泌する。他の具体的な実施形態では、PDACを含む細胞の集団は、1つ以上の血管新生因子を分泌し、それにより、ヒト内皮細胞が、インビトロ創傷治癒アッセイにおいて、遊走するように誘導する。他の具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞を含む細胞の集団は、ヒト内皮細胞、内皮前駆細胞、筋細胞、または筋芽細胞の成熟、分化、または増殖を誘導する。
【0104】
本明細書に記載の単離胎盤細胞は、初代培養中に、または例えば、DMEM−LG(Gibco);2%のウシ胎児血清(FCS)(Hyclone Labs.);1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS);1×リノール酸−ウシ血清アルブミン(LA−BSA);10−9Mのデキサメタゾン(Sigma);10−4Mのアスコルビン酸2−ホスフェート(Sigma);上皮成長因子(EGF)10ng/mL(R&D Systems)、血小板由来成長因子(PDGF−BB)10ng/ml(R&D Systems)、及び100Uのペニシリン/1000Uのストレプトマイシンを含む培地で増殖中に、上記特徴(例えば、細胞表面マーカー及び/または遺伝子発現プロファイルの組み合わせ)を示す。
【0105】
本明細書に開示の胎盤細胞のいずれかのある特定の実施形態では、細胞は、ヒトである。本明細書に開示の胎盤細胞のいずれかのある特定の実施形態では、細胞マーカー特徴または遺伝子発現特徴は、ヒトマーカーまたはヒト遺伝子である。
【0106】
該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞を含む細胞の集団の別の具体的な実施形態では、該細胞または集団は、拡大しており、例えば、少なくとも、約、若しくは多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20倍以上継代されている、または、少なくとも、約、若しくは多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、若しくは50の集団倍加のために増殖されている。該単離胎盤細胞または単離胎盤細胞を含む細胞の集団の別の具体的な実施形態では、該細胞または集団は、初代分離株である。本明細書に開示の単離胎盤細胞または単離胎盤細胞を含む細胞の集団の別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、由来が胎児である(つまり、胎児遺伝子型を有する)。
【0107】
ある特定の実施形態では、該単離胎盤細胞は、成長培地、すなわち、増殖を促進するために製剤化された培地中での培養中に、例えば、成長培地での増殖中に、分化しない。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、増殖するためにフィーダー層を必要としない。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、フィーダー層の不存在下での培養中に、分化しない。それは、単にフィーダー細胞層がないためである。
【0108】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物に有用な細胞は、単離胎盤細胞であり、複数の該単離胎盤細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性アッセイにより評価される場合、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)に対し陽性である。このようなアッセイは、当該技術分野で既知である(例えば、Bostian and Betts, Biochem. J., 173, 787, (1978)を参照のこと)。ある特定の実施形態では、該アッセイは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性のマーカーとして、Aldefluor(登録商標)(Aldagen, Inc、オレゴン州アッシュランド)を使用する。ある特定の実施形態では、該複数は、細胞の該集団中の細胞の約3%及び25%の間にある。別の実施形態では、単離臍帯細胞、例えば、多分化能単離臍帯細胞、の集団が、本明細書で提供され、複数の該単離臍帯細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の指標としてAldefluo(登録商標)を使用するアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性アッセイにより評価される場合、アルデヒドデヒドロゲナーゼに対し陽性である。具体的な実施形態では、該複数は、細胞の該集団中の細胞の約3%及び25%の間にある。別の実施形態では、単離胎盤細胞の該集団または単離臍帯細胞は、ほぼ同じ数の細胞を有し、かつ同じ条件下で培養された骨髄由来間葉系幹細胞の集団よりも少なくとも3倍、または少なくとも5倍高いALDH活性を示す。
【0109】
本明細書に記載の単離胎盤細胞を含む細胞の集団のいずれかのある特定の実施形態では、細胞の該集団中の胎盤細胞は、母体遺伝子型を有する細胞を実質的に含まず、例えば、該集団中の胎盤細胞の少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%は、胎児遺伝子型を有する。本明細書に記載の単離胎盤細胞を含む細胞の集団のいずれかの他のある特定の実施形態では、該胎盤細胞を含む細胞の集団は、母体遺伝子型を有する細胞を実施的に含まず、例えば、該集団中の細胞の少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%は、胎児遺伝子型を有する。
【0110】
上記単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の細胞集団のいずれかのある特定の実施形態では、細胞または該集団の細胞の少なくとも約95%または約99%の核型は、正常である。上記胎盤細胞または細胞集団のいずれかの別の具体的な実施形態では、細胞または細胞の集団中の細胞は、由来が非母体である。
【0111】
マーカーの上記組み合わせのいずれかを持つ単離胎盤細胞または単離胎盤細胞の集団は、任意の比率で組み合わせることができる。上記単離胎盤細胞集団のうちの任意の2つ以上は、単離胎盤細胞集団を形成するために組み合わせることができる。例えば、単離胎盤細胞の集団は、上記マーカーの組み合わせのうちの1つにより規定される単離胎盤細胞の第1の集団、及びマーカーの組み合わせのうちの別のものにより規定される単離胎盤細胞の第2の集団を含むことができ、該第1及び第2の集団は、約1:99、2:98、3:97、4:96、5:95、10:90、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、または約99:1の比率で組み合わされる。同様に、上記単離胎盤細胞または単離胎盤細胞集団のうちの任意の3つ、4つ、5つ、またはそれ以上を、組み合わせることができる。
【0112】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞は、例えば、酵素消化を用いるまたは用いない胎盤組織の破壊(セクション5.2.3を参照のこと)、または灌流(セクション5.2.4を参照のこと)により得ることができる。例えば、単離胎盤細胞の集団は、臍帯血を排出され、残りの血液を除去するために灌流されている哺乳動物胎盤を灌流すること;該胎盤に灌流液を灌流すること;及び該灌流液を収集すること(灌流後の該灌流液は、単離胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団を含む);ならびに、細胞の該集団から、複数の該単離胎盤細胞を単離することを含む方法に従って産生することができる。具体的な実施形態では、灌流液は、臍静脈及び臍動脈の両方を通過し、胎盤から滲出した後に収集される。別の具体的な実施形態では、灌流液は、臍静脈を通過して、臍動脈から収集され、または臍動脈を通過して、臍静脈から収集される。
【0113】
種々の実施形態では、胎盤の灌流から得られる細胞の集団内に含有される単離胎盤細胞は、胎盤細胞の該集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または少なくとも99.5%である。別の具体的な実施形態では、灌流により収集される単離胎盤細胞は、胎児及び母体細胞を含む。別の具体的な実施形態では、灌流により収集される単離胎盤細胞は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または少なくとも99.5%の胎児細胞である。
【0114】
別の具体的な実施形態では、灌流により収集される本明細書に記載されるような単離胎盤細胞の集団を含む組成物が、本明細書で提供され、該組成物は、単離胎盤細胞を収集するために使用される灌流液の少なくとも一部を含む。
【0115】
本明細書に記載の単離胎盤細胞の単離集団は、細胞を含む胎盤細胞の集団を得るために、組織破壊酵素で胎盤細胞を消化すること、及び該胎盤細胞の残部から、複数の胎盤細胞を単離すること、または実質的に単離すること、により産生することができる。胎盤全体、またはその任意の部分を、本明細書に記載の単離胎盤細胞を得るために、消化することができる。具体的な実施形態では、例えば、該胎盤組織は、胎盤全体、羊膜、絨毛膜、羊膜及び絨毛膜の組み合わせ、または上述のもののいずれかの組み合わせであることができる。他の具体的な実施形態では、組織破壊酵素は、トリプシンまたはコラゲナーゼである。種々の実施形態では、胎盤を消化することにより得られる細胞の集団内に含有される単離胎盤細胞は、胎盤細胞の該集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または少なくとも99.5%である。
上記胎盤細胞の単離集団、及び単離胎盤細胞の集団は一般に、(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物の一部として)約、少なくとも、若しくは多くとも1×10
3、3×10
3、5×10
3、1×10
4、3×10
4、5×10
4、1×10
5、3×10
5、5×10
5、1×10
6、3×10
6、5×10
6、1×10
7、3×10
7、5×10
7、1×10
8、3×10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、若しくは1×10
10単離胎盤細胞、または(例えば、胎盤幹細胞を含む医薬組成物の一部として)約1×10
3〜3×10
3、3×10
3〜5×10
3、5×10
3〜1×10
4、1×10
4〜3×10
4、3×10
4〜5×10
4、5×10
4〜1×10
5、1×10
5〜3×10
5、3×10
5〜5×10
5、5×10
5〜1×10
6、1×10
6〜3×10
6、3×10
6〜5×10
6、5×10
6〜1×10
7、1×10
7〜3×10
7、3×10
7〜5×10
7、5×10
7〜1×10
8、1×10
8〜3×10
8、3×10
8〜5×10
8、5×10
8〜1×10
9、1×10
9〜5×10
9、若しくは5×10
9〜1×10
10の単離胎盤細胞を含むことができる。本明細書に記載の治療方法に有用な単離胎盤細胞の集団は、例えば、トリパンブルー排除法で、例えば、決定される場合、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の生存可能な単離胎盤細胞を含む。
【0116】
5.2 単離胎盤細胞を得る方法
5.2.1 幹細胞収集組成物
胎盤細胞、例えば、上記セクション5.1に記載の単離胎盤細胞、を収集及び単離する方法が、さらに本明細書で提供される。一般に、そのような細胞は、生理学的に許容される溶液、例えば、細胞収集組成物を使用して、哺乳動物胎盤から得られる。例示的細胞収集組成物は、「Improved Medium for Collecting Placental Stem Cells and Preserving Organs」という名称の米国特許公開公報第2007/0190042号で詳細に記載されており、この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
細胞収集組成物は、細胞、例えば、本明細書に記載の単離胎盤細胞、の収集及び/または培養に適する任意の生理学的に許容される溶液、例えば、食塩水(例えば、リン酸緩衝食塩水、クレブス液、変性クレブス液、イーグル液、0.9%のNaClなど)、培地(例えば、DMEM、H.DMEMなど)、などを含むことができる。
【0118】
細胞収集組成物は、収集時から培養時まで、単離胎盤細胞を保存するのに役立つ、つまり、単離胎盤細胞が死滅するのを防ぐ、または単離胎盤細胞の死滅を遅延させる、死滅する細胞の集団中の単離胎盤細胞の数を低減させるなどの傾向を有する、1つ以上の構成成分を含むことができる。そのような構成成分は、例えば、アポトーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤、若しくはJNK阻害剤);血管拡張薬(例えば、硫酸マグネシウム、抗高血圧薬薬物、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、副腎皮質刺激ホルモン、コルチコトロピン放出ホルモン、ニトロプルシドナトリウム、ヒドララジン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシン、若しくは硫酸マグネシウム、ホスホジエステラーゼ阻害剤など);壊死阻害剤(例えば、2−(1H−インドール−3−イル)−3−ペンチルアミノ−マレイミド、ピロリジンジチオカルバメート、若しくはクロナゼパム);TNF−α阻害剤;及び/または酸素含有ペルフルオロカーボン(例えば、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロデシルブロミドなど)であることができる。
【0119】
細胞収集組成物は、1つ以上の組織分解酵素、例えば、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、RNase、またはDNaseなどを含むことができる。そのような酵素は、コラゲナーゼ(例えば、コラゲナーゼI、II、III、またはIV、Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼなど);ディスパーゼ、サーモリシン、エラスターゼ、トリプシン、リベラーゼ、ヒアルロニダーゼなどを含むが、これらに限定されない。
【0120】
細胞収集組成物は、殺菌的または静菌的有効量の抗生物質を含むことができる。ある特定の非限定的実施形態では、抗生物質は、マクロライド(例えば、トブラマイシン)、セファロスポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、セファクロール、セフェキシム、またはセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV)またはキノロン(例えば、オフロキサシン、シプロフロキサシン、若しくはノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプトマイシンなどである。特定の実施形態では、抗生物質は、グラム陽性及び/またはグラム陰性細菌、例えば、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureusなどに対し活性がある。一実施形態では、抗生物質は、ゲンタマイシン、例えば、培地中約0.005%〜約0.01%(w/v)である。
【0121】
細胞収集組成物は、次の化合物のうちの1つ以上を含むこともできる:アデノシン(約1mM〜約50mM);D−グルコース(約20mM〜約100mM);マグネシウムイオン(約1mM〜約50mM);一実施形態では、内皮完全性及び細胞生存率を維持するのに十分な量で存在する20,000ダルトンを超える分子量の巨大分子(例えば、約25g/l〜約100g/l、または約40g/l〜約60g/lで存在する合成若しくは天然コロイド、デキストランなどの多糖類、またはポリエチレングリコール);酸化防止剤(例えば、約25μM〜約100μMで存在するブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、ビタミンC、またはビタミンE);還元剤(例えば、約0.1mM〜約5mMで存在するN−アセチルシステイン);カルシウムが細胞に侵入するのを妨げる薬剤(例えば、約2μM〜約25μMで存在するベラパミル);ニトログリセリン(例えば、約0.05g/L〜約0.2g/L);一実施形態では、抗は、残留血液の凝固を防ぐことに役立つのに十分な量で存在する、抗凝固剤(例えば、約1000単位/l〜約100,000単位/lの濃度で存在するヘパリンまたはヒルジン);あるいは、アミロライド含有化合物(例えば、約1.0μM〜約5μMで存在するアミロライド、エチルイソプロピルアミロライド、ヘキサメチレンアミロライド、ジメチルアミロライド、またはイソブチルアミロライド)。
【0122】
5.2.2 胎盤の収集及び取り扱い
一般に、ヒト胎盤は、出生後のそれの娩出後に、すぐに回収される。好ましい実施形態では、胎盤は、インフォームドコンセント後に、かつ患者の完全な病歴が取られ、胎盤に関連づけられた後に、患者から回収される。好ましくは、病歴は、分娩後に継続する。そのような病歴は、胎盤またはそこから採取された単離胎盤細胞の後続の使用を調整するために使用することができる。例えば、単離ヒト胎盤細胞は、胎盤と関連する幼児、または幼児の親、兄弟、若しくは他の親族の個別化医療のために、病歴に照らして使用することができる。
【0123】
単離胎盤細胞の回収に前に、臍帯血及び胎盤血は、好ましくは除去される。ある特定の実施形態では、分娩後に、胎盤の臍帯血は、回収される。胎盤は、従来の臍帯血回収プロセスに付すことができる。通常は、胎盤を瀉血するために、重力を用いて、針またはカニューレが使用される(例えば、Anderson、米国特許第5,372,581号;Hesselら、米国特許第5,415,665号を参照のこと)。針またはカニューレは通常、臍静脈中に入れられ、胎盤は、臍帯血を胎盤から排出させるのを助けるために、やさしくマッサージすることができる。そのような臍帯血回収は、商業的に、例えばLifeBank USA、ニュージャージー州シーダーノールズで、実施されてもよい。好ましくは、胎盤は、臍帯血回収中の組織破壊を最小限に抑えるために、さらなる操作なしに重力で排出される。
【0124】
通常、胎盤は、例えば、灌流または組織解離により、臍帯血の回収及び幹細胞の収集のために、分娩または出産室から別の場所、例えば、研究室に輸送される。胎盤は好ましくは、例えば、滅菌ジップロックプラスチックバッグに、隣接する臍帯を固定して胎盤を入れて、次に、断熱容器に入れることにより、(胎盤の温度を20〜28℃に維持する)滅菌断熱輸送装置中で輸送される。別の実施形態では、胎盤は、係属中の米国特許第7,147,626号(この開示は、本明細書に参照により組み込まれる)に実質的に記載されるような臍帯血収集キット中で、輸送される。好ましくは、胎盤は、分娩の4〜24時間後に、研究室に送達される。ある特定の実施形態では、隣接する臍帯は、好ましくは、臍帯血の回収前に、胎盤ディスクへの付着点の4〜5cm(センチメートル)の範囲内に固定される。他の実施形態では、隣接する臍帯は、臍帯血回収後であるが、胎盤のさらなる処理前に、固定される。
【0125】
胎盤は、細胞収集前に、滅菌条件で、室温または5℃〜25℃の温度のいずれかで保存することができる。胎盤は、任意の残留臍帯血を除去するために、胎盤を灌流する前に、4〜24時間の間、多くとも48時間、または48時間を超えて保存されてもよい。一実施形態では、胎盤は、娩出の約0時間後〜約2時間後の間に採取される。胎盤は好ましくは、5℃〜25℃の温度で、抗凝固剤溶液中で保存される。好適な抗凝固剤溶液は、当該技術分野において周知である。例えば、ヘパリンまたはワルファリンナトリウムの溶液が使用することができる。好ましい実施形態では、抗凝固剤溶液は、ヘパリンの溶液(例えば、1:1000溶液中1%(w/w))を含む。瀉血された胎盤は好ましくは、胎盤細胞を収集する前の多くとも36時間の間保存される。
【0126】
一旦収集されて上記のように一般に調製された哺乳動物胎盤またはその部分は、単離胎盤細胞を得るために、技術分野に既知の任意の仕方で処理することができ、例えば、灌流または破壊でき、例えば、1つ以上の組織破壊酵素で消化することができる。
【0127】
5.2.3 胎盤組織の物理的破壊及び酵素消化
一実施形態では、幹細胞は、器官の部分または全部の物理的破壊により、哺乳動物胎盤から収集される。例えば、胎盤またはその部分は、例えば、粉砕、剪断、細かく刻む、ダイスカット、チョップ、細かく砕くなどしてもよい。次に、組織は、単離胎盤細胞の集団を得るために培養することができる。通常、胎盤組織は、例えば、培地、食塩水、または幹細胞収集を使用して破壊される。
【0128】
胎盤は、物理的破壊及び/または酵素消化ならびに幹細胞回収前に、構成部分に切るすることができる。単離胎盤細胞は、完全な胎盤からを含む、羊膜、絨毛膜、臍帯、胎盤絨毛叢、またはそれらの任意の組み合わせの全部または一部から得ることができる。好ましくは、単離胎盤細胞は、羊膜及び絨毛膜を含む胎盤組織から得られる。通常、単離胎盤細胞は、胎盤組織の小さなブロックの破壊により得ることができ、例えば、胎盤組織のブロックは、体積が約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または約1000立方ミリメートルである。物理的破壊の任意の方法を使用することができるが、但し、破壊方法は、例えば、トリパンブルー排除法で決定して、生存可能な該器官中の細胞の多数、より好ましくは大半、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%を残すことを条件とする。
【0129】
単離接着胎盤細胞は一般に、娩出の最初の約3日後以内の任意の時であるが、好ましくは、娩出の約8時間後及び約18時間後の間に、胎盤またはその部分から収集することができる。
【0130】
特定の実施形態では、破壊された組織は、単離胎盤細胞の増殖に適する組織培地で培養される。
【0131】
別の具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、胎盤組織の物理的破壊により収集され、物理的破壊は、1つ以上の組織消化酵素の使用により達成することができる酵素消化を含む。胎盤またはその部分はまた、物理的に破壊されて、1つ以上の酵素で消化されてもよく、次に、得られる材料は、細胞収集組成物に浸漬される、またはこれに混合される。
【0132】
好ましい細胞収集組成物は、1つ以上の組織破壊酵素(複数可)を含む。胎盤組織を破壊するために使用することができる酵素は、パパイン;デオキシリボヌクレアーゼ;トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、またはエラスターゼなどのセリンプロテアーゼ、を含む。セリンプロテアーゼは、血清中のα2ミクログロブリンにより阻害され得る、それ故、消化に使用される培地は通常、無血清である。EDTA及びDNaseが一般に、細胞回収の効率を増加させるために、酵素消化手順で使用される。消化液は好ましくは、粘性のある消化物内の細胞を捕捉するのを回避するために、希釈される。
【0133】
組織消化酵素の任意の組み合わせが使用することができる。トリプシンを使用した消化に対する代表的な濃度は、0.1%〜約2%のトリプシン、例えば、約0.25%のトリプシンを含む。プロテアーゼの組み合わせ、つまり、同じ消化反応において2つ以上のプロテアーゼを使用することができる、または、胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞及び胎盤多分化能細胞を遊離させるため順次使用することができる。例えば、一実施形態では、胎盤またはその部分は、例えば、30分間、約1〜約2mg/mlの適切な量のコラゲナーゼIでまず消化され、続いて、例えば、37℃で10分間、約0.25%の濃度のトリプシンで消化される。セリンプロテアーゼは好ましくは、他の酵素の使用後に、連続して使用される。
【0134】
別の実施形態では、組織は、幹細胞を含む幹細胞収集組成物に、または、幹細胞が幹細胞収集組成物で単離される前に組織が破壊及び/若しくは消化される溶液に、キレート剤、例えば、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N',N'−テトラ酢酸(EGTA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加することにより、さらに破壊することができる。
【0135】
消化後、消化物は、例えば、培地で3回洗浄され、洗浄された細胞は、培養フラスコに播種される。次に、細胞は、特異な接着により単離され、例えば、生存率、細胞表面マーカー、分化などに対し特徴付けられる。
【0136】
胎盤全体または胎盤の部分が、胎児及び母体細胞の両方を含む場合(例えば、胎盤の部分が、絨毛膜または絨毛叢を含む場合)、単離された胎盤細胞は、胎児源及び母体源の両方に由来する胎盤細胞の混合物を含み得ることが理解されるであろう。胎盤の部分(例えば、羊膜)が、母体細胞を含まない、またはこれを無視できる数を含む場合、そこから単離された胎盤細胞は、ほとんど排他的に胎児胎盤細胞を含むことになる(つまり、胎盤細胞は、胎児の遺伝子型を有する)。
【0137】
胎盤細胞、例えば、上記セクション5.1に記載されている胎盤細胞は、特異なトリプシン処理(下記セクション5.2.5を参照のこと)、続いて、新しい増殖培地の1つ以上の新しい培養容器中での培養、任意に続いて、第2の特異なトリプシン処理により、破壊された胎盤組織から単離することができる。
【0138】
5.2.4 胎盤灌流
胎盤細胞、例えば、上記セクション5.1に記載されている胎盤細胞は、哺乳動物胎盤の灌流により得ることもできる。胎盤細胞を得るために哺乳動物胎盤に灌流する方法は、例えば、Hariri、米国特許第7,045,148号及び同第7,255,729号、米国特許公開公報第2007/0275362号及び同第2007/0190042号に開示されており、これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
胎盤細胞は、例えば、灌流液として細胞収集組成物を使用する、例えば、胎盤脈管構造中の灌流により収集することができる。一実施形態では、哺乳動物胎盤は、臍動脈及び臍静脈の一方またはその両方を灌流液が通過することにより灌流される。灌流液の胎盤を通る流れは、例えば、胎盤への重力流を使用して達成されてもよい。好ましくは、灌流液は、ポンプ、例えば、蠕動ポンプを使用して、胎盤を強制的に通過させる。臍静脈は、例えば、滅菌チューブなどの滅菌接続器具に接続されているカニューレ、例えば、TEFLON(登録商標)またはプラスチックカニューレ、をカニューレ挿入することができる。滅菌接続器具は、灌流マニホールドに接続されている。
【0140】
灌流の準備では、胎盤は好ましくは、臍動脈及び臍静脈が、胎盤の最高点に位置するように配置される(例えば、吊される)。胎盤は、灌流液の、胎盤脈管構造及び周囲組織中の通過により灌流することができる。胎盤は、灌流液の臍静脈への通過及び臍動脈からの収集、または、灌流液の臍動脈への通過及び臍動脈からの収集により、灌流することもできる。
【0141】
一実施形態では、例えば、臍動脈及び臍静脈は、例えば、可撓性コネクタを介して灌流液のリザーバに接続されているピペットに同時に接続される。灌流液は、臍静脈及び動脈を通過する。灌流液は、胎盤の周囲の組織へ、血管の壁から滲出し、及び/またはこれらを通過し、妊娠中の母親の子宮に付着していた胎盤の表面から好適な開放容器に収集される。灌流液はまた、臍帯開口部を通して導入されてもよく、母体の子宮壁と接続される胎盤の壁の開口部から流出または浸出させてもよい。「pan」法と称することができる本方法により収集される胎盤細胞は通常は、胎児及び母体細胞の混合物である。
【0142】
別の実施形態では、灌流液は、臍静脈を通過して、臍動脈から収集される、または、臍動脈を通過して、臍静脈から収集される。「閉回路」法と称することができる本方法により収集される胎盤細胞は通常、ほとんど排他的に胎児である。
【0143】
pan法を使用する灌流は、つまり、それにより、灌流液が、胎盤の母体側から滲出した後に、収集されるが、胎児及び母体細胞の混合物をもたらすことが理解されるであろう。その結果、本方法により収集された細胞は、由来が胎児及び母体の両方の胎盤細胞の混合集団、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞を含むことができる。対照的に、閉回路法における胎盤脈管構造単独での灌流は、それにより、灌流液が、1つまたは2つの胎盤血管を通過し、残りの血管(複数可)単独で収集されるが、ほぼ排他的に胎児由来である胎盤細胞の集団の収集をもたらす。
【0144】
一実施形態では、閉回路灌流法は、次の通り実施することができる。分娩後の胎盤は、出生後の約48時間内に得られる。臍帯は、固定され、クランプの上で切断される。臍帯は、廃棄することができる、または、例えば、臍帯幹細胞を回収するために、及び/若しくは生体材料の製造のために臍帯膜を処理するために、処理することができる。羊膜は、灌流の間保持することができる、または例えば、指での鈍的切開を使用して、絨毛膜から分離することができる。羊膜は、灌流前に絨毛膜から分離される場合、例えば、廃棄することができ、または例えば、酵素消化により幹細胞を得るために、若しくは例えば、羊膜生体材料、例えば、米国特許出願公開第2004/0048796号(この開示はその全体が本明細書に参照により組み込まれる)に記載の生体材料を製造するために、処理することができる。例えば、滅菌ガーゼを使用して、全ての目に見える凝血塊及び残留血液のある胎盤を清浄した後、臍帯血管は、例えば、臍帯の断面を露出させるために、臍帯膜を部分的に切断することにより、露出する。血管は、識別され、例えば、各血管の切断端を通って、閉じたアリゲータークランプを進めることにより開かれる。次に、器具、例えば、灌流装置または蠕動ポンプに接続されているプラスチックチューブは、胎盤動脈のそれぞれに挿入される。ポンプは、目的に適する任意のポンプ、例えば、蠕動ポンプであることができる。次に、滅菌収集リザーバ、例えば、250mLの収集バッグなどの血液バッグに接続されているプラスチックチューブが、胎盤静脈に挿入される。あるいは、ポンプに接続されているチューブは、胎盤静脈に挿入され、収集リザーバ(複数可)へのチューブは、胎盤動脈の一方または両方に挿入される。次に、胎盤は、ある体積の灌流液、例えば、約750mlの灌流液、で灌流される。次に、灌流液中の細胞は、例えば、遠心分離により収集される。ある特定の実施形態では、胎盤は、胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞及び/または胎盤多分化能細胞、を収集するための灌流前に、残留血液を除去するために、灌流液、例えば、100〜300mLの灌流液、で灌流される。別の実施形態では、胎盤は、胎盤細胞を収集するための灌流前に、残留血液を除去するために灌流液で灌流されない。
【0145】
一実施形態では、隣接する臍帯は、灌流中固定され、より好ましくは、臍帯の胎盤ディスクへの付着点の4〜5cm(センチメートル)以内に固定される。
【0146】
瀉血プロセス中の哺乳動物胎盤からの灌流液の最初の収集は一般に、臍帯血及び/または胎盤血の残留赤血球で色を帯びる。灌流液は、灌流プロセス時に無色になり、残留臍帯血細胞は、胎盤から洗い流される。一般に、30〜100ml(ミリリットル)の灌流液は、胎盤を最初に瀉血するのに適切であるが、幾分灌流液は、観察された結果に応じて使用されてもよい。
【0147】
胎盤細胞を単離するのに使用される灌流液の量は、収集されるべき細胞の数、胎盤のサイズ、単一の胎盤からなされるべき収集の数などに応じて変化し得る。種々の実施形態では、灌流液の体積は、50mL〜5000mL、50mL〜4000mL、50mL〜3000mL、100mL〜2000mL、250mL〜2000mL、500mL〜2000mL、または750mL〜2000mLであってよい。通常、胎盤は、瀉血後に、700〜800mLの灌流液で灌流される。
【0148】
胎盤は、数時間または数日間にわたって複数回灌流することができる。胎盤が複数回灌流される場合、胎盤は、容器または他の好適な容器中、無菌条件下で維持または培養されて、細抗凝固剤(例えば、ヘパリン、ワルファリンナトリウム、クマリン、ビスヒドロキシクマリン)を用いてまたは用いずに、及び/または、抗菌剤(例えば、β−メルカプトエタノール(0.1mM);ストレプトマイシン(例えば、40〜100μg/mlで)、ペニシリン(例えば、40U/ml)、アンホテリシンB(例えば、0.5μg/ml)などの抗生物質)を用いてまたは用いずに、胞収集組成物または標準的な灌流液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)などの生理食塩水)で灌流されてもよい。一実施形態では、胎盤が、灌流及び灌流液の収集の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、若しくは24時間前、または、2若しくは3日間、またはそれ以上前に、維持または培養されるように、単離胎盤は、灌流液を収集することなしに、しばらくの間維持または培養される。灌流された胎盤は、1以上のさらなる時間(複数可)、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、またはそれ以上の時間で維持することができ、2回目、例えば、700〜800mLの灌流液で灌流することができる。胎盤は、1、2、3、4、5、またはそれ以上の回数、例えば、1、2、3、4、5、または6時間ごとに1回、灌流することができる。好ましい実施形態では、胎盤の灌流及び灌流液、例えば、細胞収集組成物の収集は、回収された有核細胞が100細胞/mlより低くなるまで繰り返される。異なる時点での灌流液は、細胞、例えば、幹細胞、の時間依存的な集団を回収するために、個別にさらに処理することができる。異なる時点からの灌流液は、プールすることもできる。好ましい実施形態では、胎盤細胞は、娩出後約8時間及び約18時間の間に1回または何回も、収集される。
【0149】
灌流は、好ましくは、該溶液で灌流されていない、かつ(例えば、組織破壊、例えば、酵素消化により)胎盤細胞を得るために別途処理されていない哺乳動物胎盤から得ることができる数よりも有意に多い胎盤細胞の収集をもたらす。本文脈中、「有意に多い」は、少なくとも10%多いことを意味する。灌流は、例えば、胎盤またはその部分が培養されている培地から単離できる胎盤細胞の数よりも、有意に多い胎盤細胞を生じる。
【0150】
胎盤細胞は、1つ以上のプロテアーゼまたは他の組織破壊酵素を含む溶液で灌流により胎盤から単離することができる。ある特定の実施形態では、胎盤若しくはその部分(例えば、羊膜、羊膜及び絨毛膜、胎盤小葉若しくは子葉、臍帯、または上述のいずれかの組み合わせ)は、25〜37℃にされ、30分間、200mLの培地で、1つ以上の組織破壊酵素とインキュベーションされる。灌流液からの細胞は、収集され、4℃にされ、5mMのEDTA、2mMのジチオスレイトール、及び2mMのβ−メルカプトエタノールを含む冷阻害剤混合物で洗浄される。胎盤細胞は、冷(例えば、4℃)幹細胞収集組成物で数分後に洗浄される。
【0151】
5.2.5 胎盤細胞の単離、選別、及び特徴づけ
単離胎盤細胞、例えば、上記セクション5.1に記載されている細胞は、灌流または物理的破壊、例えば、酵素消化により得られたものであれ、Ficoll勾配遠心分離により、他の細胞から最初に精製(すなわち、単離)することができる。そのような遠心分離は、遠心分離速度などについて、任意の標準プロトコールに従うことができる。一実施形態では、例えば、胎盤から収集された細胞は、例えば、汚染屑及び血小板から細胞を分離する、15分間5000×gの遠心分離により、灌流液から回収される。別の実施形態では、胎盤灌流液は、約200mlまで濃縮され、Ficoll上に静かに層状にされ、22℃で20分間約1100×gで遠心分離され、細胞の低密度界面層は、さらなる処理のために収集される。
【0152】
細胞ペレットは、新しい幹細胞収集組成物または細胞維持、例えば、幹細胞維持、に適した培地、例えば、2U/mlのヘパリン及び2mMのEDTAを含有するIMDM無血清培地(GibcoBRL、ニューヨーク)中に再懸濁することができる。全単核細胞画分は、製造者の推奨手順に従って、例えば、Lymphoprep(Nycomed Pharmaノルウェー・オスロ)を使用して単離することができる。
【0153】
灌流または消化により得られた胎盤細胞は、例えば、0.05%のトリプシンの0.2%のEDTAとの溶液(Sigma、ミズーリ州セントルイス)を使用して、例えば、さらにまたは最初に分別的トリプシン処理により単離することができる。分別的トリプシン処理は、組織培養プラスチック接着性がある単離胎盤細胞は通常、約5分以内にプラスチック表面から離れるので、可能であるが、他の接着集団は通常、20〜30分を超えるのインキュベーションを必要とする。離れた胎盤細胞は、例えば、トリプシン中和溶液(TNS、Cambrex)を使用して、トリプシン処理及びトリプシン中和後に、採取することができる。接着細胞の単離の一実施形態では、例えば、約5〜10×10
6細胞のアリコートは、いくつかのT−75フラスコ、好ましくは、フィブロネクチンでコーティングされたT75フラスコ、のそれぞれに入れる。そのよう実施形態では、細胞は、市販のMesenchymal Stem Cell Growth Medium(MSCGM)(Cambrex)と培養でき、組織培養インキュベーター(37℃、5%のCO2)に入れることができる。10〜15日後、非接着細胞は、PBSで洗浄することにより、フラスコから除去される。次に、PBSは、MSCGMと交換される。フラスコは好ましくは、種々の接着細胞型の存在について、特に、線維芽細胞様細胞のクラスタの特定及び拡大について、毎日試験される。
【0154】
哺乳動物胎盤から収集される細胞の数及び種類は、例えば、フローサイトメトリー、細胞選別、免疫細胞化学(例えば、組織特異的または細胞マーカー特異的抗体で染色する)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS)などの標準細胞検出技術を使用して、形態及び細胞表面マーカーの変化を測定すること、光学若しくは共焦点顕微鏡を使用した細胞の形態の試験により、ならびに/または、PCR及び遺伝子発現プロファイルなどの当該技術分野において周知の技術を使用して遺伝子発現の変化を測定することにより、監視することができる。これらの技術は、1つ以上の特定のマーカーに対して陽性である細胞を特定するために、使用することもできる。例えば、CD34に対する抗体を使用して、細胞が、検出可能な量のCD34を含むかどうかを、上記の技術を使用して判定することができ、そうであれば、細胞は、CD34+である。同様に、細胞が、RT−PCRにより検出できることに十分なOCT−4、または成体細胞よりも有意に多いOCT−4を産生する場合、細胞は、OCT−4+である。細胞表面マーカーに対する抗体(例えば、CD34などのCDマーカー)及びOCT−4などの幹細胞特異的遺伝子の配列は、当該技術分野で周知である。
【0155】
胎盤細胞、特に、Ficoll分離、分別的接着、または両方の組み合わせにより単離されている細胞は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して選別されてもよい。蛍光活性化細胞選別(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいて、細胞を含む粒子を分離するための周知の方法である(Kamarch, 1987, Methods Enzymol, 151:150−165)。個々の粒子における蛍光部分のレーザー励起は、混合物からの正及び負の粒子の電磁気的分離を可能にする小さな電荷をもたらす。一実施形態では、細胞表面マーカー特異的抗体またはリガンドは、明確な蛍光標識で標識される。細胞は、使用される抗体に結合する能力に基づいて、細胞の分離を可能にする細胞選別機により処理される。FACSで選別された粒子は、分離及びクローニングを容易にするために、96ウェルまたは384ウェルプレートの個々のウェルに直接沈着されてもよい。
【0156】
1つの選別スキームでは、胎盤からの細胞、例えば、PDACは、マーカーCD34、CD38、CD44、CD45、CD73、CD105、OCT−4、及び/またはHLA−Gのうちの1つ以上の発現に基づいて選別される。これは、培養中の接着特性に基づいて、このような細胞を選択するための手順に関連して達成することができる。例えば、組織培養プラスチック接着選択は、マーカー発現に基づく選別の前後で達成することができる。一実施形態では、例えば、細胞は、CD34の発現に基づいて最初に選別され、CD34−細胞が保持され、さらにCD200+及びHLA−G−であるCD34−が、他の全てのCD34−細胞から分離される。別の実施形態では、胎盤からの細胞は、マーカーCD200及び/またはHLA−Gの発現に基づいて選別され、例えば、CD200を示し、かつHLA−Gを欠損する細胞が、さらなる使用のために単離される。例えば、CD200を発現し、かつ/または例えば、HLA−Gを欠損する細胞は、具体的な実施形態では、CD73及び/若しくはCD105、または抗体SH2、SH3、若しくはSH4により認識されるエピトープの発現、あるいはCD34、CD38、またはCD45の発現の欠損に基づいてさらに選別することができる。例えば、別の実施形態では、胎盤細胞は、CD200、HLA−G、CD73、CD105、CD34、CD38、及びCD45の発現またはその欠損により選別され、CD200+、HLA−G−、CD73+、CD105+、CD34−、CD38−、及びCD45−である胎盤細胞は、さらなる使用のために他の胎盤細胞から単離される。
【0157】
選別された胎盤細胞の上記実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、選別後に残る細胞集団の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%は、該単離胎盤細胞である。胎盤細胞は、上記セクション5.1に記載のマーカーのいずれかのうちの1つ以上により選別することができる。
【0158】
具体的な実施形態では、例えば、(1)組織培養プラスチックに接着し、(2)CD10+、CD34−、及びCD105+である胎盤細胞が、他の胎盤細胞から選別(すなわち、単離)される。別の具体的な実施形態では、(1)組織培養プラスチックに接着し、(2)CD10+、CD34−、CD105+、及びCD200+である胎盤細胞が、他の胎盤細胞から選別(すなわち、単離)される。別の具体的な実施形態では、(1)組織培養プラスチックに接着し、(2)CD10+、CD34−、CD45−、CD90+、CD105+、及びCD200+である胎盤細胞が、他の胎盤細胞から選別(すなわち、単離)される。
【0159】
胎盤細胞のヌクレオチド配列に基づく検出に関しては、本明細書に記載されているマーカーに対する配列は、GenBankまたはEMBLなどの公的に利用可能なデータベースで容易に入手できる。
【0160】
抗体を介する検出、及び胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞の選別に関しては、特定のマーカーに特異的な任意の抗体は、任意のフルオロフォアまたは細胞の検出及び選別(例えば、蛍光活性化細胞選別)に適する他の標識と組み合わせて使用することができる。マーカーに特異的な抗体/フルオロフォアの組み合わせとしては、HLA−Gに対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートモノクローナル抗体(Serotec, Raleigh、ノースカロライナ州から入手)、CD10(BD Immunocytometry Systems、カリフォルニア州サンノゼから入手)、CD44(BD Biosciences Pharmingen、カリフォルニア州サンノゼから入手)、及びCD105(R&D Systems Inc、ミネソタ州ミネアポリスから入手);CD44、CD200、CD117、及びCD13に対するフィリコエリトリン(PE)コンジュゲートモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen);CD33及びCD10に対するフィリコエリトリンCy7(PE Cy7)コンジュゲートモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen);アロフィコシアニン(APC)コンジュゲートストレプトアビジン及びCD38に対するモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen);ならびに、ビオチン化CD90(BD Biosciences Pharmingen)が挙げられるが、これらに限定されない。使用することができる他の抗体としては、CD133−APC(Miltenyi)、KDR−ビオチン(CD309、Abcam)、サイトケラチンK−FITC(SigmaまたはDako)、HLA ABC−Fitc(BD)、HLA DR,DQ,DP−PE(BD)、β−2ミクログロブリンPE(BD)、CD80−PE(BD)、及びCD86−APC(BD)が挙げられるが、これらに限定されない。使用することができる他の抗体/標識の組み合わせとしては、CD45−PerCP(ペリジンクロロフィルタンパク質);CD44−PE;CD19−PE;CD10−F(フルオレセイン);HLA−G−F及び7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD);HLA−ABC−Fなどが挙げられるが、これらに限定されない。このリストは、網羅的でなく、他の供給元からの他の抗体も市販されている。
【0161】
本明細書で提供される単離胎盤細胞は、例えば、フィリコエリトリン−Cy5(PE Cy5)コンジュゲートストレプトアビジン及びCD117またはCD133に対するビオチンコンジュゲートモノクローナル抗体を使用してCD117またはCD133についてアッセイすることができ、しかし、この系を使用して、細胞は、比較的高いバックグラウンドのために、CD117またはCD133に対してそれぞれ陽性であるように見える可能性がある。
【0162】
単離胎盤細胞は、単一マーカーに対する抗体で標識して、検出及び選別することができる。胎盤細胞は同時に、異なるマーカーに対する複数の抗体で標識することもできる。
【0163】
別の実施形態では、磁気ビーズは、細胞を分離するために使用することができる。細胞は、磁気ビーズ(直径0.5〜100μm)に結合する能力に基づいて粒子を分離するための方法である磁気活性化細胞選別(MACS)技術を使用して選別されてもよい。特定の細胞表面分子またはハプテンを特異的に認識する抗体の共有結合的付加を含む、種々の有用な修飾を、磁気マイクロスフェア上に実施することができる。次に、ビーズは、結合させるために、細胞と混合される。次に、細胞は、特異的な細胞表面マーカーを有する細胞を分離するために、磁場を通過する。一実施形態では、次に、これらの細胞は、単離されて、追加の細胞表面マーカーに対する抗体と結合された磁気ビーズと再混合することができる。細胞は再度、両方の抗体に結合された細胞を単離する磁場を通過する。次に、このような細胞は、クローン単離のためのマイクロタイター皿などの別の皿に希釈することができる。
【0164】
単離胎盤細胞は、細胞形態及び成長特徴に基づいて特徴付け、かつ/または選別することもできる。例えば、単離胎盤細胞は、例えば、培養中の線維芽細胞様外観を有するものとして特徴付けることができ、及び/または、これに基づいて選択することができる。単離胎盤細胞は、胚様体様体を形成する能力を有するものとして特徴付けることもでき、及び/または、これに基づいて選択することもできる。一実施形態では、例えば、形状が線維芽細胞様であり、CD73及びCD105を発現し、培養中に1つ以上の胚様体様体を産生する胎盤細胞が、他の胎盤細胞から単離される。別の実施形態では、培養中に1つ以上の胚様体様体を産生するOCT−4+胎盤細胞が、他の胎盤細胞から単離される。
【0165】
別の実施形態では、単離胎盤細胞は、特定され、コロニー形成単位アッセイにより特徴付けることができる。MesenCult(商標)培地(Stem Cell Technologies, Inc.、コロンビア州バンクーバーブリティッシュ)などのコロニー形成単位アッセイは、当該技術分野で周知である。
【0166】
単離胎盤細胞は、トリパンブルー排除アッセイ、(生存率を評価するための)ヨウ化プロピジウム取り込みアッセイ、及びチミジン取り込みアッセイ、(増殖をアッセイするための)MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)細胞増殖アッセイなどの当該技術分野において既知の標準的な技術を使用して生存率、増殖力、及び寿命に対し評価することができる。寿命は、当該技術分野において周知方法により、例えば、拡大した培養物中の集団倍加の最大数を測定することにより、測定されてもよい。
【0167】
単離胎盤細胞、例えば、上記セクション5.1に記載の単離胎盤細胞は、当該技術分野において既知の他の技術、例えば、所望の細胞の選択的成長(正の選択)、不要な細胞の選択的破壊(負の選択);例えば、大豆アグルチニンとしての混合集団における特異な細胞凝集に基づく分離、凍結融解手順;濾過;従来の遠心分離及びゾーン遠心分離;遠心水簸(カウンターストリーミング遠心分離);単位重力分離;向流分配法;電気泳動などを使用して、他の胎盤細胞から分離することもできる。
【0168】
5.2.6 単離胎盤細胞の集団
本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞、例えば、上記セクション5,1に記載の単離胎盤細胞、の集団も本明細書で提供される。単離胎盤細胞の集団は、1つ以上の胎盤から直接単離することができ、つまり、細胞集団は、単離胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団であることができ、単離胎盤細胞は、灌流液から得られる、若しくはこの中に含有される、または、破壊された胎盤細胞、例えば、胎盤組織消化物(つまり、胎盤若しくはその部分の酵素消化により得られた細胞の収集)から得られる、若しくはこの中に含有される。本明細書に記載の単離胎盤細胞は、単離胎盤細胞の集団を産生するために、培養及び拡大することもできる。単離胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団は、胎盤細胞集団を産生するために、培養及び拡大することもできる。
【0169】
本明細書で提供される治療方法に有用な胎盤細胞集団は、単離胎盤細胞、例えば、本明細書のセクション5.1に記載の単離胎盤細胞を含む。種々の実施形態では、胎盤細胞集団中の細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、単離胎盤細胞である。つまり、単離胎盤細胞の集団は、例えば、単離胎盤細胞でない1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%ほどの細胞を含むことができる。
【0170】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞集団は、例えば、酵素消化または灌流から誘導されるものであろうと、特定のマーカー及び/または特定の培養若しくは形態学的特徴を発現する単離胎盤細胞を選択することにより産生することができる。一実施形態では、例えば、(a)基質に接着し、(b)CD200を発現し、HLA−Gの発現を欠損する、胎盤細胞を選択すること、及び、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより細胞集団を産生する方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、細胞集団は、CD200を発現し、HLA−Gの発現を欠損する胎盤細胞を選択すること、及び、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、(a)基質に接着し、(b)CD73、CD105、及びCD200を発現する胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、CD73、CD105、及びCD200を発現する胎盤細胞を特定すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、(a)基質に接着し、(b)CD200及びOCT−4を発現する胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、CD200及びOCT−4を発現する胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、(a)基質に接着し、(b)CD73及びCD105を発現し、(c)胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団において、該集団が、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、CD73及びCD105を発現し、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団において、該集団が、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、(a)基質に接着し、(b)CD73及びCD105を発現し、HLA−Gの発現を欠損する胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、CD73及びCD105を発現し、HLA−Gの発現を欠損する胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団を産生する方法は、(a)基質に接着し、(b)OCT−4を発現し、(c)胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、該集団が、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団において、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする盤細胞を選択すること、及び、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することを含む。別の実施形態では、細胞集団は、OCT−4を発現し、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団において、該集団が、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする胎盤細胞を選択すること、及び、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。
【0171】
別の実施形態では、細胞集団は、(a)基質に接着し、(b)CD10及びCD105を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、CD10及びCD105を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、(a)基質に接着し、(b)CD10、CD105、及びCD200を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の実施形態では、細胞集団は、CD10、CD105、及びCD200を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の具体的な実施形態では、細胞集団は、(a)基質に接着し、(b)CD10、CD90、CD105、及びCD200を発現し、CD34及びCD45を発現しない胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。別の具体的な実施形態では、細胞集団は、CD10、CD90、CD105、及びCD200を発現し、CD34及びCD45を発現しない胎盤細胞を選択すること、ならびに、細胞集団を形成するために、該細胞を他の細胞から単離することにより産生される。
【0172】
上記セクション5.1に記載のマーカーの組み合わせのいずれかを有する胎盤細胞を含む細胞集団の選択を、同様に、単離することができる、または得ることができる。
【0173】
上記実施形態のいずれにおいても、単離細胞集団の選択は、ABC−p(胎盤特異的ABCトランスポータータンパク質、例えば、Allikmets et al., Cancer Res. 58(23):5337−9 (1998)を参照のこと)を発現する胎盤細胞を選択することをさらに含むことができる。方法は、例えば、間葉系幹細胞に特有の少なくとも1つの特徴、例えば、CD44の発現、CD90の発現、または上述の組み合わせの発現を示す細胞を選択することを含むこともできる。
【0174】
上記実施形態では、基質は、細胞、例えば、単離胎盤細胞、の培養及び/または選択が達成することができる任意の表面であることができる。通常、基質は、プラスチック、例えば、組織培養皿またはマルチウェルプレートプラスチックである。組織培養プラスチックは、生体分子、例えば、ラミニンまたはフィブロネクチンでコーティングすることができる。
【0175】
細胞、例えば、単離胎盤細胞は、細胞選択の当該技術分野において公知の任意の手段により、胎盤細胞集団について選択することができる。例えば、細胞は、1つ以上の細胞表面マーカーに対する抗体(複数可)を使用して、例えば、フローサイトメトリーまたはFACSで選択することができる。選択は、磁気ビーズと共に抗体を使用して達成することができる。特定の幹細胞関連マーカー特異的である抗体は、当該技術分野で既知である。例えば、OCT−4(Abcam、マサチューセッツ州ケンブリッジ)、CD200(Abcam)、HLA−G(Abcam)、CD73(BD Biosciences Pharmingen、カルフォルニア州サンディエゴ)、CD105(Abcam;BioDesign International、メイン州ソコー)に対する抗体などである。他のマーカーに対する抗体もまた、市販されており、例えば、CD34、CD38、及びCD45に対するものは、例えば、StemCell TechnologiesまたはBioDesign Internationalから入手可能である。
【0176】
単離胎盤細胞集団は、幹細胞ではない胎盤細胞、または胎盤細胞ではない細胞を含むことができる。
【0177】
本明細書に記載の胎盤由来接着細胞を含む単離細胞集団は、第2の細胞型、例えば、胎盤由来接着細胞ではない胎盤細胞、または、例えば、胎盤細胞ではない細胞、を含むことができる。例えば、胎盤由来接着細胞の単離集団は、第2型の細胞の集団を含むことができ、例えば、これと組み合わせることができ、該第2型の細胞は、例えば、胚性幹細胞、血液細胞(例えば、胎盤血、胎盤血細胞、臍帯血、臍帯血細胞、末梢血、末梢血細胞、胎盤血由来の有核細胞、臍帯血、または末梢血など)、血液から単離された幹細胞(例えば、胎盤血、臍帯血、または末梢血から単離された幹細胞)、胎盤灌流液由来の有核細胞、例えば、胎盤灌流液の全有核細胞;臍帯幹細胞、血液由来有核細胞の集団、骨髄由来間葉系間質細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、骨髄由来造血幹細胞、粗骨髄、成体(体性)幹細胞、組織内に含有される幹細胞の集団、培養細胞、例えば、培養幹細胞、完全分化細胞(例えば、軟骨細胞、線維芽細胞、羊膜細胞、骨芽細胞、筋細胞、心臓細胞など)の集団、周皮細胞などである。具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞を含む細胞の集団は、胎盤幹細胞または臍帯由来の幹細胞を含む。第2型の細胞が、血液または血液細胞である、ある特定の実施形態では、赤血球が、細胞の集団から除去されている。
【0178】
具体的な実施形態では、第2型の細胞は、造血幹細胞である。このような造血幹細胞は、例えば、未処理の胎盤、臍帯血、または末梢血内;胎盤血、臍帯血、または末梢血由来の全有核細胞中;胎盤血、臍帯血、または末梢血由来のCD34+細胞の単離集団中;未処理の骨髄中;骨髄由来の全有核細胞中;骨髄由来のCD34+細胞の単離集団中などに含有される可能性がある。
【0179】
別の実施形態では、胎盤由来接着細胞の単離集団は、血管系由来の複数の成体または前駆細胞と組み合わされる。種々の実施形態では、細胞は、内皮細胞、内皮前駆細胞、筋細胞、心筋細胞、周皮細胞、血管芽細胞、筋芽細胞、または心筋芽細胞である。
【0180】
別の実施形態では、第2の細胞型は、胚性幹細胞と関連する多能性及び機能のマーカーを発現するために、培養中操作された非胚性細胞型である。
【0181】
胎盤由来接着細胞の上記単離集団の具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞及び第2型の細胞の一方またはその両方は、細胞の意図されるレシピエントに対し自己由来である、または同種異系である。
【0182】
別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞及び胚性幹細胞を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞及び間葉系間質または幹細胞、例えば、骨髄由来間葉系間質または幹細胞を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、骨髄由来造血幹細胞を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞及び造血前駆細胞細胞、例えば、骨髄、胎児の血液、臍帯血、胎盤血及び/または末梢血由来の造血前駆細胞細胞、を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞及び体性幹細胞を含む。より具体的な実施形態では、該体性幹細胞は、神経幹細胞、肝臓幹細胞、膵臓幹細胞、内皮幹細胞、心臓幹細胞、または筋幹細胞である。
【0183】
他の具体的な実施形態では、第2型の細胞は、該集団中の細胞の約、少なくとも、または多くとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%を占める。他の具体的な実施形態では、該組成物中のPDACは、該組成物中の細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または90%を占める。他の具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞は、該集団中の細胞の約、少なくとも、または多くとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または45%を占める。
【0184】
胎盤由来接着細胞の単離集団中の細胞は、各集団中の全有核細胞の数を比較して、約100,000,000:1、50,000,000:1、20,000,000:1、10,000,000:1、5,000,000:1、2,000,000:1、1,000,000:1、500,000:1、200,000:1、100,000:1、50,000:1、20,000:1、10,000:1、5,000:1、2,000:1、1,000:1、500:1、200:1、100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1:1;1:2;1:5;1:10;1:100;1:200;1:500;1:1,000;1:2,000;1:5,000;1:10,000;1:20,000;1:50,000;1:100,000;1:500,000;1:1,000,000;1:2,000,000;1:5,000,000;1:10,000,000;1:20,000,000;1:50,000,000;または約1:100,000,000の比率で、別の型の複数の細胞と、例えば、幹細胞の集団と、組み合わせることができる。胎盤由来接着細胞の単離集団中の細胞は、同様に、複数の細胞型の複数の細胞と組み合わせることができる。
【0185】
他の実施形態では、本明細書に記載の胎盤細胞、例えば、上記PDAC、の集団は、骨形成胎盤接着細胞(OPAC)、例えば、「Methods and Compositions for Treatment of Bone Defects With Placental Stem Cells」という名称の2009年8月24日に出願された特許出願第12/546,556号に記載のOPACと組み合わされる、または羊膜由来血管新生細胞(AMDAC)、例えば、「Amnion Derived Angiogenic Cells」という名称の米国特許出願第12/622,352号(この開示は、その全体が本明細書で参照により組み込まれる)に記載のAMDACと組み合わされる。
【0186】
5.3 単離胎盤細胞を含む組成物
本明細書、例えば、セクション5.1、に記載の胎盤細胞は、本明細書に記載の方法及び組成物に使用される、生理学的に許容されるまたは医学的に許容される化合物、組成物、またはデバイスと組み合わせることができる。本明細書で提供される治療の方法に有用な組成物は、本明細書に記載の胎盤細胞のうちの任意の1つ以上を含むことができる。ある特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される組成物、例えば、薬学的に許容される担体中の胎盤細胞を含む組成物、である。
【0187】
ある特定の実施形態では、単離胎盤細胞を含む組成物は、マトリックス、例えば、脱細胞化マトリックスまたは合成マトリックス、をさらに含む。別の具体的な実施形態では、該マトリックスは、三次元の足場である。別の具体的な実施形態では、該マトリックスは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、ペクチン、オルニチン、またはビトロネクチンを含む。別の具体的な一実施形態では、マトリックスは、羊膜または羊膜由来生体材料である。別の具体的な実施形態では、該マトリックスは、細胞外膜タンパク質を含む。別の具体的な実施形態では、該マトリックスは、合成化合物を含む。別の具体的な実施形態では、該マトリックスは、生物活性化合物を含む。別の具体的な実施形態では、該生物活性化合物は、成長因子、サイトカイン、抗体、または5,000ダルトン未満の有機分子である。
【0188】
別の実施形態では、本明細書で提供される治療の方法に有用な組成物は、上述の胎盤細胞のいずれか、または上述の胎盤細胞集団のいずれかにより馴化された培地を含む。
【0189】
5.3.1 低温保存された単離胎盤細胞
本明細書に記載の方法及び組成物に有用な単離胎盤細胞集団は、保存、例えば、後で使用するために低温保存することができる。幹細胞などの細胞の低温保存のための方法は、当該技術分野において周知である。単離胎盤細胞集団は、個体に容易に投与することができる形態、例えば、医療用途に適する容器に含有される単離胎盤細胞集団、に調製することができる。そのような容器は、例えば、シリンジ、滅菌プラスチックバッグ、フラスコ、ジャー、または単離胎盤細胞集団が容易に出すことができる他の容器であることができる。例えば、容器は、血液バッグまたは液体のレシピエントに対する静脈内投与に適する他のプラスチックの医学的に許容されるバッグであることができる。ある特定の実施形態では、容器は、組み合わされた細胞集団の低温保存を可能にするものである。
【0190】
低温保存単離胎盤細胞集団は、単一のドナーまたは複数のドナーに由来する単離胎盤細胞を含むことができる。単離胎盤細胞集団は、意図されるレシピエントに完全にHLA適合である、または、部分的若しくは完全にHLA不適合である可能性がある。
【0191】
従って、一実施形態では、単離胎盤細胞は、方法に使用することができ、容器中に組織培養プラスチック接着性胎盤細胞集団を含む組成物の形態で本明細書に記載することができる。具体的な実施形態では、単離胎盤細胞は、低温保存される。別の具体的な実施形態では、容器は、バッグ、フラスコ、または瓶である。別の具体的な実施形態では、該バッグは、滅菌プラスチックバッグである。別の具体的な実施形態では、該バッグは、例えば、静脈内注入による、該単離胎盤細胞集団の静脈内投与に適する、可能にする、または容易にする。バッグは、投与の前または間に、単離胎盤細胞及び1つ以上の他の溶液、例えば、薬物、の混合を可能にするために相互に連結される複数のルーメンまたはコンパートメントを含むことができる。別の具体的な実施形態では、組成物は、組み合わされた細胞集団の低温保存を容易にする1つ以上の化合物を含む。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞集団は、生理学的に許容される水溶液内に含有される。別の具体的な実施形態では、該生理学的に許容される水溶液は、0.9%のNaCl溶液である。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞集団は、該細胞集団のレシピエントにHLA適合である胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、該組み合わされた細胞集団は、該細胞集団のレシピエントに少なくとも部分的にHLA不適合である胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、複数のドナーに由来する。
【0192】
ある特定の実施形態では、容器中の単離胎盤細胞は、単離CD10+、CD34−、CD105+胎盤細胞であり、該細胞は、低温保存されており、容器内に含有されている。具体的な実施形態では、該CD10+、CD34−、CD105+胎盤細胞はまた、CD200+である。別の具体的な実施形態では、該CD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤細胞はまた、CD45−またはCD90+である。別の具体的な実施形態では、該CD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤細胞はまた、CD45−及びCD90+である。別の具体的な実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD62E−、CD62L−、CD62P−、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80−、CD86−、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117−、CD144/VEカドヘリンdim、CD184/CXCR4−、CD200+、CD133−、OCT−4+、SSEA3−、SSEA4−、ABC−p+、KDR−(VEGFR2−)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−、HLA−G−、若しくはプログラム死1リガンド(PDL1)+のうちの1つ以上、またはそれらの任意の組み合わせである。別の具体的な実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38−、CD44+、CD45−、CD54/ICAM+、CD62E−、CD62L−、CD62P−、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80−、CD86−、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117−、CD144/VEカドヘリンdim、CD184/CXCR4−、CD200+、CD133−、OCT−4+、SSEA3−、SSEA4−、ABC−p+、KDR−(VEGFR2−)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−、HLA−G−、及びプログラム死1リガンド(PDL1)+である。
【0193】
他のある特定の実施形態では、上述の単離胎盤細胞は、単離CD200+、HLA−G−胎盤細胞であり、該細胞は、低温保存されており、容器内に含有されている。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、低温保存されており、容器内に含有されているCD73+、CD105+、CD200+細胞である。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、低温保存されており、容器内に含有されているCD200+、OCT−4+幹細胞である。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、低温保存されており、容器内に含有されているCD73+、CD105+細胞であり、該単離胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で胎盤細胞の集団と培養される時、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、低温保存されており、容器内に含有されているCD73+、CD105+、HLA−G−細胞である。別の実施形態では、単離胎盤細胞は、低温保存されており、容器内に含有されているOCT−4+胎盤細胞であり、該細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で胎盤細胞の集団と培養される時、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする。
【0194】
別の具体的な実施形態では、上述の単離胎盤細胞は、フローサイトメトリーで検出されるようなCD34−、CD10+及びCD105+(例えば、PDAC)である胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞である。別の具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型の細胞、または軟骨形成表現型の細胞に分化する可能性がある。別の具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90+またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90+またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90+またはCD45−である。別の具体的な実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+、CD200+細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD90+及びCD45−である。別の具体的な実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+、CD200+、CD90+、CD45−細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出されるようなCD80−及びCD86−である。別の具体的な実施形態では、CD34−、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD29+、CD38−、CD44+、CD54+、CD80−、CD86−、SH3+、またはSH4+のうちの1つ以上である。別の具体的な実施形態では、細胞はさらに、CD44+である。上記単離CD34−、CD10+、CD105+胎盤細胞のいずれかの具体的な実施形態では、細胞はさらに、CD117−、CD133−、KDR−(VEGFR2−)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−、及び/またはPDL1+のうちの1つ以上である。
【0195】
上述の低温保存された単離胎盤細胞のいずれかの具体的な実施形態では、該容器は、バッグである。種々の具体的な実施形態では、該容器は、約少なくともまたは多くとも1×10
6の該単離胎盤細胞、5×10
6の該単離胎盤細胞、1×10
7の該単離胎盤細胞、5×10
7の該単離胎盤細胞、1×10
8の該単離胎盤細胞、5×10
8の該単離胎盤細胞、1×10
9の該単離胎盤細胞、5×10
9の該単離胎盤細胞、1×10
10の該単離胎盤細胞、または1×10
10の該単離胎盤細胞を含む。上述の低温保存された集団のいずれかの他の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、約、少なくとも、または多くとも5回、多くとも10回、多くとも15回、または多くとも20回継代されている。上述の低温保存された単離胎盤細胞のいずれかの別の具体的な実施形態では、該単離胎盤細胞は、該容器内で拡大されている。
ある特定の実施形態では、胎盤由来接着細胞の単回単位用量は、種々の実施形態では、約、少なくとも、または多くとも1×10
3、3×10
3、5×10
3、1×10
4、3×10
4、5×10
4、1×10
5、3×10
5、5×10
5、1×10
6、3×10
6、5×10
6、1×10
7、3×10
7、5×10
7、1×10
8、3×10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、または1×10
10の胎盤細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、胎盤由来接着細胞の単回単位用量は、1×10
3〜3×10
3、3×10
3〜5×10
3、5×10
3〜1×10
4、1×10
4〜3×10
4、3×10
4〜5×10
4、5×10
4〜1×10
5、1×10
5〜3×10
5、3×10
5〜5×10
5、5×10
5〜1×10
6、1×10
6〜3×10
6、3×10
6〜5×10
6、5×10
6〜1×10
7、1×10
7〜3×10
7、3×10
7〜5×10
7、5×10
7〜1×10
8、1×10
8〜3×10
8、3×10
8〜5×10
8、5×10
8〜1×10
9、1×10
9〜5×10
9、または5×10
9〜1×10
10の間の胎盤細胞を含むことができる。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、50%以上の生細胞を含む(つまり、集団中の細胞の少なくとも50%は、機能しうる、または生きている)胎盤由来接着細胞の集団を含む。好ましくは、集団中の細胞の少なくとも60%は、生存可能である。より好ましくは、医薬組成物中の集団中の細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%は、生存可能である。
【0196】
5.3.2 医薬組成物
単離胎盤細胞の集団、例えば、PDAC、または単離胎盤細胞を含む細胞の集団は、インビボで、例えば、本明細書で提供される治療方法で、使用される医薬組成物に製剤化することができる。このような医薬組成物は、薬学的に許容される担体、例えば、食塩水、または他の許容される、インビボ投与に対し生理学的に許容される溶液中に、単離胎盤細胞の集団、または単離胎盤細胞を含む細胞の集団を含む。本明細書に記載の単離胎盤細胞を含む医薬組成物は、本明細書の他の箇所に記載の、単離胎盤細胞集団、または単離胎盤細胞のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。医薬組成物は、胎児、母体、または胎児及び母体両方の単離胎盤細胞を含むことができる。本明細書で提供される医薬組成物は、単一の個体若しくは胎盤から、または、複数の個体若しくは胎盤から得られた単離胎盤細胞をさらに含むことができる。
【0197】
本明細書で提供される医薬組成物は、任意の数の単離胎盤細胞を含むことができる。例えば、単回単位用量の胎盤由来接着細胞は、約、少なくとも、若しくは多くとも1×10
3、3×10
3、5×10
3、1×10
4、3×10
4、5×10
4、1×10
5、3×10
5、5×10
5、1×10
6、3×10
6、5×10
6、1×10
7、3×10
7、5×10
7、1×10
8、3×10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、若しくは1×10
10の胎盤細胞、または、1×10
3〜3×10
3、3×10
3〜5×10
3、5×10
3〜1×10
4、1×10
4〜3×10
4、3×10
4〜5×10
4、5×10
4〜1×10
5、1×10
5〜3×10
5、3×10
5〜5×10
5、5×10
5〜1×10
6、1×10
6〜3×10
6、3×10
6〜5×10
6、5×10
6〜1×10
7、1×10
7〜3×10
7、3×10
7〜5×10
7、5×10
7〜1×10
8、1×10
8〜3×10
8、3×10
8〜5×10
8、5×10
8〜1×10
9、1×10
9〜5×10
9、若しくは5×10
9〜1×10
10の胎盤細胞を含むことができる。
【0198】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、糖尿病性足部潰瘍を有する対象に1回投与される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、糖尿病性足部潰瘍に罹患している対象に、複数回、例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、または10回を超えて投与される。投薬間の間隔は、毎週、隔週、毎月、隔月、または毎年であることができる。間隔は、不規則であることもできる。このようなレジメンに従って投与される胎盤幹細胞の用量は、1×10
3、3×10
3、5×10
3、1×10
4、3×10
4、5×10
4、1×10
5、3×10
5、5×10
5、1×10
6、3×10
6、5×10
6、1×10
7、3×10
7、5×10
7、1×10
8、3×10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、若しくは1×10
10の胎盤細胞、または、1×10
3〜3×10
3、3×10
3〜5×10
3、5×10
3〜1×10
4、1×10
4〜3×10
4、3×10
4〜5×10
4、5×10
4〜1×10
5、1×10
5〜3×10
5、3×10
5〜5×10
5、5×10
5〜1×10
6、1×10
6〜3×10
6、3×10
6〜5×10
6、5×10
6〜1×10
7、1×10
7〜3×10
7、3×10
7〜5×10
7、5×10
7〜1×10
8、1×10
8〜3×10
8、3×10
8〜5×10
8、5×10
8〜1×10
9、1×10
9〜5×10
9、若しくは5×10
9〜1×10
10の胎盤幹細胞を含むが、これらに制限されない。具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、1×10
3の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
3の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
4の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
5の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、1×10
6の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
6の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
7の胎盤幹細胞である。
【0199】
ある特定の実施形態では、胎盤幹細胞(例えば、CD10+、CD105+、CD200+、CD34−胎盤幹細胞)を含む医薬組成物は、単回投与として、糖尿病性足部潰瘍に罹患している対象に1回投与される。ある特定の実施形態では、胎盤幹細胞(例えば、CD10+、CD105+、CD200+、CD34−胎盤幹細胞)を含む医薬組成物は、単回投与、続いて、約1週間後に2回目投与、として糖尿病性足部潰瘍を有する対象に投与される。ある特定の実施形態では、胎盤幹細胞(例えば、CD10+、CD105+、CD200+、CD34−胎盤幹細胞)を含む医薬組成物は、単回投与、続いて、約1週間後に2回目投与及びその約1週間後(すなわち、最初の投与の約2週間後)に3回目投与として糖尿病性足部潰瘍を有する対象に投与される。このようなレジメンに従って投与される胎盤幹細胞の用量は、1×10
3、3×10
3、5×10
3、1×10
4、3×10
4、5×10
4、1×10
5、3×10
5、5×10
5、1×10
6、3×10
6、5×10
6、1×10
7、3×10
7、5×10
7、1×10
8、3×10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、若しくは1×10
10の胎盤細胞、または、1×10
3〜3×10
3、3×10
3〜5×10
3、5×10
3〜1×10
4、1×10
4〜3×10
4、3×10
4〜5×10
4、5×10
4〜1×10
5、1×10
5〜3×10
5、3×10
5〜5×10
5、5×10
5〜1×10
6、1×10
6〜3×10
6、3×10
6〜5×10
6、5×10
6〜1×10
7、1×10
7〜3×10
7、3×10
7〜5×10
7、5×10
7〜1×10
8、1×10
8〜3×10
8、3×10
8〜5×10
8、5×10
8〜1×10
9、1×10
9〜5×10
9、若しくは5×10
9〜1×10
10の胎盤幹細胞を含むが、これらに制限されない。具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、1×10
3の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
3の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
4の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
5の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、1×10
6の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
6の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
7の胎盤幹細胞である。
【0200】
ある特定の実施形態では、胎盤幹細胞(例えば、CD10+、CD105+、CD200+、CD34−胎盤幹細胞)を含む医薬組成物は、単回投与、続いて、その約1ヶ月後(例えば、最初の投与の約27、28、29、30、31、32、または33日後)に2回目投与、として糖尿病性足部潰瘍を有する対象に投与される。ある特定の実施形態では、胎盤幹細胞(例えば、CD10+、CD105+、CD200+、CD34−胎盤幹細胞)を含む医薬組成物は、単回投与、続いて、約1ヶ月後に2回目投与及びその約1ヶ月後(すなわち、最初の投与の約2ヶ月後、例えば、最初の投与後55、56、57、58、59、60、61、62、63、または64日目またはその頃)に3回目投与として、糖尿病性足部潰瘍を有する対象に投与される。このようなレジメンに従って投与される胎盤幹細胞の用量は、1×10
3、3×10
3、5×10
3、1×10
4、3×10
4、5×10
4、1×10
5、3×10
5、5×10
5、1×10
6、3×10
6、5×10
6、1×10
7、3×10
7、5×10
7、1×10
8、3×10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、若しくは1×10
10の胎盤細胞、または、1×10
3〜3×10
3、3×10
3〜5×10
3、5×10
3〜1×10
4、1×10
4〜3×10
4、3×10
4〜5×10
4、5×10
4〜1×10
5、1×10
5〜3×10
5、3×10
5〜5×10
5、5×10
5〜1×10
6、1×10
6〜3×10
6、3×10
6〜5×10
6、5×10
6〜1×10
7、1×10
7〜3×10
7、3×10
7〜5×10
7、5×10
7〜1×10
8、1×10
8〜3×10
8、3×10
8〜5×10
8、5×10
8〜1×10
9、1×10
9〜5×10
9、若しくは5×10
9〜1×10
10の胎盤幹細胞を含むが、これらに制限されない。具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、1×10
3の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
3の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
4の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
5の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、1×10
6の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
6の胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、医薬組成物中の胎盤幹細胞の用量は、3×10
7の胎盤幹細胞である。
【0201】
本明細書で提供される医薬組成物は、50%以上の生細胞(つまり、集団中の細胞の少なくとも50%は、機能しうる、または生きている)を含む細胞の集団を含む。好ましくは、集団中の細胞の少なくとも60%は、生存可能である。より好ましくは、医薬組成物中の集団中の細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%は、生存可能である。
【0202】
本明細書で提供される医薬組成物は、例えば、移植を容易にする1つ以上の化合物(例えば、抗T細胞受容体抗体、免疫抑制剤など);アルブミン、デキストラン40、ゼラチン、ヒドロキシエチル、デンプン、プラズマライト(Plasmalyte)などの安定剤を含むことができる。
【0203】
注射用溶液として製剤化される時、一実施形態では、医薬組成物は、約1%〜1.5%のHSA及び約2.5%のデキストランを含む。好ましい実施形態では、医薬組成物は、5%のHSA及び10%のデキストランを含む、任意に、免疫抑制剤、例えば、10mg/kgの、例えば、シクロスポリンAを含む溶液中、約5×10
6細胞/mL〜約2×10
7細胞/mLを含む。
【0204】
他の実施形態では、医薬組成物、例えば溶液、は、複数の細胞、例えば、単離胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞を含み、該医薬組成物は、約1.0±0.3×10
6細胞/mL〜約5.0±1.5×10
6細胞/mLを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約1.5×10
6細胞/mL〜約3.75×10
6細胞/mLを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約1×10
6細胞/mL〜約50×10
6細胞/mL、約1×10
6細胞/mL〜約40×10
6細胞/mL、約1×10
6細胞/mL〜約30×10
6細胞/mL、約1×10
6細胞/mL〜約20×10
6細胞/mL、約1×10
6細胞/mL〜約15×10
6細胞/mL、または約1×10
6細胞/mL〜約10×10
6細胞/mLを含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、目に見える細胞塊(すなわち、マクロ細胞塊)を含まない、またはこのような目に見える塊を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「マクロ細胞塊」は、拡大なしで目に見える、例えば、裸眼で見える、細胞の凝集を意味し、一般に、約150ミクロンよりも大きい細胞凝集を指す。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、または10%のデキストラン、例えば、デキストラン40を含む。具体的な実施形態では、該組成物は、約7.5%〜約9%のデキストラン40を含む。具体的な実施形態では、該組成物は、約5.5%のデキストラン40を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約1%〜約15%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む。具体的な実施形態では、医薬組成物は、約1%、2%、3%、4%、5%、65、75、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%のHSAを含む。具体的な実施形態では、該細胞は、低温保存及び解凍されている。別の具体的な実施形態では、該細胞は、70μM〜100μMのフィルタに通して濾過されている。別の具体的な実施形態では、該組成物は、目に見える細胞塊を含まない。別の具体的な実施形態では、該組成物は、10
6の細胞当たり約200未満の細胞塊を含み、該細胞塊は、顕微鏡、例えば、光学顕微鏡、のみで見える。別の具体的な実施形態では、該組成物は、10
6細胞当たり約150未満の細胞塊を含み、該細胞塊は、顕微鏡、例えば、光学顕微鏡、のみで見える。別の具体的な実施形態では、該組成物は、10
6細胞当たり約100未満の細胞塊を含み、該細胞塊は、顕微鏡、例えば、光学顕微鏡、のみで見える。
【0205】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約1.0±0.3×10
6細胞/mL、約5.5%のデキストラン40(w/v)、約10%のHSA(w/v)、及び約5%のDMSO(v/v)を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される胎盤幹細胞を含む医薬組成物は、約5.75%のデキストラン40、約10%のヒト血清アルブミン、及び約2.5%のDMSOを含む。
【0206】
他の実施形態では、医薬組成物は、10%のデキストラン40を含む溶液に、複数の細胞、例えば、複数の単離胎盤細胞を含み、医薬組成物は、約1.0±0.3×10
6細胞/mL及び〜約5.0±1.5×10
6細胞/mLを含み、該組成物は、肉眼で目に見える細胞塊を含まない(すなわち、マクロ細胞塊を含まない)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1.5×10
6細胞/mL〜約3.75×10
6細胞/mLを含む。ある特定の実施形態では、該細胞は、低温保存及び解凍されている。別の具体的な実施形態では、該細胞は、70μM〜100μMのフィルタに通して濾過されている。別の具体的な実施形態では、該組成物は、10
6の細胞当たり約200マイクロ未満の細胞塊(つまり、拡大でのみ見える細胞塊)を含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、10
6の細胞当たり約150マイクロ未満の細胞塊を含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、10
6の細胞当たり約100マイクロ未満の細胞塊を含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、若しくは2%未満のDMSO、または1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、若しくは0.1%未満のDMSOを含む。
【0207】
細胞を含む組成物が、さらに本明細書で提供され、該組成物は、本明細書の開示の方法の1つにより生成される。例えば、一実施形態では、医薬組成物は、細胞を含み、医薬組成物は、濾過された細胞含有溶液を形成するために、胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞、を含む溶液を濾過すること;例えば、低温保存の前に、約1〜50×10
6、1〜40×10
6、1〜30×10
6、1〜20×10
6、1〜15×10
6、または1〜10×10
6細胞/mLまで、第1の溶液で、濾過された細胞含有溶液を希釈すること;及び、該組成物を生成するために、デキストランを含むが、ヒト血清アルブミン(HSA)を含まない第2の溶液で、得られた濾過された細胞含有溶液を希釈すること、を含む方法により生成される。ある特定の実施形態では、該希釈は、多くとも約15×10
6細胞/mLまでである。ある特定の実施形態では、該希釈は、多くとも約10±3×10
6細胞/mLまでである。ある特定の実施形態では、該希釈は、多くとも約7.5×10
6細胞/mLまでである。他のある特定の実施形態では、濾過された細胞含有溶液が、希釈前に、約15×10
6細胞/mL未満を含む場合、濾過は、任意である。他のある特定の実施形態では、濾過された細胞含有溶液が、希釈前に、約10±3×10
6細胞/mL未満を含む場合、濾過は、任意である。他のある特定の実施形態では、濾過された細胞含有溶液が、希釈前に、約7.5×10
6細胞/mL未満を含む場合、濾過は、任意である。
【0208】
具体的な実施形態では、細胞は、第1の希釈液での該希釈及び該第2の希釈液での該希釈の間に、低温保存される。別の具体的な実施形態では、第1の希釈液は、デキストラン及びHSAを含む。第1の希釈液または第2の希釈液中のデキストランは、任意の分子量のデキストラン、例えば、約10kDa〜約150kDaの分子量を有するデキストランであることができる。いくつかの実施形態では、該第1の希釈液または該第2の溶液中の該デキストランは、約2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、または10%のデキストランである。別の具体的な実施形態では、該第1の希釈液または該第2の希釈液中のデキストランは、デキストラン40である。別の具体的な実施形態では、該第1の希釈液及び該第2の希釈液中のデキストランは、デキストラン40である。別の具体的な実施形態では、該第1の希釈液中の該デキストラン40は、5.0%のデキストラン40である。別の具体的な実施形態では、該第1の希釈液中の該デキストラン40は、5.5%のデキストラン40である。別の具体的な実施形態では、該第2の希釈液中の該デキストラン40は、10%のデキストラン40である。別の具体的な実施形態では、HSAを含む該溶液中の該HSAは、1〜15%のHSAである。別の具体的な実施形態では、HSAを含む該溶液中の該HSAは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%のHSAである。別の具体的な実施形態では、HSAを含む該溶液中の該HSAは、10%のHSAである。別の具体的な実施形態では、該第1の希釈液は、HSAを含む。別の具体的な実施形態では、該第1の希釈液中の該HSAは、10%のHSAである。別の具体的な実施形態では、該第1の希釈液は、凍結防止剤を含む。別の具体的な実施形態では、該凍結防止剤は、DMSOである。別の具体的な実施形態では、該第2の希釈液中の該デキストラン40は、約10%のデキストラン40である。別の具体的な実施形態では、細胞を含む該組成物は、約7.5%〜約9%のデキストランを含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、約1.0±0.3×10
6細胞/mL〜約5.0±1.5×10
6細胞/mLを含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、約1.5×10
6細胞/mL〜約3.75×10
6細胞/mLを含む。
【0209】
別の実施形態では、医薬組成物は、(a)濾過された細胞含有溶液を生成するために、低温保存前に、胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞、を含む細胞含有溶液を濾過すること;(b)約1〜50×10
6、1〜40×10
6、1〜30×10
6、1〜20×10
6、1〜15×10
6、または1〜10×10
6細胞/mLの、濾過された細胞含有溶液中の細胞を低温保存すること;(c)細胞を解凍すること;及び、(d)デキストラン40溶液で、約1:1〜約1:11(v/v)に、濾過された細胞含有溶液を希釈すること、を含む方法により作製される。ある特定の実施形態では、細胞の数が、ステップ(a)の前に、約10±3×10
6未満細胞/mLである場合、濾過は任意である。別の具体的な実施形態では、ステップ(b)の細胞は、約10±3×10
6細胞/mLで低温保存される。別の具体的な実施形態では、ステップ(b)の細胞は、約5%〜約10%のデキストラン40及びHSAを含む溶液中で低温保存される。ある特定の実施形態では、ステップ(b)の該希釈は、多くとも約15×10
6細胞/mLまでである。
【0210】
別の実施形態では、医薬組成物は、(a)細胞含有溶液を形成するために、10%のHSAを含む5.5%のデキストラン40溶液に、胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多分化能細胞、を懸濁すること;(b)70μMのフィルタに通して、細胞含有溶液を濾過すること;(c)約1〜50×10
6、1〜40×10
6、1〜30×10
6、1〜20×10
6、1〜15×10
6、または1〜10×10
6細胞/mLまで、5.5%のデキストラン40、10%のHSA、及び5%のDMSOを含む溶液で、細胞含有溶液を希釈すること;(d)細胞を低温保存すること;(e)細胞を解凍すること;ならびに、(f)10%のデキストラン40で、1:1〜1:11(v/v)に、細胞含有溶液を希釈すること、を含む方法により作製される。ある特定の実施形態では、ステップ(c)の該希釈は、多くとも約15×10
6細胞/mLである。ある特定の実施形態では、ステップ(c)の該希釈は、多くとも約10±3×10
6細胞/mLである。ある特定の実施形態では、ステップ(c)の該希釈は、多くとも約7.5×10
6細胞/mLである。
【0211】
別の実施形態では、細胞を含む組成物は、(a)細胞を収集するために、複数の細胞を遠心分離すること;(b)5.5%のデキストラン40中に、細胞を再懸濁すること;(c)細胞を収集するために、細胞を遠心分離すること;(d)10%のHSAを含む5.5%のデキストラン40溶液中に、細胞を再懸濁すること;(e)70μMのフィルタに通して、細胞を濾過すること;(f)約1〜50×10
6、1〜40×10
6、1〜30×10
6、1〜20×10
6、1〜15×10
6、または1〜10×10
6細胞/mLまで、5.5%のデキストラン40、10%のHSA、及び5%のDMSO中に、細胞を希釈すること;(g)細胞を低温保存すること;(h)細胞を解凍すること;ならびに、(i)10%のデキストラン40で、1:1〜1:11(v/v)に細胞を希釈すること、を含む方法により作製される。ある特定の実施形態では、ステップ(f)の該希釈は、多くとも約15×10
6細胞/mLである。ある特定の実施形態では、ステップ(f)の該希釈は、多くとも約10±3×10
6細胞/mLである。ある特定の実施形態では、ステップ(f)の該希釈は、多くとも約7.5×10
6細胞/mLである。他のある特定の実施形態では、細胞の数が、約10±3×10
6未満細胞/mLである場合、濾過は任意である。
【0212】
本明細書に記載の組成物、例えば、単離胎盤細胞を含む医薬組成物は、本明細書に記載の単離胎盤細胞のいずれかを含むことができる。
【0213】
細胞産生物の投与に適する他の注射製剤が使用されてもよい。
【0214】
一実施形態では、医薬組成物は、実質的または完全に由来が非母体である、つまり、胎児遺伝子型を有する単離胎盤細胞を含み;例えば、少なくとも約90%、95%、98%、99%、または約100%は、由来が非母体である。例えば、一実施形態では、医薬組成物は、CD200+及びHLA−G−;CD73+、CD105+、及びCD200+;CD200+及びOCT−4+;CD73+、CD105+及びHLA−G−;CD73+及びCD105+であり、単離胎盤細胞の該集団を含む胎盤細胞の集団において、胎盤細胞の該集団が、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする;若しくは、OCT−4+であり、単離胎盤細胞の該集団を含む胎盤細胞の集団において、胎盤細胞の該集団が、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする;または、上述の組み合わせである単離胎盤細胞の集団を含み、該単離胎盤細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%は、由来が非母体である。別の実施形態では、医薬組成物は、CD10+、CD105+、及びCD34−;CD10+、CD105+、CD200+、及びCD34−;CD10+、CD105+、CD200+、CD34−、及びCD90+若しくはCD45−のうちの少なくとも1つ;CD10+、CD90+、CD105+、CD200+、CD34−、及びCD45−;CD10+、CD90+、CD105+、CD200+、CD34−、及びCD45−;CD200+、及びHLA−G−;CD73+、CD105+、及びCD200+;CD200+、及びOCT−4+;CD73+、CD105+、及びHLA−G−;CD73+及びCD105+であり、該単離胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団において、胎盤細胞の該集団が、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする;OCT−4+であり、該単離胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団において、胎盤細胞の該集団が、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される時、1つ以上の胚様体様体の形成を容易にする;または、CD117−、CD133−、KDR−、CD80−、CD86−、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR−及び/若しくはPDL1+のうちの1つ以上である;あるいは、上述の組み合わせである単離胎盤細胞の集団を含み、該単離胎盤細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%が、由来が非母体である。具体的な実施形態では、医薬組成物はさらに、胎盤から得られない幹細胞を含む。
【0215】
本明細書で提供される組成物、例えば、医薬組成物、中の単離胎盤細胞は、単一のドナーまたは複数のドナーに由来する胎盤細胞を含むことができる。単離胎盤細胞は、意図されるレシピエントに完全にHLA適合である、または、部分的若しくは完全にHLA不適合である可能性がある。
【0216】
5.3.3 単離胎盤細胞を含むマトリックス
胎盤細胞、または単離胎盤細胞の集団を含むマトリックス、ヒドロゲル、足場などを含む組成物がさらに、本明細書で提供される。そのような組成物は、懸濁液中の細胞の代わりに、またはそれに加えて使用することができる。
【0217】
本明細書に記載の単離胎盤細胞は、天然マトリックス、例えば、羊膜材料などの胎盤生体材料上に播種することができる。そのような羊膜材料は、例えば、哺乳動物胎盤から直接切除された羊膜;固定または熱処理された羊膜、実質的に乾燥した(すなわち、20%未満のH2O)羊膜、絨毛膜、実質的に乾燥した絨毛膜、実質的に乾燥した羊膜及び絨毛膜などであることができる。単離胎盤細胞が播種することができる好ましい胎盤生体材料は、Hariri、米国特許出願公開第2004/0048796号に記載されており、この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
本明細書に記載の単離胎盤細胞は、例えば、注射に適するヒドロゲル溶液中に懸濁することができる。そのような組成物に好適なヒドロゲルは、RAD16などの自己組織化ペプチドを含む。一実施形態では、細胞を含むヒドロゲル溶液は、移植のための、細胞がその内部に分散したマトリックスを形成するために、例えば、鋳型内で、硬化させることができる。そのようなマトリックス中の単離胎盤細胞は、移植前に、細胞が有糸分裂的に拡大するように培養することもできる。ヒドロゲルは、例えば、共有結合、イオン結合、または水素結合を介して架橋されて、ゲルを形成するために水分子を捕捉する3次元の開格子構造を形成している、有機ポリマー(天然または合成)である。ヒドロゲル形成材料は、イオン的に架橋される、アルギネート及びその塩などの多糖類、ペプチド、ポリホスファジン(polyphosphazines)、ならびにポリアクリレート、または、それぞれ温度若しくはpHにより架橋されている、ポリエチレンオキシドポリプロピレングリコールブロックコポリマーなどのブロックポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルまたはマトリックスは、生分解性である。
【0219】
いくつかの実施形態では、製剤は、in situの重合可能なゲルを含む(例えば、米国特許公開公報第2002/0022676号(この開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる);Anseth et al., J. Control Release, 78(1−3):199−209 (2002);Wang et al., Biomaterials, 24(22):3969−80 (2003)を参照のこと)。
【0220】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、電荷を持つ側鎖基またはそれらの一価のイオン性塩を有する、水、緩衝塩水溶液、またはアルコール水溶液などの水溶液に少なくとも部分的に可溶性である。カチオンと反応することができる酸性側鎖基を有するポリマーの例は、ポリ(ホスファゼン(phosphazenes))、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸及びメタクリル酸のコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、ならびにスルホン化ポリスチレンなどのスルホン化ポリマーである。アクリルまたはメタクリル酸及びビニルエーテルモノマーまたはポリマーの反応により形成される酸性側鎖基を有するコポリマーを、使用することもできる。酸性基の例は、カルボン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)アルコール基、フェノールOH基、及び酸性OH基である。
【0221】
具体的な実施形態では、マトリックスは、生体吸収材料、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマー若しくはブレンド、またはヒアルロン酸、から作製されるマルチフィラメントヤーンからなることができるフェルトである。ヤーンは、クリンピング、カッティング、カーディング、及びニードリングからなる標準的な繊維加工技術を使用して、フェルトに作製される。別の好ましい実施形態では、本発明の細胞は、コンポジット構造であり得るフォーム足場上に播種される。加えて、3次元のフレームワークは、修復、交換、または向上されるべき、身体の特定の構造などの有用な形状に成形されてもよい。使用することができる足場の他の例としては、不織布マット、多孔質フォーム、または自己組織化ペプチドが挙げられる。不織布マットは、グリコール酸及び乳酸(例えば、PGA/PLA)(VICRYL、Ethicon,Inc.、ニュージャージー州サマヴィル)合成吸収性コポリマーからなる繊維を使用して形成することができる。例えば、凍結乾燥、または真空凍結乾燥(例えば、米国特許第6,355,699号を参照のこと)などのプロセスにより形成されるポリ(ε−カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーからなるフォームも、足場として使用することもできる。
【0222】
本明細書に記載の単離胎盤細胞またはその共培養物は、3次元のフレームワークまたは足場上に播種することができ、インビボで移植することができる。そのようなフレームワークは、任意の1つ以上の成長因子、細胞、薬物、または他の構成成分、例えば、組織形成を刺激する成分、と組み合わせて移植することができる。
【0223】
使用することができる足場の例としては、不織布マット、多孔質フォーム、または自己組織化ペプチドが挙げられる。不織布マットは、グリコール酸及び乳酸(例えば、PGA/PLA)(VICRYL、Ethicon,Inc.、ニュージャージー州サマヴィル)合成吸収性コポリマーからなる繊維を使用して形成することができる。例えば、凍結乾燥、または真空凍結乾燥などのプロセスにより形成されるポリ(ε−カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーからなるフォーム(例えば、米国特許第6,355,699号を参照のこと)も、足場として使用することができる。
【0224】
別の実施形態では、単離胎盤細胞は、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマー若しくはブレンド、またはヒアルロン酸などの生体吸収材料から作製されるマルチフィラメントヤーンからなることができるフェルト上に播種することができる、または、これと接触することができる。
【0225】
別の実施形態では、本明細書で提供される単離胎盤細胞は、コンポジット構造であり得るフォーム足場上に播種することができる。このようなフォーム足場は、修復、交換、または向上されるべき、身体中の特定の構造の一部のものなどの有用な形状に形成することができる。いくつかの実施形態では、フレームワークは、細胞付着を増強するために、細胞の接種前に、例えば、0.1Mの酢酸で処理され、続いて、ポリリシン、PBS、及び/またはコラーゲン中でインキュベートされる。マトリックスの外部表面は、例えば、マトリックスを血漿コーティングすること、または、1つ以上のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維、網状繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン、(例えば、ヘパリンスルフェート、コンドロイチン−4−スルフェート、コンドロイチン−6−スルフェート、デルマタンスルフェート、ケラチンスルフェートなど)、細胞マトリックス、及び/またはゼラチン、アルギネート、アガー、アガロース、及びゴムなどのこれらに限定されない他の材料の添加により、細胞の付着または成長及び組織の分化を改善するために修飾されてもよい。
【0226】
いくつかの実施形態では、足場は、それを非血栓性にする材料を含む、またはそれらで処理される。これらの処理及び材料は、内皮成長、遊走、及び細胞外マトリックス沈着を促進及び持続することもある。これらの材料及び処理の例としては、ラミニン及びIV型コラーゲンなどの基底膜タンパク質などの天然材料、EPTFEならびにPURSPAN(商標)(The Polymer Technology Group, Inc.、カリフォルニア州バークレー)などのセグメント化ポリウレタン尿素シリコーンなどの合成材料、が挙げられるが、これらに限定されない。足場は、ヘパリンなどの抗血栓剤を含むこともでき、足場は、単離胎盤細胞を播種する前に、表面電荷を変えるために処理すること(例えば、血漿でコーティングすること)もできる。
【0227】
本明細書で提供される胎盤細胞(例えば、PDAC)は、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、及びリン酸四カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムマグネシウム、BIOGLASS(登録商標)などの生物学的に活性なガラス、ならびにそれらの混合物を含むが、これらに限定されない生理学的に許容されるセラミック材料上に播種することもできる、またはこれと接触できる。現在市販されている多孔性生体適合性セラミック材料は、URGIBONE(登録商標)(CanMedica Corp.、カナダ)、ENDOBON(登録商標)(Merck Biomaterial France、フランス)、CEROS(登録商標)(Mathys,AG、スイス・ベットラッハ)、ならびに、HEALOS(商標)(DePuy,Inc.、マサチューセッツ州レイナム)及びVITOSS(登録商標)、RHAKOSS(商標)、及びCORTOSS(登録商標)(Orthovita、ペンシルベニア州モルバーン)などの石灰化コラーゲン骨移植製品を含む。フレームワークは、天然及び/または合成材料の混合物、ブレンド、またはコンポジットであることができる。
【0228】
一実施形態では、単離胎盤細胞は、約0.5×10
6〜約8×10
6細胞/mLで、好適な足場上に播種される、またはこれと接触する。
【実施例】
【0229】
6.1 実施例1:胎盤由来接着細胞の表現型の特徴づけ
本実施例は、胎盤細胞(PDACとも呼ばれているCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞)による、血管新生因子の分泌を実証する。
【0230】
6.1.1 胎盤由来接着細胞の血管新生能の評価のためのセクレトーム(Secretome)プロファイリング
マルチプレックスビーズアッセイ:継代6回の胎盤由来接着細胞を、成長培地に、等しい細胞数でプレーティングし、馴化培地を、48時間後に収集した。細胞馴化培地中の複数の血管新生サイトカイン/成長因子の同時定性分析を、磁気ビーズをベースとするマルチプレックスアッセイ(Bio−Plex Pro(商標)、Bio−Rad、カリフォルニア州)を使用して実施した。アッセイは、血清、血漿、及び細胞/組織培養上清を含む多様なマトリックス中の血管新生バイオマーカーの測定を可能にするものである。これらの96ウェルプレートフォーマットのビーズをベースとするアッセイは、捕捉サンドイッチイムノアッセイと類似している。所望の血管新生標的に対する抗体が、内部染色されたビーズに共有結合的に結合される。結合されたビーズを、血管新生標的を含有する試料と反応させる。結合していないタンパク質を除去するための一連の洗浄後に、異なるエピトープに特異的なビオチン化検出抗体を、反応物に添加する。結果は、血管新生標的の周りの抗体のサンドイッチの形成である。次に、ビーズ表面上のビオチン化検出抗体に結合するために、ストレプトアビジンPEを、添加する。要約すると、マルチプレックスアッセイを、製造者の使用説明書に従って実施し、馴化培地中のそれぞれの血管新生成長因子の量を評価した。
【0231】
ELISA:R&D Systems(ミネソタ州ミネアポリス)製の市販のキットを使用して、細胞馴化培地中の単一の血管新生サイトカイン/成長因子の定量的分析を実施した。要約すると、ELISAアッセイを、製造者の使用説明書に従って実施し、馴化培地中のそれぞれの血管新生成長因子の量を評価した。
【0232】
PDACによる種々の血管新生タンパク質の分泌のレベルを、
図1に示す。
血管新生マーカーに対するマルチプレックス及びELISAの結果
【表1】
【0233】
別の実験では、PDACは、アンジオポイエチン1、アンジオポイエチン2、PECAM−1(CD31;血小板内皮細胞接着分子)、ラミニン、及びフィブロネクチンを分泌することも確認された。
【0234】
6.2 実施例2:胎盤細胞の機能的特徴づけ
本実施例は、血管新生及び分化能力と関連する胎盤細胞(PDACとも呼ばれる、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞)の異なる特徴を実証する。
【0235】
6.2.1 PDACの血管新生能の評価のためのHUVEC管腔形成
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、3日間、EGM−2培地(Cambrex、ニュージャージー州イーストラザフォード)中、継代3回以下で継代培養し、約70%〜80%のコンフルエンシーで採取した。HUVECを、基礎培地/抗生物質(DMEM/F12(Gibco))で1回洗浄し、所望の濃度で、同じ培地中に再懸濁した。HUVECを、調製から1時間以内に使用した。ヒト胎盤コラーゲン(HPC)を、10mMのHCl(pH 2.25)中で1.5mg/mLの濃度にし、pH 7.2に緩衝液で中和し、使用するまで氷上に保った。HPCを、4000細胞/μlの最終細胞濃度で、HUVEC懸濁液と組み合わせた。得られたHUVEC/HPC懸濁液を、3μl/ウェルで、96ウェルプレートに直ちにピペッティングした(プレート周囲は、蒸発を避けるために、滅菌PBSで予め充填しなければならない、条件ごとにn=5)。HUVEC滴を、培地添加なしに、75〜90分、37℃及び5%のCO
2でインキュベートして、コラーゲンの重合を可能にした。「ドライ」インキュベーションの完了時に、各ウェルに、200μlの馴化PDAC培地(n=2細胞株)または対照培地(例えば、陰性対照としてのDMEM/F12、及び陽性対照としてのEGM−2)を静かに充填し、20時間、37℃及び5%のCO
2でインキュベートした。4〜6時間、成長培地中、継代6回のPDACをインキュベートすることにより、馴化培地を調製し;付着させて広げた後、培地を、24時間、DMEM/F12に変更した。インキュベーション後に、培地を、HUVEC滴を乱すことなく、ウェルから除去し、細胞をPBSで1回洗浄した。次に、HUVEC滴を、Diff−Quik細胞染色キットを使用して、10秒間固定して、1分間染色し、続いて、滅菌水で3回すすいだ。染色した滴を空気乾燥させ、Zeiss SteReo Discovery V8顕微鏡を使用して、各ウェルの画像を得た。次に、コンピュータソフトウエアパッケージImageJ及び/またはMatLabを使用して、画像を分析した。画像を、カラーから8ビットグレースケール画像に変換し、閾値を決定して、白黒画像に変換した。次に、粒子分析機能を使用して画像を分析し、分析は、アッセイにおける内皮管腔形成の量と同等である、カウント(個々の粒子の数)、総面積、(個々の粒子の)平均サイズ、及び面積率を含む、ピクセル密度データを提供した。
【0236】
馴化培地は、管腔形成の誘導により実証されるように、内皮細胞に血管新生効果をもたらす(
図2を参照のこと)。
【0237】
6.2.2 HUVEC遊走アッセイ
本実験は、胎盤由来接着細胞の血管新生能力を実証した。HUVECを、フィブロネクチン(FN)コーティングされた12ウェルプレート中で、単一層コンフルエンスまで成長させ、単一層を、1mLのプラスチックピペットの先端で「傷つけ」て、ウェル全体に、細胞のない線を作成した。「傷つけた」細胞を、成長の3日後に、PDACから得られた無血清馴化培地(EBM2;Cambrex)でインキュベートすることにより、HUVECの遊走を試験した。細胞を含まないEBM2培地を、対照として使用した。15時間後に、倒立顕微鏡を使用して、細胞のない部分への細胞遊走を記録した(n=3)。次に、コンピュータソフトウエアパッケージImageJ及び/またはMatLabを使用して、写真を分析した。画像を、カラーから8ビットグレースケール画像に変換し、閾値を決定して、白黒画像に変換した。次に、粒子分析機能を使用して画像を分析し、分析は、アッセイにおける内皮遊走の量に等しい、カウント(個々の粒子の数)、総面積、(個々の粒子の)平均サイズ、及び面積率を含む、ピクセル密度データを提供した。細胞遊走の程度を、最初に記録された創傷線のサイズに対しスコア化し、結果を1x10
6の細胞に正規化した。
【0238】
胎盤由来接着細胞により分泌される栄養因子は、細胞遊走の誘導により実証されるように、内皮細胞に血管新生効果をもたらした(
図3)。
【0239】
別の実験では、HUVECを、EGM2中で、一晩確立させるために、24ウェルプレートの底部で培養し、続いて、EBM中で半日飢餓にした。同時に培地で培養されたPDACを解凍し、一晩、トランスウェル(8μM)中で培養した。EC飢餓の後、トランスウェルと共に馴化無血清DMEMを、一晩の増殖のために、ECに移した。4回の反復を、各実験に含め、24時間後の増殖を、PromegaのCell Titer Gloアッセイで評価した。EBM−2培地を、陰性対照として使用し、EGM−2を、陽性対照として使用した。エラーバーは、分析的反復(n=3)の標準偏差を表す。
【0240】
PDACにより分泌される栄養因子は、HUVEC細胞数の増加をもたらし、これはHUVEC増殖を示す。
図4を参照のこと。
【0241】
6.2.3 胎盤由来接着細胞の血管新生能の評価のための管腔形成
一般に細胞の血管新生能及びVEGFの細胞の分化能における効果を評価するために、VEGFを含まない成長培地中、またはVEGFを含むEGM2−MV中のいずれかで、PDACを成長させた。管腔形成に対する対照としてのHUVECを、EGM2−MV中で成長させた。細胞が70〜80%のコンフルエンスに達するまで、細胞を、4〜7日間、各培地中で培養した。冷(4℃)MATRIGEL(商標)溶液(50μL;BD Biosciences)を、12ウェルプレートのウェルに分注し、プレートを、37℃で60分間インキュベートして、溶液をゲル化させた。PDAC及びHUVEC細胞を、トリプシン処理し、(VEGFを含む及び含まない)適切な培地に再懸濁し、100μlの希釈された細胞(1〜3×10
4細胞)を、MATRIGEL(商標)含有ウェルのそれぞれに添加した。0.5〜100ngのVEGFの存在下または不存在下での、重合されたMATRIGEL(商標)上の細胞を、37℃、5%のCO2のインキュベーター内に4〜24時間置いた。インキュベーション後に、標準的な光学顕微鏡を使用して、細胞を管腔形成の徴候について評価した。
【0242】
PDACは、VEGFの不存在下で最小限の管腔形成を示したが、VEGFでの刺激を通して、誘導/分化されて、管腔様構造を形成した。
図5を参照のこと。
【0243】
6.2.4 胎盤由来接着細胞の血管新生能の評価のための低酸素応答性
内皮細胞及び/または内皮前駆細胞の血管新生機能性を評価するために、細胞を、低酸素及び正常酸素条件下での血管新生成長因子を分泌する能力に関して評価することができる。低酸素条件下での培養は通常、内皮細胞または内皮前駆細胞のいずれかによる血管新生成長因子の分泌の増加を誘導し、これは、馴化培地中で測定できる。胎盤由来接着細胞を、標準的な成長培地中、等しい細胞数でプレーティングし、成長させて約70〜80%のコンフルエンスに至らせた。続いて、細胞を、無血清培地(EBM−2)に切り替え、24時間、正常酸素(21%のO2)または低酸素(1%のO2)条件下でインキュベートした。馴化培地を収集し、市販のR&D Systems製ELISAキットを使用して、血管新生成長因子の分泌を分析した。ELISAアッセイを、製造者の使用説明書に従って実施し、馴化培地中のそれぞれの血管新生成長因子(VEGF及びIL−8)の量を、1×10
6の細胞に正規化した。
【0244】
胎盤由来接着細胞は、低酸素条件での種々の血管新生成長因子の分泌の上昇を示した。
図6を参照のこと。
【0245】
6.2.5 PDAC馴化培地に対するHUVECの応答
PDACを、60%のDMEM−LG(Gibco)、40%のMCBD−201(Sigma)、2%のFBS(Hyclone Labs)、1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS)、10ng/mLのリノール酸−ウシ血清アルブミン(LA−BSA)、1nのデキサメタゾン(Sigma)、100μMのアスコルビン酸2−ホスフェート(Sigma)、10ng/mLの上皮成長因子(R&D Systems)、及び10ng/mLの血小板由来成長因子(PDGF−BB)(R&D Systems)を含有する成長培地で、48時間培養し、次に、無血清培地で、さらに48時間培養した。PDAC培養物由来の馴化培地を、収集し、使用して、5、15、及び30分間、血清飢餓HUVECを刺激した。続いて、HUVECを、溶解させ、血管新生経路シグナル伝達に関与することが知られているリンタンパク質について、BD(商標) CBA(Cytometric Bead Assay)Cell Signaling Flex Kit (BD Biosciences)で染色した。PDACは、HUVECにおける、AKT−1(アポトーシスプロセスを阻害する)、AKT−2(インスリンシグナル伝達経路における重要なシグナル伝達タンパク質である)、及びERK 1/2細胞増殖経路の強いアクチベーターであることが判明した。これらの結果は、PDACの血管新生能力をさらに実証する。
【0246】
6.3 実施例3:PDACによる血管新生の誘導
本実施例は、上記実施例1に記載されるようなPDACが、ニワトリ漿尿膜(CAM)を使用して、インビボアッセイで血管新生を促進することを実証する。
【0247】
2つの別々のCAMアッセイを行った。第1のCAMアッセイでは、PDACの異なる調製物由来のインタクトな細胞ペレットを評価した。第2のCAMアッセイでは、異なるPDAC調製物の上清を評価した。線維芽細胞増殖因子(bFGF)を、陽性対照として使用し、MDA−MB−231ヒト乳癌細胞を参照として、ビヒクル、及び培地対照を陰性対照として使用した。試験のエンドポイントは、全ての治療及び対照群の血管密度を測定することであった。
【0248】
6.3.1 PDACを使用したCAMアッセイ
上記のように調製され、低温保存されたPDACを使用した。PDACを、投与のために解凍し、CAM上に投与される細胞の数を決定した。
【0249】
試験デザイン:試験は、各群に10の胚を含む5群を含んでいた。試験のデザインを、表2に記載する。
試験群:ニワトリ漿尿膜血管新生試験
【表2】
【0250】
CAMアッセイ手順:新しい受精能力のある卵を、3日間、37℃の標準的な卵インキュベーター内で、3日間インキュベートした。3日目に、卵を無菌条件下で割り、胚を、20枚の100mmプラスチック皿に置き、一番下の棚上に貯水器を有する胚インキュベーター内で、37℃で培養した。インキュベーター内の湿度を一定に保つように、小型ポンプを使用して、空気を貯水器に連続的にバブリングした。6日目、滅菌シリコン「O」リングを、各CAM上に置き、次に、7.69×105細胞/40μLの培地/MATRIGEL(商標)混合物(1:1)の密度のPDACを、滅菌フード内の各「O」リングに供給した。表2A及び2Bは、使用された細胞の数及び投与のための各細胞調製物に添加された培地の量を表す。ビヒクル対照胚は、40μLのビヒクル(PBS/MATRIGEL(商標)、1:1)を与えられ、陽性対照は、40μlのDMEM培地/MATRIGEL(商標)混合物(1:1)中の100ng/mlのbFGFを与えられ、培地対照は、40μlのDMEM培地単独を与えられた。各投与を完了した後に、胚をインキュベーターに戻した。8日目に、胚をインキュベーターから取り出し、100倍の倍率で画像キャプチャーシステムを使用して、血管密度を、各「O」リングの下で決定する間、室温に保った。
【0251】
血管密度を、CAM上の処置部位に存在する血管の数を示すために、算術数0〜5、または指数の数1〜32を使用した血管新生スコアリングシステムにより測定した。高いスコア数は、高い血管密度を表したのに対し、0は、血管新生が無かったことを示した。各個々の実験について対照試料から得られた平均スコアで割ったその部位で記録されたスコアを使用して、各投与部位での阻害のパーセントを計算した。8〜10の胚からその投与ついて得られた全ての結果をプールすることにより、所与の化合物の各投与に対する阻害のパーセントを計算した。
投与のための最終細胞懸濁液の正規化のために、各細胞調製物に添加された培地の量
【表3】
継代6回のPDACを使用した。
【0252】
結果
血管密度スコアの結果を、
図7に提示する。結果は、PDAC細胞懸濁液、または100ng/mLのbFGF、またはMDAMB231乳癌細胞懸濁液で処理されたニワトリ漿尿膜の血管密度スコアは、ビヒクル対照CAMのものと比較して統計的に有意に高かったことを明確に示す(P<0.001、スチューデントの「t」検定)。PDACを培養するために使用される培地(陰性対照)は、血管密度に何ら影響を及ぼさなかった。さらに、PDAC調製物の血管密度の誘導は、多少の変動を示したが、変動は、統計的に有意ではなかった。
【0253】
6.3.2 PDAC上清を使用したCAMアッセイ
MDA−MB−231細胞及びPDACからの上清試料を、上記のように第2のCAMアッセイで使用した。bFGF及びMDA−MB−231上清を、陽性対照として使用し、培地及びビヒクルを、陰性対照として使用した。
【0254】
試験デザイン:試験は、各群に10の胚を含む5群を含んでいた。試験のデザインを、表4に記載する。
試験デザイン−細胞上清を使用したCAMアッセイ
【表4】
PDAC上清を、継代6回の細胞から得た。
【0255】
CAMアッセイ手順:アッセイ手順は、上記セクション6.3.1に記載されたものと同じものであった。唯一の違いは、各幹細胞調製物またはMDA−MB−231細胞からの上清が試験材料として使用されたことであった。投与のために、各上清をMATRIGEL(商標)(容量で1:1)と混合し、40μLの混合物を、各胚に投与した。
【0256】
結果:血管密度スコア(
図8を参照のこと)は、各幹細胞調製物の上清による血管形成の誘導が異なったことを示す。PDACからの上清試料は、それぞれ、P<0.01、P<0.001、及びP<0.02(スチューデントの「t」検定)の血管誘導に有意な効果を示した。予想通り、陽性対照bFGFも、上記CAMアッセイ番号1(P<0.001、スチューデントの「t」検定)に示されるように血管形成の強力な誘導を示した。しかし、MDA−MB−231ヒト乳癌細胞からの上清は、ビヒクル対照と比較して、血管形成に有意な誘導を示さなかった。先に示したように、培地単独は、何ら影響を及ぼさなかった。
【0257】
6.4 実施例4:PDACは、ニューロン保護効果を示す
本実施例は、PDACが、酸素−グルコース欠乏(OGD)侵襲アッセイを使用して、低酸素及び低グルコース条件で、ニューロン保護効果を有し、活性酸素種を低減させることを実証する。したがって、これらの結果は、PDACが、脳卒中または末梢血管疾患などの虚血状態の治療に有用であろうこと示す。
【0258】
ヒトニューロン(ScienCell、カタログ#1520)を、製造業者の推奨により培養した。要約すると、培養容器を、37℃で1時間、滅菌蒸留水中のポリ−L−リシン(2μg/mL)でコーティングした。容器を、2回蒸留したH
2Oで3回洗浄した。ニューロン培地(ScienCell)を、容器に添加し、インキュベーター内で37℃に平衡化した。ニューロンを解凍し、遠心分離なしに容器に直接添加した。後続の培養中に、培地を、培養開始の翌日、及びその後1日おきに交換した。ニューロンは通常、4日目までに侵襲の準備ができていた。
【0259】
OGD培地(ダルベッコ改変イーグル培地−グルコース不含)を、水浴中で培地を最初に温めることにより調製し、部分的に、液体培地中の酸素の溶解性を低減させた。溶存酸素を除去するために、0.5μmの拡散石を使用して、100%の窒素を、培地に30分間バブリングした。HEPES緩衝液を、1mMの終濃度で添加した。培地を、スパージの終わりに、直接ニューロンに添加した。ディップ式酸素センサを使用して酸素レベルの確認のために、培地の少量試料を等分した。酸素レベルは通常、0.9%〜約5.0%の酸素に低減した。
【0260】
ガス処理の前に、低酸素チャンバを、少なくとも4時間(好ましくは一晩)37℃のインキュベーター内にチャンバを置くことにより準備した。培養容器中の培地を除去し、脱気された培地と交換し、培養容器を、低酸素チャンバ内に置いた。次に、低酸素チャンバを、少なくとも5分間、20〜25Lpmの速度で系を通した95%のN2/5%のCO2ガスでフラッシュした。系を、4時間、37℃のインキュベーター内でインキュベーションし、1位時間後にもう一度チャンバを脱気した。
【0261】
侵襲手順の終わりに、OGD培地を吸引し、温かい培地を、ニューロンに添加した。24〜28時間後に、ニューロン培地中に懸濁されたPDAC及びニューロンを、6ウェルプレートの1ウェル当たりそれぞれ100,000細胞の同等の数でプレーティングし、ニューロンに添加し、6日間共培養した。
【0262】
各条件について6ウェルプレート中の無作為な場所の顕微鏡写真を撮った。代表的なニューロン形態を有する細胞を、特定し、神経突起の長さを記録した。神経突起の平均長は、ニューロンの健康状態と正相関し、ニューロン及びPDACの共培養において、より長く、PDACが細胞を侵襲から保護していたことを示している。
【0263】
活性酸素種アッセイ
PDACは、低酸素時に、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、及びヘムオキシゲナーゼ遺伝子を発現することが見出された。活性酸素種発生剤としての過酸化水素を使用するアッセイにおいて、PDACの、活性酸素種を除去する及び細胞をこのような種から保護する能力を決定した。
【0264】
アッセイの説明:標的細胞(アストロサイト、ScienCell Research Laboratories)を、6000/cm2で、ポリ−L−リシンでプレコーティングされた96ウェル黒ウェルプレートに播種した。アストロサイトを、5%の二酸化炭素と共に、37℃で成長培地中に一晩付着させる。翌日、培地を除去し、細胞を、蛍光発生プローブである細胞透過性色素DCFH−DA(ジクロロフルオレシンジアセタート)とインキュベートした。過剰な染料を、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水またはハンクの緩衝塩溶液で洗浄することにより除去した。次に、細胞を、30〜60分間、1000μMの過酸化水素の添加により、活性酸素種で侵襲した。次に、過酸化水素含有培地を除去し、無血清グルコース不含成長培地と交換した。PDACを、6000/cm2で添加し、細胞を、さらに24時間培養した。次に、細胞を、480Ex及び530Emの標準蛍光プレートリーダーで、読み取った。培地の活性酸素種含有量は、細胞サイトゾル中のDCFH−DAのレベルに正比例した。予め決定されたDCF標準曲線との比較により、活性酸素種含有量を測定した。全ての実験を、N=24で行った。
【0265】
アッセイのために、ウシ胎児血清を含まない細胞培地中で、20×DCFH−DAのストック溶液を1×に希釈すること及び均質に撹拌することにより、使用する直前に、1×DCFH−DAを、調製した。過酸化水素(H202)希釈物を、必要に応じてDMEMまたはDPBS中で調製した。細胞培地中で、細胞培地中で、1mMのDCF標準液を希釈すること、100μlのDCF標準液を、蛍光測定に適する96ウェルプレートに移すこと、及び、100μlの細胞溶解緩衝液を加えることにより、標準的な曲線を、0μM〜10μMの範囲の濃度の1:10の希釈系列として、調製した。蛍光を、480Ex及び530Emで読み取った。
【0266】
結果:PDACは、アストロサイト共培養物中の活性酸素種の濃度を有意に低減させた。
図9を参照のこと。
【0267】
6.5 実施例5:治療方法
6.5.1 胎盤幹細胞を使用した糖尿病性足部潰瘍の治療
I型糖尿病の52歳男性は、左足に潰瘍を有する。糖尿病性足部潰瘍の診断を行う。診断後に、対象を、次のレジメンに従ってCD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞で治療する:1×10
6〜3×10
7のCD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を、筋肉内投与する。該個人を、特に、DFUが、サイズが低減しているか、または閉鎖されているかを判定するために、DFUの任意の症状における改善の徴候について次の24時間にわたって監視する。DFUの症状のいずれかが、監視期間中に改善する場合、治療的効果が確立される。
【0268】
6.6 実施例6:DFU治療プロトコール
18〜80歳の、末梢動脈疾患(PAD)を伴う糖尿病性足部潰瘍(DFU)を有する対象を、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞で治療する。胎盤幹細胞を、次の用量1日目(治療の初日)及び8日目に筋肉内投与する:(i)3×10
6のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞;(ii)1×10
7のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞;または、(iii)3×10
7のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞。
【0269】
臨床のエンドポイント
DFUを治療するためのCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の有効性に対する主要臨床エンドポイントは、治療されているDFU(複数可)の閉鎖とすることができる。潰瘍閉鎖は、ドレナージまたはドレッシングの必要性のない皮膚閉鎖により表すことができる。完全閉鎖は、閉鎖の判定後少なくとも4週間の、潰瘍閉鎖の保持により表すことができる。潰瘍閉鎖は、胎盤幹細胞で処理した後3ヶ月で評価することができる。
【0270】
CD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の、DFUの治療についての有効性に対する他の臨床エンドポイントは、(i)治療後24時間まで評価することができる有害事象の頻度及び重症度の低減;(ii)治療後6ヶ月で評価することができる潰瘍閉鎖までの時間;(ii)治療後6ヶ月で評価することができる足関節上腕血圧比(ABI)の改善;(iii)治療後6ヶ月で評価することができる足趾上腕血圧比(TBI)の改善;(iv)治療後24ヶ月まで評価することができるDFUのサイズ及び数の低減;(v)治療後6ヶ月で評価することができる経皮酸素レベルの改善;(vi)治療後6ヶ月で評価することができる脈容量記録の改善;(vii)治療後24時間まで評価することができる大切断までの時間;(viii)治療後24時間まで評価することができるWagnerの評価尺度の改善;(ix)治療後6ヶ月で評価することができるRutherfordの基準の改善;ならびに、(x)治療後24時間まで評価することができる脚の安静時疼痛スコアの改善;ならびに、(xi)(i)36項目簡易健康調査(SF−36)(例えば、Ware et al., Medical Care 30(6):473−483を参照のこと);(ii)糖尿病性足部潰瘍尺度簡易版(DFS−SF)(例えば、Bann et al., Pharmacoeconomics, 2003, 21(17):1277−90を参照のこと);(iii)変化尺度の患者の全体的印象(例えば、Kamper et al., J. Man. Manip. Ther., 2009, 17(3):163−170を参照のこと);及び/または、(iv)EuroQol5D(EQ−5D(商標))尺度、で評価される、対象の生活の質の改善、を含むことができる。
【0271】
対象選択
次の適格基準が、CD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞での治療が適切と考えられる対象を選択するために使用されてもよい。この治療プロトコールが特定の対象に適するかどうかを決定する時、全ての関連する病状及び非病状を、考慮に入れる。
【0272】
対象は、治療プロトコールに適格となるために、次の条件を満たすべきである。
少なくとも18歳以上の男性及び女性。
・関連する任意の試験の前に、インフォームドコンセント文書を理解して、自発的に署名する。
・試験訪問スケジュール及び他のプロトコール要件を厳守できる。
・1型または2型真性糖尿病。
・足趾上に存在する場合を除いて、少なくとも1cm
2のサイズの従来の潰瘍治療に適切に応答していない1ヶ月間を超えるWagnerの評価尺度のグレード1(全層のみ)またはグレード2の重症度の糖尿病性足部潰瘍。指標潰瘍の最大病変サイズは、≦6.25cm
2である。指標潰瘍の測定は、スクリーニング訪問時の(必要に応じて)デブリードマン後に、評価及び測定することになる。
・指標潰瘍を有する足における動脈循環不全の次の基準のうちの1つ以上を満たす対象。
a.ABI≧0.4及び≦0.8またはTBI>0.30及び≦0.65の末梢動脈疾患。
b.20〜40mmHgの間での経皮酸素(TcPO2)測定値。TcPO2で測定されたエリアは、浮腫及び肥厚した皮膚があってはならない。
・スクリーニング訪問後の次の3ヶ月にわたって、血管再生または切断を計画しない。
・スクリーニングは、失敗した再灌流介入の少なくとも14日後及び成功した再灌流介入の少なくとも30日後までは、始めてはならない。
・対象は、高血圧及び糖尿病ならびに継続的なケアを必要とする他の任意の慢性の病状に対し、適切な医学療法を受けているべきである。
・妊娠可能性のある女性(FCBP)は、スクリーニング時に血清妊娠検査で陰性で、かつ試験療法で治療する前に尿妊娠検査で陰性でなければならない。加えて、性的に活発なFCBPは、試験期間及びフォローアップ期間に、同時に、次の適切な形態の避妊方法、例えば、経口、注射用、または移植用ホルモン避妊;卵管結紮;IUD;殺精子剤を有するバリア避妊具;または精管切除されたパートナー、のうちの2つを使用することに同意しなければならない。
・男性(精管切除術を受けている者を含む)は、試験期間及びフォローアップ期間に、FCBPとの生殖性の性行為において、避妊(ラテックスコンドーム)をする時、バリア避妊(ラテックスコンドーム)を使用することに同意しなければならない。
【0273】
次の状態のうちの1つ以上を有する対象は、治療プロトコールから除外することができる。
・対象が試験に参加することを妨げることになる任意の重大な病状、検査異常、または精神病。
・対象が、試験に参加しなければならなかった場合の、対象を容認できない危険にさらす検査異常の存在を含む任意の状態。
・試験からのデータを解釈する能力を混乱させる任意の状態。
・ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎ウイルス、またはB型肝炎ウイルスでの活動性感染について陽性であることが知られている。
・妊娠中または授乳中の女性。
・スクリーニング時において肥満度指数>40の対象。
・スクリーニング時における、AST(SGOT)またはALT(SGPT)>2.5×正常上限(ULN)。
・腎疾患食事療法試験式(Levey、2006)を使用して計算された、スクリーニング時における推定糸球体濾過量(eGFR)<30mL/分/1.73m
2、または過去1年以内に、eGFR低下>15mL/分/1.73m
2の病歴。
・スクリーニング時における、アルカリホスファターゼ>2.5×ULN。
・スクリーニング時における、ビリルビンレベル>2mg/dL(対象が、既知のギルバート病有しない限り)。
・未治療の慢性感染症または全身性抗生物質での、潰瘍部位を含む任意の感染症の治療は、腹腔内投与の前に1週間以内に、抗生物質を含んではならない。
・指標潰瘍に、またはこれに隣接した活動性骨髄炎、感染症、または蜂巣炎。
・スクリーニング/ランイン期間中に、≧30%サイズが減少した、または増加した指標潰瘍。
・四肢虚血に起因する安静時疼痛。
・指標潰瘍を有する足における経皮酸素測定値≦20mmHg。
・踵潰瘍。
・非管理高血圧(対象が少なくとも5分間座る及び安静にする間に取られた2回の独立した測定の、スクリーニング時の拡張期血圧>100mmHgまたは収縮期血圧>180mmHgとして定義される)。
・管理不良の真性糖尿病(ヘモグロビンA1c>12%または血清グルコースのスクリーニング≧300mg/dl)。
・未治療の増殖性網膜症。
・インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名する前の過去6ヶ月間の、悪性心室性不整脈、CCSクラスIII−IV狭心症、心筋梗塞/経皮的冠動脈介入(PCI)/冠状動脈バイパス移植片(CABG)の病歴、次の3ヶ月間の保留中の冠動脈血行再建、ICFに署名する前の過去6ヶ月間の、一過性虚血発作/脳血管障害、及び/またはニューヨーク心臓協会[NYHA]のステージIII若しくはIVうっ血性心不全。
・異常なECG:ICFに署名する前の3ヶ月間の新しい右脚ブロック(BBB)≧120ミリ秒。
・非管理の凝固亢進。
・付随する病気に起因する、ICFに署名した時の、2年未満の平均余命。
・責任医師の意見で、対象は、細胞療法には適していない。
・皮膚の基底細胞若しくは扁平上皮癌を除く、ICFに署名する前の5年以内の悪性腫瘍の病歴、または治癒されていると目下みなされる癌の既往歴、または後続の陰性経過観察を伴う陽性の子宮頸部細胞診。
・(ウシまたはブタ産生物、デキストラン40、及びジメチルスルホキシド[DMSO]を含む)製品の製剤の構成成分のいずれかに過敏症の病歴。
・対象は、試験療法での治療前の90日以内(若しくは5半減期のどちらか長い方)に、治験薬−任意の適応症における市販の使用のために米国食品医薬品局(FDA)により承認されていない薬剤若しくはデバイス−を与えられている、またはこの試験の完了前に、別の治療試験への参加が計画されている。
・対象は、以前の試験遺伝子療法または細胞療法を受けている。
【0274】
臨床結果
1つ以上の臨床エンドポイントの改善が実証される場合、DFUの治療におけるCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の有効性が確認される。
【0275】
6.7 実施例7:代替DFU治療プロトコール
少なくとも18歳の、末梢動脈疾患(PAD)を伴う糖尿病性足部潰瘍(DFU)を有する対象を、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞で治療する。対象群I:3×10
6のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞を、1日目(治療の初日)、29日目、及び57日目に筋肉内投与する。対象群II:3×10
7のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞を、1日目(治療の初日)、29日目、及び57日目に筋肉内投与する。対象群III:プラシーボを、1日目(治療の初日)、29日目、及び57日目に筋肉内投与する。
【0276】
臨床のエンドポイント
DFUを治療するための、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の有効性の主要な臨床エンドポイントは、足関節上腕血圧比(ABI);経皮酸素測定(TCOM)、近赤外線分光法、フルデオキシグルコース陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(FGD PET/CT)、ドップラー超音波、磁気共鳴映像法(MRI)、血管造影法、及び/または酸素測定の測定により評価する場合、四肢の血管機能の改善とすることができる。四肢の血管機能の改善は、治療後約1年で評価することができる。
【0277】
CD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の、DFUの治療についての有効性に対する他の臨床エンドポイントは、(i)治療後約1年で評価することができる、指標潰瘍の潰瘍閉鎖及び完全な創傷閉鎖(潰瘍閉鎖は、ドレナージまたはドレッシングの必要性のない皮膚閉鎖により表すことができ;完全閉鎖は、閉鎖の判定後少なくとも4週間は、潰瘍閉鎖の保持により表すことができる)。(ii)治療後約1年で評価することができる有害事象の頻度及び重症度の低減;(iii)治療後約1年で評価することができる、全ての潰瘍の数、サイズの低減及び指標潰瘍の50%の閉鎖;(iv)治療後約1年で評価することができる治療された足の大切断までの時間の低減;(v)治療後約1年で評価することができるWagnerの評価尺度の改善;(vi)治療後約1年で評価することができるRutherfordの基準の改善;(vii)治療後約1年で評価することができる脚の安静時疼痛スコアの改善;ならびに、(viii)ニューロパチーの変化の患者の全体的印象(PGICN)を使用して評価される場合の対象の生活の質の改善、を含むことができる。
【0278】
対象選択
次の適格基準が、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞での治療が適切と考えられる対象を選択するために使用されてもよい。この治療プロトコールが特定の対象に適するかどうかを決定する時、全ての関連する病状及び非病状を、考慮に入れる。
【0279】
対象は、治療プロトコールに適格となるために、次の条件を満たすべきである。
・少なくとも18歳以上の男性及び女性。
・1型または2型真性糖尿病。
従来の潰瘍治療に適切に応答していない1ヶ月間を超えるWagnerの評価尺度のグレード1(全層のみ)またはグレード2の重症度の糖尿病性足部潰瘍。
・指標潰瘍を有する足における動脈循環不全の次の基準のうちの1つ以上を満たす対象。
a.ABI≧0.4及び≦0.8またはTBI>0.30及び≦0.65の末梢動脈疾患。
b.20〜40mmHgの間での経皮酸素(TcPO2)測定。
・スクリーニング訪問後の次の3ヶ月にわたって、血管再生または切断を計画しない。
・投与は、失敗した再灌流治療の少なくとも14日後及び成功した再灌流治療の少なくとも30日後までは、始めてはならない。
【0280】
次の状態のうちの1つ以上を有する対象は、治療プロトコールから除外することができる。
・対象が試験に参加することを妨げることになる任意の重大な病状、検査異常、または精神病。
・対象が、試験に参加しなければならなかった場合の、対象を容認できない危険にさらす検査異常の存在を含む任意の状態。
・妊娠中または授乳中の女性。
スクリーニング時において肥満度指数>40の対象。
・腎疾患食事療法試験式(Levey、2006)を使用して計算された、スクリーニング時に推定糸球体濾過量(eGFR)<30mL/分/1.73m
2、または過去1年以内に、eGFR低下>15mL/分/1.73m
2の病歴。
・未治療の慢性感染症または全身性抗生物質での、潰瘍部位を含む任意の感染症の治療は、腹腔内投与前の1週間以内に、抗生物質を含んではならない。
・指数潰瘍に、またはこれに隣接した既知の骨髄炎、感染症、または蜂巣炎。
・四肢虚血に起因する安静時の四肢疼痛。
・非管理高血圧(対象が少なくとも5分間座る及び安静にする間に取られた2回の独立した測定の、スクリーニング時の拡張期血圧>100mmHgまたは収縮期血圧>180mmHgとして定義される)。
・管理不良の真性糖尿病(ヘモグロビンA1c>12%または血清グルコースのスクリーニング≧300mg/dl)。
・未治療の増殖性網膜症。
・インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名する前の過去6ヶ月間の、悪性心室性不整脈、CCSクラスIII−IV狭心症、心筋梗塞/経皮的冠動脈介入(PCI)/冠状動脈バイパス移植片(CABG)の病歴、次の3ヶ月間の保留中の冠動脈血行再建、ICFに署名する前の過去6ヶ月間の、一過性虚血発作/脳血管障害、及び/またはニューヨーク心臓協会[NYHA]のステージIII若しくはIVうっ血性心不全。
・異常なECG:ICFに署名する前の3ヶ月間の新しい右脚ブロック(BBB)≧120ミリ秒。
・非管理の凝固亢進。
・付随する病気に起因する、ICFに署名した時の、2年未満の平均余命。
・責任医師の意見で、対象は、細胞療法には適していない。
・皮膚の基底細胞若しくは扁平上皮癌を除く、ICFに署名する前の5年以内の悪性腫瘍の病歴、または治癒されていると目下みなされる癌の既往歴、または後続の陰性経過観察を伴う陽性の子宮頸部細胞診。
・(ウシまたはブタ産生物、デキストラン40、及びジメチルスルホキシド[DMSO]を含む)製品の製剤の構成成分のいずれかに過敏症の病歴。
・対象は、試験療法での治療前の90日以内(若しくは5半減期のどちらか長い方)に、治験薬−任意の適応症における市販の使用のために米国食品医薬品局(FDA)により承認されていない薬剤若しくはデバイス−を与えられている、またはこの試験の完了前に、別の治療試験への参加が計画されている。
・対象は、以前の試験遺伝子療法または細胞療法を受けている。
【0281】
臨床結果
1つ以上の臨床エンドポイントの改善が実証される場合、DFUの治療におけるCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の有効性が確認される。
【0282】
6.8 実施例8:DFU治療プロトコールの結果
糖尿病性足部潰瘍(DFU)を有する対象を、上記実施例6で概説したものと同様の第I相臨床試験において、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞で治療した。
【0283】
15人の対象を登録した。胎盤幹細胞を、次のレジメンに従って投与した。(i)3×10
6のCD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を、3人の対象に筋肉内投与した;(ii)1×10
7のCD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を、3人の対象に筋肉内投与した;(iii)3×10
7のCD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を、3人の対象に筋肉内投与した;及び、(iv)1×10
8のCD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を、6人の対象に筋肉内投与した;
【0284】
治療に関連する重篤な有害事象(SAE)または治療に関連する死亡は、記録されなかった。
【0285】
治療された対象のうちの7人が、胎盤幹細胞の投与の3ヶ月以内に陽性結果を示した。5人の対象が、潰瘍閉鎖を示した:2人の対象が、部分的(約50%)潰瘍治癒を示した。足関節上腕血圧比(ABI)の増加傾向が、治療された患者で観察された。さらに、ABIの増加が、DFUが治癒しなかった患者と比較して、DFUが治癒した患者で観察された。
【0286】
結果は、糖尿病性足部潰瘍を有するヒト対象への、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の筋肉内投与が安全で、良好な認容されたことを示す。さらに、結果は、糖尿病性足部潰瘍を有するヒト対象の、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞での治療が、糖尿病性足部潰瘍の症状の改善、及び糖尿病性足部潰瘍の完全閉鎖をもたらすことができること示す。
【0287】
6.9 実施例9:胎盤幹細胞は、末梢動脈疾患の動物モデルにおける創傷治癒を促進する
6.9.1 PDACは、虚血マウスの血流量及び血管造影スコアを促進する
血管再生及び創傷治癒におけるCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の有効性を評価するために、糖尿病性四肢虚血の外科マウスモデルを使用した。糖尿病性四肢虚血の効果をモデリングするために、db/db糖尿病マウスに、後肢虚血(HLI)手術を受けさせ、後続のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の投与あり、なしで、創傷修復、炎症、及び血管再生の種々のレベルについて監視した。
【0288】
後肢虚血(HLI)手術を、記載されているように実施した。例えば、Goto et al., Tokai J. Exp. Clin. Med. 31(3):128−132 (2006)を参照のこと。
【0289】
HLI手術の1日後、低温保存された胎盤幹細胞を、37℃で解凍した。解凍後2時間以内に、50μlの胎盤幹細胞または50μlのビヒクル対照のいずれかを、外科的創傷の部位の近くに筋肉内投与した。胎盤幹細胞を、3,000細胞、30,000細胞、または300,000細胞の投薬量で投与し、血流量及び血管造影スコアを、手術後1日目、14日目、28日目、42日目、及び49日目に決定した。非接触レーザードップラーを使用して、血流量を測定し、対応する手術をしない四肢の血流量に正規化した。血管造影スコアを、Bollinger et al., Atherosclerosis, 1981, 38(3−4):339−46に従って測定した。
【0290】
図10Aに示されるように、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の投与は、手術の28日後に、HLIの開始後の血流量の増加及び観察期間の終わりまで持続することをもたらした。投与された胎盤幹細胞の全投薬量は、28日目に有効であり、1投与当たり30,000細胞の投薬量は、ビヒクル対照で処置された動物と比較して、測定された全ての時点で有効であった。同様に、
図10Bに示されるように、3,000または30,000のいずれかの胎盤幹細胞は、ビヒクル対照で処置された動物と比較して、血管造影スコアを改善するのに有効であった。これらのデータは、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の投与が、末梢動脈疾患及び2型糖尿病の動物モデルにおける虚血性創傷の治癒の臨床手段を改善することができることを示す。
【0291】
6.9.2 CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞は、虚血マウスの毛管密度及び血管成熟を促進する
HLI手術を実施し、続いて、上記セクション6.9.1のようにCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の筋肉内投与を実施した。(i)ビヒクル対照、(ii)3,000のPDAC、または(iii)30,000のPDAC、のいずれかの投与後に、大腿四頭筋を取り出し、HOPE固定剤で固定し、パラフィンに包理した。組織を、標準的な手順に従って切片化及び染色した。各処置群の3つの代表的な動物からの3つの切片部分を、デジタル画像化及び定量化した。
図11に示されるように、いずれの投薬量のPDACで処置された動物も、ビヒクル対照で処置された動物と比較して、血管のCD31染色の増加(
図11A及び11C)ならびに血管壁のα平滑筋アクチンの増加(
図11B及び11D)を示した。これらのデータは、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞での虚血四肢の処置が、急性虚血傷害後の新しい血管の成長及び成熟を促進することができることを示した。
【0292】
6.9.3 CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞は、虚血組織において、筋肉修復を促進し、脂肪浸潤を低減する
HLI手術及びCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞での処置、続いて、大腿四頭筋の分離及び切片化を、上記セクション6.9.1及び6.9.2のように実施した。切片化された組織を、標準的な手順に従ってH&Eで染色した。
図12に示されるように、胎盤幹細胞で処置された虚血動物は、ビヒクル対照で処置された動物と比較して、中心核を有する筋線維の数が多く、脂肪組織の浸潤が少なかった(矢印を参照のこと)。有核筋繊維は、筋肉再生に関連している一方、筋肉組織の脂肪組織浸潤は、筋肉の弱化及び変性に寄与すると考えられる前炎症性免疫応答に関連している(Donath & Shoelson, Nat Rev Immunol. 2011 Feb;11(2):98−107)。合わせると、これらのデータは、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞が、虚血動物の筋肉再生を促進し、急性虚血傷害後の炎症性シグナル伝達を防ぎ得ることを示唆する。
【0293】
6.9.4 CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の投与は、後肢虚血後に、脂肪組織において、マクロファージ分化をM2表現型にシフトさせる
HLI手術及びCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞での処置を、上記セクション6.9.1のように実施した。手術の3日後及び14日後の鼠径部脂肪パッドを、マクロファージの表現型を判定するために、単離し、DAPI及びArg1またはCD206のいずれかに対する抗体(M2マクロファージのマーカー)で染色した。
図13に示されるように、PDACで処置した動物は、ビヒクル対照で処置された動物と比較して、手術の3日後及び14日後の両方で、抗炎症性M2マクロファージのレベルが高いことを示した。これらのデータは、M2マクロファージが、虚血傷害後に、ビヒクル対照で処置された動物と比較して、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞で処置された動物において非常に高いレベルを呈することを示す。
【0294】
6.9.5 CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の投与は、脂肪組織中のアディポカイン(adipokine)産生を調節する
HLI手術及びCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞での処置、続いて、上記セクション6.9.4のような鼠径部脂肪パッドの分離後に、鼠径部脂肪パッドを、単一細胞懸濁液に解離させ、いくつかのサイトカインの分泌について分析した。要約すると、胎盤幹細胞で処置された及びビヒクル対照で処置された動物からの1×10
15の脂肪細胞を、96ウェルプレートにプレーティングし、ウェルの半分を、24時間、1μg/mlのリポ多糖体(LPS)で刺激した。次に、刺激及び非刺激細胞からの上清を、単離し、MAPサイトカイン/ケモカイン磁気ビーズパネル(Millipore)を使用して、サイトカインレベルを測定した。
図14に示されるように、前炎症性サイトカインIL−6及びTNFαは、ビヒクル対照で治療された動物と比較して、LPS刺激後の胎盤幹細胞で処置された細胞懸濁液中で低減した一方、抗炎症性サイトカインIL−10は、ビヒクル対照で処置された動物と比較して、LPS刺激後の胎盤幹細胞で処置された細胞懸濁液中で増加した。結果は、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞が、前炎症性サイトカインを阻害すること及び同時に抗炎症性サイトカインを促進することの両方により、脂肪細胞の炎症状態を調節することができること示す。
【0295】
6.10 実施例10:DFU治療プロトコール
18〜80歳の、末梢動脈疾患(PAD)を伴うまたは伴わない糖尿病性足部潰瘍(DFU)を有する対象を、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞で治療する。胎盤幹細胞を、次の用量で、1日目(治療の初日)及び8日目に筋肉内投与する:(i)3×10
6のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞;(ii)1×10
7のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞;または、(iii)3×10
7のCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞。
【0296】
臨床のエンドポイント
DFUを治療するためのCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の有効性に対する主要臨床エンドポイントは、治療されているDFU(複数可)の閉鎖とすることができる。潰瘍閉鎖は、ドレナージまたはドレッシングの必要性のない皮膚閉鎖により表すことができる。完全閉鎖は、閉鎖の判定後少なくとも4週間の、潰瘍閉鎖の保持により表すことができる。潰瘍閉鎖は、胎盤幹細胞で治療した後3ヶ月で評価することができる。
【0297】
CD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の、DFUの治療についての有効性に対する他の臨床エンドポイントは、以下を含むことができる:(i)治療後24時間まで評価することができる有害事象の頻度及び重症度の低減;(ii)治療後6ヶ月で評価することができる潰瘍閉鎖までの時間;(ii)治療後6ヶ月で評価することができる足関節上腕血圧比(ABI)の改善;(iii)治療後6ヶ月で評価することができる足趾上腕血圧比(TBI)の改善;(iv)治療後24ヶ月まで評価することができるDFUのサイズ及び数の低減;(v)治療後6ヶ月で評価することができる経皮酸素レベルの改善;(vi)治療後24時間まで評価することができる大切断までの時間;(vii)治療後24時間まで評価することができるWagnerの評価尺度の改善;(viii)治療後6ヶ月で評価することができるRutherfordの基準の改善;(ix)治療後24時間まで評価することができる脚の安静時疼痛スコアの改善;ならびに、(x)(a)36項目簡易健康調査(SF−36)(例えば、Ware et al., Medical Care 30(6):473−483を参照のこと);(b)糖尿病性足部潰瘍尺度簡易版(DFS−SF)(例えば、Bann et al., Pharmacoeconomics, 2003, 21(17):1277−90を参照のこと);及び/若しくは(c)変化尺度の患者の全体的印象(例えば、Kamper et al., J. Man. Manip. Ther., 2009, 17(3):163−170を参照のこと);ならびに/または(iv)EuroQol5D(EQ−5D(商標)尺度で評価される場合の対象の生活の質の改善。
【0298】
対象選択
次の適格基準が、CD10+、CD34−、CD105+、CD200+胎盤幹細胞での治療が適切と考えられる対象を選択するために使用されてもよい。この治療プロトコールが特定の対象に適するかどうかを決定する時、全ての関連する病状及び非病状を、考慮に入れる。
【0299】
対象は、治療プロトコールに適格となるために、次の条件を満たすべきである。
・少なくとも18歳以上の男性及び女性。
・関連する任意の試験の前に、インフォームドコンセント文書を理解して、自発的に署名する。
・試験訪問スケジュール及び他のプロトコール要件を厳守できる。
・1型または2型真性糖尿病。
・足趾上に存在する場合を除いて、少なくとも1cm
2のサイズの従来の潰瘍治療に適切に応答していない1ヶ月間を超えるWagnerの評価尺度のグレード1(全層のみ)またはグレード2の重症度の糖尿病性足部潰瘍。指標潰瘍の最大病変サイズは、≦10cm
2である。指標潰瘍の測定は、スクリーニング訪問時の(必要に応じて)デブリードマン後に、評価及び測定することになる。
・スクリーニング訪問後の次の3ヶ月にわたって、血管再生または切断を計画しない。
・スクリーニングは、失敗した再灌流介入の少なくとも14日後及び成功した再灌流介入の少なくとも30日後までは、始めてはならない。
・対象は、高血圧及び糖尿病ならびに継続的なケアを必要とする他の任意の慢性の病状に対し、適切な医学療法を受けているべきである。
・妊娠可能性のある女性(FCBP)は、スクリーニング時に血清妊娠検査で陰性で、かつ試験療法で治療する前に尿妊娠検査で陰性でなければならない。加えて、性的に活発なFCBPは、試験期間及びフォローアップ期間に、同時に、次の適切な形態の避妊方法、例えば、経口、注射用、または移植用ホルモン避妊;卵管結紮;IUD;殺精子剤を有するバリア避妊具;または精管切除されたパートナー、のうちの2つを使用することに同意しなければならない。
・男性(精管切除術を受けている者を含む)は、試験期間及びフォローアップ期間に、FCBPとの生殖性の性行為において、避妊(ラテックスコンドーム)をする時、バリア避妊(ラテックスコンドーム)を使用することに同意しなければならない。
【0300】
次の状態のうちの1つ以上を有する対象は、治療プロトコールから除外することができる。
・対象が試験に参加することを妨げることになる任意の重大な病状、検査異常、または精神病。
・対象が、試験に参加しなければならなかった場合の、対象を容認できない危険にさらす検査異常の存在を含む任意の状態。
・試験からのデータを解釈する能力を混乱させる任意の状態。
・ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎ウイルス、またはB型肝炎ウイルスでの活動性感染について陽性であることが知られている。
・妊娠中または授乳中の女性。
・スクリーニング時において肥満度指数>45の対象。
・スクリーニング時における、AST(SGOT)またはALT(SGPT)>2.5×正常上限(ULN)。
・異常な腎機能のための腎臓透析。
・指標潰瘍を有する脚において、ABI<0.4及び/またはTBI<0.3。
・スクリーニング時における、アルカリホスファターゼ>2.5×ULN。
・スクリーニング時における、ビリルビンレベル>2mg/dL(対象が、既知のギルバート病有しない限り)。
・未治療の慢性感染症または全身性抗生物質での、潰瘍部位を含む任意の感染症の治療は、腹腔内投与の前に1週間以内に、抗生物質を含んではならない。
・指標潰瘍に、またはこれに隣接した活動性骨髄炎、感染症、または蜂巣炎。
・スクリーニング/ランイン期間中に、≧30%サイズが減少した、または増加した指標潰瘍。
・四肢虚血に起因する安静時疼痛。
・指標潰瘍を有する足における経皮酸素測定値≦20mmHg。
・踵潰瘍。
・非管理高血圧(対象が少なくとも5分間座る及び安静にする間に取られた2回の独立した測定の、スクリーニング時の拡張期血圧>100mmHgまたは収縮期血圧>180mmHgとして定義される)。
・管理不良の真性糖尿病(ヘモグロビンA1c>12%または血清グルコースのスクリーニング≧300mg/dl)。
・未治療の増殖性網膜症。
・インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名する前の過去6ヶ月間の、悪性心室性不整脈、CCSクラスIII−IV狭心症、心筋梗塞/経皮的冠動脈介入(PCI)/冠状動脈バイパス移植片(CABG)の病歴、次の3ヶ月間の保留中の冠動脈血行再建、ICFに署名する前の過去6ヶ月間の、一過性虚血発作/脳血管障害、及び/またはニューヨーク心臓協会[NYHA]のステージIII若しくはIVうっ血性心不全。
・異常なECG:ICFに署名する前の3ヶ月間の新しい右脚ブロック(BBB)≧120ミリ秒。
・非管理の凝固亢進。
・付随する病気に起因する、ICFに署名した時の、2年未満の平均余命。
・責任医師の意見で、対象は、細胞療法には適していない。
・皮膚の基底細胞若しくは扁平上皮癌を除く、ICFに署名する前の5年以内の悪性腫瘍の病歴、または治癒されていると目下みなされる癌の既往歴、または後続の陰性経過観察を伴う陽性の子宮頸部細胞診。
・(ウシまたはブタ産生物、デキストラン40、及びジメチルスルホキシド[DMSO]を含む)製品の製剤の構成成分のいずれかに過敏症の病歴。
・対象は、試験療法での治療前の90日以内(若しくは5半減期のどちらか長い方)に、治験薬−任意の適応症における市販の使用のために米国食品医薬品局(FDA)により承認されていない薬剤若しくはデバイス−を与えられている、またはこの試験の完了前に、別の治療試験への参加が計画されている。
・対象は、以前の試験遺伝子療法または細胞療法を受けている。
【0301】
臨床結果
1つ以上の臨床エンドポイントの改善が実証される場合、DFUの治療におけるCD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞の有効性が確認される。
【0302】
6.11 実施例11:治療有効性のためのバイオマーカーとしての循環内皮細胞
Veridex platform(Janssen Diagnostics)を使用して、上記実施例8に記載された対象の循環内皮細胞の数を、試験期間の1日目、8日目、14日目、及び29日目に評価した。試験8日目〜試験29日目の全体にわたって、治癒したDFU(n=5)を有する対象において、循環内皮細胞の統計的に有意な減少を観察した。
図15Aを参照のこと;中央値の位置のノンパラメトリック検定を使用して、ベースライン(1日目、投与前)からの変化に対するP値を計算した。そのような減少は、非治癒のDFUを有する対象では観察されたなかった。
図15Bを参照のこと。
【0303】
本実施例は、循環内皮細胞の数が、CD10
+、CD34
−、CD105
+、CD200
+胎盤幹細胞でのDFUの治療効果を評価するためのバイオマーカーとして使用できることを実証する。
【0304】
均等物:
本開示は、本明細書に記載の具体的な実施形態による範囲に限定されない。実に、本明細書で提供される主題の種々の修正は、記載されているものに加えて、上述の記載及び添付の図から、当業者らには明らかになるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0305】
種々の刊行物、特許、及び特許出願は、本明細書で引用され、それらの開示は、その全体が参照により組み込まれる。