(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本発明は、ケラチン繊維、具体的にはヒトケラチン繊維、例えば毛髪を染色する方法であって、a)1つ又は複数の染料と、b)1つ又は複数のチタン塩と、場合により、b1)少なくとも1つのカルボン酸と、c)1つ又は複数の不溶性ケイ酸塩と、d)場合により、1つ又は複数の化学酸化剤、例えば過酸化水素又は1つ若しくは複数の過酸化水素生成系と、を含む1つ又は複数の化粧用組成物を用いて前記繊維を処理する方法に関する。
染色方法において使用される組成物のうちの少なくとも1つが、酸性のpH、すなわち7.0未満、好ましくは5未満であり、具体的にはpHが0から4の間(両端を含む)、より具体的には0.5から3.5の間であることを特徴とする、請求項1に記載の染色方法。
成分a)が芳香環を含むODPであり、この芳香環がベンゼン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、インダン、インデン、アントラセン、フェナントレン、イソインドール、インドリン、イソインドリン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、クロマン、イソクロマン、クロメン、イソクロメン、キノリン、テトラヒドロキノリン、及びイソキノリンから選択され、前記芳香環が、この芳香環の2つの隣接する原子が有する少なくとも2つのヒドロキシル基を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の染色方法。
ODPが、動物、細菌、真菌、藻類、植物、及び果実の抽出物から選択される天然オルトジフェノール誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の染色方法。
酸b1)が、請求項1又は7に規定の式(I)のものであり、これらの酸が請求項9又は10に規定のチタン塩の有機酸とは異なることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の染色方法。
不溶性ケイ酸塩が、スメクタイト族、バーミキュライト族、ステベンサイト族、クロライト族、パリゴルスカイト族、及びセピオライト族のクレイから選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
不溶性ケイ酸塩が、スメクタイト族のクレイ、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト、及びサポナイトから選択されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
不溶性ケイ酸塩が、それらを含む組成物の総質量に対して、0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%、なお良好には0.1質量%〜15質量%、更に優先的には、0.5質量%〜10質量%に相当することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
d)過酸化水素又は1つ若しくは複数の過酸化水素生成系から選択され、具体的には過酸化水素又は過酸化尿素から選択され、好ましくは過酸化水素である、1つ又は複数の化学酸化剤を使用することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の染色方法。
前記方法が、a)請求項1から6のいずれか一項に規定の、1つ又は複数の染料、特にODPと、b)請求項1、9、10、及び12のいずれか一項に規定の、特に有機チタン塩から選択される1つ又は複数のチタン塩と、b1)請求項1、7、及び11のいずれか一項に規定の1つ又は複数の式(I)のカルボン酸と、c)請求項1又は請求項13から15のいずれか一項に規定の1つ又は複数の不溶性ケイ酸塩と、を含む化粧用組成物でケラチン繊維が処理される第1の工程と、それに続く、e)請求項18に規定の1つ又は複数の塩基性化剤を含むアルカリ性化粧用組成物、すなわちpHが7を上回り、好ましくは8から12の間(両端を含む)、具体的には8から10.5の間(両端を含む)である組成物が塗布される第2の工程と、を含む少なくとも2つの工程で実施され、優先的には、第2の工程においてケラチン繊維に塗布される化粧用組成物が、d)具体的には過酸化水素又は1つ若しくは複数の過酸化水素生成系から選択され、好ましくは過酸化水素である、請求項17に規定の1つ又は複数の化学酸化剤も含むことを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の染色方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
a)染料
本発明によれば、染色方法は、a)1つ又は複数の染料を使用する。本発明による方法で使用される染料は、酸化染料前駆体及び/又は合成若しくは天然由来の直接染料であってもよい。
【0025】
本発明の染料は、染色方法において使用される1つ又は複数の化粧用組成物中に存在してもよい。
【0026】
本発明の特定の実施形態によると、染料は、酸化染料前駆体から選択され、より具体的には、1つ又は複数のカプラーと場合により組み合わせた酸化塩基から選択される。
【0027】
酸化塩基は、パラフェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、及び複素環塩基、並びにそれらの付加塩から選択することができる。
【0028】
優先的には、本発明の酸化塩基は、パラフェニレンジアミン及び複素環塩基から選択される。
【0029】
パラフェニレンジアミンの中で挙げることのできる例には、パラフェニレンジアミン、パラトリレンジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラフェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラフェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラフェニレンジアミン、-2-フルオロ-パラフェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラフェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラフェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラフェニレンジアミン、2-メトキシメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラフェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラフェニレンジアミン、N-(4’-アミノフェニル)-パラフェニレンジアミン、N-フェニル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラフェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラフェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラフェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン、及び-3-ヒドロキシ-1-(4’-アミノフェニル)ピロリジン、並びにそれらの酸との付加塩がある。
【0030】
上述のパラフェニレンジアミンの中で、パラフェニレンジアミン、パラトリレンジアミン、2-イソプロピル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラフェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラフェニレンジアミン、及び2-メトキシメチル-パラフェニレンジアミン、並びにそれらの酸との付加塩が特に好適である。
【0031】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中で挙げることのできる例には、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン、及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオクタン、並びにそれらの付加塩がある。
【0032】
パラアミノフェノールの中で挙げることのできる例には、パラアミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチル-アミノメチル)フェノール、及び4-アミノ-2-フルオロフェノール、並びにそれらの酸との付加塩がある。
【0033】
オルトアミノフェノールの中で挙げることのできる例には、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、並びにそれらの付加塩がある。
【0034】
複素環塩基の中では、具体的には、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、及びピラゾール誘導体を挙げることができる。
【0035】
ピリジン誘導体の中では、例えば特許GB1026978及びGB1153196に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、及び3,4-ジアミノピリジン、並びにそれらの付加塩を挙げることができる。
【0036】
本発明において有用な他のピリジン酸化塩基は、例えば、特許出願FR2801308に記載されている、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化塩基又はそれらの付加塩である。
【0037】
挙げることのできる例には、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、及び2-(4-ジメチルピペラジニウム-1-イル)-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、並びにそれらの付加塩がある。
【0038】
より具体的には、本発明による酸化塩基は、好ましくは2位が、
a)アルキル基が1つ又は複数のヒドロキシル基、アミノ基、又はイミダゾリウム基で置換されていてもよい、(ジ)(C
1〜C
6)(アルキル)アミノ基、
b)1つ又は複数の(C
1〜C
6)アルキル基で場合により置換された、1〜3個のヘテロ原子を含む、カチオン性又は非カチオン性の5員〜7員のヘテロシクロアルキル基、例えばジ(C
1〜C
4)アルキルピペラジニウム、
c)1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換された(C
1〜C
6)アルコキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルコキシ、
で置換された3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、及びそれらの付加塩から選択される。
【0039】
ピリミジン誘導体の中では、例えば、特許DE2359399、JP88169571、JP05-63124、及びEP0/770/375、又は特許出願WO96/15765に記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジン、及びそれらの付加塩、また互変異性平衡が存在する場合には、それらの互変異性型を挙げることができる。
【0040】
ピラゾール誘導体の中では、特許DE3843892及びDE4133957、並びに特許出願WO94/08969、WO94/08970、FR-A-2733749、及びDE19543988に記載されている化合物、例えば、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4’-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2’-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、並びにそれらの付加塩を挙げることができる。好ましくは、本発明の複素環酸化塩基は、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール等の4,5-ジアミノピラゾールから選択される。また、4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールを使用してもよい。
【0041】
好ましくは、4,5-ジアミノピラゾール、更に優先的には、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又はその塩が使用される。
【0042】
挙げることができるピラゾール誘導体には、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、及び特に特許出願FR-A-2886136に記載されているもの、例えば以下の化合物、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、又は2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、及びそれらの付加塩もある。
【0043】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はその塩が使用される。
【0044】
優先的に使用される複素環塩基には、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、及び/又はその塩がある。
【0045】
本発明との文脈で使用される酸化塩基は、染料組成物の総質量に対して、一般に、およそ0.001質量%〜10質量%の範囲、好ましくは0.005質量%〜5質量%の範囲の量で存在する。
【0046】
ケラチン繊維の染色に従来使用されている追加のカプラーは、メタフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、メタジフェノール、ナフタレン系カプラー、及び複素環カプラー、並びにそれらの付加塩から選択される。
【0047】
挙げることのできる例には、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、3-アミノ-2-クロロ-2-メチルフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、チモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンズイミダゾール、それらの酸との付加塩、並びにそれらの混合物がある。
【0048】
一般に、本発明との文脈において使用することができる酸化塩基及びカプラーの付加塩は、特に、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、及び酢酸塩等の酸との付加塩から選択される。
【0049】
本発明との文脈で、カプラーは、一般に、染料組成物の総質量のおよそ0.001質量%〜10質量%の範囲、好ましくは、染料組成物の総質量に対して、0.005質量%〜5質量%の範囲の総量で存在する。
【0050】
本発明の別の特定の実施形態によると、染料は直接染料から選択される。
【0051】
本発明との文脈で使用することができる直接染料は、蛍光性又は非蛍光性であり、アニオン性、カチオン性、又は中性の天然由来又は非天然由来の直接染料であってもよい。
【0052】
これらの直接染料は、具体的には、直接染色において従来使用されているもの、一般に使用されるあらゆる芳香族及び/又は非芳香族染料、例えば中性、酸性、又はカチオン性のニトロベンゼン直接染料、中性、酸性、又はカチオン性のアゾ直接染料、天然直接染料、中性、酸性、又はカチオン性のキノン、具体的にはアントラキノン直接染料、アジン、ポリアリールメタン、例えばトリアリールメタン、インドアミン、ポリメチン、例えばスチリル、ポルフィリン、金属ポルフィリン、フタロシアニン、メチンシアニン直接染料から選択される。
【0053】
本発明の特定の実施形態によると、染料はアニオン性直接染料、又はアルカリ物質に対するその親和性から、一般に「酸性」直接染料又は「酸性染料」と称される染料から選択される。「アニオン性直接染料」という用語は、その構造に少なくとも1つのCO
2R又はSO
3R置換基(Rは、水素原子、又は金属若しくはアミンに由来するカチオン、又はアンモニウムイオンである)を含むあらゆる直接染料を意味する。アニオン性染料は、酸性ニトロ直接染料、酸性アゾ染料、酸性アジン染料、酸性トリアリールメタン染料、酸性インドアミン染料、酸性アントラキノン染料、インジゴイド染料、及び酸性天然染料から選択することができる。
【0054】
本発明の別の特定の実施形態によると、染料は、カチオン性直接染料、又は酸性物質に対するその親和性から「塩基性」直接染料若しくは「塩基性染料」と一般に称される染料から選択される。カチオン性染料は、優先的には、ヒドラゾノ、(ポリ)アゾ、ポリメチン、例えばスチリル、及び(ポリ)アリールメタン染料から選択される。より優先的には、本発明のカチオン性染料は、以下の式(Va)及び(V'a)のヒドラゾノ染料、アゾ染料(VIa)及び(VI'a)、並びにジアゾ染料(VIIa)であり、
【0056】
式(Va)、(V'a)、(VIa)、(VI'a)、及び(VIIa)中、
・Het
+は、優先的には1つ又は複数の(C
1〜C
8)アルキル基、例えばメチルで場合により置換された、優先的には環内カチオン性電荷を有する、カチオン性ヘテロアリール基、例えばイミダゾリウム、インドリウム、又はピリジニウムを表し、
・Ar
+は、環外カチオン性電荷を有するアリール基、例えばフェニル又はナフチル、優先的にはアンモニウム、具体的にはトリ(C
1〜C
8)アルキルアンモニウム、例えばトリメチルアンモニウムを表し、
・Arは、優先的には1つ又は複数の電子供与基で、例えばi)場合により置換された(C
1〜C
8)アルキル、ii)場合により置換された(C
1〜C
8)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で場合により置換された(ジ)(C
1〜C
8)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C
1〜C
8)アルキルアミノ、v)場合により置換されたN-(C
1〜C
8)アルキル-N-アリール(C
1〜C
8)アルキルアミノで場合により置換された、アリール基、特にフェニルを表し、或いは、Arは、ジュロリジン基を表し、
・Ar'は、場合により置換された二価(ヘテロ)アリーレン基、例えばフェニレン、具体的にはパラ-フェニレン又はナフタレンであり、これは優先的には1つ又は複数の(C
1〜C
8)アルキル基、ヒドロキシル基、又は(C
1〜C
8)アルコキシ基で場合により置換されており、
・Ar''は、場合により置換された(ヘテロ)アリール基、例えばフェニル又はピラゾリルであり、これは優先的には1つ又は複数の(C
1〜C
8)アルキル基、ヒドロキシル基、(ジ)(C
1〜C
8)(アルキル)アミノ基、(C
1〜C
8)アルコキシ基、又はフェニル基で場合により置換されており、
・R
a及びR
bは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は優先的にはヒドロキシル基で場合により置換された(C
1〜C
8)アルキル基を表し、
或いは、置換基R
aとHet
+の置換基、及び/又はR
bとArの置換基、及び/又はR
aとR
bとは、それらを有する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し、
具体的には、R
a及びR
bは、水素原子、又はヒドロキシル基で場合により置換された(C
1〜C
4)アルキル基を表し、
・Q
-は、上記に規定のアニオン性対イオンを表す。
【0057】
本発明の好適な変形形態によると、カチオン性染料は、以下の式(VIIIa)及び(VIII'a)のポリメチン染料から選択され、
【0059】
式(VIIIa)又は(VIII'a)中、
・W
+は、カチオン性複素環基又はヘテロアリール基、具体的には、特に1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換された1つ又は複数の(C
1〜C
8)アルキル基で場合により置換された四級アンモニウムを含むものを表し、
・W'
+は、W
+について規定した複素環基又はヘテロアリール基を表し、
・Arは、優先的には、i)1つ又は複数のハロゲン原子、例えば塩素又はフッ素、ii)1つ又は複数の(C
1〜C
8)アルキル基、好ましくはC
1〜C
4のもの、例えばメチル、iii)1つ又は複数のヒドロキシル基、iv)1つ又は複数の(C
1〜C
8)アルコキシ基、例えばメトキシ、v)1つ又は複数のヒドロキシ(C
1〜C
8)アルキル基、例えばヒドロキシエチル、vi)1つ又は複数のアミノ基又は(ジ)(C
1〜C
8)アルキルアミノ、好ましくは、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されたC
1〜C
4アルキル部分を有するもの、例えば(ジ)ヒドロキシエチルアミノ、vii)1つ又は複数のアシルアミノ基、viii)1つ又は複数のヘテロシクロアルキル基、例えばピペラジニル、ピペリジル、又は5員若しくは6員ヘテロアリール、例えばピロリジニル、ピリジル、及びイミダゾリニルで場合により置換された(ヘテロ)アリール基、例えばフェニル又はナフチルを表し、
・Ar'は、Arについて規定した二価(ヘテロ)アリール基であり、
・m'は、1から4の間(両端を含む)の整数を表し、具体的には、mは1又は2、より優先的には1の値をとり、
・R
c、R
dは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は場合により置換された(C
1〜C
8)アルキル基、優先的にはC
1〜C
4のものを表し、或いは、W
+若しくはW'
+と隣接するR
c、及び/又はAr若しくはAr'と隣接するR
d、及び/又は隣接するR
cとR
dとは、それらを有する原子と共に(ヘテロ)シクロアルキルを形成し、具体的には、R
cはW
+又はW'
+と隣接し、(ヘテロ)シクロアルキル、例えばシクロヘキシルを形成し、
・Q
-は、上記に規定の通りであり、好ましくはハロゲン化物又はメシレートを表す。
【0060】
より具体的には、上記に規定の式(Va)、(V'a)、(VIa)、及び(VI'a)の環内カチオン性電荷を有するアゾ染料及びヒドラゾノ染料を挙げることができる。より具体的には、特許出願WO95/15144、WO95/01772、及びEP-714954に記載されている染料に由来する、式(Va)、(V'a)、及び(VIa)のものである。優先的には、カチオン性染料は、環内カチオン性電荷を含み、また以下の式を有し、
【0062】
式(Va-1)及び(VIa-1)中、
- R
1は、(C
1〜C
4)アルキル基、例えばメチルを表し、
- R
2及びR
3は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1〜C
4)アルキル基、例えばメチルを表し、
- R
4は、水素原子、又は電子供与基、例えば場合により置換された(C
1〜C
8)アルキル、場合により置換された(C
1〜C
8)アルコキシ、又はアルキル基がヒドロキシル基で場合により置換された(ジ)(C
1〜C
8)(アルキル)アミノを表し、具体的には、R
4は水素原子であり、
- Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し、
- Q
-は、上記に規定の通りであり、好ましくはハロゲン化物又はメシレートを表す。
【0063】
具体的には、本発明の染料は、式(IIIa-1)及び(IVa-1)のものから、より好ましくはベーシックレッド51、ベーシックイエロー87、及びベーシックオレンジ31、又はそれらの誘導体から選択され、
【0065】
式中、Q
-は、上記に規定の通りであり、好ましくはハロゲン化物又はメシレートを表す。
【0066】
本発明の特に有利な実施形態によると、染料は、天然由来の染料又は「天然」染料から選択される。
【0067】
天然染料の中では、ローソン、ジュグロン、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセイン、ポリフェノール、又はオルトジフェノール(ODP)、及びODPに富むあらゆる抽出物を挙げることができる。また、これらの天然染料を含む抽出物又は浸出液、特にヘナ系及び/又はインジゴ系の抽出物若しくは湿布剤を使用することもできる。
【0068】
本発明の特に好適な実施形態によると、染料は、オルトジフェノール、すなわちODPから選択される。
【0069】
本発明は、1つ又は複数のODP、又は化合物の混合物であって、1つ若しくは複数の芳香環を有し、その芳香環のうちの少なくとも1つがベンゼン環であり、このベンゼン環が、オルトジフェノールの構造中に存在する前記ベンゼン基の2つの隣り合う炭素原子が有する少なくとも2つのヒドロキシ(OH)基で置換されている、化合物の混合物に関する。
【0070】
芳香環は、より具体的には、縮合アリール環又は縮合芳香族複素環、すなわち1つ又は複数のヘテロ原子を場合により含むもの、例えばベンゼン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、インダン、インデン、アントラセン、フェナントレン、インドール、イソインドール、インドリン、イソインドリン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、クロマン、イソクロマン、クロメン、イソクロメン、キノリン、テトラヒドロキノリン、及びイソキノリンであり、前記芳香環は、この芳香環の2つの隣り合う炭素原子が有する少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。優先的には、本発明によるODPの芳香環はベンゼン環である。
【0071】
「縮合環」という用語は、少なくとも2つの飽和又は不飽和の複素環又は非複素環が共通の結合を有すること、すなわち少なくとも1つの環が別の環と並んで配置されていることを意味する。
【0072】
本発明によるODPは、塩化されていても塩化されていなくてもよい。これらはまた、アグリコン形態(結合した糖を含まない)であっても、又はグリコシル化化合物の形態であってもよい。
【0073】
より具体的には、ODP a)は、式(II)の化合物、又はそのオリゴマー、互変異性体、光学異性体、若しくは幾何異性体、及びその塩若しくは溶媒和物、例えば水和物を表し、
【0075】
式(II)中、
・R
1〜R
4は同一であっても異なっていてもよく、i)水素原子、ii)ハロゲン原子、又はiii)ヒドロキシル、iv)カルボキシル、v)(C
1〜C
20)アルキルカルボキシレート若しくは(C
1〜C
20)アルコキシカルボニル、vi)場合により置換されたアミノ、vii)場合により置換された直鎖状又は分岐状(C
1〜C
20)アルキル、viii)場合により置換された直鎖状又は分岐状(C
2〜C
20)アルケニル、ix)場合により置換されたシクロアルキル、x)(C
1〜C
20)アルコキシ、xi)(C
1〜C
20)アルコキシ(C
1〜C
20)アルキル、xii)(C
1〜C
20)アルコキシアリール、xiii)場合により置換されていてもよいアリール、xiv)アリール、xv)置換アリール、xvi)飽和又は不飽和であり、カチオン電荷又はアニオン電荷を場合により有し、芳香環、好ましくはベンゼン環で場合により置換されている、及び/又は芳香環、好ましくはベンゼン環と場合により縮合されている複素環であって、前記芳香環が、具体的には1つ又は複数のヒドロキシル基又はグリコシルオキシ基で場合により置換されている複素環基、xvii)1つ又は複数のケイ素原子を含有する基、から選択される基を表すか、
或いは、2つの隣り合う炭素原子が有する置換基のうちの2つ、R
1-R
2、R
2-R
3、又はR
3-R
4が、それらを有する炭素原子と一緒になって、1つ又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ又は複数のヘテロ原子を場合により含む1つ又は複数の飽和環又は不飽和環と場合により縮合されている、飽和又は不飽和の芳香環又は非芳香環を形成する。具体的には、式(II)の化合物は、1〜4個の環を含む。
【0076】
本発明の特定の実施形態は、2つの隣り合う置換基R
1-R
2、R
2-R
3、又はR
3-R
4がそれらを有する炭素原子と共にピロリル基を形成することができない、式(II)の1つ又は複数のODPに関する。変形形態によると、R
2及びR
3は、2つのヒドロキシルを有するベンゼン環と縮合したピロリル基又はピロリジニル基を形成する。
【0077】
本発明の目的で、また特別の定めのない限り、
- 飽和又は不飽和の場合により縮合した環は、場合により置換されていてもよく、
- 「アルキル」基は、飽和であり直鎖状又は分岐状の、一般にC
1〜C
20、具体的にはC
1〜C
10の炭化水素に基づく基、好ましくはC
1〜C
6アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルであり、
- 「アルケニル」基は、不飽和であり直鎖状又は分岐状のC
2〜C
20の炭化水素に基づく基、好ましくは少なくとも1つの二重結合を有するもの、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、2-メチルプロピレン、及びデシレンであり、
- 「アリール」基は、優先的には6〜30個の炭素原子を含む、その少なくとも1つの環が芳香族である、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式の炭素に基づく基であり、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル、及びテトラヒドロナフチルから選択され、
- 「アルコキシ」基は、上記に規定のアルキル、好ましくはC
1〜C
10アルキルを有するアルキル-オキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシであり、
- 「アルコキシアルキル」基は、(C
1〜C
20)アルコキシ(C
1〜C
20)アルキル基、例えばメトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル等であり、
- 「シクロアルキル」基は、C
4〜C
8シクロアルキル基、好ましくはシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であり、シクロアルキル基は、置換シクロアルキル基、具体的には、アルキル基、アルコキシ基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、及びケトン基で置換されたものであってもよく、
- 「アルキル」基又は「アルケニル」基は、これらが「場合により置換されている」場合には、i)ハロゲン、ii)ヒドロキシル、iii)(C
1〜C
2)アルコキシ、iv)(C
1〜C
10)アルコキシカルボニル、v)(ポリ)ヒドロキシ(C
2〜C
4)アルコキシ、vi)アミノ、vii)5員又は6員ヘテロシクロアルキル、viii)(C
1〜C
4)アルキル基、好ましくはメチルで場合により置換された、場合によりカチオン性の5員又は6員ヘテロアリール、好ましくはイミダゾリウム、ix)少なくとも、a)1つのヒドロキシル基、b)1つ又は2つの場合により置換された(C
1〜C
3)アルキル基(前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、少なくとも1つの別の窒素又は非窒素ヘテロ原子を場合により含む、飽和又は不飽和であり場合により置換された5員〜7員の複素環を形成することが可能である)で場合により置換された、1つのアミノ基、c)四級アンモニウム基-N
+R'R''R''',M
-(式中、R'、R''、及びR'''は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC
1〜C
4アルキル基を表し、M
-は、対応する有機酸、無機酸、又はハロゲン化物の対イオンを表す)、或いはd)(C
1〜C
4)アルキル基、好ましくはメチルで場合により置換された1つの場合によりカチオン性の5員又は6員ヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリウムを場合により有する、1つ又は2つの同一の又は異なるC
1〜C
6アルキル基で置換されたアミノ、x)アシルアミノ(-N(R)-C(O)-R')(式中、R基は、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有する(C
1〜C
4)アルキル基であり、R'基は、C
1〜C
2アルキル基である)、カルバモイル((R)
2N-C(O)-)基(式中、R基は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有する(C
1〜C
4)アルキル基を表す)、xi)アルキルスルホニルアミノ(R'-S(O)
2-N(R)-)(式中、R基は、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有する(C
1〜C
4)アルキル基を表し、R'基は、(C
1〜C
4)アルキル基、フェニル基を表す)、xii)アミノスルホニル((R)
2N-S(O)
2-)(式中、R基は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又はa)ヒドロキシル、b)酸形態若しくは塩化形態のカルボキシル-C(O)-OH(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは非置換アンモニウムで塩化されている)から選択される少なくとも1つの基を場合により有する(C
1〜C
4)アルキル基を表す)、xiii)シアノ、xiv)ニトロ、xv)カルボキシル又はグリコシルカルボニル、xvi)1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されたフェニルカルボニルオキシ、xvii)グリコシルオキシ、及び1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されたフェニル基から選択される、少なくとも1つの原子、又は少なくとも1つの炭素原子が有する基で置換されていてもよく、
- 「アリール」基若しくは「複素環」基又はこれらの基のアリール部分若しくは複素環部分は、これらが「場合により置換されている」場合には、以下の基、
i)ヒドロキシル、(C
1〜C
2)アルコキシ、(ポリ)ヒドロキシ(C
2〜C
4)アルコキシ、アシルアミノ、少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有する2つの同一の又は異なるC
1〜C
4アルキル基(又は、これら2つの基は、それらが結合している窒素原子と共に、別の窒素又は非窒素ヘテロ原子を場合により含む飽和又は不飽和であり場合により置換された5員〜7員、好ましくは5員〜6員の複素環形成することが可能である)で置換されたアミノ基から選択される1つ又は複数の基で場合により置換された(C
1〜C
10)アルキル、好ましくはC
1〜C
8アルキル、ii)ハロゲン、iii)ヒドロキシル、iv)C
1〜C
2アルコキシ、v)C
1〜C
10アルコキシカルボニル、vi)(ポリ)ヒドロキシ(C
2〜C
4)アルコキシ、vii)アミノ、viii)5員又は6員ヘテロシクロアルキル、ix)(C
1〜C
4)アルキル基、好ましくはメチルで場合により置換された、場合によりカチオン性の5員又は6員ヘテロアリール、好ましくはイミダゾリウム、x)少なくとも、a)1つのヒドロキシル基、b)1つ又は2つの場合により置換されたC
1〜C
3アルキル基(前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、少なくとも1つの別の窒素又は非窒素ヘテロ原子を場合により含む、飽和又は不飽和であり、場合により置換された5員〜7員の複素環形成することが可能である)で場合により置換された1つのアミノ基、c)1つの四級アンモニウム基-N
+R'R''R''',M
-(式中、R'、R''、及びR'''は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC
1〜C
4アルキル基を表し、M
-は、対応する有機酸、無機酸、又はハロゲン化物の対イオンを表す)、d)(C
1〜C
4)アルキル基、好ましくはメチルで場合により置換された、1つの場合によりカチオン性の5員又は6員ヘテロアリール基、好ましくはイミダゾリウムを場合により有する1つ又は2つの同一の又は異なるC
1〜C
6アルキル基で置換されたアミノ、xi)アシルアミノ(-N(R)-C(O)-R')(式中、R基は、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有するC
1〜C
4アルキル基であり、R'基は、C
1〜C
2アルキル基である)、xii)カルバモイル((R)
2N-C(O)-)(式中、R基は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有するC
1〜C
4アルキル基を表す)、xiii)アルキルスルホニルアミノ(R'S(O)
2-N(R)-)(式中、R基は、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有するC
1〜C
4アルキル基を表し、R'基は、C
1〜C
4アルキル基、フェニル基を表す)、xiv)アミノスルホニル((R)
2N-S(O)
2-)(式中、R基は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有するC
1〜C
4アルキル基を表す)、xv)酸形態又は塩化形態のカルボキシル(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは非置換アンモニウムで塩化される)、xvi)シアノ、xvii)ニトロ、xviii)ポリハロアルキル、好ましくはトリフルオロメチル、xix)グリコシルカルボニル、xx)1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されたフェニルカルボニルオキシ基、xxi)グリコシルオキシ基、xxii)1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されたフェニル基から選択される少なくとも1つの原子又は少なくとも1つの炭素原子が有する基で置換されていてもよく、
- 本発明の目的で、「グリコシル」基という用語は、単糖又は多糖に由来する基を意味し、
- 「1つ又は複数のケイ素原子を含有する」基は、好ましくはポリジメチルシロキサン基、ポリジフェニルシロキサン基、ポリジメチルフェニルシロキサン基、又はステアロキシジメチコン基であり、
- 「複素環」基は、具体的には1つ又は複数のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミン基、又はケトン基で場合により置換された、具体的にはO、N、及びS、好ましくはO又はNから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を少なくとも1つの環に含む基である。これらの環は、複素環の炭素原子上に1つ又は複数のオキソ基を含んでいてもよく、使用できる複素環基の中では、具体的には、フリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、又はチエニル基を挙げることができ、更に好ましくは、複素環基は、縮合基、例えばベンゾフリル基、クロメニル基、キサンテニル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリル基、イソキノリル基、クロマニル基、イソクロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、クマリニル基、又はイソクマリニル基であり、これらの基は、具体的には1つ又は複数のOH基で置換されていてもよい。
【0078】
本発明の方法で有用なODPは、天然であっても合成であってもよい。天然ODPには、自然界に存在することができる、化学(半)合成により再生された化合物が含まれる。
【0079】
本発明のODPの塩は、酸性の塩であっても塩基性の塩であってもよい。酸は、無機酸であっても有機酸であってもよい。好ましくは、酸は、塩化物をもたらす塩酸である。
【0080】
「塩基性化剤」という用語は、e)について規定した塩基が無機塩基であっても有機塩基であってもよいことを意味する。具体的には、塩基は、アルカリ金属水酸化物、例えばナトリウム塩をもたらす水酸化ナトリウムである。
【0081】
本発明の特定の実施形態によると、組成物は、成分a)として、自然界に存在しない1つ又は複数の合成ODPを含む。
【0082】
本発明の別の好適な実施形態によると、ケラチン繊維を染色する方法において有用な組成物は、成分a)として、1つ又は複数の天然ODPを含む。
【0083】
より具体的には、a)による、本発明の方法で使用できるODPは、具体的には、
- フラバノール、例えばカテキン及び没食子酸エピカテキン、
- フラボノール、例えばケルセチン、
- アントシアニジン、例えばシアニジン、デルフィニジン、及びペツニジン、
- アントシアニン又はアントシアン、例えばミルチリン、
- オルトヒドロキシベンゾエート、例えば没食子酸塩、
- フラボン、例えばルテオリン、
- ヒドロキシスチルベン、例えば、場合によりオキシル化(例えばグルコシル化)された3,3',4,5'-テトラヒドロキシスチルベン、
- 3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
- 2,3-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
- 4,5-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
- ジヒドロキシシンナメート、例えばコーヒー酸及びクロロゲン酸、
- オルトポリヒドロキシクマリン、
- オルトポリヒドロキシイソクマリン、
- オルトポリヒドロキシクマロン、
- オルトポリヒドロキシイソクマロン、
- オルトポリヒドロキシカルコン、
- オルトポリヒドロキシクロモン、
- キノン、
- ヒドロキシキサントン、
- 1,2-ジヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
- 1,2,4-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
- 1,2,3-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
- 2,4,5-トリヒドロキシトルエン及びその誘導体、
- プロアントシアニジン、特にプロアントシアニジンA1、A2、B1、B2、B3、及びC1、
- クロマン及びクロメン化合物、
- プロアントシアニン、
- タンニン酸、
- エラグ酸、
- 並びに前述の化合物の混合物である。
【0084】
本発明によると、「クロメン又はクロマン」ODP化合物という用語は、その構造に少なくとも1つの以下の式(A)、
【0088】
は、クロメンファミリーを示す以下の式(A1)及びクロマンファミリーを示す以下の式(A2)
【0090】
により図示される、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を表す]の二環式構造を含むODPを意味する。
【0091】
より具体的には、本発明のODPは式(A)のものであり、好ましくは以下の式の着色から選択される。
- その構造に式(A2)の二環式構造を含む式(III)、
【0093】
並びにその互変異性型及び/又はメソメリー型、その立体異性体、化粧用として許容される酸又は塩基とのその付加塩、及びその水和物
[式(III)中、
・
【0095】
は、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を表し、連続するこれらの
【0097】
結合は、2つの炭素-炭素単結合及び2つの炭素-炭素二重結合を示し、前記結合は共役結合であり、
・Xは、基
【0099】
を表し、
・R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、場合により置換されたアルキル基、場合により置換されたアルコキシ基、又は場合により置換されたアシルオキシ基を表す]、
- その構造に式(A1)の二環式構造を含む式(IV)、
【0101】
並びにその互変異性型及び/又はメソメリー型、その立体異性体、化粧用として許容される酸又は塩基とのその付加塩、及びその水和物
[式(IV)中、
・R
11、R
12、R
13、R
16、R
19、及びR
20は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC
1〜C
4アルキル基を表し、
・R
14、R
15、R
17、及びR
18は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、又はC
1〜C
4アルコキシ基を表す]。
【0102】
上記に規定の式(III)のオルトジフェノールに関しては、これらは(IIIa)及び(IIIb)と示される2つの互変異性型において認めることができる。
【0104】
前述の置換基の規定において言及したアルキル基は、飽和であり直鎖状又は分岐状の炭化水素に基づく基であり、一般にC
1〜C
20、具体的にはC
1〜C
10、好ましくはC
1〜C
6の炭化水素に基づく基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルである。
【0105】
アルコキシ基は、上記に規定のアルキル基を有するアルキル-オキシ基であり、好ましくはアルコキシ基は、C
1〜C
10アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシである。
【0106】
アルキル基又はアルコキシ基は、これらが置換されている場合には、i)ハロゲン原子、ii)ヒドロキシル基、iii)C
1〜C
2アルコキシ基、iv)C
1〜C
10アルコキシカルボニル基、v)(ポリ)ヒドロキシ(C
2〜C
4)アルコキシ基、vi)アミノ基、vii)5員又は6員ヘテロシクロアルキル基、viii)(C
1〜C
4)アルキル基、好ましくはメチルで場合により置換された、場合によりカチオン性の5員又は6員ヘテロアリール基、好ましくはイミダゾリウム、ix)少なくとも、a)1つのヒドロキシル基、b)1つ又は2つの場合により置換されたC
1〜C
3アルキル基(前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、少なくとも1つの別の窒素又は非窒素ヘテロ原子を場合により含む、飽和又は不飽和であり場合により置換された5員〜7員の複素環を形成することが可能である)で場合により置換された、1つのアミノ基、c)1つの四級アンモニウム基-N+R'R''R''',M
-(式中、R'、R''、及びR'''は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC
1〜C
4アルキル基を表し、M
-は、対応する有機酸、無機酸、又はハロゲン化物の対イオンを表す)、或いはd)(C
1〜C
4)アルキル基、好ましくはメチルで場合により置換された1つの場合によりカチオン性の5員又は6員ヘテロアリール基、好ましくはイミダゾリウムを場合により有する、1つ又は2つの同一の又は異なるC
1〜C
6アルキル基で置換されたアミノ、x)アシルアミノ(-NR-COR')基(式中、R基は、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有するC
1〜C
4アルキル基であり、R'基は、C
1〜C
2アルキル基である)、xi)カルバモイル((R)
2N-CO-)基(式中、R基は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有するC
1〜C
4アルキル基を表す)、xii)アルキルスルホニルアミノ(R'SO
2-NR-)基(式中、R基は、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により有するC
1〜C
4アルキル基を表し、R'基は、C
1〜C
4アルキル基、フェニル基を表す)、xiii)アミノスルホニル((R)
2N-SO
2-)基(式中、R基は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は少なくとも1つのヒドロキシルを場合により有するC
1〜C
4アルキル基を表す)、xiv)酸形態若しくは塩化形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは非置換アンモニウムで塩化されている)、xv)シアノ基、xvi)ニトロ基、xvii)カルボキシル基又はグリコシルカルボニル基、xviii)1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されたフェニルカルボニルオキシ基、xix)グリコシルオキシ基、及びxx)1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されたフェニル基から選択される、少なくとも1つの炭素原子が有する少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。
【0107】
「グリコシル基」という用語は、単糖又は多糖に由来する基を意味する。
【0108】
好ましくは、式(III)のアルキル基又はアルコキシ基は置換されていない。
【0109】
本発明の特定の実施形態によると、式(III)の染料は、ヒドロキシル基を表すR
6基を含む。
【0110】
本発明の別の特定の実施形態は、R
1基が水素原子又はヒドロキシル基を表す、式(III)のODPに関する。
【0111】
より具体的には、本発明による組成物は、ヘマトキシリン、ヘマテイン、ブラジリン、及びブラジレインから選択される1つ又は複数の式(III)のODPを含んでいてもよい。
【0113】
ブラジレインは、式(A2)のクロマン化合物の共役形態である。上記に図示した互変異性構造体(IIIa)及び(IIIb)は、以下のスキームに見出される。
【0115】
ヘマトキシリン/ヘマテイン型及びブラジリン/ブラジレイン型のODPの中で挙げることのできる例には、市販されている、インドクロマンファミリーの染料であるヘマトキシリン(INCI名によると、ナチュラルブラック1)及びブラジリン(INCI名によると、ナチュラルレッド24)がある。後者の染料は、酸化形態で存在してもよく、合成によって、又はこれらの染料に富むことが知られている植物若しくは野菜の抽出によって得ることができる。
【0116】
式(III)のODPは、抽出物の形態で使用してもよい。以下の植物抽出物(属及び種):ログウッド(Haematoxylon campechianum)、ヘマトキシロン・ブラジレット(Haematoxylon brasiletto)、ブラジルボク(Caesalpinia echinata)、スオウ(Caesalpinia sappan)、タラ(Caesalpinia spinosa)、及びカエサルピニア・ブラジレンシス(Caesalpiniabra siliensis)を使用することができる。
【0117】
抽出物は、さまざまな植物部位、例えば根、木、樹皮、又は葉を抽出することにより得られる。
【0118】
本発明の特定の一実施形態によると、天然ODPは式(I)のものであり、ログウッド、ペルナンブコ木、スオウ木、及びブラジル木から得られる。
【0119】
本発明の特定の実施形態によると、ODPは式(IV)のもの、好ましくは、R
11及びR
13がアルキル基、好ましくはメチルを表すものである。
【0120】
好ましくは、R
12、R
16、R
19、及びR
20は、互いに独立して、水素原子又はアルキル基、好ましくはメチルを示す。
【0121】
好ましくは、R
14及びR
17は、互いに独立して、水素原子又はアルコキシ基、好ましくはメトキシを示す。
【0122】
好ましくは、R
18及びR
15は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、又はアルコキシ基、好ましくはメトキシを示す。
【0123】
本発明での使用に適した第1の特に好適なODPのファミリーは、R
12、R
15、R
16、R
17、R
19、及びR
20がそれぞれ水素原子を表す、上記の式(II)に対応する染料のものである。R
11及びR
13はそれぞれメチル基を表し、R
14はメトキシ基を表す。
【0124】
この第1のファミリーの好適なODPには、R
18がメトキシ基を表すもの(サンタリンB)又はヒドロキシル基を表すもの(サンタリンA)が含まれる。
【0125】
本発明での使用に適した第2の特に好適なODPのファミリーは、
- R
11及びR
13がそれぞれメチル基を表し、
- R
17がメトキシ基を表す、上記の式(IV)に対応する染料のものである。
【0126】
この第2のファミリーの好適な染料は、更に、R
19がメチル基を表し、R
20、R
12、R
14、R
18、及びR
16がそれぞれ水素原子を表し、R
15がヒドロキシル基を表すもの(サンタルビンA)である。
【0127】
この第2のファミリーの第2の好適な染料は、R
18、R
20、R
12、R
14、及びR
16が水素原子を表し、R
15がメトキシ基を表し、R
19がメチル基を表すもの(サンタルビンB)である。
【0128】
この第2のファミリーの第3の好適なODPのファミリーは、R
20、R
12、R
14、R
15、R
16、及びR
19が水素を表し、R
18がヒドロキシル基を表すもの(サンタルビンC)である。
【0129】
この第2のファミリーの好適なODPは、R
15がメトキシ基を表し、R
18及びR
14が水素原子を表し、R
20、R
12、R
16、及びR
19がメチル基を表すもの(テトラ-O-メチルサンタルビン)である。
【0130】
式(IV)のODPは、抽出物の形態で使用してもよい。プテロカルプス(Pterocarpus)属及びバフィア(Baphia)属のアジア及び西アフリカ原産のセコイアの種を広くまとめた、セコイアの植物抽出物を使用することができる。これらの木材は、例えば、プテロカルプス・サンタリヌス(Pterocarpus santalinus)、プテロカルプス・オスン(Pterocarpus osun)、アフリカンパドック(Pterocarpus soyauxii)、プテロカルプス・エリナケウス(Pterocarpus erinaceus)、インドカリン(Pterocarpus indicus)、又はバフィア・ニチダ(Baphia nitida)である。これらの木材はパドック、ビャクダン、ナラウッド、カムウッド、又はバーウッドとも呼ばれ得る。
【0131】
したがって、式(II)のODPを含む、本発明で使用できる抽出物は、例えば、シタン(プテロカルプス・サンタリヌス)から、水性塩基性抽出により得ることができ(例えば、商標名Santal Concentre SL 709CでCOPIAA社から販売されている製品)、又はビャクダン粉末の溶媒抽出によっても得ることができる(例えば、商標名Santal Poudre SLPPで同COPIAA社から販売されている製品)。また、Alban Muller社の粉末状シタンの水性/アルコール抽出物も挙げることができる。
【0132】
本発明に同様に適した抽出物は、木材、例えばカムウッド(バフィア・ニチダ)又はバーウッド(アフリカンパドック、プテロカルプス・エリナケウス)から得ることができ、後者は分割してから粉砕し、この粉砕した材料に、続いて従来のアルコール抽出又はパーコレーションによる抽出を実施して、それにより本発明の実施に特に適した粉状抽出物を収集する。
【0133】
本発明の式(III)及び(IV)のODP塩は、化粧用として許容される酸又は塩基の塩であってもよい。
【0134】
酸は、無機酸であっても有機酸であってもよい。好ましくは、酸は、塩化物をもたらす塩酸である。
【0135】
塩基は、無機塩基であっても有機塩基であってもよい。具体的には、塩基は、アルカリ金属水酸化物、例えばナトリウム塩をもたらす水酸化ナトリウムである。
【0136】
好ましくは、本発明による組成物に含まれる式(III)及び(IV)のODPは、植物抽出物に由来する。また、植物抽出物の混合物を使用することもできる。
【0137】
本発明によるODPの天然抽出物は、粉末の形態であっても液体の形態であってもよい。好ましくは、抽出物は粉末の形態である。
【0138】
具体的には、本発明のODPには、カテキン、ケルセチン、ブラジリン、ヘマテイン、ヘマトキシリン、クロロゲン酸、コーヒー酸、没食子酸、カテコール、L-DOPA、ペラルゴニジン、シアニジン、(-)-エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピガロカテキン3-ガレート(EGCG)、(+)-カテキン、イソケルセチン、ポミフェリン、エスクレチン、6,7-ジヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-2,4-ジメトキシフェニル)クマリン、サンタリンAC、マンギフェリン、ブテイン、マリチメチン、スルフレチン、ロブテイン、ベタニジン、ペリカムピリノンA、テアフラビン、プロアントシアニジンA2、プロアントシアニジンB2、プロアントシアニジンC1、プロシアニジンDP 4-8、タンニン酸、プルプロガリン、5,6-ジヒドロキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン、アリザリン、ウェデロラクトン、バリエガト酸、ゴンフィジン酸、キセルコム酸、及びカルノソール、並びにそれらを含有する天然抽出物が含まれる。
【0139】
好ましくは、本発明のODPは、クロメン又はクロマンであり、ヘマテイン、ヘマトキシリン、ブラジレイン、ブラジリン、及びサンタリンAから選択される。
【0140】
「カルボキシレート」という用語は、カルボン酸塩を意味する。
【0141】
染料前駆体がD型及びL型を有する場合には、これら2つの型は、例えばラセミ混合物として、本発明による組成物に使用することができる。
【0142】
一実施形態によると、天然ODPは、その全体として又は部分的に使用される、動物、細菌、真菌、藻類、植物、及び果実の抽出物に由来する。具体的には、植物に関しては、抽出物は、柑橘類を含む果実、野菜、木、及び灌木に由来する。また、上記に規定のODPに富む、これらの抽出物の混合物を使用してもよい。
【0143】
好ましくは、本発明の天然ODPは、植物又は植物部位に由来する。
【0144】
本発明の目的で、これらの抽出物は、化合物a)と同じカテゴリーに入ることになる。
【0145】
抽出物は、さまざまな植物部位、例えば根、木材、樹皮、葉、花、果実、種子、莢、又は皮の抽出により得られる。
【0146】
植物抽出物の中では、茶葉及びバラの抽出物を挙げることができる。
【0147】
果実抽出物の中では、リンゴの抽出物、ブドウ(具体的にはブドウ種子)の抽出物、又はココア豆及び/若しくは莢の抽出物を挙げることができる。
【0148】
野菜抽出物の中では、ジャガイモの抽出物又はタマネギの皮の抽出物を挙げることができる。
【0149】
樹木の抽出物の中では、松樹皮の抽出物及びログウッドの抽出物を挙げることができる。
【0150】
また、植物抽出物の混合物を使用してもよい。
【0151】
本発明の特定の実施形態によると、オルトジフェノール誘導体は、ODPに富む天然抽出物である。
【0152】
好適な実施形態によると、本発明の染料は、天然抽出物のみである。
【0153】
優先的には、本発明による染料は、カテキン、ケルセチン、ヘマテイン、ヘマトキシリン、ブラジリン、ブラジレイン、没食子酸、及びタンニン酸、並びにそれらを含有する、ブドウの搾りかす、松樹皮、緑茶、タマネギ、ココア豆、ログウッド、セコイア、及びゴバイシから選択される天然抽出物から選択されるものである。
【0154】
より優先的には、本発明のODPは、
- 染色方法が化学酸化剤を使用しない場合には、ヘマテイン、ブラジレイン、没食子酸、又はタンニン酸から選択され、
或いは、
- 染色方法が化学酸化剤を使用する場合には、キシリン、ブラジリン、没食子酸、又はタンニン酸から選択される。
【0155】
本発明による天然抽出物は、粉末の形態であっても液体の形態であってもよい。好ましくは、本発明の抽出物は、粉末の形態で提供される。
【0156】
本発明によると、本発明による方法において有用な1つ又は複数の化粧用組成物の成分a)として使用される合成若しくは天然染料及び/又は天然抽出物は、好ましくは、それらを含有する組成物の総質量の0.001質量%〜20質量%に相当する。
【0157】
純粋な染料、特に純ODPに関しては、それらを含有する組成物中の含有量は、好ましくは、それらを含有するこれらの組成物それぞれの0.001質量%から5質量%の間である。
【0158】
抽出物に関しては、抽出物自体を含有する組成物中の含有量は、好ましくは、これらの組成物それぞれの0.1質量%から20質量%の間であり、なお良好には、それらを含有する組成物の0.5質量%から10質量%の間である。
【0159】
b)チタン塩
本発明のチタン塩は、1つ又は複数の有機又は無機チタン塩であってもよい。
【0160】
本発明の目的で、「有機チタン塩」という用語は、少なくとも1つの有機酸のTiに対する作用によって生じる塩自体を意味する。
【0161】
「有機酸」という用語は、酸、すなわち水性媒体中でカチオン又は陽子H
+若しくはH
3O
+を放出することができる化合物を意味し、これは少なくとも1つの場合により不飽和であり直鎖状若しくは分岐状のC
1〜C
20の炭化水素に基づく鎖、又は(ヘテロ)シクロアルキル基若しくは(ヘテロ)アリール基と、具体的にはカルボキシルCOOH、硫酸SO
3H、SO
2H、及びリン酸PO
3H
2、PO
4H
2から選択される少なくとも1つの酸性化学官能基とを含む。具体的には、本発明の有機チタン塩を形成するための有機酸は、上記に規定の式(I)のカルボン酸から選択され、好ましくは、α-ヒドロキシ酸、例えば乳酸、グリコール酸、酒石酸、又はクエン酸である。
【0162】
優先的には、1つ又は複数の上記に規定の有機酸、好ましくは上記に規定の式(I)のカルボン酸の作用に由来する有機チタン塩は、カルボン酸の1つ又は複数のカルボキシレート基と錯体を形成した、場合により荷電した(具体的には負に荷電した)錯体である。
【0163】
優先的には、本発明の有機チタン塩は、以下の式(I-A)のものから選択され、
【0165】
式(I-A)中、
・Aは式(I)のものと同一であり、
・n、n’、及びn’’は同一であっても異なっていてもよく、1、2、3、4を表し、かつn’+n’’=6であり、
・M
1及びM
2は同一であっても異なっていてもよく、カチオン性対イオン、例えばアルカリ金属(Na又はK)のカチオン若しくはアルカリ土類金属(Ca)のカチオン、又は有機カチオン、例えばアンモニウム、好ましくはアンモニウム又は水素原子を表し、
・TiY
n''は、Ti(OH)
n''又はTi(O)
n''/2又はTi(OH)
m1(O)
m2を示し、このときm
1+m
2=n''である。
【0166】
優先的には、上記に規定の化合物(I-A)のA基は、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換された、一価(C
1〜C
6)アルキル基又は多価(C
1〜C
6)アルキレン基を表し、nは、0から5の間(両端を含む)、例えば0から2の間(両端を含む)の整数を表し、具体的には、本発明の有機チタン塩を形成するために使用されるカルボン酸は、α-ヒドロキシ酸から選択され、好ましくはこの酸は、クエン酸、乳酸、酒石酸、及びグリコール酸から、なお良好には乳酸及びグリコール酸から選択される。
【0167】
優先的には、本発明の有機チタン塩は、以下の式(I-B)のものから選択され、
【0169】
式(I-B)中、
・L'及びL''は同一であっても異なっていてもよく、二価(ヘテロ)アリーレン基、(C
1〜C
6)アルキレン基、又は(C
2〜C
6)アルケニレン基を表し、前記アルキレン基及びアリーレン基は、ハロ、(C
1〜C
4)アルキル、ヒドロキシル、チオール、及び(ジ)(C
1〜C
4)(アルキル)アミノ、カルボキシルから選択される1つ若しくは複数の原子若しくは基で場合により置換されている、並びに/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子、例えば酸素が場合により介在し、
好ましくは、L'及びL''は同一であり、(C
1〜C
4)アルキル基で場合により置換されたメチレン基又はエチレン基を表し、
・X'及びX''は同一であっても異なっていてもよく、ヘテロ原子、例えば酸素、硫黄、又はアミノR
c-N(R
cは、水素原子又は(C
1〜C
4)アルキル基を表す)を表し、好ましくは、X'及びX''は同一であり、酸素原子を表し、
・Y及びY'は同一であっても異なっていてもよく、X'及びX''について規定した通りであり、好ましくは、Y及びY'は同一であり、酸素原子を表し、
・R
a及びR
bは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1〜C
6)アルキル基、(C
2〜C
6)アルケニル基、若しくは(ヘテロ)アリール基を表し、具体的には、同一であるR
a及びR
bは、水素原子又は(C
1〜C
4)アルキル基、好ましくは水素を表し、
・M
+は同一であっても異なっていてもよく、カチオン性対イオン、例えばアルカリ金属(Na又はK)のカチオン若しくはアルカリ土類金属(Ca)のカチオン、又は有機カチオン、例えばアンモニウム、好ましくはアンモニウムを表す。
【0170】
好ましくは、染色方法の有機チタン塩は、ジヒドロキシビス(ラクト)チタン(IV)塩、例えば以下の式を有するものである。
【0172】
染色方法は、上記に規定の1つ又は複数の式(I)の有機酸b1)を使用してもよい。
【0173】
有利な変形形態によると、染色方法は、b1)上記に規定の1つ又は複数の式(I)のカルボン酸も使用する。より優先的には、カルボン酸b1)は、Ti塩と錯体を形成しているカルボン酸以外である。
【0174】
例えば、チタン塩b)と錯体を形成したカルボン酸が乳酸又はそのカルボン酸塩(乳酸塩)である場合、第2の酸b1)は、乳酸又は乳酸塩以外であり、例えばグリコール酸であってもよい。
【0175】
本発明の目的で、「無機チタン塩」という用語は、無機酸のTiに対する作用に由来する塩自体を意味する。
【0176】
「無機酸」という用語は、炭酸は別として炭素原子を含まない酸を意味する。
【0177】
無機チタン塩は、好ましくは、チタンハロゲン化物、硫酸チタン、及びリン酸チタンから選択される。好ましくは、チタン塩は、無機Ti(II)塩、無機Ti(III)塩、又は無機Ti(IV)塩、より具体的にはTi(III)又はTi(IV)である。
【0178】
好ましくは、チタン塩は有機チタン塩、なお良好には有機Ti(IV)塩である。本発明の有利な実施形態によると、有機Ti塩は、Ti(IV)原子及び2〜3モル当量の少なくとも1つの式(I)のカルボン酸からなる。
【0179】
チタン塩(b)は、本発明による方法で使用される化粧用組成物中に、それらを含有する組成物の総質量に対して0.001質量%〜20質量%の範囲の含有量で存在する。
【0180】
具体的には、本発明による有機チタン塩及び無機チタン塩は、少なくとも0.0001g/l、なお良好には少なくとも1g/lの割合で、水に対して可溶性である。
【0181】
c)不溶性ケイ酸塩
本発明によるケイ酸塩は、混合物に不溶性である。これは、25℃での混合物へのその溶解度が0.5%未満、なお良好には0.2%未満であることを意味する。
【0182】
好ましくは、前記ケイ酸塩は、水不溶性(25℃での水への溶解度が0.5%未満、なお良好には0.2%未満)である。
【0183】
本発明により使用される混合物中で有用な不溶性ケイ酸塩は、シリカ誘導体である。ケイ酸塩は、天然であっても、又は化学的に修飾されていてもよい(又は合成であってもよい)。
【0184】
このケイ酸塩は、そのケイ素原子のうちのいくつかが1つ又は複数の金属カチオン、例えばAl
3+、B
3+、Fe
3+、Ga
3+、Be
2+、Zn
2+、Mg
2+、Co
3+、Ni
3+、Na
+、Li
+、Ca2
+、又はCu2
+に置き換えられた、場合により水和したシリカに対応する。
【0185】
したがって、不溶性ケイ酸塩は、一般に、Al
3+、B
3+、Fe
3+、Ga
3+、Be
2+、Zn
2+、Mg
2+、Co
3+、Ni
3+、Na
+、Li
+、Ca
2+、及びCu
2+から選択される1つ又は複数の金属カチオンを含む。
【0186】
より具体的には、本発明との文脈で使用することができるケイ酸塩は、
- スメクタイト族のクレイ、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト、及びサポナイト、
- バーミキュライト族、ステベンサイト族、及びクロライト族のクレイ、
- パリゴルスカイト族のクレイ、例えばアタパルジャイト、
- セピオライト族のクレイ、から選択される。
【0187】
これらのクレイは、天然由来のものであっても、合成由来のものであってもよい。挙げることのできる合成クレイには、Laporte社からLaponite XLG及びLaponite XLSの名称で販売されている化合物があり、これらは合成ヘクトライトである。
【0188】
特定の実施形態によると、ケイ酸塩は、スメクタイト、具体的には、ラポナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、又はベントナイト、好ましくは、ラポナイト、モンモリロナイト、及びベントナイトから選択される。
【0189】
水和されていてもよい、ケイ酸アルミニウム及び/又はケイ酸マグネシウムが好ましくは使用される。
【0190】
挙げることのできる例には、Gel white Hの名称でRockwood Additives社から販売されているモンモリロナイト、Veegum Granulesの名称でVanderbilt社から販売されている精製スメクタイトがある。また、Kunipia G4の名称でKunimine社から販売されているモンモリロナイト、及びTolsa社から販売されているセピオライトであるPangel S9も挙げることができる。
【0191】
ケイ酸塩は、第四級アミン、第三級アミン、酢酸アミン、イミダゾリン、アミン石鹸、脂肪硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アミンオキシド、及びそれらの混合物から選択される化合物で修飾されていてもよい。
【0192】
挙げることのできる修飾ケイ酸塩には、クオタニウム-18ベントナイト、例えば、Bentone 3、Bentone 38、及びBentone 38Vの名称でRheox社から販売されているもの、Tixogel VPの名称でUnited Catalyst社から販売されているもの、Claytone 34、Claytone 40、及びClaytone XLの名称でSouthern Clay社から販売されているもの、ステアラルコニウムベントナイト、例えば、Bentone 27の名称でRheox社から販売されているもの、Tixogel LGの名称でUnited Catalyst社から販売されているもの、Claytone AF及びClaytone APAの名称でSouthern Clay社から販売されているもの、クオタニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えば、Claytone HT及びClaytone PSの名称でSouthern Clay社から販売されているもの、クオタニウム-18ヘクトライト、例えば、Bentone Gel DOA、Bentone Gel ECO5、Bentone Gel EUG、Bentone Gel IPP、Bentone Gel ISD、Bentone Gel SS71、Bentone Gel VS8、及びBentone Gel VS38の名称でRheox社から販売されているもの、並びにSimagel M及びSimagel SI 345の名称でBiophil社から販売されているものがある。
【0193】
特定の実施形態によると、ケイ酸塩は修飾されていない。
【0194】
不溶性ケイ酸塩は、それらを含む組成物の総質量に対して、一般に0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%、なお良好には0.1質量%〜15質量%、更に優先的には0.5質量%〜10質量%に相当する。
【0195】
d)化学酸化剤
本発明の特定の実施形態によると、染色方法は、1つ又は複数の化学酸化剤も使用する。「化学酸化剤」という用語は、大気中の酸素以外の酸化剤を意味する。より具体的には、染色方法は、i)過酸化水素、ii)過酸化尿素、iii)具体的には粉末の形態で提供される、過酸化水素を放出することができるポリマー錯体、例えばポリビニルピロリドン/H
2O
2、並びにUS5008093、US3376110、及びUS5183901に記載されている他のポリマー錯体、iv)適当な基質(例えば、グルコースオキシダーゼの場合にはグルコース、若しくはウリカーゼでは尿酸)の存在下でのオキシダーゼ、v)水中で過酸化水素を生成する金属過酸化物、例えば過酸化カルシウム若しくは過酸化マグネシウム、vi)過ホウ酸塩、並びに/又はvii)過炭酸塩を使用する。
【0196】
本発明の好適な実施形態によると、組成物は、i)過酸化尿素、ii)ポリビニルピロリドン/H
2O
2から選択される過酸化水素を放出することができるポリマー錯体、iii)オキシダーゼ、iv)過ホウ酸塩、及びv)過炭酸塩から選択される1つ又は複数の化学酸化剤を含む。
【0197】
具体的には、染色方法は、過酸化水素を使用する。
【0198】
更に、過酸化水素又は過酸化水素生成系を含む組成物はまた、下記に規定する、ケラチン繊維を染色するための組成物に従来使用されているさまざまなアジュバントを含んでいてもよい。
【0199】
本発明の特定の実施形態によると、使用される化学酸化剤は、それ又はそれらを含有する組成物の総質量に対して、好ましくは0.001質量%〜12質量%、更に優先的には0.2質量%〜2.7質量%の化学酸化剤(過酸化水素)に相当する。
【0200】
e)塩基性化剤
本発明の特定の実施形態によると、染色方法は、1つ又は複数の塩基性化剤e)を使用する。塩基性化剤は、それらが存在する組成物のpHを上げることができる塩基である。塩基性化剤は、ブレンステッド塩基、ローリー塩基、又はルイス塩基である。これは、無機塩基であっても有機塩基であってもよい。
【0201】
具体的には、前記塩基性化剤は、i)(重)炭酸塩、ii)アンモニア水、iii)アルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの誘導体、iv)オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、v)無機又は有機水酸化物、vi)アルカリ金属ケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウム、vii)アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、及びヒスチジン、並びにviii)下記の式(XI)、
【0203】
[式(XI)中、Wは、少なくとも1つのヒドロキシル基若しくは少なくとも1つの(C
1〜C
4)アルキル基で場合により置換された、及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子、例えば酸素若しくは硫黄、又は-N(R
e)-基が場合により介在した二価(C
1〜C
8)アルキレン基であり、R
a、R
b、R
c、R
d、及びR
eは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1〜C
4)アルキル基若しくはヒドロキシ(C
1〜C
4)アルキル基を表し、好ましくは、Wは、プロピレン基を表す]の化合物から選択される。無機又は有機水酸化物は、好ましくは、a)アルカリ金属の水酸化物、b)アルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、c)遷移金属の水酸化物、例えば第III族、第IV族、第V族、及び第VI族の金属の水酸化物、d)ランタニド又はアクチニドの水酸化物、四級アンモニウム水酸化物、及び水酸化グアニジウムから選択される。
【0204】
水酸化物は、例えば、水酸化カルシウムを炭酸グアニジンと反応させることにより形成される水酸化グアニジンのように、in situで形成されてもよい。
【0205】
「(重)炭酸塩」i)という用語は、
a)アルカリ金属の炭酸塩(Met
2+、CO
32-)、アルカリ土類金属の炭酸塩(Met'
2+、CO
32-)、アンモニウムの炭酸塩((R''
4N
+)
2、CO
32-)又はホスホニウムの炭酸塩((R''
4P
+)
2、CO
32-(Met'はアルカリ土類金属を表し、Metはアルカリ金属を表し、R''は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は場合により置換された(C
1〜C
6)アルキル基、例えばヒドロキシエチルを表す)、並びに
b)以下の式、
- R'
+、HCO
3-(R'は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基R''
4N
+-、又はホスホニウム基R''
4P
+-を表し、このときR''は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は場合により置換された(C
1〜C
6)アルキル基、例えばヒドロキシエチルを表し、R'が水素原子を表す場合には、炭酸水素は炭酸二水素(CO
2、H
2O)として知られる)、及び
- Met'
2+(HCO
3-)
2(Met'は、アルカリ土類金属を表す)の、炭酸水素としても知られる、重炭酸塩を意味すると理解される。
【0206】
より具体的には、塩基性化剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(重)炭酸塩、及びアミノ酸、例えばアルギニンから、優先的には、アルカリ金属(重)炭酸塩及びアミノ酸から選択される。
【0207】
炭酸Na、炭酸K、炭酸Mg、及び炭酸Ca、又は炭酸水素、並びにこれらの混合物、具体的には炭酸水素ナトリウムを挙げることができる。これらの炭酸水素は、天然水、例えばヴィシー温泉又はラ・ロッシュ=ポゼの水若しくはバドワの水に由来していてもよい(特許、例えばFR2814943の文書を参照)。具体的には、炭酸ナトリウム[497-19-8]=Na
2CO
3、炭酸水素ナトリウム又は重炭酸ナトリウム[144-55-8]=NaHCO
3、及び炭酸二水素ナトリウム=Na(HCO
3)
2を挙げることができる。
【0208】
特に有利な実施形態によると、塩基性化剤f)は、アミノ酸、例えばアルギニン、及び(重)炭酸塩、具体的にはアルカリ金属(重)炭酸塩又はアルカリ土類金属(重)炭酸塩から、単独で又は混合物として選択される。これらは優先的には、染色方法の最中に一緒に存在する。
【0209】
上記に規定の塩基性化剤は、好ましくは、それらを含有する組成物の質量の0.001質量%〜10質量%、より具体的には組成物の0.005質量%〜8質量%に相当する。
【0210】
水
本発明の一実施形態によると、本発明の方法に水が好ましくは含まれる。この水は、ケラチン繊維の湿潤、及び/又は上記に規定の化合物a)〜e)を含む組成物、又は1つ若しくは複数の別の組成物に由来していてもよい。
【0211】
好ましくは、この水は、少なくとも、上記に規定のa)〜e)から選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物に由来する。
【0212】
組成物
本発明による方法で使用される組成物は、一般に、水、又は水と1つ若しくは複数の有機溶媒との混合物、又は有機溶媒の混合物を含む。
【0213】
「有機溶媒」という用語は、別の物質を化学的に変性することなく、溶解又は分散することができる有機物質を意味する。
【0214】
挙げることのできる有機溶媒の例には、C
1〜C
4低級アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシレングリコール、並びに芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノールがある。好ましくは、染料組成物、すなわち染料、具体的には本発明のODPを含む組成物は、少なくとも1つの上記に規定の有機溶媒、具体的には、ベンジルアルコール等の芳香族アルコールから選択される有機溶媒を含む。
【0215】
有機溶媒は、染料組成物の総質量に対して、好ましくは、およそ1質量%から40質量%の間、更に優先的には、およそ5質量%から30質量%の間の割合で存在する。
【0216】
アジュバント
本発明による染色方法の組成物はまた、毛髪染料組成物に従来使用されているさまざまなアジュバント、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、若しくは両性イオン性の界面活性剤、又はこれらの混合物、上記に規定の不溶性ケイ酸塩c)以外のアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、若しくは両性イオン性のポリマー、又はこれらの混合物、上記に規定の不溶性ケイ酸塩c)以外の無機又は有機増粘剤、具体的には、カチオン性、非イオン性、及び両性のポリマー会合性増粘剤、抗酸化剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝剤、分散剤、調整剤、例えば揮発性又は不揮発性の変性又は非変性シリコーン、被膜形成剤、セラミド、保存剤、及び乳白剤を含有していてもよい。
【0217】
本発明の染色方法はまた、化合物a)、b)、及び場合によりc)に加え、上記に規定の少なくとも1つの他の特定の式(I)のカルボン酸を使用してもよい。より具体的には、式(I)のカルボン酸は、Aが、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換された、一価(C
1〜C
6)アルキル基又は多価(C
1〜C
6)アルキレン基を表し、nが、0から5の間(両端を含む)、例えば0から2の間(両端を含む)の整数を表すものである。
【0218】
より具体的には、本発明のカルボン酸は、25℃及び大気圧で1質量%以上の水への溶解度を有する、式(I)の酸から選択される。
【0219】
好ましくは、式(I)の酸は、その構造に少なくとも1つのヒドロキシル基を含む。更に優先的には、この酸は、α-ヒドロキシ酸から選択される。本発明の好適な酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸から選択される。
【0220】
式(I)の酸の塩は、有機塩基又は無機塩基の塩、例えば水酸化ナトリウム、アンモニア水、若しくは水酸化カリウム、又は有機アミンの塩、例えばアルカノールアミンであってもよい。式(I)の酸又はその塩は、それらを含有する組成物中に、0.1質量%〜20質量%の範囲の含有量で存在する。
【0221】
前記アジュバントは、好ましくは、界面活性剤、例えばアニオン性若しくは非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物、及び無機若しくは有機増粘剤から選択される。
【0222】
上記のアジュバントはそれぞれ、一般に、組成物の質量に対して0.01質量%から40質量%の間、好ましくは、組成物の質量に対して0.1質量%から20質量%の間の量で存在する。
【0223】
当然ながら、当業者は、本発明による染色方法において有用な組成物と本質的に関連する有利な特性が、想定される追加によって悪影響を受けない、又は実施的に受けないように、注意してこの1つ又は複数の追加化合物を選択するであろう。
【0224】
本発明の化粧用組成物は、さまざまな生薬形態、例えば粉末、ローション、ムース、クリーム、若しくはゲル、又はケラチン繊維を染色するのに適した他のいかなる形態であってもよい。本発明の化粧用組成物はまた、推進剤を含まないポンプ式ボトルに詰められていても、推進剤の存在下、加圧下でエアゾール容器に詰められていて、泡を形成してもよい。
【0225】
組成物のpH
本発明によると、成分a)、b)、c)、又はd)のうちの少なくとも1つを含む化粧用組成物のうちの少なくとも1つのpHは、酸性、すなわち7.0未満、好ましくは5.0未満、具体的にはpHが0から4の間(両端を含む)、より具体的には0.5から3.5の間である。
【0226】
一実施形態によると、好ましくは(重)炭酸塩から選択される1つ又は複数のアルカリ剤を含む化粧用組成物のpHは、アルカリ性、すなわち7を上回り、好ましくは8から12の間(両端を含む)、より具体的には8から10.5の間(両端を含む)である。
【0227】
本発明による方法が、1つ又は複数のODP染料を使用する場合には、ODPa)を含有する組成物は、好ましくは、7未満の酸性のpHを有し、好ましくは5未満、具体的にはpHが0から4の間(両端を含む)、なお良好には1から3の間である。
【0228】
本発明の特定の実施形態によると、チタン塩b)を含有し(重)炭酸塩を含有しない組成物は、pHが7未満、好ましくは5未満であり、具体的にはpHが0から4の間(両端を含む)、より具体的には0.5から3.5の間である。
【0229】
これらの組成物のpHは、上記のe)に規定の塩基性化剤によって、又はケラチン繊維の染色で通常使用される酸性化剤を用いて、或いは標準緩衝系によって、所望の値に調整することができる。本発明で使用される組成物のための酸性化剤の中で挙げることのできる例には、無機若しくは有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸、若しくは乳酸、又はスルホン酸がある。
【0230】
「カルボン酸」という用語は、少なくとも1つのカルボン酸-C(O)-OH基、好ましくは上記に規定の式(I)のカルボン酸基を含む、好ましくは1個から4個の間、例えば1個又は2個のカルボン酸基を含む化合物、i)(C
1〜C
10)アルキル-[C(O)-OH]
n及びii)het-[C(O)-OH]
n(nは、1から4の間(両端を含む)、好ましくは1から2の間の整数を表し、hetは、複素環基、例えばピロリドンを表し、これらのアルキル基又はhet基は、特にOH基及び(ジ)(C
1〜C
6)(アルキル)アミノ基から選択される1つ又は複数の基で場合により置換されていてもよい)から選択される化合物を意味すると理解される。
【0231】
1つ又は複数の工程での染色方法
ケラチン繊維を染色する方法は、1つ又は複数の工程において、1つ又は複数の化粧用組成物で処理することからなり、前記組成物には以下の成分、
a)1つ又は複数の上記に規定の染料、好ましくは上記に規定のODPと、
b)1つ又は複数のチタン塩と、場合により、b1)1つ又は複数の上記に規定の式(I)のカルボン酸と、
c)1つ又は複数の上記に規定の不溶性ケイ酸塩と、
d)場合により、具体的には過酸化水素又は1つ若しくは複数の過酸化水素生成系から選択される、1つ又は複数の化学酸化剤と、が一緒に又は別々に含まれ、
好ましくは、染色方法で使用される組成物又はこれらの組成物うちの少なくとも1つは、酸性のpH、すなわち7未満、好ましくは5未満であり、具体的にはpHが0から4の間(両端を含む)、より具体的には、0.5から3.5の間である。
【0232】
本発明の特定の実施形態によると、染色方法は、a) 1つ又は複数の染料、好ましくは上記に規定の1つ又は複数のODP、b)1つ又は複数のチタン塩、及び場合により、b1)上記に規定の1つ又は複数のカルボン酸、並びにc)上記に規定の1つ又は複数の不溶性ケイ酸塩を含む化粧用組成物でケラチン繊維が処理される第1の工程と、それに続く、e)1つ又は複数の塩基性化剤、及び場合により、d)1つ又は複数の化学酸化剤を含むアルカリ化粧用組成物、すなわちpHが7を上回り、好ましくは8から12の間、具体的には8から10.5の間である組成物が塗布される第2の工程と、を含む少なくとも2つの工程で実施される。
【0233】
優先的には、第2の工程においてケラチン繊維に塗布される化粧用組成物はまた、d)特に過酸化水素及び1つ又は複数の過酸化水素生成系から選択され、好ましくは過酸化水素である、1つ又は複数の化学酸化剤も含む。
【0234】
染料、特に上記に規定のODPを含む組成物を塗布したあとの放置時間は、一般に3分間から120分間の間、優先的には10分間から60分間の間、より優先的には15分間から45分間の間に設定される。
【0235】
本発明の特定の実施形態によると、ケラチン繊維を染色する方法は、上記に規定の成分a)、b)、b1)、及びc)を含む染料組成物をケラチン繊維に塗布し、次いで第2の工程において、上記に規定の成分e)、及び場合により成分d)を含む組成物を前記ケラチン繊維に塗布することによって、2つの工程で実施されるが、このときこれら2つの組成物のうちの少なくとも1つが水性であることは理解される。好ましくは、染料、特にODPa)を含む組成物は水性である。更に優先的には、この実施形態で使用される2つの組成物は水性である。
【0236】
この染色方法では、第1の工程での塗布後の放置時間は、一般に3分間から120分間の間、優先的には10分間から60分間の間、より優先的には15分間から45分間の間に設定される。第2の工程における成分e)を含む組成物の塗布時間は、一般に3分間から120分間の間、好ましくは3分間から60分間の間、より好ましくは5分間から30分間の間に設定される。
【0237】
別の実施形態によると、ケラチン繊維を染色する方法は、2つ又は3つの工程で実施される。
【0238】
この実施形態によると、ケラチン繊維を染色する方法は、第1の段階において、
a) 1つ又は複数の染料、具体的には1つ又は複数のODPであって、特に、
- 染色方法が化学酸化剤d)を使用しない場合には、ヘマテイン、ブラジレイン、没食子酸、又はタンニン酸から選択され、
或いは、
- 染色方法が化学酸化剤d)を使用する場合には、ヘマトキシリン又はブラジリンから選択される、ODPと、
b)上記に規定の1つ又は複数のチタン塩と、
b1)場合により、上記に規定の1つ又は複数の式(I)のカルボン酸(Aは、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換された、一価の(C
1〜C
6)アルキル基又は多価(C
1〜C
6)アルキレン基を表し、nは、0から5の間(両端を含む)、例えば0から2の間(両端を含む)の整数を表す)であって、より具体的には、クエン酸、乳酸、グリコール酸、及び酒石酸から選択される本発明のカルボン酸と、
c) 1つ又は複数の上記に規定の不溶性ケイ酸塩と、を含む化粧用組成物をケラチン繊維に塗布し、
次いで、第2の工程において、
d)場合により、過酸化水素又は1つ若しくは複数の過酸化水素生成系から選択される、1つ又は複数の上記に記載の化学酸化剤と、
e)アミノ酸、例えばアルギニン、及び(重)炭酸塩、具体的にはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の(重)炭酸塩から単独で又は混合物として選択される、1つ又は複数の塩基性化剤と、を含む化粧用組成物を前記繊維に塗布することにより、複数の工程で実施され、
このとき、
- 優先的には、カルボン酸を含む組成物は、酸性のpH、すなわち7未満、好ましくは5未満であり、具体的にはpHが1から3の間(両端を含む)であり、
- 塩基性化剤を含む組成物は、アルカリ性のpH、好ましくは8から12の間、より具体的には8から10の間であることは理解される。
【0239】
具体的には、本発明の染色方法は、少なくとも2つの工程で実施され、第1の工程では、成分a)、b)、及びc)が一緒にケラチン繊維、具体的には毛髪に塗布され、次いで、第2の工程では、成分d)及びe)が一緒に前記繊維に塗布される。
【0240】
塗布方法にかかわらず、塗布温度は、一般に室温(15℃〜25℃)から220℃の間、より具体的には15℃から45℃の間である。したがって、本発明による組成物の塗布後、頭髪は、有利には、30℃から60℃の間の温度まで加熱することにより、熱処理に供してもよい。実務上、この作業は、スタイリング用フード、ヘアドライヤー、赤外線ディスペンサー、又はその他の標準的な加熱装置を使用して実施することができる。
【0241】
頭髪の加熱及び平滑化の双方のための手段として、60℃から220℃の間、好ましくは120℃から200℃の間の温度で加熱用アイロンを使用してもよい。
【0242】
塗布方法にかかわらず、それぞれの工程間に、具体的には、成分e)を含有する組成物の塗布を含む最終工程を実施する前に、ケラチン繊維の濯ぎ、又は機械的な拭き取り及び/又は乾燥を実施してもよい。
【0243】
中間の機械的な拭き取り及び乾燥の工程は、「制御された濯ぎなし」としても知られており、「標準的な水での十分な濯ぎ」及び「濯ぎなし」と区別される。繊維の「機械的拭き取り」という用語は、吸収体で繊維をこすり、その吸収体によって、繊維に浸透していない過剰な成分を物理的に除去することを意味する。この吸収体は、布片、例えばタオル、具体的にはテリー織のタオル、布地、又は吸収紙、例えば家庭用のキッチンペーパーであってもよい。
【0244】
本発明の特に有利な方法によると、機械的拭き取りは、繊維を完全に乾燥させないように実施され、繊維を湿ったままにする。
【0245】
「乾燥」という用語は、上記に規定の1つ又は複数の成分a)〜e)を含む、又は含まない、本発明の方法で使用される1つ又は複数の組成物中に存在する有機溶媒及び/又は水を蒸発させる行為を意味する。乾燥は、熱源(対流、伝導、又は輻射)を用いて、例えば、溶媒を蒸発させるのに必要な空気等の高温ガス流を送ることにより、実施することができる。挙げることができる熱源には、ヘアドライヤー、ヘアスタイリング用フード、ヘアアイロン、赤外線ディスペンサー、又はその他の標準的な加熱装置がある。
【0246】
本発明の特定の実施形態は、室温(25℃)で実施される染色方法に関する。
【0247】
前述した方法の特定の形態及び変形形態全てにおいて、言及されている組成物は、2つ以上の組成物、具体的には染色キットに含まれる組成物をその場で混合することにより得ることができる、すぐに使用可能な組成物である。
【0248】
染色装置又は「キット」
本発明の別の主題は、マルチコンパートメント染色装置又は「キット」である。有利には、このキットは、水性であっても粉状であってもよく、具体的には、前記組成物のうちの少なくとも1つが水性である、上記に規定の成分a)〜e)が配置された、2〜5種の組成物を含む2〜5個のコンパートメントを備える。
【0249】
第1の変形形態によると、キットは、5つのコンパートメントを備え、最初の4つのコンパートメントは、それぞれ上記に規定の粉末状成分a)、b)、c)、及びe)を含み5つ目のコンパートメントは、水性酸化性組成物、例えば上記に規定のd)を含む水を含有する。
【0250】
この他の実施形態では、4種の組成物のうちの少なくとも1種が水性であり、染料、具体的にはODPは、粉末形態であってもよい。
【0251】
キットの別の変形形態では、このキットは、2つのコンパートメントを備え、第1のコンパートメントに含有される第1の組成物は、a)、b)、及びc)を含み、第2のコンパートメントは、粉末形態又は水性媒体中のd)を含み、好ましくは第2の組成物は水性である。
【0252】
キットの別の変形形態では、このキットは、3つのコンパートメントを備え、第1のコンパートメントに含有される第1の組成物はa)及びb)を含み、第2のコンパートメントは、粉末形態又は水性媒体中のd)を含み、好ましくは、第2の組成物は水性であり、第3のコンパートメントはc)を含む。
【0253】
一変形形態によると、本発明による装置はまた、1つ又は複数の処理剤を含む追加の組成物を含む。
【0254】
本発明による装置の組成物は、同一であっても異なっていてもよい適当な塗布手段、例えば目の細かいブラシ、目の粗いブラシ、又はスポンジを場合により備えた、別々のコンパートメントに詰められる。
【0255】
上述の装置はまた、所望の混合物を毛髪上に分配するための手段、例えば、特許FR2586913に記載されている装置を装備していてもよい。
【0256】
本発明の主題はまた、ケラチン繊維を染色するための前記化粧用染料組成物の使用である。
【0257】
本発明の目的で、ケラチン繊維の色の「ビルドアップ」という用語は、染色されていない白髪の房と染色された毛髪の房との間の着色の変化を意味する。
【0258】
以下の実施例は、本発明を説明する役割を果たすが、本発明を本質的に制限するものではない。
【実施例】
【0259】
染色の実施例
(実施例1)
以下の組成物は、組成物100グラム当たりのグラム数で示される下記の割合で、下記の成分から調製される。
染色組成物
【0260】
【表1】
【0261】
顕色性組成物
【0262】
【表2】
【0263】
以下のタイプの毛髪の房、
- 90%の白髪を含有する、天然及びパーマのかかった白人の毛髪、及び
- 100%の白髪を含有する、天然の中国人の毛髪
を連続的に、
- 組成物1又は2(40℃で45分間房上に放置し、次いで濯ぎ落とす)、
- 組成物B(次いで40℃で房上に15分間放置する)
で処理する。
【0264】
これらの放置時間後、房をElvive Multivitaminシャンプーで洗い、濯ぎ、次いでフードの下で乾燥させる。
【0265】
染色結果
下記の比色測定値により確認される、極めて濃く着色された黒色の房が得られることが判明した。更に、着色が視覚的に均質であり、連続的なシャンプーに対して持続性であることがわかる。
【0266】
房の色は、Minolta Spectrophotometer CM3600D比色計を使用して、CIE L*a*b*系で評価した。このL*a*b*系では、3つのパラメーターが、それぞれ色の強さ(L*)、緑/赤色軸(a*)、及び青/黄色軸(b*)を示す。
【0267】
色のビルドアップ
90%の白髪を含む、天然の若しくはパーマのかかった毛髪の房、又は100%の白髪を含有する中国人の毛髪の房の処置又は染色前後の着色の変化を以下の方程式による(ΔE*)によって規定する。
【0268】
【数1】
【0269】
この方程式中、L*、a*、及びb*は、毛髪の房の染色後の測定値を表し、L
0*、a
0*、及びb
0*は、染色されていない未処理の毛髪の房の測定値を表す。ΔE*値が高いほど、色のビルドアップが良好である。
【0270】
色のビルドアップの結果L、a、bを下表にまとめる。
【0271】
【表3】
【0272】
(実施例2)
以下の染料組成物3は、実施例1と同じ手順に従って調製する。
【0273】
【表4】
【0274】
90%の白髪を含有する、天然及びパーマのかかった白人の毛髪の房を組成物3(40℃で45分間放置し、次いで濯ぎ落とす)で、次いで実施例1による組成物B(40℃で15分間放置する)で処理する。
【0275】
これらの放置時間後、房をElvive multivitaminシャンプーで洗い、濯ぎ、次いでフードの下で乾燥させる。
【0276】
組成物3及びBで処理した房は、極めて濃く、強い黒色である。