特表2017-537126(P2017-537126A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-537126非小細胞肺癌に対するキノリン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-537126(P2017-537126A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】非小細胞肺癌に対するキノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20171117BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20171117BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   A61K31/47
   A61P35/04
   A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-530728(P2017-530728)
(86)(22)【出願日】2015年12月9日
(85)【翻訳文提出日】2017年7月10日
(86)【国際出願番号】CN2015096777
(87)【国際公開番号】WO2016091168
(87)【国際公開日】20160616
(31)【優先権主張番号】201410749394.0
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】317010093
【氏名又は名称】チア タイ チオギン ファーマスーチカル グループ コーポレイテッド,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】517197473
【氏名又は名称】アドベンチェン ラボラトリー ナンジン エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シュンクィアン
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ,ヤードン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本出願は非小細胞肺癌に対抗するキノリン誘導体を提供する。本出願に提供される1‐[[[4‐(4‐フルオロ‐2‐メチル)‐1H‐インドール‐5‐イル)オキシ‐6‐メトキシキノリン‐7‐イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミン又はその薬学的に許容可能な塩は非小細胞肺癌を治療するために使用可能であり、またプラセボと比較して、増悪生存期間を伴わずに非小細胞肺癌患者を有意に回復させることが可能である。本出願に提供される1‐[[[4‐(4‐フルオロ‐2‐メチル‐1H‐インドール‐5‐イル)オキシ‐6‐メトキシキノリン‐7‐イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミン又はその薬学的に許容可能な塩は肺腺癌を治療するために使用可能であり、またプラセボと比較して、増悪生存期間を伴わずに肺腺癌患者を有意に回復させることが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の下記構造式を有する化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む、非小細胞肺癌を治療する方法。
【請求項2】
前記非小細胞肺癌はEGFR変異体陰性非小細胞肺癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非小細胞肺癌は進行性非小細胞肺癌及び/又は転移性非小細胞肺癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非小細胞肺癌は肺腺癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非小細胞肺癌はEGFR変異体陰性肺腺癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非小細胞肺癌は進行性肺腺癌及び/又は転移性肺腺癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は化合物Iの塩酸塩、好ましくは化合物Iの一塩酸塩又は二塩酸塩であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は間隔を置いて投与し、投与期間と退薬期間との日数の比は、2:0.5〜5、好ましくは2:0.5〜3、より好ましくは2:0.5〜2、より好ましくは2:0.5〜1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は2週間投与した後、2週間中断するか、又は連続的投薬を2週間継続した後、投薬中断を1週間継続するか、又は連続的投薬を5日間継続した後、投薬中断を2日間継続することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は3mg〜30mg、好ましくは5mg〜20mg、より好ましくは8m〜16mg、更に好ましくは10mg〜14mg、最も好ましくは8mg、10mg又は12mgであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の経路は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、鼻腔内、吸入、膣、眼内 、局所、皮下、脂肪、関節内、腹腔内及び髄腔内が挙げられるが、好ましくは経口であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は1日1回以上、好ましくは1日1回、より好ましくは経口固形製剤で1日1回投与することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記投与は1日1回、12mgの用量で2週間経口投与し、1週間退薬することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
非小細胞肺癌の治療のための薬物製剤における下記構造式を有する化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項15】
前記非小細胞肺癌はEGFR変異体陰性非小細胞肺癌であることを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記非小細胞肺癌は進行性非小細胞肺癌及び/又は転移性非小細胞肺癌であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記非小細胞肺癌は肺腺癌であることを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記非小細胞肺癌はEGFR変異体陰性肺腺癌であることを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項19】
前記非小細胞肺癌は進行性肺腺癌及び/又は転移性肺腺癌であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は化合物Iの塩酸塩、好ましくは化合物Iの一塩酸塩又は二塩酸塩であることを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
非小細胞肺癌を治療するための下記構造式を有する化合物I又は医薬組成物であって、前記医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩、及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含むことを特徴とする化合物I又は医薬組成物。
【請求項22】
前記非小細胞肺癌はEGFR変異陰性非小細胞肺癌であることを特徴とする請求項21に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項23】
前記非小細胞肺癌は進行性非小細胞肺癌及び/又は転移性非小細胞肺癌であることを特徴とする請求項21に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項24】
前記非小細胞肺癌は肺腺癌であることを特徴とする請求項21に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項25】
前記非小細胞肺癌はEGFR変異陰性肺腺癌であることを特徴とする請求項21に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項26】
前記非小細胞肺癌は進行性肺腺癌及び/又は転移性肺腺癌であることを特徴とする請求項21に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項27】
前記化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は化合物Iの塩酸塩、好ましくは化合物Iの一塩酸塩又は二塩酸塩であることを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項28】
前記医薬組成物は、単位用量に基づいて3mg〜30mg、好ましくは5mg〜20mg、より好ましくは8mg〜16mg、更に好ましくは10mg〜14mg、最も好ましくは8mg、10mg又は12mgの化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含むことを特徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項29】
前記化合物Iは経口、非経口投与経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、鼻腔内、吸入、膣、眼内 、局所、皮下、脂肪、関節内、腹腔内及び髄腔内、好ましくは経口に適した製剤として処方し;又は、前記医薬組成物は経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、頬、鼻腔内、吸入、膣、眼内 、局所、皮下、腹腔内及び髄腔内、好ましくは経口に適した製剤であることを特徴とする請求項21〜28のいずれか1項に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項30】
前記製剤は錠剤、カプセル、粉末、顆粒、滴下薬、ペースト又は粉末、好ましくは錠剤及びカプセルであることを特徴とする請求項29に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項31】
前記化合物I又は医薬組成物は間隔を置いて投与し、投与期間と退薬期間との日数の比は2:0.5〜5、好ましくは2:0.5〜3、より好ましくは2:0.5〜2、より好ましくは2:0.5〜1であることを特徴とする請求項21〜30のいずれか1項に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項32】
前記化合物I又は医薬組成物は2週間投与した後、2週間中断するか、又は連続的投薬を2週間継続した後、投薬中断を1週間継続するか、又は連続的投薬を5日間継続した後、投薬中断を2日間継続することを特徴とする請求項21〜31のいずれか1項に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項33】
前記化合物I又は医薬組成物は1日1回以上投与し、好ましくは1日1回、より好ましくは経口固形製剤で1日1回投与することを特徴とする請求項21〜32のいずれか1項に記載の化合物I又は医薬組成物。
【請求項34】
前記化合物I又は医薬組成物は1日1回、12mgの用量で2週間経口投与し、1週間退薬することを特徴とする請求項21〜33のいずれか1項に記載の化合物I又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年12月9日中国知識産権局に提出された中国特許出願第201410749394.0号の優先権及び利益を主張し、当該出願の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願は製薬技術の分野に関し、また、抗腫瘍目的のキノリン誘導体の使用に関する。具体的には、本出願は非小細胞肺癌(例えば、肺腺癌)の治療におけるキノリン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
癌は世界の多くの地域で主要な公衆衛生上の問題となっている。中でも、肺癌は罹患率及び死亡率が高いことから、世界における癌死の主要原因の完全な一因となっており、非小細胞肺癌(NSCLC)では、プラチナ含有化学療法は進行性患者の生存率を変えることができるが、進行した非小細胞肺癌の予後は依然として非常に不良であり、5年生存率は10%未満である。生存率を高めるために肺癌における腫瘍形成及び化学耐性の更なる研究が必要であるという報告がある(非特許文献1)。細胞形態学に基づいて、腺癌は一般的なNSCLC群である(非特許文献2)。NSCLCの第一選択化学療法レジメンには通常、プラチナ含有薬が含まれ、このことはプラチナ系薬物(シスプラチン又はカルボプラチン)に第2の化学療法剤(パシフィックパクリタキセル、ペメトレキセド、ゲムシタビン、ビノレルビン等)を添加することを指摘している(非特許文献3)。進行非小細胞肺癌では、特に肺腺癌は、ドライビング遺伝子標的療法が特定の臨床効果を挙げているが、最終的には耐性を得て疾患進行をもたらし、非ドライビング遺伝子を有する肺腺癌の治療は依然としてプラチナ系化学療法に基づいている。従って、より良好な治療を達成し、生存率を向上させ、患者に実質的な利益をもたらすため、非小細胞肺癌及び組織タイプの肺腺癌は依然としてより多くの薬物の開発を必要としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Jemal Aら,Cancer Statistics,CACancer.J.Clin.,56,106‐130,2006年
【非特許文献2】Travisら,Lung Cancer Principles and Practice, Lippincott‐Raven, New York, 361‐395, 1996年
【非特許文献3】Dadarioら,2010年;National Comprehensive Cancer Network Oncology Clinical Practice Guide,Non‐small cell lung cancer,2010年,第2版
【発明の概要】
【発明の効果】
【0005】
1態様では、本出願は、治療有効量の下記構造式を有する化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む、非小細胞肺癌を治療する方法を提供する。
【0006】
別の態様では、本出願は、非小細胞肺癌を治療するための上記構造式を有する化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0007】
更に別の態様では、本出願は、非小細胞肺癌を治療するための上記構造式を有する化合物I又は医薬組成物を提供するものであり、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1態様では、本出願は非小細胞肺癌の治療方法を提供し、当該方法は治療有効量の下記構造式を有する化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む。
【0009】
本出願のいくつかの実施形態は進行性非小細胞肺癌及び/又は転移性非小細胞肺を治療する方法を提供し、当該方法は治療有効量の化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0010】
本出願のいくつかの実施形態はEGFR突然変異のある非小細胞肺癌を治療する方法を提供し、当該方法は治療有効量の化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0011】
本出願のいくつかの実施形態は肺腺癌を治療する方法を提供し、当該方法は治療有効量の化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0012】
本出願のいくつかの実施形態は進行性肺腺癌及び/又は転移性肺腺癌を治療する方法を提供し、当該方法は治療有効量の化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0013】
本出願のいくつかの実施形態はEGFR突然変異が陰性である肺腺癌を治療する方法を提供し、当該方法は治療有効量の化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0014】
化合物Iはその遊離塩基形態で、又はその塩、水和物及びプロドラッグの形態で投与してもよく、プロドラッグはインビボで遊離塩基形態の化合物Iに変換される。例えば、化合物Iの薬学的に許容可能な塩は本出願の範囲内で、当技術分野で公知の方法に従って異なる有機酸及び無機酸から生成可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、化合物Iは化合物I塩酸塩の形態で投与する。いくつかの実施形態では、化合物Iは塩酸塩の形態で投与する。いくつかの実施形態では、化合物Iは二塩酸塩の形態で投与する。いくつかの実施形態では、化合物Iは化合物I塩酸塩の結晶の形態で投与する。特定の実施形態では、化合物Iは二塩酸塩の結晶の形態で投与する。
【0016】
化合物Iは、下記構造式を有する化学名1‐[[[4‐(4‐フルオロ‐2‐メチル‐1H‐インドール‐5‐イル)オキシ‐6‐メトキシキノリン‐7‐イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミンを有する。
【0017】
化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、頬、鼻腔内、吸入、膣、眼内 、局所、皮下、脂肪、関節内、腹腔内及び髄腔内などの多様な経路で投与可能であるが、これらに限定するものではない。特定の導入では、経口で投与する。
【0018】
化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の量は、疾患の重症度、疾患に対する応答、何らかの治療関連毒性、患者の年齢及び健康状態に応じて投与し得る。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は3mg〜30mgである。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は5mg〜20mgである。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は8mg〜16mgである。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は10mg〜14mgである。特定の実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は8mgである。特定の実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は10mgである。特定の実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は12mgである。
【0019】
化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は1日1回以上投与してもよい。いくつかの実施形態では、化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は1日1回投与する。1実施形態では、経口固形製剤で1日1回投与する。
【0020】
上記治療方法では、投与方法は、薬物の活性、毒性及び患者の耐容性に従って総合的に決定できる。好ましくは、化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は間隔を置いて投与する。間隔投与には投与期間及び退薬期間があり、化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は投与中、1日に1回以上投与してもよい。例えば投与期間中、化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を毎日投与し、その後、退薬期間中は一次中断し、続いて投与期間、その後に退薬期間が続き、これを数回繰り返すことが可能である。投与期間と退薬期間との日数の比は、2:0.5〜5、好ましくは2:0.5〜3、より好ましくは2:0.5〜2、より好ましくは2:0.5〜1である。
【0021】
いくつかの実施形態では、連続投薬を2週間継続し、次いで投薬中断を2週間継続する。いくつかの実施形態では、投与は1日1回であり、連続投薬を14日間継続し、次いで退薬を14日間継続する;その後に投与を1日1回14日間行い、その後、14日間退薬する;連続投薬を2週間継続し、その後、退薬を2週間継続する投与間隔は数回繰り返すことが可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、連続投薬を2週間継続し、次いで投薬中断を1週間継続する。いくつかの実施形態では、投与は1日1回であり、連続投薬を14日間継続し、次いで退薬を7日間継続する;その後に投与を1日1回14日間行い、その後、7日間退薬する;連続投薬を2週間継続し、その後、退薬を1週間継続する投与間隔は数回繰り返すことが可能である。
【0023】
いくつかの実施形態では、連続投薬を5日間継続し、次いで投薬中断を2日間継続する。いくつかの実施形態では、投与は1日1回であり、連続投薬を5日間継続し、次いで退薬を2日間継続する;その後に投与を1日1回5日間行い、その後、2日間退薬する;連続投薬を5日間継続し、その後、退薬を2日間継続する投与間隔は数回繰り返すことが可能である。
【0024】
特定の具体的な実施形態では、1日1回、12mgの用量で2週間経口投与し、1週間退薬した。
【0025】
別の態様では、本出願は、非小細胞肺癌の治療のための下記構造式を有する化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0026】
本出願のいくつかの実施形態は、進行性非小細胞肺癌及び/又は転移性非小細胞肺癌を治療するための化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0027】
本出願のいくつかの実施形態は、EGFR変異体陰性非小細胞肺癌を治療するための化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0028】
本出願のいくつかの実施形態は、肺腺癌を治療するための化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0029】
本出願のいくつかの実施形態は、EGFR変異体陰性肺腺癌を治療するための化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0030】
本出願のいくつかの実施形態は、進行性肺腺癌及び/又は転移性肺腺癌を治療するための化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0031】
化合物Iはその遊離塩基形態で、又はその塩、水和物及びプロドラッグの形態であってもよく、プロドラッグはインビボで遊離塩基形態の化合物Iに変換される。例えば、化合物Iの薬学的に許容可能な塩は本出願の範囲内で、当技術分野で公知の方法に従って異なる有機酸及び無機酸から生成可能である。
【0032】
いくつかの実施形態では、化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は化合物I塩酸塩の形態である。いくつかの実施形態では、化合物Iは塩酸塩の形態である。いくつかの実施形態では、化合物Iは二塩酸塩の形態である。いくつかの実施形態では、化合物Iは化合物I塩酸塩の結晶の形態である。特定の実施形態では、化合物Iは二塩酸塩の結晶の形態である。
【0033】
化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の量は、疾患の重症度、疾患に対する応答、何らかの治療関連毒性、患者の年齢及び健康状態に応じて投与し得る。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は3mg〜30mgである。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は5mg〜20mgである。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は8mg〜16mgである。いくつかの実施形態では、化合物I又は薬学的に許容可能な塩の1日量は10mg〜14mgである。
【0034】
更に別の態様では、本出願は非小細胞肺癌を治療するための下記構造式を有する化合物I又は医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0035】
本出願のいくつかの実施形態は、進行性非小細胞肺癌及び/又は転移性非小細胞肺癌を治療するための化合物I又は医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0036】
本出願のいくつかの実施形態は進行性非小細胞肺癌及び/又は転移性非小細胞肺癌を治療するための化合物I又は医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0037】
本出願のいくつかの実施形態はEGFR変異体陰性非小細胞肺癌を治療するための化合物I又は医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0038】
本出願のいくつかの実施形態は肺腺癌を治療するための化合物I又は医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0039】
本出願のいくつかの実施形態は進行性肺腺癌及び/又は転移性肺腺癌を治療するための化合物I又は医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0040】
本出願のいくつかの実施形態はEGFR変異体陰性肺腺癌を治療するための化合物I又は医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は化合物I又はその薬学的に許容可能な塩及び少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0041】
化合物Iはその遊離塩基形態で、又はその塩、水和物及びプロドラッグの形態であってもよく、プロドラッグはインビボで遊離塩基形態の化合物Iに変換される。例えば、化合物Iの薬学的に許容可能な塩は本出願の範囲内で、当技術分野で公知の方法に従って異なる有機酸及び無機酸から生成可能である。
【0042】
いくつかの実施形態では、化合物I又はその薬学的に許容可能な塩は化合物I塩酸塩の形態である。いくつかの実施形態では、化合物Iは塩酸塩の形態である。いくつかの実施形態では、化合物Iは二塩酸塩の形態である。いくつかの実施形態では、化合物Iは化合物I塩酸塩の結晶の形態である。特定の実施形態では、化合物Iは二塩酸塩の結晶の形態である。
【0043】
化合物I又はその薬学的に許容可能な塩の量は、疾患の重症度、疾患に対する応答、何らかの治療関連毒性、患者の年齢及び健康状態に応じて投与し得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、単位用量に基づいて3mg〜30mgの化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、上記医薬組成物は、単位用量に基づいて5mg〜20mgの化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、上記医薬組成物は、単位用量に基づいて8mg〜16mgの化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、上記医薬組成物は、単位用量に基づいて10mg〜14mgの化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含む。本出願では、例えば錠剤又はカプセルの場合、「単位用量に基づいて12mgの化合物Iを含む」とは、最終製剤に含まれる各錠剤又は各カプセルが12mgの化合物Iを含むことを意味する。
【0044】
特定の具体的な実施形態では、上記医薬組成物は、単位用量に基づいて8、10又は12mgの化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、化合物Iは経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、頬、鼻腔内、吸入、膣、眼内 、局所投与、皮下、腹腔内、腹腔内及び髄腔内製剤;好ましくは錠剤、カプセル、粉末、顆粒、薬剤、滴下薬、ペースト、粉末等の経口投与に適した製剤、好ましくは錠剤及びカプセルとして処方してもよい。ここでは錠剤は一般的な錠剤、分散性錠剤、発泡性錠剤、徐放性錠剤、放出制御錠剤又は腸溶錠でもよく、カプセルは一般的なカプセル、徐放性カプセル、放出制御カプセル又は腸溶性カプセルとすることが可能である。上記経口製剤は、当技術分野で公知の薬学的に許容可能な担体を用いた従来法により調製可能である。薬学的に許容可能な担体には充填剤、吸収剤、湿潤剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤等が挙げられる。充填剤には、デンプン、乳糖及びマンニトール、微結晶セルロース等が挙げられ;吸収剤には硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられ;湿潤剤には水、エタノール等が挙げられ;接着剤にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、微結晶セルロース等が挙げられ;崩壊剤にはクロスカルメロースナトリウム、架橋ポビドン、界面活性剤、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ;潤滑剤にはステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、シリカゲル粉末、タルク粉末等が挙げられる。また、医薬品賦形剤には着色料、甘味料等が挙げられる。
【0046】
上記医薬組成物は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、頬、鼻腔内、吸入、膣、眼内 、局所投与、皮下、腹腔内、腹腔内及び髄腔内製剤;好ましくは錠剤、カプセル、粉末、顆粒、薬剤、滴下薬、ペースト、粉末等の経口投与に適した製剤、好ましくは錠剤及びカプセルとして処方してもよい。ここでは錠剤は一般的な錠剤、分散性錠剤、発泡性錠剤、徐放性錠剤、放出制御錠剤又は腸溶錠でもよく、カプセルは一般的なカプセル、徐放性カプセル、放出制御カプセル又は腸溶性カプセルとすることが可能である。上記経口製剤は、当技術分野で公知の薬学的に許容可能な担体を用いた従来法により調製可能である。薬学的に許容可能な担体には充填剤、吸収剤、湿潤剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤等が挙げられる。充填剤にはデンプン、乳糖及びマンニトール、微結晶セルロース等が挙げられ;吸収剤には硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられ;湿潤剤には水、エタノール等が挙げられ;接着剤にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、微結晶セルロース等が挙げられ;崩壊剤にはクロスカルメロースナトリウム、架橋ポビドン、界面活性剤、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ;潤滑剤にはステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、シリカゲル粉末、タルク粉末等が挙げられる。また、医薬品賦形剤には着色料、甘味料等が挙げられる。
【0047】
好ましくは、化合物I又は上記医薬組成物は間隔を置いて投与する。間隔投与には投与期間及び退薬期間があり、化合物I又は上記医薬組成物は投与中、1日に1回以上投与してもよい。例えば投与期間中、化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を毎日投与し、その後、退薬期間中は一次中断し、続いて投与期間、その後に退薬期間が続き、これを数回繰り返すことが可能である。投与期間と退薬期間との日数の比は、2:0.5〜5、好ましくは2:0.5〜3、より好ましくは2:0.5〜2、より好ましくは2:0.5〜1である。
【0048】
いくつかの実施形態では、連続投薬を2週間継続し、次いで投薬中断を2週間継続する。いくつかの実施形態では、投与は1日1回であり、連続投薬を14日間継続し、次いで退薬を14日間継続する;その後に投与を1日1回14日間行い、その後、14日間退薬する;連続投薬を2週間継続し、その後、退薬を2週間継続する投与間隔は数回繰り返すことが可能である。
【0049】
いくつかの実施形態では、連続投薬を2週間継続し、次いで投薬中断を1週間継続する。いくつかの実施形態では、投与は1日1回であり、連続投薬を14日間継続し、次いで退薬を7日間継続する;その後に投与を1日1回14日間行い、その後、7日間退薬する;連続投薬を2週間継続し、その後、退薬を1週間継続する投与間隔は数回繰り返すことが可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、連続投薬を5日間継続し、次いで投薬中断を2日間継続する。いくつかの実施形態では、投与は1日1回であり、連続投薬を5日間継続し、次いで退薬を2日間継続する;その後に投与を1日1回5日間行い、その後、2日間退薬する;連続投薬を5日間継続し、その後、退薬を2日間継続する投与間隔は数回繰り返すことが可能である。
【0051】
いくつかの実施形態では、化合物I又は上記の医薬組成物は1日に1回以上投与してもよい。いくつかの実施形態では、化合物I又は上記の医薬組成物は1日1回投与する。いくつかの実施形態では、経口固形製剤は1日1回投与する。
【0052】
特定の具体的な実施形態では、12mgの用量で1日1回2週間経口投与し、1週間退薬する。
【0053】
本明細書で使用しているように、「進行性」とは、疾患及び合併症の程度に従った非小細胞肺癌の病期を意味し、例えばそれは、AJCC癌病期分類マニュアルであるステージIII‐IV非小細胞肺癌の肺癌病期分類システムTNM分類に従っている。いくつかの実施形態では、進行性非小細胞肺癌はステージIIIB‐IVの非小細胞肺癌である。
【0054】
本明細書で使用しているように、「EGFR」は上皮増殖因子受容体を指す。
【0055】
当業者にとって、「EGFR変異陰性」は通常、臨床診断において一般的に使用する遺伝子検出方法に従ってEGFR遺伝子変異が検出されなかったことを指す。EGFR変異は様々な方法で検出可能であり、DNA変異検出は好ましい方法でのEGFRが検出された状態であり、多様なDNA変異検出を利用して腫瘍細胞のEGFR変異状態を検出することが可能である。非小細胞肺癌患者の場合、最も一般的なEGFR変異はエクソン19欠失及びエクソン21変異であり、エクソン18〜21(又はエクソン19及び21のみ)の直接DNA配列決定は妥当な選択である。
【0056】
本明細書で使用しているように、特段の指示がない限り、本明細書で提供される用量及び範囲は化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づいて計算する。
【0057】
これに関し、投与する化合物Iの量は、疾患の重症度、疾患に対する応答、何らかの治療関連毒性、患者の年齢及び健康状態に応じて変更してもよい。投与期間は、薬物の活性、毒性及び患者の耐容性に基づいて決定することが可能である。
【0058】
特段の指示がない限り、本出願の目的上、本明細書及び特許請求の範囲で使用される以下の用語は以下の意味を持つべきである。
【0059】
「患者」は哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
【0060】
「薬学的に許容可能な」とは、一般的に安全かつ非毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましい医薬品組成物を調製するためにそれらを使用することを指し、ヒト用薬物の使用に許容される意味も含まれる。
【0061】
「薬学的に許容可能な塩」には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;又は酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エチルアルキド、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、ベンジル酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2‐エタンジスルホン酸、2‐ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐クロロベンゼンスルホン酸、P‐トルエンスルホン酸、3‐フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t‐ブチル酢酸、ドデシル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸等の有機酸との塩が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0062】
「治療有効量」とは疾患の制御を達成するのに十分な疾患治療のために化合物をヒ トに投与することを意味する。
【0063】
「治療」とは治療有効量の化合物の任意の投与を意味し、また以下の工程を含む:
(1)疾患の病態又は症状を経験しているか、又は示している人体において疾患を抑制する(すなわち、病態及び/又は症状の更なる進行を予防する)、又は
(2)疾患の病態もしくは症状を経験しているか、もしくは示している人体において疾患を改善する(すなわち、病態及び/又は症状を回復させる)。
【0064】
本明細書では、無増悪生存期間P25とは、疾患調査に参加した患者の75%が疾患を進行させていない期間を指し;増悪生存期間P50とは、疾患調査に参加した患者の50%が疾患を進行させていない期間を指し;無増悪生存期間P75とは、疾患調査に参加した患者の25%が疾患を進行させていない期間を指し;無増悪生存期間とは、統計結果に参加した患者の無増悪生存期間の平均値であった。
【実施例】
【0065】
以下の特定の実施例は本発明の技術的解決策を説明しているに過ぎず、その範囲は記載された実施形態に限定するものではない。
【実施例1】
【0066】
1‐[[[4‐(4‐フルオロ‐2‐メチル‐1H‐インドール‐5‐イル)オキシ‐6‐メトキシキノリン‐7‐イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミン二塩酸塩
1‐[[[4‐(4‐フルオロ‐2‐メチル‐1H‐インドール‐5‐イル)オキシ‐6‐メトキシキノリン‐7‐イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミンを国際公開第2008112407号の実施例24の方法で調製した後、明細書の「塩形成の例」にある生成法を参照して、標題の化合物を調製した。
【実施例2】
【0067】
1‐[[[4‐(4‐フルオロ‐2‐メチル‐1H‐インドール‐5‐イル)オキシ‐6‐メトキシ‐キノリン‐7‐イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミン二塩酸塩(化合物1の二塩酸塩)を含むカプセル
成分 量(1000カプセル中)
化合物Iの二塩酸塩 14.16g(12gの化合物Iと当量)
マンニトール 89g
微結晶セルロース 138.4g
ヒドロキシプロピルセルロース 5.9g
ステアリン酸マグネシウム 0.99g
【0068】
化合物Iの二塩酸塩を粉砕し、80メッシュ篩で篩分けした後、マンニトール及びヒドロキシプロピルセルロースと均一に混合し、次に所定量の微結晶セルロースを加え、均一に混合し、0.8mm篩で篩分けした;最後に所定量のステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、得られた混合物をカプセルに充填した。
【実施例3】
【0069】
無作為試験、二重盲検試験、プラセボ対照試験を、病理学的に非小細胞肺癌と診断された測定可能病変の患者において行い、患者らは第2選択療法又はそれ以上の選択療法を受け、又は上述の治療に耐容性があり、また他の細胞毒性薬、放射線療法もしくは手術で4週間以上治療している者であった。本試験では初めに、非小細胞肺癌患者の治療において化合物Iの二塩酸塩カプセルの有効性をプラセボに対して評価した。評価の主な結果は無増悪生存期間(PFS)とした。本試験には、18〜70歳の117人の非小細胞肺癌患者が登録された。そのうち57人の患者をプラセボ群に無作為に割り当て、60人の患者を化合物Iの二塩酸塩群に無作為に割り当てた。
【0070】
上述の適格な非小細胞肺癌患者に、臨床試験で化合物Iの二塩酸塩/プラセボを投与した。患者らに12mg/0mgの化合物I/プラセボを個別に1日1回、連続的に2週間投与し、その後、投与から1週間休薬し、すなわちサイクルレジメンの期間は3週間(21日間)であった。連続療法に不適格な患者、又はその疾患が再評価により進行性疾患(PD)であった患者は投薬から除外した。
【0071】
結果:合計117人の非小細胞肺癌患者を本研究に登録し、このうち57人の患者をプラセボ群に無作為に割り当て、60人の患者を化合物Iの二塩酸塩群に無作為に割り当てた。プラセボ群の43人の患者及び化合物Iの二塩酸塩群の30人の患者をデータ統計に含め、脱落したか、研究から除外されたか、又は経過観察中の残りの患者は統計に含めなかった。結果を下記表に示す:
【0072】
【表1】
【0073】
上記の結果から、化合物Iの二塩酸塩は非小細胞肺癌患者の無増悪生存期間を大幅に延長できることが示された。
【実施例4】
【0074】
無作為試験、二重盲検試験、プラセボ対照試験を、病理学的に肺腺癌と診断された測定可能病変の患者において行い、患者らは第2選択療法又はそれ以上の選択療法を受け、又は上述の治療に耐容性があり、また他の細胞毒性薬、放射線療法もしくは手術で4週間以上治療している者であった。本試験では初めに、肺腺癌患者の治療において化合物Iの二塩酸塩カプセルの有効性をプラセボに対して評価した。評価の主な結果は無増悪生存期間(PFS)とした。本試験には、18〜70歳の104人の肺腺癌患者が登録された。そのうち50人の患者をプラセボ群に無作為に割り当て、54人の患者を化合物Iの二塩酸塩群に無作為に割り当てた。
【0075】
上述の適格な肺腺癌患者に、臨床試験で化合物Iの二塩酸塩/プラセボを投与した。患者らには12mg/0mgの化合物I/プラセボを個別に1日1回、連続的に2週間投与し、その後、投与から1週間休薬した。すなわちサイクルレジメンの期間は3週間(21日間)であった。連続療法に不適格な患者、又はその疾患が再評価により進行性疾患(PD)であった患者は投薬から除外した。
【0076】
結果:合計104人の肺腺癌患者を本研究に登録し、このうち50人の患者をプラセボ群に無作為に割り当て、54人の患者を化合物Iの二塩酸塩群に無作為に割り当てた。プラセボ群の37人の患者及び化合物Iの二塩酸塩群の30人の患者をデータ統計に含め、脱落したか、研究から除外されたか、又は経過観察中の残りの患者は統計に含めなかった。結果を下記表に示す:
【0077】
【表2】
【0078】
上記の結果から、化合物Iの二塩酸塩は肺腺癌患者の無増悪生存期間を大幅に延長できることが示された。
【実施例5】
【0079】
A)病歴
45歳の女性、生年月日1968年1月11日、高脂血症歴あり、喫煙歴なし。2011年1月6日、造影所見と併用して、気管支擦過ブラシ生検から非小細胞癌、腺癌の可能性が高いことが分かり、臨床診断では:右下肺腺癌、右胸膜転移、両肺転移、縦隔リンパ節転移及び脳転移(T4N2M1b、ステージIV)に達していた。2011年1月20日から2011年4月1日まで、ペメトレキセド/シスプラチン併用療法を4治療サイクルで実施し、最良の総合的応答はSD(安定的疾患)であった。2011年5月5日から2012年5月30日まで、エルロチニブを投与し、最良の総合的応答はPR(部分応答)であった;2012年6月4日から2012年8月18日まで、ドセタキセル/ネダプラチン併用レジメンを4サイクル繰り返し、最良の総合的応答はSD(安定的疾患)であった。2012年12月3日から2013年8月3日まで、エルロチニブを投与し、最良の総合的応答はSD(安定的疾患)であった。2013年5月13日から2013年8月10日まで、ゲムシタビン/カルボプラチン併用レジメンを5サイクル繰り返し、最良の総合的応答はPR(部分応答)であった。
【0080】
2013年9月3日から、化合物Iの二塩酸塩のカプセルを1日1回12mg、反復治療サイクル(2週間連続する投与と、その後の1週間の休薬を1回の治療サイクルとする)で経口投与した。
【0081】
B)治療応答及び毒性の評価
4週間の経過観察で治療毒性を評価し、血球数及び血液化学を2又は3週間ごとに分析し、またCTスキャンに基づいて治療応答を評価した。
【0082】
C)CTスキャン結果
化合物Iの二塩酸塩で6週間治療した後、2つの測定可能な病変の最長径の合計は45.7mmから31.43mm(31.22%減少)に減少し、その後、10回の治療サイクル(210日)で連続的に治療したところ26mm(43.1%減少)に減少し、最良の総合的応答の評価はPR(部分応答)であった。
【0083】
D)耐容性
全体的に化合物Iの二塩酸塩による治療は十分に許容され、血球数などの血液定期検査に有意な変化はなかった。
【実施例6】
【0084】
A)病歴
喫煙歴30年(20本/日)の退職した67歳の女性、10年前に甲状腺腺腫切除を受けている。造影所見と併用して、事前の気管支擦過ブラシ生検から腺癌の可能性が高い非小細胞肺癌が示され、臨床診断では:左上葉肺腺癌、両肺転移、縦隔リンパ節転移、両鎖骨上リンパ節転移(T4N3M1a、ステージIV)に達しており、複数のラクナ梗塞、心膜液貯留、胆管結石症及び他の疾患を伴っていた。2013年8月1日から2013年9月1日まで、TPレジメン(パクリタキセル/シスプラチン)の治療サイクルが行われたが、その結果は不十分であり、その後化学療法レジメンを変更した。2013年12月26日から2014年1月15日まで、GPレジメン(ゲムシタビン/シスプラチン)を1治療サイクルで投与したが、依然として不十分な結果となった。2014年1月20日、塩酸イコチニブ錠125mgを1日3回経口投与したが、結果は不明である。2014年2月27日、CTスキャンから、両肺、左肺リンパ節の門、両鎖骨上リンパ節及び縦隔リンパ節などの身体の一部に病変がいくつか存在していることが示され、左上葉肺の前区にある病変の最長径は37mm、縦隔リンパ節にある病変の最短径は21mmであった。腫瘍マーカー試験から、CEAレベルが最大107.41ng/mLであることが示され、これは正常範囲内ではなかった。
【0085】
2014年2月28日から、化合物Iの二塩酸塩のカプセルを1日1回12mg、反復治療サイクル(2週間連続する投与と、その後の1週間の休薬を1回の治療サイクルとする)で経口投与した。
【0086】
B)CTスキャン結果
化合物Iの二塩酸塩で治療した後、標的病変の最長径の合計は大幅に減少した。治療を受ける前、2つの測定可能な標的病変の直径の合計は58mm(左上葉肺の前区37mm、縦隔リンパ節21mm)であり、3週間の投与後には36mmに減少し、すなわち37.9%減少した(左上葉肺の前区18mm、縦隔リンパ節18mm);その後、6週間投与したところ29mmに減少し、すなわち50%減少した(左上葉肺の前区14mm、縦隔リンパ節15mm);9週間の投与後に26mmに減少し、すなわち55.2%減少した(左上葉肺の前区10mm、縦隔リンパ節16mm);その後、12週間投与したところ26mmのまま留まり、すなわち55.2%減少した(左上葉肺の前区10mm、縦隔リンパ節16mm);15週間の投与後に25mmに減少し、すなわち56.9%減少した(左上葉肺の前区10mm、縦隔リンパ節病変15mm)。非標的病変及び新規な病変の進行は見られなかった。2014年12月4日まで、化合物Iの二塩酸塩を279日間投与し、14回目の治療サイクル中に治療を継続し、そのとき腫瘍に対する持続的な応答及び治療の良好な臨床成績が見られた。
【0087】
C)耐容性
全体的に化合物Iの二塩酸塩による治療は十分に許容された。血液変化は有意ではなかった。治療中に薬物に関連する心毒性はなかった。
【実施例7】
【0088】
2014年6月2日、62歳の女性患者において、CT検査により左肺癌、肺転移、両肺門及び縦隔、右鎖骨上リンパ節転移が見られ、ECTから骨転移が示唆され、頭蓋MRIから左前頭葉転移が示唆された。CTガイド肺穿刺により患者は非小細胞肺癌と診断された。遺伝子検出では、EML4‐ALK融合遺伝子に変異はなく、EGFR遺伝子も変異はなかった。
【0089】
2014年6月9日から2014年9月25日まで、シスプラチン及びペメトレキセド化学療法により6サイクルで患者を治療し、最良の有効性はPRであった。治療中、患者はII度の胃腸反応を示し、骨髄抑制はなかった。2014年10月17日から退院の2014年11月1日まで、患者はTi guioカプセルを2週間投与され、咳の緩和及び軽度の胸部圧迫を示した。2015年1月27日、検査により疾患の進行が見られた。2015年1月31日から2015年6月21日まで、患者にドセタキセル化学療法と併用してイコチニブを6サイクル投与し、最良の有効性はSDであった。2015年7月8日、患者は化合物Iの二塩酸塩カプセルの臨床試験に参加し、同日に化合物Iの二塩酸塩カプセル治療を開始し、1サイクルの計画は1回12mg用量で1日4回とし、2週間投薬を継続し、その後、投薬を1週間中断した。
【0090】
2015年7月29日、患者は1サイクルで治療を受け、強調CTから、肺左上葉の閉塞性炎症、両肺転移、肥大肺の下葉間の間隙、左肺門及び縦隔リンパ節転移、右鎖骨上リンパ節が示唆され、また両側胸膜転移が起こりそうであり、一部は好転し、一部は有意に変化しなかった。最良の有効性の評価は、RECIST1.1に従ってPRに達した。
【0091】
2015年8月20日、患者の頭部強調CTから、左側頭葉小結節がベースラインよりわずかに小さいことが示唆された。
【0092】
2015年11月12日、強調CTから、状態が制御され、有効性が依然としてPRであることが示唆された。期日まで患者は有害反応に耐え、治療を継続することができた。
【実施例8】
【0093】
2013年3月、62歳の男性においてCTガイド肺穿刺により非小細胞肺癌扁平上皮癌と診断され、頭蓋MRIにより左前頭葉転移が示唆された。遺伝子検出では、EML4‐ALK融合遺伝子に変異はなく、EGFR遺伝子も変異はなかった。
【0094】
2013年3月26日から2013年6月5日まで、シスプラチン及びゲムシタビン化学療法により4サイクルで患者を治療し、最良の有効性はSDであった。化学療法の終了後、患者は1サイクルの間に肺局所放射線療法で治療し、その間、有害反応は軽度であった。2013年9月9日から2013年10月6日まで、シスプラチン及びゲムシタビン化学療法により2サイクルで患者を治療した。2013年12月、CT検査により疾患は進行していることが確認された。2014年3月24日から、ドセタキセル化学療法により1サイクルで患者を治療した。化学療法後、骨髄抑制、口腔感染、肺炎が起こり、対症療法後に症状が改善した。2014年12月10日、検査CTから以下のことが示唆された:1.右上後部肋骨下軟組織陰影が以前より増加していた;2.両肺には複数の肺大気胞があり、これは以前と比較してほとんど変化がなかった;3.両肺には炎症があり、その範囲は以前より小さかった;4.左鎖骨、縦隔及び右肺門には、以前よりやや大きい複数のリンパ節があった。2015年1月7日から2015年1月29日まで、ゲムシタビン及びネダプラチン(NDP)を投与し、化学療法後にグレードIIIの骨髄抑制が出現した。これはRise white投与後に回復した。2015年3月4日の検査では、CTから、右肺腫瘤が以前より増加していることが示唆された。2015年3月6日、患者は経口Tiggio治療を受けた。2015年5月27日、検査CTから進行が示唆された。2015年6月2日、右肺扁平上皮癌放射線療法及び化学療法後に、病理診断で(右肺)低分化癌が示唆された。
【0095】
2015年6月4日から、患者は化合物Iの二塩酸塩カプセル治療を受け、1サイクルの計画は1回12mg用量で1日4回とし、2週間投薬を継続し、その後、投薬を1週間中断した。2015年6月25日、患者を1サイクルで治療し、強調CTから、以前よりやや小さい右肺門軟部組織密集塊が示唆され;左鎖骨、縦隔及び右肺門には複数のリンパ節があり;両肺には炎症があり、以前より小さくなっていた;両肺には複数の肺大気胞があり、以前より小さくなっていた;有効性の評価はRECIST1.1によるとSDに達し、全体として標的病変は66mmであり、これはベースラインより10mm減少していた。
【0096】
2015年7月15日、患者の強調CTから右肺門軟組織密集塊が示唆されたが、これは以前よりやや小さかった。標的病変の合計は63mmであった;2015年9月8日、強調CTから病変が更に減少したことが示唆され、標的病変の合計は57mmであった;2015年10月16日、強調CTから病変の減少が示唆され、標的病変の合計は56mmであり、これは以前と比較してほとんど変化がなかった;期日まで患者は有害反応に耐え、治療を継続することができた。
【国際調査報告】